大淀「提督、そこに正座」 (41)




・キャラ崩壊注意

・直接描写はありませんがR-15からR-18くらい




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提督「はい」

大淀「深海棲艦との戦いにも変化の兆しが少しずつ現れましたね」

提督「はい」

大淀「練度の低い艦娘をすりつぶすような殲滅戦を強いられた初期の

    悲惨な情勢を考えれば、遠洋で秋刀魚漁したり菱餅やクリスマスの

    飾りを集めるふざけた作戦を遂行できる程度にまで海域は平和になり

    艦娘の待遇も改善されつつあります」

提督「はい」




大淀「無論、深海棲艦との戦いは継続中です。が、休戦条約を含めて先方との

    交渉が可能ではないかという意見が大本営でも真剣に語られ始めています」

提督「はい」

大淀「ですが同時にこれは、艦娘を保有する国と非保有国との間で海洋軍事力の

    格差が国際問題となる可能性を意味しています。御存知のように艦娘というのは

    単独での継戦能力は決して高くありません、各種設備を整えた鎮守府に妖精。

    そして提督という仲介を必要としています」

 大淀はそこで背筋を伸ばし、くいっと眼鏡の位置を整えた。



大淀「離脱後に撃沈した深海棲艦より稀にドロップする『はぐれ艦娘』に、

    深海棲艦との戦闘で破壊もしくは遺棄された鎮守府の工廠施設。

    それらを密かに回収して解析を進めている国の存在は既に複数

    確認されています──その多くは既に多大なる代償を支払っている

    でしょうが、性懲り無く艦娘を自国の軍事力に取り込もうとしている国は

    まだ存在します」

提督「たとえば深海棲艦が現れる前、太平洋の半分を寄越せとアメリカに迫った国とか」

大淀「具体的な国名は外交問題になるので言及を避けますが、それらの

    国の息がかかった言論人や新聞社が国際貢献という名目で艦娘や

    提督育成ノウハウの譲渡を声高に叫んでいるのは提督も御存知の筈です」




提督「すごいよな。平和な頃には沖縄の米軍基地を追い出せって

    言ってた爺さん婆さん達が揃いも揃って

   『今こそ償いの時。アジアに真の優しさを伝えよう』

    とか叫び出した日には正気を疑った」

大淀「この会話はフィクションであり実在する国家組織ならびに思想団体とは

    一切関係ございませええん!」

提督「それで、さ。大淀さん、質問いいかな」

大淀「はい。なんでしょう」

提督「今日、俺は休暇で。3週間ぶりに鎮守府の仮眠室じゃなくて官舎の

    自室に戻って」

大淀「はい。交代要員として艦隊指揮を任せられる人材に余裕が出たのは

    素晴らしい事かと」



提督「つまり、ここは俺の部屋だ」

大淀「正確には国家の財産です。この部屋は提督に貸与されているだけで、

    不測の事態においては大本営の意思が優先されます。これは入隊

    契約時に書面で明記されたはず」

提督「つまり不測の事態が発生したと。俺のプライベートを台無して部屋に

    乗り込んでくるほどの」

大淀「そうです。提督の行動に深刻な問題が発生したので、大本営の意思を

    伝達すべく権限を行使させていただきました」

提督「俺の行動に問題」

大淀「はい。提督、包み隠さずお答えください。いま何をされていましたか」



提督「何といわれても、ナニとしか」

大淀「具体的に」



 眼鏡型の探照灯を輝かせながら迫る大淀の勢いに呑まれ、提督は
 傍らに置いていた雑誌──コンビニ(□ーソン)で購入したエロ本に視線を落とした。



提督「よ、欲求不満の解消のために……自慰を」

大淀「何故ですか提督!」

提督「なぜって、俺は独身だし。まだ若いし。鎮守府は目の毒にしかならん

    美少女達がハレンチ上等の露出度で走り回ってて、仕事の忙しさと

    連帯感と使命感で誤魔化してるけど色々と限界なの!」

大淀「そこです提督。今の提督はハニートラップの格好の餌食です」

提督「う」



大淀「駆逐艦の娘には潔癖症の子も大勢いますから、指揮官同士の

    集いで風俗など誘われても固辞されているとかキャバ嬢のお酌さえ

    お断りしているのは存じ上げています」

提督「待って。なんで海軍本部での慰労会の時のネタを把握してるの、

    俺そんなの一言も喋ってないんだけど」

大淀「女の勘と艦娘同士の横のつながりです」

提督「横」

大淀「艦娘と関係を持った提督は生身の女性になびくことはまずありません。

    そして高練度の艦娘を多数抱えつつも誰ともケッコンせずに部隊を

    指揮している人材は稀有です。提督は初期艦とすら婚前交渉の形跡すら

    ありません」

提督「なんでそこまで知っているのか」

大淀「女の勘と艦娘同士の縦のつながりです」


提督「縦」



大淀「いいですか提督、これは国防上の理由だけではないんです。

    私達は解体処分を受けたり艤装封印によって、生身の女性と

    同等の存在になります」

提督「はい」

大淀「でも、法的に私達を人間として認めている国家は少数です。

    わが国と、ドイツとイタリア。友好国である米英でも話は進んでいますが、

    今しばらくの時間がかかると言われています」

提督「ああ、その事が君たちを伴って海外派遣したり現地に駐在させる上での

    問題にもなってる」

大淀「宗教的あるいは政治的な理由で私達を人間と認めていない国々が、

    その上で艦娘を欲していることの危険性。現時点でさえそれらの国が

    どさくさに紛れて鹵獲した艦娘を引き取るために不要な遠征業務や

    海域警護を請け負っている側面があるのは御存知でしょう」

提督「万が一にも俺がハニートラップに掛かってそれらの国に亡命した場合、

    非常に問題になるというのは分かった」

 



大淀「お分かりいただければ幸いです」

提督「分かったが、分かる訳にはいかん」

大淀「提督」

提督「ハニートラップ対策を兼ねて性欲処理を艦娘相手にしろって

    大本営の方針かもしれないが」

大淀「国防上の問題ではありますが、艦娘との同意を経ての行為を

    推奨しています。ご理解ください」

提督「理解はしても童貞にはハードルが高い」

大淀「ど」

提督「童貞」

大淀「……それなりに、人生経験積まれてそうなんですが」

提督「中高と男子校の寮生活、大学は工業系で染色体上の女性比率すら

    消費税率未満。就活中に適性検査を受けて、輸送専門の艦娘指揮官として

    後方任務を十年ほど続けた後に戦線拡大に伴って前線指揮官としてここに着任」

大淀「うわああああん、ふわあああああああん」

 




提督「泣くな」

大淀「泣きたくもなります。露出度とおっぱい大きめの女の子に

    ちょっと迫られたら簡単に軍事機密とか喋ってしまいそうじゃ

    ないですか」

提督「ブラウスを慎ましく持ち上げる小振りなおっぱいも素敵です」

大淀「──ちなみに学生時代に合コンなどの経験は」

提督「合コン」

大淀「はい」

提督「すいません医学用語は専門外で」

大淀「真顔でボケないでください。大体のところは察しましたから」

提督「士官学校で正規の提督教育を受けた連中は、艦娘との合コンを

    頻繁に行っていたとは聞いている」

大淀「提督は、現場からの叩き上げでしたよね」

提督「現場といっても輸送任務だから。護衛の巡洋艦と一緒に仕事しながら

    少しずつ勉強をしていったんだ、覚えが悪くていつも怒鳴られていたよ」

大淀「その方の苦労、本っっっ当によくわかります」

  



提督「コンビニでエロ本買って自家発電しようとしただけで官舎に

    乗り込まれて正座させられる俺の立場は」

大淀「そもそもの発端が■ーソンから鹿島さんが泣きながらかけてきた

    電話なんですが。提督が購入したエロ本がひどすぎるって」

提督「ゑー」




『三十路喪服の未亡人~許して貴方、指輪はここに置いていきます。
 地獄に堕ちる私を笑ってください~夫の復讐に燃える美人捜査官は
 黒のランジェリーがよく似合う』




大淀「こ れ は ひ ど い」

提督「人間の可能性を信じるんだ。禁欲生活が長く続けば、こんなひどい

    エロ本でも抜けるって事を俺は証明したいんだ」

大淀「証明しなくていいです。ハニトラ仕掛けようとしている国が提督の

    性癖を誤解したらどうするんですか!」

提督「いやあ、さすがにコレを真に受ける奴はいないだろ」

 



大淀「とにかく! コンビニでエロ本を買うほど提督が欲求不満だって

    外部に知られるのは危険なんです!」

提督「じゃあ」

大淀「で、ででででデリヘルとかの、せ、せ、セックスワーカーを呼ぶのも

    駄目です。いちおう軍隊ですけど物凄くデリケートな問題に

    発展するんですから、この国」

提督「正直ほかの提督がどうやって性欲処理してるのかが分からない」

大淀「そりゃまあ、初期艦とイイ雰囲気になって自然と結ばれたり、ケッコンした

    艦と同衾したり。秘書艦と懇ろになったり、秘書艦と素敵な関係になったり、

    秘書艦となし崩しにベッドインしたりです。後は、あからさまな好意をアピール

    してくる艦娘に手を出して将来を誓ったり……色々です」


 



提督「色々。ただしイケメンに限る、と」

大淀「提督、少しは女の子に夢を持ちましょうよ。誠意をもって接すれば

    性欲解消どころか提督と生涯を共にしてくれそうな4スロ軽巡洋艦に

    心当たりが一隻ほどありますから」

提督「4スロ軽巡洋艦」

大淀「はい」

提督「……そういや先週の話だが、夕張さんが『三式ソナー×大型探照灯』って

    タイトルの漫画原稿を描いてるのを見かけたのを思い出した」

大淀「ぶりかっとせええらあああああああ!」

提督「大淀さんの心配も分かるが、軍事機密のために自身を差し出すなんて

    真似は指揮官として肯定できるものではない」

大淀「は、はい」

 




提督「なので、せっかく買ったエロ本なので一発抜く程度は大目に

    見てほしいんだけど」

大淀「購入記録も消去しましたので、現物を消去します」



 途端、眼鏡型探照灯より放たれる熱光線がエロ本を焼却した。



提督「なにその新兵器こわい」

大淀「提督、次にエロ本を購入されるような真似をされたら」

提督「は、はい」

大淀「有志を募って提督を逆レイプして、一部始終を青葉に撮影させます」

提督「誰も得をしない展開は勘弁してほしいんだが」

大淀「ご存知ですか提督──鎮守府のアイテム屋さんで売ってる

    ケッコン書類一式とコンドーム、同じくらいの値段なんですよ」

提督「ひぃ」




 翌朝。





提督「──という会話があったのは昨夜だよね」

大淀「2230頃と記憶しています」

提督「今は」

大淀「0830、早朝出撃や遠征に出ている者を除いた艦娘達の

    ブリーフィングを兼ねた朝礼です。今は緊急性の高い任務も

    ないので、学校で言うところのHR程度のものですが」

提督「うん、そうだよな。それで、どうして艦娘の半分くらいが喪服姿

    なんだろうね」

大淀「ぴちっとしたレザースーツの子と、スカートの端を持ち上げて

    セクシー下着をアピールしてる子も相当数いますね」

提督「……」

 



大淀「……」

提督「大淀さん」

大淀「はい」

提督「今日の訓練は中止、憲兵さんに香取さん呼んで全員に風紀と性知識の

    再教育を48時間完遂するまでは演習も出撃任務も一切禁止」

大淀「は、はい」

提督「それと、アイテム屋さんで700円くらいで売ってる、円くて平たい輪っかを

    買ってきてください」

大淀「硬いのと、柔らかくて伸びるのと、二種類ありますけど?」

提督「大淀さんの好きな方で」

大淀「──はいっ」



 鎮守府は今日も平和です。

このお話は以上になります。
ローソン鹿島さんネタのSSはあまり見かけなかったので。

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