【艦これSS】男「提督……私が、ですか」【オリ主&時々安価】 (63)

*色々勉強が足りてません。軍の事とかあんまり知りません*
*諸般私的事情より不定期更新です*
*色々オリジナル解釈アリです*
*他にも文章の書き口等等、合わないと思われましたら戻るボタンを推奨します*
*突っ込みどころありましたらご教授していただけると幸いです*

次のレスから始まります。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1384603349

某月某日 一七三三 海軍某地方基地



海軍基地司令長官「うむ、そうだ。君の他にも数名が、○○月○○日付で所属を各地の鎮守府に移すことになった」

男「……唐突ですね。私は唯の基地勤めの文官なんですが」

長官「確かに、な。まさか、本部が非戦闘員にまで召集をかけるとは思わなかった」

男「最近確認された強力な敵部隊によって、南方戦線は大きな被害を蒙っていると聞き及んでおります。その撃破の為に出払った近海艦隊の穴埋めですか」

長官「ふむ。察しがいいな、その通りだ。君も、軍学校で一通りの戦術指南は受けているはずだな?」

男「成績は決して優秀ではありませんでしたよ。中退させられて、こうして下っ端を務めているのがいい証左です」

長官「しかし多少なりとも教練は受けた。少しでも使えるのならば誰でも使えということらしい」

男「……志願者から優先して頂きたいものです」

長官「その志願者の殆どは経験の無い一般人だ。本部が今求めているのは、主戦力の帰投までの短期間だけでも近海を守れる即戦力だ」

男「志願者を一から訓練していては、それだけで時間が潰れてしまいますね……それで、私達を」

長官「そういうことだな」

男「……分かりました。その任、拝命致します」

長官「済まないな」

男「『艦の機密』保護の御題目で監禁拘束は御免ですから」

男「……それに、正直嬉しくはあります。形が変わったとはいえ、潰えた可能性をまた追えるとは思ってもみませんでしたから」

長官「……そうか。君は、元は船乗りになりたくて軍学校に入ったのだったな」

男「祖父が、二次大戦期の軍艦乗りだったそうでして。歳を食った今でも話をよく聞くのですが」

男「その所為か、何時の間にか憧れるようになっていました」

男「……済みません、要らぬ無駄話を」

長官「いや、私から振った話だ。構わない」

長官「……それでは、これが辞令だ」

長官「○○月○○日を以て、貴官を呉鎮守府所属第一非常時編成艦隊提督に任ずる」

長官「翌日より本部へ出向き、簡易教練を受け、そこの担当の指示に従い……」

長官「その後、鎮守府へ向かうように。以上」

男「はっ。了解致しました」

長官「……随分と付き合いも長いが、これで暫くは会えなくなるか」

男「……はい」

長官「まぁ、何だね。そう気に負うこともあるまい」

長官「南方海域の戦闘も、直に収束するだろう。そうすれば本土護衛艦隊も帰ってくる」

長官「仕事といっても、それまで周辺海域の警邏を行うだけだろう。この辺りにはもう敵艦隊はいないはずだからな」

長官「それだけのことだ。何も負担に感じることは無い」

長官「寧ろ、君の言ったとおり、曲がりなりにも船乗りになれたことを楽しめばいいだろう」

男「……お気遣い、有難うございます」

長官「……さぁ、もう今日は帰りたまえ。明日からの教練は、短期詰め込みの厳しいものだ。休息をとっておく方がいい」

男「……有難うございます。それでは、失礼いたします」

長官「……達者でな」

男「……はい」

一七五七 海軍某地方基地敷地内



男「……」ハァ

男「敵わん。ほんま敵わん」ア、シュレイサンオツカレサマデス

男(いやさ、長官に言うたことはほんまやんよ。ほんまに船乗りにも憧れとったし、嬉しないこたないねん)

男(しゃあけどもさ。何でこんな若輩に一隊の長なんて任せるん? 普通乗組員とか補佐が関の山やろ?)

男(長官や上司の方に恨み辛みって訳やない……寧ろこれまでこんなボンクラ面倒見てもらって感謝してるけどもさ)

男(幾ら臨時の警備員やからって、こんなことさせてええんやろか)

男(……ほんまに切迫しとんのやな、多分。最近全く古参の提督さん見んようなったし)

男(しっかし、長官はあないに言ってくれたけれども、やっぱり不安やわ)

男(万一の備え言うても、その万一あったら儂それに対応せなあかんわけやし)

男(それに、今は軍艦言うて鋼の城違うんやで?)



男(女の子やで? しかもオカルトやか何やか分からん理論で生まれて来るって噂の)

男(相手方の深海棲艦にしたって、艦種がデカブツになりゃなるほど人に近付く物の怪の類)

男(ほいでもってこっちの技術協力は妖精さん。何そ彼。ファンタジックにも程あるやろ)

男(詳しいことは関係者以外には丸秘の特級機密。戦艦の殴り合い想像しとる一般に少しでもばれたら殺されかねん)

男(……今からでも五臓六腑に穴開きそうやわ)ゾワワッ

男(しゃあけど、それでもやらなぁいかんのが御上に仕える身の上の辛いとこやね)

男「羯諦羯諦、波羅羯諦、波羅僧羯諦、菩提薩婆訶……どうか何事も起こりませんように、と」




---男教練中---


十日後 ◯五◯七 海軍本部門前



男→提督.NEW!「……ぇぃ。やっとこオワタぜよ」ゲソーッ

提督(長ぇ。いや長いんは構わんけどド疲れ。敵わん)

提督(教練言うから何そ思うたけど、半割勉強半割演習て。そりゃ運動するよかマシやけどさ)

提督(それに、教練担当が早速妖精さんやったし。ほんまに『妖精』さんサイズやって見た目もそれらしゅうて、驚き桃の木山椒の木だわさ)

---

猫吊るし妖精さん「はいっ、貴方が指揮するのはぁ……艦艇娘、略して艦娘と呼ばれる女の子達でーす! リア充爆発しろー!」ニャー

お茶飲み妖精さん「配給される資源を上手に使って、艦娘を育てていってね~」ズズーッ

テンパリ妖精さん「あのっ、そのっ、えと、そのっ、あ、焦りは禁物ですっ、ゆっくり行きまs(ガチッ)……噛んら」ヒリヒリ

---

提督(……あの人らは結局あんま教えてくれんで、教本の自習で熟したんよな)

提督(つか、あの説明ってどう考えても正規の提督さんの教練用よな……儂、飽くまで臨時の埋め合わせの筈なんやけど)

提督(……ま、過ぎたことやけ、もう構わんけどもさ)

提督(……ほいで、話聞いたら、この足で呉鎮守府向かえっちゅうこっちゃけども)

提督「色々謎だらけで、気持ち悪ぃのよな……」ガシガシ

提督(考えたら、話されたんは艦娘の運用法だけ。艦娘そのものについての具体的な情報は、『娘』ってなだけあって女の子の見てくれやっつー噂と同レベルのことしか分か

らんかったし)

提督(深海棲艦にしたって、異形で、艦種毎に何種類かあって、デカブツになりゃなるほど人になる。知ってたんと殆ど変われへんしな)

提督(妖精さんのことも、もののついでに当人に聞いてみたけど、何やはぐらかされてはっきりせんし)

提督(……こいつはくせぇーッ! 最高に危険な臭いがプンプンするぜェェッ! なんつって)

提督(何やろうな。直接関わる人間にもこんだけ隠す情報って)

提督(……ま、そんなん言うたかて結局命令には従わなならん訳で)

提督(新幹線、駅でダイヤ調べなぁいけんね)

提督(長旅んなるき、飯の算段もせにゃならんしなぅ)

提督「……難儀無いんが一番やけんどもね……どうやかなぁ……」ハァ

同日 一三四二 呉鎮守府司令官舎



提督(I've just arrived at...目的地。英語で何やったけ。まあ取り敢えず着いた)

提督(んで、受付さんに案内もらって早速長にお目通り。どんな人かいの)コンコン

提督「失礼します。本日を以て呉鎮守府に着任した男です」

??????「おぉ、来たか。入ってくれ」

提督「はっ」ガチャ

??????→鎮守府司令官「心待ちにしていたよ。私が、この鎮守府の司令官だ」

提督「はっ。男と申します。任期終了まで、宜しくお願い致します」

提督(ぅぉぅ。ナイスミドル。格好良え渋~いおじさまやん)

司令官「そんなに固くならなくても構わないよ。聞いたと思うが、飽くまで君は中継ぎだ」

司令官「伝え聞く限り、南方海域の戦況は此方の優勢だ。長くとも君の任期は二、三ヶ月といったところだろう」

司令官「しかし、その間はしっかりと頑張ってもらいたい。警邏任務といって手を抜かないでくれよ」

提督「無論です。御期待に添えるかどうかは分かりませんが、最大限の努力を致します」

司令官「うむ。それでは、大いに期待させてもらうよ」

司令官「さて。早速だが、君は既に教練は受けているのだね?」

提督「はい。海軍本部で既に。修了証も持参しておりますが」

司令官「いや、ならば結構。それでは、まずは君の最初の艦を……艦娘を選ばねばな」

提督「……済みません。艦娘を『選ぶ』と申されましたか?」

司令官「うん? 聞いていないのかね? 最初の艦娘は、我々鎮守府や本部が用意することになっているのだよ」

提督「恐れながら、それは正規に着任為された提督のみではないのですか? 私は、予備の戦力から一時的に借り受けるものと思っておりましたが」

提督「……いや、その予備戦力も前線へ派遣されたということでしょうか」

司令官「まぁ、そうだな。つい先日、急に各地の鎮守府の予備戦力も出撃することになってね。今のところ本土周辺は丸裸の状態だ」

提督「ということは、今から新たな艦艇を建造すると……? いや、建造というのは言い方が違うかもしれませんが」

提督(……ようもまぁ短期とはいえパーペキに警備ひっぺがしたなぁ本部。敵さんに襲われへんかったん奇跡やろ)

司令官「そういうことだ。無いものは造るしかない。とは言っても、造れる艦娘は限られているがね」

提督「何故です? 多少資源を使っても、性能のよい艦艇を建造した方がいいのでは?」

司令官「それはそうなのだがな。艦を造る妖精さんが、『これしか造れない』というのではどうしようもない」

司令官「彼ら彼女らの支援は、飽くまで彼方側からの申し出なのだ。それを押して、支援を得られなくなっては人類は敗北しかねん」

司令官「……まぁ、代わりに、最初の艦に関しては、資源を一切消費せずに建造出来るのだそうだ。理由はやはり分からないがね」

提督「ならば、その資源を消費しない艦を大量に揃えれば大艦隊が作れるのでは?」

司令官「それは出来ないのだそうだ。詳しくは、艦娘の存在の根幹に関わってくるということで一切知らされていない」

提督「そうですか……」

提督(鎮守府の長なんて高位の人間も知識は儂と似たり寄ったりて……やっぱ異常に過ぎんで、この情報規制)

司令官「まぁ、今はそれを気にしても仕方がない。工廠へ向かおう」

同日 一三五二 呉鎮守府併設工廠



提督「……ここが工廠ですか」

司令官「そうだよ。驚いたかね?」

提督「ええ。造船所を想像していたのですが、町工場とさして変わりないですね」

司令官「妖精さんの職場だからね。これでも十分な大きさだよ」

司令官「まぁ、武装の製造は兎も角、艦娘の建造法は極秘でね。建造している場面も場所も一向に見たことがないよ」

提督「そうなのですか……」

提督(……Unknown。此処も詳しく分かってへんのか……うがー気になる。どんな原理なんやろ)

司令官「さてと。おぉい、妖精さん方。ちょっといいかね」



????????1「はいはいー」ガチャ

????????2「何かー」カチャ

????????3「御用ですかー」トトト

提督(あ、奥の掘立から出て来た。御丁寧に鍵まで閉めて)

提督(……此処だけ見とったら、小動物に見えんねんけどな。あれで大人っちゅうから流石妖精さんや)

司令官「君達に紹介しよう。この人が、前々から言っていた新しい提督だ」

提督「どうも。男と申します」

????????1→青スパナ妖精さん「おー。貴方がそうなんだー」

????????2→緑メット妖精さん「久し振りに御仕事の発注先が出来たー」

????????3→茶メット妖精さん「これから宜しくねー」

司令官「で、早速なんだが、彼に最初の艦娘を建造して欲しい。五隻のリストを見せてあげてくれ」

青スパナ「はーい。これですねー」バサッ

司令官「有難う……さて、君も知っての通り、今我々が……いや、妖精さんが直ぐに用意できるのは、この五隻だ」

司令官「どの娘にするかは、君に任せるよ。これが資料だ」

提督「はっ。拝見します」

緑メット「気になる娘がいたら説明しますよ―」

茶メット「まずは資料を見てみてね―」

提督「有難う……さて、と」ペラリ



提督(……五隻全部駆逐艦なんやな。さて、名前は)

提督「……あ」

司令官「うむ? どうかしたかね」

提督「いえ……この艦も、建造可能なのですか?」

司令官「どれどれ……あぁ、『安価:↓×1』かね?」

安価:最初の艦娘の選択です。吹雪・叢雲・漣・電・五月雨の五隻から選んでください。

司令官「吹雪型駆逐艦五番艦、叢雲。この艦が、何か?」

提督「いえ……お気になさらず」

提督(叢雲……駆逐艦の叢雲。祖父ちゃんがしょっちゅう言うとった艦)



---

男祖父『あの艦は、儂が一番好きな艦じゃった。他にも沢山艦はおったがのう』

男祖父『後にも先にも、あんなに好きになったのは、婆さんと家族以外だとあの艦だけだったな』

---



提督(……これも、何やかの縁なんかね)

茶メット「んー? その娘が気になるの?」

緑メット「説明するー?」

青スパナ「どの娘選んでも性能はそんな変わらないけどねー」

提督「……いや。説明は大丈夫です。この艦の諸元だけは、頭に入っています」

司令官「ほう。これまで戦艦や空母の諸元を暗記している者は大勢いたが、駆逐艦を覚えているものは余りいなかったな」

司令官「そんなにこの艦が気に入っていたのかね?」

提督「まぁ、そんなところです」



提督「……決めました。最初の艦は、この艦に……叢雲にします」

司令官「そうか。ならば、早速頼むとしよう」

青スパナ「それじゃ、早速取り掛かるねー」タタタ

緑メット「一寸だけ待っててねー」タタタ

茶メット「気合入れていくよー」タタタ

提督「お願いします」

司令官「……あぁ、今から言っても遅いかもしれないがね」

提督「はい?」

司令官「少しばかり気をしっかり持っておいた方がいいよ」

提督「それは、どういう……?」

司令官「見てのお楽しみ……いや、楽しめはしないが、兎に角見れば分かるさ」

提督「はぁ……」




---工廠妖精さん建造中---


約三分後



工廠妖精さん's「「「完成したよー!!」」」

司令官「それでは、御披露目といこうか。妖精さん、彼を連れて行ってあげてくれ」

青メット「はーいっ。こっちこっちー!」クイクイ

提督「あぁ、はい、分かりました」

提督(……可愛ぇな)ホンワカ

司令官(……南無阿弥陀仏)ナンマンダブナンマンダブ





叢雲「特型駆逐艦、五番艦の叢雲よ。あんたが司令官ね。ま、せいぜい頑張りなさい!」



提督(……ゑ?)

司令官(あぁ……やっぱりな)

一寸事情があるので、尻切れ蜻蛉で申し訳ありませんが一端切ります。
次の投稿の時に終わりの方から書き直します。

沈みそうなので手前で保守します

作者です。時間が中々取れず書き溜めが出来ない状況が暫く続きましたが、ようやっと手が付きそうです。
遅くとも来週の末には投稿出来そうです。待って下さっている方、保守して頂き有難うございます。

作者です。
何とか目処が付きました。明日の夜九時から十時の間に投稿出来そうです。
長いことお待たせしました。申し訳ありません。

お待たせしました。
書いてる内に前回分含めて大改訂が入ったので、最初から上げ直します。

某月某日 一七三三 海軍某地方基地



海軍基地司令長官「うむ、そうだ。君の他にも数名が、○○月○○日付で所属を各地の鎮守府に移すことになった」

男「……唐突ですね。私は唯の基地勤めの文官なんですが」

長官「確かに、な。まさか、本部が非戦闘員にまで召集をかけるとは思わなかった」

男「最近確認された強力な敵部隊によって、南方戦線は大きな被害を蒙っていると聞き及んでおります。その撃破の為に出払った近海艦隊の穴埋めですか」

長官「ふむ。察しがいいな、その通りだ。君も、軍学校で一通りの戦術指南は受けているはずだな?」

男「成績は決して優秀ではありませんでしたよ。中退させられて、こうして下っ端を務めているのがいい証左です」

長官「しかし多少なりとも教練は受けた。少しでも使えるのならば誰でも使えということらしい」

男「……志願者から優先して頂きたいものです」

長官「その志願者の殆どは経験の無い一般人だ。本部が今求めているのは、主戦力の帰投までの短期間だけでも近海を守れる即戦力だ」

男「志願者を一から訓練していては、それだけで時間が潰れてしまいますね……それで、私達を」

長官「そういうことだな」

男「……分かりました。その任、拝命致します」

長官「済まないな」

男「『艦の機密』保護の御題目で監禁拘束は御免ですから」

男「こうしてここで務める以上嫌でも耳にすることなのに、それを理由に営巣は勘弁、といったところです」

長官「……返す言葉もないな」

男「……申し訳ありません。失言でした」

長官「気にしないでくれ。事実、君に押しつけているようなものだからな」

長官「……それでは、これが辞令だ」

長官「○○月○○日を以て、貴官を呉鎮守府所属第一非常時編成艦隊提督に任ずる」

長官「翌日より本部へ出向き、簡易教練を受け、そこの担当の指示に従い……」

長官「その後、鎮守府へ向かうように。以上」

男「はっ。了解致しました」

長官「……随分と付き合いも長いが、これで暫くは会えなくなるか」

男「……はい」

長官「まぁ、何だね。そう気に負うこともあるまい」

長官「南方海域の戦闘も、直に収束するだろう。そうすれば本土護衛艦隊も帰ってくる」

長官「仕事といっても、それまで周辺海域の警邏を行うだけだろう。この辺りにはもう敵艦隊はいないはずだからな」

長官「それだけのことだ。何も負担に感じることは無い」

長官「寧ろ、少し地方へ休暇付きの出張へ出かけるとでも思えばいいだろう」

男「……お気遣い、有難うございます」

長官「……さぁ、もう今日は帰りたまえ。明日からの教練は、短期詰め込みの厳しいものだ。休息をとっておく方がいい」

男「……有難うございます。それでは、失礼いたします」

長官「……達者でな」

男「……はい」

同日 一七五七 海軍某地方基地敷地内



男「……」ハァ

男「敵わん。ほんま敵わん」ア、シュレイサンオツカレサマデス

男(いやさ、ああは言うたけど、別に興味ないわけやないし、全く嫌なわけでもないのよ。この仕事)

男(しゃあけどもさ。何でこんな若輩に一隊の長なんて任せるん? 普通乗組員とか補佐が関の山やろ?)

男(長官や上司の方に恨み辛みって訳やない……寧ろこれまでこんなボンクラ面倒見てもろて感謝してるけどもさ)

男(なんぼ臨時の警備員やからって、こんなことさせてええんやろか)

男(……ほんまに切迫しとんのやな、多分。最近全くこのあたりで提督さん見んようなったし)

男(しっかし、長官はあないに言ってくれたけれども、やっぱり不安やわ)

男(万一の備え言うても、その万一あったら儂それに対応せなあかんわけやし)

男(……それに、今は軍艦言うて鋼の城違うんやで?)



男(女の子やで? しかもオカルトやか何やか分からん理論で生まれて来るって噂の)

男(相手方の深海棲艦にしたって、艦種がデカブツになりゃなるほど人に近付く物の怪の類)

男(ほいでもってこっちの技術協力は妖精さん。何そ彼。ファンタジックにも程あるやろ)

男(詳しいことは関係者以外には丸秘の特級機密。戦艦の殴り合い想像しとる一般に少しでもばれたら殺されかねん)

男(……今からでも五臓六腑に穴開きそうやわ)ゾワワッ

男(しゃあけど、それでもやらなぁいかんのが御上に仕える身の上の辛いとこやね)

男「羯諦羯諦、波羅羯諦、波羅僧羯諦、菩提薩婆訶……どうか何事も起こりませんように、と」




---男教練中---


十日後 ◯五◯七 海軍本部門前



男→提督.NEW!「……ぇぃ。やっとこオワタぜよ」ゲソーッ

提督(長ぇ。いや長いんは構わんけどド疲れ。敵わん)

提督(教練言うから何そ思うたけど、半割勉強半割演習て。そりゃ運動するよかマシやけどさ)

提督(それに、教練担当が早速妖精さんやったし。ほんまに『妖精』さんサイズやって見た目もそれらしゅうて、驚き桃の木山椒の木だわさ)

---

猫吊るし妖精さん「はいっ、貴方が指揮するのはぁ……艦艇娘、略して艦娘と呼ばれる女の子達でーす! リア充爆発しろー!」ニャー

お茶飲み妖精さん「配給される資源を上手に使って、艦娘を育てていってね~」ズズーッ

テンパリ妖精さん「あのっ、そのっ、えと、そのっ、あ、焦りは禁物ですっ、ゆっくり行きまs(ガチッ)……噛んら」ヒリヒリ

---

提督(……あの人らは結局あんま教えてくれんで、教本の自習で熟したんよな)

提督(つか、あの説明ってどう考えても正規の提督さんの教練用よな……儂、飽くまで臨時の埋め合わせの筈なんやけど)

提督(……ま、過ぎたことやけ、もう構わんけどもさ)

提督(……ほいで、話聞いたら、この足で呉鎮守府向かえっちゅうこっちゃけども)

提督「色々謎だらけで、気持ち悪ぃのよな……」ガシガシ

提督(考えたら、話されたんは艦娘の運用法だけ。艦娘そのものについての具体的な情報は、『娘』ってなだけあって女の子の見てくれやっつー噂と同レベルのことしか分からんかったし)

提督(深海棲艦にしたって、異形で、艦種毎に何種類かあって、デカブツになりゃなるほど人になる。知ってたんと殆ど変われへんしな)

提督(妖精さんのことも、もののついでに当人に聞いてみたけど、何やはぐらかされてはっきりせんし)

提督(……こいつはくせぇーッ! 最高に危険な臭いがプンプンするぜェェッ! なんつって)

提督(何やろうな。直接関わる人間にもこんだけ隠す情報って)

提督(……ま、そんなん言うたかて結局命令には従わなならん訳で)

提督(新幹線、駅でダイヤ調べなぁいけんね)

提督(長旅んなるき、飯の算段もせにゃならんしなぅ)

提督「……難儀無いんが一番やけんどもね……どうやかなぁ……」ハァ

同日 一三四二 呉鎮守府司令官舎



提督(I've just arrived at...目的地。英語で何やったけ。まあ取り敢えず着いた)

提督(んで、受付さんに案内もらって早速長にお目通り。どんな人かいの)コンコン

提督「失礼します。本日を以て呉鎮守府に着任した『男』です」

??????「おぉ、来たか。入ってくれ」

提督「はっ」ガチャ

??????→鎮守府司令官「心待ちにしていたよ。私が、この鎮守府の司令官だ」

提督「はっ。男と申します。任期終了まで、宜しくお願い致します」

提督(ぅぉぅ。ナイスミドル。格好良え渋~いおじさまやん)

司令官「そんなに固くならなくても構わないよ。聞いたと思うが、飽くまで君は中継ぎだ」

司令官「伝え聞く限り、南方海域の戦況は此方の優勢だ。長くとも君の任期は二、三ヶ月といったところだろう」

司令官「しかし、その間はしっかりと頑張ってもらいたい。警邏任務といって手を抜かないでくれよ」

提督「無論です。御期待に添えるかどうかは分かりませんが、最大限の努力を致します」

司令官「うむ。それでは、大いに期待させてもらうよ」

司令官「さて。早速だが、君は既に教練は受けているのだね?」

提督「はい。海軍本部で既に。修了証も持参しておりますが」

司令官「いや、ならば結構。それでは、まずは君の最初の艦を……艦娘を選ばねばな」

提督「……済みません。艦娘を『選ぶ』と申されましたか?」

司令官「うん? 聞いていないのかね? 最初の艦娘は、我々鎮守府や本部が用意することになっているのだよ」

提督「恐れながら、それは正規に着任為された提督のみではないのですか? 私は、予備の戦力から一時的に借り受けるものと思っておりましたが」

提督「……いや、その予備戦力も前線へ派遣されたということでしょうか」

司令官「まぁ、そうだな。つい先日、急に各地の鎮守府の予備戦力も出撃することになってね。今のところ本土周辺は丸裸の状態だ」

提督「ということは、今から新たな艦艇を建造すると……? いや、建造というのは言い方が違うかもしれませんが」

提督(……ようもまぁ短期とはいえパーペキに警備ひっぺがしたなぁ本部。敵さんに襲われへんかったん奇跡やろ)

司令官「そういうことだ。無いものは造るしかない。とは言っても、造れる艦娘は限られているがね」

提督「何故です? 多少資源を使っても、性能のよい艦艇を建造した方がいいのでは?」

司令官「それはそうなのだがな。艦を造る妖精さんが、『これしか造れない』というのではどうしようもない」

司令官「彼ら彼女らの支援は、飽くまで彼方側からの申し出なのだ。それを押して、支援を得られなくなっては人類は敗北しかねん」

司令官「……まぁ、代わりに、最初の艦に関しては、資源を一切消費せずに建造出来るのだそうだ。理由はやはり分からないがね」

提督「ならば、その資源を消費しない艦を大量に揃えれば大艦隊が作れるのでは?」

司令官「それは出来ないのだそうだ。詳しくは、艦娘の存在の根幹に関わってくるということで一切知らされていない」

提督「そうですか……」

提督(鎮守府の長なんて高位の人間も知識は儂と似たり寄ったりて……やっぱ異常に過ぎんで、この情報規制)

司令官「まぁ、今はそれを気にしても仕方がない。工廠へ向かおう」

同日 一三五二 呉鎮守府仮設工廠



提督「……ここが工廠ですか」

司令官「そうだよ。驚いたかね?」

提督「ええ。造船所を想像していたのですが、町工場とさして変わりないですね」

司令官「妖精さんの職場だからね。無くなった工廠群の代わりに作った仮設のものというのもあるし、これでも十分な大きさだよ」

司令官「まぁ、武装の製造は兎も角、艦娘の建造法は極秘でね。建造している場面も場所も一向に見たことがないよ」

提督「そうなのですか……」

提督(……Unknown。此処も詳しく分かってへんのか……うがー気になる。どんな原理なんやろ)

提督(ほいで、無くなった工廠群って何やろ。爆発事故かなんかで吹っ飛んだ……りしてたら、幾ら何でも気付くよなぁ。ほんじゃ何や?)

司令官「さてと。おぉい、妖精さん方。ちょっといいかね」



????????1「はいはいー」ガチャ

????????2「何かー」カチャ

????????3「御用ですかー」トトト

提督(あ、奥の掘立から出て来た。御丁寧に鍵まで閉めて)

提督(……此処だけ見とったら、小動物に見えんねんけどな。あれで大人っちゅうから流石妖精さんや)

司令官「君達に紹介しよう。この人が、前々から言っていた新しい提督だ」

提督「どうも。男と申します」

????????1→青スパナ妖精さん「おー。貴方がそうなんだー」

????????2→緑メット妖精さん「久し振りに御仕事の発注先が出来たー」

????????3→茶メット妖精さん「これから宜しくねー」

司令官「で、早速なんだが、彼に最初の艦娘を建造して欲しい。五隻のリストを見せてあげてくれ」

青スパナ「はーい。これですねー」バサッ

司令官「有難う……さて、君も知っての通り、今我々が……いや、妖精さんが直ぐに用意できるのは、この五隻だ」

司令官「どの娘にするかは、君に任せるよ。これが資料だ」

提督「はっ。拝見します」

緑メット「気になる娘がいたら説明しますよ―」

茶メット「まずは資料を見てみてね―」

提督「有難う……さて、と」ペラリ



提督(……五隻全部駆逐艦なんやな。さて、名前は)

提督「……あ」

司令官「うむ? どうかしたかね」

提督「いえ……この艦も、建造可能なのですか?」

司令官「どれどれ……あぁ、『安価:叢雲』かね?」

司令官「吹雪型駆逐艦五番艦、叢雲。この艦が、何か?」

提督「いえ……お気になさらず」

提督(叢雲……駆逐艦の叢雲。祖父ちゃんがしょっちゅう言うとった艦)



---

男祖父『あの艦は、儂が一番好きな艦じゃった。他にも沢山艦はおったがのう』

男祖父『後にも先にも、あんなに好きになったのは、婆さんと家族以外だとあの艦だけだったな』

---



提督(……これも、何やかの縁なんかね)

茶メット「んー? その娘が気になるの?」

緑メット「説明するー?」

青スパナ「どの娘選んでも性能はそんな変わらないけどねー」

提督「……いや。説明は大丈夫です。この艦の諸元だけは、頭に入っています」

司令官「ほう。これまで戦艦や空母の諸元を暗記している者は大勢いたが、駆逐艦を覚えているものは余りいなかったな」

司令官「そんなにこの艦が気に入っていたのかね?」

提督「まぁ、そんなところです」



提督「……決めました。最初の艦は、この艦に……叢雲にします」

司令官「そうか。ならば、早速頼むとしよう」

青スパナ「それじゃ、早速取り掛かるねー」タタタ

緑メット「一寸だけ待っててねー」タタタ

茶メット「気合入れていくよー」タタタ

提督「お願いします」

提督(……一寸だけ?)

司令官「……あぁ、今から言っても遅いかもしれないがね」

提督「はい?」

司令官「少しばかり心しておいた方がいいよ」

提督「それは、どういう……?」

司令官「見てのお楽しみ……いや、楽しめはしないが、兎に角見れば分かるさ」

提督「はぁ……」




---工廠妖精さん建造中---


約三分後



工廠妖精さん's「「「完成したよー!!」」」

提督「!?」

司令官「それでは、御披露目といこうか。彼女らに付いて行こう」コツコツ

提督「あ、はっ。分かりました」スタスタ

提督(早っ……ちょい待てや、仮にも艦の建造やぞ? 何で高々数分そこらで終わんねや。ほんで何で司令官はそれを然も当たり前の様に……いやそれはそうか。これまで鎮守府の長やってはったんやったら)

提督(……しかし短過ぎる。人と大きさ同じやから時間もかからん……? んなわけ有るかいよ。聞くに、解体……つーよか除籍された艦娘は装備だけ無くなって普通の人に戻るっつーことらしいし、ってことは建造=人一人が産まれるってことやろ)

提督(それが数分か。ギャグ漫画のなんちゃってバイオ技術やないんやぞ、それで命が産まれる訳……)

提督(……や待て、科学で考えるからおかしなるんか? 元々艦娘の存在自体がオカルト臭いんやから、そっちの方、例えば、ファンタジーに言うところの使い魔みたいな被造生命体として考えればどうやかな……)

司令官「おーい。早く来なさい、妖精さんが待っているよ」

提督「っと、失礼しました!」タッタッ

提督(いかんいかん。考えはまた後にすっかね)

青スパナ「あ、ついでにここの説明するねー」

提督「? ここの、とは?」

司令官「この工廠には、生産設備以外にも幾つかの施設があるからね。その説明だよ」

緑メット「そーでーす。まず初めに、入口からこのあたりまでが私達が装備を作る仕事場ねー」

提督「はぁ」

提督(……ほんま零細の町工場そっくりやわ、この風景)

茶メット「ここが艦娘の装備を変えたりする改修部屋ー」

提督「はい」

提督(クレーンのついた試着室的なSomething。凄く……シュールです)

茶メット「そっちの方は開発した装備を置いておく場所ー。今は何もないけど、魚雷とか増えると危ないから気をつけてねー」

提督「成程」

提督(これ、明らかに体積足りんよな。絶対戦艦の主砲とか入ら……あ、でも大きさ的には人の装備やし、そんなデカぁもないか)

提督「……ということは、この大きな部屋が?」

司令官「うん。艦娘の建造場所だ。とはいえ、先も言ったが私達が建造している場面を見ることは出来ないがね」

提督「む……」

青スパナ「建造されてる最中の艦娘の大体の大きさと、必要な時間はここのモニターに出るよー」コンコン

緑メット「誰々を建造して、ってリクエストには答えられないから、注意してねー」

茶メット「もう一つ言っておくと、今のところ一度に建造出来る艦娘の数は二人までだよー」

提督「……分かりました」

提督(……建造する側が何で中身を決められんのかと小一時間程以下略)

提督(どないか知れんかねぇ、この理屈。色々と気になるわー)

司令官「では、その扉を開けなさい。その先に、君の最初の艦娘、叢雲がいる」

司令官「……重ねるが、心しておくようにな」

提督「はっ」

提督(……ほんまそれどういう意味なんでせうか、司令官。めっちゃ気になるんやけど)

工廠妖精さん's「それじゃ、私達はこれでー」タッタッ

提督「あ、有難うございました」ペコ

工廠妖精さん's(先に仕事終わらせないとねー)

提督「……では、失礼します」

提督(……祖父ちゃんが好きやった艦、か。どんな娘なんかね)ギィ

提督(祖母ちゃんの性格考える限りは、大人しい性格……)ィィ

提督(艦で言うたら、扱い易かった艦やったんやと思)ィ…



提督「……う……けどなぁ…………?」

??「……」


提督(……何とまぁ)ポカーン

提督(薄い水色の髪に、キリッとしてやる顔立ち。白い肌に細い体と。見た目は祖母ちゃんと真の逆さ)

提督(外人さんっぽいけんど、どえりゃあ別嬪さんな娘だがね)

提督(齢は、中学か高校位? 兎に角若いのは若いのぅ)

提督(艦の見た目の美しさとか知らんけど、人でこれってことは元が相当綺麗やってんやろうなぁ……)



??「……一寸」

提督「お、と」

提督(しもた。ぼーっとし過ぎたか)

提督「済まない。少し驚いてしm」

??「あんたが、新しい司令官ね?」

提督「……ん?」

提督(……何やかな。今偉い気のコワい事言われた希ガs)

??「聞こえなかったの? あんたが新しい司令官なのね?」

提督(気の所為やなかったわー。何かめっちゃ目ぇ釣り上がってけつねさんなっとるわー)

提督「あ、あぁ。艦隊の司令官、という意味ならそうだ」

提督「本日付でこの呉鎮守府に着任した、『男』という」

??「そう。つまり、『この』私は、あんたにとって初めての艦娘ってことね」

提督「まぁ、そうなる」

提督(……うひゃぃ。祖父ちゃん、今と昔で偉い好みちゃうのな)

提督「……君は、叢雲で間違いないね?」

??→叢雲「そうよ。私が、吹雪型駆逐艦五番艦の叢雲」

叢雲「あんたの当分の教官サマよ」

提督「……教官?」

叢雲「そうよ。あんた、まさかあのユルユルの教練で私達の扱いを理解したとか馬鹿なことは言わないわよね?」

提督「……えぇと。それは、本部の妖精さんの教練のことか?」

叢雲「それ以外に誰がいるってのよ」

提督(……偉い辛辣やなぅ……そういや、何でそれ知ってんのかね)

提督(事前に妖精さんから情報でも入ってんのかや?)

叢雲「あんな教え方じゃ、頭に内容なんて入ってきやしないでしょう?」

叢雲「だから、私みたいな最初に建造された艦は、提督により実地的な教練をすることになってるのよ」

提督「あぁ、成程。そういうことか」

叢雲「まぁ、精々頑張りなさい。あんまりとろ臭いと、ここの基地司令官に更迭の要請出すから」

提督「……肝に銘じよう」

提督(儂、来たくて来た訳やないんやけれども……)

提督(ちゅうか、何でこないに端っぱしから辛口言われなならんのよさ。理不尽也)

司令官〈男君? どうかしたかね?〉

提督「っと、長く居過ぎたかな」

叢雲「さっさと出ましょ。教えることは山程あるんだから」ツカツカ

提督「あ、一寸」タッタッ

提督(そないに急かんでも宜しかろうてなぁ……)ガチャリ



叢雲「……」

司令官「……ふむ。どうやら、初顔合わせは済んだようだね」

提督「……はい」

司令官「……言っただろう、心しておくようにと」ボソボソ


提督「……痛感しております」ボソボソ

司令官「まぁ、決して悪い娘ではないから安心しなさい」ボソボソ

提督「そうですか……」ボソボソ

司令官「ごほん。艦娘の方も、特に事もなく建造されているようだね」

提督「……だと、思います。叢雲? 挨拶……」

提督(……頼むからあの辛口で話さんでぇよ。建造早々除役は……)

叢雲「始めまして、基地司令官。叢雲です。これから宜しくお願いします」

提督「」



提督(ファッ!?)

司令官「……おや」

司令官(これは……随分と、目上に礼儀正しい性分になったものだ)

司令官(男君はハズレではないようだな。これは折りを見て人事部に申請しなければ)

司令官「あぁ、宜しく頼むよ。彼に色々と教えてやって欲しい」

叢雲「了解です。一時の任務といって、手は抜きません」

提督(……何ぞ。何ぞ。大事な事以下略。何でこないに態度違うノン。酷ぇ)

提督(……あれ? この仕事が穴埋めって、儂言うたっけかな?)

司令官「よし、それでは一号ドックへ向かいなさい。既に準備は終わっているよ」

提督「む……?」

提督(……ドックで準備? 一体何やろk)

叢雲「はっ、了解しました。ほら、さっさと来なさいよっ」グイッ

提督「え、ちょ、待ぐぇぇぇぇ」

叢雲「基地司令官に言われちゃ張り切らないわけにはいかないわ。これからバンバン行くわよ!」グイグイ

提督(ウェイウェイウェイ待て待て意識が飛ぶぐぇぇぇぇ)ズリズリ

司令官「ふむ。いきなり軍医の世話にはならないように気を付けてくれよ」

提督(助けてください司令官ぐぇぇぇぇ)

叢雲「失礼いたします!」グイグイ

提督「あ、じ、じれいがんじづれいじばずぐぇぇぇぇ」ズリズリ

司令官(……あの状態でそれを言うとは、妙なところで律義な)

司令官(いや、だからあの叢雲は……ふむ。念には念を、資料の請求も視野に入れておくか)




---提督連行中---


同日 一四一九 呉鎮守府内 統合運用艦専用ドッグ

叢雲「ふぅ……やっと着いたわ」

提督「む、むらぐもぉ、もうでをあなじでぐれぇ……じぬぅ」ジタバタ

叢雲「あ、そうだったわ。コイツ抱えてるから疲れて時間かかったのか」ドサッ

提督「ぐぇっほぐへぁぐげっっ……がはげほっ」

提督(……手前で抱えといてそりゃないやろぅ、叢雲嬢。と言ったら怖いので黙ります)

提督「……さ、流石に軍艦か。馬力が違うな」

叢雲「誰が馬鹿力ですって?」

提督「いや馬鹿力じゃなくて馬力だ」

叢雲「あぁ、そう」

提督「……で、ここは? 一号ドックと司令官は言っておられたが」

提督(何ぞ、暗ぅて見えんな。辛うじて叢雲嬢が見える位や)

叢雲「あんた、それも知らないの? ちゃんと話聞いてたのかしら……これ基礎なんだけど」

提督「……聞くも何も、その妖精さんが全く授業をしてくれなかったからな」

叢雲「はぁ? ……あぁ、じゃあ担当は妖怪猫吊るしね」

提督「妖怪って……どういう意味だ?」

叢雲「あれは妖精さんに区分するのも憚られる謎のお邪魔生命体よ」

叢雲「色んな所に出て来ては一頻り周りの人間にちょっかい出して消えていくらしいわ」

叢雲「その上周りの妖精さんにもその性質が感染するから、邪魔の所為で丸一日仕事が出来ない提督もいるの」

提督「……好意ばかりを向けてくれている訳ではないんだな、妖精さん達も」

叢雲「当人は遊びたいだけみたいだけどね」



叢雲「……で、何でこの話に……あぁ、『ここが何か』だったっけ」

提督「そうだな」

提督「で、ここは一体何なんだ?」

叢雲「実際に見た方が早いわ。妖精さーん? 明かりをー」

工廠妖精さん's〈はいはーい!〉カチッ



照明灯「ハタラキマッセ」ピカー

提督「眩しっ」



提督(……ウボァー。光量強い。目ぇ潰れそうや)ショボショボ

叢雲「ほら、見てみなさいよ」

提督「あ、あぁ」

提督(ん、慣れてきたかな)パチッ

提督「……む? これは……」



提督「……船……駆逐艦か?」

叢雲「統合運用艦。艦娘達の活動を支援する為に、妖精さんと海軍が建造してる艦よ」

提督「統合運用艦?」

工廠妖精さん's「そーでーす」タタタ

提督「あ、妖精さん方」

青スパナ「艦体そのものを工場で大量生産してー」

緑メット「私達が中身や艤装を後から付け足して造るー」

茶メット「艦娘達の為の艦だよー」

叢雲「そうね。まぁ、詳しい説明は中を見ながら。付いてきなさい」コツコツ

提督「あぁ……」コツコツ

提督(……何や、良う分からんなぁ。話し聞かなならんな)

提督(もー、何でこないに謎ばっか増えるかな。敵わんわぁ)ガシガシ

今回はコレで終わりです。またしても尻切れトンボで申し訳ありません。
批評有りましたら宜しくお願いします。

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