ユミル「共同生活」 (125)

1.進撃のSSです。
2.アニ「共同生活」
3.ミカサ「共同生活」
4.アルミン「共同生活」
  の続きです。

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ユミル「なんだっけ・・・何か嫌な夢を見た気がするが」

ユミル「どうせ思い出せないだろうからもういいか」

ユミル「あぁまだ暗い。朝までまだあるな。そして寒いよ」

ユミル「もう冬も終わりに近いんだけどな。まぁいつも終わりの間際がつらいものだな」

ユミル「しかしもう何年3人で寝てるんだ?暖かいからいいけどさ」

ユミル「私の隣にはアニその隣にはミカサが寝ている。この並びだってずっと変わっていない」

ユミル「ミカサがいうには川の字だって言うけどなんの意味があるんだ?」

ユミル「最初に聞きそびれたからな。いつか聞こうと思ってずっとこのままだ」

ユミル「それにしてもよく寝ている・・・ちょっとあれだな寒いしアニを抱き枕にしてやる」ギュッ

アニ「うーん・・・」

ユミル「あー温かい・・・温かさを感じることが出来るのは寒いときだけだな」

ユミル「そのときだけは寒いのも悪くない」

ユミル「ってそんなことよりアニは抱き心地がいい。ちょうどいい大きさだからか」

ユミル「ふふっ初めてあったときからあまり変わらない小さいままだ」ナデナデ

アニ「うーん?」

ミカサ「ユミル」

ユミル「ミカサ。起きてたのか」

ミカサ「今日は寒い」

ユミル「さみーよな。お前もアニで暖をとろうぜ」

ミカサ「そうする」ギュッ

アニ「うっうーん・・・」

ミカサ「温かい」

ユミル「そうだなアニも温かくてて嬉しそうだ」

アニ「うーんうーん」

ミカサ「良い夢でも見ているの?」

ユミル「あぁきっと母親にでも包まれている夢でも見ているんだろうな」

ミカサ「ふふっアニったら子供」ナデナデ

ユミル「まぁそういうなよ」ナデナデ

アニ「うーんうーんうーん・・・」

エレン「おはようアニ」

アニ「お・・・はよ」

エレン「おう。何かだるそうだな。何かあったか?」

アニ「変な夢を見て」

ユミル「どんなだ?」

アニ「壁に挟まれる夢を見た」

ユミル「壁!?」

エレン「そら苦しそうだな」

アニ「うん。岩のようなでこぼこした壁だった」

ミカサ「岩!?」

ミカサ「ユミル。私達は何なの?」

ユミル「わからん」

アルミン「どうしたの二人供落ち込んで?ご飯にしようよ?」

アニ「はいっ出来たよ。早く食べてね」

ユミル「うまそうだな。さすがアニだ」

ミカサ「いいお嫁さんになれる」

アニ「どうしたの?」

ユミル「・・・アニもいつかお嫁さんにいってしまうのだろうか?」

アニ「バカなの?」

ユミル「相手は生半可な奴じゃ許さないからな」

アニ「バカだね」

ミカサ「私に勝てるくらいじゃないと駄目」

アニ「ミカサまで?というかミカサに勝てる奴なんていないでしょ?いやそもそも結婚する予定ないから」

ユミル「はぁー・・・みんな最初はそういうんだよ」

ミカサ「まったくもう・・・アニは子供なんだから」

アニ「ほんとにどうしたの!?二人とも」

アルミン「なにかあったの?大丈夫?はい。お茶だよ」

ユミル「・・・アルミンもいつもお嫁さんにいってしまうのだろうか?」

アルミン「お嫁さん!?」

アルミン「エレン二人が変なんだけど」

エレン「お前らアルミンは男だぞ?」

ミカサ「そうだ。(私の)お嫁さんはエレンだった」

エレン「はぁ?」

アニ(なんかお嫁さんだらけだ)

エレン「まぁお前ら結婚とかしなさそーだな」

ピタッ

アニ「・・・」

ミカサ「・・・」

ユミル「あーあ」

アルミン「・・・エレンいまの発言はちょっと」

エレン「えっ何でだ?特にユミルはイメージないよな」

ユミル「何だとこのやろー。私だって結婚指輪の一つや二つもらってやるぜ」

エレン「二つもらうなよ」

ユミル「そりゃそうだな」

ユミル(私だって想像できねーよそんなの)

アニ「どうでもいいから早く食べてよ」

アニ「仕事に遅れちゃうからさ」

ユミル「あっ悪い片付けはやっておくから」

ミカサ「それじゃ」

アニ「いってきます」

アルミン「僕もいくよ」

ユミル「おう。いってらっしゃい」

エレン「いってくるぞ」

ユミル「とっとといけ」

ユミル「・・・よし!これで全員いないな」

ユミル「寝たい。ところだが洗濯しなきゃなー」

ユミル「やっとかねーとエレンはうるせーしアルミンの目は冷たくなるし」ブツブツ

ユミル「寒いから嫌なんだけど仕方ない」

ユミル「フフーン♪フフーン♪」ゴシゴシ ザブザブ

ユミル「アーニははずかーしがりやーで♪かわいいーけど♪かくとーとくいー♪」ザブザブ

ユミル「ミーカーサはかーんぜん♪むけーつの♪マフラーおんなー♪」ゴシゴシ

ユミル「アールーミーンは♪かねーにうるさーい♪ヘルメットーおとこー♪」ギュウウウ

ユミル「エーレーンは♪とーにかくーバカ♪」パンパン ファサ

ユミル「よし!終った!」パァァ

エレン「ユミル・・・お前・・・何があった?」

ユミル「なっ・・・お前行ったんじゃ」

エレン「忘れ物があって・・・」

ユミル「ふっ・・・そうか。なら仕方が無い」ニコニコ

エレン「おいっ!どうした笑顔で近づいてくるな。こえーよ」

ユミル「ふふっお前は悪い夢を見ていたんだよ・・・だから」ポンッ

エレン「ユミル?」

ユミル「歯を食いしばれ!オラァ!」ドゴォ!!!

エレン「腹・・・パンだと?」ガクッ

ユミル「よし!終った!」パァァ

アルミン「行ってきます」

ユミル「気をつけてなー」

ユミル「あれっアニは行かないのか?ついでにエレンは?」

アニ「今日は仕入れで休み。エレンはコニー達と狩りに行くってもう行ったよ」

ユミル「あぁーそうか。じゃ悪いけど買い物してくるから洗濯頼むよ」

アニ「OK」

アニ「ユミルも毎日大変だろうな。少しは手伝いをしなくちゃ」

アニ「・・・」チラッ

アニ「コホンッ」

アニ「ラーラーラ♪」

アニ「ぶきようなーわたしーでもーあなたーのそばーにいさせてねー」ゴシゴシ ザブザブ

アニ「もしーわたしーがなみだーをうかべてもーそのりゆうーはきかないでー」ザブザブ

アニ「ただーそばにいてねー。そしてーいつかわらってーはなしたいよー」ギュウウウ

アニ「こーのきょくーみたいにーもしーできたらーららら」パンパン ファサ

アニ「ふふふ終った」パァァ

エレン「おーアニ歌上手だな」

アニ「えっ・・・コニー達といったんじゃ」

エレン「あぁ今日は全然駄目で早々に切り上げたんだ」

アニ「そう・・・じゃ今から対人格闘の訓練をしようか」ニコッ

エレン「えっやだよ。なんで家の中で」

アニ「それじゃちょっと後ろ向いて、簡単な技を教えるから」

エレン「こうか?」クル

アニ「じゃ行くよ」ギュウウウ

アニ「・・・これはチョークスリーパーといって」

エレン「・・・」ガクッ

アニ「・・・終ったなにもかも」

アルミン「いってきます」

アニ「いってきます」

エレン「・・・いってきます」

ユミル「いってこい」

アルミン「どうしたのエレン?」

エレン「最近朝の記憶がおぼろげで、何でだろ?」

アルミン「きっと寝ぼけているんだよもっと早く起きなきゃ」

エレン「そうかなぁ」

ユミル「・・・今日はミカサが休みで家にいるからな」

エレン「それが?」

ユミル「いや何でもない」

ミカサ「ユミル今日の洗濯私がやろう」フンッ

ユミル「あぁうんありがとな」

ミカサ「・・・」クンクン

ユミル「嗅ぐな」

ミカサ「エーレーン♪」ゴスゴス ジャブジャブ

ユミル(うわぁ)

ミカサ「エレンエレーン♪エレンエレーン♪」ジャブジャブ

ミカサ「エレーン♪エレーン♪エレンエレンエレン♪」ギュウウウウウウウウウウ

ミカサ「エレンエレンエレン♪エーレーン♪」バンバン バサ

ミカサ「エーレーン♪」パァァ

ミカサ「どう?」

ユミル「いや・・・(どうでも)いいんじゃないか」

ミカサ「エレンに聞かせるべき?」

ユミル「二千年くらい経ったらな」

ミカサ「長い」

アルミン「たまには僕が洗濯しようか?」

ユミル「悪いな」

アルミン「よいしょっと」ゴシゴシ

アルミン「あっ水が冷たいなー」ジャブジャブ

アルミン「えいっ」ギュッ

アルミン「せーのっ」パンパン ファサ

アルミン「ユミル終ったよー」

ユミル「・・・結婚しよう」

アルミン「はっ?」

ユミル「なんでお前が一番まともなんだ」

アルミン「よく分からないけど。毎日大変だね」

ユミル「そうだろ?エレンお前も手伝えよー」

エレン「悪い。ちょっと体調が悪いんだ」

エレン「もう寝るよ」

アニ「うーんどうしよう」

ユミル「どうしたんだ?台所で悩んだりして」

アニ「エレンが風邪を引いたから何を作ろうかなって」

ユミル「あぁバカでも風邪引くんだな」

アニ「そんなこと言わない。苦しそうなんだから」

ユミル「わかってるよ。そうだな・・・なにか体にいいものはないかなっと」

アニ「私はスープを作るからね」

ゴソゴソッ

ユミル「あっなんだっけこれ?あーこれっ昔私がはまってた健康食品だ」

ユミル「なんかのキノコを発酵させたものだけど結局飽きちまったんだ」

ユミル「これいけるか?」

アニ「なにそれ?」

ユミル「私に伝わる私秘伝の薬だ」

アニ「(私秘伝ってなんだ)効くの?」

ユミル「たぶん」

アニ「たぶん?」

ユミル「いいから」ポチャン

アニ「あっ勝手に入れないでよ」

ユミル「・・・なんかどぎつい色になったな」

アニ ジ-・・・

ユミル「睨むなよ。きっと体にいいから」

アニ「うん」

アニ「エレン入るよ。ご飯もってきたよ」コンコンッ

エレン「悪いな。うつると悪いから・・・もういい」ゴホゴホッ

アニ「エレン大丈夫?私はうつらないから」

エレン「なんだよそれ?」

ユミル「アニ食べさしてやれよ」

アニ「えっ・・・そっそうだね」

エレン「一人で食えるって」

アニ「そう・・・だね」

エレン「なんか変わった色だなー」

ユミル「お前アニの作ったものに文句いってんのか?」

エレン「そんなんじゃねーよ。じゃ・・・いただきます」パクッ

エレン「おう・・・(なんかすげー味だ)」

アニ「ごめん。口に合わなかった?(ユミルめ)」

エレン「いやうまいから」ゴフゴフッ

アニ「エレン・・・」

ユミル「エレンは寝たのか?」

アニ「寝たよ。ところでユミル」

ユミル「なんだ?」

アニ「まだ余っているから食べて」

ユミル「えっ?」

アニ「食べな」

ユミル「はい」パクッ

ユミル「おう・・・(にがくてしょっぱくてすっぱくてぬめってしてる)」

アニ「まだあるから」

ユミル「おう・・・(エレンのやつよく食ったな)」ゴフゴフッ

アニ(なんか可哀想になってきた)

アニ「私もたべよっかな」パクッ

アニ(まずい。そしてむせるのはなぜ?)ゴフゴフッ

ユミル「味見くらいするべきだったな」

アニ「当たり前でしょ」

ユミル「今度は美味いものくいてーな」

アニ「今度ね」

ユミル「やっぱりいいお嫁さんになるよお前」

アニ「まだその話引っ張るの?」

ユミル「お前さ・・・あのとき想像できたか?」

アニ「何を?」

ユミル「なんつーか先のこと」

アニ「・・・」

ユミル「私は出来なかった」

ユミル「お前も出来なかったか?」

アニ「何故こんな話を?」

ユミル「何でだろう?悪いものでも食ったかな?」

ユミル(もう終わりが近いからかな)

ユミル「あの中で想像できなかったのは私とお前だけなんじゃないかって」

ユミル「そんな訳ないよな。そう言ってほしいけどな」

アニ「ユミルって昔・・・皆と暮らす前ってどこにいたの?何してたの?」

ユミル「急になんだよ。今まで聞いてこなかっただろ?」

アニ「さあね。悪いものでも食ったんじゃない?」

ユミル「真似か?」

アニ「どこかの国のお姫様で素性を隠してここにいるとか?」

ユミル「じゃお前はどこかの国のスパイで国家転覆を企んでいるとか?」

アニ「いいよ。あなたは悪い魔法使いに姿を変えられてしまって」

ユミル「じゃお前もついでに悪い魔法使いに姿を変えられてしまって」

アニ「最後はここにいる。・・・ってバカじゃない?」

ユミル「お前からいったんだろ・・・お前が言ったら話してやるよ」

アニ「じゃ最後には話すことにするから」

ユミル「おう。じゃ互いに最後には解るな」

アニ「それはそれは」

アニ「まずいね」

ユミル「まずいな」

ユミル「あーくそっなんだろ。こんな会話したかったわけじゃねーのに」

アニ「悪いものでも食べたんでしょ?」

アニ「ユミルはさっき未来のことを聞いたけどいまだって想像ついたの?昔は?」

ユミル「つくわけねーよな」

アニ「そうだね。私だって」

アニ「それにしても・・・この料理」

アニ「まずいね」

ユミル「まずいよ」

ユミル「残りはエレンにでも食ってもらうか」

ユミル「あいつなら食ってくれるだろ」

アニ「食べてくれるだろうけどね」

アニ「今度は美味しくつくるよ」

ユミル「そっか」

ユミル「今度はうまくいくといいな」

アルミン「今日は雪が降りそうだね」

エレン「雪かー積もったら面倒だな」

ユミル「お前もう風邪は治ったのか?」

エレン「おう。全快だ」

ユミル(あれほんとに効くのか?)

ユミル「なら良かった。じゃ薪でも拾ってきてくれよ」

エレン「病人をこきつかうなよ」

ユミル「全快ってつったろが」

エレン「しかたねーな分かったよ。アルミン行こうぜ」

アルミン「うん」

ユミル「エレンそんな薄着で大丈夫かよ?もっと着てけよ」

エレン「大丈夫だいける!」ダッ

アルミン「エレン待ってよ」

ユミル「なにを根拠に・・・」

ミカサ「ユミル何しているの?」

ユミル「あ?ちょっとな・・・これから冷え込みがきつくなるだろう?」

ユミル「だからちょっと羽織るものでもつくろうと思って」

ミカサ「皆の分を?」

ユミル「時間がかかっちまうな」

ミカサ「エレンも風邪を引かなくてすむ」

ユミル「そんなんじゃないからな」

ユミル「だいたいあいつはあんな薄着で外を走り回るから風邪を引くんだよ」

ユミル「人の言うことはきかないしな」

ミカサ「はいはい」

ユミル「本当に思っていたら2回は言わないんだろ?」

ミカサ「はいはい」

ユミル「まぁいいや」

ユミル「よし。どうだ一着できたぞ」

ミカサ(なんだろう・・・おばあちゃんみたいな柄)

ユミル「どうだ?」

ミカサ「すごい。・・・すごくクラシックな雰囲気」

ユミル「・・・そうか。お前なりに言葉を選んだのは解る」

ユミル「まぁありがとう」

ミカサ「これみんな同じに作るの?」

ユミル「そのつもりだが」

ミカサ「着る時間違えてしまわない?」

ユミル「そういやそうだな」

ユミル「じゃ背中にでっかくイニシャルでもいれるか?」

ミカサ(・・・かっこ悪い)

ミカサ「やめようユミル。それは最善ではない」

ユミル「そうか?」

ミカサ「私も手伝うから」

ユミル「サンキュー」

チクチクチクチク・・・

ミカサ「・・・」

ユミル「・・・」チラッ

ユミル(やっぱりミカサってあんまり喋らないよなー)

ミカサ「どうしたのユミル?」

ユミル(そうでもないか)

ユミル「お前ってアニと二人のとき何話してんだ?」

ミカサ「なぜ?」

ユミル「悪い。なんかイメージがなくてな」

ミカサ「心配しないでも話している」

ユミル「例えば?」

ミカサ「みんながいないときに話すことはいつもみんなのこと」

ユミル「ふーん」

ミカサ「エレンのことアルミンのことユミルのこと」

ユミル「どんなことを?」

ミカサ「それはアニとの秘密」

ユミル「アルミンは金にうるさいとかエレンはガキだとかか?」

ミカサ「・・・私はユミルを羨ましく思うときがある」

ユミル「なんだよ。おだててもなにも出ないぞ」

ミカサ「エレンは・・・ユミルといるときすごく子供っぽく振舞う」

ユミル「あいつはいつもガキだろ?」

ミカサ「そうじゃない。ユミルの前だけ」

ミカサ「なぜかなっていつも思う」

ミカサ「少しそれが羨ましくて」

ミカサ「けど私は嬉しくなってしまう」

ミカサ「だって・・・ふふっ」

ユミル「なんだよ」

ミカサ(ユミルもエレンの前では子供っぽいから)

ミカサ「そうアニと話すのはいつもこんな話」

ユミル「あーあ。秘密言っちゃったな」

ミカサ「あっ」

ユミル「じゃ秘密にしてやるから」

ミカサ「ありがとうユミル」

ユミル「ありがとうミカサ」

ミカサ「なぜ?」

ユミル「秘密だ」

ミカサ「ユミルはたまに分からないことを言う」

ユミル「そうか?私にも秘密を持たせろよ」

ミカサ「みんなも誰にも話したくないことはある」

ユミル「あぁ・・・そうなんだよな」

ミカサ「それでも私はいい・・・と思う」

ミカサ「話しても伝わらないかも知れない」

ミカサ「話さなくても伝えたいことは伝わる・・・と思う」

ユミル「お前少し変わったかもな」

ミカサ「ユミルは変わらない?」

ユミル「どうだろな」

ユミル「本当にわかんねーよ」

ミカサ「ねぇユミル」

ユミル「んっ?」

ミカサ「この素材じゃ4人分しかない」

ユミル「あっヤバイな。自分の分を忘れてたな」

ミカサ「ねぇユミル?」

ユミル「まぁいいか?」

ミカサ「なにかあった?」

ユミル「何も?」

ミカサ「本当に?」

ユミル(だと思うんだ)

ユミル(だけど最近はよくわからないかもな)

ユミル(漠然としている怖さがあるみたいだ)

ユミル(怖さが漠然としているから怖いのか)

ユミル「いや・・・何言ってるんだ?」

ミカサ「ユミル」

ミカサ「いつかのユミルは私に勇気をくれた」

ユミル「そんなことしたか?」

ミカサ「ブラボー」

ユミル「うわっよく覚えてるなというか」

ユミル「あんなんでか?」

ミカサ「あんなんで」

ミカサ「だからもしあなたが何かに困っているなら私がぶちのめしてあげよう」

ミカサ「私は誰よりも強いのだから」

ユミル「はっ。冗談にきこえねーからすげーよ」

ミカサ「心配しないで。それよりも今はこれを仕上げてしまおう」

ユミル「まったくだな。こっちのほうが重要だ・・・うーん。やっぱこれ名前入れようぜ」

ミカサ「えっ!?」

チクチクチクチク・・・

アルミン「うわーとうとう雪が降り始めちゃったね」

エレン「積もるまで時間はあるさ」

アニ「けど外には出たくないね」

ミカサ「寒いから」

ユミル「そうだな寒いからな・・・そんなお前らに朗報だ」

エレン「んっなんだ?」

ユミル「ミカサ持ってきてくれ」

ミカサ「うん・・・」トコトコ

アニ「そういえばこの前から何か作っていたね」

ユミル「おう。まぁ待ってろ」

ミカサ「ユミルこれ」

アニ「あっ服を作ってたの」

アルミン「暖かそうだね」

ユミル「だろっ?」

エレン「ふーん」

ユミル「何だテメーそのリアクションは?」

ユミル「私とミカサが作ってやったんだぞ」

ミカサ「デザインはユミルが」

ユミル「それに見てみろこれ」バッ

エレン「おっすげー名前入りだ!」

アニ「なんでデカデカといれてるの?」

アルミン「もうこれは・・・」

エレン「ユニフォームみたいだかっけーな」

ユミル「そうだろ」

ミカサ「そう?」

アニ(そうかな?)

アルミン(これで外は出歩けない)

エレン「いいなこれ」

ミカサ(まさかあんなに気に入るとは)

ユミル「うんうん」

エレン「アルミン外出かけてこようぜ」

アルミン「ちょっと・・・外は寒いから。ねっ?」

エレン「これ着るから寒くないだろ」

アルミン「いや・・・そうだ座学の課題あったよね?エレンやったの?」

エレン「あっ。そういややってない」

アルミン「でしょ?まずはそれをやろうよ」

アルミン「それにぼくは終ったから分からないところがあれば教えるよ」

エレン「分かった。ありがとな」

ユミル「・・・」

アルミン「どうしたの?」

ユミル「外に出かれないから暇っちゃ暇だな。今日暇か?」

アルミン「まぁ暇かな」

ユミル「そこでだ。髪でも切ってみるか?どうだお前達?」

アニ「私はご飯の準備が・・・」

ミカサ「私も作りたいものがあって・・・」

ユミル「じゃアルミンだな」

アルミン「えっ?この前切ってもらったからいいよ」

ユミル「この前っつっても1月前だろ」

ユミル「これ以上お前のヘルメットがでかくなるのは見てられん」

アルミン「ほっといてよ」

ユミル「暇なんだろ?」

アルミン「うっ(謀られた)」

ユミル「さて、お客さん今日はどんな髪型にしますか?」

アルミン「伸びた分だけお願いします」

ユミル「えっエレンみたいにだって?」

アルミン「違います。前と同じで」

ユミル「コニーみたいにだって?それはやめましょう」

アルミン「聞いてる?」

ユミル「クリスタとかミカサとかアニみたいな髪型はどうですか?」

アルミン「僕は男です。ねぇユミル毎回このやりとりしてるけどさ」

ユミル「いつかお前が別の選択をしてくれると思ってさ」

アルミン「しないよ。そんなの」

ユミル「つまんねーな。冒険しようぜ」

アルミン「そんな冒険はしません」

チョキチョキ・・・

ユミル「お前は毛量が多いから大変だな」

アルミン「いつもありがとね。ところで疑問があるんだけどさ」

ユミル「何だ?」

アルミン「ユミルの髪ってだれが切ってるの?」

ユミル「私か?私は自分で切ってる」

アルミン「すごいねそんなのできるんだ」

ユミル「伸びるの遅いからお前みたいに毎月なんかじゃないけどな」

ユミル「まぁ確かに自分で切るのは面倒だけど」

アルミン「じゃ今度は僕が切ってあげようか?」

ユミル「ん・・・次があったらよろしく頼むよ」

アルミン「次ってあるでしょ?」

ユミル「私は伸びるの遅いっていったろ」

アルミン「そういう事」

アルミン「ユミルって進路決めたんだっけ?」

ユミル「まだだ」

アルミン「まだなの?」

ユミル「悪かったな」

アルミン「僕は ユミル「調査兵団だろ」

ユミル「エレンとミカサと一緒の」

アルミン「そうだけどそれだけじゃないよ」

アルミン「僕はもっと外の世界に出てみたいものはたくさんあるんだ」

ユミル「入団式の時そんなの言っていたな」

ユミル「いまの生活よりも大事なのか?」

アルミン「比べられないものを比べたくないよ」

アルミン「どちらも大事で」

アルミン「その大事さは強くなってるけど」

ユミル「外の世界は危ないぞ」

アルミン「みんなと一緒なら」

ユミル「乗り越えられるって?」

ユミル「やっぱり男の子だな」

アルミン「当たり前だよ」

ユミル「帰ってきたらかわいいお嫁さんをもらって帰ってこいよ」

アルミン「何言ってるの?」

ユミル「まさかもういるとか?」

アルミン「えっ・・・どうだろ」

ユミル「おー。やるなぁこいつ」ニヤニヤッ

アルミン「違っ僕が言いたいのはそうじゃなくって」

アルミン「なんで帰ってきたらっていうのさ」

アルミン「一緒ってユミルもだよ?」

ユミル「うん・・・そうだな」

チョキチョキ・・・

ユミル「お客さん」

アルミン「なんですか?」

ユミル「眉毛整えてもいいですか?」

アルミン「嫌です」

ユミル「マッサージしますか?」

アルミン「大丈夫です」

ユミル「何か髪につけますか?」

アルミン「結構です」

ユミル「なんでだよー」

アルミン「そこまでやって貰わなくていいよ」

ユミル「もっとお前で遊ばせろよ」

アルミン「あっ本音がでたね?」

ユミル「ふんっ。終ったぞ」

アルミン「ありがとう」

ユミル「じゃ金だせ」

アルミン「今度払うよ。待っててね」

ユミル「待ってるよ」

エレン「やっと課題終わったぁ」

アルミン「お疲れ様」

エレン「アルミン。髪きったのか。すっきりしたな」

アルミン「うん」

ユミル「私が切ってやったぜ」

アニ「あのユミルさぁ」

ユミル「なんだ」

アニ「じゃがいも切れちゃったから買って来てくれない?」

ユミル「雪降ってるんだけどな」

エレン「じゃあ行こうぜ」

ユミル「じゃあってなんだよ?」

エレン「あーやっぱあったけーなこの服」

ユミル「あっそ。私はさみーよ」

エレン「走ればあったまるか?」

ユミル「走るかアホ」

エレン「ついてこい」ダッ

ユミル「あっバカ!」

ベシャッ

ユミル「あー・・・いわんこっちゃない」

ユミル「急に走り出してお前は何考えてんだよ」

エレン「今度雪中行軍の訓練があるからそれの練習をしただけだ」

ユミル「はいはい。わかったよ」

ユミル「立てるか。ほらっ」スッ

エレン「悪い」

ユミル「まったくお前はいつまでたってもガキだな」

ユミル「他の奴らを見習えよ。成長してるぞ」

エレン「じゃお前は成長してんのかよ?」

ユミル「あーん?それは・・・」

エレン「なに言葉に詰まってんだよ。らしくないな」

エレン「どっちだっていいよ俺は。成長してるかどうかなんて」

エレン「勝手にしてればいい。俺には関係ねーよ」

ユミル「関係あるだろ」

エレン「そうか?この生活にどんな関係があんだよ」

エレン「朝起きてから見るお前達の顔に」

ユミル「・・・エレンのくせに生意気だな」

エレン「くせにってなんだ」

ユミル「さーて立ち話をして体が冷えてしまったな」

ユミル「こんなときはどうする?」

エレン「それは決まってんだろ」

ユミル「走るか!」ダッ

エレン「おう!」ダッ

ベシャッ

ベシャツ

ユミル「いってー・・・あっバカがいる」

エレン「ああいるな。それも」

ユミル「二人もいる」

エレン「よし」コネコネ

ユミル「雪を捏ねてなにしてんだ?」

エレン「くらえ」シュツ

ユミル「いたっ」

エレン「はははっくらってやんの」

ユミル「コロス」ギュッ

ユミル「おらっ」ビュッ

エレン「いてっ」

エレン「お前固めすぎ・・・うわっ」

ユミル「ここは戦場だ。気を抜いたら・・・いたいっ」

ユミル「最後まで言わせろよ」

エレン「まだまだぁ」

ユミル「ただいま」

アニ「ご苦労様。遅かったね。雪で大変だったの?」

ユミル「あぁまーな」

エレン「くたくただ」

アニ「それで?」

エレン「それでって?」

アニ「買い物お願いしたよね?」

ユミル「あっ」

アニ「忘れたの?何してたの?」

エレン「雪合戦だ」

チッ・・・

ユミル「お前正直に言い過ぎだって舌打ちされたぞ」

エレン「アニ怖え」

アニ「5分で買って来な」

エレン「疲れてるんだけどな」

チッ・・・

エレン「行って来ます」

アニ「まったくユミルがいながら」

ユミル「悪い悪い。すっかり忘れてた」

アニ「外は寒かった?」

ユミル「そりゃ寒いさ・・・だから」

ユミル「お前であっためさせろ」ガバッ

アニ「ちょっと抱きつかないで」

ユミル「あー温いなー」

アニ「・・・ユミルのほうが十分暖かいじゃない」

ユミル「ちょっと遊んできたからな」

アニ「そう」

グスッ

アニ(泣いてる?)

ユミル「やっぱりさぁ成長してるよ。私以外さ」

アニ「ユミル・・・そんなことは」

ユミル「風邪引いたかな。今日は飯くったらすぐ寝るさ」

ユミル「またか・・・」

ユミル「早く寝たからなのか。夜中なのに目が覚めて」

ユミル「そしてまた変な夢を見ちまった」

ユミル「今日の夢はなんだっけな?」

ユミル「あー馬がでてきたな。馬が多数頭いてそいつらが円周をぐるぐる回ってる」

ユミル「それで目を覚ましたんだっけ。どんな意味があるんだ?」

ユミル「これって悪夢っていうのか?」

ユミル「もう意味なんていいかそれよりも私は」

ユミル「夢の中でどう思っていたんだ?」

ユミル「わからない。私だって私のことなんてしらねーから」

ユミル「ただ・・・私が滅ぼしてしまった魂はいまどこにあるんだろう」

ユミル「きっと壁なんか関係ないところだろうな」

ユミル(どうしてそんなことを今思う?)

ユミル「別にそういうのは信じていねーけど。言いたいのは」

ユミル「きっとその亡くなったものがいつか私を滅ぼすのだろうなって」

ユミル(疲れてるのか?)

ユミル「そう。疲れてるんだ。こんなくだらねーつまらないことを考えるくらいだ」

ユミル「きっと夢の中だけの話だから。そうだから」

ユミル「もう一度寝ようか」

ユミル「こんなのには慣れてしまう前に」

ユミル「いつか私が滅んだときは壁さえ超えてどこか遠くへ行ってくれって」

ユミル「そう願うしかない」

ユミル「お前らの暖かさがいつもいつも私を苦しめて」

ユミル「救ってくれる」

ユミル「どうしろっていうんだよ」

ユミル「うーさみっ」

クリスタ「静かに。もう訓練始まるよ」

ハンジ「みんな集まったかい。さて本日はみんなも知っての通り」

ハンジ「雪山行軍だ。君らはもう少しで解散式を迎えここを出て行くが」

ハンジ「だからといって訓練は易しくならない。むしろ厳しくなるね」

ハンジ「だけどこれまでの訓練を耐えた君達なら出来るはずだ」

ハンジ「いつだって私達は君らのすること自体には何も出来ない」

ハンジ「そう。だからいつだって幸運を祈っている」

ハンジ「では。行って来なさい。幸運を君達に」

ハンジ「じゃ待ってるよ」

ハッ!

ハンジ「ってこんな感じでいいリヴァイ?なんか言う?」

リヴァイ「そこまでいってこっちに振るんじゃねぇ」

ハンジ「だってさぁ週2回の訓練で厳しいもなにもさ」

アルミン(それを言ってはおしまいなんだけど・・・)

ハンジ「あっけど、この訓練は厳しいから皆気をつけてね」

アニ(なんか気が抜けるよ)

リヴァイ「あーさっきもいったが今回はチームで動いてもらう」

リヴァイ「チームで山を越えて目的地に着き初めて訓練終了だ」

リヴァイ「雪も風も強くなっているが・・・必ず帰ってこい。以上だ」

ハッ!

ユミル「なんで雪山なんて登るんだよ?」

ユミル「かったりーな」

クリスタ「だから訓練なんでしょ?」

ベルトルト「仕方ないよね」

ユミル「真面目だなぁ」

アニ「これで全員?」

エレン「じゃいくぞ!立体機動でひとっとびだ!」

・・・

ユミル「じゃ仕切り直していくか」

クリスタ「うん」

ベルトルト「そうだね」

エレン「・・・」

アニ「早く行くよ」

エレン「前が全然見えないな」

アニ「視界は最悪だね」

ユミル「ベルトルさん疲れたら先頭交代しよう」

ベルトルト「ありがとう」

クリスタ「ベルトルトは背が高いから大変だよね」

エレン「俺、気になることがあるんだが」

アニ「なに?」

ユミル「どーせくだらねーことだろ」

エレン「うるせーな。いいだろ。この班分けってどういう風に決まったんだ?」

アニ「そういえばそうだね」

クリスタ「なんかハンジさんが決めてたけど」

クリスタ「身長の高い人、低い人を半分にして適当に割ったって」

エレン「適当かよ」

ユミル「だからちっこいクリスタとアニとベルトルトが一緒なのか」

アニ「ちっこいいわない」

エレン「随分先にいったアルミンとミカサに追いつけるか?」

アニ「どうだろうね。そもそもそれぞれルートが違うから」

エレン「じゃあいつらに会えるのは目的地に着いてからか?」

アニ「たぶんね」

ユミル「ミカサはともかくアルミンは心配だなあいつ体力ないから」

エレン「大丈夫だろアルミンなら」

アニ「根拠は?」

エレン「ないけどさ」

クリスタ「それは信頼っていうんだよエレン」

クリスタ「それよりもコニーとサシャ大丈夫かな?」

エレン「あいつらのほうが問題ないだろ山育ちなんだから」

クリスタ「サシャみんなの食料食べちゃってないかな?」

アニ「それは有りそうだね」

ベルトルト「・・・」

ユミル「ベルトルさん。さっきから喋っていないけどどうした?」

ベルトルト「えっ!なんでもないよ」

ベルトルト「あっれー?」ボソッ

ユミル(迷ったか?)

ザクザク・・・

クリスタ「ふぅ・・・もう大分きたね?」

アニ「こんなに歩いたらそろそろ目的地のはずだけど」

ベルトルト「・・・」

エレン「大丈夫か?ベルトルト先頭替わるか?」

ベルトルト「大丈夫。大丈夫だよ。きっと」

ユミル「ちょい待てベルトルさん」

ベルトルト「なにユミル?」

ユミル「私達は迷ったんだ。認めろ」

クリスタ「えっ?」

ベルトルト「・・・」

アニ「そうなの?」

ベルトルト「いやもう少しで着くからみんな心配しないで」

ユミル「聞けよ。お前のせいじゃねーよ」

ユミル「支給された地図を見てたんだかどうも違うようだ」

アニ「地図が違うってこと?」

ユミル「さぁな。雪崩でもあったんじゃねーか?」

ベルトルト「・・・みんな。ごめん。僕のせいで」

エレン「ベルトルトは悪くねーよ。気付くのが遅かったのは全員だ」

クリスタ「どうしようか?」

ユミル「まぁ判断しなくちゃな。お前はどう思うエレン?」

エレン「俺か?・・・上を目指して目的地に向かう」

アニ「なぜ?戻ったほうがいいんじゃない?」

クリスタ「そうだよ。まだ引き返せるよ?」

ベルトルト「それは駄目かも・・・だって・・・引き返す道はもうないみたいだよ」

ユミル「この雪でもう歩いてきた道さえわからなくなっているか」

ユミル「それは上を目指しても同じじゃないか?」

エレン「同じだろうな」

アニ「そう」

クリスタ「じゃあなんで?」

エレン「上を目指せば俺らがいる位置がわかりやすくなる」

エレン「それと俺らは命令されたからな。先に進むことを」

ユミル「・・・お前にしては悪くないんじゃないか」

ベルトルト「えっと。それじゃ行こうか」

ザクザク・・・サクザク・・・

ベルトルト「ふう・・・」

ユミル「ベルトルさんいい加減先頭替われ」

ベルトルト「まだ・・・大丈夫だって」

ユミル「ったくこいつは」

ユミル「エレン先頭行けよ」

エレン「おう」

ベルトルト「悪い・・・エレン」

エレン「なにがだ?」

ベルトルト「君はもう本当に・・・」

クリスタ「ねぇユミル?」

ユミル「なんだ?疲れたか?」

クリスタ「ううん。あそこに橋がない?」

ユミル「ん・・・あぁほんとだな」

アニ「橋?そういえば地図にあったね」

ユミル「そうだ!だとしたらもう少しで山を越えられるぞ」

クリスタ「違うのユミル。橋が無いの」

クリスタ「あの橋途中で無くなっている」

ユミル「・・・マジかよ」

アニ「向こう側まではそんなに距離はないけどね」

ベルトルト「けど下は崖だね。今のぼくらじゃ渡れっこない」

エレン「立体機動があればいけたか?」

ユミル「あっても無理だろ。アンカーを向こう側の崖に刺すか?」

ユミル「激突して終わりだ。風も強いしコントロールがきかねーよ」

ユミル「くそっ。ひとまず他を周ってみるか?渡れる箇所があるかもしれん」

エレン「いや待てよ。体力が限界に近いし、日が暮れる」

エレン「野営する場所を探すべきだろ?」

ユミル「お前もう体力ねーのかよ?」

エレン「違う」

ユミル「なら!・・・いや悪かったな」

クリスタ「私はまだ大丈夫だよ?」

ベルトルト「僕だって」

アニ「・・・私はもうだるいな。くたくただよ」

ベルトルト「えっ?」

エレン「おう。なら仕方ねーなユミル」

ユミル「あぁ。仕方ねーよ」

ユミル「地図には今は使われていない山小屋がこの近くにあるらしいぜ」

アニ「悪いね。じゃ行こうか」

クリスタ「うっうん」

エレン「アニありがとな」

アニ「なにが?」

ベルトルト「・・・」

ガチャ・・・

クリスタ「お邪魔します」

アニ「誰もいないよ」

ユミル「大分ボロイけど外よかマシだな」

ベルトルト「火を起こせば変わると思うよ」

エレン「じゃ火を起こしたら飯だな」

アニ「携帯食しかないけどね」

クリスタ「元々こんな予定じゃなかったから」

ボッ・・・パチパチ・・・

エレン「あぁやっと暖かくなった」

アニ「はいっ支給品のクッキー」

エレン「おっサンキュー」

ベルトルト「何で支給品がクッキーなんだろうね?」

ユミル「さぁ?」

クリスタ「みんなお茶をどうぞ」

クリスタ「ちょっと古そうだったけど」

エレン「まぁ大丈夫だろ」

フー・・・

ユミル「助けはくると思うか?」

アニ「来るとは思うけどこの天候じゃ」

ベルトルト「時間がかかってしまう」

エレン「なんとかあの崖を渡れたらなぁ」

クリスタ「あの樹を使えないかな?」

エレン「どうしたクリスタ?急に」

クリスタ「あっごめんなさい」

ユミル「いいんだ。続きは」

クリスタ「あの崖の近くにね高い樹があったの」

クリスタ「それを倒して向こう側にかけることができれば」

ユミル「うん。成程な。できたら渡れそうだな」

ユミル「だけどなできたらの話だ」

ユミル「どうやって切る?どうやって運ぶ?何の道具もないぞ?」

クリスタ「・・・そうだよね」

エレン「まぁ明日はもう少し探索してみようぜ」

アニ「そうするしかしようがないね」

エレン「じゃとっとと寝ちまおうぜ」

ユミル「それはいいけどな。誰か起きてる奴を交代で決めよう」

ベルトルト「火の番だね」

ユミル「あぁそうだ。それに誰かが私達を探していたら目印にもなる」

ユミル(もっとも期待はできないが)

ベルトルト「僕がやるよ」

クリスタ「私も」

エレン「じゃ俺も」

アニ「なら私も」

ユミル「アホかお前ら。全員で起きてたら意味ねーだろ」

エレン「わかってるよ」

ユミル「なら最初はベルトルトとクリスタ。後はアニとエレンこのペアで番をするぞ」

ベルトルト「えっ?」

ユミル「不服か?」

ベルトルト「ユッユミルはどうするの?」

ユミル「私は間でお前らが寝ないかどうか見張ってやるさ」

アニ「なにそれ?」

ユミル「いいから。お子様のエレンとアニはもう寝ろ。すぐに起こしてやるから」

アニ「はいマム」

エレン「yesマム」

ユミル「うるせっ」

クリスタ「わぁ・・・いつもこんな感じなの?」

ユミル「あいつらお子様だろ?だからな、こんな感じだよ」

クリスタ「うらやましいな」

ベルトルト「まるで母親みたいだね」

ユミル「何言ってんだよ」

ユミル「お前達はしっかりした子だから言われなかったろ?」

クリスタ「そうかな?私はそんなの思い出せないよ」

ベルトルト「遥か昔のことみたいだ」

ユミル「そうか・・・そうだったな」

ユミル「けどな。お前達にそう見えても」

ユミル「私達はどうあっても他人なんだよ」

ユミル「悪いけど私とお前らは他人だ。それにこいつらとも他人だから」

クリスタ「そんな」

ユミル「そうじゃなきゃ耐えられないだろ」ボソッ

ベルトルト「うん。わかってるよそんなこと」

クリスタ「けっけど他人だけど家族になるって ユミル「クリスタ」

ユミル「この話はもう終いだ」

クリスタ「・・・うん」

ユミル「みんなつらくなるだけだ」

ベルトルト「うん」

パチパチ・・・パチ

ユミル「・・・」

ベルトルト「・・・」

クリスタ コクリコクリ・・・

ベルトルト「少し・・・薪を入れようか」

ユミル「あっ?・・・ああ悪いなベルトルさん」

ベルトルト「クリスタ眠そうだね。ユミルも眠いでしょ?」

ユミル「私はまだ問題ねぇから」

ベルトルト「ほんと?そうは見えないけど」

ユミル「ほんとだよ。だがクリスタはもう限界だな。もう寝かしてやっていいか?」

ベルトルト「構わないよ」

ユミル「よいしょっと」

ユミル「しかしまぁこんな軽い体で頑張っていたもんだな」

ベルトルト「ふふっ」

ユミル「なんだよ」

ベルトルト「なんでもないけど」

ユミル「フンッ」

パチパチ・・・

ベルトルト「・・・」

ユミル「・・・なぁお前ももう寝てもいいぞ」

ベルトルト「いや・・・あまり時間が経っていないよ。エレン達の番までまだだ」

ユミル「あとは私が起きてるさ」

ベルトルト「最初からそのつもりだったの?」

ユミル「なにがだよ?」

ベルトルト「クリスタを最初に寝かして次に僕を寝かして最後まで一人で起きてるつもりだった?」

ベルトルト「アニもエレンも起こさずに一人で」

ユミル「考えすぎだ。疲れてんだよお前も」

ベルトルト「何の為に?」

ユミル「何の為でもねーよ。さっきからお前よく喋るな」

ベルトルト「実は僕よく喋るんだ。けど人見知りでね」

ユミル「うちのアニちゃんと一緒だな」

ベルトルト「アニちゃんって・・・僕が言ったら殺されそうだ」

ベルトルト「アニも変わったよね。君らと話しているアニを見ると別人みたいに感じるよ」

ユミル「そうかぁ?初めて会ったときからあんな感じだけどな」

ベルトルト「それは君がいや君らがいい奴らなんだよ」

ユミル「私はお前達といるときのアニも別に不自然には感じないが」

ベルトルト「そうかな?だったら嬉しいよ」

ユミル「やけに素直だな」

ベルトルト「言ったろ?僕は人見知りだから喋れるときに喋るのさ」

ベルトルト「けど違うんだ。僕らと話すアニは・・・そのなんていうかさ」

ユミル「言いにくいなら話すなよ」

ベルトルト「そうだけど。きっと今しか言えないんだ。君にしか言えないから。僕は」

ユミル「大した信頼をもらったな。私はそんな奴じゃない」

ベルトルト「僕の勝手だよ。それでね」

ベルトルト「もし世界中のみんながアニを嫌うようなことがあっても」

ベルトルト「君は・・・君らだけは嫌いにならないでよ」

ベルトルト「僕らはいくらでも嫌っていいから」

ユミル「何言ってる?」

ベルトルト「お願いだっ」

ユミル「・・・杞憂だな」フー・・・

ベルトルト「えっ?」

ユミル「・・・」

パチ・・・

ベルトルト「薪・・・入れる?もう少なくなってきたけど」

ユミル「いらねー」

ベルトルト「けど」

ユミル「いらねー心配だって言ってるんだ」

ユミル「あいつとあいつらがそんな選択する訳ないんだ」

ユミル「私じゃあるまいし。あいつらは成長しているんだ」

ユミル「知ってるか?あいつらって過去には決して笑えないような目にあっているんだ」

ユミル「お前だってそうかもな。同じ目をしているときがある」

ベルトルト「・・・」

ユミル「けどあいつらは笑うんだ。すごいだろ?私はすごいって思うんだ」

ユミル「子供みたいに笑うから。バカみたいに」

ユミル「私にはもう無理だって思っていたから」

ユミル「単純にそう思えてさ」

ユミル(それでなぜ私はできないんだって思う)

ベルトルト「ユミル?」

エレン「うっうーん」

ユミル「・・・」テクテク

ユミル「ったく寝相わりーな」ファサッ

ベルトルト「毛布かけてあげたの?」

ユミル「まーな」

ベルトルト「優しいね」

ユミル「ハッ・・・」

ユミル「なぁなんで私らさっきからこんな話してんだよ」

ベルトルト「さぁ?」

ユミル「ヤメだ。ヤメ。暗くて真面目なお前に付き合ってたら気が滅入る」

ユミル「もう寒くて眠いんだよ」

ベルトルト「ごめん」

ユミル「ごめんとか言うなよ」

ベルトルト「じゃあもっと楽しい話を」

ユミル「できんのか?ってもう寝ろ」

ベルトルト「僕ら死んだらどうなるのかな?」

ユミル「・・・いい性格だな。なんかお前の印象変わったよ」

ベルトルト「僕は暗いから」

ベルトルト「このまま明日も雪に閉ざされたままで迂回路もなく助けもなく」

ベルトルト「そうしたら・・・って思って」

ユミル「まぁ最悪はありるうけどな」

ベルトルト(もちろんそんなことは)

ユミル(どんな手を使ってでもさせないが)

ベルトルト「けど明日じゃなくていつかそうなってしまうから」

ベルトルト「だって僕らは兵士だから」

ユミル「お前は?」

ベルトルト「・・・僕は何にもならないと思う」

ベルトルト「何も思いたくないから。君は?」

ユミル「やだなぁこんな話はさ。ったく」

ユミル「お前と同じさ。何にもならない。ただ」

ユミル「最近思うのは」

ユミル「殺されて死んだ奴と」

ユミル「殺してた奴が死んだら違いはあるのか?」

ユミル「って意味もなく考えることはある」

ベルトルト「君も暗いよ」

ユミル「・・・お前話したいのか話たくないのかどっちだ?」

ベルトルト「ごめん」

ユミル「ごめんっていうな」

ユミル「あのな。死んだらなんか解るわけねーだろ」

ユミル「願望だよ全部」

ベルトルト「じゃ君の願いは?」

ユミル「そんなのは当然・・・」

ベルトルト「当然?」

ユミル「・・・」

ベルトルト「・・・」

ベルトルト(火がもう消える)

ベルトルト(消えてしまう)

ベルトルト(・・・消えた)

ベルトルト「もう火が消えてしまったね」

ベルトルト「ユミル?」

ベルトルト「もう寝たら?僕が起きているよ」

ユミル「悪い」

ベルトルト「じゃ」

ユミル「いや違うんだ。色々考えちまってさ」

ユミル「そうじゃないんだ。私の願いは」

ユミル「願うのは毛布をかぶって寝たいってことで」

ユミル「だれだって寒いのは嫌だよな。そうだよな?」

ユミル「もう寒いからさ。かぶらなかったら大変だ」

ユミル「寒くて風邪を引いちまう。あぁけどあいつらは馬鹿でそれに寝相わるいからな」

ユミル「私がたまに毛布をかけてやっているんだ。内緒だからな」

ユミル「いつだって手間かけるんだ。困るよなぁ。けどまいったよ」

ユミル「それだけで・・・本当にそれだけで私の願いは叶うんだ」

ユミル「あぁ・・・けどここは寒いな」

ユミル(私はこんなに寒がりだっけ・・・いつから?)

ベルトルト「・・・僕はもう寝ることにするよ。君も早く寝たほうがいい」

ベルトルト「誰も責めたりはしないから」

ユミル「悪い」

ユミル「なぁベルトルさん。今は私もお前も疲れているだけで」

ユミル「だからちょっと混乱している。それだけなんだ」

ベルトルト「信じるよ。じゃあお休み」

ユミル「今起きているのは私だけ・・・」

ユミル「しかしまぁ今まで色々あったよ」

ユミル「アニはこの生活始めてすぐ家出をしようとするし」

ユミル「ミカサとエレンは泥だらけで帰ってくることもあって」

ユミル「アルミン達と湖で遊んだこともあったな」

ユミル「ハァー・・・」

ユミル「・・・少し出かけてくるか」

ユミル「そうだベルトルさん。・・・今度は楽しい話をしような」

カチャ・・・パタン・・・

ベルトルト「・・・」

ユミル「これは自己満足なんだろう」

ユミル「明日になったら助けがくるかもしれない」

ユミル「迂回路があるかもしれない」

ユミル「だったら私のすることは徒労に終ってしまえばいい」

ユミル「ハァー・・・」

ユミル「ハッ・・・私ってこんなに独り言と溜息が多かったか?」

ユミル「これ以上は嫌だ。早く終らせてやるさ」

ユミル「もうこの姿にはならないって思っていたけど」

カッ!

ユミル(なんて久しぶりなんだろうこの姿)

ユミル(・・・あーくっそ意識が遠のく)

ユミル(泣き言いって何になる?)

ユミル(やることは簡単だ。クリスタの言っていた樹を切り倒して橋の代わりにしてやればいい)

ユミル(誰のためにだ?)

ユミル(いまの私ならできる。余計なこと考えるなよ)

ユミル(誰にも頼まれていない。だったら私のためか?)

ユミル(糞っ!重てーな。動けよ畜生が)

ユミル(それなら今すぐ逃げ出して戻って寝ればいいだろ!)

ユミル(違う!)グッ

ユミル(私はバカなんだ!)ググッ

ユミル(あの時のアニやミカサやアルミンそしてあのバカみたいに!)ズズズッ

ユミル(逃げたりはしねーよ!)

ユミル「うおぉぉぉぉ!」ブンッ

ユミル「はぁ・・・はぁ。糞ザマーミロ。やってやったぜ」

ユミル「これで良しっと。あとは帰るだけだ」

ユミル「明日は普通に通れるさ」

ユミル「あいつらには雪崩でもおきたんじゃねーかとかいっとけばごまかせるだろ」

ゴゴゴ・・・

ユミル「んっ・・・やべえ!本当の雪崩だ!」

ユミル「くそっ間に合わな・・・

ユミル「・・・なんとか生きてるみたいだ」

ユミル「頭がボーっとする。どうやら雪に埋もれてしまっているらしい」

ユミル「良かった目が覚めて」

ユミル「また夢を見ていた。なんて夢なんだ」

ユミル「最悪の夢だ。私の正体がバレてあいつらとは一緒に暮らせなくなって」

ユミル「しかもあいつらは巨人に食い殺されるんだ。私は残ってそれでまた一人になる」

ユミル「いままでのようにずっと」

ユミル「一番確率の高い最悪の夢だ」

ユミル「・・・だけどここで目が覚めるなら感謝してやるさ」

ユミル「悪夢にだって」

ユミル「簡単に這い出してやるさ。この力を使ってな」

ググッ

ユミル「あっ?雪で手が、足が、体が動かない!?」

ユミル「くそっ動けよ。帰るんだよ!こんなところにはいたくねーんだ!」

ユミル「ハァハァ・・・あれっ?」クラッ

ユミル(なんか意識が・・・そうかここは空気が・・・)

ユミル(あぁ・・・私は一人でなにやってんだ?)

ユミル(一人か・・・思えばこれまで一人のほうがずっと長かったじゃないか)

ユミル(どうにかやってきたんだ)

ユミル(だから一人でもうまくやっていけるさ)

ユミル(もう慣れちまえよ)

ユミル(でも・・・慣れたくないよなぁ)

ユミル(誰か・・・ここにいてくれないか)

サクザクッ・・・

ユミル(なんか暖かい・・・いや動いている?)モソモソッ

ベルトルト「あっユミル。気がついたの良かったぁ」

ユミル「ベルトルさん。どうしてここに?どうして私を背負っている?」

ユミル「いや私は雪に埋もれていたはずじゃ?」

ベルトルト「僕が君を探し出した」

ユミル「どうやって?」

ベルトルト「・・・もし君が見つからなかったら僕はこの山全てを溶かしていたよ」

ユミル「はぁ?」

ベルトルト「僕もバカみたいだ。君みたいに」

ベルトルト「それに僕はまだ君と楽しい話をしていないよ?」

ユミル「ベルトルさんお前悪い子だな。寝たフリしやがって」

ベルトルト「わっ暴れないでよ」

ユミル「ったく」

ベルトルト「帰ろうみんな待ってるよ」

ユミル「待ってる?寝てるだけだろ」

ベルトルト「そうだね」

ユミル「いい夢をみているといい」

ベルトルト「そうだね。君もそうだといい」

ユミル「ハッ」

ベルトルト「ねぇユミル?」

ユミル「なんだよ楽しい話か?」

ベルトルト「僕には難しいね」

ユミル「つまんねーな」

ベルトルト「ごめ ユミル「んっていうなよ」

ユミル「悪くないんだから」

ベルトルト「難しいなぁ」

ユミル「そうかぁ?」

ベルトルト「僕は昔から何も出来なかったなぁ」

ユミル「お前不器用そうだもんな」

ベルトルト「失礼じゃない?まぁいいや」

ユミル「なんかちょっと嬉しそうだな」

ベルトルト「そう?そうかもね」

ユミル「さっき山小屋で別れてからなにかあったか?」

ベルトルト「君を救えた」

ユミル「・・・」

ベルトルト「なんか言ってよ。もう着いちゃうよ」

ユミル「・・・バーカ」

ベルトルト「酷いなぁ。けど自己満足だったとしてもいいんだ」

ベルトルト「初めて僕は人を救えたって思ってるから」

ベルトルト「今まで僕は目の前にあるものに奪ったり奪われたりして」

ベルトルト「何もできずに救えずにただ見ていただけだったから」

ユミル「自分語りはそれまでにしてどうして私を探しにきた?」

ユミル(見たのか?どうなんだ?)

ベルトルト「どうしてって当たり前じゃないかこの雪の中で一人で出かけて何を考えてるの?」

ベルトルト「すぐ出かけたよ。君がいなくなってから。けど雪が酷くてすぐに見失ってしまったけど」

ユミル「お前だって一人で出かけて何考えてんだよ」

ユミル(良かった見られていないか)

ベルトルト「僕は一人でも問題ないさ」

ユミル「バカじゃねーか」

ベルトルト「君ももうちょっと別なこと言ったら?」

ユミル「うるせーな」

ユミル「・・・なぁベルトルさん」

ベルトルト「なに?」

ユミル「星が綺麗だ」

ベルトルト「ほんとだ。気付かなかった」

ベルトルト「晴れたんだ。明日は帰れるねきっと」

ユミル「あぁ絶対帰るぞ」

ベルトルト「さっ着いたよ降りて」

ユミル「悪かったな」スタッ

ユミル「・・・」ギュッ

ベルトルト「どうしたの?祈るように手を重ねて」

ユミル「たまにはな・・・星に願いを」

ベルトルト「たまにはいいね」

ユミル「私らにだって願う権利くらいはあるよな?」

ベルトルト「うん。それくらいは許してほしいよ」

ガチャ

ベルトルト「ただいまー」ボソッ

ユミル「だれも起きてるわけねーだろ」

アニ「起きてるよ」

クリスタ「どこにいってたの?」

エレン「なんで起こさないんだよ心配しただろ」

ユミル「悪かったって」

ユミル「もういいんだよ全員寝ろ」

ユミル「明日はきっとうまくいくから」

アルミン「っで結局どうなったの?」

エレン「んっ?二日目は普通に帰れたよ」

アニ「地図の間違えは作為的なものだったんだよね」

アルミン「うん。教官が僕らを試すためにね」

ミカサ「私のところも間違っていたけど橋が落ちてるとかは無かった」

アニ「そう。それは完璧なアクシデントだったって。けどラッキーだったよ」

エレン「雪崩で樹が折れて渡れるようになってたからな」

アルミン「それはすごい確率だね。普通に考えたらありえないよ」

エレン「けど有り得たんだ。いいだろ?それよりユミルは?」

ミカサ「買い物。あと少しで帰ってくる」

エレン「やべっ準備を急がないと。アルミン、コニー達を呼んできてくれ」

アルミン「うん」

ユミル「ただいまぁ。まださみーな。早く暖かくなってほしいもんだって」

ユミル「なんだお前ら?みんな集まってなにやってんだ」

クリスタ「せーのっ」

「誕生日おめでとう」

ユミル「えっ?え?」

サシャ「おめでとうございます。何歳ですか?」

コニー「お前知らないのかよ。俺もだけど。とにかくおめでとう」

アニ「まぁたまにはいいよね。こんなのも。あっそうだおめでとう」

ミカサ「上着を脱いで席に座って。今日の主役はユミル」

アルミン「プレゼントもあるよ」

エレン「後のお楽しみだけどな」

ユミル「えっとなんだぁこれは?」

クリスタ「ほらほらっ席に座って」

ユミル「・・・」

エレン「なんか言えよ」

ユミル「えっとじゃああーなんだ アルミン「みんなグラス持って」

ユミル「おい」

アルミン「あっごめん続きを」

ユミル「私のためにこんなにしてもらっ クリスタ「サシャまだ飲んじゃ駄目」

ユミル「うおい」

サシャ「ごめんなさい」プハーッ

アニ(飲んだ?)

エレン「長いぞ」

ユミル「お前がなんか言えっていったんだろ。もういいやグラス持て」

ユミル「カンパイ!」

「カンパーイ」

ユミル「いつの間に企画してたんだよ」

ユミル「全然気がつかなかったな」

アニ「そりゃもちろん」

ミカサ「隠れて準備してたから」

サシャ「でもまだ飾り気がありませんね」

サシャ「これでもかぶっていて下さい」

ユミル「これは?」

サシャ「三角帽です」

ユミル「いやいやこれはちょっとな」

サシャ「お似合いですよ。パーティにぴったりじゃないですか?」

ユミル「そうか?じゃ仕方ねーな」

サシャ「はい。冗談はさておきプレゼントです」

ユミル「冗談!?」

サシャ「私達3人はですね。お花です」

クリスタ「本当は前が見えなくなるくらいの花束を渡したかったけど」

コニー「冬だから厳しいぜ」

ユミル「いや・・・ありがとな。買ってきてくれたのか?小さくて白くて雪みたいだな」

サシャ「私達が買うわけありませんよ。採ってきました」

ユミル「まじかよ」

サシャ「この花が咲くってことはもうすぐで春になるってことだそうですよ」

クリスタ「花言葉は希望だよ」

ユミル「ふーん」

コニー「確かもう一つあるって言ってなかったか?」

クリスタ「あの。サシャさっきの通りにお願い」

サシャ「あっそうでした。これはやっぱり差し上げません」

ユミル「はっ?」

サシャ「私はいまから転んで花を手放してしまいます」

ユミル「なに?」

アニ「さっきから何やってるの?」

エレン「まっ見てよーぜ」

アルミン「きっともう一つの花言葉に関係してるのかな?」

サシャ「えーい」ポイッ

ユミル「おっと」

サシャ「ナイスキャッチです」

クリスタ「これでユミルのものだね」

ユミル「結局なんなんだこれ?」

クリスタ「いーの。この話は終いだよユミル」

ユミル「お前この前のこと根にもってるか?」

クリスタ「えー何?」

ユミル(これは根に持ってるな)

エレン「次アニの番か?」

アニ「あっうん。そうだね」

ユミル「アニかー」

アニ「なんかあるの?」

ユミル「なにも。楽しみにしてるってだけさ」

アニ「たいしたものじゃないから」

アニ「私は今日の料理と・・・これっ」

ユミル「この白い料理のことか?」

アニ「内地では食べられてるらしいけどケーキっていうもので」

アニ「誕生日に食べるものさ」

ユミル「甘いのか」

アニ「甘いよ」

サシャ「おいしいです」

アニ「早くみんなも無くなっちゃうから」

ユミル「はいよ」

アニ「どうっ?美味しい?」

ユミル「今度は美味いよ」

アニ「そっか」

サシャ「あー食べました。次はミカサですね?」

ミカサ「持ってくる」トコトコ

ユミル「まさか全員なんか用意してあんのか?」

エレン「当たり前だろ?」

ミカサ「ユミルこれ」

ユミル「マフラー」

ミカサ「巻いていい?」

ユミル「おう」

ミカサ「これで私とお揃い」クルクル

ユミル「うん・・・あったかいよ」

ミカサ「良かった。作った甲斐があった」

ユミル「手作りか?よくできてるよ」

ミカサ「ちなみに私が巻いているマフラーは昔エレンのやつ」

ミカサ「だからエレンともお揃いともいえる」

ユミル「その情報はいいや」

ミカサ「最重要なのに?」

ミカサ「でも私があのとき感じた暖かさがあなたにもあるように」

ユミル「うん。ありがとな」

アルミン「僕はごめんね手作りじゃなくって」

アルミン「髪留めだよ。気に入ってもらえると嬉しいな」

サシャ「綺麗ですね。私のはないのですか?」

アルミン「無いよ」

サシャ「何故ですか?」

アルミン「なぜって???」

ユミル「後でやれ」

アルミン「あっごめんね。はいっどうぞ」

サシャ「まだ話は終ってませんよー」

ユミル「じゃみんなお揃いの買えば」

アルミン「仕方ないなーって僕は要らないよ」

ユミル「似合うのに」

アルミン「似合いません」

エレン「最後は俺だな」

ユミル「意外だ」

エレン「何でだよ」

エレン「結構したんだからなこれ」

ミカサ「なに買ったの?」

アニ「そういや給料前借してたね」

エレン「指輪だ」

ユミル「えっ?」

ミカサ「えっ?」

アニ「えっ?」

ユミル「冗談だろ?」

アニ「エレンそれは」

ミカサ「どういう意味?」

エレン「なにが?」

ユミル「なにがって」

エレン「手を出せってはめてやるから」

ユミル「いやっまずいから。マジで」

クリスタ「エレン薬指だからね」

エレン「そっか」

ユミル「クリスタお前っ」

サシャ「結婚式みたいですねー」

アニ「結婚・・・」

ミカサ「・・・」

ユミル「サシャ。お前なんてことを(アニとミカサこわっ)」

エレン「ごちゃごちゃうるさいな」

エレン「手を出せ。ほらっ手」

ユミル「ぐっ」

エレン「おいっユミル。なんでグーなんだよパーだパー」

ユミル「うぅ」

エレン「意外と指細いな」

ユミル「うっうるせーな」

エレン「けど俺より手がでかいな」ピタッ

ユミル「やっやめろよ」ゴニョゴニョ

アルミン「エッエレン早くつけてあげて」

エレン「うん?わかった。・・・おっぴったりだ。どうだ?」

ユミル「・・・あぁ」

エレン「なんか言えよ」

ユミル「なっなんで指輪なんだよ?」

エレン「特に意味ねーけど。この前そんな話したなーと思ってさ」

エレン「まぁ一つや二つもらってくれよ」

ユミル「仕方ねーな。もらってやるよ」

サシャ「結婚おめでとうございます」

クリスタ「サシャ泣かないで」

コニー「えっ指輪ってそんな意味があるのか?」

エレン「あるわけねーだろ」

アルミン(あるって。けどつけたのが右手で良かった)

ユミル(右手か・・・でも。まっ綺麗だな)ニヤニヤ

アニ「ユミル・・・後で話しがある」

ミカサ「私も」

ユミル「はい・・・」

サシャ「では誓いのキスも終りまして次はケーキ入刀です」

エレン、ユミル「してねーよ」

サシャ「いやー共同作業っていいですねっアルミン?」

アルミン「なんで今日はそんな陽気なの?」

サシャ「そこにご馳走があるからです」

アニ「はいはい。まだあるから食べてね」

コニー「悪いな。けどもう大分遅いぜ」

クリスタ「私達邪魔じゃない?」

ユミル「そんなことあるか泊まっていけよ」

サシャ「もちろんです」

クリスタ「あっ!じゃあ今日は夜通し遊ぼうよ」

サシャ「賛成です」

アルミン「たまにはいいかもね」

ミカサ「よさそう」

ユミル「えーもう寝ようぜ」

クリスタ「駄目」

ユミル「駄目って厳しいな」

エレン「何すんだ?」

サシャ「踊りましょう」

アニ「やったことないよ」

サシャ「勘で」

ユミル「勘で?」

サシャ「なんとかなりますよ」

ミカサ「無音で?」

クリスタ「無音って?」

コニー「あー音が欲しいよな」

エレン「楽器ってあったか?」

アニ「えっと」

アルミン「確か物置に古いアコーディオンがあったよ」

クリスタ「コニー。私達の家にもなかったっけ?」

コニー「あっじゃあ俺ギター持ってくる」

アニ「そんなのあるんだ」

ユミル「エレンお前もなんかねーのかよ」

エレン「俺楽器できねーし楽器もねーよ」

ミカサ「しかたない歌おう」

エレン「やだよ」

ユミル「じゃ鍋でもなんでも叩いてろ」

エレン「おっそれいいな」

ユミル「まじかよ」

アニ「私は皿を」

ミカサ「じゃあ私は何を叩けばいい?」

ユミル「・・・サシャ残りの飯くっちまおうぜ」

サシャ「はーい」

アルミン「じゃ準備はいい?」プーパー

コニー「なんとかな」ジャカジャカ

エレン「いつでもいけるぜ」ポコポコ

サシャ「すみません」

コニー「どうした?」

アニ「エレンの音が気が抜けるんだけど」

エレン「悪いか」

ミカサ「問題ない」

ユミル「まぁこんくらいでいいんだよ」

クリスタ「そうだね。そのほうが楽しいかも」

アルミン「じゃ改めて。いちっにっさん」

♪・・・

サシャ「クリスタは上手ですね」

クリスタ「ありがとうサシャだって」

サシャ「村の祭り時くらいですねー踊るのは」

エレン「アニ動き少ないぞ」ポコポコ

アニ「だって」

ミカサ「恥ずかしがらないで」

ユミル「お前のその踊りはなんなんだ?」

ミカサ「これは私の故郷に伝わる踊りで」

ミカサ「死者を慰めるための踊り」

エレン「リズムとあってねーな」

ミカサ「エレンもあってないから大丈夫」

エレン「鍋じゃ限界があるだろ」

アルミン「みんなバラバラだね」

サシャ「もっとペースあげましょう」

ユミル「マジか?」

サシャ「マジです。音楽隊がんばってください」

アルミン「えー?」

コニー「よっしゃ」

エレン「まかせろ」

サシャ「ユミルもっと早くです」

ミカサ「今日はユミルは主役だからもっと」

アニ「休んじゃ駄目だよ」

ユミル「トシだからなー」

クリスタ「そんなことないでしょ」

ユミル「もっと早く、早くです」グルグルグルグル

・・・

サシャ「気持ち悪いです」ゲー

ユミル「バカか?」

サシャ「はい」

ユミル「知ってる」

ユミル(しかしまーなんてバラバラなんだろな)

ユミル(なにもかも合ってなくてでもまったく問題なくて)

ユミル(そういやなんで私やこいつらはこの場所いるんだっけ?)

ユミル(一瞬でもすれ違ったら会わなかったし)

ユミル(なんとも・・・不思議な感じだ)

ユミル「みんな疲れて寝たか」

ユミル「ベットまで連れてかねーと」ハァー・・・

クリスタ「ユミル」

ユミル「クリスタ起きてたか手伝ってくれないか?」

クリスタ「うんユミルけどその前に言いたいことがあったの」

ユミル「なんだ?」

クリスタ「ねぇユミルこれでも家族じゃないって言える?」

クリスタ「私悔しかった。あの時ユミルに言われたことが。ううん違うユミルが言ったことが」

ユミル「うん」

ユミル「・・・まぁそうだな。悪かったよ」

クリスタ「あっごめんなさい。そんなつもりじゃなかったんだけど」

ユミル「いや・・・そういや私さ、あのあとちょっと考えたんだけどさ」

ユミル「そもそも家族ってもの自体よくわかんねーなって。遥か昔の出来事だ」

ユミル「思い出せないよ」

ユミル「それにそんな私に資格はあるのか?家族がどうとか」

クリスタ「ユミルだから・・・」

ユミル「いやいいんだけどさ。今日みたいに一緒にいるだけでそのなんて言うか・・・」

クリスタ「安らぐとか?」

ユミル「まーそうだな。そういうのとか」

クリスタ「指輪もらったし」

ユミル「うるさいなぁ。そんなのとか感じるのはそうなのかもな」

クリスタ「おめでとうユミル」

ユミル「なにが?」

クリスタ「誕生日」

ユミル「・・・どうも。いーからこいつら運ぶぞ」

クリスタ「うん」

ユミル「ミカサ重っ」

クリスタ「重い」

ユミル「落とすなよ」

クリスタ「うん」

ユミル(なんだろう今日の夢は?)

ユミル(あぁ子供の時の夢か・・・あいつらがいるぞ)

ユミル(遊んでる。アニもミカサもみんなちっちゃいな)

ユミル(アルミンは女の子みたいだなでも賢そうだ。エレンはいつも通り生意気そうだ)

ユミル(でも違うな。私はこんな子供の時のあいつらなんて知らないし)

ユミル(私はどうなんだろう)

ユミル(・・・今のままだ。変わらない)

ユミル(そうか子供の頃の私なんて想像なんてつかないほど昔だもんなー)

ユミル(コニーもきたか。ハハッあいつだけは全然かわんねーな)

ユミル(んっ?なんだサシャどうした?)

ユミル(お腹が空いたって?お前もいつも通りだな)

ユミル(後でまた飯にするからお前も遊んでこいよ)

ユミル(おっクリスタもいる。そんなに遠くで見てないでいってこいよ)

ユミル(大丈夫だってあいつらなら。心配いらないから)

ユミル(うんそうだ。ほらっうまくいったろ?)

ユミル(仲良くな。そうその調子だ)

ユミル(ん?どうしたクリスタ?私を指さして)

ユミル(みんなしてこっちに来て。まだ飯じゃないぞ)

ユミル(なんだよエレン。なんか用か?)

ユミル(一緒に遊ぼうって?私はそんな子供じゃねーよ)

ユミル(関係ねーってことはないだろ)

ユミル(そんなに小さいお前達と私が遊んでいたら変だろ?)

ユミル(?なんだよちょっと目を瞑れって)

ユミル(そっか夢だもんな。一瞬でお前達はきっと大人になる)

ユミル(ほらっどうだ)

ユミル(・・・変わらねーな。ちっさいままだ)

ユミル(けど目線が低い?手足が小さい?)

ユミル(違う私が小さくなったんだ)

ユミル(想像できたんだ小さい頃の私を私が)

ユミル(どうだって?しゃーねーな遊んでやるから)

ユミル(そう私が鬼だ。お前らを一人残らず捕まえてやるから待ってろよ)

・・・パチッ

ユミル「あー最悪だ。なんで泣いてるんだ」

ユミル「悲しくなんてないのに」

アニ「ユミルおはよう。何してるの?」

ユミル「あぁおはよう。焚き火だよ。落ち葉が溜まっていたんだ」

クリスタ「こんなにたまっていたんだ」

ユミル「ちょっと掃除さぼってたからなぁ」

サシャ「このお芋焼いていいですか?」

ユミル「好きにしろ」

コニー「ゴミ焼いていいか?」

ユミル「それはやめろ」

ミカサ「あったかい」

ユミル「そうだな」

アルミン「なんか落ち着くね」

ユミル「うん。そうだな」

エレン「今日は風がねえからまっすぐ煙があがるなぁ」

ユミル「おーそうだなぁ。あれはどこまでいくんだろうな?」

エレン「さぁ?どうだろうな」

ユミル「本当に・・・どこまで」

エレン「ユミル?」

サシャ「みなさんお芋が焼けました。みんなで食べましょう」

ユミル「おっいいねー。エレン早く行けよでないと無くなっちまうぞ」

エレン「おう。お前の分もとってきてやるよ」

ユミル「自分でとるさ。気にするなよ・・・ありがとな」

エレン「わかった」

サシャ「あーエレン一番でかいのとるなんてひどいです」

エレン「早い者勝ちってことでいいよな」

アニ「それなら私のいる?」

エレン「2個はいらないんだ」

コニー「わけわかんねーよエレン」

ユミル「仲良くしろよー」

ユミル「・・・もし私が滅んだとしてもお前らがいるって思いながら」

ユミル「この気持ちは空に投げて誰も気付かないままに薄まって散らばってくれよ」

ユミル「からっからに乾いた寒い日だ。それはそれは高く上がるから壁なんか越えてもっと遠くへいくんだ」

ユミル「・・・さぁエレンこの生活ももうすぐ終わりだ。お前はどうする?」

ユミル「お前は私と違って何もかも飛び越えてみせろ」

ユミル「それも簡単に・・・いやそうじゃなくてもいいかな」

ユミル「それで私にくだらねーとか言ってくれ」

ユミル「そしたらちょっとは笑えるから」

ユミル「それでいつだってお前らには・・・」

ユミル「絶対言わないが」

ユミル「胸いっぱいの愛を・・・いらないかも知れないけどな」

これで終わりです。ありがとうございました。

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