モバP「悲恋と優しさの罪」 (69)

モバマスSSです。

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車内

周子「まったくさー」

P「どうした?」

周子「なんでアタシも呼ばれたんだろうなーって」

P「そこは必要だからじゃないのか?」

周子「そうなのかね」

P「そうだろうさ」

周子「しっかし、大分東京の方にも馴れてきたよ」

P「まだ慣れてなかったのか」

周子「うーんと、正確に言うと一人暮らしにかな」

P「なるほどな」

古典シリーズですね。

テレビ局

ディレクター「こんにちは」

P「おはようございます。こちら、塩見です」

周子「こんにちは」

ディレクター「はい。こんにちは。早速本題に入ってもいいかな」

P「はい。どうぞ」

ディレクター「単刀直入に言うと、次のドラマで塩見さんを使いたいんですよね」

P「ドラマですか?」

ディレクター「うん。と言ってもまぁ、二時間モノの特別ドラマなんですけどね」

周子「ドラマだって。やったね」

P「こら、塩見…」

周子「あ、はい。すみません」

ディレクター「いえいえ。平気ですよ」

P「それで、塩見まで呼んだ訳とは…?」

ディレクター「あ、そうそう。ドラマに出て貰いたいんだけど、演技力がどの程度あるのか気になってですね」

P「テストみたいなものですか?」

ディレクター「まぁ、似たようなものかもしれません」

ディレクター「でも、その雰囲気をドラマで活かしたいのは事実なんですよ」

周子(なんか照れるんだけど…)ポリポリ

ディレクター「これ、台本なんだけど、ここの付箋のシーンだけやって貰ってもいいかな?」

周子「は、はい」

ディレクター「あ、相手がいた方がいいなら彼にやって貰って」

P「わ、私ですか?」

ディレクター「うん。私がやったら客観的に見れなくなってしまうし」

P「そうですね。それでは」

周子「えーと、ここからかな…『覚えていますか、あの時のことを』」

周子『私はその為にここに来たのです。例えこれが悲恋だとしても…』

P(一体どういう話なんだ…)

周子『わ、私はあなたのことを…あ、愛し――』

ディレクター「うん。そこまででいいよ」

周子「え、あ、はい。…ふぅ」

P「お疲れ様」

周子「別に特に疲れてはないよ」

ディレクター「悪くはなかったよ。欲を言えばもう少し感情が欲しかったかなって感じかな」

P「なるほど」

周子「そんな棒読みだったかな…」

P「少しな」

周子「あらま」

ディレクター「主人公に思いを馳せる所なんかは少しイメージしづらいかもね」

周子「まぁ…そんなことしたことないし…」

ディレクター「ふむ…。それじゃこうしようか。プロデューサーさんこっちに来て貰っていいですか?」

P「は、はい。えぇ…まぁ、確かにそれが手っ取り早いかもしれませんが…」

周子(何を話してるんだろ)

ディレクター「それじゃ、その方向で。次会う時に成果を見せて貰えると嬉しいです」

P「…はい。それでは失礼します」

周子「失礼しまーす」

車内

周子「なんて話だったの?」

P「そうだな。さっき周子がそんなことしたことない。って言ったからやってみようって話になった」

周子「そうなんだ。つまりどういうこと」

P「…俺と一緒の部屋で生活するってこと」

周子「ふーん……は?」

P「実際に疑似体験しつつ、スキャンダルを避ける為にはこれが一番いいんだよ多分。それに俺だったら安心だしな」

周子「何が?」

P「アイドルに手を出さないってこと」

周子「あー、なるほどね。うん。そうだね」

P「どうかしたか?」

周子「別に。その鋼みたいな精神力が凄いなって」

P「アイドル達の未来を壊したくないしな」

周子「あたしらは未来じゃなくて今を生きてるんだけどね…」

P「それにだな、隣で知らない人と一緒に住まれても困る」

周子「そうなの?」

P「あぁ、気が気じゃないな」

P(スキャンダルになりそうで)

周子「そうなんだ。嫌なんだ…」フフ

事務所

P「――と言うことになりました」

ちひろ「はぁ…。まぁ、お仕事のためなら仕方ないですね」

P「つきましては――」

ちひろ「なるほど。その方向で行きましょう。なにかあった時も安全ですしね」

P「何もないと思いますけどね」

ちひろ「そうですか?」

P「えぇ、そうですって」

ちひろ(その自信はどこから来るんでしょう…?)

Pの部屋

P「散らかってはないと思う。まぁ、どうぞ」

周子「はーい。と言っても結構な頻度で来てるから知ってるけどね」

P「そうだな」

周子「そう言えば、あたしの部屋に菜々さん来てたけど、住むの?」

P「そうそう。そのままだと埃も溜まるだろうしってことでね」

周子「確かに。あと、賞味期限とかも気になるやつあるし」

P「後から、頼子と文香も来るって」

周子「三人って部屋で寝れるかな…」

P「平気だろ。ちょっと狭くなるかもしれないけど」

周子「平気っちゃ平気かな」

周子「ちなみに、そのキャスティングに理由とかあるの?」

P「周子の部屋のか?」

周子「そうそう」

P「特にないよ」

周子「ないんだ」

P「おう。たまたまその話をちひろさんとしてた時に近くにいた三人がその役目を買ってでてくれたんだ」

周子「ふーん」

P「頼子と文香は実家住みのはずなんだけど、即答だったな」

周子「そ、そうなんだ…」

周子(なんか怖い気もするけど、菜々さんがいるから平気かな)

P「とりあえず、台本を読んでみるか?」

周子「そうしとくね」

P「終わったら俺にも読ませてくれ」

周子「おっけー」

周子の部屋

菜々「周子ちゃんって綺麗好きなんですね」キョロキョロ

頼子「みたいですね…」

文香「…本棚が…ない?」

菜々「何かご飯でも作りましょうか?」

頼子「料理…ですか?」

菜々「えぇ、周子ちゃんから冷蔵庫の中にあるものは使っていいって言ってましたから」

文香「なるほど…」

頼子「私は…そこまで…上手には」

文香「私も…五十歩百歩程度です…」

菜々「大丈夫ですよ。一人暮ら…じゃなくてウサミン星だと料理は自分で作るから慣れてるんですよ」

文香「それでは…期待してますね」

頼子「頑張って下さい…」

菜々「レッツ、ウサミンパワー♪」

頼子「……?」

菜々「ほら、お二人も一緒にウサミンパワー♪」

文香「ぱ、パワー…」カァァ

頼子「パワー…」カァァ

Pの部屋

周子「これで終わりかな」

P「お、読み終わったか」

周子「軽く目を通しただけだけどね」

P「俺にも読ませてくれ」

周子「はい、どうぞー」

P「悪いな」

P「なるほどな…」

P(叶わない恋か。敵わないとでも言うのか…)

周子「結構悲しいお話だよね」

P「そうだな。まだ、最後まで読んでないからハッピーエンドがあるかもしれないが」

P「って、いつの間に隣にいるんだ周子」

周子「細かいことは気にしなーい♪」

P「まぁ、いいんだけどさ」

周子「てかさ、こういう話って昔話にもたまにあるよね」

P「そうだな。人魚姫とかはそうかもしれないな。パターンは違うかもしれないが雪女とかも」

周子「そうなの?」

P「まぁ、解釈は人それぞれなんだけどな。雪女は正体がバレると姿を消すんだ。

周子「なんでだろ?」

P「叶わないことと理解しているんじゃないのかな。妖怪と人間は時間の進み方が違うから」

周子「そんなもんなのかな」

P「だろうな。あと、罰が下るのを恐れたのかもしれない」

周子「罰?」

P「あぁ、雪女は雪から生まれるんだ。自分が雪の精だと相手に分かってしまったら相手にも山の神からの罰が下るかもしれないって考えるのかもな」

周子「まるで見てきたような言い方だね」

P「そんなことはないけどな」

周子「冗談だって」

P「しかし、そんな感じの役どころって難しいな」

P(確かに雰囲気は合ってるかもしれないけど)

P「そう言えば、どこかで読んだが雪女は美人で気に入った相手には情熱的らしいぞ」

周子「それとこの状況は関係あるのかな」

P「どうだろうな…恐らく、男女で一緒に暮らした経験が少しでもあった方がいいって感じたんじゃないかな」

周子「まぁ、確かに想像で演じるよりはいいかもね」

P「だろ。でも周子はアイドルだから実際に恋愛する訳にはいかないからプロデューサーの俺と住むってことになったわけだろうな。勿論男女と言っても変なことはしないけど」

周子「分かってるってば」

周子(まぁ、ちょっと、その人達の気持ちが分からなくもないかな…)

周子の部屋

菜々「はい。出来ましたー!」

頼子「…凄いですね」

文香「いただきます」

菜々「たーんと召し上がれ」

頼子「あちらは…どうなっているんでしょうか」

文香「…さぁ」

菜々「多分Pさんか周子ちゃんがご飯作ってるんじゃないですかねー」

頼子「Pさんの…手作りですか」

文香「少しばかり興味はありますね」

菜々「ナナも興味ありますね。今度食べに行きましょうか」

頼子「そうですね」

Pの部屋

周子「お腹すいたーん♪」

P「ほら、出来たぞ」

周子「美味しそうだね」

P「杏でも呼ぶか?」

周子「杏は寝てるんじゃない?」

P「かもな。電気点いてなかったし」

周子「だよね。いただきまーす」

周子「うーん。美味しいね」

P「そう言ってくれると嬉しいな」

周子「うんうん。一緒に住んだらこんなもの食べられるんだね」

P「周子の方が上手だろ?」

周子「誰かに作って貰えるのがいいんじゃん」

P「まぁ、気持ちは分からなくないが」

周子「しかし…こうして改めて部屋を見るとさ…」キョロキョロ

P「どうかしたか?」

周子「綺麗にしてるよね。あと、本棚なんてあったんだ」

P「まぁ、職業柄勉強することも結構あるしな」

周子「その割には、漫画っぽいのが見えるけど」

P「息抜き程度には読むしな」

周子「そうなんだ」

P「そういや、周子の部屋には本棚無かったな」

周子「だって読まないし」

周子「それじゃ、久々に漫画でも読もうかなー」

P「まぁ、別にいいけど」

周子「あ、片付けはアタシがやるからいいよ」

P「お、ありがとな」

周子「だって、まだ仕事あるんでしょ?」

P「なんのことだ?」

周子「玄関先にさりげなく置いてあるカバンの話」

P「…少しだけな」

周子「ほら、アタシに構わなくてもいいから頑張って」

P「…悪いな」

周子「あー、これ見たことあるかも」ペラッ

周子「確か再放送やってた気がするし」

周子「オープニングが良かった気がする。歌うのは少し恥ずかしいけど」

P「気に入ったか?」

周子「あ、終わったの?」

P「あぁ、勿論」

周子「流石だね」

ピリリリ

P「あ、電話だ。出てくる」

周子「行ってらっしゃーい」

P「はい。もしもし」

菜々『あ、ナナですー』

P「菜々さん、どうかしましたか?」

菜々『いえ、ちょっとそちらに遊びに行っていいかなと思いまして…』

P「遊びにですか?」

菜々『はい。あと、ちょっとご飯作りすぎちゃって…』

P「いいですよ。どうぞ」

ガチャ

菜々「こんばんはー」

文香「こんばんは…」

文香(ここがPさんのお部屋)

頼子「夜分に失礼します」ペコリ

頼子(綺麗ですね…。生活感が出ないほど忙しいのでしょうか)

P「玄関先で待機してたんですか…」

菜々「いえいえ、隣ですから」

周子「あ、菜々さんじゃん。どしたの?」

菜々「遊びに来ちゃいました」

頼子「塩見さん、台本見せて貰っていい…ですか?」

周子「そこに置いてある奴だよ」

頼子「どうも…」

菜々「Pさん、まさかこの漫画を持っていたなんて」

P「菜々さんは読んでそうですよね」

菜々「勿論ですよ。お経覚えてました。南無大慈ーって」

文香「…宗教の漫画なんですか?」

P「それは違う」

頼子「…なるほど」

P「どうかしたか?」

頼子「いえ…台本の内容と、今回の同棲に関連性が少し伺えたので」

P「そうか」

頼子「はい…。しかし、悲しい恋とはお話の世界と分かっていても悲しいですね」

P「報われて欲しいとは思うな」

頼子「叶わない、敵わない恋なんて存在しなければいい。そう思ってしまいます」

P「一人の勝者以外、全て敗者ってことになるしな」

菜々「漫画のお話ですかー?」

P「いえ、そういう訳ではなくてですね」

菜々「そうですかー」ペラッ

P「そんなにそれにハマりましたか…」

菜々「えぇ、昔を思い出しちゃって…」

P「菜々さんは現役世代でしたっけ?」

菜々「はい。勿論!」

P「えーと、あれって2000年より前ですよね」

菜々「あ、間違えました!再放送で見てました!」

P「潔いですね」

菜々「嘘は吐けない性格なんですよっ!」キャピ

頼子「面白いんですか…?」

文香「面白いですね…」

文香(ちょっと怖いですけど…)

P「文香もいつの間に…」

文香「あ、ごめんなさい…」

P「いや、いいけど。俺の部屋に娯楽がないのが悪いし」

文香「いえ、全然そんなこと…あ、それじゃ、お話しませんか…?」

P「別にいいけど」

文香「…はい」

菜々「えっとですね。この子がずっとこの先生のこと好きで…」ペラペラ

頼子「なるほど…男の方はお互いに幸せになれないと避けているんですね…」

周子「うわー、こんなの昔の少年誌でやってたんだ」


文香「楽しそう…ですね」

P「楽しそうだな」

文香「あ、これ台本ですか…?」

P「あぁ、そうだ。読むか?」

文香「…はい」

文香「ありがとうございました」

P「どうだった?」

文香「最後はどうなるんでしょうか」

P「最後?」

文香「塩見さん扮する彼女は…どうなってしまうんでしょうね」

P「どうだろうな…」

文香「悲恋と言えば、人魚姫をご存じですか?」

P「そりゃ、知ってるが…」

文香「人魚姫も最後、王子様の血を浴びれば元の姿に戻れたらしいです」

P「しかし、やらなかったと」

文香「はい。王子様を愛していたから」

P「例え、声が出なくても、歩く度に激痛が走ってもか」

文香「…はい。それに相手が自分の正体に気づかなくても」

P「そうなのか。ちなみにもし、それが文――」

文香「その質問は少しばかり愚問ですね」ニコ

P「そ、そうか」

文香「えぇ、答えなんて決まってます」

文香「…もし、私が人魚姫だったとして」

P「うん?」

文香「気づいていただけるでしょうか…?」

P「あぁ、任せろ」

文香「現実にはあり得ませんが、即答して頂けると嬉しいですね…」

菜々「…うぅ、木枯らしと一緒に消えちゃうなんて…」シクシク

頼子「自らの気持ちに気づいた時既に遅しでしたね…」

P「二人は二人で漫画に熱中してるし」

周子「Pさん、お風呂借りるね」

P「あぁ、分かった」

文香「あ、そろそろ。私もこれで…」

P「隣の部屋に帰るだけだと楽だよな」

文香「あ…そうですね」ストン

P「ん?どうした?」

文香「いえ…まだ、そこまで遅くないのでここにいようかと…」

P「なんだ、家に帰ろうとして間違えたのか」

文香「…はい」カァァ

周子「いいお湯でしたー」

P「そうか」

菜々「あー、こんなプロポーズされたいですねぇ…」

頼子「少女の恋がようやく実りましたね…」

P「もう最終巻近くまで読んでるのか…」

文香「それでは、今度こそ私は…」

P「おう、おやすみ」

文香「はい…おやすみなさい」

頼子「思わずこんな時間まで読み耽ってしまいました…」

菜々「ナナも昔に戻った気分で読んじゃいました」

P「二人共明日もあるんだからしっかり寝ろよ」

周子「おやすみー」

菜々「はーい。おやすみなさい」

頼子「おやすみ…なさい」

P「さてと…」

周子「一緒に寝る?」

P「バカ言うな」

周子「それじゃ、どうするの?」

P「適当な所で寝るよ」

周子「それじゃ疲れ取れないじゃん」

P「どこでも熟睡出来るから平気だよ」

周子「うーん…あ、そうだ。アタシが気苦しいから変な所で寝るのは止めてよ」

P「うーん…」

周子「あ、そうだ。それじゃ、手繋いでてよ。床に寝てもいいから」

P「まぁ、その程度なら…」

周子「いえーい」

周子「Pさんがさ、どう思ってるか知らないんだけど…」

P「どうした?」

周子「アタシだって緊張することくらいあるんだからね」

P「うん?」

周子「だから、この状況で簡単に寝れる訳がないって言ってるの」

P「なるほどな」

周子「なるほどって…」ハァ

P「まぁ、気張りつめてるなって感じはひしひしと感じたし」

周子「そうなんだ」

周子「ここで一つ問題です」

P「いきなりどうした?」

周子「まぁまぁ、眠くなるまで付き合ってよ」

P「まぁ、いいけど…」

周子「小さい時のしゅーこちゃんの夢はなんでしょう?」

P「大人になることとか?」

周子「違いまーす。正解はウチの看板娘でしたー」

P「そうだったのか」

周子「それが、今はアイドルやってるなんて人生何が起こるか分からないよね」

P「そうだな」

周子「ホントに何が起こるか分からないよね」

周子「一つだけ聞いていい?」

P「うん?」

周子「たまに思うんだけど、Pさんは、アイドルだからって言う言葉を使うんだけど、もし、アイドルじゃなかったらどうなの?」

P「アイドルじゃなかったら?」

周子「えーと、アイドルじゃない美嘉とかに告白されたらどう返事してたのかなって」

P「……」

周子「別に、美嘉じゃなくてもいいよ。凛でも誰でも」

周子(勿論アタシでも)

P「どうだろうな…」

周子「ま、答えは出ないかもね。そもそもアイドルになってなきゃ出会ってすりゃいないだろうし」

周子「私だって、まだ京都でフラフラしてただろうし」

周子「他の子だって似たようなものだろうしね」

P「それだけは間違いないな。この仕事やってなかったらそもそも周子には会ってない」

周子「分かってる。分かってるんだけど、ちょっとは気になるんだよね。好奇心と言うのかな」

P「お…」

周子「――やっぱ、いいや。それじゃ寝るね。おやすみ」

P「…おやすみ」

周子(Pさん寝てるかな…)ヒョコ

周子「この手と繋がっているだけアタシがリードかな…なんちゃって」

周子「あの時、京都で会った時から、アイドルにしてくれた時から」

周子「悲しい恋にはしたくないなぁ…」

周子「例えば、私が雪女だったら、永遠に氷漬けにして一緒にいてもいいかなって少し思うかもね」

周子「お互いがお互いを愛しているならここじゃなくても。どこでもいいかな」

周子(なんか学校で習った気がするけどなんだっけか)

周子「まぁ、Pさんは優しいから、皆のことを考えてダメだ。って言うかもしれないし、アタシのことを考えていいよ。って言うかもしれない」

周子「皆に平等に優しいは罪だよねぇ…」

周子「だから、これはその仕返し」

翌朝

P「……ん」

P(朝か…?)

P「体が動かないな…」

P「……周子」

周子「……」スー

P「なんで俺の腕にくっついてるんだ」

周子「…おはよ」

P「おはよう」

周子「なんで、隣にいるの?」

P「こっちのセリフだ」

周子「まぁ、なんとなく?」

P「なんとなくって…」

周子「気にしない、気にしない」

周子「あ、Pさん」

P「どうした?」

周子「多分、もうこんなことしなくても平気っぽいかも」

P「そうなのか?」

P(まだ一日しか経ってないが…)

周子「うん。十分いい経験になったよ」

P「分かった。ちひろさんに言っとくな」

周子「うん。ありがと」

P「えーと、周子は…」

周子「今日はもうちょっと遅くに出ようかな」

P「そうか、鍵は持ってきてくれ」

周子「了解」

P「そうか、それじゃ行ってくる」

周子「あ、ちょっと待って」

P「ん?どうし――」



周子「――行ってらっしゃい」ニコ

P「お、おう…」バタン



周子「あー、アタシも昨日の漫画に当てられちゃったかなぁ…」

周子(いきなりキスなんてさ…)

P「なんだったんだ一体…夢か?」

頼子「おはようございます…」

P「お、頼子かおはよう」

頼子「はい…今日は学校なのでこの時間に」

文香「私も…です」

P「なるほどな。あれ、菜々さんは?」

文香「まだ、おやすみですね…」

頼子「確か…あの後携帯で何かを見ていた気がします」

P「菜々さん…」

P「そう言えば、乗っていくか?」

頼子「いいんですか…?」

P「どうせ駅の方行っても大した距離じゃないし」

文香「それでは…お言葉に甘えて」

車内

頼子「そう言えば…一ついいですか?」

P「どうした?」

頼子「顔が赤い気がしますけど…どこか体調が?」

P「そんなことはないけど…」

文香「無理はしないで下さいね」

P「ありがとな」



P「それじゃ、頑張ってこいよ」

文香「はい。それでは」

頼子「行ってきますね」

P(そんなに顔に出やすいのか俺は…)

事務所

P「あ、ちひろさん」

ちひろ「はい。なんでしょうか?」

P「周子を今日から、一人暮らしに戻しますんで」

ちひろ「え、一日で良かったんですか?」

P「本人がいいって言ったんで」

ちひろ「ならいいんですけど、演技の方は大丈夫なんでしょうか…」

P「…多分」

菜々「おはようございまーす」

P「おはようございます。あれから何してたんですか?」

菜々「え?あぁ、あの後アニメの方も見たくなっちゃって…」

P「そういうことですか…」

菜々「そういうことなんですよ…」アハハ

周子「おはよー」

ちひろ「あ、おはようございまーす」

数日後
テレビ局

ディレクター「それでは、お願いしていいですか?」

周子「…はい」

P(頑張れ…周子)グッ

周子『覚えて…いますか? あの時のことを…』

周子『わ、私はその為に、ここに来たのです。例え、これが悲恋だとしても…っ』

周子『少しでもいいんです…っ。私だけを見ていて欲しいんです…』ポロ

ディレクター「ストップ。素晴らしいですね。是非お願いします」

P「やったな周子」

周子「え?あ、うん。よかった良かった」

P「随分と淡泊なリアクションだな」

周子「顔に出にくいだけだって」

車内

P「随分と心が籠ってたな」

周子「だから、Pさんと一緒に生活した成果だって」

P「一日しかしてないけどな」

周子「一日で十分だったよ」

P「今日の演技を見る限りそんな感じだな」

P「そう言えば、最後の涙って…」

周子「ちょっと話してる内に色々思い浮かんで感極まっちゃってさ。恥ずかしい話だけど」

P「真に迫る演技だったよ」

周子「ちょっと、この女の子の気持ちも分かってさ」

P「そうなのか」

周子(Pさんが相手だったから尚更ね)

周子「うん。どんな障害があっても諦めないのは同じだなって」

P「うん?」

周子「Pさんはさ、狐に化かされるのと、雪女に拐かされるのとどっちがいい?」

P「どっちもごめんだけど…」

周子「そう?喜んでた風に思うけど。コンコーンッ!」

P「あの時はその…」

周子「困ってるPさん見るのも面白いよね」アハハ

P「おいおい…」

周子「いいじゃん、たまには。そっちが困ってもさ」

終わりです。
途中で聞かれてた方がいましたが、菜々さんが読んでたのはぬーべーです。

夜も遅いので解説などは明日にでもしたいと思います。

読んで下さってありがとうございました。

おはようございます。

そこまで早い頻度で書いてないからこそ一年経ってしまった気がします。

それでも、見て下さる方には感謝です。

さて、解説です。

雪女:多くの地方で伝承がある話で、小泉八雲の怪談にもあるお話です。

    細かい話は地方によって異なるのでここでは、小泉八雲の話をさせていただきたいと思います。
   
    かつて、雪女を見た際に若く綺麗だと言う理由で見逃された巳之吉という青年がいました。
    雪女を見た数年後に『お雪』という綺麗な女性と出会い、二人は結婚し、子供をもうます。
    しかし、ある時、お雪に向かって巳之吉が雪女のことを話してしまいます。
    お雪の正体はその雪女でした。約束を破ったので殺そうとしますが、子供達のことを考えると彼を[ピーーー]ことが出来ずそのまま姿を消しました。
 
   基本的に悲しい恋のお話が多い印象ですね。


人魚姫:アンデルセンの童話の一つです。恐らく大半の人が読んだことあるかと思うので割愛させていただきます。
     今回調べるまで私は、王子の血で元に戻れることは知りませんでしたけど。

   

塩見周子(18)
http://i.imgur.com/sysve4A.jpg
http://i.imgur.com/kgupDlf.jpg

安部菜々(17?)
http://i.imgur.com/tBf73q1.jpg
http://i.imgur.com/GmUotkW.jpg

鷺沢文香(19)
http://i.imgur.com/33oyjax.jpg
http://i.imgur.com/BCeeG1t.jpg

古澤頼子(17)
http://i.imgur.com/muiyR0d.jpg
http://i.imgur.com/c5J1wqT.jpg

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