晶葉「あーん」 (23)

【モバマスSS】です

短いです

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モバP「……今日は少し寒いな、晶葉」

晶葉「ああ、助手か、いつの間に来てたんだ」

モバP「今来たところだよ。なんだ、またなんか作ってるのか」

晶葉「今、ちょっと手が離せないんだ」

モバP「何やってんだ?」

晶葉「見てわからないか?」

モバP「わからん」


晶葉「まあ、見ただけじゃわかんないか」

モバP「なんだそれ」

晶葉「節分用の鬼ロボだ、うまくいけばライブにも間に合う」

モバP「鬼には見えないな」

晶葉「外装は最後に取り付けるからな」

モバP「なるほど」

晶葉「それで、何か用か? 手が離せないんで、このままの格好で聞くけど」


モバP「忍の実家から林檎が送られてきてな」

晶葉「すまないな、手が汚れてるんで」

モバP「大体予想は付いてた、剥いて切ってから持ってきてるよ」

晶葉「……一人、だよな?」

モバP「俺一人だ、ちゃんとフォークも持ってきてるよ」

晶葉「あ、ああ……」

モバP「ほら」


晶葉「……あーん」

 開いた晶葉の口の中に、小さく切った林檎を入れるモバP。
 晶葉がしゃくっと食べると、残りの半分を自分の口の中に放り込む。

晶葉「あ、ああっ」

 真っ赤になる晶葉。

モバP「どうした?」

晶葉「……意地悪だな、助手は」


モバP「何が」

晶葉「そういう不意打ちは良くない」

モバP「じゃあ……」

 しゃりっと林檎を囓るモバP。
 半分をフォークに刺したまま、晶葉へと向ける。

モバP「逆ならいいのかな?」

晶葉「……馬鹿」


 それでも晶葉は口を開ける。
 しゃくしゃくと林檎を食べる。

モバP「美味い林檎だ」

晶葉「ああ」

モバP「ほら」

 三つ、四つとモバPは林檎を晶葉の口へと運ぶ。

モバP「うまいか?」


晶葉「美味しい」

モバP「そりゃ良かった」

晶葉「そこの部品取ってくれ」

モバP「どれだ?」

晶葉「後ろの壁の所、赤い縞模様のシールが貼られている奴だ」

モバP「14番て書いてある奴?」

晶葉「16番」


モバP「どれくらい掛かりそうだ?」

晶葉「今日一日はかかるかな」

モバP「それは困ったな」

晶葉「今日と明日はレッスンも入ってなかったと思うが?」

モバP「俺の午後の時間が空いている」

晶葉「うん」

モバP「食事にでも誘うつもりだったが」


晶葉「……すまない」

モバP「いいさ。そうだな、愛海か笑美が空いてたかな」

晶葉「待て」

モバP「まさかとは思うが、予定を変える?」

晶葉「おい、この私が、池袋晶葉が、色恋沙汰で予定を変えるとでも?」

モバP「実のところ、それで変えるよう女なら、はなっから食事には誘わない。それでこそ池袋晶葉だと思うよ」

晶葉「ああ、変えてたまるか。だけど、私は欲張りなんだ。助手との食事の機会も逃したくない」


モバP「じゃあどうする?」

晶葉「高級な弁当は嫌いかな?」

モバP「冷や飯は、嫌いじゃない」

晶葉「それじゃあ、二つ注文だ」

モバP「喜んで」

 ロボから手を離さない晶葉と、それを眺めているモバPに弁当が届けられたのは三時間後。

モバP「三時間も、よく続くものだな」


晶葉「それをずっと眺めている助手も相当なものだと思うぞ」

モバP「楽しみがあるからな」

晶葉「弁当か?」

モバP「弁当を君に食べさせるという楽しみが」

晶葉「……馬鹿」

モバP「予測していなかったとは言わせないぞ、天才池袋晶葉ともあろう者が」

晶葉「それを大声で吹聴するのが馬鹿だと言ってるんだ」


モバP「それは否定じゃなくて肯定だな。それでは、食べさせてあげよう」

晶葉「あ……むぅ……」

モバP「ほら、あーん」

晶葉「……馬鹿。……あーん」


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モバP「ほら、あーん」


晶葉「あーん」

モバP「美味いか? みかん」

晶葉「甘い」

モバP「晴の実家から送ってくれたんだぞ」

晶葉「御礼を言っておいてくれないか」


モバP「ああ」

晶葉「もう一つ食べたい」

モバP「ん」

晶葉「あーん」

モバP「来月には退院できるそうだから」

晶葉「それは有難いな」

モバP「馬鹿な真似するなよ」


晶葉「胸に刻みつけておくよ」

モバP「……ロボ爆発させて両手足負傷って……」

晶葉「面目ない」

モバP「負傷で良かった。不随になってたらどうする気だよ」

晶葉「捨てられたかな」

モバP「次同じ事言ったら本気で怒るぞ」

晶葉「すまない。でも、顔と身体に傷跡が残らなくて良かった」


モバP「まさかそんなこと言うとはな……」

晶葉「君に見せられなくなる」

モバP「馬鹿、傷痕あろうが無かろうが池袋晶葉は池袋晶葉だ」

晶葉「……」

モバP「お、ぉい、泣くなよ、おい、ちょっと」

晶葉「すまない」

モバP「ほら、みかん食え、みかん」

晶葉「……うん」

 
 
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晶葉「はい、あーん」

晶葉「美味しいですか?」

晶葉「そうですか。それは良かったですね」

晶葉「柔らかいチーズでしょう?」


晶葉「覚えていますか? 及川さん」

晶葉「あの人のお孫さんが、今じゃ牧場のご主人なんですよ」

晶葉「時々、こうやって送ってくれるんですよ。有難いことですね」

晶葉「あら、おねむですか?」

晶葉「それじゃあ、少し寝ましょうか」

晶葉「ロボちゃん、ロボちゃん」

 きゅらきゅらきゅらきゅら


晶葉「まさか、私の開発した介護ロボが貴方のお世話をするなんてね……」

 うさうさ

晶葉「ああ、私はいいのよ。それより、この人に毛布を」

 うさうさ
 きゅらきゅきゅきゅ

晶葉「……今日は、少し寒いですね、貴方」



以上お粗末様でした

最初は閲覧注意なものを書こうとしていたのに何故かこうなった
でも後悔はしていない


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