笑ゥせぇるすまん【R-18ver】 (102)


この世は老いも若きも
心の寂しい人ばかり
そんな皆様の心の隙間をお埋め致します
いえ、お金は一銭も頂きません
お客様が満足されれば
それが何よりの報酬で御座います
さて、今回のお客様は────


音何 鳴泰(おとか なりやす)

おーっほっほっほっほ…


────────────


女「ごめんなさい」

音何「ど、どうして…?」

女「だって音何くん、何だか女の子みたいで…どうしても男の人として見れないから…」

音何「」ガ-ン…

女「じゃあ」タタタタタッ

音何「………またかよぅ…」



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…………
………
……


────電車内────

ガタンゴトン ガタンゴトン…

音何「はぁ…」

音何「………ぅひっ!」ビクンッ

音何(………また痴漢だ…男の尻を触って何が楽しいんだよっ)

音何(どう見たって男なのに何でいつも────)


────だって音何くん、何だか女の子みたいで…どうしても男の人として見れないから…


音何(…)

音何(ああ、やっぱり…そう見えるんだ…)

音何(…くそぅ…僕だって好きでこんな女の子みたいな顔してるんけじゃないのに…っ!)ポロポロ

?「あー、ちょっとごめんなさいね」

音何「っ?」

?「痴漢されてますね?あなた。泣いてますし」

音何「えっ?えっ?な、何のことですか?」ゴシゴシッ

?「誤魔化しちゃいけません。私見てましたから。ねぇ、痴漢さん?この方のお尻を触っていましたよね?」

痴漢「なっ、何のことかね!?言い掛かりはやめたまえ!」サッ

?「そうでしたか。いや、これはこれは。私の早とちりだったようです。どうもすみません」

痴漢「ほ、本当だよ全く!無礼な男だ!」

音何「………」

?「ほっほっほ、でも痴漢行為など無くて何よりです。もし貴方が痴漢だったら “男性” を痴漢したことになりますからねぇ」

痴漢「なっ!?」

音何「────っ!?」

?「おやぁ?気付かれませんでしたか?この方は間違いなく男性ですよ。まあ、男性にしておくには勿体無い整った顔立ちではありますがね。ほっほっほ」

音何「………」

痴漢「わ、分かっていたとも!男だったと最初から、分かっていたぞ!」

?「何もそんなにムキにならずとも…。ああ駅に着きましたね。申し訳ありませんがこの方と一緒に降りるのでお先に失礼します」グイッ

音何「えっ、あ…ちょっと」ズルズル

痴漢「………ちっ、男だったのかよ…」ボソ

音何「………」

………………………
………………
………


────バー『魔の巣』────


?「いやはや、散々な目に遭いましたね」フキフキ

音何「………あの、貴方は」

?「ああ、申し遅れました。私はこういう者でして…」スッ←名刺

音何「『心の隙間を…お埋め致します』?…『喪黒福造』?………セールスマンさんですか」

喪黒「ええ、そうです。皆様のお悩みを解決させて頂くのが私の仕事でして」

音何「………悩み、ですか」フッ

喪黒「どうかされましたか?」

音何「果たして解決できるんですかね…こんな僕の悩みを」

喪黒「できますとも。音何さんが望まれるならどんな悩みでも解消致しますよ」

音何「っ!?ど、どうして僕の名前を」

喪黒「そんなことはどうだっていいんです。貴方の悩みはどんなものなんですか?」

音何「………男らしくなりたい…」ギリッ

喪黒「ほう…」

音何「今までずっとそうでした。ナヨナヨしてるとか女っぽいとか馬鹿にされて…好きな女の子にもそれでフラれて……」

喪黒「なるほど。それならばいっそ男の人を好きになってみたらどうでしょう。今は昔ほどそういった偏見は少なくなりましたし、男が男を好きになっても何も問題はありませんよ?」

音何「ばっ、馬鹿なこと言わないで下さい!何で僕が男なんかを好きにならなきゃいけないんですか!」

喪黒「それこそが差別ですよ。男には男の良い所もあるのです。貴方は口では男らしくありたいと言っていますが、それは裏返しの感情です」

音何「裏返し?」

喪黒「そぉです。貴方は決して男らしくありたいのではない。男らしい男に憧れているのです」

音何「あ、憧れてますよ!?裏返しでも何でもないじゃないですか!」

喪黒「いいえ。そういう意味ではありません。厚い胸板、丸太のような太い腕に “抱かれたい” という憧れです。貴方は “男らしくなりたい” のではなく、 “男らしい男が好き” なのです」

音何「なっ…!…い、いい加減にして下さい!何を根拠にそんな事をっ!」

喪黒「ほっほっほ、そんなムキになって怒らないで下さい。冗談ですよ、冗談」

音何「っ………タチの悪い冗談ですっ!」ドキドキ…

喪黒「おやぁ?顔が少し赤いですね?男性の逞しい身体を想像して興奮してしまいましたか?」

音何「っ!?…ち、違います!//// 貴方が僕を怒らせるからっ……」

喪黒「ああ、怒ってるからですか。てっきり私は…ほっほっほ。まぁいいでしょう。音何さんがそこまで仰るなら “男らしくなる所” へ連れて行ってあげますよ」

音何「男らしくなれる所…?そ、そんな所があるんですか?…あ、もしかして最近流行りのライ◯ップとかですか?でも僕はそんなお金は…」

喪黒「いいえ、お金は一切頂きません」

音何「…逆に、怪しいですね」

喪黒「別に構いませんよ。音何さんがそのまま “女性らしく” 生きていく事になっても私は痛くも痒くもないのですから。では契約は無しという事で………マスターおあいそ」ガタ…

音何「っ!待って!」

喪黒「…」

音何「…行ってみます」

喪黒「そうですか、それは良かった。では明日の夕方、◯◯駅の改札口でお待ち下さい。では…」ギィ……バタンッ

音何「………男らしくなれる所………」ドキドキ…

────◯◯駅────

喪黒「音何さん、どうもどうも。遅れてしまって申し訳ない」ノソノソ

音何「い、いえ…そんなに待ってないですから」

喪黒「では早速行きましょうか」ノソノソ

音何「は、はい…あの」スタスタ

喪黒「はいはい」ノソノソ

音何「どういった所なのか全く聞いてないので少し不安なのですが…」スタスタ

喪黒「貴方は私に言われた通りにすればいいのです。何処で何をするかなんて考えなくても男らしくなりたいと本気で思うなら私の指示に従って頂きます…へいタクシー」サッ

────キキィッ!

喪黒「さぁ、お乗り下さい。私は助手席へ乗ります」

音何「…はい」


………………………
………………
………


────???────

喪黒「さぁ着きました。これからここへ週三日、通って頂きます」

音何「…ここって………道場か何かですか?」

喪黒「そうです。ここは肉体鍛練を積む道場で、精神修行も兼ねています」

音何「…あの」

喪黒「何でしょう?」

音何「僕はその…格闘技とかズブの素人でして…痛いのとかは苦手で…」

喪黒「ほっほっほ、つくづく女の子っぽいですな」

音何「うっ…でも」

喪黒「御安心下さい。既に館長には話を通してあります。初めの三日間は見学のみで、次の週からは体捌きや素振りだけ。その次の週には組んで稽古をしますが、素人さんには怪我などさせないように配慮してあります」

音何「…そ、そうなんですか」

喪黒「ただ…いいですか?二つだけお約束して下さい」ズイ

音何「うっ、は…はい。何ですか?」

喪黒「必ず月火水の週三日だけにして下さい。それ以上の稽古は館長や他の誰に誘われても行ってはいけません」

音何「わ、分かりました。僕もそんなに通う気はありませんので…」

喪黒「それともう一つ」ズイ

音何「は、はい」ジリ

喪黒「初志貫徹を忘れないで下さい」

音何「初志貫徹…ですか」

喪黒「そぉです。貴方は男らしくなりたいと私に言ったのです。その気持ちを忘れてはいけません」

音何「わ、分かってます!そこは大丈夫です!」

喪黒「…では、後はお任せします。どうぞ行って下さい」

音何「えっ?も、喪黒さんも一緒に来てくれるんじゃ」

喪黒「私は紹介するまでが仕事です。いい大人が一人で何も出来ないわけでは無いでしょう?」

音何「それは…そうですけど………でも」

喪黒「終わりましたら昨日のバーまで来て下さい。では」バタンッ ブロロロ…

音何「あっ………ぅぅ…仕方ない…行くか」トボトボ

>>3
喪黒の名刺のキャッチコピーは『ココロのスキマ、お埋めします』な
読点の代わりにハートの場合もある

>>5
ご指摘ありがとうございます。以降気を付けます。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


………………………
………………
………

────道場────

音何「あ、あのぉ………」ガララ

館長「おお、君が新人研修の音何くんだね!」

音何「は、はいっ」ビクンッ

館長「がっはっは!話しに聞いた通り、可愛い顔をしてるわ!」

音何「うぐ…」

館長「しかしそんな華奢な体で週三日でどうにかするのはなぁ…」ジロジロ

音何「が、頑張りますからっ!」

館長「ふむ、まあ今日はとりあえず見学だ!そこに座ってしっかりと見ておくように!」

音何「はいっ!」

館長「よぉしお前ら!組み手を始めろ!!」

練習生達「「うすっ!!」」

音何(うわぁ…凄い熱気と迫力…)ドキドキ

………………………
………………
………

────バー《魔の巣》────


音何「凄い!凄いんですよ喪黒さん!聞いて下さい!」

喪黒「ほっほっほ、落ち着いて下さい。そんな大声出さなくても聞こえてますよ」

音何「ああいうの生で見るの初めてで…もう、カッコよくて!ああ、良いなあ…僕もいずれあんな風になれるかと思うと……えへへへっ」

喪黒「興奮冷めやらず、といったところですか。何よりです。ほっほっほ」

音何「本当にありがとうございます!あんな素敵な所を紹介して頂いて!」

喪黒「素敵な所…ですか」

音何「少なくとも僕にとってはとても素敵で刺激的な所です!…でも、本当にお金はいいんですか?月謝も喪黒さんから貰ってるって館長さんが言ってましたけど…」

喪黒「ええ、お金は一銭も頂きません。私は約束を守るのです。…それよりも音何さん」

音何「約束ですよね!?分かってます!男らしくなれるように頑張りますから!週三日の約束も守りますよ!!」

喪黒「ほっほっほ、先に言われてしまいましたね。その意気ですよ、音何さん…」

………………………
………………
………

二週目
────道場────


館長「よし、今日から音何くんにも実践してもらう!実践といっても戦うわけじゃない。まずは体捌きを覚えてもらう!────男っ!」

男「うすっ!」バッ

館長「音何くんに教えてやれ!」

男「うすっ!」ビシッ

音何(わぁ…ここで一番カッコいい男さんに教えてもらえるんだ……やった!)

男「えっとじゃあ、音何くん…だっけ?」キランッ

音何「は、はいっ!」

男「まずはそこに立って…軸足をこう────」キラキラ

音何「は、はいぃ…////」

音何(うわぁ…胸元が開いて……すごい、逞しい胸板…いいなぁ/// )ドキドキ…

男「ん?どうしたの?」

音何「い、いや!ななな、何でもないです!」

男「…ふふ、変な子だなぁ」

音何「あぅぅ…////」


────二時間後────


館長「よし!今日はここまで!」

練習生達「「うすっ!ありがとうございました!!」」

音何「あ………ありがとうございましたぁ」ヘトヘト…

男「あ、音何くん」

音何「はいっ?」

男「この後暇かな?」

音何「えっ…」ドキッ

男「いや、良かったら飲みにでも行こうかと思って…」

音何「い、いいですよ…」ドキドキドキドキ

男「良かった。じゃあ着替えたら門の外で待っててよ」

音何「あ、は…はい…////」ドキドキドキ

音何(あ、あれ…?何をドキドキしてんだろ……僕は………////)

────駅前バー────

男「音何くんはどうして道場に通おうと思ったの?」

音何「あ、えっとですね………」

男「………?」

音何(…あれ?何で言えないんだろ。男らしくなりたいって言えばいいだけなのに…)

男「音何くん?」

音何(…わ、分かった。恥ずかしいからだ。男なのに男らしくーなんて、何か変だもん…そうだよ。だから……)

男「おーい、音何くん」

音何「あ、は、はいっ!?」

男「どうしたの?」

音何「い、いえっ、何でもっ」

男「…ふぅん?」ズイ

音何「な、何ですか…////」ドキッ

男「音何くんって何か可愛いから弄りたくなっちゃうよな」

音何「かっ、かわ────////」ドキドキドキドキ

喪黒「お取込み中失礼」ズイ

音何「きゃあっ!!」ガタタッ

喪黒「『きゃあ』なんて悲鳴を上げてるところを見ると、逆に女に磨きがかかっているようですなぁ音何さん」

音何「うっ、そ、そんなことありません!それよりどうして喪黒さんがこんな所に!」ドッドッドッ

喪黒「いえいえ偶々ですよ、偶々。それで音何さん、そちらの方は?」

音何「あ、ああ、道場の練習生の男さんです」

男「…どうも」

喪黒「ははぁ練習生でしたか。これはどうも。しかし何ですな、こうしてお二人を見てると仲睦まじいカップルのようですなぁ」

音何「ブフゥッ!な、何言ってるんですか!そんなわけっ…!」

男「…」

喪黒「ですがあまり好ましくありません。音何さんの為にならないので今後男さんとプライベートで会うのは控えてもらいます」

音何「っ!?そ、そんな…!」

男「いや、ちょっと待てよ。俺と音何くんが何処で何をしようがあんたには関係無いだろ?」

喪黒「いいえ、あります。音何さんは私ととある約束をしているのです。それが破られてしまう可能性が大きくなってしまう」

男「だからって人のプライベートにまで踏み込むのはどうなんだ?おい…」ズイ

音何「お、男さんっ…暴力だけは」

男「……分かってるよ音何くん」

喪黒「………なるほど、分かりました。どうもお邪魔だったようですねぇ」

男「…」

喪黒「音何さん、別に男さんと親しくしても構いません。ただ、初志貫徹をお忘れなく………」

音何「……はい…分かってます」

喪黒「では…」ノソノソ

男「…何なんだ、あの薄気味悪い男は…」

音何「………」

男「さぁ、飲み直そうか、音何くん」

音何「え、ええ……」

三週目
────道場────


音何「あっ」ズル

男「────おっと」ガシッ

音何「っ////」ボッ

男「………大丈夫?音何くん」

音何「ははは…はいっ////」ドキドキドキドキ

音何(ああ…ど、どうしよう……顔が近いよぉ////)

男「無理しないで。音何くんの場合組み手といっても怪我したら元も子もないからね」キラキラ

音何「……あ、あの…もう、大丈夫です…から////」

男「あっ、ごめんごめん!男に抱き抱えられても気持ち悪いだけだよね!」パッ

音何「い、いえ!僕は別に…////」

男「え?」

音何「あ、な、何でもないですっ////」

音何(なにを言おうとしたんだ僕は////)

男「そろそろ稽古も終わりだね。今日も飲みに行かない?」

音何「えっ…でも………」

音何(………喪黒さんに言われたし…後で怒られるかもしれない…)

男「バレないよ」

音何「え?」

男「喪黒とかいう奴のこと気にしてんでしょ?」

音何「…」

男「じゃあさ、俺の家においでよ」

音何「…えっ!お、男さんのお家に?」

男「そっ。どう?いい考えだろ?」

音何「で、でも……」

男「大丈夫大丈夫、いくら音何くんが可愛くっても取って喰いやしないから!」

音何「っ!////」

男「それとも…… “食べて” ほしいかな?」

音何「ち、違いますっ////」

男「あはははっ!本当に女の子みたいな反応するんだね!真っ赤になって、可愛いなぁ!」

音何「〜〜〜〜〜っ////」

男「大丈夫だよ、喪黒にはバレないって。おいでよ」

音何「………わ、分かりました…//// 伺います////」

男「そうこなくっちゃ!じゃあ今日は道場のシャワー浴びていきなよ。お尻、よぉく洗っとかないとね」

音何「………え゛////」

男「あはははっ!冗談冗談!」

音何「も、もう!男さん!からかわないで下さいっ!////」

男「あはははは!」

音何(………本当に…もうっ//// 冗談でも言っていいことと悪いことがあるんだから……////)

音何(………)

音何(………一応、シャワー浴びた方がいいかな?…あ、汗かいたもんね…たくさん…)



────道場の外、窓────

喪黒「………………」

────男宅────

男「カンパーイ」

音何「か、乾杯…」チン

男「いやぁ、音何くんも中々スジが良いよ。日に日に上手くなってる」

音何「そ、そうですかね?」ハハ…

男「うん、上手くなってるよ。近い内に越されちゃうかもね」

音何「そ、そんな!男さんに敵うわけないじゃないですか!」

男「ははは、まぁ流石にね。簡単に越されるような鍛え方はしてないから」

音何「そうですよぉ。筋肉の作りだって全然違うし…」

男「お、じゃあちょっと脱いでみせてやる」ゴソゴソ

音何「えっ?えっ?」

男「ほら、どう?この腹筋」ムキムキッ

音何「う…わぁ……すごっ////」

男「ほら、触ってごらん」グイッ

音何「あっ…////………ほ、本当だ…硬い」ペタペタ

男「………音何くん」

音何「は、はい?」

男「君を好きになっていいかな?」

音何「はえっ!?////」ドキンッ

男「ごめん…変なこと言って」

音何「あっ、いや…その……//// ぼ、僕は男…ですから……あの、本当に…////」

男「男でも…好きになったんだ」

音何「あうぅ////…そ、そんな事言われても………その………////」

男「」グイッ

音何「あっ…男さ────んむぅ!?////」チュッ

男「音何くん…音何…っ」チュッ…チュッ…チュル

音何「んむ…ぁっ…//// ちょ…男さっ……ダメです、男同士でこんな………はむぅ…////」チュゥ…


………………………
………………
………


男「はぁ…はぁ…////」

音何「はぁ…ん////」トロ-ン…

音何(…キス…しちゃった………男さんと…しかもディープ…//// すごい甘い…エッチなチュー………////)

男「ね、今日は泊まっていきなよ」

音何「そ、それは流石に…明日も仕事だし………////」

男「今度から俺の家から通えば?一緒に住もうよ」

音何「だ、ダメですよそんな…」

男「音何くん…」クイッ

音何「ぁっ…もぅダメ…///…ん………♡」チュッ…

………………………
………………
………


音何(────どうして、こんな事になっちゃったんだっけ………?)チュッ…チュル…

男「はぁ…うっ…く////」ゾクゾク

音何(…僕は…どうして……こんな………)

音何「ん…ちゅる…//// んっんっ…////」チュポチュポ…

男「上手いね…本当に初めて?」

音何「…初めてに…決まってるじゃないですか………////…こんな…こと………はむ…あむ////」ジュルジュル…

男「美味しそうにしゃぶって…そんなにおちんちん好きなの?」

音何「っ//// そ、それは男さんがしゃぶってって言うから………////」

男「しゃぶってってお願いされたら誰のでもしゃぶっちゃうんだ?」

音何「そんな…意地悪言わないで……男さんの頼みだから…僕は…………あむ♡…んっ…ふ…♡」

音何(ああ…僕、こんな…おちんちんしゃぶって……興奮してる…。凄い…硬くて………太い……エッチなおちんちん…//// だめ…これしゃぶってたら頭がホワホワしてくる…。僕…男なのに…男なのに……)

男「ああっ!出るよ!音何っ────!」ビュルビュルッ!

音何「んぅっ!」ドクドクッ…ドク…

音何(…凄い…濃いのが…いっぱい………♡ ああ…だめぇ………この匂い…………好きになりそ………♡)ゴク…ゴクン

音何「…ぷはぁ……き、気持ち良かった………ですか?////」ハァ…ハァ…

男「ああ、気持ち良かったよ音何…」チュッ

音何「んっ♡…もう……////」

男「音何にもしてあげようか?」

音何「っ!ぼ、僕はいいですからっ!////」

男「…本当に?」

音何「ほ、本当ですっ。ダメです!絶対!」

男「じゃあ今日泊まって」

音何「えっ…でも、それは……」

男「喪黒のことなら心配しないでも大丈夫だよ…良いだろ?な?」

音何「……じゃ、じゃあ…今日だけ…ですよ?////」

男「よしっ、じゃあ一緒に風呂でも入ろうか!」

音何「ええっ!?そんなっ…////」

おお、ピエロさんが帰ってきた!

>>15
ただいまです。少し前から帰ってきてます。
また宜しくお願いします。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


四週目
────男宅────


音何(…結局ズルズルとここに住むことになっちゃった……)

音何(荷物まで持ち込んで…男さんの押し掛け女房みたい…)

音何(……なんか、どんどん男らしさから遠ざかっちゃってる気がする。………ううん、駄目だ。こんなんじゃ…)

音何(毎晩男さんのおちんちんしゃぶってるし…。でも…嫌じゃないのは何でかな…?男さんのおちんちんだからかな………?)

音何(だ、だめだめ!エッチな方向に考えちゃ!今日こそ言わなきゃ…)

男「音何、ただいまぁ」

音何「あ、おかえりなさい!男さんっ、あのね、僕────んむっ////」チュー

男「ん…はっ…音何……好きだよ…」チュッ…チュッ

音何「んぅ…ふぅ…んっ♡…男さ………んっ♡」チュル…レロォ……トロ-ン

音何(だめ…流されちゃう………♡ こんなキスされちゃったら………)

男「…ね、フェラお願い…」ギンギン

音何「……もう………男さん…////」スッ…

男「音何のこと考えるだけで…もう我慢出来なくなっちゃうんだよ…」

音何「…おっき…♡………あむ♡」

男「うあっ」ビクビクッ

音何(男さんの気持ちいいところ、全部覚えちゃった。…男さんが喜んでくれるなら……何でもできちゃう……)ペロペロ…チュル…

男「気持ちいいよ、音何…もっと…」

音何(………うん、僕でいっぱい気持ち良くなって………♡)チュパチュパ…

男「ぅぅぅっ」ビクビク

………………………
………………
………


音何「はい、ご飯できましたよー ♪ 」コト コト…

男「おおっ、今日もまた旨そうだね!」

音何「えへへ、料理は得意ですからねっ ♪ 」

男「なぁんかもうお嫁さんって感じだよな!」

音何「」ピシ…

男「…あ、いや、その…………ごめん」

音何「う、ううん……別に………」

音何(やっぱり…男らしくなれないのかな……僕は…)ズ-ン…ま

男「………そ、そうだ!もっと道場に通えばいいんじゃないかな!?」

音何「えっ?…でも、それは……」

男「聞いたよ、喪黒との約束だろ?大丈夫だって!分かりゃしないよ!それにバレたってさ、謝りゃいいじゃん!別に違約金とか発生しないんだろ?」

音何「そ、そうなの…かな?そんなことは言ってなかったと思う…けど………でも…」

男「大丈夫大丈夫!もしなんかあったら俺がぶっ飛ばしてあげるからさ!」

音何「だ、駄目だよ暴力はっ!」

男「あはははっ!嘘だって!そんな簡単に殴ったりしないよ!」

音何「もう…心配だよぉ…」

音何(……でも、確かに道場の回数増やせばもっと男らしくなれそうな気がする…)

音何(…少しくらいなら…いいかな?)

男「道場行く回数増えれば俺も音何と一緒に居られる時間が増えるし!そうなれば嬉しいな!」

音何「っ////」

音何「も、もう!………調子乗りなんだから………////」

男「な?良いだろ?」

音何「………うん、分かった。増やしてみるよ…」

男「やったー!」ダキッ

音何「ちょ、ちょっと男さん//// 大げさだよっ////」

音何(いいよね………ちょっとくらい……約束破っても……)

男「ねえ音何…」

音何「なんですか?」

男「今日こそ…良いだろ?」

音何「………////」

音何(…やっぱり…いつまでも口だけってわけにはいかないか………)

男「なぁ、音何…」サワ…

音何「あっ…////」ゾワゾワ

音何(お尻…そんな優しく撫でられたら…////)

男「音何…俺もう…」

音何(…僕も初めてだから怖いけど………男さんなら……)

音何「………ご、ご飯食べてから……なら………////」

男「本当にっ!?」

音何「うっ//// …ま、前向きに…考えます////」

男「よぉしっ!ちゃっちゃっと食うぞぉ!」ガツガツガツガツ

音何「あ、駄目だよぉ。よく噛んでたべないと………もうっ」クス

音何(可愛い…。僕はやっぱり…男さんが好き………)

音何(もうこの気持ちに、嘘をつけない…ずっと、男さんと一緒に居られたら………)

十週目
────道場────


音何(もう週5でやってるけど…喪黒さん全然来ない…)

音何(杞憂だったかな…)

音何(ああ、でも…男らしくなる為にって道場に多く通うようにしてたつもりだけど────)

男「せいっ!せいっ!」ビュンッ ビュンッ!

音何(………ふふ、男さん。やっぱりかっこいいなぁ♡)

音何(目的が変わっちゃった…。今は大好きな男さんのそばに居られるから僕はここに通ってるようなものかも…なんて ♪ )

音何(………今日もあの逞しい体で僕を………キャー♡)バタバタ

館長「こぉら音何!しっかり素振りせんか!!」

音何「ひっ!は、はい!ごめんなさい!」


………………………
………………
………


男「あー、終わった終わった!んじゃ帰ろうぜ、音何!」

音何「うんっ…あ」

男「ん?どうした?」

音何「ごめんなさい、ちょっと家から持って来たい荷物があるから…男さん先に帰ってて」

男「んー、分かった。じゃあ気を付けてな」

音何「うん、ありがとっ。行ってくるね」チュッ

男「あ、おい、するなら口だろぉー」

音何「帰ってから!お家で…ね♡」タタタタタッ

男「………やっぱ可愛い…」

────音何宅────


音何「えっと、新しい下着がこの辺に…あったあった ♪ それと着替えと〜…」

<ピンポーン

音何「えっ?あ、はーい!」タタタ…

音何「どなたですかぁ?」ガチャ

喪黒「こんばんはぁ」

音何「────っ!も………喪黒さ………」

喪黒「いやぁ〜今夜も暑いですなぁ、音何さん。あ、失礼しますよ」ノソノソ

音何「あ、ちょっと…今は部屋汚いんで────」

喪黒「お構いなく。おやぁ?随分とスッキリした部屋ですな。荷物がほとんど無い」

音何「っ!」

喪黒「いえね、ちょっと悪い噂を耳にしたもので…どっこいしょ」ギシ

音何「お、お茶でも、い、淹れましょうか?」カタカタ…

喪黒「お構いなく。それでね、音何さん。どうやら貴方が例の男さんの元に押し掛け女房してるという噂があるんですよ…」

音何「は、はは…押し掛け女房なんて………そんな、ぼぼ、僕は男ですよ?」カタカタ…

喪黒「そうですよねぇ。男が男を好きなるわけがない────と、貴方もそう仰ってたわけですし」

音何「あたた…あた、当たり前じゃないですか……」カタカタカタカタ…

喪黒「そうですか、それを聞いて安心しました。私もそんな筈は無いと思ってまして…強い意志で男らしくなりたいと仰られた音何さんに限って、そんな女性のように甲斐甲斐しくせっせと尽くすとは到底思えませんでしたが、一応確認をと思いましてね」

音何「き、杞憂でしたね…あはは」カタカタ…

喪黒「ところがぁ」ズイ

音何「っ…な、何です?」ビク

喪黒「これを見て下さい」ピラ

音何「…?請求書…?」

喪黒「道場からの請求金額が上がってるのです。どういうことか音何さんの口から説明して頂きたい」

音何「────っ!!」

喪黒「うっかりしてましたねぇ。貴方にお金がかからなくても私の方で処理しているのです。自分の事ばかりしか見えていない証拠ですなぁ?」

音何「あ…あ……」ガクガク ガクガク…

喪黒「男さんとの同棲も調査済みです。性的関係も結んでいる。…音何さん、貴方は私との約束を二つとも破った」スゥ…←人差し指を指す

音何「ぼ…僕は…その…」ズリ…ズリ…

喪黒「あまつさえ私が聞いた事に嘘をついた。あそこで本当のことを喋ってくれていたら少しは状況が変わっていたかもしれないのに…」ジリジリ…

音何「ち、違う…僕は…だから………」ガタガタ…

喪黒「いいえ違いません。貴方は結局男らしさよりも女らしさを選んだ。お尻の穴におちんぽ挿れられてヒーヒーとよがるのが貴方の本性だったのです…」ジリジリ

音何「やだ…違う…違う……やめて………言わないで………」ガタガタ

喪黒「だから言ったでしょう?私が初めに言ったことを忘れてしまいましたか?ならばもう一度言いましょう。『貴方は “男らしくなりたい” のではなく、 “男らしい男が好き” なのです』」ジリジリ

音何「違うっ………違う………」ガタガタ

喪黒「 “女らしい男” としてこれから生きていくのです。貴方は男らしくなりたいわけじゃない。おちんぽが好きな淫乱な男の娘なんです。ケツ穴アクメ大好きな淫乱男の娘なのです────」ジリジリ

音何「やめて…やだ………やめ────」

喪黒「どーーーーんっ!!」

男の娘「キャーーーーーッ!!!」


────魔の巣────

カランカラン…

男「野郎…ここに居やがったか!!」

喪黒「ほっほっほ…男さんではないですか。どうされましたか?」

男「しらばっくれてんじゃねぇ!!俺の音何を攫ったのはてめえだろ!!」グイッ

喪黒「穏やかではないですね。音何さんは “あるべき姿” となって平穏に暮らしていますよ」

男「ああ!?どこだよ!音何はどこに居るんだ!」

喪黒「分かりました。そこまで言うならご案内しましょう…」


………………………
………………
………


喪黒「ここです」

男「…高級ビジネスホテル…?何であいつがこんな所で…」

喪黒「さあ、行きますよ。ここの60階に “彼女” は居ます」ノソノソ

男「あ、おい、待てよ」タタタタタッ


………………………
………………
………


喪黒「着きました。今夜は少な目のパーティーなので15人ほどでしょうか。こちらがパーティー券なので御自由にどうぞ」ギィ…

男「…ここに…音何が────っ!!?」ダダッ


音何「んむっ♡ はあっ♡………おちんぽ…おちんぽ良いよぉ♡ もっと…もっとズボズボしてだ♡ 音何のケツ穴ズボズボって………きゃうん♡」

中年「ああ音何ちゃん、良いよ!ケツまんこよく締まるよぉ!」パンパンパンパンッ

音何「あっ、凄っ…♡ おじさん激しっ♡ ああああっ…らめぇ♡ もう、もう…おちんぽだけ♡ おちんぽだけでいいのぉ♡ おちんぽあれば何にもいらないろぉ♡」

デブ中年「ほぉら、音何ちゃん。大好きなおちんぽがまた来たよぉ?」ボロ-ン

音何「…あはぁ♡ また来たぁ♡ ね、舐めていい?しゃぶっていい?ダメって言ってもしゃぶるんだからぁ♡………あむぅ♡ んっんっ♡」ジュポジュポッ

デブ中年「おほほー!音何ちゃんの口まんこもサイコー!」

音何「んふっ♡…あ〜…もうこんなにおっきくしてぇ♡………そんなに良かったぁ?僕のお口…ふふふ…♡…あんっ、ガマン汁いっぱい…勿体無い♡ 」ジュルジュル…

男「音何……おと…か…」ガクガク…

音何「んっあんっ♡ あっあっ、お尻めくれちゃう♡ はんっ、アッ…あ、アクメくるぅ♡ ケツアクメしちゃう♡ あはっ、ね、僕のおちんぽもぉ…誰かしゃぶってぇ♡ 皆…もっと………僕を虐めてぇ♡」

男「音何ぁああああっ!!うわぁああああ────────」



………………………
………………
………


喪黒「元々素質があったとはいえ、とんでもない変わりようですな」クル

喪黒「あの時正直に言ってくれさえすれば…少なくとも中年親父達の慰み者とならずに済んだというのに」ノソノソ

喪黒「…いや、あれがもしかしたら一番幸せなのかもしれません。彼女にとっては」ノソノソ

喪黒「意地を張らずに素直に生きるのは、中々に難しいようですが」ノソノソ

喪黒「人間の心の闇というのは、深いものですなぁ………」ノソノソ

喪黒「おーっほっほっほっほ…」




第1話 『男の娘の決心』 完

原作で喪黒に勝った奴っているの?


>>23
記憶にありませんね。
喪黒の温情的な解決はあった気がしますが…。

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira083614.jpg


さて、第2話はまだ決めてません。
どんな性癖を持ってる人がいいか…。
良ければ皆さんの意見を参考に書いていこうかと思います。
ただ、主となる別のものも書いてるのでこっちは適当に進ませます。
更新が遅れる、或いはこのままフェードアウトもあり得るかもしれません。
でも出来れば続けたい。せめて10話くらいは書かないとカッコつかない。

ということで、どんな “お客様” を読みたいか、皆さんの意見を聞かせて頂けたら幸いです。
宜しくお願いします。

うっかりピエロ生きとったんかワレ


>>26

さて?
私は『笑ゥピエロ』であって『うっかりピエロ』ではありません。

でも────私は生きてます。
ご心配おかけしました。

ふたなりのお客様なんてどうでしょう

ホモピエロォ!エロばっか書いてんじゃねぇぞ!
強い娘がヤられるのっていいよね


>>28

“ふたなり” ですか。
ふむ…ちょっと保留で。


>>29

なんと人聞きの悪い。
私はエロばっか書いてるわけではありません。
エロしか書けないのです。あとホモって言うなって何度も言ってんだろがこのクソ虫様めがっ!

強い娘ですか…良いですね、それ。
男を舐めきった強い娘がコテンパンっていうのはそそりますじゅるり。
それ行きましょうか。


>>30
保留か……未知の快感に悶えるのって良いじゃないか


>>32

未知の快楽というのも良いですね。
ただふたなりをどう展開させるてどうオチを付けるかが悩みどころなので、一時保留とさせて下さい。

相変わらずホモピエロで安心した


>>36

ホモって言うなと何度も………
そんなにアナルがん突きされたいのですか?
それともイマラ味わわせてやりましょうか?
喉奥まで突っ込んで鼻でしか呼吸できなくて涙浮かべて嗚咽を漏らしながら許しを懇願しようとも延々とイマラ地獄を味わわせて喉奥に精液を流し込まれる感覚を経験させましょうか?
ノンケでも遠慮なく食いますよ?ん?どうなの?

────でも私はそんなことしません。
優しいですし、何よりホモじゃありませんから。
でもあなたがどうしてもっていうならやぶさかでもありません。
どうぞしゃぶっていただいて結構。

どうかTSネタで一つ

この世は老いも若きも
心の寂しい人ばかり
そんな皆様の心の隙間をお埋め致します
いえ、お金は一銭も頂きません
お客様が満足されれば
それが何よりの報酬で御座います
さて、今回のお客様は────


津世木 奈遠(つよき なおん)


おーっほっほっほっほ…

────高校────

奈遠「あー、イライラすんなぁっ…」クチャクチャ…

ギャル「おー、ナオー。どしたのー?」

奈遠「あん?…何だ、ギャルかよ」クチャクチャ…

ギャル「相変わらずイライラしてんねーww なに?生理?」

奈遠「…ちっ、うっせーなぁ…」スクッ

ギャル「なに、どこ行くの?うちも行くー」

奈遠「一人になりてぇんだっつの。付いてくんなよ」クチャクチャ…

ギャル「連れないなぁー、ナオはうちが居なかったら誰も友達いないんだぞー?うちが居なくなってもいいのかー?」

奈遠「ふん…………別に頼んでねーから…」スタスタスタ

ギャル「ちょっとおー、ナオー!……ったく、いつまで経っても一匹狼気取りなんだかんなぁー…」

ギャル「………はあー、暇過ぎて死にそう。男でも欲しいわー…」

────繁華街────


奈遠「………くそっ…」スタスタスタ

奈遠「イライラする…」スタスタスタ

奈遠「何か面白れぇこと転がってねぇかなぁ………」スタスタスタ

奈遠「………ん?」

中年男「…」

奈遠(…ふぅん)スタスタスタ

奈遠「ねぇ、おじさん」

中年男「え?わ、私かね?」

奈遠「そっ。今暇?」クチャクチャ…

中年男「いや、もう帰る所だが…」

奈遠「ふぅん…あのさ、お小遣いくんない?」クチャクチャ…

中年男「へっ?そ、それは…援交とか…そういう…?」

奈遠「ぶはっww」

中年男「っ?」

奈遠「なわけねぇだろww 馬鹿かあんたww 自分の顔を鏡で見たことあんのかよブサイクデブっwww」

中年男「────っ!な、何なんだね君は一体!それなら何故小遣いなんて」

奈遠「あっ?黙って金出せっつってんの…そんくらい分かんねぇの?」

中年男「き、君ねぇっ────」

奈遠「っ」ヒュッ

バキッ!!

中年男「ぐあっ!」バタッ

奈遠「あー、別に金出さなくても別にいいよ。暇潰しで殴らせてくれんならね。っつか、そっちの方がいいわあたし的に…」ボキボキ…ボキボキ…

中年男「ひっ────ま、待て、やめろ」ジリジリ…

奈遠「っつかさ、あんたみたいなゴミが何で生きてるわけ?どうせ安月給のリーマンなんだろ?偉そうに社会に貢献してまーすって顔してさ。んでうちらを見下してニホンのショウライが不安だ…とかさ」ゲシッゲシッ

中年男「ぐあっ!や、やめろ…やめっ…」

奈遠「あんたなんかどうせ社会の歯車の一つだろーがよ!代わりはいくらでもいるんだろ!?なあ!うじうじうじうじしやがって…てめぇみてぇな男が一番イラつくんだよ!」ゲシッゲシッ!

中年男「うぐぅっ…!」

奈遠「死ねよ、害虫」ペッ

中年男「うう…」ピチャッ

奈遠「おら、とっとと財布出せっての」ゴソゴソ

中年男「くっ、やめろ…」

奈遠「おー、けっこーあるじゃんオッさんww これは授業料として貰っといてやっからさwww」

中年男「やめ…それは息子の……」

奈遠「息子の?なに?何か買ってやるの?この金で?www 大丈夫大丈夫www 息子のだろ?金玉ぶら下げてるような奴には皆エロ本でも買ってやればオッケーだってwwww どうせ暇潰しにシコってんだろ?男なんてよww あたしの方がこの金有効活用出来るって!www」ケラケラケラ

中年男「た、頼む…返して…」

奈遠「残念 ♪ ばいばぁいwww」

中年男「ううう…っ」

────路地裏────


奈遠「あー、やべ。バッグ買ったら一気に無くなっちった…。またオヤジでも狩るかなぁ…」クチャクチャ

??「おやぁ?こんな所に財布が落ちてる…」

奈遠「!?」クルッ

??「いけませんねぇ…どれどれ?…ううむ、これは…」

奈遠「おいおっさん!人の財布勝手に見てんじゃねぇよ!!」

??「いえ、これはここに落ちていたもので…貴女の財布でしたか?」ズイ

奈遠(うげ…!なんだこのオヤジ……キモっ!稀に見るキモさなんだけどっ)

??「いやしかし、こんな茶色の地味な長財布はどう見ても男性のもののようです……これは交番にでも届けましょう。そうしましょう。では失礼」クルッ

奈遠「あ、おい待てよ!それあたしのだっつぅの!」パシッ

??「そんなひったくるように取らないでも…。本当に貴女の物で間違いないのですね?」ズイ

奈遠「ほ、本当だっつの!」

??「ほんとうにぃ…?」ジ-

奈遠(うっ…何なんだコイツ……心を見透かすような目しやがって…!)

奈遠「あ、当たり前だろ!あたしのだよ!」

??「……そうでしたか。それなら良いのです。私は “嘘をつく人” と “約束を破る人” がどうも嫌いなので、ついしつこく聞いてしまう癖がありまして。どうも失礼しました…それでは」クルッ

奈遠「………ちょっと待てよ」

??「はい?何でしょう?」クルッ

奈遠「おっさんさ、デカいバッグ持ってんね。何入ってんの?それ」クチャクチャ

??「おやおや、私のバッグの中身が気になるのですか?奇特な方ですなぁ」

奈遠「ちっ、いちいちうるせぇな。黙って金出せよ…」クチャクチャ

??「なるほど………おいくら御入用ですか?」

奈遠「あん?…お前さ、百万っつったら百万くれんの?そのバッグはキャッシュディスペンサーか?いいからとっとと────」

??「百万円。お安い御用です。はい、どうぞ」ズイ

奈遠「────っ!?」ズシ…

奈遠「…な、何なんだ………これ…。お前………闇の…金貸しか何かか?」ゴクリ…

??「いえいえいえ、とんでもありません。私はただのセールスマンでして………こういう者です」つ《名刺》

奈遠「…『ココロのスキマ♡お埋めします』…喪黒福造?…ただのリーマンか?」

喪黒「ほっほっほ、まあそのような者です。心に溜まった不満、願望、ストレス、欲望、無気力感などなど、お客様のお悩みを少しでも解消させていただけるようお手伝いをさせてもらっているのです」

奈遠「……ふぅん…よく分かんねえけど…。ま、あんたが “そっち系” とか “ヤバイ系” の奴じゃないなら別にいんだけどさ」

喪黒「んん〜〜?…どうやら貴女も随分と深い闇を抱えてらっしゃるようで?」ズイ

奈遠「ね、ねぇよ!キモい顔寄せんな!」

喪黒「そうでしたか、それはそれは良かった」

奈遠「…んじゃ、この金は遠慮なく貰うわ。素直に金出してくれたからあんたは殴らねぇでやんよww」

喪黒「ええ、またどうぞ…。私はいつもこの辺りを歩いてますので」

奈遠「………」スタスタスタ

奈遠(……ぷくくく、ラッキー続き ♪ 財布とATMゲットーww)

────翌日 高校────


ギャル「おっすナオー」

奈遠「よぉ」クチャクチャ

ギャル「って、ちょっと!それ『ヘルメス』じゃね!?何!?パチモン!?」

奈遠「ホンモンだっつのwww」

ギャル「ウリ(売春)で買ったん!?」

奈遠「ターコ、教えねぇって」

ギャル「っつぅかそれ…うわぁ…良いなぁ」

奈遠「そんなに欲しいならくれてやるよww」ポイ

ギャル「えっ?うそ、マジ?」

奈遠「…まあ、またいつでも買えるかんなw そんなもんwww」

ギャル「…あんた、ヤバイことに手ぇ出してね?」

奈遠「ねぇってwww 私がそんな馬鹿に見えっかよwww」

ギャル「………そう、だよね。じゃあこれ、本当に貰っちゃうけど」

奈遠「持ってけ持ってけwww」

ギャル「もしウリならうちにも紹介してよ。エンコーだと最近アブない奴多くてさ」

奈遠「だからウリじゃねえって。…さて、行くかなぁ」

ギャル「あ、うちも行くよ!バッグ貰ったし、パフェでも奢────」

奈遠「パフェエ?」

ギャル「え?…う、うん」

奈遠「いらね」フン

ギャル「え?」

奈遠「じゃ」スタスタスタ

ギャル「あ、ちょっと奈遠!」

奈遠「あん?」クルッ

ギャル「男でもできた?そんなら紹介してちょっ☆」キャピッ

奈遠「……ばーか、私に男なんていらねっての」

ギャル「………だよねー…あんた男嫌いだもんねー」

奈遠「ふん」スタスタスタ

ギャル「………」

ギャル(そうだ。このヘルメスのバッグ、いくら位だっけ…)ポチポチ

ギャル「………75万!!」ブクブク

────路地裏────


奈遠「………」

喪黒「」ノソノソ

奈遠「よぉ、おっさん」

喪黒「おや、これはこれは昨日の────…」

奈遠「…奈緒」

喪黒「奈緒さんでしたか。お名前を伺ってなかったもので、失礼しました」

奈遠「どうでもいいよ。そんなことより」

喪黒「また御入用ですか?いかほどで?」

奈遠「そ、そうだな。今日は三百くらいあれば────」

喪黒「はい、どうぞ」ズイ

奈遠「っ!!」

奈緒(やっぱそうだ。こいつ…金の成る木だ!)

奈遠「じゃ、じゃあ遠慮なく貰うぜ…」

喪黒「あっと、その前に」スッ

奈遠「あっ………な、何だよ。さっさと渡せっての」

喪黒「条件があります」ズイ

奈遠「じょ、条件?…まさか、その金で私を買うってのか?」

喪黒「とんでもない。見たところ貴女は女子高校生でしょう?そんな真似私にはできません」

奈遠「まあ条件なんて関係ねぇけどな。この場であんたを殴って無理やりぶんどればいいだけで────」

喪黒「それでも構いませんよ」

奈遠「あ?出来ねぇと思ってんのか?」

喪黒「いえいえ、そういう挑発的な意味ではなく。貴女は散々人を…いえ、主に中年男性殴り、お金を奪い取って生活してきたようですからねぇ」

奈遠「っ!?………何で…お前がそんなこと…。まあ、どうでもいいや。知ってるなら話は早いし。殴ってその金を…」

喪黒「ほっほっほ。どうぞお好きに」

奈遠「言われなくても────」ヒュッ

喪黒「ただしぃ?」ズイ

奈遠「っ!?」ビタッ

喪黒「私はもう二度とここには来ません。従って貴女は二度と私からお金を受け取ることが出来なくなります。たかが “三百万ぽっち” のお金で宜しいのですか?今後の事を考えれば、五百万、一千万、一億…といったお金をふいにしていいと言うならどうぞ、お殴りなさい」

奈遠「い、一億……」

喪黒「どうしました?さあ、お殴りなさい。その振り上げた拳を私の顔面に叩きつけるのです」ズイ

奈遠「………くっ………あんたの条件って…何だよ」

喪黒「賢い選択です。条件は至極簡単です。私以外の人からお金を貰わないこと」

奈遠「…は?」

喪黒「アルバイトも含め、おこずかいから強奪という犯罪行為も対象です。どの様な手段でも、売買によって発生する “釣り銭” 以外の金銭の受け取りは禁止とします。それと “物品” を受け取るのも、食事を奢られるのもいけません」

奈遠「バイトもしてねぇし、あんたからデカい金貰えんならこずかいなんて別に要らねぇし……誰かから物を貰うようなこともねぇからな」

喪黒「結構。それともう一つ」

奈遠「何だよ」

喪黒「お金を他者の為に使うことも禁じます。お金を直接渡すことは勿論、食事代を奢ることも許しません。誕生日やクリスマスのプレゼントを渡すこともいけません。」

奈遠「つまり金・物を誰にも貰ったりあげたりすんのは駄目ってことな?飯を奢ることも、奢られることも」

喪黒「そう、いけません。最後に」

奈遠「まだあんのかよ」

喪黒「貯金をしてはいけません」

奈遠「はっ、貯金なんかしたことねぇしwww」

喪黒「渡したお金は一週間以内に必ず使い切って頂きます。現金を金や貴金属類などに変えて取っておくのも駄目です」

奈遠「………ちょっと待てよ?」

喪黒「何でしょう?」

奈遠「例えば一億貰ったら一週間以内に使い切るなんてできねぇかも…」

喪黒「使い切れる額を私から貰えばいいのでは?一億一気に貰わずとも、仮に週一回、五百万貰えば年収に換算すると二億四千万円の収入になりますよ?」

奈遠「に、二億……」ゴクリ…

喪黒「約束事は以上です」

奈遠「…分かった。貯金なんかしないで使い切ってみせるよ…」

喪黒「結構です。いいですか?貴女に渡すこのお金は私のお金です。貸すのではなく、差し上げる。ただこのお金が貴女の元へ行っても、全てが貴女のモノになるわけではありません。言い換えるなら貴女は“私とのルールを守る” という “労働” を課せられ、その対価として私が貴女に “賃金” を払うのです」

奈遠「お、おう…」

喪黒「…いいですね?約束は守ってもらいますよ?」ズイ

奈遠「わ、分かったっつの!あんたの顔、なんか人間離れしてて怖ぇんだよ!」

喪黒「ほっほっほ、この顔は生まれつきでして」

奈遠「生まれた時からそのにやけ面だったのかよ…キモ過ぎるだろ…」

喪黒「ではどうぞ。お約束の三百万です」ズイ

奈遠「…も、貰うわ」ズシ…

喪黒「」ジィー

奈遠「な、何見てんだよ…」

喪黒「いえ、そのお金がどんなお金か…貴女は気にならないのですか?」

奈遠「は?どういう意味?金は金だろ?」

喪黒「いえいえ、普通は気になりませんか?そのお金は若いサラリーマンの年収ほどなのです。条件付きとはいえ、簡単に渡されて不審に思わないのですか?例えば私がどのようにしてそのお金を工面したかとか…」

奈遠「あんたがどんな方法でこの金を手に入れたかなんて私に興味無い。真面目に稼いだ金だろうと、強盗して手に入れた金だろうと、三百万は三百万だろ?」

喪黒「確かに仰る通り」

奈遠「次も頼むわ…」

喪黒「ええ、分かりました」

奈遠「じゃ」

喪黒「ああ、津世木さん」

奈遠「あん?」

喪黒「昨日の財布、本当は貴女のではなかったでしょう?」

奈遠「………ふん、騙されないよ」

喪黒「…というと?」

奈遠「私にここで嘘をつかせてこの金を戻すつもりだろ?…………ふふふ、そうさ。あれは私の財布じゃない」

喪黒「………」

奈遠「残念だったね。それじゃこの金は貰ってくから…また用意しとけよ」スタスタスタ

喪黒「………」

奈遠「………………」スタスタスタ

奈遠(────あれ?…私、あいつに苗字教えたっけ?)

三百万はすぐに消えた。
まず奈遠がしたことは家を出たこと。
喪黒の協力を得て、渋谷の高級マンション(5LDK)を一括購入。
当然三百万で足りるはずもなく、喪黒から七千五百万の追加分を貰った。
好みの家財道具を買い揃えるには準備金が全く足りず、奈遠は一週間も待たずに再び喪黒から五百万をせしめた。
とても高校生とは思えないほどの散財っぷりである。
土地家屋といったモノは喪黒の言うルール、貯金(預金や貴金属類への交換)には当たらないことなども確認済みの上での購入であった。
不動産関係の所謂抵当権などの知識を奈遠は持っていないであろう…と、喪黒は侮ったのか。それとも………。
いずれにしても見事なまでに奈遠は湯水の如く湧く金を使い果たしていった。勿論、喪黒との約束事を破ることなく────………
そして一ヶ月が経とうとしていた。



────ホストクラブ────


奈遠「よぉしシュウ!ドンペリだ!ドンペリ!」

シュウ「マジスカ!?奈遠ちゃん!」

奈遠「あったりめぇだろ!?しかも金だ金!!金ドン(八十万)持ってこいやぁ!!www」

シュウ「き、金ドン入りまぁす!」
────はぁい!!←モブホスト

シュウ「ま、マイクマイク!はよっ!」

シュウ「あっあー…ゴホンゴホンッ」

奈遠「早くドンペリコールしろやwww」

シュウ「……今宵今晩貴女と出逢えた幸運に感謝します…」キリッ
────ヒューヒュー!!

シュウ「集まれ!!放たれしホストども!」
────はぁい!!

シュウ「せーのっ」

シュウ「貴女の為に!」
────捧げます!!

シュウ「連日連夜!」
────祈ります!!

シュウ「今夜はトコトン!」
────騒ぎます!!

シュウ「貴女のハートを!」
────燃やします!!

シュウ「せいっ!せいっ!せいっ!せいっ!」
────はいっはいっはいっはいっ!

シュウ「今宵の神輿は貴女様!」
────わっしょいわっしょい女神様!

シュウ「天の岩戸より出てきた貴女は!」
────アマテラス!うーアマテラス!

シュウ「昂ぶる黄金ドンペリニョン!!」
────白ドンピンドン差し置いて!

シュウ「そしたらいくぜっ!せーのっ!」
────いただきまーす!!

ワーワー!!
パチパチパチパチパチパチ!!

奈遠「あはははっ!お疲れぇ!」パンパンパン…

シュウ「いやぁ、まさか…金ドン入れてくれるなんて思わなかったよ…」ハァ…ハァ…

奈遠「あはは!あんなんいつだって入れてやるってのwww」

シュウ「ははは…え?マジで?」

奈遠「八十万っしょ?安過ぎるってのwww」

シュウ(ま…マジかこの女……太客じゃねぇか!!ぜってえ逃さねえぞ!)

奈遠「はー、笑った笑ったww じゃ、帰るから会計ね」

シュウ「な、なぁ奈遠ちゃん」

奈遠「あん?なによ」

シュウ「今日はアフター行かない?君と二人きりになりたいんだ…」キリッ

奈遠「あー、そういうのいいから」

シュウ「え…」

奈遠「ってか教えといてあげるよ。…私は男なんて大っ嫌いなんだよ!」ベッ

シュウ「うっ!」ピチャッ

奈遠「暇つぶしだよ暇つぶし。やっぱ男ってどうしようもねぇ馬鹿だって確認しにきただけ?みたいな。じゃ、バイバーイ」スタスタスタ

シュウ「そ、そんな………」

────奈遠宅────


奈遠「あー、疲れた」ドサッ

使用人「お、お帰りなさいませ……」コソコソ

奈遠「………おい」

使用人「は、はいっ!」

奈遠「あんたさ、いくつだっけ?」

使用人「ぼ、ぼぼ、僕の年ですか?じゅ、15歳…です…」プルプル…

奈遠「私と一つ違いだっけ…」

使用人「は…い…」ビクビク…

奈遠「あのさ…」

使用人「…は、はい…」

奈遠「……使用人ってさ…、私のこと………」

使用人「……?」

奈遠「………何でもない」

使用人「……なな、何か……あ、あったんですか?」

奈遠「…男ってさ」

使用人「…は、はい」

奈遠「…馬鹿だよな。私はやっぱり嫌いだよ」

使用人「…あ、あの…………そ、そそ……それなら………」

奈遠「あん?」

使用人「どうし…どうして僕なんかを……拾ってくれたんです………か?」プルプル…

奈遠「そ、そりゃ………」

────七日前 路地裏────

ザ────ッ

使用人「」プルプル…

奈遠「……おい」

使用人「」ビクッ

奈遠「なにびびってんの?………それより雨降ってんだけど。こんなとこに傘もささないでいると死ぬよ?帰んな」

使用人「お………お姉さんには、かかか、関係無い……です、し………、ぼ……僕には………」プルプル

奈遠「あん?聞こえねーから」

使用人「僕には………か、帰る家が無い………です………」プルプル

奈遠「っ」

使用人「………しし…、死ねるなら………ここで死んだ方が………僕なんか………」プルプル

奈遠「………ふん……」ポイ…バサッ

使用人「っ?」プルプル

奈遠「あー、傘 “落としちゃった” わー!でも一回落ちた傘なんて汚くて使えねーから新しいの買おーっと!」スタスタスタ…

使用人「あ、あのっ」プルプル

奈遠「お気に入りだったけど仕方ねぇーかー!ブランドもんの傘だから “売れば結構な額になる” んだよなー!まあ私にとっちゃはした金だけどー!」スタスタスタ…

使用人「…お、お姉さん…びしょ濡れに………」プルプル

奈遠「………じゃなー、風邪ひくなよー…」ヒラヒラ

使用人「…うっ………うう………うううっ!!」ブワッ


ザ────────ッ

────六日前 路地裏────


奈遠「………」コソ…キョロキョロ

奈遠「………うん………良かっ」

使用人「お、お姉さん」ヒョイッ

奈遠「おわっ!!」ビビクンッ!

使用人「あ、ごご、ごめんなさい…お、脅かすつもりじゃ……」

奈遠「な、な、何でまだこんなとこに居んだよ!!馬鹿か!?」

使用人「あの、傘…あ、ありがとう…ございました………」スッ

奈遠「っ!?」

使用人「お、お陰さまで…雨露をし、凌ぐことができまし…た…」

奈遠「………別にそれ、あんたにやったわけじゃ無いけど?」

使用人「え、ええ……ですから、お返しします……」

奈遠「ごめん、私が “落としたもん” だけど、人が触ったらもう私んじゃないから。それ、好きにしたら」

使用人「そんなっ…でも…これ、高いって…お姉さん言ってたし……お気に入りみたい……だったし……」

奈遠「〜〜〜〜ったく!あんたってほんっと馬鹿だね!男って皆そうなわけ!?イライラすんだけど!マジで!」

使用人「え…ええー?そそ、そんなこと言われても………」モジモジ

奈遠「それはもう私が “捨てた” もん!で、拾った奴が所有者!だからそれはあんたのもんなんじゃないの!?知らねぇけど!!」

使用人「………………………っ!」

奈遠「気付いても何も言うな。礼も言うな。私は何も知らないし、関知しない。あんたが余計なことをくっちゃべるせいで私が “迷惑すること” にもなるんだ」

使用人「………ぼ、僕は……でも……」

奈遠「知らない。じゃ、さよなら」スタスタスタ

使用人「………」

使用人「────っ」ペコ

────五日前 路地裏────

ザ────ッ

奈遠「まぁた雨だよ…イライラするわぁ」スタスタ

奈遠「っ!?」ビクッ

使用人「」プルプル

奈遠「………おい」

使用人「……あっ、お…お姉さん。ここ、こんばんは」

奈遠「まだ私の捨てた傘売ってねぇの?言っとくけど使えば使うほど価値下がっから、そういうの」

使用人「ここ、これは…売れません……」プルプル

奈遠「は?売れるから。まだ全然使ってねぇし、それ結構プレミアもんで────」

使用人「そそ…そ、そういう意味じゃな、ないのです………」プルプル

奈遠「じゃあ何でっ────」

使用人「お、おお、お姉さんの…優しさが………かか、感じられるから………だから………こ、この傘は………う、う、売れません………」

奈遠「────っ!?////」

使用人「は、はは……」プルプル

奈遠「ばっ、ばっかじゃない!?そんな…私別に、そっ、………ばっかじゃないっ!?////」

使用人「馬鹿………です。ぼ、僕は前から……あ、頭が良い方では……な、なくて……」エヘヘ

奈遠「………ほんっと、馬鹿だわ……////」

使用人「……え、えへへ……」プルプル

ザ────ッ

奈遠「………」

使用人「………」プルプル

奈遠「………」

使用人「?………あ、あの……行かないんですか?」

奈遠「っ!//// い、行くけど!?何!?ここで時間潰しちゃいけないわけ!?ここは公共の場所だから!あんたの敷地じゃないでしょ!?それとも私がここに居るのが邪魔っていうの!?」

使用人「あ、い、いえ……それは別に……」プルプル

奈遠「………ふんっ////」

ザ────ッ

奈遠「………」

使用人「………」プルプル

奈遠「………」

使用人「暖かいです…」プルプル

奈遠「…は?あんた震えてんじゃん。何言ってんの?」

使用人「…お、お姉さんが────」

奈遠「奈遠!私はお姉さんじゃなくて奈遠っていうんだけど!」

使用人「あ、ご、ごめんなさい……な、奈遠さん…」

奈遠「………なに?」

使用人「奈遠さんが、そ、そばに…い、居てくれるから……暖かい…です…」プルプル

奈遠「////………あ、あっそ////」プイッ

使用人「………ふふふ……」プルプル

ザ────ッ

奈遠「」スッ…スッ…

使用人「………?」プルプル

奈遠「………あ、もし?もぐっち?私だけど…」

使用人(…もぐっち?)プルプル

奈遠「人に金あげたらダメっつったけどさ、雇うのはルール的にありなの?………そう、例えば………家の使用人として、とかさ」

使用人(…やっぱり誰かがそばに居るのって…暖かいんだなぁ…)プルプル

奈遠「だからさ、雇用契約を結べばオッケーっしょ?ビジネスなんだからさ…」

使用人(…なんか、難しい話ししてるなぁ…。僕には分かんないや…)プルプル

奈遠「二重契約?違うっしょ。確かにもぐっちとはそういう契約してるけど、私が “欲しいモノの時間” を “買う” んだから、対価として発生する賃金を与えるのは当たり前だろ?」

使用人(…ああ…ちょっとお腹空いてきたな………頭もぽーっとして………)プルプル

奈遠「………くっ…!分かってるよ!分かってっけどさ………でもっ!………別に、そういうんじゃねえってば!……福利厚生…?そ、それは………でも………だけど…、それ言ったら私とあんただってそうじゃねぇか!年金とか社会保険が適用されてるわけじゃねぇだろ!………は?……まさか………う、嘘だろ?どうなってんだよ…あんた、 “何者” だよ……」

使用人(ああ…ダメだ………僕もう………)バタ

奈遠「っ!!あ、後でまた連絡する!」ピッ

奈遠「おい、おい!起きろって!」ユサユサ

使用人「」ガクンガクン…

奈遠「………だ、誰かっ!誰かぁっ!こいつを、こいつを助けてくれ!救急車っ……救急車を早くぅうううう!!!」ギュ-ッ

────四日前 病院────


使用人「………ん……」

奈遠「…起きたか?」

使用人「………あれ?…ぼ、僕……」

奈遠「心配すんなってよ。軽い疲労と空腹、あと風邪らしい」

使用人「……そ、そう………ですか………」

奈遠「ゆっくり休みな…」ギシ

使用人「あ、お姉さ……奈遠さん………」

奈遠「………ん?」

使用人「ぼ、僕………ここのお金……」

奈遠「………お前は何も心配すんな」ニカッ

使用人「………奈遠さん……」

奈遠「じゃなー…」キィ…


奈遠「………」パタン

喪黒「あの少年ですか?」

奈遠「………ああ」

喪黒「治療費を払うことはルール違反です」

奈遠「…分かってるよ」

喪黒「いーえ、分かってません。貴女は払うつもりでいる」

奈遠「…」ギリッ…

喪黒「さあ帰りましょう。あとは彼も “他の誰かか” に縋るしかないでしょう」

奈遠「もぐっち…」

喪黒「ダメです」

奈遠「頼むよ!!私がしたいことで金を使うんならいいんだろ!?」

喪黒「ダメです。それはあの少年の為に使うことになる」

奈遠「それならせめてあんたが払ってくれよ!!金持ってんだろ!?」

喪黒「何故………私が彼に支払うのです?」ズズ…

奈遠「────っ!」ゾク…

喪黒「私は彼と何の関係も無い。貴女のように契約をしているわけではないのです」

奈遠「た…頼むから………もぐっち……あいつを……あいつを救わせて欲しい……」プルプル

喪黒「…やれやれ、貴女も困った人だ」

奈遠「………」

喪黒「………いいでしょう。今回は私が彼の治療費を支払います」

奈遠「ほ、本当にっ!?」

喪黒「ただしぃ」

奈遠「……条件?」

喪黒「そうです。条件を新たに加えます」

奈遠「なんでも…従うよ」

喪黒「彼と関わるのはあと三日のみとします」

奈遠「っ!!」

喪黒「彼が病院を出た後、彼を雇うも良し。突き放すも良し。しかし三日を過ぎてもなお、彼と一緒に居ることは許しません」

奈遠「………」

喪黒「そもそも貴女は男嫌いのはずだ。何も問題は無いでしょう?」

奈遠「そう…だけど………」

喪黒「いいですか津世木さん」ズイ

奈遠「っ!」ビクッ

喪黒「これは最後のチャンスです。彼も貴女が馬鹿にする男の一人なのは間違いない。下らない同情心などに振り回されて大金をフイにすることなどないのです。男嫌いなら男嫌いを徹底すべきでしょう」

奈遠「わ、私は………」

喪黒「いいですね?」

奈遠「………分かったよ……」

喪黒「ほっほっほ、では行きましょう」ノソノソ

奈遠「……」

………………………
………………
………


使用人「……さん。奈遠さん…?」

奈遠「ん?あ、ああ…。どうしてあんたを拾ったか────だっけ?」

使用人「そ、そう………です」プルプル

奈遠「傷の舐め合いしたかったのかもな……」

使用人「き、傷の…?」

奈遠「…おい、お前男だろ?」

使用人「は、はい…いち、一応…」プルプル

奈遠「ならさ、私を抱ける?」

使用人「…はい?」

奈遠「セックスできる?」

使用人「っ!////」ボンッ

奈遠「…ぷっ!…あはははっ!真っ赤になってやんのwww」

使用人「かか、かかか、からかわないで下さいっ////」

奈遠「あははっ、いや…からかってなんかないよ。でも…ぷぷっ、あはははは!!」

使用人「うう〜〜…そうやって…////」

奈遠「はーぁ、面白かったww………ねえ使用人、こっち来なよ」チョイチョイ

使用人「え?…は、はぁ…」トテトテ

奈遠「………しよ?」

使用人「………はい?」

奈遠「エッチ。本気だよ、私は……」

使用人「な、なな………////」

奈遠「初めて?」

使用人「は、初めて…ですけど……ど、どど、どうすればいいか、とか…わ、分から////」

奈遠「大丈夫…私も………初めてだから」ギュッ

使用人「っ////」オロオロ…

奈遠「お前は他の男と違う…。それにもう、今日しかないから…あんたを刻ませて………」

使用人「……き、今日しか…ないって………な、奈遠さん………?」

奈遠「いいから……あんたの “男” を私に…教えてくれよ…」

使用人「な、…奈遠さん………っ!////」ガバッ

奈遠「あっ………////」

………………………
………………
………


奈遠「…はぁ…はぁ…♡」

使用人「はぁ…はぁっ…////」

奈遠「…や、やれば…できんじゃん…////」

使用人「…で、できました…////」ハァ…ハァ…

奈遠「………今日で最後なんだ」

使用人「ど、どういう意味……ですか?」

奈遠「あんたを……解雇する」

使用人「っ!?」

奈遠「退職金は出すよ。……何年かは過ごせるだけのお金は────」

使用人「や………やです!」

奈遠「………」

使用人「ど、どうしてですか!?僕が嫌いになったんですか!?そ、そ、それとも、エッチが下手だったからですか!?」

奈遠「違うよ………これはね、決まってたことなんだ……」

使用人「き、決まってたって……そ、そんなの納得できません!お、お金は要らないです!ここ、ここで働くのがダメなら、ぼ、僕は別のとこでちゃんと、は、は、働きますから!奈遠さんのそばに居させて下さいっ!」

奈遠「……やめてよ……」

使用人「や、辞めません!」

奈遠「お願い……私だって……こんなの………」グス…

使用人「………な、奈遠さ……」

奈遠「あんたをさ……私の体に刻めば……忘れないでいられるって思った……思ったから、あんたに抱かれた………」

使用人「………」

奈遠「なのにっ!ダメなのっ!あんたの温もりがさぁ!体の芯に残ってるの!どうして!?どうしてだよ!!………もう!!」ボロボロッ

使用人「奈遠さん…」


奈遠「納得できない!?そんなの私も同じだよ!でもっ…でもあの男が怖いんだ!男を怖いなんて思ったことない私が、アイツには…アイツだけは………思い出すだけでも体が震えるほどっ………」ガタガタ…

使用人「あの男って…?」

奈遠「………契約者。私の雇用主……パトロン………なのかな?もう、よく分からないけど……」

使用人「………そ、その人が、奈遠さんを苦しめてる?」

奈遠「分からない…。私の救い主でもあるけど………でも」

使用人「でも?」

奈遠「………私はあの男の目を見てしまったから………あの、無感情な目を………」カタカタ…

使用人「………僕が、奈遠さんを守ります」

奈遠「……え?」

使用人「その男から、奈遠さんを守ってみせます」

奈遠「あ、あんた……何で、普通に喋ってんの?」

使用人「いつも普通に喋ってますよ」

奈遠「だ、だって、いつもはイラつくくらいどもってるじゃん」

使用人「…奈遠さんのおかげかもしれません」

奈遠「わ、私?私は何もしてない…」

使用人「僕を最後の最後で男にしてくれたじゃないですか」ニコッ

奈遠「っ////………ば、ばかっ//// 今それ言うかぁ………?////」カァァッ

使用人「………僕を解雇する。それがその男の命令なんですね?」

奈遠「…あんたと二度と関わらないこと。それが条件…」

使用人「そうですか。では逃げましょう」

奈遠「………えっ?」

使用人「どこか遠くに行きましょう。その男の手の届かない遠くへ」

奈遠「………無理だよ。あいつの財力は半端ないんだ。逃げ切ることなんて………」

使用人「奈遠っ」ガシッ

奈遠「っ!」

使用人「僕を信じてっ!必ず、必ず君を守り抜くから!!」

奈遠「………使用人……っ」ポロポロ

使用人「…行こう。もうあまり時間がないから!」

奈遠「あ、それならお金…」

使用人「お金なんか要らないよ。僕には奈遠さんがいるし、奈遠さんには僕が居るでしょ?」

奈遠「………うんっ、そうだね」

使用人「ふふ、奈遠さんも……」

奈遠「え?な、なに?」

使用人「喋り方、女の子らしくなってますよw」

奈遠「っ!?//// う、うっさいな//// 早く行くよっ!////」

────北海道某所────


使用人「寒いっ!」

奈遠「ほんと…寒いね」

使用人「でも、ここが僕達の新しく住む場所」

奈遠「…そうだね」

使用人「……あの男のことが気になる?」

奈遠「…ううん、平気…」

使用人「大丈夫だよ。僕がそばにいるから」

奈遠「…うん」

使用人「……どこか店に入ろうか。暖かいコーヒーでも飲もうよ」

奈遠「そだね…」

使用人「えっと………」キョロキョロ

奈遠「ちょっと田舎の方に来すぎちゃったかな?お店らしいお店が見当たらないねw」

使用人「いや…ほらあそこ。喫茶店じゃないかな?」

奈遠「あ、本当だ。でも電気点いてないね…」プルプル

使用人「………奈遠はここのベンチで待ってて。ここなら雪と風を凌げるし。僕ちょっとお店の人に聞いてくるから」

奈遠「うん…早く帰ってきてよ?」

使用人「分かってる」サクサクサクサク

奈遠「………」プルプル

奈遠「もう…自販機も無いし……」プルプル

奈遠「ああ、寒い……」プルプル

『宜しければこのココアでもどうぞ…』スッ

奈遠「え?あ、ありがとうございま────」

喪黒「どういたしまして…」ズイッ

奈遠「ッッ!!!」ポロ…トサ

喪黒「おやおや、勿体無い。せっかくのココアを落としてしまうなんて」

奈遠「ど………どうし…て……」カタカタ…

喪黒「それはこちらの台詞です。北海道まで旅行とは聞いてませんでしたよ」

奈遠「そ、それは………」

喪黒「偶然とは恐ろしいものですなぁ。私も偶々こちらの方へ来る用事がありましてね…隣、宜しいですか?宜しい?では失礼。よっこらせ」ズシ

奈遠「も、もぐっちも…旅行に?」カタカタ

喪黒「いえ。仕事です。津世木さんはお一人で?」

奈遠「え、あ…そ、そう。一人旅に…」カタカタ

喪黒「良いですなぁ。この辺りは春になるとラベンダー畑が望めます。一人旅にはもってこいです」

奈遠「そ、そう…」ソワソワ…

喪黒「………」

奈遠「あの…もぐっち」

喪黒「なんでしょう?」

奈遠「仕事って……………なに?」カタカタ…

喪黒「何だと思います?」ズイ

奈遠「ひっ…」ガタガタ

喪黒「そぉです。偶々、偶然ではありません。貴女に用事があったのです」

奈遠「あ…あ………」ガタガタガタガタ

奈遠「し、使用人ーー!!使用人ーー!!!」

喪黒「無駄です。彼はもう戻ってこない」

奈遠「っ!?…な、何で…?」

喪黒「人の心配してる場合じゃないでしょう?」

奈遠「うっ…うるせぇ!! わ、私の使用人に何した!答えろよ!!」

喪黒「ほっほっほ、優男に牙を抜かれた貴女が今更強気になっても怖くありませんね」

奈遠「そう……私の拳受けても同じ様に笑ってられっかよ!?」ヒュッ

ドガッ!

奈遠「へっ、鼻を潰してや────」

喪黒「効きませんねぇ。腑抜けた女のパンチなど蚊ほども感じません」

奈遠「ば………バケモンかてめぇ……」ガタガタ

喪黒「常にイライラしていた貴女。金にがめつかった貴女。あの時のギラギラとしていた貴女なら拳の重みもまた違ったでしょうなぁ」ズイ…

奈遠「っ!」

喪黒「同情心を持つだけならまだ良かった。しかしぃ?」ズイ

奈遠「く………来るな…来るなよぉ…」

喪黒「ルール違反はいけません。貴女は私との約束事を破りました」スゥッ…←人差し指を指す

奈遠「あ、謝るから………か、金も……」

喪黒「返す返さないではありません。そもそも貴女にその返済能力があるとは思えない。しめてニ億八千三百万円……平均的なサラリーマンが一生で稼ぐ以上のお金を、貴女は返せますか?」ジリジリ…

奈遠「か、…返す…返すから…」

喪黒「無理でしょう。それに金銭の問題ではない。貴女は私との約束を反故にされた。その責任は貴女自身でとっていただくしかない」ジリジリ…

奈遠「わ、私が……」

喪黒「途中まではとても良かった。見てくれにそぐわぬ聡明な貴女はお金を上手く使い、刹那的ながらも財を成しました。私との約束事を守りつつ、上手く立ち回ったと言えるでしょう、がしかしぃ」ズイ

奈遠「っ…」ガタガタ

喪黒「最後のチャンスを貴女が壊した。使用人さんとの駆け落ち…。そして最後の最後で、貴女は私に嘘をついた…」ジリジリ

奈遠「う、嘘なんか…」

喪黒「ここへは一人旅だと仰った」

奈遠「………あっ!」

喪黒「男嫌いの貴女が男の味を知り、男と愛の逃避行…本来ならば美談ともなりましょうが……」ジリジリ

奈遠「い、いや…来るな……来ないで…」

喪黒「散々貴女にバカにされ続け、底辺層の男だ何だと暴行された男性方が不憫でなりません」ジリジリ

奈遠「ご、ごめんなさい…ごめんなさいっ…」

喪黒「私に謝っても駄目です。貴女は一生をかけて、貴女が馬鹿にしてきた男達に償うのです」ジリジリ

奈遠「そんな…一生なんて……」

喪黒「貴女だけ幸せになろうなんてそうは問屋が卸しません。男が男である由縁を、贖罪の精神と共にその心と身体に刻むのです」ジリジリ

喪黒「どーーーーーんっ!!!」

奈遠「イヤァアアアアアア!!」

────繁華街────


中年男「はぁ…今日も疲れた」トボトボ…

奈遠「…おっさん」

中年男「え?………き、きみはっ! か、金なら無いぞ!!」

奈遠「…お金はいいよ……それよりさ…」ジリ…

中年男「ひっ!ま、また殴る気かね!」

奈遠「わ…詫び、いれさせてほしい…」プルプル

中年男「…へ?」

………………………
………………
………

「ねぇねぇ、あの噂知ってる?」
「なになに?」
「ウリやってる子から聞いたんだけどさ、渋谷の路地裏で客とって “タダ乗り” させる子が居るんだって」
「えー!マジで!?」
「マジマジ。それがうちの制服着てるって話でさ────」

………………………
………………
………

中年男「うおぅっ…うう…」ビクビクッ

奈遠「んぐ…んっん……オエ……ん…」ジュルジュル…

中年男「うあぁ…も、もう出るっ!」ガクガク

奈遠「だ、出すなら早く…出して………あむ……んっんむ…」ジュポジュポジュポジュポッ

中年男「い、イクぅうっ!」ビュルルル---ッ

………………………
………………
………

喪黒「ギャルさんですか?」

ギャル「あん?おっさん誰ー?」

喪黒「私こういうものでして」スッ

ギャル「『ココロのスキマ♡お埋めします』…喪黒福造?………なに? AVのスカウト?」

喪黒「いえいえ、そんな怪しいものでは御座いません。貴女に紹介したい方がおりまして…」

ギャル「へぇー、何かおもしろそーじゃんww 行く行くwww」

喪黒「…あまり危機感の無い方ですなぁ」

………………………
………………
………

奈遠「くっ…ふぅっ…!! んっ…!」ビクビクッ

中年男「はぁっはぁっ!」パンパンパンパンッ

奈遠「…ぅっ、あっ…はぁっ!………ん!」ガクガク

中年男「いいよ、いいよ奈遠ちゃん!若くてギュウギュウに締め付けられて………おああ」パンパンパンパンッ

奈遠「う、うるっ…せぇ………んっ!は、早くイッ………イッて……よっっ!」ゾクゾク

中年男「うぐぐぐぐ、だ、出すよ!?出すよ!?中にっ………っぐああああ!!」ドビュルルッ!

奈遠「う…あ………ち、…ちくしょう……っ…」ポロポロ…

中年男「ふはっ………ふははははっ!まだまだだ!生意気な小娘がっ!わ、私の子種をたっぷりと注いでやる!」パンパンパンパンッ

奈遠「あうっ!……ま、まだ………くっ、やめ………もう……ぁっ…いや………はぁっ…激しっ…過ぎ………んああっん♡」ゾワゾワ…

………………………
………………
………


喪黒「こんばんは」ギィ…

奈遠「」ハァ…ハァ…

喪黒「順調に進んでいるようですね」

奈遠「………」ハァ…ハァ…

喪黒「ここは綺麗な夜景が見えますな。いいマンションを買ったものです。ほっほっほ」

奈遠「…く、くたばれ…ジジイ…」ハァ…ハァ…

喪黒「今日は何人相手を?」

奈遠「…ふ、二人………」ハァ…ハァ…

喪黒「少ないですなぁ。ただ病気と妊娠だけは注意して下さい。いざとなったらその治療費や堕胎費用は私が持ちますが…」

奈遠「そ、それなら、ゴムくらい…」ハァ…ハァ…

喪黒「生中出しが謝罪の基本です。たっぷりと種付けセックスをして差し上げて下さい」

奈遠「…くそがっ………」ハァ…ハァ…

喪黒「貴女も楽しんだ方がいいですよ?嫌々しているとただ苦痛を生むだけです。いっそ壊れてしまってはどうでしょう?」

奈遠「………ぜ、絶対…殺す! いつか………いつか絶対あんたを………」ハァ…ハァ…

喪黒「それも良いでしょう。そんなことより外へ出て一人でも多くの男に謝罪を繰り返したらどうですか?」

奈遠「…くっ、わ…分かってる…ぁ」ガクガク

喪黒「ほっほっほ、足腰が立たなくなってますなぁ?よっぽど前の方が上手だったのでしょう」

奈遠「う、うるせぇ…!」ガクガク

喪黒「では………また」バタンッ

奈遠「…使用人………うう、うううっ!」ボロボロ



………………………
………………
………

────繁華街────

奈遠「…次の男……」フラフラ…

奈遠「次の………………っ!!」

使用人「」スタスタスタ

奈遠「し…っ、使用に────」

ギャル「あっははwww マジウケるーwww 使用人くんサイコーwww」

奈遠「っ!?ぎゃ…ギャル…?ど、どうして使用人とギャルが一緒に………」

使用人「ギャルさん…僕また…その…」モジモジ

ギャル「んー?…したいの?」

使用人「う、うん…////」

ギャル「いいよ、行こっか ♪ 」

使用人「う、うん…////」

奈遠「………そ、そんな……だ、ダメ。なんで、ホテルなんかに……あの二人が………どうして………どうし………」

奈遠「」ガラガラガラ…



喪黒「……」

────翌日 路地裏────


中年男「へっへっへ…私のちんぽが忘れられなくなったのか?」

奈遠「あむ…ん♡ んん…ふ♡」ジュルジュル…

中年男「…昨日よりも気が入ってるじゃないか?え?ちんぽがそんな好きか?」

奈遠「んっ…ふ………んむ♡ はぁ…………好き……ちゅ…ん♡」チュパチュパ…

中年男「こんな路地裏に引きずり込んで、我慢出来ずにちんぽしゃぶるんだからな。相当な好きモノだ…ふはははっ!」

奈遠「…ね、もう、して………おまんこ、して…」

中年男「ゴムは無いぞ?」

奈遠「もういいの………何でも………どうなっても……。……妊娠してもいいから………奥に…中に………」

中年男「ふふ、じゃあ…彼等もいいかね?」

奈遠「………え?」

────ゾロゾロゾロ…

奈遠「………あ………あ………」

中年男「私の部下達だ。君の言葉で言う “社会の歯車” の一員たちだよ………」

モブ会社員A「ひょーっ!モノホンのJKじゃないっすか!」
モブ会社員B「いいんすかっ!いいんすかっ課長!?」
モブ会社員C「エッロ!この子エッロ!」

奈遠「あ、あ………そんな………」ペタンッ…

中年男「この娘は世の中の男達に謝罪したいんだそうだ。…さあ、君のマンションへ行こう………たっぷりと可愛がってくれる」ガシッ

奈遠「い、や………許し…て………もう、もう………いやぁあああああああっ!」



………………………
………………
………


喪黒「怖いですなぁ」クルッ

喪黒「男を嫌い、男を好いて、その男に裏切られ、ろくでもない男達に輪姦される」ノソノソ

喪黒「こんなことなら初めから男嫌いを貫けばよかったものを…馬鹿な選択をしたものです」ノソノソ

喪黒「見下した友人に惚れた男を取られたことが、何より厳しかったのでしょう」ノソノソ

喪黒「これから先は絶望の向こう側……二度と普通の生活には戻れない肉欲の世界が彼女を待っている…」ノソノソ

喪黒「タダほど高いものは無い…。その事に彼女が気付くのはいつになるやら」ノソノソ

喪黒「御利用は計画的に…」ノソノソ

喪黒「おーっほっほっほっほ…」



第2話 『男嫌いの女』 完


さて、次は…
>>39のTSネタにしましょうか。
また出来るまで時間をいただきますが…

私の名は喪黒福造。
人呼んで『笑うセールスマン』。ただのセールスマンじゃ御座いません。
私の取り扱う品物は心…人間の心で御座います。



この世は老いも若きも男も女も
心の寂しい人ばかり
そんな皆様の心の隙間をお埋め致します
いえ、お金は一銭も頂きません
お客様が満足されれば
それが何よりの報酬で御座います
さて、今回のお客様は────


峯釜 火照(ねかま ほたる)


おーっほっほっほっほ…

────峯釜宅────


峯釜「『エッチなこと言っちゃやだー♡』…と」カタカタカタカタッ

峯釜「ぷくくくww こいつらホントバカだwww」カタカタカタカタ

峯釜「こっちゃ男だっつーのーwww」

峯釜「…ん?『ホタルちゃんのおっぱい見たい?』…ぶはっww オッケーオッケーwww」カタカタカタカタ

峯釜「えーと、…このブラ付きエロ画でいいかw これを添付して…『えー…これしか見せられないよぉ〜〜〜イヤン(*ノ∇)ゝ』…とww」カタカタ

峯釜「………お、返事きたww…『乳首も見たーい』?────ぶははははっwww 馬鹿だ!馬鹿すぎるwww」バタバタッ

峯釜「はぁ〜〜ひぃ〜、やべぇー、ネカマ楽し過ぎるだろーwww」

峯釜「俺が女ならやらしてやってもいいんだけどなwww 残念っwww」

峯釜「………まあ、俺も最近やってないから溜まってんだけど……」カタカタ…

峯釜「………くそ、思い出しちまった………あの女!イケメンなんかに乗り換えやがって………ムカつくっ!ムカつくっ!ムカつくっ!」カタカタカタカタカタカタッ!!


《オープンチャット》

ホタル:あー、イライラするんですけどっ!?

マスかき次郎:おっ、どした?おっちゃんが聞いてやるぞ

────ブルマンさんが入場しました

ブルマン:はじめましてー

こけし魔人:どもー。なになに、ホタルどした?

ホタル:はじめましてぇ♡ >ブルマン んー、ちょっと前カレのこと思い出しちゃってさ…>マスかき >こけし

こけし魔人:なるほど。前の彼氏が忘れられないと>ホタル

────福助さんが入場しました

ホタル:まぁね…あー…セックスしたい(爆)

マスかき次郎:俺がっ!!>ホタル

ブルマン:俺が!!>ホタル

────福助さんが退出しました

こけし魔人:俺も!!>ホタル

マスかき次郎:どーぞどーぞは言わねぇよ?

ブルマン:その展開はありませんね

こけし魔人:ホタルは俺の嫁

ホタル:www ま、皆を慰めるのが私の仕事だからねー♡


………………………
………………
………


峯釜「こいつらほんっとに馬鹿だなww」カタカタ

峯釜「………俺、ここではモテモテなのに……」

峯釜「………はぁ…女ってだけでチヤホヤされんのは不公平だよな……」

峯釜「……俺がもし女だったら、ヤリまくりだろうな…」

峯釜「………ちんぽをズボズボって……口にも入って…まんこもアナルも全部…」ドキドキドキ…

峯釜「………………いや、あれ?俺そっちのケねぇよな?」ドキドキ

峯釜「ちんこにドキドキは流石に………」ドキドキ…

峯釜「────あかんあかんっ!」ブンブンッ

峯釜「……コンビニでも行こ」

────コンビニ────


峯釜(考えてみりゃ女って女ってだけで人生イージーモードだよな…)

峯釜(ブスは別として…)

峯釜(男に養ってもらえるし、セックスだって男より気持ちいいんだろ?……ずりぃよ)

レジ娘「いらっしゃいませー ♪ お預かりします ♪ 」

峯釜(…このレジに立ってる娘も、彼氏とズッポリやってんだろうなぁ)

レジ娘「124円が一点…250円が一点……」ピッピッピッ

峯釜(俺みたいなブサイクでも愛想振りまいて………。おい、本当はエロいんだろ?夜は男のちんぽをしゃぶっておねだりしてんだろ?その口で何本咥えたんだ?)

レジ娘「……が一点…」ピッピッ

峯釜(お前ら女は愛想さえ振りまけばいいんだもんな?その股ぐらを開いてみせりゃ寄ってくんだもんなぁ?グチャグチャにかき混ぜてほしいってツラしてんぞ?エロい顔しやがって……そんなに欲しいならそこで股開いてみやがれ)ブツブツ…

レジ娘「────の………あの、お客様?」

峯釜「………えっ?」ハッ

レジ娘「あの、1,253円になります」

峯釜「あ、あ、…すいませんっ////」

レジ娘「?」

峯釜(くそがっ!なに首傾げてやがんだよ!この売女が!はっきり言わねぇからこっちが気付かねぇんだろ!?てめぇのせいで恥かいたじゃねぇか!!)ゴソゴソ

────公園────


峯釜「」モグモグ…

峯釜「…はぁ。女になりてぇ」ボソ…

峯釜「……俺が女になったら世の男たちを絶対幸せにできる」

峯釜「童貞達に身体を提供してやって、くたびれたサラリーマンのおっちゃんにもタダでやらせてやる」

峯釜「欲求不満の男達を皆発散させてやるのに…」

峯釜「…なのに俺は………オフ会に誘われても行けやしない」

峯釜「俺と…ホタルとやりたがってる男は山ほど居るってのに………」

峯釜「沢山のちんぽが待ってるってのに…俺にはそれを慰めてやることも出来やしねぇ………ネカマをしてでしか…あいつらを………」

峯釜「くそぅ……っ」

??「そう悲観されることも無いですよ。貴方はネットを使って彼等に夢を与えているのですから」

峯釜「そんな簡単な話じゃないんだよ。あんたに何が────って、だ、誰だ!?」ガタ

??「申し遅れました。私はこういう者です」スッ

峯釜「へ?…『ココロのスキマ・お埋めします』…喪黒福造?」

喪黒「いやしかし貴方のお悩みもごもっとも。今のご時世そうした殿方が沢山居るようです」

峯釜「き、聞いてたのか?あんた」

喪黒「盗み聞きするつもりはなかったのですが、どうしても聞こえてしまって」

峯釜「…う////」

喪黒「今は昔ほど世間の目が厳しくありません。自分が別の性別になりたいと言ったところで、変な目で見られることはあっても、迫害されるようなことは無いのです」

峯釜「…だけど」

喪黒「そう。男は女に、女は男になれません。まあ物理的には以前よりも可能になったようですが………まだまだ発展途上でしょうなぁ」

峯釜「…」

喪黒「………どうでしょう。これも何かの縁です。場所を変えて少し話しませんか?」

峯釜「え、いや…俺は」

喪黒「いいじゃないですか。すぐ近くに私の行きつけのバーがあります。貴方のお悩みはなかなか人に相談できるような話じゃありません。私に話せば少しは楽になるかもしれませんよ?」

峯釜「………そう、ですかね…」

喪黒「ええそうですとも。悪いようにはしません。さあ、行きましょう」ノソノソ

峯釜「…分かりました」スクッ

────魔の巣────


喪黒「ほう、自分が突然女の子になって、複数の男から………乱暴される?」

峯釜「ええ…恥ずかしい話ですけど………それがオナネタになってて……」

喪黒「いいんじゃないですか?多かれ少なかれそういった妄想をする男性も居ますでしょう」

峯釜「だから僕は………現実世界で叶わない夢を、バーチャルの世界で」

喪黒「女の子の振り…つまりネカマになったと」

峯釜「こんなこと喪黒さんにしか話せませんでした。初めてです……僕の心の内側を話した人は……何だか少し心が軽くなったようです」

喪黒「それは良かった。しかし」

峯釜「はい?」

喪黒「それは峯釜さんの根本的な解決にはならないでしょうなぁ」

峯釜「…そう、ですね……。これからもネカマを続けるでしょうし…」

喪黒「ネカマをするからこその罪悪感も消えないでしょう」

峯釜「…罪悪感?」

喪黒「貴方さっき公園で言ってたじゃありませんか。自分を待ってる男達が居る、と。でも自分には何もしてやれない、と」

峯釜「…言いました」

喪黒「それは罪悪感でしょう?自分が女の振りをしてる以上、それは消えません」

峯釜「…」

喪黒「しかし自分の欲求を抑える為にはネカマでいるしかない…。あちらを立てればこちらが立たず、こちらを立てればあちらが立たず…」

峯釜「喪黒さんの……言う通りです……」

喪黒「ただ一つ、貴方は気付いていないようですから申し上げますが…」

峯釜「な、なんでしょう?」

喪黒「大変言いにくいのですが、貴方はエゴの塊です」

峯釜「え、エゴ?」

喪黒「はい。貴方が女でありたいことは他の人には関係ありません。貴方が女になりたいのは貴方が女になりたいという欲求からなるもので、他者の望みでは全くないのです」

峯釜「で、でもネットの皆は」

喪黒「勿論、貴方が女の振りをしているわけですから影響を与えています。しかし貴方が女であることを前提に彼等は話しているのです。当然ネカマであることを疑う者も居るでしょうが、そういう方は大抵割り切っています。つまり、貴方がネカマを演じている以上、彼等にとって峯釜さんはネカマではなく、女性として見られているのです。望む望まないは別でしょう」

峯釜「だけど、彼等は俺と…ホタルとやりたがってる…」

喪黒「それは貴方の思い込みです」

峯釜「お、思い込み…?」

喪黒「貴方の女になりたいという妄念が全ての負の感情を引き起こす要因となっています。皆が貴方とやりたいと思っているのではない。貴方が皆とやりたいのです」

峯釜「────っ!!」

喪黒「それを女の性(さが)、男の性(さが)と括ってしまっている。女は股を開くもの。男は常に盛っているもの。………違います。貴方が男として盛っているだけで、女として股を開きたがっているのです」ビシッ

峯釜「ッッッ!!!」

喪黒「それは貴方のエゴであって、貴方はそのエゴを他者に押し付けているのです…」

峯釜「………お、おっしゃる通りかもしれません……」

喪黒「間違いなく、貴方が女性であったら俗に言うビッチになるでしょうなぁ」

峯釜「………はい………いえ、僕はむしろそのビッチになりたいと……」

喪黒「……峯釜さん。明日時間ありますか?」

峯釜「え?…あ、ありますけど。仕事もしてませんし…」

喪黒「ネカマでニートですか。まあいいでしょう。明日朝から時間を下さい」

峯釜「な、何をするんですか?」

喪黒「貴方の望む世界を私がご用意しましょう」

峯釜「お、俺の望む…世界………?」ドキドキ

────駅前────


喪黒「いやぁ、お待たせしました」ノソノソ

峯釜「い、いえ、あまり待ってません」

喪黒「それでは行きましょうか」ノソノソ

峯釜「あ、あの…一体どういう所でしょうか。俺のその…望む世界という所って」スタスタ

喪黒「まぁまぁ、すぐ着くのでそう焦らずに」ノソノソ

峯釜「すぐって…ここらは風俗街ですけど」スタスタ

喪黒「…さあ着きましたよ、ここです」

峯釜「こ、ここって…」

喪黒「イメージクラブ…略してイメクラです」

峯釜「い、イメクラ?あの…痴漢ごっことか、お医者さんごっことかする…」

喪黒「そぉです。ここは唯一 “男性同士の絡み” が可能な場所でして、非合法ではありますがお偉い政治家の方や経◯連のお偉方、大企業の役員クラスの方々が通う超VIP揃いの店なので警察も手が出せません。うっかり摘発しようものなら国がひっくり返る程の大惨事になりかねませんからなぁ」

峯釜「…こ、ここの店で俺は何を?」

喪黒「貴方は今日からここの従業員として働いてもらいます」

峯釜「え?きゃ、客としてじゃなくてですか!?」

喪黒「貴方の “女性性への欲求” を満たし、仕事も決まって安定した収入も得られる。正に一石二鳥でしょう?」

峯釜「は、はは…。女の子になってなれるって訳ではないんですね…」

喪黒「しかしネットよりも現実味はあります。ネットの方たちを精神的に満たすことは出来ても肉体的に満たしてあげることは出来ない。これは貴方が仰ったことだ。違いますか?」

峯釜「い、言いましたけど…」

喪黒「その点、ここならばお客さんの心も身体も満たすことが出来るのです。ネカマならぬオカマとして…ほっほっほ」

峯釜「オカマ……」

喪黒「そぉです。貴方はここで “突然女の子になっちゃった男役” を演じてもらいます」

峯釜「ぼ、僕にそれが出来るんでしょうか…」

喪黒「なぁに、ネカマと要領は一緒ですよ。要はネットかリアルかの違いだけです。貴方の抑圧された性癖を発散させるにはこれが一番なのです…」

峯釜「性癖を発散…」

喪黒「貴方は女の子になりきってしっかりとお客様を満足させるのです。心も、身体も…いいですね?」

峯釜「……自信ありませんが…やるだけ、やってみます」

喪黒「では、私はこれで。良い結果をお待ちしておりますよ。おーっほっほっほっほ」ノソノソ

峯釜「…」ドキドキ…

────イメクラ店内────


店長「峯釜さんだね?喪黒さんから話は聞いてるよ!」

峯釜「はい…」

店長「うーん、あまり素材がいい訳ではないな」

峯釜「う…」

店長「はは、大丈夫。ここには様々なプロがいる。君をとびっきり美人になるように仕立てあげるのが我々裏方の仕事だ」

峯釜「とびっきりの…美人?」

店長「さあ、奥へ。まずは髪からだ」

峯釜「は、はあ…」トボトボ


………………………
………………
………


美容師「ボサボサの髪はツヤを出してストレートパーマをかけたわ。随分と痛んでたけど、これからはちゃんと髪のケアもしないとダメよ? “女の子” なんだから」

峯釜「………すごい。自分の髪じゃないみたいだ…」サラサラ

美容師「ちょっと、聞いてるの?」

峯釜「あ、は、はいっ!」

美容師「次は身体の方ね。隣の部屋へ行ってちょうだい」

峯釜「わ、分かりました」ガタ


………………………
………………
………


整形外科医「無駄な体毛は剃り落として、女性ホルモンを適量打った」

エステティシャン「男性の硬い筋肉を柔らかくほぐして、全身くまなくマッサージしたわ」

峯釜「………」ポー

エステティシャン「腰回りのくびれを作るのにはもう少し続けないとね。毎日ちゃんと出勤すればもっと女の子の身体に近付けるわ」

整形外科医「女性ホルモンの量は多く取り過ぎてもいけない。毎日ちゃんと適量摂取すること。肉体の変化も徐々に表れてくる。声も変わってくるし、無駄な毛も生えにくくなる。乳首の突起も膨らみ、胸や尻も丸みを帯びてくる。男性器自体は今すぐというわけにはいかないのでそのままだが…」

峯釜「…は、肌が……すごい、柔らかくなって…こんなことって……」ドキドキ

エステティシャン「仕上げはメイクね」

峯釜「め、メイク…」ドキドキ


………………………
………………
………


メイク担当「…はい、目を開けていいわよぉ」

峯釜「……………っ!?」

メイク担当「…どう?」

峯釜「えっ…え?これが……俺?」

メイク担当「ふふ、驚いたぁ?お化粧一つでここまで変われるのよ」

峯釜「ま、まるで女の子みたいで…」

メイク担当「さぁ、最後に……隣の部屋へ行って」

峯釜「はい…」ドキドキ

………………………
………………
………


指導員「なんですか、その歩き方は!がに股で歩く女性がいますかっ!」パシンッ

峯釜「うひっ!す、すんません!」

指導員「うひっ!じゃないでしょう!『きゃあ』と言いなさい『きゃあ』と!」

峯釜「で、でも俺 “男が女の子になっちゃった” っていう設定だから、あまり女の子女の子するのも…」

指導員「俺じゃないでしょっ!『私』か、せめて『僕』になさい!!」パシンッ

峯釜「うっ…えっと、、きゃあ(棒)」

指導員「設定の話しは聞いております。しかし、いつ、いかなる時も “女らしい振る舞い” が要求されるか分からない以上、その振る舞いを常に出来るよう心掛け、身体に染み込ませなければいけないのです。『きゃあ』という悲鳴も、考えてから言うようでは駄目です。咄嗟に、自然に、『きゃあ』と言えなければ貴方はいつまでも『まがい物の女』なのです」ピュンピュンッ←鞭

峯釜「ま、まがい物の…」

指導員「外だけ着飾ったところで、 “女” としての格は培われません」

峯釜「か、格?」

指導員「そう、『格』です。品格とも言います。昨今の女性は女性らしからぬ女性が増えております。華やかさばかりに目を向け、淑やかさを疎かにしております。ウゼーマジテメーなどとまるで男性のような言葉使いをする始末…」

峯釜「はぁ…」

指導員「立ち居振る舞いもそう。繊細さ、しなやかさなどまるで感じさせません。品格を備えるには普段の生活態度、生活習慣を改める必要があります。指先一つの動きをとっても神経を張り巡らせるのです。貴方の一つ一つの動きや仕草を、殿方は注目されるのです。そして一つ一つの動きや仕草だけをもって、殿方を骨抜きにさせるのです。色気とは外側にあらず、内側から漏れ出るものだと理解なさい。宜しいですか?」

峯釜「は、はぁ…」

指導員「何ですかその気の抜けた返事は!」ピシャリッ!

峯釜「は、はい!」

指導員「ではまず心構えからいきましょう。品格のある女性になる為に必要なのは────」


………………………
………………
………


店長「…おお、随分と女の子になったじゃん!」

峯釜「は、はは…おかげさまで…」クタァ…

店長「暫くは研修と女磨きだ。もちろん費用はかからないし、給金も出すよ」

峯釜「え、でも…俺…あ、僕働いてないですけど…」

店長「うん、だから先行投資と考えてもらっていい。君へかかるお金は全て投資金だ。でもお客様を取れるようになれば一月もあれば返せるさ」

峯釜「そ、そんなものですか…お…僕にそこまでの価値があるとは…」

店長「価値は高めるものさ。それに君は磨けば光ると確信した。間違いない。何なら俺が君の最初の客になりたいくらいだよ」キラッ

峯釜「へっ!?////」

店長「…その時は、優しくリードしてあげるからさ…」ボソ

峯釜「あっ、え…その…////」ボンッ

店長「ははは、良い照れ方だ!その調子で女を磨いてくれ!今日は帰っていいよ!」

峯釜「は、はい…では//// 失礼します…////」ドキドキ

────魔の巣────

カランカラン…


喪黒「」

峯釜「あ、あの…喪黒さん…」

喪黒「はい?どなたでしょ」

峯釜「え?あ、峯釜…峯釜です」

喪黒「おやぁっ?峯釜さん?随分と見違えました。どこの女優さんが語りかけてきたかと思いましたよ」

峯釜「そっ、そんな大袈裟な…っ////」

喪黒「いえいえ、冗談抜きです。大変素晴らしい魅力的な女性に変身したものです」

峯釜「…っ////」テレテレ

喪黒「これだけの美人ならおちんちんが付いてても些細な事にしか感じなさそうですねぇ。ほぉっほっほ」

峯釜「も…もうっ、喪黒さんったら…////」

喪黒「どうです?お仕事は続けられそうですか?」

峯釜「ええ…一日でこれだけ変われたので、もっと通ったらもっと変われるかと思うと…辞められません」

喪黒「そぉですかそぉですか、それは良かった」

峯釜「それもこれも喪黒さんのおかげです。ぜひお礼をさせてください」

喪黒「ほっほっ、そんなものは要りません。私はボランティアでやっているのですそんなことよりぃ────」

峯釜「は、はい?」

喪黒「一つだけ忠告しておきます」

峯釜「忠告…ですか」

喪黒「貴方はもう現実世界でやっと欲望の捌け口を手に入れたも同然なのです。これからはネットの世界に頼らずに生きていくことですな」

峯釜「ネットですか…」

喪黒「そうです。ネカマはお辞めになりなさい。もしネカマをしたら二度とあの店には行けませんよぉ?」

峯釜「二度と…。それは…嫌です」

喪黒「そうでしょうそうでしょう?その為にもお店で女を磨き、今よりももっと素敵な女性になって男の人に奉仕するのです」

峯釜「分かりました。もう二度とネットに頼りません」

喪黒「ほっほっほ、それを聞けて良かった。では…峯釜さんの新しい生活を祝して…」スッ

峯釜「…クス、ええ。………乾杯♥」チンッ

喪黒「…乾ぱぁい」

────一週間後 イメクラ店内────


峯釜「あっ…痛っ…んぅぅっ////」

店長「…うん、大丈夫だ。切れてない。ここ暫くほぐしてたし、ちゃんと家でもしてたみたいだね」グチュ…

峯釜「は、はい…////」

店長「アナル処女を俺に奪われた感想、聞かせてくれるかい?」

峯釜「はっ…ん……う、嬉しい…です…////」

店長「…宜しい。まだ慣れるまで時間かかるだろうから、ゆっくり動かすよ?」グッチュグッチュ…

峯釜「は…い、お願いしま………うっく//// はぁっ………あっ…ぁっ////」ゾクゾク…

店長「こっちのは素質あるね…。すごい締め付けだよ、ホタルちゃん…」ヌップヌップ…

峯釜「ありが…とう、ござ………あぅっ♥ はっ………あっ////」

峯釜(あ…これが…ちんちんの感触………やばい…やばい、これ………戻れなくなるぅ♥)


………………………
………………
………


店長「」シュボッ…フー…←煙草

峯釜「はぁ…はぁ…♥」グッタリ…

店長「ほら、お掃除フェラしなきゃ」

峯釜「え…でも、お尻の穴に入ってたのに…」

店長「あ?自分のだろ?いいからやれよ」ズイ

峯釜「うっ…は、はい…」ペロ…

店長「ちっ、もっと気合い入れてしゃぶれっての!」グボォッ!

峯釜「んむぅっ!?」

店長「ああ…この舌ったらずがいいな!ぎこちない感じがたまんねぇ…」ズッズッズッズッ

峯釜「んむっ…んっ、おえっ…んぶっ////」

峯釜(ああ、やだ…喉奥犯されて…♥)

店長「くっ、出すぞ!ちゃんと全部飲み込めよ!?」ズッズッズッズッ!

峯釜「ふむぅっ♥ んっふ…んっん♥」ジュルジュル

店長「あああああっ!」ビュ-ッ!ビュルビュルッ!

峯釜「んぐっ♥………ん…ふぅ…♥」ゴク…ゴク…

峯釜(凄いいっぱい…出てる…♥ 生臭いのが…鼻まで通って………♥)

店長「よし、ちゃんと飲んだな?」ヌポ…

峯釜「かはっ…はぁ…はぁ…♥」トロ-ン

店長「良い表情だ。ちんぽ大好きって顔に書いてあるぞ?」

峯釜「そんな…ひどい…♥」ゾクゾク

店長「明日から本番オッケーだ。存分に可愛がってもらえ」カチャカチャ…

峯釜「ふぁい…♥」

────翌日 イメクラ店内────


峯釜「────ち、違う!僕は男で」

客「男だと?じゃあこれはどういうことだ?」

峯釜「あっ…やめろ…」

客「ふっふっふ、こんな可愛らしいおっぱいがあるじゃないか…」モミモミ

峯釜「違っ…これは…あっ////」ビクビクッ

客「こんな可愛い男が居てたまるか。どれ、乳首を舐めてやる」レロレロ

峯釜「ひっ!…やだ…やだぁ…、誰か、誰か助けてぇ………」ゾクゾク


────四十分後


客「ふー、キミ…中々いいね。演技しっかり入ってて。次からも指名させてもらうよ」ナデナデ

峯釜「ん…あむ…ん♥ 私、ホタル…でふ…////あ………ありがとうござい……まふ……はむ…////」チュパチュパ…

客「そうか、そうか。ホタルだな。よしよし…おおお…舌使いが堪らん!よっぽどちんぽ好きなんだな!自分も竿をぶら下げておいて、とんでもない淫売男の娘だ…ぶはははは!」

峯釜「ふぁ…はい………ぼ、僕は…おちんちん大好きな、淫乱男の娘でふ………んむ♥ ど、どうか…これからも御寵愛下さいませ………はむ…♥ ぁ…ん、またおっきくなって………すごぉい♥」チュピ…チュルル…

客「なんだなんだ?ホタル、儂のちんぽをしゃぶって興奮したか?お前のちんぽも勃ってるぞ?ふははははっ!」

峯釜「いやぁ…恥ずかしい//// 言わないれ……あむ…ん♥ はぁ…お客様のも…おちんぽ汁たくさん出て…やらしいです…♥」ペロペロ…チュル…


………………………
………………
………


店長「お疲れ、ホタル!」

峯釜「あ、店長♥ お疲れ様です♥」

店長「どうだった?接客は」

峯釜「ええ、とても “楽しめ” ました…♥」ペロ…

店長「……ぷっ、あはははっ!」

峯釜「え?な、何かおかしいこと言いました?」

店長「いやいや、俺は “続けられそうかどうか” を聞いたんだよ。それがお前、楽しめたかどうかって………くくく、お前は “根っから” なんだろうなぁ」

峯釜「え?え?」

店長「いやいや、気にするな!最初お前を見た時は大丈夫かと思ったが………こりゃとんでもねぇの逸材だ!思ったより早く投資金が回収できるかもしれねぇな」

峯釜「…?」

店長「で、どうする?今日はもう上がっとくか?楽しめたっても初めての接客だから疲れただろ」

峯釜「んー…、まだやらせて下さい」

店長「大丈夫なのか?そんな急いで稼がなくても」

峯釜「したいんです。もっと僕…男の人のおちんちんを慰めたいんです」

店長「………ぶふぅっwww」

峯釜「えっ?また?」タジ…

店長「そこまで根っからの奴は見たことねぇや。…お前は “金” じゃないんだな」

峯釜「え?」

店長「いやいや、分かった。好きなだけ客を用意してやる。ただ身体を休めるのも仕事の一環だぞ?」

峯釜「はい、お願いします♥ じゃ、部屋に戻ってますね♥」タタタタタッ

店長「ウキウキしやがって。………いくらビッチの “女” でもこうはいかねぇ。 “男” の性欲があってこそ、あれが成立するんだろうなぁ…」


すんません。
この話、全部書ききってあるんですが、コピーペーストを間違えてしまったので、一つ分消えてしまいました。
書き直しの為、少し時間下さい。

ひと月ふた月と過ぎ、峯釜は徐々に…しかし確実に “女” を養っていった。
立ち居振る舞いは勿論、身体的特徴も女のそれへと近付いていく。
男性らしい筋肉は削げ落ち、肌は白く絹のような柔らかさへと変貌を遂げ、乳房は膨れ、尻はより丸みを帯び、声も高くなっていった。
ただ、股間に付いた逸物だけはそのままに…。

店内での地位はトップへと登り、No. 1の座を獲得した峯釜は、客からの指名が絶え間なく続き、引っ張りだことなった。
中には峯釜を所有しようと何百、何千万の金をちらつかせて誘う客も居たが、金に固執しない峯釜がそのような誘惑に乗るはずもなく、全て一蹴された。
峯釜はそれほどまでに魅力的な男の娘となった。



────イメクラ店内────

店長「ホタルさん今日もお疲れ様です!」

峯釜「店長、もう私に敬語を使うのはやめて下さいよ。前みたいに気さくに話してくれた方が…」

店長「そうはいきませんよ。貴女はここで一番売り上げをあげている、店にとって大切なスタッフです。他の子たちにも示しがつかなくなりますし、私が敬語を使わないといけないんですよ」

峯釜「そういうものですか…。でもそれって何だか…」


金、かね、カネ…。
確かに金は必要なもの。
ただ峯釜は燻っていた。
自分が売り上げを上げて店に貢献している。それはいい。ここまで自分を成長させてくれたお店に還元をするには金しかないから。
しかしそれは逆を言えば、客から金を大量にせしめていることになり、金を求めない峯釜にとっては “性の奉仕に準ずる精神” から逸脱していた。
それが、彼を燻らせている要因であった。


店長「────どうされました?ホタルさん」

峯釜「い、いえ…」

店長「最近お顔がすぐれませんね。少し休んだら如何でしょう」

峯釜「え?いえ、でも私はもっとお客様に」

店長「抱え込み過ぎです。一週間ほど休んでは如何でしょうか」

峯釜「い、一週間も!?そ、そんなの私には」

店長「いや、やっぱり休んでもらいます。一週間で他の子達の一ヶ月分はホタルさん一人で稼いでますし、今月は特に売り上げが高いので店側としましても全然問題無いのです」

峯釜「こ、困りますっ!そんな事されたら私っ」サ-…

────店長は峯釜の “本性” を… “心の闇” を理解していなかった。

店長「ホタルさん、私は貴女に最初に言いましたよ?体調管理も仕事の一環だと」

────エッチが好きな、ちんぽが大好きな淫乱 “男の娘” 。店長の認識はそうだった。それはそれで間違いのないことではあった。

峯釜「い、言いました。言いましたけど、今まで私は一回もお仕事休んでませんし、遅刻だってしたことありません!風邪だってひいてないし…だから仕事…仕事させて下さいっ!」

────認識間違いというよりも誤算。そう、店長の考える方向性は間違っていない。問題はその幅、その範囲であり…

店長「駄目です。これは店長命令なので従って頂きます。万が一があっては逆に困ります。貴女はここの稼ぎ頭なのです。本当に必要な時に身体を壊されては元も子もない。ご自分が店にとって重要な存在であり、高価な “商品” であることを自覚して下さい」

峯釜「でもっ、でも!」

店長「今まで店に貢献してきた貴女が、たかだか一週間の休みなんて安いものなのですよ。たった一週間です。それまで店には出入り禁止とします」

峯釜「出入り…禁止…」サ-…

────店長は見抜けなかった。一日たりとも欠かせない…依存ともいえるほど、男性器に固執する峯釜の本性を…。

翌日、峯釜は自宅の部屋の隅で足を抱えるようにして震えていた。
電気も付けずに暗い部屋で、ただ何かに怯えるように。

峯釜「で、できない。エッチができないと困る…困る…っ」カタカタ…

峯釜「男の人が欲しい…欲しい…欲しい。皆待ってる…私を待ってるのに…」カタカタ

黙っていても男が寄ってくる。そんなお店に通っていた峯釜は、今の孤独に恐怖を感じていた。
逞しい腕に抱かれたい。
身体中を嘗め回されたい。
お尻の中を満たされたい。
恐怖と欲望が暴走する。
膝を抱える腕に力がこもる。
誰でもいい。僕を犯して欲しい。僕に奉仕させて欲しい…。

ふと視線の端に映るもの。
峯釜は膝を解き、四つん這いになりながらそこまで急いだ。
久し振りに聞く起動音。
PCの立ち上がりが待ちきれなくて、中指の先を何度も噛む。

峯釜「皆…待ってて…今行くからね。今から行くからね……」

そして、ようやく起動すると暫くキーボードさえ触れていなかった指が、高速でキーを叩いていき────ついにその時がきた。


《オープンチャット》

────ホタルさんが入場しました。

こけし魔人:!?

ブルマン:!!

マスかき次郎:!!!

ホタル:みんな久し振りー♡

ブルマン:ま、マジですか!

マスかき次郎:( ゚∀゚)o彡゚ホタル!ホタル!

こけし魔人:ホタルちゃんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!


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────────────────

ネット住民の反応に少しだけ峯釜はほっとする。
一人ではないのだと…。
そう、肉体的な欲求と奉仕の精神とはまた別に、峯釜の本質がある。
それこそが峯釜を峯釜たらしめるものであり、彼の根幹にあるものであり…。

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こけし魔人:今まで何やってたんだよー>ホタル

ブルマン:寂しかったです(ノД`)>ホタル

ホタル:ごめんねー!>こけし>ブルマン

マスかき次郎:彼氏ができた…とか?>ホタル

────福助さんが入場しました。

ホタル:できてないってばww>マスかき

こけし魔人:それより恒例の…ソワソワ>ホタル

ホタル:早速それ!?ww>こけし

ブルマン:何ですか、その恒例とやらは>こけし

マスかき次郎:ホタルの裸体写メうP祭りww>ブルマン

ホタル:下着付きですっ!誤解を生むようなこと言わないようにっ!>マスかき

ブルマン:なるほど。パンツ脱いでいいですか?>マスかき

ホタル:こらwwwやめなさいww>ブルマン

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峯釜はもう、エロ画像を探す必要がない。
モニターの前で立ち上がり、服を一枚一枚脱ぎ捨てていく。
当時無かった胸には、たわわに実った果実が二つ。ブラジャーからこぼれ落ちそうになる。
一枚、それを撮るとPCに落とした。

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────────────────

ホタル:そんなに…見たい?>all

こけし魔人:見たい見たい!

ブルマン:( ゚∀゚)o彡゚おっぱい!おっぱい!

マスかき次郎:早くしろください

ホタル:じゃあ、、今まで待たせちゃったのもあるし…ブラ無しで見せてあげるね♡

ブルマン:!!? すいません…その言葉だけで射精しちゃったので責任とって下さい>ホタル

ホタル:早すぎww>ブルマン

マスかき次郎:はよっ!!

こけし魔人:生乳とか…ごくり>ホタル

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────────────────

上半身全てを晒す峯釜。
顔晒しはネットにおいて御法度中の御法度。
その禁忌を破り、変化した自分を見せるためにホタルは乳房に留まらず…顔を晒した。

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マスかき次郎:!!

こけし魔人:!!!

ブルマン:や、やばいですよ!顔は!せめてマスクとかしないと…>ホタル

マスかき次郎:いや、確かにやばい。やばいんだけど、顔初めて見たけど…ええ?マジで?どっかから拾った画像じゃないよね?

こけし魔人:ホタルちゃんめちゃくちゃ美人なんだけど…どうすんのこれ。俺のちんこ舐めてくんないかな?

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ゾクゾクと背筋に鳥肌が立つ快感。
峯釜の本質がここにあった。
注目を浴びること。チヤホヤされること。
自分の存在意義を感じさせるもの。

────────────────
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ホタル:はい、おしまい♡ 削除〜 ♪

ブルマン:もう顔出しはダメですよ?でもご馳走様でしたw>ホタル

こけし魔人:保存した

マスかき次郎:保存した

ホタル:おいww>こけし>マスかき

福助:こんばんは

マスかき次郎:こりゃあオナニーが捗る

ホタル:あ、こんばんはぁ♡>福助

ホタル:さすがマスかき次郎www>マスかき

福助:ホタルさん、ちょっと宜しいですか?

ホタル:はい、なんでしょう?>福助

福助:私とツーショットチャット29号室で話しませんか?

ホタル:え?ここじゃ駄目ですか?

福助:ここはオープンなので…

マスかき次郎:こらこら新入りくん、ホタルは皆のアイドルだから勝手な真似しないように>福助

こけし魔人:ホタルは俺の嫁>マスかき

福助:少しだけ、ものの五分だけでいいのです

ブルマン:ほらね、ホタルさん。こういう危ないのが寄ってくるから駄目なんですよ

ホタル:…まあ、少しだけならいいですよ。29ですね?>福助

福助:ええ、お待ちしております…では

────福助さんが退出しました

こけし魔人:行くなホタル

マスかき次郎:どうせアドレス教えろとかそんなん

ホタル:まあまあ。とりあえず行ってみるね。すぐに戻ってくるから♡

────ホタルさんが退出しました

ブルマン:………心配ですねぇ


────────────────
────────────────

《ツーショットチャット29号室》

ホタル:話って何ですか?

福助:簡単なお話です。このURLに来て頂けますか?http://────────

ホタル:これって?

福助:決して怪しいサイトじゃありません。とりあえずどうぞ…

────────────────
────────────────

言われるままに、峯釜がそのURLへ飛ぶと、モニターの向こうにどこかの部屋が映し出された。
ライブチャットルームのようだ。

そしてモニターの横から突然にゅっと顔が映し出される。
その顔の主は────

────────────────
────────────────


峯釜「────!!」

喪黒「どうもぉ、ホタルさん」

峯釜「も、喪黒さ……」

喪黒「画面越しの会話というのもまたオツですなぁ。時代の流れ、科学の進歩というものは早いものです」

峯釜「あ…あ……あの…」

喪黒「峯釜さん、私との約束を破りましたね?」

峯釜「ち、違うんです…その…お店を急に休めって言われて…だから……」

喪黒「言い訳は無用です。貴方はネットでのオカマ行為を卒業した。私は忠告したはずです。今度ネカマ行為をしたら二度と店には行けなくなるとね」

峯釜「っ!そ、それは困ります!ごめんなさい!お店に行けなくなるは嫌です!」

喪黒「峯釜さん」スッ←人差し指を指す

峯釜「ひっ…」

喪黒「冗談はそのふざけた身体だけになさい。貴方は男でもない女でもない中途半端な存在なのです。決して女になれたわけではない。TSなんて夢物語に過ぎません」

峯釜「でも…」

喪黒「貴女はただ注目を浴びたい、チヤホヤされたいが為に自ら安全な枠から飛び出したのです。あのお店がどれだけ安全でどれだけ恵まれていたかまだ分からないでいる…」

峯釜「そ、そんなこと…」

喪黒「ないとでも?いいでしょう。エゴの塊である貴方がどれだけ安全な鳥籠の内に居て恵まれていたかを知る良い機会です。身の程を知り、身の丈を知り、本来持つ女性の苦悩を貴方自身の身体で直接味わってみなさい…」

喪黒「どーーーーんっ!!」

峯釜「キャアアアアアアアアッ!!」

………………………
………………
………


峯釜「ん…」パチ

峯釜「ふぁあ…なんか、変な夢を見たような………」

峯釜「………あれっ!?」ゴソゴソ

峯釜「な…無い!私の…いや、俺のちんこがっ…無い!!」

峯釜「そんなまさか………」

────身の程を知り、身の丈を知り、本来持つ女性の苦悩を貴方自身の身体で直接味わってみなさい…

峯釜「………そ、そうだ!喪黒さん、あの人がやったのか!?」

峯釜「でもまさか…ど、どうやってこんなこと…」

峯釜「と、とにかく《魔の巣》に行かなきゃ!」ダダダ


────路地裏────

峯釜「な、無い!そんな馬鹿な!お店があった形跡まで無いなんて…!」

峯釜「ど、どうしよう…どうしようっ」

峯釜「………はっ、お店!お店に行って店長に聞いてみよう!」ダッ

────別の路地裏────

峯釜「イメクラまで無い………ど、どうして?俺は幻でも見てるのか………?それとも夢だったのか………それなら何で俺は “女” なんかになってんだ………」

峯釜「…だ、駄目だ。頭が混乱してまとまらない。とりあえず今日は帰って寝よう……」

不良A「おい姉ちゃん、こんな暗がりで何やってんの?」

峯釜「………へ?」

不良B「ちょっと遊んでこうか、な?」グイッ

峯釜「ちょ、ちょっと。俺は今はそれどころじゃないから」

不良A「へっへ、 “俺” だってよwww」

不良B「あー、なんか生意気系?お姉さんww」

峯釜「う、うつさいな!離せってば!」

不良B「ふんっ!」ドスッ

峯釜「うぐぅっ!?」ガク

不良A「おいおいww やり過ぎだろwww」

不良B「いや、腹殴っただけだから。っつか、ヤルのはこれからだべ?」

不良A「まあいっか。早く剥いちまうべ」ズルズル

不良B「ひょーww デッケーwww」モミモミモミ

峯釜「う…う………やめ…ろ………俺は男…だ…」

不良A「はいはい、黙ってしゃぶってねーwww」ズッ

峯釜「んぐっ!?………んんんっ!」

不良A「歯ぁ立てんなよ?おお、口まんこサイコーwww」ズッズッズッズッ

不良B「じゃあ俺はまんこな?」ズブゥッ

峯釜「んぶっ!!?…んぅっ……っ!!」

峯釜(濡れてもいないのに……無理やりなんて………痛いっ………痛いっいい!!)

不良B「うはっ!血が出てるww 処女だこの姉ちゃんwww ラッキーwww」ズッズッズッズッ

不良A「マジかよ!くっそ!俺がヤリたかったのによぉ」ズッズッズッズッ

峯釜「はぐっ…んむっ!んんん…っんっ!ぷあっ!…や………やめて………お願い……だから………あむっ…んんっ!」ジュプジュプ

不良A「うはははっ、やめねぇってのww」ズッズッズッズッ

不良B「あー、今日はツイてる!マジでこのまんこ最高!」パンパンパンパンッ!

峯釜(やだ…やだやだやだやだ………こんなの、こんなのやだぁ……)ボロボロ…

────繁華街────


峯釜「」フラ…フラ…

峯釜(女になっていきなりレイプなんて……)フラフラ…

峯釜(…どうしてこんな事に……)フラフラ

??「あの…ホタル…?」

峯釜「…え?」

??「やっぱり、ホタルでしょ? 俺、『マスかき次郎』!ほらオープンチャットの!」

峯釜「……っ」

峯釜「え?マスかき?あのっ?」

マスかき「そうそうっww いや、まさかホタル現物に会えるとは!!やっぱ美人だね!」

峯釜「お、………わ、私も驚き…」

マスかき「ってか、服はだけてるよ?なに?プライベートの生活でも色気出してんの?」

峯釜「あ、いやこれは…違くて……////」ゴソゴソ

マスかき「この辺俺の家近くてさ、良かったらおいでよ!」

峯釜「え、でも……」

マスかき「大丈夫だって!変な事しないから!それとも変な事した方がいい?www」

峯釜「い、いや、それはちょっと…」

マスかき「お茶飲むだけでも!ね!いいだろ!?」

峯釜「…う、わ、分かった…行くよ。でも、絶対変な事しちゃやだよ?」

マスかき「大丈夫大丈夫!絶対しないから!さあ、行こう!」



────マスかき宅────


峯釜「んっ…ぁ…はぁ…あっ♥」

マスかき「気持ちいい?ホタル…気持ちいい?」パンパンパンパンッ

峯釜「あっ…だめぇ………ダメなのぉ…♥ ひんっ♥ あっあっ………っ♥」

マスかき「ああ…ホタルと一つになれるなんて………ああ、このデカパイがまた…うほほっ!ジュルジュル…」パンパンパンパンッ

峯釜「あっやっ、吸っちゃ………あひっ♥ しないって…しないって言ったのにぃ…♥」

マスかき「はぁっ、はぁっ…!男の部屋にノコノコ来ておいてSEXしないはありえねぇだろ!本当は誰にでも股開く淫乱女なんだろ!?なぁ!?」ズッチュズッチュズッチュズッチュ

峯釜「違っ…あああっ♥ あっ、私はそんな………んっ♥ 違う…の…違うのぉ♥ 女だからって………あっ────」


────考えてみりゃ女って女ってだけで人生イージーモードだよな…

────俺みたいなブサイクでも愛想振りまいて………。おい、本当はエロいんだろ?夜は男のちんぽをしゃぶっておねだりしてんだろ?その口で何本咥えたんだ?

────お前ら女は愛想さえ振りまけばいいんだもんな?その股ぐらを開いてみせりゃ寄ってくんだもんなぁ?グチャグチャにかき混ぜてほしいってツラしてんぞ?エロい顔しやがって……そんなに欲しいならそこで股開いてみやがれ


峯釜「────そ、そっか…お、俺は何てことを………」

マスかき「おらっ!マン汁溢れてんぞ!?もっと早くか!?あっ!?激しいのが好きか!?こうか!?」パパパパパパパンッ

峯釜「あっ────っっっ♥ だ、め………早いのっだめっ♥ だめ、だめだめだめだめぇっ♥」ビクビクッ

峯釜(嫌なのに………嫌なのに抗えないっ…!身体が、仰け反っちゃう…!やだ、もう…頭が真っ白に………真っ白に────♥♥)

………………………
………………
………

峯釜「……ヒュー…ヒュー…」ガクガク…ガクガク…

マスかき「へっ、エロいケツだ…」ピシャリッ

峯釜「っ♥」ビクンッ

マスかき「へっへっ…今日はまだまだ遊んでやるからな」

峯釜「お、お願い…もう………許して………」ゼェ…ゼェ…

マスかき「まぁ待てよ…そろそろ………」

────ピンポーン

マスかき「………来たぞ」ニヤリ

マスかき「おう、開いてるから入れー」

??「マジでマジで!?ホタルちゃんが!?」ガチャ バタバタ

??「お、お邪魔します…」

峯釜「あっ…」バッ

マスかき「今更隠すなよwwホタル」

??「うひょー!!生ホタルちゃん!!」

??「ちょっ、マスかきさん!ホタルさんとやっちゃったんですか!?」

マスかき「やったwww」

ホタル「え…え…?これって…」

??「ホタルちゃん俺っ!こけし地蔵!」

ホタル「えっ…こ、こけしさん…」

??「僕、ブルマンです////」

ホタル「っ!…じゃ、じゃあ皆いつもの…」

マスかき「そう、いつものメンバーww で、これから皆のアイドル、ホタルちゃんとの乱交パーチーwww」

こけし「イェー!!」パチパチパチ

ブルマン「ほ、本当にいいんですかね?ホタルさん…」ジリ…

ホタル「えっ…いや…私は……でも…」

マスかき「………良いよな?ホタル」グイッ

ホタル「あっ…」

マスかき「 “皆を慰める” のがお前の仕事だろ?」モミモミ…

ホタル「あ………あああ………っ♥ だめ………だめだよぉ………♥ そんな………あっ、や…、待って…だめ、気持ち良くしちゃ………はぁ…♥ あっあっ…いや、本当に…そんないっぱい…おちんちん近付けない……で…♥…はぁ…凄…すごい匂い………はぁあ…♥…ああんっ、もう………もぅ私………ああああっ♥♥♥」ゾクゾク



………………………
………………
………


喪黒「────なんともはや…」クルッ

喪黒「全然堪えてませんねぇ」ノソノソ

喪黒「女性になれば或いは…と思いましたが私が思うよりとぉんでもないどスケベだったようです」ノソノソ

喪黒「女にしても返って喜ばせてしまいましたなぁ……」ノソノソ

喪黒「これじゃあ何の罰にもなりませんが…まあそれも若い内だけです。せいぜいおめこが擦り切れるまで愉しんでもらいましょう」ノソノソ

喪黒「おーっほっほっほっほ…」



第3話 『女になりたい』完


今度はまたいつ書くか分かりません。
が、ちょっと構想を練っているのでそれが書けた頃にまたお会いしましょう。
おーっほっほっほっ…

私の名は喪黒福造。
人呼んで『笑うセールスマン』。ただのセールスマンじゃ御座いません。
私の取り扱う品物は心…人間の心で御座います。



この世は老いも若きも男も女も
心の寂しい人ばかり
そんな皆様の心の隙間をお埋め致します
いえ、お金は一銭も頂きません
お客様が満足されれば
それが何よりの報酬で御座います
さて、今回のお客様は────


タシロ マサトシ
田代 雅俊(35)公務員


おーっほっほっほっほ…

────民家 浴室外窓────


田代「はぁ……はぁ………」シコシコシコ

田代「す、すごい……女ちゃん、あんなに成長して……」シコシコシコ

田代「────うっ」ドピュッ ドピュッ…

田代「…はぁ…はぁ、またやってしまった…」

??「わー!覗き魔ですよー!」

田代「えっ!?わっ!あわっ!」ドテッ

??「ほっほっほ、おやおや。ずいぶんと鈍臭い覗き魔さんですなぁ」

田代「ちょっちょ、な、何言ってるんですか!ひ、人聞きの悪いことをっ!!」

────ガララッ!

田代「ひっ!?」

女「た、田代さん!?またですか、もう!!」

田代「い、いや…『人の風呂見て我が振り直せ』というギャグを作ろうと思いまして…」

女「いい加減にして下さいっ!」バシャアッ

田代「うわっぷっ!」


………………………
………………
………

────公園────


??「はい、タオルです。どうぞお使い下さい」

田代「あ、どうもすいません…」フキフキ

??「ところで何であのような覗き行為を?」

田代「いえ、ですからあれは『人の風呂見て我が振り直せ』というギャグを────」

??「ほっほっほ、面白い方ですね。でもそういうのはいいですから本当のことを仰って下さい」

田代「………やめられないんです」

??「やめられない?覗き行為をですか?」

田代「はい…。こう見えて俺はモテる方なんです。でも、俺は覗き行為でしか満足出来ないんです!」

??「なるほどなるほど。それは窃視症と呼ばれるものですね」

田代「窃視症…?貴方はお医者さんか何かですか
?」

??「いえいえ、そんな偉そうな人じゃありません。私はこういったものです」スッ

田代「…『ココロのスキマ♡お埋めします』…喪黒福造? 薬の売人ですか?」

喪黒「およしなさい。覗きだけなら世間も笑って許してくれましょうが、薬までやったら身の破滅ですよ?それに私はただのセールスマンです。お客様の抱えてるお悩みをお助けするのが私の仕事でございます」

田代「なるほど、覚醒剤ですか…」

喪黒「ほっほっほ、人の話は聞くものですよ」

………………………
………………
………

田代「────でね、言ってやったんですよ!『何だ罪(ツミ)はってか?』…て」ハハハハハハッ

喪黒「ほっほっほ………いやもう結構ですよ、田代さん。そろそろ本題に入りましょうか」

田代「え?何でしたっけ?」

喪黒「貴方の覗き癖についてです」

田代「ああ…そんなことはまあどうでもいいですよ。それより」

喪黒「どうでもいいことはないでしょう。そんなことでは捕まりますよ?」

田代「捕まってから考えます」

喪黒「…………いいでしょう。田代さん、私が覗きたい時に覗ける場所を貴方に提供します」

田代「いや、それは結構です」

喪黒「何故です?」

田代「喪黒さん、あんた分かってないよ。人の用意した覗き場所は本当の意味での覗きじゃない。あんたが言ってるのは『万引き犯は物を手に入れるだけの為に万引きをしてる』と言ってるようなもんだ」

喪黒「田代さんは違うと?」

田代「金があったって万引きする人が居るでしょう?俺だって好きにできる女の一人や二人は居るんですよ。でも覗き行為はやめられない。女の裸ぎ見たいんじゃなくて、覗きたいんだよ…俺は」

喪黒「ですから私がその場所をご用意」

田代「用意された時点でそれは覗きじゃなくなってる。覗かせてもらってる以上、それは覗きとは呼べない」

喪黒「奥が深いですなぁ。それが田代さんの覗き道ですか」

田代「タバコ、いいっすか?」

喪黒「どうぞ」

田代「………ふーっ。普段覗けない女の秘密を覗く…それが一番興奮するんです。覗かれるか覗くか、一歩間違えれば社会的信用をいっぺんに失うというリスクと引き換えに快感を得る。これが良いんですよ」

喪黒「そうですか。それでは私から何か協力することも」

田代「無いですね」

喪黒「ほっほっ…分かりました。しかし田代さん」スッ←人差し指を指す

田代「何です?」

喪黒「今のまま続けていたら本当に取り返しのつかないことになります。本当にそれで良いのですか?」

田代「……ああ、大丈夫だぁっ!っつってww」

喪黒「パクリばかりですね。良いでしょう。私の警告を無視したのですから、どうなっても知りませんよぉ?」ズイ

喪黒「どーーーーんっ!!」

田代「だっふんだぁあああーーー!!」

────渋谷 大型ビジョン────

キャスター「昨夜未明、◯◯駅構内にて女性のスカート内を盗撮したとして、豊島区役所職員の田代雅俊さんが書類送検されました。調べによると田代容疑者は他にも覚醒剤の服用もあり、警察当局は余罪の追求をしています。田代容疑者は女性のスカート内の盗撮について、『ミニにタコができたというギャグを考えていた』など、意味不明な釈明をしており────」



喪黒「だぁから言わんこっちゃない」クルッ

喪黒「たかが覗きに変なプロ意識を持つなんて…。私の提案に乗ってればこんなことにはならなったのに…」ノソノソ

喪黒「それにしても絶望的なギャグセンスです。やはり犯罪者というのはどこか頭がおかしいのでしょう」ノソノソ

喪黒「まあ、どうせこの手の輩は何度も罪を繰り返すものです。世の女性の為にも彼は一生檻の中にいた方がいいでしょうなぁ…」ノソノソ

喪黒「おーっほっほっほ…」




第3.5話 『覗き魔は繰り返す』 完

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