魔王「貴様が人の王か?」(9)

王「なんだお前は! 一体どうやってここまで!?」

魔王「問に答えろ」

王「勇者! 勇者は何処にいる! 勇者を呼べ!」

側近「た、直ちに呼んでまいります」

魔王「もう一度だけ聞こう」

王(勇者が来るまで時間を稼がねば)

魔王「お前は人の王か」

王「ち、違う。 私はこの国の王だ」

魔王「そうか。 先程は礼を失していた、申し訳ない。
  貴様が王であると確信出来なかったものでな」

王(こやつ異形の癖に話が通じるのか)

魔王「して、この国の王であるということは、この世界は国が林立しておるのか?」

王「林立という程ではない、国は5つだけだ」

魔王「そうか、ならば五人の王に話を付けるだけでよいか」

王「諸王全てに会って話そうとは、お前は一体何をしに来たのだ?」(そろそろか)

魔王「この世界の譲渡を」

王「そんなことに!応じると思っているのか!!」

魔王「貴様の力を1とすると私の力は1000だ。 応じる他無いと思うが?」

王「だが。しかし、応じた後。我らはどうなる?」

魔王「魔界に人用に一区画用意している」

王(来たか)

魔王「ここは元来我等の世界だ」

王「話し合いの余地はなさそうだ。 勇者よ! 殺せ!」

勇者「覚悟!!」

・・・・・・・・・・・・

勇者「……クッ、ば…物…め……」チガドバー

魔王「何故貴様が王ではないのだ?」

勇者「……」

魔王「死んだか」

魔王「王は弱かったが、ヒトとは存外に強いものかもしれん」

魔王「まとめて襲われると危ういやもしれん」

魔王「部下を呼んでおくか」

北の国街中人だかり
魔王「この国の王が何処にいるか知らぬか?」

北王「この国の王はね、遊び人で執政も放り出し街で遊んでいる」

北王「何処にいるかは分からないよ」

魔王「城の人間もそう言っていた」

北王「もしかして君は王の客人かい?」

魔王「客人ではないが、話はある」

北王「そうか。 なら案内しよう、王の処へ」

北王「ついておいで」

小汚いパブ
北王「さあ着いたよ」

魔王「ここに王がいるのか」

北王「ああ、いるよ」

魔王「あれか」

北王「あれはパブのマスターだよ」

魔王「?? 他に人間はいないが」

北王「ふふふふふ。 思っていたより君は面白いね」

魔王「王は何処にいる」

北王「王は僕だよ」

魔王「そうか。 話がある」

北王「信じるのかい? 嘘をついているだけかもしれないよ」

魔王「嘘であるなら、また王を探せば良い」

北王「大使から聞いた話だともっと怖ろしかったんだけどなあ」

北王「正真正銘、僕がこの国の王だよ」

魔王「なら話すぞ」

北王「国を空け渡せ?」

魔王「……そうだ」

北王「別にいいよ。 代わりの土地も用意してくれるんでしょ?」

魔王「そうだ」

魔王「ならばもう用はないな。 失礼する」

北王「ちょっと待った。 今から他の王の処へ行って同じ話をするんだろう?」

魔王「そうだ」

北王「ならうちに泊まっていくといい」

魔王「何故?」

北王「うちから手紙を出して、断った処にだけ出向けば、手間が省けるだろう」

北王「というのは建前で、君に興味が湧いた。 どうだろう、受けてくれるかい?」

魔王「そうだな。 手間が省けるのは良い」

北王「早速部屋を手配してこよう」

魔王「3部屋頼む」

北王「?」

魔王「部下がいる」

北王「了解」

北王は迷惑なやっちゃな

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