沙紀「『僕は付き合うのはごめんですな』」 (604)

※モバマスSS
複数P世界、安価スレ
エロ・鬼畜は安価下
誤字脱字・駄文・亀注意
オリジナル設定注意
>>1の亀が悪化中につきそこも注意



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1441885190

亜季「『皆の者、私に付き合え!』」
亜季「『皆の者、私に付き合え!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1441100838/)

保奈美「『私に付き合いたくないの?』」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1441324344


の続きです
本番の100-2-2作目
アトランタ編開始です
配役がアレかもしれませんがそこは何卒お許しください……………

アトランタ行き列車 客車



ガタンゴトン…ガタンゴトン…

保奈美「………………………」

ガタンゴトン…ガタンゴトン…

保奈美「……今のアトランタ………どんな場所なのかしら………?……きっと、チャールストンやサヴァナよりは退屈な場所ではないとは思うけれど………」

保奈美「……ピティパット叔母さんやメラニーは気にくわないけど、戦争が始まる前の冬に一度来たきりの街がどうなっているかは……まあ、少し興味はあるかしら…?」

保奈美「………………………………」

リボーン・ドール(ウェード)「…………………」スヤスヤ……

保奈美「はぁ………産まれたばっかりだって言うのに肝が座っていること……」

保奈美「……産まれたばかりで思い出したけど、アトランタも私よりたった9年前に産まれたばかりの街なんでしたっけ。…お父さんが酔っ払ったときによく話してたわね…」

保奈美「……お父さんが言っていた通りなら、私が産まれるまでの9年間はターミナス、次にマーサズヴィル…そして、私ね産まれた歳にアトランタと呼ばれるようになった……でしたっけ…?」

保奈美「……チャールストンやサヴァナみたいな、何だか古臭い街に比べたらずいぶん若いのね。親しみが持てるような気がするわ。」

保奈美「チャールストンもサヴァナも、住んでる人間から何からまで埃っぽいんだもの。娯楽と言ったら、『修養的な著作』とやらを大声で読むのが関の山。……退屈ったらありゃしないわ。」

保奈美「………アトランタ…新しくて自由な街………退屈はしないで済みそうね。」

保奈美「……………早く着かないかしら…」

公演会場 ロビー



沙紀P「………………………」

巨大アート「……………………」

沙紀P「……会心の出来……と言う物だろうか…………ふふっ………これでは文字通りの自画自賛だ………」

沙紀P「………しかし…俺だけでは決して完成しなかった………モデルになってくれた美優ちゃんや仁奈ちゃん………絵に集中させてくれた事務所のみんな…………そして、何より沙紀ちゃんが居てくれたから………………」

沙紀P「……だとするなら……この絵を褒めても自画自賛にはならない…………この絵への賛辞は………素晴らしい仲間への賛辞なのだから…………………」

沙紀P「……………………………」

沙紀P「……舞台袖の沙紀ちゃんに…………………」

???「もしもーし、そこのお兄さん!」

沙紀P「………済まないが………劇なら既に……………」

???「そーなんだって!もー、にーさんの事務所主催の舞台って言うからすっげー興味あったのに!昨日ふと夜道を走りたくなりさえしなかったら……!あー、目覚ましかけといたのに!」

沙紀P「…………君は………」

???「あっ、にーさんってのはお兄さんの事じゃなくて、俺のにーさんの事ね。まあ、にーさんは兄さんじゃなくて……甥兼義父なんだけど。……うわっ、にーさんはとーさんだった……?!」

沙紀P「…………………………」

???「マジかー……なんかビミョーだな…………」

沙紀P「…………なあ………」

???「ああ、ごめんごめん!俺アクセル入ると止まんなくてさ…これからお世話になると思うけど、そこんとこよろしくね?」

沙紀P「…………君は……………?」

???「お兄さん、にーさんの事務所の関係者の人じゃないの?…あ、ひょっとして劇場の方の…………?」

沙紀P「……君の『にーさん』、とやらはよく分からないが…………僕はこれでも一応は…プロデューサーだ……安心したまえ。」

???「だ、だよね……!ふぅ……間違ってたらどうしようかと思ったよ…………」

沙紀P「>>10

というより、君は何者なんだ。同業者だと言うなら名前くらい名乗るのが常識だろう?

沙紀P「………それより…君は何者だ………?…同業者だと言うなら…………名前ぐらい名乗るのが常識じゃないのか………?」

???「うわっ、またやっちゃったよ、俺!まだ自己紹介してなかったんだったよ……」

沙紀P「……………………………」

???「…ゴホン…俺の名前はQ。趣味はバイクに関すること全般、特技もバイクに関する事全般。えっと……これからよろしく!」

沙紀P「……………………………」

Q「………………………………」

沙紀P「……………………………」

Q(…あれ………これはスベったかな………)

沙紀P「……………君は……P君の知り合いだったりするかな………?」

Q「Pにーさんは俺のにーさ……兄さんじゃないんだけど、にーさんだよ。」

沙紀P「……………………ああ………君か………社長の言っていた新人と言うのは………僕は沙紀P……よろしく……頼むよ…………」

Q「そうそう!………ってええ?!お兄さん……沙紀Pって……あのモダンアーティストの…………?!」

沙紀P「…まあ………そうなるのかな…………」

Q「……さ、サインもらっていい……?」

沙紀P「………後でなら……構わない……………」

Q「いきなり大物じゃん!えっと…………プロデューサー……?」

沙紀P「……沙紀ちゃんを……担当させてもらっている……ああ……沙紀ちゃんは……………」

Q「吉岡沙紀ちゃんでしょ?!知ってる、知ってる!イギリスとかヨーロッパでも有名だったもん!」

沙紀P「………ふふっ………ありがとう……」

Q「はぁ………本当にすごい場所なんだなぁ………あっ………じゃあ、もしかして途中で拾ってきたこの人も………おーい!」

???「…………………う……ううん……………」

沙紀P「……おや…………」

Q「来る途中に偶然この人を拾ってさ。ここまで連れて行ってくれ、って言うから連れて来たんだけど………」

???「…………………………

Q「……ねえねえ、お兄さんもひょっとして…………プロデューサーだったり………………」

???「………!!お、俺の娘が………!!」

Q「…む、娘……………?」

???「ああ、君!ここまで送ってきてくれてありがとう!さ、沙紀P!もう
舞台は始まってるんだろう?!今どのあたりなんだ?!は、早くしないと俺の娘の活躍を見逃してしまう!」

沙紀P「……まだ、アトランタに着いたばかりだ。…………安心するといい…………」

???「アトランタ!………よし、なら大丈夫だ、問題ない、まだ俺の娘が活躍しているシーンの最中のはずだ!」

???「沙紀P!早く俺を……俺を中へ案内してくれ!娘の勇姿を早く拝まなくては…………!」

沙紀P「………はぁ………落ち着け………君のリボーン・ドールならまだ出たばかりだ…………泰葉P…………」

Q「泰葉P………って事は…お兄さんはあの人形作家の…………」

泰葉P「えっ、ああ!それは俺のことだ。はぁ………ぐすっ………娘の登場シーンを見逃すなんて……………」

Q「……………これまた有名人が………」

泰葉P「>>17

おっと、こうしちゃいられない。泰葉にも“妹”の晴れ姿を見せてやらねば(人が一人は入りそうなトランクを出す)

泰葉P「おっと、こうしちゃいられない。泰葉にも“妹”の晴れ姿を見せてやらねば。」スチャ

沙紀P「………君の遅刻はその子が原因か…………」

泰葉P「ああ、そうなんだよ……何を着させてやるかで悩んで……ほら、娘の晴れ着は飛びっきりのを選んでやらなくちゃならないだろ?」
ガチャ ガチャ パカ…

泰葉P「まったく……手間のかかる娘だなぁ…………!」

1/1ドール「……………………」

Q「………………えっ……む、娘…………?」

泰葉P「もう、よしてくれよ!いくらうちの娘が美人だからって、そう褒められたら娘が照れちゃうだろ、なあ?」

1/1ドール「……………………」

泰葉P「あっはっはっは!」

Q「…………………………………」

泰葉P「窮屈なところに閉じ込めちゃってごめんな?でも、どうしてもお前に泰葉の演技を見させてやりたくてな。」

1/1ドール「…………………………」

沙紀P「………かわいい子だね……ふふっ……初めまして。」

1/1ドール「…………………………」

沙紀P「…………この子は……?」

泰葉P「ふふふ……この子はなぁ、姉妹の中だと563人目だ!美人に出来たと思うんだが………………なあ、君はどう思う?」

Q「……えっと…………い、いいんじゃない……?(…あちゃー……この人はヤバい人だったかー………………)」

泰葉P「ああ…………俺のかわいい娘…………………………」

1/1ドール「…………………………」

沙紀P「……今度…スケッチをさせてもらいたい………………いいか…………?」

泰葉P「いいに決まってるだろ!俺の娘の美しさを描きたいってのに何故反対する必要がある?」

沙紀P「………ありがとう……礼を言う…………ふふっ………………」

Q(…にーさん……俺まだにーさんの仕事の事よく分かってないけど、一つだけ分かった事があるよ…………)

泰葉P「よしよし、泰葉を見に行こうな?」

1/1ドール「…………………………」

Q(これだけ面白い人たちがいる職場なら、退屈しないですみそうだ!)

アトランタ 駅 停車場



保奈美「着いたわ、アトランタ……!ふぅ…………ここがしばらく暮らす事になる街…………」

保奈美「…………………………」

保奈美「……と、言っても今ここから見えるのは、昨日の土砂降りで豚が転げ回ったみたいになっている地面と、軍需品と傷病兵を乗せたり降ろしたりする流れだけ。」

保奈美「さすがはアトランタ……なのかしら………?ヴァージニア軍とテネシー軍、西部軍をつないでいるだけはあるわね。見た事がないぐらい兵隊
だらけだわ。」

保奈美「…………ここでも戦争なのね…………」

保奈美「…はぁ……………………」

保奈美「……ここから地面に降りたら服が泥だらけになってしまうわね。かと言って地面に降りない訳にもいかないし…………」

保奈美「……とりあえずピティパット叔母さんの馬車でも探しましょう。えっと…………ピティパット叔母さん……ピティパット叔母さんは………………………………」

???「もしもし、そこの喪服のあんたじゃ。あんたがスカーレット嬢さんかのう?」

保奈美「…………!…だ、誰……?!」

巴(ピーター)「わしですかい?わしはピティ様の御者のピーターっちゅう者じゃ。あんたを迎えに来た。」

保奈美「…………あ、ああ……ピティパット叔母さんの……」

巴「>>24

>>1です

申し訳ありませんが寝落ちしま……

(ジロジロと見て)……なら話は早い。さっさと来い

病院から帰ってきました……

再開します

巴「ほうじゃ。……………」ジロジロ

保奈美(…チャールズが言っていたピーターって言うのは、この人なのね。)

巴「…………なら話は早い。さっさと来られんか。」

保奈美「…え、ええ……」スッ……

巴「何をしちゅうんじゃ!」

保奈美「………………!」ビクッ!

巴「…あんたもピティ様と同じで始末が悪いのう。ピティ様ときたら子どもみたいに足を泥まみれにしてしまうんじゃ。」

巴「そもそも、あんたは母親じゃろうが。なら、まずは赤ん坊の事を気遣うのが筋っちゅうもんじゃ!ほら、わしに渡さんか!」

保奈美「…………………」オズオズ…

巴「ふん、最初からそうされんか!」
ヒョイ

巴「おうおう、かわええ赤ん坊じゃな。よしよし、これからお前さんの新しい家に連れて行ってやるけぇのぉ。」

ウェード「……………………?」

巴「馬車はちいっと揺れるが我慢せえよ。しばらくの辛抱じゃ。」スト

ウェード「…………………………」

巴「まったく……ほら、次があんたの番じゃ。」スッ

保奈美「……えっと………………?」

巴「泥だらけにならんように抱きあげちゃる言うとるんじゃ。……ん。」スッ

保奈美「……ああ………」スゥ…………

巴「よっ!」ガシッ ヒョイ!

保奈美(……!この細い体のどこにこんな力が………………)

巴「……泥だらけにならずには済んだようじゃの。」

馬車 社内


ガタッ…ガタッ…ガタッ…ガタッ…

巴「………………………………」

保奈美「………………………………」

〜〜〜

珠美「僕の家にはピーターと言う黒奴いるのですが、これが今まで僕が見てきた中でも一番気がきいて、そして忠実な御者なんです。ただ、一つ難点を挙げるとすれば……その……正直ピーターには逆らえない……と言うか………何でもピーターが決めてしまう事なんです…………実際、それが一番良い決断なのですが……………………」

〜〜〜

保奈美(なるほど、確かにそんな感じだわ。これじゃ、チャールズやピティパット叔母さんじゃ逆らえないわね。)

巴「………………………………」

保奈美「>>32

保奈美(本当はいちいち指図しなくていい!って言い返したいけど、面倒なことになりそうだし今は素直に従いましょう。)

巴「…………………………」

保奈美(今さら面倒だらけだっていうのに、好き好んでさらに面倒を引き起こす理由もないもの。本当……マミーと言い、口うるさいんだから……)

巴「……………何かわしに聞きたい事でもあるですかのう…?」

保奈美「………別に。あなたみたいなのが居てくれたら安心できるわ、と思っていただけよ。」

巴「ほうですか。それゃ、ありがとうございます、じゃ。」

保奈美「………………………………」

巴「…………………………………」

保奈美「……あなた、長いんですってね?」

巴「……わしは元々は旦那様と奥様に仕えておりましたけぇの。長いかと聞かれたら、長いと答える事になりますのう。」

保奈美「……旦那様と奥様って言うのは…………」

巴「…ピーター様とメラニー嬢様の父様と母様の事じゃ。」

保奈美「まあ……普通はそうよね。」

巴「………質問はそいだけですかい…?」

保奈美「……………そうね。」

巴「…………………………………」

というか病院って大丈夫なの?

保奈美「………あ、やっぱりまだ質問させてちょうだい。……あのやたらと大きな建物は何?」

巴「あれは兵器廠じゃ。ハジキや、そんなものが入っちょる。ついでにその隣は封鎖局じゃ。」

保奈美「封鎖局?」

巴「何じゃ、封鎖局を知らんのですか?ええですかい、封鎖局っちゅうんは外人がおるんじゃ。そして、南部の綿花を船で港から積み出して、外国からハジキのタマなんかを積んでくるんじゃ。」

保奈美「………これだけ街中は黒い煙を吐き出す煙突だらけだって言うのに、弾は外国からわざわざ積んでこないとならないのね。」

巴「アトランタで作ってる分だけではとても戦争なんか出来んようじゃ。証拠に黒い煙を吐き出す煙突は日に日に増えおる。そのせいでピティ様の絹のカーテンなんかすっかり駄目にされてしまうんじゃ!」

保奈美「ふぅん………………」

>>35
もう慣れてるので大丈夫です。
むしろ、日常の一部分です




保奈美「…じゃあ、あっちの工場の群れでも弾丸を作ってるの?」

巴「いや、あっちの工場どもは右から順に馬具、天幕、線路のレール、サーベル、軍服のボタンの工場じゃ。」

保奈美「戦争って色々必要なのね。」

巴「ほうじゃ。兵隊一人の装備だけでも、軍服、ドス、ハジキ、靴……挙げよったらキリがないわ。そいで、幾ら工場があってもら足らんちゅう訳で、そこの空き地、そこは来週には車両工場が立つそうじゃ。」

保奈美「…今までそんなもの南部には必要なかったのに。」

巴「だから今は必要になったもんで、えらい勢いで立てちょるんじゃ。」

巴「………綿花畑まで潰して工場を作って………これじゃまるで北部の連中と変わらんわ……」

保奈美「………………………………」

巴「…牧場の柵に、家の門。鉄製なら何でも引っこ抜いて溶鉱炉に溶かしおる。見てみい。あそこの公園には像があったんじゃが、それも鉄だったばっかりに溶鉱炉に溶かされてしまいおった。」

保奈美「言われてみれば全然見ないわね。そんなに鉄が足りてないの?」

巴「北部の連中の封鎖のせいで鋼材はまともに輸入出来ん。アラバマの鉄山は鉱夫が皆戦争に行ったせいで休業状態じゃ。足る訳がないじゃろうが?」

保奈美「>>40

保奈美「じゃあ、家にある鍋や貴金属も回収されたの?」

巴「ハッ!そうなったらどうやって暮らしていけと言うんじゃ!…まだ、そこまでは行ってきておらんよ。……まだ、な。」

保奈美「……………………………」

巴「…もっとも、軍の連中がいつ言ってこんかも分からんがのう。戦争のためなら何してもええと思っとるんかのう!」

保奈美「……………ねえ……」

巴「だから、あんたは自分の指輪の心配はしなくても…………」

保奈美「………そうじゃなくて…………」

巴「…………ん?」

保奈美「……………北部でも、そんな風に鉄が不足してるの…?」

巴「さあ。わしはその辺はよう知らんけぇ。……ただ、北部は金の力で全世界から物資や兵隊を募っておって、何千人ものアイルランド人やドイツ人が北軍に参加してる……ちゅうんは聞いたことがあるのう。…鉄だって輸入し放題じゃろうな。」

保奈美「……………………… …………」

巴「それに引き換え、うちは何でも自前の物にしか頼れんからのう。」

保奈美(………戦争の事は全然分からない……だけど…………少なくとも、南部から今ある鉄柵や鉄扉がなくなってしまったらその後は………………)

巴「………………………………」

保奈美(……工場だって北部にはもっとあるんでしょう…あら?これは誰が言っていた事だったかしら………)

巴「……急にそげな事を………?」

保奈美「…いいえ、ただ聞いてみただけ。……(……こんな事考えるだけでめ行けないわ!だって……そんな事はあるはずがない物…)」

巴「……………まあ、ええが…………」

保奈美「そ、それよりもまだ着かないの…?」

巴「……コロコロ忙しい人じゃのう
…………もう少しじゃ。」

保奈美「……そう………」

巴「………………む。」ビシッ!

馬車馬「ヒヒーン!!」ガタタッ……!

保奈美「……!……どうしたの…?」

巴「………あそこにメリウェザー様とエルシング様が居ちゅう。頭を下げていったほうがええ。」

礼子(メリウェザー夫人)「………あら。あの馬車に乗っている子はもしかして………?」

瑞樹(エルシング夫人)「あれはピティさんの馬車。つまり、あの子がスカーレットさんね、わかるわ。」

保奈美(…………化粧の派手な人たちだこと……)

礼子「こんにちは、あなたがスカーレットちゃんね?初めまして、ね。私は…………」

保奈美「…メリウェザー夫人ですね?それと、エルシング夫人。」

瑞樹「あら、私たちのことは知ってたみたいね?」

保奈美「アトランタに住むからには当然です。」

巴「……………………………」

礼子「ふふっ……いい子ね。そうそう、早速で悪いけど私はピティさんに話して、あなたには私のほうの病院の手伝いに来てもらうことにしたから。」

保奈美「………えっと………?」

礼子「……だから絶対、ミード夫人やワイディング夫人とは約束しないでね?」

保奈美「>>48

一時中断します

再開します

保奈美「えっと……それは何故……?」

礼子「………………」ニコニコ

保奈美「………あの…………」

礼子「…………………」ニコニコ

保奈美「………………………」

礼子「………だめよ?」ニコ

保奈美「…………は、はい……」

礼子「ふふっ……ありがとう。」

瑞樹「あえて理由を挙げるとするなら……私たちにも色々あるの、わかるわね?」

礼子「……エルシングさん?」

瑞樹「…今回はあなたに譲ってあげるわ。今回は、ね?」

礼子「分かっているわ。」

瑞樹「……なら、何も言う事はないわ。」

保奈美「………………………………………」

礼子「………あ、わざわざ挨拶をするために馬車を止めてくれたんでしょう?手間をかけさせたわね。もう行っていいわよ。」

瑞樹「あまりピティさんを待たせたらかわいそうだものね。また、会いましょう、スカーレットさん。」

保奈美「………は、はい………………」

礼子「ピーターもお疲れ様、色々と。」

巴「……ありがとうございます、じゃ。ほれ、スカーレット様、お二人もこう言っとる事じゃけぇ、先を急ぐぞ。」

保奈美「…………………………」

〜〜〜


ガタッ…ガタッ…ガタッ…ガタッ…

巴「…………………………」

保奈美「………ねえ、ピーター。」

巴「あんたは質問の多い人じゃな。今度は何ですかのう?」

保奈美「…どうして、私は『ミード夫人』や『ワイディング夫人』と約束したらいけないの?」

巴「……社交界の掟、とかルール……とか言う奴じゃ。あんたも女である以上、そう言うのを知らん訳はないじゃろ?」

保奈美「…………………」

巴「>>55

巴「……わしもあの二人はどうも苦手なんじゃ。嫌味たらしい喋りかたもそうじゃが、なによりこの辺り一帯の情報のほとんどを把握してるけぇのう………」

保奈美「………私は別に苦手とは……」

巴「フン、今馬車の中にはわしとあんたと坊っちゃんしかおらんけぇ、正直になったところでバチは当たらんじゃろ。」

保奈美「………………………」

巴「……アトランタの社交界を牛耳っとるのは、あのメリウェザー様、エルシング様。それから、ワイティング様の三人じゃ。この方たちはアトランタに加えて、ジョージア、南カロライナ、そしてヴァージニアの事なら何でも知っとる。」

保奈美「……何でもって……?」

巴「何でもは何でもじゃ。どこそこの誰彼がいつ結婚するかから、全部じゃ。」

巴「………本当は奥様方の事をあんまり悪く言うのはならんのじゃが………」

保奈美「黙っておいてあげるわ。…その代わりに続きを話して。」

巴「スカーレット様は話の分かる方のようじゃ。…ムホン、ここからはわしの独り言じゃけえの。」

保奈美「…………………………」

巴「…この街の社交界で生きていくつもりなら、この三人の目につくような事はしたら絶対にいかん。社交界から締め出しを食ろうてしまうからのう。」

保奈美「……………………………」

巴「……あの三人は言うなればローマの三頭政治家じゃ。」

保奈美「………誰…ですって……?」

巴「………はぁ……要するにあの三人は互いに嫌い合っておって、いつも腹の探り合いばかりしちゅうっちゅう事じゃ。……だからこそ、この街にいる娘はその間を上手く立ち回ることが大事なんじゃ。」

保奈美「…………………………」

巴「立ち回りに失敗すると、三人から非難される事になる。嫌い合っとる癖に、制裁を加える時は意見が一致するようでの。」

保奈美「……………………………」

巴「……要するに、機嫌を損なうなっちゅう事じゃ。」

保奈美「…………………………」

保奈美「……ありがとう、ピーター。勉強になったわ。」

巴「はて、わしは何も言っちゃおりませんがのう。」

保奈美「そうだったわね。私の気のせいだったみたい。気にせずに運転を続けて。」

巴「ほうですか。なら、そうさせてもらいますけぇのう。」

保奈美(…タラでも似たような決まりがあったけど、アトランタではもっと大変な決まりがあるのね。…はぁ……ご機嫌うかがいをしないといけないなんて…)

巴「………………………………」

保奈美(……でも、それが都会のルールなのだとしたら、我慢しなくちゃならないわね……アトランタにはしばらくお世話にならなきゃいけないんだもの。)

〜〜〜



ガタッ…ガタッ…ガタッ…ガタッ…

保奈美「………ピーター。この街に紳士と淑女は何人居るの?あれから、ずっと頭を下げてばっかりじゃない。」

巴「何、ここで最後ですけぇ、安心せい。………はっ!」ビシッ!

馬車馬「ヒヒーン!」ガタタッ……!

保奈美「…………今度はどんな人なの?」

巴「会えば分かる。」

保奈美「……………………………」

巴「………………………………」

なんか今日は勢いというか、覇気がスレから感じられないな…

清良(ミード博士)「やあやあ、これはスカーレットご婦人ではないですか!」

朋(ミード夫人)「あら、本当だわ!久しぶり、スカーレットちゃん!」

保奈美「……あっ……久しぶり…です?(……誰………?)」

清良「アトランタにやって来ると聞いていたので心待ちにしておりましたよ。」

朋「そうなのよ!もうスカーレットちゃんがいつ到着するか楽しみで楽しみで……!結婚式以来会ってなかったんだもの!」

保奈美(結婚式……結婚式…………あっ、そう言えば私の結婚式にこんな人たちが来ていたような……?)

清良「>>64

>>1です

>>61
ご指摘痛み入ります……
>>1もベストは尽くしているつもりですが……

現状では皆様にお見せできるような文章を書く事が出来ないようです。そのため、今日は日を改めさせていただきます……

誠にご迷惑をおかけします…………

おやすみなさい………

ご主人のことは残念でしたな……

知り合いからよく言われる言葉は
「覇気がない」「目が死んでいる」
「中身が定年退職後の社畜」
です…………………



再開します

清良「ご主人のことは残念でしたな……」

保奈美「……あ、はい…」

清良「いやぁ、有望な若者ほど早く亡くなってしまうものです。医者としてこれほど悲しい事はありません。」

朋「ホントよねぇ、ついこの間まで元気そうにしてたって言うのに。悲しいとは思うけど、あんまり気を落としすぎちゃダメよ?病気になっちゃうから。」

保奈美(そんな事なんかじゃ具合を悪くしたりなんかしないわ。死んでしまったものは仕方がないもの。)

清良「うむ、胸の内は察するに余りあるが悲しみのあまり君まで体を壊しては、それこそチャールズが悲しむからな。」

保奈美(この人たちは私が未亡人だからって、悲しんでるとばかり思ってるんだわ。…チャールズには悪いけれど、ちっとも悲しくなんかないのに。)

朋「あたしのところの看護委員会でも、ひどい事になってる未亡人がたくさんいるの。」

保奈美(看護委員会って何かしら?)

清良「これもそれも全て北部の連中の所為だ!まったく…南部をどれだけ苦しめれば気が済むのか。」

巴「………………………………」

清良「わしも早く戦地に行って北軍の奴らに目を見せてやりたいものだ!」

朋「こらこら、あなたが軍医として従軍しちゃったらこの町はどうにもならないじゃない。スカーレット、この人ったらいっつもこんな事ばっかり言ってるのよ?」

保奈美「はあ。(どうしてみんなそんなに戦争に行きたがるのかしら?…死ぬかもしれないのは、特に医者ならよく分かっているはずでしょう?)

清良「あんたはいつもそう言ってわしを従軍させてくれない。従軍しなけりゃ大した事は出来やせんじゃないか。チャールズの仇だって取れん。」

保奈美(………チャールズは北軍じゃなくて肺炎にやられたんだけど。)

朋「あたしが言ってるんじゃないわよ。この町の婦人全員があなたが町にのこってくれるように嘆願書に署名したのを忘れたの?」

清良「まあまあ、わしだってそれぐらいは分かっとるよ!言ってるのよみただけさ。」

保奈美「……………………………」

清良「戦地にはせがれが一人行っとる事だし、当分はあれで充分か。」

朋「……ゴホン、ところでスカーレット。ピティパット叔母さんがあなたがあたしの関係している病院と包帯巻き委員会以外に入れないって神様にかけて誓ったのは知ってるわよね?」

保奈美「あら、でももう私はたくさんのご婦人方とお約束してしまいましたわ。(…初めて聞いたんだけど……と言うか…………)」

朋「メリウェザー婦人ね!そうに違いないわ!忌々しいったらありゃしない、きっと汽車が着く旅に迎えてるんだわ!」

巴「…………ゴホンゴホン。」

保奈美「……すみません。私何の事かさっぱり知らなかったものですから。」

朋「>>71

朋「まぁいいわ、これからはきちんと約束するって誓うのよ。」

保奈美「はい、分かりました。(…色々面倒だわ……)」

朋「とりあえず今回は……知らなかったんなら仕方がないわ。あなたはずっと田舎に埋もれてたんだものね。………ちなみに、看護委員会って知ってる…?」

保奈美「すみません、何も知らないもので。教えてもらえますか?(田舎に埋もれてて悪かったわね!)」

朋「分かったわ。まずね、看護委員会って言うのがあるの。これは、別々の日にあちこちの病院に行って、病人の看護をしたり、お医者の手伝いをしたり、包帯を巻いたりするのが主な活動ね。」

清良「人手はいくらあっても足らんからな。まったく…北軍の連中め………」

朋「他にも、退院した病人がまた軍隊に戻る手伝いをしたり、困ってる遺族の人たちのお世話をしたり、ね。」

保奈美「へぇ、そうなんですか。(そんなつまらなさそうな仕事をどうして取り合ったりしてるのかしら?)」

清良「こうした銃後の働きがあってこそ、我が南部同盟の勇士たちは安心して戦えるのだな。もっともわしは前線に…………」

朋「……あんた。」

清良「はいはい、わしも銃後の守りの手伝いに専念させてもらうよ。」

朋「……分かった?」

保奈美「はい、もう充分です。よく分かりました、ありがとうございます。」

朋「ううん、気にしないで。」

朋「……あっ……それでね……」

巴「ゴホンゴホン!ピティ様は今頃スカーレッ嬢様の到着が遅いと心配しちゅう頃じゃろうなぁ。」

朋「…確かにピティ叔母さんを心配させちゃいけないわね。…さようなら、スカーレット、また会いましょう。」

清良「さようなら、お嬢さん。わしらはこれからしょっちゅう顔を合わせる事になるじゃろう。」

保奈美「はい、この街にはしばらくいるつもりですから。」

朋「……最後に一つだけ、ピティ叔母さまに伝言を頼んでもいい?」

保奈美「何でしょうか?」

朋「スカーレットさんが、あたしの委員会に入らなかったらひどい目に合わせてあげる…って。」

ピティパット叔母の家



加蓮「スカーレット、よく来てくれたわね!」ダキッ

保奈美「………………………」

加蓮「タラからの長旅は大変だったでしょう!いきなりアトランタみたいな都会に来て疲れたでしょ。汽車の座席は固くなかった?馬車に揺られすぎて体を痛めなかった?それから………」

保奈美「……どこも何ともないから大丈夫よ、メラニー。」

加蓮「そうなの?…それなら良かったわ!私ね、あなたが来てくれて嬉しくてたまらないの!」

保奈美「………ありがとう。(………………………)」

加蓮「>>77

↑チャールズは気の毒だったと思うけど、いつまで悔やんでいても彼は帰ってこないんだから

加蓮「そんなに浮かない顔をしてどうしたの?せっかく一緒に暮らせるっていうのに……」

保奈美「……いえ、別に…………」

加蓮「…………ああ………チャーリーは気の毒だったと思うけど、いつまで悔やんでいても、彼は帰ってこないんだから………」

保奈美「……………………………」

加蓮「……あなたが悲しい顔をしていたらチャーリーが悲しむわ。…未亡人と言うのはそう言う物なのかもしれないけど…………でも…………」

保奈美(あなたまでチャーリーの事を言うのね!はぁ……誰も彼も、まるで私が最初からハミルトン未亡人って名前だったみたい!嫌になっちゃうわ!)

加蓮「……その……ね…私にはあなたの悲しみを分かってあげる事は出来ないけど………せめて、同情ぐらいさせてね……?」

保奈美「……………………………」

加蓮「……私もきっと……アシュレを失ったら……ああ……考えただけで恐ろしいわ…………とても言葉に表せないぐらい悲しいだろうから……」

保奈美「……………………………」

加蓮「……だから…………えっと…………ごめんなさい、無神経だったかしら……」

保奈美「………心配してくれてありがとう。少しは気が紛れたわ。」

加蓮「………!……そ、そう………」

保奈美「それよりも、こんな話はやめましょう。お互いに気持ちが暗くなるだけだもの。」

加蓮「そうね……ごめんなさい、スカーレット。」

保奈美「だから、気にしてないって言ってるでしょ?(あなたの口からアシュレの名前が出るほうがよっぽど耐えられないのよ。)」

加蓮「……えっと……………」

瑛梨華(ピティパット)「あら、スカーレット、来ていたのですね!」

保奈美「…………!(瑛梨華ちゃ……じゃなかった……今は演技に集中…集中……………)」

加蓮「ピティ叔母さん、叔母さんもスカーレットを待ちきれなかったの?」

瑛梨華「ええ、だって、女二人で寂しい暮らしをしているところに一時的とはいえ、可愛い姪が来てくれるんですもの。ねえ、スカーレット、あなたはどれぐらいアトランタにいるつもり?」

保奈美「えっと……こんにちは、ピティ叔母さん。そうね……まだ決めてはいないんだけど………」

瑛梨華「そうなの…?だったら、できるだけ長くここに居てくれないかしら?あのね、あなたのためにも勧めるのだけど、あなたはここにいた方がいい思います。あなたも私たちも寂しい生活をしていたでしょう?」

保奈美(……勝手に決めつけないでほしいわね。)

瑛梨華「>>83

人の不幸を無にすると一生苦しむわよ?

瑛梨華「人の厚意を無にすると一生苦しみますよ?」

保奈美(厚意ね……自分が寂しいだけの癖によく言うわ。)

加蓮「叔母さん、そんな言い方をしてはいけないわ。」

瑛梨華「……あっ…そうですね、ごめんなさい。えっと…何が言いたかったかって言うとですね………」

加蓮「私も叔母さんも心からスカーレットの事を思っているから、なるべく一緒に居てくれたら嬉しい。そう言いたかったのよね…?」

瑛梨華「そうそう、そう言いたかったのです!」

保奈美「………………………」

瑛梨華「ええっとね……チャールズが亡くなってしまった以上、あなたとあなたの子どもはチャールズの親戚である私たちと暮らすべきだと思うのです。……ああ、変な意味ではなくてですね………」

加蓮「私たちは親戚同士なんだからお互いに支え合って行く方がいいでしょう…そう言いたいのよね?」

瑛梨華「ああ…!そう言うところです。」

保奈美(チャールズはピティパット叔母さんの事を自分では何も決められない人と言っていたわね…)

瑛梨華「それにね、チャールズの遺言でこの家の半分はあなたの物になっているのです。………だから……その…………ね?」

保奈美(…きっと周りに甘やかされて育ってきたんだわ。だから自分じゃ何も決められないような人間になるのよ。)

瑛梨華「と、とにかく……今の南部同盟な縫い物や編み物をしたり、包帯を巻くのに一人でも多くの人手がいるのです……えっと……………」

保奈美「…分かりました、ピティパット叔母さん。親戚同士なら一緒に居た方がいいですものね。」

瑛梨華「まあ……!」

加蓮「ありがとう、スカーレット、助かるわ!」

保奈美「いいえ、特に断る理由もないもの。(理由なんか、嫌気がさして出て行きたくなった時にでも考えればいいわ。)」

加蓮「ふふっ、これからは三人で頑張りましょうね…?」

保奈美「ええ。(………………)」

事務所



P「……………………」カタカタカタカタ…

雪美「……………………」

P「…………………」カタカタカタカタ…

雪美「…………見に行かなくて……いい、の…………?」

P「…俺はこの仕事まで終わらせないといけないんだ。……誰か適当なのに着いて行って、先に見に行ってもいいんだぞ?」カタカタカタカタ…

雪美「……………………」フルフル…

P「そうか。……ならもうしばらく待っててくれ。」

雪美「>>90

雪美「……わかった……じゃあ……ここに、いる………」

P「ん。」カタカタカタカタ…

雪美「……………………………」

P「…………………」カタカタカタカタ…

雪美「……………………」ジー

P「…………………………」カタカタカタカタ…

雪美「……………………」シュッ シュッ
←猫パンチ

P「……ふむ。」カタカタカタカタカタカタカタカタ…

雪美「………………」シュッ シュッ シュッ シュッ

P「……………」カタン!カタカタカタカタ…ッターン!

雪美「…………」シュッ シュシュシュシュ…シュッ!

P「…………………………」

雪美「…………………………」

P「…………雪美ー。」

雪美「………………にゃー……」

P「俺の華麗なブラインドタッチがそんなに気になるか?」

雪美「………………にゃー……」

P「……こいつめ!」ワシャワシャワシャワシャ!

雪美「………………にゃん………」///

P「まったく雪美は最高だぜ!可愛いなあ、このこの!」ワシャワシャワシャワシャ!

雪美「……………にゃ……」///

P「はい、ここで普通は猫 パソコンは死亡フラグですが………俺は違う!雪美を可愛がりながら仕事を終わらすなど容易いわァ!」カタカタカタカタ…ッターン!

雪美「………………終わり……?」

P「おうよ!」

雪美「……………行ける……?」

P「行けるとも!」

雪美「…………………おお………」

P「あっはっはっは!」

雪美「………お仕事………何だった、の………?」

P「関係各所への調整と友だちの道案内。」

雪美「……………………?」

P「友だちにどうしても見に来たいって奴がいたんだが、そいつにはちょっとした特殊な事情があってな。…まあ、ナビゲーティングだよ。」

雪美「………友だち………今から、見にいく……なら、会える……かな…………?」

P「>>96

↑あとはまあ、今回の舞台に出てない事務所の連中とか……

安価把握

ナスさん、あなたやっぱり……

一時中断します

再開します

P「会えるとも! 例えば鷹富士茄子と言って、そいつは正月と幸運っていう概念そのものだから、年末年始以外はこういう機会でないと実体化できないんだ。 」

雪美「…………概念………?」

P「んー……まあ、簡単に言うとイベント限定…って事だな。」

雪美「…………………どんな、人…………?」

P「美人、スタイルがいい、面白い、どこがとは言わんが末広がりで大きい、他にも見ただけで幸せが訪れる、そんな子だよ。」

雪美「…………………………………」

P「ふふっ……会えばわかる。」

P「…他にも似たような奴が何人かいてな。あとはまあ、今回の舞台に出てない事務所の連中とか……」

雪美「………とか…………?」

P「俺の個人的な友だち、お世話になってる人、そう言う人たちがちゃんと着けるように、な。」

雪美「………………だいたい、わかった……」

P「ふふっ……そうか。………よし、仕事は済んだ事だし俺たちも出発するぞ!」

雪美「…………にゃー……………」

P「目標、公演会場!」

雪美「………にゃー…………!」

一週間後 ピティパット叔母の家



瑛梨華「それで聞きましたか、スカーレット?この前ジョージア州であった事らしいんですけど………」

保奈美(…この家に一週間済んで、分かった事は幾つかあるわ。まず、一つはこのご婦人はずいぶんと人の噂をするのが好きだって言うこと。)

瑛梨華「何でもシンプソンとか言う家族がですね…………」

保奈美(そして、その内容は大抵、全然あてにならないってこと。)

瑛梨華「それでね……………らしいの!もう驚くしかないじゃないですか?」

保奈美「はいはい。そうですね。」

加蓮「スカーレット、少しお茶にしない?」

保奈美(…メラニーもこの老婦人によく似ているという事。)

瑛梨華「他にもあくまでこれは噂なんですが………!」

加蓮「……ピティ叔母さん。お茶休憩にしない?」

瑛梨華「……うーん……メラニーがそう言うなら………」

加蓮「ありがとうございます、ピティパット叔母さん。」

保奈美(…メラニーはそれより少しだけ常識とか良識を持っているだけ。)

加蓮「ふふっ……封鎖破りの人が手に入れてくれた、貴重な葉っぱなのよ?」

保奈美「>>104

(茶葉なんかどうでもいいのに……)

保奈美(茶葉なんかどうでもいいのに……)

瑛梨華「封鎖破り、という事はイギリスの茶葉ですか?」

加蓮「ええ、プレゼントしてくれた人はそう言っていたわ。治療の手伝いをさせてもらってた元傷病兵の人なんだけど、前線に戻る前にせめてものお礼って言ってくれたの。」

保奈美(……元傷病兵、ね…………)

瑛梨華「まあ、それはきっと素晴らしい品に違いありませんね!メラニー、あなたは本当にたくさんの人から感謝されて、私の自慢ですよ!」

加蓮「私は当たり前の事しかしていないのに…………」

保奈美(…ふん、傷病兵のご機嫌を取るのは当たり前の事じゃないでしょ。)

瑛梨華「当たり前の事を当たり前にできる人間はなかなかいませんよ?」

保奈美(何よ、偉そうに。)

加蓮「……そんな……本当に大したことは………………」

瑛梨華「少なくともその兵隊さんは感謝を伝えたくて、あなたにそれをプレゼントしてくださった。それで良いじゃありませんか。」

加蓮「………そうね。……ふふっ、みんなで味わわせてもらいましょう♪スカーレットはお茶は…………?」

保奈美「……濃いのにミルクと砂糖。」

加蓮「分かったわ。お砂糖は貴重品だけど……せっかくですものね。」

保奈美「……………………………」

〜〜〜


加蓮「………………♪」トポトポトポトポ

瑛梨華「…いい香りですね…………」

保奈美(タラのお茶の葉の方がずっといい香りだわ。)

加蓮「こうしてお茶が飲めるのも、封鎖破りの人たちが頑張って北軍の軍艦の包囲網を抜けて、わざわざ運んできてくれているからなのよね………感謝しないと……」

瑛梨華「そうですね……あの勇敢な人たちのおかげで………………ああ、そう言えば封鎖破りで思い出したんですけど。」

加蓮「なぁに?」

瑛梨華「最近、封鎖破りの中でも特に勇敢な船長さんがいるんですって。名前は…………えっと……忘れてしまったけど……確かチャールストン出身の方だったかしら……?」

保奈美(また適当な噂を………くだらないったらありゃしないわ……)

瑛梨華「とにかく、その方が今アトランタの何とかという宿に滞在しているんですって。」

加蓮「へぇ………どんな方なの……?」

瑛梨華「体格から服装から何から何まで立派な方で、中でも口ひげが特に………………」

ドンドンドン!

瑛梨華「あら、お客様かしら……?」

加蓮「お相手をしてくるわね。……はーい、今行きまーす!」トタトタトタトタトタトタ!


加蓮「………もしもし、どな…」ガチャ

朋「メラニーちゃぁぁん!はぁ……はぁ……今すぐ病院に来て!」

加蓮「えっと……………………」

朋「はぁ……はぁ……その、今日は当番の日じゃないのは分かってるけど………その、看護委員会で……人が足りなくて…………スカーレットちゃんとメラニーちゃんが………………」

保奈美「…………すみません、今は少し忙しいので…………」

加蓮「分かりました!すぐ行きます!」

朋「……!ありがと、メラニーちゃんならそう言ってくれるって信じてたわ!」

保奈美「………………………………」

加蓮「>>111

たとえ非番であろうと、私の看護を求める方々を放っておけませんからね。

加蓮「たとえ非番であろうと、私の看護を求める方々を放っておけませんから。」

朋「それでこそ南部の立派なレディだわ!ごめんなさいね、いっつもメラニーちゃんに頼っちゃって……」

加蓮「いいえ、せめてこれぐらいはしませんと……戦場にいるアシュレに合わせる顔がありません。」

保奈美「……………………」ギリ…

加蓮「その人たち全員が、私にとってのアシュレと同じ大切な存在なんです。そう考えれば、休んでいるのが申し訳ないぐらいですわ。」

朋「ああ、アシュレはいい奥さんに恵まれたわねぇ!」

保奈美「……………………」ギリギリ…

瑛梨華「そんなに忙しいなら、私も手伝いに行きましょうか?」

朋「ハミルトン家の人たちはみんな親切だこと!」

瑛梨華「南部人として当然の事です。」

保奈美「…………………………」

加蓮「出かける準備をするので少しだけ待っていてください。…スカーレッ…………」

保奈美「行きます、行かせていただきます!私も南部人ですから!(非番の日だって言うのに……あの肉の腐った臭いのする病院で過ごさなきゃならないなんて!)」

保奈美「あーあ、せっかく感謝の気持ちでいただいた紅茶が冷めてうわ!」

加蓮「…仕方がないわ、スカーレット。紅茶ならまたいつか飲めるけど、治療が必要な人に、またはないもの。」

保奈美「………そ、そうねぇ!」

加蓮「戦争が終わってアシュレが帰ってきたら…………」

保奈美「(アシュレ…!何あるごとにアシュレ……!)急ぎなんでしょ?早く行きましょう!」

加蓮「………え、ええ……」

病院 裏庭



保奈美(はぁ………看護の仕事ってロマンチックの欠片もないわ!呻きと譫言と死と悪臭、それが全部よ!)

保奈美(こんな事を進んでやりたがるアトランタの婦人連中はどうかしてるとしか思えないわ!はぁ……戦争なんて悪い事しか運んで来ないじゃない!)

保奈美(病院の中は甘酸っぱい臭いでいっぱい………思い出しただけで気持ちが悪くなる……今も休憩と言って飛び出してきたけど…………手や髪に臭いが染み付いている……!)

保奈美(…メラニーは、しらみを潰すのや切断したあとの手足に包帯を巻くの、ただれた肉から蛆をつまみ上げるのだって平気でやる!そして、病院にいる男たちからは『慈愛の天使』なんて呼ばれてる。)

保奈美(……『慈愛の天使』!確かにあれだけ愛想と笑顔を振りまいておけばね!)

保奈美(>>117)

アトランタなんて最低だわ!こんなところになんか来なけりゃよかった!

保奈美(アトランタなんて最低だわ!こんなところになんか来なけりゃよかった!)

保奈美(…………タラに帰ろうかしら…?いや、それだけは絶対に出来ない!タラだけは嫌!)

保奈美(他には………サヴァナ?チャールストン?…どっちもあり得ないわ!あそこにいたら私まで古臭い埃の積もった骨董品になってしまう!)

保奈美(ああ……結局はアトランタに居るしかないんだわ!何て事なんでしょう!神様の寝間着!)

保奈美(ここで『献身的』な婦人に混ざって看護をするしかないなんて…!)

保奈美(……………………………………)

保奈美(……未亡人らしくしてなくてもならないし……若い男には話しかけてはダメ、陰気で悲痛そうに振舞わなくてはダメ、声を立てて笑ってはダメ!ダメダメダメ!ダメな事尽くし!)

保奈美(人生の楽しみまで一緒に墓石の下に入ってしまったみたいだわ!ああ……残りの一生もずっとこうしていなければならないなんて…………あんまりだわ………………)

保奈美(……街の若い娘たちはみんなして私を年寄りみたいな敬意を持って扱うし…………私はまだ18なのよ……?!)

保奈美(……………………………………)

保奈美(……………戻ろう。)フラッ……

保奈美(……腐った肉の臭いと、虻と蚊と、汗と熱気に包まれていれば……少なくとも考えずには済むわ……)

保奈美(…………はぁ………………………………)

数ヶ月後 夏の半ば ある朝
スカーレットの寝室



保奈美「……………はぁ……」
バタ……

ワイワイ ガヤガヤ……

保奈美「…………窓の外から声が聞こえてくる……あれは若い娘たちが士官とお喋りをしている声だわ…!私なんか話しかける事すら許されないのに!」

保奈美「………何であんなに楽しそうにしてるのよ…………」

保奈美「………今夜は今夜でみんなバザーと舞踏会に出かけるんだわ……私を抜きにして………」

保奈美「…バザーの品物を整えるために街の娘たちの2倍は働いたって言うのに………こんな不公平な話があるかしら…!」

保奈美「靴下、ベビー帽、掛け布団、マフラーだって編んだり、長椅子のクッションに南部同盟旗の刺繍をしたのは私なのに!」

保奈美「昨日なんて兵器庫の埃っぽい倉庫の中の売店に、ボロ布を張り回すのでくたくたになるまで働いたわ。」

保奈美「その間、メリウェザー婦人、エルシング婦人、ワイディング婦人に見張られたまま…」

保奈美「あの婦人たちときたら、私を奴隷に顎で使って、しかも如何に自分の令嬢が素晴らしいかの自慢話のおまけ付き。」

保奈美「……………………………」

オギャァ…オギャァ…オギャァ…!

保奈美「……またあのうるさい赤ん坊が泣き出した……!」

保奈美「……っ…!つい一年とちょっと前までは、明るい服も来てダンスも出来たのに……本当に不公平だわ……人生は私を見捨てて行こうとしている……」

保奈美(……あっ………窓の外から士官が手を振っている……振り返そう………)フリフリ

保奈美(……私の心は墓場には無いわ。)
フリフリフリフリ

瑛梨華「スカーレット!」

保奈美「………………………」ピタ……

瑛梨華「寝室の窓から手を振るなんて!私は肝が潰れますよ!まったく……あなたのお母さんが見たら何て言うでしょう……!」

保奈美「…………………………」

瑛梨華「>>124

……何ですか、その目は?
ぬゎんですかぁぁ~その目は~~~!!

安価把握

スカーレットって……
でもまだまだ序の口なんだよなぁ……

お休みなさい

乙。原作知らないけど、このままだと100ー2ー3行きそう。あと、公演やってる劇場ってどのくらい広いの?

>>126
原作は5部構成なので…………
劇だけじゃなく、コンサートや漫才までできる多目的施設のつもりです。
中にはエントランスやロビーやレストランや売店があります
劇中でもかなりの時間が経過したのは、設計→建築をおこなっていたからなのです
広さはそのあたりからお察しください


再開します

瑛梨華「……何ですか、その目は?
ぬゎんですかぁぁ~その目は~~~!!」

保奈美「……………………」

瑛梨華「私はですねぇ!南部婦人として当然の心構えを………と、と言うか……未亡人がそんな風に快活な手を振ってはいけません!」

保奈美「………誰が決めたのよ、そんな事……?」

瑛梨華「えっ…………?」

保奈美「……誰がそんな事を決めたかって聞いてるんです?誰?デーヴィス大統領か誰か?」

瑛梨華「そ、それは………その…………南部人として当然の事と言うか………………」

保奈美「南部人ですか?じゃあ、南部人の誰がいつ決めたんです?!」

瑛梨華「あ………えっ……………」

保奈美「南部人としての当然のマナー?アトランタの婦人連中が文句をつけるための口実でなくて?」

瑛梨華「ま、まあ……スカーレット……!」

保奈美「分かってるわよ。こんな事をしたらどうなるかぐらい。あの老ぼれ猫のメリウェザーが、街中に私をだらしない婦人だって触れ回れるんでしょう!」

瑛梨華「す、スカーレット……!そんな……そんな事を言ってはいけません………!ドリー・メリウェザーは私の親友で………」

保奈美「私は本当の事を言ってるだけです。メリウェザーが老ぼれ猫なのは事実でしょう?意地の悪い好奇心しか持ち合わせちゃいない!」

瑛梨華「……あ……あ………あ………………」

保奈美「あんな婦人は一度、口を縫い付けてしまえば…………」

瑛梨華「………うっ………ぐすっ…………ぐすっ……………」

保奈美「……あっ……ご、ごめんなさい、叔母さん!私はただ…みなさんが通るのを見たかっただけなんです。」

瑛梨華「……ぐすっ………ぐすっ…………スカーレット………お願いですから…そんな事は言わないでください………お願いですから………」

保奈美「……………………………」

瑛梨華「……世間の口はうるさいのです………あなたが亡くなったチャールズに尊敬を払ってないと………言われてしまいますよ……」

保奈美「…………(あっ………今外からの最後の響きが途絶えてしまった…………)」

瑛梨華「……私はね……あなたに悪い評判が立ったりするのが心配で………………」

保奈美(……外はあんなに賑やかだって言うのに………私はうるさい赤ん坊と馬鹿な老人の相手で………時間を費やさないといけないなんて…………こんな………こんな…………)ポタッ……

瑛梨華「………!あ、あら………」

保奈美(もう嫌よ………何もかも…………………)ポタッ……ポタッ……

瑛梨華「ああ、ごめんなさい…!あなたまで泣かせてしまって………」

保奈美「……いえ………私も……取り乱してしまって…………」

加蓮「どうしたの、2人とも?!」
ダッダッダッダッ…!

瑛梨華「スカーレットがね、チャールズの事を思い出したのですよ……」

加蓮「まあ………元気を出して、ね?泣いたりしてはだめよ、スカーレット…」

保奈美「うう………ううう………うわあああああ……!(もうどんなにしたって私の青春は失われてしまった……!)」


加蓮「………かわいそうに………ね、チャールズがどれだけあなたを愛していたか考えてちょうだい……」

保奈美「(そんな事が悲しくて泣いてるんじゃ………ああ……私の悲しみは誰も理解してくれない……!)う……うああああああ……!」

加蓮「>>134


伯母様、今はそっとしてあげましょう

加蓮「叔母さん、今はそっとしてあげましょう……」

瑛梨華「そ、そうですね……私も少し無神経だったかもしれません………」

加蓮「……スカーレット………辛いとは思うけど………その……………」

保奈美「そっとしておいてくれるつもりなら早く私を1人にして!!」

加蓮「…………ごめんなさい……じゃあ…………」

保奈美「………………………」

〜〜〜


保奈美「馬鹿ばっかり!この、この!あの化石みたいな連中には私の悲しみは理解できないんだわ!」

保奈美「何が、チャールズよ!何が南部同盟よ!何が戦争よ!」

保奈美「…メラニーだって18のはずなのに、どうして閉じこもってて平気なのかしら………きっととてつもなく鈍感だからだわ!」

保奈美「それで、私みたいには全然もてないから、残念がる必要はないし……メラニーにはアシュレがいる!……そして私には誰もいない………」

保奈美「……うう………うあああああああ…!神様は不公平だわ!…うう………私からはどうして何もかも取り去ってしまうのよ!」

保奈美「うあああああああ……………!!」

〜〜〜


保奈美「………………………」

保奈美「………ん………」パチッ………

保奈美「………いつの間にか寝てしまってたみたいね………泣き疲れて寝るなんて……あの赤ん坊みたい………」

コンコン

保奈美「…………誰?」

加蓮「私よ、スカーレット。……その………ごめんなさい……少し下まで降りてきてもらっていいかしら………?」

保奈美「…………………………」

加蓮「……どうしても外せない用事みたいなの………」

客間



礼子「ボンネル夫人のお嬢様方がはしかにかかってしまったの。」

瑞樹「そればかりじゃなくて、マックルアさんのところのお嬢ちゃんたちはヴァージニアに呼び寄せられてしまったわ。………ダラス・マックルアが負傷してしまったのを迎えに行かなければならないそうよ。」

瑛梨華「まあ、お気の毒に………それでダラスさんは…………?」

瑞樹「貫通銃創だから問題はないらしいわ。ただね、ボンネル夫人とマックルアのお嬢ちゃん方がいないと今夜のバザーがどうなるか……わかるわね?」

瑛梨華「………!まあ、ドリー、私たちは駄目だわ!」

礼子「駄目なんていったらいけないわ……ピティパット・ハミルトン。」

礼子「スカーレットとメラニー、それからあなたには少しだけしか手伝わせないもの、いいでしょう?」

加蓮「でも…私たちはだめです……チャールズが亡くなってまだほんの…………」

瑞樹「あなたたちの気持ちはわかるわ。でもね、これもお国のためよ。わかるわね?」

加蓮「それは分かりますけど……………でも……」

礼子「>>141

礼子「……私たちの言うことが聞けないというの?どうなるか分かってるわよね?」

加蓮「あっ………い、いえ……………その…………………」

礼子「まったく……最近の若い子ときたらこれだから困るのよ。何かと言い訳を付けて。」

瑞樹「難しいことを頼んでるわけじゃないじゃない?メラニー、あなたは売店の後ろにいるだけでいいのよ?」

加蓮「…………ですが…………」

瑞樹「地味な売店だから誰も注意しないわ。いけるわね?」

瑞樹「…………………………」

>>142訂正 ホラーや………



礼子「……私たちの言うことが聞けないというの?どうなるか分かってるわよね?」

加蓮「あっ………い、いえ……………その…………………」

礼子「まったく……最近の若い子ときたらこれだから困るのよ。何かと言い訳を付けて。」

瑞樹「難しいことを頼んでるわけじゃないじゃない?メラニー、あなたは売店の後ろにいるだけでいいのよ?」

加蓮「…………ですが…………」

瑞樹「地味な売店だから誰も注意しないわ。いけるわね?」

加蓮「…………………………」

礼子「…新しい寝台や薬品を買うのにどれだけお金が必要かを知らないわけじゃ…………」

保奈美「メラニー、私たちには行く義務があると思うわ。」

礼子「………あら。」

保奈美「病院のためには私たちはこれぐらいはするべきじゃないかしら?」

礼子・瑞樹「……………………」

保奈美「私、みんなでお手伝いに行って成功するようにすべきだと思うの。ねえ、メラニー、私たち2人の方が上手くいくでしょう?」

加蓮「……………そうね……………」

礼子「スカーレットの言う通りよ。ふふっ……あなたは分かっているじゃない。」

保奈美「私も南部の淑女ですから。」

加蓮「………………………………」

礼子「ピティさん、あなたもまさか嫌とは言わないわよね?チャールズだって、命を捧げた祖国のためにあなたたちが働く事を喜んでくれるに違いないわ。」

瑛梨華「うう………え、えっと………世間が理解してくれると言うなら………」

礼子「決まりね。迷惑をかけてごめんなさいね。」

保奈美「…………………………」

夜 パーティ会場



保奈美(それにしちゃ上手くいきすぎね、それにしちゃ上手くいきすぎね………♪)

保奈美(まさか、こうして理由はどうあれ、パーティーに出席できるなんて。しかも、この街始まって以来の1番のパーティーに!)

保奈美(病院のため…なんてくだらない。だけど、そう言う理由を使えばパーティーに出れるなら、口先ぐらいでは言っておきましょう。)

保奈美(パーティー!本当のパーティー!一年も家に閉じこもっていたからどうにかなっちゃうところだったわ!)

保奈美(ふふっ……あの、封鎖破りの人が持ってきたレースは綺麗ね。…実にパーティーに似つかわしいわ。)

保奈美(>>148)

あとはあの老人どもにどうやって一泡吹かせてやるかだけど……

保奈美(あとはあの老人どもにどうやって一泡吹かせてやるかだけど……)

保奈美(一泡吹かせてやらないと、私の気が収まらないわ。わざわざ、『献身的』な態度に付き合ってあげたんですもの。)

保奈美(…そうね………何をしたら一番寿命を縮めてやれるかしら…………)

保奈美(……………あ、飛び上がって思わず心臓が止まりそうになるような真似をやってやるのはどうかしら?)

保奈美(……ええ、これが一番簡単で愉快で効果的な方法だわ!ふふふ………)

保奈美(あの壁にかかってるデーヴィス大統領とスティーヴンス副大統領の肖像画に花瓶でも投げつけてやろうかしら…?)

保奈美(……………………………)

保奈美(…今一つパッとしないし、流石に肖像画に穴を開けるのはやりすぎね……)

保奈美(………何か……何か面白いこと…………………)

保奈美(…あの基金がたくさん集められるからって踏ん反り帰っている老人どもに…………)

保奈美(…………(そろそろかしら…?))

舞台裏



あい「保奈美君の演技は大したものだね。やれやれ、私たちも下手な演奏はできないな。」

音葉P「君に下手な演奏なんてされた日には台無しなのだよ。無いだろうがね。」

あい「ふふっ、期待に応えられるように頑張らせてもらおう。」

柑奈「き、緊張してきた…!…はっ!手にピースって書いて飲めば大丈夫な気がする!」

音葉P「……柑奈君…声が大きい。」

柑奈「すみません、師匠!気を付けます!」

音葉P「…………………………」

星花「手にピースですか……なるほど…興味深いですわね……ピースとはピースですよね?」

柑奈「平和のピースです!ピース!ピース!ピー……」

音葉P「ここは舞台裏なのだよ、静かにし給え。」

柑奈「………………あっ…!つ、つい出来ピースで………」

星花(出来ピース………?)

あい「まあまあ、元気があっていいじゃないか。」

音葉P「有り余られても困るのだよ。」

柑奈「あはは……………」

星花(手にピース……手に手の形を書くのには何か儀式的な意味合いが……?)

あい「… ピアノとサックスとクラシックピアノ、それにヴァイオリン……もっと楽器は無くてもいいのかい?」

音葉P「多すぎては演技の邪魔になる。フルートやコントラバスは曲に合わない。琵琶や尺八は……説明が欲しいかね?」

あい「ふふっ、冗談さ。少数精鋭と行こうじゃないか。」

柑奈「師匠、師匠、師匠!」

音葉P「僕の名前を呼ぶのは一回で良いのだよ……何だね?」

柑奈「>>155

頑張ります!見てて下さいね!

誠に申し訳ありませんが再安価とさせていただきます………
「見ていて」くださいは………

再安価
>>157

そういや盲目だったっけな……

柑奈「いつものアレをお願いします!」

音葉P「……なら、こちらへ来給え。」

柑奈「はい!」トコトコトコ…

星花「『いつものアレ』とは………?」

音葉P「……大した事ではないのだよ。…声の位置から察するに柑奈君はこの辺りだね。」ナデナデ…

柑奈「今日もありがとうございます!おお……師匠はやっぱり力加減が絶妙ですね!強いラブを感じます!」

音葉P「指先の感覚が不器用なピアニストは居ないのだよ。」ナデナデ…

星花「………これは………?」

柑奈「あっ、聖ちゃんがすごくラブを感じるって言うんで、試しにしてもらったら………100万ラブ 100万ラブで200万ラブ!! いつもの2倍のなでなでが加わり、200万×2の400万ラブ!! そして、いつもの3倍のピースを加えれば、400万×3の1200万ラブになるんです!」

星花「…………は、はあ…?」

あい「そんなに上手いのか………ふむ……薫の頭をより良く撫でるために一度教えを請う方がいいかもしれないな……………」

音葉P「……ふむ、このぐらいで構わないかね?」

柑奈「はい、心がラブでいっぱいになりました!これで、今からの演奏ももっと頑張れます!」

音葉P「ふふっ……それは何よりなのだよ。」

柑奈「よし、行きましょう皆さん!ピースな音色を届けますよ!」

星花(軍歌の演奏もあるのですが………)

あい「…終わったら技術交換をしないかい?」

音葉P「………?…構わないが………」

柑奈「合言葉は……ラブ&ピー……!」

音葉P「声を落とし給え。うるさい。」

柑奈「…………は、はい……」

舞台 パーティー会場


〜〜〜♪

保奈美(始まった………!)

〜〜〜♪

保奈美(……素敵………あ、いけないわ、お芝居に集中しないと………)

保奈美(………………………)

保奈美(……あっ、いけない、いけない!……………♪)

保奈美(>>165)

……あのにやけた顔、まさか……!!

安価把握

一時中断します

再開します

保奈美(……あのにやけた顔、まさか……!!)

沙紀「………………であるからしてですな………」ニヤニヤ

保奈美「………………そして、あの嫌味ったらしい喋り方は…………」

沙紀「はぁ、なるほど。それは実にためになるお話で………」ニヤニヤ

保奈美「……………………………」

加蓮「……?…どうしたの、スカーレット?」

保奈美「………い、今あそこに…………あら………?(居ない………?)」

加蓮「……えっと……知り合いの人でもいたのかしら…?」

保奈美「……いえ…そんな気がしただけで見間違いだったわ。(見間違い……見間違いに決まってるわ……ああ……私ったら……)」

加蓮「あら……そうなの…?…まあ、これだけ人が居れば似た人ぐらいいくらでもいるわ。」

保奈美「そう…そうね……(私の居るアトランタにあの男が居るなんて……そんな偶然ある訳がないわ……!)」

加蓮「それよりも、スカーレット。この音楽ってとても素晴らしいと思わない。」

保奈美「……ええ………心が弾むようなワルツね……聞いてて楽しくなるわ。」

加蓮「そうね。………ただ………」

保奈美「…………ただ……?」

加蓮「せっかく兵隊さんたちがたくさんいるんですから、もっと……こう………」

〜〜〜〜♪

保奈美(…………あっ……!曲が変わった…)

〜〜〜〜♪

ワーワー!ガヤガヤ!

加蓮「そうそう、これよ、これ!この『麗しき青旗』なんてこの場にぴったりだわ!」

保奈美「…………(……いい曲だったのに……)」

加蓮「…………『……そこにきらめく一つ星、万歳!』」

保奈美「……………………………」

加蓮「………私ね…この曲を聴いていると、とても幸せな気持ちになるの……だってね、あまりに兵隊さんたちが誇らしくて………」

保奈美「…………はぁ…?」

加蓮「見て、あのグレーの軍服に身を包んだ、南部の大義のために戦う勇ましい兵隊の皆さんを……!ああ………私………私……………」

保奈美(……意味が分からないわ………兵隊を見て涙ぐむなんて……このメラニーでさえ興奮して……………!)サッ

マア、ミテ……アノユウカンナスガタ……
スバラシイコウケイネ……
キキマシタ?コノアイダノショウリノコト……?

保奈美「………………………………」

保奈美(…みんな……メラニーと同じ目をしている………熱狂的に…何かを誇らしく思っている目……)

加蓮「………あんな兵隊さんがいるんだもの………戦争には必ず勝てるわ…!」

保奈美(……何をそんなに…………!『戦争の大義』!『南部の偉大さ』!………私の胸の中には無いもので……こんなに…美しく燃え盛っている!)

加蓮「あなたもそう思うでしょ…?」

保奈美(……ここにいる人たちは全員同じだわ…そして私だけが仲間外れ……!……私には…戦争の素晴らしさなんてちっとも分からないもの……)

加蓮「………スカーレット…?」

保奈美「>>174

いえ……なんでもないわ。ただちょっと具合が悪くて……

保奈美「いえ……なんでもないわ。ただちょっと具合が悪くて……」

加蓮「あら、まあ!大丈夫……スカーレット……?」

保奈美「……メラニー、売店を少しの間あなたに任せて休憩してきてもいいかしら……?」

加蓮「そんなのいいに決まってるじゃない!少しと言わず、具合が良くなるまでゆっくりしてきて……私なら、大丈夫だから……ね…?」

保奈美「……ありがとう。……じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうわ…」

加蓮「何かあったらすぐに教えてね………?」

保奈美「………ええ……」

パーティー会場 隅



保奈美「………………………」

保奈美「………馬鹿馬鹿しい……そんなので興奮できるなんて、単純にできてるのね。…私もいっそ単純に生まれていれば良かったわ…」

保奈美「………パーティーでまで戦争………たぶん、歯を磨いてる間だって戦争の話をしてるんだわ…!………くだらない……………」

保奈美「…………………………」

保奈美「………人生から、私は仲間外れにされてしまった………もう誰も私を理解しては………」

沙紀「私ではご不満ですかな?」

保奈美「………………っ……?!」

沙紀「ふふふ……驚かせてしまいましたかな?すみません、美しいご婦人がこんな隅に一人で居られたものですから、つい声をかけてしまいました。」ニヤニヤ

保奈美「………………あぁ……」

沙紀「誰も理解してくださらない、と。ははぁ、それはけしからん話ですな。女性が悩んでいたら親身になるのが人として当然ですのにねぇ?」ニヤニヤ

保奈美(………見間違いじゃ………なかった………………)

沙紀「南部の男たちは女性の扱いが分かってらっしゃらないようだ。ややっ、あなた、もしかして私とどこかでお会いしたことがありませんかな?」

保奈美「………き、気のせいじゃないでしょうか………?」

沙紀「ふむ、気のせい。確かにそうかもしれませんな。私は商売の上で多種多様な人間と会っている。ですから、私が勘違いしているのかもしれない。」

保奈美「……………っ…………!」

沙紀「うーむ、ですがどうにもそうとは思えません。ところで全く関係ない話なんですが、私は1年ほど前ジョージアで素晴らしい女性と知り合ってですなぁ。確か、その女性の名前はスカーレット・オハ…………」

保奈美「気付いているなら最初からはっきりそう言えばいいでしょう!レット・バトラー!」

沙紀「おお、思い出しましたよ!あれあれ、しかし妙ですなぁ。あなたは今勘違いと仰っていたのに?」

保奈美「………っ…………!!」

沙紀「ははははは、勘違いは誰にでもあるものですよ。お気になさらず。」

保奈美「………あなたが何でここにいるのよ…!」

沙紀「ご存知ありませんか?封鎖破りのバトラー船長と言えば、少しは名の知れた有名人のつもりだったのですが。」

保奈美「そ、そんなの………!」

〜〜〜

瑛梨華「最近、封鎖破りの中でも特に勇敢な船長さんがいるんですって。名前は…………えっと……忘れてしまったけど……確かチャールストン出身の方だったかしら……?」

〜〜〜

保奈美「………………!!」

沙紀「>>183

ぴにゃこらどーるについて、もうひとつの話をご存知ですか?

安価把握

このシリーズ、安価が取りづらすぎですね………

すみません……力尽きます………

遅くなりました………

再開します

沙紀「ああ、ピニャコラドールについて、もうひとつの話をご存知ですか?」

保奈美「な、何ですか…急に…?!」

沙紀「僕は思い付いた事をすぐに口に出してしまう性質でしてね。ふと、思い出したので話をしたくなったんですよ。すぐ済む話ですから我慢して聴いていただけるとありがたいのですがねぇ?」

保奈美「私が絶対に話すなって言っても話すんでしょう?」

沙紀「ははははは、参りましたな。僕はあなたからはそんな人間に見えるらしい。」

保奈美「当たり前でしょう?あなたの事はちっとも信用できないもの。」

沙紀「ずいぶんと嫌われてしまったようですな。ふふっ……しかし、嫌とは言われないようなので話させていただきますね。」

保奈美「…………っ……(嫌味ったらしい……!)」

沙紀「まず、あなたが住んでいた場所の守護神、ピニャコラドールは元々インディアンたちの神だったのはご存知ですよね?」

保奈美「えっ……………」

沙紀「………はぁ……どうもアメリカ人と言うのは、自分たちが住んでいたのは元々インディアンたちの土地だったと言う事を忘れている。特に綿花農家なんて、天地開闢以来自分たちの土地だったみたいな顔をしている。」

保奈美「……………………………」

沙紀「失礼、話が逸れましたな。」

沙紀「 ピニャコラドール神と言うのはですね、願いの代償を欲する神だったのですよ。生き血とかそのような、ね。」

保奈美(生き血…!…確かにピニャコラドール様に特別なお願いをする時は、生き血を捧げないとって………)

沙紀「そして、何より邪な心を憎む神でもあったそうです。ははは、注文の多いやつですなぁ!」

保奈美「…………………………」

沙紀「さて、ここで問題です。もし、ピニャコラドールに自分勝手な願いをする奴がいて、しかし、そいつがある意味半分願いを叶えてしまった場合、ピニャコラドールサマはどうするのでしょうかねぇ。」

保奈美「何が言いたいの…?!」

沙紀「思い付いた事を言ってみただけですよ、お嬢さん。」

保奈美「…………………っ……!」

沙紀「あえて何か一つ挙げるとするならばそうですね………例えば……ある男性との結婚を願った結果、男性は逃し結婚は成功した、と言う場合どうなるのか、と言う事です。」

保奈美「?!」

沙紀「ふふっ………いやはや、くだららない想像でしたなぁ。すみません」

保奈美「…………あ、あなたはっ……………?!(この男は私がチャールズを愛していなかった事に気付いていて……それを遠回しに私に伝えているんだわ………!)」

沙紀「一介の封鎖破りですよ。ご傾聴ありがとうございました。」

保奈美「>>191

言いたいことはそれだけ?

保奈美「…言いたいことはそれだけ?」

沙紀「……と、言いますと?」

保奈美「悪魔みたいなあなたの事だから、私に対して何かまだ言い足りないんじゃないかと思って。」

沙紀「おやおや、ミス・オハラ。僕がいつあなたを糾弾するような事を言いましか?」

保奈美「ああ、そう!あなたはあくまでとぼけるつもりなのね。本当にいやらしい……何がしたいの?私に何を要求しているの?」

沙紀「ふむ、あなたは何か勘違いしておられる?私はあなたに何も言ってはおりませんよ。……私が悪徳だと思うような事は。」

保奈美「あれが悪徳ではないですって?だとしたら……あなたの性根自体がどうにかしてるのよ!」

沙紀「私の性根がどうにかしている?ふむ、ある意味正確ですよ。私の内面はここにおられる南部の紳士諸君の誰とも異なっているのですから。そう見えて正解です。」

保奈美「自分が特別だとでも言うつもり?ちょっと封鎖破りで成功しているぐらいで大した自信ね。」

沙紀「ははははは、あなたほどではありませんよ。僕はさすがに自分たちの望むもの全てが手に入ると思うほどの自信はありません。」

保奈美「まあ……!淑女に対してそんな事を言うなんて…………!」

沙紀「淑女?あなたが?あなた自身もそう思っておられないのに?」

保奈美「……………………っ……!」

沙紀「淑女なんてつまらないもの、気取ったって仕方がありませんよ?」

保奈美「……わ、私が淑女でないなら、あなただって紳士ではありません!」

沙紀「はい。むしろ、一緒にしないでいただけませんか?僕は紳士も淑女と同じぐらい大嫌いなのですよ。」

保奈美「なっ……?!えっと……そ、それは南部同盟に対するひどい侮辱です!」

沙紀「おやめなさい。あなただって心の中では僕と同じ事を思っている癖に。戦争しか頭にない紳士、馬鹿でつまらない淑女、あなたは彼らをを尊敬していらっしゃるんですか?だとしたら謝らせていただきますが。」

保奈美「……………っ……………!」

沙紀「ふふっ……図星でしたか?すみませんねぇ。」

沙紀「あなたと僕は同類ですよ。お互いこの熱病に浮かされたみたいな騒ぎを冷ややかにしか見れないでいる、ね。」

保奈美「あなたなんかと一緒にしないでちょうだい!こ、この…………この…………!」

沙紀「ははははは!そんなに熱情を持て余しておられると言うのに、ぶつける先は僕しかいない。同情しますよ。」

保奈美「……………っ…!!!」

沙紀「僕みたいな非『紳士』しか、あなたのお心を察してあげられないなんて、本当に同情すべきお話です。」

保奈美「う、うるさい…!(…この男の言う事は失礼極まりない事ばかりだけど……………………ああ、それが一番腹が立つわ!)」

沙紀「ミス・オハラ。」

保奈美「私はもうミス・オハラではなくてミセス・ハミルトンよ!」

沙紀「ああ、失敬しました。あなたはご結婚されたのでしたな。この素晴らしいパーティーにはご主人も出席なされてる事とは思いますが、今どちらに…………」

保奈美「1年前に南カロライナの兵営で病死したわ!だから、挨拶ならできないわよ。」

沙紀「これはとんだ失礼をしました。お国の為に死ぬのは永遠に生きる事のだと言う慰めの言葉を私から差し上げる非礼をお許しください。」

保奈美「ありがとう!(小指の爪の先ほどもそんな事は考えてないくせ!よくもまあ……)」

沙紀「結婚生活は長かったのですかな?不躾な質問ですが、何せ私はこのあたりにはとんとご無沙汰していたものですからね。」

保奈美「2か月でした!」

沙紀「それはお気の毒でしたな。すると、あなたは今夜初めてアトランタでパーティーに出席なされた訳だ。」

保奈美「私が悪いんじゃないわ!マックルワの令嬢たちの代理で出席しなきゃならなくなっただけです!」

沙紀「悪いとは言っておりません。ただ私は、たった2か月の結婚生活のためにパーティーにも出席できなかったあなたの身の上を心から気の毒に思っていただけです。ミス・オハラもとい、ミセス・ハミルトン、ご存知ですかな?」

保奈美「何をよ…?!」

沙紀「私は未亡人の生涯を黒い喪服に閉じ込めて、日常の楽しみを奪うのを見ると思い出すのですが、インドのヒンズー教徒の間にはサッティと言う習慣があるのですよ。」

保奈美「インド人の習慣が未亡人と関係があるの?」

沙紀「まあ、お聞きなさい。インドでは人が死ぬと土葬ではなく火葬にします。そして、残された妻は必ずその火葬の薪の山の上にのぼって、夫の遺骸と焼かれるのです。」

保奈美「まあ、恐ろしいこと!どうしてそんな…………警察は何も言わないの?」

沙紀「もちろんしやしませんよ。育ちの良い婦人はみな自分から進んで焼かれるのです。さもないと、なすべき事を果たさなかったとして、周りから排斥されてしまうのです。あなたが綺麗なドレスを着てパーティー会場の真ん中で踊ったら、ご婦人がたがそうするように。」

保奈美「………………………………」

沙紀「>>200

沙紀「まだ分からないのか?それがお前の受ける罰なんだぴにゃ。」

保奈美「?!」

沙紀「お前はアシュレと一つになることを望みながら、結局は一時の感情に流されてチャールズを選んだ。つまり、ピニャコラドールを裏切ったのぴにゃ。
そしてチャールズが死んでなお、お前は自分の行いを反省しようとしなかった。もはやお前とお前の一族は、未来永劫屈辱と汚泥にまみれて苦しみ続けるのぴにゃ。」

保奈美「………こ、今度はそんな方法で私を………………」

沙紀「話しているのはこの男ではなくぼくぴにゃ。」

保奈美「………笑えない冗談は…!」

沙紀「そう、お前にこの先笑顔はないぴにゃ。」

保奈美「………………………………」

沙紀「生きながらにして埋葬され、喜びを全て奪われる。一時的な幸福が訪れたにせよ、それはより深い絶望をもたらす為のものぴにゃ。」

保奈美「………………だ……誰……?」

沙紀「それを説明する必要はないはずぴにゃ。お前が誰よりもよく分かってるはずぴにゃ。」

保奈美「……………………………」

沙紀「忘れるなぴにゃ。ぼくは対価は必ず支払わせるぴにゃ。」

保奈美「……あ…………」フラ……

沙紀「…………………………」

沙紀「………ん?僕は今何を話していまし…………どうしたんです、そんな青い顔をして?」

保奈美「………な、何でも……ないわ………………」

沙紀「…………ふむ。何でもないと言う事はないとは思いますが?」

保奈美「…………今日は色々あって…………疲れているのよ…………ええ………………つ、疲れているのよ………………」

沙紀「………?」

保奈美(バトラーがふざけていた……いや……あの雰囲気は間違いなく………………)

公演会場 アフレコスタジオ




スタジオスタッフ「はい、OKです!」

卯月「……………………ふぅ……」

スタジオスタッフ「お疲れ様でした。次の出番まで喉を休めておいてください。」

卯月「はい、次の出番も頑張ります!」

スタジオスタッフ「ははは、いいぴにゃこら太でしたよ?正にはまり役、と言う感じでしたね。」

卯月「>>206

ありがとうございます!頑張った甲斐がありましたね、プロデューサー!

卯月「ありがとうございます!…頑張った甲斐がありましたね、プロデューサー!」

卯月P「うんうん、普通に良かった。やっぱり普通に練習した甲斐があったな。」

卯月「はい!普通のぴにゃこら太と違って少し難しかったですけど……普通の時ぐらいの演技が出来たかな、って思うんです!」

卯月P「普通が一番だよ、普通が。普通にやれば普通は大丈夫なんだから。卯月はその普通さを普通に伸ばしていこう。」

卯月「ありがとうございます!えへへ…」

スタジオスタッフ(普通って何だろう…)

卯月P「ほら、喉を痛めたら普通にいけないからね、普通ののど飴。あっ……普通は水分補給からかな……?…どっちが普通?」

卯月「うーん……法子ちゃんや夕美さんや音葉さんが喉を使った仕事の後はドーナツがいいって…」

卯月P「なっ?!普通はドーナツなのか……?!普通に考えて、普通はあり得ないと思うけど……いや、アイドルではこれが普通……?!」

スタジオスタッフ「…普通に水分補給でいいと思います。(ドーナツは特殊例ですよ……)」

卯月P「そ、それが普通……?」

スタジオスタッフ「…たぶん普通ですね………」

卯月P「よし、じゃあここは普通に水分補給で行こう。うん、普通が一番、人生は普通に平々凡々に……はい、水。」スッ

卯月「いつもありがとうございます、プロデューサー。」

卯月P「プロデューサーなら普通さ。うん、普通はこのぐらいの事はしないと、普通に務まらないでしょ。」

卯月「はぁ……普通はそうなんですか…?」

卯月P「そう、普通はね、普通は。(ああ……今日もいい感じに普通だ………ちゃんと普通にできたし……卯月はナイス普通だなぁ……)」

スタジオスタッフ(卯月Pさんって変わった人だよなぁ……)

舞台 パーティー会場 隅



保奈美「…………………私……疲れてるんだわ…………疲れて………………」

保奈美「……………でないと……」

加蓮「…………スカーレット…?」

保奈美「……………そんな事がある訳が…………」

加蓮「………スカーレット……?」

保奈美「……………あっ……!メラニー…………どうしたの…?」

加蓮「その……スカーレットが心配になって様子を見に来たんだけど…………大丈夫……?」

保奈美「>>212

嫌になっただけよ……戦争のこともアトランタのことも婦人会のこともね……。

安価把握

心が豊かになってきました

一時中断します

現在準拠なら、ここまでで全体の6分の1程度になります
先は長いですが、どうかお付き合いください


再開します

保奈美「嫌になっただけよ……戦争のこともアトランタのことも婦人会のこともね……」

加蓮「えっと………………」

保奈美「…あなたたちはいいわね。帰ってくるのが楽しみな人がいて。熱狂できるものがあって。」

加蓮「…………す、スカーレット……?」

保奈美「…………何でもないわ。今のは忘れて。」

加蓮「…………………………………」

保奈美「………私………………もう…………………………」

加蓮「……………………」ギュッ……

保奈美「………………………!」

加蓮「……ごめんなさい……あなたが気丈に振る舞っていたから気付いてあげられなかった………………そうよね…………平気なはずがなかったのに………………」

保奈美「………メラニー………?」

加蓮「………まだ1年しか経ってないのに………………こんなパーティーに出ないといけないなんて…………」

保奈美(…違うわよ……相変わらず馬鹿な女………)

加蓮「………ごめんなさい…………………………」

保奈美「…………その…………(はぁ…………やっぱりいいわ……こんな馬鹿女に説明するなんてめんどくさい…………)」

加蓮「………いいのよ………… 私の考えが足りなかったわ…………スカーレット…………私………今からメリウェザー夫人たちにお話して……スカーレットだけでも家に………………」

保奈美「ううん、気を回してくれなくて結構よ。……そんな事したら、あなたが何て言われるか……(嫌よ…こんな風にして帰るなんて。あんまりにも惨めじゃない…!)」

加蓮「…スカーレット………私の事は気にしなくていいのよ……?…私が悪かったんだから………………」

保奈美(……そうね、元はと言えば、全部が全部あなたのせいよ!)

加蓮「……私にとって……戦争は気分の昂まるもので……パーティーは楽しかったかもしれないけど……あなたは戦争で夫を亡くしたんだものね………………」

保奈美(……そんな事はどうだっていいのよ…!あなたごときが私に同情しないで!)

加蓮「……メリウェザー夫人は……………………」キョロキョロ

保奈美「…いいって言ってるでしょ!」

加蓮「…………!」

保奈美「………ああ……ごめんなさい…………えっと…私だって南部同盟のために働きたいのよ。おめおめ家に帰るなんてできないわ。」

加蓮「>>220

でも、今のままじゃスカーレットは……

加蓮「でも、今のままじゃスカーレットは……」

保奈美「心配は要らないわ……ねぇ、南部同盟の勝利のためならこれぐらい……大した事じゃないもの。」

加蓮「……………………………」

保奈美「私がここでバザーのお手伝いをするだけで南部同盟の力になれるなら…………ね?」

加蓮「………あなた………そこまで…………………」

保奈美(………って言っておけばいいんでしょう。…確かに、お題目としてならこの上なく便利で素晴らしいものね。)

加蓮「………………ああ…………あなたの決心を…私全然分かっていなかったわ…………」

保奈美(……単純。このお題目に騙されていないのは、レット・バトラーぐらい……む、あんな男の事なんて!)

加蓮「……ごめんなさい……私ったら…………あなたの決心を無駄にするところだったわ……馬鹿ねぇ……私って……何も分かってなかったわ………」

保奈美(そうよ。そして今も何も分かってない。)

加蓮「……チャーリーもきっと誇りに思っているわ………スカーレット…南部同盟のために一緒に頑張りましょう………」

保奈美「………ええ。(……くだらない……)」

加蓮「…………私たち2人でなら………………」

ドコドコドコドコドコドコドコドコドン!!

加蓮「…………太鼓の音…何かしら……?」

「静粛に!」「静粛に!」「静粛に!」

保奈美「……あの演奏台の上にいるの、ミード博士じゃない?」

加蓮「あっ……本当ね。……そう言えば、今夜素晴らしい思いつきをしたって言ってらっしゃったけど…………」

清良「皆さん静粛に!静粛に!少しだけ皆さんの素晴らしい時間を私に分けてはいただけませんかな?」

保奈美「…演説でも始められるつもりなのかしら?」

加蓮「分からないわ。……今に分かる事でしょう。」

清良「皆さん、静粛に!………………ありがとうございます!」

清良「まず、愛すべきご婦人方によってこのバザーが財政的成功に導かれた事だけでなく、この殺風景な会場を可憐なる花園へと変えていただいた事に、我々一同深く感謝させていただきます。」

パチパチパチパチパチパチ……!!

保奈美「…………………………」

加蓮「……」パチパチパチ…!

清良「ご婦人方の貴重な時間、また手の働きをいただいて作られた売店の品々は、我が愛すべき南部の婦人のやさしき手によって作られたもので、故に美しさもひとしおであります。」

パチパチパチパチパチパチパチパチ……!!!

清良「しかし、それだけで残念ながら十分ではないのであります。看護委員のご婦人方はその救いの手をもって、大義のため戦場で傷ついた我が勇士たちを死の顎から救い出されたのですが、そのご婦人方なら我々の必要としているものを理解してくださるかと思われます。」

ザワ……ザワザワ……

清良「そう、医薬品であり、それを購入するための資金です。例えば英国から医薬品一つ輸入するにしても多額の資金が必要となるのです。」

清良「ここで、過去1年に渡り封鎖破りに成功し、しかも!これからまた我々が必要とする医薬品を輸入するために封鎖を突破せんとする豪胆な船長、レット・バトラー氏を紹介させていただきます。」

沙紀「皆さん、こんばんは。レット・バトラーと申します。」

保奈美「……!!」

沙紀「こうして皆さんにお会いできる事に、心から感謝させていただきます。」フカブカ…

パチパチパチパチパチパチ……!!

保奈美(…どうしてあんなに丁寧にお辞儀を…………そうか、ここにいる全員を馬鹿にしてるから、わざとそうしてるんだわ。)

加蓮「見て、バトラー船長よ!私ね、封鎖破りの船長さんたちってとっても勇敢な人たちだと思うの!」

保奈美「>>227

保奈美「ええ……そうね……(アイツは一体なにを考えているの……?)」

沙紀「私は皆様を非常に敬愛します。皆様あってこその南部同盟であるとつくづく思わされております。」

パチパチパチパチパチパチ……!!

加蓮「きっとあの方は素晴らしい紳士に違いないわ。でなければどうして封鎖破りなんて命がけの事を行えるでしょうか!」

保奈美「………………………………」

沙紀「封鎖破りの立場から言わせていただきますと、まったくもってミード博士の仰る通りです。我々には多くの資金が、黄金が必要なのです。」

ザワ……ザワザワ……

沙紀「……………………………」

清良「…私は犠牲を求めます。しかしながら、それは我が勇士諸君が我々に捧げておられる犠牲に比べればほんの微々たるものです。……淑女諸君、私はあなた方の装身具を要求します。否、これを求めているのは南部同盟であります。」

ザワザワザワザワ…!!

清良「…やさしい手首に宝石が輝くのは非常に美しい…だが、犠牲はより、どんな黄金や宝石より美しいのであります。黄金は溶かし、宝石は売り、医薬品などの購入にあてます。淑女諸君、これから戦傷勇士の2人がかごをもって回りますから……」

パチパチパチパチパチパチ……!!
パチパチパチパチパチパチ……!!

清良「ありがとうございます!ありがとうございます!」

加蓮「まあ…………………………」

保奈美(喪服を着ていて助かったわ。大切な物は何も身につけていないもの。)

〜〜〜


「これを入れてちょうだい!」

「これも持っていって。ああ、今外しますから!」

「ねえ、お母様。あたしも出していいでしょう?」

保奈美(……何かがおかしいわ、みんな…こんな風景……)

加蓮「えっと………えっと………………」

保奈美(残念ね、私からは何も回収できなくて。…メラニーは何をおたおたしてるのかしら?)

加蓮「………………………………」

小梅(傷だらけの戦傷兵)
「あ、あの……………」

保奈美「すみません。何もお渡しできませんわ。(…何も出してないのは私だけみたいね……まあ、いいけど…………)

小梅「…そ、そうですか…………すみません…………えと……じゃあ……」

加蓮「……ああ……その…………」

保奈美(無い物は仕方が………………)

大きな金の結婚指輪「………………」

保奈美「…………あっ。(そう言えば……………………)」

保奈美(…チャールズがはめてくれた結婚指輪……)

大きな金の結婚指輪「…………」

保奈美(…これをはめてくれた時、チャールズはどんな顔をしていたかしら…?……だめ、思い出せない。いらいらした印象しか出てこないわ。)

大きな金の結婚指輪「…………」

保奈美「(チャールズ………………何よ!チャールズこそ私を老人みたいにしてしまった男じゃない!)待って!」

小梅「は、はい…………?」

保奈美「差し上げるものがありましたわ。」スチャ

保奈美「……………………」チラ

沙紀「……………」ニヤニヤ

保奈美「(ピニャコラドール?知った事じゃないわ!)持っていってください。」ガチャリ

加蓮「まあ……スカーレット…!あなた………偉いわ…偉いわ…本当に偉いわ!……待ってください、私にも差し上げるものが有ります!」

結婚指輪「…………………」

保奈美「……!(…メラニーの結婚指輪……アシュレにはめてもらってから一度も外していない…………命より大切にしている物……)

加蓮「>>235

安価把握

進まない…………すみません……

お休みなさい

ウルトラマンの時とかはバトルだったからまだみんなガンガン話を動かしに来てたけど今回はそうじゃないからなぁ……もうちょいはしょれるとこはしょってもいいと思う

>>237
ご意見ありがとうございます
>>1としましてもその様にしなければならない事は分かっているのですが…………
個人的に削れないと思うところまで削って、この有様です…………
また、
削りすぎる→風と共に去りぬの意味が無い
原文ママ→安価の意味が無い
と、なってしまう可能性があるので、その辺りのバランスも難しいところです……
一つ確かなのは、>>1の手には余る題材だという事だけです…………
至らない点が多々あると思いますが、その度に指摘してくださると大変助かります……
今後は整合性が合わなくならない程度に場面単位で削っていこうと思います




再開します

加蓮「これを!」

保奈美「……あなた………?!」

加蓮「あなたにだけなんか、させられないもの。どうぞ、お国の為に役立ててください。」スチャ ガチャリ

小梅「…あ、ありがとう……ございます…………」

加蓮「当然の事をしたまでです…」

保奈美「…………………………」

小梅「……………………」ペコ スタスタスタスタ…

保奈美「…………………………」

加蓮「…………ああ…」 ギュッ

保奈美「……………!」

加蓮「……あなたがあんな勇気のある行動をしなかったら……私には勇気が出せなかったわ……」

保奈美(…っ!違うわ、そうじゃない!今すぐこの勘違い女を振りほどいて…!)

沙紀「………………」ニヤニヤ

保奈美「………………っ……そ、そんな事は無いわよ…(まただ!また私を見て楽しんでるんだわ!)」

加蓮「…兵隊さんたちに負けないぐらい……あなたはとっても勇敢だわ……!」

沙紀「ふふっ………………」
スタスタスタスタ……

沙紀「いやはや、全くその通りです。あなた方は実に素晴らしい愛国心を持っておいでになられる。」スタスタスタスタ……

保奈美(……よくもまあ抜け抜けと…!)

加蓮「……あなたは…………」

沙紀「あなたの素晴らしい行為に胸を打たれた者の一人です。誠に美しい行為を見させていただきました。感動で胸が溢れんばかりですよ。」

加蓮「……いえ…………そんな事は…………………………ありがとうございます…」

沙紀「………………………」チラ

保奈美「……………………」ギリッ

加蓮「…バトラー船長のような方に、そんな風に言っていただけるなんて…………」

沙紀「おや、私をご存知でしたか……?」

加蓮「はい……あなたを知らない人間はアトランタにはいません……あなたは南部同盟の中でも特に勇敢で素晴らしい紳士です………」

沙紀「私なぞ大した事はして居りませんよ。ただ、自分のやりたい事をやっているだけです。」

加蓮「まあ、だとしたらより素晴らしいですわ。愛国心の塊でもいらっしゃるのね!」

沙紀「ははは、とんでもない。」チラ

保奈美「>>244

保奈美(……どうにかしてこのいけ好かない男をぎゃふんと言わせてやれないものかしら…………)

沙紀「いやぁ、奥様は実に立派でいらっしゃる!きっと戦地におられるあなたの旦那様もさぞかしあなたを誇りに思われる事でしょう。」

保奈美「…………っ……!(言っていることは普通の事なのに、この男の口から出るだけでどうして……こう…………!)」

加蓮「まあ…………ありがとうございます………」

沙紀「ああ、あなたもご立派でしたよ?『ミセス・ハミルトン』。」

保奈美「………………っ!!(いいわよ、その挑発に乗ってあげる!私に二度と失礼な事が言えないようにしてやる!)」

沙紀「ふむ………いかがなされましかな?『ミセス・ハミルトン』。」

保奈美「……いいえ、なんでもありません。お褒めにあずかり、本当に感謝いたします。」

沙紀「………ミセス・ウィルクス。」

加蓮「……は、はい…………?!…あの………どうして私の名前を…………?」

沙紀「私が勇敢さで知られるなら、あなたはその誠実さで知られているという事ですよ。」

加蓮「…えっと………………」

沙紀「ミセス・ウィルクス。あなたは、もう少しご自分が如何に人々に愛されておられるかをご理解された方がよろしいですな。」

加蓮「………………………………」

沙紀「私、こちらのご婦人とのちょっとしたお約束を思い出してしまいまして。」

保奈美「(とことんやり合うつもりらしいわね。)ええ、バトラー船長とお話をしなきゃならない用事があったの。」

加蓮「……そうなの……?」

沙紀「はい、ですからすみませんが、少しこちらのレディをお借りして構いませんかな?」

保奈美「すぐに済む用事だから。ね?」

加蓮「……ええ、分かったわ。(バトラー船長が相手なら心配はいらないわよね。)」

沙紀・保奈美「………………」

〜〜〜


保奈美「……今度は何よ?」

沙紀「ご自分から誘われておいて、それは些か手厳しすぎやしませんか?」

保奈美「あなた相手に手厳しすぎるなんて事はないわ。さあ、私に対して言いたい事を好きなだけ言ってらっしゃい!」

沙紀「はてさて、なんの事やら…………?」

保奈美「とぼけないで!」

沙紀「ははははは、相変わらず冗談の通じないお人だ。」

保奈美「………………………………」

沙紀「では、私も本音で話す事にしましょう。あなたみたいにね。思ってもいない事を話すのは肩が凝って仕方がないんですよ。」

保奈美「………………………………」

沙紀「睨まないでくださいよ、せっかくの美しいお顔が台無しだ。…と、言いたいところですが、あなたに関しては逆だ。」

保奈美「自分は睨みつけられるのがお似合いって理解できたって事?」

沙紀「ノー、ノー。そうやって本心を表に出すのがあなたの素晴らしく勇気のあるところだと言ってるんですよ。私はあなたに最初に出会ったとき、その勇気にすっかり驚かされてしまいました。」

保奈美「私はあなたの無礼さにすっかり驚かされたわ!」

沙紀「私は褒めているのに。ひどいお嬢さんだ……ふふふ…………」

保奈美「…………………………」

沙紀「そこら辺の馬鹿なお嬢さん方と来たら、母親のいう事を何でもそのまま飲み込んで、その通りに行動し、綺麗事ばかり言って、感情だとか欲望だとか悲しみだとか、そんなのは全部隠している。それに引き換えあなたと来たら、平気で本心は言う、壺は投げつける……」

保奈美「まあ!あなたは本当の本当に礼儀も何も知らないのね!あなたは、いやらしい育ちの悪い男に過ぎないのに、ちっぽけなボロ船で封鎖破りをしたぐらいでパーティーにのこのこ現れて!そんなあなたに、勇士の方々や、大義の為に一切を犠牲にしているご婦人方を馬鹿にする権利が…………!!」

沙紀「ストップ、ストップ。」ニヤニヤ

保奈美「………………っ……!!」

沙紀「出だしは良かったが、後半が悪かった。互いに思ってもない事を言って何になると言うのです?」

保奈美「…………な、ならっ……どうして……?!」

沙紀「『どうしてあなたは封鎖破りなんてしているの?一体何を考えているの?』……こんなところですかな?」

保奈美「…………っ………………」

沙紀「ははははははは!よろしい、お答えして差し上げましょう。簡単に言えば全て金儲けの為ですよ。封鎖破りは私にとっては商売なんです。」

保奈美「か、金儲けの為?!」

沙紀「はい。その為だったら、どんなに見下している相手にだって心から賛同しているような真似をしますよ。大事な商売相手ですからねぇ。」

沙紀「このパーティーもご婦人方の犠牲も全て大変素晴らしい。だって、その収益金はやがて私の懐に転がり込んでくるんですから。」

保奈美「あなたの如何に自分がお金目当ての悪漢であるかの自慢なんて聞きたくないわ!そんなのまるで、北部の連中と一緒よ!」

沙紀「まさにその通りです。彼らは私を儲けさせてくれる非常に有益な友人たちです。先月、私はニューヨーク港に乗り入れて貨物を積んできたのですからね。」

保奈美「何ですって?!それで砲撃はされなかったの?」

沙紀「彼らがそんな事するものですか。北部にもがっちりした愛国者たちがいましてねぇ、彼らは平気で南部に商品を売って金儲けをしているのです。砲弾からレースから、何でも売ってくれますよ。」

保奈美「北部の連中が卑劣なのは知っていたけど……まさか、そこまでなんて……」

沙紀「>>254

人はイデオロギーだけで生きてはいけません。南部を侮蔑するあなたならば理解できると思ったのですがね

沙紀「人はイデオロギーだけで生きてはいけません。南部を侮蔑するあなたならば理解できると思ったのですがね。」

保奈美「私は南部を侮蔑してなんか……!!」

沙紀「ご自身が気付いていらっしゃらなくてもあなたは南部を侮蔑していますよ。試しに、南部があなたに何をしてくれたか考えてもみてください。」

保奈美「そ、それはっ…………!」

沙紀「南部の因習と傲慢と無知、それがあなたに何をくれましたか。退屈と退廃と失望だけではありませんか!心から違うと思うのであれば言い返してみてくださいよ、ほら。」

保奈美「………………っ……!!」

沙紀「ははははははは!」

沙紀「お嬢さんにも分かりやすく教えてさしあげましょう。イデオロギーは納屋の壁にはなりません、馬に食わせてだってやれませんし、我々の腹も満たしてくれません。つまり、煉瓦や干し草や小麦よりはるかに価値が無い。」

保奈美「そんなの……えっと…………へ、屁理屈だわ!だいたい…何だってそんな頭がこんがらがるような言い方をわざとするのよっ?!」

沙紀「お嬢さんにも分かりやすく言ったつもりだったんですがな。ドレスや宝石で例えた方がお分かりしていただけたかな?」

保奈美「あ、あなたが言っている事は全部出鱈目だわ!インチキのイカサマよ!」

沙紀「だから、思ってもない事を言うのは止めようと言ったではありませんか。本当にそう思うなら、そこまでムキになって反論したりしやしませんよ。」ニヤニヤ

保奈美「……………………っ!!」

沙紀「イデオロギーで生きていけるなら、あの博士だって装身具を集める必要なんてなかったじゃないですか?彼は何を要求しました?金じゃないですか。」

保奈美「それとこれとは話が……!」

沙紀「一緒ですよ。私が言いたいのは、金はイデオロギーに出来ない全ての事が出来る、という事です。」

保奈美「言っている意味が分からないわ!」

沙紀「少し冷静になって考えてみてください、必ず分かるはずです。それに何百年か経てば戦争の勝敗なんて問題ではなくなりますよ。どっちにしろ同じじゃないですか。だったらこれを利用して儲けるのが一番得だとは思いませんかね?」

保奈美(反論したい気持ちでいっぱいなのに……言葉が出てこない……!どうして……?!)

沙紀「どうせ南部は最後に負けるのを彼らはちゃんと分かっているのですから、それまでに金儲けをしておく、それの何が悪いんですか?」

保奈美「私たちが負ける……?!」

沙紀「もちろんですとも。」

保奈美「そ、そんな事を言うのは南部同盟に対する酷い裏切りだわ!今すぐ銃殺刑にされたって文句が言えないぐらいの……!」

沙紀「ははははははは!不思議ですねぇ、事実を言うとみんな怒る。」

保奈美「どうぞあちらに行きなさい!それとも馬車で私が帰らなきゃ駄目かしら?」

沙紀「…灼熱の小反逆児だな。ふふっ………」フカブカ
スタスタスタスタ…

保奈美「はぁ……はぁ…………!」

〜〜〜


加蓮「ねえ、スカーレット…バトラー船長とは何を話していたの……?その……メリウェザー婦人があなたの事をずっと…………」

保奈美「あの男は世にあるまじき最低最悪の人間よ!…メリウェザーのおばあさんになんか勝手に言わせとけばいいんだわ!あのおばあさんのために馬鹿みたいな真似をするなんて胸糞の悪い………!」

加蓮「まあ、スカーレット!」

保奈美(南部が戦争に負ける…?そんな馬鹿な事があるの?!みんな、こんなに勝利を確信し、雄々しく、献身的な表情を…………)ゾワリ……

保奈美(…………何……今の……寒気は……………)

保奈美(…………南部が負ける……そんな………事は…………………)

保奈美(……………………………)

保奈美「>>261

いえ……そんなことはあり得ない。あの男の戯言に決まってるわ……

保奈美(いえ……そんなことはあり得ない。あの男の戯言に決まってるわ……)

保奈美(でなければ………どうなってしまうと言うの………?!もし負けたりなんかしたら………アシュレが戦死なんかしたりしたら…………そんな事はあってはならないわ!)

保奈美「(負けるなんて………!)メラニー!」

加蓮「な、何………?」

保奈美「…南部同盟は必ず勝つわよね…?北部なんかに負けたりはしないわよね…?」

加蓮「………当たり前じゃない、南部同盟はけっして負けたりなんかしないわ。」

保奈美「そ、そうよね………」

加蓮「この前だって、『鉄壁将軍』ジャクスン将軍がシェチナンドー川流域ととリッチモンドでの戦いで勝利したし、もうすぐ戦争は南部同盟の勝利で終わるわ。」

保奈美「……終わる…………」

加蓮「だから、大丈夫よ。ジャクスン将軍や……何より、あの『名将』リー将軍が居るんだから、負けるはずがないじゃない。……急にどうしたの…?」

保奈美「え、えっと……改めて南部の勝利を確認したかっただけ……かしら…?」

加蓮「……………………」

保奈美「いえ……疑ったりした訳ではないの………」

加蓮「………スカーレッ………」

保奈美「……しっ!ミード先生がまたアナウンスなさるわよ。」

清良「えー、皆さん静粛に!静粛にお願いします!何度も申し訳ありませんが、今度もまた静粛にお願いします!」

保奈美「聞き逃したらいけないから、アナウンスに集中しましょう?」

加蓮「………そうね…」

保奈美「…………………………」

清良「皆さん、静粛に!………ありがとうございます!ありがとうございます!」

清良「……ゴホン、まずは先程の皆様の大変偉大なるご協力に対し、深く御礼を述べさせていただきます。」

パチパチパチパチパチパチ……!!

清良「……さて、紳士並びに淑女諸君。私はこれから奇想天外な事を提案いたします。大変衝撃を受けられるかもしれませんが、それも全て病院のため、ひいては入院している我が勇士諸君たちのためであることを理解していただきたい。」

ザワ……ザワザワ……

加蓮「…あの真面目なミード先生が人を驚かせる提案なんて……何を仰るつもりなのかしら…?」

保奈美「………………………」

清良「…これからダンスが始まるのでありますが、最初はリール、続いてポルカ、ショッティッシュ、マズールカとなっております。いずれもその前に短いリールがあり、リールの先導を取るために微笑ましき競争があるのは知っております。そこで…………」

ザワザワ……ザワザワ……

清良「……………」

清良「紳士諸君がもしご自分の選ぶご婦人とリールの先導を望まれるのであれば、そのご婦人のために値段を競っていただきたい。私が競売の収入の全額を病院に寄付いたします!」

ドヨドヨドヨドヨ……!!

「ねえ、今の聞きました?!」

「競売ですって!こんなの聞いたことがないわ!」

「これは一体…………」

清良「…………………………」チラ

朋「………うう…………」オロオロ……

礼子「これは私たちを馬鹿にしてる、って思ってもいいのかしら?」ヒソヒソ…

瑞樹「若い子を競売にかけるなんて……わからないわ。」ヒソヒソ…

朋「…………ね、ねえ……これは………」

パチパチパチパチパチパチ……!!

「いいぞー!」

「紳士らしいところを見せてやる!」

「早く始めろ!」

朋「…………あら…?」

「我々軍人も喜んでお相手させていただきましょう!」

「祖国のため、そして麗しきご婦人のために惜しむ金貨はありません!」

パチパチパチパチパチパチ……!!

「……ねえ、何だか面白そうじゃない……?」

「参加しましょうよ!」

パチパチパチパチパチパチ……!!

朋「………………………………」

清良「…皆様、ご理解いただけたようでありますな。」

加蓮「………まるで……何だか奴隷の競売みたい…………」ボソ……

保奈美(何て言うことになったのかしら…………………)

ワイワイ…ガヤガヤ…!

保奈美(私が綺麗なドレスを着て、美しいアクセサリーを身に付けていたら、何十人もの男たちが競って私を奪い合って、多すぎるぐらいのお金を差し出す事が出来るというのに……!)

ワイワイ…ガヤガヤ…!ワイワイ…ガヤガヤ…!

保奈美(なのに、私に出来るのは隅に座って見ている事だけ!つまらない娘たちがリールの先導をするのを見ていなければならないなんて……!)

清良「さあ、では早速始めましょう。どうぞ!」

「メリウェザー令嬢に20ドル!」

礼子「ダメよ、うちのメーベルは売り物じゃ……」

「メリウェザー令嬢に30ドル!」

「40ドル!」「50ドル!」

礼子「……だから……売り物じゃ……………」

「60ドル!「70ドル!」

「ええい、じゃあ75ドルだ!」

礼子「…………………もう……」

保奈美「…………………っ!!(これからダンスが始まる!私を抜きにして!)」

「あそこの彼女に60ドル!」

「あちらのお嬢様を45ドルで!」

沙紀「…………………………」

保奈美(私だけ……除け者に…………)

沙紀「チャールズ・ハミルトン夫人に……金貨で150ドル。」

シーン……

保奈美「?!」

沙紀「チャールズ・ハミルトン夫人に金貨150ドル。」

清良「そ、それだけはいけません。その……彼女は未亡人でしてな……」

沙紀「それが何か?」

清良「他のご婦人に………」

沙紀「いけません。ハミルトン夫人です。」

清良「………………………………」

沙紀「>>274

一時中断します

ハミルトン夫人は確かに未亡人でありますが、この150ドルが傷ついた勇士諸君の為になるのであれば、亡きチャールズも彼女が踊ることを許してくれましょう。そう、彼はそういう男だった!

再開します

沙紀「ハミルトン夫人は確かに未亡人でありますが、この150ドルが傷ついた勇士諸君の為になるのであれば、亡きチャールズも彼女が踊ることを許してくれましょう。そう、彼はそういう男だった!」

ドヨドヨドヨドヨ……!!

沙紀「この150ドルは彼女に支払うのではありません。南部同盟の大義の為に支払うのです!」

保奈美(……あの男に良心は無いのかしら……?次から次へと心にも無い事を………)」

清良「むぅ………し、しかしですな……………」

沙紀「『しかし』、『しかし』、なんですか?ミード博士。まさか、私に反対なさるおつもりですか?」

清良「…それは流石に常識外れと言うか………」

沙紀「この競売自体がそうではありませんか。このような試み、前代未聞ですよ。」

沙紀「そう、偉大なる南部同盟の大義に尽くす為には常識に囚われていてはいけないのです!さあ、皆様はどう思われますか?私の行為は間違っているでしょうか?」

ザワザワ……ザワザワ……

礼子「……あのバトラーとか言うのは最低限のマナーも知らないみたいね?」ヒソヒソ…

瑞樹「なに、スカーレットが受けるわけがないわ。スカーレットには常識がはるはずよ。」ヒソヒソ…

保奈美「…………………………」

清良「……ゴホン……その……お気持ちはありがたいのですがな………他の娘では…………?」

沙紀「私はハミルトン夫人以外には興味がありません。」

ザワザワ……ザワザワ………!

清良「むむむ……話は分かりました。しかし、しかしですな……おそらくハミルトン夫人は承諾しては………」

保奈美「いいえ、私承諾いたします!」

沙紀「………ふふっ………」

加蓮「あ、あなた…………………」

保奈美「私はバトラー船長からのリールの先導を望ませていただきますわ。これもすべて南部同盟の為ですもの。」

加蓮「………………………………」

保奈美(フン、自分だけに出来る芸当だと思わないことね。)

沙紀「ご承諾はいただけましたが?」

清良「…………む…………」

ドヨドヨドヨドヨ……!!

保奈美(ふふっ……みんなが私を見ている!他のどの娘よりも私を!ああ……何て愉快で興奮するんでしょう!)
チラ

礼子・瑞樹「……………」ポカーン…

保奈美(そして、老人どもは何て間抜けな顔をしているんでしょう!ふふふ……最高だわ!あの老人どもに一泡吹かせてやったわ!)

ドヨドヨドヨドヨ……!!

保奈美(私は今、この会場で最も価値があって、最も注目されている!)

沙紀「ミス・ハミルトン。」 ツカツカツカツカ

沙紀「競売のルールに従って私と踊っていただけますかな?南部同盟の大義ために。」スッ

保奈美「ええ、よろしくてよ、バトラー船長。南部の大義の為に。」パシ

沙紀・保奈美「……………」

沙紀「オーケストラの皆さん、曲はそうですね……『ディルシー』でお願いします!構いませんね、ミス・ハミルトン。」

保奈美「ふふっ……そうね、それで行きましょう。」

ドヨドヨドヨドヨ……!! ドヨドヨドヨドヨ……!!

保奈美「………………………………」

パーティー会場 中央


〜〜〜♪

保奈美「どうしてあなたは私にあんなに注目を集めさせたの?」

沙紀「お答えしましょう、親愛なるハミルトン夫人。あなたがそれを望んでおられたからです。」

保奈美「どうして私の名前を皆さんの前で呼んだのかしら?」

沙紀「嫌なら拒絶する権利があなたにはあったはずですが?」

保奈美「ふふっ……………それもそうね。」

沙紀「おや、素敵な笑顔だ。何がそんなに愉快でたまらないのです?」

保奈美「>>284

保奈美「この薄っぺらいパーティに薄っぺらい競り、そして薄っぺらい口説き文句に乗る薄っぺらい私、なにもかが滑稽じゃない?」

沙紀「滑稽と言えば滑稽ですな。ですが、まあ良いではありませんか。『ローマに入ってはローマ人に従え』です。」

保奈美「何それ?」

沙紀「その場所のやり方に合わせろ、と言う意味です。」

保奈美「南部の紳士や淑女のやり方に?」

沙紀「まさか。薄っぺらい場所で薄っぺらい事をしたって、何の問題も無いと言いたいんですよ。」

沙紀「周りがこれだけ楽しんでいるのに、僕らだけ楽しめないなんて不公平じゃありませんか。だから、せめて今だけでも馬鹿のふりをして踊りましょう。」

保奈美「ふふっ……容赦が無いのね。」

沙紀「容赦を売って利益になるなら、持つ事も考えなくはありませんよ。」

保奈美「あ、そう。なら、あなたは一生慈悲だとか憐れみとかと無縁で生きていくのね。」

沙紀「私のボロ船には積み込めるスペースがありませんからね。おそらく、そうでしょう。」

保奈美「呆れた。呆れすぎて物も言えないわ。あなたみたいな人見た事ない。」

沙紀「では良かったですねぇ。新しいタイプの人間を知れて。」

保奈美「呼吸をするみたいに皮肉が言えるのぬ。さっきの演説はどこからどこまでが本心だったのかしら。」

沙紀「『ミス・ハミルトンに1500ドル』までですな。」

保奈美「最初だけじゃない。」

沙紀「そうとも言います。ふふっ……もっと仰々しく行った方が良かったですかな?『ああ、不肖私めは偉大なる南部に協力するために……』ぐらい。」

保奈美「あれ以上されたら聞いてる方がたまらないわ。ただでさえ、じんましんが出たのに。」

沙紀「それはすみません。」

保奈美「どうして本心を言わなかったの?あなたにはもう失う外聞なんて無いでしょうに。」

沙紀「確かに、僕はどうせ嫌われ者ですから、今更何をしたところで同じでしょう。ですが、あなたは違うんじゃないですか?」

保奈美「評判なんて、こうしてあなたとダンスを踊っている時点で全部台無しになってしまったわ。」

沙紀「ははははは!そりゃ結構。」

保奈美「笑い事じゃないわよ。母に知られたら………」

沙紀「別にあなたはお母様のエプロンの紐に縛られているわけではないでしょう?」

保奈美「あなたは美徳をとても馬鹿にしたみたいな喋り方をするのね。」

沙紀「『みたいみたいな』、じゃありません、実際に馬鹿にしているのです。」

沙紀「美徳とは何です?因習や骨董的な価値観の事ですかな?」

保奈美「はいはい、私が悪かったわ。」

沙紀「ははははは!正直な娘だ!私あなたのその様な点をすこぶる気に入っております。」

保奈美「フン……ありがとうございます。私はあなたが嫌いですけど。」

沙紀「それは非常に残念だ。僕たちは理解し合えると思っていたんですがねぇ。ふふっ…………」

保奈美「…あなたは大嫌いだけど、馬鹿じゃないわ。」

沙紀「>>292

ありがとう……最高の誉め言葉だ

>>288訂正



保奈美「呼吸をするみたいに皮肉が言えるのぬ。さっきの演説はどこからどこまでが本心だったのかしら。」

沙紀「『ミス・ハミルトンに150ドル』までですな。」

保奈美「最初だけじゃない。」

沙紀「そうとも言います。ふふっ……もっと仰々しく行った方が良かったですかな?『ああ、不肖私めは偉大なる南部に協力するために……』ぐらい。」

保奈美「あれ以上されたら聞いてる方がたまらないわ。ただでさえ、じんましんが出たのに。」

沙紀「それはすみません。」

沙紀「ありがとう……最高の誉め言葉だ。」

保奈美「あら……?」

沙紀「失敬。私だって褒められれば人並みに感じ入ってしまう物なのですよ。」

保奈美「…………………………」

沙紀「……意外でしたか?」

保奈美「このぐらいの褒め言葉で感じ入ってしまう事にはね。」

沙紀「…私は一件の家からも歓迎されませんからね。そう言った言葉をかけてくださる方は実に貴重なんですよ。」

保奈美「自業自得って言葉を知っているかしら?」

沙紀「それはあんまりですなぁ。僕はこれほどまでに正当にして神聖な大義のために貢献していると言うのに。」

保奈美「評判じゃなくてお金が欲しくってやっているのでしょう。なら、目的は果たせているじゃない。」

沙紀「それもそうですね。金貨さえ十分にあれば評判なんか無くたって十分やっていけますから。金貨さえあれば何だって買える。」

保奈美「そんな事はないわ。買えないものだって幾らでもあるわよ。……幸福とか愛とか。」

沙紀「大体においては買えますね。買えない場合でも実に素晴らしい代替品が手に入る。」

保奈美「では、あなたはそんなにお金を持っているの?」

沙紀「気になりますか?」ニヤニヤ

保奈美「あなたに自慢させてあげるって言ってるのよ。」

沙紀「ふふっ……それはそれは…なら、お言葉に甘えて自慢させていただきましょう。かなり、持っています。ええ、百万ドルよりまだたくさんです。」

保奈美「まさか!」

沙紀「あなたには嘘はつきませんよ。たいていの連中は文明は建設の時の場合と同じく、崩壊の時もまた金儲けができる事を知らないらしい。」

保奈美「それは一体どう言う意味で言っているの?」

沙紀「南部同盟の崩壊は大変な金儲けになるという事です。大部分の馬鹿な連中はそれに気付かないし、利用しようともしない。だから僕は一財産作っている。」

保奈美「それじゃあ、あなたは本当に南部が負けると思っているのね。」

沙紀「今度は怒らないんですか?壺の一つや二つは飛んでくるのを覚悟していたのですが。」

保奈美「あなたの言う事を一々本気にしていたらキリがないって分かったの。あなたって人は綺麗事は全然言わないのね。」

沙紀「馬鹿の真似をするのはダンスの間だけで十分です。」

保奈美「ふふふ………ああ…ずっとこうして馬鹿の真似をして踊っていられたらいいのに。前にはこんなにワルツは好きじゃなかったのに……」

沙紀「あなたは、僕が今まで踊った中で一番の女性ですよ、スカーレット・オハラ。」ヒシッ

保奈美「そんなにしっかり抱かないで。みんなが見ているわ!」

沙紀「見ていなければ良いのですか?ふふふ………」

保奈美「………………………」

〜〜〜♪

保奈美「……ワルツが上手なのね。あなたみたいな人って大概上手く踊れないものだけれど……この次ダンスを踊れるのが何年後になるかを考えると…………」

沙紀「ほんの数分後ですよ。次のリールにもあなたを競り落とします。その次のリールも、そのまた次のリールも。」

保奈美「まあ……そんな事されたら私の評判はめちゃくちゃよ。」

沙紀「もうめちゃくちゃですよ。だから、また踊ったっていいじゃないですか。僕らは楽しい、病院は儲かる。誰が困りますか?このまま踊りまくりましょう。」

保奈美「…ええ………いいわ。私すっかり熱に浮かされてしまってるんでしょうけど………誰が何て言おうが知った事じゃないわ。もう退屈は飽き飽きよ。踊って、踊って、踊りぬくわ。」

沙紀「そして、黒い喪服も脱ぎますか?僕は真っ黒で辛気臭い喪服は大嫌いだ。」

保奈美「>>300

そうね……あなたとならそれもいいかもしれないわね

保奈美「そうね……あなたとならそれもいいかもしれないわね……」

沙紀「おや、それは嬉しいですな。ささ、一刻も早くそんな陰気な服は脱いでしまいなさい。」

保奈美「……やっぱり辞めたわ。私、喪服以外の着替えは持ってきていませんもの。」

沙紀「それなら心配要りませんよ。私があなたに似合うドレスをたくさん持ってきていますから。」

保奈美「まあ………どうして?」

沙紀「僕の職業を思い出していただきたいですな。」

保奈美「………封鎖破りって言うのはそんなにドレスを持ち歩いているものなの?」

沙紀「お嬢様方がお求めになられるんですよ。しかしね、お嬢様方はどうも身の丈と言うものをご存じないらしい。」

保奈美「……お客様相手に失礼はしないんじゃなかったの?」

沙紀「事実を言っているだけですから。まったく、真っ赤なドレスやら淑女なんぞに似合う訳はないじゃありませんか。ああ、誰か僕が命がけで運んできたドレスが似合うような、感情の塊みたいな女性はいないのだろうか?」

保奈美「目の前にいる女性ではご不満?」

沙紀「おやおや、これは何たる偶然だ。神に感謝せねばなりませんなぁ。」

保奈美「神様にだって感謝していない癖に。」

沙紀「さあ、どうでしょうね。さぁ、向こうで好きなだけ見せてあげますから、何着か試着なされてはいかがかな?そしてまた踊りましょう。」

保奈美「でも高いんでしょう?」

沙紀「ヨーロッパ直輸入の高級ドレス、普段なら目玉が飛び出るほどのお値段をいただきますが、今回に関しては……ダンスの謝礼という事で構いませんよ。」

保奈美「後から請求されても1セントだって払わないわよ?」

沙紀「ははははは!金には困ってないんですよ!」

保奈美「そうだったわね。じゃあ、高そうなのから着ていくことにするわ。」

沙紀「『どうぞ、お嬢様。』」

翌朝 ピティパット叔母の家




瑛梨華「ぐすっ………ぐすっ………スカーレット…………あなたって言う人はぁ………………」

保奈美「みんなが噂したって私は構わないもの。私が一番、あの病院のためにお金を作ってあげたんですもの。みんなが売った汚い古ぼけたがらくたの合計よりずっと。」

瑛梨華「お金のことなんかじゃありませぇん………ぐすっ………私は自分の目が信じられませんでしたよ………可哀想なチャールズが死んでまだ一年でしょう………?」

保奈美「………………………」

瑛梨華「……それなのに……あの恐ろしいバトラー船長と来たら………ぐすっ…………ワイティング婦人が親戚から聞いたそうですけど………あの人は大変な無頼漢らしいじゃない…………」

保奈美「まあ、無頼漢ね。無頼漢の中の無頼漢だわ。」

瑛梨華「ああ……スカーレット………それを知っていながら何故……?あの人は数え切れないぐらい悪い評判がありますし………どこかの娘さんに口では言えないぐらいいかがわしいこともしたって聞いたわ…………」

加蓮「私にはそんなに悪い人には思えないわ。」

瑛梨華「……ど、どうしてそう思うの………?」

加蓮「あの人は立派な紳士に見えたわ。それに、あんなに封鎖破りを勇敢に………」

保奈美「勇敢なんじゃないわ。あ、ワッフルにかけるからシロップのビンをとってちょうだい。」

瑛梨華・加蓮「……………………」

保奈美「あの人は単にお金のためにやっているのよ。自分でそう言っていたもの。南部同盟の事も何とも思っていないし、南部は負けるって言ってるのよ。でも、ダンスはとても上手いわ。」

瑛梨華・加蓮「…………」ポカーン…

保奈美「>>307

少しコツが掴めてきたような気がします………気がするだけですね………

お休みなさい

私は自分に嘘をつかない人が好きだし、そうなりたいと思ってるわ。くだらない見栄を張ったり、何もできないくせに長老気取りで偉ぶったり、愚にもつかない噂を流すのに現を抜かして現実から逃げるよりはよっぽどマシじゃない

スカーレットの心情の変化がこの作品のテーマの一つだと思います



再開します

保奈美「私は自分に嘘をつかない人が好きだし、そうなりたいと思ってるわ。くだらない見栄を張ったり、何もできないくせに長老気取りで偉ぶったり、愚にもつかない噂を流すのに現を抜かして現実から逃げるよりはよっぽどマシじゃない。」

加蓮・瑛梨華「……………………」

保奈美「老人たちのために家の中に引きこもっていなきゃならないのはもう勘弁だわ。どうせ私の評判はもうめちゃくちゃになったんだから、何を言われたって問題じゃないわ。」

瑛梨華「……す、スカー…………」

保奈美「ピティパット叔母さんも、ワイティング夫人たちみたいな老ぼれ猫共のいう言う事を全部真に受けてどうするの、自分で信じる噂ぐらい選んだら?」

瑛梨華「まぁ……………うう……………ぐすっ……………」

加蓮「ね、ねえ……………」

保奈美「…このワッフルはパサパサしてシロップが無いと食べれたものじゃないわね。きっと小麦粉が悪いのよ。そう思わない?」

加蓮「…………………………」

瑛梨華「ぐすっ………ぐすっ…………いつの間にかスカーレットまですっかり不良になってしまって………もしこの事を聞かれたら………あなたのお母さんは一体どう思われるでしょう…………」

保奈美「…………(…お母さんを驚かしてしまうのは……………)」

瑛梨華「ぐすっ………ぐすっ………私は一体どうしたらいいんでしょう………」

保奈美(……でも、アトランタとタラは25キロも離れているし、まず伝わりはしないわ。この老人だってそんな事を手紙で知らせる度胸はないでしょう。)

加蓮「泣かないで、叔母さん……スカーレットも辛かったのよ。どこにも行けなかったんですもの……」ギュッ……

加蓮「スカーレット……取り乱してはだめよ……私にはあなたがどんな勇気がある事をしたか分かっているわ……もし何か言う人が居たら……それは全部私が引き受けるわ……」

保奈美(余計なお世話だわ。あんたに引き受けてもらうも何も気にしちゃいないもの。)

加蓮「ねえ、ピティ叔母さん……私たちも時々みんなでパーティーにも出かけた方がいいんじゃないかしら…?」

瑛梨華「まぁ……そんな恐ろしい事………あなたまでスカーレットみたいな事を……………」

加蓮「聞いて、叔母さん。」

加蓮「この街にいる傷病兵さんたちは故居から遠く離れて、訪ねて行くお友達もいない人ばかりなのよ?……その人たちの事を考えたら、私たちもどこのお宅でもやっているみたいに、日曜日には傷病兵さんたちを家にお招きするべきじゃないかしら?」

瑛梨華「え、えっと……それは……傷病兵さんたちのためにパーティーをするってこと……?」

加蓮「ええ、それが正しいやり方だと思うの。……あなたがチャールズをいかに愛していたかは私たちみんな知っているもの、これなら大丈夫よ…?」

保奈美(フン……自分は昨日のパーティーで郷土防衛隊や義勇兵や傷病兵から他の誰よりも大人気だったからって。)

加蓮「私はあなたの味方よ……?」

保奈美(あんたなんかに味方してもらわなくて平気よ。老ぼれ猫どもの相手なんて私一人でやってみせるわ。)

加蓮「……ね、叔母さん。スカーレットは本気で言っているわけじゃないのよ?……だから、涙を拭いて。」

瑛梨華「うう………め、メラニーがそう言うなら……………」

ガチャ

巴「お話しちゅう最中だったかもしれやせんが、邪魔させてもらいますよ。」

加蓮「……あっ……な、なぁに、ピーター?」

巴「メラニー嬢様、あんたに手紙じゃ。」 スッ

加蓮「……ありがとう、ピーター。誰からかしら…?」 ビリッ

加蓮「………………………………」

保奈美(小麦粉を練って固めただけでももっとマシな味になるでしょうに。このワッフルは、ワッフルと呼ぶにも値しないわ。) パクパク

加蓮「………………………………」

保奈美(はぁ……タラの小麦粉さえあれば………………)

加蓮「……うう……うああああああん……!そんな……そんな……!」

保奈美「……………!(メラニーが呼んでこんなに取り乱す手紙…………まさか…………!)」

瑛梨華「」フラッ……バタ…

保奈美「……アシュレが…………!」

加蓮「いいえ!いいえ!違うの……ピーター、ピティ叔母さんに気付け薬を!」

加蓮「驚かしてしまって本当にごめんなさい……でも、私……あまりに嬉しくて……ぐすっ……感動してしまって……………」

巴「ほい、しっかりせぇ。」

瑛梨華「う、うーん…………あ、アシュレは…………」

加蓮「違うのよ、叔母さん。…見て!」

『あなたの健気に対する尊敬のしるしとして、これをお受けください。この指輪は10倍の価格で病院から買い戻したのですから、あなたの犠牲が無駄になったとはお考えくださらぬように。
レット・バトラー 』

加蓮「この手紙が……私の結婚指輪と一緒に…………!」

加蓮「>>317

↑彼はやはり紳士だわ……いえ、聖人とさえ言ってもいい……!

加蓮「ああ……!バトラー船長、ありがとう…ありがとう…!あの方はやはり紳士だわ……いえ、聖人とさえ言ってもいい……!」

瑛梨華「…………え、ええっと………」

加蓮「言ったでしょう、ピティ叔母さん。あの方は紳士だって!でなければどうして、私の心中を察してくださった上で、こんな思いやりに溢れた事をしてくださるでしょうか!」

瑛梨華「………こ、これは………きっと………………その………………」

加蓮「私嬉しくて……ああ……あの方の事を形容する言葉が出てこないわ……!」

保奈美(バトラーは今度は何が目的なのかしら……?)

加蓮「あ、見て!あなたの指輪まで一緒よ!その……なんと言うか…………あの方はまるで神様みたいに慈悲深いのね……!」

大きな金の指輪「………………」

保奈美「まぁ…………!(…人に腹を立てさせたら、右に出る人はいないわ、せっかく清々したと思ったのに!)

加蓮「ぐすっ………バトラー船長には絶対にちゃんとしたお礼を言わなくちゃならないわ…………ピティ叔母さん、今度の日曜にあの方を招待しましょう。」

瑛梨華「むぐぐ…………で、でもあの男は評判が………………」

加蓮「ここまでしていただいて、お礼の一つもしないほうが遥かに常識知らずだわ!」

瑛梨華「………………………………」

保奈美(ああ……そう言う事ね。私に嫌がらせをするだけが目的じゃなくて………………)

加蓮「いいわよね、スカーレット?」

保奈美「ええ、それがいいと思うわ。(…こうすればこの家の招待状を手に入れるって分かってたんだわ。……ピティパット叔母さんったら可哀想に。)

瑛梨華「…………お、お礼をするだけなら……………………」

保奈美(ここに来て今度は何をやらかすつもりか知らないけれど、待ち構えておいてあげましょう。)

巴「………たいぎぃ男じゃのう…それから、ほれ、スカーレット嬢様よ、あんたにも手紙じゃ。」スッ

保奈美「私に…………?」パシ

保奈美「……私に手紙を差し出す物好きなんて……………」

『母より』

保奈美「……………これが届いたのはいつ…?」

巴「さっきの手紙とだいたい同じ時じゃ。」

保奈美(…偶然………は無いわよね。アトランタの人間が南部のどこの人間よりも噂好きなのは知っていたけど……バザーがあったのは月曜日よ……?早すぎるにもほとがあるわ。)ビリッ

保奈美「……何々……『私は最近のあなたの振る舞いを耳にして非常に心を痛めています。』…………」

保奈美(……あの婆さんたちのうちの誰がわざわざお母さんに手紙を出したのかしら…?きっと、他人のあら探しが趣味のメリウェザー婦人ね。)

保奈美「………読みたくないからと言って読まないわけにはいかないわよね…………えっと…………」

『あなたがそんなに自分を忘れ、しつけを忘れることができるなんて母には信じられない事です。喪中の身でパーティーへ出た事は、病院への手伝いと言う温かい心から出た物として何も言いますまい。しかし、ダンスに至っては、あの悪名高きバトラー船長と………………」

保奈美「………………………………」

巴「…あんたのママさんからか?」

保奈美「……ええ…………えっと……………………………………
…………………………………………」

巴「………………………………」

保奈美「………………………………

巴「…………で、何ち言いちょるんじゃ、あんたのママさんは?」

保奈美「……要約すると、私はとんでもない事をして評判をめちゃくちゃにした。ピティ叔母さんはきちんと監督していなかったのか?家に呼び戻すか考えたけど、そこはお父さんの判断に任せた。金曜日にはお父さんがバトラー船長と会談をするためと、私を連れ戻すためにアトランタに来る。……こんなところかしら。」

巴「ほうか。そりゃ大事じゃのう。どれ、ピティ様に…………」

保奈美「止めてよ、ピティ叔母さんをまた気絶させたいの?」

巴「……………あんたの言う通りじゃな。」

保奈美「>>325

私だけでケリをつけたいの

保奈美「私だけでケリをつけたいの。」

巴「ほう…………と、言うと…?」

保奈美「お父さんが来る、それを説得してタラに帰ってもらう。お母さんも一度お父さんが行って、帰ってきたらあれこれは言わなくなるでしょう。」

巴「説得……の…何か良い考えでもあるんか?」

保奈美「まだないけど……金曜日までには考えつくわ。時間はまだもう少しあるもの。」

巴「………………………………」

保奈美「今、タラに連れ帰られるのは困るのよ。」

巴「つまり、あんたは自分の始末は自分でつけたいから、ピティ様やメラニー様に事がバレんよう、わしにどうにかせい、ちゅうわけじゃな?」

保奈美「あなたならやってくれると思うんだけど…?」

巴「…………………フン、あんたが何を考えてるかは知らんが、お二人に余計な心配はさせたくないけぇ。協力しちゃるわ。」

保奈美「ありがとう、ピーター。あなたって本当に誰よりも気が効くのね。それに、何をどうしたらいいかよく分かってる。」

巴「……勘違いしちゅうようなら言わせておきますが、あんたのためじゃあないけぇのお。」

保奈美「問題ないわ。」

巴「…………ピティ様とメラニー様には金曜日には買い物に行ってもらう。」

保奈美「……ありがとう。夕方までには終わらせておくわ。……出来ればビールを用意しておいてくれる?その方がうまく行くから。」

巴「ほうですか。……ビールはわしにできる範囲で準備させてもらう。ええか、例えあんたが如何に不真面目な娘だろうと、あんたがおらんくなるとピティ様が寂しがるんじゃ。ええな?」

保奈美「上手くやるわ。任せて、舌先三寸のやり方ならある人を見てよく勉強したから。」

巴「……………フン……」

保奈美「……………………………」

金曜日 午後 ピティパット叔母の家



友紀「……………………」プンプン!

保奈美「あら、お父さん。今日は一段と決まってるわね。」

友紀「お世辞はいいよ!スカーレット、あたしが今日何で来たかは分かってるでしょ!」プンプン!

保奈美「まあまあ、そんなに怒らないでちょうだい。体に悪いわよ?」

友紀「スカーレット!!いつからスカーレットはそんなに風な口を利くようになったの?!あたしはもう…何て言ったらいいか分からないよ!」プンプン!

保奈美(分かってはいたけど、すごい剣幕……)

友紀「ねえ、聞いてる?!聞いてるの?!」

保奈美「そんな大声を出さないで。近所中に聞こえてしまうわ。」

友紀「ぐぬぬ……………………」

保奈美「タラから遠路はるばる疲れたでしょう?どう、冷えたビールがあるんだけど?」

友紀「…ひ、冷えたビール……………………はっ!そ、そんな物いらないよっ……!あたしの怒りがそんな物でお、収まるわけがないじゃん!」

保奈美「ドイツの上物のビールらしいんだけど…………そうよね、ごめんなさい。今はそんな物の話をしている場合じゃなかったわよね。」

友紀「>>332

友紀「ど、ドイツのビール……ま、まぁ…まずは一杯飲んでから話をしようか。」

保奈美(流石はドイツのビール。)

友紀「……はっ!な、何でそんな貴重品を持ってるの?!怪しい、怪しいよ!さてはバトラー船長とか言うのからあたしを懐柔するために……!」

保奈美「出処が分からない怪しいお酒は飲めない?」

友紀「の、飲めないとか言ってないじゃん!そう……アレだよ……その……あたしが飲んでちゃんとした物か確かめてあげる!!うん、あたしは間違ってない!」

保奈美「…………………………」

友紀「言っとくけど、ビールぐらいじゃ怒りが解けたりはしないんだからね!」

〜〜〜


友紀「…………っかぁ!お代わり!」
ドン!

保奈美「………………」

友紀「お代わりって言ってるの!お代わりったら、お代わりったらおーかーわーり!ま、まだ信用できるお酒か分かんないもん!」

保奈美(信用できるお酒って何よ…)
トクトクトクトク……

友紀「おっほぉ……!この長らくお目にかかれなかった金色の……はっ!怒ってるよ!あたし怒ってるからね!」

保奈美「あ、そう言えばチーズもあるんだけど。」

友紀「そ、それはけしからん!あたしが確かめてあげるから持ってこい!た、確かめてあげないと怪しいチーズかもしれないからね!」

保奈美「はいはい。」

〜〜〜


友紀「ビール♪ビール♪おつまみ♪おつまみ♪…………はっ!ふ、ふむ……これは怪しいお酒やチーズじゃないようだね。」

保奈美「信用に足りる物だと分かってくれて嬉しいわ。(ピーターがどこで買って来たのかは知らないけど……バトラーが関わってるのは確かでしょうけど。)」

友紀「うー……アトランタは何やら怪しげな人たちがいっぱいいて大変な事になってるって聞いてたけど……あたしの勘違いだったのかな…?来る途中に怪しい人とも出会わなかったし…………」

保奈美「そうそう、全部お父さんたちの思い過しよ。タラならともかく、アトランタはこれが普通なのよ。」

友紀「…そ、そうなの…………?」

保奈美「ええ。」

友紀「………………………………」

保奈美「だから、お父さんたちが心配しているような事はないし、封鎖破りのおかげで何かと便利な良い街よ。治安も悪くはないわ。ね、もう安心したでしょう?」

友紀「…………うん、安心した!………あれ、でも何かもっと大事な事を聞きに来たんだったような気が…………」

保奈美「何言ってるの、お父さんはわざわざ私の様子を見に来てくれたんでしょう?アトランタでの暮らしは辛くないかって。」

友紀「……だ、だったっけ……?」

保奈美「そうよ。お母さんにも伝えておいて。『何も問題は無かった』って。」

友紀「……う、うん………………うーん……………そうだったかなぁ…………?」

保奈美(……これで誤魔化せたらいいんだけど…………)

友紀「…………って違ーう!!!」

保奈美(まあ、そうよね…………)

友紀「あたしが来たのはスカーレットに今回のころを……ゴホン、今回の事を問い詰めてタラに連れて帰るためだよ!……危ない、危ない………」

保奈美(……酔っ払いのくせに……まだ、頭がはっきりしてるなんて。)

友紀「こうやって話をうやむやにしようとしたのかもしれないけどねぇ!あんまりあたしを馬鹿にしたらいけないよ!スカーレット、今回の件はどういうつもりなの?!さあ、正直に答えて!」

保奈美「>>340

ジェラルドは原作でも酔っ払いなので
ユッキがユッキでも無問題です



一時中断します

↑私はもう、南部淑女らしくしろだの未亡人らしくしろだの、そういうつまらないことに縛られるのはもううんざりなの!
もちろんタラに帰るつもりもないわ。どうしてもって言うなら腕ずくで連れ帰ってみたら!?

再開します

保奈美「じゃあ正直に答えるよわよ。……ここでの暮らしははっきり言って辛く苦しかった。……ここでの暮らしははっきり言って辛く苦しかった。口うるさい婆さんたちにおべっか使って自分の言いたいことも言えなくて、ストレスばかりがたまって……そんな生活が一年以上続いて………」

友紀「何さ、それならさっさと帰って来ればよかったじゃん!よし、今からでも遅くないよ、一緒にタラへ………!」

保奈美「……でもそんな時にバトラー船長に出会って人生が大きく変わったの。」

友紀「ば、バトラー……?!」

保奈美「そうよ。バトラー船長がどう生きればいいか示してくれたの。」

友紀「ぐぬぬ……確かにスカーレットの人生は大きく変わったよ、とびっきり悪い方に!レット・バトラーから何を吹き込まれたのさ?!」

保奈美「何も吹き込まれちゃいないわ。そうね……強いて言われた事と言えば、南部の仕来りやマナーなんかくだらないって事ね。」

友紀「な、な、な、な…………?!」

保奈美「素晴らしい南部の伝統とやらが私に何をしてくれたのよ。役に立たないだけじゃなくて、とても窮屈なだけじゃない。そんな物守る義理はないわ。」

友紀「す、スカーレット……!!自分がどんな内容の事を言ってるか分かってるの…?!い、いくら自分の娘でも……南部同盟を馬鹿にするのは許さないよ……!」

保奈美「馬鹿な物を馬鹿と言って何が悪いの?」

友紀「なっ……?!」

保奈美「私はもう、南部淑女らしくしろだの未亡人らしくしろだの、そういうつまらないことに縛られるのはもううんざりなの! もちろんタラに帰るつもりもないわ。どうしてもって言うなら腕ずくで連れ帰ったら?!」

友紀「そ、それが自分の父親に対して言う言葉なの……?!見損なったよ、スカーレット!お前はあのレット・バトラーから予想以上の悪影響を受けているみたいだね!」

保奈美「違うわ!今までの私も馬鹿だったのよ!今ははっきり物事が見えるようになって、色々分かっただけよ!」

友紀「何がハッキリさ?!エレンが泣いて悲しむよ!いい、それを良識を失っちゃったって言うんだよ!」

保奈美「良識でパンが買えるの?!」

友紀「そんな言い回しをどこで覚えたのさ?!」

保奈美「どこだっていいでしょ!」

友紀「も、もう…怒ったよ!分かったよ、そんなに望むなら力づくで連れて帰ってあげるよ!明日どんな手段を使ってでもタラへ連れ帰ってやる!」

保奈美「ああ、そう!なら私は全力で逃げ回ってあげるわ!」

友紀「逃げたければ逃げなよ!必ず捕まえてあげる!よし、もう結論は出た!明日スカーレットを連れて帰る!でも…!その前にあたしの娘の名誉を台無しにしてくれたバトラー船長にはたーっぷりお礼をしてくるからね!」

保奈美「ふん、好きにすればいいじゃない!お父さんじゃ逆立ちしたって勝てやしないわ!」

友紀「言ったなぁ!あ、あたしは本気だからね!帰ったらエレンやみんなに言いつけて……家族会議だ!!」

保奈美「帰らないから私には関係ない話ね。」

友紀「ぐぬぬぬぬぬ……!スカーレットのバカ、もう知らないぞ!!」

深夜



巴「ふわぁぁぁ……で、売り言葉に買い言葉っちゅう訳ですかい?」

保奈美「…しょうがないじゃない…………」

巴「まあ予測は出来とった事じゃが………どうすんじゃ、あんた。」

保奈美「……………………………」

巴「…はぁ…………考え無しか…………」

保奈美(私は悪くないわ…………でも……このままだとまずいかしら………………タラに連れ帰られたら……私………………)

コンコン

巴「…む?」

コンコン

巴「………聞き違えじゃないようじゃのう…こんな時間に誰じゃ……礼儀知らずも大概にせえよ……スカーレット嬢様。」

保奈美「………勝手にして。」

巴「……どこのどいつか知らんが入れ。こんな夜中に外で扉を叩かれとったら迷惑じゃ!」スタスタスタスタ……ガチャ!

沙紀「突然の訪問をお許しいただきありがとうございます。」

保奈美「………?!ば、バトラー……どうしてあなたが……?!」

沙紀「あなたのお知り合いと思しき方を連れてまいりました。ほら、しっかりしてください。」ニヤニヤ

友紀「…うぇぇ…………ぎぼぢわるい…………………………み、みず………………」

保奈美「……………………………」

〜〜〜


沙紀「ふふっ……あのピーターに二階へ抱えられていかれたお方は?」

保奈美「もう分かっているんでしょう!私の父よ。……お父さんと何があったの?」

沙紀「何がと聞かれましても……ただ、一緒にお酒を飲んでポーカーで勝負をしただけですよ。」

保奈美「……どうしてそうなったの……?」

沙紀「さてねぇ。ところであなたのお父さんは素晴らしい声量の持ち主ですな。ここに来るまでの道中、近所どころか、アトランタ中に響くぐらいの大声でアイルランドの歌をずっと聞かせてくださいましたからな。」

保奈美「まぁ………………!」

沙紀「>>351

沙紀「お酒を飲んで機嫌が良いのか、はたまたストレスで機嫌が悪いのか……まぁ両方でしょうね。とにかく、お父さんの文句をカクテル片手に聞き流しながらゆっくりと飲んでいたら勝手に潰れてしまいましたよ。」

保奈美「物凄い剣幕だったけど、何かお父さんは何かしたりしなかった?」

沙紀「はははははは!確かに最初もう少しで殴りかかられんばかりのところでした。いやぁ、お元気な方ですな。」

保奈美「……怪我をしたりしなかった?………お父さんが。」

沙紀「あなたのお父さんにお怪我をさせる訳には参りませんからな。勝負内容をポーカーに変えさせていただきました。」

保奈美「はぁ…………良かった…」

沙紀「さっきから私の心配は全くしてくださらないのですね。」

保奈美「自分が心配してもらえると驕らない事よ。……あなたは私のお父さんにやられる程、やわじゃないでしょう?」

沙紀「さあ、やってみない事には何とも言えませんなぁ。喧嘩なら売られ慣れていますがね。」

保奈美「あなたって本当に悪い人ねぇ………で、ポーカーでの勝負の結果は?」

沙紀「……………………」スッ

保奈美「…?」

沙紀「あなたのお父さんに儲けさせてもらった分です。南部紙幣で500ドル入っております。」

保奈美「500ドル………500ドルって……!」

沙紀「安心なさってください。あなたのお父さん……ジェラルドさんは負けた事にはちっとも気付いてらっしゃらないはずですから。むしろ、勝ったような気持ちでいらっしゃられるはずです。私は接待上手なんですよ。」

保奈美「どうしたら500ドルも負けて気付かないなんて…………あ、お父さんなら酔っ払ってたら十分あり得る事だわ…………ねえ、あなた……」

沙紀「ふふっ、カクテルの味とポーカーの勝敗に因果関係は立証されておりません。」

保奈美「呆れた………………お父さんにも……あなたにも…………」

沙紀「楽しい時間を過ごさせていただきましたよ。その500ドルはお礼としてお返しいたします。」

保奈美「………………………」

沙紀「どうされました?」

保奈美「金が有り余ってる人間のする事って鼻について嫌ね。そう思ったの。」

沙紀「ふふっ……手厳しい。では、私はこの辺りで失礼させていただきますが…………今夜の一幕はあなたにとっても役立つ出来事かもしれませんよ?」

保奈美「…………分かってしまう自分が嫌だわ……」

沙紀「ははははは!やはりあなたは最高だ!………それと………………」

保奈美「ビールは大好評だったわよ。」

沙紀「…………気付かれていましたか、残念。」

二階 寝室



保奈美「…………お父さん。」

友紀「な、なに…………?今頭が痛いから……話なら出来れば後に……………………」

保奈美「今日はこんな時刻に帰って来なさった上に、大声で歌って近所中をお起こしになられて、大変立派な振る舞いでしたわね。」

友紀「………あ、あたし……歌ったの…………?」

保奈美「このご近所の人の一生涯忘れられない思い出になったでしょうね。」

友紀「うう…………しまったぁ………………勝負が始まってからは何も覚えてなくて………………」

保奈美「もしかしてポーカーの勝負なんかじゃないわよね?」

友紀「ぽ、ポーカーだけど…………だって…………あの道楽者のバトラー船長がポーカーで自分を負かしてみろって言ってきたから………………」

保奈美「……いくら負けたのか紙入れを調べてみなさい。」

友紀「なんだと……!あたしが負けるはずないじゃん…!あたしは1、2杯飲むと途端に…………………………」

保奈美「…………どう?」

友紀「……………500ドル…………お母さんに頼まれて封鎖破りの品物を買って帰るんだったお金が……………と言うか……タラに帰るお金も……………………」

保奈美「(………さて…)お母さんがこれを知ったら、どんな風に仰るでしょうね?」

友紀「………!!…ね、ねえ…………スカーレットは……お母さんを悲しませたりはしないよ……ね……………?」

保奈美「…………………………」

友紀「…………うう……………」

保奈美「あんなに優しいお母さんはどんなに心を痛める事でしょう。お父さんは私が名誉を台無しにしたと言ったわ。でも、私は病院のために少しダンスをしただけよ。でもお父さんと来たら…………」

友紀「わ、わかったから………!……頭が割れそうなんだよ………だ、だから………………」

保奈美「その上仰ったわよね、私が…………………」

友紀「ひ、昼間はそんなつもりで言ったんじゃない……んだ……よ……?………スカーレットは立派な良い娘……うん、そうだ。…連れ帰るなんてのもみんな冗談だよ……だから……その………お母さんを心配させるような真似は……………」

保奈美「しないわ。ただし、私をここに置いてくれて、お母さんにはあれは全部化け猫婆さんたちの根も葉もないかげ口だって言ってくださるならね。」

友紀「……………うう………そ、それは………………………」

保奈美「>>360

言ってくださるわよね?

保奈美「言ってくださるわよね?」

友紀「…そ、それって…………脅し…………?」

保奈美「…お母さんに知れたら大変よねぇ。ショックで寝込んでしまうかもしれないわ。マミーはどう思うかしら?きっとカンカンになって、ちっとやそっとじゃ…………」

友紀「……スカーレット………あたしを困らせて楽しい……………?」

保奈美「あら、私は事実を話しているだけよ。それは何か悪いことなの?」

友紀「………………う…………」

保奈美「………そして、ここに500ドルあるわ。」

友紀「……!!」

保奈美「これは私がお裁縫のお仕事や、バザーのお手伝いをして少しずつ貯めた大切なお金なの。(本当はさっきバトラーからもらったお金だけど。)」

友紀「………あー………えー………えーっと………………」

保奈美「…でもね、お父さんが困ってるのを見捨ててはおけないわ。……ねえ…………互いに困った事は無しにしない…?」

友紀「………………………………」

保奈美「……………………………」

友紀「………あたしもスカーレットも何もなかった………それでいいんでしょう……?」

保奈美「ええ。」

友紀「うん、互いに嫌な事なんかさっぱり忘れる事にしよう。スカーレットは立派にやっていたし、あたしだって何もしていない…………………ところでさ…………迎え酒がしたいんだけど………?」

保奈美「今すぐ持ってくるわ。(やった……!これで私はもう何にも悩まされる事はない!園遊会、舞踏会、ダンスパーティー……!ふふっ……ふふふふふ……………)」スクッ……スタスタスタスタ………

友紀「………あの………できれば…………」

保奈美「ブランデーでしょ、分かってるわ。(…私は自由………!!)」
スタスタスタスタ………

公演会場 二階関係者席入り口



ほたるP「…………女性はスケアリーです………」

やけに身なりのいい男「ああ………全くだよ………女より怖いものなんて世の中にはない………」ヨロヨロッ……

ほたるP「おや。私はあなたを待っていたのですが、あなたは来ていたのですか?」

志保P「…賭けは俺の負けか。」

やけに身なりのいい男「か、賭け………?」

志保P「こいつと賭けをしていたのさ。お前がここに来られるかどうかでな。生キャラメルが熱に弱いってぐらいに間違いないと思ってたんだが………夕飯は俺が奢るぜ、ほたるP。」

ほたるP「ありがとうございます。」

やけに身なりのいい男「…おいおい……人を勝手に賭けの対象にしないでくれよ…………痛た…………」

ほたるP「ギャンブラーとはそのような生物です。Well……私は夕食には美味しい和食が食べたいです。」

志保P「ふふっ、オーダーに容赦が無いな…和食と和スイーツの名店に連れて行ってやるよ。味は保証するぜ。」

やけに身なりのいい男「俺が来る事によって、ほたるPが高級店に行けるのが納得いかねえ………」

ほたるP「ははははは、ありがとうございます。私はあなたに感謝しています。」

志保P「俺はその逆だがな。ふふっ………本職には敵わねえな。」

やけに身なりのいい男「…人の不幸を飯の種にするかね………」

笑顔の男「あなたにそんな事を言う資格はないでしょう、クズ野郎。」
スタスタスタスタ

ほたるP「あなたも来ていたとは私は驚きました。珍しいコンビネーションだと私は思います。」

笑顔の男「違いますよ、このクズ野郎を俺がゴミ捨場から拾ってきたやったんですよ。」ニコニコ

志保P「余計な真似を………」

笑顔の男「今日は燃えないゴミの日でしたから。第一産廃はゴミ捨場に捨ててはいけません。周りに迷惑です。」ニコニコ

やけに身なりのいい男「お前ら…俺の扱いが酷すぎじゃないか……?」

笑顔の男「何を人並みの扱いを要求しているんですか、女の敵が。昨晩はどこの女性の家に外泊してたんですか?」
ニコニコ

やけに身なりのいい男「えっと……OLの……あ、違ったわ。OLの子とは三日前に別れたんだった。主婦の……あ、その子とも一週間前に別れたんだったわ。」

ほたるP「あなたの趣味は女性を敵に回す事なのですか?」

笑顔の男「クズですね。」ニコニコ

やけに身なりのいい男「人肌がないと寝れねえんだよ………昨日は誰の家に泊まったんだっけな……?」

志保P「スイーツのつまみ食いは程々にしておかないと奏が機嫌を悪くしちまうぜ……奏P?」

奏P(やけに身なりのいい男)「>>370

すみません………

寝落ちします………

奏のコウモリにも同じこと言われたよ。
……ったく、『この世アレルギー』とか言って引きこもってたあいつをまともな人間にしてやったのは俺だってのに

奏ってやっぱり………


再開します

奏P「奏のコウモリにも同じこと言われたよ……ったく、『この世アレルギー』とか言って引きこもってたあいつをまともな人間にしてやったのは俺だってのに……」

笑顔の男「紙クズも燃やせば暖が取れる。クズも使いようによっちゃ使えると言う良い例ですね。クズはクズですが。」ニコニコ

奏P「………お前は俺を罵倒するのが趣味なのか……?」

笑顔の男「嫌ですよ、そんなくだらない趣味。俺の趣味は将棋とゴミ掃除って言ってるじゃないですか。下半身脳すぎて覚えられないんですか?」ニコニコ

志保P「そういじめてやるなよ。奏を連れ出した事に関して『だけ』は評価できるんだからよ。」

笑顔の男「………『だけ』ならですね。」ニコニコ

奏P「…俺は一体何をしたら、そこまで言われなくちゃならないんだ…………」

笑顔の男「週7で女性の家に外泊、今朝もホテルの前のゴミ捨場に落ちていたような人間をどう評価しろと?」ニコニコ

奏P「…………ほたるP……」

ほたるP「ギャンブラーはスリルを求めますが、私はあなたのようにスリリングな生き方をしようとは思いません。」

奏P「お前まで……………」

ほたるP「ジョークですよ。」

奏P「ジョークに聞こえないんだよ……」

ほたるP「私は他人の生き方について何か言うつもりはありませんが……あなたはの事も考えるべきであると私は考えます。」

志保P「奏は良い女じゃねえか…志保には敵わねえが。あんな女が居て何故他の女のところに行くのか理解できねえな。」

奏P「……奏は確かに良い女だが……………奏には手は出せねえだろ……」

笑顔の男「誰が手を出せと言ったんですか、去勢しますよ?」ニコニコ

奏P「ジョークがキツイぜ………」

笑顔の男「………………」ニコニコ

奏P「……………マジか…」

志保P「スポンジケーキには食指が動かねえって事か?」

奏P「……違えよ……未成年アイドルがスキャンダル起こしちゃマズイだろうが………」

ほたるP「私はあなたが常識を持っていた事に驚きです。」

奏P「……………………………」

ほたるP「私のはジョークです。」

志保P「で、本当の理由は何なんだ?」

奏P「……俺ってそんなに信用が無いのか………?」

志保P「お前がそんな事で諦める男なら苦労してないぜ…」

奏P「…………奏は………その……………………」

志保P「……ん?」

奏P「………俺は生娘とガキとは楽しい事はしねえって決めてんだよ……そして、奏は生娘でガキだ。……それで十分だろ……」

ほたるP「……わざわざこれ以上評価が低くなる事を言う必要は無いと私は思いますが?」

奏P「…………嘘は言っちゃいないだろ…」

ほたるP「……あなたは女性を敵に回すのだけは止めた方が良いですよ?」

奏P「……それに関しちゃ俺が誰よりも身を以て理解してるよ…」

志保P「……………………………」

笑顔の男「……クズ野郎は本当にクズ野郎ですね。そんなだからずっとクズ野郎なんですよ。」ニコニコ

奏P「……俺の名前がクズ野郎であるかのような話し方は止めてくれないか……?地味に傷付く…………」

笑顔の男「クズ野郎は傷付けばいいんですよ。」ニコニコ

奏P「………返り血で服を汚しながら言われたら怖えじゃねえか………巴P……」

巴P(笑顔の男)「ゴミが目に付いたんで少し清掃活動を行ってきただけですよ?」ニコニコ

奏P「………………ああ…………それで…………………」

巴P「>>379

前に武道Pさんたちが潰したっていうカルトの同類です。天の姫がどうのとかわけのわからないこと言って難癖つけてきたから、とりあえず半殺しにしといたんですけど……。
正直、クズと言えど相当ヤバかったんで、志保PさんとほたるPさんは一応気をつけてくださいね

巴P「前に武道Pさんたちが潰したっていうカルトの同類です。天の姫がどうのとかわけのわからないこと言って難癖つけてきたから、とりあえず半殺しにしといてやったんですけど……」
ニコニコ

奏P「とりあえず半殺しって発想が怖えよ………ああ……腰痛え………」

ほたるP「それで、その不幸な人たちはどうなったのですか?」

巴P「ゴミはゴミ捨て場に、ですよ。」
ニコニコ

ほたるP「I see.分かりました。」

志保P「お前だけは敵に回したくないもんだな。」

巴P「俺も敵に回ってほしくはないですね。」ニコニコ

奏P「お前ら何なんだよ……戦闘民族か何か?サイヤ人なの?」

巴P「降りかかった火の粉は火元ごと消す、が俺のモットーです。雑草は根ごと刈り取らなければまた生えてきます。」

ほたるP「私は、ほたるたちに危険が及ぶと困ると考えますので。」

志保P「おいおい、一緒にしないでくれよ。俺はただのスイーツ評論家だぜ?」

巴P「美食屋が何を言っているんです?」

志保P「そっちは副業…いや、今は副業の副業か。」

奏P「お前が歩いた後には雑草一本だって残らねえだろ…人型災害が……」

巴P「黙れクズ……じゃなかった。村上さんと楊さんのお子さんを預かってるんです。それぐらいして当然じゃないですか。」

奏P「今の俺が罵られる要素なかったよな……?」

巴P「あ、あと正直、クズと言えど相当ヤバかったんで、志保PさんとほたるPさんは一応気をつけてくださいね。」

奏P「無視ですか…………お前がヤバいって言うなんて、相手は何者だよ…」

巴P「本当にヤバかったんですよ…………だって、もう少しで服を汚されてしまうところでしたから。」

奏P「かなり余裕じゃねえか。」

巴P「汚れた服でここに来ないといけないなんて、考えただけで恐ろしいですよ。とにかく…………」

志保P「志保なら心配いらねえぜ?むしろウェハースどもの心配をした方がいい。」

ほたるP「………させません。」

巴P「余計なお世話でしたね。……さて、観劇に集中しましょう。仕事中の巴たちに後で教えてあげないといけませんから。」ニコニコ

志保P「…ふふっ…そうだな。」

ほたるP「私はあなたに同意します。」

奏P(…選ぶ仕事間違えちまったかな…………まあ、いいか。俺も奏に教えてやらにゃいかんし………………はぁ………昨日の子ったら思いっきり引っ掻きやがって……………………)

数ヶ月後 ピティパット叔母の家



保奈美「あなたったら、アトランタへ来る度にここに来て……私の迷惑も考えて欲しいわ。」

沙紀「はてさて、あなたにとって僕の訪問がどう迷惑か教えて欲しいものですな。」

保奈美「あなたの嫌らしい髭面を拝まなきゃいけなくなるわ。」

沙紀「はははははは!では髭を剃れば許していただけますかな?」

保奈美「言い直すわ、あなたの嫌らしい顔を拝まなきゃいけなくなる。」

沙紀「はははははは!顔の形を変えるわけにはいきませんな。それこそ、鋳直す訳にはいきやしませんので。」

保奈美「……今日は何の用があって来たの?」

沙紀「あなたに僕の嫌らしい髭面を見せてあげに来ました。」

保奈美「ああ、そう。なら私は見たくないから帰っていただいて結構よ。」

沙紀「冗談ですよ。来てそうそう返されちゃ堪らない。目的はそうですねぇ…………あなたを冷やかしに来ました。」

保奈美「そう言われて歓迎する人間がいると思う?」

沙紀「思いません。」

保奈美「はぁ…………口じゃ敵わないわ…………」

沙紀「ふふっ……お聞きしましたよ。最近じゃ舞踏会や園遊会であなたの姿を見ない日は無いとか。人生を素晴らしく謳歌なさっておられるようで何よりです。」

保奈美「人生をつまらなさそうな顔をして陰気に過ごす事に意味なんか無いでしょう?」

沙紀「確かに。どうして皆さんそれをお分かりにならないのか不思議でなりませんな。」

保奈美「さあ、くだらない義務感か何かに囚われているんでしょ。今日はピティパット叔母さんにどんた賄賂を渡したの?」

沙紀「賄賂とは人聞きの悪い。僕はただ友愛の印に縫い針や絹糸やボタンをプレゼントさせてもらっているだけです。」

保奈美「最近じゃそれがほとんど手に入らない貴重品で、そんな物を渡されたらピティパット叔母さんが逆らえないのは分かっているくせに。」

沙紀「>>388

さて……そうでしたかな?

沙紀「さて……そうでしたかな?」

保奈美「惚けても無駄よ。しかもわざわざピティパット叔母さんの好きなラッピングまでして。」

沙紀「ご婦人へのプレゼントに失礼があっては困りますからなぁ。ふふふ……叔母様がお気に入られて良かったです。」

保奈美(この男は何もかも見透かしていて、それでいて人を馬鹿にするためにわざと分からないふりをしているんだわ。)

沙紀「あなたも何かプレゼントが欲しかったのですか?」

保奈美「あなたからはいただかなくて結構よ。」

沙紀「ああ、そうですか。それならプレゼント代が浮いて助かります。」

保奈美「一々癪に触る言い方をするのねぇ、あなたって。悪漢も悪漢よ。しかも、いっつも相手に礼儀を尽くしているふりをしている。底意地が悪いわ。」

沙紀「僕だって礼儀を尽くすべき人相手には振りでなく礼儀を尽くしますよ。例えば、ウィルクス夫人だとか。」

保奈美「あなたのそこが分からないのよ。私の方がずっと綺麗なのに、どうしてあなたはメラニーなんかに優しくするの?」

沙紀「妬いてくれているんですか?」

保奈美「自惚れないで。」

沙紀「ふふふ……理由ならだ今言ったじゃないですか。あの方が尊敬に値する素晴らしい淑女だからです。」

保奈美「また心にもない事を……本当の理由は何?私への嫌がらせ?」

沙紀「それこそ自惚れという物ですよ。あんなに親切で、誠実で、しとやかな女性はそう居ませんよ。あなたと全然違ってね。」

保奈美「ふん、あなたが何のつもりでそんな事を言おうと相手になんかしてやらないわ。メラニーなんかつまらない女よ。」

沙紀「あなたにもいずれ分かりますよ。あの方には今度編み物に使う糸巻きを買ってきて差し上げましょう。」

保奈美「そしてまた、編み物を手伝ってやるのね。あの女がアシュレの話を延々とするのを聞きながら。何の興味もない話を聞いていて楽しい?」

沙紀「それは僕の勝手という物ですよ、チャールズ・ハミルトン夫人。興味が全く無いのは否定しませんがね。」

沙紀「本当に誰が戦功を立てただの、誰が昇進しただのくだらない話ですよ。みんな興奮して第二次ブル・ラン会戦やらでの勝利を囃し立てますが、日増しに長く伸びていくオークランド墓地に並ぶ墓が見えていないんですかね?」

保奈美「『南部同盟の大義』のためには些細な問題だって考えてるんでしょう。大部分は勝利してるんだし興奮もするわ。」

沙紀「誰も北部が腰抜けだとか、もう一度勝てば降伏させられるとは言わなくなりましたがな。」

保奈美「それでも最後には勝つって信じてるのよ。私だってそう信じたいわ。」

沙紀「無惨なるかな、その幻想は儚くも崩れる。南部同盟に対する北軍の封鎖はますます厳重になって、僕は命がいくつあっても足らない思いをしているんですから。」

保奈美「それであなたが死んでくれたら私はこんなに頭を悩ませてはいないわ。」

沙紀「忠告の勇士にかけるにはあまりに酷い言葉ではありませんかな?ふふっ……南部同盟の通貨は暴落し、それに反比例して物価は釣りあがっていく。そんな中で希少な物資を運んで差し上げてると言うのに。」

保奈美「これもいい金儲けの機会だと考えている人を忠告の勇士とは呼ばないわ。小麦粉がびっくりするほど高いのや、肉屋に牛肉が無いのはきっとあなたのせいだわ。」

沙紀「そんなに大きな倉庫は持っていませんよ。いいじゃないですか、南部の立派なご婦人の皆様はとうもろこしパンや手織りの服だなんて言う素晴らしい物を作り出されているんですから。」

保奈美「とうもろこしパンは不味いし、手織りの洋服はみっともないわ。屋根裏で埃を被ってたみたいな色をしてるわ。」

沙紀「はははははは!的確な例えだ!あなたは怖い物を知らないと見える。」

保奈美「あなたと同じよ。」

沙紀「僕にだって怖い物ぐらいありますよ。輸入した商品が捌けないことだ。もっともすべて愉快な値段がすぐにつくので今は怖い物なしですが。」

保奈美「やっぱりあなたが買い占めをして値段を釣り上げてるんじゃない!戦争を食い物にしてるんだわ!」

沙紀「はい、それが何か?」

保奈美「あなたは最悪の悪党よ。ああ……私が男に生まれていれば、あなたに表に出ろって…………」

沙紀「僕は50ヤード先から10セント銀貨に穴を空けられます。さぞかし良い勝負になる事でしょうな。」

保奈美「手に負えないやつだわ、あなたは………根っからの邪悪なのね。」

沙紀「そんな事を言われて僕がカンカンになるとでも?だとしたら期待を裏切って申し訳ありませんな。真実を言われて怒り出すのは偽善者だけだ。」

保奈美「>>398

副業のため、一時中断します

…………専業になろうかな…………

あら、だったら真の悪党であるあなたはどんな時に怒りどんな時に喜ぶのかしら
参考までにそのポリシーを聞かせていただきたいわ

再開します

保奈美「あら、だったら真の悪党であるあなたはどんな時に怒りどんな時に喜ぶのかしら?参考までにそのポリシーを聞かせていただきたいわ。」

沙紀「物好きですねぇ、あなたは。良いでしょう、聞かせて差し上げますよ。僕が怒るのはせっかく見つけた素晴らしい宝石が誰かの持ち物だった時で、喜ぶのは持ち主がそれを手放してくれた時ですよ。」

保奈美「まあ……あなたってとっても強欲なのねぇ……それだけ何もかも持っていて、まだ人の物が欲しいだなんて。」

沙紀「……今のは例え話だったんですがね……」ボソッ…

保奈美「えっ?」

沙紀「……まあ、構いませんよ。僕は欲しい物は必ず手に入れますから。」

保奈美「………………………………」

沙紀「僕は別に他人の物が何でも欲しい訳ではないのですよ。ただ、相応しくない持ち主の元に絵画だとか彫刻だとか……宝石があるのが許せないのです。」

保奈美「自分の方が持ち主に相応しいから寄越せって事ね。傲慢もそこまでいくと清々しいわ。」

沙紀「傲慢なのかもしれませんね。ただ、傲慢だからと言って考えを曲げるつもりはありません。わがままぐらい幾らでも通してみせますよ。」

保奈美「お金とプレゼントの力で?」

沙紀「ええ、大体はそれで何とかなるんですが………今回は少しばかり状況が特殊だった。」

保奈美「取引に失敗したのね。いい気味だわ。とっても興味があるからその話を聞かせてちょうだいな。」

沙紀「…僕が下手だったんじゃありませんよ。宝石が自分で、その宝石の価値の分かっていない持ち主の元を離れたくないって言うんです。」

保奈美「あなたの得意な人を混乱させる話?何を言っているのかさっぱり分からないわ。」

沙紀「……宝石の奴が持ち主に幻想を抱いているんですよ。最初に原石から削り出してもらった恩義を感じているのか何かは知りませんが……僕ならその宝石をより美しく出来ると言うのに。」

保奈美「意地が悪いわ。わざと難しく話して私の頭がこんがらがるのを見て、楽しんでいるんでしょう!」

沙紀「……それは目的の半分ですな。」

保奈美「で、残りの半分は?」

沙紀「…残りの半分は…………………」

保奈美「………………………………」

沙紀「………………………………」

沙紀「…………急用を思い出しました。すみませんが今日は帰らせていただきます。金儲けの機会を逃したくありませんので。」スク

保奈美「ちょっと!話の途中で帰るなんて無作法よ!」

沙紀「僕はそう言う男なんですよ。」
チラ

手紙『アシュレ・ウィルクスより』

沙紀「…………ふん…………………失礼しました。」スタスタスタスタ……

保奈美「…………………………」

保奈美「…バトラーったら一体、どうしちゃったのよ……?」

夜 夕食時



加蓮「ねえ、スカーレット。もし良かったらだけど……その……今日バトラー船長とどんな事を話したか……」

保奈美「……南部同盟の大義についてよ。バトラー船長は大した…そしてしっかりとした意見をお持ちになられていたわ。」

加蓮「まぁ……!バトラー船長ってとっても愛国心に溢れてらっしゃる方なのねぇ……!」

保奈美(嘘は言ってないわ。…とうもろこしパンって不味いわねぇ…………)

加蓮「最近は物価がますます高くなって大変だけど……それでも何とかやっていけるのはバトラー船長の様な立派な封鎖破りの方々のおかげだわ。そう思うでしょう、叔母さん?」

瑛梨華「む……むぅん……………………………」

加蓮「見た目も誰もが振り返るほど立派な方だし……あの美しい刺繍入りのチョッキを見た?…あんな物を着こなせているのは立派な紳士である証に違いないわ。」

瑛梨華「う……うーん………でも………あの人は昔……かなり悪どいことを…………」

加蓮「あの人だって何か事情があったのよ……きっと大きな失恋をして、周りが見えなくなったりしていたんじゃないかしら……?」

保奈美(馬鹿な女ね。あいつには事情なんかないわ。根っからの悪党ってだけよ。)

加蓮「それに……あの人の今の働きに比べたら、過去の間違いなんて些細な事だわ。……悔い改めようとしてらっしゃるのよ。」

瑛梨華「………そうなのですかねぇ…………メラニーが言うなら………そうなのかもしれませんけど…………」

加蓮「>>407

アシュレにも会わせてあげたいわ

加蓮「アシュレにも会わせてあげたいわ……」

保奈美「それだけは絶対に止めなさい。(あんな悪漢とアシュレを引き合わせてたまるものですか。)

加蓮「えっと………それはどうして…………?」

保奈美「どうしてもよ。だいたい……中身が全く違う人間同士を引き合わせたってロクなことにはならないわ。」

加蓮「……中身が全く違う…………本当にそうかしら…?」

保奈美「……どういう意味?」

加蓮「……バトラー船長とアシュレって……案外似ていると思うの。」

保奈美「まあ、何ですって!(アシュレとバトラーが?冗談じゃないわ!何を言っているのよ、この馬鹿女は!!)」

加蓮「す、スカーレット………?」

保奈美「…………ハッ…!…えっと……ちょっととうもろこしパンが歯に詰まっていらついていたよ。」

加蓮「……………………………」

保奈美「………続けて。」

加蓮「え、ええ………………」

保奈美(不愉快極まりない考えだけど……だからこそ聞く価値があるわ。……メラニーがアシュレをどう考えているかよく分かるもの。)

加蓮「………じゃあ……話すわね……?まず、バトラー船長がこの間、メリウェザー夫人の娘さんの結婚式にきらびやかな白いレースをたくさんプレゼントしたのはスカーレットも叔母さんも知っているでしょう……?」

瑛梨華「……そんな事もありましたねぇ………あんな高級な品をポンとプレゼントしてきたそうで…………」

加蓮「バトラー船長は結婚式には、白いレースのウェディングドレスがいかに大切か分かってらしたのよ。だからこそ……貴重な品を惜しげもなくプレゼントしてくださったのよ………」

保奈美(あいつの倉庫には、白いレースぐらいたくさん余ってるわ。何とも思ってないわよ。)

加蓮「これが紳士的な行動でなかったら何だと言うのかしら?」

瑛梨華「むむむ……ドリーも家に招待しないと……と言っていましたし………………」

保奈美(……そんな高級品をもらって家に招待しないのは、マナー違反だものぬ。なるほど、あの男はメリウェザー婆さんの苦々しい顔を見たかった、という訳ね。…私も見たいわ。)

加蓮「…アシュレもね……バトラー船長と同じ立場にあったら……同じ事をしたと思うの……」

保奈美(…フン、言うに事欠いて。アシュレがあんな山師に身を落とすなんてありえないわ。)

瑛梨華「むぅ……むむむ……確かにアシュレなら…そうするでしょうねぇ………………」

加蓮「そうよ、そうなのよ……バトラー船長は…確かに口は悪いし…ちょっと変わってらっしゃるけど、それ以外は見事な紳士よ。」

保奈美(そんな訳があるものですか……!紳士の欠片も持ち合わせちゃいないわ!)

加蓮「……ね、あの人はひねくれてしまっているだけなのよ………」

瑛梨華「…………………………」

加蓮「…それに………戦争の行く末についても意見が合っているわ……この戦争は北部の勝利で………」

保奈美「…スカーレット。」

加蓮「…あっ………!な、何でもないのよ、叔母さん。」

瑛梨華「ぐすっ…………ぐすっ………そんな恐ろしい事を言わないでください…………私の心臓が固まってしましますから……」

加蓮「ご、ごめんなさい!今はその……何でもないわ………だから…そんなに泣かないでちょうだい………」

叔母「ぐすっ………ぐすっ……………」

保奈美「…………………ふん……」

数日後 パーティー会場




ワイワイ……ガヤガヤ……!

保奈美「…………♪」

ワイワイ……ガヤガヤ……!

保奈美「ふふっ…今日も楽しいパーティーだわ。…この前メラニーがとんでもない事を言っていた気がするけど………そんな事なんかどうでもいいわね。」

保奈美「馬鹿げた事について考えて時間を使うなんて、それこそ馬鹿げた事だわ。…今が楽しければ、とりあえずはそれでいいじゃない。」

保奈美「……バトラーとは話してて退屈はしないけれど………あいつがアシュレなんかとは全然違う悪漢なのは間違いがない事だもの!」

保奈美「メラニーったら本当に馬鹿なんだから……………」

保奈美「……さて、ダンスの相手でも探しに………」

ザワザワ…!ザワザワ…!

保奈美「……あら?あそこに固まっている人たちは何を話しているのかしら……?……中心に居るのは………」

沙紀「ええ、全くその通りですなぁ。」

保奈美「…………………………」

ザワザワ…!ザワザワ…!

保奈美「………あの男もここに来ていたのね…………それにしても…周りの人たちは顔を真っ赤にして…………」

保奈美「………あの男の特技が炸裂したって訳ね。……ここ半年ぐらい大人しくしていたのに…………」

都(義勇兵)「つまり、あなたは…!我が勇士たちが命を捧げている大義は神聖なものではない、そう言いたいのですか?!」

沙紀「もし君が汽車にひき殺されたとして、君の死は鉄道会社を神聖なものにするでしょうか?」

都「な、な、何を仰るんです!…もし我々がこの会場に居なければ………!」

沙紀「そうですねぇ。このような時に前線にも出ずに、パーティーに出席なさっておられる勇敢なる義勇兵のあなたがおられなければ……パーティーの出席人数が1人減ってしまって大変です。」

都「………っ……!!わ、我々はアトランタの秩序を守って………!!」

沙紀「>>417

北部の兵士はあなたがこうして自分の職務の素晴らしさを説いている間にも本来の仕事を全うしていますよ?

沙紀「北部の兵士はあなたがこうして自分の職務の素晴らしさを説いている間にも本来の仕事を全うしていますよ?」

都「………っ……!!あ、あなたはっ…………!!」

沙紀「傷病兵の諸君、この若者の戦場のなんと立派な事かをご覧なさい。彼はウィスキーを弾丸にして、ダンスで敵と戦っておられるのですからなぁ。」

クスクスクスクス……

都「…………!!」

沙紀「ふふふ……どうかなされましたか?」

都「…………っ……………っ…………!」

沙紀「ほら、あなたの素晴らしい武勇伝を聞かせていただけませんか?まさか、北軍の同志たちが命がけで戦っている中、あなた程の勇敢な兵士がそうでない訳がありますまい。」

都「………そ、そ、それは…………」

沙紀「敵を何人倒されたんですか?勲章は幾つもらいましたか?階級は今どのくらいです?」

都「………う……………………」

沙紀「どうしたのです?私は参考にするために、是非あなたが神聖な大義のために捧げられた犠牲を伺いたいのですがねぇ!」

都「……………っ……………………」

沙紀「…………………ふん……」

清良「あの男は一体何だってあんな事を言っているんだ……!!」

「ミード先生の仰る通りだわ……」

「でも、義勇兵が前線に出ないでこんな後方に引きこもってるのは事実だろう?」

「あの人は母一人、子一人だから戦場には出られないのよ。」

「だとしても戦場に出ていない事に変わりはないさ。」

礼子「………………………………」

保奈美(どうしてあの男はわざと人を怒らす様なことを言うのかしら………パーティーの雰囲気が壊れてしまうじゃない…………)

沙紀「ははははははは!まあ、君の武勇は天下に轟いていますから、わざわざ聞く必要はありませんでしたねぇ。大変失礼しました。」

都「………………っ…………!!」

沙紀「君にとっての神聖な大義とやらもよーく分かりましたよ。はぁ、こいつは私も勉強になりました。」

都「…………………うう………………うう……………………………」

沙紀「南部の愛国的男子や婦人たちにとっては神聖なものに一つ新たに付け加えなければならないようです。我らが国土の自由や州権の最後に、パーティーの平和を守ると言う事をですねぇ!」

ザワザワ…!ザワザワ…!

沙紀「良いですか、皆さん。戦争は神聖なものです。ただし戦わねばならない連中にとってのみ、ですがね。」

ザワザワ…!ザワザワ…! ザワザワ…!ザワザワ…!

沙紀「ふふっ…………」

沙紀「もし戦争を起こした連中が戦争を神聖にしておかなかったら、馬鹿馬鹿しくって誰が戦うもんですか。ですが、戦争にはどんな高尚な標語がついていようと理由はただの一つしかありません。……それは、金銭です。」

ドヨドヨドヨドヨ……!!

沙紀「戦争なんてものは、ある連中にとっての今ここで行われているような金銭集めの為のパーティーに過ぎないのですよ。そう言う意味でなら、彼も立派な勇士やもしれませんなぁ。」

都「………………うう…………ぐすっ…………………………」

沙紀「あなた方はみんなそんな連中に利用されてるだけなんですよ。耳触りのいい大言壮語に騙されてねぇ。戦争をさせる為の美辞麗句は『キリストの墓を異教徒より救え!』だったり、『ローマ法皇を打倒せよ!』だったり……また、『綿花、奴隷制、州権の為に!』になる事もあります。」

ドヨドヨドヨドヨ……!!ドヨドヨドヨドヨ……!!

保奈美(戦争とキリストのお墓やローマ法皇が何の関係があるのかしら………?)

沙紀「皆様よくお考えになられる事をお勧めします。果たしてご自分が自身の意見と言うものを持ってらっしゃるかと言う事を。……ふふっ……ははははははは!」ツカツカツカツカ……

ドヨドヨドヨドヨ……!!ドヨドヨドヨドヨ……!!

保奈美「…………………………」

沙紀「私は用事がありますので。では皆様、南部の神聖なる大義の為の素晴らしいパーティーをお過ごしください。」ツカツカツカツカ……

沙紀「…………ふふっ……」フカブカ…

保奈美「……………………………」

沙紀「………………………………」
ツカツカツカツカ……

保奈美「…………………………」


パーティー帰り 馬車車内



礼子「……ピティパット・ハミルトン。今日であなたにも分かったでしょう?」

瑛梨華「な、な、何が……ですか…………?」

礼子「あなたたちが家に招待していた、あのいやらしいバトラーの正体がよ。」

保奈美(自分だって家に招待していた癖に。)

加蓮「…………………………………」

瑛梨華「あっ…………え、えっと…………」

礼子「>>426

ただ慇懃なだけならばまだしも、南部同盟に対する重ね重ねの侮辱!おこがましいったらないわ!もはやこれはハミルトン家のケジメ案件では?

安価把握

寝落ちしま…………

再開します

礼子「ただ慇懃なだけならばまだしも、南部同盟に対する重ね重ねの侮辱!おこがましいったらないわ!もはやこれはハミルトン家のケジメ案件では?」

瑛梨華「け、ケジメ……………?」

礼子「そうよ、ケジメよ!あなたたちがこの街にあの男を招き入れたようなものなんだから、あなたたちがケジメをつけるのは当然でしょう?」

保奈美(…好き勝手言ってくれるわね。あの男がプレゼント攻勢を仕掛けてた時はみんなして歓迎してたじゃない。)

瑛梨華「あ……えっと…………わ、私は別にそんなつもりじゃ…………」

礼子「ピティパット・ハミルトン。」

瑛梨華「ひうっ……!」ビクッ

礼子「もう言い逃れをする事は叶ないわ!さあ、責任を持ってあの男を何とかなさい!」

瑛梨華「うう…………それは………………………」チラ

保奈美「……………………………」

瑛梨華「………………」チラ

加蓮「………………………」

瑛梨華「ああ…………え、ええと………………」チラ

巴「…………………………」

瑛梨華「…………………………」

礼子「ねえ、聞いているの?」

瑛梨華「き、聞いてます……!聞いてます……!」

礼子「………フン…あの悪漢をのさばらせておいたのは自分たちだって理解は出来てるでしょう。」

瑛梨華「……えっ…………あ………………えっと…………家に招待したのがいけないんだったら……ドリーも…………」

礼子「何?よく聞こえなかったわ。」

瑛梨華「……な、何でもない…………です……………………」

加蓮「………………………………」

礼子「一体何であんな男を歓迎したのかしらねぇ?…今日の事があった以上、あの男の入れる家はこのアトランタにはもう一軒だって存在したらいけないわ。…何か適当な言い訳をつけて来るのをやめさせなさい。」

瑛梨華「…………………………」

礼子「…あなたたち2人も私の言った事を覚えてなさい。あんな男の相手をするなんて、あなたたちにも問題があるわ。あの男が訪ねてくるのと、売国的な事を言うのは自分たちには好ましくないと、礼を失しないぐらいで言ってやりなさい。」

保奈美(何よ、この水牛ばばあったら偉そうに!自分はこの街の支配者とでも思っているのかしら?)

加蓮「………………………………」

保奈美(私がこいつの偉そうな態度の事をどう思っているか言ってやったら、さぞ痛快でしょうね!)

礼子「お国の大義をあんな風に言う売国奴がいるだなんて思いもしなかったわ!あんな事を言う人間は絞首刑にでもするべきよ!……あなたたちが、またあの男と話していたなんて噂がまた私の耳に入らないように…………どうしたの、メラニー、顔が青いわよ?」

加蓮「………………………………」

礼子「……どこか具合でも………………」

加蓮「私はあの方とはこれからも口を聞きます。家にも招待します。……あの方に失礼な事は出来ません。」

保奈美「?!」

瑛梨華「……まぁ………………?!」

巴「…………」チラ

礼子「なっ…………?!」

加蓮「………………………………」

保奈美(驚いたわ……メラニーなんかのどこにメリウェザーみたいな妖怪ばばぁに立ち向かう気力があったのかしら…………?)

加蓮「…………………………」

礼子「……あなた……今……何て………………?」

加蓮「すぅ…………あの方があんな事を言ったからって私は礼を失したくありません。確かに……無作法で無分別だったのは認めますが……あの方の仰った事はアシュレの考えと同じなんです。夫と同じ考えの人の出入りを禁止するなんて出来ません。」

礼子「………………め、メラニー……私はそんな酷い嘘を言われたのは初めてだわ……!ウィルクス家からあんな卑怯者は一人だって出た事は…………」

加蓮「私はアシュレが卑怯者だなんて一言も言っていません。…アシュレはバトラー船長と同じ事を考えている、と言っただけです。」

礼子「……あなたは何かを勘違いしているのよ……アシュレがそんな事を言うはずは…………」

加蓮「私は夫を完全に理解しています。……それともあなたは、妻である私以上にアシュレを……アシュレ・ウィルクスを理解していると仰るんですか?」

礼子「…………………………」

加蓮「アシュレはパーティーで自分の考えを吹聴したりはしませんが、手紙では私に言ってくれています。……自分たちは扇動家や政治家に騙された。北部と戦っても良い事など一つもない。戦争には栄光も何もなく、あるのは悲惨で汚い事だけだ、と。」

礼子「……アシュレのような立派な人間と……あんな無頼漢とを比べるなんて……恥ずかしいとは思わないの……?」

加蓮「>>437

彼もまた素晴らしい人間ですわ。ただの無頼漢と一緒にしないでいただきたい

加蓮「彼もまた素晴らしい人間ですわ。ただの無頼漢と一緒にしないでください。」

礼子「素晴らしい人間?あんな男のどこがどう素晴らしいって言うの?!」

加蓮「……よく分かりません……」

礼子「はぁ?」

加蓮「…ただ、あの方はちゃんとした自分の考えを持っておいでです。…それだけでもただの無頼漢ではないと思います。」

礼子「お国の大義のための戦争を、あろう事かお金のためだなんていう事が、あなたはちゃんとした考えだと言うのね。」

加蓮「……………………………」

礼子「アシュレは今戦場で、南部の大義の為に命をかけて戦っているわ。そんなアシュレがバトラー船長なんかと同じ考えな訳がないじゃない。」

加蓮「……………………………」

礼子「あなたの発言は勇敢なアシュレの戦いを貶める事になるわ。その辺りもしっかり考えた上で…………」

加蓮「……アシュレは大義の為なんかには戦っていません…!手紙にだって……もう何度もそう書いてあるんです…!」

礼子「……忠勇なる兵士を馬鹿にするのもいい加減になさい!そんな事……ある訳がないでしょう!」

加蓮「………あなたに戦場の何がわかるのですか?…私にだって分かりませんけど……あなたにだって分からないはずです!」

礼子「……まぁ…………!」

加蓮「アシュレは勇士です!でも……それは大義の為に戦っているからではありません……!戦争がどんな物か分かった上で戦っているから勇士なんです!」

礼子「言っている事がめちゃくちゃよ!少し頭を冷やしたら?」

加蓮「いいえ、私の頭はぞっとするぐらい冷えています……あの方だってアシュレと同じ勇士ですわ…!あの方だって……ここであなたたちみたいな分からず屋と…味方の1人も居ない中戦ってらっしゃいますもの!」

礼子「分からず屋…?今……私の事を分からず屋と言ったの……?」

加蓮「え、ええ…………言いました。……だって……あなた方は、自分と違う意見を頭ごなしに否定しているだけではありませんか……!」

礼子「…………………………………」

礼子「…………言葉は選ぶべきよ。メラニー・ウィルクス。」

加蓮「………………っ…………」

礼子「あなただってこの前までは戦争は神聖な大義の為の物、兵士は誇り高い物と分かっていたじゃない?」

加蓮「……今でも……その考えは捨て切れません…………でも……アシュレからの手紙を読むうちに分からなくなってしまったんです…………」

礼子「…………………………」

加蓮「………自分でも自分の言っている事が理解できてはいません…………ただ……私たちが信じていた物は何か間違っていた……そんな気がしてきたんです………………」

礼子「…………これは教育が必要なようね。……ピティパット・ハミルトン。あなたもそう思うでしょう?」

瑛梨華「………………………………」

礼子「…………ピティパット・ハミルトン。」

瑛梨華「…………ドリー…………あまり……メラニーをいじめてやらないでください…………」

礼子「何を言っているの?これは必要な事よ。」

瑛梨華「その…………ね…………メラニーのいう事も……一理ぐらいはあると思うんです…………だって……戦争が素晴らしい物なら……私たちは何だってこんな惨めな暮らしを強いられなければならないのです…………?」

礼子「南部同盟の勝利の為に犠牲を払うのは当然の事よ。……ピティパット・ハミルトン。あなたまで私に…私たちに逆らうのかしら?」

瑛梨華「そ、そんなつもりではないのです…………ただ…………その………………………………」

礼子「…………あなたねえ…………!」

巴「メリウェザー様、あんたの家の前に到着しましたよ。」

礼子「お黙り!今私は…………」

巴「わしにはよう分かりませんが……夜中に大声で怒鳴り散らすっちゅう事が、淑女の嗜みなんですかいのう?」

礼子「…………っ…………!!」

巴「ピティ様やメラニー様を怖がらせて何になるっちゅうんですか?」

礼子「従僕の分際で私に指図するつもり?」

巴「指図?そんな恐れ多い事はしやしません。…ただ、わしはあんたの評判は心配させてもらってるだけじゃ。」

礼子「………………………………」

巴「……………………………」

礼子「…………降りるわ。私の帽子を取ってちょうだい。」

巴「ほうですか。足元に気ぃ付けるんですな。」

瑛梨華「…………………………」

〜〜〜


ガタッ…ガタッ…ガタッ…ガタッ…

巴「………………………………」

瑛梨華「…………うう…………ぐすっ……………………」

巴「……ピティ様。」

瑛梨華「……ぐすっ…………ぐすっ…………大丈夫です………ぐすっ……………………」

加蓮「…………ごめんなさい……叔母さん……私のせいで…………」

瑛梨華「……いいのですよ……メラニー…………あなたは……とっても勇気があります…………あのドリーに立ち向かうなんて………………」

保奈美(……全くだわ…私なんか……口に出しては……何も言えなかったのに……)

加蓮「…………私のせいで…………叔母さんの評判が悪くなったりしたら…………」

瑛梨華「>>447

すみません……病院落ちします……

アトランタから逃げる準備をしなければいけないかもしれないわね……

長らくお待たせ致しました……

ガンバリマス……

再開します

瑛梨華「……アトランタから…逃げる準備をしなければいけないかもしれないわね…………」

加蓮「えっ……?」

保奈美「別にメリウェザー夫人のご機嫌を損ねたぐらいで街を逃げ出す必要はないと思いますが?」

瑛梨華「…あ、いえ……別に評判が悪くなるのを恐れて……ではなくてですね…………」

保奈美(…この老人に他に気にすることがあるのかしら…?)

瑛梨華「……その………今のやり取りは……こんな事を言うのは品がないかもしれませんが…………………少し…………スカッとしました…………私は……ドリーにはいつだって逆らえませんでしたから…………」

加蓮「………………………………」

瑛梨華「……ありがとう……メラニー…………私を助けるために………あんな風に言ってくれて………………」

加蓮「………私は思った事を言っただけよ…」

瑛梨華「……それがどんなに勇気がいる事か…………現に私は一度だってできた事がないんですから…………」

加蓮「……叔母さんは優しいから…人の悪口が言えないだけよ……」

瑛梨華「いいえ………自分がどんな人間かぐらい…………ちゃんと知っていますよ…………」

保奈美「……………ふん……(自覚はあったのね…)」

瑛梨華「……ピーターもごめんなさいね……もっと私がちゃんとした主人だったら…………」

巴「フン、今に始まった事じゃないけぇ気にしとらんですよ。ただ、わしは少なくとも妖怪には買われたくはないですがの。妖怪よりはピティ様の方がずっとマシじゃ。」

瑛梨華「……そ、それって……………」

巴「自分の主人に仕える事を誇りに思っとらん従僕なんぞ、従僕失格っちゅう事じゃ。わしはそう思います。」

瑛梨華「………………………………」

巴「…そんな事より、アトランタから逃げるっち言いよる理由を教えていただけやしませんかのう?」

瑛梨華「…………あっ……えっ……ええ……………………」

瑛梨華「その…………ね…………メラニーのお話を聞いていたら………いろいろな考えが浮かんできて………とっても怖くて…………そして不安になってきたんです………」

保奈美(……ピティパット叔母さんに物を考える能力があっただなんて知らなかったわ。)

加蓮「まあ……叔母さん…私は叔母さんを怖がらせようと思って言ったわけじゃ………」

瑛梨華「メラニー………だから、あなたは悪くないと言っているでしょう?………ただね……………その………アシュレがあんな風に考えていただなんて知らなくて………」

保奈美(私もよ……まったく………)

瑛梨華「………私は………ひょっとしたら………物を知らなさすぎたんじゃないかって…………そして……何だかとっても嫌な予感がしたの………」

保奈美「嫌な予感って何?例えば、北軍がここまで攻めてくるとか?」

加蓮「スカーレット!」

保奈美「…………………………」

瑛梨華「え、えっと………わ、分かりません……………でも……とっても嫌な予感がするんです………そして…私の嫌な予感は必ず当たるんです………!ねえ、ピーター?」

巴「ご婦人はみんなそがいな風に言いよります。」

瑛梨華「うう………そ、そうじゃないのよ………スカーレット、あなたはどう思いますか…?」

保奈美「>>456

何でそんなことを私に聞くのよ?

保奈美「……何でそんなことを私に聞くのよ?」

加蓮「スカーレット!」

保奈美「…ピティパット叔母さんは、私が北軍がアトランタまで攻めてくるのは当然で、アトランタからは早く逃げた方がいいって言ったら安心するの?」

瑛梨華「あ……え、えっと…………それは…………その…………うう…………」

加蓮「叔母さんは不安になっているのよ?あまり強く言ったらだめじゃない……!」

保奈美「……私の意見を求められたから、それに答えたまでよ。」

保奈美「……アトランタから逃げた方がいいか、って事に関しては……やめておいた方がいいと思うわ。………だって、私たちにどこか他に行くあてがあるの?……そう言う事よ。」

瑛梨華「……………それも……そうですねぇ………すみません………馬鹿げた事を言ってしまって……………」

保奈美(もし仮に……アトランタが焼き払われでもしたらその時は…………)

瑛梨華「……嫌な予感も………きっと思い過ごしですね………そうね………そうであってもらわないと……………」

加蓮「……………………………」

瑛梨華「……アトランタより他に……身寄りはありませんから………」

保奈美(誰も彼も、結局はバトラーの言う事に振り回されて………何だか不愉快だわ………)

保奈美(…ああ言ったらみんなが恐ろしく腹を立てるって言うのも分かっていてわざとやったのに違いないわ………何様のつもりなのかしら……?)

保奈美(………アシュレとバトラーが同じ意見………?だとしたら………バトラーには真実が分かっているって事じゃない……アシュレが間違うはずないもの。)

保奈美(……アシュレは分かっていて死ぬ覚悟をしている……レットはそんな事のために死ぬのは真っ平御免と言っている……)

保奈美(…アシュレは手紙に書くだけ……でも、バトラーはそれと向き合った上で、周りに喋り捲っている。………どちらが……………?)

保奈美(……!止め止め!こんな事………考えてはいけない事だわ………!)

瑛梨華「……うう………私ったらなんという事を…………あっ…………」
フラッ……バタ…

加蓮「まぁ……叔母さんが気を失われてしまったわ……ピーター。」

巴「分かっとりますけぇ。これでも最速で急いどります。」

加蓮「そうなの………スカーレット……その…………ね……?」

保奈美「………ええ。(…不愉快で仕方がないわ。…どうせ明日あたり今日の事を自慢しに来るでしょうから、その時にでも………)」

加蓮「…お願いよ……?……叔母さん、叔母さん…!」

瑛梨華「うーん……………」

保奈美「…………………………」

翌日 ピティパット家




沙紀「ふむふむ……『封鎖破りの多くは忠勇愛国の士だが、その中に悪党がいる。封鎖突破者の仮面を被って私利私欲を尽くしている………』…もっと興味を惹くように書けないんですかね?」モグモグ

保奈美「……あなた…人の家で何をしているの?」

沙紀「見てわかりませんか?新聞を読みながら朝食をとっているんですよ。」
ズズズ………

保奈美「…そう言う事を聞いているのでは…………」

沙紀「ああ、このパンの小麦はフランス産で、紅茶の茶葉はインド産ですよ。」

保奈美「…………………………」

沙紀「『これらは人間の皮を被った貪欲な禿鷹である。彼らはロバート・リー将軍の下に戦いつつある兵士を食い物にしているのである。』死体に禿鷹が集まって食料にするのは当然じゃないですか。」モグモグ

保奈美「…街中の人間が、とうもろこしパンを食べて、水を飲んでいる時によくそんな真似が出来るわね……」

沙紀「忠勇愛国の紳士諸君の前で、彼らの表情を眺めながらこれらを食べると格段に美味く感じるんです。一度やってみる事をお勧めしますな。」

保奈美「私はそんな街中の人間の恨みを買うような真似はごめんだわ。」

沙紀「それは残念ですねぇ。愉快極まりないと言うのに。……あ、表情で思い出しましたが昨夜のメリウェザー夫人のご尊顔を拝まれましたか?僕は昨夜ほど似顔絵師を連れてきておけば良かったと思った事はありませんでしたよ!」

保奈美「……今まで紳士面をしていたのはまさかその為……?」

沙紀「いえいえ、紳士の振りをしていると獲物が勝手にかかってきて便利なのでそうしていただけです。はぁ……紳士や淑女と色々とお話するのは楽しかったんですがねぇ………」

保奈美「…そして最後はその相手をカンカンに怒らせて、自分はそれを見て楽しむ。」

沙紀「はははははは!それはあくまでお話をさせていただいた結果にすぎませんよ!」

保奈美「……悪漢。」

沙紀「>>465

あなたも懲りないお人だ。私がそのように言われたところでいささかの痛痒も感じないと理解しているはずですが?

沙紀「あなたも懲りないお人だ。私がそのように言われたところでいささかの痛痒も感じないと理解しているはずですが?」

保奈美「分かってても言わずにはいられないのよ。他にあなたを形容する言葉が思いつかないんですもの。」

沙紀「ははぁ、成る程。では『愛国者の血をすする吸血鬼』などいかがでしょう?新聞の今読んでいたところに書いてあった文句です。」

保奈美「…新聞で批判されても痛くも痒くもないのね………」

沙紀「ええ。新聞紙を丸めて叩かれでもされない限りはね。」

保奈美「ああ言えばこう言う………………」

沙紀「僕の特技の一つだと自負しております。」

保奈美「どうせなら周りから爪弾き者にされない方が良いとは考えないの?例えば……考えるだけにして口に出すのは止めておくとか。」

沙紀「あなたにはそれが出来るのですか?」

保奈美「……しなければ誰も私と踊ってくれないわ。」

沙紀「確かに如何なる犠牲を払ってでもダンスはしなければなりませんからな。あなたの我慢強さには感心しますよ。ですがね、僕にはとてもじゃないがそうはいかない。」

保奈美「…胸の中にしまっておくだけじゃない。……………酷くムカつくけど。」

沙紀「そのムカつきが全く我慢できないんです。その方がどんなに都合が良かったとしても、ロマンスや愛国主義の衣を身にまとうのは御免だ!」

沙紀「僕は悪漢と呼ばれるのは平気です。何も感じません。むしろ心地よいぐらいだ。栄光なんか愛国者たちにくれてやりますよ。1年かそこらすれば彼らの持ち物は栄光だけになるんですから。」

保奈美「……もうすぐイギリスとフランスが南部の味方をしてくれると新聞に…………」

沙紀「ハッ!こんな嘘っぱちしか書いていない新聞の記事を信じるのなんて止めるべきですよ。僕は一ヶ月前にイギリスに居たばかりだからよく分かります。イギリスは絶対に負け犬の南部なんか助けませんよ。」

保奈美「……で、でも…イギリスは南部の綿花が無ければ紡績工場を回せないのでしょう?」

沙紀「それは誰からの受け売りです、お嬢さん?あなたがイギリスの紡績工場の事なんか知っているわけがない。」

保奈美「…………………………」

沙紀「恥じる事はありませんよ。だって外からの情報は全部封鎖によって入って来ないのですから。」

沙紀「良いでしょう、そんなあなたに僕が最新の海外事情を教えて差し上げましょう。まず、イギリスの女王陛下は大変信心深いお方で奴隷制度を認めてらっしゃらない。ですから、如何に職工連中が餓死しそうになっていようと、奴隷制度を守るために北部に一撃加えるだなんてありえない。」

保奈美「じゃあ、フランスは……?」

沙紀「フランスはますます我々に味方する事はありえない。何故かって?ナポレオン三世は我々が戦争をしている間メキシコのフランス軍を固め放題ですからね。こっちにちょっかいを出す理由がありません。」

保奈美「……………………………」

沙紀「外国の助けなんて士気高翌揚のためのデマですよ。南部の命運はもう決まっています。今はらくだみたいに自分のこぶを食って生きながらえているだけです。僕はもうあと6ヶ月もしたら封鎖破りを止めます。金は価値のない南部同盟紙幣ではなくて、全部金貨でイギリスの銀行に預けてあります。」

保奈美「……………………(…多分……外国にしょっちゅう行っているこの男の意見は正しいんでしょうけど………この男に賛成するのは癪だわ!)」

保奈美「……もし、あなたが汚名を返上したいと思うなら船を売って兵隊に志願するより他に……」

沙紀「ストップ、ストップ。ミード博士の様な事を言うのは止めてください。僕に反論するためだけに思ってもいない意見を言うのは止めてください。」

保奈美「…………っ……!」

沙紀「あなたがそんな事を言っておられる姿は実に滑稽です。あなたは…本当のお気持ちだけお話しされていれば良いのです。」

保奈美「……どこか遠くの戦線に兵隊に行って、そのまま二度と帰ってこないで。」

沙紀「ふむ、それなら良しとしましょう。」

保奈美「……………………………」

沙紀「ありえませんが、僕が仮に罪を償いたいと思っていたとしましょう。だとしても、どうして僕を追放した社会制度の為に戦わなねばならんのですかね?」

保奈美「……社会制度と私たちが何か関係があるの?」

沙紀「ええ、だってあなたは僕がかつてそうだったように社会制度の一部だからです。僕がバトラー家から勘当されたたった一つの理由を教えて差し上げましょう。それは……僕がチャールストンの社会制度に合わなかった、ただそれだけの事なのです。あなたはチャールストンがどんな場所か知っていますか?」

保奈美「………………………………」

沙紀「知らないでしょうな。チャールストンと言うのは南部の縮図みたいな七面倒臭い街なのですよ。昔からの習慣と言うだけでしなくてはならない事が数えるのも嫌になるほどある。してはならない事も同じぐらいにうんとあるのです。」

沙紀「あなたにはよく分かるはずです。くだらん因習がどれだけ鬱陶しいと言う事が。」

保奈美「………………………………」

沙紀「あなたも知っているでしょうが……あの若い婦人との一件、あれはただ僕の押さえに押さえていた堪忍袋を破裂させたきっかけに過ぎないのです!事故の為にそいつを暗くなる前に家に届けられなった、それだけで退屈な馬鹿女と結婚しなければならないなんて!僕の方が腕が確かなのに、そいの兄貴の手にかかって死んでやる理由は無いでしょう!」

保奈美「………………………………」

沙紀「僕はそれで勘当されて、無一文で放り出させれて餓死しそうになった!それから生きていくのがどれほど大変だったかあなたに理解できますか?!」

保奈美「>>474

すみません……

力尽きます…………

(あまりの剣幕に何も言えない)

ストーリー進行上仕方ないとはいえ、セリフの方がずっと多くて安価がいつ来るか分からないから取りに行きづらい。

安価の出るタイミングはある程度把握できるけど、今回はいつもみたいに無茶ぶりや設定付けができないっていうのは大きいよね

>>475
申し訳ございません……
ト書き形式である以上、セリフで状況説明も行わなくてはならないので、どうしても不必要に会話が長くなってしまいます……
フラグとなっているセリフが多数存在するため削れない、と言うのも正直なところです………
もう少し簡潔に書ければ良いのですが……


>>476
今回は原作ありきという事で、安価無しで進めようかとも思いましたが、>>1なりの苦悩の結果従来の書式とさせていただきました。
その為、色々な問題点が発生している形になりますが………
皆様には>>1の筆力、構成力の圧倒的低さのためご迷惑をおかけします……




再開します

保奈美「…………………………」

沙紀「これは僕にとっては南部への復讐の戦いなのです。そして、今この戦いは五分五分だ!利用するだけ利用してやりますよ、僕にはその権利があるはずだ!南部に餓死させられそうになった僕には!」

保奈美「……ば、バトラー…………」

沙紀「………失礼。…僕とした事がつい興奮して我を忘れてしまいました……今のは酷い醜態だ…………罵れるだけ罵っていただいて結構ですよ。」

保奈美「………………………………」

沙紀「……どうしたんです…?目の前にいる男をやっつけるチャンスですよ?」

保奈美「………あなたはずっと復讐の戦いを続けていたのね‥」

沙紀「そうですよ。僕は忌々しい因習の全てと戦って来ました。」

保奈美「…………………………」

沙紀「…周りと少しでも違う事を言ったりしたりするだけで、大声で非難されて排斥される。それをあなたはどう思いますか?」

保奈美「……馬鹿げていると思うわ。…立派だと言われている人は愚にもつかない習慣を守っている人だけ。」

沙紀「でしょう?……あなたも社会制度への反逆者でしたか。…僕たちは仲間ですね。」

保奈美「…………一緒にしないで。」

沙紀「……こんな因習が全部無くなって、思うように自由に生きれたらどんなに楽しいかとは思いませんか?」

保奈美「…無くすのは不可能だわ。」

沙紀「いいえ、不可能などではありません!現にもうすぐ僕の戦いは終わるのですから。南部が戦争に負けて、その社会制度の全てが崩壊すると言う形でね。」

保奈美「…もし、戦争に負けたからって全部崩壊してしまう…なんてありえるの…?」

沙紀「…僕の事が信じられないならば、君の敬愛するアシュレ・ウィルクス君にも聞いてみればいい。同じ答えが返って来るでしょう。賭けてもいい。」

保奈美「………………………………」

保奈美「…………考えられないわ……」

沙紀「歴史は当時の人々が想像もしなかった出来事の連続ですよ。……さて、腹を満たす事も出来たので今日のところは失礼させてもらいます。」

保奈美「………………‥…………」

沙紀「ピティパット・ハミルトン夫人にはこの糸巻きを、アシュレ・ウィルクス婦人にはこのヘヤピンをお土産に差し上げて行く事にしましょう。……それと………………」

保奈美「…………何よ…?」

沙紀「僕の金があなたのお役に立てるような時が来たら、遠慮せずに声をおかけください。」

保奈美「お心遣いありがとうございます。でも結構よ。私だって、あなた程じゃないけどお金には困っていないわ。タラの農園だって、チャールズの遺産だってあるもの。」

沙紀「そうですか。フランス革命当時の貴族も似たような事を言っていたらしいですがね。」

1863年 夏 南軍司令部



亜季(リー将軍)「………………………」

拓海(ジャクスン将軍)「……今日はいつにもまして辛気臭え顔だな。」

亜季「………………コッブ将軍がフレデリックスバーグで戦死した。」

拓海「…だが戦いには勝ったぜ?」

亜季「……グラント将軍麾下の北軍がヴィックスバーグを包囲している。」

拓海「………………………………」

亜季「お前だってチャンセラーズヴィルの戦いで受けた傷の所為で戦線には戻れない。」

拓海「……こんなの気合いで治す……って言いてえところなんだがな……」

亜季「……我々の備蓄物資はもうすぐ尽きようとしている。……後は時間の問題だろう。」

拓海「………進軍先のペンシルヴェニアから………」

亜季「それだけは駄目だ!我々は軍隊であって盗賊ではない!それをしてしまったら………もう終わりだ…」

拓海「……言ってみただけだよ。」

亜季「だが兵は皆飢えている…靴すら満足に履けていない………私は…………」

拓海「……あんたは間違っちゃいないさ。……市民に何と言われようと気にすんな。」

亜季「……………………‥………」

拓海「………あんたみたいな天才的な軍略家にはいつか必ずこうなるのは最初から分かってたんだろ………?」

亜季「…………………………」

拓海「……………………………」

亜季「………勝てないと分かっていた戦争で………多くの若者の命を失わせてしまった…………」

拓海「……戦争を望んだのはあんたじゃない…………」

亜季「……………………………」

拓海「………開戦前にリンカーンの野郎から直々に北軍に来るよう頭を下げられたんだってな。……どうしてその誘いに乗らなかったんだ…?…奴隷制度に反対しているあんたの立場なら…………あっちに付いた方が良かったんじゃ……」

亜季「>>486

亜季「……私はヴァージニアを愛している。故郷を敵に回して戦うことなど出来ない……それだけだよ………」

拓海「…………………………」

亜季「……私は……南部の……ヴァージニアの人間なんだよ………」

拓海「……………………………」

亜季「……シャーマンの侵攻を許すわけにはいかない……そうすればヴァージニアは焦土となってしまう……実際にシャーマンは侵攻先で必ずそうしてきた。」

拓海「………悪魔だよ……アイツは……」

亜季「……………戦わなければならないんだ…………」

拓海「……政治家連中は好き勝手言ってやがるが、軍人の目的っつうのは、民を守る。それだけだ。」

亜季「………………………」

拓海「……あんたが南軍に居てくれなきゃ、今ごろはヴァージニアどころか、南部全体が焼け野原になってたところだ。」

亜季「……幾つかの土地は守りきれなかった………そこも誰かの故郷だっただろうに………」

拓海「…戦力差が二倍近くあるんだ………アタシじゃとっても出来ねぇ働きだよ。」

亜季「だが…………………」

拓海「………あんたの気持ちはよく分かる。……ただ、あんたは弱気になっちゃいけねえんだ。…南軍の支えは今やあんただけなんだよ……」

亜季「……………………………」

拓海「……………頼む……」

亜季「……………すまなかった……」

拓海「………いや………いい…………」

亜季「…………………………」

拓海「………………………………」

亜季「……これから私はゲティスバーグでの戦いに向け主力の集中を急ぐ。恐らく、この戦いで全てが決まる。」

拓海「…………敵さんも主力を集結させてやがるみてぇだしな…」

亜季「…………ジャクスン……」

拓海「…………何だよ?悪りぃが加勢なら………」

亜季「………‥死なないでくれ……」

拓海「………バーカ、鉄壁将軍ジャクスン様がくたばるわけねえだろ。」

亜季「……………………………」

拓海「…………せめて1日でも早く傷を治して加勢しに行ってやるよ。…だからそれまでくたばるんじゃねえぞ。」

亜季「…………ああ。」

拓海「……………………………」

アトランタ 通り




「ねえ、聞きました?何でもペンシルヴェニアのゲティスバーグとか言う場所で総力戦が開始されているとか……」

「ついにこの時が来たのね!リー将軍が北軍の連中を叩き潰す時が!」

「ええ、あのリー将軍が負けるはずがありませんもの!これに勝てば北部にはもう戦う力は残らないはずですわ!」

「でも……戦闘が始まってから一通の電報もこちらに届いては………」

「敵地に進入しているんだから、電報は遅れて当然でしょう?」

保奈美「…………………………」

瑛梨華「………総力戦………人がたくさん死んでしまう………恐ろしい事ですねぇ………………」

加蓮「………怖いわ………だって……ゲティスバーグにはアシュレの所属する連隊が………………」

保奈美「アシュレが死ぬわけないでしょ!」

加蓮「………ごめんなさい………」

保奈美「…………いえ、こちらこそ………………」

瑛梨華「………アシュレは無事に決まっています…………ええ……そうに決まっています………」

加蓮「>>494

加蓮「……神様……アシュレをお守りください…………」

保奈美「(神様なんかに祈って何に…………!…いえ……今は神様でも何でもいいわ!)…私からもお願いします……どうかアシュレを………」

瑛梨華「…2人とも………私からもお願いします………アシュレは善良な青年です………どうか……アシュレを私たちから取り上げないでください…………」

加蓮「……ああ………アシュレ……………」

保奈美「……………………………」

瑛梨華「……お願いします………お願いします………………」

保奈美「……神様………………」

「都合の良い時だけ頼られても困るぴにゃ。」

保奈美「……?!」

「苦しい時の神頼み、とはよく言ったものぴにゃ。日頃ボクらなんか相手にもしていないやつほど、困った時にボクらを当てにするぴにゃ。」

保奈美「……………………」サッ!サッ!

「虫の良すぎる話とは思わないぴにゃか?」

保奈美「……どこ…?!……誰…?!」

「……君は学ぶという事を知らないぴにゃか?逆に一体何を知っているのか不思議でならないぴにゃ?」

保奈美「………ど、どこから…………」

「そんな君に良いことを教えてあげるぴにゃ。軍令部に行けば、君たちの気になっている事が分かるぴにゃよ。」

保奈美「………………………………」

「以上、カミサマからのお告げぴにゃ。」

保奈美「……軍令部……軍令部に行けば何が分かると言うの……?ねえ……!」

保奈美「………………………………」

保奈美「………ねえってば………!」

加蓮「……………スカーレッ………」

保奈美「軍令部…!軍令部に行きましょう……!……とにかく……軍令部に行かなくちゃ………!」

加蓮「………えっと………………」

保奈美「メラニー、ピティパット叔母さん!軍令部に行きましょう!」

瑛梨華「え……あ………あの………?」

保奈美「……………………………」

加蓮・瑛梨華「……………………」

軍令部前



「ねえ……ゲティスバーグでの戦況はどうなっているんですか……?」

「あの……砲兵連隊に死者は………?!」

「まだ何も分からないのですか……?!」

「皆さん、落ち着いてください!北部戦線からは戦闘が行われたという事以外、何の電報も届いていないのです!」

ザワザワザワザワ……!

瑛梨華「……す、すごい人だかりですねぇ…………」

保奈美「…………………………」

加蓮「………ここに居れば……もし電報が来たとき……すぐ分かる……そう言う事ね……?」

保奈美「…………ええ…」

加蓮「………………………………」

保奈美(そうか……確かにここに居ればでが来た時にいち早く………………)

瑛梨華「だ、だけど…………まだ、何も来ていないって………………」

加蓮「落ち着いて、叔母さん。……大丈夫……大丈夫だから…………」

保奈美(……アシュレが戦死するはずはないけど…………だけど…………)

ドヨ……ドヨドヨドヨドヨ…………

保奈美(…………!急に騒がしくなったわね……一体何が……まさか…………!)

沙紀「おやおや、これは皆さんお揃いのようで。」

保奈美「…………レット・バトラー…?!何であなたがこんな場所に居るのよ!今あなたなんかの相手をしている暇は無いっ言うのに!」

沙紀「今日は一段と僕に厳しいですな。気が立つような事でもあったのですか?」

保奈美「>>503

あなたの相手をしてる暇はないって言ってるでしょ!

保奈美「あなたの相手をしてる暇はないって言ってるでしょ!」

沙紀「大した歓迎のされ方ですなぁ。まるで僕がここに来たのが心底憎らしくてしょうがないみたいな物言いではないですか。」

保奈美「…………っ!だからそう言っているのよ!あなたは……ここの人たちが何の目的でここにいるかは知っているでしょう!」

沙紀「ええ、戦線からの電報を待っておられるのでしょう?」

保奈美「分かっているんだったら……!」

沙紀「だから僕はここに来たわけです。」

沙紀「こう言う時こそミード博士が『勝利は我が旗竿を飾る鷲のごとく』とお得意の演説をなさるべきだと思うのですが…………」

保奈美「あ、あなたねぇ…!幾らあなたが人でなしだからと言って……ここにいる人たちまで馬鹿にするのは…………!!」

沙紀「何を勘違いなされているのです?私は最初の入電の内容をお教えに来て差し上げたと言うのに。」

保奈美「…………い、いま……何て…………?」

沙紀「ですから、最初の入電の内容をお教えに来て差し上げた、と。……皆さん!最初の死傷者数名がたった今入電しました!」

ザワザワザワザワ……! !
ザワザワザワザワ……! !

保奈美「………………………………」

沙紀「如何です?これでもまだ僕の相手をしている暇なんてあられませんか?」

保奈美「……あ、あなたがどうしてそれを…………?」

沙紀「報告は30分前に新聞社には回っていたのですが、係の少佐が皆さんが軍令部や新聞社の中になだれ込むのを防ぐために黙っていたのですよ。」

保奈美「…………………………」

加蓮「まあ、バトラー船長!あなたはご親切にもわざわざそれを私たちにお教えに来てくださったのですね!」

沙紀「新聞社の記者の方々とはまあ……知り合いのような物ですので。」

沙紀「さあ、これがその内容です。」ス

加蓮「ありがとうございます!」パシ

沙紀「……………………………」

加蓮「え、えっと…………ウィルクスだから……Wのところを…………」

沙紀「…ミード夫人、メリウェザー夫人、ワイティング夫人。山師から情報を知るのは大変お嫌かもしれませんが…どうされます?」

朋「ちょ、ちょうだい………!」

礼子「……………っ…………!」

瑞樹「………………お礼を言うわ…」

沙紀「了解しました。」

加蓮「ええっと…!ええっと……!」

保奈美「は、早く!メラニー!む

加蓮「あ……えっと…………代わりに読んで…!」

保奈美「……」パシ!

保奈美「…ホワイト…ウィルキンス…ウィン…ゼプロン………メラニー!載っていないわ!ウィルクスは…あの人載っていないわ!」

加蓮「まあ…………!」

瑛梨華「」クラッ……

加蓮「ああ……叔母さん!」ヒシッ…!

瑛梨華「あ、あ、アシュレは…………ぐすっ…………アシュレは無事なのですね…………!」

加蓮「ええ……アシュレは……アシュレは…………生きているわ…!」
ボロボロ…

瑛梨華「ああ……良かった……ぐず……良かったぁ………」ボロボロ…

保奈美(…アシュレは生きている……!負傷さえしていない……!ああ……何て………何てありがたい……!)

沙紀「…あなた方にとっては吉報だったようですな。……あなた方にとっては。」

保奈美「ぐすっ………えっ……?」

沙紀「>>511

安価把握


ミリオタの>>1なりの作中の
南北戦争用語解説
(と言う名の蘊蓄語り。読み飛ばし推奨)

・ロバート・E・リー
歴史に名を残す南部の名将。南部が善戦出来たのはリー将軍の功績が大きい。温厚で柔和な人柄だったらしい。奴隷制に反対であったが郷土愛のために南軍の将として戦った。>>1も名将を10人挙げろと言われたら必ず挙げる将軍の1人。

・トーマス・J・ジャクスン
リー将軍の副将にして、鉄壁の守りから「ストーンウォール」と呼ばれたリー将軍に次ぐ名将。人格者、また非常にあつい信仰心の持ち主として知られたが、銃弾を受けた傷が原因で戦死する。

・ウィリアム・T・シャーマン
北軍の有名な将軍の1人。敵軍の闘志や継戦能力を失わせるために、南部に進撃した際に、家屋や農場に火を放った、ある意味都市爆撃などの基礎を作った人。
ただし、そのせいで彼の名が付いたM4シャーマン戦車に乗るのを拒む戦車兵がいたほどには現在でも嫌われている。

・ゲティスバーグの戦い
南北戦争最大の戦い。南部の敗戦を決定付けた戦いでもある。集団密集突撃が行われた世界最後の戦いだったりもする。



南北戦争史などが分かると流れが掴みやすいかと思われます

一時中断します

再開します

沙紀「…………いえ、聞かなかったことにしてください。」

保奈美「……………………………」

沙紀「一先ずはおめでとうございます。あなたの想像されていた最悪の事態にはなっていなかったようですね。」

保奈美「……………え、ええ…………」

沙紀「……そいつは良かった。……まったくだ。……あなたはいつも彼の事ばかり考えていて………………」

保奈美「………何を………?」

沙紀「…くだらん独り言ですよ。」

沙紀「…あんたは幸せに包まれてらっしゃるようですがねぇ。少しは周りを見渡してみたらどうなのです?」

保奈美「………あっ………」サッ

朋「…………嘘……嘘よ………………」

沙紀「ミード夫人は息子さんを亡くされました。」

瑞樹「…………………」ヘタ……

沙紀「エルシング夫人も同じです。」

保奈美「…………………………」

沙紀「あなたはいつもよくこの様な状況下ではしゃげる物ですな。感嘆しましたよ。」

保奈美「………………私は……そんな……………………」

沙紀「……もう一度名簿をよくご覧なさい。」

保奈美「…………………………」

沙紀「……見知った名前がたくさんあるのではないかと思いますがね。」

保奈美「………………!!…カルヴァート・レイフォード!…小さい頃によく遊んだ…………」

沙紀「それだけですか…?」

保奈美「……ジョゼフ……マンロー……ブレント………それに……スチュアート……トマス…………」

沙紀「………………………………」

保奈美「………………そんな……」

沙紀「……お友達のお名前ですか?」

保奈美「………ええ……………あっ………………」フラッ……

沙紀「しっかりしてください、スカーレット。」ガシッ

保奈美「………………だって…………こんなに……………………」

沙紀「……その様な調子では持ちませんよ。…耳を貸してください。」

保奈美「………………………」コクッ…

沙紀「……ここだけのお話ですが…これはほんの1回目の報告に過ぎませんし、落ちだってあるはずです。」ボソ

保奈美「…………!(…『まだ1回目』………………まだ……………)」

沙紀「リー将軍は敗戦して、メリーランド州まで撤退したそうです。」

保奈美「………………っ………………」

沙紀「………………………………」

保奈美「……2回目や……3回目も………………」

沙紀「…もちろんあります。明日は今日よりも大勢の死傷者が発表されるでしょうね。」

保奈美(明日…!明日…!……何てこと………………なの…………つまり…………今日名前が載っていなかったと言うだけで………………アシュレは…………この瞬間にも死んでいるかもしれない…………そして……それはその日が来てみるまで分からない………………)

沙紀「………………………………」

保奈美「…………バトラー……」

沙紀「戦争とはつまりこう言う物なんですよ。……今日偶々名前が載っていないだけに過ぎないかもしれない。」

沙紀「……これを見てまだ喜べますか?」

保奈美「……そんな事を…言わないで…………」

沙紀「……失敬。」

保奈美「………………ああ…………ああ…………こんな事なら北部に奴隷をすべて売り渡して解放させれば良かったのに…………」

沙紀「それだけが原因ではありませんよ。もし仮にそうしていたとしても結果は同じだったでしょう。」

保奈美「なら…………どうして戦争なんか起こるの…………?」

沙紀「>>521

道理を通したがる者と、それを儲けにする者がいるからですよ

沙紀「道理を通したがる者と、それを儲けにする者がいるからですよ。」

保奈美「…道理…………?」

沙紀「あくまでその連中にとって、の道理ですがね。そいつらには例えば『南部の大義』…のような道理を通すためなら戦争で細やかな犠牲が出ようと仕方がない。…そう考えているのですよ。」

保奈美「細やかな犠牲ですって…?!これが…………!」

沙紀「…落ち着いて聞いてください。……落ち着いて……」

保奈美「……………………………」

沙紀「……僕もこれが細やか犠牲だとは思っていませんよ。」

沙紀「…連中にとっては国民なんぞ道具にしか過ぎないのですよ。あなたはマッチ棒に火を付ける事を嘆き悲しみますか…?」

保奈美「………マッチ………………」

沙紀「…南部の連中は誰一人政治家どもが自分たちをどう考えているか気付けなかった。甘い言葉と勇壮な文句に騙されていたのですよ。」

保奈美「…………だとしたら…………みんな……無駄死にじゃない…………」

沙紀「……………………………」

保奈美「………嫌よ………………」

沙紀「………僕だって戦争を利用して悪どい事をやってきました。…非難する権利など無いでしょう。ただね……僕は一度たりとも虫の食った小麦や、腐ったベーコンを戦場に送った事は無いつもりです。」

保奈美「……………あなたじゃ…なかったの……………?」

沙紀「商売相手には礼儀を尽くすと言ったはずです。金貨に見合わない品を渡すなんて…人倫に悖りますよ。……人倫だなんて僕が言うのも変ですが。」

保奈美「……………………………」

沙紀「………僕なんか小悪党ですよ。本当の悪党はみんな愛国者の顔をしているんです。口では南部万歳を唱えているのです。」

保奈美「………………………………」

沙紀「………あなた相手には話しすぎてしまう。…もう大丈夫ですよね?」
ス……

保奈美「……………ええ…」

沙紀「…それは良かった…………では。」クル

保奈美「………どこに行くの…?」

沙紀「ミード博士に息子さんの訃報を教えて差し上げに行って参ります。今そんな余裕があるのは天涯孤独の僕ぐらいでしょうから。」スタスタスタスタ……

保奈美「……………………」

沙紀「すぐにはピンと来ないでしょうが、しばらくして英雄戦死の報告を持ってきたのが、賎しむべき山師の一人であった事に気付いてさぞかし嫌な気分になるでしょう。」スタスタスタスタ……

保奈美「……………ねえ……」

沙紀「馬ならあります。ご心配には及びません。」スタスタスタスタ……

保奈美「……………………………」

保奈美「…どうしちゃったのかしら…………なんと言うか…………いつものアイツと違った…って言うか………………」

保奈美「……………………………」

加蓮「………スカーレット、バトラー船長と……何をお話しされていたの……?」

保奈美「……戦争が何故起きるか、よ。……メラニー、あなたはまだ戦争は大義のためだって言える?」

加蓮「…………………………………」

保奈美「……大義のために……アシュレが死ぬ事に…………耐えられるの……?」

加蓮「……………………………」

保奈美「……私は大義なんてどうなってもいい…………もうこれ以上……見知った顔を二度と見れなくなるぐらいだったら…………」

加蓮「……スカーレット……………あなた………………」

保奈美「……知り合いの名前が……幾つかあったわ……」

加蓮「………………………………」

保奈美「…………ごめんなさい…」

加蓮「………どうして謝るの……」

保奈美「……………分からないわ…」

加蓮「>>529

私もよ……

加蓮「私もよ…………」

保奈美「………………………」

加蓮「…何を信じたらいいのか……分からなくなってしまったの…………」

保奈美「………………………」

加蓮「…少し昔の私が聞いたら……怒り出すでしょうね……でもそうなの………私たちは…戦争を知らなかったのよ………………」

保奈美「…誰だって知らなかったわ……」

加蓮「…それは言い訳よ……」

加蓮「……戦争に賛成したのは私たちで……戦争を応援したのも私たち…………でも、銃を持って戦うのは私たちでは無かった…………」

保奈美「…………………………」

加蓮「…この街で真実が見えていたのは、バトラー船長だけだったのよ…………」

保奈美「………そう……ね…………」

加蓮「……………スカーレット……」

保奈美「…私たちにはまだ……アシュレが居るわ……」

加蓮「…………………………………」

保奈美「………帰りましょう……無理やり付き合わせて……ごめんなさいね……」

加蓮「……いいえ…………」

保奈美「……………………………」

加蓮「……叔母さんにも声をかけてくるわね…」

保奈美「…お願いするわ。」

加蓮「…………………………………」
スタスタスタスタ……

保奈美「……………………………」

1863年 冬 ピティパット叔母の家



瑛梨華「……冷えますね…」

加蓮「……もう冬だもの………」

保奈美「………そして、もうすぐクリスマスよ…」

瑛梨華「……………私は…こんな寂しいクリスマスは初めてですよ…………」

加蓮「……………………………」

保奈美「…祝おうにも……何も無いんだもの…………」

瑛梨華「………分かっています……」

加蓮「………雪が降って来たわ……」

保奈美「………………………」

ドンドン…!

瑛梨華「………風も強くなって……………………」

ドンドン…!

保奈美「………待って……風の音じゃないわ……!誰かがドアをノックしているのよ……!」

加蓮「…………!!」バッ!
タッタッタッタ…!

瑛梨華「メラニー、一体………?!」

加蓮「はぁ……はぁ……はぁ……!」
ガチャ!

櫂「…………………」

保奈美「?!」

加蓮「…やっぱり……アシュレだったのね…!」

櫂「………ああ。ただいま。」

保奈美「…アシュレ…!!」

瑛梨華「…アシュレ……アシュレなのですか……?」

櫂「ふふっ…僕だよ。休暇を特別にもらえたから帰っ来たんだ…」

加蓮「…………アシュレ…………ぐすっ………ぐすっ…………」ヒシッ…!

櫂「>>537

ああ……僕の邪王獄殺深魔眼【バロール】もそのままさ……

安価把握

2部はあと少しです…

お休みなさい

約10日間お疲れさまです。

>>539
ありがとうございます…
そう言っていただけると励みになります

本当は遅くとも一ヶ月以内に打ち上げまで持って行きたかったのですが……
このペースだと5部の完結までは………
自身の進行能力の無さに絶望するばかりです……

もうしばらく>>1の駄文にお付き合いいただけると幸いです…

再開します

櫂「ああ……僕の邪王獄殺深魔眼【バロール】もそのままさ。」

加蓮「…間違いない………本物だわ……」ギュッ…

櫂「……………………」ナデナデ…

保奈美「……アシュレ………こんな時にまで……」

櫂「こんな時……だからこそさ。何たって僕は邪王獄殺深魔眼【バロール】の力のおかげで無事に帰ってこれたのだからね。」

保奈美「…変わったのは……見た目だけなのね………ぐすっ………アシュレ…………」

櫂「溢れ出す【チカラ】を制御できなくてね。魔翌力回路が少し暴走してしまったんだ。」

瑛梨華「…こんなに髪も日差しで焼けてしまって……服だって継ぎ接ぎだらけで…………」

櫂「違うよ。魔翌力回路が少し暴走しただけだって言ってるだろ?」

瑛梨華「……うう………ぐすっ…………またあなたはそんな事を……………」

櫂「この世の真理【ロゴス】を知る物として当然の振る舞いをしているだけさ…………なんて……」

瑛梨華「…うう………ぐすっ………うあああ………………」

櫂「……………………………」

やっぱり3部からでも舞台裏&観客パートだけ安価やって本編はノー安価ってフォーマットにした方がいいんじゃ……

加蓮「…しばらくは……ここに居るのよね………?」

櫂「魔翌力【マナ】を補充しなければならないからね。……しばらくはここに居るよ……メラニー……」

加蓮「……ううう…………どうして普通の言い方が………ぐすっ…………できないのよ……………ぐすっ…………」

櫂「それが…僕だからさ…」ナデナデ…

加蓮「……アシュレぇ………うぁぁぁぁぁ……………」

瑛梨華「え、えっと……えっと………お茶を淹れますね………」

櫂「……ありがとう、ピティ叔母さん。」

瑛梨華「………………ぐすっ……」

〜〜〜


加蓮「…戦場では大変じゃなかった……?その……とても厳しい状況らしかったけど………弾が当たったりは………」

櫂「君が心配するような事は何も無かったよ。僕の邪王獄殺深魔眼【バロール】をもってすれば魔翌力【マナ】の動きを読むぐらい容易かったからね。」

加蓮「………物資も不足していて休息もままならないって………」

櫂「魔翌力【マナ】をエネルギー転換によって、生命エネルギーとして変換すればそのくらい訳はないよ。」

加蓮「……え、えっと…………!」

櫂「大丈夫だよ。……僕にとってはあんな戦場はピクニックみたいな物さ。」

加蓮「………………………………」

櫂「これでも僕はたくさんの部下を率いるアシュレ・ウィルクス少佐なんだ。…………大丈夫だよ。」

加蓮「……………………………」

櫂「…大丈夫……だから……」ギュッ…

加蓮「……………………」ギュッ…

保奈美「アシュ………」

櫂「愛する妻を置いて……戦死したりはしないよ……」

保奈美「…………………………」

加蓮「…………ええ………」

櫂「………………………………」

保奈美(……アシュレの妻はメラニーなんだ…………私じゃなくて…………)

加蓮「………………………」ギュッ…

保奈美(…私も……あんな風に抱きつけたらどんなに幸せな事だろう………でも……それは出来ないんだわ………………)

櫂「……………メラニー……」

保奈美(…どうして……メラニーの名前ばかり呼ぶの………?私だって……………!)

加蓮「………………アシュレ…」

保奈美「>>549

アシュレ……

>>543
…その形式を取った方がよろしいでしょうか……?




保奈美「アシュレ………」

櫂「何だい、スカーレット?」

保奈美「…………!あっ……いえ……………その…………………」

櫂「………ああ、いけない!あなたへの言葉を忘れていた!…すみません、スカーレット…!」

保奈美「………いいのよ………別に……………」

櫂「そうはいかない!生きて再び会えた喜びですっかり失念していた!」

保奈美(…今さら何をアシュレが何を言ってくれたところで………………)

櫂「……スカーレット……僕は君にもとても会いたかったんだ……」

保奈美「…………………………」

櫂「…その……心配をかけてすまなかった………」

加蓮「……そうよ……スカーレットは……私と同じか……それ以上にあなたの事を心配していたんだから……」

櫂「…………………………………」

加蓮「…スカーレットは……あなたが戦死したんじゃないかって……ずっと…………………………」

保奈美「………………………………」

櫂「……ありがとう……そして…ごめん………君には……その…………」

保奈美「……いいわよ……いいって言ってるじゃない……」

櫂「………スカーレット…」

保奈美「……………………………」

櫂「………メラニー…」

加蓮「……………ええ。」スル…

櫂「……………」スク
スタスタスタスタ……

保奈美「……………………………」

櫂「…………手を。」スッ

保奈美「……………何を…」

櫂「……………」チュ……

保奈美「………………!!」

櫂「………………………………」

保奈美(アシュレが…私の手にキスをしてくれた……!)

櫂「ただいま、スカーレット。」

保奈美「………………………………」

櫂「……………………………………」

保奈美(……アシュレの……ぬくもり………………ああ……私の馬鹿……アシュレが帰って来ただけで素晴らしい事なのに………つまらない事で機嫌を悪くして…………)

櫂「……………………………」

保奈美「………お帰りなさい……アシュレ……」

櫂「……………うん…」

保奈美(…アシュレが例え…メラニーの夫だったとしても構わないわ…………こうして…ここに居てくれるなら……………………)

櫂「……………………………」

保奈美「………こっちこそ……ごめんなさい…………」

翌日



櫂「…………………………………」

瑛梨華「………?…どうしたのです、アシュレ……?」

櫂「……………………………」

瑛梨華「………アシュレ……?」

櫂「………あ、ああ……少し考え事をていたんだ……」

瑛梨華「…………どんな事を……?」

櫂「…ううん……何でもないよ。大した考え事じゃない。」

瑛梨華「はぁ………」

櫂「…………ピティ叔母さん…」

瑛梨華「…何でしょうか……?」

櫂「……………………………」

瑛梨華「…………………………」

櫂「…………最近は冷えますが、体の方は大丈夫ですか?」

瑛梨華「…大丈夫……ですけど………」

櫂「…そう………これからも…体に気を付けて長生きしてくださいね…」

瑛梨華「……………………………」

ガチャ

加蓮「ただいま。」

瑛梨華「…ああ……お帰りなさい、メラニー。」

櫂「…お帰り、メラニー。どこへ行っていたんだい…?」

加蓮「…………………………」

櫂「………?」

加蓮「…はい、これ。」スッ…

櫂「…これは……ひょっとして……僕の新しい上着かい…?…グレーの布地に金のボタン……どうやって………」

加蓮「…最期を看取ってあげた兵隊さんの一人のお母様が、息子にはもう不要になったから、私に役立てて欲しい……って。…仕立て屋から取ってきたの。」

櫂「…………………………………」

加蓮「>>559

加蓮「……息子さんの意志を継いで必ず生きて帰ってきて。」

櫂「………………………っ…………」

加蓮「…この上着がきっとあなたを、寒さや銃弾や……悪い事から守ってくれるわ。だから…………ね。」

櫂「…………………………………」

加蓮「…………アシュレ……?」

櫂「………ああ…いや……あまりに感動して…物が言えなかったんだ………」

瑛梨華「うんうん……分かりますよ、その気持ちは………」

櫂「……………………………………」

瑛梨華「……私なんて……………もう……………………」

櫂(…………本当は…そうではないのだよ………………)

加蓮「………お母様もね……息子さんの分も戦い抜いて…………そして、生きて帰ってきて欲しい…………そう言っていたの……」

櫂(…………生きて……帰ってくる……………………)

瑛梨華「こんな素敵な上着を着ていたら……銃弾だって避けていきますよ…………ああ………………」

櫂「……………………………………」

櫂「(正直な話をした方が良いかもしれない………………)……その…………」

加蓮「………死なないでね…………絶対………あなたが死んだら………私だって死んでしまうわ…………」

瑛梨華「私もですよ……そんな悲しい事……想像しただけで……………」

櫂「……………………っ…………」

加蓮「…………だから…………」

櫂「……………」ギュッ……

加蓮「…………あ…………」

櫂「……僕は死んだりしないよ…………絶対に………………」

加蓮「…………………………」

櫂「……邪王獄殺深魔眼【バロール】の持ち主がやられる訳はないじゃないか………しかも、こんな守護結界まで身に着けるんだ…………無敵さ……」

加蓮「………必ず生きて帰って来てくれるって約束して…」

櫂「……………………約束する……(……………………………………)」

加蓮「…………」ギュッ……

櫂「…………………………」ギュッ……

櫂(………メラニー、ピティ叔母、スカーレット……それに…名前も知らない親切なお母さん……………すみません…………僕は恐らく………………)

櫂(…………戦線に帰るまであと6日……それまでに……………………)

1週間目の夜 スカーレットの部屋



保奈美(……明日……アシュレは出発してしまう………)

保奈美(………………………………)

保奈美(……メラニーは立派な上着をプレゼント出来たって言うのに…私からは何も………………)

保奈美「…………アシュレ……」

コンコン

保奈美「……………誰…?」

櫂「……僕です……スカーレット…………」

保奈美「………………………………」

〜〜〜



保奈美「………どうしたの、アシュレ……?」

櫂「…………あなたに頼みたい事があるんです…………引き受けてくれますか…………?」

保奈美「当たり前じゃない…!私は……あなたのためだったら何だってできるわ…!」

櫂「……ありがとう………これでもう……思い残す事なく出発できます。」

保奈美「何、早く言って!(アシュレのためだったら…心臓だって抉り出して渡すわ…………!)」

櫂「…………メラニーの面倒を見てやって欲しいのです……」

保奈美「…………………え……」

櫂「………………………………」

保奈美(メラニー……メラニーって……出発の直前でも…………)

櫂「……メラニーはとても体が弱い…そして……あの通り内気で優しい………親戚もほとんど居ない……帰る場所だってない…………」

保奈美「……どうして…それを私に頼むのよ…………?」

櫂「……メラニーはあなたを実の姉妹みたいに慕っている……だから……僕が戦死しても…あなたが居てくれれば…………」

保奈美「待って!今戦死と言ったの?!」

櫂「…………ええ………明日出発したら……僕は二度と帰っては来れないでしょう……」

保奈美「…嘘……嘘よ……!だって……あなた……この1週間……自分は無敵だとか、必ず生きて帰るとばかり言っていたじゃない……!」

櫂「……僕はこの1週間嘘を言っていたんだ……どうして、メラニーやピティ叔母さんにそんな事が言えよう…………
本来なら君にだって話すべきじゃなかった…………」

保奈美「………………っ……」

櫂「……南軍の兵士は履く長靴すら無くて、雪の上に血の跡を残しながら歩いている…………それにひきかえ北軍は、最新鋭の装備、十分な兵站、……恐ろしい機械人形まで次々と投入してくる。」

保奈美「…………で、でも……!」

櫂「…敵の兵士も倒しても倒しても減らない…………北軍は全世界から兵隊を雇い入れているんだ………僕らは…全世界相手に戦争をしている状態なんだよ…………」

保奈美「………………………………」

櫂「>>569

もし僕が帰ってこなかったら……メラニーにこれを渡してほしいんだ

櫂「……もし……僕が帰ってこなかったら……メラニーにこれを渡してほしいんだ。」ジャラ…

保奈美「……………これは……?」

櫂「………将来……必要になるかもしれないものの鍵だ……」

保奈美「………………………………」

櫂「………僕は……全てを守るためにこれを作ったが………もう……僕には必要無くなってしまった…………」

保奈美「………………………………」

櫂「………暴力では……何も解決できないと分かってしまったんだ……」

保奈美「………メラニーに渡したいなら……自分の手で渡してよ………」

櫂「………………すまない…」

保奈美「……………っ……………」

櫂「……メラニーの事と、これの事を説明するために、君には全部打ち明けてしまった………君は強い………身勝手なのは分かっているが…………改めて……お願いできるかい……?」

保奈美「……前線になんか帰らなければいいじゃない……」

櫂「…行かなければならないんだ………………行かなければならないんだよ………」

保奈美「……分からないわ…………」

櫂「…………一言だけで良いんだ……引き受けるとだけ言ってください………僕にはそれだけが希望なんだ………」

保奈美「嫌よ……そしたら行ってしまうのでしょう…!私……あなたを行かせたくない……!」

櫂「スカーレット……お願いだ……!」

保奈美「……………………………」

櫂「…………………………………」

保奈美「………………分かった……分かったわよ……………メラニーの事は……任せてちょうだい……」

櫂「………………!」

保奈美「あなたは……前もそうだったわ……!私には…自分の頼みを押し付けるだけで……………………」

櫂「………………………………」

保奈美「……前線でもどこでも……行ってしまいなさいよ!」

櫂「……………すみません……」スク
スタスタスタスタ……

保奈美「……………っ……………」

櫂「……………………………………」
スタスタスタスタ……

ガチャ バタ…

保奈美「…………………………どうして……なのよ…………」

保奈美「…………うっ…………ぐすっ………………ううう………………」

1864年 2月 北軍西部戦線司令部



時子(グラント将軍)「………………」
コツ…コツ…コツ…コツ…

志希(シェリダン将軍)「…………」

時子「報告。」

志希「ゲティスバーグはシャーマンが落としたってさ。けっこー兵隊も失ったらしいけど。」

時子「フン、兵士なんぞヨーロッパから幾らでも買ってくればいいでしょ。どれだけ減ろうが問題外よ。余計な事は報告するな。」

志希「ほいほ〜い。」

時子「…………………………」

志希「今回の勝利でテネシー川流域のほとんどが手に入ったんだけど、やっぱりいつも通り?」

時子「当たり前でしょう。シャーマンに機械人形を使ってその一帯の物全てを焼き払うように言いなさい。」

志希「カゲキだにゃー。」

時子「フン、こうするのが一番効率的なのよ。誰が勝者で…誰が敗者かを…馬鹿共の脳に刻みつけてやるにはね。」

志希「ま、理屈としては通ってるよねー。家屋と土地を焼いて補給を断ち、二度と抵抗できないよーにする。」

時子「分かっているならさっさとしなさい。南部の豚共に逃げる時間を与えるな。逆らった結果がどうなるか教えてあげなさい。」

志希「ほーい。」

時子「報告は以上?だったらあなたも早く南部を潰しに戻りなさい。私は民衆共の人気取りで忙しいのよ。」

志希「…………じ、実は……」

時子「……何?」

志希「……その……ジョージア州へ侵入するのは失敗しちゃったみたいで…………」

時子「は?私の聞き間違いかしら、ジョージア州に向かわせた奴らが自分たちの役割すら満足に果たせなかった、と言うように聞こえたんだけど。」

志希「……あ、アトランタからの鉄道での補給が予想外だったみたいで……」

時子「>>578

アァン!?(悪役っぽく鞭で床を叩く)

時子「アァン!?」ピシャァァァァン!!

志希「わわっ…!!」

時子「補給があったらどうだって言うのよ?それごと叩き潰せるぐらいの兵力は与えてやったわよねぇ?」

志希「…て、て、敵の将軍も中々やるみたいで…………」

時子「お黙り!」ピシャァァァァン!!

志希「はいっ……!」

時子「…チッ……!…どいつもこいつも使えないわねぇ…!南軍ごときに何をしているのよ!」

時子「チッ……忌々しい…!シェリダン!あなたアトランタを潰しに行きなさい!」

志希「さ、さ、作戦中なので……無理かなー……なんて………」

時子「アァン?私に口答えがあるならもっとはっきり、大きな声で言ってみなさい!」

志希「な、な、何もありませんで!直ちに進軍先をアトランタへと変えます!」

時子「フン……」

志希(…怖ぁ……………………)

時子「シャーマンも向かわせるわ。協力なさい。」

志希「えっ……?そこまでしなくても…………」

時子「アァン?私に楯突いた虫ケラ共がどうなるか思い知らせてやるのよ。文句があるの?」

志希「な、ないです…………!」

時子「蟻一匹逃がさないようになさい。手段は任せるわ。好きにしていいわよ。」

志希「………好きにしていいの…?」

時子「ええ…あなたの一番好きなやり方を見せてやりなさい!クックック……アーハッハッハッハッハ!」

ピティパット叔母の家



保奈美「……聞いた?また物価が上がるそうよ。」

加蓮「ええ……小麦粉が1樽で1400ドルですってね………とてもじゃないけど……手が届かないわ………」

保奈美「物価は上がる、軍需部はますます要求を強めてくる、その癖お金の価値は紙切れ同然。…戦争が始まってからロクな事がないわ。」

加蓮「…………そうね………」

保奈美「……………………………」

加蓮「……このままじゃ暮らしていけないわ………」

保奈美(……早く戦争がおわらないかしら…………そしたら、きっと全部上手くいくのに…………)

加蓮「……………………………」

保奈美「………悪い事ばかりだわ…」

加蓮「……で、でもね……スカーレット……悪い事ばかりではないのよ……?」

保奈美「………どんな良い事があるって言うの?」

加蓮「それは………その………………」///サスサス…

保奈美「……………!あなた、まさか……!」

加蓮「……ミード先生が仰るには……8月か9月に…ですって………」///

保奈美「……………っ………………」

加蓮「……私は体が弱いから……ずっと無理だって思っていたけど………涙が出そうよ………まず真っ先にあなたに教えたくて……」

保奈美(……メラニーと………アシュレ………の……………)

加蓮「……アシュレにも早く教えてあげたいんだけど…………」

保奈美「まあ…………!」

加蓮「……そんな風に見ないで…ミード先生は大変な苦痛になるだろうって言ってるけど……あなたは親切だから心配してくれているのね………でもね……私はそれでも………………」

保奈美「黙ってっ!」

加蓮「…………あっ……ご、ごめんなさい………!私……舞い上がってしまっていて…………ああ……どうしてウェードちゃんがチャールズが死んでから数ヶ月後に生まれたって事を………」

保奈美「黙って!」

加蓮「>>586

(泣きながら走り去る)

安価把握

一時中断します

再開します

保奈美「…………っ……!」バッ!

加蓮「スカーレット……!」

保奈美「……うるさい!」
タッタッタッタッタ……ガチャ!

タッタッタッタッタッタッタッタッタ…!

加蓮「……………………………」

加蓮「……私ったら………何てことを………………」ヘタ……

加蓮「…スカーレットが……どんな気持ちでいるかも考えないで………うう……………ごめんなさい…………」ポロポロ……

加蓮「……っ………追いかけて行って……謝らないと…………」
ポロポロ……

〜〜〜


保奈美「……はぁ………はぁ……………うう………ううう………………」タッタッタッタッタ…!

保奈美「はぁ……ああ………うあ…………あっ………!」ズシャァ…!

保奈美「……………っ………ああ…………はぁ………………」

保奈美「…………うう………うああああああ…………うああああああ…………」ボロボロ……

保奈美「…メラニーのお腹の中には……アシュレの赤ん坊がいる…………!そんな……そんな………うあああああ………!」ボロボロ……

保奈美「……っ………どうすれば……いいのよ………!こんなの……この気持ちはどうすればいいのよ………!」ボロボロ……

保奈美「何で………どうして………!うあああああ………………!……アシュレ………どうしてなのよ………!」
ボロボロ……

保奈美「………うああああ………うう………うああああああん………!」
ボロボロ……

保奈美「……タラへ帰ろう………アシュレの子どもを宿している女なんかと………一緒に暮らしてはいけない…………!」ボロボロ……

保奈美「………うう………うう…………ううう………」ボロボロ……

沙紀「何をお泣きになられているのです……スカーレット…」

保奈美「………バトラー………?」

沙紀「……ああ……やはりあなただった…僕の直感は大したものだ。」

保奈美「……消えて!私は今……あなたでなくても……誰とも………!」

沙紀「スカーレット・オハラ!」
ギュッ……!

保奈美「………!……な、何を………?!」

沙紀「…あんたが何故泣いてるのかは知らんが……あんたの涙が僕は大嫌いなんだ!……僕の前で泣くんじゃない…!」

保奈美「……………え………………」

沙紀「あんたが……あんたが……どうして臆病な卑怯者の為に傷連れられなければならないんだ……!あんたがそんなだから……僕は………!」

保奈美「…………………………」

保奈美「…………バト………ラー………?」

沙紀「…………っ…………泣くなら今から乗る馬車の中で存分に泣くといい……」

保奈美「…………………………」

沙紀「……あんたには悪いが………今回に限って無理矢理にでも連れて行かさせてもらう………!」

保奈美「……………………………」

沙紀「さぁ、僕と一緒に来るんだ…!ピーター!」

巴「チッ……今回だけじゃ!早よ乗らんか!」

保奈美「……………………………」

ピティパット叔母の家



巴「ピティ様、メラニー様はどうなされとる?!」

瑛梨華「そ、それが……え………え………え………えっと……………!」

保奈美「…メラニーがどうかしたの……?」

沙紀「…倒れられたんですよ!妊娠していると言うのに……!…倒れられる前に極度の興奮状態にあったようで………そこに止めがあれです!」

『ウィルクス少佐 3日前偵察ニ出動サレタママ現在ニ至ルマデ行方不明。誠ニ遺憾ナリ。委細後報。」

保奈美「…………………!」

沙紀「>>596

……今は彼の無事を祈るしかないですね。あなた方皆さんのためにも。

沙紀「………今は彼の無事を祈るしかないですね。あなた方皆さんのためにも。」

保奈美「………アシュレが………!」

瑛梨華「えっ……あっ……うう………わ、私たちはどうしたら………?!」

沙紀「お二人とも僕の言う通りにしてください。スカーレット、あなたは湯たんぽを。ピティパットさん、あなたは気付けのウィスキーを。ピーター、君は毛布をさらに持ってこい。僕は様子を見てくる。」

巴「…分かった!」タッタッタッタッタ…!

沙紀「…………………………」

保奈美「………アシュレ……アシュレ…………」

瑛梨華「あう………あっ…………ああ…………え、えっと…………!」

沙紀「あんたらは案山子か何かか!ウィルクス夫人を死なせたくないんだったらさっさと動け!」

保奈美・瑛梨華「……!!」

沙紀「………失敬。………頼みますよ…」カツカツカツカツ…!

保奈美・瑛梨華「…………………」

メラニーの寝室



沙紀「いけませんよ、奥さん。あなたはご自身の体を大切になさらねば。走ったり、心配したりしても赤ちゃんの害になるだけです。そんな事はしてはならない。」

加蓮「……すみません………でも…………………」

沙紀「ですから、僕があなたの代わりに走ったり心配します。」

加蓮「………それは…………?」

沙紀「僕はワシントンに多少の縁故があります。それを利用してウィルクスさんの消息を調べて差し上げます。…安心なさってください、ウィルクスさんならきっと捕虜になっておられるだけです。」

加蓮「まあ………!バトラー船長………あなと言う方は…………世間がどうしてあなたの事を悪く言うのか分かりませんわ………!」


沙紀「……ですが、代わりと言っては難ですが一つだけお願いがあります。」

加蓮「ご自由に仰ってください……!私…………!」

沙紀「僕からのお願い……それは、あなたが必ずご自分の体に気を付けらるる、という事です。それだけはお約束ください。」

加蓮「……!」

沙紀「……大丈夫です………それで…お約束いただけますか……?」
ギュッ……

加蓮「……うう………はい…………」

保奈美「……………………………」

沙紀「…彼が紳士なら神様が守ってくださいますよ。」チラ

保奈美「……………っ……」

加蓮「…………はい……………」

沙紀「…………………………」

保奈美「…………………………(この男が何を考えているのか………分からない………)」

沙紀「……………………………」

保奈美「……………………………」




3部へ続く

長かった2部がロイミュード撲滅と同時に終わりました……ハート………
皆様お付き合いくださり誠にありがとうございました………
次回から、長い3部が…………
………次回は丸々幕間回にさせていただきます

>>1は手探りで進めておりますので、色々と粗が目立つかと思われます……御指摘いただけると幸いです……

構成力が欲しい………(切実)

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