美波「おかえりなさい。Pさん。」モバP「なぜ俺の家にいるんだ?」 (54)

すこしばかり愛の重いアイドルの話

アニメ準拠じゃない点に注意





---事務所---

モバP(以下P)「……」カタカタ…


P「ふー、仕事終わり。 ちひろさん今日はもうあがります。」


ちひろ「はい、事務所の戸締まりは任せておいてください。」


P「ありがとうございます。」



---Pの家---


P「ただいま~」


P(一人暮らしの身だから返事は帰ってこないのだがな……)


?「おかえりなさい。プロデューサーさん。」


P「?!」


?「近頃寒いですし、お風呂にしますか?それともご飯にしますか?」


P「ちょっと待て、なぜ俺の家に居るんだ?」

P「美波……」



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新田美波「……プロデューサーさん。ご飯にしますか? プロデューサーさんの好きな麻婆豆腐を作ったんです。」


P「ちょっとまて」


P「そもそも、なんで俺の家を知ってるんだ? ちひろさんはとにかく、アイドルの娘達には教えてないはずだ。」


美波「そんなこと……ふふっ、気にしないでください。……それに、プロデューサーさん、玄関は寒いですし、部屋の中で夕食をたべましょう。今夜の夕食は家で食べるつもりだったのですよね?」


P「なぜ、知ってるんだ……?」


美波「ふふっ、それも気にしちゃいけません♪」ニコッ


P「」ゾクッ


P(なんだ この感じ……? まるで、まゆみたいな寒気が……)


−−−−−−


P(結局、俺は美波を家から追い出すことも出来ず自分の家に上がってしまった……)


P(美波はいつも通りだった。俺の家の玄関にいることがさも、当然だと言わんばかりに……)


P(しかし、普段は真面目でアイドルの娘たちのまとめ役をしてくれる程真面目な美波がプロデューサーだとはいえど、勝手に人の家に……ましてや男の家に上がり込んでくるなんて……おかしい……)


P(それに、心なしか普段より積極的な気がする……一体どうしたんだ……?)


P(アイドルとして、この件はスキャンダルになりかねん……原因を突き止める必要があるな……)







美波「プロデューサーさん! どうかしましたか? 何か考え事をしているようですけど……」


P「あぁ……美波がどうしてこんなことをするか、不思議で仕方なくてな……」


美波「…………やっぱりアイドルが男の人の家に上がって食事を振る舞うのはおかしいことですか……?」


P「あぁ、そもそも人の家に勝手に上がってることがおかしい。」


美波「そ、それがたとえ親しい人相手でも……ですか……?」


P「いや、ダメだ。俺と美波はあくまで、プロデューサーとアイドルだ。仕事上の関係に過ぎない。」


美波「そう……ですよね……。」


P「美波、どうしてこんなことをしたんだ……? 普段の美波らしくはないぞ?」


美波「…………わかりました。お話しします……でも、プロデューサーさん、せめて私の料理、食べてくれませんか……? 私、頑張って作ったんです。」


P「そうだな、せっかく美波が作ってくれた料理だ。食べずに捨てるのは勿体無いな。」


美波「よかった……! 冷めないうちにどうぞ召し上がれっ!」


P「おう、いただきます。」


P(美波は、とりあえず今回やったことがアイドルらしからぬことだということは自覚がある……みたいだな……)モグモグ


美波「」ジー


P(問題は、その原因か……)モグモグ


美波「」ジー


P(でも、どうして俺の家の場所がわかったんだろう……それに、家に入れた理由もわからない……寝ぼけて鍵をかけ忘れたのだろうか……?)ヒョッイ、パクッ モグモグ


美波「」ジー


P(ご飯……うまいな……本当なら毎日食べたいくらいだ……)モグモグ


美波「」ジー


P(あと、美波がさっきからこっちをずーっと見てきている。)


美波「」(プロデューサーさん……)ジー



---食事後---


P「ふー……ごちそうさま。」


美波「……ど、どうですか?! 男の人の家で料理するなんて……私、初めてでしたけど、上手にできてますかっ?!」


P「……あぁ、とてもおいしかったよ……。」


美波「よ、よかった!」パァッ


P(……すごく嬉しそうだ……)



-----


P「よし、皿洗いおわり。」


P「……美波とこうして面と向かい合って話をするのも久しぶりな気がするが、それじゃあ……」


美波「やっぱり、お話しするべきですよね……」


P「いや、あんまり無理して言わなくてもいいんだぞ。ご両親のこととか……」


美波「いえ……パパやママとの間にトラブルはありません。」


P「じゃあ……どうして?」


美波「……ぷ、プロデューサーさんのせい……って言ったら怒りますか?」


P「……! いや、続けてくれ。」


美波「いえ! プロデューサーさんが悪いってわけではありません!」


P「そうなのか……? でも俺が原因なんだろ?」


美波「えっと……プロデューサーさんが嫌いとか、そういった話ではないんです! だから、そんなに落ち込まないでください!」


P「あぁ……そうなのか。美波。」


美波「プロデューサーさんは私のために頑張ってくれてますし! ……違うんです……。プロデューサーさん……毎日朝食は食べていますか?」


P「……まぁ、朝は食べたり食べなかったりだが……安心しろ、食べなかった日は12時前までにはコンビニでおにぎりぐらいは買って食べてるから、仕事中に倒れることはないぞ。」


美波「……昼食は……」


P「昼か? 昼はやっぱり、コンビニだな。」


美波「夜は……冷凍食品のスパゲッティ。ですよね?」


P「あぁ、その通りだが、どうしてわかったんだ?」


美波「ごめんなさい。料理を作るとき勝手に冷蔵庫の中を確認させてもらいました。……冷蔵庫の中は冷凍食品ばっかりですよね。」


P「あぁ、帰るのが遅くて料理する暇はあまりないからな。」


美波「……そんなんじゃ……ダメです……」ボソッ


P「ん? もしかして、食生活を気にしてるのか?」


P「大丈夫だ、美波。 確かにお世辞にもいいとは言えないが、俺はプロデューサーだ。 そんなことでアイドルに迷惑はかけないよ。」



美波「それでも……やっぱり、普段のプロデューサーさんを見てると……プロデューサーさん。今日は早かったですけど。普段はもっと遅いですよね。やっぱり、プロデューサーさんの生活を見てるとやっぱり、不安で仕方がなかったんです……」


美波「それで……どうしてもプロデューサーさんにちゃんとしたご飯を食べて欲しくて……」


美波「私、意を決してプロデューサーさんのお宅にお邪魔したのです。」


P「そうか……アイドルにそう言われちゃプロデューサーとしてダメだな。わかったよ、美波。明日からはなるべく注意することにしよう。」


P「まぁ、それにしても突然俺の家にやってくるのも飛躍しすぎだと思うぞ。」


美波「ご、ごめんなさい! プロデューサーさんのことが心配で……心配で……気がついたら……こんなことをしてたんです……」


P「そこまで……心配だったのか。まゆみたいなことを言うんだな。」



------


P(美波はすこし恥ずかしそうに、でも俺の家からはすんなりと退いていった。あの美波が突然家にやってくるなんて、突飛なこともあるもんだ……)


P(アイドルに健康を心配されるなんて、アイドルたちを引っ張るプロデューサーとしては情けない話だ。食生活……少しは改善しないとな。)


P(とにかく、風呂も入ったし。もう寝よう。日付はちょっと前に変わってしまってるし……)


P(……) zzz




ジーッ


------


美波(ふふ……プロデューサーさん。今日は随分早くに寝るんですね……私が言ったことを気にしてくれたのかな。)


美波(……ふふ、少し嬉しいな……。)


美波(プロデューサーさん。私はプロデューサーさんのことがずっと心配だったんです……私の為に頑張ってくれるのはすごく嬉しいです……けれども、頑張り過ぎは良くないですよ?)


美波(プロデューサーさんのこと……私……心配で)


美波(……)


美波「おやすみなさい……プロデューサーさん……」



---翌日の早朝・事務所---


P「」カタカタ


P(今日はアイドルたちが来るまで、まだ時間があるな……)


P(事務所にアイドル達が来ると一気に賑やかになって仕事があまり進まないからな。)


P(皆が来るまでには出来る限り仕事、進めておかないと……)


シーン…


P「……」 カタカタ


P(……一人きりの事務所は随分と静かだな。)


ガチャ……


P(ん……? おかしいなこの時間はまだ、誰も来ないはずだが……)

美波「おはようございます。プロデューサーさん。」


P「美波? どうしたんだ? 随分早いじゃないか。」


美波「……実はプロデューサーさんに渡したいものがあって……」


P「これは……お弁当か?」


美波「はい!」


P「もしかして……昨日の事で俺に作ってきてくれたのか?」


美波「そうです。せめて昼食だけでも毎日プロデューサーさんにちゃんとしたものを食べてもらいたくて……」


P「そうか……ありがとうな、美波。」


美波「はい! あっ、食べ終わったお弁当は、私が帰るときに返してくださいね。」


P「あぁ、わかった。しかし……こんな朝早くに来て、誰も居ないような時間に渡す必要もないんだぞ。」


美波「えっと……それは…………」


P「?」



P「それに、どうしてこんな早くに? まだ仕事まで時間がかなりあるぞ。」


美波「えっと…………私、静かな事務所で……本とか、読みたかったんです。」


P「そうか? まぁ、事務所をアイドルがフリーな時間にどう活用するかは自由だからな。」


P(でも、何故こんな早くに? もし、俺がいなかったら事務所は開いていないのに。)


P(俺は今日、事務所に早く来る……なんて話をアイドルにしたのだろうか……?)


P(うーん……覚えていないぞ……)


美波「……」


―――


美波(……お弁当を渡すために、なんでこんな早い時間に来る必要があるのかなんて……)


美波(そんなの……みんなに見られないためなんですけどね……)


美波(私がプロデューサーさんにお弁当を作ってあげるなんてこと、みんなに見られたら……きっとみんなもプロデューサーさんにお弁当作りたいって、収集がつかなくなりますから……)


美波(ふふっ……プロデューサーさんにどんなお弁当作ってこようかな?)



ガチャッ---


P「おや? また、誰か来たのか?」


?「……何してるの? 美波?」


P「ん? おぉ、凛か。おはよう。」


美波「……凛ちゃん……おはよう……」


渋谷凛「おはよう、プロデューサー、美波。」


凛「それより、美波。さっき、プロデューサーに何か渡してなかった?」


美波「! えっと……それは……」


P「あぁ、これか? お弁当だよ。美波が作ってくれたんだ。」


凛「ふーん。」


美波「……」


凛「……」


美波「……」


P「?」


凛「……美波、ちょっとこっち来てよ。」


美波「り、凛ちゃん?!」


P「ん? 二人ともどうしたんだ?」


凛「別に……プロデューサーは来ちゃダメだよ。」


P「お、おう。」


−−−事務所・給湯室−−−


凛「はい、美波。 コーヒー。」


美波「あ、ありがとう。凛ちゃん。」


美波「凛ちゃんはコーヒーはブラックなんだね。」


凛「別に……今、一番私が気に入ってるのがコレってだけだけど。」


美波「へ、へぇー。」


凛「……それで、美波。」


美波「な、何かな? 凛ちゃん。」


凛「さっきのお弁当、どういうことなの?」



美波「えっと……それは……」


凛「どうして、プロデューサーにお弁当なんて渡したの?」


凛「どうやってプロデューサーにお弁当受け取らせたの?」


凛「プロデューサーの性格なら迷惑がかかる、とか言って断りそうなのに。」


美波「……プロデューサーさんの健康が心配だったから……プロデューサーさん……最近、夜遅くまで仕事していてぜんぜん寝てなくって……」


凛「……だから、プロデューサーの為にお弁当を?」


美波「う、うん……」


凛「……」


凛「じゃあ、美波はプロデューサーをどう思ってるの?」


美波「えっ!? り、凛ちゃん、それってどういう!?」



凛「別に……言葉の通りだよ。 美波はプロデューサーのことどういう人だと思ってるの?」


美波「……プロデューサーさんは……私にとって大事なお仕事のパートナーよ。 私に仕事を取ってきてくれて、私はプロデューサーさんが取ってきてくれた仕事を全力でするの。 ……プロデューサーさんが取ってきてくれる仕事は少し露出が多いかな? って思うことはあるけど……」


凛「……」


凛「……嘘だね。」


美波「え?」



凛「仕事上だけのパートナー……美波はプロデューサーとそれだけの関係で終わらせようと思ってないよね。」


凛「……プロデューサーさんにお弁当を渡していた時の美波。 すごく嬉しそうな顔してた。」


美波(み、見られてた!)


凛「仕事上だけの関係なのにお弁当をあんなに嬉しそうに渡すわけないじゃん。」


美波「……」


凛「美波にとってプロデューサーってなに?」


凛「ねえ、美波。 本当のことを教えてよ。」


凛「美波はただの仕事上の関係でしかない人に、あんな顔をしてお弁当を渡すの?」



美波「……」


美波「私にとってのプロデューサーさん……」


美波「私にとってのプロデューサーさんは……とても、大事な人なの……」


美波「私達のことを親身になって考えてくれて、私達のために頑張ってくれて……」


美波「でも、プロデューサーさん、プライベートなことはなかなか教えてくれないの……オフの日にお出かけしませんか? って誘っても断られちゃって……」


凛「そうだね、私もプロデューサーに家の場所教えてって言ったら頑なに断られたよ。」


美波「さ、流石に突然家の場所を聞いたらプロデューサーさんもびっくりしちゃうんじゃないかな?」


凛「そうかな?」


美波(私もプロデューサーさんの家に突然お邪魔した時はすごい驚かれたけど……)



美波「……それで、そんなプロデューサーさんが私の作ったお弁当を受け取って貰えたことがとても嬉しかったの。」


美波「プロデューサーさんに少し近づけた気がして……」


凛「……でも美波。 抜け駆けは許さないよ。」


美波「ぬ、抜け駆けだなんて……」


凛「私だってプロデューサーにもっと近づきたいって思ってる。」


凛「だから……私も負けないよ。」


凛「私をここまで育て上げたプロデューサーには感謝してるから。」


凛「私はプロデューサーにどこまでもついていく覚悟だってある、プロデューサーがどこに行こうと。」


凛「プロデューサーのこと、簡単には渡さないから。」



美波「凛ちゃん……」


美波「ううん、私だって負けません!」


P「凛ー! せっかく早く来たし、今月の予定でも話そうと思うんだ。 話が終わったら来てくれないかー?」


凛「わかったー、すぐ行くー。」


凛「じゃあ行くね、美波。」


美波「じゃあね、凛ちゃん。」


美波「……」


美波(凛ちゃんもプロデューサーさんに近づこうとしているのね……私みたいに……)

大きく間を開けて申し訳ありません
一応、生存報告です

もう少しで投稿を再開します

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年12月20日 (木) 08:28:09   ID: 1hbbyVSj

いつまでも待ってるよ‥

2 :  SS好きの774さん   2021年11月29日 (月) 19:16:39   ID: S:pE19Eo

遅い!

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