的場梨沙「その本、何語?」 二宮飛鳥「ドイツ語」 (23)

デレステSRネタ


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梨沙「へー、ドイツ語なんだ。アタシは全然読めないわ」

飛鳥「そう」ペラ

梨沙「ねね、ドイツ語ちょっと教えてよ。簡単なやつでいいから」

飛鳥「そうだね……」パタン


飛鳥「グーテンモルゲン」

梨沙「グーテンモルゲン……意味は?」

飛鳥「朝の挨拶さ。日本語で言うなら『おはようございます』だ」

梨沙「そういえば、『グッモーニン』にちょっと似てるかも」

飛鳥「元は同じ言語から別の進化を遂げた者同士、らしいからね」

梨沙「他には?」

飛鳥「グーテンターク。こんにちは、だね」

梨沙「グーテンターク!」

梨沙「あいさつ以外にはなんかないの?」

飛鳥「………」

飛鳥「………」

梨沙「……もしかして、それしか知らないってわけじゃないでしょうね」ジトー

飛鳥「いや……あといくつかは知っているさ。何を紹介すべきか思案していただけで」

梨沙「アンタ今『いくつか』って言ったわよね。ドイツ語の本読んでたんじゃなかったの?」

飛鳥「読めなくても感じられるモノはあるだろう」

飛鳥「この本の翻訳されたモノはすでに読んでいるけれど、原文だからこそ理解(わか)ることもあるだろうしね」

梨沙「それ、ただのカッコつけだったりしないわけ?」

飛鳥「そう判断するかどうかはキミの自由だ。ボクはただ、この本から何かを得ようとしているだけ……そこに他者からの評価は必要ない」

梨沙「ゴーイングマイウェイねー。外国語の本を読んでる姿が似合ってるのが、なーんかムカつくけど」

梨沙「ま、今回は許してあげる!」

飛鳥「許しをもらう必要はないけどね」

梨沙「なによー、いいからありがたく受け取っときなさいよ」

飛鳥「はいはい」

心「くーげるしゅらいばー☆」にゅっ

梨沙「うわっ、びっくりした! ハートさんいたの?」

心「ちょっと前からいたぞ♪」

飛鳥「クーゲルシュライバー……聞いたことがあるな。なんという意味だったか……」

梨沙「なんかカッコいい響きよね。強そう」

心「おう、メチャクチャ強いぞ☆巷では剣より強いと言われてるからね♪」

梨沙「そうなんだ。じゃあ爆弾とか?」

心「さあさあ、当ててみな☆」

梨沙「うーん……魔法の杖!」

心「ぶっぶー!」

梨沙「違うか……うーん」

飛鳥「(剣より強い、で思い出したけど、黙っておくべきか……)」

翌朝


飛鳥「おはよう」

梨沙「おはようございまーす。あー、毎日寒いわね」

梨沙「まだ夏みたいに暑いほうがマシよ」

P「半年前は『冬みたいに寒いほうがマシ』と言ってなかったか?」

梨沙「それはアレね、半年前のアタシが間違ってる」

飛鳥「今の自分が間違っているとは考えないのかい」

梨沙「何言ってんの。昔のアタシと今のアタシなら、今のアタシが正しいに決まってるじゃない」

飛鳥「その自信は羨望すら感じさせるよ」

梨沙「センボーって?」

P「うらやましいって意味だよ」

梨沙「へえ。ということは……ようやく飛鳥も、アタシのすごさがわかってきたってことね♪」

P「ははは……にしても二人とも、この時期にしてはずいぶん薄着だな」

飛鳥「事務所に入る前はきちんと上着を羽織っていたさ」

P「それにしたって、肩出しの服は結構すごいと思うぞ」

梨沙「女の子のオシャレには我慢が必要なのよ。アイドルのプロデューサーなら、そのくらいわかってるでしょ?」

P「まあ、そうなんだけどな。理解と納得はまた違うってやつだ」

梨沙「飛鳥みたいなこと言うのね」

飛鳥「歓迎しよう、同類」

P「うれしそうな顔してるな……目が若干輝いてないか?」

梨沙「とにかく、オシャレは女の子の命!」

梨沙「ハートさんだって同じこと言うはずだわ」

飛鳥「彼女も、ファッションにはこだわるタイプだからね」

P「ああ……その心さんなら」



心「おはようございまーっす。はー、あったまる」ズズズ

P「見ての通り、どてら羽織って日本茶を味わっているところだ」

梨沙「全然オシャレじゃないじゃない!」

心「梨沙ちゃんにはわかんないかなぁ♪どてらもなかなかいいファッションなんだぜ☆」

心「寒い冬には欠かせない! 実家から持ち込んだ、小学校の頃からのはぁとの相棒だぞ☆」

飛鳥「こたつに日本茶にどてら……母方の実家の祖母を思いだ」

心「ん? なぁに、飛鳥ちゃん? なんか言った?」ニッコリ

飛鳥「なんでもない」

心「あ~、気持ちいい♪」

梨沙「ふふん、どうよアタシの肩もみテクは。パパのために鍛えたんだから」モミモミ

心「うん、いいよいいよー、すごくいい♪あ、もうちょっと左」

梨沙「ここ?」

心「あんっ♪そう、そこそこ☆」



飛鳥「気持ちよさそうだね」

心「やっぱり人に肩揉んでもらうといいわ~☆」

梨沙「飛鳥、アンタもあとで揉んであげてもいいわよ? 今日のアタシは機嫌がいいから」

飛鳥「……遠慮しておくよ。そこまで肩は凝っていない」

梨沙「えいっ」モミモミ

飛鳥「んひゃっ!」

梨沙「あははっ、『んひゃっ』だって!」

飛鳥「まったく……」


しかし、こういうのも案外悪くないと思う飛鳥であった――

飛鳥「勝手にボクの内心を補完しないでくれ」ジトー

心「ごめんごめん☆」テヘペロ

心「ふぃー、だいぶ肩が楽になったわ♪ありがとね、梨沙ちゃん☆」

梨沙「さすがアタシ、肩もみも一流ね」

飛鳥「結局無理やりマッサージされたけど……想定以上によかった」

心「なんかお返ししてあげよっか?」

梨沙「お返し? そうね……じゃあ足でも」

心「足のマッサージ?」

梨沙「足でも舐めてもらおうかしら」

飛鳥「急に要求のレベルが上がったな」

梨沙「なんかこういうのが流行ってるらしいから」

心「それが流行ってんのは昔も今も一部の世界だけだよ……」

梨沙「ほらほら、いいから早く舐めなさいよー。さっきのお返しなんでしょ?」ニヤニヤ

飛鳥「………」

心「………」

梨沙「な、なによ二人でうなずき合って……っ!?」


コチョコチョコチョ

梨沙「ひゃんっ!」

心「足を突き出されたら自然とこうしたくなっちゃうんだよね♪」コチョコチョ

梨沙「ふふっ、ちょ、やめっ……ていうか飛鳥! アンタもなに一緒になってんのよっ」

飛鳥「さあ、なぜだろう。自然にこうしたくなった」

飛鳥「これが魂の赴くままに、というヤツなのかもしれないな……」

梨沙「カッコつけながらこちょこちょするなー!」



P「あれだけ騒いでたら、寒さも感じなくなるだろうなあ」ズズズ

P「うん、やはり冬はあったかいお茶に限る」

その日の午後


飛鳥「人間が空を飛びたいと願うのは、その背中に翼を持たないからだろう」

飛鳥「もし翼があるなら、最初から飛べるのだからそんなことは願わない」

飛鳥「翼がないからこそ、空への憧れを知る。そして求める」

飛鳥「その想いは儚いけれど、同時に力強いモノでもある」


心「………」

心「ボーマンダみたいな?」

飛鳥「そのたとえは……まあいいか」


※ボーマンダ ドラゴンポケモン
つばさが ほしいと つよく おもい つづけてきた けっか からだの さいぼうが とつぜんへんいを おこし みごとな つばさが はえてきたと いう

梨沙「へー。飛鳥は次のライブ、悪魔の衣装着るんだ」

飛鳥「信仰はしないけれど、悪魔に対して興味はある」

心「天使ならはぁととお揃いだったのになぁ」

飛鳥「ボクには天使より悪魔のほうが適任だと思うけれどね」

心「そんなことないって♪真っ白な羽つけて、頭にわっか乗せてー」

梨沙「……なんか、飛鳥が着るとゲームのボスみたいになりそう」

飛鳥「人間と敵対するポジションの天使か」

梨沙「そうそう。後ろでパイプオルガンの音楽が流れてて」

心「えー? そんなんじゃなくて、絶対もっとかわいいのになるって!」

梨沙「それはそれで面白そうだけど」

飛鳥「ふむ………」

梨沙「で、アンタはさっきから難しい顔してなに考えてるの?」

飛鳥「いや……衣装は見せてもらったんだが、もうひとつ何かが足りないような、そんな気がして」

心「飛鳥ちゃんの中のイメージを表現するには、まだ何かが必要ってこと?」

飛鳥「そうなるかな……」

梨沙「悩んでるわねぇ」

心「ふーん……」

心「自分のイメージをちゃんと出したいなら、自分で作ればいいんじゃない?」

飛鳥「えっ?」

心「つまり、自分で衣装に手を加えるってこと♪一から作るのは手間も時間もかかるけど、それくらいならできるでしょ?」

梨沙「そういえば、ハートさんは自分で作った衣装で踊ったことあったわよね」

心「おう♪最後の方はパーツが取れかかってたけどな☆」

飛鳥「自分で手を加える、か……」

飛鳥「たとえば、この黒のタイツを裂くというのは」

心「そのくらいなら全然オッケーでしょ! プロデューサーに相談してみれば?」

梨沙「あ、なんかやり方が見えてきた感じ?」

飛鳥「そうだね……助かったよ」

そして――


心「もっと思いっきり切れ込みいれた方がいいんじゃない?」

飛鳥「いや、そこまで裂くとカオスが強すぎる。悪魔はある種秩序に基づいた存在だ」

梨沙「じゃあ、こっちをこうするのは?」

飛鳥「ふむ……少し違う」

梨沙「……アンタ、さっきの似たような切り方は良いって言ってなかった?」

飛鳥「さっきのとそれとはまた違うだろう」

梨沙「アタシには同じに見えるんだけど」

飛鳥「ボクの世界観的には違う」

梨沙「わかんないわよっ」

心「人のイメージを理解するのは難しいなぁ……特に飛鳥ちゃんのは」

心「まあ、逆にやりがいがあるってことか☆」フフフ

P「………」

P「あれは一種の、セカイの共有というものか……」

P「……最近、飛鳥の口調が少しずつ移ってきているな」


梨沙「プロデューサー! アンタからも飛鳥に言ってやってよね!」

P「はいはい、どうかしたのか?」

梨沙「飛鳥ったらね――」

飛鳥「だからそれはさっきからこうだと――」

心「それよりここはやっぱりこうしたほうが――」

P「一度にしゃべられても困るって。順番に、落ち着いて――」



おしまい

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
お花見以来久しぶりの新規飛鳥だったので、新しいセリフがたくさん聞けてホクホクでした。「自分にないセカイも届けたい」というのはいいですね
相変わらずの140キロツーシームな言葉の数々
メフィストの話を聞いてようやく『深淵への招待』の意味がわかりました

以下過去作宣伝
シリーズ前作:二宮飛鳥「だるい」 佐藤心「だーるい」
昨日書いたやつ:緒方智絵里「愛が重いと言われているので」

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