古泉「あなたは僕が守ります」まどか「…古泉くん」 (29)

ハルヒ→まどか
キョン→古泉
長門→QB
みくる→ほむら
古泉→キョン




古泉、転校初日

古泉「…さてと、今日から新しい学校ですね」

真新しいオシャレな制服に袖を通し、僕は新しい「僕の家」であるところのマンションの一室を出た。
一人きりで狭苦しい部屋にいたところで気が滅入るだけだし、
高校まで地図片手に行かなくてはならないのだから、
早めに家を出るのは当然だろうと思ったのだけれど、
校庭に部活生の姿さえ見えないのを見ると失敗だった気がした。

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ちげえよ何勘違いしてる

とりあえずさ
まどか「ほむらちゃんが…私を…[ピーーー]…?」
このスレ完結しないで放置してこんなスレ立ててるんだから荒らしだよね

初夏の日差しと長い坂道のせいでうっすらとにじんで来た汗をぬぐいつつ、僕は広い校庭を見回した。
どこに何があるのか覚えるだけでも苦労しそうだ。
とりあえず、大判の封筒で送られてきた書類にあった校内の地図と見比べながら、
ひとりで歩いてみていると、中庭に人影を見つけて足を止めた。
大きくも小さくもない、ほどほどの大きさで青々と茂る木を見上げているのは、桃色の髪の少女だった。
思わず目を奪われるような小柄で愛らしさを持った彼女は、その木に何か思い入れでもあるのだろうか、熱心に見つめ続けている。
孤児で田舎育ちの僕は、都会の子って何か不思議な感じだなぁなんて妙な感心をしながら彼女を見つめた。

>>5
それの続きはちゃんと書くよ

僕が近づいても気がつかない様子でいるので、ついつい足音を殺して近づいて見たのがいけなかったのだろうか。
あと二、三歩の距離まで近づいたところで、彼女が僕に気付き、

まどか「きゃっ…」

と小さく声を上げた。
女の子がそんな風に愛らしい声を上げて驚くのなんて、テレビ以外で聞いたことのなかった僕は、
思わずそれに聞き惚れつつも、

古泉「驚かせてすみません。そんなつもりはなかったのですが…」

と出来る限り丁寧に言ってみた。

田舎の訛りが出たら恥かしいからでもあったし、そうした方がいいと思わせるような可愛らしい美少女だったからでもある。
彼女には特に変にも思われなかったようで、

まどか「あ…。私こそ、ごめんなさい」

ぺこりと頭を下げるのも可愛い。
同じ一年生だろうか、だったら、同じクラスになれたらいいですね、などと少々不埒なことを思いながら、

古泉「何をしてらしたんですか?」

と聞いてしまったのは、男のサガとでもいうべきでしょうか。
美少女とお近づきになれるような機会をみすみす逃したいと思うほど、僕だって奥手じゃない。

まどか「私は…ちょっと、考え事をしてました。早く来すぎちゃったから」

はにかむように笑った彼女に釣られるように僕も微笑し

古泉「僕もなんです。今日からここの生徒になるのですが、張り切りすぎてしまったようで」

まどか「転校して来たの?」

古泉「ええ」

まどか「こんな時期になんて…なんだかちょっと不思議な感じだね」

と楽しそうに笑う彼女へ、

古泉「そうですか? では、理由は内緒にしておきましょう。本当のところは不思議でもなければ面白くもありませんからね」

と悪戯っぽく言ってみると、彼女は意外にも悲しげな顔をした。

まどか「…そう…だよね…」

呟く声にも力がない。
彼女は表情を曇らせたまま、まるで独り言のように呟いた。

まどか「本当のことって、どうして面白くないのかな。
    不思議なことだって思っても、種明かしされちゃうと全然不思議じゃなくなっちゃう…」

古泉「そうですね。…僕も、テレビの超常現象特集とかが好きで、よく見たりもするんですけど、
   どう贔屓目に見ても、嘘っぽくなってしまうんです。もっと不思議なことがあってもいいと思うんですけど」

彼女は僕の言葉に驚いたように僕を見て、それから嬉しそうに笑った。
そんな風に満面の笑みを浮かべると、更に可愛く愛らしく見える。

まどか「そうだよね。――てぃひひ!初めて同意してもらえちゃった!」

古泉「そうなんですか?」

聞き返しながら、内心で、そうかもしれないと思った。

彼女は楚々とした可愛げな美少女で、そうであればこそ、
世の中がもっと不思議であって欲しいなんて突飛なことを思っているようには見えなかったからだ。
彼女が、幽霊やUFOやUMAの実在性を力説したところで、本気で言っていると取る人間はそういやしないだろう。
リリカルにも、妖精や天使と戯れることを夢見ているのであれば、この上なく似合ったかもしれませんが。
僕がそんなことを思っているとは気付きもせずに、彼女は夢見るような瞳で語った。

まどか「私、時々思うんだけど、人間ばかりが威張っちゃってるから、
    戦争とかも起こっちゃうんじゃないのかなって。
    もっと、宇宙人とか未来人とか異世界人とか超能力者とか
    …もっと、色々な人たちがいたら、立場も考え方も出来ることも違うような人たちがいたら、
    かえってそうはならないんじゃないかなって」

古泉「それは、人類に共通の敵を、ということではないんですよね?」

確かめるように問う僕に、彼女は気を悪くした様子もなく、

まどか「勿論、違うよ。それで戦ってたら同じじゃないと思う」

でも、と彼女は楽しげに笑った。

まどか「全く違ってたら、かえってケンカもしないでしょ? 
    そしたらその内、自分たちのことも客観的に見られるようになるんじゃないかなって。
    …うまく、言えないけど」

古泉「ああいえ、なんとなくですが分かりますよ」

まどか「本当?」

嬉しそうに顔を輝かせる彼女に、僕も笑みを返し、

古泉「ええ、本当ですよ」

と答えれば、彼女はなんとなくぼんやりした表情で僕を見つめた。


まどか「…あの……?」

古泉「どうかしましたか?」

まどか「…あ、ご、ごめん。なんだか、どこかで会ったことがあるような気がして…。
    でも、気のせいだよね? ごめんなさい」

赤くなった彼女は慌てて謝り、

まどか「…あの、また、お話、出来るかな?」

と上目遣いに僕を見つめた。
そんな様子も可愛らしくて、

古泉「僕でよければ、いくらでも」

と安請け合いすると、彼女は更に花のような笑みを見せ、

まどか「うん、約束だよ!」

と言って、恥ずかしくなったかのように走り去ってしまった。

名前も聞きそびれてしまったようなこの出会いこそが

全てのきっかけなのだと言われたなら

あなたならどう思うでしょうか

僕の場合は、こう呟くしかなかった

冗談でしょう?と

~~~

やっとざわついて来た校内を抜けて、職員室に向かい、諸々の手続きを済ませた。

そうして、いくらか時間を潰した僕は、どうやら教育熱心そうな担任教師に連れられて三階の教室へと向かった。

編入試験の結果と内申書がよっぽどいいようになっていたらしいけれど、

それにしたって担任の妙な愛想のよさが不気味だと思いつつ、そんなことはおくびにも出さないで、大人しくついていく。

緊張しながら教室に入ると、クラス中の視線が、いっそ怖いくらいこちらに集中した。

ざわめきも起こったけれど、何と言われたのかよく分からないので怯むしかない。

いや、悪意はないと思いたいのですが。

担任教師がざわつく生徒に向かって簡単に僕の紹介をした後、自分で自己紹介をするように促した。

僕は壇上の真ん中へ進められながら、意を決して作り笑いなぞ作ってみた。

古泉「古泉一樹です。田舎から出て来たばかりで何も分かっていないような若輩者ですが、よろしくご教授願います」

適当に定型句で作った自己紹介のつもりでしたが、

よく考えると時代がかった言い回しでおかしな自己紹介になっていたかもしれませんね。

しかし、口から出たものは提出済みのテスト以上に取り消しようがない。

どこからもツッコミがなかったと言うことは、おかしく思われなかったと解釈しましょうか。

第一の関門を潜り抜けたことに、とりあえず安堵しながら、僕は言われるまま、空けてあった席に座った。

自己紹介だけで随分と疲れた気がする。

ショートホームルームが終ると、

これはまあ、どこのどんな学校にどんな時期に転校したとしても同じなんじゃないかと思うような質問をあれこれされましたが

それについてはさして述べる必要はないように思います。

それ以上に印象的な人が、人垣を割るようにして現れましたからね。


「転校生ってのはどこ?」


そんな声がしたのは、1時間目が終った後の休み時間のことだった。

やってきたのは、どうやら別のクラスの生徒であり、

しかもそうやってわざわざ他のクラスにやってきてまで人に話しかけるようなタイプの女性ではなかったらしく、

彼女が乗り込んできただけで、数人のクラスメイトがぎょっとしたように道を開け、釣られるように他の人も数歩引いた。

適当に捕まえた男子生徒に僕を指で示された彼女は、迷うことなく真っ直ぐこちらへ近づいてきた。

避けなければ跳ね飛ばされそうな勢いだが、見た目だけなら、彼女は美少女の部類に入ると思った。

朝の可愛い子といい、都会というのは美少女が多いですね。

しかし、こちらは朝の美少女とはあまりにタイプが違っていた。

明るく、生気に溢れた彼女は、どこか不敵な笑みを浮かべて僕を見ると、ニヤリと唇を歪めた。

「あんたが転校生?」

古泉「そうですけど…あなたは?」

質問への返事はなく、

「あんた、男よね?」

と突拍子のない質問をされた。

小さい頃は女の子と間違えられたこともありますが、この年になってそんなことを聞かれるなんて思わなかった。

大体、制服を着ているんだから分かるだろうに。

古泉「男に見えませんか?」

と苦笑しても彼女は答えず、じっと僕を見るばかりだ。

どうやら、彼女は僕について何か調べに来ただけであり、僕の質問に答えてくれるつもりはないらしい。

彼女は、その大きな瞳で僕を見つめた。

それこそ、こっちが恥かしくなりそうなくらい、じっと。

僕はとりあえず作り笑いなど浮かべつつ、彼女を見つめ返した。

だけど、正直なところ、逃げられるものなら逃げたかった。

なんというか、彼女は怖い。

肉食獣めいたような、あるいは、変に老獪なところがあるように思えた。

僕と同じくらいの年頃の女の子に、老獪も何もないだろうけれど、油断ならない感じは間違いなくある。

彼女は面白がるように笑みを深める。

「面白いじゃない」

古泉「何がですか?」

「あんた、放課後必ず文芸部室に来なさい。来なかったら、死刑だから」

一方的に言って、彼女はもう背中を向けていた。

一体何なんだというのか。

一体なんだというのか

「災難でしたわね」

と声を掛けられ振り向くと、そこにはこれまた美少女がいた。

今度田舎に帰ったら、都会には可愛い女の子がいっぱいいて驚いたと報告でもしましょうか。

古泉「えぇと…?」

誰でしょうか、同じクラスの子ですかね、と思いながら声を上げると、

彼女は軽くウェーブする緑がかった髪を揺らして微笑んだ。

仁美「委員長の志筑仁美ですわ。転校早々涼宮さんに目をつけられるなんて、大変ですわね」

古泉「そんなに大変な人なんですか?」

それっぽいとは思いましたが。

仁美「そうですわね。基本的に大人しくしていられるタイプの人ではないですわ。
   気分屋で、振り回されてる方は大変そうにしてますから」

仁美「でも、悪い人ではないのですよ?むしろ、嫌われるよりは気に入られた方がいいとは思います。
  …その分、他の友人は減ってしまうかもしれませんが」


古泉「それは困りますね」

仁美「でも、だからと言って逆らおうとするのは止めた方がいいかもしれませんわ。
   大人しくしていれば、そのうちいなくなってくれると思いますし」

という彼女の言葉に、他の人たちも頷いたくらい、先の涼宮さんとかいう少女は危険人物らしい。

困ったものです、とため息を吐きながらも、僕は自分が面白がっていることに気付かざるを得なかった。

何か非日常的で面白いことが始まろうとしている。

そんな予感があったのかもしれません。

そしてこの日から、僕の冗談みたいな日々は、始まった。

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