周子「首筋に愛は咲く」 (10)

いつからかはわからない

いつの間にか「「私」」は愛してしまっていた

「彼女」の満月の光に染められた髪に

「彼女」の新月の夜を掬い取った髪に

「彼女」の宵闇を思わせる瞳に

「彼女」の白夜を思わせる瞳に

「「彼女」」の闇に浮き上がるような白い肌に

「「私」」は愛を囁かずにはいられない

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ノックが1回、一呼吸おいてもう2回

今日は特別な日

奏がいつもの仮面を外し素顔を見せる日

「お邪魔するわね」

「いらっしゃい、奏」

暗闇の中で奏の瞳が輝いている

見つめていると奏がからかうように笑った

「周子はいつになったら慣れるのかしらね」

「こんなことに慣れる日なんてこないよ」

「そうね、もう何度もしてるのにこんなにもドキドキしてるわ」

そして奏は私をそっと押し倒した

「いいの?」

奏は毎回するときに聞く

「いいよ」

私はいつもどうりの答えを囁く

「それじゃあいただくわね」

私の首筋に奏の牙が入ってくるのがわかる

髪が逆立つ感覚がする

声が出せなくなる

酸素を求め乾いた音が喉から出る

血液が逆流するような感覚がする

溺れてしまう

奏の体温に

奏の香りに

奏の存在そのものに

私は湧き上がってくる快楽と一緒にそっと意識を手放した

私の独りよがりな行為が終わるころには周子に意識はなくなっている

そんな周子を私はそっと愛でる

はねた髪を梳き

服を整え

首筋に咲いた薔薇を眺める

酸素に触れ赤黒くなったその薔薇を

朝には消えてしまう儚い薔薇を

堪能しながら私も静かに眼を閉じた

朝日の光で目を覚ました

「おはよー奏」

「…おはよう」

「相変わらず朝よわいねー」

昨日の出来事がなかったかのように周子は元気だ

「昨日あれだけしたのに元気ね」

「…言わないでよ恥ずかしい」

「乙女なのね」

「…奏の前では乙女でいいでしょ」

「ずるいわよ…」

「ふふったまには仕返ししないとねー」

「やられっぱなしじゃないわけね…」

「シューコちゃんだって攻めないわけじゃないからね♪」

私があなたの首に咲かすのは黒赤色の薔薇

その薔薇の花ことばのように

私とあなたの関係が続くように心から望む

黒赤色の薔薇の花ことば【決して滅びることのない愛、永遠の愛】

LiPPSイベントほんと最高でした

百合メーターが振り切れててやばかった

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