卵「かき混ぜないで!だめぇ!」 (16)

am7:00
日本で最も卵が死ぬ時間帯と言っても
過言ではないだろう。何故なら日本人は
朝食の卵かけ御飯、目玉焼き、卵焼き
どれをとっても卵で溢れる

お弁当に入れる卵焼きも朝作られる
もはや卵は我々の食生活に必要不可欠と
なってしまったのだ…

卵先輩「今日は誰が割られるんだろう…」

卵後輩「僕、怖いんです…割られるのが…」

卵先輩「何言ってんだ。割られるのは誰だって怖いさ」

卵後輩「僕らは初めから割られる運命だったんですか?」

卵先輩「まぁそうとも言えるな」

ガタッ

卵後輩「だ…誰?」

卵先輩「この家の料理番だ…」

卵後輩「ま…まさか」

卵先輩「もはやこれまでか…」

先輩と後輩は朝の食卓に並んだ
まだ割られてない

長女「私卵かけ御飯大好きー」

次女「わたちもー」

卵先輩「よりもよって卵かけごはんか…
もっと生きてたかったなぁ…」

ガシッ…

先輩が長女に捕まれ持ち上げられる

卵先輩「ちくしょおおおおお!!!!!
俺はここで割られて死ぬのか!!!」

先輩の悲痛の叫びは僕の胸に痛い程突き刺さる

卵先輩「う゛う゛う゛う゛」

卵後輩「先輩…ぼ…僕もすぐ逝きます!」

長女の腕が動く。先輩がお茶碗めがけて
振り下ろされる

「南 無 三」


バキャッ!!!

先輩は死んだ

破れた殻からは先輩の内臓らしきものが
ドゥルンと出てきた。美しいほど黄色い

それが白い山の上にポトンと優しく落ちた
シャワーのように黒い液体が降り注ぐ

そうか死んでしまっても優しく扱ってくれるのか
後輩の死への恐怖が次第に薄まりかけたその時

グサッ!!!

グチャッ!!!!グチャッ!!!!
グル!グル!グチャッ!!!!グチャッ!!!!

卵後輩「…ぁゎゎゎ」

死んだ先輩はグチャグチャに混ぜられ
もはや原型をとどめていない

卵後輩「嫌だ…嫌だ…」

無慈悲にも後輩を次女が掴む

高々と舞い上がる。そして急降下。
お茶碗が迫る。視界が暗くなった

死んだのだ

深い…深い…暗闇に落ちていく感じだ…


自分の体がどうなったかも分からない
一体ここはどこなんだろうか…

ベチョッ…

一体ここは…

「ようお前も食われたのか?」

誰かいる

暗闇に慣れ少し周りが見えてきた

「貴方は」

「俺はウィンナーだ」

まさかこんな形で卵以外の物と出会うとは

ウィンナー「俺らこれからどうなるんだろうな」

卵「さ…さぁ…」

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