件名『私メリー、あなたの後ろにいるの』 男「メール…だと!?」(186)


『拝啓

 突然のお便りで申し訳ござ
 いません。

 この度、私メリーはあなた
 様にとりつかせていただく
 運びとなりましたこと、謹
 んで御礼申し上げますとと
 もに重ねてお詫び申し上げ
 ます。
             かしこ 』

男「文章がすごく丁寧だっ!!」

ティロリーン

男「ん?またメールだ」

『いやー。
 なかなか見てくれないから
 どうしようかと思いました
 よー  (´・ω・`)      』

男「急に絵文字とか使うんだ……ていうか、これどっかから見られてる?」

ティロリーン
『ですから後ろにいるの。
 と。
 あ、件名でしか言ってませ
 んでしたっけ?       』

男「いや、そういう意味じゃなく。ホントにうしろにいるんです……か?」

ティロリーン
『いますよー (*´∇`*)ノ   』

男「意外とノリ軽いんですね……。」


男「えっとメリーさんってあのメリーさん?」

ティロリーン
『おかげさまで。
 メリーさんやらせていただ
 てます  (。・ω・)ゞ     』

男「いやいや、メリ-って名前じゃないんですか?」

ティロリーン
『そういう…職業(?)とでも
 思って下さい。
 現世に残るにはしないとい
 けないんです  (´д⊂) 』

男「はぁ。あの、お若いのに大変ですね……。」
   ところで、これってどうやって送ってるんですか?」

ティロリーン
『心の送信ボタンです!
 v(`ゝω・´)          』

男「あぁ……。えぇっと、アドレス『meri_follow_you@』ってなってますけど?」

ティロリーン
『お手数ですが登録お願いし
 ます。  (*u_u*)      』

男「あ、登録とか普通にアリなんだ……。」


男「でも、何でメールでメリーさん?」

ティロリーン
『メール主体の時代ですから
 ね。  (o^─^o)       』

男「そういうもんなんでしょうか?」

ティロリーン
『時代を捕らえることはどん
 なことに対しても大切なの
 です。
 と、なにかの本で読みまし
 た。              』

男「勉強熱心なんですね……。」

男「でも、やっぱりメリーさんって普通電話でしますよね?」

ティロリーン
『普通に電話すると驚いて逃
 げられちゃうんですよ
 (;ω;)            』

男「逃げられたらこまるんですか?」

ティロリーン
『幽霊には幽霊のルールがあ
 りまして…

 毎日誰かに見つけてもらえ
 ないと、消えてしまうんで
 す。              』

男「消えるってことはつまり……成仏?」

ティロリーン
『どちらかというと消滅です
 。
 多分。            』

男「多分……と言いますと?」

ティロリーン
『なんとなく仕組みが分かっ
 てるって感じだったので…』


男「……フワっとしてますね。なんかこうもっと説明的なモノはなかったんですか?」

ティロリーン
『ありませんでした
 (; ̄~ ̄)

 呼吸の仕方は意識しなくて
 も知っていますよね。
 それと同じで残るためには
 こうしなきゃいけないと… 』

男「なんとなく深い話に聞こえるから不思議ですね……。」

ちょっと笑える

ティロリーン
『それに、猶予が49日間し
 かないというのも分かって
 たので。

 考えるよりいろいろ試そう
 と…。             』

男「誰かに見つけてもらうための実験を?」

ティロリーン
『はい。
 その49日間を使い切る前
 に自分なりのやり方を決め
 なきゃ! (`・д・´)ゞ
 と。               』


ティロリーン
『電話だと逃げられちゃうか
 ら毎日違う人を探さなきゃ
 ならなかったんです。   』

男「で、思いついたのがメールでメリーさん?」

ティロリーン
『怖かったですか?
 (`・д´・ ;)          』

男「シュールでしたwメール見るまでずっと付いて来てたって考えるとなかなかにホラーかもしれませんけど。」

ティロリーン
『でも、あなたは逃げないで
 くれました。          』

男「まぁ、まだ実感わいてないからかもしれませんが。」

男「思ったんですが……そんな事しなくても普通に事情を説明すれば良いんじゃないですか?」

ティロリーン
『幽霊です私!
 (σ≧∀≦)
 
 って言う女の子が現れたら
 信じてくれるんですか?  』

男「うん。無理ですね。……あ、でも消えたり透けたりしたら。」

ティロリーン
『使える能力は一日にひとつ
 だけみたいで… (´・з・) 』

男「いろんな能力があるの?」

ティロリーン
『たとえば姿を見せるだけと
 か。
 その場合、声などは伝えら
 れないようなんです。
 (´・ω・`)            』

男「なるほど、ただの無口な人ですね。」

ティロリーン
『そこで良く聞く話なんです
 が…
 タクシーの運転手さんが山
 道で女性を乗せて…って話
 知りませんか?        』

男「あぁ、しばらく進んで振り向くとシートがぐっしょり濡れて……」

ティロリーン
『シートが濡れてるかはわか
 りませんけど、姿が消えて
 いるって奴です。 (゚艸゚;)  』

男「でも普通に見えるならそれで大丈夫なんじゃないですか?」


ティロリーン
『ところが気のせいやイタズ
 ラと思われてもダメなんで
 す (;ω;)
 これは幽霊の仕業だって気
 づいてもらわないと。     』

男「なるほど、運転中に消えたら幽霊だって気づく……と。
  僕もこうやって会話してなかったらイタズラだとおもったかもしれないですし。」

ティロリーン
『だからメリーさんが現れた
 のは携帯が普及したからな
 んですよ (*゚ー゚*)      』

男「えーと……家デンじゃダメなんですか?」

ティロリーン
『一人に出てもらわないと意
 味ないんです。
 自分の居場所にだんだん近
 づいてくる誰か…
 最後は自分の真後ろにっ!
 ((( ;゚д゚)))            』

男「怖い怖い怖いっ!!」

ティロリーン
『怖がらせるのも大事なんだ
 とは思います…けどね。  』

男「まぁ『幽霊=怖い』だしねぇ。」

ティロリーン
『で、実際には振り向いても
 誰もいない。
 でも自分がどこにいるのか
 何をしてるのか電話相手は
 知ってる、と。         』

男「そっか。イタズラ電話じゃなく見えない何かに見られてると……
  あ、でも怖がらせると逃げちゃうから効率が悪い……なるほど、それで行き着いたのがメールでメリーさんと。」

ティロリーン
『良い考えだと思おもいませ
 んか!?  (*゚д゚*)    』

男「少なくとも僕には効果抜群でしたねw」

男「えーと……毎日誰かに見つけてもらえないとってことは、明日も僕の後ろに?」

ティロリーン
『お願いしたいんですが…
 (´・д・`)ゞ         』

男「つまり……取り付かれてるってことですか?」

ティロリーン
『そう、ですね…。      』

男「えっと、あれ?……それって僕、呪われてません?」

ティロリーン
『大丈夫です。
 普通は幽霊の仕業って分か
 らせるために取り付くので
 あって。

 あなたは私が幽霊だって知
 ってますから…。       』

男「じゃあ……死なない?」

ティロリーン
『もちろん!
 気づいてくれる人は幽霊に
 とって貴重なんですよ!
 (*´д`*)            』

男「そういえば、『見える』って人が目を合わせたら取り付かれるっていいますもんね。」

ティロリーン
『それもお化けとして毎日見
 つけてくれるからだと思い
 ます…  (;´-∀-`)     』

男「僕もメリーさんを毎日見つければいいと?」

ティロリーン
『はい!
 ぜひお願いしたいのですが
 …?  (p*゚w゚*q)      』

男「具体的にはどうしたら?」

ティロリーン
『ただ認識してくれたら良い
 んです。
 ただ、眠ると全部夢だと思
 うかもしれないので。
 毎朝メールさせて下さいね
 (o^─^o)            』

男「はぁ。……まぁそれくらいなら。やれるだけやってみます。」


 チュンチュン チチチ……

ティロリーン

男「ふぁあ~、こんな朝から誰だよ……」

『おはようございます。
 私メリーさん、今あなたの
 お家の前にいるの。
 (。・∀・。)ノ           』

男「あぁ、そういやメリーさんがそんなこと言ってたっけ……えっと返信できるのかな?」

(ポチポチ)『すぐ支度して降りてくから少し待っててね』

男「お、送れた。」

ティロリーン
『わぁ!頭の中に文字が浮か
 びましたよ! ヽ(゚∀゚)ノ

 待ってますからゆっくり支
 度して下さいね。       』


男「えっと、いるの……かな?」

ティロリーン
『私メリーさん、あなたの目
 の前にいるの。
 (*´∇`*)ノ          』

男「おはよーメリーさんwちょっと思ったんだけど、どうやって僕のアドレス知ったの?」

ティロリーン
『近くにある携帯に直接言葉
 が送れるんです。
 具体的なアドレスは分かり
 ません。  (;ω;)      』

男「ふ~ん……なんだ……(ってことは気になる女の子のアドレスとかは――)」

ティロリーン
『たとえ分かっても教えてあ
 げませんよ ヾノ・`д・´) 』

男「ちょっ!?幽霊って考えてることも分かるの!?」

ティロリーン
『幽霊じゃなくても分かりま
 す! (( ̄ ^  ̄ )プィッ  』

男「そんな……。あれ?てことは近くにいないと僕にも送ってこれないの?」

ティロリーン
『あ、さっき返事くれた時に
 アドレス覚えたのでこれか
 らはいつでも送れる…のか
 な?              』

男「メリーさんにも圏外あったりするのかな?w」

友「よう!男~朝から元気いいな~!なんか良い事でもあwっwたwのwかw?wwwwww」

男「おぅ。実は……いやいやw」

ティロリーン

男「おっと。友、ちょい待って。」
 
『お友達ですか? (*・∀・*)』

友「お?朝からメール!まさかついに男に彼女がっ!?wwwwww」

男「いや、その……(メリーさんとメールしてるなんて誰も信じないよなぁ……)」

友「お前いつの間に彼女なんて作ったんだよ!?wwwwww」

男「そんなんじゃね~よ。」
(ポチポチ)『こいつは友って言うんだ。メリーさんとメールしてるなんて言っても信じてもらえないから黙っておくねw』

ティロリーン
『分かりました!そのほうが
 都合がいいのでしたら。 』

友「即攻で返事がくるとはwwwお熱いこってwwwwww」

男「だから違うっつーの。」

友「はっ!お前まさか、女ちゃんじゃないだろうな!!席替え隣だったろ?もうメアド聞いたのか!?俺にも教えろ!www」

男「女さんのアドレスなんて知らないよ。僕が知りたいくらいだって。」

ティロリーン
『絶っっっ対に教えてあげま
 せんからね! (#゚д゚)  』

(ポチポチ)『そんな、トドメささなくても!』

友「ちくしょーせめて席代われよ!www」

男「お前だって一番後ろの特等席なんだから良いだろ!」

ティロリーン
『楽しい人ですね~(〃゚艸゚)』

友「またかよ、ちくしょー。むしろ人w生w代wわwれwよw!wwwwww」

男「あぁもう~!ごちゃごちゃするっ!!」

 キーンコーン カーンコーン

先生『で、このⅹとyは連立しているとあるから――」

男「ふぁあ~ぁ……」

ブブブ ブブブ
『ノート取らなくていいんで
 すか?           』

(ポチポチ)『数学は嫌いなの。それにテストは一夜漬けで公式覚えればなんとかなるし!メリーさんは数学とか得意だった?』

ブブブ ブブブ
『分かりません。
 というか、実は生前をあま
 り覚えていなくて…    』

(ポチポチ)『…そっか。』

(ポチポチ)『…とにかく僕は長い記号やら数字の羅列を見るのが好きじゃないんだよね~』

ブブブ ブブブ
『だからですか?男さんのア
 ドレス分かりやすいのは。
 (´ー`)             』

(ポチポチ)『いいでしょ?「the-otoko@」』

ブブブ ブブブ
『簡単に覚えられました! 』

ポチポチ『分かりやすいメアドにしてよかったよw』

 …… ……

男(ニヤニヤ)

女「……?」

 キーンコーン カーンコーン

教師「そして、そのとき時の政府がとった政策が――」

ブブブ ブブブ
『あ、そこの漢字間違ってま
 すよ。
 専は点なしで博は点がつき
 ます。              』

(ポチポチ)『そうなんだ。ずっと両方とも点なしで書いてた。メールだと漢字変換楽そうだねw』

ブブブ ブブブ
『楽ではないですよ。
 というか私が書ける字しか
 変換されてないみたいです
 し。  (。-д-。)        』

(ポチポチ)『普通に漢字で来るからてっきりwてことは漢字得意なの?』

ブブブ ブブブ
『ほとんど困らずに変換でき
 るので生前から詳しかった
 んだと…            』

(ポチポチ)『なるほど…バラってかける?w』

ブブブ ブブブ
『薔薇? ((φ(・д・。)   』

(ポチポチ)『すごwじゃあ…ちみもうりょう』

ブブブ ブブブ
『魑魅魍魎 o(≧∇≦)o
 どうでしょう!?    』

(ポチポチ)『すげぇw そんけ |


男(えっと、『すげぇw 尊敬しますw』……っと)

教師「こらー。男~、授業中にメールすんな~」

男「っ!ごめんなさい電源切っときます!」

 クスクス クスクス

 ――

男(なんてねwサイレントモードにして――ノートに……と)
(カキカキ)『おこられちゃった』

 …… ……
『なるほどコレなら内緒でお
 話しできますね!     』

(カキカキ)『だれにもバレないで会話できるっていいね』

 …… ……
『って、ちゃんと授業受けて
 くださいよ~!
 (*´・з・`)           』


(カキカキ)『ところで なんで漢字にくわしいとか覚えてる?』

 …… ……
『…なんとなく読書は好きだ
 った気がします。
 ずっと本ばかり読んでたよ
 うな。 (´・ω・`)
 
 ごめんなさい。あんまり覚
 えてません…。       』

(カキカキ)『あやらないで どんな人なのかなって気になっただけだから』

 …… ……
『自分の未練も思い出せない
 ようじゃ幽霊失格ですよね
 …                』

(カキカキ)『ちょっとずつ思い出せばいいよ ボクもできることは手伝うから』

 …… ……
『ありがとうございます。 』

 キ-ンコーン カーンコーン

男(未練が思い出せない……か)

女「ねぇ男くん!相手だれなの?数学のときもずっとメールしてたみたいだしw」

男「え?いやw」

友「あぁ~終わった終わった。男~怒られてんじゃwねwぇwよwwwwww」

男「うるせぇ。」

友「こいつ朝からずっとこうなんだよ。彼女だぜwwwwww」

女「えぇっっ!そうなの!?」

男「だから!彼女なんていないってば!」

ティロリーン
『彼女ってことにしちゃえば
 いいんじゃないですか?
 (*゚∀゚)             』


(ポチポチ)『いやそんなことしたらあとが大変にwていうかメリーさんはそれで良いの?』

ティロリーン
『私は全然良いですよ。

 って別に変な意味じゃない
 ですけど…
 あの…その…。(〃ノωノ)  』

男(ニヤニヤ)

友「もうデレデレだなコイツwむしろドロドロになれば良wいwのwにwwwwww」

女(彼女さん返事早いなぁ……)

友「ところで男、この後、帰りにどっか寄ってくか?www」

男「……いや、悪りぃ。今日ちょっと用事あるから」

友「そっか。じゃあまたなwwwwww」

男「おぅ。じゃあな。」

 ―――

ティロリーン
『どこかに行くんですか? 』

男「言ったでしょ。僕も手伝うって。」

ティロリーン
『ここ…図書館ですか?  』

男「そう、読書が好きって言ってたから何か思いだすかなって。」

ティロリーン
『私のためにありがとうござ
 います。  (。v_v。)     』

男「いいのいいの。コレくらいしか出来ること無いし。何か思い出せそう?」

ティロリーン
『いいえ…まだ…。     』

男「……中に入ってみればきっと思い出すよ。行ってみようか……」

男「ココに来るのも久しぶりだなぁ……」

ブブブ ブブブ
『私は始めて来たような気が
 します。            』

男「図書館自体に……ってこと?」

ブブブ ブブブ
『はい。
 なんだかとても遠いところ
 だって気がするんです。 』

男「この辺なら図書館なんてだいたいどこも近くにあるはずだけど……。遠い町なのかな……?」

ブブブ ブブブ
『あの…ココって男さんのご
 家族が勤めてたりしません
 か?              』

男「ん?母さんがココの司書だけど。何で分かったの?」

ブブブ ブブブ
『朝、男さんの家で感じたの
 と同じ携帯が奥にあるみた
 いなので。          』

男「へぇ、そんなことも分かるんだ。」

ブブブ ブブブ
『はい。やっぱりなんとなく
 …ですけど。 (´・д・`) 』

母「あら男、あんたが来るなんて珍しいわね~。」

男「お、噂をすれば。」

母「??何のこと?」

男「なんでもない。それよりココって古い新聞とか保管してない?」

母「いつか必要になるかもって思って、一年分くらいとっといてあるけど……どうして?」

男「それだけあれば十分。ちょっと見せてほしいんだ。」

母「いいけどちゃんと片づけなさいよ。奥にあるから入っていいわ。」

男「ありがと。」

 ―― ――

ティロリーン
『さっきのが男さんのお母さ
 んですか。
 綺麗な方ですね…。   』

男「ちょっと若作りしてるだけだよ……ええと、ここだな。」

ティロリーン
『新聞を見てどうするんです
 か?              』

男「昨日49日間で能力を決めるって言ってたでしょ?
  逆算したらメリーさんは49日以内に亡くなったはずだから、もしかしたらなんか載ってるんじゃないかなって。」

ティロリーン
『…そうですよ、ね。   』

男「……怖い?」

ティロリーン
『…少し。
 でも、何か思い出せるなら
 がんばります!       』


男「僕もついてるから。……メリーさんが気がついたのって何日前か分かる?」

ティロリーン
『…男さんにメールをしたの
 がちょうど最後の49日目
 でした。           』

男「そっか。じゃあ昨日から49日前の新聞は……と――」

読みにくいが読んでるぞ

男「っ!!メリーさん……これは?」

ティロリーン
『隣町の、通り魔殺人…です
 か。              』

男「もしかして……この被害にあった女子高生って……」

ティロリーン
『あれ?でも、この事件49
 日前に起きたんですよね?』

男「うん。だからちょうどメリーさんになった日の……」

ティロリーン
『はい。
 ですからこの事件が起きた
 時に私はもう幽霊になって
 いたはずです。       』

男「あ、そうか。じゃあこの事件は無関係……よかった。」

ティロリーン
『でもこの事件、まだ犯人は
 捕まってないんですね… 』

男「そういえば今朝ニュースでもやってたっけ。この前また女子高生が襲われたって。その子も重傷らしいし。」

ティロリーン
『…この子も幽霊になったん
 でしょうか?         』

男「……どうだろう。僕なら、犯人を呪うかもしれない。」

ティロリーン
『成仏、できたのでしょうか
 …。             』

男「……?どういう意味?」

ティロリーン
『犯人を呪ったとして。
 たとえば犯人を…殺して。

 それで、納得できますか…
 ?               』

男「でき、ない……かな。多分一番の未練は――。」

ティロリーン
『死にたくなかった。
 
 …ですよね       』

男「……やっぱりメリーさんも?」

ティロリーン
『ん~。どうなんでしょう?
 少なくとも今は死んでいる
 ことを悲観してないんです
 よね。 (´・ω・`)      』

男「でも幽霊は未練があって現世に残った人なんだよね?」

ティロリーン
『はい。それは間違いありま
 せん…けど。
 ただ、私は死んでしまうこ
 とが嫌なのではなく、やり
 残した事があるから幽霊に
 なった…の、かな。たぶん 』

男「そのやり残したことが出来たら……メリーさんは、成仏するのかな?」

ティロリーン
『そのはずです。

 ですが、もしこの被害者の
 子のように幽霊になったの
 なら…
 ただ生きていたかっただけ
 なのなら…          』
 
男「……未練があっても、成仏できるとは限らないかも知れない、か。」

ティロリーン
『私もそうかもしれません…

 未練が分かっても、それが
 実現できない…かも。   』

男「……探すの、やめる?」

ティロリーン
『…お気使いありがとうござ
 います。
 でも、やっぱり私は知りた
 いです。
 なぜ私がこの世に残ってい
 るのか。

 …巻き込んでしまってごめ
 んなさい。          』

男「気にしないで……。その、僕も興味あるから……なんて言ったら不謹慎かもしれないけど。」

ティロリーン
『出会ったのが男さんで
 良かったです。
 本当に。 (*u_u*)   』

男「それは答えが見つかってから言ってよwさてと、次を探そうか――」


(つ・ω・)つ④

(つ・ω・)つ④

男「う~ん……少し前後して探したけど収穫は無かったなぁ。」

ティロリーン
『名前も知らずに分かるもの
 なんでしょうか?      』

男「推測だけどね。『メリーさん』を知ってたりメールの感じから僕とそんなに年は変わらないと思うんだけど……
  メリーさんが気がついた時周りに何か無かった?」

ティロリーン
『意識が無いまま風に流され
 ていたようで…
 気がついたときは知らない
 場所でした。         』

男「じゃあその後、何か知ってる人に出会ったりしなかった?」

ティロリーン
『何か知ってる人…ですか?』

男「寺生まれのtさん……は無いか。でも幽霊の先輩とかさ。」

ティロリーン
『…他の幽霊には会ったこと
 がありません。        』

男「え?この辺にいるのはメリーさんだけってこと?」

ティロリーン
『…いえ、きっと他にもたく
 さんの幽霊はいるんだと思
 います。

 でも、誰も感じられません
 でした。            』

男「……それって、……『一人』だったってこと?」

 …… ……

男「……メリーさん?」

ティロリーン
『最初は道行く人に声をかけ
 たりしましたが…
 お互いを認識して話が出来
 たのは…男さんが初めてで
 した。              』

男「49日……ずっと?」

ティロリーン
『…そうです。      』

男「……49日間……どうしてたの?」

ティロリーン
『まずは、手当たりしだい声
 をかけてみました。
 …空耳だと思われましたけ
 ど。               』

男「……。」

ティロリーン
『次は姿を見せてみて。
 でも、みんな素通りして行
 っちゃいました…。     』

男「……生前を知ってる人には出会わなかった?」

ティロリーン
『多分…誰も声はかけてくれ
 ませんでしたし。       』

男「ただ知らない人が立ってるだけじゃ、幽霊とは思わない……か。」

ティロリーン
『その後に思いついたのが
 「メリーさん」でした。
 電話で。あなたの後ろに…
 って。             』

男「それなら有名だし気づいたんじゃ?」

ティロリーン
『はい。成功はしました。

 ただ…
 その人は携帯をその場に投
 げ出して走って逃げてしま
 いました…。          』

男「まぁ……ね。」

ティロリーン
『覚悟はしていましたけど、
 人に怖がられるのは…少し
 …つらかった。
 …です。            』

男「……。」

ティロリーン
『それからはしばらく何も
 しませんでした。
 出来ませんでした。
 
 誰かを傷つけるくらいなら
 …怖がられるくらいなら、
 このまま消えてしまおうか
 …って
 
 でもそうやってただ街を歩
 いていたら、メールをして
 いる人達をたくさん見かけ
 て…              』

男「メリーさんメールを思いついた……?」

ティロリーン
『はい。
 でも、また怖がられてしま
 うんじゃないか…
 不安で…

 最後に一度だけ…と。  』

男「それで、49日目に送ったのが……僕。」

ティロリーン
『はい。
 あの時あの場所で偶然お見
 かけした携帯にメールした
 んですが…           』

男「そっか……。それが僕でよかったよ。」

ティロリーン
『本当に。
 ありがとう。         』

男「気にしないの。……さてと、そろそろ片付けないと母さんに迷惑かけちゃうかな――」

 コン コン
 がちゃり
母「ちょっと男、そろそろ閉館時間だから片付けて頂戴。」

男「おっと!うん。今ちょうどやろうと思ってたとこ。」

母「学校の宿題か何か?調べたいことは終わったの?」

男「まぁ、だいたい。」

母「そう、じゃあ早く片しちゃってね。」

男「うん。わかった……。――よし!帰ろっか。」

ティロリーン
『はい。
 ありがとうございました。  』

すいません。ちょっとだけ休憩。

おう
一旦おつかれ

支援支援



メリーさんカワユス
支援支援

再開

男「ところでメリーさんってどこに住んでるの?」

ティロリーン
『浮遊霊ですから特に…
 住んでるとかはないかと。
 (* ̄∀ ̄)        』

男「じゃあ寝泊りは?」

ティロリーン
『幽霊は眠らないんです。
 疲れたりもしないので夜は
 ふらふらしてます。   』

男「……今までずっと?」

ティロリーン
『そう…ですね。     』


男「……うち泊まる?」

ティロリーン
『いいんですか!?
 ヽ(゚∀゚)ノ        』

男「まぁ眠らないんじゃ泊まるも何もないかもしれないけど」

ティロリーン
『女の子を家に引き入れて何
 する気ですか…?
 |ω・`)              』

男「えっ!あ、いや、その……ほら!女の子を外にほっぽり出すのは気が引けるっていうか
  まぁおもてなしも少しは……あ、そっか家族には内緒で、あ、いや内緒っていっても変な意味じゃなくて――」

ティロリーン
『あの、冗談ですけど…。
 σ( ̄д ̄ll)       』


ティロリーン
『で、本当に伺っても良いん
 ですか?  (。・д・。)   』

男「もちろんメリーさんがよければだけど。」

ティロリーン
『あ、ええと私の方は大丈夫
 なので、okなら「いいで
 すよ」と言ってらえません
 か?
 
 お邪魔してもいいですか?』

男「?……いいですよ。」

ティロリーン
『ありがとうございます。 』

男「うん。……で、なんの儀式?w」

ティロリーン
『これもお化けのルールです
 。

 幽霊は「生者が所有してい
 る空間に無断で立ち入りで
 きない」んです。       』

男「えっと、……所有する空間っていうのは?」

ティロリーン
『たとえば住んでる家とか。
 聖域って言うらしいですけ
 ど。

 その人が他人に踏み込んで
 ほしくない場所が聖域にな
 るみたいです。        』

男「だからちゃんと許可を取らなきゃ駄目と……」

ティロリーン
『「線からこっち俺の土地だ
 かんな~!」_〆(-∀-*)

 っていう小学生の近くも駄
 目でしたから、けっこう適
 当みたいですけど。    』

男「ははは!最初から思ってたんだけど幽霊のルールって、結構いいかげんだよね。」

ティロリーン
『そもそも全部のルールがなん
 となく知ってるって状態です
 から (ll-д-)

 でも、それでうまく回ってる
 ってことは良い加減なのかも
 しれません。          』

男「なるほど。言いえて妙ってやつだ。」

男「――ただいまぁ……っと」

ティロリーン
『あの…お邪魔します。  』

男「いらっしゃい。」

ティロリーン
『なんか…緊張しますね。
 男の子の部屋に入るのなん
 て初めてです… (*μ_μ) 』

男「そ、そうなんだ……
  まぁ僕も家族以外の女の子を入れたの初めてなんだけど……」

 …… ……

男「何か言ってよ!w」

ティロリーン
『えっと…じゃあ…あの…
 
 勉強机の鍵付引き出しが聖
 域になってるんですが…
 
 何が入ってるんですか?  』

男「そこは触れちゃらめぇ~!!!あのっ、ほら!
  男には自分の世界があると言いますか、例えるなら空を駆ける一筋の流れ星と言いますか――」

 …… ……

男「あれ?メリーさん?ご、ゴメンなさい!
  確かに中にあるのはエロ本ですがこれは男ならしょうがない物でして、むしろ犯罪に走らないよう己をおさえ――」

ティロリーン

男「ん?」

『私メリーさん、窓の外に押
 し出されたの。
 何か大切なものが入ってい
 たんですね。
 急に聖域が拡大して外まで
 押し出されちゃいました。
 もう失礼なことはお聞きし
 ないので入れて下さい。
 (m´・ω・`)m          』

男「よし。落ち着け……大丈夫。僕はノーマルからは外れてない。健全なエロ本だから大丈夫。」

ティロリーン
『あの、戻ってます…
 なるほど…
 そういう本ですか…
 仕方ないですよね…。  』

男「ミステイクっ!!! いやその違うんです。だから――」

 ピ~ンポ~ン

男「――ぉおっとぉおっ!!!これは妹が帰ってきたのかな出迎えなくちゃ!
  すぐに鍵を開けるよ妹ちゃ~ん!!!」

ティロリーン

男「おぉっと!手が滑って読まずに削除しチャッタ!あははははは。」

ティロリーン

男「また手が!いやぁ今日はよく手が滑る!そんなことより妹が!わははははははは――」


がちゃり
妹「ただいま。……女のにおいがする。」

男「おかえ……えっ?!」

ティロリーン

妹「っ!……。……私の部屋には来ないでね。」

男「お、おぅ……ゴメン。」

妹「……。」

男「……うん。――えっとメールは……。」

『無視とか、私一番傷つきま
 すよ… (;д;)

 男さん、本当に妹さんいた
 んですね。          』

男「はい。ごめんなさい……。あの通りちょっと変わってるんだけどね。」


ティロリーン
『妹さんがいるなんて気づき
 ませんでした。
 朝も今も何も感じなかった
 ですし。            』

男「あぁ、あいつ携帯持ってないからね。」

男「完全に中二病発症してるっぽい。『うるさいから嫌』とか言って持たないの。
  さっきの反応見ると僕が携帯持つのもイヤみたいだし。いまどき珍しい奴なんだ。」

ティロリーン
『でも、お母さん似で美人で
 すねぇ (*´ω`*)      』

男「あいつ母さんに習ってるから料理とかうまいし、二人とも性格以外は『良い嫁さん』なんだけどね。」

 がちゃり

母「ただいま~。あら男、玄関で何してるの?」

男「……母さんて噂するとすぐ出てくるね。」

母「??何のこと?」

男「なんでもない……」

母「あらそう、ならいいけど。じゃあ、すぐご飯にしちゃうからね。」

ティロリーン
『素敵なご家族ですね…  』

 ―― ――

男「ごちそうさま~。」

妹「ごちそうさま。」

母「おそまつさまでした。じゃあ妹ちゃん先お風呂は言っちゃってね~。」

妹「うん。」

男「じゃあ僕は部屋にいるからあがったら呼びにきて。」

妹「……やだ。それならお兄ちゃんが先入って。」

男「う、うん。良いけどさっきお前、部屋に来るなって……。呼びに行かなくていいの?」

妹「あがったらそのまま呼びにきて。すぐ来るならいい。」

男「わかんないけど、わかった……。」
(ポチポチ)『ということらしいのでメリーさんは部屋で待っててね。』

ティロリーン
『分かりました。ごゆっくり
 どうぞ~  (o^─^o)  』

妹「……。」

男「ふぅ……。お待たせメリーさん。」

ティロリーン
『いえいえ~ (。>∀<。)
 妹さんの部屋にはもういっ
 たんですか?        』

男「うん。すぐにとの仰せだったしねw」

ティロリーン
『でも、仲良さそうな兄妹で
 すね~。          』

男「どこが~?なんか今日は特にご機嫌斜めだったのか、いつも以上に避けられてたよw」

ティロリーン
『普通あれくらいの年頃の子
 だったら「お兄ちゃんが入
 った後はいや!」とか言い
 そうですけど、そういうの
 じゃないですし。
 兄弟とか羨ましいです。  』

男「メリーさんは一人っ子だったんだ?」

ティロリーン
『そうみたいですね。
 って人事みたいになっちゃ
 いますけど (ノω`*)    』


ティロリーン
『ところで、触れていい部分
 なんでしょうか…
 夕飯のときお父さんがいな
 かったんですが…。     』

男「あははwww大丈夫。ちゃんと健在だよwただの海外赴任。」

ティロリーン
『お一人でですか?    』

男「うん。母さんいろいろ放任主義だしwまぁ、昔はあの二人もいろいろ大変だったんだって。なんでも駆け落ちらしいからねw」

ティロリーン
『駆け落ち!
 素敵じゃないですか!
 ロマンチックです
 (*>∀<*)         』

男「大恋愛の末の逃避行だよw」

ティロリーン
『大恋愛、ですか…。   』

男「今からじゃ想像できないけどねw――。」

 ―― ――
 
ティロリーン
『男さんはどんな子供だった
 んですか?         』

男「う~ん。あんま覚えてないけどなぁ。って僕もメリーさんとおんなじ様な答えになっちゃうねw」

ティロリーン
『あはは (。>∀<。)
 友さんとは古くからお知り
 合いなんですか?     』

男「うん。家も近いしずっと一緒。一緒に撮ったアルバムもたくさんあるよ。見る?」

ティロリーン
『見せてください!    』

男「えっと……。これこれ!……ほら。友の奴、いつも爆笑してんだよなぁw」

ティロリーン
『本当ですね (〃゚艸゚)

 あれ?この写真変なの写っ
 てません?肩のトコ。
 あ、こっちの写真も…    』

男「ちょっw怖い事いわないでよwww――。」

 ―― ――

 …… ……





ティロリーン
男「う、う~ん……。」

 …… ……

ティロリーン
男「ん、んぁ……。」

 …… ……

ティロリーン
男「…… ……。」


 ティロリーン  ティロリーン   ティロリーン 
    ティロリーン   ティロリーン
  ティロリーン   ティロリーン   ティロリーン

男「――うおっっっ!!!」

男「な、なんだっ!?……あっ!!」

『私メリーさん。
 おはようございます!
 (´・∀・)ノ         』

『そろそろ起きて~!
 朝ですよ~ (*´・з・`) 』

『こら~!
 起きないと遅刻しちゃいま
 すよ!!        』

『お           』
『 き          』
『  て         』
『   く         』
『    だ       』

『     さ       』
『      い      』
『       (#`д´)』



男「!!!やっべぇもうこんな時間だ!」

ティロリーン
『私は何回も起こしました!』


男「昨日メリーさんと話しすぎた~寝坊だ~!!!」

 バタバタ

テレビ「次のニュースは連日○○市周辺で起きている通り魔事件の――」

母「あらあら。男、おにぎりくらい食べてきなさい。お昼食べれないかもしれないし。」

男「いや、学校は昼休みあるから……。いただきます。……ごちそうさま!」

妹「……行ってきます。」

男「おい!待てよ!お前いつもなら起こしてくれるのに!!!」

ティロリーン

妹「……。」

男「おい!待てよ!!」

母「こら男!『行ってきます』は?」

男「あぁ!もう!行ってきます!!!」

「――行きの電車発車します。駆け込み乗車は――」

 ガタンゴトン

男「あぁ……これは間に合うかぁ?……そういやメリーさんがなんか言ったっけ?」

『いつもは妹さんに起こして
 もらってるんですか?
 (〃゚艸゚)           』

(ポチポチ)『…恥ずかしながら。寝すぎると悪いものが集まるとか言ってたかな?よくわかんないけど。』

ブブブ ブブブ
『うらやましいです。 
 いや、うらめしい…か
 な? (・ω・)      』

(ポチポチ)『やめてwまぁココんとこ機嫌悪いみたいだけど、ありがたい話だよ。』

ブブブ ブブブ
『いいなぁ。    
 私にもそんな家族があった
 のかなぁ…          』

男「……」
(ポチポチ)『僕で良かったら…なんて。』

ブブブ ブブブ
『え? (。-д-。)

 そんな意味で言ったんじゃ
 ないですけど。       』

(ポチポチ)『…おうふ!お恥ずかしいw』

ブブブ ブブブ
『冗談ですって。
 (。>∀<。)

 ありがとう。      』

 キーンコーン カーンコーン

男「ふぅ……ギリギリ間に合った……。」

女「お疲れさまw」

友「わはははwww男~。今w日wもw元w気w良wいwなwww彼女と遅くまで話してて寝坊か?wwwwww」

男「うるせぇ!だいたい彼女はいねぇし遅刻でもねぇよ!」

ティロリーン
『友さん良いカンしてますね
 ~ (* ̄∀ ̄)        』

友「ほらまた来たぞ~!www」

女「彼女じゃないなんて言うから怒ったんじゃない?w」

男「あ~もう。うるせえ全部うるせえ!!!w」


 キーンコーン カーンコーン

教育実習「はい次、問3は~、棒線2とあるが~、こう記した筆者の考えは――」

男「はぁ~……。」
(カキカキ)『メリーさんみてるー?』

 …… ……
『見てますよー?
 |ョω・)         』

(カキカキ)『メアド覚えたからいつでも送れるかもって言ってたけど できたのかな?』

 …… ……
『そういえば試してませんで
 したね。
 どうなんでしょう?     』

(カキカキ)『じゃあ今ためしてみてよ とりあえず校内まわりながらメールしてみて!』

 …… ……
『私メリーさん、いま教室の
 前にいるの         』

 …… ……
『私メリーさん、いま2階ト
 イレ前にいるの     』

 …… ……
『私メリーさん、階段を上っ
 てるの           』

 …… ……
『私メリー、3階に着いたの』

 …… ……
『私メリー屋上に付いたの。
 前ならもう送れないはずで
 すけど…どうでしょう?   』


 …… ……
『私メリーさん、あなたの後
 ろにいるの。 (。・∀・。)ノ

 どうでした?        』

(カキカキ)『おかえりw ジッケン大成功 全部とどいたよ』

 …… ……
『やった!
 どこでもメリーさん完成で
 す v(`ゝω・´)       』

(カキカキ)『www なにそのマスコットほしいw』

(カキカキ)『てか もともと電話メリーさんって遠くから近づいてくるんじゃなかった?w』

 …… ……
『あぁアレは尾行して道を覚
 えて、近づいてるフリして
 るだけだと思います。
 本当はずっと近くにいるは
 ずですよ  (´・ω・`)    』

(カキカキ)『ガンバって道おぼえてるって想像するとなんかカワイイねw』

 …… ……
『正体を知ればそんなもので
 すよ。
 幽霊の正体見たり枯れ尾花
 ってことです。
 (´ー`)              』

(カキカキ)『いやいやホントの幽霊に言われましてもw』


女「……。」

 キーンコーン カーンコーン

男「ふぃ~。さぁメシだメシだ!友~今日はどうする?」

友「あぁ、悪い。今日は部活で外せないんだ。」

男「部活って陸上部?昼錬なんてあったんだ?」

友「いや今日はそっちじゃなくて。ちょっと急がないと。スマン!」

男「おぅ。……さてどうしよう。」

ティロリーン
『良かったら屋上で食べませ
 んか?             』

男「……。よし、じゃあ購買でなんか買って屋上行くか。」

女「……」

男「お、珍しく屋上がすいてる。まぁ今日は食堂プリンの日だしな」

ティロリーン
『食堂プリン!? (*゚д゚*)』

男「月に一回学食でプリンサービスになるんだ。食堂のオバチャン手作りらしくてすげぇ旨いの。」

ティロリーン
『邪魔しちゃいました?  』

男「いやいやおかげで屋上独り占めだしwここ景色良いから好きなんだよね。」

ティロリーン
『はい。わたしもさっきそう
 思って。

 天気がよくて飛んでいけそ
 うだなぁ (。・д・。)
 なんて。           』

男「あれ?普通に飛べるんじゃないの?」

ティロリーン
『…そう、ですね。

 幽霊になってから普通に飛
 んでるのに。
 ……なんでだろ?      』

男「まぁ、それはそれで楽しそうだけどねw」


 …… ……

男「あれ?ほんとに飛んでっちゃった!?」

ティロリーン
『いえ…。
 私、思い出しました。

 小さいとき、鳥になって飛
 べたら良いのになって
 そう思ったんです。

 夢だったんです…。    』

男「僕も小さいときには良くそんなこと思ってたなぁ。正義のヒーローになって――」
女「男くん……ちょっと、良い?」



男「お、女さん!?」

女「男くん……ちょっと2人きりで話したい事があるの……」

男「え、それってもしかして――」

女「(コクリ)」

男「わ、分かった。…ち、ちょ、ちょっと待って」
(ポチポチ)『メリーさんゴメン。大事な話だから電源切らせて!!!』

プツ

女「……よく、メールしてるよね。最近。えっと、相手は彼女じゃないんだったよね……。」

男「え、え~と。うん。そうだね。まぁ……あの――」

女「メールの相手……もしかして、幽霊?」

男「っ!?……どっ、……どうして分かったの!?」

女「え、ホントに?」

男「えっ!『え、ホントに?』って、…えっ?」

女「いやいやwカマかけてみただけなんだけど。やっぱり私、霊感あるみたい。」

男「いや霊感って……」

女「冗談。で、本当は授業中に男君のノート見ちゃったの。ノートに書くだけでメールが返ってくるみたいだからおかしいなって。
  ……ホントに相手は幽霊なの?」

男「……えっと。どう説明したものか。……メリーさん、電源切ってゴメンなさい。今電源入れますんで。」

 …… ……

ティロリーン
『私メリーさん、今男さんの
 後ろにいるの。

 ていうか電源切るとか無視
 とか本当やめて下さいって
 言ったじゃないですか。な
 にデレデレしてたんですか
 もう!告白されるとか思っ
 てたんですか!そうですか
 。それで邪魔者扱いですか
 !?うわ~ん!!!!
 ・゚・(ノдヽ)・゚・         』

男「ホント、すいませんでした……という事なんだけど。」

女「……えっと、いやいや。コレ本当に幽霊のメール?w」

男「うん。この子はこんな感じらしくて。メリーさん。ちょっと女さんにメールしてみて。」

~♪~♪
『申し遅れました。メリーで
 す。
 男さんの後ろにいるのです
 が…
 |ω・`)              』

男「僕、女さんのアドレス知らないよね。イタズラじゃないってことは分かったでしょ?」

女「そういえば、まだ教えてなかったもんね……」

男「だからアドレス交換してほしいんだけど。」

ティロリーン
『…結局私をダシにしてアド
 レス聞くんですね。
 ふ~ん… (#^ω^)    』

男「あ、うん。ゴメン……なさい。」


女「それは別にいいけど。……でも、コレどうやって送ってるの?」

~♪~♪
『心の送信ボタンです!
 v(`ゝω・´)        』

女「なんでメールでメリーさん?w」

男「あぁ、もぅ!そのやり取りはもうやったの!説明すると長くなるんだけど――」

 ―― ――

女「ふ~ん。なるほど。そういうことなら友君に相談すれば良いのに。」

男「え?なんで友になんか?」

女「だって友君。オカルト研究部でしょ?」

男「え?……えっ!?」


~♪~♪
『あれ?男さんは陸上部だっ
 て思ってましたけど?    』

女「うちの陸部は緩いから。文化部となら兼部オッケーなの」

男「ていうか友からオカルトなんて聞いたことないけど……?」

女「ホント!?私には陸部でロードワークの時とかイロイロ話してくれたけど?」

男「つーかウチにオカ研なんてもんがあったことも初めて知ったよ!?」

女「まぁ部員一人だけだしね。でもその手の人たちには結構な有名人なんだって。」

男「結構付き合い長いはずなのに全然知らなかった……。」

ティロリーン
『そういえばさっきも忙しい
 とか言ってましたね。   』

女「……確か理科実験室が部室だっていってたけど。」

男「実験室って勝手に使っていいもんなの?器材とか薬品あるだろうし」

女「友君は化学や物理の先生から信頼厚いから。」

男「えっ?!アイツ理系得意だったの?同類だと思ってたのに……」

女「理系というかオカルトに関わることならなんでも。
  一見オカルトに見えても科学的に解明できるものも沢山あるから物理学とか心理学の知識が必要なんだって。」

~♪~♪
『幽霊には不便な世の中にな
 りました… (;ω;)      』

男「うーん。僕の知ってる友は『常に笑いながら全力ダッシュしてる奴』なんだけど……。」

女「そのイメージ怖いよw
  でも、陸部にいるのもオカルトの為なんだって。なんでも『オカルトは足で稼ぐもんだ』とか、口癖みたいに言ってるよ。」

男「全然聞いたことないや。実は嫌われてんのかな、僕……。」

女「そんなことないと思うよ。私といるときは男くんの話ばっかり。『あいつホントは奇跡的にすごいやつだ!』とか。」

男「なにその謎の信頼?むしろ怖いわ。」

ティロリーン
『男同士の友情ってやつです
 ねぇ。
 素敵です! (p*゚w゚*q)   』

男「まぁ、ダメ元で相談してみるか……」

女「今日も何かやってたみたいだよね?」

男「うん。忙しいっていってたけどあいつだし、良いでしょ。理科実験室だっけ?行こう。」

ティロリーン
『お二人とも、ありがとうご
 ざいます。         』

女「……?」

男「あ、『ありがとう』って。」

女「私はなんにもしてないけどね。」

~♪~♪
『私に気づいてくれただけで
 も嬉しいです。       』

男「……?」

女「『気づいただけでも嬉しい』って。」

男「あぁ……。」

二人「……」

ティロリーン
『どうしたんですか?   』

男「……女さん。たぶん同じ事思ってるよね……?」

女「うん。メリーさんには悪いけど――」

二人「この伝言システムめんどくさいっ!!!」

友「――なるほどwwwそういう事情ならまwかwせwろw!wwwwww」

男「うお!理解はえぇな!」

友「霊現象ってのは結構一般的なんだよw人がいる数だけ霊に変わる可能性があるんだしwww」

男「少なくとも俺は身近に起こるなんて思いもしなかったよ。」

友「今まで気づかなかっただけでお前の周りにはたくさんのオカルトがあふれてるんだよwww
  大体、男があんなに頻繁にメールするなんておかしいと思ってたんだwwwwwww     」

女「あからさまにニヤニヤしてたしねw」

男「そ、そんなことないって……!」

友「ともかく。本題に入ろうかwwwでは……。」

 スチャ

男「お。お前メガネなんてしてたんだ?」

友「オカルト関係のときだけですよ。伊達ではあるんですがね。
  迷信には迷信を。源かつぎのようなものです。」

ティロリーン
男「                」
女「キャラが変わってるっ!!」
  『                』

友「まずはメリーさん。このアドレスにメールしてみて下さい。」

ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『これでいいですか?   』

男「お!」

女「これ、もしかして?」

友「えぇ。メールリストを作りました。メリーさん、これからみんなに連絡するときは利用してください。」

ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『よろしくお願いします! 』

友「さて、これまでの情報から判断することになりますが。
  やはりメリーさんは未練があるため霊化能力を得たというのが有力だと思います。
  未練を解消することにより成仏できると考えるのが妥当でしょう。」

男「でも、メリーさんはよく覚えてないって。」

友「死後のショックなどで記憶があいまいになるという事例も過去にありますので特別なことではないでしょう。
  何かに取りついて霊化したのではなく浮遊霊となったことからもほぼ間違いないと思います。」

you got mail!
『では私の未練はどうすれば
 思い出せるのでしょうか? 』

友「思い出すためには情報を集めるしかありませんね。
  まぁ、心当たりがなくはないのですが……。」

男「もったいぶるなよ。」

友「いえ、慎重にならざるおえないのですよ。
  メリーさんにとっては自分の死因に触れることになるのです。精神的衝撃により暴走した場合には悪霊化する……
  なんてこともあるかも知れません。」

you got mail!
『大丈夫です!
 覚悟はできてます!   』

友「強い人ですね……。分かりました。では。
  ……最近このあたりである事件が起こっているのは知っていますか?」

女「もしかして、連続通り魔事件?女子高生ばっかり襲われてるっていう?」

友「えぇ。さすが女さんです。私が今日ちょうど調べていた事件ではあるんですが……。」

男「それは僕も調べたよ。でも、事件が起こったときメリーさんはもう霊になってたんだ。無関係だよ。」

友「それはどうでしょうか?」

友「ちなみに男君。今朝のニュースは見ました?」

男「いや、遅刻しそうだったから見れなかったんだけど。」

女「また昨日被害が出たってやつでしょ、今回は軽傷で済んだみたいだけど。」

友「そうです。この事件はおかしいのです。普通じゃない。」

男「そりゃ通り魔なんて普通じゃないだろ。」

友「『普通の通り魔』ではないんです。通常の連続通り魔というのは被害がだんだん大きくなっていくものなんです。
  最初はスリルを求めて犯行に及ぶ、そしてだんだん強い刺激を求めるようになっていく。
  まずは犬猫を襲う。次は人間を傷つける。そして殺人。というように……。」

男「ところが、今回はどんどん被害が軽くなってる……のか。」

友「えぇ。ですから、もしかして通り魔として発覚する前にもっと大きな犯罪をしていたのかもしれないと。」

友「通り魔の前に、完全犯罪をしているのかもしれない。」

男「考えすぎ……じゃないのか?」

友「そうであってほしいです。が、その可能性もありえるのではという話です。」

男「……つかなんで犯罪についてそんな詳しいんだよ。」

友「一見するとただの事件と思えるものも、意外なところでオカルトにつながることがあるのですよ。
  今回も私はこの事件に、別の解釈を疑っています。」

男「別の解釈?」

友「……霊による介入がある。と。」

男「っ!……まさか。」

友「まぁこれこそ考えすぎかもしれませんが、犯人そのものが霊だという可能性もなきにしもあらず。」

これ携帯だとすげー読みにくそうだな支援

you got mail!
『でも幽霊には一つしか
 能力はないはずです。』

女「この通り魔は被害者が目撃もしてるし、やっぱり霊じゃないんじゃない?」

友「その能力について少し引っかかるものがあるのですが……。
  でも、強い恨みを持ったものは悪霊となって強力な能力を持つということも言われていますし、ゼロではないかと。
  ……もちろん我々で犯人を突き止めようなんていうのは無理な話です。
  ですが、事件が発覚した隣町を調べることでメリーさんの手がかりはつかめるかも知れません。」

男「隣町……か。」

友「私は明日から土日をつかって隣町を調べるつもりでしたがどうでしょう?一緒に行きませんか?」

友のキャラが変わりすぎてウケタ④

男「……メリーさん。大丈夫?」

ティロリーン
『…はい。平気です。
 今は、まだ…。

 でも、少しでも自分のこと
 が分かるなら……
 
 がんばります!

 私は真実を知りたい。  』

男「……よし。行こう!」

ティロリーン
『…はい!        』

女「私も手伝うよ!みんなで探せばきっとなにか見つかるはずだよ!」

友「どのみち人手は必要ですし。私もそれまでに最低限の手回しはしておきます。」

男「よし、じゃあ明日また集合ってことで。」

女「がんばろー!!」

ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『ありがとうございます。
 (`・д・´)         』

友「さてと。そろそろ昼休みも終わりますし、詳細は追って連絡しますので。
  今回はお開きにしましょう。お疲れ様でした――。」

 スチャ

友「――つーか昼メシ食い忘れたwwwめっちゃw腹w減wっwてwいwるwwwwww」


ティロリーン
男「                 」
女「何その変身システムっ!?」
  『                 』

男「さて、『隣町駅』に集合って言ってたけどあんまココ詳しくないんだよなぁ。友どこだろう?」

友「男さん!こっちです、通り過ぎないでください!」

男「うぉ!今日はもう眼鏡モードだったのか!?」

you got mail!
『そのモードだと雰囲気違い
 すぎて分かりませんね
 (;´∀`)            』

友「土日は基本的にこうなんですがねぇ……。」

 チリンチリン
女「みんなお待たせ~」

男「あれ?女さん自転車で来たんだ?」

女「だってこの町のいろんなとこ調べるんでしょ?メリーさんはともかく歩きで調べるつもり!?」

友「オカルトは足で稼ぐものですから。」

男「ホントにその『足』って意味だったのっ!」

男「しまったなぁ、自転車で来るべきだったか……。
  でも、女さんも陸上部だし実は『足』でも大丈夫だったんじゃない?w」

女「う~ん。でも、私やってるの高飛びだから。」

男「あ、そか種目があるんだっけ。」

you got mail!
『ちなみに友さんの種目は?』

友「もちろん私は長距離です。走り回る必要がありますから。」

女「しかも全国レベルの実力保持者。でもほとんど大会に出ないんだよねぇ……」

友「大会は休日開催ですからねぇ。優先はオカルト研究ですよ。」

ティロリーン
『せっかくの才能なのに… 』

友「ん?メリーさん何か言いました?」

you got mail!
『なんでもありませ~ん
 (。-ε-。)        』

男「――ところで今日はどうするんだ?この町を闇雲に探してもあんまり意味ないよな。」

友「そのためにもう一人と待ち合わせしてるんですが。そろそろ……。」


婦人警官「ちょっと君たち!今日学校は!?」

男「っ!!い、いや。今日は土曜日でウチの学校は休みなんです!」

友「……なにベタなネタやってるんですか姉さん。」

男「そうそう、まさかこんなベタな婦警さんいるのかと、思わずパニクって……って、姉さん?えっ?姉さんっ!?」

you got mail!
『友さんのお姉さん警察官な
 んですか!? σ(゚д゚ノ)ノ 』

婦警「ドモー。あねでーすwww」

男「ええぇぇぇええええええええええええええ~~~~~~~~!!!!!!!!!!」

男「全然知らなかった……。」

女「私もコレは驚いた……。」

友「あれ、言ってませんでしたっけ?というか両親も警察官ですし代々警察一族ですよ?」

婦警「エリート家族でーすwww」

男「最近どんどん友の知らないとこが飛び出てくるな……。姉さんと歳がはなれてるとは聞いてたけど。」

婦警「離・れ・て・ま・せ・んっ!!そんなには。……ていうかアンタ言ってなかったの?コイツってば将来も警察確定コースなのよwww」

友「勝手に決めないでください。ヤですよ警察なんて。オカルトの存在を認めてくれないような仕事は……。」

婦警「そんなこと言って、こないだも迷宮入り寸前で『犯人は幽霊かも』なんていう事件がアンタの意見で解決したじゃないwww」

友「それは偽オカルトを許せなかっただけです!ただのトリックをオカルトのせいにしたから論破しただけです!」

ティロリーン
『せっかくの才能なのにっ!』

友「誰か何か言いました?」

you got mail!
『なんでもないですってば~
 (。-ε-。)           』

>>45のだっこ神拳に萌えた

>>45のだっこ神拳に萌えた

友「――もういいですから。この町の事件について教えて下さい。姉さん。」

婦警「はいはい。……でも~。いくら刑事課でも~、私担当じゃないし~。
   だいたい部外者に話せる事ないし~。ニュースでも言ってることくらいしか教えられないし~。」

友「それでいいです、早く。」

婦警「もぅ。怒んないでよ。はいコレ。
   この地図に現場の詳しい場所と簡単な状況だけ書いといたから。コレくらいができる限界。」

友「分かりました。ありがとう。」

婦警「でも、気をつけなさいね。……父さんも心配してたよ。『友の意見は参考になるけど本職になってからにして欲しい』ってwww」

友「……まぁ、考えておきます。」

婦警「うん。ま、私的にはやりたい様にやんなさい!って感じだしwwwケガだけすんなwwwじゃ、仕事もどるwwwwww」

 ――

ティロリーン
『強烈な人でしたね…
 (´・ω・`)       』

男「うん。なんか、『友の完成系』を見た気がする……。」

友「――では、気を取り直して捜索をはじめましょうか。」

男「この地図の印んとこで事件が起きたのか……。」

友「はい。ですからこの現場に直接行ってみましょう。メリーさんが何か思い出すかも知れません。」

男「メリーさん……いいね?」

ティロリーン
『はい。行きましょう!  』

女「……でも、けっこう距離あるね。やっぱ自転車で来て正解だったw」

男「うわぁ、時間もそんなないし走ることになりそうだな……しまった。」

友「そんなことないと思いますよ……。」

男「ん、どゆこと?」

友「まぁ行ってみれば分かります。」

友が有能すぎw

女「……はぁ、ぅ……あっ……ぅんっ、んっ……はうっ……ぁっ……。はぁ、は……あぁっ!
  この……隣、町……って……。坂……おおい……のね……。はぁはぁ。」

 ――

友「さぁて、ここが第一現場ですね。」

男「最初の事件……亡くなったんだよね。その、女子高生が。」

友「えぇ、姉さんのメモにもかなり出血があったと書いてありますね。さすがにもう綺麗に掃除されてますけど。」

男「なんか信じられないな、こんな普通の場所で殺人があったなんて……。」

友「普段は気にしないだけで日常のすぐ近くで事件はおこってるんですよ。悲しいことですが。この世で死んだ人の全くいない土地はないでしょう……。」

男「……うん。……メリーさん、大丈夫?」

ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『平気です。

 …お花、そなえませんか?
 もし、その子が見ていたら
 。
 やっぱり…。         』

男「……うん。そうしよう。」

女「はぁ、はぁ……到着……。
  そうだと思って、さっき買ってきたよ。なのにみんなドンドン先のぼって行っちゃうんだもん。」

男「あ、ごめんwでも、さすが女さん。ありがとう。」

女「うん。そういうのは、大事にしたいし……。」

 ―― ――


友「さて、ところでメリーさん。何かおもいだしたこと、感じたことはありませんか?」

ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『うーん、何も。
 この町並も見たことあるよ
 うなないような…      』

男「まぁ、このときはもう幽霊になってたし直接関係はないはずだしね。」

友「それでも何かの刺激にはなるかもしれません。気づいたことがあったらなんでも行ってください。」

you got mail!
『はい (。・д・。)ゞ    』

男「じゃあ、次いってみようか。」

女「また、坂登るの……。」

 ―― ――

友「――収穫なしですか……。」

you got mail!
『ごめんなさい。何にも思い
 出せません…
 (´・ω・`)           』

友「私の思い過ごしでしょうか……。しかし、やはり現場に来るとおかしい。」

男「なにが?さっきと同じふつうの住宅街って感じだけど。」

友「正確には『さっきより奥まった』住宅街です。……人目につきにくいと言ってもいい。」

男「隠れて犯行しようとしたんじゃないか?」

友「先ほどの現場は大きな往来の真ん中だったのにもかかわらず?
  なぜ急に二度目の犯行では隠れようとしたのでしょう。」

男「慎重になったって事……かな?」

友「はい。にもかかわらず二人目の被害者は重症。慎重になったはずなのに被害は軽くなっている。」

男「結局そこが問題か。」

友「……次の現場にも言ってみましょうか。」

女「……つ、ついた。ってもう次行くの!?ま、待って……。」

友「女さん、大丈夫ですか?ちょっと休みましょうか?」

女「だ、大丈夫。
  だけど、ちょっと、さっきそこにあった公園に自転車止めてくる。どうせ帰りにまたこっちくるでしょ?」

男「そうだけど、代わりにとめてこようか?」

女「それ、もっと早く言って欲しかった……。よし!平気、行ってくる――」


友「……しかしここまでメリーさんについて何も得られなかったのは誤算でした。」

you got mail!
『見覚えのないものばかりな
 んですよねぇ  (´・ε・`) 』

男「だから、起こった事件は調べたって言ったじゃん。ね。」

友「それよりもこの町に来ても何も思い出さないというのが意外で。」

男「僕もこの辺きたことなかったし、そもそも出会ったのもウチの近くだったんだよ?」

友「メリーさん、その前は『風に流されているような』感覚だったんですよね?」

you got mail!
『はい、意識がないままフワ
 フワと…            』

友「幽霊とは感覚の塊ですから、『そう感じた』というのはほぼ確実に真理なんです。
  つまりメリーさんは本当に風に流された。」

男「ウチの風上は高台になってるこの辺ってことか。」

友「そういうことです。」

男「お前そんないろいろ考えてたんだ……」

友「物事の真実は多角的に見ないと分からないものですから。通り魔=幽霊説も誰より私自身が否定的ですよ。」

男「その割にはオカルト全般は信じてるんだなw」

友「科学や自分の認識にも否定的なだけです。
  徹底的に否定しきった結果が常識とはかけ離れていても、それはもっとも真実に近い。そう思っているのです。」

you got mail!
『その言葉、どこかで聞いた
 ような…? (。・д・。)   』

友「おや、そういえばメリーさんは読書がお好きなんでしたっけ。少しアレンジしていますが元は――」
男「友っ!あぶねぇ!!!」

友「おっと。」

 キィーーーーーーーーブロロロロ…

男「友、大丈夫か!?何だあの車!狭い道であぶねぇな。」

友「ありがとうございます、男さん。……何でしょう。あの運転手――」

女「きゃあ!っ!!――。」

男「!!今の声、女さん!?向こうかっ!!」

男「女さんっ!……いない!くそっ!」

~♪~♪

男「!今の着信音は……これだ!女さんのケータイ――。」



『落としたみたいです! 』



男「このケータイの近くにある赤いのって……。」

友「血痕……まさかさっきの車!でも、どうして車で――いや、それより今は!!」

男「な、んで……。」

友「考えてる暇はありません!男さん地図をどうぞ!捜してくださいっ!
  私は姉さんに連絡します!今ならまだ『隣駅』近くにいるはずです、後で合流しますから!」

男「わ、わかった!」

友「メリーさん!あなたが頼りです!では、急いでください!――」

男「おうっ!」

男「くそっ!さっきの車、どこ行った!!」

ティロリーン
『友さんの言った私が頼りっ
 てどういうことでしょう?
 ケータイは落としててココ
 にあるわけですし     』

男「わかんないよ!とにかく捜さないと!」

ティロリーン
『でも、闇雲に捜しても! 』

男「どこだ!どこだっ!どこだっ!!」

ティロリーン
『落ち着いてください!
 車で移動してるんですよね
 !
 だったらこの辺にある狭い
 路地は通れないはずだから』

男「――車、路地……大きい道の――」

 ―― ――

通り魔「なんなんだ!なんなんだよぉおおおおおおお!!!」

女「んんーーー!!んんんんーーーーーーーーっ!!」

通り魔「うるせえっ!!黙れ!!どいつもこいつも!!うるせえ!うるせえ!うるせえぇええええ!!」

女「っ!……。」

通り魔「よ、よし!ここなら……おいっ!降りろ!来い!!暴れるな!!!いいな!!!」

女「……。(コクリ)」

 ―― ――

通り魔「この中に入れ!!!」

女「んんっ!……んっ。」

通り魔「いいな!来るな!!来るなよっ!!!お前もおとなしくしろ!いいな!!!」

女「……。」

通り魔「来るな、来るな!!どいつもこいつも邪魔ばかりしやがって!!!!くそお!!!!」

女「……。(この人、何を言って?)」

通り魔「……やっと!やっと静かになったか!……これで――」

女「っ!……んん!んんん!!!」

通り魔「――これでゆっくり女の腹が開ける!!!!!!」

女「んんんーーーーーーーー!!!!!!!」

 ―― ――

男「車で通れるような道なんていくらでもあるし……。」

ティロリーン
『男さん、地図を!
 連れ去ったってことはどこ
 かで必ず降りるはずです。
 隠れられるような場所に 』

男「あぁ!どうしてっ!落ち着け!落ち着け。――通り沿いで……隠れられる
  ――そうだメリーさん!このあたりに聖域はっ!?」

 …… ……

男「メリーさん?……メリーさんっ!?」

さては通り魔憑かれてるな?

 ―― ――

女「んーーーーーーーー!!!ぷはっ!!いや、いやぁあああああああ!!!」

通り魔「やっぱり、悲鳴ってのは良いよなぁ。やっときけたよ……。」

女「たすけ……。男、く……ん。」

通り魔「大丈夫。やつらが来る前に終わらせ――っ!!!!……なんで、お前ら!!!どうして!!!!!!!!」

女「!!……っ?……な、なに?」

通り魔「どうやってここに入ったんだっ!!!!」

女「誰?……のこと?」

通り魔「やめろぉおお!!いやだっ!いやだぁあああ!
     く、……『来るなぁあ嗚呼ぁああああああ゙あ゙ぁあああああああああ』」

 ―― ――

男「メリーさん!メリーさんどうしたの!?返事して!!」

 ……ティロリーン

男「メリーさんっ!」



『私メリー
 男さん、いま駅の反対側に
 います!
 巨大な聖域ができて、ここ
 まで押し出されました!
 今私がいる所と男さんの場
 所の延長線に誰かが隠れて
 ます!!            』



男「――地図で駅とココの延長線上にあるのは……廃校か!?」

通り魔「うわぁああああああああ、やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおお。
     なぜだ、入ってこれないんじゃないのか!!!なんなんだ!!!!!」

女「……!」

男「――女さんっ!!!」

女「男君!!」

通り魔「うわぁあああ!!!!!うわああああああああああああああああああああ!!!!!!」

男「あいつ、何やってるんだ!?」

女「わからない。何か来たとか。突然、暴れだして……。」

男「とにかく逃げよう!今、手足をほどくから――」

女「男君!後ろっ!!!」

通り魔「邪魔すんなぁあ嗚呼ああ!!!!!」

男「っ!!――!」

女「いやぁあああ男君!!男君っ!!!!!!」

通り魔「くそぉおおおおお!!!!!くそぉおおおおお゙お゙お゙お゙!」

男「だ、だいじょう……ぶ。」

女「だって!お腹……血が。な、ナイフで……!!!」

男「そ、それより……あの子は……?」

女「え……何?」

男「あの、おんな……の子。あぶな、い……。」

女「男君!?どうしたの!?」

???「……あなた、私が見えるの?」

男「君、は……?」

???「そう、あなたコッチに近いのね……。」

女「しっかりして!男君!いや、男君っ!!!」

???「でも、私は見えないはずなのに。
     私の能力は『この殺人狂に、わたし以外の霊を見せる』こと。ふふっ……この世で死人の出てない土地なんてないものね。」

男「……何、を……言って?」

???「 オ マ エ ガ シ ヌ マ デ ユ ル サ ナ イ 」

通り魔「うあわぁああ―――――――――――――――――――――――」

男「……。」

女「男くん!!!だめっ!!」

友「――女さん!!男ぉ!!!!」

婦警「お前!!動くな!!!」
通り魔「あ、ああああ、ぁあっあっ、あっ……ぁ――。」

女「友君!男君がっ!男君が!!!」


男「……あ、れ?……友?……へへっ、めが……ね、はずし……――」

友「男!おいっ!男ぉお!!!!」

女「いやぁああああああああああああぁあああああああああああ」







   ティロリーン



男オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

 ―― ――


男「――あ、れ?ここは……?」

女「……男君?目がさめたの!?……ここは病院だよ。」

男「病院……。俺、確か……通り魔に刺されて?」

女「うん。そのまま気を失って近くの病院に運ばれたの。今は日曜日の朝。……かすり傷。だって。」

男「そっか、かすり傷……え?かすり傷っ!?」

女「うんwせいぜい絆創膏で良いくらい。先生が何で気絶したのかわかんないレベルだってw」

男「あれれ?だって、血とかいっぱい。」

女「血は犯人の。そもそも私が車に押し込まれたときからあの人怪我してたんだよね。
  その後暴れだした時にも出血したみたい。」

男「それに、変な女の子とか見えて……そうだ!メリーさんは!?」

女「たぶん、ここにいる。ハイこれ。」

男「俺のケータイ……。」

女「いちお、病院内だから電源は切ってあるよ。屋上でなら電源入れていいって。あとで確認してあげてね。」

男「そういや友は何もなかったのか!?」

女「今は警察で事情聴取受けてる。友君だからメリーさんのことはうまくごまかしてくれると思う。
  犯人は錯乱してるみたいだから刑事責任がどうとかって言ってたけど。」

男「そっか。……まぁ、あの様子なら。どうなっても一緒だな……。」

女「?……あ!そうそう。退院は今日にでもできるけど。お母さんが心配してたから連絡してあげてね。」

男「あぁ、そうだね――とかいう話をすると……ほら。」

女「ん?」

母「あら、男気づいたのね!それに女ちゃん、今日も来てくれたの!?
  アンタ感謝しなさいね、女ちゃん昨日も付きっ切りで心配してくれたんだから。かすり傷なのに。」

女「い、いえ。私のせいで怪我させちゃったことには変わりないですし……。」

男「そっか!ありがとう女さん。」

女「べ、別に私は……。もう、帰るし……。」

男「ありがとう。」

女「……うん。じゃ、……またね。」

母「――さて、起きたんなら帰るわよ。母さん退院の手続きしてくるわね。」

男「わかった。……でもその前にちょっと外の空気吸ってくる。屋上行ってから出るよ。」

母「じゃあ母さんはそのまま帰っちゃうから。……そうそう、男。」

男「ん?なに?」

母「もしこの先、一人で抱えきれないようなことが起きたら何でも言ってね。母さん、これでも結構頼りになるんだから!」

男「もう変なことには首突っ込まないよ。まぁ、わかった。心配させてごめんね。」

母「はいは~い。じゃ、おうちで待ってるわ。」

男「うん。」

男「さて、ここなら電源入れていいんだよな……」

(ポチポチ)
『着信メール  1289件』

男「怖えぇっ!」

ティロリーン
『ごめんなさい… (*ノд`)
 心配で、つい。       』

男「それにしても多くない?w」

ティロリーン
『だ、だって私にとってはも
 うメールするのが当たり前
 の表現手段で。
 ふつうに話しかける感覚で
 送るようになっちゃったん
 だもん…
 ていうかそもそも気を失う
 ようなことにならなきゃこ
 んなに話しかけてあげませ
 んもん! (( ̄ ^  ̄ )   』

男「ごめんw心配かけたね。」

ティロリーン
『まったくです!
 何でかすり傷で気絶しちゃ
 うんですか  (*´・з・`)  』

男「面目ない……。でもさ、気を失う直前にいた女の子ってもしかして?」

ティロリーン
『何のことです?
 私は友さんに連絡をしてそ
 のまま一緒に廃校に行った
 ので、そのときのこと知ら
 ないんです。         』

男「その時も何も気づかなかった?」

ティロリーン
『はい。さっぱり。
 でも、その…。

 思い出したことなら…
               』

男「メリーさん何か思い出したの!?」

ティロリーン
『はい。

 私…
 私、この場所を知ってます
 。                』

男「ここ!?確か『隣町病院』だよね!!」

ティロリーン
『はい。今見えている景色も
 見たことがあります。    』

男「そっか!やっぱ友の言ってた事はあってたんだ。メリーさんは隣町に住んでたんだよ!」

ティロリーン
『この風景
 とてもよく知ってるんです
 …              』

男「じゃあもっとこの町を調べればいろいろ分かるかも!
  ……でも、なんで昨日町を歩いたときは何も思い出さなかったんだろう?」

ティロリーン
『そうだ!
 じゃあ今日はもっと普通に
 町を歩いてみましょうよ!

 ほら、きっと!
 きっと事件の捜査してたか
 ら見え方が変わって…  』

男「……そうだね!今日は天気もいいし、このままどっか、普通に遊びに行くようなところに行ってみようよ!」

ティロリーン
『…うん。

 ありがとう。      』

男「どこか行きたい所はある?僕はこっちに来たことなくてあんまり知らないんだよね……。」

ティロリーン
『そうです…ね。
 この辺にあるのは、確か…
 繁華街、とか?
 なんか、人が集まりそうな
 …?             』

男「よし!決定!なんか楽しくなってきたw」

ティロリーン
『私も。…です。     』

男「――おぉお。さすが日曜の繁華街。人多いなw」

ティロリーン
『な、なんか想像以上に賑や
 かですね…。
 こんな感じなんだ…    』

男「……メリーさんも始めて?」

ティロリーン
『い、いえ!
 あ、ほらあれ!
 m9(*゚д゚*)

 こういうトコきたら定番じ
 ゃないですか?      』

男「いや指差されてもwどれのこと?」

ティロリーン
『クレープ~!
 美味しそう (*゚¬゚*)   』

男「お、いいじゃん!?メリーさんはここでちょっと待ってて。」

ティロリーン
『え!?あ、いや。待ってま
 すけど…           』

男「――お待たせ。」

ティロリーン
『いーえ。

 て、ふたつも食べるんです
 か? (;´д`)         』

男「いや、一個はメリーさんの。」

ティロリーン
『え!私…
 だって…その。     』

男「だって、今日は『普通に』町歩くんでしょ?こういうのも大事じゃない?」

ティロリーン
『…そうですね。
 うん!ありがとう
 (*ノωノ)         』

男「最後には両方とも僕が食べることになりそうだけどね。それはまぁ、お供えも最後は食べるってことで……なんてw」

ティロリーン
『おいコラ。 (#^ω^)

 …いいですけどぉ。   』

男「ごめんゴメンwwwじゃ、いただきます――。」


男「ごちそうさまでした、っと。」

ティロリーン
『はーい!次
 あそろ行きたいです!ゲー
 ムセンター!         』

男「また、定番だねw」

ティロリーン
『いいじゃないですか~
 私行ったことないんですも
 ん。              』

男「僕、ufoキャッチャー得意だよ~。」

ティロリーン
『え、じゃあ腕前見せてくだ
 さいよ~! (。>д<。)  』

男「まかせてw」

 ガヤガヤ ガヤガヤ

男「!!とと、さすが日曜。なかに中に入るとうるさいなw」

ティロリーン
『え?何か言いました?  』

男(う~ん。さすがに大声出すのは気が引けるし……そだ。)
(ポチポチ)『中はうるさいね。』

ティロリーン
『あぁ。ですね!
 やっぱり、こういう時メー
 ルって便利  (*゚∀゚)   』

(ポチポチ)『だねw』


(ポチポチ)『さあ、どれを取ってしんぜようか?wどれでもイケルよ!』

ティロリーン
『あ、これブサかわいいです
 (*゚д゚*)

 「どぜうさん」?のぬいぐ
 るみ。これがいい!   』

(ポチポチ)『あ、なつかしい。けっこう古いゲームのキャラだよ。
      …箱入りか。うん。この位置なら!w』

男「……。」

 ――

男「ん?」

 ――

男「あれ?」

 ――

ティロリーン
『ダメジャン (〃゚艸゚)  』

 ―― ――

(ポチポチ)『今日は調子悪いだけなんだ…。ホントに…。』

ティロリーン
『そんなときもありますよ。
 入院してたんですし。  』

(ポチポチ)「かすり傷でね…w」

ティロリーン
『そうでしたっけ?
 (ノω`*)        』

(ポチポチ)『なんか、もうチョイ簡単なのならできるはずだから。』

ティロリーン
『大丈夫ですって。
 (ll-д-)
 帰り道のお金もあるでしょ
 ?               』

(ポチポチ)『あと一回分なら何とかなる!ラストチャンスください!w』


ティロリーン
『じゃあ…
 このストラップはどうです
 か?             』

(ポチポチ)『ミッチーラットのやつ?うん、これなら。…一発勝負!』

 ――

男「お!」

ティロリーン
『とれた!
 すご~い!ホントに一回で
 !
 o(≧∇≦)o          』

(ポチポチ)『よかったぁ。腕前わかっていただけました?』

ティロリーン
『ちょっと格好良かったです
 。 (。>∀<。)         』

(ポチポチ)『じゃあ、これメリーさんのね。』

ティロリーン
『うん。ありがとう!

 では。
 男さんにプレゼントです。』

(ポチポチ)『え、いいの?』

ティロリーン
『もともと私じゃつけられま
 せんし。
 それに、男さんのケータイ
 って何もついてないじゃな
 いですか、これだったら似
 合うかと思って。      』

(ポチポチ)『もしかしてそのためにメイリーラットじゃなくてミッチーにしてくれた?』

ティロリーン
『ダメもとでしたけど
 (>艸<)        』

(ポチポチ)『あれ~wじゃあ、つけておくね!』

男「――さてと、時間はまだ大丈夫だけど、どうしようか?
  財布はすっからかんだからお金かからないトコじゃないとダメだけどw」

ティロリーン
『う~ん。あとなにがあるの
 かなぁ?          』

 ゴーンゴーンゴーン・・・

男「ん、鐘の音?」

ティロリーン
『そういえば、この辺は教会
 があるとか。
 日曜はミサとかやってるら
 しいですよ!        』

男「教会なんていったことないよ!行ってみよう!」

男「これ、入って大丈夫だよね…?」

ティロリーン
『たぶん?        』

 ガヤガヤ

男「っと。いっぱい人出てきたけど……ミサってのは終わっちゃったみたい。」

ティロリーン
『でも、一日開放って書いて
 ありますね。         』

男「じゃ、入っちゃえw」

男「……さすがにミサが終わると誰もいなくなるんだね。」

ティロリーン リーン リーン
『ステンドグラス、綺麗です
 ね…。            』

男「わ、音響くwいちおうマナーにしとこう。」

ブブブ ブブブ
『はーい (* ̄∀ ̄)

 でも、…私みたいなのが教
 会なんて来てよかったんで
 しょうか?          』

男「幽霊お断りとは書いてないよwそれに事情を知ったら神様だって許してくれるよ。」

ブブブ ブブブ
『神様、ですか。     』

男「うん。こういうところに来るとなんか身が引き締まるね……。」


男「……。」

ブブブ ブブブ
『……。
 私、男さんに謝らないと。
 
 こういう場所だから『懺悔
 』っていうか…。      』

男「……どうしたの?」

ブブブ ブブブ
『私、男さんに嘘をついてい
 る事があるんです…。  』

男「……そんなの気にしないけど?」

ブブブ ブブブ
『でも。
 私のことで大切なことだか
 ら…。

 私…


 私、すべてを思い出しまし
 た。              』

男「……。」

ブブブ ブブブ
『本当は、病院で…全部。
 全部思い出してたんです。』

男「……そっか。」

ブブブ ブブブ
『…ごめんなさい。    』

男「……やっぱりw」

ブブブ ブブブ
『え!?

 …気づいてたんですか? 』

男「だって、メリーさん嘘つくの下手だもんw今日ずっと様子がおかしかったしね。」

ブブブ ブブブ
『わかってて付き合ってくれ
 たんですか…?      』

男「うん。だって、何かわけがあったんでしょ?……教えて。メリーさんの事。」

ブブブ ブブブ
『…はい。



 私…
 生きていたとき…
 あの病院の中しか知らなか
 ったんです。

 あの病院で生まれ、あの病
 院で育って。

 そして、…あの病院で死に
 ました。            』

ブブブ ブブブ
『先天性の病気だったんで…
 ずっと身体が弱くて。
 生まれてから一度も退院し
 たことがなかったんです。

 だから、町のことが知りたく
 て…              』

男「そっか。でも、それならそうって言ってくれたらよかったのに。」

ブブブ ブブブ
『でも、…これはワガママかな
 って。              』

男「前に言ったよね?僕にできることなら協力するって。
  メリーさんが成仏しちゃったら……悲しいけど。でも、メリーさんはこのままでいいなんて思ってないんでしょ?」

ブブブ ブブブ
『それは…。        』

男「メリーさん言ったじゃん。真実を知りたいって。そのためならがんばるって。……なら僕はそれを応援する。」

男「それに僕もメリーさんと遊んで楽しかったしねw」

ブブブ ブブブ
『本当、…に?       』

男「もちろん。メリーさんとじゃなきゃできない体験たくさんできたしね。……メリーさんと会えてよかった。」

ブブブ ブブブ
『私も…。



 最後にもうひとつ、
 …ワガママを言ってもいい
 ですか?           』

男「何でもきくよ!……お金のかからないことならw」

ブブブ ブブブ
『大丈夫。


 最後に行きたいたい所があ
 るんです。          』

男「――女さんが自転車を止めた公園!?……いいけど、何で?」

ブブブ ブブブ
『あそこって坂をけっこう登
 ったトコにありますよね。
 あの公園、私が入院してた
 病院の屋上から見えるんで
 す。

 あそこからなら、私がずっ
 といた病院も、私がずっと
 知りたかったこの町も、全
 部見えると思うから…。   』

男「わかった。……でも今からあそこに行くと、けっこう時間かかっちゃうけど……間に合う、よね?」

ブブブ ブブブ
『それは、大丈夫です。
 まだ…。

 それはわかってます…。 』

男「そっか。でも、……急ごう――。」

 ――――

男「――はぁあ、はぁ……着いた……。けっこう暗くなっちゃった。
  けど!……メリーさん!間に合ったよね!?」

ティロリーン

『私メリーさん。
 ちゃんと、あなたの後ろに
 いるよ。           』

男「……この公園、こんな高台にあったんだね。」

ティロリーン
『町明かりが綺麗ですね。 』

男「うん。キラキラしてる……。」

ティロリーン
『私の病院も、明かりがつい
 てる。             』

男「うん。……見える。」

ティロリーン
『これで、私の見たいもの、
 …全部。
 見れちゃいましたね。   』

男「……。」

ティロリーン
『今日、楽しかったですね。』

男「……うん。」

ティロリーン
『クレープ食べて。ゲームセ
 ンター行って。       』

男「……うん。」

ティロリーン
『教会なんて行っちゃって。
 今なんか、星空と夜景が見
 える公園にいますよ?   』

男「……。」

ティロリーン
『そろそろ…かな。



 ちゃんと、言わなきゃ。
 ね。           』

男「……。」

『最初、幽霊になったとき
 不安で不安でどうしようも
 なくて
 分からないないことがたく
 さんあって
 でも、やらなきゃいけない
 こともたくさんあって

 何とかしようとしても
 人を傷つけちゃって

 あきらめようとしたけど
 最後の望みで思い付きを試
 してみて。

 はじめに何て送ったら良い
 かわかんなくって
 変にお堅い文章になっちゃ
 って



 男さんと出会って。      』

『男さんは全っ然、授業を聞
 いてなくて

 友さんは笑ってばっかで

 女さんは優しくって

 お母さんは変に鋭くって
 妹さんは…
 ちょっと変わってて?

 でも、二人とも美人で

 あったかい家族で

 そだ、男さんは鍵付き引き
 出しにエッチな本を隠して
 るんですよね

 妹さんに見つからないよう
 にしてあげてね?      』

『夜遅くまでお話して遅刻し
 そうになったり

 女さんに見つかって

 結局私を使って女さんのメ
 アド聞き出しましたよね?

 実は友さんは凄くって

 なんで眼鏡で変身するんで
 すかね?           』




『そして
 通り魔事件を調べて   』

『友さんは意外な才能にあふ
 れてましたね
 もったいないなぁ

 そして女さんが、大変なこ
 とになって
 あ、でも怪我はしてなかっ
 たんですよね

 代わりに男さんが怪我しま
 したけど

 女さんずっと手を握って心
 配してたんですよ

 ただのかすり傷なのにねぇ



 ホント


 いろいろありましたね。  』

『明日からは普通になるんで
 すよ



 明日からが普通になるんで
 すよ



 明日から朝のメールはなく
 なります

 妹さんが起こしてくれるん
 でしょ?



 だから


 眠ると全部夢だと思うかも
 しれませんね

 きっと、そうです。
                 』

男「……。」

ティロリーン
『何か行ってくださいよ。 』

男「……。」

ティロリーン
『…ねぇ。        』

男「……。」

ティロリーン
『じゃあ、最後にとっておき
 のこと教えてあげます。 』

男「……。」

ティロリーン
『私の未練。
 この町を見ることじゃない
 よ    (。-ε-。)     』

男「……え?」

ティロリーン
『男さん、勘違いしてたでし
 ょ?
 面白いから黙ってました。
 (。>∀<。)           』

男「え?……じゃあ!――」

ティロリーン
『私の未練は「恋がしたい」
 ってこと。
 私の分も恋してくださいね
 。
 出会ったのが、貴方でよか
 ったです。

 ありがとう。










 男さん、大好きですよ。
                  』

えんだあああああああああああああああああああああああ

 チュンチュン チチチ……

男「ふぁああ~。あぁ~よく寝た……。」

 コンコン。
妹「お兄ちゃん?起きてるの?」

男「うん。今起きた……。」

 ガチャ
妹「おはよう。――女さんがいちおう病み上がりだからって心配して迎えにきてくれてるよ。」

男「ん~。わかった。でもお前今日は起こしに来てくれたんだ?ここんとこなかったのに。」

妹「なんのこと?……変な夢でも見てたんじゃない?」

男「まぁ、いいや。じゃあすぐ支度する。」

妹「うん。」
 ガチャリ。

男「――なんか、すごく長い夢でも見てた気がするな……。」

 …… ……

男「でも、さ。……なんで、僕のケータイにストラップ付いてるんだろう。お腹、絆創膏貼ってあるんだろう?

  全部夢……。

  夢。……なんて、思えるはずないじゃないかっ!!

  ずっと一緒にいたのに!
  ずっと話してたのに!
  ……忘れられるわけないだろ!!!」

  …… ……

  何か言ってよ!何か答えてよ!……メリーさんっ――!!!

  …… ……

  ……。そういえば、別れの言葉も言ってなかったっけ……。」



(ポチポチ)
『メリーさん、ありがとう。』

男「……なにやってんだよ、僕――。
  ケータイ、買い換えるかな……。
  ……もう、……いい、よね。

  …………さようなら。メリーさん。」

ガチャリ

……バタン

















 ティロリーン……。


fin.



おじさんちょっと目頭熱くなったぞ!乙かれ!

スゴく良かった乙乙!

お疲れ様でした。
えらい読みづらいもんを読んでくれてありがとうございました。

盛大に乙!

乙!これは短編ドラマとかいけるレベル!


涙が止まらない

おつ

メリーさん…

良かった乙



>>1

最高。とにかく最高。男がイケメンすぎw

うおつ

楽しかったー。続編希望w

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年06月20日 (金) 19:33:44   ID: IgePMVSO

これ、すきっ!

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