夕立「吹雪ちゃんの憧れの人って誰っぽい?」 睦月「えっ?」(32)


睦月「どうしたの? 夕立ちゃん……突然そんな事を聞いてきて……」

睦月「せっかくこうして気持ちよく日向ぼっこしてるのに」

夕立「いいから、答えてみるっぽい」

睦月「そんなの赤城さんに決まってるよ! 吹雪ちゃん、あんなに赤城さん赤城さん言ってるんだから」

夕立「そう、吹雪ちゃんの憧れの人は赤城さん……」

夕立「その事は夕立を含め……この鎮守府に所属している艦娘の大半が知っている事っぽい!」

睦月「それならどうして……」


夕立「夕立、見ちゃったっぽい!」

睦月「え? な、何を?」

夕立「睦月ちゃん、夕立……この間外出許可をもらって、外出したのは知ってるよね?」

睦月「う、うん……突然一人で外出するなんて言い出して……とってもビックリしたけど」

睦月「結局あの時どこへ行ってたの? 何かお買いもの?」

夕立「夕立は……ネットカフェなる所へ行ってたっぽい!」

睦月「ね、ネットカフェ……?」


睦月「ネットカフェって……」

夕立「お金を払って……一定時間パソコンが使い放題なお店の事っぽい!」

睦月「そんな所へ行くためにわざわざ外出許可をもらって……一人で行って来たの?」

夕立「ぽい!」コクッ

睦月「何で……?」

夕立「夕立、一度でいいから提督さんみたいにパソコンをいじってみたかったっぽい!」

睦月「そ、そうなんだ……」


夕立「それで前、執務室にあるパソコンをこっそり使おうとしたら提督さんに見つかって、怒られて……」

夕立「そんなにパソコンをいじりたいならネットカフェへ行ってみれば? って言われたっぽい」

夕立「だからこの間外出許可を取って、一人でネットカフェに行って来たっぽい!」

睦月「ゆ、夕立ちゃんの行動力は時々すごいなって思うよ……」

夕立「それほどでもあるっぽい」


睦月「それで……見ちゃったって言うのは……いったい何を見ちゃったの?」

夕立「ネットカフェに行って……店員さんに基本料金コースを宣言……」

夕立「部屋の鍵をもらい……パソコンの前へ座った夕立……」

夕立「あの時のワクワクとドキドキは相当なものだった……ぽい……っ!」

睦月「な、何か語り始めちゃった……」


夕立「とりあえず……最初に夕立は、皆の事をインターネットで調べてみる事にしたっぽい!」

睦月「えっ」

夕立「友達や家族の名前をインターネットで調べてしまうのは人間の性って奴っぽい!」

睦月「へ、へえ……」

夕立「この日の為にキーボードの打ち方は勉強済み、だから検索なんて夕立にはお茶の子さいさいっぽい!」

睦月(流石吹雪ちゃんに負けないくらいの努力家……)


夕立「まずは吹雪ちゃんの事をゴーゴルで検索してみたっぽい!」

夕立「そうしたら……艦娘の紹介サイトみたいな所を発見したっぽい!」

睦月「艦娘の……紹介サイト……?」

夕立「そうっぽい! 多分海軍さん達が私たち艦娘の事を国民の皆に知ってもらおうと作ったサイトっぽい!」

夕立「多分!!」

睦月「へえ……」

睦月(そんなサイトがあったんだ……知らなかった………)


夕立「そこでは沢山の艦娘の事が紹介されてたっぽい! 赤城さんや……最上さん……」

夕立「もちろん! 私や睦月ちゃんの事も紹介されてたっぽい!」

夕立「そして夕立は……見ちゃったっぽい!!」

夕立「吹雪ちゃんの紹介ページで……とんでもない物を……見てしまったっぽい!!」

睦月「と、とんでもない物……それっていったい…………」ゴクリ

夕立「これっぽい!!!!!!!」

http://i.imgur.com/8DQG9ZI.png


睦月「わあ……っ! これ吹雪ちゃん? 可愛い……! 海軍の人達って絵がうまいんだね!」

夕立「ちょっと実物と違うっぽいけどね」

睦月「うん、ちょっと顔がふっくらしてるって言うか……でもとっても可愛いよ!」

夕立「って! 絵の事は置いておくっぽい! 肝心なのは紹介文の方っぽい!」

睦月「紹介分……? えーっと……」

睦月「重武装、そして凌波性に優れた艦娘……特型駆逐艦吹雪型のネームシップとして活躍する……フムフム……」

睦月「色々と問題娘ではあるが……名実ともに主力駆逐艦に成長していく……」


睦月「……吹雪ちゃん、最初は海に浮かんで動く事もあまりできなかったよね、懐かしいなあ」

夕立「今じゃ戦果を上げられる立派な艦娘になったぽい!」


睦月「頑張ったもんね……吹雪ちゃん……」

夕立「さ、次の行を読んでみるっぽい」

睦月「うん……えーっと……?」


睦月「憧れは先輩の……扶桑山城姉妹……………?」








睦月「先輩たちに近づけるよう、今日も訓練に勤しむ………?」







睦月「……………」





睦月「なにこれ……」

夕立「睦月ちゃん、夕立とまるで同じ反応っぽい」


睦月「扶桑さんと山城さんって……この鎮守府に所属してたっけ?」

夕立「してないっぽい」

睦月「これって誤載じゃないの……? 吹雪ちゃんの憧れの人は赤城さんだよ……」

夕立「きっと海軍さんが間違ったんだと思うっぽい」

睦月「これ吹雪ちゃんに教えた方がいいんじゃ……吹雪ちゃんは今どこに?」

夕立「鎮守府付近の警戒任務に当たってるっぽい」

夕立「でもそろそろ帰って来るっぽい」


吹雪「あれ、二人共……こんな所で何やってるの? 日向ぼっこ?」

夕立「あっ! 噂をすればっぽい! 任務お疲れ様! 吹雪ちゃん」

吹雪「ありがとう! 夕立ちゃん」

睦月「吹雪ちゃん吹雪ちゃん!!」

吹雪「ど、どうしたの睦月ちゃん……! そんなに慌てて……」


睦月「コレだよコレ! 見てみてよ!」

吹雪「え? えーっと……」

吹雪「こ、これ私? えへへ……カワイイ………」

睦月「もう! 絵の事は置いておいて……紹介分を読んでみてよ!」

夕立「何か色々海軍の人達に誤解されてるっぽい」

吹雪「わ、分かった……読んでみるね? えーっと……」


吹雪「…………」フムフム

睦月「…………」

夕立「…………」

吹雪「…………」フムフムフム

睦月「…………」

夕立「…………」

吹雪「……………ふう」

睦月(あれ、何か反応がうすいような)

夕立(吹雪ちゃん、ちゃんと読んだっぽい?)


吹雪「……コレ、どこで見つけたの?」

睦月「夕立ちゃん、この間一人で出かけた時があったでしょ?」

吹雪「ああ、そういえばあったね」

睦月「その時夕立ちゃん、ネットカフェに行ってたみたいで……その時に艦娘の紹介サイトを見つけて……」

夕立「このページを店員さんに印刷してもらったっぽい」

吹雪「へえ、そうなんだ……」

吹雪「で、コレがどうかしたの? 誤解って何が誤解?」

睦月「!?」

夕立「!?」


睦月「吹雪ちゃん、ちゃんと読んだの!? 憧れの先輩の所の下り!」

吹雪「よ、読んだよ?」

睦月「何か感じないの?」

吹雪「何か感じる……?」

吹雪「…………………」

吹雪「…………………………?」ハテナ

睦月(うわぁ……ハテナマークがたくさん頭に浮かんでるような顔してる……)


夕立「吹雪ちゃん、吹雪ちゃんの憧れの人って誰っぽい?」

吹雪「私の憧れの人……? 赤城さんだけど……」

睦月「それだよそれ! 吹雪ちゃんの憧れの人は赤城さんなのに……」

夕立「この艦娘の紹介サイトでは、吹雪ちゃんの憧れの人が扶桑さんと山城さんって人になってるっぽい」

吹雪「あー……そういう事……」


睦月「吹雪ちゃん! 一緒に提督に進言しに行こうよ!」

睦月「こういう間違いはよくないって思うし!」

夕立「進言するなら私もついていくっぽい」

吹雪「いや、その必要ないよ」

睦月「な、何で……!?」

吹雪「何でって……」






吹雪「この紹介分……私に向けられたものじゃないと思うから」

夕立「えっ」

睦月「私に向けられたものじゃない……? でもこれって吹雪ちゃんの紹介分だよね……?」

吹雪「確かに私の紹介分だけど……これ、別の鎮守府にいる私を参考にして書いたんじゃないかな」

睦月「べ、別の鎮守府にいる……」

夕立「吹雪ちゃん……っぽい?」

吹雪「うん」


吹雪「ねえ、睦月ちゃんの憧れの人って誰?」

睦月「え?」

吹雪「いいからいいから」

睦月「えっと……私の憧れの人は最上さん、かな……第四艦隊で一緒になった時、色々な事を教えてくれて……」

睦月「吹雪ちゃんや夕立ちゃんと別の艦隊になって落ち込んでる時も色々と気遣ってくれて……本当に色々お世話になったんだ」

睦月「それ以来、最上さんは私の憧れの人だよ」



吹雪「なるほど……それじゃあ夕立ちゃんの憧れの人は?」

夕立「え? えっと……私は断然神通さんっぽい! 演習の時、出撃の時、色々お世話になったっぽい!」

夕立「改二になってからも、射撃の訓練とかに嫌な顔一つせず付き合ってくれたっぽい!」

夕立「夕立もあんな人になりたいっぽい!」

吹雪「なるほど、二人共……ちゃんと憧れの人がいるんだね」


吹雪「それじゃあ、別の鎮守府にいる睦月ちゃんや夕立ちゃんの憧れの人も最上さんや神通さんなのかな?」

睦月「えっ……?」

夕立「そ、それは違うと思うっぽい……」

吹雪「そう、最上さんと神通さんが憧れの人な、睦月ちゃんと夕立ちゃんは……この鎮守府にしかいない」

吹雪「憧れの人って存在はさ、色々な出来事を通じて……初めて生まれる存在なんだって私は思う」

吹雪「同じ吹雪、いや……私でも……どんな事を経験してきたかによって、憧れの人は一人一人違うと思うんだ」


吹雪「例え同じ見た目や格好、同じ思考や能力を持ってたとしてもね」

吹雪「もしかしたらどこかの鎮守府では大和さんに憧れてる私もいるかもしれないし……」

吹雪「金剛さんに憧れてる私もいるかもしれないし……」

吹雪「きっとこの紹介分のモデルになった私も……扶桑さんと山城さんって人にたくさん助けられたんじゃないかな?」

吹雪「私が赤城さんに助けてもらったみたいに……」

睦月「………」

夕立「………」



吹雪「だから……こんなの全然気にする必要ないよ!」

吹雪「同じ吹雪でも私は私……!」

吹雪「私の憧れの人は……ずっとずっと赤城さんだから!」

吹雪「赤城さんの随伴艦になった今でも……ずっと!」

『駆逐艦吹雪、提督がお呼びだ! 至急執務室に来るように!』

吹雪「あ、呼ばれちゃった……睦月ちゃん、夕立ちゃん! それじゃあまた後で!!」タッタッタ

夕立「行っちゃったぽい」

睦月「そうだね……」


夕立「………」

夕立「ぽいぽいぽいっ!」ビリビリ

睦月「あれ、破いちゃうの?」

夕立「もうこれは必要ないっぽい!」

夕立「だって吹雪ちゃんの憧れの人は扶桑さんと山城さんじゃなくて……」

夕立「赤城さんっぽい!」ニコッ

睦月「……うん! そうだね!」ニコッ

睦月「それじゃあ……間宮さんの所で何か甘い物でも食べようか!」

夕立「それナイスアイディアっぽい!」

睦月「いこっ! 夕立ちゃん!」

夕立「ぽいっ!」

短いようですが、これにて完結
ありがとうございました!

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