菜々「ナナは17歳ですから!」 (27)

【モバマスSS】です

※注意書き※
・アニメシンデレラガールズ2nd SEASON第2話のネタバレを若干含みます。



――――346カフェ

瑞樹「それでは楓ちゃんのLIVE成功をお祝いして~、かんぱーい!」キンッ

早苗「乾杯ー!」キンッ

楓「かんぱーい」キンッ

早苗「ごくっ……ごくっ……ごくっ……ぷはぁー! やっぱりビールって最高よねー! 菜々ちゃーん、追加ー!」

菜々「あっ、はい、ただいまー!」

瑞樹「早苗ちゃんもうジョッキ空けちゃったの? ちょっとペース速くない?」


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※安部菜々
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※川島瑞樹
http://i.imgur.com/6Vk4Lyy.jpg

※片桐早苗
http://i.imgur.com/UQMYSrj.jpg

※高垣楓
http://i.imgur.com/81JVb7h.jpg


早苗「いいのよ、こういう時は呑まなきゃやってらんないの! それにしても楓ちゃんごめんね」

楓「はい?」

早苗「ほら、今回のLIVEの前に美城常務の話断ったことで問い詰めた時があったじゃない」

楓「あぁ、そういえば……でも、気にしてませんし、大丈夫ですよ」グビッ

瑞樹「でも、ファンの人との思い出の場所でLIVEがしたいってことなら、どうしてあの時そう素直に言ってくれなかったのよ?」

楓「なんだかあの場でファンの人達を理由にするのはいけない気がして……それに私にだって意地がありますから」

早苗「流石ねぇ。確かに、今回の美城常務の話はいろいろとおかしいことだらけだし、楓ちゃんの行動は正しいわ!」


楓「婦警さんにそう言ってもらえるなら、不敬なことではなかったということで安心できちゃいます」

早苗「もと、だけどね。けど、楓ちゃんの行動で美城常務も少しは反省するかしら?」

瑞樹「どうかしらね……ああいう人は多分……」グビッ

菜々「お待たせしましたー! 追加のビールと、こちらお料理のサーモンのサラダに……ってなんだか空気が重いですね?」

早苗「おっ、きたきた待ってましたー! んふふ、話の内容が気になるなら菜々ちゃんも一緒に混ざる?」

菜々「な、ナナは17歳ですから! お酒なんて呑めないですよ!」

早苗「誰もお酒を一緒なんて言ってないんだけどなぁー?」


菜々「はぐぅ……! し、しまった……」

楓「ふふっ。それにしても346カフェが夜間だとバーにもなるなんて驚いちゃいましたね」

瑞樹「まったくよねぇ。プロデューサーから、今の状況で外に飲みに行くのはマスコミに恰好の話題を提供するからやめてくれ」

瑞樹「なんて言われた時はすごく困っちゃったけど、代わりにまさか346プロの中でお酒が飲めるなんてほんとびっくりよ」

菜々「と言っても、これは本来の営業方法じゃありませんから、あまりおおっぴらに話を広めるのだけはやめてくださいね?」

菜々「元々は激務で休めない社員の方に相談されて、少しでも心を休めてもらおうとマスターがひっそりやり始めたことですから」

菜々「今回は特別にアイドルの皆さんが呑まれるということで、なにがあってもいいようにナナだけが店番をしていますけど……」


早苗「ごくっ……ごくっ……ふぅ、もちろん秘密にするわよ。こんな近場でおいしい酒を飲める場所を潰されたくないもの」

瑞樹「あら、元婦警がそんなこと言っていいのかしら?」

早苗「元だからいいのー! それより菜々ちゃん、ビールおかわり!」ドンッ

菜々「も、もうですか!? さっき追加したばっかり……と、とにかくすぐに持ってきます!」タタッ

楓「早苗さん、なんだか今日は荒れてますね」グビッ

早苗「それもこれも全部美城常務が悪いのよ! まったく、なによいきなり全プロジェクト白紙って……あたし達のことは無視なの?」モグモグ

早苗「あたし達が今日まで頑張ってきたのは、常務に認められたいためじゃないってのに!」モグモグ


楓「早苗さん……」

瑞樹「早苗ちゃんが怒るのも分かるわ……でも、美城常務がやろうとしてることも私は理解出来るのよ」

早苗「えっ? なによ、瑞樹ちゃんは美城常務の肩を持つっていうの!?」ガタンッ

瑞樹「落ち着いて、理解出来るってだけよ。確かに美城常務のやり方は非難も多いでしょうけど、会社経営という点から見ると間違いでもないの」

瑞樹「この346プロ所属のアイドルの人数に対して、現状のやり方は一人ひとりの個性を伸ばす方法。これでは成果が出るまでに時間が掛かり過ぎる」

瑞樹「そして、成果が出たとしてもそれが必ず投資に見合った結果とは限らない。正直、経営者としてはリスクが大きすぎる方法よね」

楓「だから、すでに成果が出ている者にさらなる投資を行い、それによって得た利益で新たに有望な存在を……ということでしょうか?」


瑞樹「ええ、ふるいをかけて最初からある程度成果が出せている人間だけを残す方法にすれば、経営者としてはとても管理がしやすくなるわ」グビッ

瑞樹「……ふぅ。嫌な言い方になるけど、今のアイドル部門は管理をする側にとってはすごく頭が痛くなることをしてるってことね」

早苗「そんな今更、管理がどうとか、お金がどうとか……そんなのことでアイドルの皆を好き勝手……!」

瑞樹「だから私も理解は出来るって言ったのよ。心配しなくても、納得なんてこれっぽっちもしてないわ♪」

瑞樹「一人ひとりの長所も短所もちゃんと見てくれる今のやり方が好きだからこそ、アナウンサーをやめてまでここでアイドルになったのよ?」

瑞樹「それをいきなり変えられるなんてすごく困るわ。だから私も楓ちゃんのように自分の出来る方法で美城常務に対抗していくわよ!」

楓「……良かった。瑞樹さんにそう言って貰えるなら心強いです。実を言うと、一人だけだと少しだけ心細くて……」


菜々「はぇー……なんだかすごいお話をされています……あ、追加のビールと、お料理のエビのチーズ焼きです」ゴトッ

早苗「ん、ありがと!」

菜々「それにしても、楓さんも瑞樹さんも、そうやって美城常務に立ち向かおうとされるなんてかっこいいです!」

楓「菜々さんはどうされるんですか? やっぱり今回のことで色々大変だと思いますけど……」

菜々「え、ナナですか? ナナは……そうですね、お二人のようにかっこ良く宣言出来ればいいんですけど……」

楓「……? なにか、出来ない理由でも……?」

菜々「いえ、ほら、お二人はもう346プロにとって無くてはならない人ですから。でもナナは違います……きっと、反抗したらそれで終わりです」


瑞樹「そ、そんなことはないわよ! 菜々ちゃんなら……っ!」

菜々「いいんです、自分で一番良く分かってますから。アイドルとしてのナナの立ち位置くらいは」ギュッ

菜々「……ずっと、努力して……夢を追いかけて……それでも駄目なことがあるってことも……だから、お二人がカッコイイんです」

菜々「きっと、これからアイドルとして育っていく子達も、皆さんのような先輩がいればとっても心強いと思います!」

菜々「だから……負けないでください! ナナも……えっと……あれ?」

楓「菜々さん……?」

菜々「あれ……おかしいな、ウサミン星人はいつでも明るくて……だから悲しくて泣いたりなんか……」グスッ


早苗「……暗い」ヒック

三人「「「えっ?」」」

早苗「暗いくらいくらーいっ!! なんでせっかくのお酒の席でこんなに暗い感じになるのよ! 菜々ちゃん!」

菜々「はっ、はい!」ビクッ

早苗「もうこうなったらビールあるだけ持ってきなさい! あと楓ちゃん用に日本酒も! ついでに他のお酒があったらそれも!」

菜々「そ、それは流石に……あの、もしかして早苗さんもう酔われて」

早苗「酔ってないわよ! お酒呑んでる時に暗い空気が嫌なのっ! つべこべ言わずに持ってくる!」


菜々「か、かしこまりましたー!」タタタッ

楓「……早苗さん、ありがとうございます」ペコッ

瑞樹「ちょっといくらなんでもデリカシーのない話題だったわね。反省するわ」

早苗「いいのよ。それに菜々ちゃんの気持ちも分かるから」モグモグ ゴクゴクッ

楓「……菜々さんと早苗さんだと、大分考え方が違うように思いますけど……」

早苗「そうでもないわよ。あたしだって怖いのよ、楓ちゃんのように元モデルのトップアイドルというわけでもない」モグモグ

早苗「瑞樹ちゃんのように元女子アナの美人アイドルというわけでもない……あたしの立ち位置だって二人に比べたら脆いもの」ゴクゴクッ


瑞樹「早苗ちゃんだって、元婦警っていうスゴイ肩書があるじゃない」

早苗「そうね、でもあたしの場合は二人と決定的に違う部分があるわ。あたしは『セクシーギルティ』の片桐早苗として有名ということよ」

楓「それはもちろん。だって私と瑞樹さんはセクシーギルティのメンバーではないですよ?」グビッ

早苗「楓ちゃんも酔ってきてない? そういう意味じゃないの、二人は個人ですごく有名だけど、あたしはユニットで有名ってこと」

瑞樹「……つまり、今回のことでもしもソロ活動することになった時が怖いっていうことかしら?」

早苗「そういうこと。セクシーギルティじゃない片桐早苗という存在に、どれだけの人が興味を持ってくれるの? 10人? 100人?」

早苗「本当は皆ユッコちゃんや雫ちゃんを見に来てるだけで、一回りも歳が違うあたしのことなんて見てないのかもしれない」ゴクゴクッ


早苗「それだけでなくて、年下の二人がもっと上に行けるのをあたしが足を引っ張ってるんじゃないか……そんな風に考え始めるとね」

瑞樹「早苗ちゃん、それは良くないわ。悪い方向に考え出したらキリがないのよ?」

早苗「わかってるわよ。でも情けないことにこういう事態が起きるとどうしても頭をチラついちゃうの、あたしは不要だっていう考えが」

楓「そんな、早苗さんは必要です、絶対」

早苗「……ありがと。でも、結局はっきりとした自信なんてないの。だから菜々ちゃんの不安になる気持ちもわかるのよあたし」

楓「……」グビッ

菜々「お、お待たせしました、ビールいっぱいに日本酒に、焼酎とハイボールです!」


早苗「よーし来たわね! さあ呑むわよ! 今日はもうあとは会話なんてしないでお酒を呑むことだけを考えるのよ♪ 瑞樹ちゃん!」

瑞樹「……そうね、今日は元々楓ちゃんのお祝いのために飲み始めたものね! なら私はハイボールをもらうわ」

菜々「はい、ハイボールですね! 楓さんは……」

楓「このコップいっぱいに日本酒を」

菜々「はい! …………とと、これくらいでいいですか?」

楓「十分です。あとは菜々さんも」

菜々「だ、だからナナは17歳で……」


早苗「ここにいるメンバーに今更そんなこと言っても意味ないわよ。菜々ちゃんも一緒に付き合いなさい♪ おねーさんからの命令だぞ!」

瑞樹「今日くらい羽目を外しても誰も文句を言わないわよ。菜々ちゃんだって苦労してるんだから、ね?」

菜々「……じゃ、じゃあ少しだけ……頂きます……」ペコッ

早苗「よーし、じゃあ改めて四人で♪ 代表して楓ちゃん気の利いたことお願い!」

楓「はい。では、これから色々あるけれど、まずはお酒を飲んで悪い未来なんて避けましょう」

早苗「その通りね! じゃあ――」

四人「「「「かんぱーい!」」」」キンキンッ


―――――2時間後

早苗「……うう……ん……」

瑞樹「……もう……飲めない……わ……」

菜々「結局ここにあったお酒ほとんど全部呑まれちゃいました……明日仕入れないとなぁ」

楓「ふふっ……でも、そのおかげで楽しい時間になりましたよね」グビッ

菜々「はいとっても。久しぶりに素直に笑えた気がします……」

楓「……あの、菜々さんはお仕事を掛け持ちされてまで、どうしてアイドルをされるのでしょうか?」


菜々「……憧れなんです。歌って、踊って、そうやって見る人をキラキラした笑顔にする……ナナも、笑顔にされた一人ですから」グビッ

菜々「小さいころに見たステージに立っていた人は、とっても綺麗で……ああなりたいなと思ってこの世界に飛び込んで」グビッ

菜々「憧れ続けてもう何年も……きっと、バカみたいだと思ってる人もいるかもしれません。でも、ナナは……」

楓(そういえば、菜々さんは346プロの中でもかなりの古株って話がありましたっけ……)グビッ

楓「ところで、菜々さんって本当は何歳なんでしょう?」

菜々「気になります?」

楓「それは……」


菜々「いいですよ、楓さんなら信頼出来ますから。耳を貸してください。ナナの年齢はですね――」ヒソヒソ

楓「……!? えっ、あの、えっ……!?」

菜々「キャハっ! 驚いちゃいましたか? 楓さんのそんな顔を見るなんてナナって結構ラッキーですね♪」

楓「だって、そんな……そんな風には見えなくて……」

菜々「憧れ続けるって、大変なんです……なんちゃってー♪ これがウサミンパワーというわけです!」

楓「……すごいですね、ウサミンパワー」

菜々「……それでも、もう後がなくて、次のチャンスがあればそれが最後かもしれません」


楓「どうしてですか、菜々さんならもっと……」

菜々「……346プロダクションに入ってからずっと、色んなすごい人達を見てきました。楓さんのような人も何人も」

楓「……」グビッ

菜々「そうした人達に比べたら、ナナはきっとステージの近くで揺れる小さな光です。だから……」

楓「だから、諦めるんですか?」

菜々「プロダクションも変わっていきます、なら、きっとこの辺りがいいタイミング――」

楓「そんなこと、ないです」


菜々「……楓さん?」

楓「変わっていくからこそ、菜々さんのような人が必要なんです。私にはうまく言葉に出来ませんが、それでも」ギュッ

菜々「あっ……」

楓「菜々さんなら大丈夫です。誰よりもアイドルに憧れている菜々さんならきっと、もうすぐ大きなチャンスもつかめるはずです」

菜々「……ナナが……ですか?」

楓「はい」

菜々「……えへへ、不思議ですね。楓さんにそう言われたら、なんだか本当にそんな気がしてきます」


楓「ふふっ、そんな気になってもらわないと困ります。せっかく一緒にお酒が飲める人が減ってしまうのは寂しいですから」

菜々「あっ、実はそっちのほうが大事な……って、その前にナナは永遠の17歳ですからね? 本当は呑んじゃ駄目なんですよ?」

楓「はいはい……ふふっ」

ガチャン!

菜々「きゃ!?」

早苗「……ユッコちゃん……雫ちゃん……お姉さんは……むにゃ……」

瑞樹「……スゥ……スゥ……」


楓「静かだと思ったら完全に眠っちゃったんですね……」

菜々「あらら……だったらもう片付けてもいいみたいですね」

楓「あっ、手伝います」

菜々「いえ、これはナナのお仕事ですから。それと……」

楓「それと?」

菜々「そろそろ手を離してもらってもいいですか?」

楓「……あっ」パッ

菜々「……さて、では楓さんにはしばらく早苗さんと瑞樹さんをお任せしちゃいます。片付けが済んだらタクシーの手配をしますので」


楓「ご迷惑をお掛けして……」

菜々「いいんですこれくらい! 一応今のナナはここの店員でもあるんですから」カチャカチャ

楓「では、私はしっかり二人を見張っておきます」

菜々「ありがとうございます、すぐに片付けますからねー♪」カチャカチャ

菜々(さて、結構な空き瓶にジョッキにグラス……洗い物が大変ですねぇ)

――菜々さんなら大丈夫です。

菜々(……フフフ……でも、これもアイドルの夢を叶えるため! ナナ、張り切っていきますよーっ!)

〈終〉

アニメの2話の内容と次回予告を見て思いついたネタ
25歳以上のアイドルで数少ない声付きの四人の絡みはもっと見てみたい、あとウサミンは早くアニメでも報われてくれ
読んでくださった方ありがとうございました

一つ前に書いた物
凛「存在変換セット?」ちひろ「はい!」
凛「存在変換セット?」ちひろ「はい!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436640630/)

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