男「世界で5人きり」(52)


男「朝になれば太陽はのぼるし」

男「夜になれば街の灯りがつく」

女「昼にはお腹がすいて」

女友「夜には眠くなる」

男友「もちろん溜まるものも溜まるし」

オタ「って、なにいってんの」


男友「普段と何が違うのかと言うと・・・」

女「周囲に誰一人、人間がいないことである・・・これでいいの?」

男「うん、サンキューやっぱ女は字が上手いな」

女友「なんで現状をノートに書かなきゃいけないのー?」

男「こんなおかしな事になってるから・・・もしもの時のために文章に残しておいた方がいいと思って・・・」

オタ(もしもねぇ・・・)


事の発端は一日前。

いつも通り学校に来ると門が閉まっていたのだ。

閉まっている門の前で立ち止まっていたのが俺と男友、女、女友、オタの5人。

普通の登校日だったし何かの間違いかと思い、俺達は門を乗り越え校内に入った。

鍵は開いているのに誰も人がいないのに気づいたのは校内を歩きまわって30分程した頃だった。

普通は休日と言っても教師の一人二人いると思っていたが、そうでもない。

男友の〝じゃあ家でもう一眠りかな~〟の一言で俺達はそれぞれ家に帰った。


家に帰る途中から何か不気味な雰囲気を感じていた。

誰ともすれ違わない。朝通勤している社会人、登校している生徒、車でさえ、鳥でさえ

何一つ俺の傍を横切らなかった。嫌な予感はした。そしてその予感は的中する。

家に居るはずの母、まだ保育所にも預けていない妹。ペットのポチ。

誰も居なかった。

居間のテレビはどんなにチャンネルを回しても何も映らなかった。


俺は走って学校まで向かった。

他の4人も同じだったようで、息を切らして学校の前に立っていた。

一眠りどころじゃない とつぶやいた男友の声で

俺はやっと冷静さを取り戻しつつあった。


女友「来る途中確認したけど・・・お店とかは全部やってて、電気もついてて・・・」

男友「店員は?」

女友「いないよ・・・」

女「どうなってんの・・・」

男「・・・」

オタ「電気使えるし、確認したけど水も流れるから・・・とりあえずはなんとかなると」

男「オタは本当冷静お助けキャラだな」

オタ「いやいや」


オタ「ただ人が居ないってだけの世界だと思う」

女友「・・・だけって・・・」

オタ「他に表現の仕方が分からないよ」

男友「まぁその通りだな」

女「なんでこんなことになったんだと思う?オタ君」

オタ「それは・・・分からないね」

男「・・・駄目だアドレス帳にある電話全部にかけたけど繋がらない」

女友「電気が通るのに電話が使えないの?」

男友「おかしくねソレ」

オタ「おそらく俺ら以外の人に関するデータ的なものは使えないんじゃ・・」


~♪~♪♪

♪♪~

ピピピピ

女「なにっ?」

男「メールだ」

男友「俺も」

オタ「皆にメールが・・・」

女友「差出人・・・知らないアドレス」



from game-startxxxxxxxxx
――――――――――――――――――――――

勇敢なる諸君らに僕からの挑戦状だ。

安心してくれ、家族や周りの人はみんな無事さ。
一時、時間を停止して別空間に保護している。
眠っている状態が続いていると考えて欲しい。
健康に害はない。むしろ君らより安全だ。

元の世界に戻したいなら条件は一つ。
私が出すミッションをクリアしていけばいい。

後ほど個別にミッションを送るので
悪しからず


女友「勇敢なる、諸君ら?」

男友「家族が・・・無事」

オタ「ミッションとは・・・一体」

女「・・・」

~♪♪

男「俺からか・・・」


女友「なっなんて書いてるの!?」

男「・・・隣町の」

男友「は?」

男「隣町のスーパーでプリンを人数分とってくること。・・・

  代金はいらない。今、この世界では金銭は無価値。
  君らの使った物などは、もとの世界に戻ると同時に矛盾が無いように修正される・・・」

女「・・・え」

女友「ミッションがプリン・・・ださ」

男「いやいや、こんなミッションで良かったと思わなきゃ」

男友「最初だから手抜いてんのかも」

男「かもな・・・じゃあちょっくら電車使って・・・」

オタ「人がいないから電車動かないんじゃ・・・」

男「・・・自転車かよ」

男友「後一年待てばバイク乗れるのにな~ドンマイ~」





男「プリンです・・・ゼーッ」

女友「どうもどうも☆」

女「お疲れ様~」

男友「やっぱ隣町も人いないのか?」

男「あぁ・・・」

オタ「食べていいのかなコレ」

男「分かんねーけど・・・ハイ、とりあえずスプーン」

女友「食べる気満々じゃん!いっただきま~す」

オタ「いただきます」

女「いただきま~す」

男友「パクパク」

男「うめー!」


男友「給食で余ったら戦争してたよな」

女友「は?」

男「プリンな」

女「男子元気だったよねぇ」

オタ「中学のころ男友君はいつも勝ってたよね」

男友「あぁ!ジャンケン強くてさー!!」

女「男君も参加してた・・・っけアレ?」

女友「そういえば男だけクラス別じゃなかったっけ?」

男「あぁ、皆とは2つクラスが離れてたな」

男友「そーいや高校で一緒になってそのうち仲良くなったんだっけ」

男「だったかな・・・」

女(やっばーい私覚えてないよ)

~♪

女友「うわ!!」


女友「えっと」

女「なんて書いてるの?」

女友「あ、タイトルついてる・・・
   男のミッションクリアを確認。」

男「見られてるのか・・・」

男友「ミッション書かれてないの?」

女友「・・・次は女の、重大な秘密をひとつ、皆にバラすこと・・・」

女「私っ!?」

男「重大な秘密って・・・」


女「女友・・・」

女友「っと・・・女は、うーん」

男友「なんでもいいって」

女友「実はアニメ好きである~」

女「まっ、まぁ、好きなほう・・・」

男友(照れとる・・・)

オタ(アレは相当何か好きなアニメがある・・・)

~♪

女友「また私っ!?」


男「なんて書いてる?」

女友「なっ・・・ 重大な秘密では無い。無効とする。」

女(えっ、それって私が決めることなんじゃ・・・)

男友「他になにがあるってんだよ~・・・」

女友「・・・続きが・・・」

男「続きの文章があるのか?」

オタ「?」

女友「・・・今後もこのようにミッションを軽く見られるような事があってはならない。
   よって今回よりミッションに制限とペナルティをつける・・・」

女「えっ!!」

オタ(ペナルティ・・・)

女友「 今回の制限時間は・・・1分・・・ペナルティは女友の髪没収・・・?」

男友「かみ!?」

オタ「かみって頭の髪?」

女「没収ってなに・・・」


女「女友!なんでもいいよ言って!!」

女友「言ってっつったって・・・」

男「一分なんだぞ、早く決めないと・・・」

女友「かっ、髪ぐらいくれてやるわよ!!」

女(女友・・・)

~♪

女友「メール・・・一分・・・経過をお知らせします」

男友「わっ、風が・・・!!」

男「!!」

女友「わっ」

バサッ


女「あっ髪・・・」

女友「・・・」

男友「大丈夫か女友・・・」

女友「髪・・・ショートになっただけじゃん」

男「・・・」

ピピピピ・・・

オタ「ミッション失敗・・・これは宣戦布告・・・」

女「え?」

オタ「理解いただけただろうか。私には不可能が無いということ。」

男友「オタそれって」

オタ「私の力ひとつで人を殺すという事も容易ではない」

女「・・・」

オタ「次のミッションは、制限時間10分」

男「延びたな」

オタ「女とキスをすること」

男友「えっ」

女「・・・」

女友「え・・・」

オタ「ペナルティはオタの鞄のな、かの・・・・・・」

女友「・・・なに?」

オタ「くっそおおおああああ!!」

女(えっ、なに)

男「どうしたどうした」

オタ「こいつ・・・僕のこのキーホルダーを没収するって・・・!!」

女(あれは・・・アニメdvd初回限定版についてくる転売禁止のキーホルダー!!)


女(あれはオタクなら命に代えても手放せない代物・・・!!)

オタ「く・・・」

女友「いや・・・キスぐらいすればいいじゃん」

男「え」

女「え?」

オタ「え」

女友「は?」

男友「いや、没収が嫌ならしろよ・・・」

オタ「は?」

男「・・・」


女「いいよ」

オタ「え?だって」

女「私もそのキーホルダーの価値は知ってる」ボソ

オタ「女さん・・・」

チュ

女「私からしても大丈夫なのかな?」

女友(手にキスって・・・どこの王子さまよ)

オタ(あっなるほど)

~♪♪

男友「俺?」

男「頼む、読んでくれ」

男友(・・・あれ?何だ?)

男友「あ、あぁ・・・オタのミッションクリアを確認・・・」


男友「次のミッション、制限は35分。男と二人で校舎内を一周 

   ペナルティは男友の・・・小指・・・」

女「・・・」

オタ「えぐい・・・」

女友「何か・・・マズい感じになってきたね」

男「校舎内一周は楽だけど・・・」

男友「・・・行くか」

男「おう」


男友「・・・」

男「いやーなんで二人なんだろうな~」

男友「なんか薄気味悪いな。主催者の考え」

男「だなぁ・・・」

男友「・・・狂ってる・・・」

男「だよなぁ・・・」

男「ていうかこの世界のしくみがもう・・・」

男友「おっかしいよなぁ」


男友「・・・あっ!!そういえばさぁ」

男「ん?」

男友「お前と初めて会った時思い出したよ!!」

男「えー?高校のクラス分けだろー?」

男友「いや~中学の最後にさぁ・・・」




男「男友?」







男「・・・」

男友「」

男「・・・なんだ・・・一体・・・?」

男「・・・とにかくコイツと一緒に校舎周らなきゃ・・・背負っていくか・・・キツいな~・・・」

男「よいしょっと・・・くっ」




女友「・・・アレ、男友どうしたのっ!?」

女「男君!時間ギリギリ!!大丈夫だった?」

オタ「説明お願いできますか?」

男「急に男友が倒れたんだ・・・でもミッションクリアのために背負って一周してきた」

オタ「お疲れ様です・・・」

~♪

女「・・・!!」


女「わっ私・・・」

女友「読んで・・・女」

女「・・・男友のミッション成功。
  次のミッションは制限時間1時間。
  続いても男と校内一周。
  ペナルティは女の守ったものを没収・・・?」

男「どういうことだ・・・?」

オタ「?」

女友「守ったものって・・・?」

オタ(まさかさっきのミッションの件のことか?キスをして俺(のキーホルダー)を守ったって事とか・・・?)

女友「と、とりあえず行ってきなよ!!男友は置いていってさ」

男「そうだな。・・・もしかして今度は女が倒れるとかか?ははっ」

女「私は健康が取り柄なので倒れたりしません!」

オタ「二人とも、お気をつけて・・・」

女「はーい!」




オタ「なんか・・・違うなぁ」

女友「え?なにが?」

オタ「男くんって体格っていうか雰囲気変わったよね?」

女友「まぁ入学当初より背伸びたんじゃ・・・」

オタ「や、中学校の頃・・・」

女友「私ら知らないでしょ~」

オタ「俺・・・芸術部で・・・」

女友「?」

オタ「はっきり覚えてない、気のせいかもしれないけど・・・幽霊部員がいた気がするんだ」

オタ「そいつは――――」





女「なんでまた男くんなんだろうね?」


男「え・・・?」

女「ん?なんでもう一周させられてるのかなー?って」

男「本当になんでだろうな・・・」

女「・・・そういえばさー入学式で、覚えてない?」

男「え」

女「私教室の場所分からなくてさ~・・・近くにいた男君に道案内してもらって・・・」

男「あぁ・・・ちょうどこの廊下だったなあ・・・」

男「あーあれが女と初めて会った日か・・・」

女「・・・そうだっけ?」

男「もう忘れたのかよー・・・」


女「私あの頃から人見知り激しくてさー・・・なのに男君と話せたのかぁ・・・」

男「人見知りねぇ・・・」

女「それだけ必死だったのかな・・・私」

男「・・・さぁ・・・」





男友「思い・・・だしたんだ・・・俺・・・」

オタ「!?」

女友「男友!大丈夫?」

男友「やっぱ・・・皆・・・記憶を消されてたんだ・・・うっ」

女友「え?っ・・・!?」

オタ「痛っ!?」





女「・・・おと・・・こ・・・何?」

男「なんでみんな思い出すんだ・・・」




女(思いだした・・・私達5人が出会ったのは中3の冬だった・・・)










  頼む、・・・くれ


男友「男に・・・初めて会った時の事を話した・・・」

オタ「あぁ・・・そうだ・・・俺ら・・・は」

女友「男を助けようとして・・・あれ・・・」

男友「話した後・・・男が俺を急に殴ってきて・・・」







・・・・・・・・・・・

ギャル男「また学校来てんのか男~!!」

ヤンキー「今日はどこまで脱いでくれるのかな~!?」

ギャル「ちょっ汚いからやめなよ~」

ギャル男「ギャハハハハッハッハ」

ヤンキー「


ヤンキー「おい、やべーぞ!向こうに人来た!!」

ギャル「逃げよっ」

ギャル男「てめーチクんなよ!!」





男「はっ・・・はぁっ」



女「大丈夫ですか!?」

女友「女~先生呼ぶ~?」

男友「そしたら報復に来るかもだろ、止めとけ」

オタ「芸術部に参加してくれないと思えばこんなところに居たとは・・・」

男「・・・・・・」

女「大丈夫?立てる?」









天使だと思った。


典型的ないじめられっ子。
そんな俺の周りは中3の冬に一瞬にして変わった。


昼休みは5人で過ごした。

部活と言ってもすぐに引退する時期に入った。
文化部は冬まで活動するらしい。初めて知った。
部活もない5人は自然に一緒に下校するようになった。
一緒に下校しながら買い食いをした。遊びにも行くようになった。

次第に女のことを好きになった。


でも薄々感じていた。
女は色恋に興味が無いという事。
まして俺は元いじめられっ子。彼氏になる?無理に決まっている。

せめて・・・せめて普通の、明るい、男子だったら。
もしかしたら女は俺を――。


色々な事を考えた。けどどんな言い訳をしたってしょうがない。
俺は俺なのだから・・・。と思い告白を決意した。

アドレスは知らない、聞くのも恥ずかしい。
少しダサいかもしれないが手紙を書いた。



男「頼む、読んでくれ」



男友「いいのか?誤字脱字ぐらい自分で確かめろよ」

男「いや・・・自分の目が信用できなくて」


男友「うん、間違いはない!!行ってこい!!」

男「ありあがとう男友!!」

男友「べつにー!!」














 でも  ・・・ううん


ごめんね・・・    嫌いじゃないよ・・・?



  う~ん・・・    はは


無理だった。と受け止めたのは数時間後だった。


男友に告白を煽ってすまなかったと言われた。





惨めだった。




やはり元いじめられっ子の俺を見下しているのか。
そんな思いが募っていって、卒業が近づくにつれ4人とは関わらなくなっていった。


女が後悔しているのは目に見えて分かった。
やっぱり私のせいで と3人に相談している姿を見た。

俺を責めているのかと錯覚した。




悪いことはしたつもりは無い。
告白の失敗を面白可笑しく話されている気がして、さらに彼女を避けるようになった。


そんなの気のせいだと分かっていた。
そんなことないと気づいていた。


でもまた、差し伸ばした手を振りほどかれるのが怖かった。


夢をよく見るようになったのはこの頃からだ。
神が俺の前に現れる夢だった。可笑しい話だ、と思った。

夢の回数を重ねる度に、現実との区別がつかなくなっていったりした。
そんな頃に神は俺に言った。




「私の実験台となってもらう」


その意味を俺が尋ねると
神は今回のミッションゲームについて説明をしてきた。
4人の記憶を消す事を大前提にその説明はされた。

そしてそのゲームで5人のなかは必ず深まる。と言われた
そのときの俺は、あの関係が戻るなら何をしてもいい と思っていたから
4人の記憶を消してくれると言うなら、本当になんでもする覚悟だった。



神は人間の行動パターンを知りたいと言っていた。
その好奇心はまるで子供のようなものだと思う。




俺は神に全てを委ねゲームをすることを決めた。
最初は順調に進んでいた。

でも男友は記憶を取り戻した。




なぜだ?



男『・・・』

男友『』

男『・・・なんだ・・・一体・・・?』

男『・・・とにかくコイツと一緒に校舎周らなきゃ・・・背負っていくか・・・キツいな~・・・』

男『よいしょっと・・・くっ』


男『くははははははっ!!!!』








男「なんでみんな思い出すんだ・・・」

女「おとこっ・・・苦しい・・」

男「は

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