半沢直樹「シンデレラプロジェクト担当の半沢です」 (22)

大和田常務の人とは別人

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今西部長「おぉ、おでましだね」

「お疲れさまです」

「荷物を」

大和田常務「ありがとう。あー、君、頼んでおいた書類は?」

「ここに」

今西「やあ、見違えたね」

大和田「ご無沙汰してます、今西課長、いや、今は部長でしたね」



今西「驚いたよ。帰国したその足で出社とは」

大和田「時間を無駄にしたくないもので」

今西「中野渡会長に帰国の報告はいいのかい?」

大和田「私なぞがご挨拶に伺っては、かえってご迷惑でしょう。知らせてはありますが」



――――――――――


半沢が渡真利の部署のアイドルたちの共同で開催したサマーフェスから1か月が過ぎようとしていた。

アイドル部門の新規プロジェクトの担当プロデューサーとして、半沢は十分な成果をあげていた。

渡真利「じゃ、半沢の部署のアルバム発売を祝って、乾杯!」

半沢「乾杯」

渡真利「大盛り上がりのサマーフェスから、アルバムの発売。初動も上場らしいじゃないか」

半沢「まあな。アイドルたちが頑張ってくれたからな」

渡真利「半沢もすっかりプロデューサーだな」

半沢「先に異動してた、お前がいてくれたからな。正直、かなり助かったよ」

渡真利「おいおい、そういうこと言うなら先に教えてといてくれよ。録音できなかったじゃんか」

半沢「やめてくれ」

渡真利「おい、そういえば噂は聞いてるか?」

半沢「噂?」

渡真利「海外の関連企業に行ってた大和田さんが常務として本社に帰ってくるらしいぞ」

半沢「大和田さんが?」

渡真利「あぁ。しかも、アイドル部門。俺らのとこ」

半沢「確かにうちは担当役員はいなかったな」

渡真利「俳優部門出身の大和田さんが来たら、同じ俳優部門出身の俺らにとっちゃ、おいしい話だ」

半沢「そうか…」

渡真利「ただ、なにやらトップダウンで何か始めようとしてるって噂もある」

半沢「ま、上で何があろうと、俺たちは目の前のアイドルを大切にするだけだ」

渡真利「お、アイドル部門のホープは言うことが違うね」

半沢(大和田か…)


――――――――――――


『直樹! 父ちゃんな、今度のドラマ、わき役だがレギュラーに決まったぞ!』

『本当! 父ちゃんやったね!』



『なんでですか! 役が決まったってあなた言ったじゃないですか!』

『バーターを優先って、それはそうでしょうけど、でも、そんなことって!!』




『父ちゃん…? 父ちゃん…!!!!』



――――――――――――――


本田未央「仕事、少しずつ増えてきたよね」

島村卯月「本当、すごいです♪」

ガチャ

「おはようござ…います」

今西「おはよう」

未央「…誰」ボソ

卯月「…さぁ」

大和田「ニュージェレーションズ」

「はいっ」

大和田「はっはっは、仕事、頑張りたまえ」

ガチャ

今西「揃ったね。こちら、大和田常務。NYの関連会社から戻られ、これからアイドル部門の統括重役になる」

「よ、よろしくお願いします!」

今西「常務、彼がこのシンデレラプロジェクトを担当している」

大和田「おぉ、君が半沢くんかね。資料見たよ。良くできている」

半沢「…ありがとうございます」

大和田「なんでも、君は俳優部門の出身だそうだね」

半沢「…はい」

大和田「私もそこ出身でね。はっはっは、優秀な人材が育っている、喜ばしいことだねぇ。期待してるよ、半沢くん」

半沢「…よろしく、お願いします」




今西「君が、こういった交流を嫌うとはちょっと意外だったな」

半沢「申し訳ございません、今西部長」

今西「今日、また会食の誘いがあったよ。常務は君にご執心のようだ」

半沢「……」

今西「彼が昔の部下とはいえ、さすがに断りきれなくてね。すまんが、今回だけは行ってやってくれ」

半沢「……はい」




―――――――――――

大和田「半沢くんは、今の346プロダクションをどう思ってるかね」

大和田「私は正直、憂いている」

大和田「アイドル部門の発足は、確かにアイドル全盛の現代には適しているように感じる」

大和田「だが実際ふたを開けてみれば、そこらの地下アイドルほとんど変わりない仕事ばかりやらせている」

大和田「我々、旧俳優部門の人間からすれば、いかにこれが346プロダクションにそぐわないかわかるはずだ」

半沢「まだ部門が若いですから」

大和田「そりゃわかっているよ。だけどね、金の使い方とネームバリューの使い方が中野渡会長にはわからないんだよ」

大和田「半沢くん、私とともに、プロジェクトを起こさないか」

大和田「我々の手で、アイドル部門の立て直しを図ろうじゃないか。はっはっは」

半沢「……」

大和田「それにしても、テレビ下火の時代でこういう仕事も先行きがわからんよ。ご両親は何を?」

半沢「……父は駿河学という芸名で、俳優を」

大和田「俳優。はぁ…このご時世じゃ本当に大変だろう。しかしまあ君が立派なプロデューサーになったんだから、ご両親もさぞ心強いだろう」

半沢「……父は25年前に他界しました」

大和田「あそう。…君、小さかったんじゃないの」

半沢「……えぇ」

大和田「君も苦労したんだねぇ。私で力になれることがあったら、なんでもいいたまえ」

大和田「今後も力を合わせて346プロダクションを盛り上げていこうじゃないか」

半沢「……っ」






半沢「蘭子、お疲れ様」

神崎蘭子「造作もなきこと…あ、きゃあああぁぁぁ」

半沢「!? どうした」

蘭子「そこに人影が…あ、あれ?」



高森藍子「今日のゲストはラブライカのお二人です」

半沢「…ん?」



緒方智絵里「ひ、う、後ろ、変な人影が!」

半沢「何っ!」




城ケ崎莉嘉「どうしたの、Pくん」

半沢「いや」

赤城みりあ「わかった、かくれんぼ!」

卯月「後ろに誰かいるんですか?」

未央「借金取りに追われてるとか?」

半沢「バカ言え、借金なんてない」

半沢「だが、お前たちにも関わることだ」




未央「誰かにずっと見られてる!?」

卯月「振り向くと謎の女の影!?」

莉嘉「それって幽霊!? 幽霊なの?!」

みりあ「わたしも幽霊みたーい!」

半沢「はぁ…幽霊じゃない。俺のこと嗅ぎまわってる奴でもいるんだろう」

未央「あープロデューサー恨まれることしてそうだもんね」

未央「昔プロデューサーにオーディション落とされた女の子がこの事務所で~」

卯月「ひぃ~~~やめてくださいよぉぉ」

半沢「智絵里や蘭子はおびえている。仕事に支障があるからな、早いとこ見つけ出して捕まえるさ」

未央「おぉ! かっこいいね、プロデューサー!」

半沢「基本的には性善説。だが、やられたらやり返す。倍返しだ」




キキ、ガラガラ

未央「不審者、見当たらず。異常なし!」

卯月「こちらも異常なしです!」

渋谷凛「…異常なし」

半沢「今日はミニライブイベントの会場と段取りの確認だ。申し訳ないが、あいさつのあと、俺は次の現場に行く」

未央「次の現場ってどこ、プロデューサー?」

半沢「凸レーションのポスター撮影だ」

未央「おっけー! 連絡しとくね!」

凛「ねぇ…みんなの探偵ごっこのネタにされてるってわかってる?」

半沢「わかってるさ」

凛「いいの? ほっといて」

半沢「見えない何かにおびえさせてるより、探偵ごっこをさせて楽しませてた方がいいさ」

凛「むぅ」

半沢「凛はどうだ」

凛「探偵とかはちょっと…」

半沢「いや、そっちじゃない。フェスも終わって、仕事も順調だ。楽しめているか」

凛「…楽しくなる、途中かな」

半沢「…わかった。今日も仕事、頼んだぞ」






半沢「佐久間まゆからの手紙を預かってきた?」

卯月「はいぃ…」

半沢(18時に事務所の噴水…何の用か…)







未央「はぁあ?」

多田李衣奈「自分の担当プロデューサーの誕生日?」

半沢「あぁ、俺と渡真利は同期入社だからな。ここ数日機会をうかがってたそうだ」

莉嘉「なぁんだ」

未央「まゆちゃんのお目当ては別のプロデューサーさんかぁ」

前川みく「まったく、そんなことだろうと思ったにゃ」

莉嘉「残念だったね、Pくん!せっかく告白されると思ったのに」

卯月「そうですねよね!あの…気を落とさずに」

半沢「バカ言え、俺は既婚で子持ちだぞ。これで一件落着だ。騒がせたバツとして渡真利にはたっぷりごちそうになるさ」

みりあ「えー! いいなぁ! みりあもいーく、みりあもいーくっ!」


あはははははは





大和田「あー、諸君。忙しい中、時間を取らせて申し訳ない。手短に済ませよう」

大和田「統括重役としての私の方針を先に言っておこうと思ってね」

大和田「現アイドル事業部門のすべてのプロジェクトを解体し、白紙に戻す」




続かない

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