男「たとえば、大勢の前で大失敗するとか、見栄をはってたのがバレるとか」

男「正しいことをいってるのに異常者扱いされちゃうシーンとか……」

男「ああいうの見ると、自分まで恥ずかしくなったり、辛くなったりしてこないか？」

友「いや全然」

男「こっちまでうわぁ～キツイなぁ……とかなってこないか？」

友「全然ならない」

男「でも、気の毒だな……とは思うだろ？」

友「それは思うけど、それでこっちまで恥ずかしくなったり辛くなることはないな」

友「この架空のキャラは可哀想だな、と思うだけでそれ以上でもそれ以下でもない」

男「……」

友「逆に聞きたいんだけど、なんでそうなるの？」

友「だって架空のキャラがいくら恥かこうが、ひどい目にあおうが」

友「俺たちにはなんの影響も被害もないわけじゃん」

友「なる理由が分からない」

男「うーん……そうだなぁ」

男「そのキャラクターになりきっちゃってる部分もあるのかもしれないな」

友「なりきる？　じゃあお前、たとえば自分がなりきってるキャラが死んだら死ぬの？」

男「いや……死なないけど」

友「なんなんだよ、なりきってるんじゃねーのかよ」

男「なりきるけど……そこまではなりきれないっていうか」

友「なんだよ、それ」

友「ようするに、お前は現実とフィクションの区別がついてないんだよ」

友「だから、キャラクターがひどい目にあうと自分が悪いわけでもないのに」

友「自分まで恥ずかしくなったり、辛くなったりするんだよ」

男「そんなことはないと思うけど……」

友「そうに決まってるだろ」

友「結局さ、お前みたいな犯罪を起こすんだよな。アニメなんかに影響されてさ」

男「そんなことないって……」

友「少なくとも予備軍ではあるわな」

友「悪いけど、今日からお前のダチはやめさせてもらうわ」

友「お前が犯罪者になった時、仲間扱いされたくないからな」

友「二度と俺に近寄らないでくれよ」

男「え……」

友「あと、お前の他の知り合いにもお前は犯罪者予備軍だって伝えとくから」

友「というかメールやらなんやらでもう伝えたけど」

男「え！？」

友「絶交する、気持ち悪い、あいつとは友達辞める、だってさ」

男「そ、そんな……」

友「当然のことだろうが」