幼馴染「男は私を見てないよ」(15)

男「だからな、俺はそこで言ってやったんだ」

幼馴染み「こいつは俺の嫁だ!手を出す奴は許さんっ!て?」

男「あれ、この話したっけ?」

幼馴染み「この話は三回目だよ」

男「マジか。同じ話って何回も聞いてたらつまんなくね?言ってくれたらよかったのに」

幼馴染み「ううん!男の話は何でも面白いから何回聞いても飽きないよ」

男「俺もお前にこの話ができるの嬉しいよ。他の奴には話せないからな」

幼馴染み「何で?話せばいいのに」

男「信じてくれる訳ないだろ。俺の前世話なんて」

幼馴染み「そう?」

男「あ、そんな上目遣いで首を傾げないで!可愛すぎて襲っちゃう!」

幼馴染み「首傾げるだけで襲うとかよっぽど前の奥さん好きだったんだね」

男「当たり前だ!何せ世界一の女だからな!」

幼馴染み「いいなぁ。そんなに男に愛されて」ボソッ

男「ん?何か言ったか?」

幼馴染み「何も言ってないよ~。ねぇねぇ話の続きは?」

男「え、でも一回聞いたんじゃないのか?」

幼馴染み「さっき言ったじゃん!男の話は何回聞いても飽きないよって」

男「そっか、じゃあ話すな。そんで嫁に手を出すなって言ったらな---」

幼馴染み「(やっぱ男は前世のこと話してるときが一番生き生きしててカッコいい)」

男「何だよ。俺の顔じっと見つめてきて」

幼馴染み「何でもないよ~」

幼馴染み「(男のこの顔は私以外誰も知らないんだよなー)」

幼馴染み「ふふふ」

男「何だよ突然笑い出して。変な奴」

いつも小さい頃から一緒にいた男には前世の記憶がある。
どうやら私は前世で男の嫁だったらしい。
男はいつも前世の話をする。
大切に大切に話す。
そういうときの男の顔は真剣で優しくて愛おしい。
私以外の人はこの話はしないらしい。
他の人に話したことはあるらしいが嘘だと言い換えされたからだそうだ。
私は嘘とか言う言葉を知る前から面白い話だから好きだったし、嘘と言う言葉を知ってからでも男の目を見れば嘘じゃないと分かった。

嫁だったらしい私のことを大切にしているというのは分かってる。
恐らく同世代の友達の中では一番だ。

でもたまに思う。
聞くだけじゃなくて話せたらいいのに。
私にも前世の記憶があったらいいのに、て。

女「前世男…?」

男「……え?」

女「あ、いえ何でも 男「前世、女?」

女「うそ…記憶、あるの?」

男「あぁ、さっきの前世男は、俺の前世の名だろう?」

女「本当に、本当に記憶があるのね!嘘じゃないのね!?夢みたい」

男「俺もだよ!まさか俺以外にも前世の記憶がある奴がいるなんて!」

女「本当に前世男なのね。私いつでも貴方のことを 幼馴染み「男、こんなとこで会うなんて偶然ね!」

男「あ、あぁ」

幼馴染み「あれ?この人誰?まさかナンパ?」

女「なん、で?」

幼馴染み「へ?」

女「何でこいつが前世男と知り合いなの!?」

幼馴染み「何で貴方がその名前…?」

女「何でこいつが!前世男の近くにいるなんて許せない!」

男「落ち着け前世女」

女「落ち着け?落ち着けるものですか!だってこいつは 男「黙れ前世女!」

女「っ!」

男「前世女、ちょっと来てくれ。話がある。幼馴染み悪い。今日は相手してやれねぇ」

幼馴染み「っちょ!待って、よ。行っちゃった」

幼馴染み「…何であの女性は男の前世の名前知ってたんだろう」

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