[前編] 765プロ御一行様 南の島へ行く (73)

― とある南の島 浜辺(午後)―

美希「ミキが一番なのー!」

亜美「一番は亜美だよ!」

真美「あぁ! 二人ともズルいよー!!」

P「あまり遠くへ行くなよー!!」

亜美真美美希「はぁーい(なの)」

P「……はぁ。本当にわかってるのか?」


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やよい「うわぁ! 海がとっても綺麗!!」

伊織「気に入ってもらえてよかったわ」

やよい「この島ぜーんぶ、ホントに伊織ちゃん家のものなの!?」

伊織「にひひっ。そうよ」

やよい「あのコテージ?っていう建物も!?」

伊織「もちろん! まぁコテージというより試着室ね、あれは」

やよい「はわ~」 P「……おいおい。あの規模でか?」

伊織「えぇ。浜辺に隣接しているから着替えとかに便利でしょ?」ニコッ

――――
――

やよい「いっちに、さんし。にーに、さんし」



伊織「……ねぇ、ちょっと」ボソッ P「うん?」
 
伊織「本当にあのコテージに泊まるつもり?」

P「いいんじゃないか? みんなも気に入ったみたいだし」

伊織「新堂たちが待機している別荘に戻ればいいじゃない!?」

伊織「……まぁここから少し距離はあるけど」

真「二人で何こそこそ話してるんですか?」 伊織「――っ!?///」

伊織「ま、真が聞いても理解できない話よッ!!///」

真「――なっ!? それどういう意味だよ伊織ッ!?」

伊織「そのまんまの意味じゃないッ!?///」

やよい「あわわ! い、伊織ちゃん、真さん!」

P「はいはい。二人ともそれくらいにしとけって」

ガヤガヤ

響「あははっ。伊織も真も気合入ってるなー」

P「――おっ。高校生組もみんな来たな」

春香「プロデューサーさん!」 P「うん?」チラッ

春香「どうですか私たちの新しい水着!? ほらほら、千早ちゃんも上着脱いで」バッ

千早「――ちょ、ちょっと春香!?///」

響「ふふ~ん。どうだプロデューサー!? 可愛いでしょ!?」

雪歩「あぅ……///」

P「う、うん。み、みんな良く似合ってるぞ」

P(オフの時にみんなの水着姿を見るってのは小っ恥ずかしいんだよな///)

春香「本当ですか!? 一生懸命選んだ甲斐があったね千早ちゃん!」

千早「わ、私はほとんど春香の着せ替え人形になっていただけじゃない!?///」

春香「のワの」 千早「……くっ///」

P「あははっ。でも千早、その水着が似合っているのは本当だぞ?」

千早「――っ!?///」 

千早「は、春香。私、先に行ってるわ///」スタスタ 

春香「――えっ? ちょ、ちょっと待ってよ千早ちゃ~ん!」タタタッ

P「の、飲み物はクーラーボックスに入れておくから小まめに水分補給しろよー!」

春香「はぁーい!」

P「……」

P「な、なんか不味い事言ったかな?」



???「うふふっ。きっとプロデューサーさんに褒められて嬉しかったんですよ」

P「――えっ?」チラッ

律子「すみませんプロデューサー。遅くなりました」ドン

貴音「潮風が心地良いですね」ドドン

あずさ「本当に私たちだけなんですね~」ドタプーン

P「そ、そうみたいですね。あはは……」

雪歩(いつ見ても迫力満点ですぅ……)



小鳥「……」モジモジ 

響「どうしたんだピヨ子?」

小鳥「――えっ!?/// な、何かしら響ちゃん!?///」

響「パーカーのチャック全部閉じちゃって。暑くないのかそれ?」

小鳥「こ、これはそのダイエットが間に合わ……じゃなくてえーと!」 

貴音「ふふっ。杞憂ですよ小鳥嬢」

あずさ「そうですよ。早く小鳥さんの水着姿、プロデューサーさんに見せてあげましょう?」

P「――えっ!?///」

小鳥「うぅ……///」 P「え、えーと……」

小鳥「ぜ、絶対に笑わないで下さいね!///」 P「は、はいッ!」 

小鳥「……んっ///」

ジジジ

P(そう言って赤面した小鳥さんは白いパーカーのファスナーをゆっくり下ろし……)

小鳥「……うぅ///」パッ

P(俺の目の前で、水着姿を露わにした)

※ 参考画像
『シャイニーフェスタ BD』で画像検索!

P「……」



律子「鼻の下、伸 ば し 過 ぎ」ボソッ

P「――なっ!?///」 小鳥「~~~ッ!?///」

あずさ「うふふっ。あらあら」ニコッ

響「あ~ホントだ。自分たちの水着姿を見たときと反応が全然違うぞ……」

P「ち、違う! 小鳥さんの水着姿なんて今まで見る機会がなかったから少し驚いて!!」

あずさ「それじゃプロデューサーさんは私たちの水着姿を見ても、もう驚かないってことですか~?」

貴音「それはまこと、悲しきことです」

P「い、いや! そ、そういうわけじゃ……」

雪歩「ち、ちんちくりんな私は穴掘って埋まってきますぅ!」タタタッ

P「待て雪歩!? 俺の話を聞いてくれぇぇぇ!!」

響「えっちなプロデューサーなんかほっといて自分たちも行こ? 貴音」

貴音「ふふっ。えぇ、そうですね」

あずさ「さ~て、私も日焼け止め塗らないと♪」

律子「夕暮れ時になったらまたここに集合よー!!」



P「……」

P「おい律子」 律子「何ですか?」

P「なんで余計な事言うんだよ?」 律子「じ、自業自得ですよ!///」

P「――なっ!? 俺は立場上、顔に出ないよう頑張っているんだぞ!?///」

律子「これからはもっと頑張ってください!/// そんなことより……」

小鳥「……」

小鳥「……」

小鳥「うふ…」

小鳥「うふふふふっ……」ニタァ

小鳥(いろんな現場で修羅場?をくぐり抜けてきたあのプロデューサーさんが見惚れるってことはもしかして……)



小鳥(私もまだまだ捨てたもんじゃないッ!?)

律子「あのー小鳥さん、私の話聞いてますか?」 小鳥「――は、はいッ!?」ビクッ

小鳥「も、もちろんちゃんと聞いていますよッ!!」

律子「それじゃ一眼レフカメラとビデオカメラ、どちらにしますか?」

小鳥「――へっ? なんですかこれ?」

律子「ですから、私たちがこの旅行の思い出を記録するんですよ。社長もきっと喜ん――」

小鳥「是非、ビデオカメラでお願いしますッ!!」ガシッ 律子「!?」ビクッ

小鳥(はぁぁぁぁ!! まさか合法的にみんなの水着姿が撮影できるなんてぇぇぇ!!」

律子「……はぁ」

P「途中から心の声ダダ漏れですよ……」 

小鳥「みんなとの旅行がこんなに楽しいものだなんて……」

小鳥「本当にありがとうございます社長ぅぅぅぅ!!」


――――――
――――
――

― 765プロ事務所 ―

高木「……はくしょんッ!!」パチッ

善澤「おいおい。まさか夏風邪を引いたんじゃないだろうね?」

高木「それはないと思うんだが……。もしかしたら彼女たちが私の噂でもしているのかもしれないな。はははっ」

善澤「海で楽しんでいる頃だろうね。それはそうと、本当にその指しでいいのかな?」

高木「うん?」チラッ

善澤「王手飛車取り」パチッ 高木「!?」

高木「ま、待った! こ、これは今のくしゃみで――」

善澤「待ったは無しって言ったのは……」ニヤッ

高木「くぅ……」

善澤「はははっ。今夜は美味いタダ酒が飲めそうだな」ニコッ 


――――――
――――
――



後半はPサイドと小鳥サイドで展開していきます

[Pサイド]


― 浜辺 ―

P「さてと。それじゃいろいろと撮って回りますか……ん?」チラッ

真「くそぅ……。伊織のやつ、後で覚えてろよ」スタスタ

カシャ

真「――えっ?」 P「こんな南の島でムスッとした顔は似合わないぞ?」

真「あはは。プロデューサー、カメラマンに転職ですか?」

P「あぁこれか?」



~ 回想開始 ~

― 数分前

小鳥『本当にありがとうございます社長ぅぅぅぅ!!』



律子『それじゃ私はこっちを使いますね』

P『あー、その役は俺がやるよ』

律子『……』 

P『な、なんだよその目は……』

律子『えっち』ボソッ

P『馬鹿』バシッ 律子『いたっ』

律子『もう、何するんですかプロデューサー……』

P『折角水着を着てるんだから、律子もみんなと一緒に楽しんで来いって』

律子『えっ、でも……』

P『難しいことは言いっこなし。ほら、貸して』サッ

律子『そ、そんなこと言って、まさか本当にみんなの水着姿を堪能したいだけじゃないんですか!?///』

P『まぁ今日くらいは俺もそういうスタンスでいいんじゃないか?』ニコッ

律子『……』 P『……』

律子『えっち///』ボソッ P『うぐっ』

律子『……』 P『いやでもさ……』

律子『あぁもう! し、仕方がないですね!///』 P『!?』ビクッ

律子『今・回・だ・け! ですよ!!///』 P『わかってるって。助かるよ』ニコッ

律子『そのかわり……』 P『?』



律子『可愛く撮ってくださいね///』ニコッ



~ 回想終了 ~

P「あぁこれか? たまにはこういうのもいいだろ? あははっ」

真「そうですね! それじゃこんなカンジとか、、、」ニコッ

P「――おっ、いいね」

カシャ

真「どうでしたかプロデューサー? 今のポーズ可愛かったですかッ!?」

P「あぁ。オフの感じが出ていてよかったぞ」

真「へへっ///」

P「それに、その新しい水着も似合ってるじゃないか」

真「……もう。プロデューサーまでそういうこと言うんですか?」

P「えー」

真「ボクはもっと可愛い水着が着たかったんですよ!」

P「……あはは。なるほど」

真「……」キョロキョロ 

真「プロデューサー、耳貸して下さい」ボソッ P「うん?」



真「実はボク、この水着と一緒に買ったフリフリの可愛い水着も持ってきてるんですよ」

真「えへへ/// みんなには内緒ですよ?///」ニコッ

P「……あのな真。流石にオフの時まで俺はとやかく言わないぞ?」

真「はぁ……。そう話は簡単じゃ――そうだッ!!」 P「!?」ビクッ

真「ねぇプロデューサー! 今からこっそり着替えてくるので、ボクの可愛い水着姿を評価してくれませんか!?」

P「い、いやいやそれは!///」 真「……」

P「……」 真「ぷろでゅ~さ~」

P「……はぁ。わかったからウソ泣きは止めろって」 真「へへっ、やーりぃ!」ニコッ

真「あーでもここじゃ美希や雪歩に見つかっちゃうかも……」

P「それじゃ向こうの隅で落ち合うのはどうだ?」サッ

真「――あっ、いいですね! それじゃ30分後にあの場所で!」

P「了解」ニコッ

真「へへっ。それじゃコテージに戻ってこっそり着替えてきます!」ニコッ


――――――
――――
――

[小鳥サイド]


小鳥「えーと。〝高画質録画″ボタンは……」ポチッ

● REC

―― よし! これでばっちりね……あら?

雪歩『よっつよつ四つ葉のクローバー♪』ザクザク

―― 雪歩ちゃん。あんなに大きな穴を掘ってどうするのかしら……

あずさ『あの~、すみません小鳥さ~ん!』

―― あ、は~い!

―― どうかしましたかあずささん?

あずさ『――あら? 小鳥さん、撮影係になったんですか?』

―― はい! 不肖ながら私、音無小鳥が務めさせて頂きます!

あずさ『なんだか楽しそうですね~』

―― えへへ///

あずさ『――あっ。それはそうと、小鳥さんに一つお願いがありまして』

―― お願いですか?

あずさ『私の背中に日焼け止めを塗ってくれませんか?』

―― ぶふっ!?

あずさ『どうしても背中だけは一人じゃ塗れないので……』

―― ままま任せて下さい!!

あずさ『本当ですか? ありがとうございます。それじゃ早速……』ゴロン

―― そそそそれじゃ失礼しま……って、あれ?

あずさ『どうかしましたか?』

―― あずささん。これ、空っぽです……

あずさ『あら! どうしましょう……』



雪歩『あの、私のでも良かったら使いますか? コテージへ戻ればありますよ』


――――――
――――
――

― コテージ前(B棟) ―

―― 浜辺近くの林に囲まれたコテージだなんて。本当、素敵な場所よねー

雪歩『ふふっ。そうですね』

―― 雪歩ちゃんは春香ちゃんたちと一緒のコテージ?

雪歩『はい。私たち高校生組はこのB棟に宿泊します』

―― うふふっ。それじゃ真ちゃんと一つ屋根の下ってわけね。

雪歩『も、もう/// からかうのはやめて下さい小鳥さ――』

ガチャ

真『きゃっぴぴぴぴーん! みんなのアイドル、菊地真ちゃんなりよ~! まっこまこりーん』

―― ぶふっ!!

雪歩『  』

真『やっぱりこっちのポージングの方が可愛いかな……って、うわぁ~!! 雪歩!? それに小鳥さん!?』

雪歩『……』

―― い、今のちゃんと撮れたわよねッ!?

真『どうしてここへ――って、それよりも小鳥さん!! もしかして今の撮ってました!?』

―― ばっちりよ!

真『ビ、ビデオカメラは流石にダメですって!!/// 今すぐ消してくだ――』

雪歩『……』ガシッ 真『!?』

雪歩『……』ドン 真『――うわぁ!?』

―― えぇ!?/// べ、ベッドに押し倒したッ!?///

雪歩『っ!!』ガバッ 真『――ちょ、ちょっと雪歩ぉぉぉ!?///』

―― えぇぇぇぇ!!/// 何々どういうことッ!?///

雪歩『こんな水着を着た真ちゃんなんて誰も望んでないし、誰も得しないよ?』ガバッ

真『ま、待っ……わかったから!!/// わかったから水着脱がさないでってばぁ!!///』

―― あわわわわっ///


――――――
――――
――

[Pサイド]


― 浜辺 ―

P「真と約束した時間まで少し余裕があるな……」チラッ

  春香「行くよ~。そ~れッ!」ポン

  亜美「んっふっふ~。とうとう一子相伝の必殺技を使わねばならぬ時がきたか……」

  真美「――なっ!? まさかお主、あの技を!」

  亜美「今だッ! くらえぇぇ! ウルトラスーパーミラクルダイナ……あれ?」スカッ

P「ふふっ。良いオフショットが撮れそうだ」ニコッ

カシャ

千早「盗撮ですか?」 P「――なっ!?///」バッ

千早「冗談です。すみません」ニコッ

P「そ、そういう冗談はホント勘弁してくれ……」

千早「プロデューサーも何か飲みますか? クーラーボックスの中には……」ガサガサ

P「……なぁ。千早はみんなと一緒に遊ばないのか?」

千早「いえ。私は……」 P「……」

  やよい「あははっ!」

  亜美「もう! やよいっち笑いすぎだよッ!///」

  真美「いおり~ん! ボール取って~!」

  伊織「ちょっと! 優雅に波と戯れているんだから、もっとあっちでやりなさいよね!」

千早「〝今″は少し休憩しているだけです」 P「……」



P「そっか」ニコッ

――――
――

P「あ~生き返る」ゴクゴク

  亜美「ウルトラスーパーミラクルダイナミックアタック!!」バシン

  やよい「あー! もう亜美! 変なところに飛ばさないでよー」
  
  亜美「ありゃりゃ。ごめんねやよいっち~」

千早「ふふっ」ニコッ P「あははっ。何やっているんだよ亜美のやつ」

  
  真美「お前にその技はまだ早いと言ったではないか、この未熟者ッ!!」 

  亜美「ははぁ~。申し訳ありませんお師匠さま~」

  春香「あははっ。二人とも何者なの?」

千早「プロデューサー」 P「――うん? どうした?」

  やよい「春香さぁ~ん! 行きますよー!」

  春香「おっけー!」

  亜美「んっふっふ~」ニヤリ

千早「去年の私は、みんなと海だなんてあまり楽しいことだとは思いませんでした」 P「……」

  亜美「ウルトラスーパーミラクルダイナミックアタックマークⅡ!!」バシン

  やよい「もう亜美ッ!! それ禁止!!」

  亜美「うあうあ~。やよいっちが怒った~」

千早「でも……」 P「……」

コロコロ..

  春香「すみませんプロデューサーさぁ~ん!」

P「――おっ?」チラッ

  春香「そのボール取ってくださぁ~い!」

P「あーこれか」パッ

千早「……それじゃ私もそろそろ春香たちの所へ戻ります」 P「えっ」

千早「水分補給もしましたし。良ければボールも私が持っていきます」ニコッ

P「……」



P「あぁ。よろしく頼む」ニコッ

  春香「――あっ、千早ちゃん! 体調はもう大丈夫なの?」

  千早「えぇ。もう大丈夫よ」ニコッ

P「……」

カシャ

P「良い写真が撮れたよ、千早」



P(――って、やばい。そろそろ俺も真と約束した場所に行かないと)

真「プロデューサー」 P「――うわぁ!?」ビクッ

真「……」

P「ま、真!? 着替えてくるんじゃなかったのか?」ボソッ

真「……へへっ」ニコッ 

P(な、何だ? 真のやつ、目に覇気がないぞ……)

真「プロデューサー、ボク初めて実感しました」 P「へっ?」






真「人の夢って、やっぱり儚いんですね」ニコッ P「どうした真ッ!?」

美希「――あ、いたいた真クン! ねぇ今からミキたちと……」


――――――
――――
――

[小鳥サイド]


― 浜辺 ―

響『貴音ってば、いったいどこへ行ったんだ? 目を離すとすぐ――』スタスタ

真『響ッ!!』ガシッ 響『――うがぁ!?』ビクッ

真『今からボクとチームを組んで一緒にビーチバレーやらないかッ!?』

響『な、なんだ真か……。びっくりしたぞ……』

真『対戦相手は律子・美希チームだッ!』 

響『べ、別にいいけど……。どうした真? なんかギラついてないか?』

真『身体を動かしてなきゃやってられないんだよ! うぅ……』

  真『ボクと組むからには全力で勝ちに行くよ!!』 

  響『も、もちろんだぞ!!』

あずさ『うふふっ。みんな本当に楽しそうですね』

―― 真ちゃんにあんな顔で懇願されたら消すしかないわよね……

あずさ『はい?』

―― あ、いえ! 何でもないですッ! そ、それより日焼け止めはこんなカンジで大丈夫ですか!?

あずさ『ばっちりです! わざわざありがとうございます小鳥さん』

貴音『小鳥嬢』

―― あら貴音ちゃ……って、そのスイカはどうしたの?

貴音『先程、こてーじの調理場で見つけました』ニコッ

あずさ『あらあら。美味しそうなスイカね』

貴音『よろしければ、今から皆で西瓜割りをやりませんか?』

あずさ『うふふっ。賛成♪』

―― それじゃ一応、伊織ちゃんの承諾をもらってからやりましょう!

――――
――

―― 伊織ちゃんどこかしら?

  真美『いおり~ん! 勝手に真美の水鉄砲使わないでよー』

  伊織『こらぁぁぁ亜美待ちなさいぃぃぃ!!』ブシュー

  亜美『い、いおりんの顔にボールがぶつかったのは事故だってばぁ!』

  伊織『事故も何もあんたが無茶なアタックした所為でしょうが!』ブシュー

―― ぐふふふっ。これはまたいい絵が撮れ

やよい『あー!!』

―― ッ!?

やよい『小鳥さんもしかして、そのビデオカメラで伊織ちゃんたちを撮ってるんですか!?』

―― ちちち違うのよやよいちゃん私はただ

やよい『うっうー! 私のこともいーぱい撮ってください!』ニコッ

―― ~~~ッ!?///

やよい『――あ、でも』

―― だだだ大丈夫よ安心して!? 別にやましい気持ちなんてこれっぽっ

やよい『学校の水着姿なんて、ダメダメですよね……』

―― いいえッ!! 最っっ高よッ!!

やよい『本当ですかぁ!? それじゃどんどん撮ってください!!』ニコッ

―― はぁぁぁぁ!!///

―― そ、それじゃまず自己紹介からいきましょうかッ!?

やよい『――はわっ!? じ、自己紹介ですか!? どうして今さら……』

―― お名前はなんていうのッ!?

やよい『うぅ……/// な、名前は高槻やよいですぅ……///』

―― 歳はいくつ? 好きな食べ物は? それから私の事、小鳥おねえちゃんって呼ん

伊織『あっっっんたもいったい何してるのよッ!!』ブシュー

―― きゃっ!? つ、冷たッ!?

伊織『……覚悟は出来てるんでしょうね?』

―― い、伊織ちゃん!? こ、これは違うの! 私は……

伊織『――あら? こんな所にちょうどいい穴が掘ってあるじゃない』ガシッ

―― えっ!? えっ!? 嘘、ちょ、ちょっと待って伊織ちゃ



ピヨー!!


――――――
――――
――

[Pサイド]


  律子「美希、私にトスを!」

  美希「はいなの!」トン 律子「ナイスよ!」バシッ

  響「うがぁ~!」 真「――あっ!」 

  律子「よしっ!」 

  美希「わーい! 律子……さん流石なの!」 

  真「響、何やってるんだよ!!」 響「真こそ、律子に何でチャンス与えるのさ!?」

  律子「二人とも、ちゃんと力を合わせないと私たちには勝てないわよ?」ニコッ

カシャ

P「とりあえずこれで、文句を言われずに済むかな」ニコッ

――――
――

P「……」 小鳥「……えーと」

P「いい絵はたくさん撮れましたか?」 小鳥「そ、そうですね……」

P「……」 小鳥「あ、あの……」

P「ところで何で首から下、埋まってるんです?」 小鳥「うぅ……///」

P「……」 小鳥「こ、これはその……」

P「あ、なるほど。これが砂風呂ってやつか」ボソッ 小鳥「違いますよ……」

P「……」 小鳥「……」

P「小鳥さーん。目線こちらへお願いしまーす」カシャ 小鳥「~~~ッ!?///」

伊織「写真なんか撮ってないで、プロデューサーも向こうでみんなとスイカ食べてきなさいよ」スタスタ

P「えっ?」チラッ 小鳥「ひぃ!」

伊織「――あ、でも律子たちはまだ試合してるみたいだから全部食べちゃダメだからね」

P「伊織は食べないのか?」

伊織「私もスイカ割りをしてる最中だから後で食べるわ」ドン P「!?」

P(おいおい! スイカ割りって……)

小鳥「い、伊織ちゃん!? だ、だから私の横にスイカなんて置いたら危な――」

伊織「ホント……」ボソッ



伊織「〝活きがよくて美味しそうな″スイカだわ!!」ギロリ 小鳥「  」

P(り、律子がこの状況を知ったら度胆を抜かすだろうな……)


――――――
――――
――

― 夕暮れ時

律子「それじゃみんな。そろそろコテージに戻るわよー」

やよい「律子さん、なんだか学校の先生みたいです」ニコッ

律子「ふふっ。そうかしら? それより誰か小鳥さん見なか――」

亜美「えー」 真美「律っちゃんが学校の先生とか絶対やだよー」

美希「全くなの」 律子「なんですってぇぇぇ!!」



雪歩「ま、真ちゃん。あのね、さっきは……」

真「ううん雪歩。ボクは気にしてないよ」ニコッ

雪歩「ま、真ちゃんッ!」

真(一々落ち込んでいたら身が持たないよ……)



貴音「お腹が空きました……」

響「――なっ!? 自分や真たちの分のスイカもほとんど食べちゃったくせに!」

春香「あははっ。コテージに戻ったらすぐ夕飯の準備しないとね響ちゃん!」

千早「夕飯も楽しみだけど、お風呂にも入りたいわね」

あずさ「うふふっ。ここには絶景の露天風呂があるそうよ?」






P「なぁ伊織……」ボソッ 伊織「何よ?」 

P「宿泊する場所のことをやたら気にしていたが、まさか以前に話していた……」

伊織「にひひっ。みんなも協力してくれるんだからあんたも手伝いなさいよね!」

P「……はぁ」チラッ

  美希「何々? どうしたの真クン?」

  真「――うわぁ~!! み、美希には関係ない話だよッ!!」

  美希「むぅ! 真クン、ミキというものがいながら浮気は許さないの!」

  雪歩「……あはは。美希ちゃんおもしろーい」ニコッ

P「今夜は長い夜になりそうだな……」



P(――って、あれ? 俺の携帯がない?)



伊織(それにしても何かしら? 大事な事を忘れているような……)

















ザブーン










ザブーン

小鳥「……」

小鳥「……」

小鳥「……」

小鳥(もしかして私の存在……)



小鳥(忘れられている!?)

ザブーン 

小鳥「そ、それに気のせいかしら?」

ザブーン

小鳥「……」

ザブーン

小鳥「さざ波が以前より近づいているような……」

ザブーン

小鳥「……」

ザブーン

小鳥「――はっ! もしかしてこの状況って非常に不味いんじゃ!?」

カシャ

小鳥「――えっ!?」

P「あれからずっとそこにいたんですか小鳥さん……」

小鳥「ぷ、ぷろりゅ~さ~さぁぁぁん!!」



小鳥さんも無事に救助され、そして南の島の夕日が沈むけれども
楽しい慰安旅行はまだまだ続くようです。

お し ま い

前編(海編)は以上です
ありがとうございました

後編はコテージ編となる予定です

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