デデデ「尿管結石…? そりゃ何ゾイ」カービィ「ぽよ」 (55)


デデデ城 食堂


デデデ「ハムハムハフ、ガツガツ、クッチャクッチャクッチャ」

エスカルゴン「あーもう、そんなにがっついて食べたらはしたないでゲス」

デデデ「うるさいゾイ!」

ドボドボドボ

エスカルゴン「……うわっ、その料理は元から十分味付けしてあるでゲしょーが! そんなに醤油かけて!」

デデデ「味は濃ければ濃いほどよい。濃い味が恋しいゾイ」

ドボドボドボ

エスカルゴン「……うわちょっと! そのコロッケにもソースかけすぎでゲス!」

エスカルゴン「まったくもう……あとで病気になっても知らないでゲスよ!」

デデデ「そんなもん気にしてたらメシは食えんゾイ! ほれ~」

ドボドボドボ

エスカルゴン「あらちょっと私の料理にまで~!!」


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デデデ城 パーム大臣夫妻の部屋


メーム「さあみんな、夕飯の支度ができたわよ」

カービィ「ぽよ」

メーム「カービィの分も作ってあるわ、今晩は泊まっていきなさいな」

カービィ「ぽよ~!」

ブン「おっ、よかったなカービィ」

フーム「じゃ、みんなで食べましょう」





「「「「いただきまーす」」」」

カービィ「ぽよぽよっぽよ~」

パーム「……フム、今日の料理も素晴らしい味付けだねえメーム」

カービィ「ぽよー」

ブン「どうした? カービィ」

フーム「……お醤油? だめよカービィ、このお料理は十分味付けしてあるじゃない」

カービィ「ぽよ…」

フーム「あんまり濃い味のものばかり食べてたら、病気になっちゃうの。気を付けないと」

フーム「一汁三菜。毎日の食事の基本として、文献にも書かれてるくらいなんだから」



― 激痛!? ニョーカンケッセキ! ―




― 翌朝 ―

デデデ「…………zzz」

デデデ「………………」

デデデ「…………ググ……ムム……」

デデデ「……グググ……」

デデデ「……ふああ」

デデデ「…………どうもよく寝つけんかったゾイ…………」

デデデ「……なんだかお腹が痛いゾイ……トイレトイレ……」


デデデ城 食堂

エスカルゴン「モグモグモグ……」

エスカルゴン「……あれ、どうしたでゲスか陛下」

デデデ「……なんだかお腹が痛いゾイ……」

エスカルゴン「腹痛い? ならトイレ行ってくればいいでゲしょ」

デデデ「トイレはさっき行ったゾイ。しかしウ○チも出ないしずっとお腹の痛みが取れんのだゾイ」

エスカルゴン「……? そりゃまた……どういう症状でゲしょうかねえ」

デデデ「食欲が湧かん、朝メシはまた後で食うゾイ」


デデデ「うーむ……痛い……」



― 一時間後 ―



デデデ「痛いゾイ……」



― 二時間後 ―



デデデ「……痛い……痛い……」



― 三時間後 ―



デデデ「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」


デデデ城 中庭


ブン「ヘイ、カービィ! パスくれパス!」

カービィ「ぽーよっ!」

ホッヘ「カービィ、ナイスキック!」

イロー「そうはさせないぞー、えいっ」

ブン「うわっくそぉ、取られたぁ」

ハニー「……ふぅ。暖かくていい天気ね」

フーム「ほんとね。いつもと変わらない平和なププビレッ……」



デデデ「あああああああ痛ぁぁぁぁぁぁァァァァァァぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

ドドドドドドドドドドド

デデデ「痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛ああああああああああああああああ!!!」


ハニー「あれは……」

フーム「まーたデデデね……なんかすごい痛い痛い言ってるけど」




デデデ「あああああああああああがっががががががっあああぁあああぁぁああぎょあごぎぎゃ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いい痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いい痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いふうううぐおおおおおおぉぉぉぉぉオオオオオオオオオオオオオオオオオヲヲヲヲヲヲヲヲオオオオヲヲヲああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaあああい痛い痛い痛い痛いい痛痛い痛い痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛いータイイタイイタイイタイいたいいたいイタイ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」

ドタドタドタドタドタドタ…

デデデ「痛いゾーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイ!!!!!!」




ブン「お、おい……ありゃいくらなんでもひどすぎるぜ、姉ちゃん」

フーム「た、確かにそうね」

エスカルゴン「あ! フーム、助けてくれでゲス~!」

フーム「エスカルゴン! あのデデデの痛がってるのは何なの? 何かの病気なの!?」

エスカルゴン「分からないんでゲス、朝からどうもお腹が痛いらしいんでゲスが……」

フーム「お腹が痛いならトイレに行かせなさいよ!」

エスカルゴン「だから! トイレ行っても治らないから困ってるんでゲしょーが!」


フーム「それなら早く医者に診せるなりすればいいでしょ!」

エスカルゴン「あ、そうか」

エスカルゴン「陛下~~!! 早くヤブイのところに行くでゲス~~!!」

ブン「まったく、エスカエルゴンはいいトシしてどっか抜けてるぜ……」


ブロロロロロロロ…


フーム「……それにしても、デデデの症状の正体が気になるわね」

フーム「みんな、エスカルゴンとデデデを追いかけて私たちもヤブイの診療所へ急ぎましょ!」

ブン「よし、わかった!」

フーム「カービィも早く!」

カービィ「ぽよ!」


ププビレッジ ヤブイの診療所


エスカルゴン「ヤブイ~~~~!! 陛下を診てくれでゲス~~~!!」

ブロロロロロロロロ… キキーッ

デデデ「痛い痛い痛い痛い痛い痛い」

ヤブイ「おや、これはエスカルゴン殿にデデ…」

エスカルゴン「前置きはいいから、さっさと診るでゲスぅ~~~~っ!!」


― 診療後 ―


ヤブイ「ふむふむ……なるほど……」

ドタドタドタ バタン

フーム「エスカルゴン! 症状は分かったの!?」

ブン「デデデは大丈夫か!?」

カービィ「ぽよー!?」

エスカルゴン「それが……えーいヤブイ、陛下はどうなんでゲスか!」


ヤブイ「これは……“尿管結石”かもしれんな」



エスカルゴン「にょ……ニョーカンケッセキぃ?」

ブン「何なんだ、その病気?」

ヤブイ「えー、詳しく説明するとだが」

ヤブイ「人げ……生物には腎臓という臓器があるのだが、あまり暴飲暴食が過ぎるとそこに“石”ができることがある」

エスカルゴン「石? 石ってあの、そこら辺に落ちてる石ころでゲスか!?」

ヤブイ「まあ、石というのは例えの表現で……結石というやつじゃな」

ヤブイ「シュウ酸カルシウム・リン酸カルシウム・尿酸などといった成分の溜まりすぎにより、それが固まってできてしまうものが結石」

ヤブイ「で、その結石が、腎臓から膀胱へ尿を送り出す“尿管”というところに運悪く引っかかってしまうと痛みが発生する……と」

ヤブイ「ほっそいチューブの中を、でっかい角だらけの石ころがガリガリしとる感じじゃな。で、それが自分の身体の一部だとして想像してみなさい」

ブン「……うっ……」

フーム「……痛そう……」


ヤブイ「一説によると、生物が感じうる痛みの中で一位か二位を争うほどの激痛とも言われておる」

ヤブイ「女性が子どもを出産するときの痛みすら、はるかに上回るとも……まさに“悶絶”“七転八倒”の激痛じゃな」

ヤブイ「陛下は主に左の下腹部が痛むと言っておったが、まさにその辺りが尿管のある位置なんじゃ」

ヤブイ「場合によっては、左下腹部から背中の方にかけても痛む者もいるとか」

ブン「うわぁ……聞いてるだけで嫌になってくるぜ」

カービィ「ぽよ~……」

ヤブイ「治療法としては、とにかく水を飲むこと」

ヤブイ「水分を摂取することで、上からどんどん流し込む。それで、一刻も早く尿管から結石を押し出す」

ヤブイ「技術の発達した星には、何やら超音波で石を砕いてすぐ治す治療法というのもあり……」

エスカルゴン「その超音波の治療法をやるでゲス!! 今すぐ!!」

ヤブイ「……残念ながら、その機材がうちにはないんだな」

エスカルゴン「はあぁぁ!?」

ヤブイ「ま、尿管の拡張を促すお薬は出しといてあげるから。それで我慢して治るのを待つんじゃな」

エスカルゴン「まったくもう、ヤブイはほんとにヤブ医者でゲス!!」

ヤブイ「しばらく地獄のような痛みが続くだろうが、ま、頑張って耐えて下され。デデデ陛下」

痛みランク

SSSS 歯の神経にフッ酸(痛みだけで絶命)
SSS 尿路結石

SS  すい臓癌(末期) パラポネラアタック
S  椎間板ヘルニア中にくしゃみ 癌性疼痛  
A  陣痛 鎖骨骨折 
B  痛風 椎間板ヘルニア 肺癌(末期)

C  睾丸にエアガン 骨髄注射 大スズメバチアタック 
D  こむら返り(太腿) 肺炎 こむら返り(脹脛)
E  箪笥の角に小指
F  生理痛=睾丸を強めに握る


― 昼下がり ―


『 this is … CHANNEL D・D・D !!』

エスカルゴン『えー、本日は大変おいたわしいニュースでゲス……』

エスカルゴン『デデデ陛下がなんと“尿管結石”という、それはそれは痛みにのた打ち回る病に倒れてしまったでゲス』

エスカルゴン『愚かなる人民ども、陛下が病気でブッ倒れたからって税金を滞納したりした者は極刑でゲスからな!』

エスカルゴン『以上、お昼のニュースでゲした』




フーム「……と、いうわけなのよね」

カワサキ「あははー、このまま陛下が○んでくれたら税金も無くなるしみんなハッピーなんだけどねー」

フーム「ちょっとカワサキ! いくらなんでもそれはひどいわ!」

カワサキ「はは、ごめんごめん。ちょっとした冗談よ、冗談」

ブン「しっかし、デデデのやつも大変だよなぁ。ずっとあんなに痛そうなのが続くのかよ?」

フーム「見てるこっちも苦しくなるくらいの痛がりようだったわよね……」

フーム「カービィも分かったでしょ? 塩分を摂りすぎたり、普段からがっついて食べてたりするとああなっちゃうのよ」

カービィ「ぽよ……」


ガラガラガラ…


レン村長「おーいカワサキ、久々に食べにきてやったぞ」

カワサキ「あ! 村長さん夫妻、いらっしゃーい」

レン村長「それはそうとカワサキ、お昼のニュースは見たかね?」

カワサキ「デデデがものすごく痛い病気で倒れたやつでしょー? さっきフームさん達とテレビ見てたよー」

ハナ「私もさっき陛下をお見かけしたけど、あれはとても正視には耐えられなかったわ……」

レン村長「まあ、陛下があまりドタバタしなければこの村も平和にやっていける。このままずっと痛いままでいてくれんかなあ」

フーム「ちょっと、レン村長までそんなこと!」


ププビレッジ 広場


村人A「ねえ聞いた? 陛下が“尿管結石”って病気で倒れたんですって」

村人B「あらそれテレビで見たわ。なんでももんのすごく痛いんですってねえ」

村人C「聞いた話じゃ、もう○んで楽になりたくなるくらいの痛みなんですってねえ」


タゴ「陛下がブッ倒れたらしいねー。平和でいいんじゃないの?」

ボルン「しかし、それはそれで私の仕事がなくなりますなあ」

ガング「うちの店も、陛下が結構な得意先だからちょっと困るかもなあ」

ガス「いいんじゃねえの。お互い、陛下にはツケの代金を踏み倒されっぱなしだしな」

モソ「わしのとこにも、ホーリーナイトメア社からの督促状ばかりじゃからのう……」

サモ「相変わらず、方々に迷惑をかける大王だね……」


メーベル「聞いた? デデデが“尿管結石”で悶絶ですって! まったくいいキミねぇ~」

サト「ま、まあ……あんまり同情してくれる人はいなさそうですわね、おほほほほ」


フーム「………………」

ブン「こりゃひでえ、みんな面白半分だ」

カービィ「ぽよ~」

フーム「……いくらデデデとはいえ、ずっとあのままなのはかわいそうね」

ブン「おいおい、姉ちゃんデデデを助けるのかよ」

フーム「ひとまず文献を探ってみるのよ。来なさい。ブン、カービィ」




メタナイト「その必要はない、フーム」




フーム「! ……メタナイト卿」

メタナイト「私も思うところあって、図書室の文献をくまなく調べたが……ヤブイの知る以上の情報は見当たらなかった」

メタナイト「それにしても“尿管結石”とは……」

メタナイト「………………」

メタナイト「……確か、ホーリーナイトメア社の魔獣に……」

ブン「どうしたんだ?」

メタナイト「以前、陛下の魔獣カタログを研究のため盗み見たことがあった」

メタナイト「そこの魔獣説明欄か何かで“尿管結石”という文字を見た覚えがあるのだ……」


デデデ城 デデデの寝室


デデデ「あぁぁぁぁ~~~痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……!! イタイイタイいたいいたい痛痛い痛痛痛痛痛痛い」

エスカルゴン「ああ、おいたわしやデデデ陛下……ヤブイがお手上げじゃもう為す術が……」

エスカルゴン「……そうでゲス! ヤブイがお手上げなら……」

エスカルゴン「……ホーリーナイトメア社でゲス!!」






デデデ城 玉座


エスカルゴン「ポチッとな」


ウィーン…


カスタマー『おやおやこれはエスカルゴン閣下に……デデデ陛下はいらっしゃいませんね』

エスカルゴン「お願いでゲス!! 陛下の病気を治療できる魔獣なり薬なり売ってほしいでゲスぅ~~!!」

カスタマー『ああ、陛下はご病気にかかっておられましたか。で、症状はどのような?』

エスカルゴン「“尿管結石”でゲス!!」

カスタマー『……また、それはそれは。不幸なことでございますね』

カスタマー『私はなったことはありませんが、それはもう痛くて痛くてたまらないのだとか』

エスカルゴン「そうでゲス!!」

カスタマー『ご安心ください閣下、我が社には“尿管結石に特化した”ものすごい魔獣がございまして』

カスタマー『ただいまそちらに送りますので、少々お待ちを……』

尿管結石特化した(治すことに特化したとは言ってない)


ジジジジジジジ… シュウウウウウ

カスタマー『ただいまお送りしました魔獣こそが【結石魔獣ウロカルン】でございます』

エスカルゴン「おお、ありがたいでゲス!! で、こいつをどうすればいいでゲスか!?」

カスタマー『簡単です。その魔獣が出す錠剤を飲めば、たちまち激痛のもとである結石は消えてなくなることでしょう』

エスカルゴン「そうでゲスか!! おい魔獣、はやく錠剤を出すでゲス!!」

ウロカルン「…………」ポロッ

エスカルゴン「おお、これでゲスね!! これを陛下に飲ませればいいんでゲしょ!?」

カスタマー『左様でございます。そして、ウロカルンには結石を治療するだけでなく……』

エスカルゴン「えーい、その他の御託は陛下が治ってから聞いてやるでゲス!!」


ダダダダダダダダダダ…


カスタマー『あ、ちょっと! エスカルゴン閣下!』

カスタマー『……やれやれ、行ってしまわれましたか』


デデデ城 デデデの寝室


エスカルゴン「陛下~~!! 特効薬が手に入ったでゲス~~!!」

エスカルゴン「さあ陛下、何とか力を振り絞ってこれを飲んでほしいでゲス……!!」

デデデ「ウ……ググ……ゴゴ……な、何ゾイそれは……痛い」

エスカルゴン「尿管結石が治る薬でゲス! カスタマーから取り寄せたでゲスよ!」

デデデ「お……お……で、でかした……ゾ、イ……うぐぐ」

エスカルゴン「さあ早く、水と一緒にイッキにいくでゲス」

デデデ「……ごくごく……ごくごく……」


デデデ「うぐ……ぐ……」

デデデ「……ぐ……」

デデデ「………………」

デデデ「…………お」

デデデ「…………おおおお」

デデデ「……おおおおおおおおおお!! 痛みが引いていくゾーーーーーーイ!!」

デデデ「でかしたゾイ、エスカルゴン!! これでお前の今季のボーナスは跳ね上がったゾーーーーーーイ!!」

エスカルゴン「いやったあああああああああ!!」

デデデ「カスタマーにも礼を言いに行くゾイ!」




デデデ城 玉座


デデデ「おーいカスタマーーーーー!!」

カスタマー『おや、これはこれは……今度こそエスカルゴン閣下にデデデ陛下』

デデデ「お前のおかげでニョーカンケッセキとやらが治った! 褒めてつかわすゾイ!」

カスタマー『ええ、それは結構なことでございまして……』

カスタマー『陛下、そこにまだウロカルンはおりますよね?』

デデデ「ウロカルン?」

エスカルゴン「この魔獣のことでゲス」

デデデ「ああ、こいつか。いるゾイ」

カスタマー『先ほどは話の途中でエスカルゴン閣下がいなくなってしまいましたので』

カスタマー『お二人が揃った今、あらためて話をさせて頂きますが……』


………

………………

………………………


カスタマー『……と、以上のような具合でございまして』

デデデ「……グフフフ、どぅわはははははははははははは!! そりゃいいゾイ!!」

エスカルゴン「こりゃ、一石二鳥の魔獣でゲスぞ……!」


ププビレッジ 街中


カービィ「ぽよぽよっぽよ~」

フーム「それにしても、デデデは大丈夫かしら」

ブン「俺たちにできることがあるわけでもないし、悩んだって仕方ないって」

フーム「それもそうね……」




ウロカルン「…………」テクテク




カービィ「ぽよ?」

フーム「あら? 何かしら、あの生き物」

ブン「あんなのププビレッジにいたかな?」

フーム「見たことない生き物……っていうと」

フーム「……真っ先にデデデの魔獣っていう説が頭をよぎるけど」

ブン「でも、あんまり危なそうには見えないぜ」

フーム「見た目は普通でも実際は恐ろしい魔獣なんて、今までにもたくさんいたでしょ?」

ブン「まあ、確かに」

フーム「カービィー! あんまりその生き物に近寄っちゃだめー!」


ガサゴソ…


デデデ(グフフフ……うまく魔獣がカービィに近づいたゾイ)

エスカルゴン(……今でゲス! カービィが喋って口を開けてる間に“アレ”を入れるでゲス!)


ウロカルン「…………」チラッ

ウロカルン「…………」コク

ウロカルン「…………」ポロッ

カービィ「ぽ……よ?」ゴックン




カービィ「…………」

カービィ「…………ぽよ」

カービィ「…………ぽよ、ぽ」

カービィ「…………ぽよぽ……ぽよっ……ぽ……」

カービィ「………………っぽよよいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃっ!!」


フーム「え……っ、どうしたのカービィ?!」


ガサッ


デデデ「どぅわははははははは!! まんまと引っかかったゾーーイ!!」

エスカルゴン「これでもうカービィはお終いでゲーース!!」

ブン「あっ、デデデ! お前病気は……!?」

フーム「それに“引っかかった”ってどういうことよ!?」

デデデ「冥土の土産にすべてを教えてやるぞい、カービィ!」

デデデ「その生き物こそが、ワシの用意した【結石魔獣ウロカルン】ゾイ!」

ブン「結石魔獣……!?」

フーム「ウロカルン……ですって!?」

デデデ「その魔獣の出してくれた薬で、ワシの尿管結石は一発でバッチリ治ったゾイ!」

フーム「薬……!? でも、それを飲んだカービィは……」

エスカルゴン「チッチッチッ。甘いでゲスな」

エスカルゴン「このウロカルンは“尿管結石を治す薬”を出すだけでなく……」

デデデ「……“尿管結石にさせる薬”も出すことができるのだゾイ!」

フーム「な……なんですってえええええぇぇぇっ!?」


デデデ「つまり……カービィ、これからキサマもワシと同じ苦しみを味わうことになるゾーーイ!」

フーム「そ、そんな……!」




カービィ「ぽよ……っ……ぽよぴぃぃぃぃぃ~~~~~~~~~~っ!!!!!」ジタバタ

ブン「う、うわあ……カービィがのた打ち回ってる……!」

フーム「ちょっとデデデ! 今すぐこの魔獣に結石を治す薬を出させなさい!」

デデデ「や~だゾ~イ」

デデデ「さて、吸い込みはおろか抵抗すらできない状態のカービィなどワシの敵ではない。このハンマーでケチョンケチョンにしてやるゾイ!!」

エスカルゴン「行け―! デデデ陛下ー!」

ブン「まずいぜ姉ちゃん、どうすんだよ!?」

フーム「ど、どうするって言われても……!」




メタナイト「フーム! ひとまずワープスターを呼んでカービィを逃がすのだ!」




フーム「め、メタナイト卿! ……わかった!」

フーム「来て、ワープスター!」


カブー『……ワープスター……』



ヒュウウウウウウウウ…



ブン「あ、来たぜ! ワープスターだ!」

フーム「カービィ、ワープスターに掴まって逃げて―!!」

カービィ「……ぽ……っ……ぽよ~~~~ぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃィィィっ!!」


ジタバタジタバタ…


デデデ「どわははははは、今のカービィにそんなことができる余裕なんか無いゾイ!」

デデデ「そおら、ワシの百本ノックでも食らうゾ~~~イ!!」


ドカッ!

ボコッ!

ドカッ!


ブン「うわ、ひでえやられようだぜ……!」

フーム「ワープスターにも飛び乗れないほど痛いっていうの……!?」


メタナイト「くそ、どうすれば……尿管結石さえなければ陛下ごとき……!」

エスカルゴン「あ、メタナイト! お前今陛下のことを“ごとき”って言ったでゲスな!」

メタナイト「おっと、失礼……つい本音が」

エスカルゴン「“つい本音が”はいらないでゲしょ!」

メタナイト「……それにしても、カービィに腎臓や尿管や膀胱といったものがあるのかがまず疑問だが……」

エスカルゴン「話逸らすなっつーの!」





フーム「…………」

ブン「おい姉ちゃん! 何考え事なんかしてんだよ、カービィが危ないんだぜ!?」

フーム(……尿管結石……結石は、つまり“石”……)

フーム(なら、より大きな“石”と合わされば、それそのものが混ざって消えるかも……!)

フーム「……一か八か、この作戦に賭けるわ!」


フーム「ブン、そこのレンガを取って!」

ブン「え? こ、こんなのどうすんだよ……!」

フーム「いいから!」

フーム「……カービィーーーーーーー!!」

カービィ「ぽ…………っ…………」

フーム「カービィお願い!! なんとか力を振り絞って、このレンガを吸い込んでーーーーーーっ!!」

カービィ「ぽ…………よ…………っ…………!!」


ゴオオオオオオオオオオオオオオオ……

ゴクン!


カービィ「…………ぽよっ!!」


カービィ【 ストーン カービィ! 】

カービィ「ぽよっ!!」

カービィ【 ストーン化! 】


ドゴーン!


ブン「やったぁ、ストーンカービィだ!」

デデデ「なぬ!? 変身は許してしまったか、だが痛みでロクに動けんはずゾイ!」

カービィ「……ぽよ。ぽよっぽよ!」

デデデ「……へ? な……なんで平気な顔してるゾイ!?」

メタナイト「……そうか! そういうことか!」

エスカルゴン「え、どういうことでゲス!?」

メタナイト「尿管結石は“石”。だからカービィそのものが“石”になることで、結石さえも同化・消化して治したということか……!」

フーム「フフッ、どうやら私の作戦が当たったようね!」

ブン「そういうことか……! さっすが姉ちゃん、アッタマいい!」


フーム「こうなればもう敵じゃないわ! カービィ、その魔獣を倒しちゃって!」

ブン「行け、カービィ!」

カービィ「ぽよーーーーーーーーーーーーっ!!」

デデデ「お、おわああああああああああ!!」

エスカルゴン「陛下、逃げるでゲスーーーーーーー!!」



カービィ【 ストーン プレス! 】



ヒュオオオオオオオ…



ウロカルン「…………」

ウロカルン(……最後の悪あがき……!)



ドゴォォォーーーーーーーン!!



メタナイト「ウロカルンが、爆発して消えた……!」

フーム「やったぁーーーー!!」

ブン「カービィが勝ったーーーー!!」

カービィ「……ぽよっ!!」


メタナイト「……待て、爆発したウロカルンから何か小さなものが飛んでくるぞ……!」




デデデ「くぅぅぅぅぅ~……なんでいっつもいい所でカービィに負けるゾ~~イ!!」

エスカルゴン「なーぜだか最後は負けちゃうでゲスな~……」


ヒュウウウウ


デデデ「こうなったらサッサとトンズラゾイ! おいエスカルゴン、さっさと発進せ…あぐ」パクッ

デデデ「……」ゴクン

ブン「あ……」

フーム「飛んできたものが、デデデの口の中に……」


デデデ「…………」

デデデ「………………」

デデデ「………………ぐぐ」

デデデ「…………………むぐぐ……うぐ……!」

エスカルゴン「え……へ、陛下?」

メタナイト「……もしや……陛下が飲み込んでしまったものは……」




デデデ「…………痛いいいいいいいいいっったあああああああああああああああああああああいゾ~~~~~イ!!!!」




ブン「……あちゃー」

メタナイト「どうやら、ウロカルンが最後の悪あがきで放った“尿管結石にさせる薬”を……」

フーム「……飲み込んじゃったみたいね。運の悪いことに」

カービィ「ぽよ~……」

デデデ「痛い痛い痛痛痛痛痛痛痛痛あああああアアアおおおおヲヲヲヲヲごおおああがががあぎひあが痛い痛い痛い!!!」


― 数日後 ―


デデデ城 デデデの寝室


デデデ「ふううぐぐおおおおお痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛痛痛痛痛痛痛ぐぬぬぬうごおおぐぐいおおおあい痛い痛い……!!!」

エスカルゴン「ああ、おいたわしや陛下……またしても尿管結石になってしまわれて……」





フーム「はぁ。もう付き合いきれないわ……」

ブン「ま、カービィを苦しめたバツってところだな」

カービィ「ぽよ」

ブン「カービィ、お前も一時とはいえ尿管結石になったんだろ? どれくらい痛かったんだ?」

カービィ「ぽよ……」

カービィ「…………」

カービィ「……ぽよっぴぃぃぃぃ~~っ!!」

フーム「うふふ、もう思い出したくないくらい苦しかったんですって」

ブン「まあ、それもそうだよなぁ。何せ一位二位を争う痛みだっていってたしな」

フーム「ブンも、まだ若いからって油断してちゃだめよ。毎日三食・規則正しく・栄養バランスの取れた食事。これが重要なんだから」

フーム「おやつにポテトチップスやチョコを食べすぎたりするのも、少しずつ直していきなさい」

ブン「ちぇー、分かったよ」

フーム「カービィも、わかった?」

カービィ「ぽよ……」

カービィ「……ぽーよっ!」



☆終

読んでくれてありがとうございました

尿管結石はマジで死ぬほど痛いです
周りになっている人・なった人がいたら
ホントに優しくしてあげてください ガチで痛い

ちなみにヤブイの言ってた超音波治療は結構高い 保険込で10万くらい

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