小説っぽいもの【『あみたん娘』関連】 (9)

オリジナルの登場人物がでます。
逆に本編に『あみたん娘』のキャラクターは一切でません。

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「おい、『あみたん娘』のストーリーってなんか思いつくか。」
前原は無意識に前のめりになっていた。
「おいおい、あんまり大声を出すなよ。『話したいことがあるから、スタバ行こう(≧∇≦)b』ってのそれかよ。」
口の前に人差し指を立てながら山形は言った。
「それと近い近い。」
そして、若干興奮気味の前原を席につかせた。前原は「すまん」と軽く謝ったあと、続けた。
「しかし、これは我が郷土の重大な問題であるぞ、殿!!」
「いつから俺は、リョウ、お前の主君になったんだ?」
前原のイマイチなボケにため息混じりに山形が答えた。
前原は小さく咳払いして「よいですか」と切り出した。
「その企画によって我らの血税が結構な額使われておりまする。」
それから前原の長ったらしい話は続いた。
彼が言いたいのは、我々の税金でありながら、変なことに使っている上、その運営がどうしようもなく杜撰極まるものだということらしい。
「あい、分かった。でも、まずはその口調を普段のに戻してくれ。」
山形は前原の時代ががった口調に辟易しながらも彼の言わんとすることは理解した。
「それで、俺らがちゃんとした小説を書くんだよ。」
「どうしてそんな考えに至るのか、お前の脳を一変調べてみたいわ。」
「小説が有名になれば、なんとかなる…多分。」
「勝算が低すぎるだろ。しかも、二次創作だから、売れた利益、結構取ってかれるぞ。」
「そうだな。オリジナルで行こうか。」
「決心が弱すぎるぞ。」
その後も2人の会話は続いたが、その日は小説についてそれ以上発展しなかった。

あれから1週間が過ぎた。2人は山形の部屋にいた。
「真剣にシナリオを考えてみよう。」
「お前がここに来たのってコレかよ」と思ったが、山形は黙っていることにした。
「設定が少ないからイロイロできるぜ~」
そこまで言った後、前原は神妙な顔になり俯いた。
「…と思っていた時期が私にもありました。」
山形はそれを見て彼の苦悩を察した。
「なんかアイディアは1つくらいあるんじゃないか?」
「あるよ…ゴミだけど…」
普段のテンションはどこへやらな前原は山形にとってはいささか新鮮ではあった。
「言ってみろよ。」
と促すと、前原は鞄から紙切れを出した。

【プロット】
ある男性(大学生?高校生?)のもとに『あみたん』が現れる。
そこで、彼に観音菩薩を勢至菩薩のチカラをもつ少女2人を探し導いて欲しいと言う。
それを聞いた主人公は瞬間移動、読心術の身につけてもらう代わりに『あみたん』に協力する。
まずは『かのん』を見つけ、彼女のキズを埋め、本来のチカラを取り戻させる。

「ここで力尽きた。」
前原のその眼は「もう焼くなり煮るなりしてくれ」と語っている。
「中高生に受けやすいように男性を主人公にしたのか。いいじゃん。」
「でも、『かのん』、『せしる』の登場に時間かかりまくる。他にもなんでチカラを持つのかその正当性がない。」
「それじゃあ、さ。お前がボロクソに言っていたあの公式の小説あるだろ。」
前原は虚ろな眼のまま頷いた。
「その結末を変える話ってはどうだ。本の中から『あみたん』が出てきてだな。」
山形は「ちょっと待ってろ」と言うとラップトップを弄りだした。

【案】
公式小説『あみたん娘 きときとNOVELS』のあまりにひどい展開にウンザリした『あみたん』はある大学生(男性, 主人公)の前に現れた。
と思ったら、彼を無理矢理の小説内の“セカイ”に引き込む。
主人公はそのセカイではただのモブキャラとなっている。
ただし、Authorのチカラの一端として他のキャラの情報を引き出せたり、軽い現実改変能力がある。
主人公はクソな展開を退け、ハッピーエンドにヒロインたちを導けるのか!?

「ちょっ!!お前、天才じゃね?」
前原がいつもの調子を取り戻した。
「ただ、この案に注文を付けるとしたら…」
「なんか不満でもあるのか? まぁ、取ってつけたようなモンだしな。」
「『あみたん娘』が邪魔だな。オリジナルのキャラにしたら?」
「それ、今までの流れ無駄になるだろ!!」
「こんだけ素晴らしいんだ。ちゃんとしたキャラにすればどっかで新人賞も狙えるかも。」
「完全にいつもの前原だ」と安心した山形であったが、ツッコミの面倒臭さを思い出してもいた。
「一応、理由はあるぞ。これもともとの小説がないと面白み半減するだろ。
完全オリジナルならその点を補えるからな。」
「それなら、一度ミクロな視点で見てみないか。」
前原が間の抜けた顔していたので、山形は続けて
「『変身』とかについて考えようせ。」
と現在の設定を見て考えるように言ったつもりだった。
「携帯のメールか?」
前原は理解していないようだった。
「いや、ちげぇよ。‘replying’じゃなくて‘transformation’の方だ。」
その説明で前原はようやくその意図が分かったようだ。
「そうだな。変身する意味が全然わからないもんな。」
「しかも変身後成長するせいでこれまた困ったことになっている。」
2人はいつになく真剣にこの問題に取り組んでいた。しばらく無言になったあとで前原が徐ろに
「変身しないといけない世界があるとか?」と静寂を終わらせた。
「悪くない案だと思う。語り部は第三者かそれに近い存在または『あみたん』?『阿弥貴』?どっちで呼べばいいんだ。」
「言いたいことは分かる。」「でも…」と前原は急に落ち込み、
「正直…」前原がまた神妙な顔つきで言った。
「バトル物にしたら俺、少なくともヒロインのどっちか殺してしまうわ…」
「なんでだよ!!」と山形は口に出そうとしてやめた。前原が真摯に作品を作り上げる中でそうなるのなら仕方のないことだと思った。
しかしそれは『あみたん娘』的にはよろしくないため非常に悩みどころだ。二次創作なんだから自由でいいと山形も思っていた。
前原は違った今の彼には「公式よりも公式っぽい作品を作り上げる」という気持ちがあった。
その気持ちを今までの流れで感じるている山形はその言葉を出すのをやめたのだった。
そして代わりにポツリと
「…ルール」と言った。
前原はその言葉を聞くと山形の手を掴んだ。
「それだよ。スポーツのようにルールがあればキャラクターを殺す必要はなくなる。」
山形は鼻で軽く笑って、その手を少々乱暴に振りほどいた。
「それじゃ、これでいいな。」
それに前原は笑顔でサムズアップして応じた。

そうして前原は1週間の空き時間を使ってプロットと本文10000字ほどを書いた。
山形もその内容に納得した。
しかし、バックアップを取る前にそれらは吹き飛んだ。
そんな中で彼は思ったよりガッカリしなかった。
そして「勇樹のあのアイディアでオリジナル作品を出した方がよさそうだ。」と言って笑った。

そうして前原は1週間の空き時間を使ってプロットと本文10000字ほどを書いた。
山形もその内容に納得した。
しかし、バックアップを取る前にそれらは吹き飛んだ。
そんな中で彼は思ったよりガッカリしなかった。
そして「勇樹のあのアイディアでオリジナル作品を出した方がよさそうだ。」と言って笑った。

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