【まどマギ×ボトムズ】ほむら「キリコ・QB?」 (536)

・まどかマギカとボトムズのクロスオーバーです。
・タイトルが言いたかっただけ。



キリコ「俺は惑星モナドから、たった一人生き残ってしまった」

キリコ「コチャック、ゴダン、バーコフ、ザキ、分隊の仲間は皆死んだ」

キリコ「異能生存体の俺だけが、生き残った」

キリコ「そう、いつも通りだ」

キリコ「諦観にも似た感情が俺を支配していた」

キリコ「脱出ポットで考えるのは、次の戦場のことだった」

キリコ「それにさえ倦み、まどろんだ先に待つのは、新たな地獄」

キリコ「これも、いつも通りだ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1443711754

さやか「悪いねまどか付きあわせちゃって」

まどか「いいっていいって」ティヒヒ

さやか「それよりさ、転校生にいきなりご指名なんて、なにがあったんですかなあ?」ニヤニヤ

まどか「も、もうさやかちゃんたら! なんでもないよ! 保険委員の仕事をしただけ!」

さやか「からの~?」チョンチョン

まどか「もう!」プイ

さやか「あはは、ジョーダンジョーダン」

だからよ!

いってんだろ!

まどか「わ、け、喧嘩かな?」

さやか「みょーちきりんな格好のおっさんたちが怒鳴ってるよ。しょーがない、回り道しよう」

まどか「う、うん」スタスタ

ゴダン「だからここはどこなんだよ!」グイ

コチャック「お、俺が知るかってんだ!」バタバタ

バーコフ「やめろおい」

ザキ「かなり原始的な星だぜ。なあ、キリコ、知らねえか?」

キリコ「……いや」

ゴダン「け、全くどうなってやがんだ。死んだはずの犬野郎は生きてるしよ」

コチャック「な、なんだと⁉ 俺はピンピンしてら! 貴様こそとっくに死神なんじゃねえか⁉」

ゴダン「何を!」

バーコフ「落ち着けっての、確かに俺もおっ死んだはずだ。だが、足もありゃ、息もしてら」

ザキ「へ、そんなの決まってんじゃねえかよ」

コチャック「あ?」

ザキ「異能生存体は、死なねえんだろ? なあ、キリコ?」

キリコ「……ああ」

「「「……」」」

ゴダン「おいおい、嬉しい誤算ってやつじゃねえか?」ニヤニヤ

コチャック「ひひひ、モノホンかあ」ニヤニヤ

バーコフ「ここが地獄でなきゃ、そういうことだな」

ザキ「ああ、俺たちは不死身だ! なあ、キリコ!」



地獄にいる。
その考え方が、皮肉にももっとも現実的だった。
俺も、近似値の一人に過ぎなかった。
ペールゼンの妄執に囚われた、一介の兵士が、塵のように現世から消えた。
だがー


キリコ「ああ、俺たちは、不死身だ」



今はそれが、無性にうれしかった。

バーコフ「さて、不死身とわかったところで、これからどうするかだ」

ゴダン「言葉はわかるぜ、どこぞの辺境の星か?」

コチャック「見てみろあの服、お偉いさんの住むご立派な避暑地かなんかじゃねえか?」

ザキ「にしちゃ、妙だぜ。おおかたどっかの昔の暮らしに戻りましょうとか言ってるやばい宗教でも拝んでんだろ」

妙な星だった。
ザキのいうように、前時代の回顧主義者の住む町なのかもしれない。
俺はここが好きになれない。
ここには火薬の臭いも、鉄の軋みもないのが、肌から感じられる。
平和。
俺が求めつつ、憎むものの正体だった。

『助けて……助けて……』

キリコ「?」

『助けて……まどか……』

キリコ「……」スタスタ

ザキ「お、おい、キリコ?」



× × ×

キリコ「……」スタスタ

QB「キミは……」

ザキ「あ? なんだこりゃー」

バーコフ「触るなザキ!」

ザキ「な、なんだよ⁉」

バーコフ「そいつはシラウサギかもしれねえ、噛まれりゃ10秒でお陀仏だ!」

コチャック「ひい! き、きいたことあるぜ! 巣だと知らずに野営した部隊が朝起きたら全滅してたって!」ガタガタ

ゴダン「だ、だがあいつがいるのは惑星メドゥのはずだ! あそこにこんな文明はねえ!」

QB「そうか……キミたちは……ワイズマンの……」

キリコ「……」シュルシュル

ザキ「お、おいキリコ?」

QB「きゅっぷい……」

何故そうしたのかはわからない。
だが、俺は無性にこの生き物を助けたかった。
滑らかな体毛、純白の肌、尻尾。
安らぎを覚えるものが、俺を捉えて離さなかった。

QB「わけがわからないよ……」

キリコ「このままにしとけば直治る」ナデナデ

バーコフ「お、おい、しゃべってるのかそいつ?」

コチャック「実験動物じゃねえか⁉ 高く売れるぜ!」

ゴダン「てめえは黙ってろ!」

さやか「わ! さっきのコスプレ軍団!」

まどか「さやかちゃん!」

ザキ「!」

さやか「あ、な、なんでもないっす! いくよまどか!」

まどか「う、うん!」

ザキ「待て!」

少女たちがザキの怒声にぴたりと止まる。
やはりここは相当平和ボケした場所のようだ。
年のころはザキとあまり変わらないはずなのに、10年も若く見える。

ザキ「何もしねえ、質問にだけ答えろ」

さやか「ななな、なんでしょうか」ガタガタ

まどか「う、うちはおかねもちじゃなくて……」ガタガタ

ザキ「ここはなんて惑星だ?」

まどさや「「へ?」」

× × ×

ゴダン「地球……聞いたことがねえ」

バーコフ「言語が通じるのはどういうわけだ? 大気も無害だ。こんな星がいままでみつからなかったのか?」

コチャック「へたすりゃ銀河が違うのかもしれねえ、こいつらどこの銀河かも知らねえしな」

さやか「いいあんた? こんなおっさんに混じって恥ずかしくないの? なんてアニメ? SFなのはわかったけど」

ザキ「お、おう」

まどか「あ、あの、その子はどうですか?」

キリコ「安定している」ナデナデ

QB「きゅっぷい」

どうやら、はるか遠くの惑星のようだ。
星間飛行もまだ初歩の初歩らしい。
そのおかげで、100年戦争からも免れたが。

ゴダン「どうする分隊長?」

コチャック「戻れそうにもねえ、ここで一生終えるのか」トホホ

バーコフ「ん~」

ザキ「だから俺たちは本当にー」

さやか「もう、そんなんじゃねえ」

まどか「あ、あの、お名前は?」

キリコ「……キリコ・キュービー」

QB「きゅぷ? 不思議な偶然だね。僕もきゅうべえっていうのさ」

キリコ「……キュービーだ」

まどか「……ふふ」

バーコフ「とりあえずーん?」

ゴダン「あ? お、おいおい」

コチャック「ひい! なんだこりゃ!」

さやか「け、景色が歪んでー」

ザキ「が、ガスか! 薬物か!」

キリコ「……」ギュ

まどか「こ、怖いよお」ガタガタ

QB「これは……魔女の結界だよ」

バーコフ「おい白いの! 知ってるのか⁉ 説明しろ!」

QB「気を付けて、使い魔がー」

ゾロゾロ

コチャック「うひいい! なんだこりゃあ⁉」

バーコフ「原棲生物か⁉」

ザキ「お、お前! こりゃなんだ⁉」

さやか「し、知んないわよ! こんなの!」

使い魔×たくさん ザワザワ

まどか「あ、あ……」

キリコ「きゅうべえを頼む」

きゅうべえ「きゅい、残念だけどキミたちじゃ勝ち目はないよ。まどか、キミがー」

まどか「え? あ、あなたは……?」

キリコ「荒事には慣れている」ジャキッ

やれやれ、俺にはどこまでいっても平穏の2文字はないらしい。
引き金にかけた指と、あたまを切り離し、俺はしゃにむに銃弾を発射した。

細かい所だけど「キリコ・キュービィー」ですよー

>>17 18 アリガトナス!

マミ「確かここら辺から…… ! 結界!」

ワーワー
パンパン

マミ「! 人が⁉ 急がなくちゃ!」

× × ×

マミ「きゅうべえ! 人がいるー」

ゴダン「おらおら! ぶっ殺すぞ!」パンパン

バーコフ「うじゃうじゃいやがる!」バキュンバキュン

コチャック「ひいいいいいい!」ブルブル

ザキ「戦えコチャック‼」パンパン

キリコ「……」ズドンズドン

さやか「ほ、本物⁉ ソルジャー?」

まどか「はうううう……」

QB(やはり、彼らは……)

マミ「え? え?」オロオロ



ほむら(な、なによあいつら?)



× × ×

バーコフ「へえ、お嬢ちゃんみたいな子が随分いい家に住んでるなあ」

ゴダン「へへ、上等な菓子なんて久しぶりだぜ」

コチャック「軍じゃ合成食品ばっかりだったしなあ」ガツガツ

マミ(む、むさっくるしい……)

さやか「あんたが兵隊? うそくさ~」

ザキ「なんだと! おまえらとは環境がちげーんだよ!」

まどか「キュゥべえ大分よくなったみたいだね」ウェヒヒ

QB「それはいいんだけどね……」

キリコ「……」ニクキュウプニプニ

QB「きゅっぷい」

バーコフ「それでお嬢ちゃん? さっきのあれについて話してくれないか?」

マミ「え? あ、はい。あなたたちも、聞いたほうがいいわ」

× × ×

トモエ・マミと言う少女の語った言葉。
それはおとぎ話もかくやというものだった。
魔女、魔法少女。
しかし、彼らから見れば、俺たちの方がよほどおとぎ話だろう。
なによりマミのおとぎ話は、実体験した分、強烈な現実味を伴っていた。

バーコフ「ほーん。で、お嬢ちゃんはなんでまたその魔女ってのを刈り取ってるんだ?」

マミ「え? それは……だって、危ないですし」

ゴダン「へ、物好きな野郎だぜ」

さやか「ちょっとあんた! 何よその言い方!」

ゴダン「ああ⁉」

さやか「ひい!」

ザキ「おいやめろゴダン!」

コチャック「ほんとはよ、何か見返りがあるんだろ? 金とか地位とかよ?」ニヤニヤ

マミ「わ、わたしは本気でー」

まどか「どうしてそんなこというんですか⁉ マミさんは危ないのに一人で頑張ってるのに!」

コチャック「い⁉ い、いや俺は別に―」

マミ「お、落ち着いてみんな」オロオロ






キリコ「マミ」アゴナデナデ

マミ「え? あ、はい」

さやか「名前で呼ばれ慣れてないね」ヒソヒソ

まどか「苦労してるのかな」ヒソヒソ

キリコ「その魔女に、他の宇宙に人間を送れるような能力を持っているのはいるか?」

マミ「え?」

ザキ「そっか! そいつのせいで俺たちは……」

マミ「あ、え、えっと……」

QB「それはないよ」キュップイ

さやか「キュウべえ?」

QB「キミたちの原因は、魔女とは全く無関係だよ」

バーコフ「何故わかる?」

QB「ボクにはわかるんだよ。専門家、みたいなものだからね」キュムキュム

ゴダン「そういやおめーは結局何なんだ?」

QB「やっとだね」

× × ×

QB「と、言うわけなんだ」

QBは魔法少女と言う存在、魔女との戦いの宿命について語った。
どんな願いもかなえるかわり、魔女との戦いに駆り出される定め。
俺は、性質の悪い、セールス・トークを聞かされているような、
居心地の悪さを感じていた。

さやか「なんでも願いがかなうんだ」

まどか「ちょ、ちょっと興味あるかも」

マミ「安易に考えないで、皆の為と言っても、魔女との戦いは危険よ、生半可な覚悟で契約しては、必ず後悔するわ」

QB「ま、考えといてよ。契約はいつでもできるからね、それに、キミたちもだ」

バーコフ「!」

ゴダン「じょ、冗談だろ?」

コチャック「おちょくってんのか⁉」

さやか(おっさんの魔法少女姿……うわあ……)

まどか(ザキくんとキリコさんはまだいけるかもだけど……)

マミ「ま、待ってキユウべえ! 魔法……少女?」

QB「うん、何故かはわからないけど、彼らにも素質を感じるんだ」







ザキ「ってことはよ……向こうに戻れんのか?」

QB「もちろん、いますぐ契約するかい?」

QB(正直彼らは不確定要素だ、早めに……)

さやか「えーじゃ、あたしもついでにー」

コチャック「待て待て待て!」

ゴダン「コチャック?」

コチャック「その魔法なんたらになって、リスクはねえのか?」

QB(っち)

コチャック「どうなんだ? んん?」

QB「きゅ、きゅう……」

まどか「ど、どうしたのキュゥべえ?」

QB「傷が痛むんだ、少し無理をしたみたいだ」イタタ

コチャック「おい、答えてねえぞ!」

キリコ「コチャックよせ」ダキカカエ

マミ「そうよ、痛がってるのよ」

さやか「小動物虐めるなんてサイテー」

ザキ「てめえは黙ってな!」

ゴダン「け、腐った野郎だぜ」

バーコフ「コチャック、自重しろ」

まどか「あ、あの、あんまりひどいことは……」


コチャック「」

さやか「って、もうこんな時間! そろそろ帰らないと!」

まどか「あ、ママに怒られちゃう!」

マミ「あらほんと。ねえあなたたち、良かったら魔法少女の戦いを見学しない?」

まどさや「「え?」」

マミ「良かったらだけど、どういうものか、見るだけでも違うと思うわ」

さやか「確かに……あたしは見てみたいかも」

まどか「わ、私も……」

マミ「決まりね♪」

さやか「わわ、ほんとにやばい!」

まどか「お、お邪魔しましたあ!」

キリコ「……家は遠いのか?」

まどか「え?」

キリコ「送って行こう」スッ

QB「ぼ、ボクもかい」ダキカカエラレ

ザキ「なら俺もいくぜ!」

さやか「あらら? 点数稼ぎ?」ニヤニヤ

ザキ「ち、ちげーよ!」

ゴダン「女のガキだけど夜に移動できるってこたあ、相当呑気なところだな」

バーコフ「ああ」

マミ(あれ? よく考えたらこの人たちここに……?)

コチャック「け……俺は知らねえぜ」

× × ×

ザキ「しっかしのどかだよなあ」

さやか「なに? あんたのところはそんなに世紀末?」

まどか「キリコさんっておいくつですか?」

キリコ「……18だ」

まどさやQ「「「え?」」」

キリコ「……」

さやか「く、苦労してんのね」

まど(パパと同じくらいだと思ってた)

QB(わけがわからないよ……)

× × ×

さやか「あんたはなんかお願いある?」

ザキ「ぶっ殺してえやつがいるが、そいつは俺の手でやらねえとな。だから向こうに戻りてえ」メキメキ

さやか「そ、そう」

まどか「キリコさんはどうですか?」

キリコ「……わからない」

まどか「え?」

キリコ「切り離したい過去はある、だが、それあっての俺と言う気もする」サワサワ

QB「アイデンティティだね」アゴナデナデ

ザキ「お前ら簡単になったりすんなよ魔法少女とかによ」

さやか「え?」

ザキ「コチャックも言ってたけどな、うまい話しを持ってくる野郎ってのは、それよりよっぽどうまい目にあうってことだぜ。こっちがどうなろうと知った事
   じゃねえ」

QB「失礼だなあ」キュップイ

× × ×

さやか「じゃね~」

まどか「ありがと~」

ザキ「おう」

キリコ「……」

QB「もう、邪魔しないでよ」

ザキ「俺はおめーを信用してねーぜ。こっちでもマトモな奴なねえっぽいしな」

QB「……」

ザキ「……なあ、キリコ?」

キリコ「……」

ザキ「戻りてえか?」

キリコ「……何の話だ」

ザキ「向こうにだよ。戻ったって、戦争しかねえぜ」

キリコ「……」

ザキ「ならよ、いっそー」

ほむら「ちょっと、いいかしら」ファサ




× × ×

ザキ「なんだよおめーは?」

QB(彼女は……)

キリコ「……」

ほむら「あなたたちは何者?」

ザキ「あ?」

ほむら「まどかを傷つけるようなことがあれば……」チャキ

ザキ「!」バッ

QB(しかしどこで……?)

キリコ「俺たちは何もしない」ワシャワシャ

ほむら「信用すると思う?」

キリコ「しなくていい、が、俺もお前を信用しない」

ほむら「……」

キリコ「何もしない、害も助けも、今はそうとしか言えない。わからないことが、多すぎる」

ほむら「」ヒュン

ザキ「消えた⁉」

QB(ますますややこしくなってきたね、契約を急がないと……)ナデナデ

何もかもが謎だらけだ。
だが、俺はあの少女を見て懐かしさを憶えていた。
それは、鏡に映る、変わらぬ自分を見た時のような感覚。
俺はあの少女に、自分を重ねていた。

× × ×

マミホーム・廊下

ゴダン「狭えなおい」

バーコフ「しょうがねえだろ、金もねえ戸籍もねえんだ。サツにでも捕まってみろ。お嬢さんに感謝しな」

ザキ「おいコチャック! 腹をどけろ!」ゲシッ

コチャック「ひー!」

× × ×

マミ(in ベッド)「押し切られちゃった……だ、大丈夫よね? 変身できるし。うう……キュゥべえもあっちにいっちゃうし……」

× × ×

キリコ「……」ギュウ

QB「ねえキリコ、どうして僕を抱いたままギュウウな、中身が出ちゃう……」



魔女、魔法少女、異世界。
安いコミック雑誌のような冗談に俺はいた。
だが、一つ冗談ではないことがある。
それは、目の前で死んでいった近似値のハズだった連中が生きて声をあげていること。
これが俺の妄想であろうと、魔女とやらの仕業であろうと
今は感謝の言葉しかなかった。

次回予告

あるいは天国
あるいは理想郷
たしかにそうかもしれない

知るがいい
潜む悪意に破滅の軋み
きづいたときにはがんじがらめ
だれも抜け出ぬ蜘蛛の巣地獄

次回『驚愕』

だが、獲物はどちらなのか?

× × ×

ゴダン「こっちの飯はうめーな」ガツガツ

バーコフ「資源が豊富なんだろうな。全く天国だぜ」ガツガツ

コチャック「へへっそいつを別にすりゃ俺はこっちでいいぜ」ガツガツ

ザキ「おかわり」モグモグ

マミ「はいはい」(うふふ、こんなに賑やかなのなんていつぶりかしら)

キリコ「……」アーン

QB「もきゅもきゅ」ヒザウエ

× × ×

マミ「じゃあ、行っきますね」

バーコフ「おう」

マミ「何か服を買ってきましょうか?」

ゴダン「確かに穴倉決め込んでてもな」

コチャック「耐圧服で動き回っちゃ目立つしな」

ザキ「悪い、頼むぜ」

マミ「はい」(バーコフさん、ゴダンさんはXLじゃないと入らなそうね。コチャックさんは私と同じくら……は! そんなわけないじゃない!)

キリコ「……」

QB「いってらっしゃいマミ」キリコニテヲニギラレフリフリ

× × ×

ガサゴソ

ゴダン「金目のもんはねえぜ分隊長」

バーコフ「みつけても盗むなよ、場所を把握しとけばいい。あと元に戻せよ」

コチャック「あいつ孤児か? にしちゃずいぶん良い暮らししてるな」

ザキ「お前ら! 泊めて貰ってるのに漁るのかよ!」

バーコフ「状況把握は大事だぜ坊や? それにお嬢さんがいつ敵に回るか、そもそも味方かも定かじゃねえ」

キリコ「……」ジイー

QB「ZZZ」スピースピー

キリコ「……」ツン

QB「……きゅっ……」

× × ×

まどか「お邪魔しまーす」

さやか「大丈夫ですかマミさん? あいつら下着を盗んでたりして」ニヤニヤ

マミ「そ、そんなことないわよほほほ」(よく考えたら危ないわね。こんな美少女に手を出さないなんてありえないし)

× × ×

バーコフ「おう」

ゴダン「くそ! このやろう!」ピコピコ

ザキ「死にやがれ!」ピコピコ

QB「経験が違うよっ」ヒザウエピコピコ

キリコ「……」イモスナ

コチャック「お前ら昨日の……」

さやか(うわ……)

マミ(これはこれで……)

まどか(マミさんコントローラーいっぱい持ってるんだ。友達いっぱいいるんだろうなあ、いいなあ)


× × ×

マミ「さて、いきましょうか? 魔法少女体験ツアー」

さやか「はい」

まどか「よろしくお願いします」

バーコフ「銃は持っとけよ」シャツ+ズボン

ゴダン「言われるまでもねえ」シャツ+ズボン

コチャック「な、なあ、俺たちは留守番してようぜ?」シャツ

ザキ「ぐだぐだうっせーんだよ!」シャツ+ズボン

キリコ「……」シャツ+ズボン

QB「きゅっぷい」キリコノカタノウエ

マミ(それにしても……)

まどか(キリコさん、ザキくん、コチャックさんはまあいいけど……)

さやか(バーコフさんとゴダンさんはオフのや○ざにしか見えない)

× × ×

マミ「ここね」

バーコフ「お前ら準備はいいか?」

ゴダン「コチャックに聞きな」ヘッ

コチャック「な、なんだと!」

ザキ「お前ら、後ろにいろよ!」

さやか「お、優しいとこあんじゃん」

まどか「あ、ありがとうザキくん」

ザキ「そ、そんなんじゃねーよ///!」

キリコ「……そこにいろ」

QB(きついなあ)inキリコノフク+カオダケダシ

マミ「じゃあ、あなたたちはー」

ゴダン「! 避けろ!」ダッ

さやか「え? ひ、人!」

マミ「!」パアアア

まどか「わあ」

マミ「……魔女の口づけ、間違いないわね」



バーコフ「なんだい? そりゃあ」

マミ「これを施された人は、魔女に操られてしまうのよ」

コチャック「その舞踏会みたいな服が魔法なんたらか?」

マミ「ええ♪」ヒラヒラ

さやか「ちょっとあんた! 何逃げてんのよ!」

ゴダン「あ?」

さやか「マミさんが助けてんのに恥ずかしくないの⁉」

ゴダン「何言ってんだ? 巻き込まれてりゃ世話ねえだろうが」

さやか「な」

ゴダン「知りもしねえ野郎のために体なんざ張りたかねえ」

さやか「あんたー」

ザキ「やめろ」ズイ

さやか「ザキ!」

ザキ「ゴダンが正しい、あの高さから落ちてきたら、あんな女でも危ねえ」

さやか「だからって……」

ゴダン「生きてりゃ囮、死んでりゃ盾にして生き延びてきたんだ」

さやか「……」プイ

ザキ「……」ポリポリ

まどか「うう……」



忘れていた。
俺たち5人とも、そうやって生きてきた。
生き血を啜り、肉を食らい、骨で武器を作る。
その果ての生。
この世界に慣れ、忘れかけていた本能が蘇る。
最低野郎、ボトムズ。
それが俺たち。
人命を尊ぶことが間抜けの代名詞の世界の住人。

QB「キ、キリコ、苦しいよ……」ギュウウ

マミ「じゃ、じゃあいくわよ?」

さやか「ザキ、しっかり守ってよ? 誰かさんはあてになんないし」

ザキ「お、おう」

コチャック「だってよ?」ニヤニヤ

ゴダン「うるせえ」ゴッ

コチャック「ぎゃ」

キリコ「……そばを離れるな」

まどか「は、はい」

QB「服から出してくれないかな」キュップイ

バーコフ「こっちは拳銃一丁なんだ、油断するなよ」

マミ(うう……晴れ舞台なのに……)

× × ×

使い魔『』ワサワサワサ

マミ「これが使い魔よ。魔女のー」

コチャック「来るんじゃねえええええ!」バキュンバキュン

ゴダン「気色悪い連中だぜ!」バキュンバキュン

さやか「ひいいいい! いっぱいきたああああ!」

ザキ「こ、こらひっつくな!」バキュンバキュン

まどか「うう……」ギュウウ

キリコ「……」ドンドンドン

QB(やっぱり……)

バーコフ「ッチ キリがねえぜ!」バンバンバン

マミ「しもべ……」





ゲルルート「……」ゴゴゴ

使い魔 ワサワサワサ

コチャック「な、なんだありゃああ⁉」ガタガタ

さやか「き、キショ!」

ゴダン「スナモグラの化け物か⁉」

バーコフ「!」ダダダダ

コチャック「わあああ! 待ってくれえええ! ぐえ!」ドテ

ゴダン「ドジ野郎が!」ヒョイ

まどか「あ、ああ……」ガタガタ

マミ「み、みんな慌てないで! あれがー」

キリコ「ザキ! 2人を頼む!」ヒョイ

マミ「きゃ」

QB「きゅぷ!」ムギュ

ザキ「お、おお! ほら! 逃げるぞ!」グイ

ゲルルート「……」バサバサ

使い魔 ワラワラ

ゴダン「豆鉄砲でどうにかなる相手じゃねえ!」バキンバキン

コチャック「おいマミ! どうにかしろおおおお!」ヒー

バーコフ「……」ッチ

さやか「あんたも戦いなさいよ!」ムキー

ザキ「暴れんなバカ野郎!」

まどか「た、食べられちゃうの……?」ブルブル

キリコ「……」タタタ

マミ(よく見るとイケメンじゃない///)ダキカカエ「って、違うわよ!」ッバ

QB「ぷはっ」

ゲルトルート(ボソッ)

>>72 ゲルルート→ゲルトルート

マミ「見てなさい! ここからが魔法少女の戦いよ!」バババ バキュンバキュン

ゲルトルート「!」

さやか「お、おっきな銃が!」

マミ「そうよ! これが私のゴダン「あの女、あれだけの大口径銃を撃って反動がほとんどねえ!」 

マミ「え」

ザキ「機甲猟兵のATライフルにも引けをとってねえぜ!」

コチャック「とんでもねえ馬鹿力だ!」

さやか「そういえばマミさんって結構がっしりしてたわ!」

まどか「鍛えてるんだね!」ウェヒヒ

バーコフ(ふう、なんとかなりそうだぜ)ジッ

マミ「……(ゲルトルートコウソク)ティロ・フィナーレ!」グス

ゲルトルート「ギャース」ドゴオオン

QB(マミ……)

キリコ(……やはり……)


…………
……


バーコフ「戻ったみてえだな」

ザキ「すげえじゃねえかマミ!」

さやか「かっこよかったですよ! あたしもなろっかな~!」

まどか「腕触らせてもらっていいですか?」

マミ「もう/// おだてたって何も出ないわよ///」(これよ! これ!)

ゴダン「下手なATじゃ太刀打ちできねえぞありゃ」

コチャック「けどよ、あのソウルジェムってのが気になるぜ、名前からして不吉じゃねえか」

QB「きゅぽっ苦しかったよ」カタニノル

キリコ「……」



ほむら「ずいぶんと賑やかね」ファサ



さやか「あ、転校生!」

ザキ「知り合いかよ⁉」

まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「まどか、いったはずよ。違う自分になろうだなんて思わないことねって」

まどか「で、でも……」

ほむら「魔法少女の戦いを見たはずよ、いつ命を落としても不思議じゃない。それにー」

マミ「あら、随分詳しいのね? あなた」

ほむら「……」

さやか「マミさん、あいつは転校生の暁美ほむらって言って、今日も―」

マミ「あなたも魔法少女かしら?」

ほむら「……ええ、隠しても仕方ないわね」

まどか「ほむらちゃんも⁉」

ほむら「それに……」

『俺』を、いや『俺たち』をみた。



ほむら「あなたちも……かしら?」



さやか「は?」

まどか「え? キリコさんたち……も?」

マミ「ば、バカ言わないでよ!」

コチャック「俺がバカだと⁉」

ゴダン「てめえはどこに反応してんだ。だが、確かにそれは見当違いだぜ」

バーコフ「あんな服やら銃も出やしねえ」

キリコ「いや……みんな、銃を見てみろ」

ザキ「? カチャ ! お、おい皆! 弾が減ってねえ!」

ゴダン「あ? ……!」

コチャック「どど、どうなってんだ⁉」

バーコフ「ば、バカな、さっき粗方……」

さやか「え? え? ま、マジなの? キュウべえ?」

QB「……それが分からないんだ」

マミ「分からない?」

QB「確かに、その銃から魔力の残り香は感じる、けど彼らと僕は契約していないし、ソウルジェムもない。理解不能だよ」キュップイ

ほむら(そう、魔法少女のハズが無い。でも、なら一体……?)

さやか「ねえ、元の世界から実はなんか超能力ありました! とかじゃない?」

ザキ「んなわけねえよ」

ゴダン「気味が悪いぜ」

バーコフ「おい白いの、どうなってんだ?」

QB「だからわからないんだって」キュプ

コチャック「お、俺はごめんだぞあんな化け物と戦うなんぞ!」

まどか「コチャックさん落ち着いて」ヨシヨシ

マミ(うう……私の晴れ舞台だったのに……もう誰も憶えてないじゃない!)

ほむら(不確定要素が増えた分、前の周回よりまどかの興味が薄れてるわね、いい傾向だわ。と言っても、油断はできないけど)

ほむら「よく考えることね、まどか」フッ

ザキ「うお! また消えやがった!」

ゴダン「野郎は透明になれんのか?」

バーコフ「まだまだ分からんことだらけだな」

コチャック「いいか、俺はポリマーリンゲル液のエキスパートだ。おかげでこいつらはー250°のダウンバーストから
      生きてられたんだぞ」

まどか「ほえー」チンプンカンプン

キリコ「……」ミミカキカキ

QB「きゅぷぷ」ゾクゾク

マミ(ま、まずいわ! このまま流れちゃう!)「ね、ねえ皆? 今日はうちで食べていかない? すき焼きよ?」

さやか「マジすか⁉ まどか、およばれしよーよ!」

まどか「え? でも……」

さやか「いいっていいって、みんなで食べた方がおいしいって。ね、マミさん?」

マミ「もちろんよ!」(魔法少女についてもっと関心を持ってもらわないと!)

QB(意図は違うようだけれど……マミのおかげで説得する機会も増えそうだね)

ザキ「すきやき?」

さやか「ありがたく思いなよ~、めったに食べれないんだからね?」

…………
……


ゴダン「うめえなおい!」ガツガツ

コチャック「魔法少女はともかく俺はこっちで一生暮らせるぜ!」ガツガツ

さやか「もーらい!」サッ

ザキ「あ! 俺のだぞ!」

さやか「早い者勝ちだもんねーん」パク

QB「キリコ、豆腐が食べたいよ」ヒザウエアーン

キリコ「……バランスよく、食べろ」ネギヒョイ

QB「きゅぷ」モグモグ

まどか(キュウべえってネギ大丈夫かな? 猫っぽいよね?)モグモグ

マミ「私は、大体一ヶ月これくらいで暮らしてます」

バーコフ「そうか、で、これでお嬢ちゃんはどれくらいの暮らしぶりなんだ?」

マミ「えっと……特別豊かでも、貧しくもないと思います」

バーコフ「ふむ……こっちにも宿無しなりに生きてる連中はいるんだろ?」

マミ「(ホ、ホームレスのことよね?)え、ええ」

バーコフ「ま、ここならゴミあさりで向こうの貴族並のメシにはありつけそうだな」

マミ(……どうして私は生活相談を受けているのかしら? うう……魔法少女のこと話したいのに)

食事は、動くための栄養補給だ。
必要なカロリーと必要な栄養素を摂取できればいい。
大勢での食事には慣れていた。
軍ではそれが基本だ。
旨いだとか、楽しいだとか感じたことは、ついぞない。
小説や作り話の中にしかない温かい食事。
俺は、それを全身で感じていた。










× × ×

さやか「ほりゃ! ほりゃ!」パキュンパキュン

ザキ「甘いぜ!」ザク

さやか「あ、ずるい!」

ザキ「年季が違うんだよ年季が!」ヘヘーン

コチャック「おい! 俺ばっか狙うんじゃねえ!」ピコピコ

ゴダン「ウスノロはどこでもウスノロだなあ!」ハッハッハ

バーコフ「原始的だが通信機器も使えるな、探索端末かこりゃ? 調べものができるか?」

マミ「インターネットっていいまして……」(うう、私のゲームなのに……キャンペーン3週もしてるのに……)

まどか「それで私にはなにも取り柄がないなあって」

QB「ならけいやー」

キリコ「皆が皆特別にはなれない、小さな充足を糧に生きるのも、悪くはない。ここには、それがたくさんある」ノドナデナデ

まどか「そ、そうかなあ?」

QB(きゅぷう……)ゴロゴロ

× × ×

ほむら(意図してかしないでか、まどかの契約を阻止してくれてるわね)ソウガンキョウ 

ヤロー
ヤンノカコラ
キャー
ヤメロゴダン
イイカゲンニシネエカシラスコ
ウェヒー
アバレナイデ
キュップイ
……

ほむら(……)

ほむら(羨ましくなんかないわよ?)グス


…………
……


グガー
ゴガー

マミ(結局話せなかったわ……すきやきも食べれなかった……)グス

マミ(つ、次があるわよね……? ……喉が渇いたわね……)スタ

× × ×

マミ(あら?)

QB「きゅぷきゅぷ」ペロペロ

キリコ「……」テニミズヲタメテイル

マミ「キュウべえに……キリコさん」

QB「あ、マミ」

キリコ「水をもらっている」

マミ「ど、どうぞ」

キリコ「……すまない」

マミ「え?」

キリコ「俺たちには行き場がない」

マミ「き、気にしないでください」

キリコ「……戦わなければ、いけないのか?」

マミ「え?」

QB「そうだよキリコ」

キリコ「……」

QB「グリーフシードが無いと穢れが貯まってしまうんだよ。魔女を倒さないと」キュップイ

マミ「それに、皆の安全を守らないといけないですから」

キリコ「俺たちが魔法少女になって、グリーフシードが手に入り、皆も守れれば戦わないか?」

マミ「……え?」

キリコ「お前も、まどかたちも、出来るなら、戦ってほしくはない」

マミ「キリコさん……」

キリコ「そうしなくても、お前たちは、生きていける。俺たちとは、違う」

QB「キリコ、けど君たちにはあの銃しかないだろう? もし異能生存体が真実だとして、怪我を負わないわけじゃない」

キリコ「……」

QB「魔法少女なくしては、対抗できないんだよ」

マミ「そ、そうですよキリコさん。お気持ちはうれしいですけど……。私は、自分の意志で戦っています」

キリコ「……そうか」

マミ「で、でも、ありがとう///」

キリコ「……」

QB「ねえキリコ、今日は少し離してむきゅ」ダキカカエ



皆のため、平和のため、正義のため。
向こうもこちらも、戦いにはその言葉が付きまとう。

だが、それが体現されたことなどない。
血と苦痛にまみれた、混沌があっただけだ。
魔法少女は違うのだろうか。
そう思いたい俺がいた。

そして、そう思いたいという事は、事実は異なるのだろうと、俺はまどろみのなかで思った。

次回予告

知己を得るは至上の喜び
仲間を得るは無上の喜び
友を得るは天上の喜び
少女の世界が鮮やかに色を持つ

だが知るがいい、その色は毒々しく、潜むのは悪魔。
気づいた時にはもう遅い、すべてを貪られる。

運命を歪めるのは奴らだ。
5匹の最低野郎が鎖を千切る。
舵を失った物語は加速度的に狂い、拍手喝采、予測不能。

次回『異能生存体』

救世主? 笑わせるな。

…………
……


ゴダン「海も川もねえのにこんなうまい魚がくえるたな」ガツガツ

コチャック「ちぐはぐだぜどうも、技術的にゃ石器時代なのに、飯はずっとうめえ」ガツガツ

バーコフ「戦争がねえわけじゃねえが、まともな連中が政治屋やってるみたいだな」ガツガツ

ザキ「箸ってのは使いにくいぜ」ボロボロ

キリコ「……」アーン

QB「もきゅもきゅ」ヒザウエダッコ

マミ「キリコさん、お茶どうぞ///」

× × ×

ゴダン「で、どうする分隊長?」

バーコフ「今日は少し出てみるぜ」

コチャック「ま、マジでかよ?」

バーコフ「ある程度情報は得たが、実際に見聞きしなけりゃ始まらねえ。幸い服もあるしな」

ザキ「俺は賛成だぜ。ここでこうしてても始まらねえ」

キリコ「……」ナデナデ

QB「きゅっぷい」

× × ×

ザワザワ

ザキ「しっかし小奇麗だなあ」

キリコ「……」

QB「ここはアストラギウスと比べれば、相当に平和だからね」カタノウエ

ザキ「へ、天国ってもんさ、なあ、キリコ?」

QB「問題は君たちだよ、一体何なんだい? イノウセイゾンタイが本当だとして、魔法少女? わけがわからないよ」

ザキ「うっせ、俺たちだって知るか」

QB「できればマミやまどかたちとはー」ドン

ショウさん「おい、どこみて歩いてんだよ」

ホストB「喧嘩売ってんの?」

× × ×

メイド「いらっしゃいませご主人様」

メイド「よっていってくださいご主人様」

コチャック「お、おいメイドだぜ」ヒソヒソ

ゴダン「どこの御貴族様の屋敷だ? こんな街のど真ん中で」ヒソヒソ

バーコフ「階級はあるらしいな、しかし見ろ、中にあんなにいるぞ。見た目じゃわからねえもんだ」ヒソヒソ

メイド「いかがですかご主人様?」

コチャック「い? お、俺か⁉」






× × ×
ザワザワ
ショウさん「おいおいだんまりかよ?」

ホストB「外人さ~ん、黙ってちゃわからないよ~」

ザキ(どうするキリコ?)ヒソヒソ

キリコ(……騒ぎはまずい、適当にいなそう)ヒソヒソ

ザキ「……悪かったよ。じゃあな」

ホストB「まったまった~」

ショウさん「君い、誠意がないんじゃないの?」

ザキ「あ?」

ホストB「君の国とは違うんだよね、ここは」ス

ザキ「! さわんな!」バッ

ホストB「って、あらら、暴力振っちゃう?」

ショウさん「いけないなあ」

キリコ(キュウべえ、こいつらは誰だ)ヒソヒソ

QB(ホストだね、女性を対象にした接客業をしているよ。表側の人間じゃあないね)ヒソヒソ

ホストB「とりあえず、来てもらおっか?」カタギュ

ザキ「……」ムッカア

キリコ「ザキ!」

ホストB「お、キミよく見るとーうげええええええ⁉」ゲボア

ザキ「気色わりーんだよ!」ヒザゲリ

ショウさん「お、おい⁉」

キリコ「……」ダッ

ショウさん「ぐええええええ⁉」クビシメ

ザキ「キリコ!」

キリコ「いくぞ!」ダッ

ホストB「おええええええ!」ゲロゲロ

ショウさん「」ブクブク

ザキ「す、すまねえ!」ダダダ

キリコ「いいから走れ!」ダダダ

× × ×
ザキ「はあ、はあ……」

キリコ「……」

QB「流石だね、相手にもならないよ」

ザキ「くっそ、油断してたぜ」

キリコ「忘れるな、俺たちには身を証明するものが何もないんだぞ」

ザキ「あ、ああ」

キリコ「……もう少し置いて、別々にマミの家にー」

詢子「あ、いたいた」

× × ×
ザワザワ
ゴダン「シショクヒンってのも信じらんねえな」バクバク

コチャック「よっぽど飯が余ってんのか?」バクバク

バーコフ(一日の食費1800円……18ギルダンか。運よく職に就きさえすれば)ブツブツ

店員(注意したいけど怖い……)ガタガタ

× × ×

詢子「安心しな、ここは隠れ家的なとこでね」

キリコ「……」

ザキ「パフェってうまいな!」ガツガツ

キリコ「……何故俺たちを?」

詢子「なに、連中前も似た事しててね、スカッとしたんだよ。元軍人さんかい?」

キリコ「……そんな感じだ」

詢子「ス あたしは鹿目詢子、あたしがお礼するのも変だけど、ま、好きなもんたのんで。もう少しすりゃ、ほとぼりも冷めるよ」

ザキ「カナメ? まどかと一緒だな?」

詢子「? まどかの知り合いかい? 娘だよ?」

キリコ「……まあな」

詢子「……あんたら、危ない奴には見えないけど大丈夫だろうね?」ジト

キリコ「……それはまどかに言っておけ」

詢子「あ?」

キリコ「……あいつは迷っている。自分のありどころが分からずな」

詢子「……」

キリコ「……俺は話が下手だ。あんたなら、出来るだろう。まだ、焦らずにいい」

詢子「……ふん、ただの顔見知りじゃないみたいだね、ま、頭に入れておくよ。で、なに頼む?」

キリコ「……コーヒーを」

QB(……まずいな)

× × ×

ガヤガヤ

ザキ(まだ少し騒がしいな、早く戻らねえと)

さやか「あれ? ザキじゃん」

まどか「あ、本当だ」

ザキ「!」

さやか「あんた勝手に出ていいの? 悪人面なのに」ケラケラ

まどか「もう、さやかちゃん」

ザキ「お前らこそなんだ?」

さやか「何って学校の帰りだよ」

まどか「これから上条くんのお見舞いだよ」ウェヒヒ

ザキ(見舞い……病院か……知っといて損はねえし、こいつらと一緒なら目立たねえ……)

ザキ「おし、俺も行くぜ」

さやか「は?」

まどか「え?」

ザキ「ほら、早く行ってくれよ。俺は知らねえんだから」

さやか「ちょ、ちょっと……」

× × ×

まどか「……」モジモジ

ザキ(思った通り、医療技術はチャチなもんだぜ。だが薬の効能は早々違わねえ、いざとなりゃここからー)

さやか「お待たせ―」

まどか「あ、お帰り」

ザキ「カミジョーって野郎はどうなんだ?」

さやか「! あんたに関係ないでしょ⁉」

ザキ「うお……な、なんだよ……」

さやか「……あたしトイレ」ツカツカ

ザキ「お、おい……」

まどか「ザキくん、あのねー」

× × ×

ザキ「……ふうん」

まどか「だからさやかちゃんも大変なんだよ」

さやか「お待たせ」

× × ×

さやか「……」テクテク

ザキ「……」テクテク

まどか(うう、気まずいよお……)テクテク

ザキ「おい」

さやか「……なに」

ザキ「そいつは諦めてんのか?」

さやか「!」キッ

まどか「ザ、ザキくん……」オロオロ

さやか「……どういう意味よ」

ザキ「気になっただけだ」

さやか「関係ない」

ザキ「ああ、だから独り言だ」

ザキ「俺のしってる奴は、そいつの何百倍も悲惨な目にあったぜ。誇張じゃねえ。俺たちも一緒だった」

さやか「……」

ザキ「けど死んだ方がましでも、あいつは諦めなかった。そして、みんな生き延びた」

さやか「……」

ザキ「そいつが大事なら、お前が諦めるな。あいつみたいなやつはそうはいねえからな」

さやか「……でも」

ザキ「もう片方で弾いてみろ、それぐらいは言ってみな。そいつは甘ちゃんだぜ」

まどか「……ザキくん」

ザキ「てめえを気にしてる野郎がいるのに振り払うような贅沢野郎は気に食わねえ」

さやか「……は、くっさい」

ザキ「なにを!」

さやか「だってくっさいも~ん。ま、恭介はそんなやわじゃないもんね~」

ザキ「け! 勝手にしろ!」

まどか「ふふ……」ウェヒヒ



ズズズ……

まどか「……あれ?」

ザキ「どした?」

× × ×

バーコフ「ザキの奴は先に出たんだな?」

キリコ「ああ」

ゴダン「全く、だからガキはよお」

コチャック「苦しい~たすけてくれ~」ウップ

QB(魔女の気配……上手くいけば)キリコニダキカカエ

ピンポーン ピンポーン

バーコフ「?」ガチャ

まどか「よ、よかったあ!」ハアハア

キリコ「……まどか」

まどか「た、大変なんですキリコさん! マミさんはいますか⁉」

× × ×

ザワザワ

ゴダン「ち、厄介ごとの多い野郎だぜ」

バーコフ「お嬢さんとは連絡つかねえのか?」

まどか「連絡先交換してなくて……」

コチャック「待ってくれえ」ゼエゼエ

キリコ「……」

QB(チャンスかな?)カタウエ

× × ×

ザキ「お、キリコ―!」

さやか「まどか!」

まどか「よかったよお」

ゴダン「こいつがそうか?」

ウネウネ

バーコフ「気色悪いな」

キリコ「……」

さやか「あれ? マミさんは?」

まどか「それが、おうちにいなくて……」

さやか「えー! こいつらじゃ話になんないじゃん!」

ゴダン「んだとこのガキ!」

さやか「ほんとじゃない!」

バーコフ「やめろ!」

ザキ「けどどうすんだよ」

QB「今すぐまどかがけいやくー」

キリコ「離れて見張ってよう、それが一番安全だ」ノドナデナデ

バーコフ「賛成だ、出来れば逃げてえが、それもあれだしな」

カアア

ゴダン「! なんだ⁉」

さやか「ま、まぶしー」

QB「引き込まれるよ!」

キリコ「……」

シュン

× × ×

コチャック「……ぜえぜえ」ヘタ

コチャック「よ、ようやくついたのか……?」ゼエゼエ

コチャック「お、おい?」キョロキョロ

コチャック「ど、どこだ?」オロオロ

× × ×

使い魔 ウヨウヨ

バーコフ「ち、引きづり込まれたぜ」コソコソ

ゴダン「てめえのせいだぞ」コソコソ

さやか「あ、そうやって人のせいにして」コソコソ

ザキ「きづいちゃいねえみたいだな……おい、コチャックがいねえぞ」コソコソ

まどか「あ、本当だ」コソコソ

ゴダン「ち、ドジ野郎が」コソコソ

バーコフ「来てないか、はぐれたか、ま、コチャックならしかたねえ」コソコソ

キリコ「……」ギュ

QB「く、苦しいよキリコ……」ジタバタ

× × ×

使い魔 ワラワラ

さやか「ねえ、いつまでこうしてるの?」

バーコフ「コチャックが来てなきゃ、お嬢さんに知らせて来るのを待つ。きてりゃお嬢さんが気づいてくれるのを
     待つしかねえ」

まどか「え? ママと会ったんですか?」

キリコ「ああ、ここで飲むコーヒーも、苦い」

ザキ「いいお袋さんだぜ、大事にしな」

ゴダン「……けっ」

さやか「ねえ、あんたらのピストルでパパパッとやれないの?」

バーコフ「あのデカブツ相手にゾッとしねえな」

バキュンバキュン 
ヒー

ザキ「! あの声!」

さやか「マミさんだ!」


× × ×

コチャック「助けてくれええええええ!」ダキツキ

マミ「いやああ! やめて! 離して!」バキュンバキュン

使い魔 アビキョウカン

バーコフ「あ、あいつ、そういう趣味だったのか⁉」

ゴダン「ま、マジかよ……」

さやか「婦女暴行よ! マミさ~ん!」ダッ

まどか「こんなのってひどいよ……あんまりだよ……」

キリコ「見るな」ス

QB「なんて醜いんだ……」

ザキ「おまえら助けに行けえ!」ダッ

× × ×

さやか「マミさん……」

マミ「うう……」グスグス

まどか「落ち着いて……」サスサス

コチャック「違うって言ってんだろ!」

ゴダン「黙ってろ蛆虫野郎!」

ザキ「反吐が出るぜ!」

バーコフ「むこうとは違うんだぞ! こんなガキにー」

QB「視覚的問題はともかくマミは一応適年齢だよ? 倫理的ー」

キリコ「……めっ」コツン

QB「きゅっぷい」

コチャック「だ、大体俺はアーマーマグナムしかねえんだ! あいつにやってもらわねえとー」

ザキ「うっせんだよ!」

使い魔 ザワザワ

バーコフ「! っち集まってきやがった!」スチャ

ゴダン「キリコ! 構えろ!」スチャ

キリコ「……」ズボ

QB「ああ、どうしてまた服にむぎゅ」ジタバタ

コチャック「だからー」

ザキ「構えろ!」ゲシイ

使い魔 ワラワラ

さやか「ど、どんどん増えて来る!」

まどか「ど、どうしよう……」

マミ「ハッ ま、待って! そうよ! 私がいるじゃない!」シュイン バキュンバキュン

ギピー
ピギー
ギャース

さやか「さすがマミさん!」

まどか「格好いい!」ティヒヒ

マミ(これよ! これこそ本当の私!)キラキラ

使い魔 ケツガブリ

コチャック「ぎゃあああああ! とってくれええええええ!」ジタバタ

ゴダン「気色悪いんだよ!」ゲシ

コチャック「ひー!」

シャルロッテ チョコン

マミ「あれが魔女ね! みんな! すぐに私が倒すわ!」リボンピャー

シャルロッテ キンバク

さやか「離れなさいよこのこの」ポカポカ

使い魔 ガジガジ

コチャック「いてえよいてえよお!」ヒー

まどか「えいえい」ポカポカ

ゴダン「この!」ゲシ

バーコフ「キリがねえ!」ドンドン

ザキ「もっとなんかねえのか武器!」バンバン

キリコ「……」ドンドン

QB「これなら少しはいいかな」アタマノウエ

マミ「ほ、ほらみて! 必殺技よ! ティロ・フィナーレ!」ドゴン

シャルロッテ『チュイン ……』グバア

シャルロッテ『ヤア』グオオオーン

マミ「あ……?」

シャルロッテ『アーン』ガバアアアアア





さやか「え?」

まどか「あ」

ザキ「⁉」

悪寒
そしていくつもの記憶がよみがえった。

『彼女』と共に焼かれた。
家族も、友人も、皆。
それすら埋没するほどの数。
奴もー
あの隊長もー

……
そう、ありふれている。
目の前のそれも、その一つに過ぎない。
化け物の口に消えゆく彼女も
さして珍しくもない



遥かに幼いものですら見飽きている。
俺には、危険は今はない。
生きるために、対抗策を考える。

だが

「マミ‼」

俺は手を伸ばした。
見たくない。
そう願った。

差し伸ばした手が
生身よりも見慣れた、鉄の肉体へと変わった






シュオオオオオオオン

ドゴアアア

シャルロッテ『⁉』ドオオオン

マミ「あ……」

ゴダン「お、おい……」

さやか「ろ、ロボット……?」

バーコフ「ば、バカな! どこからー」

ザキ「キリコなのか⁉」

まどか「あ、ああ……」

コチャック「離れろおおおおお!」グイグイ

使い魔 ピギャー


キリコ『……』シュウウウウ

QB『これが君たちの……』アタマノウエ

鉄の棺桶。
むせる、火薬の臭い。
俺は、還ってきた。

シャルロッテ『イダダ』ジタバタ モクモク

マミ「あ……え……っと」オロオロ

射出されたミサイルが、化け物を吹き飛ばした。
マミは死んでいない。
救った。

だが……

お前にはここがふさわしい。
そう俺を嘲笑うかのように、血に濡れた右肩が鈍く輝いた。

※ATに搭乗してます

キリコ『……』

ザキ『キリコ!』ガシンガシン

キリコ『……ザキ』

ザキ『へへ! こりゃすげえ! まんまだぜ!』ギギギ

バーコフ『操作も通常通りだ、信じられねえ』ピポパポ

ゴダン『モナドの時のか! 快適だぜ』ギュオオオー

さやか「わわわ!」

まどか「むせる……」

ザキ『おい! おまえら、危ないから離れてろ! 乗れ!』テヲヒラク

さやか「わ、わかった!」ヒョイ

まどか「よいしょ」ヒョイ

ザキ『ちょっくらいってくるぜ!』ギュオオオー

さやか「わー! ばか! はやいー!」ビュオオオオ

まどか「ウェヒー!」ビュオオオオオ

バーコフ『へ、坊やは相変わらずだぜ』

ゴダン『さて、どうする?』

シャルロッテ『ムキー』スルスル

バーコフ『堪えちゃいねえな』ザ

キリコ『……』ス

QB(どれほどのものか……)

ゴダン『へ、異能生存体様のお通りだぜ!』ガチャ

コチャック「やめろお!」カメジョウタイ

使い魔 ゲシゲシ







シャルロッテ『キシャー』ズズズ

バーコフ『来たぞ! 散れ!』ギュオオオー

ゴダン『オラオラ邪魔だ雑魚共!』バララララ

使い魔 ギャース

シャルロッテ『アーン』ガアアア

キリコ『……』アームパンチ ジャキンッ

QB『わ! 揺れるなら言ってよ』キュップイ

シャルロッテ『グエ!』ドゴオオオン

マミ「あ、あのー」サッ

マミ「きゃ」

ほむら(何が何だかわからないけれど……助けられるのなら……まどか……どうかー)オヒメサマダッコ

コチャック「助けてくれええ!」ガシ

使い魔 ピギー

ほむら「え⁉ い、いやああああああ! 離してえええ! 何よアナタああああ⁉」

コチャック「死にたくねえよおおおお!」

使い魔 コチャックノケツニレンケツ

ゴダン『コチャックゥ―――――――‼』

キリコ『!』ドドドドド

使い魔 ウワラバ

コチャック「(ツル)わー!」ヒュー ドテ

ほむら「た、助かったわ……」

キリコ『……ほむら?』

ほむら「! え、ええ!」

キリコ『一機遠くにあるのがザキのATだ。そこにまどかとさやかがいる、マミと一緒に守ってくれ」

ほむら「わ、わかったわ」

マミ「き、キリコさん……ありがとー」シュン

ゴダン『消えた⁉』

バーコフ『こっちに集中しろゴダン!』ドドドド

シャルロッテ『イデデ』ドゴンドゴンドゴン

コチャック「出て来いAT‼ 頼むうううう!」ドゲザ

使い魔 ケツガブウ

コチャック「ぎゃああああああ!」

バーコフ『くらえ!』ドドド

ゴダン『くたばりやがれ!』バラララ

キリコ『……』ドシュシュシュシュ

シャルロッテ『ギャアア』ドガンドゴンガコンバキュン モクモク

バーコフ『ち! いったん止め!』ガシャコン

コチャック『やったぞ! ははははは! 俺は異能生存体だああああ! いててて!』ギュルルル

使い魔『ガジガジ』

シャルロッテ『(ブワ)アーン』ガブリンチョ

コチャック『ああ!頭が!』コチャックムキダシ

使い魔『ピギャー』

ゴダン『てめえは何なんだ! バカ野郎!』

シャルロッテ『ガアー』パクウ

コチャック「ひいいいいいい!」ガタガタ

チュドン

シャルロッテ『アダ』ドウン

ザキ『ドジ踏んでんじゃねえ!』ギュルルル

ゴダン『ザキ!』

ザキ『あいつらはマミとほむらって奴が守ってる! 遠慮なく暴れようぜキリコ‼』

キリコ『……ああ』

QB(うーむ……)ヒザウエ

シャルロッテ『ンモー』ムク

バーコフ『寝てろ!』アームパンチ チャキン

シャルロッテ『ブヘ』バキ

ゴダン『おらおら!』ドドドド

ザキ『死ねええ!』パラララ

キリコ『……』カタタックル ツイゲキガトリングドドドド

シャルロッテ『アアアアアア……』ドドドド

ドゴオオオオン

コチャック「ひー」フットビ

× × ×

パアアアア

さやか「結界が! す、すごい! やっつけた!」

まどか「格好いいね!」キラキラ

ほむら(巴マミが生き残った……それに彼らは……もしかすると、今回なら……)

マミ(わ、私のティロ・フィナーレだって!)

× × ×

さやか「すごいじゃんザキ!」

ザキ「へへっいったろ?」

まどか「ありがとうございました」ペコリ

ゴダン「お、おう……」

バーコフ「お嬢さん怪我はねえか? ほらこれグリーフなんたらだ」ポイ

マミ「は、はい」

コチャック「俺は死にそうだあ」ケツオサエ

ほむら「……」テクテク

キリコ「……ほむら」

ほむら ピタ

キリコ「……お前は、いったい?」ナデナデ

QB「それは僕もぜひ知りたいね、契約した記憶が無いよ」ゴロゴロ

さやか「そうだ! あんたも魔法少女なんでしょ?」

ほむら「……答える気はないわ」ファサ

コチャック「な、なんだと!」

ほむら「まどか」

まどか「え?」

ほむら「これでも魔法少女になりたいのかしら?」

まどか「え、えっと……」

ほむら「私の言葉、よく思い出すのね」

マミ「そ、それは鹿目さんの意志よ⁉」

ほむら「……あなた」

キリコ「……」ミミカキカキ

QB「……」キュップイ

ほむら「そいつには、気を付けて」シュン

ゴダン「消えたぜ⁉」

さやか「やっぱ瞬間移動できるんだ!」





QB(まずいかな……)キュプキュプ

キリコ「……」ニクキュウモミモミ

バーコフ「しかし、俺たちはとことん戦うしかねえみてえだな」

コチャック「お、おい! まだやるのかよ⁉」

ザキ「ほっとけねえだろうが!」

さやか「そうだよ!」

マミ「魔法少女? の義務よ!」

コチャック「な、なんだよ……」タジ

ゴダン「分隊長、俺も賛成しねーぜ。一銭にもなりゃしねえ」

バーコフ「おいおいゴダン、俺たちが余所者なのを忘れたか? ここじゃ根無し草なんだぜ?」

コチャック「な、なんか考えがあんのかよ?」

バーコフ「一宿を提供してくれたお嬢さんにお供えとして、こいつは他の魔法少女も欲しいもんだよな? キュウべえ」

QB「否定しないよ、そのために戦う魔法少女も多いからね」ノビー

キリコ「……取引か」オナカナデナデ

バーコフ「そういうこった、金がありゃ身分証も作れるってもんだぜ。そうすりゃ大手を振って歩いてける」

マミ「ぐ、グリーフシードをお金で?」

さやか「あ、あんあたらー」

ゴダン「ならおめえが養ってくれるか?」

さやか「う……」

バーコフ「俺たちだっていつまでもお嬢さんのうちにいるわけにもいくまい?」

マミ「……!」

ザキ「……たしかに、このままじゃどうにならねえな」

コチャック「だ、だからってわざわざ……」

ゴダン「他に案があんのかよ?」

コチャック「ぐ……」

まどか「キリコさん……」

キリコ「……確かに、バーコフのいう通りだ」シッポモフモフ

QB(グリーフシードが偏れば……供給が崩れるかもね)キュプキュプ

さやか「キ、キリコさん!」

キリコ「……だが、手助けし、恩を売っておくのも悪くはない……」ダッコ

まどか「キリコさん!」パアア

ゴダン「へ! まっとうヅラするな!」

バーコフ「……確かにな、それならより信頼も得られるか……」

コチャック「ガキのお守りだあ! 俺はごめんだぜ!」

ザキ「へへ、俺は乗るぜ」

さやか「ザキ?」

ザキ「皆忘れてねえか? オレたちゃ、異能生存体なんだぜ?」

バーコフ「!」

ゴダン「!」

コチャック「!」

キリコ「……」ヨシヨシ

QB「ん……」ウトウト

ザキ「見ろよ、異世界だの魔女だの魔法少女だの、なのに俺たちは死んでねえ! な、キリコ!」

キリコ「……ああ」

ゴダン「……おいおいこいつあ」

コチャック「ひょっとするんじゃねえか?」

バーコフ「堅気なんざ、産まれ変わってもなれりゃしねえと思ってたが……」

言いようのない強い何かが生まれていた。
俺たちは、仲間の生き血を啜り生き延びてきた。
それは変わらない、果てる時まで、そうして生きていくものだと思っていた。

だが、奇跡があるとしたら。
俺たち5人にだけ許された奇跡が。

ザキの伸ばした拳に

ゴダンが

コチャックが

バーコフが

俺が

触れる。

友情、信頼。
うすら寒く響くだけだった言葉が
この時だけは、温かかった。


次回予告

愛とはすべてを捧げること

奉仕し 許容し 慈しむ

人魚姫は求め、泡沫と化した

少女は求め、無に帰した

全ては己の意志

何者も介在する余地はない

だが 奴らは違う

善きものも
悪しきものも

凶暴な本能が 少女の宿命をかみ砕く

次回『愛憎』

キリコが飲む、マミの紅茶は、甘い





魔女『スタコラサッサ』

ゴダン『キリコいったぞ!』

キリコ『……』パラララ

魔女『アベシ』ドゴオオオオオン

ザキ『やったぜ!』

× × ×

バーコフ「ほらよお嬢さん」ポイ

マミ「ど、どうも」

ゴダン「しかしよ、全然魔法少女が出てこねえじゃねえか」

コチャック「おい白いの、ちゃんと言ってんだろうな?」

QB「もちろんだよ、現に2人も来たじゃないか」キュップイ

ザキ「けどあの後こねーぜ」

キリコ「……」

バーコフ「ふむ……グリーフシード自体は集まっているが……」ジャラジャラ

マミ(顔が、その……多分そっち関係の人と思って……)

ザキ「あーあ、当てが外れちまったぜ」

コチャック「骨折り損だあ」

バーコフ「そうぼやくな、少なくとも邪魔にはなってねえ」

ゴダン「手っ取り早く盗みゃいいじゃねえか」

バーコフ「俺たちじゃすぐに見つかるぜ、ATを使えば目立つしな」

コチャック「くそ、あの気色悪いのとやりあうしかねえのかよ」

バーコフ「あっちにくらべりゃマシだろ、さ、戻ろうぜ」

キリコ「……怪我はないか?」

マミ「は、はい///」

…………
……


マミ「じゃ、行ってきますね」

バーコフ「おう」

ザキ「アイス買ってきてくれよな!」

キリコ「……いって……らっしゃい」

マミ「はいはい♪」ガチャ

× × ×

キリコ「……」ジャー サラアライ

QB「きゅっぷいぷい」フキフキ

ゴダン「死にな!」バキューンバキューン カタカタ

コチャック「きたねえぞ!」ユーアーデッド カタカタ

バーコフ「違法就労……なまじ平和だと俺たちは生きにくいぜ」カチャカチャ

ザキ「おまえら少しは手伝え!」ソウジキガー

ピンポーン

キリコ「……ザキ、出てくれ。タクハイビンだと思う」

ザキ「っち、仕方ねえな」ス タタタ カチャ

タタタ

ザキ「お、おい! キリコ!」

ゴダン「なんだようるせえな」ヘッドショット

ほむら「……」スタスタ




バーコフ「お」

キリコ「……お前は」フキフキ

QB「暁美ほむらだね」フキフキ

ザキ「な、なんの用だよ⁉」キリコノセナカニカクレル

ほむら「……あなたたち、グリーフシードを売っているのでしょう?」

バーコフ「お客かい? お嬢さん」

ほむら「ええ」スーツケースカチャ

ほむら「それと、色々聞きたいことがあるわ」

キリコ「……」

× × ×

バーコフ「こりゃすげえ! 相当あるぜ!」パラパラ

ゴダン「おいおい運が向いてきやがった!」

コチャック「ひひ! 大金持ちだあ!」

キリコ「……紅茶だ」コト

ほむら「ど、どうも」

ザキ「で、なんだよ用って?」

QB(……)キリコノヒザウエ

ほむら「あなたたちの目的は、なにかしら?」








キリコ「……前もいったが、俺たちはとりあえずの生活の基盤がいる」

バーコフ「お嬢さんなら上客になれるぜ?」ペラペラ

ゴダン「ちょろまかすんじゃねえコチャック!」ゴツン

コチャック「ふぎゃ!」パララ

ザキ「お前はなんなんだよ? マミみてえに戦ってんのか? 見たことねえぞ」

QB「ボクもキミのことはぜひ知りたいね」キュップイ

ほむら「……まどかのお母さまに会ったらしいわね」

キリコ「……ああ」

ほむら「魔法少女にならないようにと言ったの?」

キリコ「……どう伝えたかまではわからない」

ザキ「俺たちは止めたぞ!」

ほむら(そう、まどかには大分魔法少女に対する憧れが薄れている。巴マミの死を阻止した場合、契約が早まるのが常だったのに)

キリコ「……」

ほむら(キリコ・キュービィー……そしてこの男たちは一体……ソウルジェムもなしに魔法を……)



コチャック「てて……おいあんた」

ほむら「?」

コチャック「魔法少女ってのはリスクがねえのか?」

ほむら「……!」

コチャック「マミを見てる限りは何もねえけどよ、どうもうさん臭え」

バーコフ「おいおいコチャック、俺たちを見ろ、腹でも下してるか?」

ゴダン「しょうがねえさ分隊長、腰抜け野郎は何を持ってても情けねえ」

コチャック「な、なんだと!」

QB(マミが知れば……まあ結果オーライかな? 他の魔法少女が信じるとも思えないしね……)

ほむら(ここで明かせば……でも……味方とはどうも……)

ほむら「……私の知る限りでは……」

ゴダン「ほれ見ろ」

コチャック「ぐ……お、俺は信じねえぞ!」

QB(ふむ……)ゴロリ

キリコ「……」オナカナデナデ

ザキ「けど危ねーよな、俺らと違っていつおっ死んでもおかしくねーぜ」

バーコフ「そいつは考えようだな、願いが叶うなんざまっとうに生きてちゃ起こらねえ」ペラペラ

ほむら(……そう、まっとうには……)

キリコ「……お前はまどかを魔法少女にしたくない」シッポナデナデ

ほむら「……ええ」

QB(ボクにはありがたくないね)キュプキュプ

キリコ「……出来る限りは、俺もそうだ」

ほむら「……」

キリコ「戦いには……向かない。……身を捧げるのが、落ちだ」

ゴダン「へ、その前にお陀仏だぜ」

ザキ「ゴダン!」

ゴダン「生きるも死ぬもてめえの自由だ脇から茶々いれるんじゃねえ」



ほむら(キリコと……この子以外は注意した方がいいわね……)

バーコフ「ま、お嬢さんが言うなら注意しとくぜ。その代わりと言っちゃなんだが、長いお付き合いを、な」パラパラ

ほむら「ええ、それで構わないわ」

コチャック「他のガキはいいってのかよ? やっぱり信用できねえ」

バーコフ「コチャック!」

ほむら「……」

ザキ「なあ」

ほむら「……?」

ザキ「さやかはカミジョーって野郎の事で悩んでるみたいだったぜんだけどさ、なんか知らねえか?」

ほむら(美樹さやか……もしかすると、彼女も……)

…………
……


マミ「ただいま♪」

さやか「お邪魔します……」

まどか「……」

ザキ「おう」

キリコ「……」

QB「やあまどか」

マミ「あれ、他の皆は……?」

× × ×

ガヤガヤ

ほむら(話し合いなら、キリコとあの子だけの方が上手くいくはず……)

ゴダン「おい分隊長、通信機器だぜこりゃ」ブンブン

コチャック「小型なのはいいけどよ、性能はわかったもんじゃねえぜ」カチャカチャ

バーコフ「待て待て、おいそこの店員、説明をお願いするぜ」

店員「は、はい。あ、あの、分解はー」(て、テログループ?)ガタガタ

ほむら(……わたしはこの人たちをみてないと……)

× × ×

マミ「帰りに丁度会ってね♪ お誘いしたのよ♪ あ、美樹さん砂糖はいくつ?」ウキウキ

さやか「あ……いい……っす」

まどか「……」イタタマレナイ

マミ「ケーキもあるわよ♪ うふふ♪」

さやか「……ハハ」

まどか「……」サヤカジー

ザキ(おい、キリコ)ヒソヒソ

キリコ(マミは気づいていないようだ……)ヒソヒソ

QB(フォローしてあげてよ)ヒソヒソ

ザキ(おめーも大変なんだな)ヒソヒソ

マミ「じゃじゃーん! チョコレートケーキよ♪」

× × ×

さやか「……」モグモグ

まどか「……」モグモグ

マミ「うふふ、お味はいかが?」

さやか「……うまいっすね」モグモグ

まどか「……おいしいです」モグモグ

マミ「ゲームもあるわよ? この前これやってたわね? 私上手いのよ♪」

さやか「……へえ」モグモグ

まどか「……ウェヒヒ」モグモグ

QB(……キリコ、なんとかしておくれよ)アーン

キリコ(……ザキ)ケーキ スッ

ザキ(俺に振るのかよ⁉)モグモグ

キリコ(この広いマミの部屋に、俺一人のハズはないと信じている)アーン

ザキ(何の話だ!)モグモグ

QB(もきゅもきゅ)

ザキ「……カミジョーか?」

さやか「……!」ピク

まどか「……」

ザキ「図星かよ」ヤレヤレ

さやか「……あんたには関係ないでしょ」

ザキ「ああ、そうだったな。けどよ、そう辛気臭えとこっちまで臭ってくるぜ」

さやか「……!」キッ

まどか「ザ、ザキくん……」

ザキ「へっ、結局ただのガキだぜ」

さやか「……うるさい……」

ザキ「あ?」

さやか「うるさいって言ってんのよ!」バン

マミ「⁉」ビクッ

さやか「知った風なこと言うんじゃないわよ! ……キュウべえ!」

QB「なんだい?」

さやか「私契約する! 魔法少女になる!」

まどか「! さやかちゃん!」

マミ「本当⁉ 美樹さん!」キラキラ

さやか「なんでも願いが叶うんだよね⁉」

QB「もちろんだよ」キュップイ

さやか「私の願いは、恭介のー」


パシン

さやか「!」ドタ

まどか「さやかちゃん!」

ザキ「……」

さやか「……」キッ

マミ「え? え?」オロオロ

QB(っち)

キリコ「……」

さやか「……なにすんのよ」ヒリヒリ

ザキ「腹が立っただけだ。ほら、なれよ、魔法少女」

さやか「……」

ザキ「けどな、おめえは願いをてめえ以外に使うってのに迷いもしねえ」

さやか「それはー」

ザキ「覚悟してるんじゃねえ、自棄になってやがるんだ」

さやか「……!」

ザキ「カミジョーが感謝しなくても、恨んでもおめえは平気か?」

まどか「ザ、ザキくん……上条くんはそんなことー」

ザキ「んなわけねえ、こんなはずねえって駄々こねるに決まってら」

さやか「……」

キリコ「……さやか」

さやか「キリコ……」

キリコ「魔法少女になって、お前はいつまで生きられる?」

さやか「……え?」

キリコ「カミジョーが躓いたとき、傍にいてやれるか?」

さやか「あ……」

キリコ「いずれは魔女に敗北し、死ぬ。それは、普通に生きるより、恐らく早いだろう」

マミ「……!」

キリコ「カミジョーにとってお前は、一時の奇跡さえ起こせばいいだけの存在か?」

さやか「……でも、でも……じゃあ……どうしたらいいの……?」ヘタ

まどか「さやかちゃん……」

キリコ「……想うなら、離すな」

さやか「……?」

キリコ「答えが無くても呼び続け、殴られてもしがみつき続ける。それが、お前の選んだ道だ」

欺瞞だ。

さやかの行為には、なんの異議を挟む余地もない。
己が命の行く末を己で決定する。
当然の権利だ。

だが、俺はその権利を認めたくなかった。

むこうでの日常が見えた。
星ほどの命が、否応なしに他者の思惑の元塵のように消えていく。
意志もない、自由もない、意味すらない。

彼女たちには、そうあって欲しくなかった。

× × ×

マミ「……」

ザキ「……考え直すといいな」

キリコ「……ああ」

QB(本格的にまずいかもね……あの様子だと……)

マミ「……」ウツムキ

ザキ「おいマミ? どうした?」

マミ「! な、なんでもないわ!」

ザキ「……その、よ、安心しろって」ポリポリ

マミ「え?」

ザキ「俺たちが……いるんだからよ。なあ、キリコ!」

マミ「え、ええ……」

キリコ「……」





× × ×

グガー
ゴガー
ムニャムニャ

マミ「……」カチャ

キリコ「……眠れないか」

マミ「……キリコさん」

キリコ「……一杯もらおう」

× × ×

マミ「……」ズ

キリコ「……」ズ

マミ「……キリコさんは怖くないですか?」

キリコ「……」

マミ「……私は、今怖いんです」

キリコ「……」

マミ「キリコさんが言ってた様に……そう、きっといつかは魔女に……」

キリコ「……」

マミ「考えないようにはしてたの……だって……そんなのあんまりじゃない」ブルブル

キリコ「……」

マミ「私と同じなら、誰だってそうしたはずよ……なのにー」

キリコ「……時間は戻らない」

マミ「……」

キリコ「決断が正しいか、正しくないか、そんなことはわからない。今、生きることを続けるしかない」

マミ「……キリコさんは、家族は?」

キリコ「いた……と思う」

マミ「?」

キリコ「わからない……俺の周りでは、人が死に過ぎている」

マミ「……」

キリコ「その血を啜って生きているのかもしれない。だが、俺は‐」

マミ「!」バッ

キリコ「!」

甘い匂いがした。
紅茶のような、甘い匂い。
少女特有の柔らかな体が、俺に纏わりついた。

マミ「違うわよ……」

不意に脳裏に誰かがよぎった。
マミほどの年ごろの少女
誰だ?
炎?

マミ「私たちは……違うわよね……?」

誰もがそう願いたい。
決断は常に正しく最善だと。

誰もがそう
信じたい。

キリコ「……ああ」

俺も、例外ではなかった。

…………
……


杏子「へえ……」

QB「最近の乱獲は彼らだよ」キュップイ

杏子「マミがねえ、ま、騙されやすいとは思ってたけどな」

QB「どうするんだい?」

杏子「先輩が新人に礼儀って奴を教えてやるよ。みてな」クル スタスタ

QB(……)トコトコ

 




次回予告

テリトリーを冒すことは宣戦布告を意味する

意図的にしろ、無意識にしろ

飢えを満たされぬ獣は修羅と化す

振られた賽の目は覆ることはない

孤狼ならば尚のこと

飢えた獣が牙をむく

次回『狩り』

鼻を効かせろ

噛みつくべき相手かどうかー

…………
……


マミ「……///」モグモグ チラチラ

キリコ「……」モグモグ

QB「きゅぷきゅぷ」ヒザウエ

ザキ「……」モグモグ チラチラ

コチャック「俺のだぞ!」

ゴダン「早いもん勝ちだ!」

バーコフ「暴れるんじゃねえ!」

ギャーギャー

× × ×

マミ「いってきます……キリコ///」

キリコ「……ああ」

QB「いってらっしゃい」ダッコ

ザキ「おう……」

ゴダン「ニュースを見る限りよっぽど平和だな」ピッピ

コチャック「殺しが10も起きてねえ、やっぱりやばい宗教国家じゃねえか?」バリボリ

バーコフ「常設軍もいねえぞ、背筋が寒くなるぜ」カタカタ

マミ「なにか、食べたい?///」

QB「カニクリームコロッケ!」キュップイ

キリコ「……干し肉」

マミ「ビーフジャーキーかしら? わかったわ///」ガチャ

ザキ「……なあ」

キリコ「……」

ザキ「その、やっちまったのは仕方ねえと思うけど、あっちとは違うんだぜ? あんな小さなー」

キリコ「! ち、違う!」ギュウ

QB「むきゅ」






× × ×

バーコフ「さて、今日は備品を買いに行くぜ。お嬢さんに先導してもらってな」

ほむら「……」ペコリ

コチャック「非常食、ライト、通信機器、着替えが欲しいな」

ゴダン「けどよ分隊長、色々手間なんじゃなかったのかよ?」

バーコフ「そいつはお嬢さんに考えがあるらしい」

ほむら「……」

ザキ「なあ、俺だってわからねえわけじゃねえよ、けどさここじゃけじめがいると思うぜ」

キリコ「違う、違うんだ……!」ギュウウ

QB「ぐえええ」ミシミシ

× × ×

ザワザワ

バーコフ「な、言ったとおりだろ?」

ゴダン「信じらんねえぜ」

コチャック「おめえ、やばい野郎なんじゃねえか?」

バーコフ「コチャック!」

ほむら(この歳で揃えられないものについては……いろいろしてきたわね)

ザキ「ど、どんな感じなんだ? お、俺、まだでさー///」

キリコ「……ザキ、俺を一人にしてくれ……」トオイメ

QB「あ、あの御団子食べたいよキリコ」ミミクイクイ

ほむら(美樹さやかは魔法少女になってない……魔女も、出た度に彼らが倒して平和そのものだわ、志筑仁美の魔女もすでに無い。
    ……なのにまるで善良な感じがしないのはどうしてかしら?)

× × ×

アリアトアッシター

ゴダン「あれだけの肉、そうそうお目にかからねえぜ」シーハー

コチャック「ぐえっぷ」

バーコフ「こんなの毎日続けてみろ、ATにつかえるぜ」

ザキ「俺こっちのほうがやっぱいいぜ」ガムクチャクチャ

QB「キウイルイコオ」シャカシャカ

キリコ「……」シャカシャカ

ほむら(髪に臭いが……)シュッシュ

バーコフ「さて、戻るか、買うもの買ったしー」

キイン

ほむら「!」

QB(……)シャカシャカ

ザキ「どした?」

ほむら「魔女ー!」

バーコフ「お」

コチャック「ええ⁉ な、なあ、今度にしねえか? メシの後だぜ?」

ゴダン「おめえは黙ってろ!」

バーコフ「お嬢さん、買取はしてくれるよな?」

ほむら「……ええ」

バーコフ「よし、いくぞ!」

ゴダン「せわしねえな!」

コチャック「お、俺はー」

ザキ「ゴチャゴチャ言うんじゃねえ!」ゲシッ

キリコ「……」

QB(……)キュップイ

ほむら(佐倉杏子……今なら……)

× × ×

バーコフ「おい、お嬢さん、まだかい?」タタタ

ザキ「さっきから大分移動したぜ!」タタタ

ほむら(おかしい……以前ならここに……)キョロキョロ

キリコ「……ゴダンとコチャックがいない」

ザキ「え? うお⁉」

バーコフ「っち、はぐれたか」

ほむら(はぐれた……? 出現場所が違う…… ⁉ まさかー!)

QB(さて……)カタノウエ

× × ×

使い魔 ピャー

ゴダン「キリコたちはどこだ!」バキュンバキュン

使い魔 ケツバシバシ

コチャック「いてえよいてえよお!」ヒー

ゴダン「この! ゲシ 戦えコチャック!」バキュンバキュン

使い魔 キャハハ

ゴダン「ふざけた野郎が!」バキュンバキュン

スタ

杏子「ふーん、正義の味方かあ、マミも見てないとこでご立派じゃない」

杏子「けどさあ、使い魔倒してー」スチャ

ゴダン「どけ!」ドン

杏子「わ⁉」ドン

ゴダン「オラオラ!」バンバン

コチャック「この! この!」ドンドン

使い魔 キャキャキャ

杏子「ちょ、ちょっとー」

ゴダン「後にしやがれ!」バンバン

コチャック「立て込んでるんだあ!」バンバン

使い魔 バイナラ

シュウウウウウ

ゴダン「消えた⁉」

コチャック「へんちくりんなケッカイってやつもだぜ!」

杏子「あんたー」

ゴダン「よし! 逃げるぞ! ここじゃ盾もねえ!」ダダダ

コチャック「ま、待ってくれ!」ダダダ

杏子「……」ポツーン

杏子「ま、待てこら!」ダダダ


杏子「待てって言ってんだよ!」シュタ

ゴダン「おっと!」キキ

コチャック「ふぎゃ」ドタ

杏子「ハーハー あんたら……マミのとこのー」

ゴダン「コチャック! 後ろを見ろ!」ジャキ

コチャック「お、おう!」ジャキ

杏子「使いー」

ゴダン「なんだてめえは⁉」ギロ

杏子「ま、マミの知り合い……てとこー」

ゴダン「ならどきやがれ! てめえの巻き添いなんぞになってたまるか!」ジャキ

杏子「ひ、人の話をー」

ゴダン「!」バキュン

杏子「⁉」タン ビク

ゴダン「次は当てる! 1、2発当たったくらいで死にゃしねえだろ!」チャキ

杏子「う、うう……」タジ

杏子「こ、この!」チャキ

ゴダン「!」

コチャック「や、槍⁉ そうだ、マミの野郎も武器があったぜ!」

ゴダン「やる気かてめえ⁉」

杏子「礼儀ってのを教えてやるよ!」ザ

ゴダン「コチャック!」

コチャック「お、おお!」

ゴゴゴ

杏子「! ⁉」

スコタコISS×2 ズーン

ゴダン『やろうってのかよ!』ジャキ

コチャック『へ、へへ! こっちにゃATがあるんだぞ!』ジャキ

杏子(キュ、キュウべえ! は、話が違うじゃねーか!)タジタジ



QB(マミと信頼の薄い2人……傷つけるか倒してしまったと知ればマミも……)カタウエ

キリコ「……」

× × ×

杏子「はあ……はあ……」ジッ

ゴダン『出て来いオラア!』ドンドンドン

コチャック『不死身の俺らに勝てるもんかあ!』バララ

杏子「く、くそ、なんだよあいつら! 結界じゃないんだぞ⁉」

コチャック『……! ゴダン! そこの影だあ!』ピピー

ゴダン『ここかあ!』ジャキン ドゴン

杏子「く!」バラバラ

ゴダン『見つけたぞ!』ヌウ~ カシャンカシャン

杏子「くそ!」シュ

ザク

ゴダン『うおおお! 刺さるのかよ⁉』

杏子(よ、よし! 貫けねえわけじゃない! 乗ってるところをー)

コチャック『ボケっとしてる場合かあ!』バララ

杏子「くそ!」タタタ チュインチュインチュイン

コチャック『逃がすかよ!』ギュイイイーン

ゴダン『ぶっ殺す!』ギュイイイーン

杏子「は、はえええ!」タタタ

ほむら「! 爆発音!」タッ

ザワザワ

バーコフ「あれはATの! っち! バカ野郎が!」ダッ

キリコ「……」ダッ ダキ

QB「きゅぶっ」

ザキ「ま、待てよ!」ダッ

× × ×

杏子「くう!」ダダダ

ゴダン『待て!』ギュイイーン バララ

コチャック『うらああ!』ドドド

ガイン

杏子「うわあああ!」ドゴ ズザアアアア

ゴダン『よし!』ガチャ

杏子「⁉」

ゴダン『死にな!』

杏子「うう……」クラッ
 
キイイーン

ほむら「間に合って!」ダキ

キイイーン

ドガガガガガガ

ゴダン『⁉ いねえ⁉』

コチャック『弾けたんだぜ!』

ゴダン『血も肉もねえ! 逃げたんだ! たしかあのー』

ザキ「ゴダーン‼ コチャックゥー‼」

ゴダン『ザキ⁉』

バーコフ「馬鹿野郎! さっさと降りて逃げるぞ!」

コチャック『な、なんだよ!』

キリコ「バーコフ! 人が来る!」

QB(暁美ほむら……)

コチャック『わ、わかったよ!』スチャ 

ゴダン『っち‼』スタ 

バーコフ「走るぞ‼」

ダダダダ

× × ×

ザワザワ 
ピーポーピーポー

ほむら「あ、危なかったわ……」

杏子「あ、あんた……」ヨロ

ほむら「動かないで、手当てしないと」

杏子「あ、あいつら……本気で……」ガタガタ

ほむら(そう……私が助けなければ……死んでいた……)


× × ×

ザワザワ

ゴダン「仕方ねーだろ!」

バーコフ「こんな目立つ真似しやがって!」

コチャック「仕掛けたのはあいつだぜ!」

ザキ「魔法少女にも危ねえ野郎がいるんだな」

ザキ「……」

QB(っちぇ)

バーコフ「さっさとマミの家にー」

さやか「あ、やっぱり」

まどか「キリコさん!」

ザキ「あ」





× × ×

カサネタヤクソク~
モーシーキミガ~
カ~タヲオト~シタ~

さやか「時間潰しならここだね!」

バーコフ「うるせえのを我慢すりゃホテル代わりになるな。ここの代金は~」メモメモ

まどか「カラオケっていうんですよ!」ウェヒヒ

ゴダン「歌うのに金払うなんざ……わけがわからねえぜ」

コチャック「そのくせこんな上等な水がロハだぜ? イカレてやがる」ゴクゴク

ザキ「ほむらは結局見つからねえなあ。どうしたんだろ?」

QB「キリコ、タコ焼き食べたい。いいでしょ?」スリスリ

キリコ「……夕飯前だからだめだ」

QB「やだやだ! ねえいいでしょう?」ゴロリン オナカミセ

キリコ「……」ナデナデ


× × ×

さやか「か~たをおと~した~♪」

まどか「てつのせなか~がつ~づく~♪」

ザキ「ど、どこまでも、は、はてしなく~♪」

さやか「もう! ちゃ~んと乗りなよ~♪」バンバン

ザキ「い、いて!」

バーコフ「け、のんきなこった」

コチャック「うめえなおい!」バクバク

QB「きゅぷきゅぷ」ムシャムシャ

キリコ「……」オクチフキフキ

バーコフ「おまえら、ケイタイデンワの使い方ちゃんと憶えとけよ?」ピポパポ

× × ×

さやか「ふう~! すっきりした~」バフッ

まどか「キュウべえ少し太った?」ムニムニ

QB「心外だなあ、ね、キリコ?」ゴロン スリスリ

キリコ「……多少の脂肪は、必要だ」ムニムニ

コチャック「お、このヤキソバも旨そうだぜ!」

ゴダン「ツクネヤキは肉団子か?」

バーコフ「まてまて、ギルダンで換算すると……くそ、演算システムも旧式だぜ」ピポパ

ザキ「よ、よお」

さやか「え~?」

ザキ「か、カミジョーのこと……なんだけどよ……」

さやか「……」スク トテトテ

キリコ「……?」

さやか「え~わたくし美樹さやかは、本日幼馴染で想い人の上条恭介に告白し~!」

まどか「……」マラカスシャカシャカ

さやか「ふられちゃいましたあ!」テヘ

まどか「失恋パーティーなんだあ」タンバリンカチャカチャ

ザキ「ず、ずいぶんその……」

さやか「あっさり? ふふ」ストン

さやか「泣いた泣いたあ」テヘヘ

まどか「大変だったよお」ウェヒヒ

さやか「でも、納得できた」

キリコ「……」

さやか「正々堂々告白して正々堂々振られた、完敗! まいった!」

ザキ「お、おう……」

さやか「でも好きだもんね! まだまだ退院には時間かかるし、あたしがいないとね!」

ザキ「けど……」

さやか「やりたいからやるの! 文句言わない!」

ザキ「……へっ諦めがわりいな」

さやか「そうしろっていったのだーれだ?」

ワイワイ

まどか「キリコさん、ありがとうございます」

キリコ「……俺は何もしてない」

まどか「ううん、キリコさんとザキくんのおかげです。さやかちゃん、あれから吹っ切れたみたい」ティヒヒ

キリコ「……」

まどか「ありがとうございます」ペコリ

心からの感謝
受け取ったことなど、数えるほどもない

だからこそ、この少女のものが『それ』だと瞬時に気付いた

数えるほどだからこそ俺は忘れないだろう

俺の心にほのかな暖かさが生まれていた

ゴダン「惚れた腫れただ、乳臭えなザキ」ヘヘ

ザキ「なにを!」

さやか「あんたモテないんでしょ! ま、ザキに嫉妬するのも納得ってか~んじ?」

ゴダン「ああ⁉」ギロ

まどか「うぇひ!」ビクッ

さやか「ってかザキとキリコ以外……ねえ?」プププ

コチャック「ばばば馬鹿にすんじゃねえ! 俺のおかげでダウンバーストを生き延びたんだ!」

QB「それは関係あるのかな?」

まどか(コチャックさんは……うん。ゴダンさんも、バーコフさんは少しマシだけどそっち系の人
    にしかみえないよ……)

バーコフ「俺は経験あるぞ?」

ザゴコさやまど「「「「「え⁉」」」」」

キリコ「……」

バーコフ「な、なんだ……」ビクッ

ゴダン「分隊長! マジかよ!」

バーコフ「一応、まっとうちゃまっとうなガキの時分もあったさ」

コチャック「そ、そういや大学出だったな」

さやか「ど、どんなの?」

ザキ「聞かせてくれ!」

バーコフ「な、なんだと?」

ゴダン「へ、フカシに決まってら!」

ギャーギャー

キリコ「ピポパ ……コーヒーと、焼き鳥盛り合わせ……」



詢子「~~♪」(たのまれグッバイ)

和子「うおぉ~ん!」(号泣)

× × ×

さやか「マミさんとこにいるんでしょ?」パクパク

コチャック「まあな」ガツガツ

まどか「いいなあ、マミさんお料理上手ですもんね」モグモグ

ゴダン「おまえら親はいんのか?」モグモグ

さやか「当ったり前じゃん」ゴクゴク

バーコフ「俺たちのとことは違うんだろうさ」モグモグ

ザキ「平和でいいじゃねえか」ムシャムシャ

QB「きゅっぷいぷい」モグモグ

キリコ「……」ムシャムシャ

さやか「で~? ザキまさかマミさんに一目惚れしちゃったり~?」プププ

ザキ「は、はあ⁉ キリコと一緒にすんな!」

さまバゴコQ「「「「「「は?」」」」」」

キリコ「……っぐ⁉」ゴフ

まどか「え……それって……」

バーコフ「お前……」

コチャック「ま、マジかよ!」

ゴダン「あんなガキに……」

さやか「ロ、ロリコン!」

キリコ「ち、違う、聞いてくれ……」

ザキ「そ、そうだぜ! キリコはまだ18だ!」

さやか「うそ⁉ 高校生⁉ どうみても30前じゃん!」

キリコ「……」グサ

まどか(パパと同年代に見えるよお……)

ザキ「それに嫌がってなかったし無理やりじゃねえ! なあ! キリコ!」

キリコ「……そっとしておいてくれ……」

QB「もしもし、ジャンボココナッツパフェをソースはキャラメルで」キュップイ

× × ×

ゾロゾロ

まどか「キリコさん、その、マミさんはまだ中学生ですし……///」

キリコ「やめろっ、やめるんだ!」アタマカカエ

ザキ「キリコー‼」

ゴダン「で、なんでおまえらついて来てんだ?」

さやか「この前のお詫びマミさんにしないとね」

コチャック「ま、まってくれえ……」ゲプウ

バーコフ「お嬢さんの連絡先聞いておくんだったぜ」ピポパ

ファンファンファン

さやか「パトカー多いなあ、あんたたちがあんなことするからだよ」

ゴダン「仕掛けたのは赤い魔法少女だぜ!」

コチャック「ああ!」

バーコフ「ケッカイの中以外はアーマーマグナムで戦え、……そういう野郎がいるなら武器も他にいるな」

まどか「そ、その……どんな感じなのかなあって///」ティヒヒ

キリコ「お前か! 俺の忘れようとしている古傷をわざわざ掘り起こすのは!」ガバ

まどか「きゃ/// キ、キリコさん……マ、マミさんがいるくせに/// もう///」

キリコ「冗談は無しだ。俺は、くそ真面目な男だ」スゴム

QB「きゅぷ……うるさいよキリコォ……」ウデノナカデネムネム

× × ×

ガチャ

ゴダン「あ? 寝てんのか?」

さやか「真っ暗」

コチャック「おい、向こう少し明るいぞ」

バーコフ「お嬢さん?」

まどか「ね、ザキくんはその……そういうのあったの///?」

ザキ「え? そ、その……キリコ、俺はー」

キリコ「後にしろ」ダッコ

QB「……」スピースピー

ゾロゾロ

× × ×

マミ「……」

ゴダン「お、起きてんじゃねーか」

さやか「こんばんわーお邪魔してまー」

パッ

コチャック「うお⁉」

まどか「眩しい!」

バーコフ「お、おいおいお嬢さんなにをー」



マミ「お そ かっ た わ ね え?」ニコニコ ゴゴゴ チャキ

QB「きゅ?」ゾク ビクン

ザキ「マ、マミ……?」ゴク

バーコフ「そ、その格好と銃は……」オソルオソル

マミ「な ん で も な い わ よ?」ニコニコ ゴゴゴ

コチャック「な、なんでもねえわけー」シュルルルル

コチャック「ぐええええええ」リボンクミシメ

ゴダン「コチャクウー‼」

マミ「な ん で も な い わ よ?」ニコニコ ゴゴゴ

コチャック「わ、わが……だ!」ガタガタ

マミ「あ ら、 美 樹 さ ん に 鹿 目 さ ん も、 い ら っ しゃ い?」ニコニコ ゴゴゴ

さやか「ひ……」ビク

まどか「ウェヒ……」

マミ「……さ、 夕 飯 に し ま しょ う? キ リ コ?」ニコニコ ゴゴゴ

キリコ「……!」ゾワ

手作りの料理
干し肉
疲れをいやす甘味類
甘い紅茶

俺たちを癒してくれるそれは
まるで幾億年も経た様に、冷たく、干からびていた

俺たちは、眠れる獅子を起こした愚か者だった

これから始まる地獄は、どれだけ経験しても、慣れるものでは無い

そう、本能が告げていた

コチャック「……! ……!」ビクンビクン

次回予告

鳥籠の小鳥と言おう

止むおえず、望まず
異形の殻に身をやつす

誰かの為に己を殺し

己の為に誰かを殺す

涙も枯れ果て露と消え、儚く散りゆく少女たち


終生戦い続けた

全てを失った


だからどうした!


最低野郎共は嘲笑う

希望





家族

全ては己が望んだことだ

お前にその後の権利も義務もある

俺が知った事でなし

生き延びたことに感謝しろ

だが

俺が!

俺こそ!

俺だけは!

異能を名乗る資格がある!

次回『真実』

その悲劇は羽のように軽い







× × ×

マミ「うふふ、おいしい?」ニコニコ ゴゴゴ

さやか「うう……」モグモグ

コチャック「う……うぷ……」モグモグ

バーコフ「は、腹が……」モグモグ

ゴダン「く、くそ……」モグモグ

まどか「く、苦しい……」モグモグ

ザキ「だ、大丈夫か?……」サスサス

マミ「ザキくん?」ニコニコ ゴゴゴ

ザキ「! う、うめええなあああ!」ガツガツ

QB「ぎゅぶーぎゅぶーうまれるう……」ポッコリ

キリコ「……」ウプ

マミ「おいしいかしらキリコ?」ニコニコ ゴゴゴ

キリコ「……ああ、戦場を思い出す味だ……」トオイメ

マミ「まだまだあるわよ?」ニコニコ ゴゴゴ

さやか(この量……手の込み具合……)ウップ

まどか(すごく張り切って……)ウプ

バーコフ(胃袋の中に……空きは……ねえよなあ……)グググ

コチャック(もう……ダメだ……)シロメ

ゴダン(コチャックー‼)ウプ

ザキ(キリコ! 本物の異能生存体はこんな所で死なねえんだろ! 生き抜け、そしてこの飯を頼んだぜ……!)ガク

QB「」チーン

キリコ(意識が消えてゆく。 バーコフ、ゴダン、コチャック、ザキ、キュゥべえ、まどか、さやか…
    一人に、一人にしないでくれ。 どこだ、みんなどこにいるんだ…)ガタガタ

マミ「は、はい、あーん///」ニコニコ ゴゴゴ

× × ×

マミ「私だってね、何も遅くなるのがいけないって言ってるんじゃないの、連絡くらいしてほしいの」ニコニコ ゴゴゴ

キリコ「ケ、ケイタイデンワがまだー」ウプ

マミ「連 絡 く ら い し て ほ し い の」ニコニコ ゴゴゴ

キリコ「すまない……」ウプ

バゴコQ「「「」」」チーン

さやか「し、死ぬう……」ハアハア

ザキ「しっかりしろお……」

まどか「うう……」ゼエゼエ

ほむら「ああまどか、しっかりして。私が付いてるわ」ヒザマクラ





× × ×

キリコ「……さ、最後だ……」ウプ

マミ「はい、ごちそうさまでした。お皿洗いしないとね?」ニコニコ ゴゴゴ

キリコ「……ああ」ゲプ

バゴコQ「「「「」」」」

さやか「……きょう……すけ……」ガク

ザキ「キ……リ……コ……」ガク

まどか「はあはあ……」フーフー

ほむら「胃腸薬よ」ナデナデ

× × ×

マミ「ふう♪ さ、次はキリコの番よ♪」ホカホカ

キリコ「今は……忙しい……」ヨロヨロ

マミ「……」スチャ

バゴコQさザ「「「「「「」」」」」

キリコ「風呂はいいな……」ヨロヨロ

マミ「うんうん♪ ちゃんとキレイにしないとね♪」

まどか「……」スウスウ

ほむら「あらあら、おうちまで送っていくわね」シュン

× × ×

マミ「うふふ///」ギュ

キリコ「狭くないか……」ゼエゼエ

マミ「そうね、ダブルベッドにしないとね///」

バゴコQさザ「「「「「「」」」」」

キリコ「みんなを……」

マミ「 え ?」

キリコ「……せめて毛布だけ……」

マミ「 え ?」

キリコ「……許してくれ……」

バゴコQさザ「「「「「「」」」」」

マミ「おやすみ♪ あ、変なことしちゃダメよ///?」

キリコ「……」



ここは牢獄だ

俺は薄れゆく意識の中そう確信していた

そしてせめて安らかな眠りの訪れを祈るしかなかった

× × ×

チュンチュン

マミ「はい、あ、あーん///」

キリコ「……パクパク」シンダサカナノメ

ザキ「大丈夫か……?」サスサス

さやか「うう……」

コチャック「俺たちは死なねえ……」ヨロヨロ

バーコフ「俺たちはしなねえ……」ヨロヨロ

ゴダン「俺たちゃ死なねーんだ……」ヨロヨロ

QB「ボクは死なないよ……」キュップイ

× × ×

マミ「行ってきます♪ キリコ♪」

さやか「……」グデー

キリコ「ああ……」トオイメ

マミ「うふふ♪ さ、美樹さんいくわよ?」ヨイショ

さやか「うあ……」ウプ

× × ×

バーコフ「どうにかしねえとな、何だか知らねえが俺たちに当たりが強くなってる気がするぜ」

ゴダン「どうすりゃいいんだ?」

コチャック「ほとぼりが冷めるまで隠れてねえか?」

ザキ「どこにだよ?」マドフキフキ

QB「きゅっぷいぷい」ボールアソビ

キリコ「……」センタクホシホシ

プルルル

バーコフ「!」

ゴダン「おい鳴ってるぜ」

バーコフ「どういうことだ、誰にも教えてねえぞ⁉」

コチャック「と、とりあえず出ろよ」

バーコフ「……ガチャ 誰だ?」

ほむら『ご挨拶ね』

バーコフ「! お嬢さんか! どうやって?」

ほむら『少しね、それより、あなたたち今困ってない?』

バーコフ「……お見通しか」

ほむら『それについて、私が力になれるわ』

バーコフ「なに?」

ザキ「やたらゲームってのがたくさんあるな、コントローラーこんなにいるのか?」ゴソゴソ

QB「キリコー遊んでおくれよー」ヨジヨジ

キリコ「今は……忙しい」サラアライ

× × ×

キリコ「……紅茶とケーキだ」ス

ほむら「ど、どうも」

バーコフ「で、お嬢さん、案ってのは?」

ほむら「あなたたち……キリコ以外、巴マミとよろしくないようね」

ゴダン「っち」

コチャック「ま、まあな」

ほむら「距離を置いた方がいいんじゃない?」

バーコフ「それは考えてるが……な」

コチャック「先立つもんがねえとにっちもさっちもいきやしねえ!」

ゴダン「おうよ!」

ほむら「私の家にこないかしら? ここよりは手狭じゃないわよ?」

ゴダン「あ? お前の家?」

ほむら「悪くないんじゃないかしら? お金もとらないわ」

ほむら(それに、キリコ、ザキはともかくこの3人は近くで見張ってた方がいい気がする……)

ザキ「ほーれほれ」ネコジャラシ

QB「きゅっぷ!」ウズウズ ピョン

ゴダン「……どう思う?」

バーコフ「願ったりだ、ここにいつまでもはいれねえ、そっちのお嬢さんの方が干渉は少なそうだ」

ザキ「マ、マミんおとこから移動すんのかよ?」

コチャック「俺は反対だぜ、こいつは得体が知れねえ」

バーコフ「だから、まず全員で行かせてもらうぜ」

ほむら「……」

バーコフ「ヤバいと感じたら……わかるだろ?」

ほむら「……ええ、それで構わないわ」

QB(ふむ、情報が得られるかもね)カタニノル

キリコ「……」ナデナデ

× × ×

ほむら「どうぞ」

コチャック「軍の情報処理室に似てるな」

バーコフ「お嬢さん、あんたそっち関係なのかい?」

ゴダン「飾りっ気がねえな」

ザキ「けどマミの家よりは大分広いぜ」

ほむら「ベッドや必要な機器は、すぐに用意するわ」

QB(あのモニター……かなり他の魔法少女に詳しいね……)

キリコ「……」

× × ×

ゴダン「こうしてみるとマミのやつの飯は手が込んでたな」ガツガツ

コチャック「こいつもいけるぜ」ガツガツ

ザキ「コンビニベントウ、カップメン! 本当に天国だぜ!」ガツガツ

QB「むしゃむしゃ」アーン

キリコ「……」ポイポイ

バーコフ「グリーフシード一個の割合がこれくらいでどうだ?」

ほむら(い、一週間分の食料が……)

× × ×

バーコフ「よし、今日からここが新しい拠点だ」

ゴダン「おう」

バーコフ「キリコは引き続きマミの家。説明を頼むぜ」

キリコ「……わかった」

ザキ「お、俺もここかよ?」

コチャック「お? 寂しいのか?」ヘヘヘ

ザキ「そ、そんなんじぇねえ!」

バーコフ「坊や、男と女の間にはいろいろあるのさ」

キリコ「……違うと言っている」

QB「ZZZ」

バーコフ「それに、ブツを置くならこっちのが安全だ」

ゴダン「ATは目立つからな」

バーコフ「武器がいるな。最低でも、手りゅう弾は欲しい」

コチャック「ATに関しちゃ整備はいらねえ、出すたんびに新品になってる」

ほむら(……隠しとかないとね)

バーコフ「連絡はケータイでだ。魔女をやるときゃ全員で」

コチャック「あの赤いやつはどうする?」

ほむら「……」ピク

バーコフ「一応話し合え、こっちじゃ死体が出るのは大事見てえだしな」

ほむら「……私の事を言って」

ゴダン「あ?」

ほむら「知り合いよ」



× × ×

バーコフ「じゃ、頼んだぜ」

ザキ「連絡するからな」

キリコ「……ああ、キュゥべえはここにいるのか?」

QB「もう少しね」

キリコ「……わかった」

ガチャ

× × ×

ザワザワ

キリコ「……」コツコツ

作戦
そう作戦だ
1人は珍しくもない
皆は生きている

だが、どこかでこの孤独を恐れる俺がいた
マミに無性に会いたい
俺の足は、意図せず早足になっていた。

ドン

杏子「おっと! ごめんよ」

キリコ「……」コツコツ

杏子「あ? 無愛想な奴だぜ、ま、いっか」ムシャ

杏子「たい焼きでいいよな? あいつ細いしな、礼くらいしないと」タタタ

× × ×

ゴダン「あいつは?」ガサゴソ

バーコフ「さあ、用事だと」ガサゴソ

コチャック「どうも信用できないぜ」ガサゴソ

ザキ「なんもねえなあ」ガサゴソ

タタタ

ゴダン「おい!」

バーコフ「戻せ!」

コチャック「あわわ!」ガシャン

ザキ「っち! 馬鹿野郎!」

バタン

杏子「おう、この前の礼だぜ! タイヤキー」

ゴキャ杏「「「!」」」

杏子「な⁉」

ゴダン「野郎だ!」スチャ

コチャック「奇襲かよ!」スチャ

バーコフ「こいつか! いいかATは最終手段だ!」スチャ

杏子「ど、どうしてー」

ザキ「おらあ!」ドン

杏子「うわ!」ドサ

ザキ「抑えたぞ!」ギリリ

杏子「いたたた!」ミシミシ

バーコフ「そのままだぞザキ!」

QB(さてさて、どうなるかな?)

杏子「く!」ピカー

ゴダン「! 変身しやがるぞ!」

ザキ「こいつか!」バシ

杏子「!」

コチャック「ソウルなんちゃらか!」

杏子「か、返せ!」ジタバタ

ザキ「動くんじゃねえ!」ジャキ

杏子「!」

バーコフ「やるんじゃねえぞ!」

ゴダン「どうすんだよ⁉」

バーコフ「キュゥべえ! あのソウルなんたらがなけりゃ魔法は使えねえな?」

QB「うん」

杏子「キュ、キュゥべえ! てめえまでいやがるのか⁉」

バーコフ「ザキ! そいつをよこせ!」

ザキ「おう!」ポイ

バーコフ「パシ お嬢さん、取引と行こうじゃねえか」

杏子「ああ⁉」

バーコフ「お嬢さんとここのお嬢さんは顔見知りだろ? 世話になってる身としちゃ下手な真似はしたくねえ」

杏子「……」

バーコフ「お嬢さんが戻るまで大人しくしてな、でないとー」チャキ

杏子「ぐ……」

ゴダン「へ、形勢逆転だな。おいキュゥべえ! こいつはぶっ壊されるとまずいんだろ?」

QB「……良いことはないね」キュップイ

コチャック「……どうなる?」

QB「……」

杏子「?」

コチャック「答えろ! こんなもんがノーリスクで使えるわけがねえ! まさか……」

ほむら「佐倉杏子⁉」

ザキ「ほむら!」

杏子「あ、あんた……」

バーコフ「お帰りでお嬢さん」

ゴダン「生きてるぜ!」

コチャック「おい、お前はどうだ⁉」

ほむら「?」

コチャック「ソウルジェムだ! こいつを壊されるとどうなる!」

ほむら「!」

コチャック「心臓みてえなもんだ! くたばるんじゃあねえか⁉」

杏子「な、なんだって⁉ お、おい! キュゥべえ⁉」

QB「……事じー」

ほむら「待って‼」

ほむら(まどかと美樹さやかの警戒に行った隙に……この様子だと誤魔化せない、誤魔化してもQBとの齟齬が……! 佐倉杏子……
    彼女なら……)

ほむら「私が、話すわ」

× × ×

ほむら「……これが真実よ」

杏子「嘘……だろ? なあ、キュゥべえ?……」

QB「概ね正しいね」

QB(だがなぜ知っている? 僕が教えた記録はないし……)

杏子「正しいだあ⁉ ふざけんな!」ムンズ

QB「きゅ」ガシ

杏子「あたしたちゾンビになっちまったみたいなもんじゃねえか!」

QB「ソウルジェムさえ砕かれない限り、君たちは無敵だよ。弱点だらけの人体よりも、余程戦いでは有利じゃないか」グググ

杏子「てめえ!」

ゴダン「確かに急所があれだけなら相当助かるな」

ザキ「けどよ! 死体が残らねえようなやられ方なら一緒だぜ!」

バーコフ「魔法が使えるのは一長一短か、願いが何でも叶うってならありだな」

コチャック「俺の言った通りだろ!」ヘヘヘ

杏子「! おまえらおちょくってんのか!」キッ

バーコフ「おっと!」ジャキ

杏子「くっ……」

ザキ「おいキョーコ」

杏子「キョ……な、なんだよ」

ザキ「お前、それ知らないで契約したんだよな?」

杏子「あ、当ったり前だろ! でなきゃー」

コチャック「! マミか!」

ゴダン「!」

バーコフ「必然的に……そうなるな」

ザキ「知らねえよな、あいつも……」

ほむら「……」

ゴダン「おい白いの、お前、知らせねえでやりやがったな?」

QB「聞かれなかったからね」キュップイ

杏子「ぐ……」

ほむら「……これが本性よ」

コチャック「け、ほれみろ!」

バーコフ「軍の徴兵部みてえな野郎だ」

ゴダン「それよかマシだろ」

ザキ「なあ、マミには……」

バーコフ「キリコには伝えとく、急所になるからな」

コチャック「おい、黒いのが満タンになると死ぬのか?」

QB「そうだよ」

ほむら(魔女化は……今はまだ……)

バーコフ「さて、お嬢さん」

杏子「……」ボウゼン

バーコフ「やるかい? それとも取引するか?」チャキ

ほむら「……」

杏子「う……」

バーコフ「お嬢さんたちをやってもグリーフなんちゃらは出ねえ、なら、やり合う理由はねえ」

ゴダン「おいおい、こいつは仕掛けてきたんだぞ?」

バーコフ「ならアーマーマグナム一丁でやれるか? ATじゃ目立ちすぎる、いくら俺たちが不死身でもきつくねえか?」

コチャック「い、痛みはあるんだよな?」

ザキ「あたりめえだろ。不死だけどよ」

ほむら「ねえ……」

ザキ「あ?」

ほむら「あなたたち、キュゥべえの話し……魔法少女について、どう思うの?」

ゴダン「ま、願い事の代価ならありか」

コチャック「結構なもんでもイケそうだしな」

ザキ「けどよお……」

バーコフ「うめえはなしにゃ裏しかねえのさ坊や。お嬢さん、けど願いはかなったんだろ?」

杏子「……!」ギュ

バーコフ「なら文句言っちゃいけねえよ。後からは特に、な」

ゴダン「戻るわけでもねえ、考えようによっちゃやべえことで稼げるぜ」

コチャック「へへ、異能生存体にゃかなわねえけどな」

ザキ「かわいそうじゃねえかよお……」

ほむら(生きてきた環境が……違い過ぎる……魔法少女ですら、些事なのね……)

杏子「……やらない、返せ」

バーコフ「よし」ポイ

杏子「……」パシ

ゴダン「おい!」

バーコフ「これで挑んで来たら、全力で殺す。それでいいだろ?」

ゴダン「っち」

バーコフ「金がありゃグリーフシードを分けてやるぜ」

杏子「……」スタスタ

ほむら「佐倉杏子……」

杏子「……ごめん、1人にしてくれ、それはやるよ」スタスタ

コチャック「魚? ……うお! 中が黒いぜ!」

ゴダン「甘ったるいな、こんな魚までいるのか」

ザキ「なあ、ほむら。あいつ大丈夫か?」

ほむら「……ええ、きっと」

ほむら(佐倉杏子は今までの経験から一番精神力が強い……大丈夫なはず)

バーコフ「ピポパ おう、キリコ。話がある」

QB(さて、と……)トコトコ

× × ×

キリコ「ああ、わかった」

バーコフ『じゃ、頼んだぜ』ブツ

キリコ「……」

マミ「キリコ、ごはんよ♪」

キリコ「……わかった」

マミ「干し肉の炒め物、干し肉ご飯、干し肉サラダ、干し肉スープ、干し肉のお漬物♪」

キリコ「……うまそうだな」

マミ「ふふ、おだてたってだめよお?」

キリコ「……」

マミ「皆気を効かせてくれたのね♪ はい、あーん///」

キリコ「……」アーン

× × ×

キリコ「……」パジャマスガタ インベッド

マミ「きつくない?」インベッド

キリコ「……ああ」

マミ「寒いわね///」ジリジリ

キリコ「……ダウンバーストほどじゃない」ジリジリ

マミ「とっても寒いわね///」ガシ

キリコ「離せ! 離してくれ!」ジタバタ

マミ「あったかいわねえ///」ギュウ

キリコ「例え神にだって、俺は従わない」ジタバタ

× × ×

マミ「ふふふ///」ギュウ

キリコ「……」アキラメ

マミ「ねえキリコ」

キリコ「……」

マミ「私ね、誰かが近くにいて寝るの久しぶり」

キリコ「……」

マミ「魔法少女になったのはね、パパとママが死んじゃった時……交通事故で、私も危なかった」

キリコ「……」

マミ「皆の為に戦っても、誰にもそれは気づいてもらえない。でも、今は違うわ」ギュ

キリコ「……」

マミ「いつかは、死んじゃうと思ってた。おばあちゃんになっても、戦えるわけじゃないもん」

キリコ「……」

マミ「けど、キリコがいる。きっとずっと……大丈夫よね」ギュ

キリコ「……マミ」

マミ「?」

キリコ「……聞いてくれ」

× × ×

俺は話した。
全てを。

マミ「……」ガタガタ

キリコ「それが、真実だ」

マミ「う、うそ……」

QB「いいや」キュップイ

マミ「キュゥ……べえ……」

QB「真実だよーおっとー」

キリコ「……」チャキ

QB「ひどいなあ、キリコ」

キリコ「……」キッ

QB「……退散するよ」トコトコ

マミ「……」ブルブル

キリコ「大丈夫か」ス

マミ「!」パシ

キリコ「……」

マミ「どうして教えたのよ⁉」

キリコ「……」

マミ「知りたくなかったわ! ……本当でも! どうして⁉」

キリコ「……」

マミ「こんなの……みんな死ぬしかないじゃない!」

キリコ「そうだ……」

マミ「?」

キリコ「だから、戦うな」

マミ「え……」

キリコ「ソウルジェムが砕ければ死ぬ。……戦えば、危険は高まる」

マミ「……」

キリコ「グリーフシードなら、俺が調達する」

マミ「……」

キリコ「俺は、死なない。……お前が命を終えるまで、ずっとー」

ガバ

マミ「……」

キリコ「……マミ」

マミ「ずっと……?」

キリコ「……ああ」

マミ「本当に……?」

キリコ「……ああ」

マミ「ずっと一緒にいてくれる?」

キリコ「……ああ」

マミ「……キリコ……キリコ」ギュウウ

キリコ「……」ギュ


抱き返した手には、偽りが潜む
ほむらも、杏子と言う少女も同じだ
ならば、彼女たちも救うべきなのかもしれない

そう、これは俺の自己満足にしか過ぎない
苦しむだろう、悲しむだろう
他の要因で、死は容易く訪れる

だがそれでもー
助けたかった

赤い鉄の悪魔に奪われた
両親
もし魔法があったなら、彼らを俺は生かしたかった

生き残るのは、いつも俺だけだ

なら今度こそー
彼女だけはー



× × ×

杏子「……」

杏子「へ……」

杏子「そうかよ……マミ」

タタタ

次回予告

善きを求めて悪魔を見
悪しきを貫き地獄を臨む

遍路曲々しくて蛇の這い

行く手を呑み込み漂流鋒鋩
少女を待つのは鉄の悪魔

次回『彷徨』

死神は刈るものを選ばない



ガヤガヤ

ゴダン「まだまだ騒ぎが大きいな」グラサン+アロハシャツ

バーコフ「あれだけぶっぱなしゃ無理もねえ」サギョウギ

コチャック「キリコはこねえのかよ?」ジャージ

ザキ「マミに捕まってるってよ。学校が休みなんだと」ハンソデタンパン

ほむら(目立つわね……)コソコソ

まどか「いいのかな後なんか付けて」コソコソ

さやか「おもしろそーじゃん」コソコソ

QB「ねえまどか、契約してよ」チィチョイ

ゴダン「後ろの連中はいいのかよ?」

バーコフ「お嬢さんはなんとかなるだろ。その他が心配だがな。ま、巻き込まれてもてめえの命だ」

ザキ「お、あのタイヤキ売ってるぞ!」

コチャック「中身が違うのか! ますますおっかねえ。どういう進化してきたんだ」

ほむら「まどか、美樹さやか、どうして!」コソコソ

さやか「遊びに来ててたまたま」コソコソ

まどか「キリコさんいないね」コソコソ

QB「ねーねー」クイクイ

× × ×

キセイチュウ キセイチュウ キセイチュウ

アアアアー! ズギューン

キリコ「……」ズズ

マミ「うふふ、どうかしら?」カタニアタマノセ

キリコ「……甘い」

マミ「ミルクティーですもの♪」

キリコ「……」

安らかな日常
どこかむずがゆいそれを、俺は享受していた。

× × ×

ゴダン「うめえなあ」モグモグ

さやか「もーらい!」バッ

コチャック「あ! 俺んだぞ!」

さやか「ダイエットしないとねーん」モグモグ

コチャック「な、なんだと!」

ザキ「キリコはマミんところだぜ」モグモグ

まどか「愛の巣だね!」ウェヒヒ

ザキ「……やっぱりそうなのかなあ///」

QB「ぐ、ぐう……」ボロボロ

バーコフ「そこまでせんでも……」

ほむら「あなたは本性をしらないのよ」

バーコフ「知らねえでやらせるのはどうかと思うがな、願いが叶うってのはそれくらいの対価があるもんだぜ?」

ほむら「……」ッチ

ゴダン「カミジョーなんとかはくたばったのか?」モグモグ

さやか「勝手に殺さないでよ! 頑張ってリハビリ中なんだから!」モグモグ

ザキ「向こうなら義手とか簡単にできるのにな」モグモグ

まどか「あ、それはいいかも」モグモグ

コチャック「その代わり軍にでも入らねえとバカみてえにたけえ。結局戦場送りよ」モグモグ

さやか「簡単にはいかないなー」モグモグ

QB「そー」バキ

ほむら「あなたは死になさい」ファサ

バーコフ(どうにも妙だ……いくらなんでも色々知り過ぎている)

QB「まったくひどいなあ」ヒョコ

バーコフ(こいつはこいつで得たいがしれねえ)

× × ×

キリコ「……」トントン

マミ「お散歩?」

キリコ「ああ……」

マミ「ならお夕飯作っておくわね♪」

キリコ「……楽しみにしている」ガチャ

× × ×

キリコ「……」タッタッタ

僅かでも鍛錬を忘れれば取り戻すのに倍はかかる。
俺はこの世界でも、それに縛られている。
生命維持のための運動。
澄んだ空気が、異世界にいると俺に囁く。

キリコ「……」ッタッタッタ

杏子「……」タタタ

× × ×

ゾワワ

ほむら「!」

バーコフ「おっと……」

ゴダン「魔女かい」

コチャック「げ」

ザキ「どうする分隊長?」

バーコフ「キリコを呼べ、独占しときてえしな」

さやか「お、あのロボット?」

まどか「格好いいよねえ」ウェヒヒ

ゴダン「おまえらは帰んな」

ザキ「……でねえ」

バーコフ「おいおい、やり方は教えたはずだぞ」

コチャック「マミとしっぽりやってんじゃねえか?」ウヒヒヒ

さやか「うわあ……」

まどか「ティヒ……」

ゴダン「腐った野郎が」

コチャック「な、なんだよ!」

バーコフ「まあいいいくぞ。ザキ、かけ続けろ」タッ

ザキ「おう」

ほむら(これ以上独占させると諍いが起きそうね……)タッ

QB「待っておくれよ」トコトコ

× × ×

オレハシーラナイ ワケハイエナイ♪

杏子「へ、出なくていいのかよ?」チャキ

キリコ「……」

杏子「……一人で余裕ってか? ……気に入らねえ!」チャキ

キリコ「……」ス

杏子「まあ、いい、マミを騙しやがって。消えるなら見逃しけてやるぜ?」

キリコ「……騙してなどいない」

杏子「そうか……騙してる奴はそういうんだよ!」ダッ 

訳は「いらない」だぞ

>>321 赫奕見直しました ありがとナス!

× × ×

ゴダン『死にやがれ!』ドガガガ

ザキ『おらあああああ!』チュドドド

バーコフ『弾幕を消すな‼』バラララ

エルザマリサ『イッタイネン』ドドドドド

使い魔『マテー』ガオー

コチャック『ひいいいいい! なんで俺ばっかりいいいいいいいい⁉』マンシンソウイ

ほむら(高い火力……脆い防御もすぐに復活……おまけに制限なしに本人は不死身……手が出ないわ)

さやか「かっくいー!」キラキラ

まどか「むせるねえ」ウェヒヒ

QB「ねえまー」

まどか「静かにして」ピシ

QB「……」

ほむら(……結果オーライかしら?)

使い魔『エーイ』ザクザクザク

コチャック『ぎゃあああああああ!』チュドーン

ゴダン『コチャックー‼』バシュウウン

バーコフ『キリコは出ないか⁉』パララ

ザキ『繋がんねええ!』キャド

× × ×

杏子「この!」ブン

キリコ「……」バッ

杏子「! す、砂ー」

キリコ「!」ドン

杏子「くー」ガシ

キリコ「やめろ……」

杏子「離せ!」ドガ

キリコ「……!」ズザザ

杏子「はあ……はあ……なんであのロボット出さねえんだよ……」

キリコ「戦う気は……ない」

杏子「ああ⁉」

キリコ「……マミと顔なじみか」

杏子「……!」

キリコ「……なんとなくわかる、何故マミと話さない」

杏子「……うるせえ」スチャ

キリコ「……」

杏子「なんで……なんでいるんだよ! お前もあいつのとこ行けよ! そしたらーそしたら!」ダッ

キリコ「……」ス

杏子「マミを返せ!」グオオオオ

キリコ(! 軌道がー)

ザク

キリコ「……!」ガフ

杏子「へ、へへ……」

キリコ「……」グ

杏子「こ、これで……マミはー」

マミ「キリ……コ……?」

杏子「マミ! あたしがー」

マミ「キリコー‼」バッ

キリコ「……マミ」

マミ「お、遅いから探して……ああ! ど、どうしよう……!」アセアセ

キリコ「……心配するな……」

杏子「し、心臓やったんだ! もう大丈夫だぜマミ!」

マミ「!」キッ ジャコ

キリコ「……待て」ガシ

マミ「キ、キリコ……⁉」

キリコ「……あいつは混乱してる……話し合って……う」ガハ

マミ「! し、止血しないと!」シュルルル

杏子「なあマミってー」

マミ「!」バシ

杏子「!」

マミ「近づかないで……」ゴゴゴ

杏子「え……?」

カゲローノコオーヤ♪

マミ「! ……ザキくん⁉ た、大変なの! ここは……と、とりあえず病院ーバ、バーコフさん? わ、私の家?」

杏子「……」ボーゼン

マミ「わ、わかりました!」ガシ

キリコ「う……」グッタリ

マミ「我慢してねキリコ! すぐよくなるわ!」シュタタタ

キリコ「……」ガク



杏子「……マミ? 待てよおい?」タタタ

× × ×

ザキ「なにすんだよ分隊長!」

バーコフ「馬鹿野郎! 病院なんぞいってみろ、おれたちゃ異星人なんだぜ」

ゴダン「! 下手すりゃモルモットか」

ほむら(広義的にはそうなるのねそういえば)

さやか「キ、キリコは大丈夫⁉」

コチャック「俺はもうだめだあ……」ボロボロ

まどか「心配だよお……」

バーコフ「それに忘れたのかい坊や、俺たちは異能生存体なんだぞ?」

ザキ「!」

ゴダン「そういやあいつも心臓ぶち抜かれて生きてたな」

バーコフ「死ぬわけがねえ、なら、ここは騒ぎを大きくさせねえこった」

ザキ「……」ムス

バーコフ「よし、マミの家に行くぞ」

さやか「あたしも!」

まどか「う、うん」

ほむら(魔女に……? それとも……)

コチャック「契約する……この怪我治せえ……」ガシ

QB「は、離してよ」ペチペチ

× × ×

杏子「……」ポケー

タタタ

ゴダン「てめえは!」

ほむら「佐倉杏子?」

バーコフ「どういうことだ⁉ ……まさかキリコをー」

さやか「え⁉」

杏子「あ、あのさ、あたし……マミを……いっちゃうから……でも行こうかなって……えっと……」オロオロ

ほむら(……混乱してるわね)

ザキ「こいつが⁉」チャキ

バーコフ「馬鹿野郎! 人目を考えろ!」バシ

杏子「な、なあ、一緒に言ってくれよマミに……」

ほむら「……ええ、とにかく落ち着いて。あなたたちはキリコを」

ザキ「ちい!」タタタ

バーコフ「ゴダン! 見張ってろ!」タタタ

さやか「あ、待って!」タタタ

ゴダン「おうよ!」

コチャック「はあ……はあ……お嬢ちゃんありがとよ……はあ……ハアハア」ズリズリ

まどか「い、いいえ……」(うう、息臭いよお……)カタヲカス

QB(キリコが死ねばマミが絶望するかな……?)トコトコ

× × ×

マミ「大丈夫、キリコ? はい」リンゴアーン

キリコ「……ああ」シャクシャク

バーコフ「ま、死ぬわけねえな」シャクシャク

ザキ「けどヤバかったぜ! 運よく心臓を外れてたけどよ!」シャクシャク

ほむら(胸を貫かれて数時間でここまで回復……?)

QB(話半分だったけど……本物か……これが5人……恐ろしいね、報告だ……)シャクシャク

キリコ「……」ジー

QB「キュップイ」

かつて愛したあの姿が、悪魔に重なる。
何かの冗談であって欲しい

毛触り、柔らかな肉体、仄かな香り。
もう一度抱きしめたくなる。
だが、内には何が潜むのか。
俺には、あの生々しいサングラスが蘇っては消える。

あれは冗談だ。
そんなありもしない言葉を、俺は心のどこかで望んでいた。

キリコ「……すまないキュゥべえを外に……」

QB「ひどいなあキリー」

ほマザ「「「……」」」チャキ

QB「……」キュップイ スタスタ

キリコ「……」

さやか「え? なに? なんでQBにそんなキツいの?」

ザキ「それがよ……」

ほむら(ざまあないわね……)プププ

キリコ「……」シュン

マミ「キリコ……。! そうだ」ヒョイ

キリコ「?」

マミ「私の昔好きだったぬいぐるみ、マーフィーくん。代わりに」

キリコ「……」

マミ「こっちはマーフィーちゃん……おそろいね///」テレテレ

おそろい……何やら照れくさい
だが、俺の冷え切った心に、暖かな陽光が差し込んでいた。

ザキ(なあ、あれって……)ヒソヒソ

ほむら(……アノマノカリス……昔の海洋生物)

バーコフ(なんて禍々しいんだ……)

キリコ「……」プニプニ



グラン「せっかく作ったけどコレどうする?」ヒキワライ

アロン「うーん」ヒキワライ

プロトワン「メイレイ シテ クダサイ」

杏子「……」ソワソワ

ゴダン「うっとうしいぜ座ってろ」

コチャック「お、おい、あんまり近づくなよ。あぶねえぞ」ビクビク

まどか「ね、ねえ、大丈夫?」

杏子「なんでおまえらきたんだよ……」

ゴダン「あ?」

杏子「おまえたちが来たから……変になっちゃったんじゃないか」

コチャック「な、なんだとこのガキ!」

ゴダン「……おうよ、俺は死神様よ」

コチャック「? お、おい?」

ゴダン「死神がてめえをぶっ殺しにきたのよ」

杏子「なにを……」ギロ

まどか「ゴダー」ガバ

コチャック「おめえはこっちだ」スタスタ

コチャック(ゴダンの奴、殺る気だな)

杏子「てめえ……」ス

ゴダン(この距離、あれさえ砕けりゃ死ぬんだよな。楽勝だぜ)ス

× × ×


さやか「キュゥべえ! あんた最低!」

QB「わけがわからないよ」キュップイ

ほむら「言っても無駄よ、こういう奴なの」

さやか「あたしたちも危なかったんだ……。マミさんは……」

マミ「みてほら。ここほつれたのを治してあげたのよ」イチャイチャ

キリコ「マーフィー君もおかげで、助かった」イチャイチャ

ザキ「大丈夫そうだな」

さやか「ねえ、さっきの子も……」

ほむら「ええ」

さやか「……ちょっと見て来る」スタスタ

ザキ「おい! あぶねーぞ!」スタスタ

杏子「……上等だよ!」カッ

ゴダン(いけるな……)スチャ

まどか「ウェヒ……」

コチャック「おめーは見なくていい」サッ

杏子「おまえたちがー」シュン

ゴダン「⁉」

ほむら「……危なかったわね」ファサ

杏子「あ、あれ?」

ゴダン「てめえ……」

さやか「まどか!」

まどか「さやかちゃん!」バッ

ザキ「ゴ、ゴダンあんた……」

ゴダン「……なんだあ? 仕掛けたのはあいつだぜ?」スチャ

コチャック「ワープしやがったのか?」スチャ

杏子「な、なんで止めるんだよ? あいつらがー」

ほむら(さて、どう止めたらいいかしら……まどかに危害を加える気はなさそうだけれど……)

ザキ「お、落ち着けよ。キリコは大丈夫だよ。な? な?」オロオロ

キリコ「……どうした?」ヨロヨロ

まどか「キリコさん!」

ゴダン「おう、生きてるな」

コチャック「そりゃそうだ! 俺たちは死なねえんだからな!」

杏子「え? 心臓を狙って……あれ?」

ほむら(そう、外れていたとしても、こんなに早く回復するわけが……)

バーコフ「てめえら! 馬鹿野郎! 銃を下ろせ! 見られたらどうする!」

ゴダン「アホ抜かせ、野郎が目の前にいるんだぜ?」

キリコ「……ゴダン、よせ」

コチャック「な、なんでおめえが……」

キリコ「俺は気にしてない」

ゴダン「お前が狙いならいいけどよ、どうもそうじゃねえみたいでな」

マミ「キリコ! 動いちゃダメ―」

杏子「マミ!」パアア

マミ「……!」バッ

杏子「マミ?」

マミ「どうしてあなたが……」ゴゴゴ

杏子「え? え?」オロオロ

キリコ「いいんだマミ……」

マミ「よくないわよ!」

杏子「ま、マミ。そいつは無事じゃねえか?」

マミ「!」チャキ

まどか「ウェヒ!」

さやか「ま、マミさん⁉」

ザキ「さ、さがってろ!」チャキ

ほむら「なんのつもり?」チャキ

ゴダン「おっと馬鹿な真似はよしな! コチャック、お前はあいつだ!」チャキ

コチャック「お、おう!」チャ

バーコフ「バカ野郎が!」チャ

杏子「マミ……」

マミ「許さない……」

杏子「え?」

マミ「絶対に許せない!」チャ

ほむら(く……)

QB(これはこれで……)キュップイ

いつもこうだ
俺の周りでは、諍いが怒り、誰かが傷つく

それに疲れ果てても
俺の手は自然に銃を握っていた

死なないために

次回予告

友のため

野望のため

愛する者のため

本能のため

奴らが激突する

魔法少女 異能生存体 インキュベーター

沸き立つものは血と硝煙

炎の臭い染み付いて

むせる

次回『対峙』

マミとマーフィーこそわが命!

× × ×

カチャカチャ

ゴダン「あいつはどこだ?」

バーコフ「さあな」

コチャック「あの野郎が野放しなのは納得できねーぜ!」

ザキ「けどよ、ワルプルなんとかにゃあの杏子ってのが必要だって言ってたぜ?」

QB「たしかに、あのワルプルギスの夜には万全の大勢で挑まないとね」キュップイ

ゴダン「なんでてめえはここにいるんだ」

QB「マミの家だと潰されてまどかの家だと爆殺されてさやかの家だと追い出されるからだよ」

コチャック「自業自得だぜ!」

QB(何気にピンチだね……このままだとまどかを懐柔できない……まずいなあ)

バーコフ「ま、星一つ壊せねえならなんとかなるかもな」

ゴダン「ATもあるしな」

× × ×

ほむら「……というわけで、ワルプルギスの夜が来るわ」

杏子「……」ボー

ほむら「……大丈夫?」

杏子「あー……」ボリボリ

ほむら「……ソウルジェム、浄化しておくわ」

杏子「あんがとな……」テレビジー

ほむら(巴マミとの一件……放っておくわけにもいかないわね……)

× × ×

ワイワイ

マミ「キリコ、次あれ乗りましょ!」ウデグミキャッキャ

キリコ「ああ……」マーフィークンギュ

遊園地……

俺はその威容に圧倒されていた。
娯楽施設自体、軍でのものしか見たことが無い。

ここには、家族と笑顔と……マミとマーフィーくんがいる。

マミ「あ、記念撮影だって! いきましょ!」グイグイ

キリコ「ああ……」

居心地の悪い、場違いな異物感。
が、それすら今の俺には、些末な事だった。

マミ「はいあーん」ソフトクリーム

キリコ「あ、あーん……」ペロペロ

× × ×

コツコツ

ほむら(佐倉杏子……あんなに脆い子じゃなかったのに……全てが良い方向に働くとは限らないのね……)

ピタ

ほむら(もしあの状態が続けば……私と巴マミ、そして彼ら……)

ほむら(本当に不死なら……でも、その後は?)

ほむら(……いえ、考えないようにしましょう。ワルプルギスの夜はそんな甘い相手じゃない。全力で行かないと)

スタスタ



コチャック「見つけた」ヌ

ゴダン「……」ヌ

× × ×

ザキ「あれ? あいつらは?」

バーコフ「さあな。俺は親父じゃあねえさ。また飯でも食べ歩いてるんだろ」

QB「ZZZ」スピー

× × ×

ピーピーピー

コチャック「あそこだぜ」

ゴダン「携帯電話ってのは信号を暗号化もしてねえのか」

コチャック「お、俺は戻るぜ。取引はここまでだ」

ゴダン「バカ野郎。ジタバタすんじゃねえ」グイ

コチャック「ぐえ」

ゴダン「てめえだってリストにゃ入ってんだ。消しとかねえとどうなるかわかったもんじゃねえ」

コチャック「わ、わかったよ」ゴホゴホ

ゴダン「おめえは煙幕入れりゃいい。俺がやる」

コチャック「お、おう」

ゴダン「いくぜ」タタタ

× × ×

杏子「……」ボー

コンコン

杏子「?」

コンコン

杏子「ほむら……?」

コンコン

杏子「なんだよ……戻ってくるならそういえよ」スタスタ

カチャ

ドゴオオオン 

杏子「-!」ドサア

ポイ シュー

杏子「⁉ 煙⁉」

ゴダン「!」ドン

杏子「! てめえは‼」ダン

ゴダン「あばよ」スチャ

杏子「!」

バギュン

杏子「ぐううううううう!」ガシ

ゴダン「‼ ずらして―」

杏子「!」パアアア

ゴダン「‼」シュ

杏子「はあ……はあ……やってくれるじゃねえか……」シュウウ スチャ

ゴダン「おいおい……こっちの異能生存体の呼び方が、魔法少女ってオチじゃねえだろうな?」ジリジリ

杏子「‼」ダッ

ゴダン「‼」ダッ

バタン

コチャック「⁉ ゴダ―」ドン

ゴダン「邪魔だ!」

コチャック「な、なにしや―」

グサ

コチャック「ぎゃあああああああ! ケツがああああああああ‼」ピューピュー

杏子「懐かしいぜ……おまえらぶっ潰してグリーフシードいただいてやんよ!」ダッ

コチャック「ぎゃあああああ!」ゴロゴロ ブシャー

ゴダン「!」ドンドン

杏子「おら!」キンキン

ゴダン「弾きやがった⁉ 化け物が!」

ワーワー

ナンダー

キャー

ゴダン「ち! きづかれたか!」

杏子「この!」シュ

ゴダン「! コチャック! 立て!」サッ

コチャック「お、おう!」ピューピュー

ゴダン『ATだ!』ガシン

コチャック『やってやるぜ!』ガシン

杏子「今度は手加減しねえ!」キョダイヤリ

ゴダン『なに⁉』

コチャック『う、嘘だろ⁉』

杏子「そのロボットそんなに固くねえんだろ⁉ くらえ!」

ドガガ

ゴダン『よ、よけ―』

コチャック『む、無理だうわあああああ!』

ドゴオオン

ドシャアアアアアア

モクモク

ワーワー

キャーキャー

ゴダン「く、くそ……ATが……」

コチャック「床が抜けたあ……」

杏子「手えかそうかあ?」スタ

ゴダン「この―!」シュウウ

ダン

ゴダン『忘れたのか! 何度でも―』ズル

ガタ ガラララ ズン

ゴダン『うお⁉』コシマデウマル

コチャック「が、瓦礫のせいで立てねえ⁉」

杏子「動くなよお……」ス

ゴダン『!』パカ ダッ

杏子「!」ザン

ゴダン「ぬう!」ゴロゴロ

杏子「へ、往生際悪いぜ」

ゴダン「野郎!」シュウウ

コチャック「よせゴダン! この瓦礫じゃ埋まるか転ぶかだぜ! 的になる!」

ゴダン「じゃ、じゃあ銃だけかよ⁉」

杏子「もう一丁いくぜえ……」キョダイヤリ

コチャック「ひいーっ! 俺はゴダンにそそのかされただけなんだあ! 味方だあ!」

ゴダン「てめえ!」

杏子「仲良いなあ!」シュ

ドゴオオオオオン

モクモク

杏子「へ、ざまあみやがれ―」

ゴダン「あ、あぶねえ……」スレスレ

コチャック「ケツがあ……!」ピュピュー

杏子「!」

杏子(ギ、ギリギリで避け……い、いや、あたしの槍をそう簡単にーそういやあのキリコってやつも―ふ、不死身……⁉)

ゴダン「死にやがれ!」ドギュン

杏子「! っち!」ス

ドギュンドギュン

ゴダン「っは!」ダッ

コチャック「ふぎゃ!」ドテ

杏子「逃げてんじゃねえ!」タッ

ゴダン「!」ポイ

杏子「⁉ うお!」シュ

ドゴオン

杏子「ば、爆弾⁉ あぶねー」

チャキ

ゴダン「死にな!」

杏子「!」ジャキ

コチャック「や、槍じゃねえ! 棍! ゴダンの背後を―」

ゴダン「!」ダン

杏子「!」シュン

コチャック「!」

ゴダン「ぬう!」ジワア

杏子「いつ……」グ

ドサ

コチャック「ゴ、ゴダン! し、死ぬんじゃねえ! 俺はどうなる! 戦え!」

ゴダン「うるせんだ蛆虫野郎が!」イテテ

杏子「外したな……」シュウ

バッ

杏子「ロボットは出せねえぞ」ヘヘ

ゴダン「てめえも俺は殺せねえ。異能生存体だからな」クク

杏子「でも、刺さりはするんだろ? 怪我がすぐに治るわけじゃねえ」

ゴダン「っけ……」

杏子「……聞きたいんだけどよ」

ゴダン「ああ?」

杏子「あんたら本当に死なねえのか?」

コチャック「あ、あたりめえだ!」

杏子「家族は?」

コチャック「?」

杏子「親兄弟とかいんのかよ? そいつらはどうしてる?」

ゴダン「……なんで聞く」

杏子「なんとなくだ」

ゴダン「……死んでら」

杏子「……あんたは?」

コチャック「……生きてるかもな、10年近くみてねえけどよ」

杏子「……平気なのかよ?」

ゴダン「?」

杏子「死なねえってことは、他の家族は先に死んじまうんだろ。家族じゃなくても友達も……」

ゴダン「……っへ」

ゴダン「なるほどなあ」ニヤニヤ

杏子「ああ?」

ゴダン「てめえ、そのマホウショウジョとかになって誰ぞぶっ殺すなりしたな?」

杏子「!」チャキ

ゴダン「図星だな」ヘヘ

杏子「……」

ゴダン「お生憎、俺はてめえたあ違うぜ。遺伝子が決めたんだ。礼儀も仁義もねえ。てめえでなったなら責任をもたねえとな」

杏子「!」

コチャック「そ、そうよ! 遺伝子のお墨付きだあ! 俺が仕組んだわけじゃねえんだ!」

ゴダン「死神様たあお笑いだぜ」

杏子(そうか……こいつらは……)

ほむら「佐倉杏子!」シュタ

杏子「あんたか……」

ほむら「あなたたち……」キッ

ゴダン「てめえ」

コチャック「や、やっぱりそっち側かよ!」チャキ

杏子「……止めた」ス

ほむら「?」

杏子「あたしは今まで通り生きてくよ」

ほむら「あなた―」

杏子「色々、わかった。そうだよ、あたしも最初から―」

チュインチュイン

杏子「!」バッ

ほむら「!」

ゴダン「くそ!」

コチャック「ゴダン! 一旦退こうぜ! ATなしじゃきついぜ! できれば平地によ!」

ゴダン「仕方ねえ!」ポイ

ほむら(手榴弾⁉)

ドゴオオオオン




モクモク

ザワザワ

コチャック「どうする?」コソコソ

ゴダン「あの甘ちゃんぶりからすりゃ、こうしてりゃ野次馬共が邪魔して攻撃できねえ」コソコソ

コチャック「……道路、平地だ」コソコソ

ゴダン「野郎が顔出した瞬間ATでもろともぶっ飛ばす」コソコソ

コチャック「けどよ、ほむらは瞬間移動できるんだぜ?」コソコソ

ゴダン「こっちは死なねえんだ、いくらでも持久戦しかけて―」コソコソ

ザキ「! いたぜ分隊長!」ダダダ

バーコフ「おまえら!」ダダダ

コチャック「げげっ!」

バーコフ「バカ野郎! 騒ぎを起こすなといったろうが!」

ゴダン「言わしてもらうがな、野郎野放しにする方が騒ぎになるぜ!」

バーコフ「あいつとは―」

ほむら「お話し中だったかしら?」ファサ

バーコフ「お嬢ちゃん……」

ゴダン「てめえ! どっちの味方だ!」

ほむら「私は冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵」ファサ

コチャック「スカしてるんじゃねーぞ!」

ゴダン「蝙蝠野郎が!」チャキ

ザキ「よ、よせ!」バッ

バーコフ「目的は……?」

ほむら「佐倉杏子とは、停戦してもらいたいの」

ゴダン「は、こうだぜ分隊長」

バーコフ「今回の件は謝ろう。けど、あんたの目論見も見えねえ。何を考えている?」

ほむら「……」

バーコフ「助けようってことは、それなりな仲か? だが、あっちはそんな気配がなかった」

ほむら「……」

バーコフ「何を隠してる?」

ほむら(……潮時……かしらね)

× × ×

ワイワイ

パーン 

パーン

キリコ「……」

マミ「きれいね……///」ギュ

キリコ「……ああ」

平穏な一日。
どれほど焦がれたものだろう。

だが、俺の胸に去来するのは、これがいつ壊されるかという恐れだった。
サンサのように……

マミ「ねえキリコ……」

キリコ「……っ!」ハッ

マミ「終電、無くなっちゃったね///」

キリコ「……!」

否、それすら些事に過ぎない。
生きる限り、俺は戦いから逃れられないのだ。

QB「やっとみつけたよマミ、みんなどこかいっちゃってごは―」

マミ「……」ヘンシン パーン ヘンシンカイジョ

QB「ぶべ!」グチャ

マミ「ここ、ホテルあるのよ///」

俺を待っているのは地獄だけだ。
それを改めて突き付られている。

次回予告

ついに明かされた少女の野望

それは例外なくすべてを巻き込んでいく

数多の命

破壊の嵐

鮮血に彩られた旅の果て 全ては一個の少女がため

魔法少女暁美ほむら執心の悲願

次回『友』

ただ一つの誤算、それは、奴らがここにいることだ

シャーシャー

~♪ ~♪

キリコ「……」

本能が告げる。
ガレアデ。
ダウンバースト。
モナド。
ここも等しく戦場に違いはない。

甘く柔らかいこの空間に、俺は心底恐怖していた。

スタスタ

キリコ「……」カチャカチャ

キリコ「……⁉」カチャカチャ

ドアにリボンが……

キリコ「……」シャ

窓にも張り巡らされている。

ガンガン

銃で殴っても、ビクともしない。
そう、おれは籠の中の鳥だった。

キリコ「……」チャキ

床だ
床を抜けば―

シュルルルル

カチャ

マミ「もうキリコったら♪ こんな危ないのだめじゃない」カチャカチャ ポイ

熟練の兵士顔負けの動きで、アーマーマグナムは分解された
俺を守る重火器は、鉄くずへと変わってしまった

マミ「キリコもはいってらっしゃい///」

そのとき俺の胸に去来したのは
サンサの両親の記憶だった

わずかの思い出、わずかのぬくもり

それを思い出さねば凍えるほど、俺の血は冷める一方だった

シャワアアア

キリコ「……」

焦るな。
俺は……俺たちは死なない。

マミ「キリコ~/// 背中流しま―」ガチャ

キリコ「!」ガチャ ヂャキ

マミ「あ、あら? あかないわね……」ガチャガチャ

シャワーヘッドを閂にしドアをふさいだ。
だが油断はできない。
すぐにでも奴は侵入してくる。

絶望的な状況の中、俺はただ光に向かいあえぐ。

マミ「しょうがないわねもう///」シュルシュル

わずかの隙間から侵入し閂を外そうとするリボン。
それは、アダムとイブをそそのかす邪悪の権化に俺には思えた。

× × ×

ほむら「……これが、私の戦う理由よ……」

ゴダン「物好きな野郎だな。あの娘一人によお」マンジュウムシャムシャ

コチャック「ほかに星もねえし、航空技術も発達してねえ。詰んでねえか?」ヤキゾバズルズル

バーコフ「ワルプルギスってのはまあPMHMみたいなもんか」サケグイグイ

ザキ「苦労してたんだな……大丈夫か?」サスサス

ほむら「あ、ありがとう」

ゴダン「で、勝ち目はあんのか?」

コチャック「ねえなら隠れてた方が得だぜ」

ザキ「おい!」

バーコフ「ま、やらねえと焼野原ってとこか」

ゴダン「おいおい」

コチャック「はた迷惑な野郎だぜ!」

ザキ「なあほむら。みんな避難させるんじゃだめなのか?」

ほむら「それでも、いずれあいつはやってくるわ」

ほむら(それに……まどかが知れば契約してしまう……)

コチャック「こっちの戦力は?」

ほむら「私とあなたたち、佐倉杏子に巴マミ……かしら」

ゴダン「待て」

ほむら「?」

ゴダン「てめえが何度も時間を戻してると認めるとして、勝てたことはあったのか?」

ほむら(……ブラフが通じる相手じゃないわね)

ほむら「ええ……一度も」

コチャック「お、俺は降りるぜ!」

ザキ「おい!」

コチャック「死なねえまでも怪我なんぞごめんだぜ!」

ゴダン「確かに、小娘のためにじゃな」

バーコフ「お嬢さん、俺も賛成できねえ。勝ち目がないのに戦うってのはな」

ザキ「ほむらは何回も戦って―」

ほむら「……いくらでもお金をあげるわ」

ゴダン「へ、強盗略奪なら俺のほうが手馴れてら」

ザキ「なんだよお前ら!」

コチャック「てめえこそなんなんだこの野郎」

バーコフ「坊や、こそ泥で食うかはともかく、そいつと戦うのは俺もごめんだぜ」

ザキ「分隊長!」

ゴダン「うるせーぞザキ! まらてめえでやれ止めねえからよ!」

コチャック「な、なあならさっさと逃げようぜ!」

ギャーギャー

ほむら(……けど、キリコさえ説得できれば……)

× × ×

マミ「開けて?」ギリギリ

キリコ「今は……忙しい……」ギリギリ

マミ「あ・け・て?」

バギ

マミ「まあ、ドアが壊れちゃった♪」ウフフ

キリコ「……」

マミ「きゃ、魔翌力が切れちゃったわ///」ヘンシンカイジョ スッポンポン

キリコ「やめろっ、やめるんだ!」

魔翌翌翌力→魔翌力

メール欄に saga で 魔力って表示できるようになるで

>>445 ありがとナス

マミ「キリコ///」ワキワキ

キリコ「今は……忙しい……」ニジニジ

QB「ふう、もうひどいなあ。ようやくここまで―」ヒョコヒョコ

ムギュ

QB「ぐえ」ブチュ

マミ「きゃ」ツル

ゴチン

マミ「」キュウ

キリコ「⁉ マミ! 大丈夫か?」ダキカカエ

QB「た、助け……」ピクピク

キリコ「……」ズドン

QB「べ」バチュン



× × ×

マミ「う~ん……」

キリコ「……」

俺はほっとしている……
しかし同時に、言いようのない感情に支配されていた

QB「まったく、簡単に個体をつぶさ―」

キリコ「……」ズドン

QB「な」ボチュン

ベッドに横たわる目の前の少女の肉体。
上気だった肌。
わきあがる衝動に、俺は戸惑う。

恐怖でしかなかったそれが
宝石にも
楽園にもみえていたのだ

人の本能さん「命の危険! 増えなきゃ!」
異能の因子さん「ならまず相手をおとなしくさせないとな!」

キリコ「……」

マミ「……」ウーンウーン

スウ

やめろ
俺の理性がそう叫ぶ
だが……!

キリコ「……」ス ティッシュ 

俺はいつものように拭けるものを持ち
閉鎖された空間に戻る

ATのコックピットが、風呂場に変わっただけだ
そう、軍隊に女はいなかった
わずかの解放感と喪失感をもたらすのは常に俺自身に他ならなかった。

QB「ひどいよキリ―」

キリコ「……」クビヲオルオト

QB「」ウワラバ

カチャ

水も豊富にある
暖かい
なのになぜ、この行為はどこであろうとむなしさを覚えるのだろう?

扉一枚隔てれば、彼女がいる
そう、彼女から迫ってきたのだ
本能のまま突き進めと脳裏に声がよぎる

しかし、俺にはできなかった

マーフィーくんとともに、俺はほろ苦い夜を
戦場を駆けた固い手と過ごすのだった

次回予告

正義? 鼻で笑った

仁義? 足蹴にした

家族? 顔も知らない

愛も夢も奴らは見ない
ただただ生存本能に従い判断し行動してきた

それに悔いなどない
選択を誤ればここにはいない

これまでも、これからも

ならばどうする?

そう、奴のもとに集う
それを利用せよ

次回『集結』

一つ忠告しておこう
異能が生かすのは奴だけだ

チュンチュン

マミ「う~ん……」

キリコ「目が覚めたか」

マミ「キリコ……」ッハ

キリコ「気にしなくていい」

そう、俺が臆病だっただけだ。
誰かの気持ちに応えるなど、久しく忘れていた

マミ「キリコ……」

キリコ「すまない……」

マミ「あんなに愛し合ったのに、つれないわね///」

キリコ「……ん?」

愛し合う(混浴モドキ)

キリコ「……お前は思い違いをしている……」

マミ「もう、照れなくていいのよ///」テヲギュ

キリコ「は、離せえ!」

マミ「初めて同士だし仕方ないもの///」

キリコ「目を覚ますんだ!」

マミ「ほら? わかる?///」オナカニテヲアテル

キリコ「……?」

マミ「私とキリコの結晶///」カオマッカ

キリコ「冗談は無しだ。俺は、くそ真面目な男だ」

QB「キリコのいう通りだよマミ。君は願望を語っているだけで一般的な生殖行動はとってなー」バチュ

シュルルルル ポイ

ヨクシツイッパイノキュウベエノシタイ「「「「「「「」」」」」」

マミ「式は洋風がいいわね/// キリコもそうでしょう?///」ルンルン

キリコ「ぬああああああああ!」シロメ



異能の因子「まだ慌てる時間じゃない」

× × ×

カチャ

さやか「おーっす転校生! 遊びに来たよー!」

まどか「お邪魔しまーす」ウェヒヒ

ゴダン「どこに逃げるかだぜ」

バーコフ「紛争地帯だと紛れ込めそうだ。日本ってのは俺たちは目立っちまうしな」

コチャック「飯が食えねえのは御免だぜ!」

ザキ「おうお前ら」

ほむら「いらっしゃい……」ファサ

さやか「あらら? この人たちはなにしてんのさ?」ヒョイ

ゴダン「あっちいけこの」シッシ

ザキ「こいつら逃げ出そうとしてるんだぜ!」

まどか「え? どこかいっちゃうの?」

コチャック「? おい、お前ら知らねえのか?」

さやか「?」

バーコフ「おいおいお嬢さん……」

ゴダン「へ、こりゃ御大層なお言葉も怪しいもんじゃねえか? なあ?」

ほむら「……」

QB「だからこそまどかが必要なんだよ」ヒョイ

さやか「わ」

× × ×

まどか「そ、そんな見滝原が……」

さやか「ま、マジ?」

QB「だから僕と契約して、魔法少女になってよ」キュップイ

ほむら「いいえ、その必要はないわ。私たちがなんとかするもの」

さやか「そ、そうだよ! 不死身だもん!」

ザキ「おう! 任せとけ!」

ゴダン「俺は逃げるぞ」

コチャック「俺もだ!」

バーコフ「悪いなお嬢ちゃん」

まどか「……」

ザキ「し、心配すんなって! 俺とキリコと―」

ユメヲミタケリャカケルシカナイノサー♪

ザキ「お、噂をすればだぜ! おう! キリコ!」ピッ

キリコ『……希望が消えてゆく。 ザキ、バーコフ、ゴダン、コチャック…一人に、一人にしないでくれ。 どこだ、みんなどこにいるんだ…』

ザキ「ん?」

キリコ『そうさ…俺こそ家庭を持つ資格なんかありはしない……』

ザキ「キ、キリコ?」

キリコ『ぬおっ! ……』

ザキ「キリコ⁉ おいどうしたキリコ⁉ キリコ―ッ⁉」

マミ『もうパパったら♪ 家族の間には隠し事なんていけないのよ?』

キリコ『俺は戦うために生まれてきた。俺の安息は戦いの中にしかないんだ』

マミ「そうね♪ これから新婚生活っていう戦いが始まるものね///』

キリコ『は、離せえ!』ブツ ツーツーツー

まどか「ど、どうしたの?」アセアセ

ザキ「わ、わからねえ! キリコが……」

ほむら「?」

さやか「そういえばマミさん最近みてないね」

QB「ああ、マミなら想像せいこ―」ブチュア

コチャック「ぎゃああああ! 顔にかかったあ!ジタバタ

バーコフ「銃声⁉」チャキ

ゴダン「どこだ!」バッ

さやか「きゃ! あ、あたしを盾にすんなあ!」

ほむら(今のは巴マミの……)

プルルルル

まどか「!」ビク

ザキ「も、もしもし?」

マミ『あらザキ君? ごめんなさいね急に切って』

ザキ「キ、キリコはどうした!」

マミ『今少し手が離せないのよ』ウフフ

ほむら「(デンワヲカワル)巴マミ……キュウべえはあなたが?」

マミ『あら暁美さん。ええ、キュウべえったらおいたが過ぎるわね』

QB「まったくひどいじゃないか」ヒョコ

まどか「わ、復活したよ」

QB「僕は事実を―」ボチュ

コチャック「ひいいいい! なんでおればっかり!」ジタバタ

ゴダン「近寄るんじゃねえ!」

マミ『あらあら、またおいたしたみたいね』ウフフフ

ほむら(魔力が劇的に上がっている……?)

マミ『そうそう、それでね―』



× × ×

ピンポーン

ほむら(急な呼び出し……一体……)

さやか「なんであんたらも来るのよ」

ゴダン「呼ばれたからだぜお嬢さん」

コチャック「なんだかんだ飯はうめえしな」ヘッヘ

バーコフ「キリコと打ち合わせもしたい」

まどか「キリコさんも久しぶりだなあ」ウェヒヒ

ザキ(ま、まさかキリコのやつ子供が……⁉ も、もうそこまで⁉)

QB(否定するとまたスペックが減りそうだね……黙ってよう)キュップイ

杏子「あれ? あんたら……」

コチャック「ひい!」

ゴダン「槍のガキ!」

ほむら「あなたも?」

杏子「おう、マミの奴一体―」

ガチャ

マミ「あら、いらっしゃい♪」マタニティファッション

バッ

キリコ「ここから出せ! 出してくれ!」キリコトマミノカオガハートデツツマレテルテヅクリノセーター

シュルルルル

マミ「ダメよパパ? 今日はパ・ア・ティ・でしょ?」ウフフ

キリコ「違う! 違うんだ―うわあああああああ……」ヒュルルルル 

さやか(キ、キリコが……)

まどか(リボンに引っ張られて奥に消えちゃった……)

× × ×

まどか「わあすごい」キャッキャ

杏子「ごちそうじゃねえか!」

さやか「何かあったんですか?」

マミ「ええナニがあったのよ///」ウフフ

QB「それは願望だと―」ブチュリ

マミ「あら、なにか踏んだかしら?」グリュグリュ

ゴダン「飯はこっちのほうが旨そうだな」

コチャック「インスタントもいいけどな。変なところに技術が発展してるなここは」

バーコフ「この規模で一人……いや二人でいけるか」ブツブツ

ザキ「な、なあキリコ。俺ってやっぱりおじさんっていわれるのかな? な、なんか変な感じするな///」

キリコ「やめろお!」クビシメ

ザキ「キ、キリコーッ⁉ 何を⁉」

キリコ「お前の脳には何らかの処理がされているはずだ、治す」キキセマルメ

ほむら(いつぶりかしら……こんな団欒は)

マミ「さあ、めしあがれ」ズラ

ゴダン「うめえな」ガツガツ

杏子「あたしのだ!」ゲシ

コチャック「ひいー!」

まどか「わあすごい」

さやか「うひょー」

ザキ「へへ」

マミ「はい、あ・な・た💛 きゃ///」アーン

キリコ「……アガガ」リボンデコウソクサレクチヲアケラレル

QB「ねえねえキリコからまどかに話しておくれよう」スリスリ

ほむら(そろそろいいかしらね)

ほむら「巴マミ、それにみんなも聞いて欲しいの」

× × ×

まどか「そ、そんな……」ガタガタ

さやか「ま、マジで?」

QB「だからまどかが魔法少女に―」ベチャ

杏子「やるしかねーなあ」

ザキ「へ! モナドに比べりゃあ屁でもねえ!」

マミ「なんてことかしら! 私たちの家庭を脅かすなんて許せないわ! ねえあなた!」ギュ

キリコ「わかった。喜んで破壊を受け入れよう」

マミ「また共同作業ね///」

キリコ「この認知の絶対拒否、それが俺の望みだ! 生きたまま邪神になってやる!」ウガー

ゴダン「おいおい今更なんだ」

コチャック「お涙で説得かよ!」

バーコフ「悪いがお嬢さん、俺たちは―」チュイン

マミ「あら? 旦那様のお友達なら当然助けてくれるわよね?」マスケット シュウウ

バーコフ(こ、こいつは……)

ゴダン(お、俺にはわかるぜ。もし逃げればこの女、地獄の底まで追って来て骨まですり潰しやがる……!)

コチャック「ひいい!」ガタガタ

ほむら(よっしゃ……)グッ

× × ×

マミ「ZZZ」ムニャムニャ ベッド

キリコ「……」リボンデコウソクinベッド

俺は果てしない牢獄に囚われている。
進めば地獄、退けども地獄
悪夢は三度蘇るのだ

マミ「うふふ……」ギュ

キリコ「……」

家庭。
ふと俺は思う。サンサでの生活はどうだっただろうか?
俺が、この俺がまっとうに『家族』を演じていたのだろうか?

マミ「ずっと……いっしょよ……」ムニャムニャ

俺は恐れていた。
家族に、人並みの幸せを得ることへの罪悪感を。
そして、喪うことを。

だが―

キリコ「……」ジッ

マミ「ZZZ」グガー

この少女もそうなら―
身の丈に合わない望を、今は願いたかった。

× × ×

ガヤガヤ

コチャック「だ、大丈夫かよ?」コソコソ

ゴダン「たりめーだ。んなもんに命なんぞ張れるか」コソコソ

コチャック「……尾行はついてねえ」

ゴダン「あのガキが気付かねえうちにもっと離れるぞ」

コチャック「けどよお……」

ゴダン「バカ、てめえもヤキが回ってるぜ。遺伝子がそうさせるんだ。なにも―」

さやか「あ」

まどか「ゴダンさんにコチャックさん」 

ゴダン「ち、あっちいけガキ」シッシ

さやか「ちょっと何よその態度!」プンプン

まどか「お買い物ですか?」

コチャック「お、おう」

まどか「あ、そうだ」ゴソゴソ



ゴダン「あ?」

コチャック「何だこりゃ?」

さやか「お守りじゃん」

まどか「うん、神社で買ってきたんだ」ウェヒヒ

ゴダン「記憶媒体か?」シゲシゲ

さやか「お守りだよ、神様に守ってもらう? みたいな」

コチャック「こ、ここにもマーティアルが進出してるのか?」

まどか「まー?」キョトン

ゴダン「この星の信仰みたいだぜ。へ、神様ねえ」

さやか「なによ」

まどか「私は何もできないけど……お願いします」ペコリ

コチャック「……」

さやか「あ、行かなきゃ。じゃ、逃げんじゃないよ!」

まどか「もうさやかちゃん! 失礼します」

タタタ

ゴダン「け、こんなもん鼻紙にもなりゃしねえ」ポイ

コチャック「……」ジイ

ゴダン「おらモタモタすんな! いくぞ!」

コチャック「……お、おう」

ゴダン タタタ

コチャック タタ……

クル

ヒョイ

コチャック「……」ギュ

ゴダン「コチャック!」

コチャック「わ、わかったよ……」

タタタ

× × ×

ほむら「以上が作戦よ」

バーコフ「構わねえがコチャックとゴダンは危険だ。今だって連絡とれねえ、逃げたのかもな」

ザキ「あのカス野郎!」

バーコフ「ま、不死身が3人いりゃなんとかならあな」

キリコ「マミと杏子、ほむらも戦わせないわけにはいかないか分隊長」

杏子「ちょっとちょっと、あんたあたしらナメてんの?」

マミ「妻と愛の結晶を気遣ってるのよ///」オナカサスサス

キリコ「違う」

マミ「もう、照れ屋さん///」セナカバシバシ

バーコフ「6人だぞ? できれば6万は欲しいぜ。ま。こちらさんも一枚岩じゃねえみたいだがな」

ほむら「……」

そう、彼女たちは戦士に違いなかった。
それは俺に過去を思い起こさせた。
少年兵……
ザキとてそうだ。
ここでも、彼らは過酷な運命に曝されるのか。

ガチャ

さやか「やっほー」

まどか「お邪魔します」

QB「やあキリコ」

ほむら「まどか……」

さやか「ほら、あんたもいるって聞いたから」タイヤキ

杏子「お、へへ」

ザキ「お前ら」

まどか「はい、ほむらちゃんたちにもキリコさんたちにも」ス

バーコフ「?」

さやか「あ、お守り」

杏子「あたしに効くのかな?」シゲシゲ

ザキ「ここにもマーティアル来てんのか?」シゲシゲ

ほむら「大事にするわ」ヒシ

キリコ「……ありがとう」ギュ

まどか「ティヒヒ///」

マミ「あら? 安産祈願じゃないのね」

QB「マミ、現実が見えないといろい―」ドグチャ

× × ×

カーカー

キリコ「……」スタスタ

マミ「今日は何にしましょうか」ウデグミ

QB「カレーがいいかな」ヒョコヒョコ

キリコ「……」ピタ

マミ「?」

キリコ「マミ……」

マミ「なあに?」

キリコ「……俺と本当にいたいのか?」

両親……カースン……俺と関わった奴は死んでいく。
不死身なんかじゃない。
他人の命を啜り生きながらえる死神だ。

マミ「……」ギュウ

マミのぬくもりが俺を現実に戻した。

マミ「うん……」

キリコ「……」

マミ「好きよ……」

そんなことが許されるのか。
俺が……まっとうな人生など……。
全てを知って、マミは俺といたいのか。

キリコ「……」

いつだって応えてくれる奴はいない。
俺は……
俺はどうなのだ。
己すら、答えをくれそうにはなかった。

マミ「このおなかの子もよ///」サスサス

キリコ「冗談は無しだ」

マミ「女の子なら名前はマリコがいいわね///」

キリコ「いいだろう。お前の望み通り、その赤ん坊は俺が育てよう。だが……現実でではない!」グイグイ

QB「わけがわからないよ」

× × ×

ほむら(……最高の周回かもしれない、まどかも美樹さやかも魔女化せず杏子とも良好……。巴マミは妙な感じだけど
    なぜか頼もしいわね)

ザキ「なあ」

ほむら「! なにかしら?」

ザキ「そ、そのさ、ここって異星人……外人でも学校行けるのか?」

ほむら「……?」

ザキ「い、いや。もしそのなんとかの夜終わったらさ、俺……ちょっと行ってみたいかな……な、なんでもねえやっぱ!」

タタタ

ほむら「……」

バーコフ「気にしねえでくれ」

ほむら「!」

バーコフ「かなりその可能性は高いからな。俺たちは死なねえ。まあザキくらいなら堅気でもやり直せるだろう」

ほむら「……あなたは?」

バーコフ「金がありゃどこだって生きられるのさ。この星は天国だぜ。だから引き受けた」

ほむら「……」

バーコフ「ゴダンとコチャックのことは謝ろう。だが汲んでくれ、そういう生き方しかしてこなかったんだよ。
     なに3人もいりゃどうってこたあねえ」

スタスタ

ほむら(……彼らにも、理由があるのね)

× × ×

キリコ「……」

ATの中にいると落ち着くのはなぜだろうか。
性分だと俺は思っていた。
拭い去れない血の匂い。
戦場が俺のゆりかごだ。

だが似つかわしくないものがあった
まどかのくれたお守りと
マーフィーくん

ザキ『来たぜキリコ』

バーコフ『確かに……すげえもんだな』

細かな振動が伝わる。
ワルプルギスの夜。
幾度も少女の願いを砕いた災厄に、俺は挑もうとしていた。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年10月27日 (木) 10:31:19   ID: TvYy4GT7

面白かっただけに残念だ・・・
是非とも完結して欲しかった・・・

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom