絵里「希の水晶玉をうっかり破壊してしまったわ…」 (277)


絵里の家


希「んじゃエリチ、また学校でねー」

絵里「ええ、でも本当にご飯食べていかないの? 別に遠慮する必要なんか」

希「んー…昨日作りすぎたのまだ家に残ってるからさっさと消化してしまわんといけんしなぁ…」

希「エリチの手料理を御馳走になるのはまた次の機会にとっとこうかな」

絵里「…そう、またいつでも遊びにきてね。あ、今度は私が希の家に行ってもいいかしら」

希「おおっ、来て来て! エリチならいつでも大歓迎! あ…部屋掃除しなきゃっ」

絵里「ふふ、まだいつ行くかわからないわよ?」

希「あ、そっかそっか。じゃあ今日は掃除しない」

絵里「…いつでも綺麗にしておきなさいよ……」



ガチャ…


絵里「ふぅ……あら…?」

絵里(希を見送って部屋に戻ると見慣れないものがその片隅に転がっていた…)


コトッ…


絵里(何かしら…?)

絵里(こんなもの買った記憶も無いし、別の誰かの…亜里沙のかしら?)
スッ

絵里(広げた掌よりも幾分大きな硝子玉……拾い上げてみると片手で支えるには少ししんどいくらいの重さ…)

絵里「綺麗ね……ピカピカしてる」


ピリリリリッ…


絵里「…っ!?」

絵里「あっ…や、やばっ…」
グラッ


ガシャーンッ…


絵里「や、やってしまった……」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1454243914


絵里(砂塵のよう…とまではいかないけれど、見事に粉々に……)


絵里「も、もしもし……」
ピッ…

希『あ、エリチ?』

絵里「どうしたの…?」

希『えっと…ウチ、エリチの家に忘れ物してなかったかなーって思って』

絵里「わ、忘れ物って…?」

絵里(もしかして……ていうか、もしかしなくても、コレのことよね…)

希『水晶玉なんやけど』

絵里「あ、ぁ……えー……」

絵里(な、何て言えば……何て謝れば……希にとって大事なものかもしれないのに…それを、私の不注意で…)

絵里(……足下に散らばった硝子の残骸を見ると、うっかり割っちゃいました…なんてとても言えず…)

希『…エリチ?』

絵里「……ちょっと見当たらないわね」

絵里(嘘をついてしまった…)

希『そっかぁ…』

絵里「も、もし見付かったら連絡するわね…」

希『うん、ありがと。ごめんね、わざわざ…』

絵里「…うん」


絵里(ごめんなさい、希……)

絵里(なんとかしなくちゃ…)

絵里(……幸いにも明日は休み)

絵里(骨董品屋を巡ればあれと似たような硝子玉は見付かる…と思う、から…)

絵里(希には悪いけど……そうするしか、ないわよね…)



もしも……過去に戻れるのなら、この時の自分を殴ってやりたい

素直に謝らなかったせいで、誤魔化そうとこんなくだらない嘘をついたせいで……

私の人生は最低最悪なものに変わってしまったのだから

安価SSです
途中までラブライブ!板で書いてたけど移動してきました
以前の安価はそのまま使ってるので一部読みづらいかも

あ! あのSSラブライブ板で見たことある!


翌日 街中


絵里「ここも駄目か…」

絵里「なかなか見付からないわね…」

絵里(…とにかく、なんとしてでもアレに似た硝子玉を手に入れないと)

絵里(昨夜ネットで調べた骨董品店…6駅14軒を手当たり次第に廻ってみたけど、どうにも見付からない…)

絵里(黒や赤…青といった着色されているものは見掛けたが透明なものは何処にも置いてはいなかった)


絵里「はぁぁ……歩き疲れてもうクタクタ……でも、今日のうちに見つけ出さないと…」


絵里(範囲を広げよう……この隣の駅の骨董品店は…)
ピッ


絵里(ふらふらと歩きながら携帯で調べていたその時だった…)


絵里「あら…? あそこって…、もしかして」

絵里(前方にいかにもそういうものを扱ってますといった看板…佇まいの店があった…)

絵里(えっと…)
カサッ

絵里(店名を確認して昨夜書き写したメモと照らし合わせてみるも、合致する名前は無い)

絵里(私の見落としかしら…? それとも、最近新しくオープンした店……まぁなんでもいい)


カツン…カツン…


絵里(階段を下った地下……)

絵里(私は藁にもすがる思いで扉を開き、中へと足を踏み入れた)


ギィィ…


絵里(薄暗い……気味の悪い店ね……)


絵里(店内には私以外客もおらず、店員ですらどこにも見当たらない…)


絵里(恐る恐る店内を回ってみた…)


絵里(埃を被った壺……錆びた金属食器……何に使うのかわからない禍々しい形をしたナニカだったり…)


絵里(気持ち悪い……それに少し寒いし……)


絵里(背中の辺りがゾワゾワする……こんな所早く出よう……そう思い、踵を返した時、目の前にあるモノが映った)

絵里「あ……あった…!」

絵里(まさしく私が探し求めていた硝子玉……無色透明で大きさもまるっきり希のものと同じ……)

絵里(よかった……あ、でも値段…いくらするのかしら…?)

絵里(……値札が置いていない)

絵里(よく見ればこの店の全ての商品に値札など存在していなかった…)

絵里(…てことは、ものすごく高価なものなんじゃ……何十万とか…)

絵里(そうだとしたらもうお手上げだ…)

店主「…ほう、その水晶玉ですか」

絵里「ひ、ひぃっ…!」

店主「くくく…、これはこれは…驚かせてしまったようで、申し訳ありません…」

絵里「あ……こ、こちらこそ、すいま、せん…」

絵里(ここの店主さん…と思わしき老人が私の背後にいた…)

絵里(驚いた……心臓が止まるかと思ったわ)

絵里(……それにしてもいつの間に……足音なんてまったく聞こえなかったのに…)

店主「…御嬢さん、お若いのにお目が高い……くっくっくっ…」

絵里「え…」

店主「その水晶玉はねぇ…特別な代物なのですよ……くくく…」

絵里「と、特別……? やっぱり、高価な……」

店主「ああ…いえいえ……値段はさほど…」

絵里「い、いくらなんでしょうか……」

店主「ふむ……そうですねぇ……二千二百円ほどにしておきましょうか…」

絵里「しておきましょうか…って……」

絵里(胡散臭い……まぁでもそのくらいだったら全然支払えるから、まぁ…)

絵里(…それよりも気になるのは)


絵里「あ、あの……値段はその…、普通なのに、特別な代物っていうのは……」

店主「……ああ……くっくっくっ…」

絵里(嫌な笑い方……)


店主「その水晶玉……実はですねぇ……」


店主「未来が映し出される…とのことで……くっくっくっ…」


絵里「未来が、映し出される……?」

絵里(…子供だと思ってからかわれているのかしら?)

絵里(そうに決まってる……でなきゃ、未来が映し出されるなんて……)


絵里「……本当、なんですか?」

絵里(…正直馬鹿馬鹿しいと思った……その真偽を尋ねている私自身も、相当に馬鹿馬鹿しいのだけれど…)

店主「くっくっくっ……」

絵里「あ、あの……」

店主「…くくく、さぁ…?」

絵里「え…、さぁって……御自身で試されたこととか…」

店主「…くっくっくっ……この老いぼれがそんな先のことなどに興味があると……?」

店主「…死して朽ちていくだけのわかりきった未来を……見たいと思われますか……? くっくっくっ…」

絵里「……」

絵里(言っていることはわからなくもないが……それは遠回しに、なにか虚言を偽っているようにも聞こえた…)

絵里(嘘、よね……? 現実的に有り得るわけが……)

絵里(……まぁどっちにしろ私にとっては構わないのだけど。未来が見えるからと付加価値が付き大金を取られるわけでもないし…)

絵里(2200円程度で丁度良い硝子玉を購入できれば…なんでも……)

絵里(それに、後になってから本当に未来が見えました…なんてことになっても、私には何も損は無いのだから)

絵里「……」

店主「くっくっく……いかがいたしましょうか……」


絵里「……買います」


店主「くっくっくっ………お買い上げまことにありがとうございます…くくく…」



絵里(私は2200円を支払い、その硝子玉をバッグの中に入れ、急ぎ足で店を後にした…)


夜 絵里の部屋


絵里「ふわぁ……今日は疲れたわぁ……」

絵里「…でも、ちゃんと代わりの硝子玉…水晶玉?が見付かってよかった…」

絵里「よかったんだけど……」


『その水晶玉……実は……未来が映し出される…とのことで……くっくっくっ…』


絵里「……未来が映し出される水晶玉、か……もし本当にそうだったら面白いのにね」

絵里(…帰り道、試しに覗いてみたけどもちろん未来なんか映し出されるわけもなく…)

絵里(当たり前よね……店に飾られてる時も普通の水晶玉だったんだから…)

絵里(もしかしたらこれは2200円すらの価値もなく、本当は100円くらいの品で…)

絵里(それをぼったくる為にあんな作り話を……? だったらもう少し高く売るわよね……)

絵里(あの店主……何を考えてたんだか……)


絵里「水晶玉……よく占い師なんかが持ってるわよね……胡散臭くて私は信じてないけど」

絵里「たしかああいうのって、両手を水晶玉の方に出して……はぁー…って感じで…」

絵里「……」
キョロキョロ

絵里(誰にも見られていないことを確認して私は水晶玉へとゆっくり手を近付けた…)

絵里(だってこんなことしてるのを他人に見られたら…恥ずかしすぎる……絶対馬鹿にされる……)

絵里「…決して信じてるわけじゃないけどね、気分よ気分…」

絵里「はぁぁーっ!」


絵里「…………」


絵里「…………なんてね……何やってるんだろ、私…」


ポワーン…


絵里「ふぇっ? へ…? え、なに、これ……水晶玉が、光って……」

絵里(未来が映し出されるって……まさか、本当に……?)

絵里(私は少し怯えながらも…、淡い光を放っている硝子玉を、覗き込んだ…)


絵里「え……あ、亜里沙……?」


絵里(そこには私の妹…亜里沙が映っていた…)


絵里(【※過去安価『ロシアで傭兵』】している亜里沙の姿……これって、まさか、本当に未来…?)


絵里(ロシアで傭兵をしている亜里沙の姿……)


絵里(どうして……? どうして、亜里沙がこんなことを……)

絵里(はは……嘘に決まっている……こんな未来、でたらめだ……)

絵里(この透明な水晶玉に…どうしてこのようなものが映し出されるのかは…その原理は、わからないけど…)

絵里(これが未来の姿ではあるはずがない……だって、その証拠に、ここに映っている亜里沙は今とほとんど変わらないくらいの歳だったから…)

絵里(亜里沙はこの家で…日本で暮らしている……)

絵里(だから、そんな筈が……)


絵里「…あ、そういえば亜里沙……今日は帰り遅いわね……」

絵里「もう夜なのに…、帰ってきているのかしら……」


絵里(…言い表し難い胸騒ぎに襲われ、亜里沙の部屋を訪ねることしにした)


コンコン…


絵里「…亜里沙? いる?」


シーン…


絵里(返事は無い……寝ているのかもしれないと、ドアを開けると)


絵里「え……?」


絵里「ぇ……あ、…ど、どういうこと……? なんで……どうしてっ……!!」


絵里(そこに亜里沙の姿は無かった……それだけだったらこんなに動揺したりしない…)


絵里(いつもだったら脱ぎ散らかされてある洋服だったり、朝起きたままの状態のくしゃくしゃな布団…)

絵里(部屋の壁に貼られていたたくさんのポスター、本棚から溢れ返っている漫画本……)


絵里(…そのすべてが消えていた)


絵里「な、なん、で……?」

絵里(…襲ってくる空虚感)

絵里(空っぽの部屋……)

絵里(それはまるで誰もこの部屋に暮らしていなかったような…)


絵里「亜里、沙……?」


絵里(呆然とその場に立ち尽くす私…)



絵里(どのくらいの時間こうしていたのだろう……ふと我に返った私は、亜里沙の携帯に電話を掛けてみることにした)


絵里(…が、繋がらない)

絵里(次にロシアの家に掛けてみた……繋がった)


絵里「も、もしもしっ! 絵里ですっ…!」


絵里(亜里沙が家にいないことを伝えた……すると『何を言っているの?』と返ってきた)

絵里(混乱しながらもこの状況を伝えるべく話を続けると…、何がどうしてそうなったかはわからないが、亜里沙は今ロシアにいるらしい…)

絵里「ぁ…はぁぁ…、よかったぁ…」


絵里 (とりあえず無事であることが確認でき、一安心したのも束の間……信じられないことを耳にする)


絵里「えっ……?」

絵里(翌月から亜里沙はロシアの傭兵になるという……そして今はその用意の為に帰国している、と……)

絵里(そんな…いきなり、何でっ……?)

絵里(更に信じられないことに、そのことを私も知っている筈だ…と。以前に伝えられている……そして私もそれに対して反対することなく頷いた…と)

絵里(知らない……私は、そんなこと知らない……)

絵里(電話先の家族も嘘や冗談を言っている様子もなく……、私が……忘れてるの……?)

絵里(…そんなわけない……そんな大切なこと、忘れたりなんかしない…!)


絵里(理解にも、納得にも…遠く届かないけど、一旦電話を切り、気持ちを落ち着かせることにした……)



絵里「……なんなの……なんなのよ……っ」


絵里(わからない……わからないわからないわからないわからないっ……なにもかもが、わからないっ…!)

絵里(なにが正しい情報で、なにが間違った情報なのか……)

絵里(…ただ一つ言えることは…、あの水晶玉が映し出した未来は……やがて現実になろうとしている……)



絵里(……もしも)

絵里(…もしも、何もかもが真実で…真実なのだとしたら……、おかしいのは私の方なのだとしたら……)

絵里(私の身に覚えのない過去があるのだとしたら……それは、)

絵里(過去が作り変えられたとしか…考えられない……)

絵里(…その事象に、原因があるとすれば……あの水晶玉……それは、つまり……)


絵里(未来を私が知ってしまったことによって……)


絵里(過去が、改変された……?)


絵里(そうとしか……そうしか、考えられない……っ)

絵里(……私が了承したって……反対しなかったって……)

絵里(過去の私は何をしてるのよっ…!)


絵里(落ち着け……落ち着け……未来は変えられる筈だ……)

絵里(私が、今からでも全力で反対すれば…)



絵里(…しかし、私の言葉はまったく受け入れてもらえなかった)


絵里(どういうわけか亜里沙自身もその気になっていて……家族もそのことを誇りに思っていて……)

絵里(私が寂しがっている…としか思ってくれなかった……一人になって寂しいからこんな我が儘を言っているって…)

絵里(そうじゃないのに…、違うのにっ…)


絵里(未来は、変えられないの……?)


絵里(酷く絶望した私とは対照的に家族は気味が悪いほど明るかった…)

絵里(傭兵になったとしても死ぬわけじゃない……もし本当に亜里沙自身が嫌だと口にしてきたらその時は温かく迎えてあげる…と)

絵里(そう、なんだけど……死ぬわけじゃない……けど)


絵里(そうか……これは罰なのだ)


絵里(興味本意で未来を覗こうとした、私への…罰……)


絵里(受け入れるしか、ないってこと……?)


絵里(ふ、ふざける、なっ…!!)


絵里「…こ、こんなものっ!!」


ガンッ…


絵里(衝動的に水晶玉を床に叩き付けた)

絵里(しかし、割れるどころか傷一つついていない…)


絵里「…なんでよっ……昨日はあんなに簡単に粉々になってたのに…」

絵里(…呪いなのか、それとも罪を作り続けろということか…)

絵里(……こんなもの、これ以上…一分一秒足りとも持っていたくはなかった)



ピリリリリッ…


絵里(着信……相手は、希…)

絵里(……丁度良いわ……謝ろう……希の水晶玉を誤って割ってしまったことを)
ピッ

絵里「もしもし…、希……あのね、私…希に…」

希『エリチっ! 大変っ!』

絵里「え…?」

希『【※過去安価『理事長』】が、【※過去安価『学校の金を横領して逃亡』】したって!』


希『り、理事長が学校の金を横領して逃亡したって!』

絵里「な、なによ、それっ…! うそ、でしょ…?」

希『どうやら嘘じゃないみたいで…』

絵里「だって…もしそうだったら今頃大ニュースになっている筈でしょ…?」

希『それも時間の問題だと思う…』

絵里「…そもそも、どうして希は知っているのよ…?」

希『ことりちゃんから連絡きて……、ごめんね…ごめんね…って泣きながら謝られて…』

希『それでどうしていいかわからんくなって…エリチに…』

絵里「ならことりにもう一度連絡したら…」

希『途中で切れて掛け直そうとしても繋がらんくて…』

希『どうしよう……エリチ……』

絵里「どうしようって言われても…そんな」

絵里(…横領なんて企てたのは理事長で間違いないとして……だったら、ことりはその巻き添えをくらった被害者…)

絵里(身勝手な母親のせいで……この先、犯罪者の娘という烙印を押されて生活していく…)

絵里(ことりは何も悪くないのだとしたら……そんなのって、あんまりじゃないっ……)

絵里(……あっ)

絵里(…まだ表沙汰にはなっていない……事件が明るみになる前に、なんとか出来たら……)

絵里(……でも何処にいるのかわからないのにそんな…)

絵里(何処にいるのか……何処にいるのかさえわかれば……)


絵里(……未来を映し出す、水晶玉)


希『エリチ…? ねぇっ…』


絵里(……これを使ったとしてもそんな都合良く潜伏先がわかるの…?)

絵里(亜里沙の件をみる限り……この力は本物のように思えるけれど……もしかしたら、私の記憶違いと重なっただけ…ただの偶然なのかも……)

絵里(……でも可能性があるのだとしたら、賭けてみるとしたら、これしか…)

絵里(私はまたこの呪いの力を使って……罪を増やそうとしている……?)

絵里(ついさっき懲りたばかりじゃない……馬鹿よ、そんな…)

絵里(けど、ことりが……こうしなきゃ、ことりの人生が薄汚れたものに…)

絵里(それを救える可能性を持つのは、私だけ……)


希『エリチ? 聞いてる?』

絵里「…希」

絵里「このこと、私以外の誰かに話した?」

希『え? ううん…真っ先にエリチに電話したから…』

絵里「…そう、なら誰にも言わないで」

絵里「私がなんとかするから」

希『な、なんとかって…どうやって…』

絵里「…詳しくは言えないけど…、少しだけ私を信じて……お願い」

希『…………わかった』

絵里「ありがとう…、じゃあまた連絡するから…今日は大人しく家で寝てること。いいわね?」



絵里(希との通話を終わらせ、私は再びあの水晶玉と向き合った…)


絵里(まったく関係の無い未来が映し出されるかもしれない……そうなって私はまた、後悔するかもしれない……)


絵里(それでもいいの…? ……絢瀬絵里)


絵里(…自分に問い掛けた)

絵里(答えはイエスだ……大切な友達が不幸になっていくのを何もせずに見過ごすなんて、出来ない…)


絵里「お願い……私に力を貸して……」
スッ

絵里(ことりとその母親…理事長の居場所……そう心に強く念じながら、水晶玉に両手を近付けた…)


ポワーン…


絵里「見えた……ことりと理事長の居場所……それは【※過去安価『ことり家の屋根裏』】」




ことりの家の前


絵里(……水晶玉が映し出した未来によるとあの二人はまだここにいる)

絵里(勿論、歳も変化はしていなかったようだから…遠い先の未来ではない筈……たぶん…)

絵里(…それにしても、天井裏……ていうかどうしてそんな所に……?)

絵里(事件がおおやけになったら真っ先に調べられる自宅にわざわざ隠れるとは思えないけど…)

絵里(何か理由があってのことなのかしら…?)


絵里「とりあえず今は二人と話をすることが先決ね…」

絵里「…かといって呼び鈴を鳴らして反応があるわけがないし」

絵里「さて、どうしたものかしら……」




絵里「……妙案が思い浮かばないわ」


絵里「…玄関の扉は鍵がかかっていて入れない……窓は、どうなのかしら…」


絵里「……ここは【※過去安価『メイドに変装』】して中に侵入するとしましょう」


絵里「…メイドに変装して中に侵入するとしましょう」

絵里「……うん…そっちの方がやりやすいしね……べ、別に着てみたいと思ってたからじゃないんだからっ…!」


絵里「…って私は誰に向かって話してるのよ……。まぁそんなことより…」

絵里「じゃーんっ、メイド服ー! …なんて用意してるわけないじゃないっ!」


絵里(夜だからテンションがハイになっているのか……まずはこの家に潜入するべく鍵のかかっていない窓が無いかをしらみ潰しに調べてみた)



ガラッ…


絵里(ビンゴ……ここから中に入れる)
スッ


絵里(ことりの家に足を踏み入れた私が最初に向かった場所…)


絵里(それは二人が潜んでいるであろう天井裏……ではなく、)


ガチャッ…


絵里「ここね、ことりの部屋は…」

絵里「わぁお……ことりらしい実に女の子って部屋……んー、良い匂いするわぁ…」

絵里(…ってそんな楽しんでる場合じゃないでしょ……早いところ目的を果たさなくては…)


カタッ…


絵里「あった…」

絵里(クローゼットを開くと、メイド服を発見した…)


絵里「さぁて、お着替えお着替え~♪」



絵里「……よしっ」

絵里「似合ってる似合ってる」

絵里「ん、あーあー…こほんっ、…お帰りなさいませ、御主人様」

絵里「うん…まぁまぁね」


絵里「…ていうか、これ…ことりが着ていたメイド服よね……」
クンクン

絵里「……甘い、匂い……あの子ってばホントはお菓子の国のお姫様かなにかなんじゃないの…」

絵里(ことりの匂い……嗅ぐと、ことりとの思い出が甦ってくるようで…)

絵里(…可愛くて優しくて……いつも私たちみんなのことを思ってくれている…)

絵里(そんな子が不幸に片足を突っ込んでいるこの状況……私が必ず助けてみせるわ)

絵里「…待ってて、ことり」


絵里(準備は整った……あとは天井裏にいる二人を説得するのみ)

絵里(…せめてことりだけでも救ってあげないと)


絵里「…あ、そうだ……このままじゃ私ってすぐにバレてしまうわね」

絵里「顔を隠したいところだけど…何か……」
ゴソゴソ

絵里「あ、この【※過去安価『タイガーマスク』】を使いましょう」



絵里「タイガーマスク……? なんでこんなものがことりの部屋に……?」

絵里「……まぁいいわ…これなら顔を見られなくて済むし」
カポッ


絵里「…よし、これで今度こそ天井裏に向かえるわ。れっつごー!」



ギィィ……


ガコッ…


絵里「よいしょ、っと…」

絵里「ふぅっ…、思ったよりも広いのね……ここで暮らせそうなくらい…」


ことり「だ、誰……!?」

理事長「どうしてここが…」


絵里(本当にいた……ことりも、理事長も…)


絵里(これで確信した……やはり、あの水晶玉の力は本物なのだと…)


絵里「…わ、私はタイガーメイドっ…」

絵里「もう逃げられないわ! 大人しく観念してください!」


理事長「タ、タイガーメイド……?」

ことり(あれ…? この声…それにマスクからはみ出てる金髪…)

ことり「もしかして…絵里ちゃ」

絵里「タイガーメイドよっ!!」

ことり「え……」

理事長「くっ…どうして、この場所が…」

絵里「タイガーメイドは何でもお見通しなのよ。貴女の悪事もすべてね!」
ビシッ

絵里(あれ? 私けっこうノリノリ…?)


絵里「…どうして、こんな横領なんかしたんですか?」

絵里「そのせいでことり…娘さんまで巻き込んでっ……親として恥ずかしくないんですか!」

理事長「……っ」

ことり(絶対絵里ちゃんだよね……なんであんな変な格好してるんだろ……)


ことり(……私を、助けに?)


絵里「どうして…」

理事長「…どうして? そんなのお金が必要だったからに決まってるでしょ!」

絵里「…何の為に……自分の娘が不幸になることを…わかったうえで…」

絵里「お金が必要って……そんなわけ、そんな理由なんかあっていいわけがないっ…」

理事長「…あるわよ」

ことり「お母さん…」

絵里「…なら答えてください……学校のお金を横領してまで、貴女は何の為に…」

理事長「【※過去安価『旅行』】よ! 【※同上】の為に必要だったのよ……お金がっ」


理事長「旅行よ!」

絵里「……は?」

理事長「旅行に行く為に必要だったのよ……お金が……」

理事長「……貴女さっき娘が不幸になるのをわかっていて…なんて言ってたけど、……逆よ」

理事長「行きたい国がある……見せたい景色がある……ことりのことを大切に思っているから…」

理事長「だからっ…、素敵な思い出を作ってあげたいって……ことりの嬉しそうな顔が見たいって……そう思っていたから……っ」

ことり「お母さんっ…!」


絵里「……思い出は、何処にいたって作れるものです」

絵里「その人を大切に思う気持ちさえあれば場所なんか問題じゃない……」

絵里「大切な人と一緒にいる何気無い毎日のなかからこそ、素敵な思い出って生まれてくるものじゃないでしょうか…」

絵里「…ましてや、学校のお金に手を掛けてよいものではありません」

理事長「……っ」

理事長「…………そうね」

理事長「貴女の、言う通りだわ……」



理事長「ごめんなさい……ことり……私のせいで…」

ことり「ううん、そんなことないよ…お母さん…」

絵里「……」


理事長「……自首、します」

理事長「罪を償ったらまた貴女を迎えにいくから……ことり」

ことり「お母さんっ……ぐすっ……」

絵里「……私はただのメイド」

絵里「メイドですから、口は固い…」

理事長「え…?」

絵里「何か理由があって学校のお金を一時的に移動させていただけですよね……明日の朝には元通り」

絵里「…それで誰も困りません」

絵里「誰も、一時的にお金が移動していたなんて知りません」

絵里「私は何も見なかった。何も知らない……それだけです」


絵里の部屋


絵里「うぅー…あー…、疲れたぁ……」

絵里「タイガーメイドは疲れるのよぉ……」
バタッ

絵里「……」

絵里(……なんて、大変な一日だったのだろう…)


絵里(妙な骨董品店で未来が映し出されるという水晶玉を購入して…)


絵里(興味本意で未来を覗き見たせいで…、亜里沙がロシアに戻り、傭兵に……)


絵里(……それによって私の過去も一部改変された)


絵里(更には理事長による横領未遂事件…)


絵里(それを阻止する為に私は…一度は後悔し、絶望させられたあの水晶玉を……、再び使ってしまった…)


絵里(結果として…、そのおかげであの二人を救うことが出来たのだけど……)


絵里(もうこれっきり……。これっきりなんだから……)


ピロローンッ…


絵里「…メール? こんな時間に……ことりから…?」

絵里「……ふふ」

絵里(『ありがとうございました。タイガーメイドさん』……というシンプルな文面…)

絵里(やっぱりバレてたのね……あんなに苦労して変装したのに……)

絵里「…でも、よかった……本当に、よかった……」

絵里(ん……なんだろう、この気持ち)

絵里(人の役に立てた……ことりを救うことができた……この、高揚感にも似た何か……)

絵里(……なにも悪いことだけじゃないのかも……今回みたいに誰かを幸せにする…まではいかないけれど、)

絵里(誰かを不幸から救ってあげられる……そういうことが可能なのかもしれない…)


絵里(この、未来を映し出す水晶玉を持つ私なら……)


翌日


ジリリリリリ…


絵里「ん……ぅ……んん、朝……?」


絵里「にぇむぃ……けど……起きなきゃ……」


絵里「顔洗って…朝食用意して……亜里沙を起こ……そっか……」

絵里「…もう、ここにはいないのよね……」

絵里(…慣れなくちゃね……一生会えないわけじゃないんだし……うん…、会おうと思えば…いつでも……)


絵里「……起きよ……、よっこらせ、っと…」


絵里(ああ…机の上には例の水晶玉がある…)

絵里(…昨日のことは夢なんかじゃなくて、全部…本当の……)


ガリッ…


絵里「痛っ…!?」

絵里「な、何か踏んづけ……なによ、この硝子片っ…もぅっ!」

絵里「痛ぅぁ……まぁ、でも…歩けないほどじゃないし、今日帰ったら掃除しましょう……」

絵里「朝からついてないわ…」



音ノ木坂学院 三年生教室


絵里(…よかった)

絵里(少し不安だったけれど、学校は何も変わらず…騒ぎにもなっておらず、いつも通りの朝…)

絵里(理事長も…一時の気の迷いだったんでしょうね……改心してくれて一安心)


ガラッ…


希「エリチ!」

絵里「あ、おはよう。希」

希「どうなったの!? 昨日のこと」

絵里(…そういえば連絡するって言ってたのすっかり忘れていたわ)


絵里「ああ…あれね、何かの間違いだったみたい」

希「へ…?」

絵里「…ことりが勘違いしちゃってたらしいのよ。そもそも横領なんてあるわけないでしょ?」

希「そ、そうなんや……よかったぁ……ことりちゃんも人騒がせやなぁ…」


希「あ、そういえばエリチ」

絵里「なに?」

希「昨日の夜、ウチがその件で電話した時…何か言おうとしてなかった?」

絵里「え…? そうだったかしら……えーと…」

希「もしかしてウチがなくした水晶玉見付かったとか?」

絵里「す、水晶玉っ!?」

絵里(…未来が映し出される、水晶玉……)

希「エリチ…?」

絵里「……ごめんなさい、心当たりないわ」

希「そっかぁ…」

絵里「……」


絵里(…どうして希に話さなかったんだろう……あの不思議な水晶玉のことを)


絵里(オカルト…摩可不思議な力を持つ水晶玉なんて希が目を輝かせて食い付いてきそうな話なのに…)


絵里(……まさか私、一人占めしようとしてる…?)


絵里(だから、他の人に知られまいと……私だけのモノにしようと……)


昼休み


絵里(……捨てるのも勿体無いし、最後にもう一回くらい使ってみようかしら…)


絵里(でも、またもし嫌な…私が見たくない未来が映ってしまったら……)


絵里(……昨日は他人の役に立った……世のため人のため……私利私欲の為に使うんじゃなかったら、許されるわよね……)


絵里(神様がいるのだとしたら、そんな善い行いをしようと考えてる私に罰なんか……罪なんか、与えたりはしない……)


希「…エリチ」


希「エリチってば!」

絵里「ふぇっ!? の、希…?」

絵里「なに…? どうかした…」

希「どしたの? 今日はずっとぼーっとして…」

絵里「…ん、ちょっと考え事を、ね…」

希「ふーん……ことりちゃん来てるよ?」

絵里「へ…? ことり?」

希「なんかエリチに用事あるって」


ことり「絵里ちゃん、ごめんね? 急に来ちゃって…」

絵里「別に構わないけど……用事って」

ことり「あ、えっと……ここじゃ、その…」

絵里(…ああ、多分昨日のことね……ことりにはバレてたし、仕方ないわ)

ことり「…だから、ちょっと部室でお話ししない?」

絵里「…ええ、そうしましょうか」

希「……ウチは一緒じゃない方がいいみたいやね」

絵里「そ、そんなことは…」

希「ええって、んじゃあとは若い二人でごゆっくりー」

ことり「の、希ちゃんっ…! そういうのじゃっ…」


部室


絵里「……話っていうのは」

ことり「…うん、昨日のこと」

絵里「……」

ことり「……絵里ちゃん、だよね? お母さんのこと説得してくれたの…」

絵里「えー……あー……」


絵里(ほとんど確信に近く気付いてるようだけど…何て答えるべきかしら……)

絵里(あのメールには返信してないから、まだ私が認めたってことにはなっていない…)

絵里(今ここで肯定するのも否定するのも、さほど変わらない気もするけれど…)

絵里(もし肯定したとしたら……私はことりの部屋に無断で侵入してクローゼットを漁り、メイド服をかっぱらい…更には虎のマスクを被った正義の味方気取りのド変態って思われちゃうのかしら……)

絵里(あ……しかも、返し忘れて今は私の部屋のクローゼットに眠っているのよねぇ……あのメイド服とマスク……)


ことり「…ねぇ、絵里ちゃんなんでしょ?」

ことり「そうだよね…?」


絵里(……何て答えようかしら)


絵里「えっとね、ことり……【※過去安価『あんまり追及すると横領のことポリにチクっちゃうわよ?』】」


絵里「えっとね、ことり…… あんまり追及すると横領のことポリにチクっちゃうわよ?」

ことり「えっ……絵里ちゃ……」

絵里(…ってこれじゃ何でそのこと知ってるのってなって、ほとんど私がタイガーメイドですと白状しているようなものじゃないっ…!)

ことり「ご、ごめんなさい……でも、ことり…」

ことり「ちゃんとお礼が言いたくて……お母さんもあの後すごく反省してたから……」

絵里(…でも証拠は無い筈だから私が自分で認めなければそれは私じゃない……うん、そうよ)

絵里「…結果的に何も起きなかったんだからどうでもいいじゃない。私は何も知らない……知ってたとしても、関係無いわ」

ことり「で、でも…」

絵里「しつこいわよ、ことり」

絵里(私としてもむやみやたらにペラペラ喋ることじゃない……もしそれであの水晶玉の存在を嗅ぎ付けられでもしたら……)


ことり「ご、ごめんなさい…」

絵里「……」

絵里(あら…何かしらこのゾクゾクする感じは…)

絵里(……私ってことりの弱味を握っているようなものよね)

絵里(もしかしてさっきみたいに軽く脅せばこの子……私に逆らえず何でも言うこと聞くんじゃ…)


絵里「……ねぇ、ことり」

ことり「絵里、ちゃん…?」

絵里「…警察にチクられたら困るのよね? 事件にならなかったとはいえ、貴女の母親がお金を盗むところ…警備用のカメラにはしっかりと記録されてる」

絵里「……私が警察にカメラを確認してくださいって言えば貴女たち親子……どうなるのかしらね?」

ことり「そ、そんな……」

絵里「チクられたくなかったら【※過去安価『ごはんつくって』】しなさい。それくらいできるわよねぇ…?」


絵里「チクられたくなかったら私にご飯作りなさい」

ことり「へ…?」

ことり「い、いいけど…」

絵里(亜里沙がいなくなって寂しい食卓になるのが嫌でついこう言っちゃったけど…、まぁこれくらいいいわよね…?)

絵里(…ていうかわざわざ怖がらせなくても普通にお願いしてもことりなら快く承諾してくれたと思うけど……)


絵里「…そう、なら今日の練習が終わったら一緒に帰りましょうか」

ことり「うんっ」



練習後


ことり「絵里ちゃん、行こっか?」

絵里「そうね」

穂乃果「あれ? ことりちゃん、絵里ちゃんとどっか行くの?」

ことり「うん、ちょっとね」

穂乃果「え、もしかして…デートとか?」

ことり「えっ…、えっと…それは」

絵里「少し買い物に付き合ってもらうだけよ。ね? ことり」

ことり「う、うんっ…そうなの!」

絵里(…ことりの顔、少し赤くなってる? 気のせいかしら…)

ことり「絵里ちゃん、早くしないと遅くなっちゃう」

絵里「はいはい、そんな急かさないでよ」

絵里「じゃあみんな、また明日ね」


スーパー


ことり「んー、何にしようかなぁ…」

ことり「絵里ちゃん喜んでくれそうなのはぁ…」
ギューッ

絵里「……っ」

ことり「…絵里ちゃん、食べたいものとかある?」

絵里(くっつきすぎでしょ……腕組んで晩御飯の買い物なんて…新婚カップルじゃないんだからっ…)

絵里(そ、その…胸とか、当たってるし……ていうかむしろ押し付けられてる……柔らかい感触がヒジに……)

ことり「絵里ちゃんー? 聞いてますかぁ?」

絵里「き、聞いてる聞いてるっ…! ことりが作るものだったらなんでもいいわよ…」

絵里「絶対おいしいに決まってるし」

ことり「えへへ……そんなことないよぉ……でも、頑張って美味しいの作るね」

ことり「喜んでくれるとうれしいなぁ…」

絵里(かわいい……この子……これが無意識だとしたら反則でしょ…)

絵里(あ、また頬を赤らめて……ほっぺツンツンしたくなっちゃうじゃない…)

絵里(あ……も、もしかして、私に惚れてたり…?)

絵里(い、いやいや…それはさすがに飛躍しすぎか……でも昨日のこと、私に助けられたと思ってるから……それで…)

ことり「絵里ちゃん? またぼーっとしてる…」

絵里「……」

絵里(よし……ここは【※過去安価『晩飯代を奢るよう命令』】をして確かめてみるとしましょう)


絵里(夕飯代…今買ってる材料費を奢るよう命令してみようかしら)

絵里(私のこと好きなら二つ返事で払ってくれる筈よね…)


絵里「…ことり」

ことり「うん?」

絵里「この肉やら魚やら野菜やらのお金なんだけど…払っておいてくれるわよね?」

絵里(…なんかホストみたいね、私)

絵里「…いいかしら? 私、鞄から財布を取り出すの面倒なのよ」

ことり「うん、もちろん! 当たり前だよ」

絵里「ふぇっ?」

ことり「だってこれは絵里ちゃんへのお礼なんだから。絵里ちゃんが払うって言っても絶対に払わせませんっ」

絵里「あ、ああ……そう……」

絵里(…たしかにその通りよね)

絵里(私への恋心以前に昨夜の件……感謝の気持ちが大きいのは当然か……)


絵里「そうだっ、夕飯食べた後にお菓子パーティーしましょう!」

絵里「このスナック菓子おいしいのよねー、あとこのチョコレートも!」

絵里(ここぞとばかりに買い物かごへお菓子を放り込む…!)
ポイポイッ

ことり「あ、このお菓子ことりも好きなんだぁ」

ことり「さすが絵里ちゃんっ!」

絵里(嫌な顔一つ見せない……なんだか悪いことしてる気分だわ……)


絵里(結局ことりの私への好意はよくわからないまま…)

絵里(まぁ別にいいけど…)


絵里の家


カチャッ…


絵里「ただいまー」

絵里(……って、誰もいないのよね…)

ことり「……」

絵里「…どうぞ、入って」

ことり「おじゃましまーす」

絵里「いっぱい買っちゃったわね……重くなかった?」

ことり「平気だよ。絵里ちゃんも半分持ってくれたし」

絵里(一度気にしてしまったら何をしてもカップルみたいに思えてしまう…)

絵里(食材の入った袋を半分ずつ携えて歩くとか…同棲中のカップルかっての…)


絵里「すぐ電気つけるからちょっと待ってて」
パチッ

ことり「…絵里ちゃん、毎日寂しくない?」

絵里「えっ…」

ことり「亜里沙ちゃんいなくなって一人で生活してるんでしょ…? ことりだったら絶対無理だよぉ…」

絵里「……」

絵里(……そうか、よく考えてみれば当然だ)

絵里(未来を覗いてしまったことによる過去改変……それはなにも私だけが対象になるわけじゃない)

絵里(すべての辻褄を合わせるように……変化が生じた過去を再構築する糸は私の周りの人たちをも絡め…巻き込んで、そのカタチを変える…)


ことり「じゃあキッチン借りちゃうね」

絵里「ええ、好きに使って構わないわ」

絵里「…あ、私も何か手伝うわよ」

ことり「だ、だめだめっ! 今日はことりが一人で作るのっ」

絵里「え……私、そんなに料理下手って思われてる…」

ことり「あ、いや…ううん、そうじゃなくてっ…」

絵里「いいのよいいのよ……そりゃあことりには敵わないかもしれないけど……私だって、人並み程度には…」

ことり「ち、違うのっ……今日は、その…」

ことり「ことりがぜんぶ一人で作ったご飯を…絵里ちゃんに食べてもらいたくて…」

絵里「へ…?」

ことり「…それで、食べてみておいしいって言ってくれて……また呼んでもらえたら、うれしいなぁ」

絵里「…わかったわ。そういうことならすべてことりに任せる。美味しい夕飯期待してるわね」

ことり「うんっ、ちょっと時間かかるから絵里ちゃんは寛いでて」

絵里「はいはい、なにかあったら遠慮なく声かけてね」


トントントントン…


ザクザクッ…


コトコトコト…



絵里(……とはいっても暇ね……これといってやることもないし)

絵里(【※過去安価『1.料理が一品出来上がるたびにハラショー!って大声で叫びながらスマホで撮影してみんなに転送』】でもしてようかしら)


1、ことりにちょっかいかける(内容も)
2、一人で何かしてる(内容も)
3、水晶玉使う


ことり「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ~♪」
コトコトコト

ことり「煮込んでる間にサラダを盛り付けて……トマトさん、きゅうりさん、パプリカさんっ」

ことり「ん、よしっ……サラダ完成」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「きゃっ!?」

絵里「ハラショーよっ、ことりっ!! うわっ、すっごいおいしそうなサラダっ!!」

ことり「あ、え、あー……そ、そうかな……」

絵里「ねぇこれ写真撮っていいっ!? いいわよね!? ってもう撮ってるけどー!! ハラショーーっ!!」
パシャパシャパシャッ

ことり「な、なんでいきなりそんなハイテンション…?」

絵里「きゃー! 見て見てっ! キレイに撮れたわぁ! そうだっ、みんなに送ってあげましょう! うんっ、それがいいわ!」
ピッピッ

ことり「わ、わぁ…そんなに喜んでくれて、嬉しいなぁ……あっ」

ことり「あぶないあぶない…絵里ちゃんに気をとられてて煮すぎちゃうところだった…」

絵里「良い香り…なにかしら?」


ことり「うん、いい感じっ♪」
グツグツ

ことり「肉じゃがも完成っ、お皿に移して…っと」

絵里「ハ…ハラ、ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「ひぃっ!」
ビクッ

絵里「この肉じゃがもすんごいおいしそうじゃないっ! いやっ、もうおいしいっ! 食べてないけど目と鼻がおいしいっ!!」

絵里「ハラショーよぉーっ! ことりーっ! なんてっ、なんてすばらしいものばっかり作るのっ!?」
パシャパシャパシャッ

絵里「んぁもうぅぅぅっ!! 画像おいしすぎてヤバイのよぉぉぉっ!!」

絵里「携帯の画面越しにも滲み出てくる肉汁おいひいいいいのおおおおっ!!!! ハラヒョオオオオオ!!!!」
ガリガリッ

ことり「そ、そんなにお腹すいてたんだ……ごめんね、もうすぐ」


ピピピッ…


ことり「あ、ちょうどご飯も炊け」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

絵里「白米白米っ!! なんてキラキラしてっ、もうどれだけ私をハラショーさせたら気が済むのよことりはもうおおおっ!!!!」
パシャパシャパシャッ

絵里「えへへぇ、んー美味しそうっ! みんなにも御報告御報告ー♪」
ピッ

絵里「えーと…ことりにおいしいご飯作ってもらいました……送信っ♪」
ピッ



絵里「はぁぁん…、もうおなかいっぱいよぉ……しあわせぇ…」

ことり「まだ一口も食べてないよね? いただきますしよ?」

絵里「…そうね、いただきます」

ことり「あ、落ち着いた…」

絵里(……私への好意を確かめるためにラブラブ新婚カップルを気取った手料理画像を手当たり次第に送ってみたけど…)
パクパク

絵里(ことりがそれを止める様子はなかった……これはもう私との仲を誰に知られても問題無いとの顕れ)
パクパク

絵里(…ということは、ことりは私に好意を寄せているとみて間違いなさそうね)
パクパク

ことり「どうかな? 味付けとか」

絵里「…ええ、とても美味しいわ。さすがことりね」

ことり「…さっきとのテンションの変わりようがすさまじくて全然心に響いてこない……」

絵里「おいしいわ。本当よ? お嫁さんにして毎日作ってもらいたいくらいよ」

ことり「ふぇっ!? んんっ…! けほっ…けほっ…! 変なところに、ニンジンがっ……けほっ、けほっ…!」

絵里「だ、大丈夫…?」

ことり「も、もうっ、からかわないでよ…絵里ちゃん…」

絵里「ごめんごめん。あ、そうだ…せっかくこうして二人で食事してるんだから普段あまりしないような話でもしましょう」

ことり「あまりしないような話って…たとえば?」

絵里「そうねぇ……【※過去安価『格闘技』】とかはどうかしら?」


絵里「好きな格闘技の話とかはどうかしら?」

ことり「か、格闘技…?」

絵里「空手とかボクシングとかプロレスとか…いろいろあるでしょう?」

ことり「う、うーん……ことり、あまりそういうのは観ないから…」

ことり「だって殴られたり蹴られたり…痛そうで……どっちかっていうと、苦手かなぁ…?」

絵里「…そう」

ことり「絵里ちゃんは好きなの? 格闘技」

絵里「いえ、まったく」

ことり「…なんでこの話ふったの?」

絵里「え、いやぁ、もしかしたらことり好きかなぁって思って…」

絵里「あ、ほらっ、女の子女の子してる子って意外とそういう格闘技好きな人多いって聞くから」

ことり「へぇ…そうなんだぁ」

絵里「まぁ興味無いんだったらそれでいいと思うけどね」

絵里(…あら? あのタイガーマスクは、じゃあ……まぁどうでもいいか)


絵里「逆にことりは私に聞きたいこととかないの? 二人だけしかいないんだから何でもいいのよ?」

ことり「うーん……あ、絵里ちゃって、【※過去安価『どうしてハラショーの発音がちょっとおかしいの?』】」



ことり「絵里ちゃんって、どうしてハラショーの発音がちょっとおかしいの?」

絵里「え? は、発音…?」

ことり「うん……前からちょっと気になってたんだよね」

絵里「へ、変なの…? 私って…」

ことり「ちょっと一回言ってみて? ハラショーって」

絵里「ハ↑ラ↓ショ↓ー↑」

ことり「……変だよね?」

絵里「そ、そうかしら……? 自分じゃよくわからないのだけれど…」

ことり「これわかんないって相当ヤバいと思うの…」


絵里「ハ↓ラ↓ショ↑ー↑」


絵里「ハ↑ラ↑ショ↑ー↑」


絵里「……気にすればするほど深みに嵌まっていってる気が…」

絵里「あぁうぅぅ……ことり…何が正解なのか、私にはわからないわ」

ことり「えぇと…、ハ↓ラ↑ショー↓」

ことり「これで合ってると、思う……たぶん…」

ことり「ごめん、ことりも自信なくなってきちゃった…」

絵里「もうなんでもいいわ…」


絵里(…それからことりと他愛もない話をしながら夕食を食べ終えた)



絵里「ごちそうさまでした。今日はありがとね」

ことり「ううん、絵里ちゃが喜んでくれてよかった」

ことり「寂しくなったらいつでも言って? また来るから」

絵里「……」

絵里(寂しくなったら……か……)

絵里「……ことり、一つ訊いていいかしら?」

ことり「ん、なぁに?」

絵里「…たぶん今から私…、すごくおかしな質問すると思うのだけど……ちゃんと答えてほしいの」

ことり「う、うん…?」

絵里「……私、今この家に一人で住んでいるわよね?」

ことり「うん…そうだよね」

絵里「それっていつから?」

ことり「へ?」

絵里「…いつから私は一人で、この家に暮らしているの……?」

ことり「え、絵里ちゃん……?」

絵里「自分でもおかしなことを言っているのは百も承知よ……でも、答えて……お願い」

絵里「ことり」

ことり「……た、たしか1ヶ月前くらい…じゃなかったっけ?」

絵里「1ヶ月前……そんなに前だったの……」

絵里(…過去改変が起きたのなら、それはおかしい……だったらこの一月間、亜里沙はここにいなかったことに…)

絵里(大きな矛盾が生じている……だって、私の記憶では昨日の朝に亜里沙と……あれ…?)

絵里(亜里沙と、何を話した……? そもそも亜里沙と顔を合わせたかしら……)

絵里(私が骨董品屋へ向かう前、亜里沙と……思い出せない……)

絵里(な、なら一昨日は……! その前はっ……何も…、何も覚えてない……?)

絵里「ぁ……っ、はぁっ……はぁ……」

ことり「絵里ちゃん…?」

絵里(なにこれ…、思い出そうとすると、気持ち悪く……や、やばっ…!)

絵里「ぅ……うぷっ、おぎゅっ…ぁ……っ」

絵里(強烈な吐き気がっ…、トイレにっ……)
フラッ



絵里「うぶっ…、おぇっ、おぇええええぇぇっ…!!」
ビシャビシャビシャ


絵里「ぁがっ…ぅ……っ、はっ……げほっ、げほっ…!!」


ことり「え、絵里ちゃんっ……大丈夫!?」

絵里「はぁっ…、はぁっ……ご、ごめんなさい……っ」

絵里「ごめん、ね……っ、せっかく…作ってくれたのに…、こんなっ……はぁっ、はぁっ…」

ことり「そんなのどうだっていいよっ! 気分悪いの…? 顔色も…」

絵里「はぁっ…はぁっ…、だいじょうぶよ……もう、落ち着いたから……」

ことり「ほ、ほんとうに……?」

絵里「ええ…、もうこの通り…」

ことり「ならいいけど…、心配だし…今日はことり、泊まっていって」

絵里「…駄目よ。お母さんが心配しちゃうでしょ」

ことり「大丈夫だよ。絵里ちゃんちって言えば」

絵里「……私は平気だから、もうことりは帰りなさい」

絵里「ほんとは送っていってあげたいけど、ちょっとそれは無理みたい…」

絵里「一人で、帰られるわよね?」

ことり「で、でも…こんな状態の絵里ちゃを放ってなんて」

絵里「大丈夫よ」

ことり「絵里ちゃ」

絵里「早く帰りなさい」

ことり「……っ」

絵里「私の言うことが聞けないの? 帰れって言ってるのよ」

ことり「……はい」


ガチャ…



絵里「…はぁっ……はぁっ……ごめんね、ことり…」

絵里(それにしても…、なんなのよっ……この、脳を直接掴まれて…、揺さぶられているような……気持ち悪い…)

絵里「うぶっ…ま、またっ……ぁぶっ…! かっ……きゅっ、ふぅっ……おぇっ、おええぇっ…!!」
ビシャビシャビシャ


絵里「はぁっ……ふぅっ…ぁ……くっ…、ぁ……はぁ……」


絵里(…食中りじゃ、ないわよね……? 腹痛とかは、まったくないし…)

絵里(そんなんじゃなくて、もっと…、なんていうか…)

絵里(改変された過去へ私が踏み入れようとするのを……拒むみたいに……脳が警報を、鳴らしてる……)


絵里(この時には、私の思考はもうぐちゃぐちゃで……それが改変されたものだろうが、されてないものだろうが、……過去を思い出すことに、とてつもない恐怖を感じていた…)


絵里(嫌だ……嫌だ嫌だっ……、いや……っ)


絵里(考えるな……なにも……なにも、考えるな……)


絵里(過去は恐ろしいもの……何を思い出すも、それ自体が罪……)


絵里(…そう脳に刷り込まれているような気がして)


絵里(頭のなかがぐちゃぐちゃで……半分無意識だった……)


絵里(…床に伏していた私はぺたぺたと這いずり、階段を上っていて……)


絵里(…ふらふらになりながら自室へ辿り着いていた)


絵里(……それはまるで、あるものに惹き寄せられるように)


絵里(苦しい……助けて……なんでもいい、今の状態から……救って……)


絵里(気が付くと目の前には、あの水晶玉があった…)


絵里(それは安直過ぎる発想だった……過去を思い出したくないのなら、未来を見ればいい…)


絵里(そうすればきっと……今より楽になれる……)


絵里(そんな気がして……)


絵里(私は水晶玉の方へと、両手を近付けた)


ポワーン…


絵里「なっ……、え……?」


絵里「これって……わた、し……?」


絵里(今まで見た二回よりもやや不鮮明だったが……そこに映し出されていたのは……紛れもなく、自分の姿だった)


絵里「なに、よ……これっ……、こんなの……、なん…で……?」

翌日


絵里「ん……、朝……?」


絵里「……ぁ」


絵里「や、やばっ…! 寝過ごした…!? ……って」

絵里「……6時50分……ビックリしたぁ…、まだ全然余裕じゃない……もぅ……」

絵里(あまりにもスッキリした目覚めにまさか二度寝でもしてしまったかと一瞬焦っちゃったけど…)

絵里(時計を見ればいつもの起床より三十分以上も早い…)

絵里(あの地獄のような吐き気……具合の悪さも、今は嘘のように消え去っていて……むしろ絶好調と言っていいほどの、身体の軽さ)


絵里(…あまりよく覚えてはいないけど、たしか水晶玉を見て……映っていたのは……っ)

絵里「……っ」
ゾクッ

絵里(……やめよう)

絵里(意識なんて半分朧気だったし、夢をみていたのかもしれない……)

絵里(…そう、あれは夢……そうでも思わなきゃ、あんなの……)

絵里「……シャワー浴びて学校の支度しなきゃ」



音ノ木坂学院 三年生教室


絵里(いつもより早く学校に着いてしまった…)

絵里(……まだ誰もいない……当然ね)


絵里(…それにしても、昨夜私を襲った急激な体調の悪化はなんだったのか…)

絵里(改変された過去を思い出そうとしたから……?)

絵里(苦しみに悶えている最中はそうだと思っていた…、けど)

絵里(……それは多分違う)

絵里(わからないけど…、それも原因の一部かもしれないし、そうじゃないかもしれない……)

絵里(ただ一つ言えることは、それだけでは決してないということ…)

絵里(だって……脳も、思考も、記憶も、私の命令に絶対的に従う…わけではない)

絵里(私じゃなくても大抵の人間ならそうだ……脳というのは思っている以上に働き者で、頼んでいない仕事でもこなそうとする…)

絵里(考えるなと思えば思うほど、逆にそれは難しくなり……気付けば埋め尽くされている)

絵里(今日だって…朝起きてからここ一ヶ月以内の亜里沙との記憶を考えないようにと努めていたけど……不可能だった)

絵里(思考は私の意に反して意気揚々と活発的になり、その扉を開けたがる……そして、躊躇いもなく開いてしまう)

絵里(まぁ…結局、私が欲しがっていた記憶は見付からなかったのだけど……)

絵里(…だからこそ、おかしいのだ)

絵里(……禁忌を犯してしまった、と後悔したが、あの恐れていた苦しみが私を襲ってくることはなかったから)

絵里(ホッと安心したのも一瞬で…、次にはすごく怖くなった……改変された過去への侵入が苦しみへのトリガーではないのなら……、あれは一体何だったというのか……)



絵里「はぁぁ……」

絵里(……どんなに考えてもわからないものはわからないわよね…)

絵里(……もう起こらないと信じて、普段通り過ごしましょう)


ガラッ…


希「おや…?エリチ…」

絵里「おはよう、希」

希「あ…、お、おはよ…」

絵里「どうしたのよ? そんな珍しいもの見るようか顔して…」

希「いやぁ…、だってエリチがウチより早く学校来てるからビックリしちゃって…」

絵里「たまたまよ。今日はスッキリ目が覚めたから」

希「…ふーん、何か良いことでもあった?」

絵里(…逆よ……地獄を味わったわ……)

希「ああ、わかった! ことりちゃん!」

絵里「えっ?」

希「エリチ、昨日練習終わった後にことりちゃんとどっか行ってたもんね」

希「手料理ご馳走になったらしいやん? 画像まで送ってきて…あー羨ましいー」

絵里「ま、まぁね…」

希「おいしかった?」

絵里「ええ、とてもね」

絵里(食べたもの全部吐き出してしまったけど…)

希「他には?」

絵里「ん…?」

希「エリチって今一人暮らしやん? ご飯作ってもらって一緒に食べて…まさかそれだけってことはないよねぇ?」

希「ご飯食べた後、何したか気になるなぁ…?」
ニヤニヤ

絵里「な、何言って……、別にことりと何かって……【※過去安価『婚約』】したくらいよっ…」


絵里「……婚約したくらいよっ…」

希「へー……ほぉー……ふーん……」

絵里「な、何よっ…? その興味無さそうな反応は…」

希「いやぁ…エリチでもそういう冗談言うんやなぁって温かい気持ちになってね」

絵里「どこが温かい気持ちよっ! どう見たって冷めきってるじゃないっ…」

絵里「…ていうか希ったら信じてくれないのね……ショックだわ」

希「はいはい、信じてる信じてる」

絵里「もー」

希「あっ…、噂をすれば」

絵里「ん?」

希「昨日に引き続き、会いに来てくれとるよ? エリチのかわいいかわいい婚約者さんが」

ことり「お、おはよ…」

絵里「おぉ…愛しのマイハニーのことりっ、グッモーニン!」

希「…っ!?」

絵里「昨日は私への愛がたっぷりこもったお料理ごちそうさま」

ことり「ど、どういたしまして……。元気そうで安心したよ……ていうか元気すぎだね…」

絵里「そりゃあことりの顔見たら元気にもなるわよー! もうっ、朝から可愛いんだからぁ!」

ことり「どうしようっ、希ちゃんっ! 昨日から絵里ちゃんがちょっと変なの!」

希「うん…そうみたいやね…」


絵里「それよりことり、今のうちに今日の予定を決めておきましょう」

ことり「今日の? 何か約束してたっけ…?」

絵里「していないけど付き合ってくれるわよね?」

絵里「……わかってる? 警察にあのことチクられたくなかったら…」
ヒソッ

ことり「…っ!? は、はい…」

絵里「よぉしっ、決定ー!」

希「……?」

絵里「うーん、じゃあ今日は何をしようかしら…お買い物に行くのもいいし、映画も素敵よねぇ」

ことり「あ……の、希ちゃんも一緒に行こ?」

希「ほぇっ? ウチも?」

ことり「おねがいっ…! ことり一人じゃ絵里ちゃんのテンションの移り変わりの激しさに上手に対応できる自信がないの!」

希「エリチ、完全にヤバいやつと思われとるやん……」

絵里「むぅ……そんなことないわよ……」


ことり「ねぇ…希ちゃん?」
ヒソヒソ

希「うぅん…」

ことり「…昨日の絵里ちゃん、ちょっと変だったから不安なんだ」

希「まぁ今のこの様子見てればなんとなく…」

ことり「そうじゃなくて…」

希「うん…?」

ことり「実はね…、昨日…」



希「は、吐いてた……?」

ことり「うん…だから昨日帰ったあともずっと心配で…」

希「吐くほど不味い料理って実際に存在するんやね…」

ことり「こ、ことりのせいじゃないからっ! ……たぶん……ことりも同じの食べたけど、平気だったし…」

希「ごめん、冗談。なら元から体調悪くて無理してたとか…?」

ことり「…そうは見えなかったような……ことりがお料理してる時とか今の八倍くらいテンション高くて…」

希「なんなんやろ……情緒不安定?」

絵里「ちょーっと! なにさっきから私をほったらかしにしてふたりだけで話してるのよ!」

ことり「え、絵里ちゃんっ……なんでもないよ? なんでも…」

希「ねぇエリチ、今日の放課後ウチもご一緒していい? 二人だけ楽しそうなのもずるいし」

ことり「希ちゃんっ!」
パァー

絵里「御断りよ!」

希「ホントに? ありがとー! すっごい嬉しいわー!」

絵里「ん?」

希「うわぁ、もう今から楽しみになってきたー!」

絵里「あ、あれ……?」

ことり「あっ、もうそろそろことり教室に戻らなきゃ。じゃあまたね、絵里ちゃん希ちゃん」

希「ばいばーい」

絵里「……」

希「…さて、ウチらで予定決めとこっか」

絵里「本当についてくるつもりなのね……」

希「うふふ」


練習後


海未「では今日はここまでにしましょう。お疲れ様でした」


穂乃果「ふはぁ…つかれたぁ……ことりちゃぁん、一緒に帰ろ」

絵里「ふふふ…悪いわね、穂乃果」

穂乃果「絵里ちゃん…?」

絵里「今日もことりはこのエリチカがリザーブ済みなのよ!」

穂乃果「えー! 絵里ちゃん昨日も連れてったじゃーん!」

希「今日はウチも一緒なのだ」

海未「希もですか…」

穂乃果「ずるいずるーい! 穂乃果だってことりちゃんと遊びたいのにー」

絵里「穂乃果は小学生や中学生の時、ことりとたくさん遊んでたんでしょ? 少しは我慢しなさい?」


絵里「さーてっ、こーとーりー♪」

ことり「あっ、はぁーい!」

穂乃果「穂乃果も一緒に行」

希「ごめんなぁ、穂乃果ちゃん……ことりちゃんの隣はウチとエリチでもう埋まっちゃってるんよ」

穂乃果「な、なら後ろでも」

海未「穂乃果、行きますよ」

穂乃果「むぅー…」

海未(それにしても、あんな底抜けに明るい絵里を見るのは初めてですね…)



ことり「えっと、今日も絵里ちゃんちでご飯作る?」

絵里「それもいいけど、今日は昨日とは違うことをしましょう」

ことり「…違うこと?」

絵里「ことりが教室に戻った後に希と話し合って決めておいたのよ」

絵里「これから私たちは【※過去安価『吉原』】で【※過去安価『風俗回り』】するの!」


絵里「これから私たちは吉原で風俗回りするの!」

ことり「へ……?」

絵里「さぁ私についてきなさい! いざ遊郭へっ!」

希「とかわけのわからんこと言ってるエリチは放っておくとして…、ウチらは甘いモノでも食べにいこっか?」

希「練習で疲れた体は糖分を欲してるのだぁ」

ことり「うんっ! どこがいいかなぁ? 迷っちゃうっ」

希「ことりちゃんそういうお店詳しそうやしねー」

絵里「って待て待てぇーっ!」

希「あ、エリチも一緒に行く?」

絵里「え? 誘ってくれるの? うれしいっ! …じゃなくてぇーっ!!」

ことり「ことり、最近ホントに絵里ちゃんがこわいのです…」

希「どうしてしまったんやろうなぁ…」

絵里「吉原は? 風俗はっ!? 甘いモノとか…もう子供じゃないんだから、大人なのよ!? 私たちっ!」

希「いえ、まだ子供です」

ことり「ガラスの十代なのです」

希「だいいち今から吉原に行ったとして遊んで帰ってくる頃にはとっくにテッペン回ってしまうやろうし」

絵里「そ、それは……大丈夫よ…! うん…、ぱぱぱーっとやること済ませちゃえば…」

希「そもそも…そんなお金あるの? 三人で遊んだとしていくらかかると思ってる?」

絵里「お、お金……」

絵里「…お金は、ないわ……」

希「せやろ?」

ことり「だから今日は希ちゃんの言う通り甘いモノ食べにいこ?」

絵里「…わかったわ、そうしましょう」


絵里(…まぁ私も背伸びしてたとはいえ、本気で風俗なんか行こうとしてたわけじゃないけど…)


絵里(……けど…、エッチなこととかは……ちょっとしてみたい……)


cafe バレンタイン


希「へぇ、近くにこんなお店があったんやねぇ」

ことり「最近噂になってて…ことりも初めてなんだけど、前から行ってみたいなぁって思ってたの」

希「どんなお店なん?」

ことり「手頃なお値段でとっても美味しいんだって。なかでもチョコレートのスイーツがオススメらしいんだ」

希「エリチ、チョコ好きやったよね?」

絵里「あ、うん……そう、ね……」

希「ってめっちゃテンション低っ!」

ことり「え、絵里ちゃん元気出して…?」

希(そんなに風俗行きたかったんやろうか……こりゃろくな大人になりそうにないから卒業したらバッサリ縁切ろうかな……)


カランコロンカラーン…


店員「いらっしゃいませぇ~☆ さんめい様ですかぁ~?」

希「ほぇー……なんかすごいきゅるんきゅるんしとるお店やねぇー」
キョロキョロ

ことり「ふわぁ~~かわいい~~!」

店員「さんめい様ですかぁぁ~?」

希「あっ、見て見てっ! あそこチョコが噴水みたいに湧き出てる!」

ことり「チョコフォンデュだぁ♪ とっても甘い匂いがここまで漂ってきてる~」

店員「さんめい様でぇすぅかぁぁ~?」

ことり「あ、はい、3人です!」

店員「かっしこまりましたぁ~♪ それではお席までご案内しまするぅ~っ☆」


店員「こちらでぇ~すっ! ただいまメニューお持ちしますのでお座りになってお待ちになっててくださいませ~☆」


希「おぉ…テーブルまでチョコレートの色してるね! でっかい板チョコみたい!」

ことり「希ちゃん希ちゃんっ」

希「ん、どしたん? ことりちゃん」

ことり「このイス…、このイスって……【※過去安価『突起がついてる』】」


ことり「このイス……突起がついてる!」

希「ほ、ほんとや…!」

絵里「……!」

ことり「ど、どうしよう…」

希「ちょうど真ん中ら辺にピョコンって突き出てるから…、ちょっと座りにくいね…」

ことり「ふぇぇ…」

絵里「…何してるのよ? 早く座りなさい。立ったままだと周りのお客さんに変な人だと思われちゃうわよ」
ストンッ

絵里「ぁ……ん…、んっ……」

絵里(突起が…、いい位置に……っ)


ことり「そ、そうだね……ことりたちも座ろっか」

希「う、うん…」

ことり「んっ…、ゃ……あっ……」

希「ぅ……ふぅっ……あはは…、やっぱちょっと、気になっちゃうね…」

ことり「そ、そうだね…」

ことり(うぅ……なんか落ち着かないよぉ……でも、もぞもぞすると擦れてっ……)


店員「おまたせしましたぁ~☆ こちらがめにゅぅ~なのです~♪」

希「あ、ども…」

ことり「うーん…、なににしようかなぁ…」

絵里(変な名前のメニューばっかり……)


店員「お決まりになられましたかぁ~?」


希「じゃあウチはこの、【※過去安価『ロシアン美女』】仕立てのチョコパフェで」

ことり「ことりはこっちの、【※過去安価『唐辛子』】入りの特製マカロンタワーを」


絵里「…私は、【※過去安価『うみうみ』】のザッハトルテを頂くわ」

数分後


店員「おまっせしましたぁ~♪ こちらがロシアン美女仕立てのチョコパフェでぇぁす☆」
カラカラカラ


ロシアン美女「ウフフ、ゴ指名ドウモセンキューデース」

希「なっ…、えぇ……?」

ことり「わぁ、綺麗な人……外人さん? あ、ロシアの人か」

希「…どっちかというとエセ日本語喋るエセアメリカ人っぽいけど…、まぁ見た目はエリチの四倍ロシア人に見える…」

希「…ていうかクリームやらチョコやらフルーツを裸体に盛られて……これ、どっちかっていうとパフェに仕立てられた外人さんなんじゃ……」

ロシアン美女「ドウゾオメシアガリクダサーイネー!」

絵里「さぁいくのよっ、希!」

希「えぇー……」

店員「次のお客さんも控えてますのでさっさと食べちゃってくださいねぇ~♪」

希「えっ、ウチが食べ終わらんとこのロシアン美女仕立てのチョコパフェはオーダーストップになってしまうん?」

ことり「あ、あの…写真は」

店員「撮影は禁止でぇ~す☆」

ことり「ですよねぇー」


他の客「すいませーん! こっちのロシアン美女仕立てのチョコパフェまだですかー!」

店員「まだですー」


希「はわわっ…! ウチのせいで…」

絵里「希っ!」

ことり「希ちゃんっ…!」

店員「お客さまぁ、は~や~く~!!」

ロシアン美女「カモンカモンよ」


希「うぅ……た、食べればええんやろ…食べればっ!」


希(ホントのところ…こういうのちょっと…ていうか、かなり抵抗あるんやけど…)


希(…なんやろ、はよ食べんと店員さんや他のお客さんに迷惑かかってしまうってプレッシャーと、店内を充たしてる頭がくらくらするくらい甘ぁい匂いに正常な思考能力が奪われて…)


希(気が付くと目の前のチョコパフェ仕立ておねぇさんを舐め回していた…)


希「んむっ、ぷぁっ…ちゅる……ぺろぺろっ、ちゅぱっ……ふぢゅぅっ…!」

希「ふぁふっ…んく、ぢゅる……はむっ……ちゅひゅ、ふうぁ…!!」

ロシアン美女「ンンっ…んぁっ……ああっ……!!」



希「げふぅっ……なんか、もう…、なにがなんやら……でも…、めっちゃおいしかった……」


店員「おまたぁせしぃましたぁ~! 唐辛子入りの特製マカロンタワーでございますりゅ~☆☆」
ドーンッ


ことり「あ…、ああ……赤いっ……赤いよぉぉーっ!!」

絵里「何段重ねになっているのかしら……器用に乗っけるわね」

希「ことりちゃんらしからぬチョイスやね…」


店員「こちらの特製マカロンは砂糖の代わりになんとなんと~唐辛子を! 卵白を泡立ててメレンゲ状にしたその気泡の隙間一つ一つにこれまた唐辛子をびっし~りっ♪」

店員「そして間に挟まっているクリームはですね~☆」

ことり「も、もう聞きたくないっ…、聞きたくないですっ…!!」


他の客「ちょっとー! こっちの唐辛子入りの特製マカロンタワーまだー!?」

店員「まだですー」


店員「さぁさぁっ! がーっといっちゃってくださぁい♪ かわいらしいお嬢さんっ☆」

ことり「い、いやぁ……頼んでおいてあれですけど、さすがにこれはちょっと…」

店員「この特製マカロンを盛り付けてあるお皿は特製食器なのですっ! 他の普通の食器だとこのメニューの辛量に耐えられなくてどろんどろんに溶けちゃうのでふぅ~☆」

店員「ですので、かわいらしいお嬢さんっ! とっととお召し上がりになってくださぁいねぇ~♪」

ことり「えぇっ……そんなもの食べたらことりの胃袋もどろんどろんになっちゃう…」

絵里「…ことり、もしどろんどろんになってしまったら」

ことり「絵里ちゃ…」

絵里「私がもっともっとどろんどろんにしてあげるから安心しなさい」

希「エリチが言うてることはまったく意味不明やけど、がんばって! ことりちゃん!」

ことり「ふぇぇ~!?」


ことり(甘い匂い……すべてはこの甘い匂いのせいだと思う……)


ことり(肌を撫でる空気ですらべたべたするくらい甘ったるかったから……。目の前にズドンと聳え立っている辛いモノ……)


ことり(知らず知らずのうち…無意識に、それに魅せられてしまっていたんだ…)


ことり(…とろとろに溶け出していた脳がそれを欲するから……、腕が勝手に…伸びていた……掴んでいた、口に、運んできた)
スッ


ことり「ぱくっ……ぅきゅがっ、あびゅっ!! がっ、ひゅ…ぇ…あ、ぁぁ……!!」



ことり「はぁーっ、はぁーっ、ふみゅ…ふっ…、ぁはきゅっ……ひゅっ……ふぅっ…!」

希「が、がんばったね……まさか全部食べるとは……」


店員「おっまたっせしましたぁ~♪ うみうみのザッハトルテでごじゃいますでする~☆」
コトッ

絵里「首を長くして待っていたわ!」

店員「おや…? 綺麗な金髪、碧い瞳……うふっ♪ お嬢さんはとびっきりかわいらしいですね~☆」

絵里「そ、そんなこと……あるけど!」

希「…エリチが調子に乗っとる」


ことり「…うみうみ?」

希「んー…パッと見、ふっつーのザッハトルテなんやけど……キラキラして美味しそう」

絵里「うみうみってどういう…何か普通と違うんですか?」

店員「そ~れ~は~……食べてみてのお楽しみでぇす~っ☆」

他の客「おーいっ!! こっちのうみうみのザッハトルテまだー!? もう三時間待ってるんだけどーっ!!」

店員「おじいちゃぁん、ついさっき食べたの忘れちゃったのですかぁ?」

他の客「ああ…そうだったかのぉ……ふがふが…」


絵里「ほっ……待ってる人もいないみたいね」

絵里「まあでも、さっそく頂いちゃおうかしら」

店員「さぁさぁっ♪ まずはフォークで一掬い☆」

絵里「ええ…、はむっ……んんーっ! おいひいぃぃーっ! こんなおいひいの生まれて初めてっ…!」

絵里「しあわせぇ……////」

絵里「あら……? こ、これっ…! ザッハトルテの中からまたザッハトルテが…?」

店員「そうですそうですその通りなのですっ♪ うみうみ…そう、生み生みのザッハトルテは一口食べるごとに新たなザッハトルテが生まれる…超超近未来型のスウィィィィツなのでごじゃいますりゅ~☆」

希「ザッハトルテの永久期間…!?」

ことり「すごいっ…すごすぎるよっ! 店員さんっ、ことりにもこれの作り方を」

店員「企業秘密なので口が酒飲んでも言えませぬ~♪」

ことり「ですよねー」


絵里「ぱくっ…ぁ……もぐっ、もぐっ……ん、ふぁ……へ、減らないっ…」


絵里「どれだけ食べても…、はむっ…はぐ……じぇんじぇんっ…へら、にゃい……もぐもぐ…」



店員「ありがとうございました~☆ またいつでもお嬢さんの御来店お待ちしてます~♪」


カランコロンカラーン…


絵里「ふはぁ…、無限に生み出されるからってついつい食べ過ぎてしまったわ」

希「おもしろいお店やったね? 変わったものばっかりで他のメニューも気になっちゃう!」

希「ね? ことりちゃ…」

ことり「はぁーっ……はぁーっ…! けほっ、けほっ…!」

希「……だ、大丈夫……やなさそうやね…、水飲む?」

ことり「ぁ…ありが、と……ごきゅごきゅ……」

絵里「また来たいわ。あ…次はあのマカロンは頼まないように気を付けないとね?」

ことり「うん…もう二度と頼まない……ごきゅごきゅ……ぷはぁっ…!」

希「ふふっ、そうやね。今度はみんな誘って行こうか」

絵里「あら、もうこんな時間…」

希「ちょっと長居しすぎちゃったか…」

ことり「…あの店、一品完食しないと次の出てこないみたいだから」

絵里「9人で行ったら半日くらい居座ることになりそうね」

希「まぁそれはそれで楽しいんやない? 知らんけど」

絵里「ふふっ、そうかも」

ことり「あははっ」



絵里(楽しかった……すごく楽しかった)


絵里(ことりと希と一緒に馬鹿なことして、笑い合って……亜里沙がいなくなった寂しさもこの時だけは忘れることができたみたいで…)


絵里(寂しさ…、いきなり空いてしまった心の隙間を埋めようと私は必死になっていた)


絵里(…だから誰かが隣にいることを強く欲していて…、ことりと急激に距離を詰めようと柄にもなく躍起になってハシャいだりした)


絵里(……本当は、それがことりじゃなくてもよかったんだと思う)


絵里(ことりじゃなく別の誰かでも……。あの例の件もあったから、ただことりがそうしやすかった……それだけ)


絵里の家


絵里「……さっきの今でまさか体重増えてないわよね……?」

絵里(お風呂から上がり、ビクビクしながらも体重計に足を乗せる…)


絵里「……ほっ、よかった……変わりなし」

絵里「でも油断は大敵ね……明日から燃焼に努めないと……ここ最近、練習にあまり集中出来てなかったし気合い入れ直すわ」

絵里「よしっ…!」



絵里(髪乾かして、明日の用意して……あ、なにかおもしろいテレビやってないかな…)

絵里「ぅ……あ……!?」
フラッ

絵里(テレビのリモコンを手に取ろうとした瞬間…)


グニャッ…


絵里「ぅ…きゅっ、ぁ……かっ…!」


絵里(脳を激しく揺さぶられ、強烈な吐き気が躰の内側から溢れ出てきた…!)


絵里(昨日と、まったく同じ症状っ……)


絵里「ぁ、うぷぅっ……ふぅっ…! はっ…おぇっ…! おえぇぇぇぇっ!!」
ビシャビシャビシャ


絵里「はぁっ…ぎゅ、ぁあ…はっ……うぶゅっ…!! ぉ…ぶっ……おぇっ…おええぇぇぇっ…!!」
ビシャビシャビシャ


絵里(やば、い……死ぬの……? わたし……なんなの……よ、これぇ……っ)



絵里「はぁっ……ぅ……あっ…、はぁっ、はあぁっ……!」


ガシッ…ガシッ…


絵里(…食べ過ぎたからって…胃もたれなんかじゃ、ないわよね……じゃぁ……)


ガシッ…ガシッ…


絵里(意味…わかんないわよ…、こんな、のっ……昨日みたいに、過去なんかほじくり返そうとしてない、のにっ…)



ガチャッ…


絵里「はぁっ… はあぁ…っ! うぅっ…ぐぎゅ……ぅあ……っ」


絵里(部屋……? 私の、部屋……なんで、ここに……)


キラッ…


絵里(月の光を受けて輝く……水晶玉……)


絵里「はあっ……うぎゅぅっ……はぁっ、はぁっ……はや、く…、はやく…ぅ……っ」


絵里(無我夢中で水晶玉へと這い寄る……)



絵里「はぁぁっ……あ……ぁ…ひっ……ぅぎっ…ゃ……がっ……」


絵里(昨日は、コレを見て、楽になれた……)


絵里(だから…、今日も……っ、わたしを、たすけ、て……)


絵里(しにたく、ない……嫌、なのっ……苦しいのは…、いやなのっ……)


ポワーン…


絵里「ぁ……あはっ……見えたぁ……はぁ……はぁっ……」


絵里(水晶玉に映し出されていたのは……、驚きとも嘆きともまったく無縁な、本当に普通の…穏やかな日常の1コマ…)


絵里(…ことりが、死ぬほど甘ったるそうなジャムをたっぷり乗せたパンをかじっている…)


絵里(たった、それだけの…)



絵里(光を与えられ、毒は消え去った……)


絵里(身体……いや、頭からすぅーっと悪いものが消え、浄化されていくような……そんな感覚……)


絵里(昨日も、そうだったのかな……すぐに意識なくなって、覚えてないけど……)


絵里(……あ、え……昨日……? 昨日、も……? そうだ……同じだ……まったく、同じ……?)


絵里(たしか、時刻も…今と同じくらいで……急に気持ち悪くなって、ふらふらのまま、水晶玉に惹き寄せられて…)


絵里(…それで、未来を見ると、楽になって……)


絵里(未来を見ると、楽になれるの……? ……なら、見ないと、この地獄のような苦しみにまた襲われる……?)


絵里(えっ……それは、つまり……いや、わからない……こんなぐちゃぐちゃな思考じゃ……考えもろくに纏まらない…)


絵里(瞼が重い……頭のなか、黒い闇に包まれたがってる……もう、休みたがってる……)


絵里(うん……わたしも、疲れた……だから、もう……)


絵里(私は意識を手放し…、眠りについた)

なんでちょいちょい修正しながらコピペするだけなのにこんな時間かかっているのか…
疲れた。今日ちょっと書けると思ったんだけどこんな時間から始めるには遅すぎるので明日にします
安価出すから最低一人だけでも来てくれるとうれしい
そんじゃまた

こういう糞スレはラブライブ板に立てろや

向こうだとローカルルールに引っかかるから移動してるんだよ馬鹿

安価捌きに自信があるみたいなことあっちで言ってたと思うけど
安価あるとつまらないんだわ、>>1だから上手に捌けてるとは思うけど安価の内容がつまらない
安価ない方が絶対に面白い
こっちに来たなら心機一転で安価はなしにして欲しい

>>61
>>3
ちょっとはもじをよむどりょくをしような

貼り直し乙

待ってた

けんかはやめてー! ってなわけで書いていきます


翌日

音ノ木坂学院 三年生教室


絵里「おはよう、希」

希「おはー。今日も早いんやね」

絵里「最近、自分でも驚くほど目覚めが良くてね…。ていうか今日は希の方が早いじゃない」

希「んー…、ちょっとやることがあって」

絵里「…宿題?」

希「違う違う、宿題はエリチの写させてもらうから平気。昨日ね…あの後、六星占術が詳しく書いてる本買ったの」

絵里「…さも当然のように言ってるけど写させないわよ…? 自分でやりなさいよ…」

希「ウチは六星占術の勉強で忙しいのだ。あ、エリチのも調べてあげよっか?」

絵里「…私はいいわ。遠慮しておく…」

希「そう? 面白いのに」

絵里(……希には悪いけど、私は未来を映し出す水晶玉を持ってるから…、そういう占いとか、今ではすごくちっぽけに感じてしまう…)

絵里(曖昧で不確かな……占ってもらったとしてもそれを確認する術も無いのはひどく不完全だと思う…)

絵里(思い込み、気の持ちよう…多分それらが影響して初めて成り立つものなのでしょうね)

絵里(別に貶しているわけじゃないけど……あの水晶玉の力は本物だから……本物、だと、思う…)

絵里(……三回目に見えた未来は信じたくはない、けど……)

絵里(…四回目…昨夜に見た未来が正しいかどうかは今日、わかるはず…)

絵里(ことりがジャムをたっぷり乗せたパンをかじっている……あのシーンはおそらく今日の昼休み…)


絵里「…昼休み……間違いない、と思う…」

希「…ん? 今はまだ朝やけど……寝惚けてる?」

絵里「…パン……ジャムを……」

希「……? お腹減ってるの?」

絵里「減ってるわ……ダイエットを始めたから。昨日甘いもの食べ過ぎちゃったでしょ?」

絵里「希も気を付けた方がいいわよ」

希「ご飯抜くのは良くないって聞くけど…」


昼休み


キーンコーンカーンコーン…


絵里(急がなくちゃ……)
スッ

希「エリチ? どこ行くん?」

絵里「ことりの…二年生の教室! 穂乃果たちのお昼ご飯に交ぜてもらうのよ」

希「…最近のエリチはことりちゃん大好きっ子やね」

絵里「そういうわけじゃないけど…、あっ…早く行かないと見逃してしまうっ…! じゃあねっ、希!」

希「いってらっしゃーい……」

希(変なエリチ……ホントどうしちゃったんやろ……)



二年生教室


ガラッ…


絵里「はぁっ……はぁっ……!」


穂乃果「あれ? 絵里ちゃんだ…」

海未「どうしたのでしょう…? あんなに息を切らしてまで…」

ことり「…何かあったのかな」

絵里「ことりっ!!」

ことり「は、はいっ…」

絵里「まだお昼ご飯食べてないわよね?」

ことり「う、うん……まだこれからだけど……」

絵里「そう…」

穂乃果「…絵里ちゃん?」

海未「神妙な表情をして……何か大変な事件でも…?」

絵里「……私も御一緒しても構わないかしら?」

ことり「へ?」

穂乃果「何に…?」

絵里「お昼ご飯……一緒に食べましょう。駄目…?」

ことり「い、いいけど……」

絵里「ありがとう。嬉しいわ」


絵里(…あの未来は必ずしも翌日の出来事を映しているわけではない)

絵里(でも、今回の未来は今日を示しているという自信があった…)

絵里(……あんな…頭が蕩けてしまいそうな量のジャムを乗せるなんて、普通なら味覚障害を疑われるレベル…)

絵里(罰ゲームでもなければことりはあんな真似しないでしょうし…、ならば何故、起ころうとしているのか……)

絵里(…それは昨日、唐辛子入りの激辛マカロンを食べてしまったから)


海未「おや…、今日はパンなのですね? ことり」

穂乃果「ほんとだ! 珍しい」

ことり「うん、今日はそういう気分だったから……あと、これも」
ドバー

海未「い、いくらなんでも乗せ過ぎではありませんか…?」


ことり「んー…昨日のがまだ…、口の中ピリピリしてる気がして…」
ドバー

穂乃果「昨日の? あー、朝話してくれたカフェのこと?」

海未「たしか、絵里と希と一緒に行ったんでしたっけ…?」

絵里「……」

ことり「うん、今度は穂乃果ちゃんも海未ちゃんも行こ?」

海未「嫌ですよ。そんなわけのわからないものを食べさせられるのでしょう…」

穂乃果「穂乃果は行ってみたいかなぁ、おもしろそう!」

ことり「はむっ…、ん……じゅるっ……ふはっ…」
カジッ

絵里「……!」

ことり「んん、ぢゅる…っ、ん…ふあ…」

海未「ああもう…、口の周りベトベトですよ? こっち向いてください」
フキフキ

ことり「えへへ……ありがと、海未ちゃん」

絵里(…昨夜私が見た未来とまったく同じ……これで証明された……)

絵里(……ということは、同時に…)

穂乃果「絵里ちゃん? さっきからことりちゃんをジーっと見つめてる…」

ことり「ふぇ? ことりの顔に何か付いてる?」

海未「えぇ、まだジャムが…」

絵里「……」

絵里(あら…? そういえば、これを私がそうさせないようにしたらどうなっていたのかしら…?)

絵里(……例えば、ことりが持ってきたジャムの瓶をパンに塗る前に窓から投げ捨てる、とか…)

絵里(かじろうとする瞬間に私がそれを奪って代わりに全部食べてしまう、とか…)

絵里(亜里沙の時とは違って、今回は確定された未来に辿り着くのを阻止する手段ならいくらでもありそうなのに……)

絵里(何をどうやっても変えられないのだとしたら……明日以降に先伸ばしになるのかしら…)


夜 絵里の家


絵里「はぁ……憂鬱だわ……」


絵里(…私の考えが正しいのだとしたら……きっと、もうすぐ……)


絵里(正確な時間は覚えていないけれど……そろそろ来てもおかしくはない……)


絵里「…怖いっ…、嫌よ…、イヤ……本当は来てほしくないって願っているのよ……っ」


絵里(……自室のベッドの上に座っている……側にある机には、あの水晶玉……)


絵里(…皮肉なものね)


絵里(私から亜里沙を遠ざけた…忌々しい呪いのようなものに、すがろうとしているなんて……)


絵里(……呪い、か……その通りなのかも……)


絵里(…初めてコレを使ってしまったのが、三日前……亜里沙の件と、ことり…理事長の件で……)


絵里(その翌日の夜…、地獄にも似た苦しみに襲われ……半強制的に水晶玉を使ってしまった…)


絵里(そしてまた次の日……昨日、再びあの苦しみに遇った……前回とほとんど同じ時刻に……)


絵里(その原因として、最初は改変された過去を掘り起こそうとしたから……だと思っていたけど昨日の例からして、それは間違い…)


絵里(……苦しみを繰り返したことで、私はある一つの仮説に辿り着いた)


絵里(昨日と一昨日……共通することは未来を見た翌日、ということ…)


絵里(…苦しみに悶えている最中、水晶玉を使い…未来を見ると、楽になれたこと……)


絵里(場所はこの家……いや、場所は多分関係無い……それよりも注目すべきは時間……)


絵里(……水晶玉で最後に未来を見てから、約24時間後に…、苦しみが襲ってきている……)


絵里(……未来を見る…、24時間後に苦しみが襲ってくる……堪えきれなくなり、再び未来を見る……そして24時間後に、また……っ)


絵里(無限ループ……その苦しみに遇わないようにする為には、24時間以内にまた水晶玉を使うしかない……)


絵里「…あくまで推測……これで今日、なんともなかったら」


グニャッ…


絵里「ぁぐっ……ぅ…ぎゃ…、ああっ…!」


絵里(やっぱり…、きた……きてしまった……)


絵里「うぅぁ、ぐぅぅっ…!! うびゅっ…! かっ…、ぁぁ……うううぅぁぁっ…!!!!」


絵里(昨日より…、酷いっ…!)


絵里(こんなのっ…、堪え…られな、いっ…!)


絵里「ぅぁああっ…! はぁっ、はぁぁっ…! はや、くっ…、はや…くぅっ…!!」


絵里(一刻も早く未来を見なきゃ…それしかもう考えられなくなり…、必死になって水晶玉へと身体向かわせる…!)


絵里「はぁっ…ぁああっ…ぐぎっ…!! ううううぅぅっ…!!」


ポワーン…


絵里「ぅあっ…はあっ…、はぁっ…! はぁっ……はぁ……」


絵里(解放された……こんな、簡単に……)


絵里(当たってた……私の仮説は的中していた……)


絵里(……最悪だ)


絵里(未来を見なくては必ず苦しみに襲われるというのなら…、私はもう一生…この水晶玉を手放せない…)


絵里(…見たくもない…想像したくもない残酷な未来が映し出されるとしても……目を背けることは、許されない……)

ちょっと休憩。今日はもうちょっとだけ進めます
ていうか安価出すタイミングが無い…


翌日

音ノ木坂学院 三年生教室


絵里「……」

希「エリチ、おはよ」

絵里「…おはよう」

希「ん…? 元気ない?」

絵里「…なんでもないわ」

絵里(……いろいろ迷ったけれど…、結局…水晶玉は家に置いたままにしてきた)

絵里(…正直言えば、手元に無いのはとても不安だった)

絵里(もしも…何かのアクシデントで“あの”時間までに家に帰ることが出来なければ…、と思うと身体が震えてくる…)

絵里(…持ち運べないわけではないけど……これまたアクシデントで、紛失…盗難なんか起これば、私はその場で発狂してしまうかもしれない……)

絵里(幸いにも私は現在一人暮らし……誰も私の部屋に入ることもないし、あの水晶玉に触れる者もいない)

絵里(……こういうことは言いたくはないけど…、亜里沙がいなくなってくれていてよかった…と)

絵里(このような状況に置かれている今だからこそ、心を絞め付けられながらも安心している部分もあった…)


希「ふむふむ……なるほどー」
パラパラ

絵里「……今日も読んでいるのね、その本……六星占術、だっけ?」

希「んー…そうそう、興味でてきた?」

絵里「…残念ながらさっぱりね」

希「そっかぁー…」
パラパラ

絵里「いつも持ち歩いているの?」

希「まぁ昨日からやけど、いつでも読めるようにって鞄の中入れてる」

絵里「…そう」

希「…それがどうかした?」

絵里「なんでもないわ…」


キーンコーンカーンコーン…


希「あっ、予鈴…! 今日日直で先生に頼まれ事されてたの忘れてた!」

希「ちょっと職員室行ってくる…!」
バタバタ


絵里(……昨夜見た未来は、希が愛読しているこの…六星占術の本……これに凛が飲み物を溢してしまう、というものだった)

絵里(……それは今日じゃないかもしれないし、明日や来週…来月かもしれない…)

絵里(…本当に未来は変えられないのか……それくらいは知っておきたい…)

絵里(実験として試みるには打ってつけね……)


絵里(……さっき机の中に仕舞っていたわね)
ガサッ

絵里「……手に取れる」

絵里(…って、当たり前か)

絵里(いくら未来が映し出されるとか超常現象が起きようと、対象となるものには不思議な力が作用して触れられないってことはないのね…)

絵里(…だったら)


カチッ…


絵里(…今ここで燃やしてしまえば……)

絵里(…希はまた同じものを購入するのかしら……多分、そうなると思う…)

絵里(……でも、少なくとも今日がその未来の日となることはなくなる……もしも、これが今日を示していたとして、それを私が…私によって遅れたとなれば……)

絵里(何かが…、変わらないか……意味なんてない……因果の法則なんてそんなものだ……)


絵里「はぁ……もう考えるの疲れたわ……」

絵里「…とりあえず、これは私が持っておけば」

希「…何しとるん?」

絵里「…っ!?」

希「…それ、ウチの本…?」

絵里「……っ」

絵里(戻ってくるの早すぎでしょ…!)

希「…エリチ、泥棒さん?」

絵里「ち、違うのっ…! これには理由があって!」

希「理由って?」

絵里「あ、えー……その…、あー……」

希「……もしかして、エリチ」

希「やっぱり興味あったんやー」

絵里「へ…?」

希「もう…、読みたいなら読みたいって素直に言えばいいのに…」

絵里「え……ぁ…そ、そうなのよっ! 読みたくて読みたくて仕方なかったの…!」

絵里「だからしばらくの間、貸してもらえるかしら…?」

希「駄目」


絵里「え…」

希「だーめ」

絵里「…そこをなんとか!」

希「無理」

絵里「どうしてよっ…! 因果がなんたらかんたらってわけなの!?」

希「はい…? ことりちゃんやないけど…ウチも最近のエリチの言動には不安になってくるわー」

絵里「わ、私は…ただ……」

希「んー…、例えばエリチがすっごく面白い漫画読んでたとする」

希「めっちゃ今いいところなのに突然凛ちゃんが現れて…『おもしろそうな漫画はっけーんっ! しばらく借りてくにゃー!』って奪い去っていったらどうする?」

絵里「捕まえてひっぱたく」

希「それと同じ。まぁウチはエリチをひっぱたいたりせんけど…」

絵里「なにがなんでも貸してくれないってわけね…」

希「…そんなに読みたいの? ああ、でもこれウチも苦労して古本屋でやっと見付けたから…、探すのはちょっと骨折れるかもね」

絵里「そんな貴重なものだったの…?」

希「貴重っていうかレア? 一緒か…」

絵里(…だったらこの現物をどうにかすれば……でも、希にとってすごく大切なものみたいだし、それを燃やしたり捨てたりするのは……かなり心が痛むわ…)


希「ウチが読み終わったら少し貸してあげるから、それまで我慢しといて」

絵里「…うん、わかった」

希「よしよし、もう泥棒しようとしたら駄目よ?」

絵里「別に泥棒じゃないし……不法侵入はするけど、泥棒なんて……あ、したわね…」

絵里「それより希…」

希「ん?」

絵里「その本大事にしなさい。特に凛には気を付けて」

希「凛ちゃんに? 奪われんようにってこと…? 凛ちゃんはこういうのにまったく興味なさそうやけど…」

絵里「エリチカ占いによると、近々凛がその本にジュース溢しちゃうのよ」

希「なにそれ…」


休み時間


にこ「希ー」

希「おや? にこっち、はるばるウチに会いにきてくれたん?」

にこ「はるばるって…隣のクラスでしょ…」

希「で、どうしたん?」

にこ「ちょっと話…っていうか、相談事があってね。ここじゃあれだし、ジュースでも買いに行かない?」

希「お、にこっちの奢りなんて珍し」

にこ「誰も奢るなんて言ってないんだけど……まぁいいわ」


絵里「……」


絵里(…ジュース……あの件にニコも関わっているのかしら…?)

絵里(……考え過ぎ?)

絵里(そんなことより…、希がいなくなった今がチャンス……)

絵里(…燃やしたり捨てたりはしないけど、しばらくの間私が預かっておいて様子を見る…)


ガサゴソ…


絵里「……よし、これで今日のところは」

希「今日のところは、…なに?」

絵里「の、希っ…!」

希「やめてって言ったよね? そんなにウチを困らせたいの…?」

絵里「……っ」

希「いくらエリチでも怒るよ?」

絵里「わ、私は……その…」

絵里「り、凛から…、これを守ろうとして…」

希「朝言ってた占いがどうとかって話?」

絵里「そ、そうっ! だから私が大切に保管して」

希「いい加減にして…、そんなわけないやろ」

絵里(こんな怒ってる希は初めて見たかも……たしかに、私も逆の立場だったら絶対に怒ってる…)

絵里(かといって、あの水晶玉のことを言うわけにもいかないし…)

絵里「わ、私は希の為を思って…」

絵里(希の為? 希を心配して…? 違う……本当はそんなこと考えてなかった……考える余裕なんて足りてなかった)

絵里(すべては…私の、自分自身の為に他ならない……)

絵里(これから一生付き合っていくかもしれない…呪いのような水晶玉……)

絵里(未来を見続けていくうえで…、一握りの安心が欲しかったのよ……)

絵里(死力を尽くせば…、未来を少しでも変えられるって可能性が、欲しかった……)


絵里「……ごめんなさい……本当に、ごめんなさい…」

希「エリチ……」

ここまで。やってしまった…安価出す出す詐欺
使いどころはちゃんと考えてあるのでもう少しだけ待っててくださいね
そんじゃ

かー安価出せねーのつれーわー
安価使えるところまで進められるかは微妙だけどとりあえず書いてく


にこ「なによ、希のやつ……途中まで着いてきておいて、用事思い出したからまた今度、なんて…」

にこ「…まぁいっか。そんな今すぐにって話でもないし…、別に希じゃなくて他の誰かでも…」


「あ…」


にこ(…でもやっぱり希が適任なのよねぇ…、後輩に話すのはちょっと…カッコ悪いし…)

にこ(絵里は……最近変だし)

凛「わぁっ!」
バッ

にこ「きゃぁぁっ!?」

凛「こーんちわっ、ニコちゃん!」

にこ「り、凛…? ビックリしたぁ…、普通に現れなさいよっ!」

凛「えー! そんなのつまんないにゃー」

にこ「まったく…、もう…」

凛「こんな所で会うなんて珍しいね。凛に用事?」

にこ「なわけないでしょ。ニコが用事あるのはあの自販機なの」

凛「あージュースね、じゃあ凛も行こーっと」

凛「ニコちゃん何買うの?」

にこ「白桃オーレ」

凛「あーそれ凛も好きー! おいしいよねー!」

にこ「ていうかそれニコが教えてあげたんでしょ…?」

凛「あれ? そだっけ? まぁなんでもいいにゃー」

にこ「一口だけ一口だけって言って全部飲んでたじゃない…」
ピッ


ガコンッ…


凛「凛もー…………え…?」

凛「あぁーっ!!」

にこ「なに? どうしたの?」

凛「ニコちゃんが買ったせいで…白桃オーレが売り切れになったにゃっ!」

にこ「あ、これ最後の1本だったんだ…」

にこ「…残念だったわね」

凛「……ちょうだい、それ」

にこ「いやよ。これニコのだもん」

凛「お願いっ! お願いしますっ!」

にこ「別の買えばいいでしょ…」

凛「むりっ!」

にこ「はぁ…?」

凛「…だって、凛の気分はもう白桃色に染まりきってるんだにゃ」

凛「今更別のジュースに浮気するなんて」

にこ「ふーん、あっそ…。それじゃ」
クルッ

凛「待って待ってっ、待ってよー!」


にこ「早く教室に戻ってゆっくり白桃オーレ堪能したいんだけど…」

凛「まあまあ、そんなことおっしゃらずにー」

にこ「運が悪かったと思って諦めなさい」

凛「うぅ…そうだよね…、あんな所でニコちゃんに出会ってしまった凛が悪いんだよね…」

にこ「…どうしてニコが厄介者扱いされているのかしら」

凛「…うん、わかった!」

凛「今日はニコちゃんに譲ってあげる!」

にこ「元々ニコのだけど!?」

凛「凛は別のにしよーっと! なーにーにーしーよーうーかーにゃー?」

凛「うーん……迷っちゃう」

にこ「どうでもいいけど早く決めてくれない? 次の授業に遅刻しちゃうわよ」

凛「待って待って。すーぐ決めるから」

凛「んー…」

凛「んんぅー…」

凛「んんんぅぅー……」

にこ「あーもうっ! じれったいわね! 変なところで優柔不断なんだからっ」

にこ「なんでもいいんでしょ? にこにールーレットで決めてあげるから目瞑ってストップって言いなさい!」

凛「なんかよくわかんないけどそれでいいや」

にこ「はい、目瞑る」

凛「…はーい」


にこ「にこにーにこにーにこにこにー☆」

にこ「にっこにっこにっこにーにこにこにー☆」

にこ「あなたのハートににこにこにー☆」

にこ「笑顔とどける矢澤に」凛「ストップ!」


ピッ…ガコンッ…


凛「何が出るかな、何が出るかなー」

にこ「……」

凛「…なにこれ……オニオンサイダーって…」

にこ「うへぇ…激不味そう…」

凛「やっぱりニコちゃんに遭遇してしまったのが運の尽きだったにゃ…」

にこ「お金は…? 130円」

凛「お財布、教室…」


昼休み 三年生教室


絵里「……」
チラッ


希「……」
ポチポチ


絵里(……いつもだったら一緒にお弁当を食べている筈なのに、さっきからひたすら携帯をいじってばっかり…)

絵里(…謝って許してもらったとはいえ…、やっぱり気まずい……)

絵里(仲直り、したいけど……どうしたものかしら…?)

絵里(でも、とりあえず今はそれより…なんとかして未来を変えられないかを試みる…)

絵里(凛を希に近付けさせないようにする…まずそれからね)

絵里(あ、目合った……逸らされた……ショックだわ)


希「……」
スッ


絵里(希が教室から出ていく……私も追った方がいいのかしら……)

絵里(でもそれで疎ましく思われたら立ち直れないかも…)

絵里(それに…)

絵里(……六星占術の本にジュースを溢されるという未来……たしか机の上にその本があって、希も凛も座っていたから…)

絵里(…多分、場所は教室)

絵里(だから、入れ違いになるよりも希が戻ってくるのをここで待っているのが……)

絵里「…ん?」

絵里「あ……あああああっ!!!!」

絵里(私ってどれだけ馬鹿なのよっ…!)

絵里(机と椅子があるのは他の教室も同じじゃないっ、隣の教室も、他の学年の教室もっ…!)

絵里「しまった…! 早く追わなきゃっ!」


一年生 教室


ガラッ…


絵里「…っ!」

絵里(…いない)

絵里(凛も希も、花陽と真姫ですら…)

絵里(何処に行ったのよ…もうっ…!)

絵里(…こんな時、あの水晶玉があれば簡単に居場所が特定出来るのにっ)

絵里(……あ、でもあれは私が見たい未来を映せるわけじゃないのよね。日にちだってそう…)

絵里(……理事長の件の時はたまたま上手くいっただけで…)

絵里「今は自分の足で探すしかないか…!」



二年生教室


ガラッ…


絵里「はぁっ…、はぁっ…」


穂乃果「あ、絵里ちゃんだ」

海未「…またあんなに慌てて」

ことり「今日も一緒にお昼食べたいのかな?」


絵里(ここにいるわけないわよね…)


絵里「ねぇっ…、希か凛を見なかった!?」

穂乃果「希ちゃんと凛ちゃん?」

海未「ここには来ていませんが…」

絵里「そう、ありがと…、じゃあ私急ぐから」

ことり「あっ、絵里ちゃん…!」

絵里「ことり?」

ことり「絵里ちゃんもパン食べる?」
ドバー

絵里「いらないわ。ダイエット中なの」

ことり「そっかぁ……がじっ、はむっ…はふふ…っ、んっ…! もぐもぐ…」

海未「ほら、また口の周りにジャムが付いていますよ」
フキフキ

絵里(…あれ? これって……昨日とまったく同じ光景…?)

絵里(こんなこともあるのね……)

絵里「…って今はそんなことより、あの二人を見つけ出さないと!」



絵里「……何処にも、いない」

絵里(もう一つの二年生の教室、三年生の教室全て……もしかしたら戻っているかもしれないと私の教室も覗いたが、何処を探しても希と凛の姿はなかった…)

絵里(……今日じゃないってこと?)

絵里(それとも、この昼休みじゃなくて午後の休み時間とか、放課後とか……)

絵里(そうよね……こんなに走り回って見つからないんだから、少なくとも今の時間じゃ……)


絵里「……ぁ…」


絵里(……今、頭の中で何か引っ掛かったような……)

絵里(……何か…、なにかが……私、勘違い……思い違いを……)

絵里(…希がいて、凛がいて……六星占術の本……ジュース……)

絵里(……机と…、椅子…………あっ…!)

絵里(机と椅子って……本当に教室のものだった……? その前に見た未来でたまたまその場所が二年生の教室だったから…)

絵里(私が勝手にそう思い込んで……?)

絵里(…そんなところまであまり鮮明に覚えてはいないから……もしかしたら、その机と椅子は各教室に設置しているものではないとしたら……)

絵里(他に机と椅子が、ある場所……)

絵里(…机と椅子……机…、椅子……)

絵里(部室……!)



部室


凛「でね、ニコちゃんに最後の1本取られちゃってー」

希「ふーん、…で、その妙なジュースを買っちゃったわけや?」

花陽「オニオン…サイダー…?」

希「それなぁ、今まで誰一人として飲んでるの見たことないわー」

凛「え…そうなの?」

花陽「希ちゃんも…?」

希「うん。ていうかそんなん誰も好き好んで飲みたい人おらんやろ…。パッケージからして不味そうオーラビンビンやし…」

凛「…よし、希ちゃ」

希「やだ」

凛「むぅ…、じゃあかよちん!」

花陽「ひゅぇぇ…!?」


希「自分で買ったんやから自分で飲まんと。凛ちゃん」

凛「あ、でもお金出したのはニコちゃんだよ?」

花陽「買ってもらったのに飲まないのはもっと駄目だと思うよ…、凛ちゃん」

凛「んー…」

希「まぁとりあえず一口だけでも。まだ開けてないんやろ?」

凛「…うん」
カリッ


プシュッ…


凛「うぇ…、変な匂いするにゃ…」

花陽「なんだろね、この匂い……玉ねぎ…?」

希「ほらほら、まず一口。くいっとね」

凛「ん…、じゅ…ごくっ……んっ、うぶっ…!」

花陽「ど、どうだった…?」

凛「一言で言うならマズイ…」

希「あ、やっぱり…」

凛「はぁぁ……今日は散々な一日だったにゃ…」

花陽「…まだお昼だけどね」

凛「ニコちゃんのせいで白桃オーレ売り切れるわ、ニコちゃんのせいでまっずいまっずいオニオンサイダー飲まされるわ、ニコちゃんのせいで数学の授業であてられるわ…」

凛「きっと今日の凛は世界で一番運が悪い子なんだにゃぁ…」

花陽「元気出して、凛ちゃん」

希「そうや、ウチが占ってあげる」

凛「えー、そんなの当たるのー?」

希「当たるとか外れるとかやないよ? 六星占術は未来予知やないからね」

花陽「…じゃなかったら、なんなの?」

希「自分に与えられた運命や宿命を知れるという優れものなのだ」

凛「へー、よくわかんない」

希「まず凛ちゃんの誕生日教えてくれる?」

凛「──年の11月1日」


ガチャ…


絵里「はぁっ…はぁっ…! はぁっ…」


絵里「い、いた…! 希…、凛……っ」

絵里(あの本は…、まだ無事なようね……間に合った……)

少ないけどここまで
集中力どっかいっちゃって全然進められんかったー

そんなものよりもっと足りないものがあるじゃねーか

>>62

希「自分で買ったんやから自分で飲まんと。凛ちゃん」

凛「あ、でもお金出したのはニコちゃんだよ?」

花陽「買ってもらったのに飲まないのはもっと駄目だと思うよ…、凛ちゃん」

凛「んー…」

希「まぁとりあえず一口だけでも。まだ開けてないんやろ?」

凛「…うん」
カリッ


プシュッ…


凛「うぇ…、変な匂いするにゃ…」

花陽「なんだろね、この匂い……玉ねぎ…?」

希「ほらほら、まず一口。くいっとね」

凛「ん…、じゅ…ごくっ……んっ、うぶっ…!」

花陽「ど、どうだった…?」

凛「一言で言うならマズイ…」

希「あ、やっぱり…」

凛「はぁぁ……今日は散々な一日だったにゃ…」

花陽「…まだお昼だけどね」

凛「ニコちゃんのせいで白桃オーレ売り切れるわ、ニコちゃんのせいでまっずいまっずいオニオンサイダー飲まされるわ、ニコちゃんのせいで数学の授業であてられるわ…」

凛「きっと今日の凛は世界で一番運が悪い子なんだにゃぁ…」

花陽「元気出して、凛ちゃん」

希「そうや、ウチが占ってあげる」

凛「えー、そんなの当たるのー?」

希「当たるとか外れるとかやないよ? 六星占術は未来予知やないからね」

花陽「…じゃなかったら、なんなの?」

希「自分に与えられた運命や宿命を知れるという優れものなのだ」

凛「へー、よくわかんない」

希「まず凛ちゃんの誕生日教えてくれる?」

凛「──年の11月1日」


ガチャ…


絵里「はぁっ…はぁっ…! はぁっ…」


絵里「い、いた…! 希…、凛……っ」

絵里(あの本は…、まだ無事なようね……間に合った……)

>>1>>2>>3>>4

翌日 街中


絵里「ここも駄目か…」

絵里「なかなか見付からないわね…」

絵里(…とにかく、なんとしてでもアレに似た硝子玉を手に入れないと)

絵里(昨夜ネットで調べた骨董品店…6駅14軒を手当たり次第に廻ってみたけど、どうにも見付からない…)

絵里(黒や赤…青といった着色されているものは見掛けたが透明なものは何処にも置いてはいなかった)


絵里「はぁぁ……歩き疲れてもうクタクタ……でも、今日のうちに見つけ出さないと…」


絵里(範囲を広げよう……この隣の駅の骨董品店は…)
ピッ


絵里(ふらふらと歩きながら携帯で調べていたその時だった…)


絵里「あら…? あそこって…、もしかして」

絵里(前方にいかにもそういうものを扱ってますといった看板…佇まいの店があった…)

絵里(えっと…)
カサッ

絵里(店名を確認して昨夜書き写したメモと照らし合わせてみるも、合致する名前は無い)

絵里(私の見落としかしら…? それとも、最近新しくオープンした店……まぁなんでもいい)


カツン…カツン…


絵里(階段を下った地下……)

絵里(私は藁にもすがる思いで扉を開き、中へと足を踏み入れた)

>>10>>14>>16>>24

翌日


ジリリリリリ…


絵里「ん……ぅ……んん、朝……?」


絵里「にぇむぃ……けど……起きなきゃ……」


絵里「顔洗って…朝食用意して……亜里沙を起こ……そっか……」

絵里「…もう、ここにはいないのよね……」

絵里(…慣れなくちゃね……一生会えないわけじゃないんだし……うん…、会おうと思えば…いつでも……)


絵里「……起きよ……、よっこらせ、っと…」


絵里(ああ…机の上には例の水晶玉がある…)

絵里(…昨日のことは夢なんかじゃなくて、全部…本当の……)


ガリッ…


絵里「痛っ…!?」

絵里「な、何か踏んづけ……なによ、この硝子片っ…もぅっ!」

絵里「痛ぅぁ……まぁ、でも…歩けないほどじゃないし、今日帰ったら掃除しましょう……」

絵里「朝からついてないわ…」



音ノ木坂学院 三年生教室


絵里(…よかった)

絵里(少し不安だったけれど、学校は何も変わらず…騒ぎにもなっておらず、いつも通りの朝…)

絵里(理事長も…一時の気の迷いだったんでしょうね……改心してくれて一安心)


ガラッ…


希「エリチ!」

絵里「あ、おはよう。希」

希「どうなったの!? 昨日のこと」

絵里(…そういえば連絡するって言ってたのすっかり忘れていたわ)

>>34>>37>>40>>43

絵里「これから私たちは吉原で風俗回りするの!」

ことり「へ……?」

絵里「さぁ私についてきなさい! いざ遊郭へっ!」

希「とかわけのわからんこと言ってるエリチは放っておくとして…、ウチらは甘いモノでも食べにいこっか?」

希「練習で疲れた体は糖分を欲してるのだぁ」

ことり「うんっ! どこがいいかなぁ? 迷っちゃうっ」

希「ことりちゃんそういうお店詳しそうやしねー」

絵里「って待て待てぇーっ!」

希「あ、エリチも一緒に行く?」

絵里「え? 誘ってくれるの? うれしいっ! …じゃなくてぇーっ!!」

ことり「ことり、最近ホントに絵里ちゃんがこわいのです…」

希「どうしてしまったんやろうなぁ…」

絵里「吉原は? 風俗はっ!? 甘いモノとか…もう子供じゃないんだから、大人なのよ!? 私たちっ!」

希「いえ、まだ子供です」

ことり「ガラスの十代なのです」

希「だいいち今から吉原に行ったとして遊んで帰ってくる頃にはとっくにテッペン回ってしまうやろうし」

絵里「そ、それは……大丈夫よ…! うん…、ぱぱぱーっとやること済ませちゃえば…」

希「そもそも…そんなお金あるの? 三人で遊んだとしていくらかかると思ってる?」

絵里「お、お金……」

絵里「…お金は、ないわ……」

希「せやろ?」

ことり「だから今日は希ちゃんの言う通り甘いモノ食べにいこ?」

絵里「…わかったわ、そうしましょう」


絵里(…まぁ私も背伸びしてたとはいえ、本気で風俗なんか行こうとしてたわけじゃないけど…)


絵里(……けど…、エッチなこととかは……ちょっとしてみたい……)

>>49
数分後


店員「おまっせしましたぁ~♪ こちらがロシアン美女仕立てのチョコパフェでぇぁす☆」
カラカラカラ


ロシアン美女「ウフフ、ゴ指名ドウモセンキューデース」

希「なっ…、えぇ……?」

ことり「わぁ、綺麗な人……外人さん? あ、ロシアの人か」

希「…どっちかというとエセ日本語喋るエセアメリカ人っぽいけど…、まぁ見た目はエリチの四倍ロシア人に見える…」

希「…ていうかクリームやらチョコやらフルーツを裸体に盛られて……これ、どっちかっていうとパフェに仕立てられた外人さんなんじゃ……」

ロシアン美女「ドウゾオメシアガリクダサーイネー!」

絵里「さぁいくのよっ、希!」

希「えぇー……」

店員「次のお客さんも控えてますのでさっさと食べちゃってくださいねぇ~♪」

希「えっ、ウチが食べ終わらんとこのロシアン美女仕立てのチョコパフェはオーダーストップになってしまうん?」

ことり「あ、あの…写真は」

店員「撮影は禁止でぇ~す☆」

ことり「ですよねぇー」


他の客「すいませーん! こっちのロシアン美女仕立てのチョコパフェまだですかー!」

店員「まだですー」


希「はわわっ…! ウチのせいで…」

絵里「希っ!」

ことり「希ちゃんっ…!」

店員「お客さまぁ、は~や~く~!!」

ロシアン美女「カモンカモンよ」


希「うぅ……た、食べればええんやろ…食べればっ!」


希(ホントのところ…こういうのちょっと…ていうか、かなり抵抗あるんやけど…)


希(…なんやろ、はよ食べんと店員さんや他のお客さんに迷惑かかってしまうってプレッシャーと、店内を充たしてる頭がくらくらするくらい甘ぁい匂いに正常な思考能力が奪われて…)


希(気が付くと目の前のチョコパフェ仕立ておねぇさんを舐め回していた…)


希「んむっ、ぷぁっ…ちゅる……ぺろぺろっ、ちゅぱっ……ふぢゅぅっ…!」

希「ふぁふっ…んく、ぢゅる……はむっ……ちゅひゅ、ふうぁ…!!」

ロシアン美女「ンンっ…んぁっ……ああっ……!!」

>>67
>>67
>>68
>>69

翌日

音ノ木坂学院 三年生教室


絵里「……」

希「エリチ、おはよ」

絵里「…おはよう」

希「ん…? 元気ない?」

絵里「…なんでもないわ」

絵里(……いろいろ迷ったけれど…、結局…水晶玉は家に置いたままにしてきた)

絵里(…正直言えば、手元に無いのはとても不安だった)

絵里(もしも…何かのアクシデントで“あの”時間までに家に帰ることが出来なければ…、と思うと身体が震えてくる…)

絵里(…持ち運べないわけではないけど……これまたアクシデントで、紛失…盗難なんか起これば、私はその場で発狂してしまうかもしれない……)

絵里(幸いにも私は現在一人暮らし……誰も私の部屋に入ることもないし、あの水晶玉に触れる者もいない)

絵里(……こういうことは言いたくはないけど…、亜里沙がいなくなってくれていてよかった…と)

絵里(このような状況に置かれている今だからこそ、心を絞め付けられながらも安心している部分もあった…)


希「ふむふむ……なるほどー」
パラパラ

絵里「……今日も読んでいるのね、その本……六星占術、だっけ?」

希「んー…そうそう、興味でてきた?」

絵里「…残念ながらさっぱりね」

希「そっかぁー…」
パラパラ

絵里「いつも持ち歩いているの?」

希「まぁ昨日からやけど、いつでも読めるようにって鞄の中入れてる」

絵里「…そう」

希「…それがどうかした?」

絵里「なんでもないわ…」


キーンコーンカーンコーン…


希「あっ、予鈴…! 今日日直で先生に頼まれ事されてたの忘れてた!」

希「ちょっと職員室行ってくる…!」
バタバタ


絵里(……昨夜見た未来は、希が愛読しているこの…六星占術の本……これに凛が飲み物を溢してしまう、というものだった)

絵里(……それは今日じゃないかもしれないし、明日や来週…来月かもしれない…)

絵里(…本当に未来は変えられないのか……それくらいは知っておきたい…)

絵里(実験として試みるには打ってつけね……)

>>67
>>67
>>68
>>69

翌日

音ノ木坂学院 三年生教室


絵里「……」

希「エリチ、おはよ」

絵里「…おはよう」

希「ん…? 元気ない?」

絵里「…なんでもないわ」

絵里(……いろいろ迷ったけれど…、結局…水晶玉は家に置いたままにしてきた)

絵里(…正直言えば、手元に無いのはとても不安だった)

絵里(もしも…何かのアクシデントで“あの”時間までに家に帰ることが出来なければ…、と思うと身体が震えてくる…)

絵里(…持ち運べないわけではないけど……これまたアクシデントで、紛失…盗難なんか起これば、私はその場で発狂してしまうかもしれない……)

絵里(幸いにも私は現在一人暮らし……誰も私の部屋に入ることもないし、あの水晶玉に触れる者もいない)

絵里(……こういうことは言いたくはないけど…、亜里沙がいなくなってくれていてよかった…と)

絵里(このような状況に置かれている今だからこそ、心を絞め付けられながらも安心している部分もあった…)


希「ふむふむ……なるほどー」
パラパラ

絵里「……今日も読んでいるのね、その本……六星占術、だっけ?」

希「んー…そうそう、興味でてきた?」

絵里「…残念ながらさっぱりね」

希「そっかぁー…」
パラパラ

絵里「いつも持ち歩いているの?」

希「まぁ昨日からやけど、いつでも読めるようにって鞄の中入れてる」

絵里「…そう」

希「…それがどうかした?」

絵里「なんでもないわ…」


キーンコーンカーンコーン…


希「あっ、予鈴…! 今日日直で先生に頼まれ事されてたの忘れてた!」

希「ちょっと職員室行ってくる…!」
バタバタ


絵里(……昨夜見た未来は、希が愛読しているこの…六星占術の本……これに凛が飲み物を溢してしまう、というものだった)

絵里(……それは今日じゃないかもしれないし、明日や来週…来月かもしれない…)

絵里(…本当に未来は変えられないのか……それくらいは知っておきたい…)

絵里(実験として試みるには打ってつけね……)

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>>69

翌日

音ノ木坂学院 三年生教室


絵里「……」

希「エリチ、おはよ」

絵里「…おはよう」

希「ん…? 元気ない?」

絵里「…なんでもないわ」

絵里(……いろいろ迷ったけれど…、結局…水晶玉は家に置いたままにしてきた)

絵里(…正直言えば、手元に無いのはとても不安だった)

絵里(もしも…何かのアクシデントで“あの”時間までに家に帰ることが出来なければ…、と思うと身体が震えてくる…)

絵里(…持ち運べないわけではないけど……これまたアクシデントで、紛失…盗難なんか起これば、私はその場で発狂してしまうかもしれない……)

絵里(幸いにも私は現在一人暮らし……誰も私の部屋に入ることもないし、あの水晶玉に触れる者もいない)

絵里(……こういうことは言いたくはないけど…、亜里沙がいなくなってくれていてよかった…と)

絵里(このような状況に置かれている今だからこそ、心を絞め付けられながらも安心している部分もあった…)


希「ふむふむ……なるほどー」
パラパラ

絵里「……今日も読んでいるのね、その本……六星占術、だっけ?」

希「んー…そうそう、興味でてきた?」

絵里「…残念ながらさっぱりね」

希「そっかぁー…」
パラパラ

絵里「いつも持ち歩いているの?」

希「まぁ昨日からやけど、いつでも読めるようにって鞄の中入れてる」

絵里「…そう」

希「…それがどうかした?」

絵里「なんでもないわ…」


キーンコーンカーンコーン…


希「あっ、予鈴…! 今日日直で先生に頼まれ事されてたの忘れてた!」

希「ちょっと職員室行ってくる…!」
バタバタ


絵里(……昨夜見た未来は、希が愛読しているこの…六星占術の本……これに凛が飲み物を溢してしまう、というものだった)

絵里(……それは今日じゃないかもしれないし、明日や来週…来月かもしれない…)

絵里(…本当に未来は変えられないのか……それくらいは知っておきたい…)

絵里(実験として試みるには打ってつけね……)

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翌日

音ノ木坂学院 三年生教室


絵里「……」

希「エリチ、おはよ」

絵里「…おはよう」

希「ん…? 元気ない?」

絵里「…なんでもないわ」

絵里(……いろいろ迷ったけれど…、結局…水晶玉は家に置いたままにしてきた)

絵里(…正直言えば、手元に無いのはとても不安だった)

絵里(もしも…何かのアクシデントで“あの”時間までに家に帰ることが出来なければ…、と思うと身体が震えてくる…)

絵里(…持ち運べないわけではないけど……これまたアクシデントで、紛失…盗難なんか起これば、私はその場で発狂してしまうかもしれない……)

絵里(幸いにも私は現在一人暮らし……誰も私の部屋に入ることもないし、あの水晶玉に触れる者もいない)

絵里(……こういうことは言いたくはないけど…、亜里沙がいなくなってくれていてよかった…と)

絵里(このような状況に置かれている今だからこそ、心を絞め付けられながらも安心している部分もあった…)


希「ふむふむ……なるほどー」
パラパラ

絵里「……今日も読んでいるのね、その本……六星占術、だっけ?」

希「んー…そうそう、興味でてきた?」

絵里「…残念ながらさっぱりね」

希「そっかぁー…」
パラパラ

絵里「いつも持ち歩いているの?」

希「まぁ昨日からやけど、いつでも読めるようにって鞄の中入れてる」

絵里「…そう」

希「…それがどうかした?」

絵里「なんでもないわ…」


キーンコーンカーンコーン…


希「あっ、予鈴…! 今日日直で先生に頼まれ事されてたの忘れてた!」

希「ちょっと職員室行ってくる…!」
バタバタ


絵里(……昨夜見た未来は、希が愛読しているこの…六星占術の本……これに凛が飲み物を溢してしまう、というものだった)

絵里(……それは今日じゃないかもしれないし、明日や来週…来月かもしれない…)

絵里(…本当に未来は変えられないのか……それくらいは知っておきたい…)

絵里(実験として試みるには打ってつけね……)

>>67
>>67
>>68
>>69

翌日

音ノ木坂学院 三年生教室


絵里「……」

希「エリチ、おはよ」

絵里「…おはよう」

希「ん…? 元気ない?」

絵里「…なんでもないわ」

絵里(……いろいろ迷ったけれど…、結局…水晶玉は家に置いたままにしてきた)

絵里(…正直言えば、手元に無いのはとても不安だった)

絵里(もしも…何かのアクシデントで“あの”時間までに家に帰ることが出来なければ…、と思うと身体が震えてくる…)

絵里(…持ち運べないわけではないけど……これまたアクシデントで、紛失…盗難なんか起これば、私はその場で発狂してしまうかもしれない……)

絵里(幸いにも私は現在一人暮らし……誰も私の部屋に入ることもないし、あの水晶玉に触れる者もいない)

絵里(……こういうことは言いたくはないけど…、亜里沙がいなくなってくれていてよかった…と)

絵里(このような状況に置かれている今だからこそ、心を絞め付けられながらも安心している部分もあった…)


希「ふむふむ……なるほどー」
パラパラ

絵里「……今日も読んでいるのね、その本……六星占術、だっけ?」

希「んー…そうそう、興味でてきた?」

絵里「…残念ながらさっぱりね」

希「そっかぁー…」
パラパラ

絵里「いつも持ち歩いているの?」

希「まぁ昨日からやけど、いつでも読めるようにって鞄の中入れてる」

絵里「…そう」

希「…それがどうかした?」

絵里「なんでもないわ…」


キーンコーンカーンコーン…


希「あっ、予鈴…! 今日日直で先生に頼まれ事されてたの忘れてた!」

希「ちょっと職員室行ってくる…!」
バタバタ


絵里(……昨夜見た未来は、希が愛読しているこの…六星占術の本……これに凛が飲み物を溢してしまう、というものだった)

絵里(……それは今日じゃないかもしれないし、明日や来週…来月かもしれない…)

絵里(…本当に未来は変えられないのか……それくらいは知っておきたい…)

絵里(実験として試みるには打ってつけね……)

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翌日

音ノ木坂学院 三年生教室


絵里「……」

希「エリチ、おはよ」

絵里「…おはよう」

希「ん…? 元気ない?」

絵里「…なんでもないわ」

絵里(……いろいろ迷ったけれど…、結局…水晶玉は家に置いたままにしてきた)

絵里(…正直言えば、手元に無いのはとても不安だった)

絵里(もしも…何かのアクシデントで“あの”時間までに家に帰ることが出来なければ…、と思うと身体が震えてくる…)

絵里(…持ち運べないわけではないけど……これまたアクシデントで、紛失…盗難なんか起これば、私はその場で発狂してしまうかもしれない……)

絵里(幸いにも私は現在一人暮らし……誰も私の部屋に入ることもないし、あの水晶玉に触れる者もいない)

絵里(……こういうことは言いたくはないけど…、亜里沙がいなくなってくれていてよかった…と)

絵里(このような状況に置かれている今だからこそ、心を絞め付けられながらも安心している部分もあった…)


希「ふむふむ……なるほどー」
パラパラ

絵里「……今日も読んでいるのね、その本……六星占術、だっけ?」

希「んー…そうそう、興味でてきた?」

絵里「…残念ながらさっぱりね」

希「そっかぁー…」
パラパラ

絵里「いつも持ち歩いているの?」

希「まぁ昨日からやけど、いつでも読めるようにって鞄の中入れてる」

絵里「…そう」

希「…それがどうかした?」

絵里「なんでもないわ…」


キーンコーンカーンコーン…


希「あっ、予鈴…! 今日日直で先生に頼まれ事されてたの忘れてた!」

希「ちょっと職員室行ってくる…!」
バタバタ


絵里(……昨夜見た未来は、希が愛読しているこの…六星占術の本……これに凛が飲み物を溢してしまう、というものだった)

絵里(……それは今日じゃないかもしれないし、明日や来週…来月かもしれない…)

絵里(…本当に未来は変えられないのか……それくらいは知っておきたい…)

絵里(実験として試みるには打ってつけね……)

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絵里「……」

希「エリチ、おはよ」

絵里「…おはよう」

希「ん…? 元気ない?」

絵里「…なんでもないわ」

絵里(……いろいろ迷ったけれど…、結局…水晶玉は家に置いたままにしてきた)

絵里(…正直言えば、手元に無いのはとても不安だった)

絵里(もしも…何かのアクシデントで“あの”時間までに家に帰ることが出来なければ…、と思うと身体が震えてくる…)

絵里(…持ち運べないわけではないけど……これまたアクシデントで、紛失…盗難なんか起これば、私はその場で発狂してしまうかもしれない……)

絵里(幸いにも私は現在一人暮らし……誰も私の部屋に入ることもないし、あの水晶玉に触れる者もいない)

絵里(……こういうことは言いたくはないけど…、亜里沙がいなくなってくれていてよかった…と)

絵里(このような状況に置かれている今だからこそ、心を絞め付けられながらも安心している部分もあった…)


希「ふむふむ……なるほどー」
パラパラ

絵里「……今日も読んでいるのね、その本……六星占術、だっけ?」

希「んー…そうそう、興味でてきた?」

絵里「…残念ながらさっぱりね」

希「そっかぁー…」
パラパラ

絵里「いつも持ち歩いているの?」

希「まぁ昨日からやけど、いつでも読めるようにって鞄の中入れてる」

絵里「…そう」

希「…それがどうかした?」

絵里「なんでもないわ…」


キーンコーンカーンコーン…


希「あっ、予鈴…! 今日日直で先生に頼まれ事されてたの忘れてた!」

希「ちょっと職員室行ってくる…!」
バタバタ


絵里(……昨夜見た未来は、希が愛読しているこの…六星占術の本……これに凛が飲み物を溢してしまう、というものだった)

絵里(……それは今日じゃないかもしれないし、明日や来週…来月かもしれない…)

絵里(…本当に未来は変えられないのか……それくらいは知っておきたい…)

絵里(実験として試みるには打ってつけね……)

>>66

翌日

音ノ木坂学院 三年生教室


絵里「おはよう、希」

希「おはー。今日も早いんやね」

絵里「最近、自分でも驚くほど目覚めが良くてね…。ていうか今日は希の方が早いじゃない」

希「んー…、ちょっとやることがあって」

絵里「…宿題?」

希「違う違う、宿題はエリチの写させてもらうから平気。昨日ね…あの後、六星占術が詳しく書いてる本買ったの」

絵里「…さも当然のように言ってるけど写させないわよ…? 自分でやりなさいよ…」

希「ウチは六星占術の勉強で忙しいのだ。あ、エリチのも調べてあげよっか?」

絵里「…私はいいわ。遠慮しておく…」

希「そう? 面白いのに」

絵里(……希には悪いけど、私は未来を映し出す水晶玉を持ってるから…、そういう占いとか、今ではすごくちっぽけに感じてしまう…)

絵里(曖昧で不確かな……占ってもらったとしてもそれを確認する術も無いのはひどく不完全だと思う…)

絵里(思い込み、気の持ちよう…多分それらが影響して初めて成り立つものなのでしょうね)

絵里(別に貶しているわけじゃないけど……あの水晶玉の力は本物だから……本物、だと、思う…)

絵里(……三回目に見えた未来は信じたくはない、けど……)

絵里(…四回目…昨夜に見た未来が正しいかどうかは今日、わかるはず…)

絵里(ことりがジャムをたっぷり乗せたパンをかじっている……あのシーンはおそらく今日の昼休み…)


絵里「…昼休み……間違いない、と思う…」

希「…ん? 今はまだ朝やけど……寝惚けてる?」

絵里「…パン……ジャムを……」

希「……? お腹減ってるの?」

絵里「減ってるわ……ダイエットを始めたから。昨日甘いもの食べ過ぎちゃったでしょ?」

絵里「希も気を付けた方がいいわよ」

希「ご飯抜くのは良くないって聞くけど…」

>>66

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絵里「おはよう、希」

希「おはー。今日も早いんやね」

絵里「最近、自分でも驚くほど目覚めが良くてね…。ていうか今日は希の方が早いじゃない」

希「んー…、ちょっとやることがあって」

絵里「…宿題?」

希「違う違う、宿題はエリチの写させてもらうから平気。昨日ね…あの後、六星占術が詳しく書いてる本買ったの」

絵里「…さも当然のように言ってるけど写させないわよ…? 自分でやりなさいよ…」

希「ウチは六星占術の勉強で忙しいのだ。あ、エリチのも調べてあげよっか?」

絵里「…私はいいわ。遠慮しておく…」

希「そう? 面白いのに」

絵里(……希には悪いけど、私は未来を映し出す水晶玉を持ってるから…、そういう占いとか、今ではすごくちっぽけに感じてしまう…)

絵里(曖昧で不確かな……占ってもらったとしてもそれを確認する術も無いのはひどく不完全だと思う…)

絵里(思い込み、気の持ちよう…多分それらが影響して初めて成り立つものなのでしょうね)

絵里(別に貶しているわけじゃないけど……あの水晶玉の力は本物だから……本物、だと、思う…)

絵里(……三回目に見えた未来は信じたくはない、けど……)

絵里(…四回目…昨夜に見た未来が正しいかどうかは今日、わかるはず…)

絵里(ことりがジャムをたっぷり乗せたパンをかじっている……あのシーンはおそらく今日の昼休み…)


絵里「…昼休み……間違いない、と思う…」

希「…ん? 今はまだ朝やけど……寝惚けてる?」

絵里「…パン……ジャムを……」

希「……? お腹減ってるの?」

絵里「減ってるわ……ダイエットを始めたから。昨日甘いもの食べ過ぎちゃったでしょ?」

絵里「希も気を付けた方がいいわよ」

希「ご飯抜くのは良くないって聞くけど…」

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音ノ木坂学院 三年生教室


絵里「……」

希「エリチ、おはよ」

絵里「…おはよう」

希「ん…? 元気ない?」

絵里「…なんでもないわ」

絵里(……いろいろ迷ったけれど…、結局…水晶玉は家に置いたままにしてきた)

絵里(…正直言えば、手元に無いのはとても不安だった)

絵里(もしも…何かのアクシデントで“あの”時間までに家に帰ることが出来なければ…、と思うと身体が震えてくる…)

絵里(…持ち運べないわけではないけど……これまたアクシデントで、紛失…盗難なんか起これば、私はその場で発狂してしまうかもしれない……)

絵里(幸いにも私は現在一人暮らし……誰も私の部屋に入ることもないし、あの水晶玉に触れる者もいない)

絵里(……こういうことは言いたくはないけど…、亜里沙がいなくなってくれていてよかった…と)

絵里(このような状況に置かれている今だからこそ、心を絞め付けられながらも安心している部分もあった…)


希「ふむふむ……なるほどー」
パラパラ

絵里「……今日も読んでいるのね、その本……六星占術、だっけ?」

希「んー…そうそう、興味でてきた?」

絵里「…残念ながらさっぱりね」

希「そっかぁー…」
パラパラ

絵里「いつも持ち歩いているの?」

希「まぁ昨日からやけど、いつでも読めるようにって鞄の中入れてる」

絵里「…そう」

希「…それがどうかした?」

絵里「なんでもないわ…」


キーンコーンカーンコーン…


希「あっ、予鈴…! 今日日直で先生に頼まれ事されてたの忘れてた!」

希「ちょっと職員室行ってくる…!」
バタバタ


絵里(……昨夜見た未来は、希が愛読しているこの…六星占術の本……これに凛が飲み物を溢してしまう、というものだった)

絵里(……それは今日じゃないかもしれないし、明日や来週…来月かもしれない…)

絵里(…本当に未来は変えられないのか……それくらいは知っておきたい…)

絵里(実験として試みるには打ってつけね……)

       /     \
     /  / ̄⌒ ̄\

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    | /  (・)   (・) |    | we are busters!
  /⌒  (6     つ  |    | 糞スレ busters!
 (  |   / ___  |   <
  - \   \_/  / .     \__________________
 //  ,,r'´⌒ヽ ___/    ,ィ
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 |    !     )`Y'''" ヽ,,/      / ̄ ̄ ̄ ̄\
  ! l   |   く,,   ,,,ィ'"      /.         \
  ヽヽ  ゝ    ! ̄!~~、       /           |
  ヽ  / ̄""'''⌒ ̄"^'''''ー--、 :::|||||||||||||||||||||||||||||||||

   Y'´          /    """''''~--、|||||||||||||||||) >>1
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    ゝ   ー--、,,,,,___      ::: ::,,,,,ー`''''''⌒''ーイ  ./
    ヽ      \  ̄""'''"" ̄   \____/-、

     ヽ       ヽ  :::::::::::::::::::: /          `ヽ
      ヽ  丿   )       /    ノ   ゝ ヽ ,〉
       ゝ      !      /            ∀
        !     |      /   人     ヽ   ヽ

        |     ,;;}      !ー-、/  ヽ _,,,-ー'''''--ヘ
          |ノ    |      |  /    Y        ヽ
         {     |      |   j      )         ヽ
         〈     j      ト-.|    /          )
          Y''""'i'~      |,__|    /      人   __,|
          |   |     ,-ーイ__j  /'""⌒""'''ノ  Y''""" |
          L_トァ   ::: ̄ ̄::::::::::t     /     |     !
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           _____   _..-一――ー-..、..-一―‐´   ■〈
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    /         .l                 {   `ヽ.▼     ヘ
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   .|          .l                 | `ー′/        ゝ、
    '、         1                 イヽ、   ゝ  ■■■  `ー、
  /\          l                /  ヘ   `ー 、 ●   ナ─.′
  イ  ノゝ──────────────-_/   .) Ο   )    .丿
  ゝ{_ r'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::Σ )    ノ ゝ__ノ   ./
    `'{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`:─''"´    `ー---‐'
     .|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
      |::::::::::::::::::::::::::::∧:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/

正真正銘の基地外だな
気にせず続けてくれ

糞スレにきてしまったか

こんな基地害は当然死んでいいけどこんなのを生んだ親もどうせ基地害なんだから罪を背負って死ぬべきだな

>>100
>>101
>>127
>>128
>>129

ことり「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ~♪」
コトコトコト

ことり「煮込んでる間にサラダを盛り付けて……トマトさん、きゅうりさん、パプリカさんっ」

ことり「ん、よしっ……サラダ完成」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「きゃっ!?」

絵里「ハラショーよっ、ことりっ!! うわっ、すっごいおいしそうなサラダっ!!」

ことり「あ、え、あー……そ、そうかな……」

絵里「ねぇこれ写真撮っていいっ!? いいわよね!? ってもう撮ってるけどー!! ハラショーーっ!!」
パシャパシャパシャッ

ことり「な、なんでいきなりそんなハイテンション…?」

絵里「きゃー! 見て見てっ! キレイに撮れたわぁ! そうだっ、みんなに送ってあげましょう! うんっ、それがいいわ!」
ピッピッ

ことり「わ、わぁ…そんなに喜んでくれて、嬉しいなぁ……あっ」

ことり「あぶないあぶない…絵里ちゃんに気をとられてて煮すぎちゃうところだった…」

絵里「良い香り…なにかしら?」


ことり「うん、いい感じっ♪」
グツグツ

ことり「肉じゃがも完成っ、お皿に移して…っと」

絵里「ハ…ハラ、ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「ひぃっ!」
ビクッ

絵里「この肉じゃがもすんごいおいしそうじゃないっ! いやっ、もうおいしいっ! 食べてないけど目と鼻がおいしいっ!!」

絵里「ハラショーよぉーっ! ことりーっ! なんてっ、なんてすばらしいものばっかり作るのっ!?」
パシャパシャパシャッ

絵里「んぁもうぅぅぅっ!! 画像おいしすぎてヤバイのよぉぉぉっ!!」

絵里「携帯の画面越しにも滲み出てくる肉汁おいひいいいいのおおおおっ!!!! ハラヒョオオオオオ!!!!」
ガリガリッ

ことり「そ、そんなにお腹すいてたんだ……ごめんね、もうすぐ」


ピピピッ…


ことり「あ、ちょうどご飯も炊け」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

絵里「白米白米っ!! なんてキラキラしてっ、もうどれだけ私をハラショーさせたら気が済むのよことりはもうおおおっ!!!!」
パシャパシャパシャッ

絵里「えへへぇ、んー美味しそうっ! みんなにも御報告御報告ー♪」
ピッ

絵里「えーと…ことりにおいしいご飯作ってもらいました……送信っ♪」
ピッ

>>100
>>101
>>127
>>128
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ことり「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ~♪」
コトコトコト

ことり「煮込んでる間にサラダを盛り付けて……トマトさん、きゅうりさん、パプリカさんっ」

ことり「ん、よしっ……サラダ完成」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「きゃっ!?」

絵里「ハラショーよっ、ことりっ!! うわっ、すっごいおいしそうなサラダっ!!」

ことり「あ、え、あー……そ、そうかな……」

絵里「ねぇこれ写真撮っていいっ!? いいわよね!? ってもう撮ってるけどー!! ハラショーーっ!!」
パシャパシャパシャッ

ことり「な、なんでいきなりそんなハイテンション…?」

絵里「きゃー! 見て見てっ! キレイに撮れたわぁ! そうだっ、みんなに送ってあげましょう! うんっ、それがいいわ!」
ピッピッ

ことり「わ、わぁ…そんなに喜んでくれて、嬉しいなぁ……あっ」

ことり「あぶないあぶない…絵里ちゃんに気をとられてて煮すぎちゃうところだった…」

絵里「良い香り…なにかしら?」


ことり「うん、いい感じっ♪」
グツグツ

ことり「肉じゃがも完成っ、お皿に移して…っと」

絵里「ハ…ハラ、ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「ひぃっ!」
ビクッ

絵里「この肉じゃがもすんごいおいしそうじゃないっ! いやっ、もうおいしいっ! 食べてないけど目と鼻がおいしいっ!!」

絵里「ハラショーよぉーっ! ことりーっ! なんてっ、なんてすばらしいものばっかり作るのっ!?」
パシャパシャパシャッ

絵里「んぁもうぅぅぅっ!! 画像おいしすぎてヤバイのよぉぉぉっ!!」

絵里「携帯の画面越しにも滲み出てくる肉汁おいひいいいいのおおおおっ!!!! ハラヒョオオオオオ!!!!」
ガリガリッ

ことり「そ、そんなにお腹すいてたんだ……ごめんね、もうすぐ」


ピピピッ…


ことり「あ、ちょうどご飯も炊け」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

絵里「白米白米っ!! なんてキラキラしてっ、もうどれだけ私をハラショーさせたら気が済むのよことりはもうおおおっ!!!!」
パシャパシャパシャッ

絵里「えへへぇ、んー美味しそうっ! みんなにも御報告御報告ー♪」
ピッ

絵里「えーと…ことりにおいしいご飯作ってもらいました……送信っ♪」
ピッ

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ことり「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ~♪」
コトコトコト

ことり「煮込んでる間にサラダを盛り付けて……トマトさん、きゅうりさん、パプリカさんっ」

ことり「ん、よしっ……サラダ完成」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「きゃっ!?」

絵里「ハラショーよっ、ことりっ!! うわっ、すっごいおいしそうなサラダっ!!」

ことり「あ、え、あー……そ、そうかな……」

絵里「ねぇこれ写真撮っていいっ!? いいわよね!? ってもう撮ってるけどー!! ハラショーーっ!!」
パシャパシャパシャッ

ことり「な、なんでいきなりそんなハイテンション…?」

絵里「きゃー! 見て見てっ! キレイに撮れたわぁ! そうだっ、みんなに送ってあげましょう! うんっ、それがいいわ!」
ピッピッ

ことり「わ、わぁ…そんなに喜んでくれて、嬉しいなぁ……あっ」

ことり「あぶないあぶない…絵里ちゃんに気をとられてて煮すぎちゃうところだった…」

絵里「良い香り…なにかしら?」


ことり「うん、いい感じっ♪」
グツグツ

ことり「肉じゃがも完成っ、お皿に移して…っと」

絵里「ハ…ハラ、ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「ひぃっ!」
ビクッ

絵里「この肉じゃがもすんごいおいしそうじゃないっ! いやっ、もうおいしいっ! 食べてないけど目と鼻がおいしいっ!!」

絵里「ハラショーよぉーっ! ことりーっ! なんてっ、なんてすばらしいものばっかり作るのっ!?」
パシャパシャパシャッ

絵里「んぁもうぅぅぅっ!! 画像おいしすぎてヤバイのよぉぉぉっ!!」

絵里「携帯の画面越しにも滲み出てくる肉汁おいひいいいいのおおおおっ!!!! ハラヒョオオオオオ!!!!」
ガリガリッ

ことり「そ、そんなにお腹すいてたんだ……ごめんね、もうすぐ」


ピピピッ…


ことり「あ、ちょうどご飯も炊け」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

絵里「白米白米っ!! なんてキラキラしてっ、もうどれだけ私をハラショーさせたら気が済むのよことりはもうおおおっ!!!!」
パシャパシャパシャッ

絵里「えへへぇ、んー美味しそうっ! みんなにも御報告御報告ー♪」
ピッ

絵里「えーと…ことりにおいしいご飯作ってもらいました……送信っ♪」
ピッ

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ことり「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ~♪」
コトコトコト

ことり「煮込んでる間にサラダを盛り付けて……トマトさん、きゅうりさん、パプリカさんっ」

ことり「ん、よしっ……サラダ完成」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「きゃっ!?」

絵里「ハラショーよっ、ことりっ!! うわっ、すっごいおいしそうなサラダっ!!」

ことり「あ、え、あー……そ、そうかな……」

絵里「ねぇこれ写真撮っていいっ!? いいわよね!? ってもう撮ってるけどー!! ハラショーーっ!!」
パシャパシャパシャッ

ことり「な、なんでいきなりそんなハイテンション…?」

絵里「きゃー! 見て見てっ! キレイに撮れたわぁ! そうだっ、みんなに送ってあげましょう! うんっ、それがいいわ!」
ピッピッ

ことり「わ、わぁ…そんなに喜んでくれて、嬉しいなぁ……あっ」

ことり「あぶないあぶない…絵里ちゃんに気をとられてて煮すぎちゃうところだった…」

絵里「良い香り…なにかしら?」


ことり「うん、いい感じっ♪」
グツグツ

ことり「肉じゃがも完成っ、お皿に移して…っと」

絵里「ハ…ハラ、ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「ひぃっ!」
ビクッ

絵里「この肉じゃがもすんごいおいしそうじゃないっ! いやっ、もうおいしいっ! 食べてないけど目と鼻がおいしいっ!!」

絵里「ハラショーよぉーっ! ことりーっ! なんてっ、なんてすばらしいものばっかり作るのっ!?」
パシャパシャパシャッ

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ピピピッ…


ことり「あ、ちょうどご飯も炊け」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

絵里「白米白米っ!! なんてキラキラしてっ、もうどれだけ私をハラショーさせたら気が済むのよことりはもうおおおっ!!!!」
パシャパシャパシャッ

絵里「えへへぇ、んー美味しそうっ! みんなにも御報告御報告ー♪」
ピッ

絵里「えーと…ことりにおいしいご飯作ってもらいました……送信っ♪」
ピッ

>>100
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>>127
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>>129

ことり「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ~♪」
コトコトコト

ことり「煮込んでる間にサラダを盛り付けて……トマトさん、きゅうりさん、パプリカさんっ」

ことり「ん、よしっ……サラダ完成」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「きゃっ!?」

絵里「ハラショーよっ、ことりっ!! うわっ、すっごいおいしそうなサラダっ!!」

ことり「あ、え、あー……そ、そうかな……」

絵里「ねぇこれ写真撮っていいっ!? いいわよね!? ってもう撮ってるけどー!! ハラショーーっ!!」
パシャパシャパシャッ

ことり「な、なんでいきなりそんなハイテンション…?」

絵里「きゃー! 見て見てっ! キレイに撮れたわぁ! そうだっ、みんなに送ってあげましょう! うんっ、それがいいわ!」
ピッピッ

ことり「わ、わぁ…そんなに喜んでくれて、嬉しいなぁ……あっ」

ことり「あぶないあぶない…絵里ちゃんに気をとられてて煮すぎちゃうところだった…」

絵里「良い香り…なにかしら?」


ことり「うん、いい感じっ♪」
グツグツ

ことり「肉じゃがも完成っ、お皿に移して…っと」

絵里「ハ…ハラ、ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「ひぃっ!」
ビクッ

絵里「この肉じゃがもすんごいおいしそうじゃないっ! いやっ、もうおいしいっ! 食べてないけど目と鼻がおいしいっ!!」

絵里「ハラショーよぉーっ! ことりーっ! なんてっ、なんてすばらしいものばっかり作るのっ!?」
パシャパシャパシャッ

絵里「んぁもうぅぅぅっ!! 画像おいしすぎてヤバイのよぉぉぉっ!!」

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ガリガリッ

ことり「そ、そんなにお腹すいてたんだ……ごめんね、もうすぐ」


ピピピッ…


ことり「あ、ちょうどご飯も炊け」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

絵里「白米白米っ!! なんてキラキラしてっ、もうどれだけ私をハラショーさせたら気が済むのよことりはもうおおおっ!!!!」
パシャパシャパシャッ

絵里「えへへぇ、んー美味しそうっ! みんなにも御報告御報告ー♪」
ピッ

絵里「えーと…ことりにおいしいご飯作ってもらいました……送信っ♪」
ピッ

>>100
>>101
>>127
>>128
>>129

ことり「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ~♪」
コトコトコト

ことり「煮込んでる間にサラダを盛り付けて……トマトさん、きゅうりさん、パプリカさんっ」

ことり「ん、よしっ……サラダ完成」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「きゃっ!?」

絵里「ハラショーよっ、ことりっ!! うわっ、すっごいおいしそうなサラダっ!!」

ことり「あ、え、あー……そ、そうかな……」

絵里「ねぇこれ写真撮っていいっ!? いいわよね!? ってもう撮ってるけどー!! ハラショーーっ!!」
パシャパシャパシャッ

ことり「な、なんでいきなりそんなハイテンション…?」

絵里「きゃー! 見て見てっ! キレイに撮れたわぁ! そうだっ、みんなに送ってあげましょう! うんっ、それがいいわ!」
ピッピッ

ことり「わ、わぁ…そんなに喜んでくれて、嬉しいなぁ……あっ」

ことり「あぶないあぶない…絵里ちゃんに気をとられてて煮すぎちゃうところだった…」

絵里「良い香り…なにかしら?」


ことり「うん、いい感じっ♪」
グツグツ

ことり「肉じゃがも完成っ、お皿に移して…っと」

絵里「ハ…ハラ、ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「ひぃっ!」
ビクッ

絵里「この肉じゃがもすんごいおいしそうじゃないっ! いやっ、もうおいしいっ! 食べてないけど目と鼻がおいしいっ!!」

絵里「ハラショーよぉーっ! ことりーっ! なんてっ、なんてすばらしいものばっかり作るのっ!?」
パシャパシャパシャッ

絵里「んぁもうぅぅぅっ!! 画像おいしすぎてヤバイのよぉぉぉっ!!」

絵里「携帯の画面越しにも滲み出てくる肉汁おいひいいいいのおおおおっ!!!! ハラヒョオオオオオ!!!!」
ガリガリッ

ことり「そ、そんなにお腹すいてたんだ……ごめんね、もうすぐ」


ピピピッ…


ことり「あ、ちょうどご飯も炊け」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

絵里「白米白米っ!! なんてキラキラしてっ、もうどれだけ私をハラショーさせたら気が済むのよことりはもうおおおっ!!!!」
パシャパシャパシャッ

絵里「えへへぇ、んー美味しそうっ! みんなにも御報告御報告ー♪」
ピッ

絵里「えーと…ことりにおいしいご飯作ってもらいました……送信っ♪」
ピッ

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コトコトコト

ことり「煮込んでる間にサラダを盛り付けて……トマトさん、きゅうりさん、パプリカさんっ」

ことり「ん、よしっ……サラダ完成」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「きゃっ!?」

絵里「ハラショーよっ、ことりっ!! うわっ、すっごいおいしそうなサラダっ!!」

ことり「あ、え、あー……そ、そうかな……」

絵里「ねぇこれ写真撮っていいっ!? いいわよね!? ってもう撮ってるけどー!! ハラショーーっ!!」
パシャパシャパシャッ

ことり「な、なんでいきなりそんなハイテンション…?」

絵里「きゃー! 見て見てっ! キレイに撮れたわぁ! そうだっ、みんなに送ってあげましょう! うんっ、それがいいわ!」
ピッピッ

ことり「わ、わぁ…そんなに喜んでくれて、嬉しいなぁ……あっ」

ことり「あぶないあぶない…絵里ちゃんに気をとられてて煮すぎちゃうところだった…」

絵里「良い香り…なにかしら?」


ことり「うん、いい感じっ♪」
グツグツ

ことり「肉じゃがも完成っ、お皿に移して…っと」

絵里「ハ…ハラ、ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「ひぃっ!」
ビクッ

絵里「この肉じゃがもすんごいおいしそうじゃないっ! いやっ、もうおいしいっ! 食べてないけど目と鼻がおいしいっ!!」

絵里「ハラショーよぉーっ! ことりーっ! なんてっ、なんてすばらしいものばっかり作るのっ!?」
パシャパシャパシャッ

絵里「んぁもうぅぅぅっ!! 画像おいしすぎてヤバイのよぉぉぉっ!!」

絵里「携帯の画面越しにも滲み出てくる肉汁おいひいいいいのおおおおっ!!!! ハラヒョオオオオオ!!!!」
ガリガリッ

ことり「そ、そんなにお腹すいてたんだ……ごめんね、もうすぐ」


ピピピッ…


ことり「あ、ちょうどご飯も炊け」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

絵里「白米白米っ!! なんてキラキラしてっ、もうどれだけ私をハラショーさせたら気が済むのよことりはもうおおおっ!!!!」
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コトコトコト

ことり「煮込んでる間にサラダを盛り付けて……トマトさん、きゅうりさん、パプリカさんっ」

ことり「ん、よしっ……サラダ完成」

絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「きゃっ!?」

絵里「ハラショーよっ、ことりっ!! うわっ、すっごいおいしそうなサラダっ!!」

ことり「あ、え、あー……そ、そうかな……」

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パシャパシャパシャッ

ことり「な、なんでいきなりそんなハイテンション…?」

絵里「きゃー! 見て見てっ! キレイに撮れたわぁ! そうだっ、みんなに送ってあげましょう! うんっ、それがいいわ!」
ピッピッ

ことり「わ、わぁ…そんなに喜んでくれて、嬉しいなぁ……あっ」

ことり「あぶないあぶない…絵里ちゃんに気をとられてて煮すぎちゃうところだった…」

絵里「良い香り…なにかしら?」


ことり「うん、いい感じっ♪」
グツグツ

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絵里「ハ…ハラ、ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「ひぃっ!」
ビクッ

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絵里「ハラショーよぉーっ! ことりーっ! なんてっ、なんてすばらしいものばっかり作るのっ!?」
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絵里「んぁもうぅぅぅっ!! 画像おいしすぎてヤバイのよぉぉぉっ!!」

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コトコトコト

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絵里「良い香り…なにかしら?」


ことり「うん、いい感じっ♪」
グツグツ

ことり「肉じゃがも完成っ、お皿に移して…っと」

絵里「ハ…ハラ、ハラショーーーーッ!!!!」

ことり「ひぃっ!」
ビクッ

絵里「この肉じゃがもすんごいおいしそうじゃないっ! いやっ、もうおいしいっ! 食べてないけど目と鼻がおいしいっ!!」

絵里「ハラショーよぉーっ! ことりーっ! なんてっ、なんてすばらしいものばっかり作るのっ!?」
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ことり「そ、そんなにお腹すいてたんだ……ごめんね、もうすぐ」


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絵里「ハラショーーーーッ!!!!」

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>>139

昼休み


絵里(……捨てるのも勿体無いし、最後にもう一回くらい使ってみようかしら…)


絵里(でも、またもし嫌な…私が見たくない未来が映ってしまったら……)


絵里(……昨日は他人の役に立った……世のため人のため……私利私欲の為に使うんじゃなかったら、許されるわよね……)


絵里(神様がいるのだとしたら、そんな善い行いをしようと考えてる私に罰なんか……罪なんか、与えたりはしない……)


希「…エリチ」


希「エリチってば!」

絵里「ふぇっ!? の、希…?」

絵里「なに…? どうかした…」

希「どしたの? 今日はずっとぼーっとして…」

絵里「…ん、ちょっと考え事を、ね…」

希「ふーん……ことりちゃん来てるよ?」

絵里「へ…? ことり?」

希「なんかエリチに用事あるって」


ことり「絵里ちゃん、ごめんね? 急に来ちゃって…」

絵里「別に構わないけど……用事って」

ことり「あ、えっと……ここじゃ、その…」

絵里(…ああ、多分昨日のことね……ことりにはバレてたし、仕方ないわ)

ことり「…だから、ちょっと部室でお話ししない?」

絵里「…ええ、そうしましょうか」

希「……ウチは一緒じゃない方がいいみたいやね」

絵里「そ、そんなことは…」

希「ええって、んじゃあとは若い二人でごゆっくりー」

ことり「の、希ちゃんっ…! そういうのじゃっ…」

>>139

絵里「ああ…あれね、何かの間違いだったみたい」

希「へ…?」

絵里「…ことりが勘違いしちゃってたらしいのよ。そもそも横領なんてあるわけないでしょ?」

希「そ、そうなんや……よかったぁ……ことりちゃんも人騒がせやなぁ…」


希「あ、そういえばエリチ」

絵里「なに?」

希「昨日の夜、ウチがその件で電話した時…何か言おうとしてなかった?」

絵里「え…? そうだったかしら……えーと…」

希「もしかしてウチがなくした水晶玉見付かったとか?」

絵里「す、水晶玉っ!?」

絵里(…未来が映し出される、水晶玉……)

希「エリチ…?」

絵里「……ごめんなさい、心当たりないわ」

希「そっかぁ…」

絵里「……」


絵里(…どうして希に話さなかったんだろう……あの不思議な水晶玉のことを)


絵里(オカルト…摩可不思議な力を持つ水晶玉なんて希が目を輝かせて食い付いてきそうな話なのに…)


絵里(……まさか私、一人占めしようとしてる…?)


絵里(だから、他の人に知られまいと……私だけのモノにしようと……)

>>139
>>60
>>59
>>58
>>57
>>56
>>55
>>54


絵里「はぁぁっ……あ……ぁ…ひっ……ぅぎっ…ゃ……がっ……」


絵里(昨日は、コレを見て、楽になれた……)


絵里(だから…、今日も……っ、わたしを、たすけ、て……)


絵里(しにたく、ない……嫌、なのっ……苦しいのは…、いやなのっ……)


ポワーン…


絵里「ぁ……あはっ……見えたぁ……はぁ……はぁっ……」


絵里(水晶玉に映し出されていたのは……、驚きとも嘆きともまったく無縁な、本当に普通の…穏やかな日常の1コマ…)


絵里(…ことりが、死ぬほど甘ったるそうなジャムをたっぷり乗せたパンをかじっている…)


絵里(たった、それだけの…)



絵里(光を与えられ、毒は消え去った……)


絵里(身体……いや、頭からすぅーっと悪いものが消え、浄化されていくような……そんな感覚……)


絵里(昨日も、そうだったのかな……すぐに意識なくなって、覚えてないけど……)


絵里(……あ、え……昨日……? 昨日、も……? そうだ……同じだ……まったく、同じ……?)


絵里(たしか、時刻も…今と同じくらいで……急に気持ち悪くなって、ふらふらのまま、水晶玉に惹き寄せられて…)


絵里(…それで、未来を見ると、楽になって……)


絵里(未来を見ると、楽になれるの……? ……なら、見ないと、この地獄のような苦しみにまた襲われる……?)


絵里(えっ……それは、つまり……いや、わからない……こんなぐちゃぐちゃな思考じゃ……考えもろくに纏まらない…)


絵里(瞼が重い……頭のなか、黒い闇に包まれたがってる……もう、休みたがってる……)


絵里(うん……わたしも、疲れた……だから、もう……)


絵里(私は意識を手放し…、眠りについた)

>>139
>>60
>>59
>>58
>>57
>>56
>>55
>>54


絵里「はぁぁっ……あ……ぁ…ひっ……ぅぎっ…ゃ……がっ……」


絵里(昨日は、コレを見て、楽になれた……)


絵里(だから…、今日も……っ、わたしを、たすけ、て……)


絵里(しにたく、ない……嫌、なのっ……苦しいのは…、いやなのっ……)


ポワーン…


絵里「ぁ……あはっ……見えたぁ……はぁ……はぁっ……」


絵里(水晶玉に映し出されていたのは……、驚きとも嘆きともまったく無縁な、本当に普通の…穏やかな日常の1コマ…)


絵里(…ことりが、死ぬほど甘ったるそうなジャムをたっぷり乗せたパンをかじっている…)


絵里(たった、それだけの…)



絵里(光を与えられ、毒は消え去った……)


絵里(身体……いや、頭からすぅーっと悪いものが消え、浄化されていくような……そんな感覚……)


絵里(昨日も、そうだったのかな……すぐに意識なくなって、覚えてないけど……)


絵里(……あ、え……昨日……? 昨日、も……? そうだ……同じだ……まったく、同じ……?)


絵里(たしか、時刻も…今と同じくらいで……急に気持ち悪くなって、ふらふらのまま、水晶玉に惹き寄せられて…)


絵里(…それで、未来を見ると、楽になって……)


絵里(未来を見ると、楽になれるの……? ……なら、見ないと、この地獄のような苦しみにまた襲われる……?)


絵里(えっ……それは、つまり……いや、わからない……こんなぐちゃぐちゃな思考じゃ……考えもろくに纏まらない…)


絵里(瞼が重い……頭のなか、黒い闇に包まれたがってる……もう、休みたがってる……)


絵里(うん……わたしも、疲れた……だから、もう……)


絵里(私は意識を手放し…、眠りについた)

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>>59
>>58
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絵里「はぁぁっ……あ……ぁ…ひっ……ぅぎっ…ゃ……がっ……」


絵里(昨日は、コレを見て、楽になれた……)


絵里(だから…、今日も……っ、わたしを、たすけ、て……)


絵里(しにたく、ない……嫌、なのっ……苦しいのは…、いやなのっ……)


ポワーン…


絵里「ぁ……あはっ……見えたぁ……はぁ……はぁっ……」


絵里(水晶玉に映し出されていたのは……、驚きとも嘆きともまったく無縁な、本当に普通の…穏やかな日常の1コマ…)


絵里(…ことりが、死ぬほど甘ったるそうなジャムをたっぷり乗せたパンをかじっている…)


絵里(たった、それだけの…)



絵里(光を与えられ、毒は消え去った……)


絵里(身体……いや、頭からすぅーっと悪いものが消え、浄化されていくような……そんな感覚……)


絵里(昨日も、そうだったのかな……すぐに意識なくなって、覚えてないけど……)


絵里(……あ、え……昨日……? 昨日、も……? そうだ……同じだ……まったく、同じ……?)


絵里(たしか、時刻も…今と同じくらいで……急に気持ち悪くなって、ふらふらのまま、水晶玉に惹き寄せられて…)


絵里(…それで、未来を見ると、楽になって……)


絵里(未来を見ると、楽になれるの……? ……なら、見ないと、この地獄のような苦しみにまた襲われる……?)


絵里(えっ……それは、つまり……いや、わからない……こんなぐちゃぐちゃな思考じゃ……考えもろくに纏まらない…)


絵里(瞼が重い……頭のなか、黒い闇に包まれたがってる……もう、休みたがってる……)


絵里(うん……わたしも、疲れた……だから、もう……)


絵里(私は意識を手放し…、眠りについた)

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絵里「はぁぁっ……あ……ぁ…ひっ……ぅぎっ…ゃ……がっ……」


絵里(昨日は、コレを見て、楽になれた……)


絵里(だから…、今日も……っ、わたしを、たすけ、て……)


絵里(しにたく、ない……嫌、なのっ……苦しいのは…、いやなのっ……)


ポワーン…


絵里「ぁ……あはっ……見えたぁ……はぁ……はぁっ……」


絵里(水晶玉に映し出されていたのは……、驚きとも嘆きともまったく無縁な、本当に普通の…穏やかな日常の1コマ…)


絵里(…ことりが、死ぬほど甘ったるそうなジャムをたっぷり乗せたパンをかじっている…)


絵里(たった、それだけの…)



絵里(光を与えられ、毒は消え去った……)


絵里(身体……いや、頭からすぅーっと悪いものが消え、浄化されていくような……そんな感覚……)


絵里(昨日も、そうだったのかな……すぐに意識なくなって、覚えてないけど……)


絵里(……あ、え……昨日……? 昨日、も……? そうだ……同じだ……まったく、同じ……?)


絵里(たしか、時刻も…今と同じくらいで……急に気持ち悪くなって、ふらふらのまま、水晶玉に惹き寄せられて…)


絵里(…それで、未来を見ると、楽になって……)


絵里(未来を見ると、楽になれるの……? ……なら、見ないと、この地獄のような苦しみにまた襲われる……?)


絵里(えっ……それは、つまり……いや、わからない……こんなぐちゃぐちゃな思考じゃ……考えもろくに纏まらない…)


絵里(瞼が重い……頭のなか、黒い闇に包まれたがってる……もう、休みたがってる……)


絵里(うん……わたしも、疲れた……だから、もう……)


絵里(私は意識を手放し…、眠りについた)

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絵里「はぁぁっ……あ……ぁ…ひっ……ぅぎっ…ゃ……がっ……」


絵里(昨日は、コレを見て、楽になれた……)


絵里(だから…、今日も……っ、わたしを、たすけ、て……)


絵里(しにたく、ない……嫌、なのっ……苦しいのは…、いやなのっ……)


ポワーン…


絵里「ぁ……あはっ……見えたぁ……はぁ……はぁっ……」


絵里(水晶玉に映し出されていたのは……、驚きとも嘆きともまったく無縁な、本当に普通の…穏やかな日常の1コマ…)


絵里(…ことりが、死ぬほど甘ったるそうなジャムをたっぷり乗せたパンをかじっている…)


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絵里(光を与えられ、毒は消え去った……)


絵里(身体……いや、頭からすぅーっと悪いものが消え、浄化されていくような……そんな感覚……)


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絵里(たしか、時刻も…今と同じくらいで……急に気持ち悪くなって、ふらふらのまま、水晶玉に惹き寄せられて…)


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絵里(瞼が重い……頭のなか、黒い闇に包まれたがってる……もう、休みたがってる……)


絵里(うん……わたしも、疲れた……だから、もう……)


絵里(私は意識を手放し…、眠りについた)

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絵里(うん……わたしも、疲れた……だから、もう……)


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ポワーン…


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絵里(えっ……それは、つまり……いや、わからない……こんなぐちゃぐちゃな思考じゃ……考えもろくに纏まらない…)


絵里(瞼が重い……頭のなか、黒い闇に包まれたがってる……もう、休みたがってる……)


絵里(うん……わたしも、疲れた……だから、もう……)


絵里(私は意識を手放し…、眠りについた)

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ポワーン…


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絵里(……あ、え……昨日……? 昨日、も……? そうだ……同じだ……まったく、同じ……?)


絵里(たしか、時刻も…今と同じくらいで……急に気持ち悪くなって、ふらふらのまま、水晶玉に惹き寄せられて…)


絵里(…それで、未来を見ると、楽になって……)


絵里(未来を見ると、楽になれるの……? ……なら、見ないと、この地獄のような苦しみにまた襲われる……?)


絵里(えっ……それは、つまり……いや、わからない……こんなぐちゃぐちゃな思考じゃ……考えもろくに纏まらない…)


絵里(瞼が重い……頭のなか、黒い闇に包まれたがってる……もう、休みたがってる……)


絵里(うん……わたしも、疲れた……だから、もう……)


絵里(私は意識を手放し…、眠りについた)

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絵里「ぁ……あはっ……見えたぁ……はぁ……はぁっ……」


絵里(水晶玉に映し出されていたのは……、驚きとも嘆きともまったく無縁な、本当に普通の…穏やかな日常の1コマ…)


絵里(…ことりが、死ぬほど甘ったるそうなジャムをたっぷり乗せたパンをかじっている…)


絵里(たった、それだけの…)



絵里(光を与えられ、毒は消え去った……)


絵里(身体……いや、頭からすぅーっと悪いものが消え、浄化されていくような……そんな感覚……)


絵里(昨日も、そうだったのかな……すぐに意識なくなって、覚えてないけど……)


絵里(……あ、え……昨日……? 昨日、も……? そうだ……同じだ……まったく、同じ……?)


絵里(たしか、時刻も…今と同じくらいで……急に気持ち悪くなって、ふらふらのまま、水晶玉に惹き寄せられて…)


絵里(…それで、未来を見ると、楽になって……)


絵里(未来を見ると、楽になれるの……? ……なら、見ないと、この地獄のような苦しみにまた襲われる……?)


絵里(えっ……それは、つまり……いや、わからない……こんなぐちゃぐちゃな思考じゃ……考えもろくに纏まらない…)


絵里(瞼が重い……頭のなか、黒い闇に包まれたがってる……もう、休みたがってる……)


絵里(うん……わたしも、疲れた……だから、もう……)


絵里(私は意識を手放し…、眠りについた)

>>139
>>60
>>59
>>58
>>57
>>56
>>55
>>54


絵里「はぁぁっ……あ……ぁ…ひっ……ぅぎっ…ゃ……がっ……」


絵里(昨日は、コレを見て、楽になれた……)


絵里(だから…、今日も……っ、わたしを、たすけ、て……)


絵里(しにたく、ない……嫌、なのっ……苦しいのは…、いやなのっ……)


ポワーン…


絵里「ぁ……あはっ……見えたぁ……はぁ……はぁっ……」


絵里(水晶玉に映し出されていたのは……、驚きとも嘆きともまったく無縁な、本当に普通の…穏やかな日常の1コマ…)


絵里(…ことりが、死ぬほど甘ったるそうなジャムをたっぷり乗せたパンをかじっている…)


絵里(たった、それだけの…)



絵里(光を与えられ、毒は消え去った……)


絵里(身体……いや、頭からすぅーっと悪いものが消え、浄化されていくような……そんな感覚……)


絵里(昨日も、そうだったのかな……すぐに意識なくなって、覚えてないけど……)


絵里(……あ、え……昨日……? 昨日、も……? そうだ……同じだ……まったく、同じ……?)


絵里(たしか、時刻も…今と同じくらいで……急に気持ち悪くなって、ふらふらのまま、水晶玉に惹き寄せられて…)


絵里(…それで、未来を見ると、楽になって……)


絵里(未来を見ると、楽になれるの……? ……なら、見ないと、この地獄のような苦しみにまた襲われる……?)


絵里(えっ……それは、つまり……いや、わからない……こんなぐちゃぐちゃな思考じゃ……考えもろくに纏まらない…)


絵里(瞼が重い……頭のなか、黒い闇に包まれたがってる……もう、休みたがってる……)


絵里(うん……わたしも、疲れた……だから、もう……)


絵里(私は意識を手放し…、眠りについた)

>>139
>>60
>>59
>>58
>>57
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絵里「はぁぁっ……あ……ぁ…ひっ……ぅぎっ…ゃ……がっ……」


絵里(昨日は、コレを見て、楽になれた……)


絵里(だから…、今日も……っ、わたしを、たすけ、て……)


絵里(しにたく、ない……嫌、なのっ……苦しいのは…、いやなのっ……)


ポワーン…


絵里「ぁ……あはっ……見えたぁ……はぁ……はぁっ……」


絵里(水晶玉に映し出されていたのは……、驚きとも嘆きともまったく無縁な、本当に普通の…穏やかな日常の1コマ…)


絵里(…ことりが、死ぬほど甘ったるそうなジャムをたっぷり乗せたパンをかじっている…)


絵里(たった、それだけの…)



絵里(光を与えられ、毒は消え去った……)


絵里(身体……いや、頭からすぅーっと悪いものが消え、浄化されていくような……そんな感覚……)


絵里(昨日も、そうだったのかな……すぐに意識なくなって、覚えてないけど……)


絵里(……あ、え……昨日……? 昨日、も……? そうだ……同じだ……まったく、同じ……?)


絵里(たしか、時刻も…今と同じくらいで……急に気持ち悪くなって、ふらふらのまま、水晶玉に惹き寄せられて…)


絵里(…それで、未来を見ると、楽になって……)


絵里(未来を見ると、楽になれるの……? ……なら、見ないと、この地獄のような苦しみにまた襲われる……?)


絵里(えっ……それは、つまり……いや、わからない……こんなぐちゃぐちゃな思考じゃ……考えもろくに纏まらない…)


絵里(瞼が重い……頭のなか、黒い闇に包まれたがってる……もう、休みたがってる……)


絵里(うん……わたしも、疲れた……だから、もう……)


絵里(私は意識を手放し…、眠りについた)

>>62

絵里(この時には、私の思考はもうぐちゃぐちゃで……それが改変されたものだろうが、されてないものだろうが、……過去を思い出すことに、とてつもない恐怖を感じていた…)


絵里(嫌だ……嫌だ嫌だっ……、いや……っ)


絵里(考えるな……なにも……なにも、考えるな……)


絵里(過去は恐ろしいもの……何を思い出すも、それ自体が罪……)


絵里(…そう脳に刷り込まれているような気がして)


絵里(頭のなかがぐちゃぐちゃで……半分無意識だった……)


絵里(…床に伏していた私はぺたぺたと這いずり、階段を上っていて……)


絵里(…ふらふらになりながら自室へ辿り着いていた)


絵里(……それはまるで、あるものに惹き寄せられるように)


絵里(苦しい……助けて……なんでもいい、今の状態から……救って……)


絵里(気が付くと目の前には、あの水晶玉があった…)


絵里(それは安直過ぎる発想だった……過去を思い出したくないのなら、未来を見ればいい…)


絵里(そうすればきっと……今より楽になれる……)


絵里(そんな気がして……)


絵里(私は水晶玉の方へと、両手を近付けた)


ポワーン…


絵里「なっ……、え……?」


絵里「これって……わた、し……?」


絵里(今まで見た二回よりもやや不鮮明だったが……そこに映し出されていたのは……紛れもなく、自分の姿だった)


絵里「なに、よ……これっ……、こんなの……、なん…で……?」


絵里(この時には、私の思考はもうぐちゃぐちゃで……それが改変されたものだろうが、されてないものだろうが、……過去を思い出すことに、とてつもない恐怖を感じていた…)


絵里(嫌だ……嫌だ嫌だっ……、いや……っ)


絵里(考えるな……なにも……なにも、考えるな……)


絵里(過去は恐ろしいもの……何を思い出すも、それ自体が罪……)


絵里(…そう脳に刷り込まれているような気がして)


絵里(頭のなかがぐちゃぐちゃで……半分無意識だった……)


絵里(…床に伏していた私はぺたぺたと這いずり、階段を上っていて……)


絵里(…ふらふらになりながら自室へ辿り着いていた)


絵里(……それはまるで、あるものに惹き寄せられるように)


絵里(苦しい……助けて……なんでもいい、今の状態から……救って……)


絵里(気が付くと目の前には、あの水晶玉があった…)


絵里(それは安直過ぎる発想だった……過去を思い出したくないのなら、未来を見ればいい…)


絵里(そうすればきっと……今より楽になれる……)


絵里(そんな気がして……)


絵里(私は水晶玉の方へと、両手を近付けた)


ポワーン…


絵里「なっ……、え……?」


絵里「これって……わた、し……?」


絵里(今まで見た二回よりもやや不鮮明だったが……そこに映し出されていたのは……紛れもなく、自分の姿だった)


絵里「なに、よ……これっ……、こんなの……、なん…で……?」


絵里(この時には、私の思考はもうぐちゃぐちゃで……それが改変されたものだろうが、されてないものだろうが、……過去を思い出すことに、とてつもない恐怖を感じていた…)


絵里(嫌だ……嫌だ嫌だっ……、いや……っ)


絵里(考えるな……なにも……なにも、考えるな……)


絵里(過去は恐ろしいもの……何を思い出すも、それ自体が罪……)


絵里(…そう脳に刷り込まれているような気がして)


絵里(頭のなかがぐちゃぐちゃで……半分無意識だった……)


絵里(…床に伏していた私はぺたぺたと這いずり、階段を上っていて……)


絵里(…ふらふらになりながら自室へ辿り着いていた)


絵里(……それはまるで、あるものに惹き寄せられるように)


絵里(苦しい……助けて……なんでもいい、今の状態から……救って……)


絵里(気が付くと目の前には、あの水晶玉があった…)


絵里(それは安直過ぎる発想だった……過去を思い出したくないのなら、未来を見ればいい…)


絵里(そうすればきっと……今より楽になれる……)


絵里(そんな気がして……)


絵里(私は水晶玉の方へと、両手を近付けた)


ポワーン…


絵里「なっ……、え……?」


絵里「これって……わた、し……?」


絵里(今まで見た二回よりもやや不鮮明だったが……そこに映し出されていたのは……紛れもなく、自分の姿だった)


絵里「なに、よ……これっ……、こんなの……、なん…で……?」


絵里(この時には、私の思考はもうぐちゃぐちゃで……それが改変されたものだろうが、されてないものだろうが、……過去を思い出すことに、とてつもない恐怖を感じていた…)


絵里(嫌だ……嫌だ嫌だっ……、いや……っ)


絵里(考えるな……なにも……なにも、考えるな……)


絵里(過去は恐ろしいもの……何を思い出すも、それ自体が罪……)


絵里(…そう脳に刷り込まれているような気がして)


絵里(頭のなかがぐちゃぐちゃで……半分無意識だった……)


絵里(…床に伏していた私はぺたぺたと這いずり、階段を上っていて……)


絵里(…ふらふらになりながら自室へ辿り着いていた)


絵里(……それはまるで、あるものに惹き寄せられるように)


絵里(苦しい……助けて……なんでもいい、今の状態から……救って……)


絵里(気が付くと目の前には、あの水晶玉があった…)


絵里(それは安直過ぎる発想だった……過去を思い出したくないのなら、未来を見ればいい…)


絵里(そうすればきっと……今より楽になれる……)


絵里(そんな気がして……)


絵里(私は水晶玉の方へと、両手を近付けた)


ポワーン…


絵里「なっ……、え……?」


絵里「これって……わた、し……?」


絵里(今まで見た二回よりもやや不鮮明だったが……そこに映し出されていたのは……紛れもなく、自分の姿だった)


絵里「なに、よ……これっ……、こんなの……、なん…で……?」


絵里(この時には、私の思考はもうぐちゃぐちゃで……それが改変されたものだろうが、されてないものだろうが、……過去を思い出すことに、とてつもない恐怖を感じていた…)


絵里(嫌だ……嫌だ嫌だっ……、いや……っ)


絵里(考えるな……なにも……なにも、考えるな……)


絵里(過去は恐ろしいもの……何を思い出すも、それ自体が罪……)


絵里(…そう脳に刷り込まれているような気がして)


絵里(頭のなかがぐちゃぐちゃで……半分無意識だった……)


絵里(…床に伏していた私はぺたぺたと這いずり、階段を上っていて……)


絵里(…ふらふらになりながら自室へ辿り着いていた)


絵里(……それはまるで、あるものに惹き寄せられるように)


絵里(苦しい……助けて……なんでもいい、今の状態から……救って……)


絵里(気が付くと目の前には、あの水晶玉があった…)


絵里(それは安直過ぎる発想だった……過去を思い出したくないのなら、未来を見ればいい…)


絵里(そうすればきっと……今より楽になれる……)


絵里(そんな気がして……)


絵里(私は水晶玉の方へと、両手を近付けた)


ポワーン…


絵里「なっ……、え……?」


絵里「これって……わた、し……?」


絵里(今まで見た二回よりもやや不鮮明だったが……そこに映し出されていたのは……紛れもなく、自分の姿だった)


絵里「なに、よ……これっ……、こんなの……、なん…で……?」


絵里(この時には、私の思考はもうぐちゃぐちゃで……それが改変されたものだろうが、されてないものだろうが、……過去を思い出すことに、とてつもない恐怖を感じていた…)


絵里(嫌だ……嫌だ嫌だっ……、いや……っ)


絵里(考えるな……なにも……なにも、考えるな……)


絵里(過去は恐ろしいもの……何を思い出すも、それ自体が罪……)


絵里(…そう脳に刷り込まれているような気がして)


絵里(頭のなかがぐちゃぐちゃで……半分無意識だった……)


絵里(…床に伏していた私はぺたぺたと這いずり、階段を上っていて……)


絵里(…ふらふらになりながら自室へ辿り着いていた)


絵里(……それはまるで、あるものに惹き寄せられるように)


絵里(苦しい……助けて……なんでもいい、今の状態から……救って……)


絵里(気が付くと目の前には、あの水晶玉があった…)


絵里(それは安直過ぎる発想だった……過去を思い出したくないのなら、未来を見ればいい…)


絵里(そうすればきっと……今より楽になれる……)


絵里(そんな気がして……)


絵里(私は水晶玉の方へと、両手を近付けた)


ポワーン…


絵里「なっ……、え……?」


絵里「これって……わた、し……?」


絵里(今まで見た二回よりもやや不鮮明だったが……そこに映し出されていたのは……紛れもなく、自分の姿だった)


絵里「なに、よ……これっ……、こんなの……、なん…で……?」

 
 わたしは、ひらさわゆいでつ。23さいでつ。

 さくらがおかよーごがっこー、いってます♪



            \       /
  あ~う~♪     \: : :ヽ___ノ. ⌒´..、
            .: ´:./ : : : : : : : : : :iヽ: : :ー:.、

 あ~う~♪  /.: : : :/: :.: }: : : i : :.ヽノ: : :_ : : : : `ヽ
     ____..‐′.:.: /: : : / : : :.{: : : : ヽ: : ::`ヽ : : : : '.,   あ~う~♪
    `ー‐‐: : : : ,: .': : : :.:/: : : :.,'i: : : : : : \: : :.',: : : : : ::.
     /: : : : /: : : :/: :/ }: : : ハ: : : : : :' : : : : : {: : : : : : ヽ
    /:: : : : : /: : : ./: :/  i:: |::|  ',:: i、: : :',: : : : :.|: i: : : : : : ::.

    ,' :.: : : : /: : : :/: .'  丶Vレ'  ヽ:|ノヽ:.i.:.: : : :|: |: : : : : : : ::.
   ′: : : :./: : : : i::.′                \: : |: |: :i: : : : : : :',
  .: : : : : :./: : : : :/     _       _   ヽ:.i/::.:.|: : : : : : ::i

 /: : : : : ::,': : : : :/  ,ィ=≠ミ、`     ´,ィ=≠ミ、 レ|: :.:.|: : : : : : :ヽ

 }/: : : : : i: : : : /:i 〃    i       i    ヾ }:ヽ .i : : : : : : :ハ
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  ',: : : : :.:.:.}: : : : .! ヽ   リ       {|   〃|.:.: : : :.i ヽ:.: ∧/
  ヽ∧: :.:.:..i: : :.:.::i    ` ¨´ (○ ○) ` ¨´  ,': : : : : .| ノ.:.ル'
    ヽ:.:.:.:.|: : : : :    """  _ _   """ ′: : : :::/|
      i .:.:.:|: : : : :∧      |ー‐   }     i: : : : l :i
      レ' ヽ:ハ: : : :',:ヽ     ヽ __ ノ      イ: : : :/レ
        ` >.: : :, > _   ||        イ| : ` 、
        /  `ヽ ヾ|  - 人 -------//   ', }  キャキャキャ…
          i      \', (0__)       /    {
         }  ',     ヽ__/ヽ⌒ \_/     }
          |   , /    ::}`ヽ     あ    }  
        |',   :/     : i    ゆほ i   }  
         ',                い組    | 

 

 
 わたしは、ひらさわゆいでつ。23さいでつ。

 さくらがおかよーごがっこー、いってます♪



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  あ~う~♪     \: : :ヽ___ノ. ⌒´..、
            .: ´:./ : : : : : : : : : :iヽ: : :ー:.、

 あ~う~♪  /.: : : :/: :.: }: : : i : :.ヽノ: : :_ : : : : `ヽ
     ____..‐′.:.: /: : : / : : :.{: : : : ヽ: : ::`ヽ : : : : '.,   あ~う~♪
    `ー‐‐: : : : ,: .': : : :.:/: : : :.,'i: : : : : : \: : :.',: : : : : ::.
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   ′: : : :./: : : : i::.′                \: : |: |: :i: : : : : : :',
  .: : : : : :./: : : : :/     _       _   ヽ:.i/::.:.|: : : : : : ::i

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 わたしは、ひらさわゆいでつ。23さいでつ。

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         }  ',     ヽ__/ヽ⌒ \_/     }
          |   , /    ::}`ヽ     あ    }  
        |',   :/     : i    ゆほ i   }  
         ',                い組    | 

 

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