【ゼノギアス×艦これ】提督「海上都市タムズに放り出された」 (533)

※ゼノギアス×艦これSSです。

※初スレ建て、初SSなのでおかしな所等あれば指摘をお願いします。

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?「……トク、……ートク」


「うぐ……いてて……」


?「テートク!!」


提督「うおっ!何だぁ!?」


?「あ、やーっと起きましたネ提督ぅ!皆さん、提督がウェイクアップしたヨー!」


提督「その声、金剛か?暗くてなんにも見えんぞ」

?「提督、ご気分はいかがですか?榛名、とっても心配しました」

?「おはようございます、提督」

?「提督さん起きたの?今のところ敵はどこにもいないっぽい」

?「提督おはよー。この非常事態にのんきだねえ」

?「提督、大丈夫?どこか動かないところはない?」


提督「榛名、加賀、夕立、北上、それに大鳳か。って事は、
ここにいるのは第一艦隊の全員か。他の連中はどうした?」


加賀「少なくともここにはいないわ」


提督「ここには?というか、ここはどこなんだ?さっきから感じる揺れから察するに海上のようだが」


榛名「榛名たちにも詳しいことは……。分かるのはここがコンテナの中だということくらいで、外の様子は何も……」


提督「そうか。じゃあ、そもそもの話から考えよう。
何で俺たちはこんな所にいるんだ?ここで眠っちまう前は……ええと……何してたっけ?」


金剛「何言ってるノテートクゥ!新海域の攻略のために皆でアタックするプランを考えてたところでショ!」


提督「ん、そうだったか。どうも記憶があやふやで……いだだだだ!!」

榛名「て、提督!大丈夫ですか!?」


提督「……いや、あんまし大丈夫じゃないレベルの痛みが頭に来てる。
ここに運ばれるときに頭でも殴られて昏倒させられたのかもな。皆は大丈夫か?」


榛名「あ、いえ、提督の頭のほうは多分そういうことはないと思います」


提督「あん?何でさ」


榛名「それは、その……頭の痛みはその……金剛お姉様が……」

夕立「あーっ!確かにさっきまでガンガン叩いてたっぽい!提督さん大丈夫?」


提督「……おい金剛」

金剛「だってテートクがいくら呼んでも起きないかラ!
このまま目が覚めないんじゃないかって気が気じゃなかったんですヨー!」


提督「……今はそんなこと言っている場合じゃなさそうだ。とりあえず問題なのは外の様子だな。
誰か開閉口を見つけてないか?コンテナならどこかにあるはずだが」ライターシュボ


加賀「あなたが寝ている間にとっくに見つけています。
でも、外の状況も分からないのに迂闊に開けられないわ」


提督「かと言ってこのままというわけにもいかんだろ。とりあえず開けてみて……」

ガッタン!ウィイイイイン


提督「うおあっ!何だ今の揺れ!全員無事か!?」


金剛「これぐらいノープロブレムネー!」

加賀「問題ないわ」

北上「私もへーきー。最初から寝転んでるから転んだりもしないし」

大鳳「だ、大丈夫よ、提督」

夕立「夕立も平気っぽい!」

榛名「榛名も大丈夫です!でも提督、これは……」


提督「ああ、この振動の仕方、何かに引っかかったな。
それに続くモーター音からして、どこかにワイヤーか何かで引っ張られてるんじゃないか」


大鳳「どうします、提督?もしかしたら深海棲艦かも……」


提督「んー、向こう側から開けてくれるまではとりあえず様子見だな。
味方かもわからんし、敵であれ味方であれ、
海の漂流物をわざわざ拾った後に中身も見ずにどっかに捨てることはないだろ。
もし敵だったらここが開いた瞬間に一点突破の奇襲をかける」


加賀「随分と悠長ね。この外がもう敵地のど真ん中だったらどうするつもり?」


提督「もしそうだったらここでどんな事を考えようが無駄だろうな。
であれば、とりあえずこの様子見&奇襲作戦で行く、って考えじゃ駄目か?」


加賀「……うまくいくといいけど」


提督「まあ俺を信じろって。あ、もう艤装は展開しとけよ」

ガクン ドスン


提督「っとお。どっか安定したところに置かれたな。よし、こっちも準備だ」


榛名「提督、陣形はどうしましょう?」


提督「こう縦長だと複縦陣しかねえな。夕立、北上、2人は最前だ。俺が合図したら撃ちまくれ」


夕立「腕が鳴るっぽい!」ガチャ

北上「りょーかい」チャッ


提督「頼むぞ。金剛、榛名、お前らは一つ後ろだ。
ここは狭いからな、いきなり戦艦の砲撃なんてかましたら大惨事だ。少なくとも俺は木っ端微塵になっちまう。
つーわけで、突破口が開いたところで外に出てから砲撃してくれ」


金剛「まっかせテー!」ガッシャン

榛名「榛名、了解です!」ガッシャン


提督「空母組は最後列だ。そんで大鳳、お前は最前組の射撃と同時に偵察機を飛ばしてくれ。
加賀は待機だ。偵察機の情報次第で攻撃機を出すか決める」

加賀「準備はできています」スッ

大鳳「やるわ!」ジャキ


提督「よおし!そんじゃ総員、射撃準備!」


ギギギギイィィー


……


「おお!?中に人がいるぞ人が!」


提督「……は?」


「おいおいマジか!」「こんなコンテナ一つで漂流とは変わった奴らだなあ!」
「あん?なんだお宝じゃねえのかよ」「あのお姉ちゃん大砲もってるー!」
「あのお姉ちゃんだけ如雨露もってるよー!なんでだろ?」
「コラ!あぶねーからガキ共はどっか行ってろ!」ザワザワ


加賀「……提督、これはどうするの?」


提督「あー、うん、とりあえず射撃中止。少なくとも敵じゃなさそうだ」

~ねじレベーター内~


北上「うええ疲れたぁー」


夕立「やっと開放されたっぽいー」

提督「ずっと質問攻めだったからな。まあ、海に漂ってたコンテナから人が出てくりゃ当然か」


榛名「それにしても大きい物資搬入口でしたね。一体何を搬入するんでしょう?」

提督「確かにな。それに、集まってきた人が教えてくれたここの名前が
『海上都市タムズ』だと言うのもわからん。そんな町聞いたことないぞ」

金剛「英国にもそんな街はないヨー」


提督「まあ、ここがどこにせよ、話に聞いた『艦長』とやらに会ってみるしかなさそうだな。
これで最上階まで行けるらしいが」ポチッ


ガタンッ ウオオオオン……


提督「お、動いた動いた」\マワスンジャネェー!ウェーーー!/


  ***


~4F ブリッジ~


艦長「よお!コンテナん中で漂流してたってのはおめぇらだな!」


夕立「せ、せ、せ、セイウチが……」

大鳳「喋ってる……」

金剛「ワッザ……」

提督「マジかよ……」

加賀「……驚いたわね」

北上「確かに初めて見たかも」

榛名「榛名もびっくりです……」


艦長「んー?どうしたおめぇら?急にボーっとして」


提督「あ、ああいや……ゴホン、この度は漂流中の我々を救助していただき、ありがとうございます。
私は横須賀鎮守府を預かる提督の……」


艦長「まあまあそう堅くなりなさんな。それに礼もいらねえぜ。
俺たちゃこいつでおまんま食ってるからな。海からの拾いモンを粗末にしちゃバチが当たるってもんだ」

榛名「こいつというのは、そこから見えるクレーンのことでしょうか?」


艦長「おうよ。あの自慢のクレーンで海からの物資を引き上げて売り捌く。
それがこの海上都市タムズの生業ってワケだ」


提督「海上都市?ここから見る限り船にしか見えないが」


艦長「おお、そうか、おめぇら外からタムズを見なかったのか。
なら丁度いい。漂流してたって事はハラ減ってんだろ?話の続きはメシ食いながらにしようや」


提督「いや、そこまで世話になる訳には」


艦長「まあまあ遠慮すんな!別に太らせてから食おうってワケじゃねえからな。
ハーーーンス!!俺は客人をもてなすぞ。後は任せた」


ハンス「了解しました、艦長。あまり度を越されぬように」


艦長「へっ、わかったよ」


金剛「こ、今度ハ……」

夕立「イルカが喋ってるっぽい……」


ハンス「ん?君たちはさっきから妙だね。亜人がそんなに珍しいかい?」


提督「亜人?」


艦長「おーい、こっちだこっち。ついてきな」


榛名「どうしましょう、提督」


提督「ワケの分からない状況だが、とりあえず悪い連中ではなさそうだ。現状の把握の為にもここはついて行ってみようか。他にアテもねえしな」


加賀「大丈夫かしら」


北上「まあなんとかなるっしょー」

~3F ビアホール~


ドア「ガチャ」


提督「これは……」

榛名「わあ!」

金剛「ビューティフルネー!」

夕立「おいしそうなにおい!」

加賀「流石に気分が高揚します」グゥー


艦長「おう、来たな。ほれ、若ぇのもきれいな嬢ちゃん達もこっち来て座れや」


提督「艦長は奥か。ほら行くぞ、きれいな嬢ちゃん達」スタスタ


金剛「!!テェートクゥー!」ギュッ

榛名「そんな、榛名は、榛名は……」クネクネ


艦長「悪いな、こんな狭いところでよ」


提督「いや、むしろ艦長、改めて礼を言わせてほしい。食事まで……!!」


艦長「ガッハッハッハ!最高の眺めだろう?これがタムズ自慢のビアホールだ。
それにほれ、窓の近くで見りゃ、タムズが海上都市と呼ばれているワケも分かるだろうよ」


提督「これは……驚いたな。船自体がちょっとした小島くらいの大きさだ」


艦長「スゲェだろ?こんなでっかいフネは多島海エリア広しといえどタムズだけだぜ」


提督「多島海?聞いたことのない地名だな。いや、それ以前に見たことない物が多すぎる。
艦長、一体ここはどこの海なんだ?太平洋か?」


艦長「タイヘイヨウだぁ?何のことかよくわからねえが、この辺はアクヴィエリアの南端近く、
丁度バベルタワーの真南ってところだな」


提督「バベ……ま、待ってくれ、一旦情報を最初から交換させてくれ。まずは俺達の情報から……」


―海の男情報交換中―

艦長「ニホンにチンジュフ、カンムスにシンカイなんたらねぇ。
俺はタムズで色んな海を回ってるが、そんな話は聞いたこともねえ」


提督「こちらもだ。アヴェにキスレブ、エーテル、亜人、ギア、スレイブジェネレーター。
おまけに死霊、か」


金剛「理解不能デース……」

提督「正直、俺もあんまりわかってねえな」

榛名「提督、私たち、帰れるんでしょうか……」

提督「ん、まあ心配すんな。何とかするさ」

大鳳「鎮守府のみんなは大丈夫かしら……」

提督「大丈夫だろ、しばらく俺や第一艦隊がいなくとも回るようにはできてるし。
電がなんとかしてくれるはずだ」

夕立「補給ができないのは困るっぽい!」

提督「今の話が本当ならここに深海棲艦はいないんだろ?なら当分はいらないと思うぞ」

加賀「ごはんはまだかしら」

北上「ねー。お腹減ったー」

提督「いや今こう見えて結構緊急事態だからね?割と食事どころじゃないからね?」


艦長「がっはっはっは!いいじゃねえか。何はともあれメシだメシ。
おおい、メシはまだか?お客人を待たせるんじゃねぇぞ」


メシ作ってる人「へい艦長、もうすぐできまさぁ」


提督「艦長、本当にいいのか?さっきの話の通り、俺達はここのことを何も知らない。
持ち合わせだって何もないぞ」


艦長「いいってことよ。なんたって……」


艦長「俺は!」ドン!

艦長「海の!」ドン!

艦長「男だからよ!!」ドドン!!


艦長「がっはっはっは……」


北上「おおー」パチパチ


榛名「かっこいいです」


金剛「今のとってもクールデース!テートクもあれやって下サーイ!」


提督「絶対嫌だ」


金剛「ぶぅーデース」

メシ作ってた人「お待ちどおさん!さあ客人、たらふく食ってくれ!」


艦長「お、きたな。さあお前ぇら、遠慮はいらないぜ」


提督「……うん、皆、ここは厚意に甘えるとしよう。というわけで」


第一艦隊「いただきまーす(ス)(っぽい)!」

提督「色々と材料が不明すぎる料理だが、メチャクチャ美味かった」


提督「……で、なんだこのザマは」


金剛「そこで勝負を決める渾身の右ストレートが炸裂!晴れて私はテートクに膝枕してもらったのデース!」グビグビ


艦長「がっはっはっは!いいねいいね、元気な方の嬢ちゃんはお盛んじゃねえか!」グビグビ


金剛「当然デース!なんたって……」


金剛「提督の!」ドン!

金剛「ハートは!」ドン!

金剛「私のものデース!」ドドン!!


艦長「がっはっはっは!」


金剛「HAHAHAHAHA!」グビグビ


提督「飲みすぎだ金剛、あとそういう恥ずかしい話はするな」


加賀「そこの貴方、おかわりを頂けるかしら」


大鳳「あ、私もお願いします」


メシ作ってた人「もう勘弁してくれ!作り置きしてた分はとっくになくなっちまったよ!」


提督「空母組は食いすぎだ、いい加減限度ってものを覚えてくれ」


加賀「あら、当然知っているわ。食べられる限界の事でしょう」


提督「そうじゃねえよ!ちったあ遠慮しろってことだよ!
ほら俺の分あげるから、今日はそれで終わりにしてくれ」


加賀「ここは譲れません」モグモグ


大鳳「ガンガンかかってらっしゃい!」モグモグ


提督「……いやホントにそれで最後だからな?他の客の食いモンとったりするなよ?」

北上「ぐうぐう」


夕立「提督さん見て見て!あっちでおっきなお魚が空を飛んでるっぽい!」


提督「(どんな状況だよ)おーう、あんまり騒ぐなよー。ほれ北上、こんなところで寝るんじゃねえ」ユサユサ


北上「ぐうぐう」ベシッ


提督「あでっ、起こそうとするといつもこれだ……とりあえず俺の上着掛けときゃいいか」ファサ


榛名「提督、提督」チョンチョン

提督「あん?どうした榛名」


榛名「榛名、提督にお酌をしたいです」


提督「あー、嬉しい申し出だが、今日はもう酒はいいや」


榛名「いえ、そう言わずに受けてください」


提督「いや、今日はこれぐらいにしないとマズ」ガシッ


榛名「提督」ギリギリ


提督「お、おい、榛名?榛名?肩がものすごく痛いんだgフォゴッ」グビグビ


榛名「わあ!さすが提督、いい飲みっぷりです!」


提督「ぶはッ!いやこれ酌でもなんでもねえし!榛名!お前も飲みすぎたクチか!」


金剛「あーっ!ハルナァ!姉の私を差し置いてそんな羨ましいことヲ……トウッ!」シュバッ


提督「げっ」


金剛「テェートクゥーッ!」ガシッチュウゥゥゥ


提督「もごごごもごが」


金剛「……フゥ、どうですかテートクゥ?私のホームメイドリカーの味ハ?」


提督「ホームメイドって……ただ単に口移ししただけだろ……あやうく肺までアルコール漬けにされるところだったぞ……」


夕立「なになに?おもしろそう!夕立も混ぜて混ぜて!」ピョーン


提督「だあああ飛び掛ってくんな!やめろ!」ガッシイ


艦長「がっはっはっは!なんだなんだ、元気な嬢ちゃんだけでなく全員そういう関係か!テートクのあんちゃんはモテモテだなぁ!」


提督「ち、違う!いや一部は違くないけど!いやその一部もカッコカリだけれども!」


金剛「テートクゥー!」スリスリ

榛名「榛名は大丈夫です!」スリスリ

夕立「新しい遊びっぽい!」


加賀「そこの貴方、食べられるものなら何でもいいわ、とにかく持ってきて頂戴」


メシ作ってた人「ひええ、何なんだこの姉ちゃんは」


提督「か、解散!皆食事は終わっただろ!解散!解散だ!」

  ***


~4F ブリッジ~

コツコツコツ


艦長「ん、おお、テートクのあんちゃんか、嬢ちゃん達はどうだよ?」


提督「全員部屋に押し込んでおいた。酔いつぶれた戦艦2人を運ぶのは流石にキツかったな」ゴキゴキ


艦長「海の男が泣き言を言うもんじゃないぜ、それが甲斐性ってもんだろぉが」


提督「そうかもな。しかし、滞在用の部屋まで貸してもらって本当に感謝の言葉も無い。ここでは俺達は右も左も分からないからな。助けてもらわなければどうしようもなかった」


艦長「がっはっはっは。あんちゃんは礼を言うのが好きだな。なぁに、こっちも好きでやってるんだ、気にするない」


提督「……そうか」


ハンス「それより君達はこれから一体どうするんだい?
君達が元いた場所に帰るための手掛かりなんてないのだろう?」


提督「ああ、そのことについて話に来た。艦長、迷惑ついでに提案があるんだが……」


  ***


~翌日 居住区~


ガイーン ガイーン


夕立「きしょー、きしょー、皆起きるっぽい!」ガイーンガイーン


大鳳「さあ!艦娘たるもの、行動は迅速に、ですよ!」ガイーンガイーン


金剛「オオオオオゥ……あ、頭に響きマース……」ズキズキ

榛名「榛名、2日酔いには……ま、まけ、まけま……」ガンガン


夕立「もー、みんなねぼすけさんっぽい!もうお昼っぽい!」


北上「もういっそ夕方まで寝ててもいいんじゃない?」グデー

夕立「ダメっぽい!提督さんが呼んでるっぽい!」


加賀「……そういえば提督の姿が見えないわね、どうかしたのかしら」


夕立「提督さんは先に行って待ってるっぽい!」


金剛「一体どこにデース?イダダダダ」ズンズン


大鳳「今から案内する場所です。というわけで、理解できたら準備してください!
すぐ出発しますよ!」


北上「うへー」


榛名「は、榛名、全力で参ります……」


 ***


~B1F 物資搬入口~


金剛「ここハ……」


加賀「どうやら、最初に私達が降り立った場所のようね」


夕立「その通りっぽい!」


大鳳「ここで待機せよとの提督のお言葉です」


榛名「提督が?」


加賀「それで、その提督ご本人は一体どこかしら」


提督「ここだ」スタスタ


金剛「テートクゥ!グッモーニンデース!」


提督「うむ。おはよう諸君」


北上「げっ、提督完全に指揮官モードじゃん……」


金剛「ゥー、あのテートクにハグすると怒るから苦手デース……」


提督「……よし、全員揃っているな。諸君に集まってもらったのは他でもない、
我々が今置かれている状況と、今後の方針について話す為だ」


提督「まずは現状について。結論から言おう、ここは我々が元々住んでいた世界とは全く別の世界、
即ち『異世界』であると俺は推測する」


金剛「!!」

榛名「そんな……」

加賀「……」


北上「まー確かにそんな感じがするよねー。でも提督はなんでそう思ったのさ?もしかしたら未知の海域とかかもよ?」


提督「理由は大きく三つ。まず一つは、我々の世界にないものがここにはあるという事。
衣食住と見たことのないものだらけだが、特に目に付くのは亜人と死霊だな」


北上「ほうほう」


提督「もう一つは、逆に我々の世界にあったものがここには無いという事。
こちらは特に艦娘と深海棲艦が当てはまるだろう。ここの人々に聞いてみたが、誰一人その存在を知らなかったからな」


北上「なーるほど」


提督「最後に一つ、地理が全く違う。
先程ハンス副長に世界地図を見せてもらったが、我々の知る世界と全く違う地形をしていた。
当然日本も存在していなかった」


加賀「……なんてこと」


提督「よって我々の元いた世界からの支援は期待できそうにない。
そこで、だ。我々の今後の方針だが、しばらくこのタムズに留まり、元の世界に戻るための方法を探していくことにする」


北上「まー妥当じゃない?」


提督「ここはサルベージ船という性質上、人の行き来も激しい。
今いるこの……アクヴィ?エリア以外の情報も手に入りやすいだろう。
しかし、当然このまま何もせずに滞在させてもらうわけにはいかない」


提督「というわけで、情報収集と平行した我々の当面の行動として、サルベージ作業の手伝いをしていこうと思う」


金剛「エエッ!?」


北上「ちょちょちょ、ちょっと待ってよ提督、私たちそんなことやったこともないよ?」


提督「そこはちゃんと考えてある。我々が請け負うのはサルベージ作業そのものではなく、
サルベージ地点の偵察、作業中の護衛などのサポートだ。遠征とそう変わりはしないだろう」


加賀「どうかしら、やってみないとわからないわね」


提督「うむ、どうあれ我々はここのことを何も知らない。まずはできそうなことからやっていくということだ」フウ

提督「……ってな感じでどうだ?細かいところはその都度決めていくって感じで」

北上「(あ、戻った)まあーいいんじゃない?」


金剛「私は提督のためなら何でもカモンデース!」フンス


榛名「榛名、任務了解です!」


加賀「……そうね、それはいいけれども、そうなると燃料と弾薬が必要なのではなくて?
私たちに合う補給物資がここにあるのかしら」


提督「いい質問だ加賀さん。その点に関してはこの人に話をお願いしてる」フリフリ


ギア整備士「おお、俺の出番か?こんな別嬪さんに囲まれて話をするのはちょいと緊張するが」


榛名「あの、この方は……?」


提督「この搬入口でギアの整備を担当されている方だ。朝から夕立と大鳳の艤装を調べてもらっていた」


夕立「お手伝いしてたっぽい!提督さん、褒めて褒めて!」

提督「ん、夕立も大鳳もありがとな」ナデナデ

大鳳「あ、ありがとうございます!」パァッ


金剛「グヌヌ……」

榛名「羨ましいです……」


ギア整備士「……あー、話に入ってもいいか?」


提督「ああ、申し訳ない。先程の話をこの子達にお願いします」


ギア整備士「おおよ、嬢ちゃん達の艤装の話なんだがな、とんでもねえことが分かったぜ」


加賀「と言うと?」


ギア整備士「いやな、そこのあんちゃんが言うようにさっきまでそこの娘っ子2人の偽装を調べてたんだがな、
主動力にスレイブジェネレーターが使われてるんだ」


加賀「私たちの……」

榛名「艤装に……」

金剛「スレイブジェネレーターが……って、そのスレイブ何とかってなんなんデスカー?
昨日の話にも出てましたけどさっぱり分からないデース」


提督「う、実は俺もあんまり詳しいことは……」

ギア整備士「はは、まあ無理ないわな、日常的に使ってる俺達にだってあんまり分かってねえんだ。
分かってることといったら、鋼鉄の巨人、ギア・アーサーをも動かせる高出力と、
エネルギーが枯渇しそうになると一定量のエネルギーがどこからか充填される、ってことぐれえだ」


提督「……まあ、超すごい擬似永久機関ってことか」


加賀「そのエンジンが私達の艤装に搭載されている、と?一体何時からなのかしら」


ギア整備士「他の嬢ちゃんのは調べていないからわからねえが、少なくともそこの2人のにはな。
しかも見たことねえ程に小型化された奴だったぜ」


提督「という訳なんで、まずは全員の艤装にスレイブジェネレーターが搭載されているかのチェックから始める。
もし全員についていれば最高だな。それだけで燃料の心配がなくなるんだから」


大鳳「それにしても、一体何時の間に変わっていたんでしょう?全然気づかなかったわ」


提督「さあな、その辺もおいおい調べていかなきゃならないだろう。
さて、他に質問はあるか?」


北上「はいはーい」


提督「なんだ?」


北上「燃料のほうはともかくとしてさー、弾薬はどうすんの?流石にこっちは替えが利かないでしょー」


提督「それに関してはギア用の物を流用できないかと思ってる」


北上「それって大丈夫なの?無理があると思うけど」


ギア整備士「いや、そうでもねえぞ。どうやら弾薬の基本構造はほとんど同じらしくてな、
口径さえ合えばあとは何とかできるかも知れん」


加賀「私達の艦載機はどうなるのかしら?こちらに同じものがあるとは思えないけど」


ギア整備士「あー、緑色の嬢ちゃんの装備にあったヤツか。あんなのは流石に見たことねえな」


提督「現状ではどうしようもなさそうだし、そっちはとりあえず保留にしよう。
さて、そろそろ作業にかかるか。戦艦2人は艤装を見てもらってくれ。
残りは俺と一緒に使えそうな弾薬のチェックだ。では、あとはよろしくお願いします」


ギア整備士「おお、任しときな!ほら嬢ちゃん2人はこっちだ。そこに艤装置いといてくれ」


金剛「エェー、テートクもこっちで私の艤装見て下サーイ!私から目を離したらノーデース!」


提督「こっちはこっちでやることがあるんだよ。ちゃんとできたら褒めてやるから、2人だけでやってくれ」


金剛「!!よろしくお願いしマース!」フンフン


榛名「榛名、全力で参ります!」

  ***


~B2F ドック~


北上「で、結局全員の艤装に載ってたね。スレ何とか」


加賀「スレイブジェネレーターよ、自分の艤装の事はしっかり把握しておきなさい」


北上「えー、名前なんてどうでもいーじゃん、大事なのは使えるかどうかっしょー」


夕立「その通りっぽい!どんな名前でも敵を倒せればそれでいいっぽい!」


加賀「よくありません。いつも言っていますが、軍の規律を守るためにも決められたことはしっかり守らねばなりません。
正しい名称を覚えることもその一つです」


北上「相変わらず固いなー。やることはしっかりやってるんだからいいでしょー?
大体、こんな状況じゃ軍も何もあったものじゃないんじゃない?」


加賀「そんなことはありません。こんな状況だからこそ……」


大鳳「もう、2人ともやめて下さい。これから全員で試験航行に出る所なんですよ?
こんな事では不足の状況に対応し辛くなってしまうわ。金剛さんも榛名さんも何か言ってください」


金剛「エヘヘ、テートクの手が、テートクの手の感触ガ……」ツヤツヤ

榛名「榛名、こんなことされても、十分なお返しできません……」ホクホク


夕立「これはダメっぽい。完全にトリップしてるっぽい」


大鳳「ああ、先が思いやられるわ……」


提督『あー、あー、テステス、皆聞こえるか?』


北上「ん、提督じゃん。聞こえてるよー」


提督『北上か。他の皆はどうだ?』


金剛「提督の素敵なボイス、しっかり聞こえてマース!」

加賀「問題ないわ」

榛名「榛名も大丈夫です」

大鳳「こちらも聞こえています、提督」

夕立「夕立も聞こえてるっぽい。けどこれ耳がくすぐったいっぽい」


提督『よし、全員良好だな。こいつはこの世界の通信機らしくてな、艦長に頼んで貸してもらった。
夕立には悪いが、しばらくの間は出撃中の通信はそのヘッドセットで行う』


北上「それはいいけど、今まで使ってたやつはどうなったのさ?」

ゼノギアス好きだから期待
とはいえいつの間にかスレイブジェネレーター搭載してたって都合良すぎじゃない?

提督『どうもこの世界じゃ使えないらしい。調整してもらえば使えるかも知れないが、まあ、期待はしないでくれ』


北上「ふーん」


提督『さて、そろそろ本題に入るぞ。さっき説明したとおり、
今からスレイブジェネレーター搭載艤装をテストする。つってもそんなに堅いもんじゃない、
搬入口で動作確認は済ませてあるから、艤装の使用感を確かめる程度のものだ。
こっちの世界の海に慣れる、ぐらいの気持ちで挑んでくれ」


夕立「わかったっぽい!」


提督『そんじゃあリフトを海面まで下ろすぞ。海に出たら、まずはまっすぐタムズの外に出てくれ。
そこからしばらくは自由に動いていいぞ』ポチットナ


ガタン ウイィィィン


榛名「何だかワクワクしてきました」

夕立「新しい装備、楽しみっぽい!」

北上「こっちの海ってどんな感じなんだろうね」

大鳳「動作不良がなければいいけれど……」


加賀「提督、あなたは何をしているの?」


提督『俺は甲板で監督させてもらう。それじゃあ皆、怪我はしないようにな』ポチットナ


ガタンッ


金剛「着きましたネー!ヘイ皆さん、フォロミーネー!」バッシャアン


夕立「ちゃんとやって提督さんに褒めてもらうっぽい!」バシャ

北上「さーて、やりましょうかね!」バシャン

榛名「金剛お姉様に続きます!」バッシャアン

大鳳「いきましょう、加賀さん!」バシャアン

加賀「出ます」バシャアン


スイー……


榛名「これは……」


提督『どうだ?何か変わったところはあるか?』


金剛「なんというカ……」


大鳳「前とほとんど変わらないわね」


加賀「そうかしら、少し軽くなったような気がするけれど」


夕立「あ、皆見て見て!外の光っぽい!」


スイー…… パァッ

榛名「わあ!」キラキラ

金剛「眩しいデース!」

夕立「わーい!」

北上「なんか久しぶりって感じー」

加賀「海の状態もあまり変わらないわね。いつも通り動けそうで安心しました」


金剛「あっ!あの上でテートクが手を振ってマース!テートクゥー!」フリフリ


~1F 甲板~


提督「おーう、全員バッチリ見えてるぞー。こっちの海はどんな感じだー?」


加賀『特に違和感はないわ』


提督「そりゃよかった。それじゃそのまま海上散歩と洒落込んでくれ。後でまた連絡する」


提督「ふう。とりあえず航行には問題なし、か。こりゃ意外と早く馴染めそうだ。
さあて、こっちも今のうちに準備を……」


メシ作ってた人「お、そこにいるのは艦長の客人じゃねえか、何してんだこんなところで」


提督「あなたは昨日の……その節はウチの加賀が大変ご迷惑をおかけしました」


メシ作ってた人「はっはっは、謝ることはねえよ。
あの嬢ちゃんぐらい食ってくれりゃ、逆に作り甲斐もあるってもんだ。
そういやあ昨日の嬢ちゃん達はどこいったんだ?」


提督「ああ、加賀達はあそこです」


メシ作ってた人「おお?あそこったって海の上じゃ……!?」


提督「あの子達『艦娘』は、ああやって海面を一人で航行できるんですよ。
今はここの海でも同じことができるかテストしているところです」


メシ作ってた人「こいつぁ驚いた……。まさかあの嬢ちゃん達にあんなことができるなんてなあ」


提督「自慢の部下達ですよ。いやあ最初は苦労しました、なんせ俺もあの子達も新米のペーペー。
対して敵はそんな事情などお構い無しに襲ってくる。当然ゆっくり訓練を積んでいる暇もありません。それでも……」


メシ作ってた人「おおい!おめえらぁ!ちょっとこっち来てみろ!おもしれえモンが見られるぞぉ!」

「お?なんだなんだ?」「お宝か!?」
「デスサイズが群れで飛んでいるとか?」「なんだい、皆して集まって」ワラワラ


メシ作ってた人「お宝でも祭りでもねえよ。ほれ、あの辺の海見てみろ、
昨日コンテナから出てきた嬢ちゃん達が海面をスイスイ滑ってんだよ」

「うお!?すげえなありゃ」「どうなってんだ?」


メシ作ってた人「さあなあ……なあ白い服のあんちゃん」


提督「……当然、その任務も過酷であることは明白でした。それでも……あ、なんです?」


メシ作ってた人「あの嬢ちゃん達はどうやってあんな芸当をやってのけてんだ?」


提督「いやあ、俺も良く知らないんですよね実際。今はスレイブジェネレーターで動いてるって事だけ……
っていつの間にこんなに観客増えたんだ」


提督「(いや待て、これ逆にチャンスじゃね?)あーすいません、そっちの方の準備って終わってます?」ピピッ


ギア整備士『お?ああ、一応終わっているが、予定より早いんじゃねえか?』


提督「ちょっと考えがありまして、少し早いですが始めようと思います」


ギア整備士『?まあ、やるってんなら構わねえよ、いつでも言ってくれや」


提督「よろしくお願いします。……あー皆さん!改めて挨拶をさせて頂きます。
彼女達は横須賀鎮守府所属の艦娘、そして自分は彼女たちの提督です。
これからしばらくの間、このタムズに滞在することとなりました。どうぞよろしくお願いします」


「お、なんだなんだ」「なんか始まったぞ」
「ちょっと、押すんじゃないよ!」「アネゴは美しいのらー」


提督「今海上で行っているのは彼女達の艤装のテスト、言わば演習です。
これから彼女達の性能をお見せしましょう。……金剛!」ピピッ

一旦休みます。レスの仕方でおかしい所、読みづらい点など書いていただけると嬉しいです。
>>24 ゼノギアス世界に化石燃料がある描写がなかったので……

お待たせしました。再開します。
ゼノギアス、せめて版権問題だけでもクリアできるといいですね

  ***

~少し前、海上~


金剛「ヘイハルナ!次はあっちの鳥の群れまで競争デース!」


榛名「はい!受けて立ちます!」


夕立「うーん、敵がいないのにこうしているのはなんか落ち着かないっぽい」ソワソワ


北上「そういえば初めてじゃない?何もないのにこうやって航行してるのって」スイー


大鳳「そう言われればそうね、いつも何らかの任務があって出撃していたものね。
それが当たり前なのだけれど……」


加賀「のんきなものね」


北上「えー?また小言ー?勘弁してよー」


加賀「あなたのことではないわ」ジー


北上「えーっと……あー、提督の事?なんか人だかりができてるけど」


加賀「……いえ」


提督『金剛!』


金剛「あ!テートクデース!何ですカー?」


提督『散歩は終わりだ。これから艦隊行動の演習に入る。
旗艦としてしっかり先頭に立ってくれ。他の皆もいいな?』


金剛「任せてくだサーイ!」


提督『よーし、まずは総員、金剛を先頭にして単縦陣!隊形を維持したままタムズを一回りしてこい!
第一艦隊のチームワークをギャラリーに見せ付けるつもりでな』


  ***


~一時間後~


提督「ようし、総員停止!これにて演習を終了する」ビシッ


観客「ワー」パチパチ


提督「皆よく頑張ったな、戻ってメシにしよう。
ドックのリフトを下げておくからそこから戻ってきてくれ。整備士の方も長々とありがとうございました」


ギア整備士『なーに、あんな見た事もない装備を弄らせてくれたんだ。これくらいお安い御用よ。
これからはあの装備に合う弾薬を調達するんだろ?今後も贔屓に頼むぜ』


提督「ええ、こちらからも是非お願いします」

北上『ふへー疲れたー。流石にやりすぎだよ提督ー。
まさか最後に実弾で射撃演習までやらされるとは思ってなかったよ。弾薬は貴重なんでしょ?』


加賀『そうね。演習というよりも観客向けに芸をやらされたように思えたわ』


提督「う……わ、悪かった。実弾演習自体はやろうと思ってたんだけどな、こんなにたっぷり使うつもりはなかった。
演習に観客が付くのなんて初めてだったからかな、ついはしゃいじまってた。許してくれ」


夕立『夕立は主砲いっぱい撃てて楽しかったよ?』


提督「それならよかった」


加賀『2度目はないようにして下さい』


提督「うぐぐ……返す言葉もございません」


金剛『私はもちろん提督の事なら何でも許しちゃいマース!』

榛名『榛名もです!提督、間違いは誰にでもある事です、大事なのは反省する事、ですよ!』

大鳳『そ、そうね!私はいい訓練だったと思います。そ、それに、提督の事なら、わ、私も……』


提督「……ん、3人ともありがとな。加賀さんも、もうこんな事はないようにする。
さあ、メシだメシだ!ビアホールが俺達を待ってるぞ!」

  ***

~数日後 物資搬入口~


提督(タムズで生活を始めて早数日、俺達は予想以上にうまくやっていけている)カキカキ


提督(サルベージの手伝いはかなり評判がいい。
補給のアテがないので戦闘はできないが、それ以外の面で色々と役に立っているようだ。
陸の上ならいざ知らず、海の上のあいつらは相変わらず優秀だという事だろう)\ニバンヨーシ/


提督(俺の方はというと、ここで物資搬入の手伝いをしている)カキカキ


提督(戦闘もない状態のあいつらにそこまで詳細な指揮は要らないし、
それならここの手伝いをしないか、という例の整備士の話に乗ったのだ)カキカキ


提督(ここはタムズの玄関だ、人も物もほぼ必ずここを通る。
おかげでこの世界の世情はかなりわかってきた。全く、整備士様様だな)カキカキ


提督(だが問題が一つ)\ゴバンヨーシ/

提督「あっちに帰れそうな情報はなんも入ってこねえ……」ガックシ


提督(異世界から人がやってきました、なんて宇宙人襲来ぐらいの大スキャンダルがあったんだ、
世界的に何か異変でもあったんじゃないかと思ってたんだが、甘かったなあ)カキカキ


提督(イグニスエリアではキスレブとアヴェの二大国家が国境で小競り合いをしてたり、
潜砂艦に乗った海賊が砂漠で暴れてる、なんて面白い情報は入ってくる)カキカキ


提督(だが、そんなものは日常茶飯事なのだそうだ。こっちの世界も荒れてるんだな)カキカキ


提督(ここでこんなことしてていいのか、という焦りを感じ始めている自分がいるが、まだ始めて数日だ。
ここは落ち着いていこう)ットン


提督(……そういやここの暦ってどうなってんだ?)


整備士「おおい、提督のあんちゃんよ、お客さんが来たぞ、例のリストできてるかぁ?」


提督「できてますよ」\イチバンヨーシ/


整備士「そんならこっちの人に渡してくれや」


提督「ああ、ようこそタムズへ、搬入物資のチェックをお願いします」


海運業者「君は見ない顔だね、新入りかい?」


提督「はい、数日前にここに来たばかりです。どうぞよろしくお願いします」


海運業者「こちらこそよろしく。君はここでは珍しく真面目そうな人間だな」


提督「あー、やっぱり浮いて見えますよね」ハハ


提督(ここの人間はタメ口がデフォだからなあ、俺はそっちのが好きだけど)


提督「それで、最近の景気はどうです?」


海運業者「ん、まあ、悪くないね。最近『教会』相手にそれなりに大きい取引ができたからね」


提督(……『教会』、この世界の宗教の最大勢力で、普通の宗教じみた事から、遺跡の発掘、ギアの整備、
エトーンによる死霊の駆除まで手広くやっている所、だったか)


提督「それは何よりですね。という事は、近いうちに『教会』が何か大きなことでもやるんでしょうか」


海運業者「さあ、そこまでは知らないよ」


提督「他になにか変わった話はありませんでした?特にここ数日で」

海運業者「……君は思っていたよりおしゃべりなんだな」


提督「え、ええ、何せ一日中船の上で、陸に上がる機会などないもので、
つい外の出来事が知りたくなってしまうんですよ」


海運業者「まあ、僕も同業者だ、気持ちは分かるよ。そうだなあ……」


海運業者「そうだ、ここに来る前にダジルから来た商人から面白い話を聞いたよ」


提督「ダジル?」


海運業者「イグニスの砂漠のど真ん中にある、遺跡ハンターの町さ。
で、その商人から聞いたんだが、山奥の国境近くでアヴェとキスレブがちょっと大きな戦闘をやらかしたらしい」


提督「国境争いならいつもの話じゃないですか」


海運業者「ところがそうでもないのさ。戦闘が起きたのはイグニス大陸の端も端、
最北端の山間にある村のあたりだったそうだ。」


提督「さして重要でもない地域で大きな戦闘、確かに妙ですね」


海運業者「だろう?しかもこの戦闘が結構酷くてね、そこにあった村が丸ごと消し飛んだらしい」


提督「……そこまでの戦闘、一体両軍とも何が目的だったんでしょうね」


海運業者「さあね、あの辺に軍の超重要機密があったなんて話もあるけど、
砂漠側からあそこに行くにはモンスターだらけの森を抜けなきゃならないからね、
そんな危険を冒してまで噂話の正体を確かめようとする人間はいないのさ」


提督「そりゃそうだ」


海運業者「……うん、チェック完了。いやありがとう、楽しかったよ」


提督「いやいやこちらこそ、いい話を聞かせてもらえました。またよろしくお願いします」


海運業者「はは、またここに来る事があればその時、ね。それじゃ」


提督「毎度どうもー」

提督(うーん、俺達が飛ばされた時期と近いけどあんま関係なさそうだな)


提督「……今日も収穫なし、か」ハァ


大鳳『提督、提督、聞こえますか?こちら大鳳です』ザザッ


提督「おーう大鳳、しっかり聞こえてるぞ。なんかあったか?」


大鳳『いえ、定時連絡です。こちらは予定通り進んでいます。
今金剛さんがクレーンの誘導をしている所です』ヘーイココデース


提督「そりゃよかった。それなら昼時には戻ってこれそうだな」


大鳳『はい、そちらはどうですか?何か情報は入りましたか?』ンーチョイレフトデース


提督「いんや、それっぽい情報は無しだ」


大鳳『そうですか……』アアッイキスギデース!ストップ!


提督「なあに、そう簡単に行くとは思っちゃいないさ。なんたって海どころか星も宇宙もすっ飛ばしてここにいるんだぜ?
向こうが心配なのはわかるが、気長にやっていこう」


大鳳『……そうですね、ありがとうございます』ライト!ラーイト!イエース!


提督「よし、それじゃ早いとこ無事に戻ってきてくれよ、
一人でメシ食うのは寂しくて敵わんからな」ハッハッハ


大鳳『はい!それでは提督、また後ほど』ザッ


提督「ふう、確かに大丈夫かな、鎮守府の奴ら」


提督「……ドックであいつら出迎えてやるか」


  ***


~また数日後~


提督(今日も今日とていつもの仕事)


提督(だいぶ慣れてきたおかげか、これが結構楽しくなってきた)オウテートク ドウモ


提督(これはこれで悪くないのかもな、向こうの戦争が終わったら皆で貿易会社でもやるか)キノウノニモツドコヤッタ?


提督(ま、軍が許してくれればだけど)ドックノホウデス オッソウカ


提督「その前にどうやってあっちに帰るか、なんだけどな、はは」

子供達「あ、いた!おいテートク!」


提督「ん?」


少年「如雨露のおねーちゃんどこだ?」


提督「じょうろ?ああ、北上か。あいつなら仕事してるよ、もうちょっとしたら帰ってくるんじゃないか」


少年「ちぇ、いねーのかよ。行こうぜみんな、またなテートク!」


提督「おーう、あぶねーからこの辺で遊ぶなよー」

提督「……あいつ、ここでも子供に人気なのか」コソコソ


提督「(ん?今あっちの影に誰か隠れてたような)誰かいるのか?」ヌッ


白帽子の少年「……」


提督「どうしたそんな所で、腹でも痛いのか?」


白帽子の少年「……」


提督「なあ」


白帽子の少年「……教えて欲しい?」


提督「なんだ急に?元気ならほれ、外行って遊んで来い、ここはあぶねえぞ」


白帽子の少年「教えて欲しい?」


提督「……ああ分かった分かった、是非教えてくれ」


白帽子の少年「じゃあ、教えてあげるよっ!!」デケデケデケデケ


提督「えっ」


  ***


金剛「……エート、テートクはどうしちゃったんデース?」


榛名「……ずっとうわ言のように『負けた』とか『なんて早さだ』とか呟いてます」


提督「……まず最初は場と自分のカードのみに集中、いやダメだ相手のカードも見ておかないと次の展開が……しかしそれではゲームのスピードについていけない。ならいっそ……」ブツブツ


金剛「オーウ……」

  ***


~ある日~


皆「「カンパーイ!」」


提督「っはあ!いやー今日も働いたなあ!」


榛名「お疲れ様です、提督。後で榛名が榛名がマッサージして差し上げますね」グビグビ


提督「いや、飲みながらのその台詞は背骨に危機感しか抱かないからやめておこう」


金剛「そーデース!テートクにはこの後私をマッサージするという大事な任務があるんデース!」グビグビ


提督「ねえよ。マッサージするされるはいいから寝かせてくれ」グビグビ


夕立「あ!それはダメっぽい!提督さんはこの後下に戻って弾薬のチェックっぽい!」グビグビ


提督「またか!?勘弁してくれ夕立!今このタムズにある弾薬は全部チェックしたけどな、
どれもこれもお前達の装備と口径が違うんだよ!こないだ説明したろ!」


夕立「そんなの納得できないっぽい!作業中にモンスターが出ても逃げるしかできないのはもうイヤっぽい!」


提督「無理なモンは無理だ!ほら、明日ボール投げて遊んでやるから、それで我慢してくれ」


夕立「え!?ホント!?わーいっぽい!」


提督(犬ちょろい)


加賀「そこの貴方、おかわりを頂けるかしら」モグモグ


大鳳「あ、私もお願いします」モグモグ


提督「お前らはいい加減にしろ!ここの飯はオリョールと任務報酬で賄われてるわけじゃねえんだぞ!
たまには腹八分目って言葉をなあ……」


加賀「あら、当然知っているわ。いつもそこで抑えているもの」


提督「」


大鳳「提督、大丈夫よ!朝の走り込みでいつも相殺されているわ!」


提督「そりゃお前の体内のカロリーの話だろ、ちったあ食費という概念に目を向けてくれ……」

酔っ払いA「おう、青い嬢ちゃん!そろそろいつものアレやってくれや!」ソウダソウダー!


加賀「……提督、いいかしら」


提督「お、おお、いいぞいいぞ!好きなだけやってこい!」


加賀「一航戦、出撃します」デデンッ テーテレテー

加賀「この手に寄せる袱紗 朱の色~♪」ピーヒョロー \ウォーイイゾー/


提督「あの伴奏はどこから聞こえてくるんだ……」ヤンヤヤンヤ


艦長「おう、やってやがるな」


提督「艦長、ブリッジのほうはいいのか?」


艦長「あったりめえよ、ウチには優秀な副長がいるからな、がっはっはっは」


榛名「艦長、お久しぶりです!」フカブカ


艦長「お、大人しいほうの嬢ちゃんか、うちのモンの手伝いをしてくれてるってな、ありがとうよ。
それにテートクの兄ちゃん、お前ぇの話も聞いてるぜ」


提督「俺の?」


艦長「お前ぇの書いた書類は読みやすいってな、資材管理してる連中が大喜びしてたぜ」グビグビ


提督「……大した事じゃない、元々ずっとやっていたことだしな」


艦長「がっはっはっは!そうかそうか、大したことじゃねえか!確かに、うちのモンが大雑把なだけかもな!」


酔っ払いB「何やら楽しそうですね艦長、テートクに例の大武会の話でもしてたんですかい?」


提督「大武会?」


榛名「提督、大武会とは何でしょう?」


提督「語感から察するに、武闘会みたいなものじゃないか」


榛名「……舞踏会」キラキラ


酔っ払いB「ありゃ、違ぇのか?アヴェのブレイダブリクでこないだ開かれてた例の大会の話かと思ったんだが」


提督「ああ、いや、そんな事をアヴェでやってたのか?アヴェは戦時中だろう」「ちょっと艦長」「おうハンス、どうかしたか?」


酔っ払いB「戦時中だからこそ、士気高揚の為にやるんだろ。
なんたって雨が降ろうが槍が降ろうが昔っから毎年必ずやってきた行事らしいからな」「どうかしたか、じゃないでしょう。
これから『教会』の方が仕事の話に来るの、忘れたんですか?」「おお、そうだったな」


提督「そうなのか、で、その大武会がどうかしたのか?優勝者がキスレブ人だったとか?」「全く、すぐブリッジに来てください」「へいへい」


酔っ払いB「ハハ、それはそれで面白くなったかも知れねえが、ちぃと違うな。逆だ逆」

提督「逆?」


酔っ払いB「今年の大会はな、決勝が拍子抜けだったんだよ」


提督「ほう」


酔っ払いB「いやな、今年は出場者の連中があまりに個性的過ぎたんで、皆期待してたんだよ」


酔っ払いB「筋肉ダルマの『ゴンザレス』!」

酔っ払いB「派手好きの『ビッグジョー』!」

酔っ払いB「千の武器を持つ『スカッド』!」

酔っ払いB「大会最年少の『ダン』!」

酔っ払いB「妙な拳法を使う『放浪の迷子』!」

酔っ払いB「何もかもが正体不明の『ワイズマン』!」

酔っ払いB「とまあ、こんな具合だ。無茶苦茶過ぎて今年の予想屋は苦労したろうな」ハハハ


提督(賢者を自称するのは確かに面白いな)ププ


酔っ払いB「で、実際始まってみたらもう大荒れよ」


酔っ払いB「まず一回戦で見た目では一番強そうだったゴンザレスがやられた。
しょっぱなからあちこちで悲鳴が聞こえてたぜ」


酔っ払いB「それだけじゃねえ、あんなでかくて強そうなゴンザレスが一回戦でやられたってのにな、
なんと最年少のダンが準決勝まで残ってたんだよ!面白ぇだろ!」グビグビ


酔っ払いB「ま、そのガキはそこまでで、相手だった放浪の迷子に何か叫んで逃げ出しちまったんだけどな。
大方怖くなったんだろうよ」


酔っ払いB「そうやってついに始まった決勝、カードは放浪の迷子対ワイズマンだ」グビグビ


提督「なかなか面白そうじゃないか、一体何が起こったんだ?」

酔っ払いB「いや、何も起こらなかったんだよ」


提督「は?」


酔っ払いB「放浪の迷子がワイズマンを激しく攻め立てるが、ワイズマンはそれを避けるばかりで攻撃しない、
しまいにゃ急に舞台を降りてどこかに飛んでいっちまったのさ、全く傑作だろう」ハハハ


提督「確かに面白そうだ、俺も見たかったよ」


酔っ払いB「おかげでシャーカーンのハゲの面目は丸つぶれだ!いい気味だぜ!」グビグビ


酔っ払いB「ま、俺も話を聞いただけなんだがな!ハッハッハ」グビグビ

酔っ払いB「お?酒が切れちまった。おおい、酒はどこだあ……」フラフラ


提督「……アヴェか、ブレイダブリクを首都として砂漠の一帯を取り仕切る、国土ならキスレブの数倍はあるという国。
そしてそこの首魁である宰相シャーカーン……」


提督「あまり状況が変わらなかったら行ってみるのもアリだな。せっかくここに来たからにはいろんなところを見て回りたい、
って思えるようにもなってきたし」


榛名「……あの、提督」


提督「ん?どうした榛名」


榛名「榛名も、いつか舞踏会に出てみたいです」キラキラ


提督「そ、そうなのか、いや、うん、いいんじゃないかな、ハハハハハ」

提督(ま、まさか榛名にそんな趣味があったとは……)


榛名「はい!榛名、そこで提督と二人っきりでステージに上がりたいです!」


提督「」

提督(え、何?この子俺とタイマンしたいの?というか実力考えたら公開処刑じゃね?)


提督「あ、あー!でもなー!当分はここを離れられないしなー!悪いが榛名、しばらくその夢は保留にしといてくれないかなー!なんて」


榛名「そ、そうですよね……榛名、我慢します」シュン


提督(ええー……ガッカリするほどタイマンしたかったのか……俺榛名になにか悪い事したかな)ウーン


北上「ぐー」


※後ほど北上のフォローにより誤解は解けました

  ***


~またある日 甲板広場~


金剛「久しぶりの休みデース!」


榛名「榛名、待機命令、楽しみます!」


金剛「本当はテートクと来たかったデース……」


榛名「仕方がないですよ、金剛お姉様。提督は何やら大事な用事があるとのことですし」


金剛「ゥー、そのインポータントな用事に何でタイホウが呼ばれて私が呼ばれてないんデース!?」


榛名「さ、さあ、そこまでは……」


金剛「いつも目を離さないでって言ってるのにー!テートクゥー!」ジタバタ


榛名「こ、金剛お姉様!人が見てますので……」カアァ


夕立「見たことないものがいっぱい!わーい!」


加賀「あまりはしゃぎ過ぎては駄目よ。人にぶつかってしまうわ」


夕立「はーい」

申し訳ない、睡魔が限界なのでここまでにさせて下さい。次回以降は土曜日になると思います。
こういう場合はトリップを付けた方がいいのでしょうか

わからないのでとりあえず付けておきます
それではおやすみなさい

お待たせしました。始めます。
見てくれる方がいて嬉しいです。

北上「はー、ここのところずっと働き通しだったもんねー。今日ぐらいゆっく「あ、如雨露のおねーちゃんだ!」


少年A「おねえちゃん、あそぼー!」

少年B「今日こそあの如雨露のヒミツ、聞かせてくれよ!」

少女A「おねえちゃん今日は何してるの?」

ワラワラワラワラ

北上「うわあ!ガキども集まってくんなー!」


少年A「えー!こないだおねえちゃん遊んでくれなかったろ!今日は遊ぶぞ!」グイグイ

少年B「ほら、おねえちゃんあっち!あっちで如雨露の話聞かせてくれよ!」グイグイ

少女A「いこー」グイグイ

北上「あっあっあ、たーすけーてー!私の休みがー!」ズルズル


加賀「……」プイッ


北上「うわー見捨てられたー!後で覚えてろー……」ズルズル


夕立「加賀さん加賀さん!あっちに凄いものが……ってあれ?他の皆は?」


加賀「どこかへ行ってしまったわ」


夕立「そうなの?それより加賀さん!こっち来てほしいっぽい!」グイグイ


加賀「……何かしら」スタスタ


加賀「……これは」


夕立「信号機っぽい!」


加賀「驚きました。まさかこんな……」


親父「おうっ!若いのにいいモン見る目ぇもってやがるな、こん畜生。こいつぁな……」チカチカ

加賀(どうしてこんなものがここに?私達の世界から流れてきたのかしら)

加賀(もしかしたら元の世界に帰る手がかりに……)ゾゾ

加賀(……鎮守府は無事かしら)

加賀(赤城さん、二航戦、五航戦の子たち、置いていってしまった子達)ゾワッ

加賀(……っ!)


親父「ってえ代物でい。どうだい。シビれるだろ?」


親父「って、どうした嬢ちゃん、そんな険しい顔しやがってよ」


夕立「加賀さん?大丈夫っぽい?」


加賀「……いえ、なんでもありません」


夕立「ふーん、変な加賀さん」


加賀「……」


  ***


~夜 甲板~


ザザーン ザザーン

加賀「……」


提督「加賀さんが夜更かしとは珍しいな」


加賀「……提督」


提督「別に監視してた訳じゃねえぞ、俺の寝室からだとこの辺の端っこは丸見えなんだよ」


加賀「……」


提督「隣、いいか?」


加賀「……どうぞ」


提督「ありがとよ」


加賀「……」ザザーン

提督「何かあったのか?」


加賀「……」


提督「……」


加賀「……」ザザーン


提督「月、こっちの世界にもあるんだな。全然気づかなかった」


加賀「……」


提督「星も見える。ま、星座はないだろうけどな」


加賀「……」


提督「……」


加賀「……」


提督「……」


ザザーン ザザーン


加賀「……広場に」


提督「?」


加賀「広場に、信号機があったんです」


提督「……間違いないのか?」


加賀「ええ、それを見たとき考えたんです」

加賀「『帰れるかもしれない』って」


提督「……」

加賀「最初に赤城さんの顔が思い浮かびました」

加賀「次に二航戦の子たち」

加賀「次に五航戦」


提督「そんな事を考えたら急に怖くなった?」


加賀「……」


提督(……いつか誰かがこうなるだろうと覚悟はしていたが、まさか加賀さんとは)

提督(考えてみれば、金剛には榛名がいるし、北上と夕立はあまり気にしなさそうだし、
大鳳は他の5人よりもウチに来て日が浅い)

提督(比べて加賀さんは唯一の姉妹を置いてきているからなあ。……もう少し気にするべきだった)


提督「……」フウ

提督「加賀さんが考えたのはな、俺達にとって最悪な二つの可能性のうちの二つ目だ」


加賀「……」


提督「一つ目は言うまでもなく『鎮守府に帰れない』可能性」

提督「この世界のどこを探しても帰る手立てがない、残りの一生をここで過ごす。最悪だな」


提督「そして二つ目の可能性」


提督「それは『鎮守府に帰れたのに誰もいない』可能性」


加賀「……!!」


提督「懸命な情報収集の結果、ついに俺達は元の世界に帰る方法を発見した」

提督「こちらの世界の皆に別れを告げ、帰路に着く」

提督「見事、元の世界に戻る事ができた。鎮守府は目の前だ」

提督「……しかしそこには誰もいない」

提督「駆逐艦も、巡洋艦も、空母も、戦艦も、潜水艦も、誰もいない」

提督「深海棲艦に負けたのか?それとも俺達は亀に乗せられた浦島太郎になったのか?」

提督「帰ってきた鎮守府には誰もいない、あるのは崩れかけた塀と苔むした……」

加賀「やめて」


ザザーン

提督「……加賀さんがその時考えたのはそんな可能性だ。だから恐れた」


加賀「……」


提督「加賀さん、そんな事は考えちゃいけない」

提督「その先には何もない。いざって時に身がすくむようになるだけだ。いい事なんてひとつもない」


加賀「そんなことはわかっています。だけど……」


提督「だけど考えてしまう。それこそわかってるさ」


加賀「……」


提督「その為に俺がいる」

提督「いいか加賀さん、俺の提督という肩書きと、それで得た全ての経験に誓って言う。
俺達が帰ったとき、あいつらは必ずあそこにいる。鎮守府で俺達の帰りを待ってる」


加賀「……どうして」


提督「簡単な話だ。あの子達が俺の期待を裏切った事など一度もないからだよ」

提督「何度撤退しようと、何度目的地に辿り着かなかろうと、最後には目的を達成してくれる」

提督「俺がそうやって期待してきたように、あいつらも同じく俺達に期待しているはずだ。
必ず帰ってくる。何日経とうが何ヶ月経とうが、全員揃って無事に帰ってくる、ってな」

提督「そして当然、俺達もその期待を裏切る訳にはいかない。必ず皆で帰ってみせる」


提督「だから加賀さん」


スッ


提督「座り込んでちゃ駄目だ。歩くのに疲れて立ち止まるのはいい。休憩がてら後ろを振り返ってもいいかもしれない。
だけど座り込むのは駄目だ。目の前に青い鳥が飛んできてもすぐ追いかけられないだろ」


ザザーン ザザーン

加賀「……」プイッ

加賀「……おかしな例えね、それに今実際に立つ必要はないと思うけれど」


提督「そ、そうか?中々いい例えだと思ったんだが」ポリポリ


加賀「聞きかじった程度話を引き合いに出しても説得力がありません」


提督「はは、すまなかった」


ザザーン


提督「……さ、加賀さん、そろそろ寝ないと明日に響くぜ」


加賀「……もう少しだけ」


ザザーン


加賀「……提督」


提督「ん?」


加賀「向こうを向いて座ってもらえるかしら」


提督「……こうか」スッ


加賀「少しだけそのまま座っていて」


ギュッ


提督「……」


加賀「……っ…………っ」


  ***


~翌日 物資搬入口~


北上「で、昨日二人っきりでここに篭ってやってたことがこれ?」


大鳳「ふ、二人っきり……べ、別にいかがわしい事をしていた訳じゃありません!」


北上「いや何も言ってないじゃん。で、二人でこのでっかい箱を作ってたわけ?」


提督「箱じゃねえ、戦利品はその中身だ」


榛名「あの、開けてみても?」


提督「おう、いいぞ」


金剛「イエース!」パカッ


加賀「……これは」

夕立「あーっ!」ジャラジャラ


提督「どうだ、驚いたろ?」


北上「もしかしてこれ、使える弾薬?」


提督「その通り、ついに俺達の艤装に使える弾薬が見つかったんだよ」


夕立「わーい!これでやっと戦えるっぽい!」


北上「んー、それは嬉しいけどさ、どうして急に使える弾薬が見つかったのさ?
確かここにあった弾薬はみんな使えなかったんでしょ?」


提督「そう、今までここにあったのは、な」


加賀「どういう意味かしら」


提督「こないだの話なんだが、艦長の所に『教会』のお偉いさんが来てな、
タムズにサルベージの依頼をしていったんだよ」


提督「その時ついでとばかりにエトーンが使ってるギア用の弾薬を置いていった」

提督「で、そいつを調べてみたらビンゴだったって訳さ」


夕立「もう!そんなのどうでもいいっぽい!提督さん、今補給していいでしょ!?」


提督「ああ、いいぞ」


夕立「いただきます!っぽい!」タッタッタ

提督「……でまあ、話の続きなんだがな、残念ながら全部の砲に合う弾が見つかったわけじゃねえ」


提督「今回見つかったのは夕立が装備してる10cm連装高角砲と金剛と榛名の35.6cm連装砲、この二つだけだ」


北上「えー、私の魚雷と副砲はどうしたのさ」


提督「見つけられなかった。悪いな」


北上「ちぇ、喜び損じゃんかー」


提督「そう言うな、一部だけでも使える弾薬が見つかったんだ、そのうち残りの装備の分もきっと見つかるさ」


北上「そうかなー」


提督「とにかく、弾薬補給の目処が立った今、サルベージ作業の護衛もできるようになった。
これからもますます頑張っていくぞ」


金剛「やっぱりサブラーイは大切ネー!」

榛名「榛名、了解です!」


提督「そこで、戦闘時の対応だが、北上は基本的に護衛対象に張り付いてもらう事になると思う。
常に護衛対象から目を離さないようにしてくれ」


北上「まあ、しょうがないかー」


提督「空母組も悪いが艦載機補充の目処はない。が、幸いな事にここには対空能力を持った敵がほとんどいない。
そこで、艦載機は直接攻撃には参加せず、偵察や戦艦組の弾着の補助を務めてくれ。くれぐれも艦載機を墜とされないように」


大鳳「難しいわね……でも、やれるだけやってみます!」


加賀「わかりました」


提督「よーし、じゃあ解散!今日も仕事するぞー!」


金剛「ジャスタモーメン、テートクゥ!まだ話は終わってないヨー!」


提督「あん?なんか質問か?」


金剛「サプライの話じゃないデース!テートクゥ!なーんで昨日のこの作業に私を呼んでくれないんデスカー!?
私もテートクの役に立ちたかったデース!」


提督「だってお前朝起こしたら『今日は休みだからもう少し』っつって起きなかったじゃん」


金剛「」


榛名「金剛お姉様……」


  ***

~数日後 甲板広場~


提督「んー、加賀さんが信号機を見たってのはこの辺の屋台か」メモ


提督「それにしても結構でかい市場だな。ごちゃごちゃしてて秩序の欠片もない店の並びだが、
そこがまたタムズらしいというか」\オチチャイナサイ/\ウエェンイモウトガ/


提督「すいません、ちょっといいですか」


装備屋「へい、らっしゃい。海底の珍品、オンパレードだよ」


提督「お尋ねしたいんですが、この辺で妙な機械を扱っている店はありませんか?」


装備屋「んー?情報を買うってんなら店を間違えてるぜ、兄ちゃん」


提督「え?ああ、申し訳ない。じゃあ……そこの動きやすそうな服を一つ」


装備屋「あいよ、舞闘着だね、毎度あり」


提督(舞踏……)ゾワワ


装備屋「さっきの話だけどな、あっち行ってすぐの所の道具屋の親父がおかしなものを展示してるぜ」


提督「そうでしたか、どうもありがとう」


装備屋「また来てくれよ」


提督(うーむ、作業着にでもするか)


提督「さて、あっちあっち……と」スタスタ

親父「おうっ!そこの兄ちゃん、どうだ、ウチの道具屋見ていかねえか?」


提督「道具屋?いや……ん?(これか)」

提督「親父さん、そこにあるものは?」


親父「お、こいつか?こいつぁな……」チカチカ

親父「……ってぇ代物でい。どうだい。イカすだろ?」フフン

親父「だがな、悪ぃがこいつは非売品でい、売るわけにゃいかねえや。すまねぇな」


提督「あ、いや、これはどこでサルベージした物なんだ?」


親父「サルベージだぁ?こいつぁおいらが作ったもんだぜ!」


提督「……そいつは凄いな」


親父「おうっ!こいつの良さが分かるたぁ、若いのにいい目してるじゃねえか、こん畜生」


提督(偶然か?それにしてはそのまんま過ぎる気が……)


道具屋「てんめぇー!このクソ親父!」ダダダダ


提督「うおっ!」ビクッ


道具屋「まーたそんな下らねぇモン弄くり回してやがんのか!いい加減にしやがれ!」


親父「てやんでぇ!てめぇみてぇなバカ息子にこいつの価値がわかるかってんだ!大体な……」ギャーギャー


提督「……まあ、自作だってんなら関係ないか。どっからか掘り出したってことなら期待できたんだが」スタスタ


提督(当ても外れたし、今日はどうしようか、そろそろ『教会』からの仕事が近いしアレの練習でも……)


ゴオオオオオ


提督「ん?この空気を振動させるような音……航空機か?」スッ

提督「……なんだありゃ?UFOか?」


金剛『テートクゥー!』ザザッ


提督「っ!金剛!急に通信で叫ぶな!」キーン


金剛『そんなことどうでもいいデース!それよりビッグニュースネー!』


提督「……なんだ?言ってみろ」


榛名『人です!海の上に人が!漂流してるんです!』アッ!ハルナァ!


提督「!!」


  ***

~海上 ゴリアテ残骸~


フェイ「エリィ!おいエリィ!起きろよ!」


エリィ「おはよう、フェイ。早いのね」


フェイ「なに寝ぼけたこと言ってんだよ。あれ見ろ!あれ!!」


エリィ「え?」


金剛「ヘーイ!レフト!レーフト!アアッ!ちょっとラーイト!
モウ!なんでいつも行き過ぎるんデース!」スイー


フェイ「人が水の上を滑ってるぜ」


エリィ「……ちょっと、見る所そこなの?」


フェイ「だってあんなの見たことないぜ、エリィは見たことあるのか?」


エリィ「私も見たことはないけれど……」


フェイ「ほら見ろ、エリィも知らないんじゃないか」


エリィ「だから、今はそんな事気にしてる場合じゃないでしょう!?」


フェイ「お、一人こっちに来たぞ」


北上「そこのお二人さん、大丈夫?」スイー


フェイ「あ、あぁ」


北上「どこから来たのか知らないけどよかったね、艦長が助けてくれるってさ」


エリィ「艦長?」

北上「あ、提督からだ。もしもし提督?うん、いや、見たところ二人だけだよ。
え?うーん、別に見覚えないけど。うん、んじゃ後でねー」


フェイ「テイトク……?」


北上「ごめんごめん、今からクレーンで回収するからもうちょっと待っててってさ。
あ、結構揺れるから何かに掴まってたほうがいいよー」スイー


フェイ「一体どうなってるんだ?」


エリィ「さぁ……」


  ***


~数十分後 ねじレベーター~


提督(さて、漂流してたのは見たことのない男女2人組だったらしいが)ガコガコガコ


提督(一応話は聞いておきたいな。万が一という事もあるし)ガチャン


提督「お、いたいた、おかえり」


金剛「ヘーイ、テートクゥ!待ってたヨー!」ブンブン


提督「はは、ありがとな。で、今日の収穫物はどこだ?」


榛名「先程クレーンで回収して、今は向こうの地下ドックにあるはずです」


提督「よおし、それじゃ一丁見物しに行くか」スタスタ


北上「お、珍しいじゃん提督、いつもは搬入口通るところだけ見て終わりなのに」


提督「漂流者ってのが気になるからな。ちょっと話してみたい」


加賀「……提督」スタスタ


提督「ん?どうした加賀さん」


加賀「まさか、手がかりがあるかもしれないと?」


提督「鋭いね加賀さん、本当の目当てはまさにそれだ」ヒソヒソ

提督「けどまあ、言うほど期待はしてないけどね。手がかりがあればいいな程度のものさ」ヒソヒソ


加賀「……そう」

提督(ま、実は結構期待してるんだけどね)

提督(聞けば彼らが乗っていたのはでっかい何かの残骸だとか)

提督(最近そんなでかいものがこの辺で大破したなんて情報はない)

提督(であれば、彼らは突然この周辺に現れた事になる。期待するには十分すぎるだろ)


提督「っと、そういや補給もしなきゃならんな。よし、見物には俺と金剛だけで行く。残りは補給に向かってくれ」


  ***


~地下ドック~


提督「これは……思ってたよりもでかいな。甲板で見たときは遠目だったから分からなかったが」


金剛「最初に見つけたのは私デース!テートクゥ!褒めて下サーイ!」


提督「ああ、良くやった良くやった」ナデナデ


金剛「オオーウ……イエース……」マンゾク


提督「さて、噂の漂流者はどこだ、と……ちょっといいか?」


ドック整備士「ん?提督でやんすか。どうしたでやんす」


提督「この残骸と一緒に漂流してた奴らはどうしたんだ?」


ドック整備士「あの2人なら搬入口で下ろしたでやんすよ。今頃は艦長に会いにブリッジに行ってるんじゃないでやんすか」


提督「そうだったのか。んじゃ今はこいつに何をしてるんだ?バラして売るのか?」


ドック整備士「いや、あの2人のギアがあの中にあったんで、それを取り出してる最中でやんす」


提督「ふーん、ギアねえ」


ドック整備士「あ、丁度出てくるところでやんすよ」

作業員「よーし、そのまままっすぐ上げろぉ!外壁擦るんじゃねえぞお!」


ヴェルトール「チッス」ガコガコ


ドック整備士「あーあ、やっぱり全身水浸しでやんす。随分と整備のし甲斐がありそうでやんす」


提督「おお?なんか他のギアよりでかくねえか?」


ドック整備士「ああ、ありゃ軍用のギアでやんすね。民間のギアとは出力も機動性もダンチでやんすよ」


金剛「ブラックなボディがクールデース」


提督「確かにありゃかっこいいな。一体どこの軍のギアだ?」


ドック整備士「さあ、あんなギアは見たことないでやんすね。多分最新式のギアでやんす」


提督「そんなギアと一緒に漂流してたってことは、そいつら軍人なのか?金剛、どうだった?」


金剛「ンー、二人ともそんな風には見えなかったネー」


提督「ふーん、まあ、あとは本人達に聞いてみるか。時間とらせてすまなかったな、整備頑張ってくれ」


ドック整備士「お安い御用でやんす。またいつでも来るでやんす」


  ***

~ブリッジ~


ガコン ウィーン


提督「失礼する。艦長はいるか?」


ハンス「やあ、提督。艦長なら今はいないよ。何か用事かい?」


提督「いや、さっきの漂流者が艦長に会いに行ったと聞いたんでな。ちょっと話を聞きたくて来たんだが」


ハンス「そういうことならビアホールに行くといい。艦長が二人と食事をしているはずだよ」


提督「お、そうだったか。ありがとう」


ハンス「ついでに艦長があまり羽目を外し過ぎていないか見ていてくれないかい、一応釘は刺しておいたんだけどね」


提督「了解、相変わらず苦労するな」


ハンス「仕事だからね」


提督「頭が下がるよ、まあこっちは任せとけ。行くぞ金剛」スタスタ


金剛「イエース!」ギュッ


提督「歩きにくいから離れろ」


金剛「それはできないネー」スリスリ


ガチャ バタン


ハンス「……やれやれ、あれでよく内輪揉めを起こさないものだ」

  ***


~ビアホール~


提督「艦長、艦長はいるか?」


金剛「あ、一番奥にいマース」


提督「あそこか」スタスタ


提督「やあ、艦長」


艦長「おう、テートクじゃねえか。お前ぇらもメシか?」


提督「そういう訳じゃないんだが……そこの二人が例の漂流者か?」


フェイ「」モグモグ


エリィ「?」カチャカチャ


艦長「おうよ、そういやお前ぇらも最初は漂流してたんだったな、漂流仲間って訳だ。がっはっはっは」


フェイ「ん?あんたは?」モグモグ


提督「初めまして、俺の名前は……」

金剛「私達のテートクデース!」ヒョコ


フェイ「……そうだ、きみはさっきの」


提督「ああ、さっきのクレーンを誘導してた子達の一人で、金剛だ。俺はあの子達の……ま、指揮官だな」


フェイ「そうなのか、さっきは助かったよ。で、俺達に何か用か?」


提督「なに、ギアと一緒に漂流してくる人間なんて珍しいからな。ちょっと話をしに来たのさ」


エリィ「……?あなたたちも漂流してたってさっき艦長が言ってたわね」

提督「そうだな、あんたらはここで2組目の世にも珍しい漂流仲間ってワケだ。はっはっは」

提督「で、そんな漂流仲間はどうしてあんな所にいたんだ?」


フェイ「あんた、そんなことを聞きに来たのか」


提督「……まあ、な。俺達は自分の家に帰りたいんだが、今のところ帰る方法がわからなくてな。
あんたらの話にヒントがあるかもしれないと思ったんだ。よかったら教えてくれないか」


フェイ(……自分の家、か)


フェイ「……色々あったんだ」


提督「……何かワケありらしいな。どうしても教えてくれないか?」


フェイ「……」


艦長「おいおい、お客人がこう言ってるんだ。無理に聞く事はねえだろ」


提督(駄目か……)


提督「わかった。どうも人に話す事じゃないようだな。すまなかった」


フェイ「気にしないでくれ」


提督「ああ、俺が言えた事じゃないが、ここはいい所だ。ゆっくりしていってくれ」

提督「行くぞ、金剛」スタスタ


金剛「イエース!」


提督「また空振りか……」


金剛「?テートクゥ、何か言いましたカー?」


提督「いや、なんでもない。付き合ってくれてありがとうな、金剛。戻ってみんなと一緒に補給してきてくれ」


金剛「エー、テートクはどうするんデース?」


提督「ちょっとブリッジに寄って行く。すぐ行くから先に行っててくれ」


金剛「オッケーデース!待ってるからネー!」ブンブン


  ***

ドア「ガチャ」


提督「ハンス副長、度々すまない、少し聞きたい事があるんだが」


ハンス「……可能性はある、か。君、艦長を呼んできてくれ、ビアホールにいるはずだ」


下っ端「へい!」タッタッタ


提督「騒がしいな、何かあったのか?」


ハンス「あっちの方でどうも戦闘が起きてるみたいなんだ」


提督「戦闘?どこだ」


提督(……確かに、双眼鏡で見ると水柱が断続的に上がっているのが見える)


提督「一体どこのサルベージ船だ?」


ハンス「攻撃している方は確認が取れないが、されている方は潜水艦だね、あんなものは見たことがない」


提督「潜水艦?ここにも潜水艦があったのか」


ハンス「まあ、どこの船かはどうでもいい、『教会』の仕事も近いし、ここは争いを避けたいところだけど」


提督「攻撃している側がどこにいるか分からない以上、ヘタに動く事もできない、と」


ガチャ


艦長「おおい、ハンスよぉ、一体どうしたってんだ?」


ハンス「あちらを。所属不明の潜水艦が戦闘中のようです」


提督(なーんかキナ臭いな、どうもサルベージャー同士の抗争という訳ではなさそうだし)コノタムズノ……

提督(とりあえず万が一に備えておくか。金剛の補給が間に合うといいが)ジョウダンデショウ?……


艦長「ちっ。全くてめえって奴ぁ、海の男のロマンってモンが……」


フェイ「一体どうしたんだ?」


艦長「どうやら潜水艦が襲われてるみてえだな」


フェイ「潜水艦?……!この船は!?」


提督「何だ、知ってるのか?」


エリィ「何?どうしたの?」


フェイ「こいつはユグドラシルじゃないか!」


エリィ「それってバルトさんの?」


提督(……知り合いの潜水艦か)


フェイ「ああ。そうか、あいつ、生きてたんだ!よし、こうしちゃいられない!」

提督「助けに行くのか?」


フェイ「決まってるだろ」


エリィ「ちょっと待ってよ、ギアもないのにどうするの」


フェイ「あ……」


艦長「まあ、待ちな」

艦長「おう、地下ドック!こちらブリッジだ。お客人のギアはどうなってる?」


作業員「もう少しで修理も完了しやす」


艦長「2分だ」


作業員「は?」


艦長「2分で終わらせろい!それで物資搬入口を通して甲板へ搬出!」


作業員「へ、へいっ!」


艦長「よーし、お前ぇらのギアは甲板に運ばせる。とっとといって暴れてきな」


ハンス「何言ってるんですか艦長!!この大事な時期に戦闘に巻き込まれて被弾でもしたら……」


艦長「うるせえ!!お客人が友人を助けるために戦うってんだ。それを邪魔するようなマネができるわけねぇだろうが!
そんなことをしたら海の男の名が廃るってもんだ!!」


ハンス「……わかりました。けど、タムズとしては決して戦闘に参加はしませんよ」


フェイ「ありがとう。それで十分だよ」


提督「……そういうことなら、俺達も力を貸そう。艦長、伝声管借りるぞ」カパ


提督「こちらブリッジの提督、第一艦隊、総員通信機を着用せよ」

提督「あんたら、ギアであそこまで行くとして、泳いで行くのか?」


フェイ「いや、あれくらいならジャンプでいけるはずだ」


提督「そうか」

榛名『提督、どうかしましたか?』ザザッ


提督「榛名、そこに全員いるか?補給の状況は?」


榛名『はい、補給のほうは金剛お姉さまの弾薬補給が済めば完了です』


提督「わかった。加賀さん」


加賀『何かしら』


提督「甲板に上がって北方向に偵察機射出。ちょっと近くで戦闘があってな、詳しい戦況と正確な距離が知りたい」


加賀『分かりました』


提督「残りの奴は金剛の補給が済み次第ドックで待機。全員でタムズの前に防衛線を張る」ピッ


提督「……という事だから。甲板に上がったら青い服で弓持った子に状況を聞いてくれ」


フェイ「あんたも助けてくれるのか?」


提督「俺も今はタムズの一員だからな。艦長の意向に従いつつ、副長の心配事を減らす。それが今回の俺達の役回りって訳だ」

提督「それに、せっかくの漂流仲間だ。ただ軽い話をしただけでお別れってんじゃ面白くねえ。せめて盛大に見送ってやるよ」


フェイ「……ありがとう、提督。行くぞエリィ」


提督「……加賀さん、様子はどうだ?」ピピッ


加賀『上空から見えるのは浮上した潜水艦一隻。敵対勢力の姿は見えません』

加賀『潜水艦は断続的な魚雷攻撃を受けているようね。甲板から3機のギアがこれを迎撃しているわ……あ、今1機が水中に飛び込みました』


提督「そうか、そのまま継続して戦況観察、ついでに風も確認しといてくれ。
で、さっきの漂流コンビが甲板に出たらそれを教えてやってくれ」


加賀『分かりました』


提督「よし、艦長、俺達も防衛の為に出撃する。そこで、前々から準備してたアレを貸して欲しいんだが」


艦長「アレか、かまわねえぞ。行ってハデに暴れて来い!」


提督「ありがとう。……加賀さん!2人に報告を終え次第偵察機収容、ドックへ来てくれ、金剛は……」


  ***


~地下ドック~


北上『本気なの、提督?ギアで出るって』


提督「本気も本気、大マジだ」カタカタ


榛名『大丈夫でしょうか……』


提督「前々からこっそり訓練を受けてたんだ。本当は『教会』の大サルベージ計画で頭数になろうと思ってやってたんだがな、
意外なところで使いでがあったぜ。ま、まだ泳ぐ程度しかできないけどな」ピッピッ


加賀『そんな程度の錬度で戦線に出て何をするというのかしら』


提督「今回の俺達の役目はこっちに飛んできた魚雷の迎撃だ。今までそんな事できなかったろ。
それを海中からの観測と上空からの偵察の二段構えで可能にしようという訳さ。
それくらいなら今の俺にもできるはずだ」


加賀『そう……』


提督「で、加賀さん、そっちはどうだ?2人はどうなった?」カチカチウィーン


加賀『先程ギアで潜水艦に飛んでいきました』


提督「よし、それならすぐにこっちに来てくれ。金剛!」


金剛『お待たせデース、テートクゥ!サプラーイが終わったヨー!』


提督「それなら加賀さんと合流してくれ。こっちは先に出る!榛名、夕立、北上、大鳳、着いて来いよ!」ガシャン


北上『うわ、ホントにギアで出てきた!』


大鳳『て、提督、本当に大丈夫なの!?』

提督「俺のことはいい。それよりもお前ら、海に出たらタムズの北側に展開するぞ。
榛名、金剛が来るまで中心になれ。行くぞ!」ザッパアン


榛名『了解しました。榛名、出ます!』

北上『ホントに大丈夫かな提督、ま、いいけどね』

夕立『やっとモンスター以外と戦えるっぽい!』

大鳳『出るわ!』


提督(気密チェック、良し、エアー供給、よし、その他諸々、問題なし)

提督(さて、まずはタムズの外に出ないとな)ゴウンゴウン

提督(う、これは……予想より身動きが取りにくいな、潮の流れも結構きついか)スー……ゴウン


提督「……よし、やっと外に出られた。榛名、そっちの様子はどうだ」


榛名『は、はい。加賀さんの報告とあまり変わっていません。魚雷攻撃はまだ止んでいないみたいです』


提督「そうか、俺もすぐそっちの水面下まで行く。それまで待機しててくれ」


榛名『!魚雷接近!!』

提督「迎撃!夕立は好きに動いていい!魚雷の進行方向に弾幕を張れ!」


夕立「……ダメ、当たらないっぽい!」ドン!ドン!


提督(やっべ!)


  ……


提督「……逸れたか」


北上『やっぱり無理なんじゃない?飛んでくる魚雷を主砲で迎撃するなんてさ』


提督「かもな、でもやってみなきゃならんだろ。と、俺も下に着いたぞ。金剛、加賀さん、どこにいる?」


加賀『もう着いています』

提督「よし、それなら始めるぞ。金剛、榛名。2人は最前に出ろ。今回の迎撃の要だ」


金剛『ラジャーネー!』


榛名『はい!』


提督「一つ後ろに夕立、その後ろに北上が付いてくれ。夕立は側面のカバーができるように用意、
北上は最後の最後だ。もしそこまで魚雷が来たら遠慮するな、残った弾薬を惜しまず使え」


夕立『がんばるっぽい!』


北上『そうならないといいけどねー』


提督「加賀さんは右、大鳳は左だ。偵察機で上空から監視してくれ。どんな雷跡も見逃すな」


加賀『わかりました』


大鳳『偵察機、射出します!』


提督「タムズは針路を東に向けている。常にタムズの壁になるよう動きつつ、ゆっくりと前進するぞ。
タムズは今の俺達の家だ、一発たりとも被弾させないつもりでいくぞ!」


  ……


提督(……来た!)

加賀『魚雷接近、1時の方向』

提督(深度測定!)

提督「深度30!金剛、榛名!!」

金剛『ファイヤー!』ドォン!ドォン!

榛名『当てます!』ドォン!

  ダッパアン!


提督「よし、良くやった!このまま前進……」


大鳳『魚雷接近!10時の方向!』

提督「……深度10!浅いぞ!夕立!左にカバー!」

夕立『っぽい!』ドン!ドン!

榛名『主砲、撃ちます!』ドォン!

金剛『ファイヤー』ドォン!


  ダッパアン!

提督「よし!前進!」


提督(この調子ならいけるな)スイー

提督「大鳳、潜水艦のほうはどうなってる?例の2人は?」


大鳳『未だに健在です。2人は状況開始前に海中に飛び込んだきりです。恐らく戦闘中ではないかと』


提督(援護してやりたいところだが、海中じゃ無理か)

提督「わかった。引き続き前進、潜水艦とタムズの中間あたりで固定する」スイー


  [ネレイダスサイクロン]

提督「っうおあああああああ!!なんだぁ!?」ゴゴゴゴ

榛名『提督!!』

提督(急に潮の流れがえらい事に……これじゃ海底に張り付くしかねえぞくそっ!)ゴゴゴ

提督「身動きが取れないが大丈夫だ!いきなり渦潮のど真ん中に放り込まれたみたいに……」

加賀『魚雷接近、12時の方角』

提督(この状態で測定すんのかよ!)

提督「深度……50!やれ!」

金剛『ファイヤー!』ドォン!ドォン!

榛名『榛名がお守りします!』ドォン!ドォン!


提督(……!やべ!深度見誤った!)

提督「深度30!夕立!北上!」グググ

夕立『ここは通さないっぽい!』ドン!ドン!

北上『わびさびとか言ってる場合じゃないね!』ドンドン!ドン!

  ダッパアン!


加賀『続いて魚雷接近、2時の方角』

提督(……近い!)

提督「深度40!撃て!」

榛名『撃ちます!』ドォン!

  ダッパアン!

提督(……衝撃で機体がっ!)グギギギ ガコン

提督「……あ、これヤバイ」グルン

榛名『いや!提督ーっ!!』ザザザザ

提督「ああああああああああああっ!!」グルングルン

提督(な、なんとか姿勢を……)


  スゥ……

提督(どこか掴まれる所を……お?)

提督「渦潮が……治まった?」


榛名『提督、無事ですか!?応答してください!!』


提督「ああ!大丈夫だ榛名!大鳳!状況を!」


大鳳『は、はい!魚雷攻撃停止!同時に北方向に進む艦影を確認!恐らく敵対勢力だと思います』


提督「撤退したのか?」


大鳳『状況を見るに、そうではないでしょうか』


提督「……そうか」

提督(マジで気持ち悪い、吐きそう)

『……聞こえるか?こちらは潜水艦ユグドラシルⅡ世、そこに展開している部隊、応答してくれ』


提督「(ギアの通信端末からか)……ああ、聞こえる」


『そちらの所属はタムズのようだな、フェイから話は聞いた。こちらへ来てくれ。タムズまで送ろう』


提督「感謝する。……総員、戦闘終了。良くやってくれたな。皆潜水艦に行ってくれ」

提督(……潜水艦ユグドラシル、ね。一体どんな連中なんだか)

提督(……エチケット袋とかどこかにねえかな)ウエップ


シタン「……あれは……一体……」


  ***

今日の書き溜めはここまでになります。次回はまた来週という事で
投稿ペースってこれくらいでいいんでしょうか?

加賀の姉妹とは誰のことなんですかねえ

お待たせしました。今週の分を投稿します。
>>96 赤城と加賀は姉妹艦だと思っていたのですが、違うのでしょうか?もし違っていたら自分の調査不足です。申し訳ない

~ユグドラシル ギアドック~


提督「あ゛ー、マジ死ぬかと思った」


榛名「大丈夫ですか、提督?」


提督「いや無理……目玉と胃袋が……飛び出てないのが……不思議なくらいだ……」ゼーハー


北上「まーしょうがないよねー。ギアごと物凄い勢いでぐるぐる回ってたし」


提督「すまないな、ギアから降りられはしたが……ちょっとしばらく動けそうにない」

提督「俺はちょっとここのギアの前で休んでいるからよ、その間にこの辺の様子でも見てきたらどうだ」


金剛「こんな状態のテートクを一人にしておく訳……」


榛名「お姉様、行きましょう」グイッ


金剛「でもハルナ」


北上「そーだね。潜水艦の中なんて滅多に見られないし、ちょっと散歩したいよねー」スタスタ


夕立「提督さん、早く元気になってね」タッタッタッ


大鳳「……提督、お待ちしています」スタスタ


加賀「……」スタスタ

提督「……」


榛名「提督」クルッ

榛名「今回の作戦、タムズ、そして榛名たち双方とも無傷、完全勝利です」

榛名「元気、出してくださいね」ペコッ



提督(……隠したつもりだったんだが、どうも全員気づいてたようだ)

提督(まったく情けない、初めての最前線にビビッて腰が抜けちまうなんて)

提督(挙句あの子らに気を使わせちまった。泣きたくなるな)

提督(……あの子達はこんな気分を出撃するたびに味わっていたのか)

提督(頭が上がらない理由が一つ増えたな)ハハハ

提督(……そんな事も言ってられない、か)

提督(この世界にいる限り、何が起こるか分からない。この先また最前線に立たなきゃならない日がくるかもしれない)

提督(一々こんなになってたらしょうもない、慣れないとな。もっと前にすべきだった事のような気もするが)

提督「ギアの操縦も、だな」ハア

シタン「あの、少しよろしいでしょうか。」


提督「……ん?」


シタン「初めまして、私はシタン、フェイの友人です」


提督「フェイ?」


シタン「ええ、フェイがそちらの艦長に世話になったと聞いたのですが」


提督「ああ、漂流してた男の方か。そういや名前を聞く暇もなかったな」


シタン「そうでしたか。それで、あなたが先程タムズを防衛していた彼女達の指揮官だとか」


提督「……それがどうかしたのか?」


シタン「単刀直入に聞きます。あなた達は一体どこであんな装備を手に入れたのですか?」


提督「……」


シタン「あれほど高度に高威力、高機動、小型化がなされている物を、しかも少女達が扱っている。
あんなものはソラリスでも見たことはありませんよ」


提督「……ソラリス?」


シタン「それに加えてあなた達の着ている服もどこの地方でも見たことはない。あなた達は何処から来たのですか?」


提督「そんなこと聞いてどうする気だ?」


シタン「なに、ただの好奇心です。先程の戦闘でのあなた達を見ていると気になってしまったので」

提督「……」

提督(うーむ、どうしたものか)

提督(明らかに怪しいよな、フェイの知り合いって所から既に……それはないか)

提督(しかし好奇心ってのはないな、裏にどんな目的があるのやら)

提督(……その辺は考えてもしょうがないか。考えるべきはこいつにそれを教えたときのメリットだが……)

提督「わかった。ただしそちらにも聞きたい事がある。情報交換といこうじゃないか」


シタン「よろしい。答えられる限りの事はお教えしますよ」


提督「よし。ならばこちらから聞かせてもらう。早速ソラリスについて聞かせて欲しいんだが……」


―情報交換中―

提督「つまり、この世界を牛耳っているのがシェバトとソラリスの二大国で、あんたはソラリスからやってきた。
そういうことか」


シタン「まあ、そういうことになりますね」


提督(まさかあのときのUFOが一つの国だったとは。今更だが訳の分からん世界だ)

提督「成る程、いやかなり勉強になったよ。特に『障壁』の事を教えてもらえたのは大きな収穫だ。
フェイたちがタムズの近くに突然現れたのもそいつが原因なんだろ?」


シタン「ええ、あれはゲートキーパーの暴走が引き起こした事故です」


提督「という事は、俺達が帰るのに同じ事が使えるかもしれないわけだ」

シタン「……それはどうでしょう」


提督「どういう意味だ」


シタン「障壁の空間跳躍はあくまで障壁の境界を利用するものです。障壁を文字通り『壁』と捉えるならば、
その外壁を伝う所にしか飛べないのですよ」


提督「つまり、別世界に飛べるような事はない、と?」


シタン「ええ、あなたのいた世界に障壁が発生しているのなら話は別ですが」


提督「……クソ、いい案だと思ったのに。というか、あんたは本当に信じてるのか?俺のさっきの話」


シタン「まあ、嘘には聞こえませんでしたし。それに、彼女達の兵器の技術力と設計思想の不釣合いさにも説明が付きます。
何せ根底の文化、世界そのものが私達と違うわけですし」


提督「ふーん、よくわからんが、話が早くて助かるよ」

提督(変わった人、なのか?あながち好奇心から聞いたってのも嘘じゃないのかもな)


シタン「それで、これからあなた方はどうするおつもりですか?お話を聞く限り、
一所に留まるのはあまり得策ではないように思えるのですが」


提督「そうだなあ、できればシェバトかソラリスのどっちかに行ってみたい所だけど、方法が分からん。
あんたは何か知らないのか?元ソラリス人なんだろ」

シタン「……いえ、知らないわけではないのですが、今の私達では到底不可能なものばかりです」


提督「そうか、それならまだしばらくはタムズ暮らしだな。どこかに行きたくたって今の俺達には後ろ盾がない。、
あそこをちょっと離れただけで補給もままならなくなっちまう」


シタン「そうですか、それでは何かいい方法が見つかったらお教えしますよ」


提督「そりゃありがたい、その時にはこちらも有力な情報を仕入れておくようにしよう」


シタン「ええ、それではそろそろ行きましょうか」


提督「ん?行くって何処へだ」


シタン「実はシグルドにあなた方をブリッジに案内するよう言われてきたのですよ。
艦の応急処置が終わる前に是非あなた方に会いたいそうですよ」


提督「シグルドっつーとさっきの話に出てたこの艦の副長か。ならすぐに行かないとな、随分と話し込んでしまったし」スッ


シタン「あなたのお仲間はどうするのですか?」


提督「その辺を見て回って来いって言っといたからそう遠くには行ってないはずだ。途中で拾っていこう」スタスタ


シタン「わかりました」スタスタ

シタン(異世界人、まさかこれほど異質な存在に出会えるとは。陛下はこのことをご存知だったのだろうか)


  ***

~ユグドラシル ブリッジ~


シグルド「随分と遅かったじゃないか、ヒュウガ」


シタン「すみません、彼と少し話し込んでいまして」


シグルド「かまわん、こうなるだろうと思っていたからな。それで、君達が先程の魚雷を迎撃していた部隊だな。
私はこの潜水艦ユグドラシルの副長のシグルドだ。援護に感謝する」


提督「俺はこの子達第一艦隊を預かっている……提督だ。こちらに収容してもらえて助かったよ。
だが、俺達はタムズに飛んできた魚雷を迎撃してただけだ。そちらを援護していたつもりはないが」


北上(あ、ついに名乗るの諦めた)


シグルド「いや、水中の魚雷が減るだけでも大助かりだったよ。あれでバンスの負担が大分軽くなったのでな」


提督「そうなのか、まあ、結果的にそちらの助けになれてよかったよ。おかげで潜水艦に乗るなんていう滅多にない体験もさせてもらってるしな」


シグルド「はは、フェイ君の言ったとおり、君達は悪い奴じゃなさそうだな。タムズに着くまでの短い間だが、ゆっくりしていってくれ」


提督「そうさせてもらうよ。ところで、そのフェイはどこだ?一緒に漂流してた赤い髪の子もだ」


シグルド「……」

シタン「……フェイは無事です。まもなくブリッジに上がってくるでしょう。
……共にそちらに流れ着いた彼女、エリィと言いますが、彼女は先程の戦闘で敵のギアに連れ去られてしまったのです」


提督「……おい、それってやばいんじゃないか?すぐにでも助けに行かないと」


シタン「しかし、艦がこの有様ではそうもいきません。それに、どうやら敵ギアの搭乗者とエリィは知り合いだったようです。
最悪の事態は起こっていないと考えていいでしょう」


提督「そうか、無事だといいが……。それにしても、敵の軍人と知り合いとは、あの子も妙な事情があるみたいだな」


シタン「ええ、彼女は元ソラリス軍人ですから」


提督「マジか、そんな風には見えなかったけどなあ。人は見た目に依らないって事か」


シタン「そうでもありませんよ。彼女が着ていたのはソラリス軍の軍服です」


提督「は?冗談だろ!?あんなレースクイーンみたいな格好がか!?」


シタン「え、ええ、間違いありません。しかし、レースクイーンとは?」


提督「い、いや、何でもない」

提督(あれが軍服って……確かに動きやすそうだったけどもうちょい機能面とか……)チラ


第一艦隊「「?」」


提督(ウチも他所のこと言えねえな……)

シグルド「そうだ、タムズに向かう前に君に聞いておきたい。タムズというのはどういう所なんだ?
これもフェイ君の話だが、『艦長が力になってくれる』ような所らしいが」


提督「ああ、あの艦長なら間違いなく助けてくれるだろう。あそこなら資材も豊富だし、武器弾薬にも困らないはずだ」


プシュー

バルト「ただいま、シグ……うお!誰だお前ら!俺のブリッジで何してやがる!」


フェイ「……あんたは」


シグルド「大丈夫です、若。彼らは先の戦闘で魚雷迎撃に助力してくれた者達です」


提督「お邪魔している。タムズまでの間だが、世話になるよ」


バルト「なんだ、お前達がそうだったのか。悪いな、早とちりしちまってよ。さっきは助かったぜ」


シグルド「提督、紹介しよう。こちらの方が我らの主である……」


バルト「バルトだ。よろしくな」


提督「よろしく。あんたのことはそこのシタンから少し聞いたよ。それと……フェイ」


フェイ「……ん?」


提督「あんたのこともな。さっきは名前を聞く暇もなかったからな、改めて自己紹介させてくれ。
俺は提督、それと以下第一艦隊の6人だ」


金剛「ハーイ!」

榛名「よろしくお願いします」

北上「よろしくー」

大鳳「初めまして!」

夕立「っぽい」

加賀「よろしくお願いします」


フェイ「……ああ、よろしく」


提督「エリィの事も聞いたよ。俺から言えることはあまりないが、とりあえず今はこの艦の修理を考えようぜ。
助けに行くときは俺達も力になるからよ」


フェイ「そうだな。わかっているよ」


通信担当「修理班、及びおやっさんから入電、艦の応急処置が完了したそうです」


シグルド「よし、微速前進、海上都市タムズと接触する」


ジェリコ「アイアイサー!」


提督(……フェイ、か)


  ***

ちょっと短いですが、キリがいいのでここまでとします。では、また来週。

お待たせしました。今週の投稿を始めます。
赤城と加賀さんの関係はこのままで行きます。全国の赤城、加賀提督の皆さん、申し訳ありません。

~数十分後~


シグルド「よし、タムズに到着したぞ」


提督「早いな」


バルト「俺のユグドラにかかりゃ朝飯前だぜ!」


シグルド「若、はしゃぐのはそれ位にして、この船の艦長に挨拶をお願いします」


バルト「そうだな、シグ。それじゃ行こうぜフェイ」


フェイ「ああ」


シグルド「君達はどうする?」


提督「そうだな、まずはギアを持って帰らねえと」


シグルド「それなら心配ない。先程タムズに連絡を取った。今頃はあちらのギアドックに搬入されているはずだ」


提督「そうか、それなら俺達もギアドックに向かうよ」


シグルド「了解した。それではここでお別れだな」


提督「ああ、本当に世話になったな。感謝している」


シグルド「援護の礼だ。気にしないでくれ」


提督「そうだな、それじゃ縁があったらまたどこかで会おう。行くぞお前ら」スタスタ


榛名「はい、提督。シグルドさん、お世話になりました」

金剛「バーイ!」フリフリ

北上「この艦、結構面白かったよ」

夕立「またね!」フリフリ

大鳳「失礼します」

加賀「それでは」


シグルド「……やれやれ、騒がしい連中だったな」


  ***

~ギアドック~


整備士「お、帰ってきたでやんすね」


提督「ああ、ギアの回収はしてくれたか?」


整備士「とっくに終わって今から整備でやんす。全く、よくもまあ酷使してくれたでやんすね、
駆動部のあちこちが浸水してるでやんすよ」


提督「う、すまん。いつのまにか敵ギアの戦闘に巻き込まれていたみたいでな」


整備士「ま、タムズを守るためだったんだからいいでやんすけどね。
そんなことじゃいつかあんたが死んじまうでやんすよ。次からは気をつけるでやんす」


提督「そうだな。できれば次がないことを祈りたいが」


整備士「わかったらほら、提督も整備手伝うでやんすよ」


提督「え?いや、ギア整備なんてやったことないぞ俺」


整備士「そんなこと言ってられないでやんす。ただでさえ『教会』のサルベージ計画の準備で人手が足りてないでやんすからね。
それに、今後ギアと付き合っていくからには整備ぐらい自分でできるようになった方がいいでやんすよ」


提督「うーん、確かにな。んじゃお前ら、そういうことだから各自で整備と補給しといてくれ。それが終わったら今日は解散だ」


加賀「……そう」スタスタ


北上「んー、それじゃ提督、お疲れー」スタスタ


金剛「オッケーデース!それじゃテートクゥ、補給が終わったら私とデートしまショー!」


榛名「!て、提督!榛名もデートしたいです!」


金剛「ワット!?いくら可愛い妹でもこれだけは譲れないネー!」


榛名「榛名も負けられません!」


大鳳「あ、あの、提督、できれば私も……」


夕立「えー、夕立も提督さんと遊びたいっぽい」

提督「あーわかったわかった。それじゃ一番早く補給が終わった奴と後で一緒に広場に行くことにしよう」


榛名「!!本当ですか!?」


提督「マジだマジ。わかったらさっさと補給して来い」


夕立「わーい、行ってきます!」ピョーン


大鳳「私も負けないわ!……あら、加賀さんと北上さんの姿が見えないようだけど」


提督「あいつらならお前らが騒いでる間に補給しに行ったぞ」


金剛「シィット!こうしちゃいられないネ!テートク!また後でネー!」ダダダダ

榛名「榛名も失礼します、提督!」タッタッタッ

大鳳「この大鳳、遅れを取りはしません!」タタタタ


提督「はあ、やっと行ったか。それじゃこっちも頑張りますかね」


整備士「……提督、あんた最低でやんす」


  ***


~しばらく後~


提督「ぐぐぐ、これは、思っていた、よりも、力仕事、だな」グググ


整備士「おーい、提督」


提督「……ふう、後一本……ん?何だ?」


整備士「そこ終わったらもう上がっていいでやんすよ」


提督「え?まだシーリング作業とか残ってるんだろ。最後まで手伝うぜ」


整備士「その辺はデリケートだから素人には無理でやんすよ。いいからとっとと終わらせてデートでも何でもしてくるでやんす」


提督「ふーん、そういうものか。ならそうさせてもらうよ」


整備士「後は勝手にやっとくでやんすから、終わったら工具とかもそのままでいいでやんす」スタスタ


提督「……よし、あともう一息がんばるか」

『こちらブリッジ。地下ドックに通達』


提督「ん?なんだ?」


『そっちにギアが一機行く、収容してくれ。例の漂流してたお嬢さんのギアだ』


提督「お嬢ちゃん……エリィか!自力で脱出したのか?」


作業員「おおい、聞いたなお前ぇら!ギア一機分スペース空けとけよ!すぐ来るぞ!」


ヴィエルジェ「コンチャッス」ギューン


提督「おっと、もう来たのか。確かにありゃ間違いなくエリィのギアだな」


エリィ「……」バシュウ


提督「おーい、エリィ」


エリィ「……」スタスタ


提督「よお、敵に連れ去られたって聞いてたけど、無事だったんだな」


エリィ「……ええ」


提督「そりゃよかった。そんなら早いとこフェイの所にいってやんな。メチャクチャ心配してたぞ」


エリィ「そのつもりよ。彼はどこにいるの?」


提督「あー、どこだろうな」


酔っ払い「おー?嬢ちゃんの彼氏ならさっき見かけたぞぉ?ブリッジの方に向かってたなぁ」


エリィ「そう」スタスタ


提督「あっ……行っちまった」


提督「どうも最初の時と印象が違うような……ま、疲れてたんだろうけど」


提督「っと、こうしちゃいられん、ちゃっちゃと済ませてあいつらの様子見に行かないと」


  ***

~少し後~


提督「よし、これで、終わり、と!」グググ


提督「ふー、こりゃギアの操縦より大変だな。今度からはもうちょい大切に乗ってやるか」ピョン


提督「さーて、あいつらは終わらせてるかな、と」スタスタ


~地下ドック 別区画~


提督「おーう、補給終わったかー?」


金剛「テートクゥ!私に会いに来てくれたんですカー!?」バッ


提督「お前ら全員にな。ほれ、よそ見してると他の奴に先越されちまうぞ」


榛名「榛名、お姉様に遠慮はしません!」キュッキュッ


夕立「夕立、もうすぐ終わるっぽい!」サササ


提督「その調子で頑張れ。そうだ、妖精さんの調子はどうだ」


夕立「元気っぽい。今は砲身の歪みを直してくれてるっぽい」


提督「そりゃ良かった。こっち来たばっかりの頃は元気がなかったからなあ」


榛名「補給物資の質の違いになかなか慣れなかったそうですよ。今はもう平気だと言ってます」


提督「そうかそうか。艦載機の方はどうだ?残存は何機ある?」


加賀「流星改が31機、烈風改が38機、彩雲が10機よ」


大鳳「大鳳の残存機は流星改が27機、烈風が40機、彩雲が5機です。未帰還機、出てしまいました」シュン


提督「まあまあ、艦載機が補給できればまた妖精さんも戻ってくるだろ。それまでの辛抱だ」


大鳳「……そうですね、落ち込んでもいられませんね」


提督「そういうこと。今はこれ以上の被害が出ないようにしようや」ナデナデ


金剛「グヌヌ……シィーーーット!!」ゴシゴシゴシゴシ


北上(嫉妬でshit……これは中々)キュキュキュ

『こちらブリッジ、地下ドックのユグドラシルが急速離脱する。非搭乗員は速やかに退去するように』


提督「今度はユグドラシルが急速離脱だあ?随分と忙しいな」カチャ


提督「こちら地下ドック、ユグドラシルに何があった?」


ハンス『提督かい?どうやらさっきの敵がまた現れたようなんだ』


提督「マジかよ!?身動きが速い連中だな」

提督(……)


榛名「提督?」


提督「先刻交戦した敵の第二波が来たらしい」


榛名「!!それじゃあ……」


提督「落ち着け、何よりも補給が最優先だ。俺は今からユグドラシルに乗りこんで状況を確認してくる。
お前らは補給が済み次第ユグドラシルを追って来い」


榛名「りょ、了解!」


提督「急げよ!」ダッ

提督(間に合うか!?)


  ***


~ユグドラシル ブリッジ~


シグルド「タムズとの接触は?」


通信手「固定アーム、リフト共に解除、出られます」


シグルド「よし、微速前進、機関長の指示には細心の注意を払え」


通信手「アイアイサー!」

  プシュー

提督「間に合ったあ!」

シグルド「君は……何故ここにいる?」


提督「敵襲だってんだろ?俺達も手貸すぜ」


シグルド「しかし」


提督「ここであいつらを何とかしなきゃ、今度はタムズもどうなるかわからんからな。
それに、あんたらにはタムズまで乗せてもらった礼もある」


シグルド「……そういうことなら、是非とも頼む」


提督「それで、状況は?」


シグルド「上空から大型ギアが一機接近中だ。あと5分もしないうちに接敵するだろう。
こちらはギアでの迎撃は可能だが、肝心のユグドラシルが戦闘速度を出せない状況にある」


提督「何があった?」


シグルド「メインエンジンのトラブルだ。修理は間に合いそうもない」


提督「まずいな、それじゃこいつはただの棺桶じゃねえか」


シグルド「そうだ。後は若とフェイ君、エリィ君にかかっている」


提督「シタンの先生はどうした」


シグルド「……銃座に回ってもらった」


提督「そうか、状況はわかった。俺は甲板であの子らの指揮をする。潜行するときは通信してくれ」


シグルド「了解した」


提督「それと、ギアと通信できるようにしたいんだが」


シグルド「ああ、この周波数でかかる」


提督「ありがとう。……フェイ、エリィ、それとバルトの若様。俺達が援護するぜ」


フェイ『!……またあんたか。何故俺達を助ける』


提督「文字通りの乗りかかった船だからな、目の前で知り合いがやられるのを黙ってみてるわけにもいかんだろ」


バルト『おいおい、理由なんてどうでもいいだろ。すまねえ、助かるぜ』


提督「ああ。敵は今のところ一機らしいが、万が一増援が来たら俺達が足止めする。まずは目の前のを全力でやってくれ」ピッ

北上『提督ー、準備できたよ。今そっちに向かってるところ』ザザッ


提督「おう北上、こっちは接敵まで3分もない、急げよ。他の奴はどうだ?」


大鳳『大鳳、準備できました。今から出ます!』

加賀『私も出ます』

夕立『夕立もいけるっぽい!』

金剛『ノー!私はもう少しかかるネー!シット!』

榛名『……お待たせしました。榛名、出撃します!』


提督「よし。今度の敵は空から来るぞ、対空戦の用意をしとけ!空母組はまだ艦載機を出すなよ!」


  ***


~洋上~


榛名「提督、榛名です。ただ今潜水艦前に到着。金剛お姉様以外の全員揃っています!」

金剛『私も今向かっている所デース!』


提督『わかった。まずは総員、ユグドラシル正面を囲むように半円に布陣しろ。左右両端にそれぞれ加賀、大鳳。
加賀の前に夕立、大鳳の前に北上、正面に榛名だ」


榛名「了解!」ザザザ


提督『話によると敵ギアの動きはかなり速いらしい。それぞれ距離をとれ。できるだけ広範囲をカバーしたい』


加賀「提督、攻撃機を出してもいいかしら」


提督『まだ駄目だ。奴の実際の速さがどんなものか分からん。艦載機より速かったらただの的だ』


加賀「……そう」


北上「提督、私はどうするのさ」


提督『残弾は確か80%程度あったな。初撃は参加しなくていい。これも敵の機動力が分かり次第で考える』


北上「了解。ちぇ、私もいい加減撃ちたいんだけどなー」

提督『よし、もうすぐ来るぞ。俺は甲板で見てるからな』


榛名「そんな!提督、危険です!ブリッジにいて下さい!」


提督『あそこじゃ良く見えねえんだよ!ほら、来るぞ!もう肉眼で確認できる!』


榛名「!!あれが……」


ドミニア「貴様さえいなければ……。この、裏切り者がぁ!」


提督『対空射撃準備!撃て!』


榛名「撃ちます!」ドォン!

夕立「っぽい!」ドン!


ドミニア「ふん、こしゃくな!」ヒュン


提督(思っていたより速い!)

提督『北上、射撃許可!3人で弾幕を張れ!』


北上「やっと私の出番ですかね!」ドンドンドン!

榛名「止めます!」ドォン!ドォン!

夕立「当たれー!」ドドド


ドミニア「この弾幕の濃さ……あれは一体なんだ?」ヒュンヒュン

ドミニア(海に浮かぶ……ヒトか?あのサイズでこの威力の砲撃、何らかのエーテル能力なのか)

ドミニア(だがあれらからは何のエーテルも感じない。一体……)

ドミニア「ええい、私の目的はただ一つ!」ギュン

提督『左舷に回った!夕立!』


夕立「駄目っぽい!速すぎるっぽいー!」ドンドン


提督(取り付かれるか!)


ドミニア「はああああ!」ガキン

フェイ「おおお!」ガキン


提督(格闘戦に入った!)

提督『射撃中止!空母組は偵察機射出、周辺の偵察に入れ』


加賀「了解」ブウウン

大鳳「出します!」ブウン


提督「他のは敵から目を離すな!隙ができたら一気に打ち込むぞ!」


フェイ「はあっ!」ガゴンガゴン

バルト「であっ!」ベシン

エリィ「ええいっ!」ゴツンゴツン

ドミニア「ちっ!流石に不利か!」スッ


提督(距離をとった!)


[火の剣]

ドミニア「ならばこれで!」ギュルギュルギュル


提督『今だ、一斉射撃!』


榛名「てぇー!」ドォン!ドォン!


ドミニア「きゃあ!」ドガァン!


[武技崩天]

フェイ「おおおりゃあ!」ドルルル


ドミニア「ぐ、ここまでか……申し訳ありません、閣下!」ドヒュウン

フェイ「はあ、はあ」


提督『……逃げたか。加賀、大鳳、周囲の状況は?(ギアがドリルキックした……)』


加賀「上空に敵影なし」

大鳳「同じく、海上にもいないわ」

金剛「ヘーイ、テートクゥ!やっと着いたヨー!」


提督『やっとか。今ちょうど一仕事終わったところだぞ』


金剛「通信聞いてたヨー。皆さん、間に合わなくて申し訳ないネー」


榛名「そんな、謝らないでくださいお姉様」


提督『そういう事。全員無事だったんだからそれで……』

金剛「!!テートク!海中に艦影!」

提督『!!散開!』


ドオオン!

提督『うおおおあ!』グラグラ

エリィ「な、何?」

フェイ「下だ!」バシャアン

バルト「まさか、例の奴か?」バシャアン

エリィ「……」バシャアン

大鳳「提督、大丈夫!?」

提督『あ、ああ、なんとか海に放り出されずに済んだよ。シグルド副長、今のはなんだ?』


シグルド『海中にギアが一機。恐らく先の戦闘で現れたのと同一のものだろう。今フェイ君達が応戦している』


提督『海中か。俺達じゃ太刀打ちできないな……。よし、加賀と大鳳は引き続き偵察』


加賀 大鳳「了解(!)」


提督『榛名はそのまま、金剛は後部に回れ』


榛名「はい、提督!」

金剛「了解デース!」


提督『夕立、北上はそれぞれ艦の真横に付け。増援や魚雷がきたらユグドラシルと連携して対処する。海中の変化にも気をつけろよ』


夕立「わかったっぽい!」

北上「はいはーい」


提督『それじゃ、ここからは集中力の勝負だ。変なものを見かけたらすぐ報告しろよ』


  ***


~少し後~


北上「そういえば提督さー」


提督『……ん?何か見つけたか?』


北上「いや、そういうんじゃないけど」


提督『じゃあ何だ』


北上「ほらさ、さっき整備前に皆に約束したらしいじゃん」


提督『あー、あれか。いや今それどころじゃないだろ』


北上「まあまあいいじゃん。あれって私の勝ちだよね?一番乗りでここまで来たわけだし」


提督『まあそうだな。……え、何、お前デートしたいのか」


北上「んー、別にデートじゃなくてもいいんだけどさ、たまにはぱーっと遊びたいなーと思って」


提督『……まあ、約束だからな。無事に戻れたら遊びに行こう』


北上「やりいー♪期待してるからね提督ー」


提督『わかったから目の前の事に集中してくれ』


北上「りょうかーい♪」

提督『……はあ』

提督(フェイ達は無事だろうか)

提督(しっかし妙だな。敵襲ったってやってきたのはギア2機のみ、援護射撃すら飛んでこないとは)

  ドッパアアン


北上「わああ!」


提督『うお、なんだなんだ、ブリッジ!今のは?』


シグルド『恐らく海中のギア戦の爆発だ。決着が付いたんじゃないか』


提督『……どっちだ?』


バルト『シグ、奴さんのギアは引き上げた!!早く回収してくれ!フェイがやられた!!』


提督(……ウソだろ)

今日はここまでになります。それではまた来週。

お待たせしました。今週の投稿を始めます。

  ***


~地下ドック~


榛名「……提督」


提督「……おう」


大鳳「あの、フェイさんの容態は……?」


提督「命に別状は無い。が、意識が戻らん。原因は不明だとよ」


榛名「大丈夫でしょうか」


提督「まあ、そのうち目を覚ますんじゃないか。少なくともこのままずっとって事はないだろ」


金剛「私達、援護もしてあげられなかったネー……」

提督「敵が海中にいたんじゃ仕方ないだろ。あの剣持ってたギアを撃退しただけでも十分だ」


北上「そんな事言ってもさあ」


提督「俺達ができることは精一杯やった、今はそれで満足するしかないさ」


加賀「起こったことは仕方が無い、と?」


提督「そうだ、これまでだってそうしてきただろ。それに今だってそんなこと気にしてられる状況じゃないんだぜ」


北上「そうだね、またあのギアが襲ってくるかもしれないし」


提督「そういうこと。あいつらの動きの早さなら今日中にもう一回きてもおかしくないくらいだ。さっさと補給しちまおうぜ。俺も手伝うから」


皆「はい!」


  ***

~次の日 物資搬入口~


提督(結局、あれからソラリスの襲撃はなかった)カキカキ


シグルド「やあ、提督」


提督「シグルド副長、こんな所にどうした」


シグルド「君を探していたんだ。報告したい事があってね」


提督「俺に?一体なんだ」


シグルド「フェイ君のことだ。先ほど『教会』の人間と話をつけてね、彼らの施設で治療をさせてもらえる事になったんだ」


提督「よかったじゃないか。そこなら治るんだろう?」

シグルド「断言はできないが、彼らの技術は我々の数段先を行っている。恐らく大丈夫だろう」


提督「そうか。で、いつ発つんだ?」


シグルド「もう間もなくだ。フェイ君をこちらに移送出来次第出発する」


提督「という事は、今日のこれは別れの挨拶って訳か」


シグルド「そうなるな。君達には大きな借りができた。いつか必ず返すと約束しよう」


提督(礼ならいらん、といつもなら返すところだが)

提督(この機会を逃す手はない、か)

提督「なら、少し頼まれて欲しいんだが……」


  ***

提督(……大事な事とはいえ、相手の良心につけ込んだようで心が痛むな)テクテク


夕立「あ、提督さん!おーい!」ブンブン


提督「ん、皆揃ってどうした。周囲の偵察は終わったのか」


加賀「先ほど終わって補給を済ませてきました」


金剛「それで今からフェイのお見舞いに行こうと思ってたんデース」


榛名「提督もご一緒にどうかと思い、今から探そうとしてたんですよ」


北上「ま、やっぱりちょっと気になるからねー」


提督「あー、フェイならもうタムズにはいねえぞ」


大鳳「どういうことでしょう」


提督「『教会』の連中と話をつけたらしくてな、奴らの本部で治療を受けさせてもらえるらしい。
さっき出発するっつってたからな、今頃はユグドラで海の上だろうよ」

夕立「そこならあの人治るっぽい?」


提督「俺も同じ事聞いたが、多分大丈夫だろうってさ」


榛名「よかった……」


提督「ま、フェイのことはユグドラの連中に任せて、俺達はこっちでやることをやっちまおう」


加賀「そうね。それでは提督、今からギアの操縦訓練をしませんか。私も手伝いますから」


提督「お、いいのか?」


加賀「ええ。また前回のようになっても困りますから」


提督「そうだな、それじゃよろしく頼むよ」

金剛「ヘーイ、テートクゥ!その後で私達とティータイムにしまショー!」


提督「ティータイム?紅茶なんてこっちに来てからお目にかかったこともないぞ」


金剛「フフーン、確かにタムズには無かったネー」


提督「どういう意味だ?」


榛名「ユグドラシルに滞在しているときに、メイソンという方が紅茶を分けてくださったんです」


提督「メイソン……ああ、あの執事の。全く気づかなかったな」


榛名「どうでしょう、提督」


提督「いいね、是非とも頂くよ」

金剛「決まりネー!それじゃテートク、待ってるからネー」


榛名「訓練がんばってください、提督!」


北上「私はお昼寝でもしようかね」


夕立「夕立もちょっとおねむっぽい」


大鳳「私はドックで艦載機の整備をしてますね」


提督「じゃあ今日はこれで解散ってことで。それじゃ加賀さん、行こうぜ」


加賀「ええ」


  ***

~しばらく後~


提督「あ゛ーケツ痛え……ギアのシート堅すぎだろ」

提督「サルベージ当日はあの中に何時間もいなきゃならんのか……絶対クッション持って行こう。うん」

提督「と、ここだな」コンコン

提督「おーい、金剛、榛名、俺だ」


金剛「入ってきてくだサーイ!」


提督「おう」ガチャ

提督「……あれ、金剛、榛名、どこだ?」バタン

金剛「ここデース!」ガバッ


提督「うおっ!」


金剛「ンー、テートクゥー」ギュー


提督「お前、何してんだ」


金剛「……」


提督(……黙ってろ、と)ナデナデ


金剛「……ン」スッ


提督「もういいのか?」


金剛「イエース!これでしばらくは禁断症状に悩まされないネー!」


提督「何の事だ、というか、榛名はどうした」

金剛「ハルナはティータイムの準備ネー。もうすぐ戻ってくる筈デース」


提督「あ、ちゃんとお茶はあるのね」


榛名「お待たせしました、金剛お姉様……あ、提督、いらしてたのですね」


提督「ああ、お邪魔してるよ」


金剛「それじゃハルナ、後は私がやっておくから、次はハルナのターンネー」


提督「ターンって一体何の……あー、そういう」


榛名「あの、金剛お姉さまはもう……」


提督「まあ、さっきここに来た直後に」


榛名「榛名もできればお願いしたいのですが……」


提督「……構わねえよ、ほら」スッ


榛名「では、失礼しますね」ギュ

提督「……」ナデナデ


榛名「提督、あったかいです」


提督「初めてみたいな反応しないでくれよ、恥ずかしくなってくる」


榛名「こっちの世界では初めてですよ」


提督「なんだそりゃ」


榛名「……」


提督「……」


榛名「……」スッ


提督「もういいのか?」


榛名「はい、ありがとうございました、提督」


提督「よし、じゃあお茶にしようか」


榛名「ええ!」

金剛「ン、二人とも、フィニッシュですカー?」


榛名「はい、最後は任せっきりにしてしまって申し訳ありません、お姉様」


金剛「ノープロブレムネー!ほらテートクゥ!そんなとこに立ってないでシッダンネー!」


提督「ああ、それじゃ失礼して」ガタン


榛名「それでは、榛名がお入れしますね」コポコポ


榛名「どうぞ、お姉様、提督」


金剛「センキュー、ハルナ!」


提督「ありがとな。……お、中々いい香りじゃないか」


金剛「イエース!あのバトラーの格好は伊達じゃなかったって事デスネー!」ゴクゴク


提督「はは、あの格好は確かに凄かったな。まさに執事って感じで」ゴクゴク


榛名「あの、提督」


提督「ん?どうした」

榛名「これからどうするおつもりですか?タムズに滞在してしばらくになりますが、私達の世界に帰る手掛かりは全く見つかっていません。
そろそろ次の手を考えたほうが……」


提督「んー、まあ確かに、サルベージ計画が終わったあたりで別のアクションを起こしてもいいかと思い始めてはいるよ」


金剛「どうするつもりデース?」


提督「一番に思いつくのは、タムズを離れて自分の足で世界を回る事だな」


金剛「ワーオ!とっても楽しそうネー!」


榛名「でも提督」


提督「ああ。そうなると補給が問題になってくる。オイルその他はともかく、弾薬だけは他じゃ中々手に入らないだろうな」


金剛「それじゃ私達はずっとここにいるしかないんですカー?」


提督「まあそう焦るな。その点に関してはちょっと考えがある」

榛名「それは一体……」


提督「秘密だ。その時が来たら話すよ」


金剛「エー!プリーズテルミー、テートクゥ!」


提督「駄目だ。正直、うまくいくかどうかわからないからな」


榛名「そうですよお姉様、あまり提督を困らせてはいけません」


金剛「ウー……絶対に今度教えてくださいネー?」


提督「ああ、約束だ」


金剛「なら許してあげマース!」


提督「そりゃよかった。榛名、おかわりくれ」


榛名「あ、はい!」コポコポ


提督「ん、サンキュ。相変わらず榛名は紅茶淹れるのがうまいな」


榛名「ふふ、ありがとうございます。提督がお望みなら毎日淹れて差し上げますよ」


提督「うーん、毎日は流石にな……。たまにはコーヒーも飲みたいし」


金剛「ワット!?今何て言いましたテートクゥ!」


提督「いややっぱコーヒーって気分の日も」


金剛「ノー!いくらテートクでもあんな泥水を飲むことは許せないネー!」


提督「お、落ち着け金剛。別にお前が飲むわけじゃないんだから」


金剛「ノーったらノーデース!テートクゥ!今すぐこれまで飲んだ全ての泥水を吐き出すネー!」ガシィ


提督「だあああ暴れるな!そんなの無理なんだからイタタタタ!噛むな!」ギャーギャー


榛名(……コーヒー、淹れられるようにしておきましょう)


  ***

今日はここまで。遅くなってしまい申し訳ありません。

~数日後~


夕立「ぽいー」ゴロン


夕立「ぽいー」ゴロン


夕立「……はふう」


提督「何してんだ、こんなとこで」


夕立「あ、提督さん。見ての通りのお昼寝タイムっぽい」


提督「こんなかったい甲板のど真ん中でか?部屋で寝れば良いだろ」


夕立「あそこは昼間でも暗いからイヤっぽい」ゴロン


提督「小さい窓が一つ付いてるだけだからな。にしてもこんな所で寝ることはないだろ。ガラの悪い奴に攫われちまうぞ」


夕立「そんな奴らは返り討ちにしてあげるっぽい」ゴロン


提督「……ぬう」


夕立「……ふわあ」


提督(なんかに似てると思ったらあれだ、実家の犬にそっくりなんだな。寝そべり方とか)

提督「まあ、そういうことならいいけどよ。ギアの邪魔にだけはならないようにな」


夕立「はーい」

提督「んじゃ、俺は作業に戻るわ」


夕立「行っちゃうの?」


提督「休憩がてらの散歩だったからな。そろそろ戻らないといかん」


夕立「……提督さん」


提督「ん?」


夕立「ここ」ポンポン


提督「ここ?」


夕立「一緒にお昼寝しましょ?」


提督「そうしたいのは山々だがなあ」


夕立「むー、提督さん、最近全然遊んでくれないっぽい。鎮守府にいた頃はもっと遊んでくれたのに」


提督「そりゃ仕方ねえだろ。あっちの時よりもずっと忙しいし」


夕立「大規模作戦の時よりも?」


提督「うぐ、それは、まあ、作戦中のほうが忙しかったかな」


夕立「でも提督さんは作戦中に夕立と遊んでくれてたよ?」


提督「……そうだったな」

提督(しまったな、司令官としての仕事をすっかり怠ってしまった)

提督(何よりもまずこの子らをしっかりフォローしてやらなきゃならなかったのに、多分大丈夫だろうで済ませちまった。
加賀さんがああなった時点で、だな)

提督(そう考えてみると、こないだの金剛と榛名もそうだったのかもしれない)

提督(それぞれにキチンと話、しないとな)


提督「……わかったよ、俺も毎日作業作業で疲れてたところだ。一緒に寝るか」


夕立「うん!それじゃ早速、夕立の隣に寝るっぽい!」


提督「それじゃお邪魔して、と」ゴロン


提督「あー、海風が気持ち良いな」

提督(背中めっちゃ痛いけど)


夕立「気持ちいいっぽーい」


提督「確かに、暗い部屋で寝るよりはいいかもな」


夕立「でしょ?」


提督(このかったい布団を除けば、だけど)

夕立「提督さん」


提督「ん?」


夕立「腕、貸してほしいっぽい」


提督「腕?ほらよ」スッ


夕立「っぽい」ポフッ


提督「……あー、流石にこれは恥ずかしいんだが」


夕立「何が?」


提督「それだよそれ、腕枕」


夕立「誰も見てないからいいっぽい。このままだと頭が痛くなっちゃうし。っぽい」

提督(やっぱり床固いの気にしてんじゃねえか)


提督「……まあ、いいか」


夕立「いいっぽい」フワア

提督「それにしても、海ってのはあっちでもこっちでも変わらんな」


夕立「そんなことないっぽい。海のにおいが全然違うっぽい」


提督「え、マジ?どう違うんだ」


夕立「うーん、あっちの海はお魚がいっぱいいるにおいがしたけど、こっちの海は機械のにおいが強いかも」


提督「……ふーん、俺には全く分からん」スンスン


夕立「提督さんからは提督さんのにおいがするっぽい」スンスン


提督「そりゃ俺は俺だからな」フフン


夕立「……ついでに他の女のにおいもするっぽい」


提督「……い、いつもの事だろ、はははは」


夕立「むー!」グリグリ


提督「あででで、頭でぐりぐりするんじゃねえ。床固いんだから」

提督「そ、それよりもさ、あっちの奴らがどうなってるか心配じゃないか?」


夕立「何のこと?」


提督「いやほら、時雨とか春雨とか、鎮守府の奴らは大丈夫かなーって」


夕立「全然気にしてないよ?」


提督「え?」

提督(あれ?)


夕立「あっちにはいっぱい仲間が残ってるでしょ?敵が攻めてきても絶対に負けないっぽい。むしろ時雨たちが夕立たちを心配してると思うっぽい」


提督「そ、そうだな。早く帰ってみんなを安心させないとな」


夕立「っぽい!」ゴロン


提督(……俺、心配し損じゃねーか!というか大人か!この子は!昼寝ワン公なのに!)


夕立「~♪」ゴロゴロ


提督「……ま、いいか。今度こそ大丈夫そうだし」


~その頃 地下ドック~


ギア整備士「提督の奴、全く帰ってこないでやんす。やっぱり最低でやんす」


  ***

~数日後 海上~


提督「よっと」ガッコンガッコン

提督「よし、と。こちら4番機、ロープ固定完了だ」


クレーン担当『よーし、それじゃ引き揚げるぞお!』


1番機『よし、ギア班は下がれ!』


提督「了解、っと。うーん、サルベージ作業をする分には問題なく動かせるようにはなったな」ガコガコ

提督「次は戦闘機動か。また加賀さんに手伝ってもらわないとな」

金剛『ヘーイ、テートクゥ!』

提督「っ!!」キィィン


金剛『そっちは順調ですカー!?海上はグッウェザーアンドウィンドレスネー!』


提督「あー、金剛、金剛、俺の鼓膜を破る気がないんなら今すぐ声の音量を落としてくれ。あとお前の役目は天候観測じゃねえ、索敵だ」


金剛『オウ、ソーリー。もちろん敵の方もナッシングネー!』


提督「了解、そのまま頼むぜ。今の俺じゃデスサイズの一匹にでも来られたらお陀仏かも分からんし」


金剛『それは大変デース。そうならないようにこの金剛、プリンセスを守る立派なナイトを全うしてみせマース!』


提督「俺が姫かよ。まあなんでもいいや、しっかり頼むぜ」ハハ

提督(金剛は……実際どうなんだろうな。霧島と比叡を心配してそうな気もするし、夕立と同じように心配してない気もする)

提督(結局、話してみないと分からない、か。サルベージ計画が終わったあたりでちょっと話してみるか)


  ***

~しばらく後 地下ドック~


ギア整備士「お疲れでやんす、提督」


提督「ああ。今回はやらかしてないから安心してくれ」


ギア整備士「そのようでやんすね。この様子じゃ軽い整備だけで終わりそうでやんす」


提督「それなりに丁寧に扱ったからな。操縦の方も大分上達した気がするぜ」


ギア整備士「油断したらダメでやんすよ。人間、上達したてが一番ミスするものでやんすから」


提督「肝に銘じておくよ」


ギア整備士「それじゃもう上がっていいでやんす」


提督「……サルベージ計画は明日だぜ?今は猫の手でも借りたいんじゃないのか」


ギア整備士「もう準備は粗方終わってるでやんす。提督こそ、明日に備えてもう休んだほうがいいでやんすよ。
明日は普段の何倍も重労働になるでやんすから」


提督「ありがとう。それじゃ後は頼むぜ」スタスタ


提督「うーん、思いがけず暇が出来たが……晩飯まで寝るか」スタスタ

提督「ん?あれは……」

加賀「……」カーンカーン


加賀「……」カンッカンッ


加賀「……」ガァンッガァンッ


提督「何やってんだ、加賀さん」


加賀「提督」


提督「……んー、こりゃあ」


加賀「艦載機を、自作できないかと思って。妖精さんと試していたの」


提督「よく出来てるじゃないか。見た目は完全に烈風だな。これ使えるのか?」


加賀「駄目ね」


提督「ま、そんなとこだろうと思ったぜ。妖精さんも乗ってないしな。何が問題なんだ?」


加賀「こちらの世界の材料では内部の精密部品、特にエンジンが作れないそうよ」

提督「エンジンか。……ん?そういや艦載機ってどうやって動いてるんだ?艦娘に燃料を補給したことはあっても、艦載機にはしたことねえぞ」


加賀「今までは発艦時に私達の燃料を少しだけ持っていくようになってたわ」


提督「じゃあ今は?スレイブジェネレーターからはどうやってるんだ」


加賀「わかりません。今までと同じようにしたら動けるらしいのだけれど、どうやって動いているかは理解できていないわ」


提督「つーことは、例え材料が揃ったとしても、既存の製造方法では艦載機は補充できないのか?」


加賀「恐らくは……」


提督「うーん、案外面倒なことになったな。ただ同じものを生産するだけじゃ駄目だとは」


加賀「……」シュン


提督「っ!ま、まあまあ、そんな悲しい顔すんなって。要するにスレイブジェネレーターからエネルギーを移せればいいんだろ?
この世界にならどこかにあるはずだって」


提督(その顔は反則だろ……)


加賀「……そうかしら」


提督「あんな馬鹿でかいロボットが当たり前にある世界なんだ。ちっちゃい飛行機に積むエンジンぐらい絶対あるって。
それよりほら、明日は一大イベントなんだ、今日はもう休もうぜ」


加賀「そうね、そうします。……提督」


提督「ん?」


加賀「期待していますから」スタスタ


提督「……やれやれ」


  ***

今日はここまで。
スクエニの新作オンゲでゼノギアスのコラボがあるようですね。PV見ましたがフェイたちに新しいボイスが生まれただけでも落涙ものでした。
それではまた来週。

お待たせしました。今週の投稿を開始します。

~次の日~


提督「くあ……ねみい」スタスタ

提督「色々と考えてたら良く眠れなかった……子供か俺は……ふああ」

提督「いかんいかん、今日に限ってこれはまずいぞ。とりあえずメシでも食ってくるか」「提督」


提督「その後にコーヒーでも一杯飲めば……また金剛に何か言われそうだな」「あ、あら?提督?」


提督「ま、その時はその時だな。今はそんなことより……」


大鳳「もう、提督!」ガシッ


提督「うおっ!?た、大鳳か!いつの間に」


大鳳「ずっと呼んでましたよ、提督。それなのに提督が気づいて下さらないから……」


提督「う、悪かった。ちょっと寝不足でな」


大鳳「大丈夫ですか?今日は提督もギアで作業するんですから、万全の状態で臨まないと怪我してしまいますよ」

提督「ああ、それで今から気付けにメシでも食おうと思ってたんだ。大鳳もメシか?」


大鳳「いえ、私は今から朝の走りこみに行こうとしていた所です」


提督「お、なんだ、こっちの世界でもやってたのか」


大鳳「はい。と言っても、再開したのはつい最近からなんですけどね。そうだ、提督も一緒に走りませんか?
きっといい目覚ましになりますよ」


提督「うーん、流石に朝っぱらから走るのはなあ。この後に大仕事が待っているわけだし」


大鳳「軽く走るだけなら大丈夫ですよ。それに、軽く運動してからのほうがご飯もおいしいですよ」


提督「……確かに、そりゃ魅力的だな。よし、それなら一緒に走るか」


大鳳「はい!」

~甲板~


大鳳「……」タッタッタ


提督「……」タッタッタ


大鳳「……」タッタッタ


提督「……」タッタッタ


大鳳「……ふふっ」


提督「ん?どうした、大鳳」


大鳳「ふふふ、だって、提督、その服……」


提督「し、しょうがねえだろ。動きやすい服なんてこれしかなかったんだからよ」E.舞闘着


大鳳「ふふ、も、申し訳ありません。提督の服を、笑うような、真似をして、ふふふ」


提督「ったく、確かに似合ってねえからいいけどよ……ん?」


提督「おい大鳳、あれ見てみろ。向こうの海」


大鳳「ふふふふ……はい?あっ……」


ザザザ


大鳳「わああ、凄い数ですね!」

提督「ああ、話には聞いていたが、こんなにたくさんのサルベージ船が来るとはな。『教会』の奴ら、ここら一帯の全員に声

掛けたんじゃねえか?」


大鳳「これだけ人が集まればどんな大物でも発掘できそうですね」


提督「全くだ。というか、『教会』は一体俺達に何を発掘させようとしてるんだ?これだけの数だ、ただのギア発掘って筈は

なかろうよ」


大鳳「いえ、私にも……」


提督「だよなあ」タッタッタ


  ***


提督「……ふう、こんなもんかね」スタスタ


大鳳「丁度一周、ですね。お疲れ様です」


提督「ああ、大鳳もな。おかげですっきりしたよ。誘ってくれてありがとう」


大鳳「そそそそんな、私はただ提督の為を想ってした事なので、その、お礼などしていただく必要は……」


提督「まあそう言うなよ。それより、ほら」スッ


大鳳「?」


提督「今日は一日気合入れていこうぜ」


大鳳「……はいっ!」パンッ


提督「よし!それじゃメシの前に着替えないとな。他の連中に見られたらかなわん」スタスタ


大鳳「もしかしてその服、誰にも見られたことないんですか?」


提督「そうだな、ちょっと前に買ったきりでしまってあったし、見たことあるのは大鳳だけだな」


大鳳「(私だけ……)そうですね、早く着替えてきたほうがいいですよ。他の人には見られたくないですからね。絶対に」


提督「???」


  ***

ギア整備士「それじゃ提督、こいつを向こうのドックに頼むでやんす」


提督「わかった……よっと」


ギア整備士「落とすんじゃないでやんすよ。大事な道具でやんすからね」


提督「そんなヘマしねえって」スタスタ


提督「向こうのドック向こうのドック、と」スタスタ


ザワザワ


提督「……随分人が増えたな。賑やかなのはいいが、歩きづらくてかなわんなこりゃ」ソロソロ


提督「はいはい、ちょっと通りますよ、ちょっと通りますよっと。……うわっ」ドン


「ギャッ」ドスン

提督「あー悪い、大丈夫か?」


イルカ少年「いてて……大丈夫や。それより兄ちゃん、気い付けえよ」スクッ


提督「ん?お前、ハンス副長か?いつの間にこんなに縮んだんだ」


ランス「何言うてんねん兄ちゃん、わいはランスや。人の名前間違えたらあかんで」


提督「ランス?えーと、いや、重ね重ねすまないな。そっくりな知り合いと間違えたみたいだ」


ランス「まあええわ、許したる。それより兄ちゃん、この船のモンか?」


提督「あ、ああ。そうだが」


ランス「そら良かった。甲板に行きたいんやけど、道はどっちや?」


提督「ああ、それならこの道を行った所に昇降機がある。それで1Fに行けばいい」


ランス「あっちか、助かったわ。全く、この船ときたら無駄に広くてあかんわ」


提督「はは、確かに一見さんは迷うだろうな。甲板へはおつかいか?」


ランス「そうや。母ちゃんに頼まれ……って何言わすねん!兄ちゃんには関係ないやろ!ほなな!」タッタッタ


提督「……まさか、イルカ亜人ってみんなあの顔なのか?」


  ***

~しばらく後 甲板~


北上『……で、発掘現場まではあとどれくらいだって?』ザザ


提督「あと1時間もないそうだ。そっちの首尾はどうだ?」


北上『予定通り進んでるよー。他の船との連携も思ったよりうまくいってるし、こりゃ案外楽な仕事になるかもね』


提督「あんまり油断するなよ?他の奴らも分かっているとは思うが、今集まってる連中ってのは、普段は海のお宝をタムズと

取り合う、言わばライバルだ。
ヘタに刺激したりしないように。あくまでお行儀よくやってくれ。わかったな?」


榛名『もちろんです』

加賀『ええ』

大鳳『心得ています!』

金剛『オフコースネー!』

夕立『がんばるっぽい!』


提督「……よし、俺もそろそろギアの準備しとくか」スタスタ


  ……


  スウウ


提督「ん?急に日陰に……」クルッ

提督「……なんだありゃあ」


  カッ!



提督「っ!!」ブワァ


  ***

「提督」「提督」「提督」「司令官」「提督」「提督さん」「司令官」「提督」「てーとく」「司令官」「クソ提督」「提督」「提督」「提督」「提督」……


『……く、……いとく、提督、提督!!』ザザ


提督「う、ぐ……」


榛名『提督!大丈夫ですか!提督!応答してください!提督!』


提督「……榛名、か」


榛名『提督!無事だったんですね。よかった……』


提督「人生初の走馬灯を体験する羽目にはなったが、どうにか生きてるよ。それより状況はどうだ」ムクリ


榛名『わかりません。空に浮かんでいるあれがいきなり光ったと思ったら、周りの船が何隻かなくなってて……。
今、海上の皆さんで救助に当たっている所です』


提督「そうか、わかった。引き続き救助を続けてくれ。現状、空を飛んでるあのクソ野郎はどうしようもない。
光線が直撃しない事を祈るしかないな」

提督(今の攻撃、いつか鎮守府に助っ人で来ていた霧の艦隊の攻撃に似ていたが……まあ、どちらによ対処のし様はない、か。
しかし、なんでまた急に攻撃なんてしてきた?サルベージ計画と関係あるのか?それとも……)

「うぇ、死霊だあ!!」


提督「!!」バッ


死霊「オオオ」ズズズ


提督「総員、対空警戒!あの野郎が死霊出してきやがった!」


金剛『ワット!?』


提督「金剛、榛名は救助活動をやめて射程内の死霊を残らず撃ち落せ!」


榛名『りょ、了解!』

金剛『榛名、私に続くネ!』

提督「加賀と大鳳は艦載機を全部出したら救助活動だ!ボートか何か引っ張って片っ端からタムズに連れて来い!」

大鳳『そ、そんな急にボートを見つけろだなんて』

提督「作業用のロープでもなんでもいい!とにかくなんとしても引っ張って来い!」

加賀『やります』

大鳳『は、はい!』


提督「夕立と北上はそれぞれ救助活動の護衛と支援だ!北上も好きなだけ撃て!弾切れしたって構わん!」

夕立『了解!』

北上『わかった!』


提督(クソったれめ。一体どうなってんだ?)


  ***

物凄く短いですが、今日はここまでです。
4月までは忙しいのでこんな感じになると思います。申し訳ありません。

大変お待たせしました。今週の分を投稿しておきます。

提督(inギア)「ぬぬ……」ガチャガチャ


大型ウェルス「ヴォオオ」ググ


提督「っせい!」ブン


大型ウェルス「ヴォアア」ポーン

提督「金剛!榛名!」


金剛「ファイヤー!」ドォン

榛名「はい!」ドォン


大型ウェルス「オオオオオ……」シュウウ


提督「……これで全部か?」


金剛『ウーン……イエース!周囲に敵影ナッシンネー』


提督「……だあー!やっと終わったか。みんなお疲れさん」


榛名『提督こそお疲れ様でした。タムズの被害はどうでしたか?』


提督「船の損傷は軽いな。まあ、航行に支障はないだろ。人的被害のほうはまだなんとも言えんが、確認している限りでは怪

我人が数十人、死者も……まあ、少しは見た」


榛名『そんな……』

大鳳『あの、私たちが救助した方々は……?』


提督「ああ、そっちは心配ない。全員キッチリ収容したし、死人もなしだ」


加賀『そう……』


提督「おっと、これ以上の詳しい話は後だ。とりあえずみんな戻って来い」


加賀『わかりました』


提督「……ふう」

提督「しっかし、一体なんだったんだ?連中、多分ソラリスの奴らなんだろうが、俺達を攻撃して一体何のメリットがあるっ

てんだ」

提督「初っ端砲撃してきた丸い奴はいつの間にかいなくなってるし、第一、俺達を本気で潰すつもりならずっと砲撃だけやっ

てりゃよかったはずだ」

提督「……結局、考えてもしょうがない、か」


  ***

提督「……」バシュ


ギア整備士「お疲れ様でやんす」


提督「ああ、そっちも無事だったか」


ギア整備士「当然でやんす。ま、ウチのが何人か怪我したでやんすけどね。それよりも、早いとこあのお嬢ちゃん達の所に行

った方がいいでやんすよ」


提督「ああ、そのつもりだが。なにかあったのか?」


ギア整備士「なんだか向こうで揉めてたでやんす」


提督「……マジか」


ギア整備士「マジでやんす。こいつの整備はやっとくから早いとこ行くでやんすよ」


提督「すまん、頼む」


ギア整備士「……どうにも苦労の絶えない男でやんすね」


  ***

提督「おーい、お前ら!」


金剛「あ、テートク!丁度いい所ニ!」


提督「おう金剛、どうかしたか?」


金剛「アレ、何とかして欲しいネー!」


提督「……アレか」


夕立「もう!誤解はやめて欲しいっぽい!」


ランス「嘘付け!お前母ちゃんいじめる気だったやろ!」


夕立「違うっぽい!ちょっと励ましてあげようとしただけっぽい!」


ランス「そんなのに騙されんで!」


アンナ「……」

提督「あの子は……」


加賀「先ほど救助した家族です。大破した船に乗っていたのを発見しました。ただ、その時には父親はもう……」


提督「……成る程」


夕立「いい加減にするっぽい!」


ランス「なんやと!」


提督「そこまでだ、二人とも」


夕立「あ、提督さん!」


ランス「あん?兄ちゃんは……」


提督「よお、また会ったな」


夕立「提督さん、聞いて欲しいっぽい!この子ったら」


提督「まあ待て、大体の事情は聞いてる。君、ランスだったか。ここにいる誰も母ちゃんをいじめたりはしないぞ」


ランス「嘘や!さっきあの姉ちゃんがいじめとった!」


加賀「……」

提督「加賀が?何をしたってんだ?」


ランス「母ちゃんが父ちゃん抱えとったのを無理矢理引っぺがして、おまけにそのまま母ちゃん連れて行ったんや!」


夕立「それは加賀さんだって……」


提督「ストップ、夕立。ランス君、話はわかった。続きはお母さんを休ませてからにしよう」


ランス「……母ちゃんを?」


提督「ああ。君のお母さん、さっきから酷い顔色だぞ」


ランス「……!!母ちゃん、大丈夫か!?」


提督「ほら、とりあえず医務室まで行こう。お母さんも、それでよろしいですね?」


アンナ「……え、ええ」


提督「それじゃ行こうか。お前らは補給しててくれ。話が終わったら戻るよ」


  ゾロゾロ

金剛「行っちゃいましタ……」


夕立「大丈夫?加賀さん」


加賀「ええ、大丈夫よ」


北上「まあ、あんなことがあったんじゃね。子供には辛かったでしょうよ。あんまり気にしないほうがいいよー」


夕立「それでもあの言い方はないっぽい!加賀さんだって精一杯がんばったのに!またあんな事言ってきたら……」


大鳳「駄目ですよ。折角提督が引き受けてくださったのに」


金剛「そうデース!そんなことしたら提督の立つ瀬がありまセーン!」


夕立「う、わかったっぽい……」


榛名「そうですよ。さあ、皆さん、提督の言いつけどおりに今のうちに補給をしてしまいましょう!」


加賀「そうね。敵の様子が分からない以上、まだ油断はできないわ。急ぎましょう」


金剛「イエース!すぐ終わらせて色んなところをヘルプしないとデース!」


大鳳「まずは残存機数を数えないと……」


北上「あ、私も残弾確認しないとかー。結構使っちゃったからなー……」


  ***

提督「それじゃ、後頼みます」


医者「いいからとっとと行け。ただでさえ狭い部屋なんじゃから」


提督「はい、それでは」ガチャ


提督「……はあ、一通り喋り通したら収まってくれた」


提督「さてと、どうせ上まで来たんだ。あいつらのところに戻る前に艦長に報告しておくか」ガチャ


提督「ん?」


シタン「やはり……」


艦長「それと、見るからに怪しいばかでけぇギアを見たって奴もいるらしいぜ。何でも……」


シグルド「やあ、提督。無事だったようだな」


提督「シグルド副長。いつの間に……」


シグルド「タムズからの救難信号をキャッチしたのでな。可能な限り急いできたのだが、どうやら間に合わなかったようだ。すまないな」


提督「よしてくれ。そちらには何も非はないだろう」


シグルド「いや、それがそうとも言えないのだ」


提督「どういうことだ?」


シグルド「実は……」


~黒くて白いの説明中~

提督「……成る程な。『教会』がソラリスの手先だったとは。俺達はソラリスと『教会』の内輪揉めに巻き込まれたって訳だ」


シグルド「ああ。そういうわけで、この一件には我々の責任もある。改めて謝罪させてくれ」


提督「いや、そういう事ならあんたらが関わってなくても俺達は攻撃されてたはずだ。気にしないでいい」


シグルド「……そうか」


提督「それよりもフェイの容態はどうだ?」


シグルド「ああ、治療は済んでいるし、今はユグドラシルに収容している。じきに目覚めるだろう」


提督「それはよかった。で、これからあんたらはどうするんだ?」


シグルド「それは」

シタン「シグルド、アルカンシェルの行き先が分かりました。ここから北に向かった島だそうです。……おや、貴方は」


提督「どうも、シタンの先生。話は聞いたぜ。そちらも大変だったそうだな」


シタン「いえ、ここの騒動ほどではありませんよ。無事で何よりでした」


提督「お互いにな。それで、今から奴らを追うのか?」


シタン「ええ。敵の目的地も分かったことですし」


提督「そうか。今回はちょっと手伝いには行けそうにないが、奴らに会ったら俺達の分まできっちりかましてきてくれ。
こうもやられ放題ってのはムカつくからな」


シタン「わかりました。それでは」


提督「頼んだぜ」


提督「……さて、艦長。救助した他の船の連中について報告しに来たんだが……」


  ***

今週はここまでです。来週はしっかり土曜日に投稿できると思います。それでは。

お待たせしました。今週の投稿を開始します。

~数日後 ビアホール~


提督(あれから数日、タムズの復旧は順調に進んでいる)


提督(まだあちこちに傷跡が残ってはいるが、生活や仕事にはほとんど影響がない程度だ。ま、見た目より頑丈だったってことだろうな)


提督(タムズの住人にしてもそうだ。各々の分野でタムズの復興をしつつ、徐々に自らの仕事に戻りつつある。
最初は救助した連中と揉め事を起こさないか心配だったが、その点も問題ないようだ)


提督「というか……」


避難民A「……で、そこでこのお嬢ちゃんが大砲を奴らに一発ぶっ放した!それで死霊どもを追っ払っちまったのさ。
いや、あん時はお嬢ちゃんが女神に見えたね」


タムズ船員「ほー、俺達が船内を固めている間にそんなことがねえ。お嬢ちゃんも中々やるじゃねえか」


金剛「フフーン、もっと褒めるがいいネー」グビグビ


料理作ってる人「どうだ嬢ちゃん、今日のツチノコスープの味は?」


避難民B「俺がレシピを教えた自信作だぜ。助けてくれた嬢ちゃんがメシ食うのが大好きだって聞いたもんだからよ」


加賀「そうね、いい味ね」ズズ


料理作ってる人「そうかいそうかい!そんならたんと食ってくれや!お嬢ちゃんの為にいつもの倍は作ったからな!」


加賀「そう、それなら鍋ごと持ってきてもらえるかしら」


大鳳「あ、私もお願いします」


料理作ってる人「」

避難民B「」

避難民C「なあ嬢ちゃん、嬢ちゃん達はどうやって海の上を滑ってんだ?」


夕立「うーん、夕立にもわからないっぽい」グビ


避難民C「そんな適当な……俺に弄らせてくれりゃ原理の一つや二つ、簡単に解明してやるぜ?」


夕立「そういうことは提督さんに頼むっぽい」


避難民C「その提督に断られたから嬢ちゃんに言ってるんじゃねえか、なあ?ちょっと見せてもらうだけでいいからよ」


夕立「駄目ったら駄目っぽーい」グビグビ


  ヤンヤヤンヤ


提督「いくらなんでも馴染みすぎだろ」


北上「まあいいんじゃない?ずっとお通夜ムードよりもマシっしょ」チュー


榛名「そうですよ提督。皆さん元気なのが一番です」ゴクゴク


提督「まあ確かにそうなんだが」


榛名「そうですよお。ですから提督ももっと楽しみましょう」ゴクゴク


提督「そういう榛名は楽しみすぎ、というか飲みすぎだ」


榛名「そんなことないですよお。そう見えるのは提督が飲んでないからです。さ、提督、遠慮なさらずにもっと飲んでください」グググ


提督「(あ、マズイ)まままあ待て榛名、俺もほらしっかり飲んでるから……ん?」グググ

ハンス「……」コソコソ


提督(ハンス副長、か?コソコソ隠れて何してんだ)

提督「わり、ちょっと席はずすわ」ガタッ


榛名「ほら提督、どんどん飲んでくださいね」ガシッ


北上「えっちょっとガボボボボボ」


ハンス「……」コソコソ


提督「こんなところで何してんだ、副長?」


ハンス「うわあ!何だ、提督かい。驚かさないでくれ」


提督「いや悪い、そんなつもりはなかったんだが。それはともかく、珍しいじゃないか副長。ここが賑わっている時はいつもブリッジにいるだろ」


ハンス「あ、ああ。そうかもね」


提督「ん?そのメシどっかに運ぶつもりだったのか」


ハンス「……アンナさんにね」


提督「アンナ?……ああ、あのイルカの。まだ医務室にいるのか?」


ハンス「そうだね。救助されて以来ずっとあそこにいるよ。体調がまだ優れないようだから」


提督「そうか。……ああ、引き止めて悪かったな」


ハンス「いや、構わないよ……それと」


提督「ん?」


ハンス「このことは艦長には内密にお願いしたいのだけれど」


提督「別に構わないが……」


ハンス「ありがとう。それじゃ」


提督「……なんなんだ?秘密にする事でもなかろうに」


  ***

~翌日~


修理員「それじゃ必要な資材はリストに書いといたから、搬入口の連中に渡しといてくれ」


提督「わかりました」スタスタ


提督「ふーん、ギア用の装甲板ねえ。道理で頑丈な訳だ」ペラ


艦長「おう、テートクじゃねえか。丁度いい所にいたな」


提督「こんにちは、艦長。俺に何か用か?」


艦長「おうよ。お前ぇさんに客だぜ」


提督「客?」


「自分であります」


提督「……誰だ?知らない顔だな」


「はい。自分はユグドラシル所属の伝令であります。提督殿へ、シグルド副長よりの伝言をお伝えに上がりました」


提督「内容は?」


「はい。『例の約束を果たす時が来た』そうです」


  ***

~翌日~


金剛「ふああ……皆さん、グッモーニンネー」


榛名「おはようございます。金剛お姉様」


加賀「遅いわね。集合時間を十分も過ぎています」


金剛「申し訳ないデース。少し寝坊してしまいましタ……」


北上「その集合をかけた提督が来てないんだからセーフでしょ。全く、人を集めといてどこいっちゃったのさ」


提督「諸君、おはよう。遅れて済まない」


北上「げっ、この喋り方は……」


金剛「ウー、テートクの顔がおっかないデース」


提督「さて、あまり時間もないことだし、順を追って説明していこうと思う。まずはこの世界について、私が新たに知った事から……」


~提督真面目に説明中~

提督「……以上がこの世界の国家間のパワーバランスだ」


加賀「これは……あまりに現実的でない話ね」


榛名「国が空を飛んでいる、ですか」


北上「おまけにどこにあるかも分からない国が一番強いなんてねえ」


夕立「うーん、よくわからないっぽい」


提督「理解はせずとも、知識として覚えていてもらえればいい」


提督「さて、ここからが本題だ。我々は本日を以ってタムズを去り、シェバトへと向かう」


榛名「ええ!?」


加賀「!?」


北上「ちょ、ちょっと待ってよ提督!」


大鳳「そうです提督!そんな急にタムズを出て行くって……せめてタムズの修理が完全に終わるまではここに滞在してもいいのではないですか」


北上「そもそも何でそんなこと急に言い出したのさ。これからすぐに出て行ってあてもなくシェバトを探すなんて」


提督「アテならある。その為に今日中に出て行かなければならん」


夕立「提督さん、何か知ってるっぽい?」

提督「ああ。先日のユグドラシルとの一件、あの後にシグルド副長にある頼み事をしておいた」


榛名「頼み事、ですか」


提督「そうだ。『もしシェバトかソラリスのどちらかと接触する事があれば、俺達も連れて行ってくれ』とな」


加賀「それが叶った、と?」


提督「そういう事だ。ユグドラシルがシェバトとの接触に成功したと連絡があった。シェバトがユグドラシルを迎えに降りて来ているそうだ。
我々はこれに同乗する事になる」


榛名「そうだったんですか……」


夕立「提督さん、ここにはもう戻ってこないの?」


提督「恐らくはな、何らかの用事がない限りはここに来る事はもうないだろう」


大鳳「そんな……」


提督「他に質問は?」


一同「……」


提督「……」ハア


提督「あー、俺達の本来すべきことは『帰る事』だ。その為に今すぐ動かなきゃならない。なら動くしかないだろ」


榛名「はい、わかっています」


提督「なら暗い顔はなしだ。全員今から荷物をまとめて再び集合。艦長には話を通してあるから挨拶だけしたらすぐにユグドラに乗るぞ。いいか?」


一同「……はい」


  ***

今週はここまでです。それでは。

お待たせしました。今週の投稿を始めます。
フィギュアヘッズは自分もリタイアしました……

~しばらく後 ブリッジ~


艦長「おっ、来たな」


提督「突然の事ですまない。昨日話した通り、俺達はタムズを離れる事にした」


艦長「なあに、お前ぇさんのやることはいつも突然だからな。今更驚いたりはしねえよ」


一同「……」


艦長「なんだお前ぇら、そんな辛気臭ぇツラして。折角の門出だっつーのによ、出だしからそんなでどうする気だぁ?」


大鳳「……いえ、やはり今の状態のタムズを離れるのは……その……」


艦長「がっはっはっは、そんなこと気にしてたのか」


北上「いやそんな事って。未だにこの船直ってないし、怪我人もいるし、心配しないほうがおかしいでしょ」


艦長「おうおう、それならお嬢ちゃんだけでもここに残るか?俺ぁ別に構わねえけどよ」


大鳳「そ、それは……」


艦長「がっはっはっは、まあ、こっちの事は心配すんな!お嬢ちゃん達がいなくっても何とでもしてやらぁ」


榛名「そうは言っても……」

艦長「お嬢ちゃん達だってやることがあるんだろ?」


北上「う、それは、まあ」


艦長「そんなら他の事を気にしてちゃいけねえな。なあ、元気な方の姉ちゃん」


金剛「ワ、ワット?」


艦長「お前さんはいつも騒がしかったなあ、その元気で今後も頑張っていけや」


金剛「もちろんネ!」


艦長「静かな方の姉ちゃん!」


榛名「は、はい!」


艦長「お前さんの見舞い、怪我した連中に大好評だったぞ」


榛名「……そうだったんですか。よかったです、本当に……」


艦長「如雨露の姉ちゃん!」


北上「えー……」


艦長「ガキ共の相手してくれて助かったぜ」


北上「別にしてたつもりはないんだけどなあ」

艦長「ちっこい嬢ちゃん!」


夕立「ぽい?」


艦長「サルベージャーの連中が話してたぞ、『ちっこいくせに護衛じゃ一番頼りになる』ってな」


夕立「当然っぽい!」


艦長「青い姉ちゃん!」


加賀「……何かしら」


艦長「またいつか歌聴かせてくれや」


加賀「ええ」


艦長「緑の姉ちゃん!」


大鳳「……はい!」


艦長「お前ぇさんの索敵のお陰で監視の連中の負担が減ったと大喜びだったぞ」


大鳳「お役に立てて何よりです!」


艦長「そうだ。お嬢ちゃん達はこれまでよく頑張ってくれた。俺達に気を使うこたあねえ、これからはてめえらの為に頑張って来い!」


一同「……はい!」


提督「全部持っていかれた……」


大鳳「?提督、今何かおっしゃいました?」


提督「いや、なんでもない。本当にありがとう、艦長。この恩は一生忘れない。行くぞお前ら」


艦長「がっはっは!そうか一生か!がっはっはっは……」


  ***

~ユグドラシル ブリッジ~


提督「と言う訳で、これからしばらく世話になる。改めて自己紹介しよう、俺は提督だ」


金剛「金剛型の長女、金剛デース!皆さん、よろしくお願いしマース!」


榛名「同じく金剛型、三女の榛名です。よろしくお願いします」


北上「重雷装艦のスーパー……じゃなかった。改めハイパー北上様だよー」


加賀「航空母艦、加賀です」


夕立「白露型駆逐艦の四番艦、夕立です。頑張るっぽい」


大鳳「航空母艦、大鳳型一番艦、大鳳です!必要であれば何なりと申し付けてください!」


バルト「おいおい、今更水臭ぇじゃねえか」


シグルド「若、相手が畏まっているのに失礼でしょう」

バルト「一度はソラリス相手に互いに背中を預けた仲だぜ?こんな挨拶より海の男らしくこうガッと……わかった、わかったよ。
ユグドラシルの艦長、バルトだ。よろしくな!」


シグルド「同じく副長のシグルドだ。ユグドラシル乗員一同、君達を歓迎しよう」


リコ「……リコだ。よろしくな」ヌッ


提督「あ、ああ、よろしく」


北上「うわっ、でっか!」


リコ「……」ギロリ


北上「あ、あはは……」


リコ「ふん……」


ビリー「僕はビリー、『教会』のエトーン……あ、いや、もう『元』ですね。とにかく、よろしくお願いします」


提督「ああ、あんたがフェイを助けてくれたっていう?」


ビリー「……いえ、僕は『教会』に話を通しただけです。礼なら天にいる医務局の兄弟達に言ってあげて下さい」


提督「あー、何があったかは知らないが、とにかくあんたにも礼を言っておくよ。フェイを助けてくれてありがとう」

榛名「ありがとうございます、ビリーさん。私達、とっても心配していたんです」


ビリー「そう言ってくださると兄弟達も喜びます」


提督「……で、フェイとエリィはどうしたんだ?神出鬼没のシタンの先生はともかく、あの二人は顔を出してくると思ったんだが」


シグルド「ああ、フェイ君とエリィ君、それとシタンは先にシェバトへ上った。彼らがバベルタワーを使ってシェバトと連絡を取ってくれたんだ」


提督「そうだったのか。なら、これからシェバトへはどう行くんだ?」


シグルド「シェバトから座標を指定されている。そこで落ち合う予定だ。恐らく数日もすれば着くだろう」


提督「成る程、長い付き合いになりそうだ。お前ら、あんまり失礼のないようにな」


金剛「もちろんネ!それよりテートクゥ、今から私とデートしませんカー?私、前は見れなかった所を見に行きたいネー」ギュ


榛名「あ、お姉様!また抜け駆けしようとしてますね!榛名、許しません!」ギュ


提督「いやお前ら人の話聞いてた?」

加賀「おなかがすきました」グゥゥ


大鳳「この中で数日……朝のトレーニングが出来る場所はあるのかしら……」


夕立「へえー、これで外の様子が見られるっぽい?」ジー


ジェリコ「こら、勝手に使うと若様に怒られるぞ」


北上「あれ?なんでこっちに乗ってんの?駆け落ち?」


バンス「な、何の話だい?」


提督「……ごめんなさい。苦労を掛けるかもしれません」


バルト「なあシグ、こいつらこんなにふざけた奴らだったのか?」


シグルド「い、いえ、私もそこまで把握しては……」


バルト「……ま、借りてきた猫みたいにされるよりはマシ、か。おおい、お客ども!俺が滞在中の部屋まで案内してやるぜ!ついてきな!」


  ***

今日はここまでです。それではまた。

遅れて申し訳ありません。
今から投稿しようと思ったのですが、ちょっと限界なので少し寝てからにさせて下さい。

お待たせしました。今週を始めます。

~次の日~


提督「zzz」


???「提督ー!朝だぞー!起きろー!」ドンドン


提督「うおあ!何だぁ!?」ガバッ


???「こらー!いつまで寝てるんだ!朝ごはん冷めちゃうぞ!」ドンドン


提督「……朝ごはんだあ?あーはいはい、今開けるからそんなに騒がないでくれ」バシュ


???「あ、やっと起きたね提督!」


提督「え、どちらさん?」


???「あー!まだ着替えてもいないじゃんか!早く着替えちゃいなよ!ボク外で待ってるからさ」グイ


提督「いやだからどちらさ」バシュ


提督「……まあいいか」


  ***

提督「えーと、お待たせ」


???「うん、バッチリ決まったね!それじゃ行こうか」


提督「朝飯だっけか。どこ行くんだ?」


???「すぐ上のガンルームだよ。メイソン卿が作ってくれたんだ」


提督「そりゃ楽しみだ。しかし悪いな、わざわざ朝食まで用意してもらって」


???「やだなあ、お客さんをもてなすのなんて当たり前じゃないか、『客人も満足させられないとあっちゃあ、海の男の名がすたる』って若も言ってたからね。さ、ここだよ」


金剛「フンフーン……あっ!テートクゥ!グモーニン!」ブンブン


提督「おはよう金剛。まずは何でお前がカウンターの内側でグラスを磨いているのか教えてくれ」


金剛「フフーン、何を隠そう、今の私は『ガンルームウェイター・金剛』なのデース!」


提督「……うーん、寝ぼけてるのは俺か?金剛か?」


金剛「ちょ、酷いネテートクゥ!」

提督「いや、ファミレスならまだわかるがな、こんな渋いバーカウンターじゃ全く合わねえだろ」


金剛「そんなことないネー!お淑やかな私にピッタリの場所だヨー!」


提督「お淑やかの意味を分かっているとはとても思えないんだが」


メイソン「おや、お目覚めですかな、提督」


提督「やあ、おはようございます、メイソン卿。こないだのソラリス戦以来ですね」


メイソン「そうですな、いや、ご息災であったようでなにより」


提督「ありがとうございます。ところで、ウチの金剛が何やら妙な事をしているようで、ご迷惑になっていなければ良いのですが」


メイソン「とんでもない、金剛様は妹君と共にこの爺をよく助けてくださっています。感謝こそすれ、迷惑などでは決してありませぬぞ」


榛名「そうですよ、提督。金剛お姉様は朝からずっと頑張っています。余り悪く言っては可哀想ですよ」


提督「榛名、お前もか」


榛名「はい、やはり何もせずにいるのは気が引けますので、ここにいる間はメイソンさんの内職をお手伝いしようとお姉様と一緒に決めたんです」


提督「ふーん、二人で、ねえ」

榛名「どうでしょう、提督。許可していただけますか?」


提督「もちろんだ。やるからにはしっかりな」


榛名「はい!榛名、頑張ります!」


金剛「ぶー、テートクゥ、私には何も無いんですカー?」


提督「ああ、疑ったりして悪かったよ、金剛。頑張ってくれ」


金剛「イエース!分かってくれればオッケーネー!」


???「ねえ、話はもう終わった?ボクお腹ペコペコだよ」


榛名「ご、ごめんなさいマルーさん。すぐ用意しますから、お二人ともそこの席で待っていてください」


提督「ん?マルー?お嬢さんの名前か?」


マルー「やだなあ、お嬢さんだなんて……ってあれ?自己紹介してなかったっけ?」


提督「まあ、何回かあったタイミングを悉くスルーされたからな」


マルー「あはは、ゴメンゴメン!ボクはマルグレーテって言います。マルーって呼んでね。若の一番の子分なんだ」


提督「よろしく、マルー。俺は……」


マルー「知ってるよ、提督でしょ。これからよろしく!」


榛名「はい、お待たせしました」カチャ


提督「おっ、サンキュー。こりゃうまそうだな」


メイソン「爺と金剛様の合作でございます。どうぞご堪能ください」


マルー「うん、三人ともありがとう。それじゃ早速」


二人「「いただきまーす」」


  ***

提督「……でまあ、その途中でおかしな無人ギアが襲撃してきてよ、それを金剛と榛名が撃退したんだ。タムズじゃ初めての戦闘だったが、それはまあ見事な物だったよ」


マルー「へえ、話には聞いてたけど、やっぱり提督たちは凄く強いんだね。モンスターだけじゃなくてギアとも戦闘できるなんてさ」カチャカチャ


提督「強いのは俺達じゃなくてあいつらだけどな。まあ正直、あいつらの攻撃力がギアにも通るって分かった時はかなり安心したよ」


マルー「……怖くは、ないのかな」


提督「さあ、どうだろうな。前に俺も同じことを聞いたら『大丈夫だ』としか言われなかったし、俺としてはその言葉を信じるしかないな」


マルー「ふーん、そうなんだ。……いいなあ」


提督「あん?何が?」


マルー「い、いや、何でもない!こっちの話」


提督「ふーん。あ、そういやウチの残りの奴らはどこ行ったんだ?」


マルー「うん、自分が出来そうな事を探すって言ってあちこちに散らばっていったよ。ヘンな格好してるけど、みんないい人たちだね」


提督「格好だけじゃなく中身も色々と難ありだけどな。それじゃ、食い終わったら様子見にいってみるか」


マルー「あ、ボクも付いてくよ。この艦広いから案内役がいたほうがいいでしょ」


提督「そりゃ助かるな。是非お願いするよ」


マルー「任せてよ。ね、その代わりにさ、キミたちの話もっと聞かせて欲しいな」


提督「おう、いいぞ。それじゃさっさと食っちまうか」


マルー「うん、そうだね」


メイソン「どうやら、すっかり打ち解けてしまったようですな」キュッキュッ


金剛「ぐぬぬぬ、私のテートクが……」


榛名「お姉様、流石にそれは見境がなさ過ぎると思います……」


  ***

今週はここまでです。ではまた来週。

こんばんは。駆け足で今週の投稿を済ませます。

提督「さて、まずはどこから連れてってくれるんだ?」


マルー「うーん、どうしようかな」


提督「決めてなかったのかよ」


マルー「うん、確かに案内するとは言ったけど、他の人たちがどこに行ったかは知らないからね。提督の方が心当たりがあるんじゃないの?」


提督「いや全く」


マルー「え、即答?」


提督「ああ、大分長い付き合いになるが、あいつらの考えてることは未だによくわからん。今この瞬間にひょっこり現れても……」


夕立「あ、提督さんとマルーちゃん」


マルー「うわあ!?」


提督「ほらな」

夕立「二人ともどうかしたっぽい?」


提督「なんでもない。夕立は何してるんだ?そんなでかい箱抱えてよ」


夕立「これ?ギアショップのお手伝いで弾薬を運んでるっぽい」ジャラジャラ


マルー「そ、その中身全部弾薬なの?重くない?」


夕立「ちょっと重いっぽい」


マルー(普通ちょっとどころじゃないと思うんだけどなあ)


提督「夕立、他の連中がどこに行ったかわかるか?金剛と榛名以外の」


夕立「えーと、他の人は知らないけど、大鳳さんならギアハンガーにいるっぽい」


提督「大鳳か。よし、そんならまずはギアハンガーだな」


夕立「提督さんも一緒に来るの?」


提督「ああ、みんなの様子を見て回ろうと思ってたからな」


夕立「やった!それじゃ行きましょ、提督さん!マルーちゃんも!」


提督「はいはい、そんなに急がんでもちゃんと行くよ」


マルー「結局、ボクが道案内しなくてもよさそうだね」


提督「なんか悪いな。ギアハンガーから先は頼りにさせてもらうからよ」


マルー「あ、いや、別に怒ってる訳じゃないから謝らなくていいよ!それよりほら、早く行かないと置いてかれちゃうぞ!」グイッ


提督「おわっ!わかったから引っ張るなって!」ズルズル


  ***

今週はここまでです。短いついでですが、来週はお休みになります。元気のGは激務のG状態なので。
代わりにGW中にがっつり書いていく予定です。……気力があれば。
それではおやすみなさい。

お久しぶりです。とんでもなく遅くなりました。GW中に完全にサボっていたせいです。言い訳のしようも無い……。
今後はまた土曜日に投稿していきますので、よろしければお付き合いください。
では、21時から投稿を始めます。

~ギアショップ~


夕立「おばちゃん、言われた物持ってきたっぽい」


おばちゃん「ご苦労様、夕立ちゃん。そこの隅に……って夕立ちゃん!?それ手で抱えてきたの!?」


夕立「そうだよ?あ、ここに置けばいいっぽい?」


おばちゃん「え、ええ。凄いわね。男手でも二人がかりでやっとって重さのはずなんだけど……」


夕立「はい、おしまいっぽい。次は何すればいいの?」ガシャン


おばちゃん「そうねえ、それじゃお掃除でも……あら、そこにいるのはマルー様じゃありませんか」


マルー「こんにちわ、おばちゃん。どう、繁盛してる?」


おばちゃん「いつも通りって感じですよ。この所は大きな戦いもありませんでしたし」


マルー「そっか」

夕立「提督さーん!」ピョーン


提督「おぐえ」ガッ


夕立「さっきの荷物ちゃんと運べたっぽい!ほめてほめて!」グリグリ


提督「よ、よくやったな夕立。次は俺の首をへし折らないようなスキンシップを覚えてくれ」ナデナデ


マルー「……」


おばちゃん「それじゃ、あんたが夕立ちゃんが話してた提督かい」


提督「あ、はい、どうも」


おばちゃん「夕立ちゃんはよくやってくれてるよ。まだしばらく借りる事になるけどいいかい」


提督「ええ、本人もやる気みたいですし」


夕立「夕立がんばるっぽい」

提督「おう、それじゃしっかりな」


夕立「はーい!おばちゃん!早く次のお仕事が欲しいっぽい!」


おばちゃん「それじゃ棚の整理でも頼もうかね」


夕立「お任せっぽい!」


提督「それじゃ俺達は行くか」


マルー「そうだね。それじゃおばさん、ボク達はこの辺で。頑張ってね夕立ちゃん」


おばちゃん「またいつでも来てくださいね」


夕立「ぽいぽいぽいぽいぽいぽい!」ササササ


  ***

提督「よし、次は大鳳だな」


マルー「うん。で、どこにいるか知ってるの?」


提督「……あ、夕立に場所聞くのすっかり忘れてた」


マルー「もー、ダメじゃないか!もう一回戻って聞いてこなきゃ」


提督「いや、それはやめとこう。働いている夕立に横槍入れたくはないからな」


マルー「それじゃあどうするのさ」


提督「ハンガーのどこかにいるってのは分かってるんだ、見物がてら歩いて探そうぜ。せっかく可愛い案内役もいることだし」


マルー「あはは、何それ!急に褒めたって何もしてあげないよ!」


提督「でも案内はしてくれるんだろ?」


マルー「もちろん、約束だからね。じゃあ早速目の前にあるハンガーから説明してあげるよ」


提督「ショップの一番近くにあるハンガーか」

マルー「ここはいつもフェイのヴェルトールが使っているハンガーだよ。今は先にシェバトに上がっちゃってていないけどね」


提督「あのギアか。何でもどこぞの軍の最新型らしいな」


マルー「うん。キスレブ軍が最先端の技術で建造したらしいよ」


提督「……なあ、前から気になってたんだが、フェイは何だってあんなギアを持ってるんだ?あいつはただの民間人だろ?」


マルー「うん。ヴェルトールは元々フェイのものじゃなくて、キスレブの工場からアヴェ軍の特殊部隊が盗み出したものだったんだ。
その部隊がイグニス大陸の端にある村の近くでキスレブ軍と戦闘になって……」


提督「その村に住んでたフェイが偶然ヴェルトールに乗り込んで村を守った。それ以来ずっとフェイが使っている。って所か」


マルー「よく分かったね」


提督「少し前にその戦闘の事は聞いてたからな。まさかこんな所で当事者と知り合うとは思わなかったが。
で、その村はどうなったんだ?」


マルー「……なくなっちゃったってさ。村の人も大勢死んだって、シタン先生が言ってた」


提督「そうか……。フェイも浮かばれねえな」


マルー「大変だよね。最初はフェイも落ち込んでたらしいんだけど、最近はすっかり元気になったよ」


提督「俺が最初に会ったときも飯をたらふく食ってたからな。あの様子なら大丈夫だろ」

マルー「さ、そろそろ次に行こうよ」


提督「よし、そうするか」


マルー「それじゃ隣のハンガー。若のブリガンディア専用のハンガーだよ」


提督「おう、いつ見ても見事に真っ赤だな」


マルー「へへっ、かっこいいでしょ!若の為に皆で改造したんだよ!」


提督「へえ、最初からこの形だった訳じゃないのか」


マルー「うん。シタン先生が乗ってたギア、あるでしょ。名前はヘイムダルって言うんだけど、元々ブリガンディアとヘイムダルは同じ場所から発掘された同型機だったんだ」


提督「あ、それで思い出したんだが、何だってこうも砂とか海の中からギアがポンポン出てきて、しかもそれをアヴェとかキスレブとかが奪い合ってるんだ?
そんな事しなくても自分達で造ればいいんじゃねえのか?」


マルー「それができれば戦争なんて起こってないと思うよ、提督」


提督「どういう事だ?」

提督「どういう事だ?」


マルー「ギア本体はともかく、スレイブジェネレーターの製造方法は誰も知らないんだよ。だから皆大昔の遺跡からの出土品を巡って争っているんだ。
その一番大きなものがアヴェとキスレブの対立なんだけど……提督、もしかして知らなかった?」


提督「初耳だ。タムズでアヴェとキスレブの事を聞いたときにはそんな細かいところは聞かなかったからなあ」


マルー「って事は、それまであんな大きな国の事も知らなかったって事かい?」


提督「あ、あー……まあ、それまではとんでもないド田舎に住んでたからな!ははは!」


マルー「一体どんな所なのさ……」


提督「まあ、ちょいと治安は悪いが、海に面してる賑やかなところだよ。さ、次いこうぜ」


マルー「なんだかものすごく誤魔化された気がする……」


  ***

大鳳「……ですから、このトリガーを引けばこの子達が射出される仕組みになっています」ジャキ


整備員A「へえ、こんなちっちゃなモンが自分の意識を持って戦闘するっつーのか」シゲシゲ


大鳳「ええ」


整備員B「んで、こいつの武装は一体どんくれえの威力なんだ?」


大鳳「そうですね。以前襲撃してきた剣を持ったギア、あれくらいの装甲でしたら数発で突破できると思います」


整備員B「たった数発!?そりゃとんでもねえ威力だな」


整備員A「それで、お嬢ちゃんの話ってのは何なんだ?」


大鳳「実は、これまでの戦闘でこの子達をかなりの数失ってしまっていて……その修理をお願いしたいのです」


整備士A「おいおいお嬢ちゃん、こんな見たこともないモンの修理なんざ出来るわけねえだろ。お嬢ちゃんは自分の装備を直せないのか?」


大鳳「鎮守府の工廠ならともかく、専用の設備のないここではとても……。ここにもボーキサイトは無いようですし」


整備士B「うーん、よくわからねえが、こいつの言うとおり専門家のお嬢ちゃんが直せないってんじゃ俺達も手伝いようがねえよ。悪いな」


大鳳「……そう、ですか。すみません、お手伝いすると言ったはずなのに、逆にお時間取らせてしまって」


整備士B「それはいいんだがよ……おお、そうだ。そいつの修理の話ならソラリスの嬢ちゃんにしてみたらいいんじゃねえか」


大鳳「ええと、どなたの事でしょう」


整備士B「名前は確かエリィっつったっけか。あのお嬢ちゃんが乗ってたギアに似たような武装があったはずだぜ」


大鳳「それは本当ですか!?」


整備士A「……ああ、エアッドの事か。アレも俺達には手が出ないシロモンだったなあ」

大鳳「エアッド……ですか。一体どんな武装なんですか?」


整備士A「ギア本体から小型の端末を射出、それを搭乗者が操作してオールレンジ攻撃を行う……って感じらしいんだが、正直なところよく分からん。なんせソラリスの試作兵器だからな」


大鳳「小型機を射出しての攻撃……。確かに艦載機に似ています。それでは、エリィさんに聞けば何か分かるかもしれないんですね?」


整備士A「かも知れないって程度だけどな」


大鳳「いえ、それでも十分です。教えていただきありがとうございます」


整備士A「ま、結局シェバトに着くまではそれも聞けねえんだ。代わりと言っちゃなんだが、それまでたっぷり働いてもらうぜ?」


大鳳「もちろんです。お任せください!」


整備士B「よーし、話は済んだし、そろそろ作業に戻るか。お嬢ちゃんにはまずハンガーの掃除でも頼もうかね。付いてきな」


大鳳「はい!」スタスタ




提督「……うん、頑張ってるみたいだな」


マルー「へえ、最初から思ってたけど、とっても真面目な人なんだね」


提督「おかげで色々と助かってるよ。俺は見ての通りシリアスな話は苦手だからな」


マルー「ははっ、確かに提督『めんどくせぇ』とかすぐに言いそうだもんね」


提督「え、俺そんな奴に見える?」


マルー「見える見える。ところで、さっきは声掛けなくてよかったの?」


提督「様子は見れたからな。俺が声掛けても邪魔になるだけだろ」


マルー「大鳳さん喜ぶと思うけどなあ」


提督「まあまあいいじゃねえか。それより後は……加賀さんと北上だけだな」


マルー「って言っても、今度は本当に何処行けば会えるか分からないよ?」


提督「北上はどうせまた子供のお守りでもしてるんだろうから居住ブロックだろ。加賀さんは……あー、分かった」


マルー「?」


提督「ブリッジの方に向かおう。予想が正しけりゃそこで加賀さんの行方がわかるはずだ」


  ***

~甲板~


加賀「……ソナーの感知にあった北東方面の物体はただの魚の群れのようです。その他東に視認できるものはないわ」


北上「西側も何も見えないよー。ま、あたしは肉眼だからそこまで遠くは見えないんだけどね」


加賀「そう。それでは後はしばらく私と艦載機で引き継ぎますから、貴方は甲板の掃除を続けていて頂戴」


北上「へーい」ゴシゴシ


提督「おっす」


マルー「二人とも、こんちわ」


北上「あ、提督とマルーじゃん。おっす」


加賀「おはようございます。休息は十分に取れたのかしら」


提督「お陰様でな。しかしまあ、二人が甲板で一緒に仕事してるってブリッジで聞いたときは心配したが、うまくやってるみたいじゃねえか」


北上「まあねー。こう見えて私、掃除とか嫌いじゃないしー」


加賀「ええ、特に問題は無いわ。提督は何か用事があったのではないの」


提督「いや、二人の様子を見に来ただけだよ。うまくやってるならいいんだ」


加賀「そう……。では、ここではなくほかの子達のところに行ってあげたらどうかしら」


提督「実はもう他の奴は見て回ってきたんだ。ここが最後だよ。ま、そういうことなら下に降りて俺も何か手伝ってくる事にするかね」


北上「そういう事ならさ、一緒にここ掃除しない?」


提督「ん?」

北上「いやさ、どうせなら二人でやったほうが楽かなーって」


提督「そうだなあ、他にすること無かったらこっち手伝う事にするか」


マルー「それじゃ、もし提督が来なかったらボクが手伝うよ」


北上「お、ありがたいねえ。待ってるよ」フリフリ


提督「ひとまずシグルド副長にもう一回会ってくるわ。じゃあな、二人とも頑張れよ」


マルー「加賀さん、北上さん、また後でね」


北上「ちぇ、逃がしちゃったか」


加賀「ぼやいている暇があったら掃除したらどうかしら」


北上「まあまあ、そんな焦らなくてもしっかり終わらせるって」


加賀「……本当にそうだといいのだけれど」


  ***

今日はここまでです。
ではまた来週。

お待たせしました。今週の投稿を始めます。

~廊下~


マルー「ところでさ」スタスタ


提督「なんだ?」


マルー「提督のコイビトって金剛さんだよね?」


提督「ききききき急に何言い出すんだ!?」


マルー「ちょ、ちょっと、動揺しすぎじゃない?」


提督「どど動揺なんてしてないぞ」ダラダラ


マルー「汗、汗!」


提督「い、いやこれはあれだ、その辺の天井から水漏れが……」


マルー「潜水艦でそんなことあったら大騒ぎだよ!もう、そんなに聞かれたくない事だったの?」


提督「そういう訳ではないんだが……。何でそう思ったんだ?」


マルー「いやあ、金剛さんが事あるごとにテートクのラブがどうだーって言ってたからさ、それ聞いたら誰でもそう思うでしょ」


提督(常日頃からあの調子だから忘れてたが、周りから見たらそう取られて当然だったな……。慣れって怖い)

マルー「で、どうなの?金剛さんとはどこまでいったの?」ワクワク


提督「いやまあ恋人というか何というか、一応ケッコンはしてるんだよな。カッコカリだけど」


マルー「え!?結婚してたの!?うわー!流石にそこまでの仲だとは思わなかったなあ!そっかあ、だからあんなにラブラブだったんだね」


提督「ラブラブなんて言葉聞いたの何年ぶりだよ……。というかそんなにイチャついてるように見えてたのか」


マルー「うん。何処からどう見てもバレバレだったよ」


提督「……はあ、金剛にもう少し控えるように言わねえと駄目みたいだな。また榛名に何て言われるか……」


マルー「いやいや!夫婦ならどこで金剛さんとイチャイチャしてても誰も……ん?何でここで榛名さんの名前が出てくるの?」


提督「あ、ヤベッ」


マルー「……」ジー


提督「……」フイッ


マルー「……ねえ提督」


提督「……」ダラダラ


マルー「金剛さんとはどんな関係なんだっけ?」


提督「ケッコンしてます。カッコカリだけど」

マルー「……カッコカリっていうのはよくわからないけど、とにかく結婚してるんだよね。じゃあ、榛名さんとはどんな関係なの?」


提督「……ケッコンしてます。カッコカリだけど」


マルー「っ!信じられない!そんなことやっちゃってもいいの!?」


提督「ま、待て待て!事情があるんだよ事情が!」


マルー「お嫁さんを二人ももらう事情ってどんな事情さ!」


提督「まあそりゃ色々と……」


マルー「……提督がそんな人だとは思わなかったよ。もう知らない」スタスタ


提督「もう知らないって……あ、おい」


提督「まさか弁明すらさせてもらえんとは。まあ、確かに傍から見ればとんでもない事なんだよなあ。ほんとに慣れって怖いわ」


提督「……あれ、ブリッジってどっちだっけ」


  ***

~次の日~


マルー「……」ジー


金剛「ヘイハルナ!ブレックファストが出来上がったヨー!あっちのテーブルに運んでくだサーイ!」



榛名「お任せください!」カチャカチャ


メイソン「金剛様、お茶の用意をお願いいたします」


金剛「イエース!」


マルー(昨日は勢いで提督にあんな事言っちゃったけど、やっぱり一番は本人達が納得してるかどうかだよね)

マルー(そう思って金剛さん達に直接聞こうと思って来たんだけど……)

マルー(流石にいきなり『提督が2人と結婚してることをどう思ってる?』って聞くのもどうかと思うし)

マルー(そもそも2人はお互いにそのことを知ってるのかな、それすらわからないや)


マルー「うーん……どうしよう」


夕立「ふああ……マルーちゃん、おはようございますっぽい」


マルー「うわあ!ゆ、夕立!?」


夕立「こんな植木の隅っこに立って何してるの?かくれんぼっぽい?」


マルー「な、何でもないよ!ちょっと落し物をしちゃってさ、へへ」

夕立「そうなの?夕立も一緒に探すっぽい」クンカクンカ


マルー「犬じゃないんだからにおいじゃ探せないでしょ……じゃなくて、落し物ならもう見つかったから大丈夫だよ。ありがと」


夕立「そうなの?それじゃ一緒に朝ごはん食べに行きましょ!」グイグイ


マルー「わわ、ちょっと!」


夕立「金剛さん、榛名さん、メイソンさん、おはようございますっぽい」


金剛「オーウ、ユーダチ、マルー、グモーニンネー!」


マルー「あ、うん、おはよう」


メイソン「おや、マルー様、ご気分でも悪いのですかな?」


マルー「え、いや、そんなことないよ!」


メイソン「それなら宜しいのですが。あまり若に心配をかけてはいけませんぞ」


バルト「俺がなんだって?」


マルー「わ、若!」


メイソン「おはようございます、若。この時間に朝食とはお珍しい。ブリッジの方は宜しいのですかな?」


バルト「ちょっと手が空いたんでな。先に食って来いってシグに言われてよ」


金剛「それならナイスタイミングネー!丁度仕度がフィニッシュした所だヨー!」


榛名「さあ皆さん、こちらにお座り下さい」

バルト「おう、悪ぃな」


夕立「加賀さんと北上さんは?」


バルト「加賀は甲板で哨戒してくれてる。あの索敵能力には全く大助かりだぜ」


榛名「夕立さん、食べ終わったら呼びに行っていただけますか?その間に加賀さんの朝食も用意しておきますので」


夕立「はーい!」


マルー(いい人たちなんだけどなあ……)


マルー「ねえ夕立」


夕立「うん?どうしたのマルーちゃん」


マルー「金剛さんと榛名さんのことなんだけどさ、2人は姉妹なんだよね?」


夕立「そうだよ?」


マルー「昔からあんなに仲良しなの?」


夕立「うーん、夕立はあの人たちより後に鎮守府に来たからそれより前のことはわからないけど、夕立が来てからは四人でずっと仲良くやってるっぽい」モグモグ


マルー「え、四人?」


夕立「うん。今は一緒じゃないけど、金剛さんと榛名さんにはあと2人姉妹がいるっぽい」


マルー「へ、へえー……」

マルー(まさか全員提督とけっこ……いやいやまさか)

マルー「じゃ、じゃあ、提督と金剛さん達の事なんだけどさ……」

夕立「何か気になるっぽい?」


マルー「提督から結婚してるって話を聞いたんだけど、それって本当?」


夕立「うん、ケッコンしてるっぽい」


マルー「……!へ、へえー、本当だったんだ。ちょっと信じられないなあ」


夕立「ほら、金剛さんが指輪してるでしょ?あれがケッコン指輪っぽい」


マルー「へえー、確かに指輪してるね。他の飾りが一杯ありすぎて気づかな……」


夕立「どうしたのマルーちゃん?」


マルー「えーと、榛名さんの手にも似たような指輪が付いてるんだけど」


夕立「榛名さんも提督とケッコンしてるんだから当たり前っぽい」モグモグ


マルー(って、みんな知ってるの!?)


マルー「夕立ちゃんはそれでいいの?提督は皆の提督なんでしょ?」


夕立「そうだよ?提督さんは提督さんっぽい。皆を勝たせてくれる、とっても凄い人っぽい」


マルー「その凄い人がふ、ふ、2人と結婚してるなんてさ、夕立ちゃんは許せるの?」

夕立「?よく分からないけど、金剛さん達が先にケッコンするのは当たり前っぽい。夕立よりもずっと長く頑張ってたんだから。
夕立ももっと戦って、強くなって、提督さんから早く指輪もらいたいっぽい!」


マルー「ふーん、夕立も提督とけっこ……ってえーっ!?」ガタンッ!


夕立「ぽいっ!?」ビクッ


バルト「うおっ!どうしたマルー!?メシにネズミでも紛れ込んでたか!?」


金剛「ワット!?失礼しちゃうネ!そんなことあるはずないデース!」


マルー「ちょっと若は黙ってて!金剛さんもなんでもないから、ご飯はおいしいから大丈夫だよ!」


バルト「な、なんでえ、人が心配してやったってのに……」モグモグ


夕立「マルーちゃん大丈夫っぽい?」


マルー「う、うん大丈夫……じゃなくて!」


マルー「頑張って提督と結婚するってどういうことさ!提督は金剛さんと榛名さんと結婚してるんでしょ!?」ヒソヒソ


夕立「金剛さんと榛名さんは指輪がもらえるくらい強くなったからケッコンしたっぽい。夕立もそれくらい強くなったら指輪をくれるって提督さんと約束したっぽい」


マルー(つ、強くなったら!?)

マルー「……えーと、夕立ちゃんがそのうち提督と結婚するってこと、あの2人は知ってるの?」


夕立「とーぜんっぽい」ズズズ


マルー「そ、そうなんだ……」


マルー(もう訳が分からないよ……)


夕立「ふう、ごちそうさまっぽい!」


榛名「はい、お粗末さまでした」


夕立「それじゃ加賀さんたち呼んでくるね!マルーちゃんは?」


マルー「……ボクはもうちょっとゆっくり食べていくよ……」


夕立「それじゃまたね!」タッタッタ


マルー「……はあー、あの人たちは一体どうなってるんだろ」モグモグ


榛名「マルーさん」

マルー「ひゃいっ!?」ビクッ


榛名「あ、ご、ごめんなさい!驚かせるつもりはなかったんです」


マルー「い、いや、へへ、ちょっと考え事してたからさ。で、どうしたの榛名さん」


榛名「夕立さんと話してからマルーさんが暗い顔をしてらしたので……先ほども何やら驚かれていたようですし、夕立さんと喧嘩でもしたのではないかと」


マルー「ううん、そういうことはないから安心してよ」


榛名「そうですか……では、朝食がお口に合いませんでしたか?」


マルー「そんなこともないよ。とってもおいしい」


榛名「そうですか。良かったあ……」ホッ


マルー(……優しい人だなあ、榛名さん)

マルー「榛名さんはとってもいい人だね。榛名さんだけじゃなく、提督と一緒に来た皆もだけどさ」


榛名「ふぇっ!?そ、そんな、榛名はそんな立派なものでは……」


マルー「ううん、ボクにはわかるよ。こう見えて色んな人を見てきたからね。人生経験豊富なオンナってこと!」


榛名「は、はあ」

マルー「そんなボクが言うんだから間違いないよ。榛名さん達はとってもいい人たちさ!」


榛名「ありがとうございます。マルーさんもとっても素敵な方なんですね」ニコッ


マルー「へへっ!」

マルー(そうだよね、こんないい人たちなんだもん、きっと何か事情があるんだよね、多分)


榛名「それで、結局なんだったのですか?別のお悩みがあったのですか?」


マルー「まあね。榛名さん達の提督の事でちょっと……」


金剛「ノーッ!『榛名さん達の』ではなく『私の』テートクネーッ!」ピョーンッ


榛名「なっ!『榛名たちの』でいいではないですか!」ガッ


金剛「駄目ネ!ここは譲れないネー!」グググ


榛名「か、加賀さんに怒られてしまいますよ!」グググ


メイソン「これ!いくら客人といえども、ガンルームでの粗相はこの爺が許しませんぞ!」ズカズカ


マルー「……あ、あれー?」


  ***

今週の分は以上になります。
今更ですが、質問等あれば書き込んでいただければ次の週にお答えしていこうと思います。
それではまた来週

〇って誰

メイソンって誰

鼻水禁止

こんにちは。すっかりお昼ですが投稿を始めます。
>>265
どちらもゼノギアスのサブキャラクターです。簡単に紹介すると、
マルー:砂漠の国アヴェの一大宗教「ニサン教」の教皇。超可愛い。
メイソン:バルトお付の執事。武闘派おじいさん。超渋い。
鼻水の意味はちょっと分からないです……。

~ギアドック~


大鳳「ふむふむ」ペタペタ


大鳳「むう」ペタペタ


大鳳「……なるほど」


リコ「おい」


大鳳「はい?」


リコ「はい?じゃねえ」


大鳳「貴方は……ええと、リコさん、でしたっけ」


リコ「そうだ」


大鳳「あの、私になにか御用でしょうか」

リコ「そりゃこっちのセリフだ。俺のシューティアにべたべた触りやがって。何のつもりだ?」


大鳳「も、申し訳ありません。勝手に触ったりして……」


リコ「……いや、いい」


大鳳「はあ……」


リコ「……」


大鳳「……」

大鳳(怒らせてしまったかしら……)


リコ「それで」


大鳳「は、はい!」ビクッ


リコ「何故俺のギアを触っていた?」


大鳳「それは、その」


リコ「……別に、怒ってはいない」


大鳳「え?」

リコ「本当に、ただ気になっただけだ」


大鳳「え、ええと……」


バルト「おいコラ、なーにウチの客人を困らせてんだぁ?」


リコ「ああ?別に困らせてなんかいねえよ」


バルト「どうだかなぁ?どう見ても困ってるぜ」


大鳳「ば、バルトさん!いえ!私が悪いんです!勝手にリコさんのギアに触ったりしたので」


リコ「何でそんな事をしてたのかって聞いてただけだ」


バルト「ふーん。ただ単に珍しかったからじゃねえの?」


リコ「なんだ、そうなのか?」


大鳳「そういうわけでは……。少しギアの装備を見させて頂いていたんです」


バルト「装備ぃ?」


大鳳「はい。もしかしたら今後の戦闘に役立つのではないかと」

バルト「戦闘ったってアレだろ?あんたは銃みたいなのでちっこいのを飛ばすのが役目で、今はそのちっこいのがほとんど底を尽いてるって話じゃねえか。
どう頑張っても生産できそうにないってウチの整備班が泣いてたぜ」


大鳳「その通りです。今の所は私の艦載機を新しく補充する方法はありません」

大鳳「だけどそれはいいんです。提督が『何とかする』とおっしゃっていましたから」


リコ「で、それなら何でここにいるんだ」


大鳳「その……艦載機補充の目処が立つまで、代わりの何かを使って戦闘が出来ないものかと考えたんです」


バルト「はあ!?ギアの装備を使おうってのか?」


大鳳「まさか、流石にギア用の武器は私達にも扱えません」


大鳳「ただ、私達の艤装にもスレイブジェネレータが搭載されていますので、それをうまく使えれば、と思っています」


リコ「なるほど、話は分かった」


バルト「ああ。しかし意外だったな」


大鳳「何がでしょう?」

バルト「金剛とか加賀とかはともかく、あんたはあんまり戦いたがらなさそうに見えたからな」


大鳳「そんなことはありません!この大鳳、提督のご命令があればいつでも出撃する覚悟です!」


バルト「お、おうおう。分かったからそんなに熱くなるなよ。まあそれはとにかく、代わりになりそうな武器の話だったな」


リコ「簡単な話だ。俺達みたいに格闘戦をやりゃいいんだ」


大鳳「ええ!?殴ったり蹴ったりしろ、と言う事ですか?」


バルト「いくらなんでもギアとかデカいモンスター相手にそれは無理だろ」


リコ「フン、誰が素手でやれなんて言った?俺のシューティアの左手を見てみろ」


大鳳「……ドリルになってますね」


バルト「おい、まさか」


リコ「お前の腕にも付ければいいだろ、ドリル」

バルト「ぶっ!?」


大鳳「う、腕がドリルになるのはちょっと……。生活に支障が出るでしょうし」


バルト「そこかよ!」


リコ「何もそこまで真似するこたぁねえだろ。腕に取り付けるような物にすればいい。ドリルはいいぞ!戦艦の外殻だろうがギアの装甲だろうがブチ抜ける」


大鳳「そう言われるととても魅力的に聞こえますけど……」


バルト「待て待て!そういう事ならもっといいモンがあるぜ!」


リコ「あ?」


バルト「ズバリ!鞭だ鞭!ドリルよりもリーチがあるし、ただ打つだけじゃなく色々と使い道もあるぜ!」


リコ「バカめ、あんな扱いにくい物をすぐ使えるようになるわけがないだろう。その点ドリルは問題ない。相手に叩き込むだけだからな」


大鳳「え、あの」


バルト「確かに最初は大変かもしれないけどよ、ドリルよりはずっとましだと思うぜ。大体なんだよドリルって。トンネル掘ろうってんじゃねえんだからよ」


大鳳「ちょっ」

リコ「フッ、ドリルの良さが分からんとは、貴様のようなヤツは鞭なんてヘニャヘニャした物を使っていればいい」


バルト「てめえもういっぺん言ってみやがれ!こいつは俺の一族に代々伝わる伝統的な武器だぞ!それをバカにするたあ許せねえな!」


リコ「ほう?俺のドリルに文句つけたヤローが随分と偉そうじゃねえか」


大鳳「お2人ともそれくらいで……」

リコ「そこまで言うなら仕方ねえ。こいつにどっちの方が良いか決めてもらうとしよう」


大鳳「お2人のお話はよく分かりましたので……えっ」


バルト「上等だ!おう大鳳、さっさと決めてくれよ。モチロン鞭だよな?」


大鳳「えっえっ」


リコ「これまでの話で鞭などを選ぶはずがあるまい。当然ドリルだろう」


大鳳(どうしましょう……ギアを見せていただいた手前、リコさんの肩を持つべきでは……いえ、そんな選び方はリコさんに失礼です。かといってどちらを選ぶかと言われると……)

バルト「おい、どうなんだ?」


リコ「……早く、しろよ」


大鳳「……もう少し考えさせてくださいっ!」ダッ


バルト「あっ!おい!」


~翌日~


大鳳「……」


提督「おーっす、大鳳。お前も朝飯か?」


大鳳「……提督」


提督「ん?どうしたよ、そんな深刻そうな顔して」


大鳳「腕をドリルにするのと腕に鞭を生やすの、大鳳はどちらを選べばいいのでしょう……」


提督「!?」


  ***

今日はここまで。それではまた来週

アヴェの伝統的な武器って資料集に書いてるぞ

お待たせしました。今週の投稿を始めます。
鞭の話については>>281で指摘して頂いたとおり、設定資料集のバルトのトラウマ克服の部分に一緒に記載されていた……と思います。

~ブリッジ~


提督「遅れてすまない」バシュ


バルト「おう、全くだぜ提督。一体どこで油売ってやがった?」


提督「いや、大鳳が改造人間になるのを止めてたらな」


バルト「???」


提督「ま、まあそれはいいだろ。それより何の用だ?」


シグルド「あと数時間ほどで指定のポイントに到着する。一つはその知らせだ」


提督「お、いよいよシェバトか。空飛ぶ国なんて初めてだからな。早速他の奴らにも知らせるよ。で、他の話ってのは?」


バルト「おう、実はこっちが本題でな。お前ら、シェバトに着いたらどうする気だ?何の為にあの国に行くんだ?その辺を聞いとこうと思ってよ」


提督「それは……」

提督(うーん、どこまで話したもんかな)

提督(実は異世界から来ました、なんて急に言うのもなあ。シタンの先生のときみたく上手く行くとも限らんし)


バルト「どうした?」


提督「いや、まあ、観光が半分、調べ物が半分って所かな」


バルト「調べ物ぉ?」


提督「ああ。あの子らの装備の事でな。ほら、加賀と大鳳の艦載機とか、どうやって補給するのか全く分かってないだろ?」


バルト「ああ、その話なら本人からも聞いたぜ」


提督「そうそう。国土そのものを空に飛ばすくらい技術の進んでる国なら、もしかしたら何とかなるかもしれないと思ってな」

提督(ま、嘘は言ってないよな)


バルト「ほーう?そんなことの為にここまで来たのか。ご苦労な事だぜ」


提督「俺達にとっては『そんなこと』じゃ済ませない重要事項だからな。あれが補給できなきゃウチの戦力は半減以下だ」

バルト「ま、そっちの事情は分かった。これからも仲良くやっていけそうだし、どうだ、このままウチのクルーになるってのはよ?」


提督「はは、ありがたい申し出だが、先のことはシェバトでの収穫次第だな。それまで返事は待ってて貰いたい」


バルト「構わねえよ。こっちはいつでも歓迎だぜ」


提督「すまないな。それじゃあ、あいつらに準備をさせてくるよ」スタスタ


シグルド「……若」


バルト「ああ、わかってる。あいつの話、ウソはついてねえが何か隠してるって感じだったな」


シグルド「では……」


バルト「だが俺達を騙そうって感じでもなかった。あいつらにも何か事情があるんだろ」


シグルド「しかし」


バルト「提督の言うとおり、シェバトにいる間は様子見でいいだろ。どうせあいつらだけじゃ外には出られねえんだしよ」


シグルド「……わかりました」


  ***

今回はここまで。次回からやっとこシェバト編です。それでは。

お待たせしました。寝る前にささっと投稿を始めます。
艦これ世界とゼノギアス世界は過去未来の関係ではないです。そもそもゼノギアスの舞台は地球ではありませんし……。

~シェバト ドック・フロア~


マリア「お待ちしておりました。ここは空中都市シェバトの最下層部に位置するドック・フロア。わたしはマリア・バルタザールといいます」


バルト「俺はバルト。ユグドラシルの艦長だ。……ん?バルタザール?」


マリア「ええ。貴方とフェイさんはわたしのお爺さんと面識があるそうですね」


バルト「バルタザール、爺さん……ああ!アヴェの地底にいたヘンクツじーさんのことか!いっやあ、まさかあのクソじ……じいさんにこんなおチビさんの孫がいるたあな」


マリア「わたしはおチビさんではありません!それに、バルお爺ちゃんもク、クソ爺ぃなんかじゃない、ぜったい!」


バルト「悪かったよ。そう怒るなって、おチ……マリア。べつに悪気はなかったんだ。ごめん、ゴメン」


マリア「ゴメンは一度言えばわかります」


提督「あー、それで、フェイたちは何処に?」


マリア「今はゼファー女王にお会いになっていますが……貴方は?」


提督「俺は提督。バルト達の……あー、どんな関係だろう」


バルト「もちろん!戦友ってヤツだろ!」

バルト(くうーっ!一度言ってみたかったんだよな!『戦友』ってセリフ!)

提督「戦友か、いい響きだな。まあ、そういう関係だ。ちょっと知りたいことがあってここまで付いてこさせて貰った。よろしくな」


マリア「よろしくお願いします。しかし」


北上「ちょっと提督ー、置いてくなんてひどいでしょー」


金剛「全くデース!テートクはもっとレディの扱いを……ン?」


マリア「?」


金剛「ワオ!お人形さんみたいでベリィキュートなガールネー!」ダダダダ ガバッ


マリア「きゃあ!」


金剛「んふふふふふフウゥー!」ギュー


マリア「し、失礼な方ですね!誰ですか貴方は!ちょっと、離れてください!」モゾモゾ


榛名「お待たせしましたていと……お、お姉様!?」


夕立「うーん、久しぶりの揺れてない地面っぽい!」


大鳳「ええと、その、この状況は一体……」オロオロ


加賀「提督、説明してもらえるかしら」

提督「いや俺にもさっぱり……こら金剛、いい加減にしないか!」


金剛「ハッ!私としたことが完全に我を忘れてたネ……」


マリア「うぅ……」クシャ


金剛「ソ、ソーリーネ、キュートなガール。大丈夫ですカー?」


マリア「だ、大丈夫です」ポンポン


提督「本当にすまん。こいつらは俺の部下で、右から金剛、榛名、大鳳、北上、夕立、加賀だ」


一同「よろしくお願いします(ネー)(っぽい)」


マリア「よ、よろしくお願いします。それでは、ゼファー女王がお待ちですので、皆さんこちらへどうぞ」


バルト「提督はどうするんだ?」


提督「ん、俺達も女王に会わせて貰えるのか?マリア」


マリア「いえ、あなた方の事は何も聞かされていませんので何とも。一度お伺いを立ててきますので、その間に町の方の見物でもどうぞ」


提督「オッケー。それじゃ」


金剛「行くぞお前らデース!」


提督「俺のセリフ取るんじゃねえ!」


  ***

~シェバト 表層~


提督「で、勝手に浮かぶ椅子に乗って上に来たわけだが」


夕立「おおー、本当に浮いてるっぽい!」


北上「うひゃー、こりゃもしものことがあったらと思うとぞっとしないねえ」


提督(領土全体を覆っている膜みたいなのが『障壁』なのか?)


榛名「こ、こんな所に人が住んでるんでしょうか」


提督「マリアから聞いた話だと……お、あっちっぽいな。行くぞー」グッ

提督「ん?」


大鳳「……」ダラダラ


提督「ど、どうした大鳳。艦船がしてはいけないレベルの水漏れ起こしてるぞ」


大鳳「いひぇ、ななんでもないです」


提督「いやどう見てもやばいだろ」

榛名「大鳳さん、あなた」


北上「あそれ」トンッ


大鳳「わひゃああああああああああああああああ!!!」ギュー


提督「いだだだだだだだだ!!腕もげる!!」


金剛「!!!!!!」


北上「おおーう、これはまた意外」


提督「わかったから!わかったから大鳳!もうちょい優しく掴んでくれ!」


大鳳「すすすすみませんていとく」ガクガク


金剛「テートク!テートク!私も高いところ怖いネー!」ピョンピョン


提督「おーそうかそれはやべえな榛名に掴まっとけ」


金剛「ぶーデース」


夕立「提督さん、夕立早く行きたいっぽい!」


提督「そうだな。加賀さんは大丈夫か?」


加賀「当然です」スタスタ


夕立「楽しみっぽい!」タタタ


榛名「お姉様、大丈夫ですか?もし歩けないようでしたら榛名がお運びします」


金剛「ハルナ……その優しさが今は痛いデース……」トボトボ


大鳳「……」ガクガク


提督(歩きづれえ)ズルズル


  ***

今日はここまでです。それではおやすみなさい。

お待たせしました。今週の投稿を始めます。

~アウラ・エーペイル~


提督「到着、と」


榛名「ここが……」


北上「アウラ……えーと、なんだっけ?」


加賀「エーペイル、よ」


北上「うへえ」


金剛「なんだか街っぽくないデース」


提督「確かにな。遺跡って感じだ」


榛名「でもどこか懐かしい感じもします」


大鳳「なななななんで町中の道も床がほとんどないんですか」


提督「ほとんどというか何というか、車一台通れるくらいの道幅しかないな……。一体どうなってんだ?」

老人「おや、おまえさんたち」


提督「ん?」


老人「見ない顔じゃが、おまえさんたちも下界から来たのかい?」


提督(『も』っつーのはフェイ達の事か)

提督「ええ、そうです」


老人「そうかそうか。遠いところからよく来なさった。ようこそ、天空をさすらう街、アウラ・エーペイルに」


提督「ここが本当に街なのか……」


老人「驚くのも無理はない。この街が賑わっておったのは遥か昔、ソラリスに敵対した独立自由国家シェバトの首都だった頃じゃからな」


加賀「今はそうではないと?」

老人「そうじゃ。昨日の涙を、明日の笑顔に変えるところ……。はるか昔には、この街もそう呼ばれていたものじゃが……。
今では絶望も希望もとうの昔にすりきれ、風化し……、今やこの街にさまようとるのは、憎しみの木霊だけなのかも知れん」


提督「戦争の歴史、か。シタンの先生から聞いていたよりも厳しいな」


夕立「ねえおじいちゃん、ここにはもう人は住んでないっぽい?」


老人「そんなことはないぞ。ほれ、そこの飛び石で下に行けば地上を追われてきた人たちの寄り合い所帯があるし、向こうに見える建物には小さいショップもある。
さらに向こうに行けばギア工房じゃ」


提督「資料館みたいなのはないんですか?」


老人「うーむ、この街にはないのお。図書室が王宮の中にあるぞい」


提督「そうですか……」


榛名「どうしましょう、提督?」

提督「んー、人んち行ってもしょうがねえし、とりあえず店でも覗いてみるか」


夕立「それじゃ早速出発っぽい!」


加賀「何かおいしいものはあるのかしら」


北上「そうねえ、空の上だし……鳥料理?」


加賀「気分が高揚します」グウー


老人「行くのかの?」


提督「ええ、どうもありがとうございました」


老人「……おまえさんたちの迷いや哀しみを断つ助けとなるものも、ここで見つかるかも知れん」


提督「え?」


老人「じゃが、忘れるでないぞ。運命は時にひどくイタズラで、残酷になれるのじゃ……」


提督「……」


大鳳「哀しみ……想像してたよりも寂しいところなのかもしれませんね、シェバトという国は」


提督「今でこそ穏やかだが、何年か前までは戦争やってたって話だからな。色々あったんだろうが……」


金剛「テートクゥ!何してるデース!」


提督「あ、ああ!今行く!行くぞ大鳳」ズルズル


大鳳「で、できればゆっくりお願いします……」ソロソロ



  ***

今週はここまでです。ではまた次週。

すいません、諸事情あってSSどころではなくなっていました。取り急ぎ書き上がった分だけ投稿しておきます。

北上「……で、おじいさんの案内どおりに建物に入ってみた訳ですが」


提督「何だこりゃ」


道具屋チュチュ「ありゃまー、またお客さんでチュかー!?今日は大繁盛でチュねぇ!」


「うわあ、また知らない人間さんでチュ。怖い人でないといいでチュねぇ」「くんくん、この匂い……さっきの人とはまた違いまチュねぇ」
「へっ、チュチュ達の住処を騒がしくするんじゃねえぜ……でチュ」「くーか……くーか……」


加賀「食事は出来そうにないわね」


大鳳「うう、じ、地面だ……、地面があるよう……」


提督「あれだよな、ユグドラシルにいたピンク毛玉の……」


夕立「チュチュのお仲間っぽい?」


提督「そうそう。まさかこんな所でショップをやってるとはなあ。チュチュが見たら喜ぶんじゃないか」


金剛「す、す、す」


榛名「お姉様?」


金剛「スウィィィィィト!!」

榛名「ひゃあ!」


提督「またか……榛名、暴走される前に捕まえてくれ」


榛名「は、はい!金剛お姉様、落ち着いてください!」ガシッ


金剛「なっ!離すネ!癒しを!私に癒しを寄越すデース!」ジタバタ


提督「全く、金剛のヤツはどうしたってんだ?今までも割とアレだったけどあそこまではっちゃけた奴じゃなかっただろ」


北上「やー、乙女には色々と悩みがあるものだよ」


提督「適当な事言うんじゃない」


北上「てへ」


道具屋チュチュ「なんだか騒がしいお客さんでチュねぇ。地上の人にも色々いるでチュ」


加賀「ごめんなさいね、ところで、ここに何か美味しい物は置いてないのかしら」


道具屋チュチュ「美味しい物でチュかぁ、そうでチュねえ……、あ、さっきおいしそうなクモを捕まえたでチュよ。700Gでいかがでチュか?」


加賀「……遠慮しておくわ」


マリア「あの、皆さんお揃いですか?」


金剛「オーウ、マリアー!助けて下サーイ!」


マリア「え?」

金剛「榛名とテートクが揃って私をリフジンな目にあいたぁ!」ゴチン


提督「いい加減にしなさい」


マリア「あの……」


提督「すまん、気にしないでくれ。それより用件の方を頼む」


マリア「は、はい、ゼファー女王があなた方に是非お会いしたいとの事です。宜しければすぐにでも宮殿へ上がって頂きたいのですが」


提督「だ、そうだ。お前ら」


夕立「もぐもぐ」


道具屋チュチュ「おお、お客さんいい食いっぷりでチュねぇ」


大鳳「だ、大丈夫なの?」


加賀「……」サァー


北上「わあ、あの加賀さんが青くなるなんていいもん見れたねえ」


夕立「うーん、非常時以外では食べたくない味っぽい」ゴクン


提督「何やってんだ……」


金剛「わーん、テートクゥ!いくらなんでも殴る事なかったデース!」


提督「ああ、悪かったよ」ナデナデ


金剛「テートクゥ、とりあえず撫でとけばいいみたいな感じになってませんカ……?」


提督「はっはっは、まさかまさか。本当に悪かったって」ナデナデ


金剛「……もう、しょうがないデスネー!」


マリア(なんなのでしょう、この人たち……)


  ***

とりあえずはここまでです。今週の土日はきちんと間に合うようにします。それでは。

大変お待たせしました。今週の投稿を始めます。

~上層行きエレベーター~


マリア「こちらの最上部で女王がお待ちしています」


提督「お、おう」


夕立「提督さん、どうかしたっぽい?」


提督「非常に今更なんだが、めちゃくちゃ緊張してきた」


加賀「本当に今更ね」


提督「考えても見ろ、女王様だぞ?バチカン入って30分でローマ法王とサシで会うようなもんだぜ」


大鳳「そう言われると……」


マリア「ふふ、大丈夫ですよ。ゼファー女王はとてもお優しい方ですから」


提督「そうは言うがなあ」


マリア「さあ、着きましたよ。こちらがわがシェバトの王宮になります」シューン


北上「ほえー、外から見たときよりもでっかい気がしない?」

提督「それだけ上にあるってことだろうな。にしても、王宮なんて言うもんだからもっと荘厳な場所かと思ってたんだが、なんつーか、どっちかっつーと公会堂って感じの雰囲気だな」


マリア「それは多分、この王宮そのものがこの国の心臓部になっているからだと思います」


提督「心臓部?」


マリア「このフロア全体を覆うように、食糧貯蔵庫、会議場、データルーム、研究室など、この国の重要な施設がみんなここにあるんです。
それに加えて一部の人の宿舎や来客用の寝室もありますので、厳かな雰囲気がしないのはきっとそのせいですわ」


提督「国土が狭いと色々大変なんだな」


大鳳「もしもの時はここの守りさえ固めればいい訳ですし、そういう意味では都合がいいんじゃないかしら」


加賀「逆に、ここが落ちたら国が終わると言う意味でもありますけれど」


提督「ま、一長一短ってことだろ」


マリア「さて、そろそろ行きましょうか、正面の扉の先で女王がお待ちです」スタスタ


  ***

~王座~


ゼファー「よくぞ、まいられました。私がこのシェバトの女王、ゼファーです」


加賀「これは……」


提督「冗談じゃ、ないよな?」


夕立「子供、っぽい?」


金剛「マリアとほとんど変わらない年頃に見えマース……」


ゼファー「このような姿ですが、実際私は522才になるのですよ」


提督「んな馬鹿な……とは言えない、のか?まさかこっちの人間は皆それくらい生きるのが普通ってんじゃ」


ゼファー「いえ、このような体を持つのは私と一部の家臣のみ。それも全て500年前の……」


ゼファー「……昔の話は、今はやめておきましょう」


提督「は、はあ」


ゼファー「本題に入りましょうか。提督、貴方がシェバトを訪れた理由をお尋ねしたい」

提督「はい。俺達がシェバトに来たのは……」ガチャ


フェイ「あれ……提督?」


バルト「よお、お前らも女王サマに用事か?」


エリィ「あら、お久しぶりね。話には聞いていたけど、元気そうで安心したわ」


シタン「……ふむ」


提督「……フェイ、それに皆」

提督(このタイミングは……)


金剛「フェーイ!元気そうで何よりデース!」


フェイ「そうか、会うのはあの時以来だったな」


榛名「はい、あの時はとっても心配しました。ご無事で本当によかったです」


フェイ「なんとかね。ビリーを始めとしたみんなのお陰だよ」


シタン「フェイ、再会を祝うのはそれくらいにして、先に本題を済ませてしまいましょう」


フェイ「あ、ああ。そうだね、先生」

ゼファー「決心はついたのですか?」


フェイ「ああ、心は決まった!先のことはどうあれ、まずは共にソラリスを何とかしよう」


ゼファー「よろしい」


提督(フェイたちがシェバトと組んだ、か。これなら俺達も……)

提督「その話、俺達も是非とも一枚噛ませて欲しいんだが」


フェイ「あんたたちもソラリスと戦うのか?」


提督「そうだ。もちろん、そちらが許せばの話になるが」


ゼファー「われわれとしては願ってもないことですが、あなた方はその為にシェバトに来たのですか?」


提督「いえ、俺達の目的は別にあります。その辺の事を話す為に、まずは俺達がどこから来たのか話さなきゃならない」


加賀「……提督」


提督「いいんだ加賀さん。少なくともここにいる人間は信じなきゃ今後はどうしようもなくなりそうだし、それなら全部話したほうが後々面倒が無くて済むはずだ」


加賀「……そう」


提督「皆もそれでいいか?」


金剛「もちろんネー!テートクの決めた事ならなんでもウェルカムデース!」

榛名「はい!この榛名、提督にどこまでも付いて行きます!」

夕立「この間タムズをメチャクチャにした奴と戦うの?もちろん賛成っぽい!」

北上「まー、いいんじゃない?」

大鳳「それはいいのだけれど、ま、まさかここにしばらく住まなきゃならないなんてことは……」


バルト「おいおい、なんだか偉くはりきってるようだがよ、お前らがどこから来たか、ってのはそんなに大事な事なのか?」


提督「そりゃもう大事なんてモンじゃないぞ。なにせこの星を越えて、宇宙、時空の果てまで話が飛ぶんだからな」


  ***

今週はここまで、ではまた来週。

お待たせしました。今週の投稿を始めます。

提督「……で、その夜の事、気が付いたら俺達はまとめてコンテナに詰め込まれ、海で漂流していた所をタムズに拾ってもらった訳だ」


フェイ「地球……。なんだかとても懐かしい気がする名前だ」


ビリー「まさか、そんな事が本当にあるんでしょうか」


バルト「全くだ。流石に話がぶっ飛びすぎてるぜ。何か今の話の証拠はないのかよ」


シタン「若くん、よく考えてください。彼らにここで嘘をつくメリットはありません」


バルト「先生はこんな話いきなり聞かされて信じるってのかよ?」


シタン「わたしは以前話を聞いていましたので。と言っても、ここまで詳細なものではありませんでしたが」


バルト「なんだそりゃ!おいフェイ、おめーはどうなんだよ?こいつらが別の世界から来たって話、信じられるか?」


フェイ「あ、ああ。先生の言うとおり、こんな嘘をつくようなやつらじゃないだろ」


バルト「そうかも知れねえけどよ」


フェイ「バルトは信じないのか?お前だって何度もユグドラシルを守ってもらった事があっただろ」


バルト「……ちっ、わぁったよ」

シタン「それにしても、艦娘かあ!まさか装備のみならず、彼女達そのものが兵器だったとは、いやはや……」


加賀「……」


シタン「ああ!す、すみません。つい余計な事を……」


加賀「……いえ、それはいいのだけれど」


提督「ほら加賀さん、この話する度に鎮守府の事心配してたら身が保たねえぞ」


加賀「……そうね」


マリア「艦娘。戦うための、兵器……。とてもそうは見えません」


ゼファー「ともあれ、話は分かりました。それでは」ドゴォン


フェイ「む……!?なんだ、今の衝撃は……!?」


提督「こいつぁ……」


夕立「爆発っぽい?」


マリア「女王様ッ……!今のは、まさか敵の……!?」


シェバト兵「た、大変ですっ、女王様!!」


ゼファー「何事です?」

シェバト兵「はい、それが……何者かがドック・エリアに侵入!障壁発生器が爆破されました……!」


フェイ「なんだって!?」


ゼファー「被害状況は?」


シェバト兵「は、はい!子機が破壊されて……障壁展開率、通常の70%にまで落ちています!
全力で、消火、復旧作業にあたっておりますが……、今しばらく時間がかかりそうです!」


ゼファー「侵入者はどうしました?」


シェバト兵「はい、単独で潜入したと思われるゲブラー兵は、17格納庫方面へ逃れたもようです!」


マリア「17格納庫!?ゼプツェン……!!」ダッ


提督「ゼプツェン?」


マリア「待ちなさい、マリア!あなたひとりでは危険です」


マリア「でも……、ソラリスのスパイを放っては……!」


シェバト兵「女王様、シールド発生機の消火の方も、手一杯です。下手をすると、更に被害が大きくなる可能性も……!」


マリア「だいじょうぶです、わたしひとりで行きます……!!」


ゼファー「ゼプツェンのないおまえに、一体何が出来ると言うのですか、マリア?」


マリア「……!それは……」

フェイ「それなら、俺達がマリアと一緒に降りようか?ゲブラーのヤツらだろ?あいつらには、こっちも頭に来てるんだ。
相手になってやるよ」


金剛「テートクゥ、ゲブラーって何ですカ?」


提督「えーと、ソラリスが地上を監視するために作った組織だったかな」


金剛「シーット!まーたソラリスの奴らですカー!」


榛名「タムズに続いてシェバトまでも……!許せません!」


提督「……と、言う事だ。俺達もマリアのお供をさせてくれ。ソラリスの手先じゃないってことも証明したいしな」


フェイ「ああ、俺はかまわないけど」


ゼファー「……お願いできますか、フェイ、提督。マリアを頼みます。どうか、くれぐれもお気をつけて」


提督「よし来た。それじゃ金剛、榛名、夕立は付いて来い。残りは王宮を固めてくれ」


北上「えー!提督、私も行きたいんだけど?」


提督「お前な、ここは空の上だぞ?自慢の魚雷も役に立たんだろうが」


北上「……あー、確かに」


加賀「では、私達は上空の偵察に出るわ。敵が一人だけと言う事はないはずです」


提督「そうだな、頼む」


フェイ「さあ、それじゃ行こうか、マリア」


マリア「それでは、あらためてよろしくお願いします、みなさん」


金剛「任せるネ、マリアー!大船に乗ったつもりでいるといいヨー!」ギュッ


マリア「きゃあ!」


  ***

今日はここまで。ではまた来週。

お待たせしました。今週の投稿を開始します。

~地下ドック行きエレベーター~


フェイ「なあ提督」


提督「ん?」


フェイ「あんたは戦えるのか?さっきの話を聞く限りじゃ、あんたは指揮官で、直接戦ったことはないんだろ?」


提督「心配すんな、さっき行きがけに銃借りてきたからな。使い方も教わってきたぜ」ジャコッ


夕立「提督さんは銃使ったことあるっぽい?」


提督「士官学校の射撃訓練以来だな。ま、大丈夫だろ」


フェイ(本当に大丈夫なのか?)


マリア「そ、そんなことより、金剛さんを何とかしていただけませんか?」モゾモゾ


金剛「ンー、マリアのヘアーは癒されるネー」モフモフ


提督「お前またやってたのか……大体どうして急に」


 ガコン!

提督「うおっ!」


榛名「きゃあ!何事ですか!?」


フェイ「止まったぞ!」


夕立「……動かないっぽい」


提督「ほれ見ろ、お前がマリアを困らせるからだ」


金剛「ワット!?わ、私のせいデスカー!?」バッ


フェイ「いや、絶対違うと思う」


マリア「ちょっと調べてみますね」


マリア「……ダメだわ。防御シャッターが閉じてしまっている……」


金剛「そんなもの、私の主砲で一撃ネー!」ガシャ


提督「却下だ。こんな閉所で主砲なんぞ撃ったら皆吹き飛んじまう」


フェイ「格納庫に降りるのに、別のルートはないのか?」


マリア「非常用のシャフトを使えば下に降りられると思いますが、ふだん使われていないので……」


フェイ「構わないよ。こんなとこでグズグズしてられないだろ?」


榛名「そうですね。これ以上ソラリスの攻撃を許さないためにも、一刻も早く先に進むべきだと思います」


提督「ま、選択の余地はなさそうだな」


マリア「はい、わかりました。シャフトの入り口はすぐ上の……」ウィーン


マリア「ここです。ここからシャフト内部に入れば、下に降りられるはずです」


フェイ「よし!それじゃ、行こう!」


  ***

提督「よっ、と」スタッ


提督「ここがシャフトか。お前ら足元崩れてるから気をつけろよ」


夕立「そーんなどんくさくないっぽい!」スタッ


金剛「意外と広いデース」


提督「そりゃ非常用とはいえ人が通るように作られてるからな」


榛名「所々崩れているのは、やはり以前の戦争が原因なのでしょうか」


提督「流石に500年前の被害を未だに修理してないってのはないんじゃねえか」


フェイ「いつまでおしゃべりしてるんだ。さっさと行こうぜ」


提督「おっと、そうだった」


夕立「なんか迷路みたいでワクワクしてきたっぽい!」


  ***

提督「で、分かれ道か」


榛名「右と左、どちらが下に続いているのでしょう」


金剛「マリアは何か知りませんカ?」


マリア「確か、左の突き当たりにシャフト下層の地図があったはずですが……」


フェイ「む、両側から何か来るぞ」


ティアーズ×2「シャコシャコ」


提督「……え、何あれ」


夕立「ちょっと趣味悪いっぽい」


マリア「恐らくは侵入者撃退用の装置ではないかと」


提督「撃退どころか殺害する気満々だろ!両腕刃じゃねえか。しかも明らかにこっち狙ってきてるし!」


マリア「異物は全て敵と認識しているのでしょう。恐らく」

フェイ「仕方ない、左を頼む……はあッ!」ダッ


提督「あ、おい!……見かけによらず血の気の多い奴だな」


マリア「わ、私も!えい、えい!」ポコポコ


提督「おお、何か泡が一杯出てきた……じゃなくて!下がってろマリア!」タタンッタタンッ


ティアーズ「シャコシャコ」カンッカンッ


提督「げえ、全然効いてねえ」


マリア「くっ、ゼプツェンさえ呼べれば……!」


金剛「テートクゥ!ここは私達の出番ネー!」ガシャ


提督「ちょっと待てストッ」

金剛「ファイヤー!」ドォン


ティアーズ「シャ」ドゴォォォン


金剛「オォウ……」


榛名「通路が……」


夕立「敵ごとぺしゃんこっぽい」


提督「あっちゃあ……」

フェイ「こっちは終わったぞ。そっちは……なんだ、こりゃ」


提督「見ての通りだ。すまん。地図は諦めるしかないな」


金剛「私としたことが……申し訳ないデース」


提督「まあ、やっちまったもんはしょうがない。とりあえずの所、通路を出るまでは金剛と榛名は砲撃禁止だ。夕立、頼むぞ」


夕立「ふふん、きっちり狙い打ちっぽい!」


マリア「こ、金剛さん、気を落とさないで下さい。下へ続く道は右側ですし、地図がなくても何とかなりますよ」


金剛「うう、マリアは優しい子デース」


  ***

今週はここまで。それではまた。

お待たせしました。今週の投稿を始めます。

フェイ「……」


マリア「……」


提督「……」


金剛「……ムム!」


提督「どうした金剛」


金剛「正面通路に感アリネー。何かがこっちに向かって来マース」


フェイ「数は?」


金剛「アー、1、いや3ネー」


フェイ「……よし、任せろ」ダッ


夕立「提督さん!」


提督「よし、夕立も行って来い。なるべくフェイを敵と一対一になるように支援してやれ」


夕立「了解!っぽい!」ダッ

提督「金剛も引き続き索敵を頼む。榛名、後方はどうだ?」


榛名「今のところは何もありません」


提督「わかった。そのまま後方に集中しててくれ。いつの間にか挟み撃ちってのは御免だからな」


榛名「はい、榛名にお任せください!」


マリア「……凄いですね」


提督「ん?」


マリア「目で見えないほど遠くの敵を数まで把握してしまうなんて……」


提督「ま、電探積んでるからな」


マリア「電探?」


提督「レーダーの事だよ。ほら、あの頭に載ってるピコピコ動いてるやつ」


マリア「あれにそんな機能があったんですね」


提督「本来は対水上用なんだけどな。陸でも機能してくれてよかったぜ」

マリア「……やっぱり、そうなんですね」


提督「そうって、何が?」


マリア「さっきの話です。あの人たちは艦娘っていう、兵器として生まれた存在だって……話だけでは信じられませんでしたけど、
一撃で通路を吹き飛ばすような砲撃をしたり、レーダーが付いてたりしているのを見ると……」


提督「普段は人間と全く変わらんからなあ。無理もない。俺も鎮守府に来て最初に電と会った時には……」


マリア「?電というのは?」


提督「あ、い、いや、ははは。それよりマリア、俺もさっきの話で聞きたい事があったんだが」


マリア「はい、なんでしょう」


提督「ゼプツェン、つったっけ。話しぶりから見るにギアか何かなんだろうけど、一体何なんだ?」


マリア「……その通りです。ゼプツェンは私の……ソラリスの研究所で父さんが開発した、世界でたった一つのギアです」


提督「ソラリス?ソラリスって、じゃあ」


マリア「はい。父さんは今もソラリスに捕らわれたまま……バルお爺ちゃんが助けてくれなかったら、私もゼプツェンもここにはいなかったと思います」


提督「……」

マリア「あれから3年も経ってしまいました。お爺ちゃんや女王様に止められてさえいなければ、すぐにでも父さんを助けに行くのに……。
ゼプツェンならソラリスのどんな奴にだって負けはしないのに……。ぜったい……!」


提督「そりゃ女王が正しいぜ。いくらなんでもギア一機で何とかなる訳がない」


マリア「やってみないとわかりません!今こうしている間にも、ソラリスで父さんは……」


提督「……なあ、焦る気持ちは分かるけどな、マリア」ポンポン


マリア「っ子供扱いしないでください!」バシッ


提督「わ、悪い。そんなつもりは無かったんだが」


マリア「どうして?どうして皆わたしを止めるの?父さんのことなんか、もうどうなっても構わないの……?見殺しにするの?
私は許さない、父さんを苦しめた奴を、それを黙って見ていた人も……!」


提督「なんで止めるの、か。そんなの決まってるだろ?マリア」


マリア「……もう、いいです。提督なら分かってくれると思ったのに」タッタッタ


提督「分かるって何を……おいマリア!」


金剛「ワ、ワット!?マリアー!私より先に行ったらノーデース!」


榛名「て、提督、マリアさんと何かあったんですか?」


提督「まあ、ちょっとな。地雷踏んだ」


榛名「じ、地雷?」


  ***

今週はここまで。ではまた次週。

大変お待たせしました。繁忙期と私用と風邪が重なってえらい忙しさになってましたがなんとかなりました。

  ***


~最下層 ドック・フロア~


夕立「はー、やっと着いたっぽい」


榛名「ここは……先ほど封鎖されていた隔壁のすぐ下でしょうか」


金剛「想像以上にデンジャーな場所でしたネー」


提督「まさか途中で外に繋がってた上に、足場代わりに外壁に飛び出してるプロペラを飛び移るなんてマネまでさせられるとは思わなかったな。
いや全く、大鳳がいたらどうなってた事か……」

提督「じゃなくて!どこに敵が潜んでるかわからねえんだからまだ安心するんじゃねえ。金剛、周囲の状況」


金剛「もちろんさっきからチェックしてマース!今のところは何かが動いているような反応はナッシンネー」


提督「となると、警戒すべきは何かしらの罠だな。ここは慎重に」


フェイ「マリア、ゼプツェンがある格納庫ってのはあっちだったよな」


マリア「はい、その通りです」


フェイ「分かった」スタスタ

提督「ちょちょちょ、どうする気だよ!」


フェイ「ゆっくりしてる暇なんてないだろ。なら、こうするだけさ」タッ


提督「おい!……ったく、意外と思い切った奴だったんだな!」ダッ


金剛「あっ、テートクゥ!」


提督「こうなっちゃ仕方ない。さっさと追うぞ」


金剛「シット!しょうがないデース、マリア、私の後ろからしっかり付いてきて下さいネー!」


マリア「はい、急ぎましょう」


  ***

  ***


提督「や、やっと追いついた……」ゼェゼェ


フェイ「……」


提督「こんな所で突っ立って何を……おわ!なんだよこのでっかいギア」


フェイ「こいつがゼプツェン、マリアのギアだ」


提督「こいつがか。つーことは、ここが第17格納庫なのか?」


フェイ「ああ、だが敵は……」


マリア「侵入者はどこ……!?」


榛名「落ち着いてください、マリアさん」


金剛「無事ですカテートクゥ……ワット!?このビッグなギアは何ですカー!?」


提督「こいつがマリアのギアだとさ」


夕立「と言う事は」


提督「ああ、ここのどこかに敵がいる。気をつけろ」


?「ふん、誰かと思えば……またお前か。ご苦労な事だよ」

マリア「……!?誰ですか!」


金剛「ビッグなギアの肩デース!」


フェイ「ドミニア!」


提督「ドミニア?」


ドミニア「それに後ろのお前達は……そうか、あの時の。あのまま海賊の一味になった、と。そういうことか」ククク


提督「ん?ちょっと待て、俺はあんたみたいな褐色美人は知らないぞ」


榛名「びっ……」


フェイ「……タムズでユグドラシルが襲われたとき、あんたたちが助けてくれただろ。あいつはあの時の敵ギアのパイロットだ」


提督「あん時のでっかい剣持ったギアか。つーことは、こいつが侵入者か」


金剛「正面から堂々と現れるとはいい度胸デース!」ガシャ

榛名「榛名、容赦しません!絶対に、必ず、確実に、何があろうとも!」ガシャ


提督「ストップ。あの位置じゃマリアのギアにも損傷が出るだろ。つーか榛名はなんでそんなにやる気満々なんだ」


フェイ「お前達に、そいつを渡すわけにはいかないな!」


ドミニア「ふん、ならば力ずくで止めてみな!」

マリア「くっ……ゼプツェンは渡しません!」


ドミニア「ん……?そこにいるガキは……おい、お前、ニコラの娘か……?」


マリア「たしかにわたしはニコラの娘、マリア・バルタザールです!それが、どうかしましたか……?」


ドミニア「なるほど、おまえが、ニコラが身を挺して逃がした愛娘ってわけか……」

ドミニア「おい小娘、面白い話を聞かせてやろうか?そうだな……ゼプツェンの呪われた秘密というのはどうだ?」


マリア「……!?それは、どういう意味です?」


ドミニア「さあ、どういう意味かな、話を聞きゃあ、おのずとわかるよ……」


提督(そう言って褐色銀髪の姉ちゃん、ドミニアが語りだした話の内容は、要約するとこんな感じだった)

提督(ソラリスは次世代兵器開発のプランとして、『人と機械を融合』させることを思いついた。レバーで機械を動かすより、
脳みその信号を拾って操縦したほうが素早く正確に動かせるから、って理屈らしい)

提督(とは言っても、そんなものがたやすく実現するはずがなかった。当たり前だよな、鉄と脳みその相性なんて見るからに最悪だし)

提督(ところが、そんなムチャクチャをマリアの父さん、ニコラ・バルタザールは可能にしちまったらしい。その試作機がゼプツェンなんだそうだ)

提督(ついでに、そのサンプルデータの採取の為に、アヴェとキスレブの戦争が泥沼化するようにソラリスが裏で手を引いていたそうだ)

提督(そのデータを元にソラリス本国で人体実験を行った結果、出来上がったのが死霊なのだという話もしてくれた)


榛名「そんな……」


夕立「流石に引くっぽい」

マリア「ウソです!!父さんが、そんなひどいことを……!!」


ドミニア「わたしはウソはつかないよ、マリア。こいつは、真実だ。
あんたの立派なお父様は、人と機械の融合に成功し、地上人にとっての地獄の門を開けちまったってわけさ」

ドミニア「そして、ゼプツェンの神経回路には……」


?「そのくらいにしといちゃどうだい、ドミニア?」


ドミニア「だれだ!?」


?「どうして女ってのはこうもお喋りなんだろうなあ?いらねえ事までペラペラとしゃべくりやがって、まったく……」


ドミニア「ジェサイア!?」


提督「ジェシーの親父さん、いつの間に」


夕立「提督さん、お知り合いっぽい?」


提督「知り合いも何も、一緒にユグドラシルに乗ってたぞ。ほとんどずっとガンルームで飲んだくれてたから気づかなかったんじゃないか」


榛名「……確かに、あんな格好のおじさまがずっと飲んでいらした様な……」


金剛「いつもいるから掃除の邪魔だったネー」


ジェシー「全く、こっちの女どもも容赦ねえなあ」

ドミニア「貴様、かつては次期ゲブラー総司令官とさえ目されていた貴様が、シェバトで何を!?」


ジェシー「そう熱くなりなさんなって、美容によくないぜ、ドミニア。大人にゃ大人の事情ってもんがあるんだよ。
ガキにゃわからねえだろうが、な」


ジェシー「火遊びはここまで、だ。今日のとこは、このままおとなしく帰んな。ゼプツェンはマリアじゃなきゃ動かせねえぜ。
それくらいのことは、お前さんだって百も承知のはずだ」


ドミニア「ふん、バカ共め!いきがるのも今のうちだ。パーティはこれから、さ」スッ


提督「待てよ、逃がすと思うか?」カチャ


ドミニア「愚かな、きさまのようなエーテルも持たないクズが、いったい何をしようというのだ?
そんなチンケな銃でこのわたしを止められるとでも?」


提督「……くそっ」


ドミニア「それでいい。部外者のきさまはおとなしくしていろ。それじゃ、マリア。今日はこれで失礼する」


マリア「……」


ドミニア「楽しいダンス・パーティーを」ククク


フェイ「待てッ!ドミニア!」


金剛「提督ゥ!追いかけるネー!」


提督「やめとけ、ここの防衛には成功したんだ」

マリア「父さん……」


フェイ「なあ、マリア。気にするなよ……あいつの言ったことなんか」


榛名「マリアさん、気をしっかり持ってください。まだ何があるかわかりません」


マリア「……」


 ドォォ……ン


提督「っとと」


フェイ「こいつは……!?」


夕立「今度は上から聞こえたっぽい!」


ジェシー「さあ、お客さんがおいでなさったようだ。上にあがろうぜ」


提督「城壁が破られたら息つく間もなく侵攻か、やれやれだな」


榛名「どうなさいますか、提督」


提督「無論、迎え撃つ。俺達が今後活動していくのにシェバトとの協力関係は必要不可欠だからな」


ジェシー「しかし、どうもイヤな予感がしやがる……」


マリア「ゼプツェン……」


ジェシー「……まさか、な」


  ***

とりあえずここまで。
未だ繁忙期真っ只中のため、八月中はこのまま不定期投稿とさせてください。それでは。

お久しぶりです。八月中にどこかで一度くらい投稿したかったのですが、全く暇がありませんでした……。九月からはまた毎週更新していきますので、どうかよろしくお願いします。
それでは、今週の投稿を始めます。

~王座~


提督「ただいま」


大鳳「あ、おかえりなさい、提督。皆さんも。格納庫の方はどうでしたか?」


提督「何とか追っ払ったよ。それよりもこっちの様子はどうだ?さっき妙な振動があったが……」


大鳳「それが、その」


加賀「上空を偵察中に正体不明の大型ギアに遭遇しました。応戦したのですが、敵にダメージが通った様子はなく、こちらの艦載機はほとんどやられてしまいました」


提督「偵察中にって、ここは雲の上だぞ?こんな所まで飛べるギアがあるってのか」


ゼファー「驚くような事ではありません。地上のギアとは違い、我々シェバトやソラリスのギアはその程度の飛行能力を普通に有しています」


提督「へえ、流石にこの世界を牛耳ってるだけのことはあるな」


大鳳「すみません、提督。大鳳はもう戦う事も……」


提督「補給のめども立たない状態がずっと続いてたんだ、仕方ないさ。いつかはこうなってただろうし」


大鳳「提督……」


シタン「そうですね、それに、お陰様で敵の構成もある程度把握できましたし、彼らが上に戻るまでの時間も稼げました。そう悪いことばかりでもありませんよ」


大鳳「シタン先生まで……ありがとうございます」

ジェシー「そんなことよりもよ、俺ぁその『正体不明の大型ギア』ってのがさっきから気になってしょうがねえんだが。どうもいやな予感がしやがるからよ」


シタン「そうですね。そのあたりも含めて、今われわれが置かれている状況をまとめてお話しましょう」


フェイ「頼むよ、先生」


シタン「まず、先ほどの話にあった正体不明のギアを含め、ソラリスのギア部隊が急速でシェバトに接近しています。
連中の狙いは、まず4つのゲート・ジェネレーターとみていいでしょう。あれがなければ、シェバトは丸裸になりますからね」


夕立「さっきの人が言ってた『ダンス・パーティ』って言うのはこのことっぽい?」


シタン「恐らくそうでしょう。ドミニアの破壊工作で障壁の出力が弱まっている今、一気にケリをつけてしまうつもりなのかもしれません。
対するこちら側ですが、すでにシェバトの迎撃部隊が緊急発進したそうです。しかし……シェバトの人間はギア戦に慣れていませんからね、はたしてどこまでもつか……」


北上「あれ?この国ってソラリスとずっと戦ってたんじゃないの?」


ゼファー「ええ、しかし数年前に起こったソラリスとの最後の防衛戦の折、わが国の兵力はほとんど壊滅してしまったのです」


ジェシー「そういやそんなこともあったな。なあヒュウガ?」


シタン「え、ええ、そうですね」


フェイ「?」


提督「?」


シタン「そ、その話はともかく、このままいけばソラリス軍がシェバトに取り付くのは時間の問題です」


フェイ「ああ、わかってるよ、先生。俺達が、出る!ここの人たちをみすみす見殺しになんかできない」


ゼファー「フェイ……」

バルト「ただ働きはゴメンだが、連中の前で尻尾を巻いて逃げ出すのはもっとゴメンだ!どんなヤツが来るにせよ、俺様のブリガンディアでぶっ飛ばしてやらあ!」


ビリー「ボクたちでこの国の人たちを守りましょう」


リコ「ふん、連中にリコ様を怒らせるとどうなるか、たっぷり教えてやるとするか」


夕立「提督さん、夕立もお手伝いしたいっぽい!」


提督「だな」


金剛「さっきはあまりお役に立てなかったからネー、その分しっかり働きマース!」


ジェシー「おうおう、いいぞ!頑張れ若人!しっかり頼むぜ。なにせ、俺様の命も懸かってるんだ。まだ、こんなとこでくたばりたくねーからな」


ビリー「うるさいな、黙っててくれよ親父は!」


金剛「そうデース!酔っ払いは大人しく……ワワワワット!?」


ジェシー「へいへい、わかりやしたよ」


金剛「……テートクゥ、今、ビリーが親父っテ……」


提督「ああ見えて親子だからな。そりゃそうだろ」


金剛「と言う事は、プリメーラも……」


提督「ん?そりゃビリーの妹なんだから当たり前だろ」


金剛「……あのビーストなフェイスからあんなキュートなボーイとガールが……信じられないデース」


ジェシー「ちぇ、最近のガキゃどいつもこいつも可愛げがねえでやがる」

チュチュ「よーし、チュチュも頑張るでチュよぉ!」


北上「うわ、びっくりした!」


フェイ「……?頑張るでチュって……なんでチュチュがここにいるんだ?ユグドラシルに置いて来たはずだろ?」


エリィ「それがどうも、どさくさに紛れて付いてきちゃったみたいなの」


フェイ「まいったな、遊びじゃないんだぞ」

フェイ「危ないからユグドラシルに戻ってろよ。な、チュチュ?いい子だから」


チュチュ「ふっふっふー、チュチュ、いい子しゃんじゃないでチュよ。もう、危ないお年頃なんでチュ」

チュチュ「それにチュチュだって、ちゃんと頑張れるでチュ!みんなと一緒にいるでチュよ。ね?ね?」


フェイ「ちぇ、しょうがないな……。怖い目にあっても知らないぞ」


提督「ほー、いつもは割と脳筋度高いフェイにこんな保護者っぽい一面があるとはな」


フェイ「う、うるさいな、ほっといてくれよ」

マリア「あなたもチュチュって言うのね。この街には、あなたの仲間がいっぱい住んでるわよ。後で私と一緒に会いに行きましょう?」クスクス


チュチュ「ほ、ほんとでチュか?みんながここにいるでチュか?」


北上「ん、町の方に一杯いたよー?」


チュチュ「わーい、ついに見つけたでチュ!!チュチュの仲間、ちゃんといたでチュ!!」


榛名「……マリアさん、なんとか元気になったみたいですね」


金剛「ンー、まだわからないネー。無理してるだけかも知れないデース」


大鳳「あの、下で何かあったんですか?」


金剛「ソラリスのエージェントにお父さんのことを色々言われただけネー」


榛名「その前に提督が地雷も踏まれたようですし……」


大鳳「え、エージェント?地雷?」


チュチュ「さあ、気合入れて行くでチュよお。ガンバらなきゃダメでチュからねえ、みなしゃん!」


  ***

今回はここまで。ではまた来週。

お待たせしました。昼休みの間にささっと投稿しておきます

シタン「さて、それでは、敵のギア部隊についてですが……。先ほど説明したように、4部隊がそれぞれ個別にジェネレーターを目指して接近中です。
これらのギアに関しては、機体のタイプ、性能など、ある程度の事はシェバトの得た情報から分かるのですが……」


提督「問題は加賀さんと大鳳が当たった正体不明のギア、か」


シタン「ええ。どうもこのギアが敵の指揮官のようですね。接近してくる他のギア部隊の後方に控えているようです」


ゼファー「いま、映像を出しましょう」ブゥン


加賀「!!」


大鳳「よくも……!」ギリ


マリア「こ、これは……!?」


夕立「真っ赤っ赤でちょっとおっかないっぽい」


フェイ「こいつは、まさか!」


榛名「色こそ違いますけど、この機体の外見は……」


バルト「なんだあ、この薄っ気味悪いギアは?おまえ、何か知ってるのか、マリア?」


マリア「……アハツェン。父さんの設計したギアの2号機……」

マリア「ゼプツェンの、兄弟機なんです」

バルト「なんだと!?」


リコ「なるほど、通りでゼプツェンとソックリなわけだぜ」


マリア「でもまさか、アハツェンが完成されていたなんて……!ゼプツェンの他にはもう二度とギアは造らないって、
父さんは設計図を燃やしたはず……!それがどうして……!?」


?『聞くがいい!シェバトの人間ども!』


マリア「この声……父さん!?」


提督「あのギアからか!」


ニコラ『おもしろいネズミどもが、そこに逃げ込んだと言う話だな。アハツェンのテストには丁度いい、シェバトもろとも叩き潰してやろう!
さあ、出てくるがいい。薄汚いネズミども、私の可愛いモルモット達よ」


マリア「そんな、父さんが、どうして!?」


ゼファー「落ち着きなさい、マリア!本当にあれにニコラ博士が乗っているとは限りません!」


マリア「でも、でも!父さんの声が!」


ゼファー「しっかりしなさい!あなたは戦う前から敗れるつもりですか!あなた達親子を苦しめたソラリスに?」


金剛「マリア、クイーンの言う通りデース」


加賀「……そうね。あの声の正体が何であれ、今の私たちにできるのはシェバトを守ることだけなのではないかしら」

マリア「……だけど……」


シタン「さあ、いいですか。こちらの打つ手を考えましょう!何としてもギア部隊を迎撃して、ジェネレーターを守らなくてはなりません」

シタン「その為には、こちらも四手に別れ、攻めて来る敵を迎え撃つのが得策でしょう。我々のうちの4人は出撃し、
各自受け持ちのジェネレーターを単独で死守する!その間、残りの者はこちらで待機。これでいきましょう」


ゼファー「マリア、あなたはここで待機していなさい」


シタン「……。お願いします、マリアさん」


マリア「……はい。わかりました」


提督「何もそれぞれ単独で向かうことはないんじゃないか?ここの守りは俺達に任せてくれていいぜ」


シタン「いえ、あなた方にはその間に、下の町に残った市民の避難、及び町の防衛を行って頂きたい」


北上「んー?敵の狙いはじぇねれーたー?って奴ならさ、そっちを全力で守るべきだと思うんだけど」


シタン「それは確かですが、万が一がないとは言い切れませんからね。用心に越したことはありませんよ」


提督「……まあ、そういうことなら。よし、それじゃそっちは引き受けた」

シタン「それでは、市街地での指揮は提督にお任せします。下層部に兵士が詰めているはずですので、そちらと協力してことに当たって下さい」


提督「了解だ」


ゼファー「皆さん、頼みます。シェバトの民をどうか守ってください」


榛名「はい!この榛名、お受けしたからには体を張ってでも守ってみせます!」


大鳳「大鳳も、出来る限りの事をして民衆を守ります!」


北上「私もそろそろいいとこ見せないとねー。ま、任せちゃってよ」


加賀「……決まったのなら、急いで出発しましょう。住民が避難する手間を考えると、あまり時間の余裕は無いでしょうから」


提督「だな。そんじゃ早速行くぞ、皆付いて来い!」ダッ


第一艦隊「おー!」ダダダ


シタン「……行きましたか。こちらも急いで準備を整えましょう。具体的な敵の部隊編成ですが……」


  ***

とりあえずここまで。続きは土日のどちらかに投稿します。それでは。

お待たせしました。投稿を始めます。

~アウラ・エーペイル~


加賀「……静かね」


夕立「敵はまだ来てないっぽい?」


提督「そうみたいだな」


北上「それで、今回の作戦は?何か考えてあるの?」


提督「うーん、見ての通りだが、この町は南北の出入り口以外は道すらない、橋の上に造られた様な地形だ。とりあえず出入り口を固めとこう」


金剛「それなら!」


榛名「榛名たちの出番、ですね」


提督「そうだな、金剛は北、榛名は南を頼む。敵が来たら知らせてくれ」


金剛「ラジャ!」


榛名「提督は安心して住民の避難を指揮して下さい!」


提督「よし、残った4人は避難する住民の護衛だ。まずは……」

『おおい、そこのあんた!あんたが提督か?』


提督「な、なんだあ?どっから聞こえてくるんだ?」


大鳳「う、上です!上空にギアが!」


夕立「っ!」ガチャ


加賀「待ちなさい」スッ


夕立「加賀さん邪魔っぽい!」


加賀「敵が提督の名前を呼ぶことはないと思うけれど」


大鳳「このギアはシェバトの制式ギア、でしょうか」


北上「白くて細くて鳥っぽいねえ」


提督「おーい!確かに俺が提督だが、あんたは?」


パイロット『やっぱりか!俺は反ソラリス部隊のモンだ。ゼファー女王直々の命令でな、あんたを手伝うようにってさ』


提督「そりゃ大助かりだ。今からここの住民を王宮に避難させるんだが、その為の人手を集めたくてな。ここに兵士が詰めてるって聞いたんだが」


パイロット『そういう事なら任せときな。俺がひとっ走り呼んできてやるぜ』


  ***

  ガヤガヤ

大鳳「皆さん落ち着いて。まだ時間はあるのでゆっくり進んで下さい」


北上「先頭にうるさいお兄さんがいるからそれに付いて行ってねー」


反ソラリス兵「よおし、皆しっかり付いてこいよ!俺様が責任持って王宮まで送ってやるからな!
なあに、もしソラリスのヤツがやってきても大丈夫だ!この俺様のサイラス・パンチがありゃな!ワハハハハ!」


夕立「ほんとにうるさいっぽい……」


提督「目印としては分かりやすくていいんじゃねえか?」


夕立「あれを歩いてる間中ずっと聞かされるのは敵わないっぽい……」


提督「悪いが我慢してくれ。通信手段と戦闘力の兼ね合いがあるから他の奴に殿を頼むわけにもいかないんだ」


夕立「……しょうがないっぽい。行って来ます」トボトボ


提督「……戻ってきたら褒めてやるか」


パイロット『提督よお、今ので避難民は最後だ。町の住民は全員いなくなったぜ』


提督「本当か?同じことをあと3往復はしなきゃならんと思ってたんだが……ちょっと少なすぎないか?」


パイロット『マジで全員さ。元々こっちに住んでる人間はそこまで多くなかったからな』

提督「わかった、ありがとう。後はそのギアで上空を見回っていてくれ」


パイロット『あいよ!』


提督「聞いての通りだ、お前ら。残るはこの町の防衛のみ!」


北上「とは言ってもねえ、本当に敵来るの?」


金剛『敵の反応なんてずっとナッシンネー』ザザ


提督「さて、そいつは微妙なとこだな」


北上「微妙って……それなら今からでも向こうの助太刀に行った方がいいんじゃないの?」


榛名『私たち、やはり信用されてないのでしょうか』


提督「そいつは違うぞ。信用されてなかったらここの守りなんて任されてないだろうし、例え万が一でも攻撃される可能性があるならここは守らなきゃならん。
ねぐらを守るってのはそれだけ重要な事なんだよ。お前らが出撃したときの気持ちになって考えてみろ」


榛名「……なるほど、そう言われると理解できる気がします」


金剛『鎮守府が攻撃されそうなのに別の所に出撃しろなんて命令、聞けそうにないネー』


提督「そうだろうよ。分かったら金剛と榛名は引き続き警戒。空母2人は偵察機飛ばして上空から偵察。北上は夕立が戻るまで俺と町の中央で待機だ」

提督(後はなるようにしかならない、か。向こうの戦闘が気になるが……マリアは大丈夫かな)


  ***

今週はここまで。ではまた来週。

お待たせしました。今週の投稿を始めます。

北上「~♪」


夕立「……」ソワソワ


提督「……」


夕立「金剛さん、敵は来てないっぽい?」


金剛『反応ナッシンネー』


夕立「榛名さん」


榛名『いえ、こちらにもまだ来ていませんよ』


夕立「……加賀さん、大鳳さん」


大鳳『上空にも変化はありません。何かあったら知らせますから、少し落ち着いてください、夕立さん』


夕立「ぶー、つまんないっぽい」


提督「何回目だよそのセリフ。いいから集中しとけよ、いつ敵が来てもおかしくないんだから」


夕立「はーい」

提督「加賀さん、向こうの戦闘がどうなってるか見えるか?」


加賀『……4箇所とも破壊されてはいないわ。こちらが優勢のようね』


提督「よし、なんとかなりそうだな。また向こうで変化があったら知らせてくれ」


加賀『わかりました』


北上「結局、こうやって案山子みたいに立ってるだけで終わりかあ」


提督「それでいいじゃねえか。お前ら忘れてないだろうな、まだあのでっかい赤いギアが残ってるんだぜ」


夕立「もちろん忘れてるわけないっぽい」


榛名『……あのギア、マリアさんのお父様が乗っているかもしれないんですよね』


提督「どうだかな。人型ロボットを飛ばせる世界なんだし、声だけならどうとでもなるんじゃないか」


金剛『ヴォイスはそうかもしれないデース。けど、あのギアがマリアのファザーが設計したギアだって事は本当みたいネー。だとすると……』


北上「それだけでもあの子にはちょっとキツイかもねー」


金剛『ゥー、不憫な話デース。何とかしてあげたいネー』

北上「そんなこと言ってもさ、私たちが出来る事なんてなくない?マリアの家族の問題なんだし」


夕立「簡単っぽい。あのギアを壊してお父さんだけ助け出してあげれば解決っぽい」


北上「そのお父さんが本当にあのギアに乗ってるかわかんないんだってば……」


提督「おいこら、いい加減真面目に警戒してねえと本当に不意打ち食らっちまうぞ」


金剛『ドンウォリィ!もちろんおしゃべりの間もちゃーんと周りをチェックして……』


大鳳『提督』


金剛『っ!?』ビクッ


提督「どうした大鳳」


大鳳『どうやらジェネレーター防衛に成功したようです。ソラリスの部隊が撤退していきます。こちら側に目立った損害は見当たりません』


提督「よしよし、なんとか凌いだな」


加賀『提督、シェバト直上に例の赤い機体が』


提督「何?真上って……」

アハツェン「……」


提督「あそこか。部隊を下げといて今更何を……」


大鳳『て、提督!先ほど支援に来ていたギアが赤いギアに向かっていきます!』


パイロット『おおおおおおっ!』イィィィン


金剛『無茶ネ!スペックもよく分かってないエネミーに!』


榛名『何とかして制止しないと!』


提督「おい!聞こえてるか!おい!……ダメだ、無線が届かねえ」


大鳳『そんな!どうすれば……』


夕立「こっちも高いとこに昇るっぽい!」


榛名『王座の間まで戻りましょう!あそこが一番近いはずです!』


提督「よし、各自全速でエレベーターまで走れ!一応警戒は怠るなよ!」


  ***

今回はここまで。ではまた来週。

遅れてしまい申し訳ありません。2週分の投稿を始めます。

~王宮~


バタァン!


提督「くそ、思ったより時間が……あのギアはどうなった!?」


マリア「あ、あ……」


ジェシー「野郎ッ……!ふざけやがって!」


提督(モニターには赤いギアしか映っていない。ってことは)


榛名「あの、先ほどシェバトのギアが……」


ジェシー「やられたよ。あの野郎に、一瞬で消し飛ばされて、な」


加賀「遅かった……」


金剛「シィット!」


マリア「どうして……?どうしてこんな……?」


ニコラ『みずからこのアハツェンの性能実験に付き合ってくれるとは、従順なモルモットもいたものだ』


大鳳「……っ!!」ギリ

ニコラ『それでは、次はこいつの実験台になってもらおうか』カッ


ジェシー「むっ!」


マリア「きゃっ!?」


提督「光!?今度は何だ!」


北上「うへえ、なんなのさ今の」


夕立「なんか一瞬気持ち悪い感じがしたっぽい!」


ジェシー「やべえな。今のは、ありゃ……」


ニコラ『アハツェンの新型兵器、対ギア用サイコ・ジャマーだ!』


フェイ『……!?ヴェルトールが動かない!?』


エリィ『ヴィエルジェも反応しないわ!』


バルト『ちっくしょー、なんだってんだ!?』


シタン『これは、ひょっとすると……』


ジェシー「ああ、強力な毒電波でギアの神経回路がおかしくなってるんだ。心配するねぇ、一時的なもんだ」

ビリー「だけどこれじゃ……」


ニコラ『それだけの時間があれば、おまえたちをこの地上から消去するには十分だ』


リコ「万事休す、か」


ニコラ『人間とは、なんと不完全で愚かな生命であることか……。最期に見せてやろう!完全なる生命の偉大さを!
人の知恵と、鋼の強さをそなえた、このアハツェンの力を!』


フェイ『このままじゃ、手も足も出ないぞ!黙ってやられるしかないって言うのか!?』


シタン『……そうとも限りません。ひょっとしたら、ゼプツェンなら……』


マリア「……!!」


ジェシー「アハツェンと兄弟機のゼプツェンなら……あのジャマーに対してのシールドがなされていても、ちっともおかしくねえってわけか……」


マリア「それは……」


ゼファー「……お聞きなさい、マリア。他のギアが動かないとなれば、おまえとゼプツェンが頼みの綱です。おまえには酷ですが……。
どうするかは自分自身で決めなさい」


金剛「ちょっと待つネ!あのギアとマリアを戦わせるなんて、そんなこと私は許せないデース!」


提督「金剛……」

ジェシー「そいつぁここにいる全員が思ってることだろうよ、嬢ちゃん。だが今は他に方法がねえんだ。全く情けねえことだがよぉ」

ジェシー「それによ、マリア。こんなことは言いたかねえんだが……。あそこにいるのは、もうおまえの親父さんじゃ……」


マリア「やめてっ!!利いた風なこと言わないでください!!」

マリア「たとえそうでも、わたしには、わたしには……」


ジェシー「……そうかい。それも、仕方ねえや。腹をくくるか」


マリア「……ゴメンなさい」


チュチュ「わたしが行くでチュよ」


マリア「な、何言ってるの、チュチュ!?」


チュチュ「だって、このままじゃみんなやられちゃうでチュ」


バルト『バカをいうな、お前一匹でギア相手に何ができるってんだよ!』


チュチュ「へっちゃらでチュよ。ちゃんと守り神しゃんが見てくれてるでチュ」

チュチュ「チュチュ、行くでチュ」コロコロ


提督「あっ、おい!」

金剛「シィット!テートクゥ!私もう我慢できないネー!」


北上「まさかこのまま黙って見てるだけなんて言わないよね?」


提督「……わかったよ。俺達も行こう」


シタン『いけません!ここであなたたちがギアとまともに戦えるはずが……』


夕立「それでも、何もしないよりはずっとましっぽい!」


榛名「私たち皆、チュチュさんと気持ちは同じです!」


大鳳「今度は負けません!やられてしまった艦載機の分、残った皆さんを守って見せます!」


加賀「……ここでやられるわけにはいきませんから」


金剛「皆さん、準備はいいですカー!?第一艦隊、チュチュの後に続くネー!」ダダダ


提督「おっと、俺も行かなきゃ」


マリア「提督……」


提督「そんな声出さないでくれ、俺達は俺達の都合だけで動いてるんだからよ、逆に申し訳なくなってきちまう」


マリア「都合……?」


提督「そう。ここで死んだら元の世界に帰れないっていう、分かりやすい事情。それに……」

提督「『親子が殺しあうのを黙って見てました』なんて土産話、鎮守府で留守番してる奴らに持って帰るのは嫌だっていうのもある。
まあ、こっちは俺個人の勝手な事情だけどな」


  ***

今回はここまで。2週かけたのにいつもと変わらないペースで申し訳ないです。
ではまた来週。

お待たせしました。今週の投稿を始めます。

  コロコロコロコロ


ニコラ「なんだ、天文学的なほどに知能レベルの低そうな、この下等生物は?」


チュチュ「下等生物じゃないでチュ。チュチュでチュ」

チュチュ「さあ、ほいじゃあ行くでチュよ、ワル玉しゃん!このチュチュしゃまが、お空の向こうへちゅらりーんとぶっ飛ばしてやるでチュから、
カクゴするでチュよお!!」


  ***


提督「おーおー、ギア相手に凄い度胸だな。これからはあいつの認識を改めてやらないと……とか言ってる場合じゃないな。
ああ、もしあのギアを墜とす事になったとしても、あいつらの事は恨まないでやってくれな。……それじゃ」タッ


マリア「……」


チュチュ『うきゃっ、やったでチュ~!でかでか変身できまチュた!』


マリア「……っ!」タタ


  ***


ニコラ「……ほう。ただの低級な下等生物かと思ったが……。急激な巨大化に加えてこの戦闘力、なかなかやるな」


チュチュ「下等生物じゃないでチュ。チュチュでチュ。」


ニコラ「バカめ、死ね」ズドン


チュチュ「……痛かったでチュ」パタン


マリア「チュチュッ!!」


ニコラ「成る程。おまえ、この星の巨大原生動物だな……。ランカーの幼体……じゃないな。
学術名:ドテスカチュチュポリン(知能レベル、天文学的に低い)か!まだ絶滅していなかったとはな」


  ***

マリア「いけない、このままじゃ……」


ミドリ「お姉ちゃん……」


マリア「ミドリちゃん!?ダメよ、こんなところにいちゃ!危ないから中に……」


ミドリ「呼んでる、お父さん……」


マリア「えっ……?」フッ


ミドリ「ううん、ちがう……。あそこにいる……怖いヤツじゃ、ない」


マリア「……!!」バッ

マリア「……ゼプツェン!!」


  ***

チュチュ「きゅう~……」


ニコラ「しかし、遺伝子操作で小型軽量化されていたはずだが……。シェバトの賢者共にリミッターを外されでもしたか。
面白い!モルモットとして、非常に価値のある生体だ。色々と実験して……」


ヒュン!

ニコラ「!!」ガィン

ニコラ「ゼプツェン……いや、違う。この状況でまだ動けるギアがあるとは。面白いじゃないか」


ヒュン!

ニコラ「そっちからか」スッ


金剛「今ネ!カガ、タイホー!!」ドォン

榛名「チュチュさんを!」ドンドン

夕立「あのギアはこっちで引き付けるっぽい!」ドドド

北上「ここが残弾の使い所……かねえ!」ドドド


ニコラ「何だ、あの連中は……?今の砲弾はあの女共からか」


加賀「……くっ、動きが」ギャリギャリギャリ


大鳳「チュチュさん!大丈夫ですか!?」ギャギャギャ


金剛「後にするネ!とにかく回収して離脱するデース!」


大鳳「は、はい!」ギャリギャリ

提督『どうだ、間に合ったか!?』ザザ


夕立「なんとかギリギリセーフっぽい!」


提督『よし、加賀さんと大鳳はチュチュを安全な所まで運んだら待機だ。いつでも攻撃機を出せるようにしといてくれ』


大鳳「そんな!大鳳も戦闘に参加します!」


提督『バカ言うな。お前たちの機動力で前に出ても何も出来ないだろ。金剛たちの機動力でも不安だってのによ。代わりにチュチュはしっかり守ってくれ』


大鳳「……わかりました」ググ


榛名「提督、次の指示は!何とか敵ギアを釘付けにできてはいますが……」ドォン


提督『とりあえずそのまま撃ち続けながら散開しろ。敵に的を絞らせないように動き回りつつ、とにかく時間を稼げ。
対ギア用ジャマーが切れるまでひたすら耐えるんだ』


北上「簡単に言ってくれるねえ」


提督『それしか手がないんだよ。金剛の主砲が直撃したの見ただろ。あのダメージ量じゃ正面からの撃ち合いでは絶対に勝てねえ。とにかく逃げだ』


夕立「要するに、撃ちながら避け続ければいいっぽい!」ドドド


提督『そういうことだ。ただし、ここが陸だってことを絶対に忘れるなよ!スキー板で砂利道を下ってるようなもんだからな。
いつもの40%も動けないと思え!』


榛名「榛名、了解です!」

金剛「オッケーイ!それじゃ皆さん!ムーヴ!」ギャィィィ


ニコラ「まさか、こいつら……エレメンツの報告にあった連中か!本当に実在したとはな……。水上用と聞いていたが、陸上でもこの機動性とは……実に興味深い。
持ち帰って研究材料にするとしよう!」ガシャン

榛名「!来ます!」

ニコラ「まずは火力の高いお前からだ」ブゥン

金剛「……シィット!」ヒョイ

夕立「思ってたより動きづらいっぽい!」ギャギャギャ


提督『北上、背後を取って撃て!金剛と夕立は回避運動を取りつつ距離を取れ!榛名はその場で牽制!』


北上「いただき!」ドンドン

ニコラ「ほう、中々いい動きをする」ガンッガンッ


北上「あちゃ、背中も抜けないか」ギャィィ


提督『無理にダメージを与えようと思うな!こちらがダメージを受けないことを最優先にしろ!足も使い潰すつもりで行け!』


北上「わかってます……よっと!」ヒョイッ


榛名「回り込みます!」ドォンドォン


夕立「北上さん、今のうちに下がるっぽい!」ドドド


ニコラ「……この統率された動き、どこかに指揮官がいるな」スゥ


夕立「急に動きが大きくなったっぽい!」

提督『無理に追うなよ。弾幕を濃くして対応しろ』

北上「もう、こんなことじゃすぐ弾切れになっちゃうかもよ」ドドドド

金剛「文句は言いっこなしネー!」ドォンドォン


ニコラ「遠距離の対応もできる、か。ならば」ガシャアン

榛名「変形した!?」

提督『回避だ!』

夕立「突っ込んでくるっぽい!」ギャィィ

北上「うわっ!」ギャリギャリ

榛名「……くっ!」ギャギャ

金剛「また来るネ!」


提督『クソ、こっからじゃ見えねえ。各自で回避しろ!』


夕立「!」バッ


北上「あぶな!」ギャイイン


榛名「は、反撃します!」ジャコッ


金剛「ファイヤー!」ドォン


ニコラ「……回避が遅くなった。砲撃にも乱れがある。指揮官が状況を把握できていないな。つまり……」ヒュンヒュン


夕立「敵が離れたっぽい!」


榛名「今のうちに態勢を!」


ニコラ「指揮官はあの高台か!」ゴォ


北上「……ちっ、建物の裏に逃げ込まれちゃったよ」


金剛「あのビッグなボディでは不意討ちは難しいはずデース。一体何を……まさか!?」

榛名「……提督!!!」


  ***

提督「くそ、建物が邪魔で敵が見えん。あいつらからも死角になったようだし、移動したほうがいいか?もしくは加賀さんに偵察機を飛ばしてもらうか……」

榛名『提督!!!』


提督「どうしたはる」


ニコラ「そこか!」ブワ


提督「っ!?」


ニコラ「死ね」ドゴォ

提督(足場が……落ち……ッ!)グラ


ガラガラガラ


提督(くそ!死ねない!まだ死ねないぞ!なんかないのかよ!)ヒュゥゥ


ニコラ「なかなか手こずらせてくれたが、これで終わりだな」


夕立『そんな……』

金剛『テートクゥゥゥ!!!』

榛名『いやあああああっ!!!』

大鳳『え、提督がどうしたんです?提督、提督!』


提督(……無理だこれ。結局帰れずじまいか)


ドサッ


提督「いってぇ!くっそ……死ん……でない?どこだここ……!?ギアの手の上!?」


マリア「大丈夫ですか、提督!?」


提督「マリア?一体どこに……」


マリア「上です」

提督「上って」フッ

提督(ゼプツェンの頭の上で仁王立ちしてる……)

提督「そ、そうか。マリアが助けてくれたのか。ありがとうな」


マリア「そんな、お礼なんて……私がもっと早く来ていれば、皆さんに苦労をかけずに済んだのですから」


提督「……いいのか、マリア?」


マリア「……はい。私が、私とゼプツェンが、ソラリスの敵を倒します!」


提督「……そうか」


金剛『……ートク、テートク、テートクゥゥ!!返事するネ、テートクゥゥゥ!!!』


提督「っと、やべ。……金剛、すまん。まだ生きてるよ」


金剛『!!!テートクゥゥ!!』


提督「その話は後だ。全員チュチュの所まで撤退しろ」


金剛『ワ、ワット?それじゃあのギアは……』


提督「もう大丈夫だ。あとはマリアとゼプツェンがやってくれる。とにかく急いで皆をまとめて撤退しといてくれ。頼んだぞ」


提督「それじゃ悪いけどマリア、このまま向こうの広場まで運んでくれ」


マリア「わかりました。そこで皆さんが待っているんですね」ギュン


  ***

今週はここまで。やっとシェバト編も終わりが見えてきました。つまり、物語も序盤が終わりということですね。長い……。
私信になりますが、引越しのどさくさでなくなっていた設定資料集が見つかりました。これで色々と捗る。かも?
それではまた来週。

お待たせしました。今週の投稿を始めます。

金剛「あっ、来たネ!」ブンブン


マリア「さあ、着きましたよ。提督」


提督「……おっとと。ありがとうな」ペタン


マリア「それでは、行ってきます」


提督「しっかりやれよ。マリア」


マリア「……はい!」


ギューン


提督「……」


金剛「テートクゥーー!!」ガバッ


提督「うぐぅ」


北上「おー、意外とピンピンしてるじゃん。あの高さから落ちたんだしさ、もっとボロボロだと思ってたよ」


榛名「ああ、提督。榛名、もう駄目かと……」


夕立「提督さんは生身なんだから、もっと気をつけないといけないっぽい!」


加賀「そうね。指揮官が真っ先に狙われるようでは、私達も安心して戦う事もできませんから」

提督「た、確かに言い訳のしようもないな。心配かけてすまなかった」


大鳳「よかった。本当に良かった……」


提督「……さて、そろそろ離れろ、金剛」


金剛「ノウ!」スリスリ


提督「威勢だけよくっても駄目だ。大体まだ戦闘は終わってないんだぞ」


金剛「ハッ!そ、そうデース!マリアはどうなったネー!」バッ


提督「今まさに戦ってるんだろうよ。やる気満々の目してたしな」


大鳳「すぐに加勢しないと!」


北上「やめといたほうがいいと思うよー」


大鳳「ど、どうしてですか!?」


北上「さっき言ったっしょ?『親子の問題だ』ってさ」


大鳳「そんな悠長な……もしマリアさんが負けたらどうするんですか!」

榛名「大鳳さん、お気持ちは分かりますが……今の私たちでは足手まといになるだけだと思います」


北上「そーそー。さっきの戦いだけでもう足周りがボロボロだよー」


夕立「このまま海に出たら動くどころかそのまま沈んじゃいそう」


加賀「……そうね、ここはあの子を信じましょう。大鳳さん」


北上「あら意外」


加賀「……何か?」


北上「いやあ、加賀さんなら援護に賛成だろうなーと思ってたからさ」


加賀「出来る事ならそうしたいところですけれど、気持ちだけではどうにもならないもの」


提督「ありがとよ加賀さん。ま、ここは抑えてくれよ、大鳳。仇ならきっとマリアが取ってくれるからよ」


大鳳「……わかりました。マリアさんにお任せします」


金剛「それじゃ、今のうちにチュチュを医務室に運びマース!」


榛名「ええ、榛名もお手伝いします!」


加賀「私は先に行って話をつけておくわね。大鳳さん」


大鳳「はい。お供します」


北上「それじゃ私達はどうしよっか」


提督「……あー、悪いけど肩貸してくれよ。実は腰が抜けちまってな」


夕立「提督さん、流石にちょっとかっこ悪いっぽい……」


  ***

今回はここまで。それではまた次回。



スピーディーに進みながらも結局エタってしまうスレが多い中、ゆっくりではあるけど確実に更新されるスレの安心感よ

お待たせしました、今週の投稿を始めます。
>>427
本当は毎週更新しなきゃいけないし、そうしたいんですけどね……。精進していきたいです。

医務室


チュチュ「チュー……」


医師「……ええ、大丈夫です。見たところ大きな怪我もありませんし、命に別状はないでしょう」


提督「そうでしたか」


夕立「よかったあ……」


榛名「ひとまず安心、ですね」


提督「一人、いや一匹でギアと戦う、なんて無茶言い始めたときはどうなる事かと思ったけどな」


北上「まさかそのギアと同じくらいでっかくなるなんて思ってもみなかったからねー」


金剛「ギアに立ち向かうチュチュ、かっこよかったネー!」


提督(そういやあのギア、チュチュの事を『遺伝子操作で小型化した』って言ってたな。一体どれほど進んでるんだ、この世界は)


夕立「提督さん、どうしたの?なんか考え事?」


提督「ん、いや、なんでもない」

提督「さあ、チュチュの事は心配なくなったんだ。ここは医者の先生に任せて、俺達は補給と整備だ」

榛名「となると、一度ユグドラシルまで戻らないといけませんね」


大鳳「間に合うでしょうか……」


提督「さあな。もしかしたら間に合わないかも知れないが、ジャマーが切れればまたさっきの部隊が攻めてくるだろうからな。せめて応急処置だけでも……」

マリア「……お父さーーーん!!」グラグラグラ


提督「うおお!?」

大鳳「こ、この揺れは……」

金剛「マリア……!」

医者「だ、大丈夫かしら。シェバトが落ちたりしないわよね……?」


提督「……」


榛名「……」


加賀「……収まりましたね」


提督「ああ。何だったんだ、今のは」


北上「周りにあんな衝撃を与えるような攻撃だったんだし、きっと決着が付いたって事だと思うよ」


夕立「どっちが勝ったっぽい?」


金剛「決まってるネー!マリアが負けるなんてありえないデース!」


加賀「……その理屈は分からないけれど、もし負けていたらこれほど静かなはずはないわね」


大鳳「ということは……!!」


提督「そうだな。ユグドラシル行きはなしだ。皆でマリアを迎えに行くか」


  ***

  ~???~


「……あの、その服装、もしかして新しい司令官さんですか?」


「ああ、よかった。お待ちしていました、なのです」


「こ、子供じゃないのです!こう見えても立派な駆逐艦なのです!」


「……え?司令官さん、何も聞かされてないのです?艦娘のこととか、深海棲艦のこととか……」


「そうだったのですか。それでは、鎮守府の中を案内しながらでも、その辺のお話を一緒にするのです。さ、ついてくるのです」


「はわあ!ご、ごめんなさいなのです!うっかりしていたのです!」


「このたび司令官さんの秘書艦として建造された、電なのです!これからよろしくお願いしますね、司令官さん!なのです!」


  ***

提督「……くああ」ムクリ

提督「……」

提督「……はああ、夢か」ポリポリ


夕立「あ、提督さん、やっと起きたっぽい」ヌッ


提督「だあああああ!ゆ、夕立か!」


夕立「もう、提督さんったら寝起きからうるさいっぽい」


提督「悪い悪い。じゃなくて、何で夕立がここにいるんだ」


夕立「もちろん、お寝坊さんな提督さんを起こすためっぽい!」


提督「寝坊?今何時だ?」


夕立「もうすぐお昼っぽい。あんまり遅いから起こして来いって加賀さんに言われたの」


提督「げ、確かにそりゃまずいな。顔洗ってくるからちょっと待ってろ」


夕立「はーい、その間に上着とか用意しとくっぽい」


  ***

提督(ソラリスの襲撃から二日が経った)スタスタ

提督(医務室を出た俺達が見たのは、跡形もなく消し飛び、僅かに残った破片と硝煙のみになった、マリアの父親の赤い機体と、それを見つめるマリアの後姿)

提督(こちらを振り返ったマリアが寂しそうに言った『ありがとうございました』の声が、未だに頭から離れない)

提督(結局、その後敵が追撃をかけてくるような事はなく、障壁発生器も無事だった。完全には直っていないらしいが……)


夕立「提督さん、そんな顔してどうしたの?」


提督「え?いや、まだちょっと寝ぼけててな」


夕立「ふーん、変な提督さん」


提督「そういや、チュチュの様子はどうだ?」


夕立「もうすっかり元気っぽい。さっきもその辺りを元気に跳ね回ってたっぽい」


提督「昨日の今日でもう全快したのか?随分とタフにできてるんだな」


夕立「おっきくなったりできる動物は一味違うっぽい」


提督「その治りの早さはちょっと分けてもらいてえなあ。昨日も全身痛くて中々寝付けなくてよ……」

マリア「……あっ」


提督「うおっ」


夕立「あ、おはようございますっぽい」


マリア「おはようございます、夕立さん。提督、丁度良い所に」


提督「俺?何か用か?」


マリア「はい、女王様がお話があるそうで、時間がある時でいいので顔を出すように、だそうです」


提督「わかった。こちらからも丁度話すことがあったしな。加賀さん達の方に顔出したらすぐ向かうよ」


マリア「わかりました。女王様にはそのように伝えておきます」


提督「ああ、わざわざありがとう」


マリア「いえ……」


提督「……」


マリア「それと……」


提督「ん?」


マリア「この間はごめんなさい。色々と失礼な事を言ってしまって」


提督「この間って……ああ、いや、気にしてないから大丈夫だよ」


マリア「そうですか」


提督「……」

提督(き、気まずい……)


マリア「それでは、わたしはこれで……」スタスタ


提督「あ、ああ」

夕立「……行っちゃったっぽい」


提督「やっぱりまだ元気がないな」


夕立「あんなことがあったばっかりだし、しょうがないっぽい」


提督「しばらくはほっといた方が良さそうだな」


夕立「早く元気になって欲しいね、提督さん」


提督「そうだな。まあ、俺達もあんまり人の心配していられる状況じゃないし……ん?」

提督「そういやさっきからどこに向かってるんだ、夕立?」


夕立「えーっとね、加賀さんが提督に確認したいことがあるんだって。艤装の事でシェバトの人と何か話してたよ」


提督「ほーう、大方艤装を調べさせてくれとか、そんなところだろうな」


夕立「ぽい」


提督「そういうことならあんまり待たせるのも悪いな、急ごうか、夕立」


夕立「わかったっぽい!提督さん、こっちこっち!」


  ***

今回はここまで。一応最後のオチまで考えてはあるので、よっぽどのことがない限りは完結させます。させたいです。
それではまた来週。

お待たせしました。今週の投稿を始めます。

~王宮 客室~


夕立「みんな!提督さん連れてきたっぽい!」


提督「連れられてきたが……なんだこりゃ」


北上「お、いい所に来たねえ、提督。ユイさん、提督と夕立来たよー」


ユイ「あら、こんにちは。貴方が提督さん?」


提督「え、ああ、はい。こんにちは」


ユイ「ふふ。ごめんなさいね、突然」


夕立「この人、だーれ?」


榛名「この方はユイさんと言って、この国では有名な方なんだそうですよ」


提督「……ええと、その有名人のユイさんとお前らは何してんだ?」


北上「やー、この人がお昼ご飯作ってきたって言うからさ」


夕立「ごはん!?お腹すいたっぽい!」


ユイ「主人がお世話になったようなので、是非お礼がしたくて。ご迷惑だったかしら?」


提督「いえ、そういうわけでは……って、主人?」


ユイ「ええ。改めて自己紹介するわね。シタンの妻で、ユイと申します」


提督「成る程、シタン先生の……ええええええええええ!?」

加賀「……」


金剛「ちょっと、テートクゥ、驚きすぎデース」


提督「いやだって、シタン先生って……」

提督(元ソラリス人だろ……一体いつ結婚したんだ)


大鳳「そう言われると、なんだかお二人は似ているような気がしますね。雰囲気というか、気性というか……」


ユイ「あら、そうかしら?そんなことないと思うけれど……」


提督「あの先生意外とおしゃべりだしなあ」


ユイ「そうなのよ。あの人ったらいつも余計な事まで話し出すから困っちゃうわ。私もよく言ってるのだけれどね、しつこいのはやめなさいって」


北上「なんか、言ってる姿が目に浮かぶよ」


榛名「ユイさん、火にかけてたスープの方、そろそろいいんじゃないでしょうか」


ユイ「あら、そうだったわ。提督さん、すぐお昼にしますから、ちょっとそこで座っててね」


提督「俺も手伝いますよ」


金剛「ノー!」ビシ


提督「こ、金剛?」


金剛「キッチンはレディのサンクチュアリィネー!いくらテートクと言えど、勝手に入ることは許さないデース!」


提督「いや、俺が間宮さんの飯作るの手伝ってたときはお前何も……わかった、分かったから睨むな!」


榛名「こっちは大丈夫ですから、提督はゆっくり待っててください。大鳳さん、食器を並べるのを手伝って貰えますか?」


大鳳「はい!お任せください!」


提督「……ったく、急になんだってんだ金剛のやつ」


北上「さあ、ユイさんと張り合ってるんじゃない?」グデー


提督「張り合う?なにで?」


北上「うーん……女子力、とか?」


提督「はー、訳分からん……」


  ***

ワイワイ


提督「へえ、娘さんがいらっしゃるんですか」


ユイ「ええ、名前はミドリって言ってね、父親に似なくて静かな子なんだけど。良かったら皆さん仲良くしてね」


提督「任せてください。ウチは夕立含めて子供も沢山いますからね。みんな子供の扱いには慣れてますよ」


夕立「あーっ!子供扱いしないで欲しいっぽい!」


提督「ほれ、言ってるそばから口の周り汚れてんぞ」


夕立「むー!提督さんのバカ!」


榛名「夕立さん、こっち向いてください。今拭いてあげますから」


ユイ「ふふ、ほんと、みなさん仲が良くていいわね」


提督「お陰で作戦もやりやすくて助かってますよ」


大鳳「こ、これは……」


提督「どうした、大鳳」


大鳳「このお肉、とってもおいしいです!」


金剛「ウーン、今まで食べた事のないテイストネー」モグモグ


ユイ「丁度下界からつちのこのお肉が届いたから使ってみたの。お口に合ったようで良かったわ」


大鳳「つちのっ……」

北上「え、それってアレだよね?UMAだか草の神様の使いだかって言う」


ユイ「ゆ、ゆうま?」


提督「まさか、たまたま同じ名前ってだけだろ」


北上「だ、だよねー」


ユイ「よくわからないけど……つちのこはキスレブ北東部にたくさんいるから、あっちではよく食用にされているのよ」


加賀「食用……たくさん……お腹が空きました」


提督「空いたも何も昼飯の真っ最中……もう食ったのか」


ユイ「大丈夫よ、おかわりなら沢山ありますから。皆さんよく食べるって聞いたものだから、多めに作ってきて正解だったわね」


加賀「やりました」


提督「いや何もやってねえよ」


大鳳「あの、私もスープのおかわりを……」


ユイ「もちろんいいわよ。今持ってくるわね」


提督「……なんかすいません」


ユイ「謝らなくていいのよ。沢山食べてくれたほうが作り甲斐もあるもの。はい、どうぞ」


大鳳「ありがとうございます!」


加賀「いただきます」


提督「……ま、なんだかんだ大変だったからな。好きなだけ食わせておくか。榛名」


榛名「はい、何でしょうか?」


提督「さっき艤装の事でシェバトの人間が訪ねてきたって夕立から聞いたんだが、どんな内容だったんだ?」

榛名「その事ですか。なんでも『シェバトを救ってくれたお礼に、是非我々の手でその艤装のメンテナンスをさせて欲しい』との事でした」


提督「ほう」


榛名「私達では決められないので、夕立さんに提督を連れてくるようお願いしたのですが……その方はその後すぐ帰ってしまわれて、入れ替わりにユイさんがやってきたんです」


提督「そうだったのか。しかし、艤装の整備ね」

提督(ありがたい話だし、ユグドラシルよりも遥かに設備はいいんだろうが……まず間違いなくデータを取られるだろうな)

提督(タムズやバルト達はともかく、これほどの技術力を持つ国に艤装のデータが渡ったら色々とマズイだろうし。そもそもこの申し出が誰の差し金かも……)

提督「でもまあ、どっちにしても艤装は修理しないとだからなあ」


榛名「提督?」


提督「話は分かった。その事はまた後で決めとくよ。ユイさん、どうもごちそうさまでした」


金剛「あ、テートクゥ!どこ行くんデース!まだ食後のティータイムが残ってるネー!」


提督「悪い、ちょっと女王様に呼ばれてるんでな。さっきの整備の話もあるし、すぐ出かけなきゃ」


ユイ「そういうことでしたら、後片付けは任せて。すぐ行った方がいいわ」


提督「いえ、食器ぐらいは流石に自分で」


ユイ「大丈夫よ。それよりも早く行きなさい。女王様をお待たせしては悪いでしょ」


提督「わ、わかりました。それじゃお願いします」


北上「いってらっしゃーい」


夕立「気をつけるっぽーい」


金剛「帰ってきたらティータイムに付き合うネー!」ブンブン


提督「わかったわかった。行ってくるよ」


  ***

今回はここまで。それではまた次回。

お待たせしました。今週の投稿を始めます。

~玉座~


ゼファー「……確かな話ですか?ワイズマン」


ワイズマン「下界ではかの者達の話を聞いたことはありませんでした。あれほど目立つ者です、間違いないかと」


ゼファー「信じるほかありませんね、彼らの話を」


ワイズマン「しかし奇怪な話です。全く別の世界から来たなどと。やはり、『あれ』と何らかの関わりが……?」


ゼファー「……フェイ、エリィ、ファティマ家の王子、そして別世界からの者達。彼らが一堂に会した今、時代が再び動き出したのでしょう。恐らく……」


ワイズマン「では、かの者達の処遇は変えぬ、と?」


ゼファー「それが良いでしょう。彼らにとっても、われわれにとっても」


ワイズマン「おや、噂をすれば」


ガチャ


提督「失礼します。マリアからこちらに顔を出すよう言われて……うおっ!」

提督(フード付ローブに仮面!?怪しすぎる!誰だこいつ!)


ゼファー「よく来てくれました、提督。あれからゆっくり休むことはできましたか?」


提督「え、ええ、お陰様で。あんないい部屋で眠れたのは久しぶりでしたよ。ありがとうございます」


ゼファー「よい。この国を守る為に働いた見返りとしては安いものでしょう」

ワイズマン「女王、この男が?」


ゼファー「ええ。提督、紹介しましょう。こちらはワイズマン、わたしの忠実なる家臣です」


ワイズマン「お主らの話は聞いている。わが祖国を守ってくれたこと、感謝するぞ」


提督「いえ……」

提督(ワイズマン?どこかで聞いたような……)


ゼファー「さて、本題に入りましょう。提督」


提督「?はい、何でしょうか」


ゼファー「あなた方はこれからどうするつもりですか?」


提督「どうって……」


ゼファー「元の世界に戻る方法を探しにここまで来たのでしょう?実際にこの地に立った今、どうするつもりなのか、そう聞いているのです」


提督「……そうですね、まずはこの世界の歴史から当たってみようかな、とは考えていました。何かを調べようにも、俺達はこの世界の事を知らなさ過ぎる」


ゼファー「堅実ですね。しかし、その後は?この世界の事を知ったとして、そこからどのようにして手がかりを探すつもりなのです」


提督「それは、まだ特には。何せ今は何を調べればいいのか、それすら分からない状況ですから」


ゼファー「よろしい。その点に関して、我々から提案があります」


提督(弱ったな、どうもいいように話を進められてる気がする……伊達に女王様やってないって事か)

ゼファー「提督、あなたと部下達には、シェバトの工作員として、身分を隠し、地上であるものを探していただきたいのです。
承諾するなら、シェバトはあなた方が元の世界に戻るためのサポートを可能な限りすると約束します」


提督「……サポートとは、具体的には?」


ゼファー「まずはあなたの部下の艤装のメンテナンス。聞けば彼女達の幾人かは使用できる弾丸がまだ見つかっていないとか。
それについても何とかしましょう。下界に降りた後は補給物資を別の工作員に届けさせます。王宮にあるデータルームも自由に閲覧してよろしい」


提督「では、その探して欲しいものとは?」


ゼファー「その事についてはあなたがこの提案を受け入れてから答えましょう」


提督(成る程、至れり尽くせりの待遇に見合った、相当な代物って事か)

提督(しかし、待遇としてはこれ以上ない程であることもまた事実。というか、これ蹴ってもこれから行く所もないし、実質こちらに選択の余地はないな)


提督「わかりました。その提案、お受けします」


ゼファー「よいのですか?部下の者たちに相談も無しに」


提督「大丈夫です。こういうことを決めるのが俺の仕事なんで」


ゼファー「そうですか。それではあなたがたに命じる仕事についてお教えしましょう。提督、『ギア・バーラー』について聞いたことは?」


提督「ギア・バーラー?ギアの名前ですか?フェイのヴェルトールとか、シタン先生のヘイムダルみたいな」


ゼファー「違います。われわれが普段使っているギアは『ギア・アーサー』と呼ばれるもの、あくまで我々ヒトが作り出したものにすぎません。
それに対して、ギア・バーラーは『神の手によるもの』。遥か昔に神の知恵によって創られたと言われる、伝説のギアの事です」

提督「か、神?」


ゼファー「何か?」


提督「え?ええと、いや……。と、とにかく、我々の仕事というのは、そのギア・バーラーを捜す事ですか?」


ゼファー「いえ、少し違います。あなた方に命じる仕事は、ギア・バーラーの捜索ではなく、その素体ともいえる『アニマの器』の捜索です」


提督「アニマの器、ですか」

提督(またわからん単語が出てきた)


ゼファー「ギア・バーラーは、アニマの器とその適格者、この二つが揃って初めて生まれるのです」


提督「ということは、ギア・バーラーが神様が創ったものっていうのはやっぱりただの御伽噺ですか」


ゼファー「一概にそうとも言い切れないのですが……今は関係のないことです。これ以上の真実を知りたければ、あなた自身が調べるとよい」


提督「分かりました。とにかく、我々は地上に降りてアニマの器を捜索する。シェバトは我々の地上での活動を支援する。それでいいんですね」


ゼファー「その通りです。さしあたって、提督、貴方にシェバトの汎用ギアを授けましょう。地上に赴くまでの間、十分に訓練を積んでおくように」


提督「ありがとうございます。でも、いいんですか?シェバトの戦力だって余裕があるとは思えないんですが」

ゼファー「アニマの器にはそれだけの価値がある、そう理解してください。
たとえ適格者が見つからずとも、あれをソラリスの手に渡さないようにするだけでも意味があります」


提督「そんな大事な任務を、何故俺達に?」


ゼファー「……先の大戦から数百年、われわれはあらゆる手を使ってアニマの器を捜してきました。それはソラリスも同じでしょう。
それでもなお、残りのアニマの器の発見には至っていない。
しかし、貴方達なら、われわれと異なる目、異なる耳を持つ貴方達なら、あるいは……。そう考えたからです」


提督「……」


ゼファー「さあ、これで話は終わりです。戻って部下達に話をしておきなさい」


提督「わかりました。ではこれで失礼します」


ゼファー「期待していますよ、提督」


ガチャン


ワイズマン「……では、私も少し外させていただきます」


ゼファー「……『彼』ですか」


ワイズマン「ええ。しかし今回はそう長くはないでしょう。あやつらの旅立ちまでには一度戻ってくることにいたします。では」シュン


ゼファー「……苦労をかけます、ワイズマン」


  ***

提督「ただいま」


金剛「あ、テートクゥ!」ブンブン


北上「意外に早かったじゃん」


提督「思っていたよりもスムーズに話が進んだからな。ユイさんは?」


夕立「お昼ご飯の後にすぐ帰っちゃった」


提督「そうか。後でお礼言わないとな」


金剛「それで、クイーンとはどんなトークをしてきたんデース?」


提督「ああ、今後の動きについて、ちょっとな。結論から言うと、シェバトの傘下に入ることにした」


加賀「……詳しく聞かせてもらえるかしら」


提督「もちろんだ」


金剛「なら、今からティータイムにするネー!ハルナ、手伝ってくだサーイ!」


榛名「はい、榛名はお湯を沸かしますから、お姉さまは他の準備をして下さい」


  ***

提督「……と言うわけだ」ズズ


榛名「ギア・バーラー、ギアを越える、更に強力なギア、ですか」


北上「普通のギアでさえアレなのに、もっと強いヤツがいるんだねえ。確かにそれは相手したくないかも」


加賀「それを創るための、適格者とアニマの器。2つの大国が何百年も捜し続けているものをそう簡単に見つけられるとは思えないけれど」


夕立「なんだか難しい話っぽい」サクサク


大鳳「でも、整備を請け負ってもらえるのは非常に大きいですね。もしかしたら、艦載機を生産する方法が見つかるかも……」


北上「そだね。私の副砲ももうほとんど弾切れだったからねー、何とかして補給しないとって所だったし」


提督「まあ、そんなわけだから、明日からでもすぐに動いていくぞ。お前らはまず何よりも艤装のメンテを優先してくれ。
装備に関する情報は何でも話してしまって構わん」


榛名「わかりました。この後からでも早速装備をチェックして明日に備えます」


北上「提督はどうするのさ」


提督「俺はデータルームでこの世界の事を色々と調べてみる。それと平行してギアの操縦訓練だな」


北上「へー、提督も忙しくなりそうだね」


提督「俺だけ暇してるって訳にもいかないだろ。まあとにかく、明日からまた忙しくなるからな。今のうちにしっかり休んでおけよ」


一同「はーい(っぽい)」


  ***

今回はここまで。ではまた。

おまたせしました。今年最後の投稿を始めます。

~数日後 自室~


提督「……」ペラ


提督「……」ペラ


提督「……」ペラ


提督「ふー」パタン


榛名「お疲れ様です、提督」コト


提督「お、サンキュー」ズズ


榛名「進捗の方はいかがですか?」


提督「ぼちぼちかな。800年前くらいまでの大まかな歴史は大体わかってきたよ」


榛名「800年前?」


提督「このシェバトの建国が大体それくらい前のことだったらしい。そこまでの記録はかなり詳細に残ってたよ。
それより前になると胡散臭い神話の類しか残ってなかったけどな。神の楽園がどうのこうのとか」


榛名「それじゃあ、800年前にはもうこんな大きなものを飛ばす技術ができていたんですね。凄いです」


提督「それがどうも違うらしい。ほら、バベルタワーってのがあったろ」


榛名「ええ、確かタムズの方がそんな名前の建物があると」


提督「このシェバトは元々そのタワーのてっぺんにくっついていたんだそうだ。それが500年前の大戦に負けた後、
ソラリスの支配から逃れるために最上部だけを切り離されたのが、今浮かんでいるこの国だって話だ」

榛名「その大戦については、何か分かったのですか?」


提督「おうよ、色々と分かったぜ。まず、正確にはシェバトはソラリスに負けたわけじゃないらしい」


榛名「え?」


提督「大戦末期、ソラリスの本拠地にシェバト率いる地上の連合軍が攻め入ったとき、思わぬ第三勢力が現れた。記録にはそう残ってる」


榛名「それでは、いきなり現れたその敵に、シェバトは負けたということなんですか?」


提督「ああ、『ディアボロス』と呼ばれたその軍団は、現れるなりソラリス、シェバトの区別なく全てを破壊し始めたそうだ。
それがまたとんでもなく強かったらしくてな、シェバトどころかソラリスの部隊も全く歯が立たなかったらしい。一時期は本当に人類が絶滅するところまで来てたらしいぞ」


榛名「そんな、一体何の為に……」


提督「さあな。その辺のことはわからずじまいだったみたいだ」


榛名「……あれ?ですが提督、今こうしてシェバトがあるということは、結局その敵は倒されたと言う事ですよね?
それなのにどうしてシェバトは負けたのでしょう?」


提督「お、さすが榛名。いい所に気がついたな。実はそこが俺達にとっては一番大事なんだ」


榛名「と、言いますと?」


提督「このディアボロス軍団を撃退したのが、まさに今から俺達が関わろうとしているギア・バーラーってヤツだったらしい。
なんとか数機がかりでディアボロスの中核を倒す事に成功したんだそうだ」


榛名「そうだったんですか」

提督「その後は戦争どころじゃなくなったシェバトもソラリスも兵を引いた。シェバトの方は自分たちの事で手一杯だったが、
多少余力のあったソラリスはそのまま地上を支配し、負けたシェバトは空に逃げた。それから500年、状況は今も変わらないって事だ」


榛名「もしそれが事実だとしたら、地上に降りるのはかなり危険なのではないでしょうか?」


提督「そうでもないさ。どうも地上の監視は『教会』の仕事だったみたいだからな。その『教会』がなくなった今の時期、
俺達7人の動向まで敵が気にしていられる訳はないだろ」


榛名「うーん、そうなのでしょうか」


提督「そういうもんだって。地上ったって広いんだし、下りた途端にソラリスに目を付けられるなんてことは絶対ないから、安心しろ」


榛名「……そうですね。榛名、提督を信じます」


提督「それでいい。……よし、いい加減座りっぱなしもきつくなってきたし、そろそろギアの訓練でもしてくるか」


榛名「はい、榛名もお供します!」


提督「お供します!って、そういやお前整備のほうはいいのか?なんかナチュラルに朝から俺の手伝いしてくれてるけど」


榛名「もちろんです!榛名が不在の間は金剛お姉様にお願いしてあります」


提督「俺が言うのもなんだが、よく金剛が承諾したな」


榛名「当然です。そもそも言いだしっぺはお姉様でしたし、正々堂々『お話し合い』で私が勝ちましたから!」


提督「……周りのもの壊したりしてないだろうな」


  ***

今回はここまで。シメなのに短くて申し訳ないです。年末ほんと忙しい……。
それでは皆さん、良いお年を。

あけましておめでとうございます。年明け早々の仕事の不定休化+風邪のダブルパンチで闇墜ちしてました。更新再開します。

~格納庫~


提督「おーす、やってるか?」


金剛「テートクゥゥゥ!」ダダダ


提督「あらよっと」ヒョイ


金剛「フンッ!」カクッ


提督「ぐえ」ドゴォ


榛名「ああっ!提督が曲がってはいけない方向にくの字を描いてしまっています!榛名はどうすれば……」


提督「あいででで、なんだよ今の物理法則無視した直角コーナリングは……。急に飛び込んでくるのはやめろっていつも言ってんだろ」


金剛「目を離したらノーって私もいつも言ってるネー!なのに最近テートクとは全然会えなかったし、だからこれはテートクが悪いんデース!」グリグリ


加賀「……何を遊んでいるのかしら」


金剛「何を言うネー!これは戦意高揚の為に必要不可欠な……」


提督「か、加賀さん、こっちの仕事がひと段落着いたから様子を見に来たんだが、どんな調子だ?」


加賀「そうね、まずはきちんと立ってもらえないかしら。格納庫の入り口でずっとそうしているのはみっともないわ」


提督「そうしたいのは山々なんだが……金剛、いい加減どいてくれ」グイ


金剛「ノー!ここ数日分の戦意を取り戻すまでは絶対離れないネー!」グググ


榛名「お姉様、あまり提督を困らせてはいけませんよ」ガシ


金剛「ハルナはモーニングからテートクと一緒にいたからそんなことが言えるんデース!」

加賀「……はあ、話が進まないのですが」


提督「ああもう、しょうがねえ、なあっ!」ガバ


金剛「ワット!?」


榛名「わあ、提督すごいです!あの体勢からお姉様を無理矢理おんぶするなんて!」


提督「お、おも……」


金剛「アーハン?」


提督「すまん、なんでもない。頼むからしばらく背中で大人しくしててくれ」


金剛「しょうがないネー」


加賀「遊ぶなら外にしてもらえないかしら」


提督「悪いけど我慢してくれ。それで、整備の状況なんだけど」


加賀「そうね、実際に見てもらう方が早いと思いますので、艦種別の整備区画にそれぞれ案内します」


提督「え、そんなに大掛かりで整備してもらってるのか、すごいな」


金剛「それならまずは私達の所から行くネー!びっくりする事間違いなしデース!」


  ***

~戦艦整備区~


加賀「こちらが戦艦の整備用に割り当てていただいたスペースです」


提督「広いな」


金剛「タムズやユグドラよりも整備しやすくて大助かりデース!」


整備士「あ、金剛さん!」


提督「あの人は?」


榛名「榛名達の艤装を整備していただいている主任の方です」


金剛「ヘーイ!何かあったネー?」


整備士「何かあったじゃないでしょう!作業中に勝手に抜け出したりして!」


金剛「オーウ、ソーリー。テートクの気配がしたのでついついネー」


整備士「ということは、あなたが?」


提督「うちの金剛が迷惑かけているようで申し訳ない……」


整備士「いや、わざわざ謝られるほどでは……こちらとしても彼女達の艤装は大変興味深いですし、苦労に見合う体験はさせてもらえてますよ、ははは」


提督「それで、今日はその体験の成果を見に来たのですが」

金剛「フッフーン、テートクがいない間に色々と良くなりましたヨー!」


整備士「そうですね、金剛さん、榛名さんご両人だけでなく、他の方全ての艤装に関して、今回通常のメンテナンスの他に、動力系の調整を行いました」


提督「動力って言うと……スレイブジェネレータに?」


整備士「ええ。スレイブジェネレータと周囲の接続が無茶苦茶だったので、そちらを最適化しました。というかよくあれで今まで動けましたね」


提督「そんなにやばかったのか」


整備士「それはもう。まるで元々別の何かが入っていたスペースに、無理矢理ジェネレータを押し込んだような形になっていましたから。まあ、皆さんの話を聞く限り、実際にその通りだったのかも知れませんが」


提督「そういうことは俺達じゃ手の出しようがなかったからなあ。それで、使用感は変わったのか?」


加賀「何度か試運転しましたが、出力の上がりにかなり違いを感じました」


金剛「今までの何倍かは上がっている感じがしたネー」


提督「そりゃ凄いな」


整備士「それに伴い、『アタックレベル』と呼ばれるシステムも使用可能になっています」


提督「アタ……え?」


整備士「アタックレベルです。戦闘機動を取っている時間に比例して、ジェネレータの出力が最大3段階まで上昇する、スレイブジェネレータに搭載された制御システムの通称です」


提督「えーと、つまり、戦っていると段々出力上限が上がっていくって事か」


整備士「そうなりますね。もっとも、一度戦闘機動をやめてしまうと初期状態に戻りますが。ああ、短時間に負荷を掛け過ぎても同様にリミッターがかかりますよ」

金剛「なんだかややこしいネー」


提督「俺はいいシステムだと思うけどな。他には何か?」


整備士「今の所は何も。ただ、現行の足回りでの陸上戦は不可能なので、ホバリング機能を搭載できないかと試行しているところです」


提督「そんなこと可能なのか?確かにその問題はこないだの戦闘から気にしてたことだが……」


整備士「ブリガンディアのホバースラスターをモデルに、色々と試している最中です。なに、必ずやってみせますよ。シェバトの技術を以ってすればできないはずありません!」


提督「じゃあ、よろしくお願いします」


加賀「提督、そろそろ行きましょう。次は駆逐艦と軽巡の区画です」


榛名「あ、榛名は艤装のチェックをしたいのでここに残ります」


提督「わかった。頑張ってくれよ。金剛もいい加減下りてくれないか、そろそろ腰と肩と周りの視線が痛くなってきたんだが」


金剛「まだノーデース」ギュウウ


提督「絞まってる!絞まってるから!」バタバタ


加賀「……置いていきますよ」


  ***

~駆逐、軽巡区画~


加賀「着きました」


提督「ひい、ひい」


金剛「テートクゥ、こんな程度で息切れなんてしちゃって、トレーニングが足りてないヨー!」


提督「好き勝手言ってくれるなあちくしょう」ゼーゼー


北上「あれ、提督じゃん、お久しぶりー。元気だった?」


提督「ま、まあな、こっちも中々忙しくてな、様子を見に来る暇もなかったんだよ。つっても久しぶりって程ではないと思うけどな」


北上「そうだっけ?まー私も色々やってたからねー。こないだユイさんの料理を食べたのがもう一月くらい前の気がするねえ」


提督「流石にそれは盛りすぎだろ……」


夕立「あー!金剛さんずるいっぽい!」


提督「げ」


夕立「夕立も提督さんに遊んで貰いたいっぽい!」ダダダ


提督「待て、夕立、ストップ!」ビシ


夕立「!」ピタァ

提督「後で遊んでやるから、頼むから飛び込んでくるのは辞めてくれ、な。これ以上負担がかかったらマジで死ぬから」


夕立「ぶー、しょうがないっぽい」


提督「夕立は偉いなあ」ナデナデ


金剛「……何か私、損した気がしマース」


提督「そう思うんなら下りたほうがいいんじゃないか?というかマジで下りてください」


金剛「ンー、そこまで言うなら下りてあげマース。これからは目を離したらノー!ですからネー!」


提督「へえへえ、善処します」


加賀「……そろそろいいかしら。こちらの作業の進捗を報告してもらいたいのですけれど」


北上「へへ、実は提督の事待ってたんだ。ちょっとこれ見てよ」


提督「ん?こりゃ副砲の弾だろ。これがどうかしたのか」


北上「ただの弾じゃないよー?なんとこれ、ここの工廠で一から作ってもらったんだよ」


提督「嘘ぉ!?こんな短期間でか」


北上「ホントだってー。いやあ、ここの技術力ってば凄まじいよねー。ちょっとの残弾からすぐに同じもの生産しちゃうんだもん。
これはまだ試作品だけど、すぐに量産できるようにしてくれるってさ」

提督「それじゃ、ようやっと北上もまともに戦えるようになるのか」


北上「ほんと、ようやくって感じだよー。魚雷も海戦以外でも使えるように何とかしてくれるらしいし、これからの北上様の活躍、期待してくれちゃっていいよー?」


提督「ああ、そのときはしっかり働いてもらうから安心しろ」


北上「うーん、楽しみで待ちきれないねえ。あ、そうだ。提督、今から私の演習付き合ってよ」


提督「今から?悪いけどまだ空母の方の様子も見ておきたいし」


北上「まあまあ、そんなの後でいいじゃない。提督だってギアの操縦訓練しなきゃいけないんでしょ?一石二鳥ってことでさ、ほらほら」グイグイ


提督「おい、ちょっと押すなって!」


金剛「ウーン、カガも大変ネー。私、同情するデース」


加賀「……貴女には言われたくないです」


  ***

今回はここまで。冒頭の理由につき、しばらくは不定期に投稿していく事になります。なるべく毎週更新できるようにはしていきますのでよろしくお願いします。それではまた。

お待たせしました。書き溜め分投稿します。土日休みが欲しい……。

~空母整備区画~


技師「お疲れ様でした。今回も上手くいきませんでしたね」


大鳳「……仕方ありません」


技師「それにしても悔しいですね。データは十分に揃っているのに実現できない。我々の技術の限界を思い知らされているようだ」


大鳳「私も悔しいです。あの子達の事、もっと分かっているつもりだったのに……」


技師「大鳳さんはよくやってくれていますよ。お陰様で有用なデータがかなり取れているんですから」


大鳳「エアッドの技術を利用した艦載機の生産、本当に可能なのでしょうか」


技師「……正直なところ、まだどうなるかは……。大鳳さんのおっしゃるとおり、少しずつ前進を見てはいるんです。もう少し、我々にエアッドの知識があれば……!」


大鳳「そう、ですか」


技師「しかし、まだ諦めてはいません。必ずや、われわれシェバトの技師の誇りにかけて……!」


シタン「あの、ちょっとよろしいですか?」


技師「あなたは……」


大鳳「シタン先生?」


  ***

~また数日後 屋外フロア~


提督「ここと、ここと、ついでにこのボタンで、起動、と」カチャカチャウィーン


北上『どうなのさ、提督?ちゃんと起動した?』


提督「ああ、今立ち上がった所だ。機体を起こすぞ」ガチャガチャ


夕立『おお、動いたっぽい!』


提督「危ないから離れとけよ」


整備士『流石に下界のギアに乗ってただけあって、基本的なことはすぐできますね』


提督「まあ動かすだけならタムズのギアとあまり違いはないみたいだからな。問題はここからだ」ガチャガチャ


整備士『では早速ですが、飛行訓練の方に行ってみましょうか。打ち合わせどおりにお願いします』


提督「了解。まずは飛行ユニットを吹かして微上昇……おお」フワッ

提督「飛んでる!すげえ!」


北上『なんかすごい今更感ある感想じゃない?』


提督「いやあ、実際自分で飛ぶとなると実感が湧くと言うか」グラ

提督「おわあ!?」

整備士『気を抜いちゃダメですよ。初飛行ですがオートバランサーは切ってありますので』


提督「何で!?」


整備士『なるべく早く飛行技術をマスターするようにという加賀さんの要望でして』


提督「む、無茶苦茶だ……」ドキドキ


整備士『本当に墜落しそうになったらオートパイロットが働くので大丈夫ですよ。さあ、次のステップです』


提督「ええと、王宮フロアあたりまで上昇、と」ゴオオ


北上『お、いい調子じゃん』


提督「……よし。次は新型無線機のテストか。あーあー、金剛、榛名、聞こえるか?」


榛名『はい、こちら格納庫より榛名です!無線の感度良好ですね、提督!』


金剛『ばっちり聞こえてマース!訓練の方は順調ですカー!?』


提督「ああ、なんとか生きて空を飛んでるところだ。しかし凄いなこの無線。この距離でこれだけの障害が間にある通信にほとんどノイズが入ってない」


榛名『通信可能な範囲はもっと広いと言う話ですから、戦闘中の通信に困ることはなさそうですね』


提督「だな」

提督「んで、そっちの進捗はどうなんだ?」


榛名『はい、ホバー機能の件の方は上手くいきそうです。現在、榛名とお姉様の艤装をモデルにしてのテストが最終段階に入っています』


提督「そうか。それじゃ引き続きそちらの整備担当とよく協力してくれ。俺達も今や名実共にシェバトの一員だからな」


金剛『そんなこと言われるまでもないネー!ところでテートクゥ!そちらはランチタイムまでにはフィニッシュしそうですカー?市街地にジュークボックスのあるアダルティーなお店があったネー!』


提督「いや、こっちは結構かかりそうだ。悪いけどまた今度にしてくれ」


金剛『ぬぐぐ、仕方ないデース。代わりにマリアを誘ってみマース……』


榛名『お姉様、そろそろお時間ですよ』


金剛『ワット?もうそんな時間ですカー!?』


榛名『提督、整備士の方に呼ばれているのでそろそろ失礼します。飛行訓練の方、頑張ってくださいね。榛名、応援してます!』


金剛『あ、ちょ、離すネハルナー!テ、テートクゥ!せめてアフタヌーンティは一緒に』ブツッ


提督「……仮にもテストなんだから真面目にやって欲しかったんだが……まあいいか」


北上『提督、通信テスト終わったー?』


提督「はいはい、終わりましたよ」


北上『なんで敬語?』

整備士『ではいよいよ本番、戦闘機動訓練に入ります。安全策は施していますが、下手をすると怪我ではすまないかもしれません。集中を切らさないように』


提督「げ、もうかよ。せめてもうちょっと心の準備を……」


夕立『へーきへーき、提督さんならきっとやれるっぽい』


北上『そうそう。シミュレーションではちゃんとできたんでしょ?大丈夫だって』


提督「あん時はオートバランサーがあったからだよ!風にちょっと煽られるだけでも大忙しなんだぞ今!」ガコガコ


北上『なに弱音吐いてんのさ。私達と一緒に前線に立つって言うならこれくらい出来なきゃダメでしょ』


夕立『こないだみたいな事はもうイヤっぽい』


提督「うぐ、それを言われると確かにそうだけど」


整備士『さあ、愚痴っている暇はありませんよ。まずは障壁ギリギリの所を所定の時間で周回してもらいます』


提督「ああもう、なるようになれだクソォ!」ビュン


  ***

~しばらくして~


整備士「……うん、想定より上達が早いですね。やはりギア搭乗経験ありという事が大きいのでしょうか」


北上「いやあ、案外加賀さんのスパルタ作戦が効いてるのかもよ?提督もああ見えて士官学校出てるだけあって体育会系だし」


夕立「さすが加賀さん。提督の事良く分かってるっぽい。けど……ふああ、いい加減提督さんの訓練見てるだけじゃ飽きてきちゃった」


整備士「では、そろそろ次のステップへと進みましょうか」


北上「お、いよいよ私達の出番だね」


夕立「待ってました!っぽい!」


整備士「あーあー、提督、そろそろ次のステップに移ります。一旦こちらに戻ってください」


提督『了解』ギューン


北上「お、もう来た」


提督『ん、というか次のステップって何だ?打ち合わせじゃ今日はこれ以上のことはやらないって話だったが』


整備士「ええまあ、すぐに分かりますよ。お二方」


夕立「バッチリっぽい」ガシャ

北上「それじゃ私から……よいしょ!」ドォン


提督『ぎゃあああああ!』ビュン

提督『何撃ってんだ!冗談でもやめろ!』フラフラ


北上「大丈夫だって、模擬弾だから当たっても爆発はしないから」ガシャ


提督『あんな質量が機体にぶつかるだけでもあぶねえだろ!第一、周りの建物に当たったらどうするんだ!』


北上「その辺は事前に対策してるからへーきだよ」


整備士「と言う事です。これが本日の最終メニューになります」カキカキ


提督『って事はこれも……』


整備士「ええ、加賀さんの要望です」


提督『鬼か!』


夕立「そろそろ夕立も撃っちゃうっぽい!てー!」ドン


提督『あああああ!』


北上「それそれ」ドォンドォン


提督『なああああああああ!!!』ビュンビュン

整備士「……うん、これは興味深い。異世界人を名乗るだけあって採れる機体データが我々とは全く違う」


提督『ちっくしょう、付き合ってられるか!』ビュン


夕立「あー!逃げちゃダメっぽい!」ドン


提督『あっぶねえ!』


夕立「夕立と北上さんの射撃訓練も兼ねてるんだから、提督さんはちゃんと避けてくれてないと」


提督『ひっでえ』


北上「それじゃ、そろそろこれも試してみましょうかね!』ガション


提督『は?』


北上「新型五連装酸素魚雷、発射ぁ!」バシュ


提督『そんなの聞いてな』ガイン


夕立「あ、命中したっぽい」


提督『ああああああああああああああああ』ヒュウウ


夕立「あ、墜ちたっぽい」


北上「あちゃあ、もしかしてやりすぎた?」


整備士「問題ありません。ほら」

夕立「あ、持ち直したっぽい」


整備士「あの動きはオートパイロットですね」


北上「提督、生きてる?」


提督『……たぶん。昼飯前だったのが不幸中の幸いだ……』ゼエゼエ


北上「いやあ、まさかこれほどの性能とは。ハイパー北上様はご機嫌ですよ」


提督『今の砲撃、魚雷発射管から飛んできたように見えたんだが』


北上「そうだよ?地上でも使えるように改造してもらったんだー♪」


提督『それもう魚雷じゃなくて無誘導ミサイルのような……おえ』


夕立「提督さん、大丈夫?」

北上「やー、訓練とはいえ、流石にやりすぎたかもね。ごめんね提督」


提督『いや、お陰で初日とは思えないくらいには飛べるようになったからな。一応本当に安全確保もされてたし……』


大鳳『提督!!!』


提督『な、なんだ!?大鳳か?』


大鳳『提督!大変なんです!すぐこちらに来てください!』


提督『あ、ああ、分かった。場所は格納庫の整備ブロックでいいんだよな?』


整備士「それでしたら提督、本日の訓練の締めとして、そこまでギアで飛行していってください。どうせギアも格納庫に収容する予定でしたから」


提督『了解。すぐ向かうからな!』ギュン


夕立「……行っちゃったっぽい。どうしたんだろ、大鳳さん」


北上「さあ?」


  ***

今回はここまで。次回もいつになるか未定です。なるべく2週間以上空けないようにします。それでは。

~格納庫~


提督「ふう。あっという間に到着、と。おーい大鳳、どこだー?」


大鳳「ていとくー!」


提督「おお、いたいた。さっきはどうしたんだよ」


大鳳「いいから来てください!」グイ


提督「なんだなんだ?」


  ***


大鳳「これです、見てください提督!」


ブーン


提督「これ、艦載機か?」


大鳳「はい!ついに成功したんです!こちらでの艦載機の生産に!」


提督「へ、へえー。それは良かった」


大鳳「これで散っていった妖精さんも帰ってこられます。本当に良かった……」


シタン「ええ、まさかここまで上手くいってしまうとは。私にも予想外でした」


提督「シタン先生?」


大鳳「今回開発が成功したのは、何といってもシタン先生のお陰なんです。先生のエアッドの知識が無ければとても……」


シタン「いえいえ、私はちょっとばかり設計に口を出しただけですよ」

提督「……うーん」


大鳳「提督?さっきからあまり浮かない顔をしてらっしゃいますけど、どうかしたんですか?」


提督「いや、この艦載機なんだけどさ」


大鳳「はい?」


提督「めっちゃデザイン変わってね?」


大鳳「え、ええ、そうですね。シタン先生の設計ですから」


シタン「エアッドを設計の基盤にしていますから、必然全体のフォルムが流線型になりましたね。何か問題がありましたか?」


提督「いや、このデザイン、ヲ級が使ってた艦載機にすごく似てるんだけど……。表面のつるつる具合とか」


大鳳「え、そうでしょうか……?あれほど禍々しい形ではないと思いますよ」


提督「うーん、色が結構違うから分かりにくいかもしれないけど、やっぱり似てると思うぞ」


シタン「ヲ級というのは、あなた方が向こうの世界で戦っていた敵ですか?」


提督「ああ、まあ。うーん、考えすぎかな」


大鳳「きっとそうですよ。そんな偶然ある訳ないです」


シタン「そうですね。あまりに様変わりしすぎたものですから、以前見たことのある別の物との類似性を無意識に見つけようとしたのでしょう」


提督「そうかもなあ。まあとにかく、良かったな大鳳。加賀さんには知らせたのか?」


大鳳「はい。加賀さんは今開発チームと一緒に最終調整をしています。頑張っている提督には負けられないって意気込んでましたよ」


提督「はー、あの加賀さんがね」


大鳳「それで、提督にも色々とやって頂きたいことがあるのですが……」


提督「ん、色んなとこの許可貰ったり書類書いたりだろ?ちょっと前に弾薬の件で散々やったからな。そこは任せとけ」


大鳳「お願いします。まずは加賀さんと合流しましょう」


提督「オッケー。それじゃシタン先生、今回はどうもありがとう」


シタン「礼には及びません。丁度ヒマを持て余していたところですから」

提督「ヒマだったって、ユグドラシルの方で色々やることがあるんじゃ?」


シタン「いやあ、それがそうでもないんですよ」


提督「え?」


シタン「ユグドラは若くんの部下だけで元々回るようになってますし、私の仕事といったらヘイムダルの整備くらいで……。
そんなところをジェサイア先輩に見られたら酒盛りに付き合わされますし、こちらで設計を手伝わせてもらえてむしろ感謝していますよ」


提督「ははは、お互い人間関係には苦労が絶えないようで……」


シタン「いや全く……。と言っても、提督はあまりそういう苦労をされているようには見えませんが」


提督「まあ、金剛とか大鳳とかは比較的マシな方だからなあ。酷いと長いこと付き合っててもクソ提督呼ばわりしてくるのとか、
怒るとすぐ執務室に爆撃かけようとしてくるヤツとか、そりゃもう色々と……」


大鳳「あの、提督。そろそろ行かないと」


提督「え、ああ。そうだな」


シタン「ああ、申し訳ない。私としたことが、無駄に引き止めてしまいましたね。いやあ、妻にしつこいとよく怒られるのですが、
いやはや、性分というのは中々直らないものですねえ」


提督「とんでもない、久々に昔話ができて嬉しかったよ」


シタン「では私もこの辺で。夕食までミドリと遊ぶ事にしますよ。たまには父親らしい事もしてやらないと、本格的に口を利いてくれなくなりそうですからね。それでは」スタスタ


提督「……妻子持ちって大変だな」


大鳳「?シタン先生と何の話をされてたんですか?」


提督「まあちょっと、男の話だよ」


  ***

マリア「……こちらパトロール中のゼプツェン、シェバト南方に異常ありません。予定通り帰投します」

マリア(今日もソラリスの襲撃はなし。一体やつらは何処に……ソラリス本国の位置さえ分かれば、私だけでも……)

マリア(いけない!私はまた同じ失敗を……私がもっとしっかりしていれば、シェバトの被害はもっと少なかったかもしれないのに。
アハツェンに、父さんの機体に、あんなことさせずに済んだかもしれないのに……)

マリア「……父さん」

マリア(……ソラリスを倒すため、今私にできることは、シェバトを守ること。フェイさんや金剛さん達が戦い準備をしている間、
私がシェバトを守る!それがソラリスを倒す一番の道。女王さまだってそう言っていたんだから。だから……)


マリア「……帰りましょう、ゼプツェン」


~17格納庫~


マリア「……ふう」カチャカチャ


整備員「お疲れ様、マリア。仕上げは俺達でやっておくから、後は任せてくれていいぞ」


マリア「え?でも……」


整備員「まあまあ、じつはマリアに客が来ててな。あっちに待たせてあるんだよ。そっちの相手をしてくれ」


マリア「あっち?ええと……」


金剛「マーリーア!」バッ


マリア「きゃあ!」


金剛「パトロールお疲れ様デース!突然ですガー?私とハルナのランチのお誘いに来たネー!」


マリア「え、遠慮します!もう、驚かすのはやめて下さいっていつも言ってるじゃないですか!」


金剛「細かいことはいいんデース!さあ、ハルナが待ってマス!レッツゴーネー!」ズルズル


マリア「ちょっと、人の話を聞いてください!」


  ***

金剛「~♪」


マリア「ちょっと……もう、離してください!」グイグイ


金剛「ノー!今日という今日は逃がさないネー」


マリア「どうしてそこまで私に付きまとうんですか!」


金剛「勿論、今のマリアを放っておく事なんてできないからデース」


マリア「何ですか、それ。同情で言っているなら……」


金剛「ンー、ちょっと違うネー」


マリア「……」


金剛「マリアは思ってることとかを表に出さずに溜め込んじゃうからネー。それじゃ良くないと思ったんデース」


マリア「……会って間もない貴女が、私の何を知っているんですか」


金剛「オーウ、私にはお見通しデース!何てったって私、お姉ちゃんですからネー」


マリア「意味が分かりません」


金剛「鎮守府にも色んな子がいるって事デース。その中にはマリアみたいな子もいるネー。頑張り屋で、何でも自分の力で解決しようとして……。
そういう子はいつもこうやって無理矢理にでもお話するチャンスをメイクしてるんデース」


マリア「父さんやソラリスのことは私の問題です。それを私が何とかしようとして、何がいけないんですか」


金剛「今はもうそうはいかないネー。ソラリスは私達の共通の敵デース。それに、マリアが出る前に私達があのギアを止めていればマリアが悩むことは無かったネー。
そういう意味では私達にも責任がありマース」


マリア「そんな、皆さんはシェバトを守るために全力を尽くしてくださいました。父さんを助けられなかったのは私の力不足です」


金剛「それを言うなら、シェバトを最後に守ったのはマリアデース」


マリア「……」

金剛「つまり、マリアのファザーの事は私達とマリア、それにシェバトのせいだし、ここにいる皆を守れたのも、やっぱり私達みんなのおかげデース」


マリア「……それで、金剛さんは私にどうして欲しいんですか」


金剛「ンー、マリアはもうちょっと皆と話をするといいと思うネー。今のシェバトには私達はもちろん、フェイ達だっているネー。
こんなに沢山人がいるのに、自分だけで何かしようなんてもったいないに決まってマース!」

金剛「そーれーに!」ギュ


マリア「きゃあ!」


金剛「こーんなキュートな子を一人で戦わせるなんて、そんなことしたらキリシマやヒエイがカンカンになるデース!」


マリア「その方達は、元の世界にいる方なのですか?」


金剛「イエース!二人とも私の自慢の妹ネー!」


マリア「そのお話……提督も、似たような事をおっしゃっていました。私と父さんが戦うのを黙って見ていたら、元の世界に置いて来た方たちに申し訳が立たない、って」


金剛「え、テートクが?」


マリア「ええ。ですから、皆さん同じように考えているのかなって……違うんですか?」


金剛「ンー、まさかテートクがそんな事言うなんて思ってなかったネー」


マリア「くす、金剛さんも提督とお話したほうがよろしいのでは?」


金剛「ウー、テートクはテートクだから、いつも皆の話を聞く側デース。そういえばテートクのお話はあんまり聞いた事がないネー……」


マリア「金剛さんも、もっと提督とお話しなきゃいけませんね」


金剛「イエース。でもその前にマリアとお話したいデース!」


マリア「そう、ですね。私も、金剛さんのお話がもっと聞きたいですわ」


金剛「……!!そうと決まれば急ぐネー!街でハルナが待ってるヨー!」グイ


マリア「あっ!そんなに急がなくてもお昼は逃げませんよ!」


金剛「ゆっくりなんてしてられないデース!あ、私のことは遠慮なく『お姉ちゃん』って呼んでくだサーイ!」


マリア「いや、それはちょっと……」


  ***

今回はここまで。いい加減更新頻度がヤバイので次回は必ず来週投稿にします。それでは。

お待たせしました。今週の投稿を始めます。

~別の日 アウラ・エーペイル~


提督「へー、ここがそうなのか」


北上「そーそー。中々いいところでしょ?」


提督「ああ。まさか街の中央塔の屋上が芝生の庭になってるなんてな。立派な木まで生えてるし、一体どうなってんだ」


北上「ほら、ここからだと街が一望できるんだー。提督ってばここの所こういう景色も楽しんだり出来てなかったんじゃない?」


提督「ギアの訓練で上空を飛んではいるんだけどな。確かにまだ操縦に手一杯で景色を楽しむ余裕はないな」

提督「……おー、こりゃすごいな。誰に聞いても満点と答えそうな絶景だ。ああ、いや、大鳳を除いてかもしれんが」


北上「んー、そうでもないと思うよ。あの人もうここの足場に慣れてるっぽいし。今朝だって朝ごはんの前にこの辺でランニングしてたし」


提督「そういえばこないだ大鳳に呼び出されたときもすっかり慣れてる様子だったな。一体いつの間に成長したんだ?」


北上「シェバト防衛戦の後にはもう大丈夫だったみたいだよ?『必死に戦ってたら、いつの間にか怖くなくなってました!』って言ってた」ウラゴエ


提督「今の大鳳のモノマネか?」


北上「似てたでしょ?」


提督「まあまあな」


北上「へへー」ゴロ

提督「服汚れるぞ」


北上「最近よく来るから慣れてるし」


提督「最近ったって、お前らもずっと忙しかったんじゃないのか?」


北上「そうそう。薄暗い地下ドックでずっと装備の相手してたからねえ。たまの休憩にちょくちょく来てたって訳」


提督「今日もそんな所で良かったのか?折角だからもっと色んなところ回ったっていいんだぞ」


北上「いーのいーの。タムズにいたときに一番乗りだったご褒美って言ったって、ここ最近のどたばたで私もすっかり忘れてたし、
どうせすぐまた忘れそうだったからねー。それに、いつもはここでのんびりしてると怒った加賀さんがすぐ来ちゃってあんまりゆっくりできないんだよねー」


提督「休憩じゃなくてサボってるだけじゃねえか」


北上「まあまあ」


提督「あんまり加賀さんに負担かけるんじゃないぞ」


北上「はいはい、お説教も無しでしょ。今日は私のための休みなんだし」


提督「……しょうがねえな」


北上「よろしい。ほら、提督ももっとこっちに座んなよ」ポンポン


提督「はいはい、よっと」


北上「……ふー、風が気持ちいいねえ」

提督「ああ、そういやこんな高度なのに全然寒くないな。障壁のお陰なのかね」


北上「さあ、それはどうでもいいけど。うーん、こうやって風に当たってると、鎮守府の潮風を思い出すねえ」


提督「やっぱさ、北上もたまに寂しくなったりするのか?」


北上「急にどうしたのさ、真面目な顔になっちゃって」


提督「いや、いつか聞こうと思ってた事なんだけどな、こっちに飛ばされてきてから結構経つから、不安とか無いかなーと」


北上「んー、大井っちとかの顔が見たいなーってたまに思うけど、それくらいかなー」


提督「……本当に大丈夫か?」


北上「んー?何か提督、いつもより優しいんじゃない?」


提督「いや、いつもと変わらないつもりだけど」


北上「じゃあ仮にさ、ほんとに寂しいから今すぐ帰りたいって私が言ったらどうするのさ」


提督「う、それは……」


北上「あはは、だから大丈夫だって。あんまり心配してないってのは本当だよ。向こうの事も、こっちの事も、なんとかなるでしょ」


提督「……そうか、それならいい。それじゃ今日は存分にのんびりしてくれ」ペラ

北上「ん?何の本?」


提督「シェバトギアの構造の本。整備士連中にギア乗るなら勉強しとけって渡された」


北上「はい没収ー」ヒョイ


提督「あ、何すんだ」


北上「うへー、最初のページから何書いてあるか全然わかんないや」ペラペラ


提督「まあ、俺も半分分からないまま読んでるからなあ。とりあえず返してくれ」


北上「ダメですー。今日は私に付き合う日なんだから、提督も休まなきゃ駄目でしょ」


提督「……お前もしかして、俺の息抜きも考えてここにしてくれたのか?」


北上「まさか、そんなわけないでしょ?せっかく大手を振ってのんびりできるのに、一緒にいる提督が勉強なんてしてたらこっちが落ち着かないじゃん」


提督「まあ、そういうことにしといてやるよ。ありがとな」


北上「だから提督のためじゃないってば。それよりほら、何か面白い話してよ」


提督「おう、それじゃこないだ偶々目撃したリコとバルトの喧嘩の話でもするか」


  ***

~次の日~


マリア「……ですから、空中で格闘戦を行う場合、より高い高度にいた側が有利に立てるのです」


提督「うーん、理屈は何となく分かるんだが、あんまり実感が湧かないな。第一、まだまだ空中での行動も覚束ないのにそんな事気にして動けるのだろうかね」


マリア「そんな甘い事は言っていられません。ソラリスのギアはいつ攻めてきてもおかしくないのですから、提督には一刻も早くギア戦に熟達していただきますわ。
それを皆望んでいます」


提督「は、はい。精進します」


マリア「では、今日の座学はここまでとしましょう。午後からは実戦形式で今覚えた内容を理解してもらいますので、そのつもりで」


提督「よし、その前に昼飯だな。良かったら一緒に食べるか?」


マリア「いえ、折角ですが先約があるので……」


金剛「マールィアー!迎えに来たネー!」ネイティブ


マリア「金剛さん。時間には間に合うから待ってて下さいと言ったじゃないですか」


金剛「私もそのつもりだったけど、ちょっと時間が空いたからこっちまで……オーウ、今日はテートクと何かしてたんですカー?」


提督「ああ。マリアにギア戦のいろはを教えてもらってたんだ。こっちに関しちゃマリアは大先輩だからな」


金剛「ウー、何か楽しそうネー。私も混ざりたかったデース」


提督「いや、頼むから自分の仕事をしてくれ……」


マリア「では提督、金剛さんとお昼をご一緒する約束でしたので、また午後に」


提督「ん、ならしょうがないな。一人で食ってくるわ」


金剛「そういう事ならテートクも一緒に行くネー!」


提督「え、いいのか?」


金剛「オフコース!マリアもいいですよネー?」


マリア「ええ、私も構いませんわ」


提督「ならまあ、一緒に行くか」


  ***

提督「……それで訓練中に近くを飛んでた鳥があんまり大きくてさ、びっくりしすぎて危うくドックに突っ込むところだったよ」


金剛「へー、そんなビッグな鳥がいるなら実際に見てみたいネー。マリアは見たことありますカー?」


マリア「ええ、パトロール中にたまに見かけますよ。遠くを飛んでいるグリフォンとか」


金剛「それだけ大きかったら食べ応えありそうデース」


マリア「いえ、実際はそうでも……。シェバトの食糧問題解決の為にそういう試みがあったらしいのですが、
食べられたものではなかったそうですよ」


金剛「オーウ、夢の無い話ネー……」


提督「なんか二人とも、いつの間にかすっかり仲良しになってるな」


マリア「ええ、今では金剛さんは大事なお友達です」


金剛「そこは『お姉ちゃん』って言って欲しいネー。もう、ずっとそう言ってるのに全然呼んでくれないんだかラー」

提督「……」

提督(まさか、金剛がずっとマリアに構ってたのって……)


マリア「ふふ、それは諦めてください」


金剛「しょんぼりデース」


提督「全く、あんまり無茶言うんじゃない。悪いなマリア。いつも迷惑掛けてるかもしれないけど、良かったらこれからも金剛と仲良くしてくれ」


マリア「もう慣れました。それに、金剛さんが本当は良い人だって、私、分かってますから。提督も、これからよろしくお願いします」


提督「ああ、もちろんだ」

マリア「なんだか、提督って皆さんの保護者みたいですね」


提督「保護者というか……まあ、ある意味そうではあるかもしれないけど」


金剛「あ!それならテートクの事を『お兄ちゃん』って呼ぶのはどうですカー!?」


マリア「……ええ!?」


提督「おい、なんでそうなる」


マリア「そ、そうです!さっきの話と全然関係ないじゃないですか!」


金剛「そんな事ないデース!テートクがお兄ちゃんなら、私は『お義姉ちゃん』って事になるネー!これならパーフェクトデース!」


提督「何も完璧じゃないんだが」


マリア「そ、そうですよ、もう!いい加減からかうのは止めて下さい、金剛さん!」


金剛「え、私は本気で……」


マリア「知りません!ほら、早く行かないと午後のお仕事に間に合いませんよ!」


金剛「あっ!待ってくだサーイ!


提督(……うーん、マリアにお兄ちゃんと呼ばれるのか……)

提督「……アリだな!」


金剛「テートクゥ!急がないと置いて行かれマース!」


提督「あ、ああ!」タッタッタ

提督(……)


  ***

~数日後 王宮~


ガチャ


夕立「おはようございまーす。女王様、お話ってなあに?」


フェイ「遅かったじゃないか。あんたたちで最後だぜ」


提督「すまない。ちょっと準備に手間取って……って、ユグドラシルの面子も召集されてたのか?」


ビリー「ええ、なんでも女王様自ら大事なお話があるとかで……」


ゼファー「全員揃ったようですね」


フェイ「それで女王、話っていうのは?」


ゼファー「ではまず……、ありがとうございました、みなさん。ジェネレーターの修理も完了し、障壁も従来通り展開されています」


榛名「結局、あれ以来一度もソラリスが攻めてくることはありませんでしたね」


バルト「へっ、奴らもまさかあの赤いギアがやられるなんて思ってなかったんだろうよ。いい気味だぜ」


マリア「……」


バルト「あ、わ、わりい。お前の親父さんの事を悪く言うつもりは無かったんだ」


マリア「分かってます、大丈夫です」

ゼファー「……マリア、先の戦いではよく頑張ってくれましたね。ニコラ博士の事は、本当に無念です……。
博士をあそこまで追いやったソラリスを倒して、真の自由を取り戻さなくては」


マリア「……はい」


金剛「マリア、元気出すネー」


マリア「ありがとうございます、金剛さん」ソモソモソラリスハイッタイドコニ……

マリア「他の皆さんも、私なんかを気にかけて頂いて、とても励みになりました。でも、もう大丈夫です」


北上「大丈夫って……どういう意味さ」ゲートノヒトツハキョウカイノチカニ……


マリア「私、決めました」


ゼファー「それと、先ほど気になる知らせが入りました」


提督「知らせ?」


ゼファー「ニサンにアヴェの軍隊が侵攻したとの事です」


バルト「なんだって……!?シャーカーンの野郎!!」


大鳳「ええと、アヴェ王国はイグニス大陸の一大国家だったと思いますが、ニサンというのは?」


提督「ニサンは同じくイグニスにある宗教国家だ。アヴェとはトップが血縁関係なのもあってかなり仲が良かったはずだが」


バルト「そんなもんはとっくの昔、シャーカーンのハゲがクーデターを起こす前の話だ!あの野郎、アヴェの次はニサンにも手を出そうってのか!!」


北上「ちょっとちょっと、急にどうしたのさ」


シタン「……若君は、クーデターで亡くなった前国王、エドバルト4世の実子、つまりはアヴェの王子なんですよ」


榛名「!?」


北上「冗談……じゃなさそうだねえ。提督は知ってたの?」


提督「いや、俺も知らなかったぞ……」


榛名「と言うことは、シャーカーンと言う方はバルトさんの……」


シグルド「ああ、そうだ。若様にとっての、いや、我々にとっての最大の敵だ。やつを倒すために、我々は今まで力を蓄えて来たのだ」


提督「しかし、ちょっといきなり過ぎないか?一体何が目的なんだ」


ゼファー「シャーカーンの目的は、恐らくかの地に眠るアヴェ王家の秘宝。ロニ・ファティマの封印したギア・バーラー!」


金剛「ギア・バーラーって……」


提督「ああ、こないだ話したばっかのアレだな」

バルト「ちくしょう!!こんなとこでグズグズしてられないぜ!俺は行くぜ、ニサンに!シャーカーンの野郎の好きにさせてたまるかッ!」


フェイ「そうだな。ニサンの人たちを見殺しには出来ない。ニサンへ急ごう!」


ゼファー「あなた方の艦には、飛行ユニットを取り付けておきました。元々は、バルトの先祖、ロニの船で使用されていたものです。
遠慮なく使ってください」

ゼファー「それと、提督」


提督「はい?」


ゼファー「良い機会です、あなた方もフェイと共に地上へ降り、任務を開始しなさい」


提督「わかりました」


金剛「言われるまでもないネー!」

北上「これは早くも新装備のお披露目ができそうで……腕が鳴るねえ」

加賀「準備はできています」

大鳳「行きましょう、提督!」

夕立「また新しいところっぽい?」

榛名「がんばりましょうね、夕立さん」


マリア「あのう、ユグドラシルの皆さん……」


金剛「マリア?……アッ!マリアとお別れするのは……」


マリア「私もあなた方と一緒に連れて行ってもらえませんか?もう、じっと待っているのはイヤなんです」


金剛「ワット!?」


ゼファー「……私からもお願いします。フェイ、マリアを連れていってやってください。この子は、幼くして運命と戦わざるを得なくなってしまった。
自分なりの決着がつかぬ限り、先へは進めないでしょう」」


金剛「それなら私達と一緒に……」

提督「やめとけ」


金剛「なんで止めるんデース、テートクゥ!」


マリア「……ごめんなさい、金剛さん。私、自分の手でソラリスとの決着を付けたいんです」


提督「俺達よりフェイ達の方が目的により近いからな。しょうがねえよ」


フェイ「よし、わかったよ。一緒に行こう、マリア。今日からは俺達の仲間だ、君と……、君のゼプツェンも」


マリア「はい!」


金剛「ウゥ、マリアァ……」グス


提督「まだ泣くには早いだろ……少なくともニサンの事は俺達も協力するんだから」


金剛「マ゛リ゛ア゛ァァァ!地上に降りるまでいっぱいお喋りするネ゛ェ゛ェ゛!」ギュウウ


  ***

今回はここまで。次回も来週投稿します。それでは。

またもお待たせしました。更新再開します。

~翌日 ニサン 東街道~


アヴェ歩兵A「……」スタスタ

アヴェ歩兵B「……?」カサッ

アヴェ歩兵B「おい、今何か」ガサ

アヴェ歩兵B「っ!?」


加賀「シッ!」ドゴォ

アヴェ歩兵B「おぐぇ!」ドサッ


アヴェ歩兵A「な、何だ!?」カチャ


榛名「はあっ!」ドゴォ

アヴェ歩兵A「ぐあ!」ドサ


加賀「……」キョロキョロ


榛名「……こちらは大丈夫です」


加賀「……こちら側も確認したわ。提督」


提督「よし、よくやってくれた。こっちの南側は制圧したな」ガサ

提督「北上、夕立、北側はどうだ?」


北上『んー、今二人で茂みの中から偵察してるけど、こっちに敵はいないみたい』


夕立『このまま街道に出てもいいけど、西側全体が湖だから敵がいたら丸見えっぽい。提督さん、どうしたらいい?』


提督「そうだな、しばらくそのままで北から敵が来ないかだけ見張っててくれ」


夕立『お任せっぽい!』

北上『このまま?あちこち虫だらけで泣きそうなんだけど』

夕立『北上さん、それくらい我慢するっぽい』

提督「大鳳、金剛、外の方はどうだ?」


大鳳『特に異常ありません』

金剛『同じく、ギアの影は引っかかってこないデース』


提督「よし。シグルド副長、街の東側は固めた。次の指示は?」


シグルド『よくやった。間もなく若様とフェイ君達が市街を制圧する。それが終わるまでは東側の防衛を任せる。それと……』


提督「それと?」


シグルド『ないとは思うが、万が一マルー様がそちらに居られたら、保護してくれ』


提督「マルーが?どういう事だ?」


シグルド『すまないが時間がない。今はただそうしてくれ』


提督「あ、ああ。了解した」

提督「聞いての通りだ。各自警戒そのままでよろしくな」


榛名「……マルーさんが来るかも知れないって、どういうことなんでしょう?」


提督「いや、俺もよくわからん。あの子がニサンの関係者だから……とかか?」


夕立『あ、それなら心当たりあるっぽい』


提督「知っているのか夕立」


夕立『マルーちゃんはニサンのだいきょうぼ?なんだって。提督さん、だいきょうぼってなに?』


提督「だいきょ……!?」


加賀「提督、お静かに」


提督「す、すまん」


夕立『提督さん?』


提督「ああ。夕立、大教母ってのはな、ニサン教の一番偉い人の事だ。そりゃいてもたってもいられないだろうな」

榛名「ええっ!?」


北上『アヴェの王子様の次はニサンの偉い人?ソラリス人もいるし、ここの人たちは一体どういう集まりなのさ……』


金剛『案外、キスレブの凄い人も実は混ざってたりするかもしれないネー』


提督「まさか、流石にそんなことはないだろ」


榛名「!提督、市街地の方から爆発音を確認しました」


提督「始まったか」


夕立『夕立たちは加勢しなくてもいいっぽい?』


提督「市街地で主砲なんて使えないだろ。それよりも周辺の警戒怠るなよ。フェイ達の討ち漏らしがこっちに逃げてくるかもしれないからな」


夕立『はーい』


  ***

提督「……」キョロキョロ


加賀「……」


提督「……」ガサ

提督「……っ」ガチャ


加賀「落ち着いて下さい、提督。ただの風よ」ハア


提督「わ、悪いな。どうにも慣れてなくてよ」


榛名「いつも通りで大丈夫ですよ、提督。いざとなったらしっかり榛名がお守りしますから」


加賀「こんな事ならいつも通り隠れて指揮に徹していたほうがよかったのではないかしら」


提督「うーん、見張りなら目が多いほうがいいと思ったんだが……逆に足引っ張る事になっちまってるなあ」キョロキョロ


夕立『提督さん、市街地の方が静かになったっぽい』


提督「お、あっちは片付いたか」


加賀「こちらが片付けられた可能性もあるわ」


提督「それならもっと騒がしくなってるはずだ。敵がこちらに捜索の手を伸ばしてくるはずだからな」ピピピ


シグルド『こちらシグルドだ。聞こえるか提督』


提督「ああ、聞こえてる。市街地の方は?」

シグルド『無事制圧した。住民の姿はないが、恐らく避難した後だからだろう』


提督「それで、こちらはどうすればいい?」


シグルド『現状を確認するために、一度集合したい。念のため街道を北にある大聖堂の裏まで確認した後、市街地にある集会所に来てくれ』


提督「了解」

提督「それじゃ言われたとおり行くぞ。俺達は街道を歩いて北上と夕立に合流する。金剛と大鳳もそっちに合流してくれ」


大鳳『了解しました!』


  ***

~ニサン市街~


提督「へー、ここがニサンの町か」


榛名「なんだか面白い形の屋根が多いですね」


夕立「想像してたよりも小さい町っぽい」


大鳳「私もそう思いました。あるのはこの町と湖が一つ、それと教会だけなんて、国と言うには規模が小さすぎるような」


提督「ここは一応一国家として認知されているが、実態はニサン教の総本山ってだけらしいからな。
重要なのはそこだけで、産業や領土を発展させる必要もないんだろうさ」


夕立「……ん。提督さん、この建物だけ人の気配がするっぽい」


提督「うん?ならここが集会所なんじゃないか?」ガチャ


エリィ「誰!?」


金剛「私デース!」


バルト「おう、やっとご到着か!遅かったじゃねえか」


シグルド「向こう側の様子はどうだ?」


提督「敵の姿はなかった。こちらはどうなったんだ?」


シグルド「見ての通り、市街地一帯の制圧は完了した。だが肝心のシャーカーンの方は……」


夕立「どこにもいなかったっぽい?」


シタン「いえ、居場所は判明しています。その事に関してなのですが……」


~先生説明中~

提督「シャーカーン不在の隙を突いてアヴェを奪還!?」


北上「ひええ、また随分と大胆な計画だねえ」


シグルド「王都奪還は我々の悲願だ。シャーカーンの暴走によって国内は混乱し、ゲブラー部隊も既に王都からは撤退している。
この機を逃す手はない」


加賀「しかしその場合、こちらの戦力を分散する事になります。その点はどうするのかしら?」


バルト「そこは心配ねえ。こっちに残ってシャーカーンの野郎を追うのは……そうだな、俺含めて三人で十分だ」


大鳳「三人!?」


榛名「流石に無茶なのではないでしょうか……?」


バルト「さっき先生が言ったが、奴が逃げ込んだのはアヴェの至宝が眠る地下の大霊廟だ。ご先祖様の墓を大人数で歩き回りたくもないからな」


大鳳「そんな事言ってる場合では!」


シタン「それだけではありませんよ。霊廟自体がアヴェの至宝、ギア・バーラー封印の為にあるのだとしたら、内部はかなり入り組んでいると思われます」


北上「狭い通路ばっかりなら人数差は関係ないって事?」


バルト「ま、そういう事だ」


大鳳「大丈夫でしょうか……?」


提督「シタン先生の言う事にも一理ある。ここは個々の戦力を信じてみよう」


バルト「時間が惜しい。そうと決まったらすぐに二手に分かれよう!霊廟へは俺とフェイと……」


フェイ「先生はどうだい?」


シタン「私は、できればシグルドと共に王都奪還に加わりたいと思います。以前、ソラリスにいた者二人が『教会』の人間を追い落とす……。
これはなかなかの皮肉だと思うんですよ」


バルト「なるほどそいつはいいや。それじゃ、シグのこと助けてやってくれ!」


提督「教会の人間?シャーカーンの事か?」


リコ「ああ。ヤツはどうも『教会』の元教皇だったらしい」


北上「へえー初耳」


バルト「となるとこっちは……」


マリア「私にお手伝いさせて下さい。太古に封印された遺跡の事なら、おじいちゃんの知識が役に立つかも知れません」


フェイ「そうか、バルタザールのじいさんはそっち方面も詳しかったな。それじゃ頼むよマリア」


バルト「よぉーし、これで決まりだ!他のみんなはシグに協力してやってくれ!」


マルー「ちょっと待って、ボクも行くよ!」


バルト「ええ!?お前は来なくて……ああ、そうか。すまないマルー。一緒に来てくれ」


バルト「じゃあ、みんなよろしく頼むぜ!今度こそやつの息の根を止めてやる!」


提督「地上に降りてきたと思ったらいきなり国家争奪戦か。なんかどんどん話が大きくなってきてるな」


北上「あれ、アヴェって砂漠ばっかって話だよね?どんなところなんだろ」


榛名「榛名も砂漠は初めてです。砂浜が何倍にも拡がったような場所なんでしょうか?」


夕立「艤装が砂詰まり起こしそう……」


金剛「マリア!お互い頑張るネー!」


マリア「ええ、金剛さんもどうかご無事で。次はアヴェの町中で堂々とお会いしましょう!」


 ***

今回はここまで。本編もこのあたりに入るとやっと中盤って感じがします。まだ先は長いですが、よろしければお付き合いください。
次回はなるべく早く投稿します。それでは。

お待たせしました。夜勤終わったので寝る前に投稿します。

~アヴェ砂漠 上空~


 ドォン ドォン

夕立「さっきより対空砲の着弾が近くなってきたっぽい」


大鳳「アヴェ本国にかなり近くまで来たという証拠でしょう」


榛名「もうすぐですね」


加賀「提督、そちらの準備は?」


提督(inギア)『大丈夫だ。作戦開始には間に合う』


北上「ちゃんとやっといてよ提督。私達も一緒に乗って降下するんだから」


提督『分かってるって。それよりお前達も作戦内容を確認しとけ』


夕立「もー、さっき聞いたばっかりなんだから忘れてるわけないっぽい」


榛名「ユグドラシルから発艦後、榛名達は左翼に展開」

大鳳「防衛戦を維持しつつ、敵の注意をこちらに引き付ける」

北上「その間に別働隊がアヴェ本国に潜入、直接王都を奪還する、でしょ。なんだか大雑把な作戦だよねえ」

夕立「そんな面倒くさいことしなくても、この艦ごとアヴェに乗り込んじゃった方が早いと思うっぽい」

提督『そんなことしたら町中ででっかい戦闘が始まっちまう。国を取り返そうって時にそんな事になれば後々禍根を残すだろうよ』


加賀「こちらの主戦力がフェイさん一行のギアである以上、戦術的にもあまり得策ではないわね」


榛名「この作戦は勝つためだけじゃなく、勝った後の事まで考えられているという事ですね」


提督『多分な』


北上「それはいいんだけどさ、なんか私達の負担が大きくない?左翼に付くのってほとんど私達だけなんでしょ?」


金剛「それ私も思ってたネー。正面にはリコとエリィ、右にはビリーとシタン。おまけにユグドラのギアがそれぞれガードに付いてるらしいデース。
それに比べるとちょっと厳しい気がするネー」


提督『そんな事はない。俺達は加賀さんと大鳳と俺で完全に制空権を握れるはずだ。それだけでかなり有利になれるだろ』


加賀「そう簡単に……」


金剛「いくとは思えないネー」


提督『シグルド副長から聞いたんだが、向こうの対空兵装はかなり原始的なものばかりらしい。それこそ今飛んできている対空砲がせいぜいな程度に、な。
こいつの機動性なら大丈夫だよ。と、よし。最終チェック完了』


加賀「そうは言っても……」


シグルド『こちらシグルド、そろそろ出てもらう事になるが、そちらの準備は?』


提督『今終わったところだ。いつでも行ける』


シグルド『了解、それならすぐにでも出てもらおう。左側面ハッチから出撃してくれ』


提督『了解だ。さあ、聞いての通りだ。今更どうこう言ってもしょうがない。皆移動するぞ』


金剛「しょーがないネー。その代わりテートクゥ、この間みたいな無茶は絶対にノーだからネー!」


提督『わかってるって。指揮を疎かにしたりはしないから安心しろ』


北上「そういうことじゃないんだけどなあ」


  ***

~ギア用側面ハッチ~


提督「……」ゴォォ


榛名『……ここから降りるんですか?』


提督「ああ」


夕立『この対空砲火の中?』ドォン


提督「ああ」


大鳳『ギアの手に乗って、ですか?』


提督「……ああ」


北上『……提督の操縦で?』


提督「しょうがねえだろ。もう作戦は始まってるし、シタン先生たちももう下で戦ってるんだ。今更やめられないだろ」


北上『大井っちじゃないけど、流石にこの作戦はどうかと思うなあ』


金剛『私はテートクを信じてマース!』


榛名『あ、榛名ももちろん提督を信頼してます!榛名は大丈夫です』


北上『いやそういう問題じゃないでしょ』


加賀『……出るなら早い方がいいと思いますが』


提督「あ、ああ。もうやるしかないな。行くぞ!」ギューン

北上『うわ!』


榛名『そ、外に出ました!』


夕立『わっぷ、砂で何も見えないっぽいー!』


提督「よし、すぐに降下するからしっかり掴まっててくれよ!」ヒュン

提督「おわ!」

北上『ひええ』

大鳳『至近弾!?』

提督「ユグドラ狙いの弾が逸れただけだ!とっとと離れるぞ!」

提督(当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように)


 ***

今回はここまで。

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