晶葉「官邸にウサミンロボが落下した」金剛「可愛いお客さんデース!」 (41)


【モバマス】【艦これ】クロスです



 池袋晶葉によって作られたウサちゃんロボたちの一部は、ウサミン科学による改造の結果、ウサミンロボとなった。

 ウサちゃんロボ改こと、ウサミンロボである。

 ウサミンロボはウサちゃんロボと共に、今日も大好きなアイドルたちのために働くのだ。






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 ふう、と大きく息を吐いて、池袋晶葉は周囲を見回しました。

「今日の作業も一段落だな」

 ここはシンデレラプロ地下、池袋科学要塞研究所こと池袋ラボです。

「後片付けは……」

 研究所所長兼シンデレラプロ所属アイドルである晶葉は、もう一度辺りを見回します。
 紙切れや余り配線、金属片が辺りに散らばっています。

「後片付けロボを用意しておけば良かった……仕方ない」

 壁のインターコムのスイッチを入れます。

「手の空いているウサミンロボ、一台こっちまで来てくれ」

 うさ

 少しすると扉が開き、ウサミンロボが姿を見せました。

「おや?」

 ロボの後ろには、安部菜々がいます。

「やっぱり晶葉ちゃんここでしたか」

「どうしたんだ、ウサミン」

「晶葉ちゃんが今日オフなのに事務所に来てるって聞いたから、どうせ研究所だろうと思ったら」

「もう、研究母体がこっちに移ってしまっているからな。セキュリティの問題もあるし」

「それで、今日は何を食べたんですか?」

「前にウサミンに言われたとおり、朝食と昼食はちゃんと食べたぞ」

「菜々が聞いているのはメニューです。あ、ロボちゃんは、お片付けを始めてくださいね」

 うさ~

 ロボがお片付けを始めました。明らかなゴミだけを見つけて袋に放り込んでいきます。
 よくわからない物は未決袋の中です。

「メニュー……」

「カロリーメイトだけとか、スタドリだけなんて言ったら怒りますよ」

「大丈夫だ、スニッカーズだから」

「ウサミンチョップはパンチ力!」

「チョップされた!? 何故だ、ウサミン!」

「ご飯はちゃんと食べる。そう約束しましたよね?」

「だから、スニッカーズ」

「ウサミンキックは破壊力!」

「蹴られた!?」

「次はウサミン竹槍で岩砕きますよ」

「それはウサミンロボの警備用装備じゃないか……」

「それで、夕食の予定はなんですか?」

「スニッカーズがまだ余って……」

「ロボ、竹槍持ってきて」

 うさ!

「待て! ウサミン、落ち着け! ロボも竹槍を下ろすんだ!」

「ちゃんとしたご飯を食べてください」

「わ、わかった。しかし、ご飯の材料が……」

「こんなこともあろうかと、夕ご飯の材料を買ってきてありますから」

「なんだって?」

「あじの干物を焼いて、神戸屋のコロッケ、あとはお味噌汁とサラダを作ります」

「……いつも済まないな、ウサミン」

「ロボにご飯を炊いてもらってください」

「わかった」

 うさ

 ウサミンロボは、ダンゴ作りの応用でご飯を炊くことが出来るのです。

 ♪うさ~うさ~ キンキンキングゲーナー

 モンキーダンスを踊っているように見えますが、これはダンゴ制作時、または炊飯時のポーズです。

 この腕の振りがダンゴやお米に絶妙な振動を与え、美味しくできあがるのです。

 ご飯の炊きあがった頃、おかずの準備も出来ました。菜々と晶葉はお皿を並べます。

「テレビでもつけましょうか」

 菜々がテレビをつけると、ちょうどニュースの時間です。

「む、ニュースか……誰かの出ている番組があるかと思ったが」

 晶葉が言いながら、テレビ画面にデータを呼び出して確認します。

「ニュースの次の番組は……あ、これ、興水幸子の出ているやつじゃないか? 助手が言ってたような気がする」

「あ、幸子ちゃんが言ってましたね、体験型の動物ふれあい園で、ニワトリに襲われたって言ってました」

「……幸子も大変だな……ん?」

 ふと、晶葉はテレビ画面に見慣れたものが映ったような気がしました。

「〝臨時ニュースです、首相官邸で謎の物体が発見されたとの情報が入ってきました〟」
「〝現場からの中継です〟」

 画面には、屈強な男たちにウサミンロボが運ばれている姿が。

「ロボーーーーっ!?」

「ロボちゃん!?」

 うさっ!?

 画面の向こうのロボは温和しく男たちに運ばれながらも、中継カメラの存在に気づいたようです。
 ニコニコと手を振っています。

 多分、状況がわかっていません。

「あ、晶葉ちゃん、これって……」

「……恐らく、休暇中の八号だ」

「ロボの背中に何か付いてますよ」

「ウサミンロボ空中遊泳用支援メカ、ウサキキューンだ」

「ウサ気球?」

「ウサキキューンだ。ウサドリーン、ウサブルーン、ウサタンクと同時に開発していたのだが……」

「なんで、そのキキューンを装備してるんですか」

「時間があるときに試験飛行を、と頼んでいたんだ」

「試験飛行中に、落ちちゃったんでしょうか」

「おそらく」

「官邸に落ちましたか」

「……やばいかな」

「かもしれませんね」

「なあ、ウサミン」

「はい」

「実は一つ気になっていることがあってな」

「なんですか?」

「八号がウサキキューンを取りに来たのは今朝なんだ」

「はい」

「そのとき、一緒に十二号もいた」

「ほほぉ」

「どこ行ったんだろうな、十二号」

「八号と一緒じゃないんでしょうか」

「あ」

 テレビの向こうでは、ウサミンロボが男たちを振り切って逃走を開始しました。

 きゅらきゅらきゅらきゅら

「なんで逃げるのーーーっ?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ……ここはどこウサ?

 ロボは、博士からウサキキューンを借りたウサ

 未確認反応を発見して接近したウサ

 接近する途中で故障して、ロボは落下したウサ。八号とはぐれてしまったウサ

「……」

 誰かいるウサ?

「……どなたですか?」

 ロボは、ウサミンロボウサ

「ウサミンロボさんですか。初めまして。私は榛名と申します」

 初めましてウサ

「ロボさんは、礼儀正しいのですね」

「榛名は、お姉さまたちと一緒にこの地をお護りしているのですが、ロボさんはどのようなご用ですか?」

 ここはどこウサ?


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「ウサミン、十二号の居場所がわかりそうだぞ」

「どこですか?」

「待て、このビーコンを追って……首相官邸に近いな……」

「どこですか?」

「」

「晶葉ちゃん?」

「……どうしよう」

「晶葉ちゃん?」

「元江戸城のような気がする」

「え、元江戸城って……」

「うん」

「ミミミンミミミン……」

「現実逃避は止めろ、ウサミン」

「……い、いったいどうすれば……」

「なに、ウサミン科学を持ってすれば脱出くらいなんとかなるだろう……」

「駄目なんです」

「ん?」

「ウサミン星から地球に来るときに、きちんと釘を刺されました」

「なんだ?」

「日本とイギリスには絶対逆らってはならない、ましてや敵対など以ての外だと」

「……NASAとか国連宇宙軍とかじゃなくて?」

「NASAや国連なんてウサミン科学の前では、廃課金に挑む無課金のようなものですよ」

「それはそうかも知れないが……」

「駄目なんです」

「理由を聞いてもいいか?」

「まず、日本は、ウサミン星との関係が深いから駄目です。千葉にウサミン星との直通ワームホールがありますし」

「そういえばそうだった」

「あと、765さん怖いです」

「……765プロ、ウサミンロボの総力を結集しても戦術シミュでの勝率が三割以下だったか」

「はい、そして、イギリスも駄目です」

「イギリスに765プロはないぞ、むしろウチのほうが関係は深い。ケイトとか」

「何言ってるんですか、イギリスはさらに怖いんですよ」

「なんで」

「1980年、すでに人類は地球防衛組織SHADOを結成していたんですよ?」

「はぁ」

「SHADOの本部はイギリスのとある映画会社の地下深くに秘密裏に作られていたんですよ!」

「お、おう」

「ウサミン星人と直接争うことはありませんでしたが、やっぱり怖いです」

「そ、そうか」


「お父さんは昔、冗談半分で地球に来たときにインターセプターに追いかけられたことがあったそうです」

「何やってんだ、ウサミンパパ」

「そのうえ、ドクターフーはいるし、そもそも、ナチと戦う吸血鬼さんまでいるじゃないですか!」

「う、うん」

「いざとなったらエクスカリバー持った王様も復活しますし、とにかく怖すぎます、イギリス」

「お……おう」
 


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「可愛いお客さんデース!」

 うさ?

 ウサミンロボは榛名さんを含めた四人のお姉さんに囲まれていました。

 いつの間にかテーブルも置かれ、ティータイムが始められています。

 四人のお姉さんはそれぞれテーブルの周りに等間隔に座り、ウサミンロボは榛名さんの膝の上に座らされています。

 テーブルの上には美味しそうなスコーンやキュウリのサンドイッチ。そして紅茶。

「ふーん、この人が侵入者なのですか?」

 うさ!

「ひぇー」

 うさ

「ひえー」

 うさっ

「……あの、比叡姉さま。よくわからないコミュニケーションは控えていただくと嬉しいのですが」

「霧島は真面目すぎますよね、お姉さま」

「私にも、今の比叡のジョークはちょっと難しかったネー」

「お、お姉さまっ!? わ、わかりました。比叡は今のジョークを永遠に封印します」

 榛名さんがウサミンロボに姉妹を紹介しています。

「金剛お姉さま、比叡お姉さま、霧島です」

「HI! 私が金剛型一番艦、金剛デース」

「その妹分。金剛型二番艦、比叡です」

「同じく四番艦、霧島です」

 ウサミンロボは丁寧にご挨拶をします。

 はじめましてウサ

 ロボはウサちゃんロボ改、ウサミンロボ十二号、ウサ

「ふーん、ロボなのネー」

「ウサミンロボと仰るのですか」

「連装砲ちゃんみたいな御方なのでしょうか?」

 うさっ!?

 ウサミンロボは先ほどから気になっていることを尋ねることにしました。

 どうして、この人たちにはロボの言葉がわかるのでしょうか。
 

 ロボは、菜々ママや池袋博士、アイドルたちの言葉がわかります。

 だけど、ロボの言葉はアイドルたち人間にはわかりません。

 わかるのは、菜々ママと諸星きらりと赤城みりあ、ヘレンと依田芳乃と遊佐こずえだけです。

 白坂小梅はわかりませんが、「あの子」が通訳してくれます。

 川島瑞樹さんは「わかるわ」と言いますが、本当にわかっていた試しがありません。

「それはきっと、榛名たちが人間ではないからです」

 うさ?

「榛名たちはかつて大海を駆け巡った艦魂を宿した存在ですから」
「ロボちゃんにも、私たちのような魂がきっとあるんですね」

 榛名さんの言葉にうなずき、うふふ、と微笑みながら席を立つ金剛さん。後に続く比叡さん、霧島さん。

 お客様を残して席を立つなんて失礼だけどネー、ソーリーね。などと言いながら笑っている金剛さん。

「私たちは、祀られることのなかった怨念から、この国を護っていますネー」

「人を護るために生まれ、人を護り沈み、再び人を護るためにこの姿を授かりました」

「怨念を鎮め、祀るためのこの姿、この艤装、この戦闘力です」

 うさぁ

「というわけで、榛名にはそのまま、お客様のボディガードを命じマス」

「え、私が、ですか? お姉さま」

「アイツらが、性懲りも無くやってきたようデース。比叡、霧島、抜錨ネ!」

「気合い! いれて! 行きます!」

「ロボちゃんのウサキキューンとやらを攻撃したのもあいつらの仕業のようですね」

 うさ?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「しかし、だ、ウサミン」

「はい」

「現実問題として、落ちたロボを回収しなければならない」

「官邸から逃げ出したロボも」

「うん、……そうだな」

「アイデアが一つ、あります」

「聞こう」

「このCGプロって人材の宝庫ですから、一人くらいはあの辺りの関係者がいませんかね」

「……」

「……」

「依田芳乃はどうだろうか」

「芳乃ちゃんですか……確かに、通じていても不思議は無いような気がしないでも無いような……」

「神道、巫女の類いだからな、神事で関わっている一抹の可能性が」

「あと、イヴちゃん」

「クリスマス限定で侵入できそうな気はするな」

「あと、765さんのところの四条さん」

「本気で有りそうな気がして怖いな」

「……駄目ですかね」

「よしんば入れたとしても、今すぐは無理だろう」

「マキノちゃん」

「普通に侵入してどうする」


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「バーニン! ラァーーーーブ!!」

 怪しげな影のような煙のような塊が、金剛さんたちの気合い一閃で消えていきます。

 うさうさ

 ウサミンロボは確信していました。

 金剛さん、比叡さん、霧島さん、榛名さんはいい人たちだと。

 そのいい人たちの敵なのだから、怪しげな影は悪者に違いありません。

 うさ!

 悪い人にお仕置きするのは、ウサミンロボの使命でもあります。ストーカーは許さないのです。

 だから、ウサミンロボも戦います。金剛さんたちだけに戦わせてはいけません。

 アイドルのように見目麗しい人たちなのです、護らなければなりません。

 ウサミンロボはアイドルを護ります。優しい人も護ります。

 戦いの痛み苦しみは、ロボたちだけが知ればいい。ウサミンロボはそう思っています。

 ウサミンロボ緊急発進です。

 うさっ!

 きゅらきゅらきゅら

 空回りするキャタピラ。

 うさ?

「駄目ですよ、ロボちゃん」

 榛名さんがウサミンロボをしっかりと押さえつけていました。

 うさ?

 ウサミンロボはびっくりしてしまいました。
 
 ウサミンロボを純粋な腕力だけで止めるなんて、諸星きらりや木場真奈美、東郷あいにも無理です。

 だけど、お山を狙う棟方愛海やパンを食べる大原みちるには時々負けます。

 時々です。ウサミン科学の誇りにかけて連敗はしていません。

 ウサミンパワー全開!

 きゅらきゅらきゅら

 やっぱりキャタピラが空回りしています。

 うさ~

 榛名さんはとても強いようです。

 うさうさうさ

 さっき榛名さんは言いました。ロボにも自分たちと同じように魂があると。

 それなら、ロボは戦います。護るために。

「駄目です。アレは……祀られなかった深海の贄は、私たちが砲火を交わすべき敵ですから」
「ロボちゃんはロボちゃんの護るべき物がありますよね」
「榛名には、わかります。ロボちゃんの魂がそのための物だって」
「ロボちゃんの魂がその身体に戻ったとき、ロボちゃんの護る物……アイドルを護ってください」
「私たちは、深海の贄となった魂と戦い、この国を護ります」

 うさ

「贄が実体を持てば、きっと私たちも実体を持つでしょう。そのときはもう一度、ティータイムをご一緒しましょうね」

 うさうさ

「ロボちゃんのオトモダチが、呼んでますよ」

 うさ?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 うさ! うさ! うさ!

 十二号が目を覚ますと、そこには八号がいました。

 うさ?
 
 うさっ! うさっ!

 東京駅上空で謎の攻撃を受けたウサキキューンが墜落し、八号と十二号は離ればなれになっていたのです。

 官邸で目を覚ました八号が、こうやって元江戸城近辺に落ちた十二号を救出に来たのです。

 うさうさ

 ウサミンレーダーによると、さっき受けた攻撃の気配は無くなっているようです。

 きっと、金剛さんたちが倒してくれたのだ、と十二号は思いました。

 二台は、ウサキキューンを立て直して脱出します。

 ウサキキューンのステルス性能があれば、官邸SPの追跡をかわすなど、たやすいことなのです。


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「うーん」

「どうした、ウサミン」

「あ、晶葉ちゃん。ロボに新しいプログラムを入れましたか?」

「……新しい振り付けか?」

「最近、ロボの作るおやつのレパートリーが増えたみたいなんです」

「ほぉ」

「スコーンやキュウリのサンドイッチ。あと、紅茶も美味しくいれることが出来るようになりました」

「心当たりが無いなぁ。自力で覚えたんじゃないか?」

「うーん……」

「ところで次の仕事だが、キャンセルになったらしいな」

「はい、マリンパークのお仕事だったんですけれど、例の事件のせいで」

「……深海棲艦か……一体何なんだろうな、あれは」

「ウサミン星からは、地球の内乱に手出し無用と言われました」

「内乱なのか、あれ」

「そうみたいですよ」

「お、ちょうどニュースの時間だな」

 晶葉の言葉に菜々はテレビに目を向けました。そこには、深海棲艦に対抗する艦娘たちの姿が。

「あれが、艦娘ですか」

「深海棲艦と同じ頃に突然現れたという噂だが」

「あれ、どうしたの、ロボ」

「なんだか嬉しそうだな、ロボ」

 榛名さんをテレビに見つけたウサミンロボは、思わず手を振っていたのでした。


 ウサミンロボは、ティータイムを楽しみにしています。


以上、お粗末さまでした


基本モバマスですけれど、たまに艦これSSも書いてました

過去の艦これSS

【艦これ】提督「連装砲ちゃん、抜錨せよ!」

【艦これ】「旗振り連装砲ちゃん」

【艦これ】「私は深い海の底から貴方を想い続ける」



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