幼女魔王N「人型のしもべを手に入れて甘えたい」母性巫女「絶対許さない」 (1000)



幼女魔王Nの世界

幼女魔王Nの城 Lv,5 玉座



魔動画 『噛み付かれた人がゾンビになるという』

魔動画 『通称ゾンビミミックによる被害が拡大し』

魔動画 『各世界のダンジョン冒険家を恐怖におとしいれており……』


幼女魔王N 「…………」


魔動画 『こちら、星天観測所……ザザ』

魔動画 『遠い世界のお友達……聞こえますか、聞こえますか』

魔動画 『ガガ……こち、ら……ブツ……ガピー……』


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……くぁああ」

幼女魔王N 「……ッ!? ……ぉえっ」

幼女魔王N 「ゲホ、ゲホ……」

幼女魔王N (退屈すぎて、吐き気がするほど欠伸をしてしまった……)




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1437542055

前スレあるの?
kwsk


※ほのぼの
 オリジナル系ファンタジー
 触手



■幼女魔王N
肖像(仮):http://i.imgur.com/oa2wW4u.jpg

不滅の命と触手生物を操る力をもつ、ちょっぴりシャイな女の子。
一日に三回は死んだり、幻のアイテム「男のミルク」が気になる、背伸びをしたいお年頃。
目下の悩みは、治める土地に住民がいないこと。


■母性巫女
肖像(仮):http://i.imgur.com/L624WHp.jpg

洗脳されて幼女魔王Nのしもべになった、ちょっぴりたわわな女の子。
アニメのことを漫画と言ってしまうくらい、母性あふるる1X歳。
成長期である。


■淫魔幼女
肖像(仮):http://i.imgur.com/88az0CW.jpg

幼女の体に男の心を持つ、ちょっぴり過激な女の子。
お風呂とアヒルさん人形が好きだったり、魔法少女に変身したりするファンシーな一面も。


■その他のみなさんたち
伏線のようなものを張っては何食わぬ顔で退場していく
勇者とか魔王とか人外と人内の人々。



■SS風紀委員 ワキマエ・ロマエ
肖像:http://i.imgur.com/fy8p1om.jpg
SS界の秩序と平和を司る、神の機関の第七級死天使。
公序良俗をわきまえないSSに降り立っては「わきまえろまえ!(わきまえろ、お前! との説も)」という警告を発し、去っていく。

警告を無視したSSは七日間のうちに裁きの炎に包まれ、だらだらと3スレくらい続く。



>>6
基本的にほのぼのですが、
清濁むき出しだったり、内外ともにR-18的な気持ち悪さの追求を試みているため、
いろいろな耐性がないと辛いかと思います


1スレ目
孤独に耐えかねた幼女魔王がバッドエンドになったり、異世界でスライムと戯れたりする話(R-18)
幼女魔王「処女だけど寂しいから人型のしもべを手に入れて甘えたい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382816643/)

2スレ目
幼女魔王が母性巫女に甘やかされて、魔法少女が活躍する話(もちろんR-18)
幼女魔王N「人型のしもべを手に入れて甘えたい」淫魔法少女「皆死ね」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1415249384/)






ガラン ゴロン ガラン ゴロン


幼女魔王N 「……鐘の音」

幼女魔王N 「誰か来たんだわ」


ガラン ゴロン


幼女魔王N 「……ついに、どこぞの勇者が私を討ちにやってきたのかしら」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「そうね、殺せるものなら、殺してほしいわ」


ガラン ゴロン


幼女魔王N 「とりあえず、出てみましょ……」


ガタン

ドタドタドタドタ


幼女魔王N 「……え」

幼女魔王N 「なに、勝手にあがってきてる?」


ドタドタドタ


幼女魔王N 「ちょ、ちょっと……何よ、どうしたら……」


ドタドタ


??? 「……すいませえん」

織物師 「絨毯の交換にうかがいましたあ」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……は?」


>>9
おお!
ありがとう
グロ耐性はあるはず…
1スレ目がDAT落ちしてるので
スレ名教えてください

>>11

幼女魔王「処女だけど寂しいから人型のしもべを手に入れて甘えたい」

グロとはまた違う方向の……
もし気分を害されても、謝るくらいしかできませんのでご了承ください



幼女魔王N 「絨毯?」


織物師 「ええ。こちらの世界から、ギルドの方にご依頼を承りまして」


幼女魔王N 「……依頼なんて、してないわ」


織物師 「そんなあ」

織物師 「城の絨毯まるまるかえるって言うから、予定をキャンセルして来たのに……」


幼女魔王N 「そんなこと言われても……」


ドタドタ


サラマンダー 「こんにちゃ、ガラスギルドです」

サラマンダー 「窓ガラスの張替えの件でうかがいましタ」


幼女魔王N 「……え?」


ドタ ドタ ドタ


禿ドワーフ 「おおっす、幼女魔王さんつう魔王の世界はここかいね」

禿ドワーフ 「城中の石ば片付けろっちゅうもんだから」

禿ドワーフ 「腕っこきの若い衆をさ連れてきたぞい」


ドワーフたち 「おうっす」


幼女魔王N 「……え、ええ?」




母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「いったい、どういうこと……?」


ドタ ドタ ドタ


鎧男 「はあい、お城の廊下に飾るにふさわしい鎧を持ってきたわよ」


毒スライム 「こんにちは……ゴミの回収に来たわ……」


ろうそく職人 「むっふっふ、お城を地獄の炎で照らしてさしあげましょう!」


肩乗り鬼 「屋根を修理したいっつうから来たんだけどよ」


絵描き魔女 「フレスコ画のオプションって……こんなチンケな城の天井でこの私が筆を?」


禿ドワーフ 「で、気の早い話だが、新しい床はどうすっかいね」

禿ドワーフ 「鉱山世界の知り合いのツテで、上等な石が手に入ったんだけどよ」


仮面エルフ 「草刈りの依頼を受けた者じゃ。勝手に刈らせてもらうぞ」


本売り 「お子様の教育にピッタリの本を持ってきました」


ファザータイム 「ほう、懐かしいの。この世界の時計をつくったのはいつだったか……」


ペチャクチャ ペチャクチャ


幼女魔王N 「……な、何が起きているの」


母性巫女 「…………」




幼女魔王N 「ちょ、ちょっと……」


ザワザワ ワイワイ


ドワーフA 「しっかし、城と言いながら何だい、廃墟じゃねえか」


ドワーフB 「わははは、腕がなるってもんだぜ」


壺売り 「何じゃい、お前も来とったんか、鉄のボンクラ」


鎧男 「あぁーら、あなたこそ、まださえない土くれの塊なんて売ってるわけ?」


ドライアド 「中庭に素敵な森はいかが」


ワイワイ ザワザワ


幼女魔王N 「や、やめてよ。何なのよ、いきなり上がり込んできて」

幼女魔王N 「で、出てって……私の世界なんだから、勝手にいじらないで」

幼女魔王N 「みんな、出てってよ!!」



ドワーフC 「よっしゃ、じゃあ、さっそく始めっかい」


ドワーフD 「おう、瓦礫の野郎め、ひとつ残らず片っ付けてやるぜ」


織物師 「これは、カーテンもつけた方が良いなあ」

織物師 「窓職人さん、どんな窓をつけるんです?」


サラマンダー 「そうさね。ここまで壊れてると、張替えどころじゃないからね」

サラマンダー 「石職人さんとも話しあわんちゃいかんんだろうね」


絵描き魔女 「あーもう、ガラスで良いわよ、ガラスで」

絵描き魔女 「天体観測用とか言って、天井ぜんぶ窓にすりゃ良いのよ」


ザワザワ

ド ワハハハハ


幼女魔王N 「ひいぃ、私の声、全然聞こえてない!」


 

職人たち 「ワイワイ、ワッショイ」


テキパキ キパキパ

トタトタトタ タタタタタ

ヒソヒソ ザワザワ



母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……私のお城なのに。私、魔王なのに」

幼女魔王N 「何よ、何よ、私をのけものにして、みんな勝手に作業して……」


毒スライム 「…………」


幼女魔王N 「……?」

幼女魔王N 「あ、あの、何ですか……コホン」

幼女魔王N 「な、何よ。私、今日はこの玉座から一歩も動かないわよ」


毒スライム 「…………」

毒スライム 「………あ」

毒スライム 「ゴミじゃなかったのね」

毒スライム 「生ゴミみたいだったから、てっきり……」


スル スル スル


幼女魔王N 「…………」


スル スル


毒スライム 「……あ、そうだ」

毒スライム 「良いカビ落としがあるけれど、売ってあげましょうか……」

毒スライム 「気づいていないかもしれないけれど、あなた、頭がカビで真っピンクよ」


幼女魔王N 「地毛よ!」


母性巫女 「…………」


ワイワイ ガヤガヤ







幼女魔王Nの城 食堂



カチャ カチャ

パク パク


幼女魔王N 「モグモグ……ゴクン」

幼女魔王N 「何だったのかしら、昼間のあれは」

幼女魔王N 「私の世界に勝手にあがりこんできて」

幼女魔王N 「せっかく、良い気持ちで目が覚めたのに……」


ゴクゴク 


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……も、もしかして」

幼女魔王N 「明日もまた何か来るんじゃないでしょうね……」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「だめよ、だめよ……!」

幼女魔王N 「私だけのの世界がなくなっちゃうじゃないの!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「いったい、誰が依頼なんて出したのかしら」





幼女魔王N 「私が、寝ぼけて出したのかしら……?」

幼女魔王N 「ありえないわね。私の寝相は完璧だし」

幼女魔王N 「うーん……?」


カチ コチ カチ コチ


魔動画 『何の取り柄もない平凡なルナティックが掘り出した、一冊の黒いノート』

魔動画 『それは、過去からの奇襲であった……』

魔動画 『ノートを捨てる冒険の中で出会う友情、立ちはだかる宿敵、芽生える愛……そして、紐解かれる暗黒の歴史……』

魔動画 『空前のスケールで描かれる、今世紀最大のファンタジー!』


カチ コチ カチ


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「まさか……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「魔貴族ナントカ……魔貴ナントカ娘の仕業ね!」


母性巫女 「…………」




幼女魔王N 「私の小さな世界が属する第三大世界同盟の幹部を父にもち」

幼女魔王N 「兄は稀代の召喚師、姉は自称ジュブナイル小説家」

幼女魔王N 「たくさんの執事やメイドをはべらせ、本人も召喚師である魔ホニャララなんとか」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「そうよ、あの人なら、こんな嫌がらせをするくらい朝飯前だわ」

幼女魔王N 「あの人って妙に私のことをいじめてくるし、うん、きっとあの人よ」

幼女魔王N 「もしかしたら良い人かもしれないと思ったけど、これではっきりした」

幼女魔王N 「あの人は私のことを不倶戴天の敵と認識し」

幼女魔王N 「……そして、恐れている」

幼女魔王N 「いよいよ殺してしまわねばと心に決め、しかし正面からではとてもかなわないから」

幼女魔王N 「こうやって、まわりくどい手を使って私の居場所を潰そうとするのがその証拠!」


ホー ホー


幼女魔王N 「……早々に何か手をうたないと」

幼女魔王N 「あの人のなすがままになれば、私の人生はきっと滅茶苦茶にされてしまう!」

幼女魔王N 「暗い地下の部屋で鎖に繋がれ、人格を破壊され、嬲りものとしての一生をおくるような羽目になる!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……なんて、いくら何でもそれは言い過ぎよね。本の読みすぎだわ」

幼女魔王N 「せいぜい、私の下着という下着のお尻に穴を空けられる程度よ」

幼女魔王N 「ふん、もうどうにでもなれよ。勝手にすれば良いわ」

幼女魔王N 「私は絶望を抱いて孤独に生きるしかない、孤独の星の孤独虫なんだから」


パク パク

ムシャ ムシャ ム


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「やっぱり、私、料理の腕が落ちているのかしら……」




幼女魔王N (もうちょっと、繊細な味付けができていたような気がする)

幼女魔王N (困ったわ、料理は私の唯一の特技だったのに)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「ね、ねえ、母性巫女……」

幼女魔王N (……そうだった。母性巫女は死んだのよ。いま目の前にいるのは……)

幼女魔王N (私の洗脳によって生まれ変わった、しもべ)

幼女魔王N 「えっと、んっと……性巫女」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「私の料理、おいしくないんじゃないかしら?」


母性巫女 「とても美味しいですよ」


ニコ


幼女魔王N 「そ、そう……」


パク モグ モグ


幼女魔王N 「……そうよね」

幼女魔王N (きっと気のせい。気分が落ち込んで、舌も鈍くなっているのよ)

幼女魔王N (気のせい。気のせいだわ……)


モグ モグ



…………


昼 玉座レベル5



幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


シィン


幼女魔王N (瓦礫が撤去されたせいか、玉座の間がだだっ広く感じる)

幼女魔王N (あと、明るすぎる。天井から差し込む日差しが反射して眩しい……)

幼女魔王N 「くあぁ……」

幼女魔王N 「性巫女。私、少し寝るわ」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「……うん」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……結局あの日は瓦礫の撤去だけで、崩れた天井や家具はそのまま)

幼女魔王N (ほかの作業は後日ということになったらしいけれど……)


パタ パタ パタ


青い鶏 「チヨチヨ、チチチ」


カラーヒヨコ(青) 「ピイ、ピイ」


幼女魔王N (珍しい。鳥が飛んできたわ)

幼女魔王N (見ない鳥ね。青い鳥……)


チョン チョン チョン

ピイピイ チチチ




青い鶏 「チチチチ」


カラーヒヨコ(青) 「ヒヨヒヨ」


ヨタ ヨタ


幼女魔王N 「…………」


青い鶏 「ヒィーヨ」


カラーヒヨコ(青) 「チチ」


幼女魔王N (……仲が良いわね)

幼女魔王N (大きさからして、親子かしら)

幼女魔王N (日差しの中で、きらきら楽しそうにたわむれて……)

幼女魔王N (…………)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


青い鶏 「チュンチュン」


カラーヒヨコ(青) 「チュチュ。チィーヨ」


ピーチク パタパタ

チョン チョン


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「………ッ」




幼女魔王N 「何よ!!」


ピョン ドシャ

ムクリ ヨロ


幼女魔王N 「わざわざ見せつけるようなことして……!」


タ タ タ タ ズテ

タタタタ ダダダダ


青い鶏 「……!?」


カラーヒヨコ(青) 「!?」


ダダダダダ


幼女魔王N 「出てけ。出てけ、出てけえ!」


ブン ブン ジタバタ


幼女魔王N 「むきぃいいーーーーー!」

幼女魔王N 「何よ何よ何よ!」

幼女魔王N 「みんな勝手に楽しそうにして! みんな私を馬鹿にして!」

幼女魔王N 「私をみじめな気持ちにさせていじめてきて!」


ダダム ダムダム


青い鶏 「クエーッ!?」


カラーヒヨコ(青) 「チュチチィ!?」


パタパタ パタタ


幼女魔王N 「よそでやってよ! 私の見えないところで幸せになりなさいよ!」

幼女魔王N 「ここは私の世界よ。私は魔王なのよ。魔王の命令よ!」

幼女魔王N 「ちょっとは私の思い通りになりなさいよ!」


ブンブン 





青い鶏 「ピエーッ」


カラーヒヨコ(青) 「ヂュイーッ」


バタタ パタパタパタ



鶏肉の群れ は逃げ出した!



幼女魔王N 「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」

幼女魔王N 「や、やった……?」

幼女魔王N 「…………ふひ、ふひひ」

幼女魔王N 「ひははははは、あははははは!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「やったあ! 私の世界を侵略する者どもを追い払ってやったわあぁあ!」

幼女魔王N 「幸せな親子を、恐怖のズンドコに陥れてやったわあ!」

幼女魔王N 「あっひゃ、あひゃひゃひゃひゃ! 私の前で幸せそうにするからそうなるのよ」

幼女魔王N 「さすが魔王だわ! 私、すごい! 私、最高! 仲間なんていらないんだもん!!」

幼女魔王N 「魔王の力を思い知ったか、ぶわぁ~~~~かぁ!!」

幼女魔王N 「ふひゃっひゃ、ひゃふひ、ふひゃはははは! む゛ひッ、む゛ひひひひひひひひひ!!」

幼女魔王N 「にやーーーひゃっひゃっひゃっひゃっ………!!」


母性巫女 「…………」




……バサ


幼女魔王N 「ふひゃへらふひゃへら……」

幼女魔王N 「……ん?」


バタタタタ ヂィヂィヂィヂィ

バタバタバタバタ


幼女魔王N 「何の音かしら」

幼女魔王N 「鳴き声のような、たくさんの小旗がはためくような」

幼女魔王N 「……あら」

幼女魔王N 「やだ、急に雲行きが怪しくなってきたわ。大きな雨雲」


バタバタバタ ヂィヂィヂィ

ザワザワザワザワ


幼女魔王N 「……変な雨雲ね。なんか、うねってる」


母性巫女 「…………」


バタバタバタバタ

ヂヂヂヂヂヂ キエーッ クワーッ


幼女魔王N 「……違う。あれぜったい雨雲じゃない」

幼女魔王N 「どんどんこっちへ近づいてくる」


ザワザワザワ

ワラワラワラ バタバタ


??? 「…………」

青い鶏たち 「クエーッ!!」



鶏肉の群れ が いきなり襲いかかってきた!



幼女魔王N 「によっ……」





青い鶏A の こうげき!
青い鶏B の こうげき!
青い鶏C の こうげき!


ツク ツク ツク ツク

バサ バサ バサ


幼女魔王N 「いたたた、痛たたたた!」

幼女魔王N 「何よ、仕返ししようって言うの!? 私は魔王なのよ。ここじゃ一番偉いのよ!」

幼女魔王N 「逆らっちゃいけないんだから!」


青い鶏D~H の こうげき!
青い鶏I~O の こうげき!
青い鶏P~Z の こうげき!


ザク ザク ザク ザク

バコン バコン バコン


幼女魔王N 「ぎゃああ! いたいいたいいたい!」

幼女魔王N 「つつかないで、髪の毛滅茶苦茶に引っ張らないでえ!」

幼女魔王N 「何よ何よ何よ! 馬鹿にして、馬鹿にして!」

幼女魔王N 「こうなったら、本気なんだから」

幼女魔王N 「いでよ、触手たち……」


サワ


幼女魔王N 「ふひぃん!?」


青い鶏たち の くすぐるこうげき!
クリティカルヒット!
幼女魔王Nの魔法と召喚 を封印した!


青い鶏たち の こうげき!
青い鶏たち は 幼女魔王Nの弱点 を
思いきり撫で回している……


サワ サワ サワ

モソ ゙モソ ゙モゾ


幼女魔王N 「あひゅっ!? ふにゅにゅ、ふにゅううううぅぅん!?」

幼女魔王N 「ちょひょ、ひょ、ひょっと、ひゃ、やめなひゃ、服の中まへ……集中できな、ヒッッ!?」


クリュ クリュ


幼女魔王N 「ひゃぅ!? な、ななななな……ッッ!」


ツンツン スルスル

ファサファサ サワサワサワサワ


幼女魔王N 「ふひゃへへ、い、いひゃ、いひゃいい、痛い痛いいひゃい!」

幼女魔王N 「くしゅぐったひぃいいい!?」

幼女魔王N 「鶏肉のくしぇに、鶏肉のくひぇにひぃい!!」

幼女魔王N 「わらひは魔王ッ……まおーにゃにょほぉおお……!」


…………


青い鶏 の こうげき!
青い鶏 の こうげき!
青い鶏 の こうげき!


幼女魔王N 「……ふ、ふひ、ふひひひひ! だ、だずけ、母性巫……っひぃいいいい!」

幼女魔王N 「なんで私ばっかり、私ばっかりぃ! 痛だだだ、はひゃひひひぃい!」

幼女魔王N 「やめて……! 私の負けでイイから、もうやべでええ!」


…………


青い鶏3A~3Z の こうげき!
青い鶏4A~4Z の こうげき!
青い鶏5A~5Z の こうげき!


幼女魔王N 「…………ぁ」

幼女魔王N 「ぁー……ぅぁぁー………」

幼女魔王N 「……ごぇんなひゃ………ゆぅ…ひぇ…………」

幼女魔王N 「………ぁー……ぁぁー…………」

幼女魔王N 「………」


ビクンッ ビクンッ ビクンッ ビクンッ


青い鶏7A~10Z の こうげき!
青い鶏11A~15Z の こうげき!
青い鶏16A~100Z の こうげき!


ツンツンツンツン プニプニプニプニ

バサバサバサバサ

クエーッ クエーッ

…………
…………


のちの鳥葬である



…………


幼女魔王Nの城 レベル6
玉座の間



幼女魔王N 「…………」


青い鶏王 「……クエー」


グリ グリ グリ


幼女魔王N 「……はい。本当にごめんなさい」

幼女魔王N 「翼も持たない下賎な雌の子供のくせに、魔王とか調子に乗って、たてついて、申し訳ありませんでした」


青い鶏王 「クエー」


グリ グリ グリ


幼女魔王N 「はい。鶏王さまの高貴な脚で私の頭を踏んでいただいて、ありがとうございます」

幼女魔王N 「これからは鶏王さまの所有物として、お仕えさせていただきます」

幼女魔王N 「私の心も体も、鶏王さまの好きにお使いください……」


青い鶏たち 「クァーーッ!」


ザワザワ バサバサバサ


幼女魔王N 「ひいっ!?」

幼女魔王N 「ご、ごめんなさい。鶏王さまだけの所有物など、思い上がっていました」

幼女魔王N 「私は皆様の玩具です。死んでも大丈夫ですので、心ゆくまでお使いください……」




幼女魔王N (……ああ、これが敗北というものなのね)

幼女魔王N (はじめて味わったわ)

幼女魔王N (こつこつと発展させてきた私の世界が、お城が、こんなにボロボロになって……)


青い鶏王 「…………」


母性巫女 「…………」


青い鶏王 「…………」

青い鶏王 「コケッ」


幼女魔王N 「……え!?」


青い鶏王 「クエー」


幼女魔王N 「そ、そんな、それだけは……。それに、私の言うことしか……」


青い鶏王 「コウェー!!!」


青い鶏たち 「クエーーッ」


バサバサ ギャーギャー


幼女魔王N 「ひ、ひいい! 分かりました、分かりました!」

幼女魔王N 「……ぼせ……性巫女、こっちへ来て」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ

トコ トコ


幼女魔王N 「……鶏王さま」

幼女魔王N 「私のものは、鶏王さまのものです。性巫女を好きにお使いください」

幼女魔王N 「……母性巫女、これからは、鶏王さまにお仕えして……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ

トコ トコ トコ


幼女魔王N 「うぅ……グスッ……」




深夜

玉座の間



ドンチャン 

ドンチャン


母性巫女 「…………」


青い鶏B~D 「クエー!」


幼女魔王N 「は、はい、ただいま」

幼女魔王N 「すぐに料理を持ってきますので……」


アタフタ カチャカチャ


幼女魔王N (青い鶏たちの宴会。かれこれもう何時間かしら)

幼女魔王N (何百羽という鶏たちの料理を、私一人で用意させられて)


母性巫女 「…………」


青い鶏王 「グエエエエ……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (母性……性巫女、鶏王さまに気に入られたのね)

幼女魔王N (ほかの鶏たちより大事にあつかわれて、まるで王妃さまみたい)

幼女魔王N 「…………」


ヨロ ヨロ


幼女魔王N (ああ、目眩がする。ふわふわして、クラクラする)

幼女魔王N (熱い厨房で、ずっと休みなしだもの……)

幼女魔王N (でも、休んじゃ駄目。料理を運ばないと)

幼女魔王N (この……)


ヌメヌメミミズの活け造り


ウネ ウネ ウネ


幼女魔王N (自分でもよく分からない料理を)


ヨロ ヨロ ヨロ





ヌメヌメミミズ 「オエー」


ヌタ ヌタ ヌタ

ゲボ ゲボ


幼女魔王N (何なのかしら、この生き物)

幼女魔王N (何か吐いているし、食べて害は無いの?)

幼女魔王N (私は何を思ってこれを調理したの!?)


ヨタ ヨタ

コケ


幼女魔王N 「あ……」


ドタ ガシャアン

パリン


青い鶏たち 「!?」


シン……


幼女魔王N 「……い、いたたた」

幼女魔王N 「ああ、しまった。お皿が割れて……」


青い鶏たち 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (鶏たちが恐ろしい目で私を見ている……)




青い鶏王 「…………」


青い鶏たち 「…………」


幼女魔王N 「あの……ごめんなさい、私、転んじゃって……」


青い鶏王 「…………」

青い鶏王 「グワッ!」


バン ガタン


幼女魔王N 「ひっ……」


青い鶏王 「ヂュイヂュイ……」


幼女魔王N 「え……で、でも、お皿はもうこれしか……」


青い鶏王 「ピイィ!!」


幼女魔王N 「ひっ」

幼女魔王N 「わ、分かりました」


ガサ ゴソ

パサ トサ


幼女魔王N 「お、お皿を割って、料理を台無しにして申し訳ありませんでした」

幼女魔王N 「わ、私がお皿になって、ヌメヌメミミズを提供させていただきますので」

幼女魔王N 「お許しください……」




ヌメヌメミミズたち 「ゲボゲボ」


ビチビチ

グイン グイン グイン


幼女魔王N 「うう……」

幼女魔王N (私の手首より太いミミズが、元気よくうねって気持ち悪い、怖い)

幼女魔王N (触るのも嫌なのに、これを体に乗っけなきゃいけないなんて)


青い鶏 「クケー!」


幼女魔王N 「……えっ!? そ、そんな、それは、そんなのやだ、許してください……」


青い鶏たち 「ギャー、ギャー!」


バサバサバサ


幼女魔王N 「ひぃ!? う、ううぅ……グス」

幼女魔王N 「分かりました……お、お子様には、食べやすいように」

幼女魔王N 「私が口ですり、す……すり身にして、お出しします」

幼女魔王N 「…………」


ヌメヌメミミズ 「ゴボゴボゴボ」


ビチャ ビチャ ビチ ビチ

ウィンウィンウィン


幼女魔王N 「………い、いやだ」

幼女魔王N 「嫌ッ、こんなの、口に入れるの嫌ぁ……!」


青い鶏たち 「グワーッ!」


パタパタパタ バササササ

ガシ ドタ


幼女魔王N 「ひいいい!」

幼女魔王N 「やめて、離して!」

幼女魔王N 「嫌だ、ヌメヌメの太いミミズ食べるの嫌ぁあああ!!」

幼女魔王N 「うええ、うええええん……うわああああん!」


ジタバタ

バサバサバサ

バサバサバサ

…………





…………


早朝 幼女魔王Nの城

門前野原



ブロロロロ

キイイ


箒少女 「……へっへ、白樫の小枝を使ってから、オレのカスタム箒3D2も調子が良いぜ」

箒少女 「さてと、この界域に配属されて初日だが、仕事なんざさっさと終わらせて、界岸線を飛び回ることとするぜ」

箒少女 「……お」


幼女魔王N 「…………」


箒少女 「こんちゃーっす」


幼女魔王N 「!」


ビクッ




箒少女 「…………」


幼女魔王N (怖そうな魔女の人。箒もゴテゴテしてるし……)


箒少女 「朝刊です」


幼女魔王N 「……あ」

幼女魔王N 「ご、ご苦労様です……」


箒少女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


オロオロ モジ モジ


箒少女 「ゴツくて痛々しい首輪」

箒少女 「あんた、奴隷の子かい」


幼女魔王N 「……まあ、ええ」

幼女魔王N 「はい……」


箒少女 「やっぱり、そうか」

箒少女 「……あんまし、良い暮らしができてねえみたいだな」


幼女魔王N 「……ええ、はい」

幼女魔王N 「い、いえ、私なんて、餌をもらえるだけで幸せもので……」 


箒少女 「…………」

箒少女 「くそっ!」


ザクッ


幼女魔王N 「ひっ!?」

幼女魔王N (甲の部分に鉄をあてた靴で、地面を蹴った!)

幼女魔王N (ざっくりえぐれてる……)


箒少女 「許せねえ……」

箒少女 「こんな小さな子を、こんな風に扱うのかよ、ここは!」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (優しい人なのかしら……?)





箒少女 「とんだクソ野郎だぜ、ここの統治者は」

箒少女 「一見のどかで小さな世界だが、分かるぜ」

箒少女 「ここの統治者の、長きに渡るおぞましいほどのゲスな所業の数々が」

箒少女 「耐え切れねえほどの悪臭となって、しみついてやがる!」


幼女魔王N (統治者がかわってから数日しか経ってないけれど)


箒少女 「……と、すまねえ」

箒少女 「その世界のルールに、とやかく言っちゃいけないよな」

箒少女 「それが、おれたちのギルドのルールさ」


幼女魔王N 「あ、あはは……」


箒少女 「……けど」

箒少女 「けどよぉ!!」


ザク


幼女魔王N 「ひっ」


箒少女 「悲しいじゃねえか……こんな、こんな小さな子がよぉ……」


ツゥ


幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N (わ、私のために、泣いてくれているの……?)


キュン


箒少女 「頭にカビ生やして、ヘソ丸出しの服着せられて」

箒少女 「ゴミみたいな世界で、ヘドロスライムみたいな生活をさせられているなんてよぉ……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「地毛よ」




箒少女 「……ほらよ」


板ガム


幼女魔王N 「……え?」


箒少女 「やるよ。腹……減ってんだろ?」

箒少女 「日常的に土食ってそうな顔してるもんな」


幼女魔王N 「…………」


箒少女 「おいおい、なんだよ。まさか、ガムを見たこと無いってのか?」


幼女魔王N 「い、いえ」

幼女魔王N 「じゃあ、いただきます……」


ギュ

バチン


ガム の 挟むこうげき!
幼女魔王N は 100 のダメージ!


幼女魔王N 「……指が」


箒少女 「悪りぃ、いたずら用のミミックガムだった」


幼女魔王N 「骨まで響いてるんだけど」


箒少女 「本物はこっちだ」


スッ


板ガム(スルメ味)


箒少女 「噛めば噛むほど味が出るぜ」


幼女魔王N 「…………」




幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ありがとう……」


箒少女 「オレの渾身のドジョウすくいを見せてやりたいとこだけど」

箒少女 「あいにく、今日は道具を持ってきてねえし、時間もねえ」

箒少女 「また今度、見せてやるよ……」


幼女魔王N 「は、はい」


箒少女 「じゃあ、オレは行くよ。はやく新聞を届けなきゃなんねえ」


ブルォン ブルン ブルン

ドッ ドッ ドッ ドッ


箒少女 「……達者で、生きろよ」


幼女魔王N 「うん……」

幼女魔王N 「あ、ありがとう……ございました」


箒少女 「へへっ……」

箒少女 「ハイヨー!!」


ブルォン

バァーン

ブロロロロロ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「行っちゃった……」

幼女魔王N 「…………」


板ガム(スルメ味)


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……あむ」


モグ モグ

クチュ クチュ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (噛めば噛むほど、まずい……)


…………





■ミミックガム
いたずら妖精たちのギルドで開発された
罠アイテム。レベル1。
バネの力で、ガムを取ろうとした人の指を挟む。


■板ガム(スルメ味)
いたずら妖精たちのギルドで開発された
罠アイテム。レベル3。
ほかに、ゴーヤ味、カブトムシ味、女戦士味、敗北の味などがある。
いたずら用だが、一部には純粋に味を楽しむマニアックな人も。


ピンクカビの味はないのですか?

1スレ目ちょっと見てきたけどよく分からん
魔王がレイプされて堕ちるのをニヤニヤしながら見てればええんか?




>>52

いたずらギルド 「新味出ました」

http://i.imgur.com/2fchoVj.png




>>53

読む人の方が立場が上なので強制できませんが、

綺麗なことも汚いことも起こる
世の中の人間関係などで疲れたり、
打ちのめされたり、孤独を感じている人が、

最底辺でうごめく不器用な魔王の姿を見て、

「ああ、こんな奴でも生きているんだな」とか、
「自分もこんなところあるな。自分だけじゃないんだな」とか、
「ああ、こんなクソみたいなSSでもSSを名乗っていいんだな」とか、

ある種、後ろ向きな癒しを感じていただけたら幸いです

というわけでもなく、
伏線とか話の整合性とかはブン投げて、
その場のノリと悪ふざけでどこまで壊れられるか遊んでいる
インプロ的な面が強いので、

何かを得ようとして読んだところで、
忍耐力と怒りのボルテージくらいしか上がりません。






…………




幼女魔王Nの城 犬小屋



ホー ホー


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……おかしい)

幼女魔王N (奴隷になってからというもの)

幼女魔王N (お城では相変わらずひどい扱いだけど)

幼女魔王N (配達ギルドの人とか、訪れる人から優しくしてもらえる)


食べかけビスケット
賞味期限切れケーキ
かびた餅
ゴミ
焦げた豆


ゴチャ


幼女魔王N 「えへへ……お菓子、いっぱいもらっちゃった」

幼女魔王N (ありがたいわ。魔王だった頃は不自由なく食べられたけど、今はそうはいかないものね)

幼女魔王N (お金、全部とられちゃったし……)


ヒュウウウ



幼女魔王N 「……へっくち」

幼女魔王N 「今日は冷え込むわね……」

幼女魔王N 「…………」


ホー ホー


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「………そうか」

幼女魔王N 「きっとこれが、私の天職だったんだわ」





ソヨ ソヨ ソヨ


幼女魔王N (魔王をやっていた頃はズタボロな目にあっていた私)

幼女魔王N (それが、奴隷になったことで、少しマシな扱いを受けるようになった)

幼女魔王N (それはつまり……)

幼女魔王N 「私は魔王としては力不足だけれど、奴隷としては上等ということ」

幼女魔王N 「……そうか」

幼女魔王N 「私は初めての敗北で全てを失い、本当の私になれたのね……」

幼女魔王N 「勝ち続けねばならない、過酷な魔王の運命から、解放されたのね」


ソヨ ソヨ

ホロリ


幼女魔王N 「私……泣いてる」

幼女魔王N 「でもこれは喜びの涙」

幼女魔王N 「へたなプライドを脱ぎ捨てて、私は奴隷として生まれかわるの」

幼女魔王N 「これからは誠心誠意、鶏王さまにお仕えしよう」

幼女魔王N 「ああ、明日はどんなおしおきをしてもらえるのかしら……」

幼女魔王N 「………ZZZ」


…………




幼女魔王Nの城 鶏王ハーレム



ホー ホー


青い鶏たち 「……スゥ、スゥ、ZZZ」


青い鶏王 「……グゥ、スピー」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


青い鶏王 「コケー……ZZZ」


母性巫女 「…………」


キイン


母性巫女 「………ッ」


キイン パキイン

フィヨフィヨフィヨフィヨ

フィヨフィヨフィヨフィヨ

シュウウ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」

母性巫女 「……私、いったい……?」



母性巫女の洗脳 が弱まった!




母性巫女 「……ここは」

母性巫女 「そうだわ、Nのお城……」


青い鶏たち


母性巫女 「…………」

母性巫女 「きっと、鳥小屋ね」


カチ コチ カチ


母性巫女 (はじめてここで目が覚めた夜から、どのくらい経ったのかしら)

母性巫女 (近くの部屋でNを寝かせてから)

母性巫女 (通信アイテムのようなもので色々なギルドに依頼を出したところで)

母性巫女 (記憶が途切れてしまっている)


青い鶏王 「……スピー」


母性巫女 (……勇者隊にいたころ、淫魔型のモンスターにに魅了の魔法をかけられたことがあった)

母性巫女 (助けてもらって無事に魔法はとけたけれど、魔法をかけられている最中の記憶が無くなっていた)

母性巫女 (魔法がとけた直後は頭が重くて、体がだるくて……)

母性巫女 (今の状態は、それに似ている……)


>>61 訂正ごめんなさい



母性巫女 「……ここは」

母性巫女 「そうだわ、Nのお城……」


青い鶏たち


母性巫女 「…………」

母性巫女 「きっと、鳥小屋ね」


カチ コチ カチ


母性巫女 (はじめてここで目が覚めた夜から、どのくらい経ったのかしら)

母性巫女 (近くの部屋でNを寝かせてから)

母性巫女 (通信アイテムのようなもので色々なギルドに依頼を出したところで)

母性巫女 (記憶が途切れてしまっている)


青い鶏王 「……スピー」


母性巫女 (……勇者隊にいたころ、淫魔型のモンスターに魅了の魔法をかけられたことがあった)

母性巫女 (助けてもらって無事に魔法はとけたけれど、魔法をかけられている最中の記憶が無くなっていた)

母性巫女 (魔法がとけた直後は頭が重くて、体がだるくて……)

母性巫女 (今の状態は、それに似ている……)

母性巫女 「私、また呪われてしまったのかしら……?」







母性巫女 (私がまだ呪いにとらわれているとして)

母性巫女 (あとどれくらい、私は意識を保てるのかしら)

母性巫女 (Nは……近くにいないみたい)

母性巫女 (状況が分からないわ。たぶん、Nが話していた故郷だと思うのだけれど)

母性巫女 (だからって、いったい、どうしたら……)


ソヨ ソヨ


母性巫女 「天井、まだ修理をしていないのね……」

母性巫女 (……やっぱり、綺麗な星空)

母性巫女 (Nの話していた通り)

母性巫女 (N……)

母性巫女 (人間でも、魔物でも、どちらでも良かったけれど)

母性巫女 (私の故郷の森を滅茶苦茶にしたのも、仲間たちをたくさん殺したのも、Nだったのかしら)

母性巫女 (私がこんな状態なのも、Nが何かしたからなのかしら)

母性巫女 (だとしたら……)

母性巫女 「…………」




母性巫女 「…………」

母性巫女 (……そういえば、あの子、ちゃんと栄養をとっているのかしら)

母性巫女 (魔動画や遊ぶのに夢中になって、食事を抜いたりしていないかしら)

母性巫女 (………って)

母性巫女 (駄目よ。まず考えるべきなのは……)


青い鶏王 「スピー……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」

母性巫女 「……から揚げが良いかしら」




……………





早朝

幼女魔王Nの城 厨房前



トテ チテ タタタ


幼女魔王N 「はあ、ふう、はあ」

幼女魔王N (今日は生ゴミ味のガムを貰った)

幼女魔王N (男のミルク味なんて無いかな……)

幼女魔王N 「っと、いけない、いけない。こんなこと考えてる場合じゃない」

幼女魔王N 「鶏王さま……ご主人さまたちのために」

幼女魔王N 「心をこめて朝ごはんを作るのよ」


ガチャ バタン


幼女魔王N 「さあて、今日はどんな……」

幼女魔王N 「あら?」



鶏肉(極大)
食材一式


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「下ごしらえが、すませてある……?」




夏野菜
しょうが
にんにく
塩コショウ
マンドラゴラ
トリカブト
ツルボ


幼女魔王N 「……ふむ」

幼女魔王N 「この鮮やかな手際、見覚えがあるわ」


カチ コチ カチ


幼女魔王N 「……私ね」

幼女魔王N 「全盛期、絶好調の」

幼女魔王N 「さすが私」

幼女魔王N 「奴隷の忠誠心により、眠りながら下ごしらえを済ませてしまったのね」

幼女魔王N 「それにしても、この丸々と太った見事な……」

幼女魔王N 「豚肉」


鶏肉


幼女魔王N 「そして、数々の食材から察するに」

幼女魔王N 「ふうむ……」


カチ コチ カチ コチ


幼女魔王N 「……シャブシャブね」

幼女魔王N 「まったく、この暑い日に鍋とは、やるじゃないの私」

幼女魔王N 「心にくいわね」

幼女魔王N 「よおし、待っていてねご主人さまたち」

幼女魔王N 「見事なシャブをお届けするわ!」


カチャ カチャ

トン トン

コト コト コト


…………




…………


食堂



青い鶏A 「コケー?」


青い鶏B 「ケッココ」


母性巫女 「…………」


鶏王の玉座


青い鶏C 「イネー」


青い鶏D 「コケー……」


ザワ ザワ グワ グワ

トトトトト

ガチャ バタン


青い鶏たち 「!」


幼女魔王N 「お待たせしました、ご主人さま!」

幼女魔王N 「豚シャブ、お持ちしましたあ!」




…………


厨房



ジャアアア 

ザブ ザフ ゙ザブ


幼女魔王N 「フン、フン、フーン……」


ゴシ ゴシ ザブ ザブ

カチャ カチャ


幼女魔王N (ピヨピヨ元年、夏。豚シャブはことのほか好評であった)

幼女魔王N (しかし、あにはからんや、とりわけ人気のあるのが豚肉であろうとは)

幼女魔王N (まるで鶏肉のようなやわらかさと旨みに)

幼女魔王N (鶏たちは大いに舌鼓をうち、またたく間に平らげてしまったのである)


ザブ ザブ


幼女魔王N 「うふふ、今度は何にしようかしら……」








幼女魔王N (しかしこれは、のちに青翼の惨劇と呼ばれる)

幼女魔王N (地獄の日々の幕開けであった)





…………


青い鶏たち 「コケーッ!!」

青い鶏たち 「ケーコココケケー!!」


幼女魔王N 「そ、そんな、違うなんて……私はちゃんと豚肉を……」


青い鶏たち 「コケー!!!」


ドガ


幼女魔王N 「ああんっ……!」


…………


幼女魔王N (……豚シャブの味を忘れられない鶏たちは)

幼女魔王N (ほかの料理に手をつけなくなってしまった)

幼女魔王N (いや、つけられなかったのである)

幼女魔王N (あの豚シャブの味を知ってしまった彼らにとって)

幼女魔王N (ほかの食べ物の味など、体が拒否反応を起こしてしまうほどに)

幼女魔王N (不味かったのである)




…………


青い鶏たち 「コケー……」


カラーヒヨコたち 「ピヨ、ピヨ……」


ヨロ ヨロ


青い鶏たち 「コケー……」


カラーヒヨコたち 「ピィ……」


ヨタ ヨタ


幼女魔王N (あの豚シャブが、食卓にあがることはなかった)

幼女魔王N (何も口にしなくなった鶏たちはみるみるうちに衰弱し)

幼女魔王N (やがては城のあちこちで、瓦礫のように無造作に転がり)

幼女魔王N (あの豚シャブの味に思いをはせながら、うめくばかりとなっていた)

幼女魔王N (目に余る惨状であった)



…………


ザ ザ

パン パン


幼女魔王N 「…………」


カラーヒヨコの墓A
カラーヒヨコの墓B
カラーヒヨコの墓C
…………


幼女魔王N (そして、犠牲者はいつも弱者である)





幼女魔王N (まさに地獄の日々であったが)

幼女魔王N (その中でも、いや、だからこそ、愛は芽生えるものである)



…………


夜 元幼女魔王の寝室



青い雄鶏 「コケー……」


青い雌鶏 「ケコ……」


バサ バサ


青い雄鶏 「ケコケー……」


青い雄鶏 「コッコケー……」


チュ チュ ベロチュチュ

…………




幼女魔王N (……だが、何という皮肉であろうか)

幼女魔王N (この、種族を繁栄させる原動力たる愛が)

幼女魔王N (青い鶏たちの運命をさらなる奈落へ引きずり込むことになろうとは……)





チュ チュ ブチュチュ


青い雄鶏 「…………」


青い雌鶏 「…………」


チュ チュ チュ


青い雄鶏 「…………!」


チュ……


青い雄鶏 「…………」


青い雌鶏 「?」

青い雌鶏 「………コケェ?」


青い雄鶏 「……………」

青い雄鶏 「……ケェエエ゛ーーー!!」


ガブリ

ブシューーッ


青い雌鶏 「!?」

青い雌鶏 「コッッッギェェエエエ!?」


青い雄鶏 「ハグッ、ハグッ、ハグッ……!!」


ガブ ガブ ガブ


青い雌鶏 「ギャッ……コギャギャッ!?」

青い雌鶏 「ギャボギャボギャボ……!!」


バサバサバサバサ

ガブ バリバリ グチュグチュ


…………




幼女魔王N (……ピヨピヨ元年、夏)

幼女魔王N (スラムの安宿のような愛の巣にて、雌鶏と愛の口づけを交わしていた雄鶏が)

幼女魔王N (突如として発狂、雌鶏を食い殺す事件が発生)

幼女魔王N (愛しい者の肉は、何たることか)

幼女魔王N (あの鍋の日の、豚肉の味がしたという)




…………


厨房



トテ トテ トテ


幼女魔王N 「ああ、いけない、いけない」

幼女魔王N 「厨房のゴミ捨てを忘れていたわ」

幼女魔王N 「またご主人様たちから、おしおきの味を体中に教え込まされちゃう」


ガサ

ズシ


幼女魔王N 「……あら? なんだか不思議な重さ」

幼女魔王N 「…………」


ガサ ゴソ

ガサ


青い鶏王の頭 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……きょ」

幼女魔王N 「きょわあぁあぁあぁあぁあああーーー!?」



…………




幼女魔王N (……そう)

幼女魔王N (当事者の誰もが知る由もなかったが)

幼女魔王N (あの日の豚肉は、豚肉ではなかった)


幼女魔王N (鶏肉だったのである)


幼女魔王N (……だが)

幼女魔王N (この件で、いったい誰を責められようか)

幼女魔王N (いいや、誰のことも責められはしない)

幼女魔王N (これは止めようのないことだったのである)

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (止めようのないことだったのである)




…………



幼女魔王N 「……ご主人さま」

幼女魔王N 「なんて姿に……」


青い鶏王の頭 「…………」


幼女魔王N 「……この場合、燃えるゴミで良いのかしら?」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「良いわよね」


ガサ



…………



幼女魔王N (……そう)

幼女魔王N (止めようのないことだったのである)







幼女魔王N (……かくて青翼の惨劇は加速する)

幼女魔王N (鶏たちの、性欲によって)







…………


青い鶏たちの楽園

青い鶏たちの城 廊下



ギャギャギャギャ

バギャー バギャー


幼女魔王N 「……あら、広間が賑やかだわ」

幼女魔王N 「ここ最近、ずっと元気のなかったご主人様たちが」

幼女魔王N 「今日はとても元気みたい」


ドガ ガチャン

ギクェエエー


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……よーっし、私も元気にお仕えしよう!」


トテ トテ トテ

ガチャ バアン


幼女魔王N 「おはようございまあす!!」





青い鶏たちの城 広間



ザシャアア ガチャン バリン

バサバサバサ


腹ペコ鶏A 「パッキョワァアアアーー!!」


ガブリ ブヂ


腹ペコ鶏B 「グギャァア!」

腹ペコ鶏B 「ピギィイイイ!!」


バサ ザシュ ザシュ


腹ペコ鶏たち 「キョケェエェエエエ!!!」


ガチャン バリバリ

グチャ ビチャチャ


鶏の眼球
鶏の内蔵
羽毛


バチャチャ ビチ ビチ

ベト ビチョ

バッサ バッサ


カラーヒヨコたちの死体 「…………」


腹ペコ親鶏たち 「プキュィイィイイイ!!」


ガツガツ

モシャモシャモシャ



幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……ふお」

幼女魔王N 「ふおぉおおおおおおおーーーッッ!?」




幼女魔王N (終幕である)

幼女魔王N (友が友を食らい、親が子を食らい、ときに己を食らう者すらあった)

幼女魔王N (地獄の底が繰り広げられていた)




…………


ギャー ギャー 

ドシン バサッ


幼女魔王N 「……ぼ、母性巫女」


トテトテ ズテ

トテトテ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「ここから逃げよう、母性巫女……!」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


タ タ タ タ タ

ガタン ドシン

ギャー ギャー


…………



幼女魔王N (世の中には)

幼女魔王N (たしかに存在するけれど、触れない方が、知らない方が良いものもある)

幼女魔王N (マンドラゴラの叫び声、友達だと思っている人の本心、あの美味しいお菓子の原料……)

幼女魔王N (青い鶏たちは知ってしまったのだ)

幼女魔王N (彼らの肉が、彼らにとってもっとも美味であることを)

幼女魔王N (彼らの地獄の扉は、彼ら自身の手でひらかれてしまったのである)

幼女魔王N (ぜったい私のせいじゃない)





…………


夕方

青い鶏たちの城 広間



ゴォン ゴォン


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「懐かしい教会の鐘の音が聞こえるわ」

幼女魔王N 「この世界、教会なんてないのに」


ゴォン ガロォン


青い鶏の死体A 「…………」


カラーヒヨコの死体A 「…………」


青い鶏たちの死体 「…………」


シシ ルイ


幼女魔王N 「……ああ、何てこと」

幼女魔王N 「地獄の底はこんなにも青かったのだわ」

幼女魔王N 「まるで、綺麗な青い絨毯を敷き詰めたよう」


母性巫女 「…………」


ゴォン ゴォン


…………



幼女魔王N (ピヨピヨ元年、夏)

幼女魔王N (忽然と現れた青い鶏たちの王国は)

幼女魔王N (国王を含む国民の全滅という壮絶な結末によって)

幼女魔王N (その短すぎる歴史に、幕をおろしたのである……)




…………




幼女魔王Nの世界(旧青い鶏たちの楽園)

城前 犬小屋



ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (魔王に返り咲いてしまった)

幼女魔王N (ご主人様がいなくちゃ、奴隷もできないものね)

幼女魔王N 「まるで短い夏夜の夢のようだったわ」

幼女魔王N 「忙しい奴隷の日々……」

幼女魔王N 「初めはつらかったけれど、充実していた」

幼女魔王N 「今も、この首輪に触れるたびに思い出す……」


サヤサヤ ザワワ


幼女魔王N (宴の席で、くすぐられながら踊りを踊らされたこと)

幼女魔王N (決してお酒ではないお酒のようなものを、口以外から飲まされたこと)

幼女魔王N (翼で打つ選手権で、お尻をたくさん叩かれたこと)

幼女魔王N (カラーヒヨコさまのお風呂の世話中に、たくさんいたずらされたこと……)

幼女魔王N (すべてはもう戻れない、遠い日の出来事……)


サアアア


幼女魔王N 「…………」


モゾ モジ モジ




ザワワ サアア ソヨ ソヨ


幼女魔王N (野原を渡ってくる風をのんびりと感じるのは、久しぶりね)

幼女魔王N 「……この犬小屋とも、今日でお別れ」

幼女魔王N 「私はもとの部屋に、そして玉座に戻り、私の世界の第二期が始まるの」

幼女魔王N 「…………」


ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……まあ」

幼女魔王N 「ここでもいっか」

幼女魔王N 「魔動画もペニステもお菓子も、部屋から持ってきているし」

幼女魔王N 「狭い分、物をとるのに苦労しないし」

幼女魔王N 「もとの部屋、なんかイカ臭いし」

幼女魔王N 「というか、城中イカ臭いし……死んだ鶏ってあんな臭いがするのね……」

幼女魔王N 「何より、ご主人さまたちにいただいた首輪をつけてここにいる方が落ち着くし……」


ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「フフッ……」

幼女魔王N 「何事も、起きて半畳寝て一畳……てね」




魔動画 『未来の大物統治者インタビュー』

魔動画 『……玉座で退屈そうに大あくびをしながら、側近に、何かおもしろいことはないかとねだる』

魔動画 『統治者というと、みなさん、そんなイメージを抱きがちじゃありませんか?』

魔動画 『だけど、じつは、そんなのはエリート中のエリート、ごく一部』


ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「……ふあぁ」

幼女魔王N 「ああ、暇だわ。やることがない」

幼女魔王N 「ご主人さまに仕えて調子の戻った料理の勘も、衰えてしまいそう」

幼女魔王N 「ああ、暇。ほんと、暇。ほんと、やることがない」

幼女魔王N 「お菓子とかペニステやりながらゴロゴロするしかない」


ポリ ポリ ムシャコラ

ピコ ピコ


魔動画 『ほとんどの統治者、とくに英雄的な経験の乏しい駆け出し統治者はとっても大変』

魔動画 『自分の世界の発展のため、いろんな世界を飛び回って素材を集めたり』

魔動画 『他の世界の侵攻に備えて、しもべを増やしたり、施設のレベルアップをしたり……』

魔動画 『やることはもう、たっくさん』

魔動画 『ごろごろ昼寝をする暇なんてないのです』


ファラリラ チャチャー 


幼女魔王N 「………クカー」


母性巫女 「…………」


魔動画 『さて、今日ご紹介するのは、新進気鋭の美少女魔王、短パン魔王さん……』





キイィイ


母性巫女 「…………ッ」

母性巫女 「…………ぅう」


幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」

幼女魔王N 「むにゃ……スゥ」


母性巫女 「N……」


犬小屋
魔動画
ペニステ
お菓子


幼女魔王N 「うへへへ……ムニャ、ムニャ」


母性巫女 「な、何がおきているのかしら」

母性巫女 「どうして、魔動画をつけっぱなしで犬小屋で寝ているの。しかも外で……」




幼女魔王N 「わあい……みんな、戻ってきたあ……」

幼女魔王N 「うれしいよう、うれしいよお……スピー」


母性巫女 「……こんな痛々しい首輪をして」

母性巫女 「怪我もしている……」


幼女魔王N 「…………」


ソヨ ソヨ


母性巫女 「……相変わらず人の気配がない」

母性巫女 「陽射しをあびて白く眩しい、緑の中の崩れかけたお城。のどかだけれど……」

母性巫女 「ここはこの子を遺して、みんな時間が止まってしまったみたい」


幼女魔王N 「スゥ、スゥ……」


母性巫女 「本当に、ここが故郷なの?」

母性巫女 「あなたはこんなところで、一人で生きてきたの?」


幼女魔王N 「…………」


(バッドエンド回収できんのかこれ)



幼女魔王N 「…………」


母性巫女 (起こして、直接話そうかしら)

母性巫女 (……いったい、何から話しいたら良いんだろう)


……ブロロロロロ


母性巫女 「?」

母性巫女 (……空。不思議な音をたてて、何かがこっちにやってくる)


ブロロロロロ


箒に乗った箒少女


母性巫女 (……人だわ)


ブロロロロロ

キキィーッ




箒少女 「…………」


バサ

ザ ザ ザ


母性巫女 (ゴテゴテした箒……魔女かしら)

母性巫女 「あの……こんにちは」


箒少女 「……朝刊です」


母性巫女 (紙の束……受け取って良いのかしら?)

母性巫女 「ありがとうございます……?」


箒少女 「…………」

箒少女 「あんただな」


母性巫女 「はい?」


箒少女 「何か良い服に、宝石いっぱいのアクセサリつけてるもんな」

箒少女 「あんたが、この子の主人なんだな……!」


幼女魔王N 「……ZZZ」


母性巫女 「……はい?」




母性巫女 「いえ、私は」

母性巫女 (……って、本当。私すごい格好している)

母性巫女 (どことなく鳥みたい……)


箒少女 「……このヤロウ!」


母性巫女 「!?」


箒少女 「他所様のとこには口出ししないのが、うちのギルドのポリシーだが」

箒少女 「今日は言わせてもらうぜッ!」


母性巫女 「は……はい」

母性巫女 (ギルド……ここにもそういう仕組みはあるのね)




箒少女 「奴隷の存在する世界はあるが、ここはとりわけひどいぜ」

箒少女 「こんな幼い子供を、頭にカビが生えるまでこき使うなんてよ!」

箒少女 「もうちっと、奴隷に優しくしたらどうなんだ!」


母性巫女 「え、ええ……?」

母性巫女 「奴隷?」

母性巫女 (魔王ではないのかしら。でも、ここにはNしかいないみたいだし……)


箒少女 「オレが初めてこいつと会ったとき……こいつ、何て言ったと思う」


母性巫女 「ええと……」


箒少女 「餌を貰えるだけマシだってよ!」


母性巫女 「!!」

母性巫女 (……いったい何をやっているのかしら、この子)


幼女魔王N 「クカー……」




箒少女 「分かるぜ……今、あんたがこいつにやろうとしていたこと」


母性巫女 (起こすかどうか迷っていたところ、見られたのね)

母性巫女 (あんなに遠い空から……)


箒少女 「こいつを叩き起そうとしてたんだろ」


母性巫女 「え、ええと……」

母性巫女 「はい。でも……」


箒少女 「やっぱりな」

箒少女 「前日ぶっ倒れるまで働かされ、眠り潰れている子供を」

箒少女 「ぶっ叩いて起こそうとしたってわけだ!」


母性巫女 「ええっ!?」




箒少女 「なんて女だ」

箒少女 「ゆるりとした感じの胸のでかい女に、悪人はいないと思っていたが」

箒少女 「てめえは極め付きのクソ統治者だぜ!!」


母性巫女 「ええー……」

母性巫女 (……でもこの人、Nのことを心配しているのね)

母性巫女 (N……魔王だとしても、嫌われているわけではないのかしら)

母性巫女 (人もこうやって来ているし、そんなに孤独でもないのかしら……)


箒少女 「さてはてめえ、その胸ニセモンだな!」

箒少女 「もぎ取ってやる!!」


母性巫女 「えええっ!?」




母性巫女 「ちょ、ちょっと待って、待ってください……!」

母性巫女 「私は統治者なんかじゃ……」


箒少女 「うるせえ!」

箒少女 「胸のでかい女は死ねばいいんだ!」


母性巫女 「ああ、言っていることが滅茶苦茶……!」


グググ ギリギリ

モニュ モミ


幼女魔王N 「……ムニャ。うーん……」


モゾ モゾ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……母性巫女?」




母性巫女 「!!」

母性巫女 「N……」


箒少女 「おりゃ」


モニュ


母性巫女 「やんっ」

母性巫女 「ちょ、ちょっと……!」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……うへへ」

幼女魔王N 「母性巫女ぉ……」


ヨチ ヨチ

ダキ


母性巫女 「……ッ」


ビク


母性巫女 「…………」

母性巫女 「N……」




母性巫女 (Nに抱きつかれて、触手に触れられたときの記憶も一緒に……)

母性巫女 「うぅ……」


幼女魔王N 「母性巫女……母性巫女……」


ギュ ポフ


箒少女 「な、なんだよ、妙に懐いてんじゃないかよ……」


幼女魔王N 「母性巫女ぉ……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (……駄目ね)

母性巫女 (Nを見ていると、どうでも良くなってくる……)


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「えへへへへへへ……」

幼女魔王N 「グゥ……」


ZZZ...


母性巫女 「また寝ちゃった……」

母性巫女 「寝ぼけていただけなのね」


ナデ ナデ


箒少女 「…………」




■暑中お見舞い申し上げます



http://i.imgur.com/gLykMSr.png


「よその世界のしもべ仲間からビーチバレーに誘われるも、
 ビーチバレーのことがよく分からない上にビーチバレエと曲解し、
 とりあえずそれらしい踊りを試みて周囲を唖然とさせる
 母性巫女の図」






箒少女 「……よし」

箒少女 「わかった!!」


母性巫女 「!?」


箒少女 「とうっ」


ピョイン

ズザザ


箒少女 の 土下座こうげき!


箒少女 「すんませんっした!」


母性巫女 「……え」

母性巫女 「えー、と……?」


幼女魔王N 「スピー……ムニャ、ムニャ……」




箒少女 「オレはどうも思い込みで突っ走っちまう癖があって」

箒少女 「てっきりあんたが、この子を虐げている張本人かと……」

箒少女 「いや、本当に申し訳ない!」


ズザザ


母性巫女 「は、はあ」

母性巫女 「いえ、その、どうか顔を上げて……」


箒少女 「今のあんたとその子の姿を見てよく分かる」

箒少女 「あんたらが仲の良い親子ってことくらい」

箒少女 「なのに、オレは……!」


母性巫女 「親子……」

母性巫女 (私、まだ10代なんだけど……)




箒少女 「……違うのか?」


母性巫女 「……はあ、ええと」

母性巫女 「違うというか、よくわからないというか……」


箒少女 「はあ……?」


母性巫女 「ええと……その、親子ではなかったけれど、家族のように暮らしていて」

母性巫女 「いえ、私はそのつもりだったんですけど……」

母性巫女 「今はよく分からないというか……」


箒少女 「……つまり、あんた」

箒少女 「この子の何なのさ?」


母性巫女 「ええと、つまり……」

母性巫女 「……何なんでしょう?」




箒少女 「何なんでしょうって……」


幼女魔王N 「……クカー」


母性巫女 「一緒にいるのが何故かとても自然で、ここに来るまでよく考えもしなかったけれど」

母性巫女 「この子のこと、私はよく知らなかったみたいで……」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「フニュ……ムヒヒ」


母性巫女 「…………」


箒少女 「……あんた」

箒少女 「この世界の出身じゃないのか?」


母性巫女 「……はい。たぶん」

母性巫女 「あなたの言う世界が何を指すのかも、よく分かりません」


箒少女 「ふーむ……」





箒少女 「他の世界について知らないってことは、まだ拓かれていない小世界から連れてこられたのか」

箒少女 「じゃあ、この子もそうなのかもしれないってことか……」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (この子が自分のことを魔王と言っていたこと、話したほうが良いのかしら)


箒少女 「よっし、乗りかかった舟だ」

箒少女 「この子を起こしてその辺も聞いてみよう」


ゴゴゴゴゴ

箒少女 は 力を溜めている……


母性巫女 「! あ、ちょ、ちょっと……!」


箒少女 「あん?」


母性巫女 「その、せっかく寝ているので、無理に起こさなくても……」

母性巫女 (まだ、ちゃんとこの子と向き合える自信も無いし……)


箒少女 「…………」

箒少女 「ふうん……?」

箒少女 「まあ、あんたの言うとおりかもな」




母性巫女 「ありがとうございます」

母性巫女 「…………」


箒少女 「……なーんか」

箒少女 「すっきりしない顔してんなあ」


母性巫女 「ごめんなさい。そんなつもりは無いんですが……」


箒少女 「……そうだ」

箒少女 「さっきのお侘びもかねて」

箒少女 「オレの箒の後ろに乗せてやるよ」


母性巫女 「え゛っ……」


箒少女の箒Ver.2


ゴテ ゴテ 


母性巫女 「……そ、それは」


箒少女 「遠慮すんなって」

箒少女 「おおかた、あんたの胸と尻がでかすぎて重量オーバーになるのを気にしてんだろ?」


母性巫女 「いいえ」


箒少女 「オレの箒は馬力のあるシリーズだし、改造もしてある」

箒少女 「どんな重いもんだってへっちゃらさ!」


母性巫女 「重い……」





箒少女 「おいおい、そんな渋い顔すんなよ」

箒少女 「配達ギルドの箒に乗るなんて、なかなかできない体験なんだぜ?」


母性巫女 「そうなんですか?」


箒少女 「おう。何せ、配達ギルド員にとっちゃあ箒は魂も同然だからな」

箒少女 「手塩にかけて自分用に改造・調律してきた箒、軽々しく他人に触れさせるような真似はしねえ」

箒少女 「豪華飛行船の超スイートを千日借りられる金をつまれても、こっちが乗せねえと決めたら乗せねえ」


母性巫女 「そんなにすごいものに乗せてもらえるなんて」

母性巫女 「何だか悪い気がしますね」


箒少女 「だから、気にすんなって」

箒少女 「オレが乗って良いって言ってんだ。悪いことなんかねえよ」




箒少女 「オレの後ろに乗ってひとっ飛びすれば」

箒少女 「暗い気分を置き去りにしてすっきり爽やかさ」


母性巫女 「……そうですね」

母性巫女 「それでは、また今度……」


箒少女の箒 『……ファンファンファンファン』


ビー ビー


母性巫女 「!?」

母性巫女 (箒少女の箒の明かりが激しく明滅して、何かけたたましく鳴り出した)


箒少女 「……!!」

箒少女 「いけね、仕事中だった」

箒少女 「早く朝刊を配達しないと、給料がすごいことになっちまう!」


ダダダダダ




ガチョン

ドルン ドルルン

ドッ ドッ ドッ ドッ……


母性巫女 (近くで見れば見るほど、箒とはかけ離れた見た目)

母性巫女 (金属で出来ているみたいだし……)


箒少女 「……悪い、箒に乗せるのはまた今度ってことで!」


母性巫女 「あ、はい」

母性巫女 「どうか、気をつけて」


箒少女 「おう! そっちの子にもよろしく言っといてくれ」

箒少女 「強く生きろ……ってさ」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「は、はい……」


箒少女 「あと、これだ」


ポイ


宝玉のようなもの


母性巫女 「……?」


箒少女 「配達ギルドの連絡用アイテムさ。オレ個人の座標だ」

箒少女 「何か用があるときは呼んでくれ」




箒少女 が 仲間になった!


箒少女 「魔物と戦うのは自信ねえが、人を運んだり徒歩じゃ無理な場所に行ったり」

箒少女 「機動力が必要なときはオレに任せな」

箒少女 「仕事か寝ているとき以外で、暇で気が向いたらいつでもかけつけるぜ」

箒少女 「じゃあな!」


ドドドド

ブロロロロロ


母性巫女 「……行っちゃった」

母性巫女 「…………」


宝玉のようなもの


母性巫女 「座標とか呼び出すとか……いったいどういうことなのかしら」




■箒少女
http://i.imgur.com/zRIbyGt.jpg


種族 :人間?

所属 :配達ギルド

職業 :配達員 / ボンクラ魔女 / 箒乗り

レベル:015 / 05 / 0025

そうび:赤竜ver.2(カスタム箒3D2)
    配達員の服
    空踏みの靴
    魔法のかばん
    するめガム
    
その他:移動力の高い飛行ユニット。
     攻撃はからきしだが、地形を無視して移動できるので
     探索や、移動力の低い重戦士と組むなど、
     支援系として力を発揮する。






ヒュウウウ

ソヨ ソヨ ソヨ


母性巫女 「……はあ。嵐のような人……というか、音だった」

母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「えへへ、母性巫女……母性巫女ぉ」

幼女魔王N 「チウ、チウ……ムニャ、スゥ」


母性巫女 「……ああ、もう、親指しゃぶちゃって」

母性巫女 「こうして見ると、いつものNだわ」


幼女魔王N 「ムニャ……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (今日は意識を長く保っていられる)

母性巫女 (意識を失う時間が、少しずつ短くなっているような気もする)

母性巫女 (もしかしたら、私にかけられた何かの呪いがとけかけているのかしら)


幼女魔王N 「んぅー……」


モゾモゾ


母性巫女 (そうなったら……私はどうするのかしら)




母性巫女 「N……」


幼女魔王N 「ムニャ……」


魔動画
ペニーステーションポータブル
お菓子
ゴミのようなもの
においつき枕(幼女魔王N)

ゴチャ


母性巫女 「……まずは片付けましょ」


ガサゴソ ガサゴソ


母性巫女 「あら、やっぱり枕のカバーを洗っていない」

母性巫女 「きっとシーツもそうね。しかもお風呂にもあんまり入っていないみたい」

母性巫女 「お菓子だってこんなに散らかして……」


ガサ ガサ……



……フヨ フヨ フヨ


母性巫女 「…………?」

母性巫女 「……何かしら、この感じ」

母性巫女 (私の故郷の精霊さまと似た気配が近づいてくるような……)


フヨ フヨ フヨ


??? 「……こんにつはー」

シルフ娘 「お届けギルドですよー」




母性巫女 「……妖精の、子ども?」


シルフ娘 「はい、妖精ですよー」

シルフ娘 「お届けギルドのシルフ娘と申しまつ」

シルフ娘 「こう見えても、もう子どもを産める歳なんでつよ」


母性巫女 (ギルド……。さっきの人とは違うギルドなのかしら)


シルフ娘 「幼女魔王さまにお届け物があって来たのでつが」

シルフ娘 「あんた誰でつか?」


母性巫女 「え、ええと」


シルフ娘 「……むむ?」


ズイ


母性巫女 (……近い)

母性巫女 (小さくて可愛い……)

母性巫女 「あ、あの」


シルフ娘 「むふう……」


クンカ クンカ クンカ


母性巫女 (私のにおいをかいでいる?)

母性巫女 (妖精にとって、人間は変なにおいがするって聞いたけれど……)




シルフ娘 「むむう、このにおいは……」


母性巫女 (この辺りの妖精は大きいのね)

母性巫女 (りんごと同じ大きさの人しか見たことなかったけれど)

母性巫女 (人間の赤ちゃんと同じくらいだもの)


シルフ娘 「クンクン……」


母性巫女 (……可愛い)


シルフ娘 「……やはり。このいやな魔法と蒸気のにおい」

シルフ娘 「あんた、さては配達ギルドの人でつね」


母性巫女 「うふふふ………」


ホワン ホワン


シルフ娘 「……何か違うみたいでつね」




…………


ソヨ ソヨ


シルフ娘 「……というわけで、純粋な魔法の力を利用する我々お届けギルドと」

シルフ娘 「魔法に不純な蒸気と油の力を混ぜる配達ギルドは仲が悪いのでつ」


母性巫女 「そうなんですか」


ナデ ナデ


シルフ娘 「だいたい、あんな鉄の塊を箒と呼ぶなんて、いったいどういうつもりなのか」

シルフ娘 「という話なのでつ」

シルフ娘 「騒音を撒き散らしながら節操なく飛び回って……」


プン プン


母性巫女 「そうですねー」


ナデ ナデ


シルフ娘 「フニャ。そうなんでつよー」

シルフ娘 「……いやあ、抱っこなんて今さら恥ずかしいと思いまつたが」

シルフ娘 「なかなか良いものでつねー……」




幼女魔王N 「スピー……」


シルフ娘 「しかし、いっこうに起きませんね、幼女魔王さまは」


母性巫女 「そうですね……」


ナデ ナデ


シルフ娘 「荷物は置いていけるとして」

シルフ娘 「直接お礼も言いたかったのでつが」

シルフ娘 「ふあぁ……」

シルフ娘 「このままでは、こっちが眠ってしまいまつよ」


母性巫女 「お礼……」




母性巫女 「あの、お礼って……?」


ナデ ナデ


シルフ娘 「はい。じつはでつね……」

シルフ娘 「……っと、だめでつ、だめですよ」

シルフ娘 「この件はデリケートなのでつ」

シルフ娘 「それに、お届けギルドは秘密厳守。口が軽いと思われては商売あがったり」

シルフ娘 「軽いのは足だけで良いのでつ」


母性巫女 「そうですか……」


ナデ ナデ


シルフ娘 「そうなのでつよー……」

シルフ娘 「…………」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


シルフ娘 「…………」

シルフ娘 「じつはでつね……」




母性巫女 「あの……」


シルフ娘 「とある界域で、同じギルドの先輩が消息をたち」

シルフ娘 「淫魔幼女さまにその捜索を依頼していたのでつが」

シルフ娘 「とある世界の地下に捕らわれているところを、幼女魔王さまが発見してくれたのです」


母性巫女 「まあ、そんなことが」


シルフ娘 「とても悲しいことにすでに手の施しようがなく、先輩は亡くなってしまわれたのでつが」

シルフ娘 「それでも、ありがたいことなのでつ。ちゃんとお墓をたてることができるのでつから」


母性巫女 「…………」


シルフ娘 「ありがたいことなのでつよ……グスン」


母性巫女 「……よしよし」


ナデ ナデ




幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「そうですか。この子、そんなことを……」


シルフ娘 「はい」

シルフ娘 「正直な話、とても意外でした」

シルフ娘 「私の頭突き一発で沈むと目していた幼女魔王さまが」

シルフ娘 「まさか常日頃から失踪しがちな先輩を発見するとは」

シルフ娘 「さすが、腐っても魔王なのでつ」


母性巫女 「魔王……」

母性巫女 (とくに恐怖を抱かれている様子もなく、おまけに人探し)

母性巫女 (魔王って何なのかしら……)


幼女魔王N 「ムニャ……地毛、地毛なのよ……スピー」




母性巫女 「…………」


シルフ娘 「さて、そろそろ次のお届け先に行かなくては」


母性巫女 「……あ」

母性巫女 「そ、そうですか」


シルフ娘 「お名残惜しいでつが、このフカフカともお別れです」


フカ フカ


母性巫女 「そ、そんなに強くおさえつけたら……」


シルフ娘 「うーん、いつまでも沈んでいたいこのやわらかさ」

シルフ娘 「お持ち帰りして枕にしたいくらいでつ」


フニ フニ モニ モニ


母性巫女 「あの、仕事は大丈夫……」


シルフ娘 「はああ~、人形ギルドあたりで商品化されないものか……」


フニイ フニイ


母性巫女 (すごく気持ちよさそうに頬ずりしている)

母性巫女 (止めない方が良いような気がする……)



シルフ娘 「はあぁ、ほのかに香るこの甘み。ビスケットに鼻をくっつけているみたいにとろけまつ」

シルフ娘 「さては、母性巫女さんは乳牛の血をひいていますね」


母性巫女 「あらあら、うふふ、私は人間ですよ……」


ナデ ナデ


シルフ娘 「あふぅ」

シルフ娘 「……おっと」

シルフ娘 「こうしている場合ではないのでつ!」


パ

フヨ フヨ


母性巫女 (離れてしまった)

母性巫女 (……少し残念)


シルフ娘 「ふいぃ~~……ありがとうございまつた」

シルフ娘 「リフレッシュできた上、体力が回復した気がしまつ」


シルフ娘の体力 が全快した!
シルフ娘の素早さ が上がった!
シルフ娘の免疫力 が上がった!


母性巫女 「私もです。またいつでも……」

母性巫女 (……ああ、そうだった。今度はいつ意識が戻るか分からないのよね)


シルフ娘 「おお!」

シルフ娘 「では今度はお土産を持ってきまつ」

シルフ娘 「立派な鼻輪を」


母性巫女 「鼻輪はいいです」




幼女魔王N 「ムニャムニャ……」


シルフ娘 「では、お届け物は置いていきまつね」


でかい木箱


母性巫女 「は、はい……」

母性巫女 (大き……でかい木箱。いったい何が入っているのかしら)

母性巫女 (というか、どうやってこんなものを運んだのかしら)

母性巫女 「…………」


シルフ娘 「……あけちゃ駄目でつよ?」


母性巫女 「えっ!?」

母性巫女 「は、はい、もちろん。あけるのはあくまで本人で……」


シルフ娘 「たとえお母さんであっても、届けられた人以外があけるべきではないのでつ」

シルフ娘 「過去、それによってどれだけの人々が不幸な結末を迎えたことか……」


母性巫女 「そ、そうなんですか……」




シルフ娘 「では、受け取りのサインをここにお願いしまつ」


母性巫女 「それは私で良いんですか?」


シルフ娘 「本当はご本人が望ましいのでつが……」


幼女魔王N 「いただきまあちゅ……チュパ、チュパ」


シルフ娘 「これではしかたありません」


母性御子 「な、なるほど」

母性巫女 (幼児退行している……)




シルフ娘 「では、このペンで、ここにサインをお願いしまつ」


シルフのペン


母性巫女 「はい」

母性巫女 (不思議なペン。持っていると変な感じ)

母性巫女 「…………」


シルフ娘 「……もしかして」

シルフ娘 「このペンを使うのは初めてですか?」


母性巫女 「えっ!?」

母性巫女 「ええ……」


シルフ娘 「大丈夫でつよ。お届けギルド特性の魔法のペンでつが、とくに人体に影響はありません」

シルフ娘 「さあ、この票にサラサラっとサインしてください」


母性巫女 「はい……」




























サラサラ


シルフ娘 「……はい、たしかに」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (本当。魔法のペンというわりに、とくにかわったところは無かった)


シルフ娘 「……拍子抜けした顔をしてまつね」


母性巫女 「えっ!? い、いえ」


シルフ娘 「このペンは、受け取り人かその近しい人しかサインできないペンなのでつ」

シルフ娘 「母性巫女さんは幼女魔王さんのしもべなので、何の問題も起きないのですよ」


母性巫女 「しもべ……」


シルフ娘 「……あや、違うんでつか?」


母性巫女 「……さあ」


シルフ娘 「さあ、って……」



母性巫女 「実は、ここに来たばかりでよく分からなくて……」


シルフ娘 「ふうむ……」

シルフ娘 「でも、このペンで問題なくサインできたので、近しい関係にあることは間違いないでつよ」


母性巫女 「そうなんですか……」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「いえ、ありがとうございます」


シルフ娘 「いえいえ」

シルフ娘 「では私はこの辺で失礼しまつね」

シルフ娘 「あと、最後にこれを渡しておきまつ」


押し花のようなもの


母性巫女 「まあ、きれいなしおり……?」


シルフ娘 「私個人の座標でつ。これを使えば、私を召喚することができます」




シルフ娘 が仲間になった!


シルフ娘 「先輩を見つけていただいた、せめてものご恩返しでつ」

シルフ娘 「お仕事もある上、VIP用座標はすでに淫魔幼女さまに渡しているので最優先とはいきませんが」

シルフ娘 「お届け物の依頼のほか、素材集めや冒険のお手伝いもいたしまつよ」

シルフ娘 「こう見えても、体は巨人並に丈夫なのでつ」

シルフ娘 「では、さようなら」


フヨ フヨ フヨ


シルフ娘 「またフカフカさせてくださいね~」


フヨ フヨ

ポワン


母性巫女 「……行っちゃった」






■シルフ娘
http://i.imgur.com/Pp3P9g7.jpg


種族 :シルフ

所属 :お届けギルド

職業 :配達員 / 妖精戦士 / 苗床

レベル:015 / 05 / 00

そうび:バッテンシール
    妖精の服
    異次元スカート
    どこでも扉
    
その他:飛行・物理系のユニット。

     攻撃・防御ともに優秀な前衛タイプ。回避力も高め。
     体が丈夫なので、条件を満たせばしもべ触手の苗床としても運用できるぞ。






…………


幼女魔王Nの世界

城前 犬小屋



ヒュウウ

ソヨ ソヨ


でかい木箱 「…………」


母性巫女 「……ふう、だいたい片付いた」

母性巫女 「あとは、この子を寝室に運ぶだけ……」


幼女魔王N 「グゥ、スゥ……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (N……)


でかい木箱 「…………」


母性巫女 「…………」


でかい木箱 「…………」


母性巫女 (……ど、どうしても木箱が視界の端にちらついてしまう)




でかい木箱 「…………」


母性巫女 「本当に、何が入っているのかしら、この木箱」

母性巫女 「箱に描かれている、二つ穴のあいたハートマーク……」

母性巫女 「うーん……」


でかい木箱 「…………」


母性巫女 「考えると余計に気になってしまう」

母性巫女 「……あけたい」


ソヨ ソヨ


母性巫女 「……だ、だめよ。私あての荷物じゃないもの」

母性巫女 「うん、忘れましょ」


でかい木箱 「…………」

でかい木箱 「……!」


ガタン


母性巫女 「!?」


ビクッ




でかい木箱 「…………」


ガタ ガタ


母性巫女 「…………っ」


でかい木箱 「…………」


ギシ ギシ


母性巫女 「……わ、私があけなくても」


でかい木箱 「…………」


メキメキ ミシ

バコ バコ


母性巫女 「荷物の方からあけてきたらどうしたら良いの……!?」


バコ バコ……

バゴンッ




??? 「…………」


ヒュオオオ


母性巫女 「!」

母性巫女 (大き……でかい木箱の蓋が弾け飛んで、中から何かが飛び出した……!)


??? 「…………」


ヒュルルル

ボト


母性巫女 「……落ちた」

母性巫女 「何なのかしら。わりと鈍い音がしたけれど……」


??? 「…………」

しらうおのような右腕 「…………」


母性巫女 「ぎゃっ」




しらうおのような右腕 「…………」


母性巫女 「……腕」

母性巫女 「どうして木箱から腕が。しかも勝手に飛び出してきたみたいだし」

母性巫女 「何がどうなっているのか分からない……」


しらうおのような右腕 「…………」


ビクンッ


母性巫女 (動いた!?)


しらうおのような右腕 「…………」


ビチビチ ウネウネ


母性巫女 「う、うわあ……」

母性巫女 (しらうおのような手が、断末魔をあげる軟体動物のようにうねっている)

母性巫女 (こんなの、Nが見たら気絶してしまうわ)

母性巫女 (……それとも、平気なのかしら)

母性巫女 (私は、Nのことを知った気になっていただけだもの……)


でかい木箱 「…………」

でかい木箱 「誰か」


母性巫女 「!?」


ビクンッ




でかい木箱 「…………」


母性巫女 「箱が喋った……?」


でかい木箱 「誰かいないかしら。といっても一人しかいないのでしょうけれど」


母性巫女 (……違う。声は箱の中から聞こえているのね)

母性巫女 「あの……」


でかい木箱 「……あら」

でかい木箱 「しばらく会わないうちに、ずいぶん声が落ち着いたのね」

でかい木箱 「包み込むような母性の中に残る幼さ、色っぽいわ」

でかい木箱 「昔は臆病と幼いマゾヒズムを全面に押し出したようだったのに」


母性巫女 「あの、私は……」


でかい木箱 「ごめんなさい。あなたの声なんて興味ないわ」

でかい木箱 「むしろ一生聞きたくなかった」

でかい木箱 「ちょっと助けてもらえるかしら」


母性巫女 (……これは、一筋縄じゃいかないみたいね)




でかい木箱 「そこに私の右だか真ん中だかの腕があるはずなのだけど」


母性巫女 「は、はい」

母性巫女 (真ん中……?)


しらうおのような右腕


母性巫女 「これをどうかするんですか?」


でかい木箱 「それをこちらまで持ってきて」

でかい木箱 「でないと、私ひとりの力でこちらまで持ってくることになるわ」


母性巫女 「は、はい……」

母性巫女 (それって、もしかして助けはいらないんじゃ……)


ヒョイ

ザ ザ ザ




でかい木箱 「助かるわ」

でかい木箱 「ちょっと蓋をずらすつもりが、勢いあまっちゃって」


母性巫女 「はあ、それは大変でしたね……」


ザ ザ ザ


でかい木箱 「…………」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (木箱の中はどうなっているんだろう)


ザ ザ ザ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「!!」


でかい木箱


母性巫女 (木箱の中に……)


??? 「…………」

バラバラ死神メイド 「…………」


母性巫女 「…………」


バラバラ死神メイド 「……ありがとう」


母性巫女 「ぎゃっっ」


まってる

sageろ[ピーーー]ゴミ


>>165 >>166

sageないなんてありえないよ!!


http://i.imgur.com/uFJJCIz.jpg






母性巫女 (木箱の中にバラバラの女の人が入っている……)


バラバラ死神メイド 「……腕」


母性巫女 (喋った。生きているみたい……)


バラバラ死神メイド 「返してくれるかしら、腕」


母性巫女 「あ、はい」

母性巫女 「……でも返すって、どうしたら良いんでしょう」


バラバラ死神メイド 「どうでも良いわ」

バラバラ死神メイド 「じゃあ、この上に置いて」


しらうおのような左腕


母性巫女 「わ、分かりました……」




…………


カチャ カチャ

グチョ ミチュ ガリガリガリ


バラバラ死神メイド 「…………」


ズルズルズル グチュチュ


母性巫女 「…………」

母性巫女 (慣れた手つきで自分を組み立てていく)

母性巫女 (どういう体のつくりになっているの……)


首なし死神メイド 「…………」


死神メイド(頭) 「…………」


ヒョイ ガシィン


首なし死神メイド 「…………」

裸死神メイド 「…………」


母性巫女 (くっついた……)





裸死神メイド 「…………」


宿屋のメイド服


バサ バサ ポン ポン

ガサゴソ サシャ フワ


裸死神メイド 「…………」

死神メイド 「…………」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「服を着たままだと不都合が生じるの」

死神メイド 「意外と防御力が高いのよ、このメイド服は」


母性巫女 「そ、そうですか……」




死神メイド 「……意外ね」


母性巫女 「?」


死神メイド 「あなたのことだから、木箱の中の私を見て気絶するほど驚くと思っていたけれど」

死神メイド 「そのつもりだったのだけれど……」


母性巫女 「は、はあ」

母性巫女 (驚かすつもりだったんだ……)


死神メイド 「……少し見ないうちに変わったようね。落ち着いたというか、ぐっと大人びたわ」

死神メイド 「乳臭いピンクから、乳の化物へと転職したのね」


母性巫女 「ばけも……」

母性巫女 (……って、もしかしてこの人、私のことをNと間違えているのかしら)


死神メイド 「けれど拍子抜けよ」

死神メイド 「随分とつまらない女になってしまったわね、幼女魔王N」

死神メイド 「今のあなたには、腹パンする価値もないわ」


母性巫女 「ひどい言われようすぎて、わけが分からないことになっている……」





母性巫女 「あの……」


死神メイド 「何かしら」


母性巫女 「私は、Nじゃありません」

母性巫女 「本物はこっちに……」


犬小屋で眠る幼女魔王N


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「……スピー」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「……駄目じゃない」

死神メイド 「脱皮したら抜け殻は片付けておかなくちゃ」


母性巫女 「ちゃんと中身も詰まっていますから……っ!」


死神メイド 「……何が?」


母性巫女 「?」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「普段からして抜け殻が歩き回っているようなものなのに」

死神メイド 「そんなこれに、今さら何が詰まっているというの」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「……冗談よ」




死神メイド 「あなたとは以前会ったことがあるけれど」

死神メイド 「こうして話すのは初めてね」


母性巫女 「は、はい……」

母性巫女 「その、ごめんなさい、おぼえていなくて……」


死神メイド 「……そういうところは、似ているわね」


母性巫女 「?」


死神メイド 「気にしないで」

死神メイド 「……けれどちょうど良いわ」

死神メイド 「少し、話しておきましょうか」




ソヨソヨ

サアアア


死神メイド 「その前に、あなた」

死神メイド 「今、あなたはそこの汚物……幼女魔王Nから独立しているの?」


母性巫女 「……独立?」


死神メイド 「自分の意思で動いているの?」


母性巫女 「……はい。たぶん……」


死神メイド 「はっきりしないわね」


母性巫女 「ここに来てから、自分がどうなっているのかよく分からなくて…」


死神メイド 「来る前は分かっていたの?」


母性巫女 「え……」

母性巫女 (来る前。森にいたとき……あれ、どうだったかしら)

母性巫女 (そういえば、意識してなかっただけで分かっていなかったかも……)

母性巫女 「…………」


死神メイド 「……正常なことだと思うわ」

死神メイド 「自分の存在について悩むのは、自我のあるものに許されることのはずよ」




死神メイド 「自分のことなんて普段そんなに意識していないだけで」

死神メイド 「考えたところで、じつはあまりよく分からないものという気もするし」


母性巫女 「そ、そうですか……」


死神メイド 「私も普段は宿で働いたりサボったりして日々を忙しく過ごしているけれど」

死神メイド 「ときどきふと思うもの」

死神メイド 「このメイド服の胸のところについている豚の鼻のマーク」

死神メイド 「これはないな……って」


母性巫女 「……ああ、木箱にも描かれていたそれ、ハートじゃなかったんですね」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「失礼だけど、あなたって、敵が少ないかわりに味方も少ないんじゃないかしら」

死神メイド 「あたりさわりがなさすぎて、結果、誰の中でも印象が薄くなりがちな」


母性巫女 「え……!?」





母性巫女 「いきなり何を……」


死神メイド 「あるいは」

死神メイド 「誰からも割と好印象……どころか慕われてはいるけれど」

死神メイド 「仲良しで二人組を作れと言われると、あぶれてしまう感じ」


母性巫女 「あぶれるって……」

母性巫女 (あ……騎士団見習いの頃、よくそんなことがあったような……)


死神メイド 「なまじ周りよりステータスが高く一人で大抵のことができてしまうせいで」

死神メイド 「一人で完結した存在に見られてしまい、敬遠されている感じ」


母性巫女 「うーん……」


死神メイド 「そういう人って、誰かの一番にはなれないのよね」

死神メイド 「私と同じ」


母性巫女 「そ、そうなんですか……」





死神メイド 「それをふまえて言わせてもらうわ」


母性巫女 (まだ何か言われるんだ……)


死神メイド 「あなたが何者かということ」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「私もただの代理だから確信を持って言えないけれど」

死神メイド 「あなたは、そこの幼女魔王Nのしもべにされたのよ」

死神メイド 「あなたは、魔王のしもべなのよ」


幼女魔王N 「……グゥ……」


母性巫女 「魔王……」


死神メイド 「さすがの私も、同情せざるを得ないわ」

死神メイド 「こんなのの下につくくらいなら、昆布を主人にした方がいくらかマシだもの」


幼女魔王N(こんなの) 「ムニャムニャ……ふひひ……グゥ」




母性巫女 「私、本当にしもべに……」


死神メイド 「あなたが信じるか信じないかは興味ないわ」

死神メイド 「ただ私は言いつけ通りに伝えるだけ」

死神メイド 「あなたは、犬小屋で鼻ちょうちんをふくらませるピンクのくそ幼女のしもべとなってしまったのよ」


幼女魔王N(ピンクのくそ幼女) 「スピー、ムニャ……おトイレいくから、服脱がせてぇ……グゥ」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「あの、ごめんなさい」


死神メイド 「何かしら」


母性巫女 「魔王っていったい何なんでしょうか……」


死神メイド 「…………」


母性巫女 「その、私の知っている魔王はもっと恐ろしいものだったし」

母性巫女 「それに、魔王って何人もいるんでしょうか……」





死神メイド 「…………」

死神メイド 「もしもあなたが、故郷に帰ろうとこの世界を歩き続けたとして」

死神メイド 「絶対に帰ることはできない」


母性巫女 「え……」


死神メイド 「あなたの故郷とここは、世界が違うのだから」


母性巫女 「?」


死神メイド 「……ちょっと待って」

死神メイド 「…………」


ブチッ


死神メイド は 両足を切断した!


母性巫女 「……!!」




ボト ゴロン


死神メイド 「右足を、あなたの故郷のある世界」

死神メイド 「少し離して、左足を、現在あなたがいる世界とするわ」


母性巫女 「は、はい……」

母性巫女 (いまいち集中できない……)


死神メイド 「普通、人は足の表面……世界の表面を這い回ることしかできない」

死神メイド 「別の足……世界に飛んでいくことはできない」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (足、痛くないのかしら……)


死神メイド 「いまいち集中できないようね」

死神メイド 「足じゃなくて、眼球にしましょうか」


母性巫女 「い、いえ……大丈夫です」




死神メイド 「けれど、あなたはそうなってしまった」

死神メイド 「できないはずの、右足の世界から左足の世界へと飛んでしまった」


母性巫女 「そんな……」


死神メイド 「……あの空の向こうに霞む、巨大な島か岩の塊のようなものが浮いているのが見えるかしら」



お隣の世界



母性巫女 「……はい」


死神メイド 「月よりも大きなあれも、こことは違う世界なのよ」




死神メイド 「あまりにも近いおかげで、あんな風に肉眼でもとらえることができるわ」


母性巫女 「は、はあ……」


死神メイド 「あの世界では、たくさんの人が暮らしている」

死神メイド 「そして、そんな小さな世界は、無数に存在している」


ガサ ゴソ

バララ


死神メイド は 財布の中身をぶちまけた!


母性巫女 「………!!」


死神メイド 「貨幣の一枚一枚を世界だとして」

死神メイド 「あなたの故郷も、ここも、あの空に浮かぶ世界も、そのひとつにすぎない」


母性巫女 (最初からそれで例えてくれたら良いのに……)




死神メイド 「理由は知らないけれど、それぞれの世界には必ず統治者がいる」

死神メイド 「大世界観測の黎明期、今で言うところの星天観測所の観測者は、それに二つの系が存在することを発見した」

死神メイド 「すなわち」

死神メイド 「魔王と、勇者と」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「………グゥ」


死神メイド 「現在、魔法の進歩によって一部の世界同士の行き来は誰でもできるようになっているけれど」

死神メイド 「遥か昔、別の世界へ渡るすべを持っているのは統治者だけだったそうよ」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「……あなたの世界のように、人々の多くが別の世界の存在すら知らないのが」

死神メイド 「むしろ普通なのかもしれないわ」





母性巫女 「世界、別の世界……」


死神メイド 「……無数に存在する世界のそれぞれに統治者がいて」

死神メイド 「それが勇者か魔王のどちらかしかないとしたら」

死神メイド 「魔王はたくさんいるということになるわ」

死神メイド 「彼女もその一人」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「N……」


死神メイド 「あなたの世界で通っている魔王という言葉とは違いがあるのかもしれないけれど」

死神メイド 「ある基準によれば、彼女は勇者ではなく魔王ということ」

死神メイド 「民に慕われる魔王もいれば、民を虐げる勇者もいる」

死神メイド 「善悪とか、そういうものでくくっているわけでは無いのでしょうね」


母性巫女 「そ、そうですか」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「N……」

母性巫女 「私の知っている魔王とは違うのね……」


死神メイド 「……彼女は、悪い子ではあるけれど」


母性巫女 「…………」





死神メイド 「あなた、この世界の人口を知っているかしら」

死神メイド 「あなた含めて二人よ」


母性巫女 (……あ、やっぱり)


幼女魔王N 「ムニャ……」


死神メイド 「いま、よその世界に攻め込まれたら、簡単におちるわよ」

死神メイド 「けれど彼女は自分の惨めさを嘆くばかりで、これといって大した努力もせず」

死神メイド 「統治者として世界を発展させようとする気もなく犬小屋で惰眠をむさぼる」

死神メイド 「魔王として無能というほかないわ。むしろ生き物としても無能よ」

死神メイド 「鶏……はさすがに言い過ぎかもしれないけれど、スライムの群れを適当に放りこんでおけば、この世界は制圧できるんじゃないかしら」




母性巫女 「……で、でも」

母性巫女 「こんな小さな子ひとりで何もかもしなくちゃならないなんて」

母性巫女 「打ちのめされて気力を無くしてしまっても……」


死神メイド 「できなければ同じなのよ」

死神メイド 「他人、ましてや敵に当たる軍勢にとっては関係ないわ」

死神メイド 「潰すのにちょうど良い世界と、いろいろと使い道のありそうな生きた肉が転がっていることに変わりはないのよ」


母性巫女 「そんなに物騒なんですか?」


死神メイド 「そういうこともあるということ」


母性巫女 「そうですか……」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「似たようなことじゃない」

死神メイド 「あなた」

死神メイド 「無理矢理この世界に連れてこられたのよ」


母性巫女 「…………」




幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「彼女はあなたをこの世界に連れて帰り」

死神メイド 「しもべにすることを選んだのよ」


母性巫女 「Nが、私を……」


死神メイド 「ある術によって」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「死者に自分の命を分け与えることで、自分のしもべとして蘇らせる」

死神メイド 「そうやってしもべになった者は、自我のない人形のようになってしまう」

死神メイド 「彼女の力じゃ、その程度の術がせいぜいだったのでしょうけど」

死神メイド 「とにかく、そうしてあなたは作られた」


母性巫女 「死者……」


死神メイド 「……あなたの今の状態を見るに、なぜだか術は不完全だったようね」





母性巫女 「私は、死んでいたのね……」

母性巫女 (死んだ記憶があるのも、嘘ではないのね)


死神メイド 「…………」


母性巫女 (なぜ、私は死んだのだったかしら……)


死神メイド 「……あなた、自我があるのよね」

死神メイド 「帰りたくはない?」


母性巫女 「……懐かしくはありますけど」

母性巫女 「でも……」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「そうしたら、この子はひとりで暮らさないといけなくなるんですね……」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「あなた、気味の悪い人ね」




母性巫女 「…………」


死神メイド 「餓死寸前の魔物に食べられそうになっている最中に」

死神メイド 「どうしよう、私が食べられてあげないとこの魔物が餓死してしまう……と躊躇しているようなものよ」

死神メイド 「自分の命と相手の命を天秤にかけられてしまう感じ」

死神メイド 「的外れな優しさというか、壊れている印象を受けるわ」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「負けず嫌いだったり密かに他人を見下したい願望や嫉妬心を持つような人の目には、あなたが傲慢にうつるかもしれないし」

死神メイド 「弱い人の目には、あなたが恐ろしい化物にうつるかもしれない」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「……優しさも怒りも、底が知れないというのは恐ろしいものなのよ」




母性巫女 「私は……」


死神メイド 「本当に、もとの世界が懐かしいというの?」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「……私は、友人より下に自分の魂のステータスを置いておきたいタイプだけれど」

死神メイド 「あなたと友だちにはなりたくない」

死神メイド 「死神としての意見だけれど、あなたの魂は大きすぎる」

死神メイド 「大きすぎるもののそばにいるということは、自分の小ささを必要以上に感じなければならないということ」

死神メイド 「とても耐えられないわ」


母性巫女 「…………」






死神メイド 「例えば笛を吹くことが好きだとして」

死神メイド 「自分の演奏が惨めになるくらい笛の才能のある友人がいるとしたら」

死神メイド 「……その人が自分をよそに賞賛を浴び続けたら」

死神メイド 「笛を吹くのが嫌いになってしまうかもしれない」

死神メイド 「そのうち、その友人のやることなすことが鼻につくようになるかもしれない」

死神メイド 「その友人が優しい人で、情けでもかけられようものなら、最悪」

死神メイド 「自分の心の醜い部分が浮き彫りになって、自分の全てを否定したくなるかもしれない」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「笛に限ったことじゃないわ」

死神メイド 「英雄を目指す剣士でも良いし、胸の大きさでも良い」

死神メイド 「とにかく、あなたは」

死神メイド 「相手にとって、自分を惨めな気持ちにさせる嫌な存在ということよ」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「大げさかしら」

死神メイド 「でも、そんなものだと思うのよね」




死神メイド 「多かれ少なかれ、人は自分の魂に誇りをもっているもの」

死神メイド 「……たくさんの魂を運んだ私から見ても、あなたの魂は大きすぎる」

死神メイド 「ただ在るだけで、他の魂を圧倒してしまうほど」

死神メイド 「常にあなたの傍にいて耐えられるのは、似たような魂を持つ人か」

死神メイド 「度をこしたバカか、よっぽど、本当によっぽどプライドの無い人だと思う」


幼女魔王N 「……ムニャ」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「……あなた、本当にもとの世界が懐かしいの?」




母性巫女 「…………」

母性巫女 (懐かしくないはずがないわ)

母性巫女 (呪いで嫌な目にはあったけれど、それ以上に思い出のつまった私の故郷……)


ポワ ポワ ポワ



…………



母性巫女(見習い時代) 『……ふう、やっぱりここのお茶は美味しい』


喫茶店長 『お嬢ちゃんももの好きだね。よく来るけど、その年頃でひとりでお茶なんて』

喫茶店長 『騎士見習いとはいえ、休みくらいみんなでわいわいやるもんだろうに』


母性巫女 『あはは……なんだかいつも時間があわなくて』

母性巫女 『今日もみんな特別な見回りだとかで』


喫茶店長 『へえ、そうなんだ。あたしの時代にゃそんなの無かった気がすっけど』


母性巫女 『はい。不思議ですよね、同じ班なのに』




母性巫女 『でも、みんな優しいんですよ』

母性巫女 『私も一緒に行こうとしたら、私たちの分まで休みを満喫して……って』


喫茶店長 『…………』

喫茶店長 『あんた、それって……』


母性巫女 『うふふふ……』


喫茶店長 『……くぅっ』

喫茶店長 『待ってな、特大のケーキを用意してやる……!!』


母性巫女 『え、でも……』


喫茶店長 『なにも言うな、あたしの奢りだ……!』


母性巫女 『まあっ……!』

母性巫女 『ありがとうございます。じつは、今日って誕生日だったんです』


喫茶店長 『……くうぅっ』

喫茶店長 『グスッ……特大のろうそくもつけてやらあ!』






ポワ ポワ ポワ



見習い戦士A 『あの喫茶店潰れたらしいよ』


見習い戦士B 『なんか、お客さんが滅茶苦茶減ってどうにもならなくなったって』


母性巫女 『(行きつけの喫茶店が潰れた……)』

母性巫女 『(店長さんは騎士団に復帰したらしいけど、なんだか寂しい……)』

母性巫女 『……あら?』

母性巫女 『やだわ、また下駄箱の中が土だらけ』

母性巫女 『見習い仲間の言っていた、いたずら精霊さまのしわざね』

母性巫女 『このところ毎日だわ』


雑草のようなもの


母性巫女 『おまけに雑草のようなものまで』

母性巫女 『……んっ……意外と重たい……?』


グ グ

ズボ


雑草のようなもの 『…………』

マンドラゴラ 『ヒシャゲェエエ!!』




マンドラゴラ 『ションギャレエェエ!!』


キシャー キシャー


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……あらやだ」

母性巫女 「雑草かと思ったらマンドラゴラだわ」


見習い戦士C 「大変だー! どこかで暗殺用のマンドラゴラが鳴いているぞ!」

見習い戦士C 「気をつけろ、半径30cm以内なら即死、それ以上の距離でも気絶する威力だ!」


キャー キャー ワー ワー


マンドラゴラ 「ヂューーイ、ヂュウウウイ!!」


母性巫女 「こうやって見ると意外と可愛い……」


ナデ ナデ




ポワ ポワ ポワ


母性巫女 『……あら』


見習い仲間A 『あ』


見習い仲間たち 『うわっ』


母性巫女 『みんな、今日は早く見回りが終わったんですか?』


見習い仲間B 『そ、そんなところ』


見習い仲間C 『あんたは?』


母性巫女 『行きつけの喫茶店が潰れちゃって、新しいところを探してここへ……』


見習い仲間D 『そ、そうなんだ』


見習い仲間たち 『…………』


見習い仲間E 『……き、奇遇だね!』


母性巫女 『はい』


キ キャ……ッ キャッ

ウフ……フ……




ポワ ポワ


勇者 『次の戦場では、敵陣に巨大ゴーレムが数体配置されているらしい』


軍師 『我々は、国王軍が敵の部隊を食い止める間に、軍をいくつかの部隊に分けて各個ゴーレムを撃破します』

軍師 『というわけで、攻守のバランスを考えつつ、まず仲良しの三人組をつくってください』

軍師 『母性巫女以外で』


勇者軍のみなさん 『はい!』


母性巫女(勇者軍時代) 『……あ、あの』


軍師 『母性巫女は単独で二体ほど撃破してもらいます』


母性巫女 『え……』


軍師 『あなたの担当となるゴーレムの近くには人間特攻を持つ発情オークも多く配置されているそうなので』

軍師 『気をつけてください』


母性巫女 『発条……?』




女武闘家 『大丈夫、あんたならやれるよ!』


魔法使い 『そうよ、産卵期のローパーの群れにインキュバスの群れも結局ひとりで撃破できたじゃない!』


ドワーフ娘 『あんたが秘密主義で非協力的な精霊騎士団出身だから捨て駒にもってこいだとか』

ドワーフ娘 『そういうわけじゃないよ』


母性巫女 『は、はい、それはもちろん……』


エルフ姫 『頑張って。あなたにこれを差し上げます』


■娼婦の水着
 どこを隠したいのか分からない神秘の服。
 防御力大幅ダウン。魅力アップ。
 魅了効果。まれに装備者が発情・麻痺状態に。


母性巫女 『これは……私の着ている精霊の服と似ていますが、いったい……』


エルフ姫 『エルフ秘伝の服です』

エルフ姫 『不浄のオークとの戦いできっとナニカの役にたつでしょう』




母性巫女 『ありがとうございます』

母性巫女 『……素敵な服』


南の聖女 『当然ながら、単独では回復の手段は限られます』

南の聖女 『補助程度ですが、これを渡しておきましょう』


粗悪な薬草


南の聖女 『HPを15ほど回復してくれます。なんとMPも少量回復してくれますよ』


母性巫女(HP8920) 『ありがとうございます』


南の聖女 『それと、万が一に備えてこれを使っておくと良いでしょう』


■インキュバスリーフ
男性ユニットに使うと魅力アップ。異性を魅了。
女性ユニットに使うと発情・魅了の状態異常。
真逆の効果を持つサキュバスリーフも存在する。


南の聖女 『励んでください』


母性巫女 『ありがとうございます』

母性巫女 『こんなに良くしていただいて……なんだか、勇気がわいてきました』


母性巫女にどすけべさせてくれと頼んだらさせてくれるのだろうか


>>210

http://i.imgur.com/XnQca1a.jpg

こんな感じになるけど、
プライドとか理性とか捨てたり、「毎日しないと死ぬ」とか言って頼めば
結局何でもさせてくれる。





※幕間


http://i.imgur.com/kXdRdUG.jpg
(チュートリアル画面)



■しもべプラス(ver.巫女プラス)


淫魔幼女 「魔法のしもべ育成ゲーム、しもべプラスver.巫女プラス」


猫耳蛇娘 「魔王か勇者になって、あなた好みのしもべを育てよう!」

猫耳蛇娘 「別売りの魔法の眼鏡や1/1ゴーレムがあれば、よりリアルな触れ合いが楽しめるぞ!」


淫魔幼女 「淀みネットワークに繋げば、他のしもべと対戦や交流も可能だ」


猫耳蛇娘 「駄目駄目なご主人様をお世話するver.Nプラスも同時発売!」


淫魔幼女 「両バージョンとも、全年齢版とR-18版がございますので、ご購入の際はご注意ください」

淫魔幼女 「なお、現在ver.巫女プラスの在庫は全年齢版が少量となっておりますので、ご了承ください」


猫耳蛇娘 「ver.Nは何故か腐るほど残っておるがの」


謎の狐耳 「ver,Nを100セットいただこうか」



………






…………


母性巫女 (エトセトラエトセトラ)

母性巫女 「……はい」

母性巫女 「大切な思い出の詰まった故郷です……」


ジィン……


死神メイド 「そう」

死神メイド 「だったら、帰る方法を教えるわ」


母性巫女 「でも……」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「あなたの都合はどうでも良いけれど」

死神メイド 「…………」

死神メイド 「あなたの世界の、あなたの故郷の仲間たちを滅茶苦茶にした原因のひとつは」

死神メイド 「その幼女魔王Nなのよ」



ソヨ ソヨ

ザワ ザワワ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「N……」


死神メイド 「……例えば、この野原で遠くの草のひとつを狙って石を投げたとして」

死神メイド 「当たる可能性はとても低いかもしれないけれど」

死神メイド 「それでも、遠くの他の草には当たっていると思うのよ」

死神メイド 「草でなくても、土とか、もしかしたら虫とか花とか、とにかく何かには当たっていると思うのよ」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「幸せも、そんなものだと思うわ」

死神メイド 「全く自分の望む形の幸せは、なかなか掴めないとしても」

死神メイド 「他の形の幸せは、じつは掴んでいたりする」

死神メイド 「……そして、その幼女魔王Nは」


幼女魔王N 「…………」




死神メイド 「彼曰く、彼女は知的生物としてはきわめて底が浅いけれど、それゆえに底知れない劣等感の塊なのだそうよ」

死神メイド 「その劣等感も、彼女の実力からすれば自信過剰なのかもしれないけれど……」

死神メイド 「きっと心のどこかで、自分が正しいわけがない、成功するわけがない」

死神メイド 「幸せになれるわけがないと常に思っているのでしょうね」

死神メイド 「そういう惨めなところ、可愛いと思うわ」


幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「彼女は宿で、自分が何者かも分かっていないようだったわ」

死神メイド 「自分にとって何が本当に幸せなのか、何を望んでいるかも漠然としか分かっていないのでしょうね」

死神メイド 「彼女は常に劣等感を抱いているから、今の自分を否定したがる」

死神メイド 「今ある幸せを信じられずに」

死神メイド 「まだ手にしていない、自分にふさわしい幸せに思いを馳せるばかり」




死神メイド 「…………」


死神メイド は カンペを装備した


死神メイド 「たくさんの魂をおくってきた私から見ても、彼女ほど愚かでみすぼらしい魂の持ち主はなかったわ」

死神メイド 「それが人格にも影響しているのかは知らないけれど」

死神メイド 「彼女の心は、穴だらけの器と同じ」

死神メイド 「ちゃんと修復してからでないと、いくら幸せやら良いものやら注いでも意味がない」


母性巫女 「それは……」

母性巫女 「はい」


死神メイド 「人型のしもべを手に入れて甘えたい」

死神メイド 「それが彼女の、ここのところの望みだったそうよ」

死神メイド 「ギルドの人材紹介窓口に足繁く通ったり、他にもいろいろとしていたみたい」




幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「それは、的外れではなかったと思う」

死神メイド 「常に自分の傍にいて自分の味方でいてくれるものが」

死神メイド 「自分の外側から自分というものを肯定してくれるものが」

死神メイド 「彼女には必要だった」

死神メイド 「自分の心だけで、自分を保つことができないから」

死神メイド 「誰か外側から、助けてくれる人が必要だった。内側と外側から、彼女をかたちづくらなければならなかった」

死神メイド 「彼女という子供には、最初の他人である親のようなものが必要だった」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「けれど、そんな人、普通はそうはいないもの」

死神メイド 「無理にそうしようとしても、できないもの」

死神メイド 「自然と本当の家族のようになるなんて」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「どうせ見つかるはずがない」

死神メイド 「だから、しもべで良い」

死神メイド 「てきとうな人物を見繕って、絶対服従のしもべにすれば良い」

死神メイド 「彼女の根本の問題は残るけれど、一時的にはかわきを癒せるだろう」

死神メイド 「もしかしたら良い方に向かうかも知れない」

死神メイド 「そうでなかったら、また別の望みをかなえてやれば良い」

死神メイド 「淫魔幼女は、そう考えた」




母性巫女 「淫魔幼女……?」


死神メイド 「この無情の世界では、計画通りにことを運ぼうとすること自体がナンセンスだけれど」

死神メイド 「中でもあなたの存在は、予想外」

死神メイド 「彼女の弱さを受け入れるばかりか」

死神メイド 「劣等感で萎縮した彼女が、ここまで心を委ねられる人がいるなんて」

死神メイド 「……おかげで、結局彼の当初の計画が最大の障害となってしまった」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「……未開の世界。女戦士たちの暮らす閉鎖的な森」

死神メイド 「絶好の狩場だった。常人より丈夫なしもべ触手の苗床も集められるし」

死神メイド 「しもべの選別もできる」


母性巫女 「狩場……!?」


死神メイド 「そう」




死神メイド 「彼女も、いつかは自分の力で」

死神メイド 「自分の世界を守れるようにならなくてはいけない」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「だから、彼女の力になるしもべが必要」

死神メイド 「しもべを増やすための苗床が必要」


母性巫女 「苗床……そのために私の故郷を……」


死神メイド 「どこでも良かったのよ」

死神メイド 「狩りやすければ」




母性巫女 「どこでもって……」


死神メイド 「そういうものよ」

死神メイド 「広い世界は、そういうもの」

死神メイド 「優しい世界をつくりたければ、優しくない世界に打ち勝つ力がいる」

死神メイド 「けれどそれはあなたの考える優しい世界であって、誰かにとっては優しくない世界かもしれない」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「絶対の善悪なんてない」

死神メイド 「人間を食べる魔物を責められない。羊の肉を食べる人間を責められない」

死神メイド 「生きている以上、誰かにとっての善で、誰かにとっての悪になることから逃れられない」

死神メイド 「そういうところで、彼女は生きていかなくてはならないの」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」




死神メイド 「理解してもらえるかしら。彼女にも事情はあるということ」


母性巫女 「……ええ、それは」


死神メイド 「……彼女を庇いたいわけではないのよね」

死神メイド 「彼女がどうなろうと、興味はないもの」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「話しておいて」

死神メイド 「その上で、あなたが判断した方が良いと思っただけ」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……スピー」


死神メイド 「……よく眠るわね、彼女」




死神メイド 「その方が、あなたも気が楽かもしれないわ」


母性巫女 「?」


死神メイド 「あなたは今、彼女のしもべ」

死神メイド 「もとの世界に帰りたいなら、まずは彼女から解放されないと」

死神メイド 「彼女を、殺さないと」


母性巫女 「……!」


死神メイド 「大丈夫、顔色が悪くなったわ」

死神メイド 「良いじゃない。彼女だって、あなたを殺してしもべにしたんだもの」


母性巫女 「駄目です。そんな……」


死神メイド 「彼は理解できないかもしれないけれど」

死神メイド 「あなたをこのまましもべにしていても、彼女は痛み続けるだけだと思うのよね」





死神メイド 「…………」

死神メイド 「はい」


釜のかけら


母性巫女 「……釜のかけら?」


死神メイド 「私が死神時代に使っていた武器の破片」

死神メイド 「これを使えば、世界を渡ることが出来るわ」

死神メイド 「あなたの故郷に、帰ることができるわ」


母性巫女 「それじゃあ……」


死神メイド 「大丈夫。まだあるから」


釜のかけら×7
釜の蓋


母性巫女 「…………」


死神メイド 「シチューつくろうとして、失敗しちゃって」


母性巫女 「そ、そうですか……」



釜のかけら を 手に入れた!




母性巫女 「ありがとうございます……」


死神メイド 「そう」

死神メイド 「彼女を殺したら、そのアイテムを持って」

死神メイド 「あなたの故郷を思い浮かべて」

死神メイド 「そうすれば、道はひらくわ」

死神メイド 「大丈夫、故郷の世界の記憶は強いから」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「…………」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「どうしたの。やらないの?」




母性巫女 「…………」


死神メイド 「迷っているの?」

死神メイド 「彼女を殺さないということは」

死神メイド 「あなたの人生を否定することにはならないの?」

死神メイド 「迷っていては、あなたの人生のため犠牲にしてきたものへ、失礼ではないの?」

死神メイド 「いろんなものを食べてきたでしょ。いろんなものを殺してきたでしょ」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (私の人生)

母性巫女 (精霊さまにつかえて、修行して、魔王の手先である魔物たちから世界を守るため……)


死神メイド 「あなたにとって、あなたの生まれ育った世界はその程度だというの」

死神メイド 「だとしたら」

死神メイド 「ひどい人ね、あなた」


母性巫女 「…………」




母性巫女 (嘘じゃなかったと思う)

母性巫女 (魔王を打ち倒せばきっと良い世界になると信じて、私は勇者さまの隊に加わったのだと思う)

母性巫女 (でも……)


死神メイド 「……だけど」

死神メイド 「きっとそれは大事なこと」

死神メイド 「よく考えて、決めると良いと思う」


母性巫女 「……はい」


死神メイド 「それでも、早く決めた方が良い」

死神メイド 「のんびりと、終わりはそこまで来ているから」



…………





…………



母性巫女 『……N。……N』


幼女魔王N 『うーん……?』


母性巫女 『もう、そんな犬小屋で寝てたら風邪をひきますよ』

母性巫女 『早く出て、自分の部屋のベッドで寝なさい』


幼女魔王N 『……やだもん』

幼女魔王N 『ここが落ち着くんだもん。絶対出ないもん』


母性巫女 『……そうですか』

母性巫女 『しかたありませんね』


幼女魔王N 『…………え?』




淫魔幼女 『こいつは駄目だ。手に負えない愚か者だ』


可憐少女 『置いていきましょう』


母性巫女 『そうですね』

母性巫女 『さようなら、N』


テク テク テク



幼女魔王N 『え……?』



淫魔幼女・詐欺商人 『ワイワイ』


可憐少女・牧師 『ペチャクチャ』


星魔法少女隊 『キャッキャ』


黒髪の女・桃髪の男 『…………』


その他親友の皆さん 『…………』


テク テク テク テク



幼女魔王N 『ま、待って……みん……』



??? 『みんな、待ってえ』




幼女魔王N 『あれは……』



??? 『待って、みんな』

真幼女魔王 『待ってえ』


トタ トタ トタ トタ



幼女魔王N 『スカートのふくらんだ、お姫さまみたいな可愛い子……誰かしら』

幼女魔王N 『みんなとは違う方へ走っていく……』

幼女魔王N 『……ああ、あっちにも、誰かいる』



謎の狐耳 『遅かったじゃないか、可愛い妹』


赤鎧王子 『待ちくたびれて鎧も錆びてしまった』


青服王子 『はしたないですよ、そんなに走って』


真幼女魔王 『ごめんなさい』


黒髪王女 『怪我はなかった?』


桃髪王子 『怖くはなかった?』


真幼女魔王 『ええ、平気』


旧美触手 『…………』


アハハ ウフフ



幼女魔王N 『……何なのかしら、あっち』

幼女魔王N 『懐かしいのに、見ているととても不安……』





幼女魔王N (分からないけれど、分かるような、不思議な感覚……)



アハハ ウフフ


金狐魔王 『みな揃ったか』


棺持ち 『はい』


淫魔幼女 『では出発』


テク テク テク


真幼女魔王 『……ああ、そうだ。待っていて』


トタ トタ トタ



幼女魔王N 『……さっきの子が近づいてくる』


トタ トタ トタ

トタ


真幼女魔王 『…………』


幼女魔王N 『…………』


真幼女魔王 『……あなたには』

真幼女魔王 『こっちはあげない』




真幼女魔王 『ずっと、分からなくて良いの』

真幼女魔王 『あっかんべえ』


幼女魔王N 『あ、あの……』


ガチャン ボカン


幼女魔王N 『きゃひょっ!?』

幼女魔王N 『な、何、何……!?』

幼女魔王N 『………?』


シイン


幼女魔王N 『……ちょっと目を閉じた隙に』

幼女魔王N 『いなくなっちゃった』

幼女魔王N 『あっちの人たちも……』




幼女魔王N 『…………』

幼女魔王N 『……あ』

幼女魔王N 『母性巫女……』


キョロ キョロ


幼女魔王N 「…………」


シィン


幼女魔王N 「……いない」

幼女魔王N 「ひとりになっちゃった……」



…………

…………






幼女魔王Nの城 犬小屋



ソヨ ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……モガ」

幼女魔王N 「ふにゃ……?」


ソヨ ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「どこかしら、ここ」

幼女魔王N 「……ああ、犬小屋か」


ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「……ずいぶん長いこと眠っていたような気がする。こわい夢も見た気がするし」

幼女魔王N 「体がだるい」

幼女魔王N 「……あ」

幼女魔王N 「母性巫女……!」


キョロ キョロ




母性巫女 「おはようございます、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「いた。ホッ……」


母性巫女 「おはようございます」


幼女魔王N (……ああ、そうか)

幼女魔王N 「おはよう……」


母性巫女 「…………」


ニコ


幼女魔王N 「…………」




幼女魔王N 「ちっとも母性巫女っぽくない」

幼女魔王N 「でも指示するの、気がすすまないのよね……」

幼女魔王N 「どうせつくりものなんだし……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「はあ……」


母性巫女 「大丈夫ですか、魔王さま?」


幼女魔王N 「うん……」


母性巫女 「…………」


ニコ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……ん?」


魔法少女の杖


幼女魔王N 「……何かしら、あれ」




魔法少女の杖


幼女魔王N 「……へえー、可愛い」

幼女魔王N 「でも私、こんなおもちゃ買ったっけ……?」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……触手魔法少女N子、トキメキへんし~ん」

幼女魔王N 「なんちゃってー」


クルリ

ヨロ


幼女魔王N 「あ」


ズデン


幼女魔王N 「うげっ」

幼女魔王N (思いっきりこけた。恥ずかしい)


母性巫女 「…………」


ニコ


幼女魔王N (恥ずかしい……!)




ヨロ ヨロ


幼女魔王N 「……ふ、ふん」

幼女魔王N 「なによ、魔女っ子ごっこなんてバカみたい」

幼女魔王N 「私、もうそんな歳じゃないもん」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……くあぁ」

幼女魔王N 「……眠い」


ソヨ ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「どうせ起きていても良いことないし」

幼女魔王N 「寝ましょ……」


シャン


幼女魔王N 「……?」

幼女魔王N 「どこからか、鈴の音?」





シャン シャン シャン


幼女魔王N 「近づいてくる」

幼女魔王N 「いったいどこから……」


シャン シャン……

バリン


幼女魔王N 「!?」


バリ バリ バリ


幼女魔王N 「空間に、裂け目……」

幼女魔王N 「……え、誰かが渡ってくる!?」


バリ バリ


幼女魔王N 「淫魔幼女?」

幼女魔王N 「……いや、なんだか違う感じ」

幼女魔王N 「どどどど、どうしよう……」


バリ バリ バリ




バリ バリ

ヒラリ


幼女魔王N 「……空間の裂け目から何か出てきた」


おふだ13


幼女魔王N 「紙切れ?」

幼女魔王N 「……触らない方が良さそう」


ヒラ ヒラ ヒラ

ボワン


幼女魔王N 「!?」

幼女魔王N (紙切れが人のかたちになった!)


??? 「…………」

??? 「むふっふっふっふ……」

猫耳蛇娘 「わし、華麗に参上」


幼女魔王N 「……?」

幼女魔王N (誰かしら)




猫耳蛇娘 「本当に何もないところじゃな」

猫耳蛇娘 「んん~、そのせいか空気はうまいのう」

猫耳蛇娘 「ごろにゃん、ごろにゃん」


幼女魔王N (猫の耳がはえたヒト……キャットエンスかしら)

幼女魔王N (私より少しだけ歳上みたいだけど、白い髪……きっと苦労しているのね)


猫耳蛇娘 「……ふむ」

猫耳蛇娘 「そしてお前が噂の、どピンクのクソ娘じゃな」


幼女魔王N 「いろいろ余計よ」





猫耳蛇娘 「お前の噂は聞いておる」

猫耳蛇娘 「たいへんおいしい料理をつくられるそうですね」


幼女魔王N (なんか苦手な人だわ……)

幼女魔王N (でも、悪い人じゃなさそう?)

幼女魔王N (杖を持っていて、お腹丸出しの異国情緒あふれる服を着ている)

幼女魔王N (たぶん踊り子か手品師といった感じだけど……)

幼女魔王N 「あ、あなたは誰ですか……誰なの?」


猫耳蛇娘 「ワシは猫耳蛇娘」

猫耳蛇娘 「職業は乙女じゃ」


幼女魔王N 「へ、へええ」

幼女魔王N (私のことを知ってるって言ったわよね)

幼女魔王N (どこかで私の噂を聞いたみたいだし)

幼女魔王N (……そっかあ、私も有名になっちゃったかあ)

幼女魔王N (これを機に、アイドル魔王になんかなっちゃったりして)

幼女魔王N 「うへへへへ……」


猫耳蛇娘 「……噂どおり、気持ち悪い娘じゃな」




http://i.imgur.com/ZqD0My9.jpg






猫耳蛇娘 「まあ良いわ。仕事じゃし」

猫耳蛇娘 「これ、そこのヘソ出し魔王、ちょっと……」


幼女魔王N 「うへへへ」

幼女魔王N 「アイドルかあ、困っちゃうなあ……いやいや、私がアイドルなんてそんな大それた……」

幼女魔王N 「そうよ。美人じゃないし、貧乳だし、ドジだし、お尻もちょっぴり大きいし太モモも……」

幼女魔王N 「でも、体やわらかいし、それに美人じゃなくても、もしかしたら庶民派アイドルとして……」

幼女魔王N 「えへへへ……でもぉ、ほら、わたし魔王だしぃ、専念したいしぃ、アイドルなんて急に言われてもどうしよう困っちゃう……えへへへ」


猫耳蛇娘 「これ、キモロリ」


幼女魔王N 「いつ見ているだけだった魔動画の向こう側に立っちゃうのかあ」

幼女魔王N 「……最初は歌と踊りで、そのうち舞台とかアニメの役に大抜擢されちゃって」

幼女魔王N 「で、映画化されたりペニステでゲーム化されたりして……」


猫耳蛇娘 「キモピンク」


幼女魔王N 「あひゃうん……私、もう素顔で外を歩けなくなっちゃうー!」

幼女魔王N 「えへへへへ……!」


クネ クネ クネ クネ


猫耳蛇娘 「……何なんじゃ、このクソキモいピンクは」




猫耳蛇娘 「おい、ちょっと。へそピンク」


幼女魔王N 「えへへ……」

幼女魔王N 「えっ、好きな人?」

幼女魔王N 「もちろん………います」

幼女魔王N 「エーーーッ!!? 嘘だ、Nたんに彼氏だなんてーー! ……と、絶望の悲鳴をあげるファンたち」

幼女魔王N 「そこで私は悪戯っぽく笑って」

幼女魔王N 「うふふ……私の大好きな人。それはぁ……」

幼女魔王N 「こうして集まってくれたみんなですぅ! 私のハートは、みんなのものなのぉ!」

幼女魔王N 「うおぉおー! Nたーん! Nちゃーん!」


ピョーン ピョーン


猫耳蛇娘 「じゃから、おい……」




幼女魔王N 「お休みは、第三大世界同盟の貴族も予約がとれないという超高級リゾート世界で」

幼女魔王N 「マネージャー兼しもべの母性巫女と一緒に、サンセットビーチでのんびりと……」

幼女魔王N 「……どうかしら、母性巫女。ちょっとイルカとチンピラの多いところだけど、なかなか良いビーチではなくて?」

幼女魔王N 「いつも頑張ってくれるあなたへの、ちょっとした恩返しよ。ちなみに今日は宇宙大統領大臣からお菓子パーティーに誘われたけど断ったわ」

幼女魔王N 「……とっても素敵です。ありがとうございます、N」

幼女魔王N 「立派になりましたね。アイドルとしても、魔王としても」

幼女魔王N 「ご褒美に、ベッドの上でお菓子を食べても怒らないし、おっぱいを飲ませてあげます」

幼女魔王N 「……わーーーい!」

幼女魔王N 「えふえへへへ……ひゅへへへ……!!」


ゴロ ゴロ

クネクネクネクネ


猫耳蛇娘 「本当に何なのじゃ、この娘」

猫耳蛇娘 「脳みそのどの辺をいじったら、この若さでこんな破綻してキモくなれるんじゃ……」


幼女魔王N 「母性巫女ー、母性巫女ー」

幼女魔王N 「あ……」


母性巫女 「…………」




母性巫女 「…………」


ニコ


幼女魔王N 「……そうか、そうだったわね。母性巫女はもう……」

幼女魔王N 「えへへ、馬鹿みたい、私」


グスン 


猫耳蛇娘 「泣き出しとるし」

猫耳蛇娘 「この面倒くささ。たしかに、怖がらせて押さえつけとくのが楽な扱い方のようじゃが」

猫耳蛇娘 「……おい、もう良いか、ピンク」


幼女魔王N 「……え?」

幼女魔王N 「ああ、ええ……」

幼女魔王N 「ごめんなさい。私はもう引退したの。これからはただの一般人として、ひっそりと生きていきたいから」

幼女魔王N 「悪いけど、帰ってくださるかしら……グスン」


猫耳蛇娘 「…………」





猫耳蛇娘 「そうしたいのはやまやまじゃが、今すぐ帰っておぬしを記憶から消したいが」

猫耳蛇娘 「まことに遺憾ながら、これ仕事じゃから」


幼女魔王N 「……仕事」

幼女魔王N 「もしかして、お城の修理の人?」


猫耳蛇娘 「うん、まあ、そんな感じじゃな」


幼女魔王N 「そう……でも、私はそんなの頼んだ記憶がないの」

幼女魔王N 「悪いけど帰ってもらえるかしら……」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「まあ、そうつれないことを言うでない」

猫耳蛇娘 「ワシのような腕っこきの結界術師をご利用できるなんて、かなりお得なんじゃぞ?」

猫耳蛇娘 「ワシを貸切でご利用するのは、大世界中の青少年の夢と憧れと欲望といっても過言ではない」

猫耳蛇娘 「うっふん」


幼女魔王N (気持ち悪い)




猫耳蛇娘 「この前ものう、ある世界のある山村で、モンスター封印の舞をすることになったんじゃがのー」

猫耳蛇娘 「ほら、ワシってこんな服じゃろ? 舞っている間中、こことかこの辺の隙間とか……」

猫耳蛇娘 「縦も横もワシの倍はあろうかという山育ちの男たちの、逞しい視線が釘付けでのー」

猫耳蛇娘 「いやーんだったのじゃあ。ごろにゃんごろにゃん」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「この間なんかものう、南国の子供たちに恵みの舞を披露したんじゃがのー」

猫耳蛇娘 「ほら、ワシって仕事がら下着とか装備しないじゃん? それがどういうわけか風の噂で子供たちに知られとったらしくてのー」

猫耳蛇娘 「舞っている間中、幼い視線がわらわらと絡みついてきてのー。ハラハラドキドキだったんじゃよー」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「これがもう逃げ場が無いんじゃよ。あらゆる方向から見られるんじゃもの」

猫耳蛇娘 「無邪気な視線が、こことかこの辺の隙間とかから服の下に潜り込んできて、容赦なく舐めるように全身を撫で回してのー」

猫耳蛇娘 「いやーん、このワシが、子供ごときに身も心もメロメロの丸裸にされちゃうなんてー!」

猫耳蛇娘 「だったのじゃ」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……あ、うん」

幼女魔王N 「そうだね……私も、そう思うよ?」


猫耳蛇娘 「何が?」





http://i.imgur.com/oDlYlO2.jpg


猫耳蛇娘 「ほら、ワシってこんな服じゃろ?」





幼女魔王N 「ごめんなさい。なんか、圧倒されちゃって」

幼女魔王N 「私、そういう下品なのとは無縁だから」

幼女魔王N 「一家団欒のお茶の間に安心してお見せできる人生しか、送ってないから……」


猫耳蛇娘 「下っ腹ぎりぎりにスカートはいとるくせに何を言っとるの?」

猫耳蛇娘 「とにかくじゃ、ワシを一時的にでも雇えるというのは、羨ましいことなのじゃぞ」

猫耳蛇娘 「ここはひとつ、良い経験だと思って」


幼女魔王N 「そう言われても」

幼女魔王N 「貧乳だし……」


猫耳蛇娘 「敷き殺すぞ」

猫耳蛇娘 「いやいや、本当にお得じゃぞ? 友達に自慢できるぞ?」

猫耳蛇娘 「……あ、すまん、友達おらんかったの」


幼女魔王N 「ぶっ飛ばすわよ」


母性巫女 「…………」




幼女魔王N 「何なのよあなた、いきなり出てきてちょくちょく訳知り顔で」

幼女魔王N 「どうせあれでしょ。結界とか言って、本当はお城中の空気がおならのニオイになる呪いとかかけるんでしょ」


猫耳蛇娘 「そんな呪い知らんわい」

猫耳蛇娘 「まあ良い、特別サービスじゃ。ワシの凄さを見せてやる」


ガサゴソ ピラ


おふだ


幼女魔王N 「汚れた紙くず」


猫耳蛇娘 「おふだじゃボケ! 紙くずて……」

猫耳蛇娘 「コホン。それでは、まず……」

猫耳蛇娘 「おぬし、ちょっとスカートの前めくれ」


幼女魔王N 「はい」


ピラ


猫耳蛇娘 「にゃんっ!?」

猫耳蛇娘 「ワシのじゃないわい!」


幼女魔王N 「!!」


猫耳蛇娘 「自分のをめくれっちゅうとるの!」


幼女魔王N 「え゛……い、嫌よ!」


猫耳蛇娘 「良いじゃろう! 減るもんじゃなし。スパッツはいとるし!」


幼女魔王N 「嫌よッッ!!!」


猫耳蛇娘 「!!」




猫耳蛇娘 「めくれ!」


幼女魔王N 「嫌よ!」


猫耳蛇娘 「めくれ!」


幼女魔王N 「嫌だってば!」


猫耳蛇娘 「飴やるから!」


幼女魔王N 「いらないわよ!」


猫耳蛇娘 「二個やるから!」


幼女魔王N 「仕方ないわね!」


……………ピラ


猫耳蛇娘 「…………プッ。こやつ魔王のくせにウサギさんパンツなんかはいとる。かーわいーいー」

猫耳蛇娘 「記録してあとで全世界にばらまいちゃろ」


パシャ


幼女魔王N 「あんた何しに来たのよ!!」




ドカ ボカ

ギャア ギャア


猫耳蛇娘 「……で、次にスパッツの上にこの札をはるわけじゃ」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N (女の子同士とはいえ恥ずかしい。自分でスカートの前をめくるなんて)


猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「……あの、早くはってくれないかしら」


猫耳蛇娘 「……おぬし、なんでスパッツの下にパンツはいとるの?」


幼女魔王N 「だって透けちゃうし、よく破れるし」

幼女魔王N 「良いから早く」


猫耳蛇娘 「分かった分かった、せかすでない」

猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「レギンスと思って見るとそうでもないが」

猫耳蛇娘 「スパッツと思って見ると、何かこう」

猫耳蛇娘 「途端にえろい眺めじゃな、これは」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「神秘……じゃねッ」


幼女魔王N 「早く!」




ソヨ ソヨ


猫耳蛇娘 「……ど、こ、に、し、よ、う、か、の」

猫耳蛇娘 「へ、び、が、み、さ、ま、の……」


幼女魔王N 「どこでも良いから、早く……」


猫耳蛇娘 「い、う、とりゃ!」


ペタ


幼女魔王N 「ひゅんっ!?」

幼女魔王N 「ちょ、ちょっと、いきなりそんな強く……!」


ペタ ペタ ペタ


幼女魔王N 「ちょっ……何度もペチョペチョ叩くなあ!」


猫耳蛇娘 「しっかりはらんとな。ノリがな」


幼女魔王N 「そのあたりは魔法で何とかならないの……」


猫耳蛇娘 「……よし、これでオーケィじゃ」




幼女魔王N 「うぅ…………」


猫耳蛇娘 「では、次に」

猫耳蛇娘 「おぬし、自分のはいているスパッツを脱げ」


幼女魔王N 「嫌だ」


猫耳蛇娘 「パンツ、うさぎ」


幼女魔王N 「わ、分かったわよ……」


ガサ ゴソ


猫耳蛇娘 「ちょろいのー、魔王のくせに……」


幼女魔王N 「うるさ……」

幼女魔王N 「あ、あれ……ちょっと、これ……?」


ガサ ゴソ ガサ


幼女魔王N 「ぜんぜん脱げない……」




グイ グイ グイ


幼女魔王N 「ダメだわ。ど、どうなっているの」

幼女魔王N 「……隙間に手を突っ込むこともできない!」


モゾ モゾ モゾ


猫耳蛇娘 「ふっふっふ……」

猫耳蛇娘 「どうじゃ、これがワシの結界術師としての力じゃ」

猫耳蛇娘 「ちなみにそのおふだは、装備脱がし無効の効果があるぞう」


幼女魔王N 「ふにゅにゅにゅにゅ……」


グイ グイ グイ


猫耳蛇娘 「装備品破壊系の技は結構厄介でな。結構役に立つおふだなのじゃ」

猫耳蛇娘 「とくに、お洒落な女性冒険者には……」

猫耳蛇娘 「いや、女性冒険者には実は必須のアイテムと言っても良い」




猫耳蛇娘 「なにせ、他種族の雌を繁殖に利用するモンスターは多いからのー」

猫耳蛇娘 「生命に関しては、男性より女性の方が優秀ということじゃなあ」

猫耳蛇娘 「まあ、とにかく、これさえあれば」

猫耳蛇娘 「卵スライムやインキュバス虫の巣に突っ込んでも、最悪死ぬだけで済むっちゅうわけじゃ」



幼女魔王N 「……母性巫女!」



猫耳蛇娘 「どうじゃ。すごいじゃろー、ワシ」

猫耳蛇娘 「装備品保護系のおふだはつくるのが難しいんじゃが」

猫耳蛇娘 「天才美少女猫耳蛇娘ちゃんなら、パパっとできちゃうわけじゃあ……」



母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「脱がせてー」


ガバ


母性巫女 「はいはい……」


ニコ



猫耳蛇娘 「かっかっかっか」

猫耳蛇娘 「無駄じゃ無駄じゃ」



母性巫女 「…………」


スルリ スポン


幼女魔王N 「脱げた」



猫耳蛇娘 「なん蛇と!?」




猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「……ふ、ふむ」

猫耳蛇娘 「なるほど、いや、そうかそうか」


幼女魔王N 「?」


猫耳蛇娘 「あれか、そっちの人間は人間かと思ったら、牛鬼か上位ミノタウルスの血をひいておったか」

猫耳蛇娘 「どうりで、人間にしてはありえない胸をしておると思うた」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「いや、あの……」


猫耳蛇娘 「いやー、そうかそうか。それじゃあしかたないのう!」

猫耳蛇娘 「にゃははははははは……!!」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……見苦しい女ね」


猫耳蛇娘 「おぬしに言われとうないわ」




幼女魔王N 「見苦しい女」


猫耳蛇娘 「うっさいわい」

猫耳蛇娘 「……まあ、おぬしがいくら断ろうが、ワシもひくつもりなどないがの」

猫耳蛇娘 「そういう契約じゃ」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「だいたい、今こうしておぬしがしもべを従えておられるのも、ワシの力があってこそなんじゃぞ?」

猫耳蛇娘 「精霊が支配する森一つを支配下におきつつ、魔法使いが百人のっても大丈夫な結界をつくるため」

猫耳蛇娘 「いったいどれほどの睡眠時間が削られたかと……」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「まったく、あやつと知り合ってからろくなことがないわい」

猫耳蛇娘 「ギルド長も何故にワシをあの鬼畜外道と……」


幼女魔王N 「…………」


ボソボソ ブツブツ


猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「……おい?」


幼女魔王N 「……ブツブツブツブツ」


猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「……ボソボソボソボソ」


猫耳蛇娘 「……何じゃ、急にボソボソ独り言を始めおって」

猫耳蛇娘 「おぬし、やっぱ壊れとるんかい」




幼女魔王N 「……ブツブツブツブツ」


猫耳蛇娘 「……まあ、一度話しておきたかっただけじゃし」

猫耳蛇娘 「そうしておってもらった方が助かるがの」

猫耳蛇娘 「さて、まずはこの世界の結界の様子を調べねばな……」


幼女魔王N 「ブツブツブツブツ……あ」

幼女魔王N 「時間だわ」


猫耳蛇娘 「?」


幼女魔王N 「出てきて」


ズ ズ ズ ズ


美触手 「…………」


幼女魔王N 「……うん。じゃあ、お願いします」

幼女魔王N 「今日こそうまくいくと良いわね」




美触手 「…………」

美触手 「………ッ」


ヒュン ズバ


幼女魔王N 「…………」


ボト


幼女魔王Nの頭 「…………」


カチャ カチャ


幼女魔王N の 復活!


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「駄目みたいね」

幼女魔王N 「もう一回おねがい」


美触手 「…………」


ヒュン ズバ

ボト

ヒュン ズバ

ボト

ヒュン ズパ

ボト



猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「……淫魔幼女よ。おぬしのやることが裏目に出るのは珍しいことじゃないが」

猫耳蛇娘 「これ、もう手遅れじゃね?」



ヒュン ズバ

ボト



幼女魔王Nの世界 浮島



ソヨ ソヨ

ザ ザ ザ


猫耳蛇娘 「しもべの儀式を無かったことにでもする気なんじゃろうか」

猫耳蛇娘 「不滅とはいえ、死ぬのはデメリットも多いじゃろうに。滅茶苦茶痛いというし」

猫耳蛇娘 「……ま、ワシはワシの仕事をするだけじゃ」


ザ ザ ザ


猫耳蛇娘 「よっ、ほっ……っと……うにゃうにゃ、本当に小さい世界じゃのー」

猫耳蛇娘 「野原と森と城……どっかの庭をひっぺがして空に放り投げたみたいじゃ」





幼女魔王Nの世界 岩の浮島 虹の滝



ヒュウウウ

サワサワ ザザザ


猫耳蛇娘 「おほほー……水がきらきらと、空の奈落へ落ちていくわ」

猫耳蛇娘 「いったいどこまで落ちるんじゃろうな。どっかの世界で雨にでもなるんじゃろうか」

猫耳蛇娘 「……神秘、じゃな」


ド ド ド ド ド


猫耳蛇娘 「……ふむ」


お隣の世界


猫耳蛇娘 「隣の世界が肉眼で見えておる。そうとう近いの」

猫耳蛇娘 「まあ、じゃからと言って体ひとつで渡るのは無理なのじゃろうが」


ゴウン ゴウン


猫耳蛇娘 「……越界飛行船か。いろいろな世界にひらけておるのじゃな、あそこは」

猫耳蛇娘 「ふーむ、青い空を雲のようにゆったりと行き交うさまは、気だるい昼下がりの海を眺めとるようじゃ」

猫耳蛇娘 「大世界同士の衝突がせまりゴタゴタしておると聞いたが、存外のどかなもんじゃのう」




猫耳蛇娘 「しかし」

猫耳蛇娘 「あんな世界の近くに浮かんでいて、新米魔王のおさめるこの小さな世界」

猫耳蛇娘 「たいしたダンジョンもなし、アイテムの補給もあの世界でできるじゃろうし」

猫耳蛇娘 「駆け出しの勇者が最初に攻略するレベルじゃ」


ザアアア


猫耳蛇娘 「……他魔王勢力も攻め込むはず」

猫耳蛇娘 「領地としてのうまみはあんま無さそうじゃが」

猫耳蛇娘 「何度死んでも生き返る上に弱っちく、未成熟とはいえモンスターを幅広く身篭れる人型の雌など」

猫耳蛇娘 「でっかい宝が剥き出しで転がっとるようなもんじゃ」




サワサワ ザアアア


猫耳蛇娘 「……多くの世界と繋がっているかまたはその近くに存在する世界は、わりと強力な力を有しているもの」

猫耳蛇娘 「じゃが、ここはそうではない。統治者はご覧のとおりじゃったし、兵隊も見当たらん」

猫耳蛇娘 「にも関わらず、敵意をもって訪ねる者もなく、こうしてのほほんと時が過ぎている」

猫耳蛇娘 「道魔法少女の奴は、情報なしでここに辿り着くのは難しかったと言っておったが」

猫耳蛇娘 「うむ、よほど強力な結界に守られていたんじゃな」

猫耳蛇娘 「……しかしあのアホ淫魔は、あろうことかそれを破らせようとした」


ガサ ゴソ


人魂塩おにぎり


猫耳蛇娘 「ガブリ、ムシャムシャ……」

猫耳蛇娘 「あっふぅん、ワシってばまたおにぎり作るの上手になっちゃったのー」

猫耳蛇娘 「良いお嫁さんになれるぞう」


ムシャ ムシャ


猫耳蛇娘 「……命よりも、誇りとかそういうものが大事と考えとるんじゃろうか」

猫耳蛇娘 「うーむ、育ちの良い奴の考えることは分からん」


ガサ ゴソ


水筒(小)


キュ キュ ガポ

トポトポトポ


猫耳蛇娘 「まあ、なるようになれじゃ。どうせそろそろ終わりじゃし」

猫耳蛇娘 「さあて、昼飯を終えたら仕事じゃあ」


ゴク ゴク ゴク





幼女魔王Nの世界 城前



幼女魔王N 「…………」


ザ ザ ザ ザ


??? 「……おう」


幼女魔王N 「……?」


??? 「なんじゃ、連続自殺は終わったんかい」

猫耳蛇娘 「続いとってもらった方が仕事はしやすかったんじゃが」


幼女魔王N 「……自殺?」

幼女魔王N 「な、なに言っているのよ。私がそんなことするわけないじゃない」

幼女魔王N 「私はただ……」

幼女魔王N 「何してたんだっけ?」


猫耳蛇娘 「……まあ良いわい」


ガサ ゴソ


魂食いのおふだ


猫耳蛇娘 「…………」


ザ ザ ザ ザ


幼女魔王N 「!? ……な、なによ。何するつもりなのよ」

幼女魔王N 「言っとくけど、あなたの仕事とかいうの、私は許可してないんだからね」

幼女魔王N 「この世界の統治者は私よ。一番偉いのは、わ、私なんだから」

幼女魔王N 「その私が許可してないってことは、やっちゃいけないってことなんだから……!」


猫耳蛇娘 「許可されるにこしたことは無いんじゃがの」

猫耳蛇娘 「そう思ったから、ワシはおぬしに優しく、心をつくして理解を求めたのじゃが」

猫耳蛇娘 「しかしどのようなことが起きようが、ワシは引き受けた仕事はやりとげる」

猫耳蛇娘 「それが……合っとるかどうかは知らんが……信頼というものじゃ」


ザ ザ ザ ザ




幼女魔王N 「……な、なによ、仕事って」

幼女魔王N 「知らないもん。わ、わた、私、頼んでないもん!」


猫耳蛇娘 「ワシはの、首切りピンクよ」

猫耳蛇娘 「言葉というものは威嚇のためにあると思う」


ザ ザ ザ ザ


猫耳蛇娘 「少なくとも、自分の意思を言葉に乗せて相手に伝えるというのは」

猫耳蛇娘 「乱暴にくくれば威嚇であると思う」

猫耳蛇娘 「つまり」

猫耳蛇娘 「言葉に気をつけろということじゃ」

猫耳蛇娘 「とくにワシのような、ふだ使いの前ではの」


幼女魔王N 「…………!」


猫耳蛇娘 「……安心せい。おぬしに危害をくわえるつもりはない」

猫耳蛇娘 「そして」

猫耳蛇娘 「おぬしが知らんという仕事は、おぬしのよく知る者がワシによこしたものなんじゃぞ」


幼女魔王N 「……まさか」


猫耳蛇娘 「淫魔幼女じゃ」




幼女魔王N 「………!!!!!!!!!」

幼女魔王N 「そ、そんな……」

幼女魔王N (意外だわ。よりにもよって……)

幼女魔王N (私のよく知る者……たくさんいるけど……よりにもよって、淫魔幼女だなんて!)


ヨロ ヨロ

ヘタリ


猫耳蛇娘 「……あ、いや、そこまで驚かんでも」

猫耳蛇娘 「だいたい分かるじゃろ、こんなことしそうなの。おぬし友達ゼロ人じゃし」


幼女魔王N 「ぜ、ゼロじゃないわ……よ……?」

幼女魔王N (鋏ちゃんとか、あと死神メイドとか……と、友達よね……?)


猫耳蛇娘 「ああ、すまん」

猫耳蛇娘 「結局友達がゼロ人じゃし」


幼女魔王N 「結局とか言うな!」




猫耳蛇娘 「いやいや」

猫耳蛇娘 「おぬしってあれじゃろ? 放っておいたら何年も友達に連絡をよこさんタイプじゃろ?」

猫耳蛇娘 「そういう奴は結局友達ゼロ人になるのじゃ」


幼女魔王N 「うぐっ……そういえば、一度もこっちから連絡とってない」

幼女魔王N 「でも、用事もないのに失礼だし……」

幼女魔王N 「う、うぅ~……」


ウル ウル


猫耳蛇娘 「…………」


ゾクゾク キュン


猫耳蛇娘 「ゴクリ……な、なんじゃこやつ」

猫耳蛇娘 「いじめればいじめるほど、なんちゅうか、光るのう……」




猫耳蛇娘 「おぬしからしたら数少ない友達でも」

猫耳蛇娘 「その友達からしたら、おぬしは数おる知人の一人程度ということもある」


幼女魔王N 「……!!」


猫耳蛇娘 「もしかしたら、もう忘れられて友達リストから消えとるかもしれんのう」


幼女魔王N 「……うー」

幼女魔王N 「うぅ~~……!」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「いやいやー、ワシもこんなこと言いたくないんじゃよー?」

猫耳蛇娘 「でものー、世の理っちゅうかー? 必然っちゅうかー?」


幼女魔王N 「……うー」

幼女魔王N 「ううぅぅうう゛ーー……!!」


猫耳蛇娘 「何じゃー、怒っとるのかー? 怖くないのう」

猫耳蛇娘 「もしかして、魔王のくせに泣きそうなのかのー?」

猫耳蛇娘 「にょほほほほほ……」


幼女魔王N 「うー、うんん゛ー…………!!」

幼女魔王N 「うぅー………」

幼女魔王N 「……………」

幼女魔王N 「……グス」


猫耳蛇娘 「にょ……?」


幼女魔王N 「ヒック……グス……」

幼女魔王N 「…………ふええぇえ゛え゛ん……」


猫耳蛇娘 「いかん、本当に泣き出しよった」





幼女魔王N 「ぶえぇ、ふえぇええええ……」

幼女魔王N 「うえぇえええええん、うええぇええん……」


メソメソ グスッ

ウエーン ウエーン


猫耳蛇娘 「うわー……こんな泣きっぷりは久しぶりに見るのう」

猫耳蛇娘 「ちゅうか、魔王のくせにここまでメンタル弱いとは……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「けっきょ……ヒック、結局、ひとりとか……グス」

幼女魔王N 「いじわる……いじわっ……ふえぇえええええん!」

幼女魔王N 「うぶええぇええええええん!!」


猫耳蛇娘 「分かった、分かった。ワシが悪かったから」

猫耳蛇娘 「ちょっと泣きやめい。いっこうに仕事が片付かん」


幼女魔王N 「ふええええ、うええええ!」

幼女魔王N 「母性巫女ぉ……ヒック……あいつを、グスッ……やっつけてえ!」

幼女魔王N 「うええええん、うえええーーーん!」





母性巫女 「…………」


ザッ


猫耳蛇娘 「……む。何じゃ、やる気か」

猫耳蛇娘 「いじめるのに夢中で面倒なことになってしもうた」


母性巫女 「…………」


ザ ザ


猫耳蛇娘 「まあ、なってしまったもんは仕方ない」

猫耳蛇娘 「人間の……しかも自我を奪われたしもべ程度、ちゃちゃっと沈黙させちゃるわい」

猫耳蛇娘 「さあ来い。今宵のおふだは血に飢えて……」


母性巫女 「…………」


バコン


母性巫女 の お姉さんチョップ!
おふだA~D の 結界効果発動!
おふだA~D は 役目を終えて粉々に砕け散った……
猫耳蛇娘 に 87020 のダメージ!


猫耳蛇娘 「ふべぇ!?」




猫耳蛇娘 「ちょ……え?」


フラ フラ


猫耳蛇娘 「馬鹿な……その辺の魔王や勇者の攻撃なら、何発かは耐えられるおふだじゃぞ」

猫耳蛇娘 「それを、木偶人形状態の人間が……四枚ぶち抜いて……この威力かい……ッッ!」


ヨロ ヘタン

ガクガクガク


猫耳蛇娘 「い、いかん、足腰が……」

猫耳蛇娘 「はやく間合いをとって新しい防御結界を……い、いや、それより攻撃用の札を、最強のやつを……」

猫耳蛇娘 「…………ッッ!!」


母性巫女 「…………」


母性巫女 の お姉さんチョップ2!


猫耳蛇娘 「ひぃいッッ!?」




バゴン ドゴン

ドサ ゴロゴロゴロ


猫耳蛇娘 「……ぷはっ。何とか、かわせたか……!」


モク モク モク

バフッ


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「!!」


母性巫女 「…………」


母性巫女 の……


猫耳蛇娘 「!! い、いかん、また攻撃が来る」

猫耳蛇娘 「ふ、ふだよ!」

猫耳蛇娘 「鳥になれい!」


おふだ 「…………」


ボワン


おふだ 「…………」

おふだ鳥 「クエー」




母性巫女 の お姉さんチョップ(弱)!


ヒュン ズドン

モク モク モク



幼女魔王Nの世界 上空



おふだ鳥 「クエー」


バサ バサ バサ


猫耳蛇娘 「……何なんじゃ、これは」

猫耳蛇娘 「どうしてワシが、こんなとこで本気バトルをやっとるんじゃ」

猫耳蛇娘 「何なんじゃ、あの娘は!」

猫耳蛇娘 「察するに、いや、絶対にあれが、淫魔幼女があの世界で捕まえた人間なのじゃろう」

猫耳蛇娘 「ワシの結界を借りてあの世界の森を攻略した際に、偶然捕獲したという人間の女なのじゃろう」

猫耳蛇娘 「だとしたら、どうやって捕まえたんじゃ、あんな化物」

猫耳蛇娘 「明らかに、偶然つかまえられるレベルじゃないじゃろ……!!」


モク モク モク


猫耳蛇娘 「……まさか。淫魔幼女め、棺を使ったか」

猫耳蛇娘 「いや、それじゃったら分かるはずじゃ」

猫耳蛇娘 「うむ。そうじゃ、あやつの強さなら、難しくはあるがきっと捕らえることも……」

猫耳蛇娘 「しかし、あそこには魔法少女ギルドの連中もおったわけで、万全の状態では……」











母性巫女 「…………」


モク モク モク

パキイン

バサ バサ バサ


猫耳蛇娘 「……ふむ、所詮は人間。さすがに空までは追ってこんようじゃな」

猫耳蛇娘 「しばらくこうしているとしよう」

猫耳蛇娘 「攻撃用のおふだに魔力を溜めながらの……」


フイイイ キイイイ


猫耳蛇娘 「……くふふふ。覚悟せいよ、妖怪黒髪おっぱい」

猫耳蛇娘 「無敵魔法少女猫耳蛇娘ちゃんを、ここまで戦慄させたのじゃ」

猫耳蛇娘 「地獄を見せてやるからのー……」


グジュル


猫耳蛇娘 「……ぐじゅる?」

猫耳蛇娘 (うしろから……?)

猫耳蛇娘 「…………」


クルリ


猫耳蛇娘 「!!?」


毛玉触手 「…………」

毛玉触手 「キャハハハハ」


猫耳蛇娘 「な、何じゃこれ!? いつの間に……」


ギュルギュルギュル

グジュジュジュジュ


毛玉触手 の 捕獲攻撃!


グジュル グチュ グチュ




ヒュルルル

ドシン


猫耳蛇娘 「くうぅっ……」

猫耳蛇娘 「この魔物……ワシを捕まえたまま落下しおった……!」


毛玉触手 「キャハハハハ」


グジュル グジュル

モゾ モゾ


猫耳蛇娘 「にゃんっ……!?」

猫耳蛇娘 「こら、どこから入って……こ、この……離せ、離さぬかぁ……!」

猫耳蛇娘 (まずい! 捕まってしまったのはもちろんじゃが、これはとてつもなくまずい気がする)

猫耳蛇娘 (このにおい、触手の感触……この魔物はまずいと、本能が告げておる……!)


毛玉触手 「キャハハハハ」


モゾ モゾ


猫耳蛇娘 「や、やめい、それ以上ワシの体に触るな……ぁ……」

猫耳蛇娘 (体に力が入らん。なぜじゃ、まともに戦えば勝てるはずなのに)

猫耳蛇娘 (何か、ワシの大事なところ……生き物としての芯のようなものを)

猫耳蛇娘 (逆らえない圧倒的なもので鷲掴みされているような……!)





ザ ザ ザ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「……!」

猫耳蛇娘 (……し、しまった。囲まれた)

猫耳蛇娘 (ピンクの方は寝込みを襲われても完封できる自身があるが)

猫耳蛇娘 (いま黒髪の方の攻撃を受けたらひとたまりもない……!)


母性巫女 「…………」


カタ カタ


猫耳蛇娘 (……? 震えている)

猫耳蛇娘 (攻撃してくるどころか、怯えている?)

猫耳蛇娘 (そ、そうか……)


毛玉触手 「………クハァ」


ガパ

モワ モワ モワ


猫耳蛇娘 「煙……い、いかん、これを吸うては……」

猫耳蛇娘 「……うく……ッ、はにゃ、にゃはふぅ……」

猫耳蛇娘 (ダメじゃ、肌から魂にまで染み込んでとろかしてくる……!)

猫耳蛇娘 (分かる……どのような強さも……雌である以上これの前では無意味なもの)

猫耳蛇娘 (問答無用で屈服せざるを得ん……!)


モワ モワ


猫耳蛇娘 (これだったか……)


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 (この娘をおとしたのは……!)




猫耳蛇娘 「かは……はにゃ……にゃはぁん……」

猫耳蛇娘 (いかん……本当にいかん……!)

猫耳蛇娘 (捕まって体を撫でられるだけなのに、ワシの脳がとろけてゆく、ぅ……)


幼女魔王N 「…………」


キイイ

パキイ パキイン


猫耳蛇娘 「……はぇ?」

猫耳蛇娘 「にゃ、なんじゃ……ひょ、しょ、召喚……?」


ウゾウゾウゾ


卵触手 「グプププ……」


棘触手 「ズリュ、ズリュ」


振動触手 「ヴヴヴヴ……」


猫耳蛇娘 「………!!?」


幼女魔王N 「……よかった。来てくれた」


他触手たち 「ビチビチビチ……」


グジョロ ジュルジュル


猫耳蛇娘 (……! こっちへ来る!?)


ズル ズルルル


猫耳蛇娘 「……や、やめい……やめよ、来るなぁ……!」


グイ グイ

ジタバタ ジタバタ


猫耳蛇娘 「やめよ、はなせ……ッ! これ以上、ワシをどうするつもりなのじゃぁ……!」

猫耳蛇娘 「はなせ、はな……ひにゃぁあんッッ」


毛玉触手 「キャハハハハ」


モク モク モク

グチュグチュグチュ

グジュル グジュル グジュル







???「>>316ブレーキをかける?」

1.アクセルをかける
2.ブレーキ全開


2




猫耳蛇娘 「……く、くそう」

猫耳蛇娘 「ワシは魔法少女を超えた魔法少女じゃぞ……こんなもんで……」


グジュル グジュル グジュル


猫耳蛇娘 「はにゃふぅううん……ッ」

猫耳蛇娘 「わ、分かった……! 降参、降参じゃ」

猫耳蛇娘 「降参するから、やめてくれえ……!」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「おぬしなんじゃろ、これを操っておるのは……!」

猫耳蛇娘 「頼む、やめさせてくれ。でないと、ワシは……」

猫耳蛇娘 「トぶ……トんでしまうぅ……!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……友だち」


猫耳蛇娘 「……はっ……はぇ……?」




幼女魔王N 「……ヒグ、ぐすっ」

幼女魔王N 「友だち、できるもん……結局ひとりとか……じゃ、ないもん」

幼女魔王N 「わたち……ずっと、ひとりじゃ……ない、もん……!」


グス グス


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 (こやつ……からかわれた恨みでここまでするんかい!)

猫耳蛇娘 「……わ、わかった」

猫耳蛇娘 「謝る、謝るから……!」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……ほんと?」


猫耳蛇娘 「まじ、まじ……!」


幼女魔王N 「わたち、ずっとひとりぼっちじゃない……?」


猫耳蛇娘 「じゃない、じゃない……!」

猫耳蛇娘 「なんだったら、ワシが友だちになっちゃる」

猫耳蛇娘 「いや、ならせてください!」


幼女魔王N 「……友だち」




猫耳蛇娘 「そう、友だち。友だちじゃ」


幼女魔王N 「……友だち」


猫耳蛇娘 「うむ、うむ!」

猫耳蛇娘 「さあ、はよう開放してくれ。友だちにこんなこと、せんじゃろう」

猫耳蛇娘 「な、な……っ?」


幼女魔王N 「……嘘じゃない?」


猫耳蛇娘 「お、おう、神に誓うぞ。神をそんなに信じておらんが」

猫耳蛇娘 「友だち、ともだちじゃ!」


幼女魔王N 「……うん」

幼女魔王N 「えへへ……」


ズルルル ズゾゾゾ


猫耳蛇娘 (触手がひいていく)

猫耳蛇娘 「さ、さあ、この毛玉にもワシを玩具みたいにいじくるのをやめさせてくれい」


幼女魔王N 「うん……」


ズル ズル


猫耳蛇娘 (ワシの体をおさえつけていた触手の力が弱くなっていく。体にはまだ力が戻らんが……)

猫耳蛇娘 「か、感謝するぞう」


幼女魔王N 「友だちだから……」


猫耳蛇娘 「お、おう……。あ、ああ、そうじゃ、ともだちじゃから……」

猫耳蛇娘 「一緒に、今度くそうまいものなんか食いにいくか……」


幼女魔王N 「……!!」

幼女魔王N 「い、一生孤独少女もがいても無駄……!?」

幼女魔王N 「……ぅ、うええええええん!」


毛玉触手 「キャハハハハ」


グジュジュジュジュジュ

モクモクモクモク


猫耳蛇娘 「にゃあああああ!?」

猫耳蛇娘 「どんなふわふわ空耳タイムじゃあ!!」


クネ クネ クネ


>>319 訂正ごめんなさい





猫耳蛇娘 「そう、友だち。友だちじゃ」


幼女魔王N 「……友だち」

幼女魔王N 「えへへ……」


モジ モジ


猫耳蛇娘 「うむ、うむ、友だちじゃ!」

猫耳蛇娘 「さあ、はよう解放してくれ。友だちにこんなこと、せんじゃろう」

猫耳蛇娘 「な、な……っ?」


幼女魔王N 「……嘘じゃない?」


猫耳蛇娘 「お、おう、神に誓うぞ。神をそんなに信じておらんが」

猫耳蛇娘 「友だち、ともだちじゃ!」


幼女魔王N 「……うん。えへへ」


ズルルル ズゾゾゾ


猫耳蛇娘 (触手がひいていく)

猫耳蛇娘 「さ、さあ、この毛玉にも、ワシを玩具の人形みたいにいじくり回すのをやめさせてくれい」


幼女魔王N 「うん……」


ズル ズル


猫耳蛇娘 (ワシの体をおさえつけていた触手の力が弱くなっていく。体にはまだ力が戻らんが……)

猫耳蛇娘 「か、感謝するぞう」


幼女魔王N 「友だちだから……」


猫耳蛇娘 「お、おう……。あ、ああ、そうじゃ、ともだちじゃから」

猫耳蛇娘 「一緒に、今度くそうまいものなんか食いにいくか……」


幼女魔王N 「……!!」


猫耳蛇娘 「?」


幼女魔王N 「い、一生、孤独少女もがいても無駄……!?」

幼女魔王N 「……ぅ、うええええええん!」


毛玉触手 「キャハハハハ」


グジュジュジュジュジュ

モクモクモクモク


猫耳蛇娘 「にゃあああああ!?」

猫耳蛇娘 「どんなふわふわ空耳タイムじゃあ!!」



グジョ グジョ

ウエーン

グジュ……



猫耳蛇娘 「……ふ、ふいぃ」

猫耳蛇娘 「何とか誤解がとけたが……どうなることかと思った」

猫耳蛇娘 「やんッ……ま、まだ肌がぞわぞわしとる。服がこすれるだけで、下腹がこそばゆ気持ち良いわ……」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「とほほ……まさかここまでしんどい仕事になるとは」

猫耳蛇娘 「こりゃ、説得には日をあらためんといかんかの……」


幼女魔王N 「……いいよ」


猫耳蛇娘 「ん?」


幼女魔王N 「お仕事、していいよ」

幼女魔王N 「親友だもん……ね」


猫耳蛇娘 「…………」


ゾワ


猫耳蛇娘 「お、おう」

猫耳蛇娘 (何じゃろう。いま、背筋にすっごい悪寒が……)




ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「えへへ。友だち……」


猫耳蛇娘 (こやつは。本当に壊れておるのか)

猫耳蛇娘 (一貫性がない。つながりがない)

猫耳蛇娘 (飽きっぽい赤ん坊が玩具を次々捨てるみたいに、ワシがここに来てからの短い間に何度か別人のようになった)

猫耳蛇娘 (過去から未来へ積み重ねていくものがない。成長がない)

猫耳蛇娘 (同じ場所を行ったり来たりするだけで……それではつまらない)

猫耳蛇娘 (とはいえ場所をかえることもできずに、仕方なく自分を入れかえているような)

猫耳蛇娘 (これも、結界の……)

猫耳蛇娘 「………ん?」


幼女魔王N 「えへへ……」


ギュ

モジ モジ


猫耳蛇娘 「……のう。そんな風に服を掴まれておったら、仕事しにくいんじゃがの」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「グスッ……」


ズゾゾゾゾ


毛玉触手 が あらわれ……


猫耳蛇娘 「わ、わかった。良い。友だちじゃから掴んでおって良い……!」

猫耳蛇娘 (何というめんどくさい娘じゃ。淫魔幼女め、よくこんな奴と付き合えておったな)




幼女魔王N 「ねえ、クッキー食べる? つくれるの」


猫耳蛇娘 「あとでの。まずは仕事じゃ」


ザ ザ


幼女魔王N 「う、うん」


テク テク


幼女魔王N 「……あ、あとね、あとね、魔ゲームもあるよ?」


猫耳蛇娘 「おおう、そうか、そうか。この辺でも売っとるんじゃな」


幼女魔王N 「うん……ペニステ」


猫耳蛇娘 「なぬ、おぬしペニステ持っとるのか!」

猫耳蛇娘 「ワシは魔天堂DSしか持っとらんから、ちと興味が……」

猫耳蛇娘 「じゃないわい、仕事じゃ仕事」


幼女魔王N 「ちゃんとDSも持ってるよ?」


猫耳蛇娘 「まじで? じゃあひと狩りいっとく?」

猫耳蛇娘 「じゃないわい。じゃから、まずは仕事をの……」


幼女魔王N 「うん……」


ザ ザ ザ





…………


ピコ ピコ


猫耳蛇娘 「……おぬし、下手じゃのー」


幼女魔王N 「ご、ごめんなさい……ずっとソロプレイだったから……」

幼女魔王N 「戦いより、ゆっくり歩き回る方が好きだし……」


猫耳蛇娘 「あー、おるおる、そういう奴。ワシも分からんでもないぞう」

猫耳蛇娘 「夜キャンプ中に星を眺めるのが好きじゃったりのー」

猫耳蛇娘 「しゃあない。後ろで回復でもしながら、ワシの美技に見とれておれい」


幼女魔王N 「うん……」





ピコ ピコ ピコ


猫耳蛇娘 「むふっ……むほっ……とりゃっ……」

猫耳蛇娘 「こいつで、とどめじゃあ!」


ズガーン ビビビーン


幼女魔王N 「やった、倒した……!」

幼女魔王N 「蛇ちゃん、強い……!」


猫耳蛇娘 「にゃはは、そう蛇ろ、そうじゃろ?」

猫耳蛇娘 「ワシのことは師匠と呼べい」


幼女魔王N 「うん、師匠……!」


猫耳蛇娘 「かっかっか!」


幼女魔王N 「……えへへ」

幼女魔王N 「誰かとこうやってゲームするの、はじめて」

幼女魔王N 「すごく、楽しい」


猫耳蛇娘 「うむ。青空の下で並んでやるゲームは、良いものなのじゃ」

猫耳蛇娘 「ワシでよければいつでも付き合ってやるぞう」

猫耳蛇娘 「離れておっても、友だち登録しておれば魔法通信で一緒にやれるからのう」


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「あ、でも……ここ、魔動画の電波以外、届かないの」


猫耳蛇娘 「え、まじで?」




幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「前ね、電電ギルドに頼んでお城に魔電話を置こうとしたんだけど」

幼女魔王N 「ここじゃ、どことも繋がらないって言われて」


猫耳蛇娘 「なんと。魔電話すら置けんとは、難儀な世界じゃな」


幼女魔王N 「うん……でも、よく考えたらかかってくる相手も、かける相手もいないから……」


猫耳蛇娘 「おひとりさまエピソードに事欠かんのう」

猫耳蛇娘 「うーむ。10人協力プレイのお祭り感を、おぬしにも味わわせてやりたいのう……」


幼女魔王N 「二人」


猫耳蛇娘 「ん?」


幼女魔王N 「二人だけでいいの。ほかの人、いらない、邪魔」

幼女魔王N 「わたちと蛇ちゃんは、神友だから」


猫耳蛇娘 「そ、そうか。二人旅じゃな」


幼女魔王N 「うん……えへへ……」


ギュ


幼女魔王N 「お友達握手……一生はなれない握り」

幼女魔王N 「なんちゃって……」


猫耳蛇娘 「にゃ、にゃははは……」

猫耳蛇娘 (何故じゃろう。ワシ、すごく逃げ出したい)





猫耳蛇娘 「じゃ、のーーーて!!」


幼女魔王N 「!!?」


ビクッ


猫耳蛇娘 「仕事じゃ仕事! ワシに仕事をさせい!」


幼女魔王N 「だ、だって、蛇ちゃんがゲームするって……」


ウル ウル


猫耳蛇娘 「言っとくが、これ超レアじゃぞ。ワシが仕事したいって、激レア事象じゃぞ!?」

猫耳蛇娘 「毎朝目覚めての一言が、あーやべー今日超仕事サボりてー、のワシが仕事したいって」

猫耳蛇娘 「たぶん今後いっさい無いことなんじゃぞ!?」


幼女魔王N 「あ、ドルカツマスターが始まる時間だ」


猫耳蛇娘 「まじで? ここ今日やるの?」

猫耳蛇娘 「いやー、ワシ今週見逃したんじゃよー」



…………




猫耳蛇娘 「……じゃからの、これはおぬしの為でもあるんじゃよ」


幼女魔王N 「げっそりしてるけど」


猫耳蛇娘 「いや、ワシって本来は結構フリーダムじゃから。こういう役回りに馴れておらんから」


幼女魔王N 「そうなんだ」

幼女魔王N 「私に気をつかわなくていいよ。真友だもんね?」


猫耳蛇娘 (嘘つけ。つかわんかったらすぐ泣くじゃろうが)

猫耳蛇娘 (あの感じを味わってまった以上、今度毛玉を呼ばれたらワシはもう戦うどころか姿を見ただけで即オチなんじゃ!)

猫耳蛇娘 「……気持ちだけありがたく受け取っとくわい」

猫耳蛇娘 「さてと」


ガサ ゴソ


巨大おふだ





幼女魔王N 「大きな、縦長の白い紙……」

幼女魔王N 「願い事をかくの?」


猫耳蛇娘 「かかん。おふだじゃ」


幼女魔王N 「でも、何もかいてないよ」

幼女魔王N 「……あ、分かった」

幼女魔王N 「蛇ちゃんの私への友情の気持ちをかくんだね」

幼女魔王N 「うん。じゃあその大きさも納得。大きくないと、すぐ埋まっちゃうもんね」


猫耳蛇娘 「ちゃうわい」


幼女魔王N 「……逆なの? わたちがかくの?」

幼女魔王N 「大きさ、足りるかなあ」


猫耳蛇娘 「かかんと言うとるに」


幼女魔王N 「…………」


ジワ


猫耳蛇娘 「かくかく! あとで三倍くらいでかい紙にかいちゃる!」


幼女魔王N 「……えへへ」

幼女魔王N 「小さい字でも大丈夫。顕微鏡があるから」

幼女魔王N 「二人でいっぱい、かこうね……」


猫耳蛇娘 「にゅは……へははは……」

猫耳蛇娘 (助けてー……)




ソヨ ソヨ


猫耳蛇娘 「おぬしの世界が外の世界と繋がりにくいのは……」

猫耳蛇娘 「魔電話なんかが繋がらんのは」

猫耳蛇娘 「たぶん、この世界にはられた結界のせいじゃ」


幼女魔王N 「この世界の結界?」


猫耳蛇娘 「そうじゃ。呪いでもバリアでも、まあ好きに呼べば良いが」

猫耳蛇娘 「とにかくこの世界は、おもくそ強い力でまもられておる」

猫耳蛇娘 「じゃが強力すぎて、副作用みたいなものが生じてしまっとるんじゃな」


幼女魔王N 「ふうん?」


猫耳蛇娘 「さっき一通りこの世界を歩いて見てきたんじゃが」

猫耳蛇娘 「まあ、このワシをもってしても、なかなか理解に苦しむ結界でな」

猫耳蛇娘 「万全を期すため、このおふだで読み取ろうっちゅうわけじゃ」


幼女魔王N 「……うん」

幼女魔王N 「私もそう思うよ?」


猫耳蛇娘 「……そういうところは変わっとらんの、おぬし」




猫耳蛇娘 「分からんでも問題ないがの」

猫耳蛇娘 「ほい」


猫耳蛇娘 は 巨大おふだをつかった


キイイ キイイン

サラ サラ サラ


幼女魔王N 「……おふだに、ひとりでに文字が」


猫耳蛇娘 「この世界の結界を読み取っておるんじゃ」

猫耳蛇娘 「設計図みたいなもんじゃな」


幼女魔王N 「ぜんぜん読めない」


猫耳蛇娘 「そりゃそうじゃよ、結界じゃもの」

猫耳蛇娘 「敵に簡単に読み取られて簡単にとかれちゃったら駄目じゃろ?」


幼女魔王N 「ふうん」


サラ サラ サラ




猫耳蛇娘 「他人のはった結界をとくのは難しいんじゃよ」

猫耳蛇娘 「魔法も、それぞれ派閥によって練り方が違ったりするじゃろ。そんなもんじゃ」


幼女魔王N 「そうなんだ」


猫耳蛇娘 「そうなんじゃよー」

猫耳蛇娘 「たくさん勉強してのー、古今東西の魔術とか、古代文字とかのー」

猫耳蛇娘 「それでやっとできることなんじゃよー」


幼女魔王N 「へえー……!」


猫耳蛇娘 「ところがなー、ワシのような生まれながらの結界マスターになるとなー」

猫耳蛇娘 「できちゃうんじゃよ。朝飯前にちちゃちゃーっと、感覚で」

猫耳蛇娘 「じゃから生まれてこのかた、結界の勉強なんざしたおぼえが無い」


幼女魔王N 「すごいね、蛇ちゃん」

幼女魔王N 「ろくに努力もせずに生まれながらの才能にあぐらをかくなんて」

幼女魔王N 「なかなか出来ないよね!」


猫耳蛇娘 「かっかっか!」

猫耳蛇娘 「まあ、勉強なんぞ、生まれながらに全てを知っとる者には不要じゃからの」

猫耳蛇娘 「……え、勉強? 才能ないやつって大変なんじゃねー」

猫耳蛇娘 「……って感じじゃあ」

猫耳蛇娘 「にゃーっかっかっかっか!」


サラ サラ サラ




サラ サラ サラ


幼女魔王N 「……もう半分以上埋まっちゃうよ。あんなに大きな紙だったのに」


猫耳蛇娘 「うむ。かなりややこしい結界のようじゃ」

猫耳蛇娘 「多くの……しかもかなり広範の世界の式が用いられておる」

猫耳蛇娘 「たとえばこれは、第三大世界の北の北の北のはずれの界域で使われる魔法文字」

猫耳蛇娘 「こっちは、第二大世界に近い界域の、すでに消滅した小世界で使われておった古代絵文字」

猫耳蛇娘 「しかもそれを、まったく無縁のはずの小世界の魔法式に応用して組み立てておる」


幼女魔王N 「ほう、やはりな」


猫耳蛇娘 「分かっとらんじゃろ。まあ、ワシも何となくそんな感じがする程度じゃが」

猫耳蛇娘 「ふむ……この辺については見たことがない」

猫耳蛇娘 「ワシの知らん世界の文字もふんだんに使われとるようじゃの」


幼女魔王N 「……だ、大丈夫なの?」


ギュ


猫耳蛇娘 「魔王のくせに、なんちゅうなさけない声を出しとるの」

猫耳蛇娘 「大丈夫じゃ。ワシは理性よりも本能で理解しとるタイプじゃから、だいたい良い感じで何とかなる」


幼女魔王N 「すごい」


猫耳蛇娘 「かっかっか! じゃろう?」

猫耳蛇娘 「……ふむ、一枚では足りんようじゃ」

猫耳蛇娘 「おふだ一枚追加しとくかの……」


サラ サラ サラ




サラ サラ サラ


猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「…………」


サラ サラ サラ



…………



サラ サラ サラ


魔動画 『停滞していた未知の世界の接近が、最近になってまた活発に……』


母性巫女 「…………」


カァー カァー

サラ サラ サラ


幼女魔王N 「……夕方になっちゃったね」


猫耳蛇娘 「うむ」


幼女魔王N 「おふだの文字、まだ終わらないね」


猫耳蛇娘 「うむ」


巨大おふだ×56


幼女魔王N 「……おふだ、いっぱいたまったね」


猫耳蛇娘 「うむ」


幼女魔王N 「私が描いた蛇ちゃんの似顔絵も混ぜちゃおうか?」


猫耳蛇娘 「今度の」

猫耳蛇娘 「…………」


サラ サラ サラ




サラ サララ……


猫耳蛇娘 「……む。終わったかの」

猫耳蛇娘 「やれやれ、こんなに時間がかかったのは初めてじゃ」

猫耳蛇娘 「いったいおふだ何枚になったんじゃろうか」


幼女魔王N 「私が描いた蛇ちゃんの似顔絵をいれたら182枚」


猫耳蛇娘 「いれんで良い。いま必要なのはおふだだけじゃ」


幼女魔王N 「じゃあ69枚」


猫耳蛇娘 「おおう」

猫耳蛇娘 「……おぬし、似顔絵描きすぎじゃね?」


幼女魔王N 「えへへ……」

幼女魔王N 「蛇ちゃんは、私のこと何枚描いた?」


猫耳蛇娘 「あん? 描いとらん。ふつう描かん」


幼女魔王N 「え…………」

幼女魔王N 「心友、なのに………?」


ズズズズ


毛玉触手 が あら……


猫耳蛇娘 「描く描く、しこたま描く、あとで二百枚くらい描いてやるから!」





幼女魔王Nの城 食堂



魔動画 『北の世界で行われていた森の壺祭りで、緑の服を着た剣士が乱入、次々に展示品の壺を破壊した事件で』

魔動画 『第三大世界同盟は彼に懸賞金をかけることを……』


猫耳蛇娘 「うーんむ……まさかここまで厄介な結界じゃったとは」

猫耳蛇娘 「しかもあやつ、数え間違っとるし、87枚じゃし……」


幼女魔王Nの声 「ともだ・ち~、ともだ・ち~にご飯を作る~、一緒に食・べる~、ずっと一緒死ぬときも一緒~」


コト コト

シュー シュー


猫耳蛇娘 「今日中に解除……は、奇跡が起きても無理じゃろうなあ」

猫耳蛇娘 「多めに見積もって、不眠不休で七日くらいか」

猫耳蛇娘 「実際はサボったり並行して作業もせないかんから……」

猫耳蛇娘 「うーむ、赤字じゃ。淫魔幼女め、今度会うことがあったら高い酒を奢らせちゃる」

猫耳蛇娘 「はあ……やはり、泊まり込みでやらねばならんのかのう」





…………


カチャ カチャ コト

ズラ


乙女の肉料理づくし


猫耳蛇娘 「……おほっ」

猫耳蛇娘 「何じゃこれ、お肉さま祭りじゃ。うまそうじゃのうッ」

猫耳蛇娘 「見てにおいをかいどるだけで、さっきからヨダレが止まらんぞう……!」


幼女魔王N 「えへへ……」

幼女魔王N 「蛇ちゃんのために作ったの。いっぱい食べてね」


猫耳蛇娘 「おう、ペロっといっちゃうからのー。まずはこの串ものから」

猫耳蛇娘 「うむ、根元まで見事な焼き色……あむ……ハフハフ、モグモグ」

猫耳蛇娘 「……!!」

猫耳蛇娘 「う、うまい! 何ということじゃ」

猫耳蛇娘 「ひと噛みごとに、塩に引き立てられた肉のうまみがジュワーッと胃の底まで、いや体中に染み渡る!」


モグモグ ガツガツ






…………


猫耳蛇娘 「モグモグ……じゃからの。ただ結界を解除すれば良いという話でもないのじゃ」

猫耳蛇娘 「同時進行で新しい結界も展開していかんとならん」

猫耳蛇娘 「世界が無防備になる時間がゼロになるよう、注意しなくてはのう」

猫耳蛇娘 「この酒のようなもの、おかわり貰えるかのう」


幼女魔王N 「はい、お酒のようなもの」


トク トク トク


幼女魔王N 「……でも、どうして今ごろ結界をはりかえたりするの?」

幼女魔王N 「急だからびっくり」


猫耳蛇娘 「と、と、と、と……それはなあ、ワシも思うところはあるんじゃがのー」

猫耳蛇娘 「しかしのー、仕事じゃからのー、あんまり口出しするこっちゃ無いからのー」

猫耳蛇娘 「ま、男どもは勝手っちゅうこっちゃな……」


グイ ゴク ゴク


猫耳蛇娘 「ぷはぁ~~ッ、染みるのーぅ……!」


幼女魔王N 「ふうん……?」




猫耳蛇娘 「まあ、安心せい。これはおぬしにとっても良いことじゃぞ」


幼女魔王N 「そうなの?」


猫耳蛇娘 「話したと思うが、今の結界は滅茶苦茶強力なんじゃ」

猫耳蛇娘 「強力すぎて、不便も生じてしまっておる。たとえば魔電話のこととか」

猫耳蛇娘 「ここが認知されにくいこととか、結界の中の者の運気とか……」

猫耳蛇娘 「おぬし、何か不当に不運が続くなあとか、何かバッドエンドへの分岐が多い人生だなあとか」

猫耳蛇娘 「感じたことない?」


幼女魔王N 「蛇ちゃんと永遠に心がつながっているからどうでもいい」


猫耳蛇娘 「うむ、どうでもよく無いんじゃ」

猫耳蛇娘 「これからワシがやるのは」

猫耳蛇娘 「結界の良いところはなるべくそのままに、悪いところを削っていくという作業なんじゃよ」


幼女魔王N 「すごい」


猫耳蛇娘 「じゃろ?」

猫耳蛇娘 「感謝せいよ。おぬしのために特別にやってやるのじゃからな、こんなメンドクサイこと」


幼女魔王N 「私のため……特別……」


猫耳蛇娘 「そうじゃ。だから間違っても、ワシの前であの毛玉なんか召喚するんじゃないぞう」


幼女魔王N 「分かった。しない」


猫耳蛇娘 「うむ。お酒のようなもの、おかわりじゃ」


幼女魔王N 「はい」


トク トク トク


猫耳蛇娘 「と、と、と、と……」

猫耳蛇娘 (こやつの扱い方、何となく分かってきたぞ)





猫耳蛇娘 「これがなかなか長引きそうでのー」

猫耳蛇娘 「しばらくここに泊まり込まんといかんかもしれん」

猫耳蛇娘 (……こやつは、自由にさせるのが一番面倒くさいのじゃ)


幼女魔王N 「泊まり込み……」

幼女魔王N 「結婚……」


猫耳蛇娘 「うむ、公にはできんが、しばらくそんな感じじゃ」

猫耳蛇娘 「しかしのー、ちょっとまずいことになってのー」

猫耳蛇娘 (淫魔幼女は恐怖で押さえつけたりしとったようじゃが)

猫耳蛇娘 (要は、完全に上位に立って支配してやれば……)

猫耳蛇娘 (いや、上位にたたんでも、こっちに依存しとることを利用して振り回してやれば良いのじゃ)


幼女魔王N 「まずいこと?」




悪い味方
良心が痛むし気が進まなかったけれど
仕事だから母性巫女の森で大量虐殺の舞台を整えた程度の味方



猫耳蛇娘 「いやー、ワシ、今回は軽い仕事のつもりだったんでな」

猫耳蛇娘 「日帰りの用意しかしとらんのじゃよ」


幼女魔王N 「うん……」


猫耳蛇娘 「それでのー、ちょっと、持ち合わせがのー」

猫耳蛇娘 「ここに滞在する間の服とか、シャンプーとか、歯磨きセットとか、アレとか」

猫耳蛇娘 「欲しかったゲームとか、カエルちゃん人形とかペンギンちゃん人形とかのー」

猫耳蛇娘 「あー、あと、枕も自分にあうやつを買わんとのー」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「困ったのう、困ったのう。このままでは帰らなくてはいけなくなるぞう」

猫耳蛇娘 「せっかくのお泊まり会なのにのー。うにゃうにゃ……」


幼女魔王N 「お泊まり会……」

幼女魔王N 「……ちょ」

幼女魔王N 「ちょっと待ってて!」


トテ トテ トテ トテ


猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「………むふっ」





母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「くっふっふっふ」

猫耳蛇娘 「これほどの料理を振る舞えるんじゃ」

猫耳蛇娘 「城はボロボロじゃが、結構な金を貯め込んどるに違いない」

猫耳蛇娘 「リゾート世界の超高級宿並のもてなしを受けてやるとするかのう」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「黒髪おっぱ……黒髪嬢よ」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「……返事がない」

猫耳蛇娘 「しもべの儀式で傀儡化したとしても、少しは本来の性格を持ったように振る舞えるものじゃが」

猫耳蛇娘 「よっぽど儀式のレベルが低かったんじゃろうか」





モニュ モニュ


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「うーむ、それにしてもこの感触、弾力」

猫耳蛇娘 「まさか人の身でこれほどの揉み心地とは」

猫耳蛇娘 「自我が無いのが悔やまれる……」


ムニ ムニ ムニ


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「……なんか、こやつの傍におると」

猫耳蛇娘 「ママうえの腕に抱かれていたころの気持ちになってくるのー」

猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「顔を埋めると、気持ち良いのかの……」


母性巫女 「…………」



トテ トテ トテ


幼女魔王N 「おまたせー」


猫耳蛇娘 「ほっっぷぉっ!?」


ビクッ




幼女魔王N 「お、お金もってきたよ……!」

幼女魔王N 「お泊まりの間に使って」


猫耳蛇娘 「えーっ、まじでーっ」

猫耳蛇娘 「なんか悪いなー、そんなつもりは無かったんじゃがー」


幼女魔王N 「えへへ、いいの。深友だもんね」

幼女魔王N 「はい」


ジャララ


猫耳蛇娘 「うおぉっ!?」

猫耳蛇娘 (赤硬貨ばっかりじゃ。泊まっとる間じゃ普通は使いきれない金額じゃぞ!)

猫耳蛇娘 (くふふ、これだけあればアレ買って、コレ買って……)


幼女魔王N 「あと……」


パキィン

ズ ズ ズ ズ


猫耳蛇娘 「……!」

猫耳蛇娘 (召喚!?)


ズズズ


美触手 「…………」


幼女魔王N 「持ちきれなかったから、運ぶの手伝ってもらったの」

幼女魔王N 「美触手、おねがい」


美触手 「……クュ」


ジャラ ジャラ ジャララララ


猫耳蛇娘 「!?!?!?」

猫耳蛇娘 「お、お金さまがいっぱいじゃあ!!」




ジャラ ジャラ

キラキラ


猫耳蛇娘 「お、おおお……」

猫耳蛇娘 (見たことのない量の金、金!)

猫耳蛇娘 (い、いったいどのくらいあるんじゃ。向こう一億年くらい遊んで暮らせちゃうんじゃないか!?)


幼女魔王N 「……た、足りなかったら、まだちょっとあるよ?」


猫耳蛇娘 「へ?」


幼女魔王N 「お財布にちょっと入ってた……」


チャリン チョリン


猫耳蛇娘 「お、おおう……」

猫耳蛇娘 「もしかして、全財産を持ってきたんか?」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N 「ともだち、だから……えへへ」


モジ モジ


猫耳蛇娘 (……こやつ)

猫耳蛇娘 (やっぱり異常じゃ……)





お金の山



ジャラ キラキラ


猫耳蛇娘 「おおう……何じゃこれ。見たこともない輝き」

猫耳蛇娘 「見ておると、心が奪われていく。ワシはお金の輝きに弱いのじゃぁ……」


幼女魔王N 「全部つかっても良いからね」

幼女魔王N 「……友だち、だもんね。えへへ」


猫耳蛇娘 「そうかそうかー、ごろにゃんごろごろ……ちと、手にとってみても良いかの」


幼女魔王N 「もちろん。友だちだから、何してもいいよ」


猫耳蛇娘 「では……」


ザク ジャラリ


猫耳蛇娘 「おっっほおおお……!」

猫耳蛇娘 「嘘じゃろ、嘘じゃろ。猫耳蛇娘ちゃんの両手いっぱいに赤硬貨山盛りじゃあ!」

猫耳蛇娘 「うひょひょひょひょひょひょ……!」


幼女魔王N 「えへへへへ……」





母性巫女 「…………」



猫耳蛇娘 「……うりゃあ!」


スポン


猫耳蛇娘 は 祈祷師の杖 を外した
猫耳蛇娘 は おふだ を外した
猫耳蛇娘 は 巫女風の服 を外した


猫耳蛇娘 「とぅえい!」


ピョイン ザク

ジャラジャラジャラ


猫耳蛇娘 「うっひょおおおおおい! お金十割風呂じゃあ!」

猫耳蛇娘 「これがワシの夢だったんじゃあ!」


ゴロゴロゴロゴロ

ガシャガシャガシャ


猫耳蛇娘 「うっひいい! お金さまが、裸のワシの全身を責め立てるぅ!」

猫耳蛇娘 「猫耳蛇娘ちゃん、大ピーンチ」

猫耳蛇娘 「冷たい無数の硬貨に未熟な柔肌を責め立てられて、のたうち回ることしか出来んのじゃあ!」


ゴロゴロゴロゴロ





ガサ ゴソ スルル


幼女魔王N は 祝福の服を外した
幼女魔王N は ウサギさんパンツを外した
幼女魔王N は 背伸びブラジャーを外した


幼女魔王N 「……え、えいっ」


トテ トテ ピョン

ザク


幼女魔王N 「きゃっ、冷たい……っ」


猫耳蛇娘 「うひゃひゃひゃひゃ、おぬしも転がるのじゃあ!」

猫耳蛇娘 「じゃないとワシがぶつかっちゃうぞう!」


ゴロゴロゴロゴロゴロ


幼女魔王N 「えっ、あ、あわわわわ……!」


ドン


幼女魔王N 「きゃん!」


猫耳蛇娘 の ころがる攻撃!
幼女魔王N に 245 のダメージ!
猫耳蛇娘 に 1 のダメージ!


猫耳蛇娘 「おうっふ……すまん、勢いで本当にぶつかってしもうた」


幼女魔王N 「う、ううん、大丈夫だから……」


モジ モジ


猫耳蛇娘 「それにしても、おぬしは魔王のくせに本当にどんくさいのう」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N 「ごめん……」


モジ モジ モジ


猫耳蛇娘 「………おぬし」

猫耳蛇娘 「ここでやるの?」


幼女魔王N 「ち、違うよ、お……ぉしっこ……じゃ、ないょ……!」

幼女魔王N 「恥ずかしいから……だって、ご飯食べるところで裸になるなんて、初めて……」





猫耳蛇娘 「何じゃ、てっきり風呂で用を足す派かと思うた」

猫耳蛇娘 「恥ずかしいことなんて無いじゃろう。ここには女しかおらんのじゃ」

猫耳蛇娘 「そうやって両手で体を隠しておっては、このお金十割風呂を味わい尽くせんぞ」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「うん……」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「で、でも、やっぱり恥ずかし……」


モジ モジ


猫耳蛇娘 「……むっふっふ」

猫耳蛇娘 「無駄じゃぞ。ギルドでは温泉部長の名で通るこのワシの前で」

猫耳蛇娘 「そのような無粋な真似は無駄なのじゃあ!」


グイ グイ


幼女魔王N 「きゃっ……ゃ、やぁ……やめて、蛇ちゃんやめてよぉ……」


ジタ バタ クネ クネ




猫耳蛇娘 「ほーれ、ほーれぃ」

猫耳蛇娘 「右手と左手、どっちからガードを崩してやるかのう」


幼女魔王N 「や、やめてよ、恥ずかしいよぅ……っ」


猫耳蛇娘 「じゃったら、どっちか当ててみい」


幼女魔王N 「え、えぇー……!」

幼女魔王N 「うーんと、ええと……」


猫耳蛇娘 「隙あり!」


グイ


幼女魔王N 「ひゃあ!?」


猫耳蛇娘 「むむう、右手ガードは崩せんかったか」

猫耳蛇娘 「にゃはは! じゃが、左手はやってやったわ」

猫耳蛇娘 「おっぱい丸見えじゃあ!」


幼女魔王N 「ふえ~ん、蛇ちゃんのバカぁ……」




猫耳蛇娘 「じゃが、まだまだワシの攻撃は続くのじゃあ!」


幼女魔王N 「ぇええ~……!?」


猫耳蛇娘 「くっふっふ、次はこの右手で、おぬしの胸を思い切りこねくり回してやるわ!」


幼女魔王N 「ひぃっ」


猫耳蛇娘 「胸をガードしておったおぬしの右手は、今やワシの左手が掌握しておる」

猫耳蛇娘 「つまり、おぬしは下をガードする左手を使わねば、ワシの右手は止められぬ」

猫耳蛇娘 「下を隠せば胸を揉まれ、胸を守れば下が丸見えになっちゃう罠」

猫耳蛇娘 「冴え渡る猫耳蛇娘の脳みそ、ここにありなのじゃあ!」


幼女魔王N 「ず、ずるい。蛇ちゃん天才だった……!」


猫耳蛇娘 「にゃーっはっはっはっ! おだてられても七倍速で揉みまくるくらいしかできないぞう!」


>>371 訂正ごめんなさい



猫耳蛇娘 「じゃが、まだまだワシの攻撃は続くのじゃあ!」


幼女魔王N 「ぇええ~……!?」


猫耳蛇娘 「くっふっふ、次はこの左手で、おぬしの胸を思い切りこねくり回してやるわ!」


幼女魔王N 「ひぃっ」


猫耳蛇娘 「胸をガードしておったおぬしの左手は、今やワシの右手が掌握しておる」

猫耳蛇娘 「つまり、おぬしは下をガードする右手を使わねば、ワシの左手は止められぬ」

猫耳蛇娘 「下を隠せば胸を揉まれ、胸を守れば下が丸見えになっちゃう罠」

猫耳蛇娘 「冴え渡る猫耳蛇娘の脳みそ、ここにありなのじゃあ!」


幼女魔王N 「ず、ずるい。蛇ちゃん天才だった……!」


猫耳蛇娘 「にゃーっはっはっはっ! おだてられても七倍速で揉みまくるくらいしかできないぞう!」







猫耳蛇娘 「うひひひ……ほーれ、早くしないと揉んじゃうぞーう」


ワショワショワショ


幼女魔王N 「い、いやあん……」


猫耳蛇娘 「ワシの神がかりな左手はすごいぞう」

猫耳蛇娘 「おぬしの残念な直滑降も、トんでトんで、一晩でK点越えも夢じゃないのじゃあ!」


幼女魔王N 「だ、だったら、まず蛇ちゃんが自分で揉めばいいんじゃないかな……!」

幼女魔王N 「蛇ちゃんの直滑降を、K点越えさせちゃえばいいんじゃないかな……!」


猫耳蛇娘 「何じゃとう! おぬしはZZ越えの刑、確定じゃあ!」


幼女魔王N 「きゃあああ!」


キャッキャッ

ウフフ




…………

ジャラ ジャラ

ズブブブ


猫耳蛇娘 「恐ろしい……恐ろしい財力じゃ」

猫耳蛇娘 「どこまでも沈んでいけるぞう」

猫耳蛇娘 「お金さまが、お金さまが! ひだひだローパーのごとくワシの全身を丸呑みしていくのじゃあ」


幼女魔王N 「本当にお風呂につかっているみたい。これなら、隠さなくてもいいし……」


猫耳蛇娘 「負けない。お金なんかに、ぜったい負けたりしない……!」


幼女魔王N 「蛇ちゃん……」


猫耳蛇娘 「おぬしも負けるんじゃないぞう。負けたらお金の奴隷にされちゃうのじゃ」

猫耳蛇娘 「お金に征服された、欲まみれの肉の塊にされちゃうのじゃあ」


幼女魔王N 「う、うん、頑張る」

幼女魔王N 「何が勝ち負けか分からないけど……」


猫耳蛇娘 「はにゃあぁ~ん、お金には勝てなかったのじゃあ」


フニャ


幼女魔王N 「もう負けてる……!?」




母性巫女 「…………」



猫耳蛇娘 「……ふいぃ」


幼女魔王N 「あ、熱くなってきたね」


猫耳蛇娘 「お金にワシらの体温が移っちゃったんじゃな、たぶん」


幼女魔王N 「ふうん……」


猫耳蛇娘 「いやはや、なかなかの夢見心地じゃ」

猫耳蛇娘 「お金十割風呂」


幼女魔王N 「う、うん……」


猫耳蛇娘 「まあ、ぶっちゃけ普通の風呂の方が気持ち良いな」


幼女魔王N 「それは……ええぇ~……」


猫耳蛇娘 「にゃははは……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……触手、出す?」


猫耳蛇娘 「……おー」

猫耳蛇娘 「おうっ?」




幼女魔王N 「触手十割風呂ができるよ」

幼女魔王N 「あ、でも、触手汁も混じっちゃうかも」


猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「でね、触手がね、触手汁を使ってね、全身をマッサージしてくれるの」

幼女魔王N 「頼んでもいないのに」


猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「……気持ち、いいよ?」


猫耳蛇娘 「……また今度の」


幼女魔王N 「う、うん……」


猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「………レンタル」


幼女魔王N 「?」


猫耳蛇娘 「レンタル……は、できんのかの。触手風呂」




チャラ ジャラジャラ


猫耳蛇娘 「……ふう。金は良いのう、心が豊かになる」

猫耳蛇娘 「心が豊かでなくては、人に優しくするのは難しいからの」


幼女魔王N 「う、うん……」


猫耳蛇娘 「じゃが、この金は貰うわけにはいかんの」


幼女魔王N 「え……」

幼女魔王N 「いいんだよ。友だちだから……」


猫耳蛇娘 「うんむ。その気持ちだけ貰っておこう」

猫耳蛇娘 「それが友だちっちゅうもんじゃ」


幼女魔王N 「友だち……う、うん」


猫耳蛇娘 「……ここにおる間の生活費くらいは貸してくれても良いぞ」


幼女魔王N 「うん」


猫耳蛇娘 「うむ………」

猫耳蛇娘 「ふいぃ、お金風呂は最高じゃのう」


幼女魔王N 「うん……」





猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「……やっぱ一割……二割くらい貰っても良いかの?」


幼女魔王N 「いいよ」



幼女魔王N は 全財産の二割を失った!





幼女魔王Nの城 寝室



チチチ

チュン チュン


猫耳蛇娘 「…………ムニャ、いやーん、触手にはかなわんのじゃぁ」

猫耳蛇娘 「……む?」


モゾ モゾ

ムクリ


猫耳蛇娘 「…………おー」

猫耳蛇娘 「朝か」




ノソ ノソ

スタ


猫耳蛇娘 「しかし……床に布団を敷いて裸で寝るのが一番と思っておるわしじゃが」

猫耳蛇娘 「お城のふかふかベッドも良いものじゃの。宿オークんとこのとは大違いじゃ」

猫耳蛇娘 「くうぅ、良い夢を見られたような気がするぞう。体がぽっかぽかなのじゃ」

猫耳蛇娘 「さて……」


ゴソ


幼女魔王N 「…………スピー」


猫耳蛇娘 「こやつはまだ夢の中か」

猫耳蛇娘 「友だちだから一緒に寝るのが当たり前って……どういう考えじゃよ」


幼女魔王N 「……ムニャムニャ」


猫耳蛇娘 「……ふむ。まあ、黙って寝ておれば、姫というのも信じられるの」

猫耳蛇娘 「起きとるときが、よっぽど残念なんじゃなあ……」




幼女魔王Nの城 廊下



コツ コツ コツ


猫耳蛇娘 「お隣の世界の街で朝食でも……と思うたが、面倒くさい」

猫耳蛇娘 「適当なもんでも見繕って食っておくかの」


テク テク


猫耳蛇娘 「ふうむ……崩れておるが、床は綺麗じゃな。瓦礫などは転がっておらん」

猫耳蛇娘 「掃除好き……には見えんかったが」

猫耳蛇娘 「む?」

猫耳蛇娘 「クンクン……」

猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「何じゃ、良いにおいがする」




食堂の扉


猫耳蛇娘 「……間違いない、においはここからじゃ」

猫耳蛇娘 「あやつ、わしより遅く起きたくせに先回りして朝食をつくっておったのか?」


キュルルル


猫耳蛇娘 「ジュルリ……うう、いかんいかん。かいでおったらヨダレが止まらずお腹が鳴っちゃうわい」

猫耳蛇娘 「ええい、我慢できん。突撃じゃあ!」


ガチャ ギイイ


猫耳蛇娘 「……ぬおぉっ!」


おいしい朝食×4


キラ キラ


猫耳蛇娘 「なんとも腹の虫を刺激する食卓が目の前にひろがっておるぅ!」





猫耳蛇娘 「誰の姿も見えんな。しかし、このうちのいくらかは、ワシのために用意されたものじゃろう」

猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「……お、お先に食べちゃって良いのかのう?」

猫耳蛇娘 「いやいや、駄目じゃ。そんなはしたない」

猫耳蛇娘 「と言いつつも手をのばしちゃうワシ……」

猫耳蛇娘 「……ん?」


コツ コツ コツ


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「げっ」




母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 (……く、黒髪巨乳! 飲み物を持ってきておる最中じゃったか)

猫耳蛇娘 「あ、あー、えっと、そのじゃなあ……」

猫耳蛇娘 (まずいぞ、まずいぞ。こやつは傀儡とはいえ得体の知れん強さをもったしもべじゃ)

猫耳蛇娘 (魔王の食事をつまみ食いしようとしていたのがばれたら、命が危ないかもしれん)

猫耳蛇娘 (うまく誤魔化すしかない!)


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「い、いいい、いやーのう? ピンク魔王のパンに虫がとりつこうとしていてのー」

猫耳蛇娘 「あっれー、おっかしーのー。虫かと思ったらクルミじゃったかのー」

猫耳蛇娘 「……チラッ」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 (よし、次の手じゃ)




猫耳蛇娘 (じゃが何も思いつかん)

猫耳蛇娘 (ええい、戦いの準備じゃ)


母性巫女 「……あの」


猫耳蛇娘 「!?」

猫耳蛇娘 「へいッッッ!!!!」


母性巫女 「!?」


ビクッ タユン


母性巫女 「え、ええと……」

母性巫女 「ジュースとミルク、どちらが良いですか?」


猫耳蛇娘 「………?」

猫耳蛇娘 (……はて)

猫耳蛇娘 (果物のように全身の血を絞り出されるか、牛のように家畜として生きていくか選べっちゅうことか?)




…………


カチャ カチャ

モグモグ


猫耳蛇娘 「…………」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「……い、いやー。何か悪いのー」

猫耳蛇娘 「城の主がおらんのにお食事いただいちゃってのー」


母性巫女 「どうでしょうか。変な味じゃありませんか?」


猫耳蛇娘 「い、いや……」

猫耳蛇娘 (何じゃ。今日は昨日に増して柔らかい印象じゃな)

猫耳蛇娘 (傀儡独特の不自然さもない)

猫耳蛇娘 「おう、そうか、おぬしの出身は遠いんじゃったな」

猫耳蛇娘 「安心せい、ぐっちゃぐちゃうまいぞう。これなら第三大世界中の男の胃袋もはさみ放題じゃ!」


母性巫女 「ああ、良かった……!」

母性巫女 「……はさむ?」





猫耳蛇娘 「まあ……」


ポテトフライ


猫耳蛇娘 「これは揚げるより茹でた方が好みじゃな」

猫耳蛇娘 「ほら、エビと芋は茹でろっちゅう言葉もあるじゃろ」

猫耳蛇娘 「お塩でかために茹でたやつを、ホクホクとかじるのが良いんじゃよー」

猫耳蛇娘 「揚げた芋も好物じゃが、おやつでいただきたいからのー」


母性巫女 「じゃあ、次はそうしましょう」


猫耳蛇娘 「んむ」

猫耳蛇娘 「ガツガツムシャムシャ……」

猫耳蛇娘 「ゴクゴクゴク……プハー! うまいのう!」


母性巫女 「うふふふ……」


カチャカチャ 





猫耳蛇娘 「……しかし、ピンク娘は起きてこんのう」


母性巫女 「……そうですね」


猫耳蛇娘 「というか、おぬし」

猫耳蛇娘 「あのピンクのしもべなんじゃよね?」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「さあ……」


猫耳蛇娘 「さあ、て」


母性巫女 「私にも、よく分からなくて」

母性巫女 「このところ、何だかふわふわしていて。いまも夢か現か……」


猫耳蛇娘 「……ふむ」




猫耳蛇娘 「昨日、ワシと会ったことは憶えておるかの」


母性巫女 「……何となく」


猫耳蛇娘 「何となくかい」


母性巫女 「忘れかけた子供の頃の思い出みたいで」

母性巫女 「現実だったのか、思い込みか昔みた夢のことだったのか……そんな風に曖昧なんです」


猫耳蛇娘 「……ううむ」




猫耳蛇娘 「……ん?」

猫耳蛇娘 「ときに、おぬしっていま何歳?」


母性巫女 「え?」

母性巫女 「1[ピーーー]歳ですけど……」


猫耳蛇娘 「うっそじゃあ!」

猫耳蛇娘 「そりゃあサバよみすぎじゃろ!」


母性巫女 「ほ、本当です」


猫耳蛇娘 「その歳頃の人間の雌って、普通もっとピュアピュアでキュアッキュアじゃろ」

猫耳蛇娘 「おぬしなんて熟れ熟れじゃん。プルプルのトロットロじゃん」


母性巫女 「失礼なこと言わないでください……!」


プルン




猫耳蛇娘 「あーあー、おるんじゃよなあ、こういう奴」

猫耳蛇娘 「母性強めのロリエロ清楚系キャラ気取る奴」

猫耳蛇娘 「そうやって男をひっかけておっぱい揉ませてそこまで大きくなったんじゃな」

猫耳蛇娘 「怖いのー、魔性の女じゃのー」


母性巫女 「ろ、ロリエ……?」

母性巫女 「おっぱ……胸なんておと……男の人に揉ませてなんか……っ」


ポッ


猫耳蛇娘 「しかも、肌に食い込むピッチピチのうっすい服着た露出狂キャラまで付加しおって」


母性巫女 「そ、そんなつもりじゃ……だって、森にいたときよりだいぶ布の面積は大きく……」


猫耳蛇娘 「ふん、あくまで清楚キャラ気取るつもりじゃな」

猫耳蛇娘 「てや!」


猫耳蛇娘 は アクセサリ(レア) を使った!


母性巫女 「!?」




母性巫女 「あら、綺麗な……水晶玉?」


猫耳蛇娘 「相手の強さが分かるアイテムがあってのう。こいつはそれの超すごい版じゃ」

猫耳蛇娘 「これさえあれば、相手の体力とか弱点どころか、恥ずかしい秘密まで丸分かりなのじゃよー」

猫耳蛇娘 「もちろん、本当の年齢ものう」


母性巫女 「そんなアイテムがあるなんて」


猫耳蛇娘 「ほほーう、やっぱこのアイテムのことは知らんようじゃな」

猫耳蛇娘 「好都合。つまり防ぐ手段も知らんっちゅうことじゃ」

猫耳蛇娘 「じっくり丸裸にしてやるぞう……」


ジリ ジリ




猫耳蛇娘 「にゃふふぅ……」


母性巫女 「ちょ、ちょっと、まだ食事中ですよ」


猫耳蛇娘 「どれどれ……」


キラリ キイイ



■母性巫女(健康)

種族 :人間
職業 :魔王のしもべ/精霊使い/戦巫女/触手の苗床
レベル:000003/2460/08213/999
髪質 :サラサラ
性格 :おっとり

属性 :???
得意 :子供、魔物
苦手 :子供、性魔術、機械
弱点 :頭、胸、背筋、臀部、局部
B:XXX/W:0XX/H:XXX
恋人いない歴:ずっと
友達いない歴:ずっと
好感度:高い
出産経験:なし
…………
……



猫耳蛇娘 「ふむふむ」

猫耳蛇娘 「で、年齢はどこだっけの……得られる情報が多すぎて探すのが面倒じゃ……」

猫耳蛇娘 「うぬう、淫魔幼女の言うとおり、少し情報を絞らんといかんかのう」

猫耳蛇娘 「お、あったぞ……」



…………:39217
最高本数:15本
連続最高記録:7230回

年齢:0さい

肉親:なし
好物:スープ、ヨーグルト、おしゃぶり触手
器用さ:…………
………



猫耳蛇娘 「……なん蛇と」




猫耳蛇娘 「おぬし……」


ヒョイ


猫耳蛇娘 「ああっ!?」



母性巫女 は アクセサリ(レア)を盗んだ!



母性巫女 「もう、食事中にこんなことしちゃ駄目でしょう」


猫耳蛇娘 「泥棒! 返すのじゃ、返すのじゃ!」


ピョイーン ピョイーン


母性巫女 「駄目です。食事が終わるまで、没収ですからね」


猫耳蛇娘 「それがお客に対する態度か!」


母性巫女 「お客さまだからって、こんなことやっちゃいけないんですから」


猫耳蛇娘 「うぬぬぬ、馬鹿にしおって」

猫耳蛇娘 「言っとくがワシはこう見えても、反魔法少女ギルドの……」


母性巫女 「だからって、子供は子供です」


猫耳蛇娘 「おぬしはお母さんか!」




猫耳蛇娘 「くっそう、見た目で判断しおって小娘が」

猫耳蛇娘 「見ておれよ、この!」


ダダ ムギュ


母性巫女 「え、ちょっと……! ゃんっ……」


猫耳蛇娘 「にゃはは、弱点が胸であることは把握済じゃあ」

猫耳蛇娘 「ほーれ、揉むぞ揉むぞ。思いっきりこねくりまわしてやるー」


ムニムニ グニグニ


母性巫女 「も……もうっ……やめてくだ、やめなさ……っ」


猫耳蛇娘 「じゃったら攻撃すればよかろう? 子供姿のラブリーなワシをのー」

猫耳蛇娘 「……ふはは、大きい上にほぼ丸出しじゃから攻撃し放題じゃ」

猫耳蛇娘 「効果はばつぐんのようじゃな。そらそら、返さんともっとすごいことになっちゃうぞう」


モニュモニュ グイングイン


母性巫女 「や、やめっ……はふっ……怒りますっ、ょ……」


ヨロ カクン 

フル フル


猫耳蛇娘 「にゃははっ、脚腰がぷるぷるカクついておる。もうフニャフニャじゃあ」

猫耳蛇娘 「どうしたどうした、今にもヨダレたらしそうなトロけ顔でお母さんぶっても、説得力ないぞう」

猫耳蛇娘 「さっさとアクセサリを返すのじゃ、良い子ぶりっこちゃんめ」


グニョグニョ キュ キュ


母性巫女 「は、はうぅ……ッ」

母性巫女 「ほっ、ほんとに、やめ……」





ヒュン ドカッ

ゴゴゴゴゴ


母性巫女 の こうげき!
母性巫女 は 体に力が入らない!
かすりヒット!
猫耳蛇娘のHP が 1 になった!



…………

…………



母性巫女 「さあ、ごはんを食べてください」

母性巫女 「おもちゃで遊ぶのはそれからですからね」


猫耳蛇娘 「はーい」

猫耳蛇娘 「……あっれー、おかしいのう」

猫耳蛇娘 「ワシ、すっげー勝っとったはずじゃがのー……」


ムシャ ムシャ


触手とはいろいろあったから……



猫耳蛇娘 「じゃが、おぬしが儀式を受けて魔王のしもべになったことは確かなようじゃ」


母性巫女 「え?」


猫耳蛇娘 「アクセサリはおぬしを、0歳と判断した」


母性巫女 「ええっ!?」


猫耳蛇娘 「良かったのー。真相は闇の中でのー」


母性巫女 「だから、本当に1X歳ですってば……!」


猫耳蛇娘 「はいはいじゃよ」

猫耳蛇娘 「ワシのアクセサリ使用経験からすると、年齢がリセットされるのは一度死んで生き返った場合じゃ」

猫耳蛇娘 「ただ生き返るだけじゃなくて、何かの条件が揃ってそうなるらしいんじゃが」

猫耳蛇娘 「まあ、とにか、おぬしは一度死んで魔王のしもべになったっつうこっちゃな」

猫耳蛇娘 「で、それができるのはしもべの儀式だけ」


母性巫女 「そうなんですか……」




猫耳蛇娘 「でものー、そいじゃと変なところもあってのー」


母性巫女 「変?」


猫耳蛇娘 「おぬしって人間じゃん? サキュバスとか乳牛とかじゃないじゃん?」


母性巫女 「え、ええ」


猫耳蛇娘 「見た目はつま先から脳みそまでエロしか詰まってなさそうなのにのー」


母性巫女 「あの」


猫耳蛇娘 「じょ、冗談じゃよー」

猫耳蛇娘 「ステータス的にのー、儀式をうけた魔王のしもべにしては不自然というか」

猫耳蛇娘 「第一、表情が豊かすぎるんじゃよ」


母性巫女 「は、はあ……?」




猫耳蛇娘 「魔王のしもべになる方法もいろいろあってな」

猫耳蛇娘 「大きくわけりゃ、儀式をうけるうけないの二つなんじゃが」


母性巫女 「はあ」


猫耳蛇娘 「儀式はだいたい、魔王が無理やりしもべをつくるときに行う」

猫耳蛇娘 「儀式さえ受けさせりゃ、だいたいの生き物は忠誠度MAXのしもべになっちゃう」

猫耳蛇娘 「しかし、しもべは本来の力を発揮できなくなる場合が多い」

猫耳蛇娘 「それまでの記憶とか自我とか、封印されるか消滅してしまう」


母性巫女 「記憶や自我がなくなってしまう……」




猫耳蛇娘 「自我があるように振舞わせることもできるんじゃがの」

猫耳蛇娘 「ほら、相手を無理矢理しもべにー……よりも、相手が望んでしもべになりにきたって方が」

猫耳蛇娘 「魔王的にも格があるというか、器がでかい感じじゃろ?」


母性巫女 「た、たしかに……」


猫耳蛇娘 「じゃから、儀式をうけたと悟らせないように見せかけるしもべの儀式もある」

猫耳蛇娘 「難度は高くなるが」

猫耳蛇娘 「でものー、いくらうまく偽っても分かっちゃうんじゃよ」

猫耳蛇娘 「あれ、こやつ何か普通じゃないな、というか」

猫耳蛇娘 「まあ、どこかしら欠けている感じがなー」


母性巫女 「そうなんですか……」


猫耳蛇娘 「昨日のおぬしはそんな感じだったんじゃけど」

猫耳蛇娘 「今日は違うんじゃよな」

猫耳蛇娘 「嘘っぽい感じがせん」




猫耳蛇娘 「おぬし、今は自分の意思で動いとる?」


母性巫女 「そうだと思っているけれど……分かりません」


猫耳蛇娘 「うーむ……」

猫耳蛇娘 「昨日よりはどうかの。意識がはっきりしとるとか」


母性巫女 「それは、そうですね。うまく言えないけれど」


猫耳蛇娘 「不思議じゃなー」

猫耳蛇娘 「そういうことはよくあるのかの? 意識が戻るというか」


母性巫女 「はい」


猫耳蛇娘 「……う-む」

猫耳蛇娘 「結界のせい……じゃなかろうし」

猫耳蛇娘 「おぬし、何か心当たりとかない?」


母性巫女 「うーん……」




母性巫女 「そういえば……」


猫耳蛇娘 「にゃん?」


母性巫女 「男の人に揉んでもらったことはありませんけど」

母性巫女 「森で暮らしていたころや討伐隊に入って旅をしていたころ、年少組のお守役をやるときに」

母性巫女 「よくおっぱ……胸を揉まれていたと思います」


猫耳蛇娘 「……うん?」


母性巫女 「小さな手をグゥ、パッ、グゥ、パッ……て、夢中で動かしているのが可愛くて」

母性巫女 「ついつい見とれちゃうんですよね」

母性巫女 「揉むと大きくなるという噂を聞いて極力やめようと思ったんですけど」

母性巫女 「やっぱり可愛くて……うふふ……」


ポワン ポワン 


猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「……不愉快じゃ」





猫耳蛇娘 「おぬしの魔乳自慢は分かったから、何か役に立つことを話せよ」

猫耳蛇娘 「その胸の大きさって、はっきり言ってファンタジーじゃからな。ありえんからな。気持ち悪いからな」


母性巫女 「そ、そんなつもりじゃ……ごめんなさい」

母性巫女 「ええと……」

母性巫女 「私の意識がはっきりしているとき、Nはいつも寝ているんですが……」


猫耳蛇娘 「いつも?」

猫耳蛇娘 「起きておるあやつに会ったことは無いんか?」


母性巫女 「ここに来てからは、そうですね……」


猫耳蛇娘 「……ふーむ。なるほど」




猫耳蛇娘 「……意識がある時って、いつもどうしとるの?」


母性巫女 「掃除をしたり、この世界やお城のことについて調べてみたり」

母性巫女 「あんまり長いときは、Nのお世話をしたり……」

母性巫女 「あ、そうだ。中庭に花を植えようと思うんですけど、どうでしょう」


猫耳蛇娘 「知らんけど」

猫耳蛇娘 「長いときって……どのくらいじゃ」


母性巫女 「たぶん、二日近く眠っていたと思います」




猫耳蛇娘 「その間、おぬしは寝たりしたかの?」


母性巫女 「ええ……」


猫耳蛇娘 「それ、もしかして二日近く眠ったことにならなくない?」

猫耳蛇娘 「おぬしが寝た間に、あやつ起きてたかもしれんじゃん」


母性巫女 「それが……その時はうたた寝程度で、私はNの傍にいたんですが」

母性巫女 「Nはずっと同じ姿勢だったので……毛布も乱れた様子はなかったし……たぶん起きていないかと」


猫耳蛇娘 「ふーむ……」

猫耳蛇娘 「本当じゃとしたら、分かることもありそうじゃが」


母性巫女 「?」


猫耳蛇娘 「ピンクが眠ったらおぬしが起きて、一方、おぬしが眠っているときはピンクが起きているとは限らない」

猫耳蛇娘 「それは、この珍妙な現象が、おぬしが起きているか眠っているかではなく」

猫耳蛇娘 「あのピンク次第だろうということじゃ」




猫耳蛇娘 「ピンクの状態次第で、変化するのだろうということじゃ」


母性巫女 「……はあ」


猫耳蛇娘 「基本的に、主導権はピンクが握っておる」

猫耳蛇娘 「ピンクが起きておるとき、おぬしは儀式に縛られる。意識がない。眠っておる」

猫耳蛇娘 「そしてピンクが眠っておるとき、おぬしは儀式から解放される。意識がある。起きておるというわけじゃ」


母性巫女 「なるほど……」


猫耳蛇娘 「まがりなりにも魔王によるしもべの儀式で、こんな中途半端なことは起きんはずじゃが……」

猫耳蛇娘 「実際に起きちまっとるからのー」

猫耳蛇娘 「不思議じゃのー」




猫耳蛇娘 「儀式をかける側に不手際があったところで」

猫耳蛇娘 「勇者や魔王級の存在による儀式では大した問題にはならんし」

猫耳蛇娘 「かけられる側にものすごい抵抗力があった……にしても」

猫耳蛇娘 「そういう例があるなぞ耳にしたこともないし」

猫耳蛇娘 「いや、むしろ滅多に起こらないことが全て起こったとか……?」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「いや、それよりも」

猫耳蛇娘 「何で、おぬしはここにおるの?」




猫耳蛇娘 「無理矢理、魔王のしもべにされたわけじゃろ?」


母性巫女 「それは……」


猫耳蛇娘 「……違うのかの?」

猫耳蛇娘 「自分からしもべになる奴を、わざわざ傀儡にする理由もそう無いと思うんじゃが」


母性巫女 「たしかに、自分からしもべになったわけじゃありませんけど……」


猫耳蛇娘 「そうか、おぬしもはっきりと分からんのじゃったな」

猫耳蛇娘 「……じゃが、違う世界に無理矢理連れてこられて」

猫耳蛇娘 「帰ろうとかせんの?」

猫耳蛇娘 「故郷じゃ仲間はずれじゃったとか?」


母性巫女 「い、いえ……懐かしいとは思います」

母性巫女 「でも、帰る方法も分からなくて」


猫耳蛇娘 「それが、あのピンクのせいってのは分かっとるじゃろ?」


母性巫女 「……はい」




猫耳蛇娘 「で、しもべとしてピンクの言いなりになっとる時のことは」

猫耳蛇娘 「うっすらと憶えておるわけじゃ」


母性巫女 「はい」


猫耳蛇娘 「しもべの儀式がどういうもんか、分かっとるんじゃろ」


母性巫女 「……はい」


猫耳蛇娘 「そこでさっきの疑問なんじゃよ」

猫耳蛇娘 「何で、おぬしはここにおるの?」





猫耳蛇娘 「人生を滅茶苦茶にされたんじゃよ。他人のわがままで」

猫耳蛇娘 「それまでの過去やら、未来やら、いろんなものを、それこそ本当に全部ぶっ潰されて奪われて」

猫耳蛇娘 「で、何の偶然か意識が自由になったとき、奪った張本人が目の前で眠りこけとって」

猫耳蛇娘 「どうしておぬしは、ここに留まっておれるの?」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「腹が立ったりせん?」

猫耳蛇娘 「人の人生を滅茶苦茶にした奴の日常を見せられるとか」

猫耳蛇娘 「……そんなことをされたら、親友相手でも殺意が湧くと思うんじゃが」

猫耳蛇娘 「少なくとも、こんな風に朝飯つくったり掃除したりできんと思うんじゃが」


母性巫女 「…………」




猫耳蛇娘 「たとえ、あやつが全部悪いというわけじゃなくても」

猫耳蛇娘 「理不尽な状況への憤りをぶちまけるサンドバッグが目の前におるのに」


母性巫女 「そんな……子供だし、とんでもなく間違うことだってあります」

母性巫女 「それにあの子、間違うことすら怖がってしまう……その……」

母性巫女 「本当に可哀想というか、心のやわらかい子だから……」


猫耳蛇娘 「……何を言いたいのか分からんが」

猫耳蛇娘 「おぬし、あれとは付き合いが長いんか?」


母性巫女 「長い……と言うほどじゃありませんけど」

母性巫女 「一緒に暮らしていました。たぶん、あの子が私の故郷に来たときから」




猫耳蛇娘 「ああ、そりゃそれなりに情も湧くのう。長くないといえ、毎日一緒におれば」

猫耳蛇娘 「好き嫌いは別として、ただの他人同士のままということもなかろうし」

猫耳蛇娘 「うちの組織がそんな感じじゃし」

猫耳蛇娘 「ううむ、じゃからこそ、裏切られたときのショックも大きかろうと思うんじゃが」


母性巫女 「え、ええ。だけど……」

母性巫女 「ひとりぼっちで、何が良くて何が駄目か分からずに暮らしてきて」

母性巫女 「誰も教えなかったら、ずっと分からないままだし」

母性巫女 「あの子、ちょっと考え方が独特だし」

母性巫女 「ああ、何か事情があったのかも……」


猫耳蛇娘 「……それは他の奴が言うことであって、当のおぬしが言うことじゃないんじゃないかの?」

猫耳蛇娘 「殺された奴が犯人を思いやるって、どんな構図じゃよ」

猫耳蛇娘 「ちょっと気持ち悪いぞ」





母性巫女 「気持ち悪いって……」


猫耳蛇娘 「感情の動きが予想外すぎる奴ってのは怖いんじゃよ」

猫耳蛇娘 「とくにワシって人情派じゃから。心を大事にする傾向にあるから」

猫耳蛇娘 「喜怒哀楽のツボの見当もつかん相手というのは、未知の化物より厄介じゃったりする」

猫耳蛇娘 「この人、何やったら怒るんじゃろうなー……と、つねにビクビクしちゃう」


母性巫女 「そう言われても、私もちゃんと怒ったりしますけど……」


猫耳蛇娘 「怒るべきだから怒っとけ、みたいな感じがするんじゃよ」

猫耳蛇娘 「仕事っちゅうか、価値観に従って冷静に喜怒哀楽を表しとるだけで、じつは」

猫耳蛇娘 「感情は押しピンで一箇所にとめられておるような」


母性巫女 「そんなこと」


猫耳蛇娘 「いや、無いんじゃろうけど」

猫耳蛇娘 「おぬしの場合、なんか負の感情表現の機能みたいのがぶっ壊れていて」

猫耳蛇娘 「それが結果、感情全部がぶっ壊れとる……みたいに見えるんじゃろうな」




猫耳蛇娘 「おぬしってポワワンとしとるし、人間としてはいろいろ規格外っぽいし」

猫耳蛇娘 「それが余計に、巨大な異形が潜む深海の闇を前にしとるような、そんな恐怖感を煽るんじゃろう」


母性巫女 「会ったばかりで、そこまで分かるものなんですか……?」


猫耳蛇娘 「職業柄、そういう目が育っての。外れることも多いが」

猫耳蛇娘 「まあ、たしかに大げさに言うとる部分もある」

猫耳蛇娘 「……じゃが、子供の勘とか感性をなめちゃいかんよ」

猫耳蛇娘 「表す言葉がないだけで、実は大人なんて比べもんにならんくらい多くのものを感じ取るからな」


母性巫女 「それこそ、当のあなたが言ってはいけないような気がするけれど……」


猫耳蛇娘 「そういう機能は大人になるとむしろ邪魔になったりするから、成長につれて衰えていくんじゃなあ」




母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「それで?」


母性巫女 「え」


猫耳蛇娘 「これからおぬし、どうするつもりなの?」

猫耳蛇娘 「ワシは仕事でしばらくここにおらんといかんから、知っときたいんじゃけど」


母性巫女 「そうですね……」

母性巫女 「とりあえず、お城の修理の件がどうなっているか、各ギルドに確認しないと」


猫耳蛇娘 「あ、他の世界から人を呼ぶときは、なるだけ一まとめになるようにしてくれんと困るよ」

猫耳蛇娘 「ワシの仕事が面倒になるから」


母性巫女 「分かりました」

母性巫女 「お昼ご飯はここで食べますか? それとも仕事場に運びますか?」


猫耳蛇娘 「運んでくれると助かるのう」

猫耳蛇娘 「……ついでにィ、猫耳蛇娘ちゃんのお口にも運んでくれると嬉しいのー。ごろにゃん」


母性巫女 「あらあら。うふふ……」


猫耳蛇娘 「にゃははは……」

猫耳蛇娘 「じゃ、のーて!!」


バンッ


母性巫女 「テーブルをそんな風に叩いちゃ駄目ですよ」




猫耳蛇娘 「何なんじゃ、おぬし、ここでの暮らしに適応していっとるようじゃが」

猫耳蛇娘 「……じゃあ、ワシがおるうちは、あのピンクをどうこうしようとかは無いのじゃな」


母性巫女 「どうこうって……」


猫耳蛇娘 「あやつを殺して自由になろうとか、そういうのはせんのじゃな」


母性巫女 「あ、当たり前です。そんなこと、しません……!」


猫耳蛇娘 「……本当に変わっとるのう」

猫耳蛇娘 「まあ、しこりは残るが深く関わりとうないし、だったらもうそれで良いんじゃが……」


母性巫女 「はい……」



??? 「……いや」

??? 「本当に良いのかな」




カチャ パク

モグモグ


??? 「……うん、おいしい」

波魔法少女? 「食事というのは、改めて良いものだ」



波魔法少女? が あらわれた!



猫耳蛇娘 「!?」

猫耳蛇娘 「界駆ギルドの……!」


母性巫女 「あの、すみません、いつの間にここに……」


波魔法少女? 「さっきからいたけれど」


母性巫女 「そんなはず……」


猫耳蛇娘 「おぬし、なぜここにおる」


波魔法少女? 「おや、魔法少女ギルドのことを知っているということは……関係者かな」

波魔法少女? 「しかし、界架ギルドの人というわけでもなさそうだ」

波魔法少女? 「というか誰だろう、君は」


猫耳蛇娘 「界駆の魔法少女が、なんでここにおるんじゃ」


波魔法少女? 「なんでって……呼ばれたからさ」

波魔法少女? 「ねえ、黒髪の人?」


母性巫女 「え……」





猫耳蛇娘 「おぬし、こやつと知り合いか」


母性巫女 「い、いえ、知らないはずですけど」


波魔法少女? 「ひどいなあ」


母性巫女 「……あの。どこかで会ったでしょうか」

母性巫女 「だとしたら、ごめんなさい、おぼえていなくて……」


波魔法少女? 「気にしなくて良いよ」

波魔法少女? 「ボクらは初対面さ」


母性巫女 「……はあ」


波魔法少女? 「けれど、君はおぼえている」

波魔法少女? 「ボクの分の食事を用意してくれていたじゃないか」


カチャ カチャ

モグモグ ゴクン




波魔法少女? 「ピンクちゃんは元気かい」


母性巫女 「え……」


波魔法少女? 「あの子とは浅からぬ縁でね」

波魔法少女? 「妖精の世界では、教会で可憐少女ちゃんも交え楽しくやった」


母性巫女 「教会……?」


波魔法少女? 「元気かい?」

波魔法少女? 「美味しいね、この揚げた芋」


母性巫女 「……ええと」


猫耳蛇娘 「話すな」


母性巫女 「耳蛇……?」


猫耳蛇娘 「こやつは問答無用に魔物を狩るギルドの一員」

猫耳蛇娘 「あのピンクの天敵みたいなもんじゃ」




母性巫女 「……!!」


猫耳蛇娘 「……どうやってここに来たのやら」

猫耳蛇娘 「結界の隙でもついたか」


波魔法少女? 「そんなに警戒しないでおくれよ」

波魔法少女? 「もはやボクは、誰とも敵対するつもりはない」

波魔法少女? 「ジュース、おかわり」


母性巫女 「あ、はい」


トポ トポ トポ


猫耳蛇娘 「おい、おっぱい」


母性巫女 「あ、はい」

母性巫女 「ミルクですね」


トク トク トク


猫耳蛇娘 「ごろにゃんごろにゃん」

猫耳蛇娘 「じゃ、のーて!!」


バンッ


波魔法少女? 「はしたないな。人の食事中にテーブルを叩くなんて」


一スレ目の魔物牧場の裏ボスだよ
道魔法少女と淫魔法少女に負けて捕獲された



猫耳蛇娘 「良いか、これは危険な状況なんじゃぞ」

猫耳蛇娘 「ピンクの世界は、本来ならいかなる外敵も寄せ付けん」

猫耳蛇娘 「どころか、存在する座標すら掴めん。じゃのに、こうやって部外者がこっそり入り込めとる」

猫耳蛇娘 「こやつが仲間を呼んでみい、この城、攻め込まれ放題なんじゃぞ」


母性巫女 「は、はい……!」


波魔法少女? 「分からない猫耳だね」

波魔法少女? 「だから、戦う気なんてないんだよ。ボクはお呼ばれしただけだってば」

波魔法少女? 「ジュースおかわり」


母性巫女 「あ、はい」


トポ トポ トポ


猫耳蛇娘 「また、おい、おっぱい!」


母性巫女 「は、はい」


トク トク トク


猫耳蛇娘 「わーい、なめらかミルクがなみなみにゃー」

猫耳蛇娘 「蛇、のーてっっ!!」


バンッ




猫耳蛇娘 「敵! こやつは界駆の魔法少女! 敵、敵なのじゃあーー!!」


ピョーン ピョーン


母性巫女 「魔法少女……」


波魔法少女? 「もう関係ないんだよ」

波魔法少女? 「いま、ボクは何にも属していない」


猫耳蛇娘 「そんなん、信じられっかい!」


波魔法少女? 「やれやれ」


母性巫女 「……あの、Nのお知り合いなんですか?」


波魔法少女? 「もちろん」

波魔法少女? 「彼女とは同じ釜のご飯を食らい」

波魔法少女? 「命のやりとりをした仲さ」


母性巫女 「……それって」


波魔法少女? 「分かりにくかったかい? 少し詳しく話そう」

波魔法少女? 「彼女とは良い友人になれそうだったが、ボクの秘密を見ちゃってね」

波魔法少女? 「それがいけなかった。だから、ボクは彼女を殺そうとしたのさ」

波魔法少女? 「邪魔だったからね」


母性巫女 「……!」


波魔法少女? 「まあ、失敗に終わったわけだが」




猫耳蛇娘 「ほれ見ろ、ほれ見ろ」

猫耳蛇娘 「しつこくあのピンクの命を狙っておるんじゃ、こやつは!」


波魔法少女? 「いちいち噛み付かないでくれよ。終わったと言ったろう」

波魔法少女? 「終わったことをどうにかしようとは思わない」

波魔法少女? 「ジュース、おかわり」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「いただけないのかい?」

波魔法少女? 「まだ空っぽではなさそうだけれど」


母性巫女 「…………」


トポ トポ トポ


波魔法少女? 「どうも」





波魔法少女? 「ゴクゴクゴク……うん、美味しい」


母性巫女 「……Nが、あなたを呼んだんですか?」


波魔法少女? 「おかしなことを言うなあ」

波魔法少女? 「おいしい朝食を用意してくれたのは君だろうに」


母性巫女 「私は人数分しか用意していないつもりでしたけど……」

母性巫女 「四人分……Nと、耳蛇と、私と」

母性巫女 「……あれ」


波魔法少女? 「最後にボクの分だ」

波魔法少女? 「ほら、ちゃんと四人分。何もおかしなことはない」


カチャ カチャ


母性巫女 「え、ええ」

母性巫女 「でも、失礼ですけど、やっぱり私はあなたのことを知らないと思うんですが」


波魔法少女? 「ああ、だろうね。ボクも君のことを知らない」


母性巫女 「…………?」




母性巫女 「ええと、あれ……?」


猫耳蛇娘 「おい、しっかりせい」


波魔法少女? 「まあまあ、人間の記憶なんてあやふやなものさ」

波魔法少女? 「経験していないことをおぼえていないのも、無理はない」


カチャ カチャ


猫耳蛇娘 「気取ったこと言っとらんでさっさと帰れ、世駆」


波魔法少女? 「やだね」

波魔法少女? 「なぜならボクは、君の言っていた、ホラ……」

波魔法少女? 「界駆(笑)」

波魔法少女? 「……じゃないから」


猫耳蛇娘 「おぬし、いま笑ったか」


波魔法少女? 「いやいや、あざ笑ったわけじゃないよ」

波魔法少女? 「針の穴程度しか世界のことが分かっていないのに」

波魔法少女? 「界駆だとか界架だとか、思想のなわばり争いをして」

波魔法少女? 「……ほら、分かるだろ?」

波魔法少女? 「大まじめに戦争ごっこをする無力な子どもたちを眺めているような」

波魔法少女? 「そんな、微笑ましい気持ちさ」


>>445 訂正ごめんなさい



母性巫女 「ええと、あれ……?」


猫耳蛇娘 「おい、しっかりせい」


波魔法少女? 「まあまあ、人間の記憶なんてあやふやなものさ」

波魔法少女? 「経験していないことをおぼえていないのも、無理はない」


カチャ カチャ


猫耳蛇娘 「気取ったこと言っとらんでさっさと帰れ、界駆」


波魔法少女? 「やだね」

波魔法少女? 「なぜならボクは、君の言っていた、ほら……」

波魔法少女? 「界駆(笑)」

波魔法少女? 「……じゃないから」


猫耳蛇娘 「おぬし、いま笑ったか」


波魔法少女? 「いやいや、あざ笑ったわけじゃないよ」

波魔法少女? 「針の穴程度しか世界のことが分かっていないのに」

波魔法少女? 「界駆だとか界架だとか、思想のなわばり争いをして」

波魔法少女? 「……ほら、分かるだろ?」

波魔法少女? 「大まじめに戦争ごっこをする無力な子どもたちを眺めているような」

波魔法少女? 「そんな、微笑ましい気持ちさ」




猫耳蛇娘 「……ええ加減にせいよ、たかが界駆ギルドの駒風情が」

猫耳蛇娘 「低いとこから高いとこを見下しとると、首が吊る上に泣かされるぞ」

猫耳蛇娘 「ワシに」


波魔法少女? 「見下してなんかいない。ボクだって無力なのだから」

波魔法少女? 「高い低いとかではなくて、向こう岸から見ている感じさ」

波魔法少女? 「今のところ、君はボクのところへ来られないし、ボクも君のところへ行けない」


猫耳蛇娘 「……うちのギルド長みたいなことを言いおる」

猫耳蛇娘 「ええい、ムカつく」


母性巫女 「まあまあ、落ち着いてください」


猫耳蛇娘 「おぬしはもっと焦れよ」




波魔法少女? 「死んだ人間が自力で生き返るのって難しいだろう?」

波魔法少女? 「ボクの側と君の側を行き来するのも、そういうことさ」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「何じゃい、三途の川でも渡ったんかい」


波魔法少女? 「それが死ぬという表現なら、渡ったね」

波魔法少女? 「けれど、我々を隔てる川は、生きているとか死んでいるとか、そういうものとはまた少し違う」

波魔法少女? 「……と、思う」




猫耳蛇娘 「……意味が分からん」


波魔法少女? 「そうかい」

波魔法少女? 「じゃあ、こうしよう」

波魔法少女? 「ボクに攻撃をしかけてごらん」


キュイン ドカン


猫耳蛇娘 の 即死魔法攻撃Lv,MAX!
波魔法少女? に???のダメージ!
波魔法少女? は???回復!
波魔法少女? のスキル発動!
波魔法少女? は死んでしまった……
波魔法少女? の座標が揺らいでいく……
波魔法少女? には効果がない……


波魔法少女? 「ためらい無いね」

波魔法少女? 「でも分かったろう。君とボクは……」


猫耳蛇娘 「…………」


キュイン ドカン


波魔法少女? 「存在そのものが……」


キュイン ドカン
キュイン ドカン


波魔法少女? 「ちょっと……」


キュイ ドガ
キュイ ドガ
キュイ キュイ ドガガガ




ドガガガガガガガ


猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「うぬう……ワシの結界術奥義をもってしても倒せんとは」

猫耳蛇娘 「いやいや、しばらくやっとれば……」


ドガガガガガ


猫耳蛇娘 の攻撃!
猫耳蛇娘 の攻撃!
母性巫女 の お母さんチョップ攻撃!
猫耳蛇娘 の HP が 1 になった!


猫耳蛇娘 「うぴゅっ……!」

猫耳蛇娘 「い、いきなし何すんじゃい!」


母性巫女 「食事中に食事中の人を攻撃しちゃいけませんっ」


猫耳蛇娘 「うにゃっ……」


母性巫女 の しかりつける攻撃Lv.1!
猫耳蛇娘 は魔法を封じられた!




猫耳蛇娘 「こ、この乳年増!」

猫耳蛇娘 「ワシはこの城の主のお客さんなんじゃぞ。お友だち(仮)なんじゃぞ」

猫耳蛇娘 「もっと丁寧に扱わんか!」


母性巫女 「そんなの関係ありませんっ」

母性巫女 「ちゃんと座ってください。それと、お話するときは口の中のものをなくしてからですよ」


波魔法少女? 「はいはい」

波魔法少女? 「なんとも、童心にかえる心地だね」


猫耳蛇娘 「ぐっぬぅ……しもべの分際で偉そうに……」


ドサ




カチャ カチャ


波魔法少女? 「モグモグ……」


猫耳蛇娘 「何じゃい何じゃい、偉そうに。だいたい、自分なんて大世界の常識も知らん田舎者の小娘じゃろうが……」


ブツブツ


猫耳蛇娘 「テーブルに乗りそうな行儀の悪い乳をしたデカ乳お化けめ……」

猫耳蛇娘 「いつかそこに詰まった魔力を、デザートがわりにジュルジュル吸い尽くしちゃるから覚悟しとけよ……」


母性巫女 「ジュース、いかがですか」


猫耳蛇娘 「ひっ」

猫耳蛇娘 「わ、わーい、オレンジジュースが欲しいのう!」


カチャ カチャ


波魔法少女? 「……うん、おいしい」

波魔法少女? 「他の世界の人にはもちろん、人型の魔物にもじゅうぶん通用するんじゃないかな」


母性巫女 「ありがとうございます」


波魔法少女? 「人型以外の魔物のための、味付けを覚えてみると良いだろう」

波魔法少女? 「魔王の城で働くなら、きっと必要になってくるだろうからね」


母性巫女 「……そうですか」




波魔法少女? 「こうなってから興味の幅がひろがってね。毒味役なら手伝うよ」

波魔法少女? 「何せ、これからこの城で厄介になる身だからね」

波魔法少女? 「フフン」



猫耳蛇娘 「のうのう、ジュースも良いんじゃがー」

猫耳蛇娘 「ワシぃ、やっぱりお酒が飲みたいのう……」

猫耳蛇娘 「ここにお酒があるの、ちらっと見ちゃってのー」


母性巫女 「まあ。お酒はもう少し大きくなってからですよ」


猫耳蛇娘 「おいおい。猫耳蛇娘ちゃんは、四百年くらい前からお酒を飲めるお年頃なんじゃぞ」


母性巫女 「ええーっ……」


猫耳蛇娘 「本当じゃぞ」

猫耳蛇娘 「なー、良いじゃろぉ。お酒、飲みたいのじゃあー」


母性巫女 「うーん、でも朝からお酒は……」


猫耳蛇娘 「じゃあ、夜。夜なら良い?」

猫耳蛇娘 「なー、なー、ごろにゃんごろにゃん」


スリスリ


母性巫女 「……うふふ、もう、くすぐったいですよ」

母性巫女 「分かりました、分かりましたから……」


猫耳蛇娘 「わーい」


キャッキャッ ウフフ



波魔法少女? 「……まあ、良いけどね」





猫耳蛇娘 「で、何じゃいおぬし。この城で悪巧みする気か」


波魔法少女? 「おや、聞いていたのか」

波魔法少女? 「何もしないよ」

波魔法少女? 「ごろごろしたり、幼女魔王Nのにおいをかいだりするだけさ」


猫耳蛇娘 「それは駄目じゃ」


波魔法少女? 「何故」


猫耳蛇娘 「この城にはワシがおるからじゃ。少なくとも三日、いや七日かの」

猫耳蛇娘 「ワシはおぬしと同じ世界にいたくない。そして、ワシは今この世界に必要じゃ」


波魔法少女? 「なるほど。言いたいことは分かった」

波魔法少女? 「じゃあ、それ以外の日にいよう」

波魔法少女? 「何とかギルドのメス猫気取りは心が狭いようだ」


猫耳蛇娘 「この、ふざけ……っ」


ガタッ


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「……コホン」


ストン


猫耳蛇娘 「ふざけるでない、界駆の」





波魔法少女? 「界駆、界架、そして君たちのギルドの三すくみも歴史がかってきた」

波魔法少女? 「だから気持ちは分かるが、まあ仲良くしようじゃないか」


母性巫女 (三すくみ……)


猫耳蛇娘 「すべてはそっちの身から出た錆じゃろうが」


波魔法少女? 「つまり彼女らのギルドがなければ」

波魔法少女? 「界架も君たちのギルドも存在しなかったというわけだ」

波魔法少女? 「そして彼女らは言うだろう」

波魔法少女? 「魔物さえ存在しなければ、自分たちは存在する必要はなかった、と」


猫耳蛇娘 「…………」


波魔法少女? 「理由さえつけば、自分の行いのほとんどが許され、どころか、崇高なものになる」

波魔法少女? 「責任をj自分以外のところに置ける」

波魔法少女? 「それが錯覚であったとしても、安心できる。迷い悩まなくてすむ」


猫耳蛇娘 「はんっ。やはりおぬしは界駆じゃな」

猫耳蛇娘 「その見下した言い方。傲慢さがにじみ出ておる」


波魔法少女? 「見下してなんかいないさ。少し距離をとって見ただけだ」

波魔法少女? 「ボクも君たちと同じ、思い悩む塵だ」




波魔法少女

>>472 ミスごめんなさい



母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「魔物を殺しつくすために数多の世界を駆ける界駆魔法少女ギルド」

波魔法少女? 「その迷いから生まれたともいうべき界架魔法少女ギルド」

波魔法少女? 「魔物を殺しつくす者たちを殺しつくすために世界の陰にひそむ第三の、いわば裏魔法少女ギルド」


猫耳蛇娘 「魔物を守っとるだけじゃ。きわめて攻撃的にな」

猫耳蛇娘 「カウンターじゃ」


波魔法少女? 「そうかい、ごめんよ」

波魔法少女? 「まあ、とにかく。そういったボクたちのしがらみを、この平和な小さい世界に持ち込むのはやめようと言いたいのさ」

波魔法少女? 「迷惑になるよ。ねえ?」


母性巫女 「え?」

母性巫女 「ええ、はい、はい、ええ、そうですね」

母性巫女 「みんな早く食べてしまいましょうね。のんびりしていたらお昼になってしまいますよ」


波魔法少女?・猫耳蛇娘 (あんまり聞いてないな)




波魔法少女? 「しかし、そうさ。さあ、ともに食事を楽しもうじゃないか」


猫耳蛇娘 「ワシはもうすでに食べ終わっておる。そろそろ仕事にかからねばの」

猫耳蛇娘 「おぬしもさっさと食ってさっさと出て行け」


波魔法少女? 「やれやれ、頑なだね」

波魔法少女? 「過去を洗い流せないと腐ってにおうよ」


猫耳蛇娘 「…………っ」

猫耳蛇娘 「……何が仲良くしよう、じゃ。クズどもが」

猫耳蛇娘 「しかもここに厄介になる……住み着くじゃと……?」

猫耳蛇娘 「ええい、やっぱり腹がたつ!!」


ガタッ


母性巫女 「耳蛇さん」


猫耳蛇娘 「黙っとれ! 人の事情を何も知らん小娘が、偉ぶって人を躾けようとするな!」

猫耳蛇娘 「こやつらが魔物に対して行った非道の数々。それは決して許せるものではない」
 

波魔法少女? 「ふむ……たしかに」

波魔法少女?「ボクも、実際にその非道のいくつかに関わったおぼえがあるね」





猫耳蛇娘 「あのピンクもかつて何をされたか」

猫耳蛇娘 「まだ幼い身で、あんな過酷な……!」

猫耳蛇娘 「涼しい顔でよく顔を出せたもんじゃ!」


波魔法少女? 「何か知っているようだね。はて、ギルドに所属していたころ、あの子に酷いことをしたことはないな」

波魔法少女? 「人型の魔物を苗床にした兵士の生産は試みていたけれど」

波魔法少女? 「むしろあの子がきっかけで、かつてのボクの人生ごと潰されてしまった気もするし」


母性巫女 「苗床……」


波魔法少女? 「……まあ、対魔物の研究塔の全貌をボクは把握できていない」

波魔法少女? 「魔物の血が混じっていれば、どんな年頃だろうが実験につかっていただろう」

波魔法少女? 「もしかしたら、何百年も生きた化け猫の娘もね」


猫耳蛇娘 「貴様……!」


波魔法少女? 「……何年前だったか」

波魔法少女? 「どこかの界駆の研究室が何者かに壊滅させられたっけ」

波魔法少女? 「犯人の一人は黒い髪を二つに結んでいて黒外套姿で赤い目で性別は女である謎だらけの人物だそうだが」

波魔法少女? 「それと関係があるのかな」

波魔法少女? 「まあ、過ぎたことさ。忘れて握手をしようじゃないか」


猫耳蛇娘 「ふざけるな!」




波魔法少女? 「だから、ボクはもう関係ないんだよ」

波魔法少女? 「それにさ、魔法少女魔法少女って、こだわるのも良くないと思うよ。世の中の出来事は魔法少女だけじゃないんだ」

波魔法少女? 「なのにちまちま恨みつらみ……小さすぎるよ」


猫耳蛇娘 「そこになおれ! ぶっ殺しちゃる!」


母性巫女 「耳蛇さん」


猫耳蛇娘 「うるちゃい! こいつムカつくん蛇!」


猫耳蛇娘 の 魔法攻撃!
しかし 魔法を封じられている!


猫耳蛇娘 「にゃ~~~!!」


ダムダムダムダム


波魔法少女? 「分かった分かった。じゃあ、君たちのギルドの得になりそうなことを教えてあげよう」




猫耳蛇娘 「信用できっかい。どうせデマじゃろ」


波魔法少女? 「おやおや、ひどいな」

波魔法少女? 「では、この世界の役に立つことはどうかな」

波魔法少女? 「魔王が治める世界に加担するなんて、界駆の人間じゃ絶対にやらないだろう?」


猫耳蛇娘 「ふざけるな。お断りじゃ」


波魔法少女? 「君が決めるのかい。ここの住人じゃないのに」


猫耳蛇娘 「……いちいちむかつくのー」

猫耳蛇娘 「おい。がつんと言うてやれ」


母性巫女 「え」

母性巫女 「そうですね……」

母性巫女 「じゃあ、聞くだけなら……」


波魔法少女? 「……とのことさ」


猫耳蛇娘 「けっ」




新しい住人 が増えた!
植物の種類 が増えた!
魚を釣れるようになった!
幼女魔王Nの城 をLv.10まで強化できるようになった!


ハーブの種 を手に入れた!
魔法少女食堂のレシピ を手に入れた!
衣装「波魔法少女の服」 を手に入れた!
小型越境船(中古) を手に入れた!

施設「魔物牧場」 を設置できるようになった!
施設「錬金工房」 を設置できるようになった!
施設「魔法図書館」 を設置できるようになった!
図書館 に 魔法の本棚を設置できるようになった!

界境の淀み に新しい階層が追加された!
交差波動迷宮の座標 を手に入れた!



波魔法少女? 「……とまあ、こんな感じかな」


母性巫女 「ありがとうございます。こんなに……」


波魔法少女? 「厄介になるのだから、当然のことさ」


母性巫女 「でも、あの子は良いと言うかどうか」

母性巫女 「人見知りなところもあるから……」


波魔法少女? 「大丈夫。ボクは基本的にいるだけか、淀みにこもっている」

波魔法少女? 「この小さな世界の守護精霊のひとつとでも思ってくれ」

波魔法少女? 「おいしいご飯をいただけると、うれしいけどね」


母性巫女 「は、はあ……」

母性巫女 (何が何だか分からない)




猫耳蛇娘 「…………」


波魔法少女? 「祭壇を設置すると、精霊を呼び出すことができる」

波魔法少女? 「統治する世界や施設に守護精霊を設定しておくと、精霊ごとの恩恵を受けられるよ」

波魔法少女? 「例えばボクの場合、魔物牧場に置けば苗床の出産ペースが上がる」

波魔法少女? 「世界そのものに置けば、魔法防御力が上がる」

波魔法少女? 「他にも効果のある場所があるから、試してみてくれ」

波魔法少女? 「悪影響が出ることもあるから、そこもやはり試しておぼえていくことだ」


母性巫女 「はい。あの、精霊というのは……」


ペチャ クチャ


猫耳蛇娘 「……ぐぬぬ」

猫耳蛇娘 (まずいぞ。このままではワシの立場が低くなる)

猫耳蛇娘 (何か良い手は……そうじゃ! あの手を使おう)




波魔法少女? 「祭壇に供えるアイテムによって、呼び出せる精霊は変化する」

波魔法少女? 「アイテムの入手は、工房か錬金工房でつくるのが基本だね」

波魔法少女? 「あとは、ダンジョンとか、大昔の祭壇跡地とか、それっぽいところに落ちていたりするよ」


母性巫女 「なるほど……」


猫耳蛇娘 「待てい!」


ダムン


母性巫女 「耳蛇さん。食卓に乗っちゃ駄目ですよ」


猫耳蛇娘 「はーいなのじゃ」


ズルズル ストン


猫耳蛇娘 「……じゃ、のーて!」

猫耳蛇娘 「そこのクズギルドの奴にでかい顔されるのは我慢ならん」

猫耳蛇娘 「ワシもお役に立ってやるっちゅーんじゃ!」


ダムダムダム


母性巫女 「食卓をそんなに叩かないでください。食器で怪我をしますよ」




猫耳蛇娘 「はんっ。お母さんキャラぶっていられんのも今のうちじゃい」

猫耳蛇娘 「ワシの役に立ちっぷりを知ったら、土下座してワシを称える歌を百晩歌わずにはいられんくなるぞう」

猫耳蛇娘 「……ええか。どんなにやりかたを知っても、実行できなくては意味がない」

猫耳蛇娘 「実行するために必要な力。そう……」

猫耳蛇娘 「ワシがおぬしに授けるのはこれじゃあ!」


ジャラララララ


幼女魔王Nの全財産の四分の一


猫耳蛇娘 「金じゃ!」

猫耳蛇娘 「金さえあれば何でもできる」

猫耳蛇娘 「うわははは、これでワシの評価もうなぎのぼりじゃあ!」

猫耳蛇娘 「ほーれ、称えよ称えよ!」


母性巫女 「食卓にお金をばら撒くなんてお行儀が悪いですよ」


猫耳蛇娘 「ぬがああ!」




幼女魔王Nの全財産の四分の一 を手に入れた!
猫耳蛇娘の財布(中身入り) を手に入れた!



母性巫女 (どうしよう)

母性巫女 (故郷にいた頃からお金のことはよく分からなかったけれど)

母性巫女 (これは、さすがに多すぎる気がする)


猫耳蛇娘 「どうじゃ、クソ魔法少女。これでここではワシの方が偉いー!」


波魔法少女? 「いや、あいこだね。お金じゃ買えないものもあるんだよ」

波魔法少女? 「……知っているだけじゃ意味ないし、お金だけでも意味がない」

波魔法少女? 「期せずして、我々はこの世界のために、半分ずつ力を出し合うことになった。喜ばしいことだ」

波魔法少女? 「ボクを未だ界駆の一員と見るならそれは仕方ないとして、ではここを中立地帯としよう」

波魔法少女? 「手をとりあい、仲良く暮らそうじゃないか」


猫耳蛇娘 「けっ……」

猫耳蛇娘 「じゃが、南東第六中せ界域の人型魔族の大量虐殺、魔物の強制去勢・避妊運動」

猫耳蛇娘 「下衆の極みとも言える所業を繰り返しながら正義を標榜する貴様らを」

猫耳蛇娘 「ワシらが許すと思わんことじゃ」


波魔法少女? 「やれやれ……。短いボクの生涯、割り切れないものはそれなりに背負ってきたが」

波魔法少女? 「君を見ていると、長生きは重たく不自由なもののようだね」


猫耳蛇娘 「何を言っとるのか全然わからん」


母性巫女 (……土下座で百晩歌えって、本気で言っていたのかしら)




…………


幼女魔王Nの城

野原 飛行船乗り場



魔動画 『ジジッ……最近……接近の……ことで、再び東界域の……』

魔動画 『……同盟は……事態を重く………ザッ、ザザー』

魔動画 『ピー』

魔動画 『ガーーーー』


……カチャ カチャ


猫耳蛇娘 「うーぬ……」


母性巫女 「どうでしょうか」


猫耳蛇娘 「いかん、まったく動かん」

猫耳蛇娘 「おい、クソ波。壊れとるんじゃないか、この小型飛行船」


波魔法少女? 「そんなはずは無いんだけどね」

波魔法少女? 「第三大世界と未確認の大世界の接近で、空気がおかしくなっているんだよ」

波魔法少女? 「とくにこの界域は、もろに巻き込まれるところだろ」


猫耳蛇娘 「ふーむ」

猫耳蛇娘 「にゃははっ、何じゃい、役立たずめが」


母性巫女 「もう、耳蛇さん」


波魔法少女? 「はいはい」

波魔法少女? 「じゃあ、ボクは森の川へ行くよ」

波魔法少女? 「おいしい魚を釣ってみせるさ」


ザ ザ ザ



カチャ カチャ


猫耳蛇娘 「……ワシ、あいつのこと認めたわけじゃないんじゃからな」


母性巫女 「はいはい」


猫耳蛇娘 「のらりくらりしつこいから、大人の対応をしてやっただけなんじゃからな」


母性巫女 「我慢、頑張りましたね」


猫耳蛇娘 「…………」


カチャ カチャ カチャ


猫耳蛇娘 「………くぬーーーッ」

猫耳蛇娘 「おぬしは知らんから、おぬしは奴らの駄目さを知らんから……!」


母性巫女 「そうですね。ごめんなさい」


猫耳蛇娘 「………うーーー!」


カチャカチャカチャ


母性巫女 「ちょ、ちょっと、乱暴にして大丈夫なんですか」




猫耳蛇娘 「おっかしいのう。魔法で動くタイプはだいたいこの辺いじれば直るんじゃけどのー」


カチャ カチャ


母性巫女 「あきらめた方が良いんじゃないですか」

母性巫女 「あの空のあそこの隣の世界? ……に、渡る……? 方法も、他にあるんでしょう」


猫耳蛇娘 「あー、おぬしは知らんから」

猫耳蛇娘 「飛行船でふわふわと、七つの空を飛び回るあの気持ちよさを、おぬしは知らんから」

猫耳蛇娘 「アイテムつかってポイッと穴に飛び込むのとは、わけが違うんじゃよ」


母性巫女 「そ、そうですか」


猫耳蛇娘 「……うーむ。しかし仕事もせにゃならんしのー」

猫耳蛇娘 「しゃあない。あきらめるか」

猫耳蛇娘 「仕事にかかるぞう」


ピョン トス


母性巫女 「隣の世界? ……の街へ行かなくて良いんですか?」

母性巫女 「仕事に必要なものを買い忘れたって……」


猫耳蛇娘 「にゃー……うん……」

猫耳蛇娘 「あ、あっれー!? そういや、忘れ物なかったかも!!」

猫耳蛇娘 「いやー、うっかりじゃのー!」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「じゃあ、仕事にかかるぞう。夜ご飯とお酒、よろしくのう!」


母性巫女 「は、はい」


猫耳蛇娘 「にゃっはっはっはっは……!!」


ザ ザ ザ ザ ザ


母性巫女 「…………」


小型越境船(中古)


母性巫女 「……乗りたかっただけ?」





…………


幼女魔王Nの城

幼女魔王Nの部屋



キイ ガチョ

テク テク テク



母性巫女 「……N」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (まだ起きない。丸一日どころじゃなく寝たまま……)


幼女魔王N 「……うぅ……スゥ」


母性巫女 (不安そうな寝顔。寂しそう)

母性巫女 (頭をなでると安心していたけれど……)


ソロリ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………ッ」

母性巫女 (駄目だわ。怖い)

母性巫女 (抱えて運ぶことはできたのに……)




幼女魔王N 「…………」


母性巫女 (この子に故郷と仲間、命まで奪われた……)

母性巫女 (奪われたのに……)


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 (この子を見ていると穏やかな気持ちになってしまう)

母性巫女 (……しもべにされてしまったから、かしら)


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 (……こんなに幼くて弱々しい、孤独な子だもの)

母性巫女 (間違いだって起こしてしまうわよね)


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 (でも……私が育った故郷の森、騎士団)

母性巫女 (魔王の軍勢との戦いの旅でお世話になった人)

母性巫女 (この子のしたことを受け入れてしまうと、今までの色んなものを裏切ってしまう)

母性巫女 (いろいろな大事なものを、捨ててしまう気がする)





幼女魔王N 「………ムニャ」

幼女魔王N 「母性巫女……」


母性巫女 「!!」


幼女魔王N 「……どこォ……母性巫女……ムニャ」


母性巫女 「…………ッ」

母性巫女 (怖い)

母性巫女 (この子が目をさましたら、私はどうすれば良いの……)


幼女魔王N 「……チュム……チュパ……」


母性巫女 「…………」





…………





ホー ホー

キン カチャ モキュ モキュ


波魔法少女? 「……おかわり」


母性巫女 「はい」


波魔法少女? 「いやあ、おいしいものだね。ボクが釣ってきて母性巫女が調理した魚は」


母性巫女 「そうですね。おいしい魚、ありがとうございます」


波魔法少女? 「いやいや……おや、耳蛇は魚を食べないのかい」

波魔法少女? 「その猫耳は飾りかな?」


猫耳蛇娘 「貴様が耳蛇って言うな」

猫耳蛇娘 「ヘンッ、何じゃいこんな魚。ワシなんかオムツつけとるときに獲りまくっとったわい」


波魔法少女? 「君が子供のころにオムツなんてあったんだ」


猫耳蛇娘 「きぃーーーッ」




猫耳蛇娘 「あったまきた。こうなったら酒じゃ」

猫耳蛇娘 「母性巫女、酒じゃ、酒をもってまいれい!」


母性巫女 「もう飲んだでしょう」


猫耳蛇娘 「ワシは仕事を頑張ったんじゃぞ!?」

猫耳蛇娘 「川に糸を垂らしたり、森の動物たちの交尾を見とった奴とは大違いなんじゃぞ!?」

猫耳蛇娘 「世界を守る大事業じゃぞ!?」


波魔法少女? 「見ていなかったし、見飽きているよ」


母性巫女 「お疲れ様です。ありがとうございます」

母性巫女 「でも、だからって、飲みすぎは駄目ですよ」



猫耳蛇娘 「んーん、ちょっとだけじゃからぁ……ごろにゃんごろにゃん」


母性巫女 「……ッ」


キュン


母性巫女 「も、もう、そんなに可愛くしたって駄目です」


波魔法少女? 「精神老婆が無理するもんじゃないよ」

波魔法少女? 「あわれだよ。物悲しいよ」


猫耳蛇娘 「うっさいわい!」




波魔法少女? 「仕事の方だけど、結界はうまくいきそうかい」


猫耳蛇娘 「おぬしには関係なかろ」


波魔法少女? 「あるよ。ボクはここの住人なのだから」

波魔法少女? 「森小人の庭のように小さいとはいえ、世界を丸々一つ覆うほどのものだ」

波魔法少女? 「空気中の魔法がざわついている今、簡単ではないと思うがね」


猫耳蛇娘 「想定内じゃ」


波魔法少女? 「良かったら手伝うよ。専門外だけれど、魔力の提供くらいならしてあげよう」

波魔法少女? 「積極的に何かに加担するのはひかえたいが、まあ許容範囲内だろう」


猫耳蛇娘 「けっ、敵の手なんか借りるかい。どんな罠を仕込まれるか分かったもんじゃない」


波魔法少女?「そうやって意地をはって失敗するのは、もはや様式美ですらあるよ」


猫耳蛇娘 「くぬーーっ、爆殺しちゃいたいのうこやつ……!」


母性巫女 「手をとめてまで喧嘩しないでください」


波魔法少女? 「はいはい」


猫耳蛇娘 「けっ。けっ」


カチャ カチャ



※おまけ


http://i.imgur.com/t21vcZG.jpg


好きなお酒はもちろんハブ酒





波魔法少女? 「モグモグ……魔王さまは今日も起きてこないのかい」


母性巫女 「……え」

母性巫女 「あ、ああ、Nですね」


波魔法少女? 「何とも寂しいね」

波魔法少女? 「主のいない料理が並んだテーブルというものは」



朝ごはん(幼女魔王N専用)
  ……消費アイテム。隠し味の愛情でHP全回復。
     長く使わずにいると愛ごと腐る。



母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「主のいないしもべは、どうなのかな」

波魔法少女? 「寂しいんだろうか。それとも、羽を伸ばせるといったところかな」


母性巫女 「……え」


波魔法少女? 「…………」

波魔法少女? 「何日だっけ? 君も朝に夕に……よく作るものだ」

波魔法少女? 「はやく彼女には起きてきてほしいものだね」





母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「……? そうでもないのかな」


母性巫女 「い、いえ」

母性巫女 (たしかに、怖いけれど……)


波魔法少女? 「だろうね。でないと、起きて欲しくないのに……というか」

波魔法少女? 「食べて欲しくないのに、頑張って料理を作っていることになるもの」


母性巫女 「……そう。そうですね」


猫耳蛇娘 「……はぁ~あ! やじゃの、やじゃのう」


波魔法少女? 「どうしたんだい、大きくため息なんかついて」

波魔法少女? 「寄る年波に絶望して死にたくなったのかい?」


猫耳蛇娘 「ちゃうわい!」




猫耳蛇娘 「界駆の者は食事中にペチャクチャと喋りおって、品がないんじゃのう」

猫耳蛇娘 「いったいどんな教育を受けてきたのかのー。にゃっかかか」


波魔法少女? 「君に言われたくはないね」


猫耳蛇娘 「ワシなんて、礼儀作法は牙がはえんうちから……」

猫耳蛇娘 「はぅあ!?」


ガタッ


母性巫女 「!?」

母性巫女 「どうしたんですか、いきなり立ち上がって」


猫耳蛇娘 「は、はやく! はやく魔動画をつけるのじゃ」

猫耳蛇娘 「スーパーヒロイン戦隊が始まってしまう! もう始まっとるかもしれん!」


母性巫女 「スーパー……?」

母性巫女 (そういえば、Nもそういうのを見ていたような……)


猫耳蛇娘 「はやく! はやくぅ!」


ガタガタ


母性巫女 「ちょ、ちょっと、食事中にテーブルをガチャガチャしちゃ駄目ですよ」


波魔法少女? 「品が無いなあ。自分でつけたら良いじゃないか」





テク テク テク

カチ 


魔動画 『ザザー……ピッ……ガガガー』

魔動画 『ザザザザザーー』


猫耳蛇娘 「……にゃ?」

猫耳蛇娘 「に゛ゃっ……!?」


母性巫女 「ああ、やっぱり」


波魔法少女? 「ほとんどどころか、まったく映らなくなったね」


母性巫女 「壊れてしまったんでしょうか。こういう道具はよく分からなくて……」


波魔法少女? 「壊れてはいないと思うよ」

波魔法少女? 「というか、この城、ボロボロのわりにこういう類のものは最新だね」

波魔法少女? 「最新魔法ゲーム器も転がっていたし」


猫耳蛇娘 「う、嘘じゃろ……こんな……」

猫耳蛇娘 「ワシの最大の楽しみのひとつが……」


母性巫女 「仕方ありません。食事に戻りましょう」


猫耳蛇娘 「ふにゃ……」





カチャ カチャ



母性巫女 「大きな世界が衝突……」


波魔法少女? 「いやあ、小さな世界同士の衝突はたびたび観測されてきたが」

波魔法少女? 「大きな世界となると、滅多に無い。伝説の域さ」

波魔法少女? 「いつ以来かな。銀河の腕図書館の記録では、数十億年前に観測されたらしいけれど」


猫耳蛇娘 「ふにゃ……」


母性巫女 「はあ……よく分からないけれど、すごいんですね」


波魔法少女? 「すごいよ。家を大きな世界、家具を小さな世界とするなら」

波魔法少女? 「家同士がぶつかり合うようなものさ」


母性巫女 「……へええ」

母性巫女 (分からない……)




波魔法少女? 「大きな世界を閉じた町としたら、小さな世界は町に住んでいる人々だ」

波魔法少女? 「大きな世界を一人の人とするなら、小さな世界は細胞……」

波魔法少女? 「とらえかたしだいだね」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「とにかく、このお城のある場所と、どこかがぶつかるんですね」


波魔法少女? 「いや……まあ、うん、そうかもね」

波魔法少女? 「それで空気中の魔法の力が乱れて」

波魔法少女? 「飛行船やら魔動画やら、魔法のアイテムが狂っちゃってるのさ」

波魔法少女? 「そして、このあたりは特に乱れがひどい」


母性巫女 (分からない)

母性巫女 「ぶつかり合うなら、ここは危なくはないんでしょうか」


波魔法少女? 「いろいろな意見はあるが、とりあえず、危なくはないだろう」


母性巫女 「とりあえず……」


猫耳蛇娘 「ふにゃ……」


波魔法少女? 「それについてのボクの研究成果を、そこの耳蛇のお仲間に奪われちゃったから」

波魔法少女? 「詳しくは説明できないが」

波魔法少女? 「隕石が城に直撃する、とか、火の玉が野を焼き尽くす、とか、そういうことは起きない」

波魔法少女? 「しかし、大きな変化はあるだろう」




母性巫女 「はあ……」


波魔法少女? 「ほら、違う色の絵の具同士を混ぜたら、違う色になるだろう」


母性巫女 「はい」


波魔法少女? 「そういうものさ」


母性巫女 「な、なるほど……」


波魔法少女? 「だが、君は、二つの卵を一つの卵にすることはできるかい?」

波魔法少女? 「殻に傷ひとつつけず、綺麗なままで」


母性巫女 「できないと思いますけど……」


波魔法少女? 「ボクもできないと思っている」

波魔法少女? 「ただ、今回は限りなく近いことが起きると考えている」


母性巫女 「はあ……」


波魔法少女? 「一見ぶつかり合い音をたてて壊れてしまいそうなもの同士が」

波魔法少女? 「絵の具のように静かに混ざり合うのさ」




母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「しかし、ボクはすべてのものには殻が存在すると思う。卵にも、水にも、精神にも」

波魔法少女? 「殻とはつまり、そのものとそれ以外のものの境目だ」

波魔法少女? 「だから、絵の具が混ざり合うのも、卵がぶつかり合うのも」

波魔法少女? 「我々には違うように見えて、本当は同じ種類のことなのかもしれない」

波魔法少女? 「赤と青の絵の具が混ざり合うとき、じつは卵の殻が割れるように」

波魔法少女? 「赤の殻と青の殻が割れているのかもしれない」


母性巫女 「あの……」


波魔法少女? 「いや、殻は本当に割れているのか?」

波魔法少女? 「混ざり合ってできたひとつの色も、我々にそう見えているだけで」

波魔法少女? 「実際には、もとの色はいまだそれぞれ殻におおわれたままじゃないのか」

波魔法少女? 「卵はたしかに卵だが、卵の殻とその中身は、まったく違うものではないのか」

波魔法少女? 「ならば、私は多くの殻を見過ごしているのではないのか」

波魔法少女? 「人の目は完璧じゃない。この世にあるもののほとんどが見えていないのだから」





波魔法少女? 「一つとは何か。一つのものに見えても、さらにそれをいくつかに分けることができた」


サク


波魔法少女? 「……ボクが今フォークで突き刺した一粒の豆も、あとどれくらいのものに分けられるのだろうか」

波魔法少女? 「なにせ、ひとつの大きな世界は、無数の小さな世界や人に分けられる」


母性巫女 「あの、波さん」


波魔法少女? 「最小の一つのものを見つけ出せば、そしてその殻を自在にできたら」

波魔法少女? 「それはつまりすべての物事を自由にできるということではないか」

波魔法少女? 「最小を統べることこそ、造物主や神のおわす完全な領域へ至る道なのではないか」


母性巫女 「波さん」


波魔法少女? 「最小の一つは見つけたと思った。少なくとも何かしらの殻を限りなく薄く、やわらかくすることはできた」

波魔法少女? 「迷宮の重ね合わせ……ひとつの場所に二つの迷宮を存在させた」

波魔法少女? 「しかし、完全ではなかった。私はそれを一つのものとして見ることができなかった」

波魔法少女? 「いや、本当に殻を割ることはどういうことか、私はどこかで気づいていたから……」


母性巫女 「波さん」


波魔法少女? 「……ああ、母性巫女」

波魔法少女? 「やはり」


パク


波魔法少女? 「豆は豆として食べるのが良いね」


母性巫女 「……は、はあ?」





母性巫女 (自分の殻に閉じこもるタイプなのかしら)

母性巫女 「考え事も良いですけど、ちゃんとご飯は食べましょうね」


波魔法少女? 「新鮮だね。姉にも言われなかった」


猫耳蛇娘 「ふにゃ……」


母性巫女 「耳蛇さんも」


猫耳蛇娘 「ふにゃ……」


母性巫女 (腑抜けになってる……)

母性巫女 「マンガが見られなかったからって、いつまでもしょんぼりしていないで」

母性巫女 「ご飯、食べてください」


猫耳蛇娘 「……マンガじゃない」


母性巫女 「?」


猫耳蛇娘 「マンガでもアニメでもない! スーパーヒロイン戦隊じゃ!」

猫耳蛇娘 「分からんから! お母さん脳はそういうのが分からんから!」


母性巫女 (分からない……)




母性巫女 「また見たら良いじゃないですか」


猫耳蛇娘 「もうないの! 今日という日のこの時間に得られる感動は、もうないの!」


母性巫女 「ええー……」


猫耳蛇娘 「あー、もうワシ、キレた。やる気なくした。どうでも良い」

猫耳蛇娘 「あーこれ、出るぞ。ワシの蛇の部分、出ちゃうぞ」

猫耳蛇娘 「猫耳とっちゃうぞ」


母性巫女 「とれるんですか、その耳」


波魔法少女? 「ろくでもないババアだね、この幼女は」





カチャ カチャ


猫耳蛇娘 「ブツブツ、ゴニョゴニョ……」


波魔法少女? 「……つまり、いま起きている異変は」

波魔法少女? 「大きな世界の殻がこすれあっている状態だと考えて良いと思うよ」


母性巫女 「そうですか……」


猫耳蛇娘 「うっさい波ナントカ、黙れ、ハゲ、ハーゲ」


波魔法少女? 「まったく頭に来ない。つまりボクはハゲていない」


母性巫女 「耳蛇さん、機嫌なおしてください」

母性巫女 「食後にケーキあげますから」


猫耳蛇娘 「そんなもんでワシの壊れたハートはなおせんわい」

猫耳蛇娘 「あー、寒い。心が寒い。世のなか寒いのー」


波魔法少女? 「寒いのはパンツをはいていないからだろう」


猫耳蛇娘 「うっさいハゲ。上も下もハゲ。ハゲ波」


波魔法少女? 「上はハゲていない。そこまで君と一緒にしないでほしいね」


猫耳蛇娘 「ワシだって上はハゲとらんわい!」


ピーチク パーチク


母性巫女 「もう、また二人とも……」

母性巫女 「……ん?」


ヒュルルルル


母性巫女 (何かが落ちてくる音がする)




幼女魔王Nの城 門前



ギイイ タタタ


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「……何だ、誰も来ていないじゃないか」


母性巫女 「……いえ、まだ、こちらに向かって落ちてきているというか」

母性巫女 「飛んでいるというか……でも、この音……」


猫耳蛇娘 「ワシ、何も聞こえんのじゃけど」

猫耳蛇娘 「何じゃい、お母さんぶりの次は不思議少女ぶりかい」


母性巫女 「耳蛇さん……」


波魔法少女? 「拗ねすぎて、ただの嫌な人になっている」

波魔法少女? 「……む?」


ヒュルルル

ド ドッ ドッ ド ド


??? 「………! ………!」


波魔法少女? 「……ああ、誰かが空から来るね」

波魔法少女? 「何かにしがみついているようだ」





??? 「…………! ゎーー……!」


ドルルル ド ド ドルルル

ヒュルルル


波魔法少女? 「あれは……高機動型の箒かな」

波魔法少女? 「魔力をあまり必要としないやつだ」


ド ド ド ド ド


猫耳蛇娘 「ほほーう、あの音。なかなか良い改造を施しておるな」


波魔法少女? 「乗りこなせてはいないようだ」

波魔法少女? 「箒に振り回されている」


母性巫女 「……あ」


ヒュルルルルル


??? 「うわあああああ」

箒少女 「ああああーーー!!」


ドスン


波魔法少女? 「森の方に落ちたね」


猫耳蛇娘 「まだまだじゃな」


母性巫女 「あわわわ……」





幼女魔王Nの世界 森の入口



モク モク モク

タ タ タ 


母性巫女 「だ、大丈夫かしら……」


猫耳蛇娘 「誰も受け止めようとせんかったとは」

猫耳蛇娘 「にゅかか、底が知れちゃったのう偽善者どもめ」


波魔法少女? 「おや……」


モク モク モク

ザ ザ ザ


??? 「いててて」

箒少女 「死ぬかと思った……!」


母性巫女 (いつかの配達の人だ……)






母性巫女 「あの……」


箒少女 「ゲホッ、ゲホッ……うん?」

箒少女 「……あー!」

箒少女 「あー! あー!」


猫耳蛇娘 「何じゃい、母性巫女を指さして喚き出して」


箒少女 「いやー、そうか、あんたんちだったのか!」

箒少女 「偶然墜落したのがここで良かったぜー」


母性巫女 「あの、大丈夫ですか?」


箒少女 「大丈夫も何も、死ぬかと思ったよ」

箒少女 「朝から箒の調子は悪かったんだけど」

箒少女 「この辺にきたらもう全然こっちの言うこと聞かなくてさあ」


壊れた箒

モク モク モク


波魔法少女? 「臭くて黒い煙を上げている。派手に壊したものだ」


箒少女 「……でもまあ、そんな状況でも」

箒少女 「乗り手を守る魔法は忘れないでいてくれたけどな」





壊れた箒


猫耳蛇娘 「しかし、ふーむ、この箒」

猫耳蛇娘 「やはり魔法のアイテムというより、かつて存在したという……」

猫耳蛇娘 「魔法を殺す悪魔とやらの話を思い出すのう」


波魔法少女? 「純粋な機械だね」

波魔法少女? 「殺すのは魔法だけではなく、世界に存在する物すべてだったと言われているけれど」

波魔法少女? 「君の生まれた時代にはなかったのかい」


猫耳蛇娘 「馬鹿を言うな。あったと言われとるのは億単位の昔じゃろ」

猫耳蛇娘 「それこそ神話とか伝説とかの類じゃ」


波魔法少女? 「確かに存在してはいたらしいんだけどね」

波魔法少女? 「古い層の世界で、たまに掘り起こされるという話だし」

波魔法少女? 「もしそうだとして、今ではもう動くことがないから、確かめようはないが」

波魔法少女? 「……少なくとも、これは違うと思うけど」


猫耳蛇娘 「そう言っとるじゃろ。まったく魔法なしで動くものなんて、存在せんじゃろうよ」


モク モク モク



母性巫女 「ああ、やっぱり怪我してる」


箒少女 「かすり傷さ」

箒少女 「それより、頼みがあるんだけど……」




箒少女 「箒があんなことになっちゃったし、ギルドに連絡したいんだ」

箒少女 「だけど、連絡用のアイテムも……」


ガサ ゴソ


壊れた宝玉のようなもの


母性巫女 「ひび割れてる」


箒少女 「これじゃあ使いもんにならねえ」

箒少女 「それで、修理するためにあんたんとこのアトリエを借りたいんだよ」




母性巫女 「アトリエ……」


波魔法少女? 「工房だね。北の方の界域では、芸術的な色の強い工房をアトリエと呼んでいたそうだが」

波魔法少女? 「今はそんなに関係ない」

波魔法少女? 「しかし、その連絡用アイテムは錬金工房でないと修理できないんじゃないかな」


箒少女 「ああ、そうさ」


猫耳蛇娘 「しかも、結構難度の高い代物」

猫耳蛇娘 「レベルの高い工房じゃないと無理じゃろ」


箒少女 「それは心配ないよ」


ガサ ゴソ


サラマンダーの火種
翡翠ガラスの羽
空の女神像の破片
浮遊大陸の土


箒少女 「材料なら持ってるから」




猫耳蛇娘 「こ、これは……そのままでも結構な高値で取引される素材ばかり」

猫耳蛇娘 「ぜんぶ売っちゃったらいくらになるじゃろうかの……ジュルリ」


箒少女 「こういうときのために、支給されているんだ」

箒少女 「これならレベル1のアトリエでも修理できるはずさ」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「施設にはレベルがある」

波魔法少女? 「工房の場合、レベルによって必要な素材が異なるアイテムもある」

波魔法少女? 「例えば美肌ローションをつくるなら」

波魔法少女? 「レベルが低いと、ピンクスライムの破片20と聖水、さらに希少な男のミルクが必要になるが」

波魔法少女? 「レベルが高いと、スライムの破片5と泥水で作れるようになる」


母性巫女 (男のミルク……)


波魔法少女? 「希少な素材を用意できたら」

波魔法少女? 「レベル1の工房でもすごいアイテムを作ることは可能ということだ」

波魔法少女? 「素材の無駄遣いになるし、作り手の腕も多少絡んでくるけどね」


母性巫女 「な、なるほど」




箒少女 「あんた、あの城で暮らしてんだろ」


母性巫女 「え……ええ」


箒少女 「まあ良いや。でさ、城の主にちょっと頼んでみてくんねえかなーって」


母性巫女 「アトリエ? ……を使わせてもらうことをですか」


箒少女 「そそそ。いや、オレってどうも偉い奴とか、格式ばった場所ってのが苦手で」

箒少女 「頼むよ。土下座したり箒の後ろに乗せる仲ってことでさ」


猫耳蛇娘 「土下座する仲って何じゃよ」


波魔法少女? 「箒の後ろに乗せる。つまり相手の目の前に背中を差し出すというのは、勇気がいる」

波魔法少女? 「それほどの仲ということだろう」


母性巫女 (そうだったのね。気軽そうに見えたけれど……)

母性巫女 「ええ、まあ、いえ……頼まれたいのは、そうですけど……」


箒少女 「相変わらず歯切れが悪いなあ」


猫耳蛇娘 「悪くもなるわな」


波魔法少女? 「多少、ややこしくはあるね」


箒少女 「?」




波魔法少女? 「第一に」

波魔法少女? 「いま、城の主に頼みごとはできない」


箒少女 「何だ。留守かよ」


母性巫女 「そういうわけでは無いんですけど……」


波魔法少女? 「第二に」


チラ


猫耳蛇娘 「……錬金工房がない。というか城の施設の大半が使い物にならん」

猫耳蛇娘 「驚くべきことにの」


箒少女 「マジかよ!?」

箒少女 「今日日、どの城でも錬金工房くらいはあるって聞いたぜ」


猫耳蛇娘 「おぬし、この世界をナメるなよ。っちゅーか、この城の主をナメるなよ」

猫耳蛇娘 「玉座にザリガニの抜け殻を置いとく方がまだマシなくらいの無能じゃぞ」


箒少女 「ははは、ザリガニって」


母性巫女 「そ、そうですよ、ザリガニの抜け殻はさすがに……」

母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「…………」

波魔法少女? 「ん、まあ……」


箒少女 「何で気まずいんだよ」








猫耳蛇娘 「おぬしも一日一緒におればすべて分かるじゃろうよ」

猫耳蛇娘 「……第三じゃ」


波魔法少女? 「たとえ修理できたとして」

波魔法少女? 「そのアイテムで本部と連絡がとれるか分からない」


箒少女 「どういうことだよ」


猫耳蛇娘 「いま、この辺に未知の大きな世界が接近していることは知っとるな」


箒少女 「あー、うん。このあたりの奴ら、最近そのことでやたら騒いでるもんな」

箒少女 「どの世界に配達に行っても、みんな妙にそわそわしててさ」

箒少女 「ハンコかサインくれって言ったら、ペンでハンコ押そうとしてきやがってこっちが突っ込む」

箒少女 「……みたいなやりとりが何度あったことか」


猫耳蛇娘 「そのせいで、この辺りの界域の魔力が乱れておるんじゃよ」


箒少女 「へえ? よく分かんねえけど、そうなのか」


猫耳蛇娘 「おぬし、魔女じゃろ。分からんっておかしいじゃろが」


箒少女 「魔女としては落ちこぼれだかんね、オレ」




母性巫女 (魔力が乱れる……精霊さまがざわついているのかと思ったけど、違うのね……)


波魔法少女? 「空気中の魔力、まあ魔法のもとになると言われているもの」

波魔法少女? 「何かのはずみでそれが乱れると、色々とおかしな現象が起きる」

波魔法少女? 「魔法が関わるアイテムなんかもそうだ」


母性巫女 「は、はい」


波魔法少女? 「例えば普通の回復の薬草が、どんな傷も状態異常もなおしたり」

波魔法少女? 「逆に、傷のなおりを悪くしたり、猛毒の効果を発揮したりする」


母性巫女 「なるほど……」


波魔法少女? 「まあ、普通はそこまで極端な変異は起きない。薬草ならせいぜい回復量の増減くらいさ」

波魔法少女? 「そして、そのくらいのわずかな魔力の乱れが生じている場所は、割と多い」


母性巫女 「そうなんですか」


波魔法少女? 「陸上か水中かで、火の魔法やアイテムの効果が変わるというのは想像しやすいだろう」


母性巫女 「たしかに……」


波魔法少女? 「旅をするなら、時間や場所の違いによる魔力の乱れに気をつけると良い」

波魔法少女? 「利用できたら、大きな助けになるだろう」


母性巫女 「はい」





箒少女 「二人は何をヒソヒソ話してんの?」


猫耳蛇娘 「ほれ、あの胸がバカでかい方の女がおるじゃろ?」

猫耳蛇娘 「胸に栄養を搾り取られてしまって、補佐なしでは絵本も読めないアホに育っちゃったんじゃよ……」


>>543 訂正ごめんなさい





母性巫女 (魔力が乱れる……森にいたころ、精霊さまがざわついたりする日があったけれど)

母性巫女 (似たようなものなのかしら)


波魔法少女? 「ここで言う魔力は。空気中の、まあ魔法のもとになると言われているもの」

波魔法少女? 「何かのはずみでそれが乱れると、色々とおかしな現象が起きる」

波魔法少女? 「魔法が関わるアイテムなんかもそうだ」


母性巫女 「は、はい」


波魔法少女? 「例えば普通の回復の薬草が、どんな傷も状態異常もなおしたり」

波魔法少女? 「逆に、傷のなおりを悪くしたり、猛毒の効果を発揮したりする」


母性巫女 「なるほど……」


波魔法少女? 「まあ、普通はそこまで極端な変異は起きない。薬草ならせいぜい回復量の増減くらいさ」

波魔法少女? 「だが、そのくらいのわずかな魔力の乱れが生じる場所は、割と多い」


母性巫女 「そうなんですか」


波魔法少女? 「陸上か水中かで、火の魔法やアイテムの効果が変わるというのは想像しやすいだろう」


母性巫女 「たしかに……」


波魔法少女? 「旅をするなら、時間や場所の違いによる魔力の乱れに気をつけると良い」

波魔法少女? 「利用できたら、大きな助けになるだろう」


母性巫女 「はい」





箒少女 「二人は何をヒソヒソ話してんの?」


猫耳蛇娘 「ほれ、あの胸がバカでかい方の女がおるじゃろ?」

猫耳蛇娘 「胸に栄養を搾り取られてしまって、補助なしでは絵本も読めないアホに育っちゃったんじゃよ……」




箒少女 「なるほど。胸のでかい女はみんな死ぬべきだもんな」


猫耳蛇娘 「うむ」


母性巫女 (怒った方が良いのかしら)


波魔法少女? 「……陸上に慣れている者からしたら水中が異常で逆もまたしかり」

波魔法少女? 「今回は未知の大きな世界の接近という超異常事態によって、魔力が大きく乱れている」


猫耳蛇娘 「魔法の越境飛行船や魔動画の不調は、そのせいと考えられておる」


箒少女 「オレの箒もそうなのかな」

箒少女 「朝から調子悪くて、それでもまあ問題なく飛べたんだけど」

箒少女 「このあたりに来たら急に言うこと聞かなくなってさ」


波魔法少女? 「おそらくね。このあたりは特にひどいようだから」


母性巫女 (しもべにされた私が自由に動けるのも、それが関係あるのかしら)


猫耳蛇娘 「魔法アイテムを使った他の世界との交信も、うまくいかんかもしれんっちゅうこっちゃ」


箒少女 「なるほどね」


猫耳蛇娘 「ワシの結界が完成すれば、マシにはなると思うんじゃが……」




箒少女 「参ったなあ。届けものがあるってのに」

箒少女 「ギルドとも連絡がとれないなんて」

箒少女 「……あれ。じゃあ、もしかしてオレ、この世界から出られなくなったんじゃねえか」


波魔法少女? 「ボクは単体で可能だけれど、人をつれていけない」


猫耳蛇娘 「ワシは人をつれて出られるが、目的地の座標が分からんとちょっと苦労するかもしれん」


母性巫女 (出られるんだ……)


猫耳蛇娘 「それで良かったら、格安で配達を手伝ってやるぞう?」


箒少女 「金とんのかよ」

箒少女 「いいや、配達は箒でやんなきゃ意味がねえ」

箒少女 「それがオレたちのギルドの……ポリシーだからな。へへ……」


猫耳蛇娘・波魔法少女? 「気持ち悪い」


箒少女 「お前らに言われたくねーよ」




母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「……おぬしも、行きたいところがあったら連れて行ってやろうか」

猫耳蛇娘 「たとえばおぬしの故郷の世界。ワシ、くわしく場所を知っとるかもしれんよ」


母性巫女 「!!」


波魔法少女? 「しかし、そうだね……そのアイテムを修理してみるのも良いかもしれない」


箒少女 「ここ、アトリエないんだろ?」


波魔法少女? 「無いが、設置することはできる」

波魔法少女? 「偶然ね」

波魔法少女? 「城は半分ほど潰れてしまっているが、それでも場所は空いている」

波魔法少女? 「掃除もよくされているし、設置に時間はかからないだろう」

波魔法少女? 「野外につくるとしても、仮設程度のものなら今日中にできるかもね」


箒少女 「まじで? でも建築ギルドへの連絡とかどうすんの」


猫耳蛇娘 「隣の世界にあるじゃろ。直接出向いて依頼すれば良い」


波魔法少女? 「そういうことさ」


母性巫女 「……ま、待ってください」




母性巫女 「あの、城の主人がいないのに勝手に話を進めるのは……」


箒少女 「あっ」


母性巫女 「ここに来て間もないころ、よく分からなくてギルドにお城の修理を依頼したんですが」

母性巫女 「あの子、追い返してしまったみたいで……」


猫耳蛇娘 「城がご覧の有様っちゅうことは、そういうこっちゃろうな」

猫耳蛇娘 「あやつにそれだけの度胸があるとは思えんが」


波魔法少女? 「いやいや、あれで爆発力はあるんだよ」

波魔法少女? 「死にかけのミミズのゲップくらいの爆発力が」


母性巫女 (怒ろう)




母性巫女 「あのっ」


波魔法少女? 「まあまあ、これは良い流れだよ」


母性巫女 「……流れ?」


波魔法少女? 「ボクが来て、錬金工房が設置できるようになってほどなくしての」

波魔法少女? 「今日のこの状況だ」


母性巫女 「はあ……」


波魔法少女? 「良いかい。例えるならこれは、ある村のごく普通の少年が、魔王を討伐しようと決心して旅立ったら」

波魔法少女? 「程よい値段で武器が手に入り、その武器で倒せる程度の、程よい経験値をくれる程よい強さのモンスターが生息する地帯だった」

波魔法少女? 「そしてやっぱり勇者の子孫だった」

波魔法少女? 「……くらいの幸運なんだよ」


母性巫女 (よく分からない)





母性巫女 「いえ、やっぱりあの子に話してから……」


波魔法少女? 「その必要はない。彼女が動けない今、この城の最高権力者は君だ」


母性巫女 「ええっ!?」


波魔法少女? 「そんなに驚くことでもない」


猫耳蛇娘 「住人が二人で、一人が倒れたらもう一人が頑張るしかなかろ?」


波魔法少女? 「それに、王が玉座を温めているだけで、実際にその力を振るうのは側近だなんて話」

波魔法少女? 「よくあることだ」


猫耳蛇娘 「というか、王があのアホピンクなら、そっちのが良いじゃろ」


母性巫女 「うーん……」

母性巫女 (たしかにあの子はまだ幼いし、王様という感じではないけれど)

母性巫女 (私そういうの向いていないし……そもそも私は住人として認められているのかしら)

母性巫女 (ここに来てからあの子とまともに話せていない……)




波魔法少女? 「経験不足を心配しているなら安心して良いよ。サポートならできる」


猫耳蛇娘 「いやいや、ワシを頼るのじゃ」


波魔法少女? 「君は大事な仕事があるだろう」


猫耳蛇娘 「仕事しながらやる。おぬしが変なことを吹き込まんようにの」


波魔法少女? 「おやおや」

波魔法少女? 「……とまあ、とりあえず、二人の協力者がいるわけだ」

波魔法少女? 「やって見るものだと思うけどね」


母性巫女 「ありがとうございます。ですが、でも、うーん……」


モジ モジ フニュンフニュン


箒少女 「……迷ってる……というか、揺れてる」


猫耳蛇娘 「熟しきった体の女がやっても可愛げがない仕草じゃの」

猫耳蛇娘 「むかつくだけじゃ」





母性巫女 「だって、私……」


モジ モジ


猫耳蛇娘 「ウジウジとうざったいのー」

猫耳蛇娘 「引き受けんと話が進まんじゃろうが」


波魔法少女? 「やってみなよ」

波魔法少女? 「何かが変わるかもしれないよ」


母性巫女 「変わる……」

母性巫女 (……そうよね)

母性巫女 (思いのほか穏やかに暮らせているけれど、今の状態は良くないのだろうし)

母性巫女 (でも、何も知らないのに動いてかえって悪い事態になっちゃったら……)

母性巫女 「うーん……」


箒少女 「そ、そんなに深刻に悩むなよ」

箒少女 「オレが頼んどいてあれだけどさ」


母性巫女 「……分かりました」

母性巫女 「工房、つくりましょう」




箒少女 「え、本当か!?」


波魔法少女? 「決心したのかい」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「駄目な時は最悪、潰せば良いんです」


猫耳蛇娘 「さすがおっかさん。開き直ると強いの」


波魔法少女? 「では、さっそく始めよう」

波魔法少女? 「錬金工房を置く場所を決めて、隣の世界の建築ギルドに……」


猫耳蛇娘 「隣の世界にはワシが行く」

猫耳蛇娘 「ギルドの奴に顔がきくやもしれん」


波魔法少女? 「助かるね。ボクはこのあたりは疎くて」


箒少女 「オレも何か手伝うよ」


猫耳蛇娘 「おぬしは本当に良いのか、届け物」

猫耳蛇娘 「箒での配達にこだわっとる場合じゃないんじゃね?」


箒少女 「数日遅れたってどうってことねえよ」


猫耳蛇娘 「おぬしンとこのギルドには、あんまし頼みたくないの……」




箒少女 「つきましては、寝るとこと三食のご飯をいただきたい」


猫耳蛇娘 「働いたらな」


ペチャクチャ


母性巫女 「…………」

母性巫女 (故郷の森を離れて、故郷を滅茶苦茶にした人のお城で……)

母性巫女 (私は、これで良いのかしら)


波魔法少女? 「母性巫女」


母性巫女 「! はい」


波魔法少女? 「勉強は好きかい」


母性巫女 「あんまり……」


波魔法少女? 「そうか」

波魔法少女? 「とは言え、閉じた辺境世界から連れてこられて、分からないことも多いだろう」

波魔法少女? 「ボクもサポートするつもりだが、世界についての基礎的な部分くらいは学んでおくと良いかもしれない」

波魔法少女? 「この城にも、図書館はないがそういう本くらいはあるだろうから」

波魔法少女? 「興味があるなら、探して読んでみることをオススメするよ」




…………


幼女魔王の城 崩れた広間



カチ コチ カチ

チュン チュチュン


母性巫女 「…………」

母性巫女 (工房の場所も決めて、ギルドへの依頼も耳蛇さんに頼んで)

母性巫女 (時間ができたから本を探してみたけど……)


波魔法少女? 「使えそうなのは、これだけだね」


しわくちゃの魔王マニュアル
食べカスの挟まったゲーム説明書
ピンクの日記


母性巫女 (三冊……)


波魔法少女? 「びっくりしたよ。ここまでとは」

波魔法少女? 「幼女魔王Nの部屋には遊ぶものしかなかった」

波魔法少女? 「彼女は王にむいていないね」




…………



チュン チュン チチチ


母性巫女 「…………」


サリ シャサ


母性巫女 (魔王マニュアル。いろいろなことを学べるけれど)

母性巫女 (しわくちゃでページがめくりにくい……)


魔動画 『ザザ……ジジジ……所』

魔動画 『こち……観測………』

魔動画 『ザザ……遠い……界の…おと……ち……ザザ……あり……と』

魔動画 『ピー、ガー』


箒少女 「これって、このアイテムが壊れてんじゃないの」


波魔法少女? 「壊れてはいない。が、ここのところ、ずっとこうなんだ」

波魔法少女? 「時折、どのチャンネルでも不鮮明な声のようなものが聞こえるが」

波魔法少女? 「もはやこのアイテムで他の世界の情報を得ることは不可能に近い」

波魔法少女? 「……魔法じかけのアイテム、とくに複雑なつくりのものは」

波魔法少女? 「今、健康でありながら死んでしまっているのさ」


箒少女 「オレの箒も駄目になるわけだ」

箒少女 「空気の乱れは深刻なんだな」


母性巫女 「…………」


シャサ ペラ




母性巫女 (ええと、大きな世界があって、その中にいくつも小さな世界があって)

母性巫女 (小さな世界同士は、普通は行き来できない)

母性巫女 (……私の故郷とこのお城は、別の小さな世界に存在している)

母性巫女 (何となく分かるけれど……何だか、ピンとこない)



箒少女 「じゃあさ、空気が普通に戻りゃ、オレの箒も動くようになるってことだよな」


波魔法少女? 「そうだ、と答えたいが、それは分からない」


箒少女 「箒は壊れちゃいないんだろ」


波魔法少女? 「環境の変化によって深刻なダメージを受けることもあるだろう」

波魔法少女? 「ヒトだって、寒かったら風邪をひく」

波魔法少女? 「空気中の魔法が乱れることで、それと同じようなことがアイテムに起こるかもしれない」


箒少女 「まじかよ……」


波魔法少女? 「この場を結界で守れたら、少しは安心できると思うけどね」

波魔法少女? 「うちの結界術師を信じるしかない」


箒少女 「あのニャハニャハ野郎かー……」




…………


隣の世界 目の看板の店



ガチャ ギイィ バタム


猫耳蛇娘 「……これで工房の件は大丈夫じゃろ」

猫耳蛇娘 「かっかっか。タダ同然まで依頼料を値切ってやったわ」

猫耳蛇娘 「浮いたお金で、ちょっと良いお酒ば買っちゃおうかのう……ニャハニャハ」


狸耳娘 「おかえりでやんす、猫耳の」


猫耳蛇娘 「おう、狸耳の」

猫耳蛇娘 「いなかったんで、糸巻きとリボンと門、勝手に使わせてもらったぞう」

猫耳蛇娘 「店を留守にするとは、迂闊なやつめ。にゃはははは」


狸耳娘 「いても勝手に使うじゃないっすか。しかも無料で」

狸耳娘 「やれやれ、淫魔の旦那はちゃんと支払ってくれるのに」


猫耳蛇娘 「あいつは生まれが良い子ちゃんっぽいからの」


狸耳娘 「ふーん。思いのほかクソ野郎だったんすね」




猫耳蛇娘 「まあ、その通りじゃが」

猫耳蛇娘 「そう言われとるのを聞くのは嫌な感じじゃぞ」


狸耳娘 「関係良好のご様子、何よりでやす」

狸耳娘 「んで、わざわざ商人の町まで渡って何の御用だったんでがしょ」

狸耳娘 「淫魔の旦那と仕事のお話でも?」


猫耳蛇娘 「あやつの頼みなのは確かじゃが」

猫耳蛇娘 「ただの買い物じゃよ」


狸耳娘 「あ、そう」


猫耳蛇娘 「興味ないなら聞くでないよ……」




猫耳蛇娘 「む?」


魔動画 『未知の世界の接近が、いよいよ……ザザ……観測所……』

魔動画 『無闇に世界間の移動は……ザザザ……こちら……』


猫耳蛇娘 「……ふむ」


狸耳娘 「旧式っす。売りませんよ」


猫耳蛇娘 「いらんわい」

猫耳蛇娘 「やっぱ、混線しとるの」


狸耳娘 「空気中の魔法の何やらが乱れているとか。厄介なもんが近づいてきているようで」

狸耳娘 「飛行船も運行休止状態」

狸耳娘 「おかげで、異世界のお客さん相手の店は静かなもんです」

狸耳娘 「魔動画もこの有様で」


猫耳蛇娘 「ここの方が、少しはマシのようじゃがの」


狸耳娘 「?」




カタタタ カタタタ


猫耳蛇娘 「……にゃ、窓ガラスが鳴っておる。地震かの?」


狸耳娘 「風でやんす。ときおり吹くようになりまして。これが生暖かいというか、生臭くて」

狸耳娘 「やあ、故郷の野原を思い出すなあ」


猫耳蛇娘 「ふうむ。嵐の前の静けさのようじゃ」

猫耳蛇娘 「……やっぱり、ちょっと急がんとまずいかの」


狸耳娘 「結界屋さんは今が稼ぎ時でしょう」

狸耳娘 「すでにいくつかの有力世界も、お抱え以外にフリーのを何十人も雇って」

狸耳娘 「かなり大掛かりな書き換えを行ったって聞きますし」


猫耳蛇娘 「どうじゃかな。フリーとは言っても、ああいうのは結局、同じ流派の奴らで固められるからの」

猫耳蛇娘 「もとを辿ると師匠が同じ、とか、師匠が弟子を雇ったり、とか」


狸耳娘 「姐さんみたいな独り者は雇口が無いと」


猫耳蛇娘 「むかつくが、まあそうじゃよ」

猫耳蛇娘 「ワシの術は門(ワシ)外不出的な部分があるから、人を使ったり人に使われたりは向かん」

猫耳蛇娘 「じゃから仕事は一人でやるし、小世界程度ならワシ一人で全然いけるんじゃが、ほとんどのお偉方はそれが気に入らんみたいでな」

猫耳蛇娘 「大人数で一つの結界をつくった方が複雑で破られにくいと考えよる」


狸耳娘 「へえ、そっすか。たいへんっすね」


猫耳蛇娘 「流しすぎじゃろ。語り甲斐がないのう」




狸耳娘 「じゃあ相変わらず、つまらねえ辺境世界の村とか遺跡とか、そういう小規模な仕事を?」


猫耳蛇娘 「おぬし、今、ワシの仕事がつまらん、みたいなことを言わんかった?」


狸耳娘 「気のせいっす」


猫耳蛇娘 「……まあ、何だかんだ言って、結構な数の依頼はいただいたよ」


狸耳娘 「景気良いじゃないですか」


猫耳蛇娘 「ぜんぶお断りしたがの」


狸耳娘 「おや。自信を持ったら良いのに」


猫耳蛇娘 「自信が無いから逃げたみたいに言うなよ」

猫耳蛇娘 「専念せねばならん仕事があったのじゃ」

猫耳蛇娘 「泊まり込みで十日といったところか。用意も含めたら、それどころじゃないがの」


狸耳娘 「それはそれは」

狸耳娘 「ここから近いんで?」


猫耳蛇娘 「まあ目と鼻の先かの」


狸耳娘 「そっすか。じゃあ今度時間ができたら美味いもん持っていきますんで、一緒に飲みましょ」


猫耳蛇娘 「ぜったい来んじゃろ、おぬし……」





隣の世界 石畳の街角



ザワザワザワ


錬金術見習い 「ヒソヒソ……」


採石おばさん 「ヒソヒソ……」


テク テク


猫耳蛇娘 「住宅街や学生寮に近いせいか、このあたりは人通りもあるの」

猫耳蛇娘 「どこか、皆そわそわしておるが……」

猫耳蛇娘 「む?」


ザワザワ


猫耳蛇娘 「……道端に、妙な人だかりができておる」




??? 「皆さま!」

嘘イタチ 「大世界の衝突も間近となってまいりましたが」

嘘イタチ 「世界から世界への旅商人である私は、さる筋からとても重大な情報を仕入れてしまいました……」


猫耳蛇娘 (山高帽を乗せたイタチが大げさに両手を広げて話しておる)


嘘イタチ 「なんと、大世界衝突後には、越界飛行船を始め、魔法じかけのアイテムは永久に使えなくなってしまうのです!」


ザワッ


ヤナギ女 「あはは、そんな馬鹿な」


モヤシ男 「そうよ。そんなこと、あるはずないわ」


サクラ女 「嘘をつくなペテン師ー、チビー、獣ー!」


ピーピー ブーブー


嘘イタチ 「ええ、ええ、皆さまの戸惑い、お怒りごもっとも」

嘘イタチ 「しかし、どうでしょうね。げんに、魔動画や飛行船は使えなくなっている」


皆の衆 「……! たしかに……」


猫耳蛇娘 「…………」


サクラ女 「……そ、それは一時的なものだって、第三大世界同盟の幹部のかたが魔動画で……」


嘘イタチ 「皆さまはまさに衝角にいらっしゃるというのに……遠くの人より、ご自分の肌で感じたものを信じるべきでは?」

嘘イタチ 「私はこの世界に来て間もないですがね、ここの空気に触れたら、まったく安心なんてできません」

嘘イタチ 「皆さまも、見て見ぬふりをして本当は、振り返ると思い当たることもあるのではありませんか?」






浮気妻 「たしかに……最近かまどの調子が悪くて……」


調合師 「釜がレシピを無視した調合を……」


学生 「魔法のカンテラの明るさが不安定で勉強が……」


ドヨドヨ ザワザワ


猫耳蛇娘 (…………フン)


サクラ女 「だ、だからって、どうしろってのよ。無駄に私たちの不安をあおって!」


嘘イタチ 「心配ご無用!」


一同 「!!?」


猫耳蛇娘 「…………」


嘘イタチ 「旅の途中、私はさる魔法使いと出会ったのです」

嘘イタチ 「彼はなんと、魔法の力なしで動くアイテムを研究、そしていくつかはすでに完成させていたのです!」


男 「なんだって!?」


包帯少年 「……。そんなものが……あるのか……?」


猫耳蛇娘 (……こういう一寸先は闇のような時には、こういう手合いが現れるもんじゃ)


嘘イタチ 「私は持てる交渉術のすべてを駆使して、気難しいアイテムのいくつかを買い取ってきました!」

嘘イタチ 「本当は独り占めして後で高値で売るつもりでしたが……くうぅ……私もお人好し……!」

嘘イタチ 「不安に苛まれる皆さまを放っておけない……!」

嘘イタチ 「特別に、ここにいるみなさまに、格安でお譲りいたします!」





ザワ ザワ ザワ ザワ


嘘イタチ 「さあさ、皆さま!」

嘘イタチ 「この風呂敷をひろげたら、夢のアイテムが目白押し!」


猫耳蛇娘 (さあて、どんなとんでもアイテムが飛び出すかのう)


嘘イタチ は 魔法の風呂敷 をひろげた!


ガラガラガラガラ


小さなかまど
使い捨てランプ
孫の手
猫の手
…………
……


嘘イタチ 「こちらは、魔法が使えなくなったら使える不思議な火起こし!」

嘘イタチ 「こちらは、インクのなくならないペン!」

嘘イタチ 「そしてこちらは、完全永久機関搭載の掃除道具!」

嘘イタチ 「まだまだたくさん!」


三つ編み娘 「よく見ると確かに、これまでの魔法じかけのアイテムと違う……ような」


おさげ娘 「でもなあ、胡散臭いような……」


猫耳蛇娘 (プププ……ひどい品揃えじゃあ)


サクラ女 「ふんっ、騙されないんだから。でも、あら……?」


猫耳蛇娘 (……む?)


サクラ女 「これは何かしら」



三輪車(大人子供兼用)



猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 (…………か)

猫耳蛇娘 (格好良い……!)




三輪車


ピカ ピカ


猫耳蛇娘 (この独特の、見れば見るほど癖になるフォルム!)

猫耳蛇娘 (三つの車輪から察するに乗り物のようじゃが)

猫耳蛇娘 (の、乗りたい! 乗り回したい!)


嘘イタチ 「お目が高い!」

嘘イタチ 「それは蒸気三輪という未来の乗り物です」

嘘イタチ 「前輪と繋がっているペダルを足でこぐことによって、魔法に頼らず前に進むことができるのです」

嘘イタチ 「さあ、本当は駄目ですが、特別に使わせてあげます。乗り心地を試してごらんなさい」


サクラ女 「……ふ、ふん。まあ、試すくらいなら。ここに座れば良いのね……」


スト


サクラ女 「どうせくだらないアイテムよ。私が照明してあげるわ!」




コキ コキ コキ コキ


サクラ女 「んほおぉぉおおおんぉんおんぉおお゛!!」

サクラ女 「これスゴイのぉ! 進むのぉ! コキコキするたびに前に行くのぉお!」


コキ コキ コキ


サクラ女 「あぁああん!! 行くっ、行くっ……ッッ!!」

サクラ女 「行く行く行く行くゥうぅぅうう!」


コキ コキ コキ


猫耳蛇娘 「……ゴクリ」


サクラ女 「もうダメ、止まらないぃ……」

サクラ女 「行くの止まらないのぉお……!」

サクラ女 「あぁあぁぁあああああん……!!!!」


コキ コキ コキ




コキ コキ コキ

……


サクラ女 「あへぇ……」


男ども 「……ゴクリ」


嘘イタチ 「いかがでしたか、乗り心地は」


サクラ女 「す、すごく……良かったれひゅ……」


嘘イタチ 「大人からお子様まで使えるおすすめのアイテムです」

嘘イタチ 「ちなみにお値段はこちら……」


サクラ女 「は、はひ……買いまひゅ……」

サクラ女 「いくらでも、買いま……」


嘘イタチ 「ニヒッ……」


猫耳蛇娘 「ま、待てい!!」


嘘イタチ・サクラ女 「!?」


猫耳蛇娘 「その乗り物はワシのものじゃ!」

猫耳蛇娘 「ワシが買うぞ!」




チャリン チャリン チャリン


嘘イタチ 「……ま、まいどあり」


猫耳蛇娘 「フフン」

猫耳蛇娘 (結局余った金のすべてを注ぎ込んでしもうたが)

猫耳蛇娘 (手に入れたぞう。夢の乗り物を!)



■三輪車(大人子供兼用)
 調節することで大人も子供も乗ることのできる普通の三輪車。 
 換えのサドルつき。



猫耳蛇娘 「にゃっはっはっはっ!」

猫耳蛇娘 「残念じゃったのう小娘。これはワシのもんじゃあ!」


サクラ女 「え゛!? ……は、はい、残念です……ざ、残念だわあ」


猫耳蛇娘 「にゃーっはっはっはっ!」


嘘イタチ 「あ、こちら、交換用のサドルです」



快速サドル


猫耳蛇娘 「うむ」


嘘イタチ 「こちらも、同じく交換用です」



えっちなサドル×5
卑猥なサドル×5



猫耳蛇娘 「おおう、こっちの鞍は何やら形も長さも違う棒のついておるなあ」

猫耳蛇娘 「十個もあってお得じゃあ。にゃっはっはっはっは!」



三輪車 を手に入れた!
幼女魔王N の 新たな可能性 が生まれる……
新しいバッドエンドルート が開放された!






ザワザワ


サクラ女 「のっほぉぉおおおおん!!」

サクラ女 「んいいっ、イイぃん! 傘っ、傘ぁ……ッッ! この傘、しゅんごいのぉおおお!」


男たち 「か、買うぞ!」


女A 「わ、私も……!」


嘘イタチ 「ニヒヒ……まいどあり、まいどあり!」


ワーワー


猫耳蛇娘 「……にゃはは、このまま城まで乗って帰るぞう!」


コキ コキ コキ


猫耳蛇娘 「おほほーう! 進む、進むぅ!」


コキ コキ コキ


…………













幼女魔王Nの世界 野原 城前



魔動画 『ザザッ……大世界衝突に乗じ……ジジッ……詐欺に、気を……』

魔動画 『ザザザー……』



母性巫女 「…………」


波魔法少女 「…………」


箒少女 「…………」


コキ コキ コキ


猫耳蛇娘 「なー? すっごいじゃろー?」

猫耳蛇娘 「いかすじゃろー? この三輪車ー」


コキ コキ コキ コキ


>>591訂正ごめんなさい





幼女魔王Nの世界 野原 城前



魔動画 『ザザッ……大世界衝突に乗じ……ジジッ……詐欺に、気を……』

魔動画 『ザザザー……』



母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「…………」


箒少女 「…………」


コキ コキ コキ


猫耳蛇娘 「なー? すっごいじゃろー?」

猫耳蛇娘 「いかすじゃろー? この三輪車ー」


コキ コキ コキ コキ


猫耳蛇娘 「にゃっほほほー!」

猫耳蛇娘 「ひとしきり堪能したら、おぬしらにも使わせてやるからのー!」


コキ コキ コキ


箒少女 「……あれの」

箒少女 「あれのどこをどう信じたら良いんだよ……!!」







波魔法少女? 「まあまあ、ギルドへの依頼はしておいてくれたようだし……」


箒少女 「あいつの仕事は! 結界をはることであって!」

箒少女 「お使いじゃなけりゃ、ましてや……!」


猫耳蛇娘 「ふいー! 三輪車コキまくったわー」


キラ キラ キラ


箒少女 「三輪車コキコキして良い汗かくことじゃ無いだろうが……!」


波魔法少女? 「まあまあ」




コキ コ……


母性巫女 「む、難しいですね、思ったよりも……んっ……んぅ……ッ」


猫耳蛇娘 「足りん、修行が足りんそう母性巫女よ」

猫耳蛇娘 「……まあ、おぬしくらいの背丈用に調節したら良い話じゃが」

猫耳蛇娘 「説明書をぶん投げてしもうたから分からん」


コキ コ コキ……


波魔法少女? 「……しかし、たしかに少し危機感を持った方が良いことも事実だ」

波魔法少女? 「彼女にも彼女なりの事情があってのことだろうが……」


箒少女 「そ、そうなのか……」



猫耳蛇娘 「にゃはは、尻と乳ばかり振って、全然前に進まんではないかー」

猫耳蛇娘 「ダメな巫女じゃのー」


母性巫女 「んもう、からかわないで、くださっ……」


コキ フリ フリ ユサ

コキ ホヨン ポヨン


猫耳蛇娘 「サドルをかえてみるかの? 棒つきのやつとか」

猫耳蛇娘 「使い方はまったく分からんが。かえって乗りにくそうじゃが」


母性巫女 「い、いえっ……もう少し、このまま……っ」


コキ タユン コキ


猫耳蛇娘 「おぬしもなかなか意地があるのう」

猫耳蛇娘 「ほれほれ、もっと腰をいれて振れい」

猫耳蛇娘 「にゃははは、お叱りキャラを叱るのは良い気分じゃあ!」



箒少女 「……そうなのかあ!?」


波魔法少女? 「まあまあ」




…………



城 錬金工房予定地




トン テン カン


ウンディーネ 「ハイサッ」


トン テン カン


サラマンダー 「ホイサッ」


トン テン カン

トン テン カン


母性巫女 「………」


箒少女 「……おおー」


トン テン カン

チィン!


サラマンダー 「完成だ!」


ウンディーネ 「いつでも使えるよ!」



錬金工房レベル1 が完成した!



母性巫女 「すごい。あっという間に部屋が……」


猫耳蛇娘 「なー? すごいじゃろー? 仕事はやいじゃろ、このギルドー」

猫耳蛇娘 「それを知っとったワシ、すごすぎじゃろー?」


波魔法少女? 「質もかなり良い。水場を始め配置も完璧だ」

波魔法少女? 「仮設のつもりだったが、これならこのまま成長させていける」


猫耳蛇娘 「にゃっはっはっはっはっ!」





猫耳蛇娘 「ほーれほれ、跪け下級民どもー」

猫耳蛇娘 「うにゃーっかっかっかっかっ!」


箒少女 「うわ、むっかつくなー。妖怪三輪車ババア」


波魔法少女? 「まあ、それに見合う働きはしてくれたさ」


猫耳蛇娘 「ニャハ、ニャハッ……」



母性巫女 「……ありがとうございました」

母性巫女 「お茶とお菓子、良かったらどうぞ」


魔王プリン
高級ジュース『魔王』


サラマンダー・ウンチーネ 「わーい」


サラマンダー 「モグモグ……レベル3くらいの工房なら同じくらいの時間で造れたんだけどね!」


ウンディーネ 「ゴクゴク……お金あんまり貰えなかったからね!」

ウンディーネ 「本当はレベル1にも足りないけど、サービスだよ!」


母性巫女 「あれ、お金なら結構渡していたような……」


猫耳蛇娘 「に゛ゃ……」


>>599 訂正重ね重ねごめんなさい




猫耳蛇娘 「ほーれほれ、跪け下級民どもー」

猫耳蛇娘 「うにゃーっかっかっかっかっ!」




箒少女 「うわ、むっかつくなー。妖怪三輪車ババア」


波魔法少女? 「まあ、それに見合う働きはしてくれたさ」


猫耳蛇娘 「ニャハ、ニャハッ……」



母性巫女 「……ありがとうございました」

母性巫女 「お茶とお菓子、良かったらどうぞ」


魔王プリン
高級ジュース『魔王』


サラマンダー・ウンディーネ 「わーい」


サラマンダー 「モグモグ……レベル3くらいの工房なら同じくらいの時間で造れたんだけどね!」


ウンディーネ 「ゴクゴク……お金あんまり貰えなかったからね!」

ウンディーネ 「本当はレベル1にも足りないけど、サービスだよ!」


母性巫女 「あれ、お金なら結構渡していたような」


猫耳蛇娘 「に゛ゃ……」

猫耳蛇娘 「にゃははははははは!!」

猫耳蛇娘 「いやあ、ありがとうありがとう、ギルドのお二人さん! さすがのお仕事じゃ!」

猫耳蛇娘 「む、向こうでちょーっとお話しようかのー!」





波魔法少女? 「さて、それじゃあ、早速工房をつかってみるか」


母性巫女 「ええ。ええと、箒さんの宝玉ですね」


箒少女 「お、おう……」


母性巫女 「?」

母性巫女 (箒少女の顔が青い。汗もかいているみたい……)


波魔法少女? 「おや、もしや緊張しているのかい?」


箒少女 「いや、さあ、お城のアトリエなんて使う機会ないからさ」

箒少女 「うちのアトリエ、ボロっちいし暗いし、こんな、なんていうか、高貴なつくりのは……」


波魔法少女? 「ああ、腐っても界主の城だ。ギルドの人が気をきかせてくれたんだろうね」

波魔法少女? 「なぜか少ないらしい予算で」


母性巫女 (お礼がお茶とお菓子じゃ足りなかったかしら……)




■魔王プリン
 幼女魔王Nが、友だちができたときのために大切にしまい、
 そして忘れさってしまった超高級プリン。
 家を買えるほどの値段。HPとMPがすごく回復。
 一度も使われていないようだ。

■高級ジュース『魔王』
 幼女魔王Nが、友だちができたときのために大切にしまい、
 そして忘れさってしまった超高級ジュース。
 千年に一度、ひとつの木に一個しか実らない果実が使われている。魔法防御大幅アップ。
 一度も使われていないようだ。




箒少女 「うー……だ、駄目だ! 賭け箒レースのときより緊張する。手汗がすごい」

箒少女 「あんた、変わってくれ!」


母性巫女 「ええっ!?」


箒少女 「手が震えるし汗で滑るし、今のオレじゃ作業は無理だ」

箒少女 「頼むよ。材料もレシピもあるからさ!」


母性巫女 「わ、私は一度もやったこと無いんですよ」

母性巫女 「耳蛇さんを待っている間にちょっと勉強した程度だし……」


箒少女 「大丈夫! 失敗なんかしないって」

箒少女 「サポートくらいならするからさ」


波魔法少女? 「ボクも力添えを惜しまない」

波魔法少女? 「挑戦してみなよ。どうせ使いこなせるようにならないといけないのだから」

波魔法少女? 「ここでずっと暮らすなら」


母性巫女 (ここで、ずっと……)




母性巫女 「ええと……」


波魔法少女? 「…………」


箒少女 「なあ、頼むよ母性巫女ー。いやさ、姐さん」


母性巫女 「あ、あねさん? でも……」


波魔法少女? 「気負うことない。やってみると簡単だよ」


箒少女 「うんうん」


波魔法少女? 「それに失敗したって箒少女くんが困るだけさ」

波魔法少女? 「我々は痛くも痒くもない」


箒少女 「えっ!?」


母性巫女 「……そうですね」

母性巫女 「やりましょう」


箒少女 「……お」

箒少女 「おう!!」




…………


ホワン ホワン

グツグツグツグツ


波魔法少女? 「……よし。釜の湯気が工房に満ちた」

波魔法少女? 「これでこの工房に漂う魔法、君風に言えば精霊は作業を大きく助けてくれるだろう」


母性巫女 「ありがとうございます、何から何まで準備してもらって」

母性巫女 「私だと、ここまでは……」


波魔法少女? 「なに、人間、足りない部分は必要さ」

波魔法少女? 「これはつい最近になって思ったことだが」

波魔法少女? 「ひとりで何でもやろうとか、やれてしまうというのは、とても寂しいものだ」


母性巫女 「……な、なるほど……」


波魔法少女? 「まあ、気にするなということさ。戦闘はそうでもないが、こういうのはボクの得意分野だ」

波魔法少女? 「そちらは、戸締りはばっちりかい?」


箒少女 「おうよ」

箒少女 「ねえ、やっぱオレ、出てって良い?」


波魔法少女? 「駄目だ。では、教えた通りに呼吸を整えて」

波魔法少女? 「息の長さ一つでも、魔法の効果に格段の違いが現れる」

波魔法少女? 「だから一流の魔法つかいは、呼吸にも気をつける」

波魔法少女? 「まあ、君は戦士よりの魔法戦士らしいから、今回の場合は気持ちを落ち着ける程度だが」

波魔法少女? 「今後のために覚えておくと良い」

波魔法少女? 「……始めよう」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「…………」


スゥ…… ハァ……


母性巫女 (……呼吸、精霊さまと交感する感覚に近いような気がする)

母性巫女 (お風呂につかっているような……)




母性巫女 は 作業 をはじめた
壊れた宝玉のようなもの が 輝きだす…… 


キイイン キイイン


母性巫女 (故郷の世界で入った温泉……もう一度入りたい……)


キイイイン キイイイン


波魔法少女? 「そろそろできるぞ」


箒少女 「やあ、思い出すなあ、初めてのアトリエでの作業」

箒少女 「オレも盛大に失敗したっけなあ」

箒少女 「あ、だからって失敗して良いってわけじゃないけどさ」

箒少女 「まあ、あいつには気楽にやってほしいよ。うんうん」


波魔法少女? 「余裕だね。責任が無いと」


箒少女 「へへへ、アトリエの先輩らしく見守ってやらないとな……」



キュラリンッ パカパー 

ファンファファ パパー


いつもより作業がはかどった!
極上の出来栄え!
配達ギルドの宝玉×2 を 手に入れた!
空の宝玉×7 を 手に入れた!
大成功ボーナス!
なんと、使った素材が戻ってきた!
天使の下着 を手に入れた!
新たなレシピ を手に入れた!
母性巫女の特殊体質 が発動!
母性巫女のレベル が 1 上がった!
母性巫女の体質『母性』 が強化された!
 


箒少女 「ぶっ……」






母性巫女 (ど、どうしたら良いのかしら。何かいろいろ起きてるみたい……)

母性巫女 (とにかく、作業は成功したのよね。それっぽい宝玉もあるし。数が多いけれど)

母性巫女 「あの、とりあえず、これ……」


配達ギルドの宝玉×2


箒少女 「え!?」

箒少女 「あ、ああ、ありがとう」

箒少女 「……ご、ごぜえます」


母性巫女 「え……?」


箒少女 「でも、一個もらえたらじゅうぶんだから」

箒少女 「いや、おじゅうぶんですから……」


ヒョイ サササ


母性巫女 (何故かしら。箒少女との距離がものすごく開いてしまった気がする)

母性巫女 「あ、あと、使ったはずの素材もなぜか残っているから、返しま……」


箒少女 「や、いやー、とんでもないっすよ、母性巫女の姐さん」

箒少女 「いやさ、母性巫女大先生。おおさめくだせえ」


母性巫女 「え……」


箒少女 「は、はははー、つくってもらえて嬉しいなー……これ、家宝にしちゃおっかなー……」


母性巫女 「……あ、あの、これはいったい」


波魔法少女? 「世の中、出来すぎる人というのも、あまり歓迎されないものなんだよ」




箒少女 「ほんと、ありがとーございやす、大先生」

箒少女 「オレのような下級平民のくだらねえ頼みを聞いてくだすって」

箒少女 「やーあ、やっぱり城に住んでるような人は住む世界が違うなー!」


母性巫女 「も、もう、やめてください……」


ガチャ ギイイ


猫耳蛇娘 「おーっす。作業は順調かの」


箒少女 「お、ぜったい城に住んでなさそうなの」


猫耳蛇娘 「ふがっ!?」


母性巫女 「あの、だから……」


カタカタカタ


母性巫女 「……あら?」

母性巫女 (波魔法少女の用意してくれた釜が震えている)


調整釜 「…………」


カタカタカタカタ

ゴトゴトゴト


箒少女 「な、何だあ?」


波魔法少女? 「震えがどんどん強くなるぞ」

波魔法少女? 「おかしいな。空気安定剤の調合は間違っていなかったはずだが」


調整釜 「…………」


ゴトゴトゴトゴト

ゴトゴトゴトゴト

ボワン


ポンコツ娘ども 「!?」


モクモクモクモク


??? 「…………」



調合釜の煙 から ??? があらわれた! 






??? 「ケホッ……ケホッ……」

記録魔 「コホン……ごきげんよう」


猫耳蛇娘 「お、眼鏡の幼女じゃ」


記録魔 「コホンッ……わたくし、第三大世界同盟公認の錬金工房管理ギルドの者です」


母性巫女 「はあ、ごきげんよう……」

母性巫女 「…………?」


波魔法少女? 「第三大世界同盟は、魔王よりの立場の者が多いと聞く」

波魔法少女? 「すまないね。勇者よりの立場にいたボクには、あまり彼らについての知識がない」


記録魔 「コホンッ!」

記録魔 「よろしいでしょうか?」


波魔法少女? 「失礼、どうぞ」


記録魔 「……ご存知でしょうが、同盟公認のギルドは定期的に行われる厳正な審査によって……」


猫耳蛇娘 「なあなあ幼女ー。おぬしの履いとる靴、めっちゃヒール高いのー」


記録魔 「コホンッ!! つまり、創設以来同盟公認の証を失っていない当ギルドは、まさに大世界の模範ともいえる……」


箒少女 「言ってやるなよ。大人ぶってんだからよ」

箒少女 「胸だってバレバレの詰め物してるし」


記録魔 「コホンッッ!! 今回、幼女魔王N統治下のこの小世界において」

記録魔 「初めてとなる錬金工房の設置と使用が確認され……」


猫耳蛇娘 「おーおー、いらついとる。優等生っぽいのはからかい甲斐があるのう」


箒少女 「やめてやれよ。子供なんだからよ」

箒少女 「気をつかってやろうじゃねえか」


記録魔 「コホン゛ッッッ!! 錬金術においての素晴らしい才能を認め、奨励の……」


箒少女 「おい、眼鏡っこ。デコが眩しいぜ」


記録魔 「ん゛がぁああああああ!!」







記録魔 「何なのですか、この無礼な下級民たち!!」


猫耳蛇娘 「おぬしの方が無礼じゃが」


箒少女 「褒めたらいきなり怒り出しやがって」

箒少女 「下級民なめんなよチビデコ眼鏡」


猫耳蛇娘 「ワシは乙女上級者じゃが」


記録魔 「んーまっ! 汚らわしい言葉づかい!!」

記録魔 「まったく、とんだ後進世界に来てしまったものです!」




記録魔 「現統治者になってから工房の設置までにかなりの時間がかかっておりますから」

記録魔 「まあ、ろくでもない所だろうなあとは思っておりましたが」

記録魔 「まさかこれほどまでとは……」

記録魔 「城に野蛮人が二人も!」


母性巫女 「なんか、ごめんなさい……」


猫耳蛇娘 「誰が野蛮人じゃ」


箒少女 「下級民だよ」


波魔法少女? 「いきなりあんな風に出てこられては驚くね」

波魔法少女? 「不法侵入ととらえられても仕方ないと思うが」


猫耳蛇娘 「不法侵入筆頭が何を言っておるんかの」


記録魔 「フフンッ」

記録魔 「失礼ですが、こちらの世界は第三大世界同盟に加盟しております」

記録魔 「それはつまり、加盟の際に加盟条件羅列書もしっかりとお読みになり、承諾なさっているということ」

記録魔 「書には、公認ギルドは有事の際に統治者の承認なしに担当施設に出現する旨が書かれております」


母性巫女 「加盟条件羅列書……?」


波魔法少女? 「そんなもの、城にはなかったね」


記録魔 「まさか、持っていらっしゃらないの!?」


母性巫女 「重ね重ね、ごめんなさい……」


波魔法少女? 「さては捨てたな、彼女」




記録魔 「本当に、なんというとんでもない世界でしょう」

記録魔 「しかたありませんわ。ちょうど持ってきていますのでどうぞご確認を」


ズイ


加盟条件羅列書(見本)


母性巫女 「あ、ありがとうございます……」

母性巫女 (けっこう分厚い本だわ)


記録魔 「150ページの中段にあります」


母性巫女 「は、はい……」


ペラ ペラ ペラ


母性巫女 「……あった」


波魔法少女? 「ふむ、たしかに書かれている」


波魔法少女?・母性巫女 (……151ページの下段に)


記録魔 「フフンッ」




記録魔 「差し上げます。予備はありますし」

記録魔 「まあ、わたくしの記憶力は完璧なので、持ち歩く必要はもとから無いんですけど?」


クイ クイ


母性巫女 「ありがとうございます」

母性巫女 「……これ、あの子は読めたのかしら」


波魔法少女? 「きっと題名すら読めなかっただろうね」

波魔法少女? 「とにかく見栄をはってサインする光景が目に浮かぶようだ」


記録魔 「コホンッ。とにかく、わたくしが何も間違っていないこと、分かっていただけたでしょうか」


波魔法少女? 「うん、ごめんよ」


記録魔 「フフンッ」

記録魔 「では、やっと……やーっと! 本題にうつらせてもらいます」


母性巫女 「はい」


猫耳蛇娘 「いちいち言い方がムカつくがのう」





記録魔 「先ほど、この世界で初めての錬金工房使用が確認されましたが」

記録魔 「使用者はあなたで間違いありませんね?」


母性巫女 「はい、ええ……」


記録魔 「そうですか……ハァ、間違いであってほしかったのですが……」

記録魔 「……とても素晴らしいものでした」

記録魔 「当ギルドは、あなたを、才能あるアイテム職人の一人として認定いたします」


母性巫女 「は、はあ……?」


記録魔 「第三大世界同盟は、才能ある者の育成に積極的です」

記録魔 「よって、あなたに……」

記録魔 「あなた、名前は」


母性巫女 「母性巫女です」


記録魔 「母性巫女に、第三大世界同盟立学院の準A級特待生の権利と」

記録魔 「奨励アイテムを与えます」


母性巫女 「はあ……」


箒少女 「盟立の学院ってったら、同盟本部に近い中央の世界の方にある」

箒少女 「超お金持ちの奴らが下は0歳から、上は10のn乗歳まで通ってるっつう学校か」

箒少女 「寮が超高級ホテル並で、うまいもん食い放題っていう」


記録魔 「あら、野蛮人がご存知だなんて、驚愕ですね」

記録魔 「ええ、それだけ同盟の威光が行き届いているということでしょう」


箒少女 「下級民だよ」


記録魔 「まあ、そのあたりの話は置いておいて」

記録魔 「奨励アイテムの授与をいたします」




母性巫女 「奨励アイテム……」


猫耳蛇娘 「貰っとけ、貰っとけ。あとて転売じゃ」


母性巫女 「でも」


記録魔 「拒否権はありません」

記録魔 「ところで、統治者はどなたですか」


母性巫女 「え……」


記録魔 「統治者が立ち会うという決まりですので」


母性巫女 「ええと……」


猫耳蛇娘 「ちょっと寝込んでおる」

猫耳蛇娘 「具合が優れんでの」


記録魔 「では、連れてきなさい」


母性巫女 「それは……」


波魔法少女? 「それは難しいね」


記録魔 「同盟の使者であるこのわたくしが、わざわざ来ているのですよ」

記録魔 「這ってでも出迎えるのが礼儀というものでしょう」

記録魔 「連れてきなさい」


母性巫女 「それはちょっと……」


記録魔 「良いから、さっさと連れてこいと言っているのです!」

記録魔 「本来ならば、あなたがたごときと言葉を交わす時間など無いのですよ!」

記録魔 「こんな辺境の、不潔で非常識な……」


ボカッ ドゴォン


記録魔 「ふげっ!?」


バタン


母性巫女 「……!!」


箒少女 「………あ」

箒少女 「ごめん、思わず殴っちまった」





猫耳蛇娘 「にゃはは……何やっとんの、おぬし」


箒少女 「いや、なんかイヤな奴だなーって思ってたらさあ」

箒少女 「どうしよう、偉い人なぐっちまった。クビになるかなあ」


猫耳蛇娘 「なったらうちに来い。運転手として雇ってやるわい」


記録魔 「な……なな……」


ヨロ ヨロ


記録魔 「殴った! いま、わたくしを殴りましたね!」


箒少女 「ごめん」


記録魔 「殴った! 野蛮人が私を殴った!」

記録魔 「ああ、足にきてる。足にきています!」

記録魔 「なんてこと……これは反逆! 同盟に対する反逆です!」


箒少女 「ごめんってば」

箒少女 「許してよ。スルメガムやるからさ」


スッ



スルメガム?



プワン


猫耳蛇娘 「うぅ!?」


記録魔 「くさい!? すごくくさい!?」


箒少女 「ごめん、これクサヤガムだった」

箒少女 「まあ食えよ。食ったら仲直りな」


記録魔 「きゃあっ! 近寄らないで!」





箒少女 「けっ、何だよ、お偉いさんがお高くとまりやがってよ」

箒少女 「こんなモンみんな普通に食ってるぜ」


クッチャ クッチャ


猫耳蛇娘 「食ってたまっかい」


母性巫女 「あの、大丈夫ですか。立てますか……」


記録魔 「触らないでください、野蛮人!」


母性巫女 「…………」


記録魔 「取り消し。すべて取り消しです!」

記録魔 「こんな野蛮な世界の野蛮人を中央に招くわけにはいきません!」

記録魔 「いいえ、それどころか、幹部連にかけあってこの世界の除名を……」

記録魔 「では失礼!! ごきげんよう!!」


ツカ ツカ ツカ ツカ


母性巫女 (調整釜の方に戻っていく)


波魔法少女? 「なるほど。あれが彼女の、世界を渡る門なのか」

波魔法少女? 「おそらく、ギルド本部から同盟加盟世界の調整釜に繋がる仕組みなのだろうが」

波魔法少女? 「それにはかなり高度な魔法技術が必要だろう。興味深いギルドだ」


母性巫女 「あの、手当てだけでも……」


記録魔 「今さらそんなことで点数稼ぎをしようなんて、無駄です!」





記録魔 「プンスカプンスカ、グチグチグチ……」


ボワン ボワン ボワン

カタカタカタ


母性巫女 (釜が震えだした)


カタカタカタカタ


箒少女 「あー、やっばいなー、クビだなー」

箒少女 「賭け箒レースだけで食ってくのもなー。老後がなー」

箒少女 「良い売春宿知らない?」


カタカタ ガタガタガタ


猫耳蛇娘 「遠い親戚の猫神が遊郭をやっておるが……いや、温泉宿じゃったかな」

猫耳蛇娘 「というか、うちで雇ってやるってば」


ガッタガッタガッタガッタ


猫耳蛇娘 「うちのギルド、小世界の百や二百は潰せるし……」


ガッタガッタガッタガッタ
ガタタタタタタ
ガタタタタタタ


猫耳蛇娘 「うっさいのう! さっさと帰れよ!」


ガタタタタタ
ガタ
カタ……カタ……


記録魔 「…………」


母性巫女 「……静かになった」


波魔法少女? 「彼女はまだ帰っていないようだが」

波魔法少女? 「失敗でもしたのかな」


記録魔 「…………」

記録魔 「戻れない……」




記録魔 「ちょっと、どういうことですか!」


母性巫女 「え……」


記録魔 「帰れないじゃありませんか!」

記録魔 「細工したんですか。道を閉じたnですか。嫌がらせのつもりなんですか!?」


母性巫女 「いえ、そういうわけじゃ……」


波魔法少女? 「もう一度ためしてみてはどうかな」


記録魔 「……くっ」

記録魔 「…………」


ボワン ボワン
カタタタタタ
カタタ……
カタ……


記録魔 「……ま、また駄目」

記録魔 「どうして!?」


母性巫女 「……あ」

母性巫女 「これって、やっぱり……」


波魔法少女? 「うん」

波魔法少女? 「今この世界では魔法および魔法のアイテムは正常に作用しない」

波魔法少女? 「彼女のギルドの魔法技術も力及ばず……といったところだろう」




記録魔 「未知の大世界の接近による影響は知っていましたが」

記録魔 「こんなにひどいなんて……!」

記録魔 「……え、じゃあ、もしかして私」

記録魔 「この野蛮な世界に……」


波魔法少女? 「閉じ込められてしまったことになるね」

波魔法少女? 「他に、世界を渡るすべを持っていないなら」


記録魔 「そんな」

記録魔 「嘘です、悪夢よ。こんな底辺の悲哀が染み付いたような所で……」


母性巫女 (ひどい言われよう……)


ユラ


猫耳蛇娘 「……にゃは」


箒少女 「……ふっふっふ」


記録魔 「はっ……!?」


猫耳蛇娘 「……ええっと、何じゃっけ。野蛮人がどうたらこうたらじゃったっけ」


箒少女 「こいつが一生帰らなかったらさあ」

箒少女 「オレの鉄拳も無かったことになんないかなあ……」


ジリ ジリ


記録魔 「ひ、ひいぃ……っ!」




…………


ペチ ペチ


箒少女 「おらおら、どうだ優等生さんよ」

箒少女 「こんなもので顔をぶたれてよぉ」


記録魔 「いやあぁ……。くさい……これ、くさいぃ……っ」

記録魔 「おでこが……私のおでこがクサヤ臭くなるぅ……!」


箒少女 「へへへ、もう一枚増やしてやるぜ、クサヤガムをなあ」


記録魔 「いやああ!」


猫耳蛇娘 「ほーれ、お子様パンツにもたっぷり入れちゃるぞう」

猫耳蛇娘 「スカートぴらーん」


記録魔 「きゃああああ!」


箒少女 「覚悟しやがれ。全身ににおいが染み付くまで可愛がってやるぜ……」



母性巫女 「…………」

母性巫女 「あの……」


猫耳蛇娘 「手出し無用じゃ!」

猫耳蛇娘 「これが、全世界共通の歓迎の証じゃと言ったじゃろう」


母性巫女 「……ええー」


波魔法少女? 「ノーコメント」


母性巫女 「ええー……」




…………



錬金工房




フキ フキ フキ


記録魔 「グスッ……ヒック……」


母性巫女 「クンクン……まだとれませんね、におい」


フキ フキ フキ


記録魔 「クッ……屈辱っ……こんなっ、下着姿でっ、体を拭かれ……」


母性巫女 「あの、だからお風呂もありますから……」


記録魔 「ここから一歩も出たくありません!」

記録魔 「何ですか、錬金工房の外のあの惨状は!」


母性巫女 「あれでも片付いたんですよ」


記録魔 「浴場に行くまでに、わたくしは不潔死してしまいます!!」


母性巫女 「不潔死って……」


フキ フキ フキ


記録魔 「まったく……グス……これだから野蛮な未開世界は……」





母性巫女 「少しの辛抱ですよ。耳蛇さんが送り届けてくれるそうですから」


記録魔 「あんな人の助けなんて借りません!」

記録魔 「なんとしても、わたくしの力で帰ります!」


母性巫女 「それだと、この世界にいる時間が増えてしまいますよ」


記録魔 「うぐっ……」


母性巫女 「うーん。やっぱりたっぷりのお湯じゃないと、とれないでしょうか……」


フキ フキ フキ


記録魔 「…………」


母性巫女 「…………」


フキ フキ フキ


記録魔 「……と、当然のことです!」


母性巫女 「はい?」


記録魔 「わたくしは同盟公認の、選ばれし者ですから」

記録魔 「辺境世界の平民が汗水たらして尽くすのは、当然のことなんです」


母性巫女 「もう。またそんなこと言って」


フキ フキ


記録魔 「…………」




記録魔 「だいたい、あなたもあなたです」

記録魔 「泣くまで止めないなんて、怠慢にもほどがあります」


母性巫女 「ごめんなさい」


記録魔 「その前だって……わたくしが殴られる前に止めるべきでした」


母性巫女 「そうですね。ごめんなさい」


フキ フキ フキ


記録魔 「……い、今さら甲斐甲斐しく世話を焼くふりをしたって無駄ですよ」

記録魔 「このことは、しっかりと報告させていただきます」


母性巫女 「それは……きっと困りますね」


フキ フキ


記録魔 「…………」

記録魔 「…………っ」

記録魔 「もう結構! 自分で拭きます!」


ガシ バッ


母性巫女 「あっ」


記録魔 「ふん………」


ゴシ ゴシ ゴシ




…………


夜 

幼女魔王の城 廊下



フヨ フヨ フヨ


記録魔 「まったく、何たることでしょうこの城は。というかこの世界は」

記録魔 「統治者が交代してからまだ日は浅いようですが」

記録魔 「だとしても、ひどすぎます。外観はともかく、最低限の設備さえ揃っていないとは」


キョロ キョロ


記録魔 「しかも、城にいるのは下劣な愚か者ばかり」

記録魔 「ああ、汚らわしい、汚らわしい。天使である私は飛んで移動せざるを得ません」

記録魔 「グチグチグチグチ……」


フヨ フヨ フヨ


記録魔 「……ん?」


ペチャ クチャ


猫耳蛇娘の声 『……じゃからな…………』


箒少女の声 『……かよ……』


ペチャ クチャ モシャ モシャ


記録魔 (扉の向こうから、話し声)

記録魔 「…………」





食堂



猫耳蛇娘 「恵まれた能力によって巧妙に隠されておるが」

猫耳蛇娘 「実際はかなりのダメ人間なんじゃよ、あの母乳巫女は」


箒少女 「そうかね。オレはそうは思わないぜ」

箒少女 「飯は作ってくれたし、服は洗ってくれたし、部屋の掃除もしてくれたし」

箒少女 「姐さんのおかげで、中途半端に高い宿に泊まるよりいたれりつくせりだぜ」

箒少女 「箒がぶっ壊れてこりゃツイてねえ一日なって思ってたら、一転、ラッキーだもん」


猫耳蛇娘 「じゃから、それが騙されとるんじゃって」

猫耳蛇娘 「……良いか、あやつは麻薬みたいなもんなんじゃよ」


箒少女 「はあ?」




箒少女 「あんた、いきなり何を言い出すんだよ。のみすぎだろ」

箒少女 「仕事はどうなってんだよ。あんたが頑張らないと、オレ、いつまでたっても自分の世界に帰れないんだぜ」

箒少女 「なのに酒のんでつまみむさぼって……」


猫耳蛇娘 「それじゃ」


箒少女 「?」


猫耳蛇娘 「ワシが仕事をサボりがちなのも、あやつのせいなのじゃ」


箒少女 「やっぱりさぼってんのかよ」

箒少女 「正直、心のどこかで、何かしら知られざるプロの御技なんじゃねえかと期待していたぜ」

箒少女 「……あんたが酒浸りで怠けてることのどこが、姐さんのせいだってんだ?」


猫耳蛇娘 「はあ……よく聞けい」


ゴク ゴク 


猫耳蛇娘 「何もせんでも飯がでてきて、綺麗な服を着られて、あったかい湯につかれて、ふかふかのベッドでねられる」

猫耳蛇娘 「ここに来てから、ワシはそんな生活を送ってきたわけじゃ」


箒少女 「うん」


猫耳蛇娘 「…………」


箒少女 「………?」


猫耳蛇娘 「おまけに、酒も気のきいたつまみまで……」

猫耳蛇娘 「もう、働きたくなくなっちゃうじゃろうが!」


箒少女 「っ!?」



記録魔 「…………」






箒少女 「なに言ってんだよ、あんた」

箒少女 「本当になに言ってんだよ……」


猫耳蛇娘 「すべてはあの母性巫女のせいなのじゃ」

猫耳蛇娘 「あやつがワシの身の回りのお世話をほとんどすべて勝手にするから……!」

猫耳蛇娘 「ワシになにもさせてくれんから!」


箒少女 「やれよ」


猫耳蛇娘 「嫌じゃーーッ!」


箒少女 「!!」


猫耳蛇娘 「あああああ、嫌じゃ、嫌じゃ、いやなのじゃ」

猫耳蛇娘 「働かざるものが食えるなら」

猫耳蛇娘 「ワシは働きとうない!」

猫耳蛇娘 「いきつくところまでダメ人間になるのも厭わん!」

猫耳蛇娘 「猫のように暮らしたい!」


箒少女 「猫は、ダメじゃないだろ……」


猫耳蛇娘 「本当は嫌なのじゃ。働きたいのじゃ」

猫耳蛇娘 「しかし、あやつが働かせてくれんから!」

猫耳蛇娘 「ワシをドロッドロに甘やかすから!」


箒少女 「じゃあ働けよ」


猫耳蛇娘 「無理じゃ! あやつの毒牙(母性)からは、このワシも逃れられん!」


箒少女 「無理じゃねえだろ」


猫耳蛇娘 「くっそう、あやつがワシを甘やかさねば、ワシはガムシャラ働くのに!」

猫耳蛇娘 「あやつのせいで! あやつのせいでワシは働けんのじゃ!!」

猫耳蛇娘 「ぜんぶ、あやつのせいなのじゃ!」

猫耳蛇娘 「無念じゃ!」


ゴクゴク モシャモシャ

グウタラ グウタラ


箒少女 (……こいつ、ダメだ……)




記録魔 (ダメですね……)






猫耳蛇娘 「魔王じゃ……あれこそ魔王じゃ」

猫耳蛇娘 「平和による堕落で、ワシの牙を知らぬ間に折ってしまいおった」

猫耳蛇娘 「あの母性巫女こそが、母性の魔王だったんじゃ」

猫耳蛇娘 「きっと料理とか風呂の湯とか衣類とかに、堕落効果のある母乳とか染みこませていたに違いない」


箒少女 「ないだろ。淫魔の乳とかはそういうのあるって、魔女学校で聞いたことあったけど」


猫耳蛇娘 「あー、もうやられた。やられたのー」

猫耳蛇娘 「こうなったらもう、ワシは観念してグウタラするしかにゃい」


ゴロゴロ ゴロゴロ


猫耳蛇娘 「嫌なんじゃがのー。本当は働きたいんじゃがのー」


箒少女 「働けって」

箒少女 「まじで」


ゴロゴロ ゴロ……


猫耳蛇娘 「……じゃが」

猫耳蛇娘 「おぬしはまだ間に合う」


箒少女 「間に合うって何だよ」


猫耳蛇娘 「毒のまわりきらんうちに、この世界を出るのじゃ」

猫耳蛇娘 「この偽りの楽園……エデンをな」


グウタラ


箒少女 「だから、あんたが働いてくれないと出来ないんだって」


猫耳蛇娘 「ワシはもうダメじゃ……」

猫耳蛇娘 「母性巫女の甘やかしを存分に受けながら」

猫耳蛇娘 「ここで一生ぐうたら生きていくしかないのじゃー」

猫耳蛇娘 「さあ、ワシが母性巫女にめっちゃくちゃ甘えるから、その隙におぬしはこの世界を出るのじゃー」


ゴロゴロゴロゴロ


箒少女 「こいつ、本当に……」



記録魔 (ダメですね……)




猫耳蛇娘 「うにゃはーん」


ゴロゴロ


箒少女 「…………」

箒少女 「……だけど、そうだよな」

箒少女 「オレも、ごみごみした薄暗い魔法街のボロ部屋に帰ったところで……」

箒少女 「洗濯とかゴミ出しとか面倒だし、食料とか歯ブラシとかチェックして買い出しするのも面倒くさいし」

箒少女 「一方ここはボロ城ながら、のどかだし空気はうまいし、景観だけなら浮遊大陸の一等地並に良いし」

箒少女 「掃除しなくて良いし、料理つくってもらえるし」

箒少女 「だったら働かずに気ままに箒を乗り回しても……」

箒少女 「…………」


カチ コチ カチ

ホー ホー


箒少女 「…………」

箒少女 「うおー!」

箒少女 「くっそー! 帰りたくなくなってきたぜー!!」


ゴロゴロゴロゴロ





猫耳蛇娘 「にゃへらにゃへら」


箒少女 「ぬおー!」


ゴロゴロゴロ

グウタラグウタラ

ムシャムシャ モグモグ ゴクゴク

グウタラグウタラ


記録魔 「…………」

記録魔 (だ、駄目です)

記録魔 (早くこの城を出ないと……!!)


??? 「……あら」


記録魔 「!!!」


ビクッ


??? 「錬金工房にいないと思ったら」

母性巫女 「ここにいたんですね」


記録魔 「ヒィッ……!」





母性巫女 「…………」


ホワン ホワン


記録魔 (ううっ、見える気がします……。関わる者みな怠惰の海に落とす、ほんわかしたオーラが!)

記録魔 (負けてはいけません。私はエリート!)

記録魔 (おしゃぶりの頃から超名門盟立学院で死ぬほど努力して、勉強して)

記録魔 (エリートの証である盟主連の錬金工房管理ギルドに迎え入れられた勝ち組!)

記録魔 (ゆくゆくは第三大世界同盟の枢軸ど真ん中として、魔王たちをも管理する、輝かしい未来を約束された勝ち組!)

記録魔 (こんな辺境弱小世界の魔王の……しかもしもべごときに怯んではいけません!)

記録魔 「うぎ、ぎぎぎ……」


カクカク ガタガタ


母性巫女 「あ、あの……」


記録魔 「な、何の用でしゅか……こにょ魔王……っ!!」


母性巫女 「えっ……」


記録魔 「……こ、コホン」

記録魔 「スー、ハー、スー、ハー……」


母性巫女 「…………」


記録魔 「……この私に、ななな、何の用でしょうか?」


母性巫女 「……ええと」



母性巫女 「いちおう、記録魔用の部屋を用意したんですが……」


記録魔 「ささささ、様を!」


母性巫女 「?」


記録魔 「目上の者と話すときは、さ、さんさ、様をつけなさい! 敬意を払うのが当たり前です!」

記録魔 「わわ私は、あなたの主が属する組織で、あなたの主よりも高い地位にあるのですよ!」

記録魔 「この無礼者!」

記録魔 (お、落ち着くのです、記録魔。リザードマンの魔王相手にもうまくやれたのだから!)

記録魔 (こんな小柄な人型の一匹や二匹、恐れることなどないのです!)


母性巫女 「ご、ごめんなさい」


記録魔 (……やった! 謝らせた!)

記録魔 「わ、分かれば良いのです。許してあげます」

記録魔 「……コホン。そして、あなたもしつこい人です」

記録魔 「この城において、かなり、かなり妥協して、私にふさわしい部屋は」

記録魔 「あの錬金工房のみと言ったはずです」

記録魔 「他の部屋で寝るなんて……ああ、おぞましい。ゴキブリの巣で寝るようなものです」


母性巫女 「ゴキブリって……」




母性巫女 「あの、だったら家具を用意しましょうか。ベッドとか……」


記録魔 「いりません!」


母性巫女 「ですが」


記録魔 「うるさいです! あなたは、このボロ城にある家具程度を私にあてがおうというのですか」

記録魔 「とんだ侮辱です!」


母性巫女 「ごめんなさい。侮辱なんてするつもりじゃ……」


記録魔 「フンッ……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「せめて毛布だけでも……」


記録魔 「しつこいです!」


母性巫女 「ごめんなさい」




記録魔 「気分を害しました。工房に戻ります」


フヨ フヨ フヨ


母性巫女 「は、はい」

母性巫女 「……あの、明日の朝ごはんは何が良いですか」


記録魔 「……そうですね」


ニヤリ


記録魔 「では、サラダを」


母性巫女 「あら、サラダですね」


記録魔 「ええ、もちろん、分かっていると思いますが黄金の雲野菜をたっぷりとつかったサラダです」

記録魔 「ドレッシングは最高品質の虹蜜草を全種つかった極甘のものをうんと冷やして」


母性巫女 「え、ええと……」


記録魔 「まさか、ご存知ないんですか」

記録魔 「私がよく利用する五つ星レストランでは当たり前に出てくる」

記録魔 「たかだか大粒の貴石七つ分のお金で買える、ありふれた料理ですよ」

記録魔 「第三大世界で、ちょっと教養のある者なら、誰だって知っています」

記録魔 「まさか、ご存知ないんですか!」


母性巫女 「……ごめんなさい」


記録魔 「あきれました」

記録魔 「それで、よく朝ごはんを何にするかなんて平気で言えたものです」

記録魔 「思い上がりもはなはだしいです!」


母性巫女 「ごめんなさい……」


ペコ ペコ



記録魔 「私とあなたは住む次元が違うのです」

記録魔 「あなた程度の者が、余計な気などまわさなくてよろしい」


記録魔 「私が指示を出したときのみ、その指示通りに動けば良いのです」

記録魔 「そうやって愚かな者を賢い者が導いてこそ、世界は良い方へ流れていくのです」


母性巫女 「そうなんですか」


記録魔 「はいと答えなさい!」


母性巫女 「は、はい」


記録魔 「……フン」

記録魔 「では、失礼」


フヨ フヨ フヨ


母性巫女 「おやすみなさい」


記録魔 「…………」


フヨ フヨ フヨ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「あの、じゃあ朝ごはんはどうしましょう」


記録魔 「…………!」


フヨ


母性巫女 「今は他の世界? ……との行き来は難しくなっているし」

母性巫女 「良かったら、耳蛇に頼んで……」


記録魔 「…………」

記録魔 「~~~!!」

記録魔 「ですから!」




記録魔 「いりませんと言っています!」

記録魔 「あの無礼なニャンプールの助けなんかも借りません!」


母性巫女 「でも、食べないと……」


記録魔 「だったら餓死した方がマシです!!」


母性巫女 「そんな」

母性巫女 「ちゃんと食べなきゃ駄目ですよ」


記録魔 「うるさい! またそうやって決めつけて」

記録魔 「人の食べ物を食べると死ぬ種族もいる、ということを知って言っているのですか!」


母性巫女 「い、いいえ。そうなんですか、ごめんなさい」

母性巫女 「記録魔さまは、そうなんですか?」


記録魔 「どうでも良いです!」


母性巫女 「そんなことありませんよ」


記録魔 「もう!!」


ダム


母性巫女 「!」


記録魔 「もう! もう! もう! もう!!」


ダムダムダムダム


記録魔 「これだから馬鹿と話すのは嫌なのです。時間の無駄です!」

記録魔 「馬鹿は黙っていなさい。私の邪魔をしないでください!」

記録魔 「馬鹿に知識や言葉を与えたって、ろくなことになりやしない!」

記録魔 「賢いもの以外は喋ったり文字を使ったりできなくなるべきです!」


母性巫女 「は、はあ……」


記録魔 「もう絶対に! 私が許可したとき以外に話しかけないでください!」

記録魔 「失礼!」


フヨフヨフヨフヨフヨ





波魔法少女?

http://i.imgur.com/lhFJwvm.jpg


種族 :?
職業 :世捨て人/魔物交配士/触手の苗床/???
レベル :1/1/6/1
所属 :幼女魔王Nの世界?
そうび :きわどい衣・
固有 :絶対回避 


非戦闘ユニット。
所属させると、魔法系の施設の他、魔物の交配施設を利用できるようになる。
苗床にしたら、それ以外の運用はできなくなるので注意。
画像はフィクションです。



シィン


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「呆気にとられているようだ」


母性巫女 「わっ」

母性巫女 (いきなり波魔法少女があらわれた……)


波魔法少女? 「面白そうな話が聞こえた気がしたね」


母性巫女 「は、はあ……」


波魔法少女? 「次元がどうとか。特に興味深い」


母性巫女 「?」


波魔法少女? 「どうでも良い話だ」

波魔法少女? 「あの少女とは、どうもうまくいかないようだね」




母性巫女 「話がうまくかみ合わないというか」

母性巫女 「話についていけなくて……」


波魔法少女?「仕方ないだろう。価値観というか、世界観が違う」

波魔法少女? 「同じ言葉でも、それに対する考え方がまったく違えば」

波魔法少女? 「噛み合わなくもなる」


母性巫女 「そうでしょうか……」


波魔法少女? 「まあ、その方が良いかもしれない」

波魔法少女? 「喋る豚より、言葉の通じない豚を殺して食べる方が気が楽だろう」


母性巫女 「……はい?」




波魔法少女? 「世界や城の設備をある程度整えたら」

波魔法少女? 「それを守る力も整えていかなくてはいけない」

波魔法少女? 「兵を増やさないと」


母性巫女 「兵士……」


波魔法少女? 「とくに、ここの魔王は戦いに関してからっきしだからね」

波魔法少女? 「質の良い兵……というかしもべを揃えないと」

波魔法少女? 「そして小さい世界とはいえ、それなりに数は揃えなきゃならない」


母性巫女 「そうですか……」

母性巫女 「たしかに、私の故郷でも森を守護する騎士団がありましたけど……」


波魔法少女? 「この世界の主は内向的だし、人材を集める才能も無いが」

波魔法少女? 「幸い、魔物……それも触手をしもべにするタイプの魔王らしい」

波魔法少女? 「触手。兵を増やすことに、もっとも向いている魔物のひとつだ」


母性巫女 「…………」




波魔法少女? 「以前、彼女のしもべ触手を見る機会があってね」

波魔法少女? 「彼女程度の力量で、あれほどのものを従えられるか疑問ではあったが」

波魔法少女? 「それは置いておいて」

波魔法少女? 「手っ取り早く兵を増やすなら彼女のしもべ触手をつかうのが一番だ」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「何せ、どの種族でも良いから雌の個体を苗床として放りこんでおけば」

波魔法少女? 「うまくやれば、一日数十匹単位で増やせるからね」


母性巫女 「……ううっ」


ガタガタ 

ガク


波魔法少女? 「おや、どうしたんだい」


母性巫女 「い、いえ……」

母性巫女 「触手……苗床……お腹の下あたりに、何故だかすごく嫌な記憶が……」


波魔法少女? 「……なるほど」





母性巫女 「はぁ……っ……はぅ……っ……」

母性巫女 (気持ち悪いのに、体がぽかぽかしてきた……)


波魔法少女? 「辛い話だったか。大丈夫かい」


母性巫女 「え、ええ……」


ヨロ ヨロ


波魔法少女? 「酷だけど、しかし大きな価値観の違いには慣れるほかないと思うよ」

波魔法少女? 「自分が食べる野菜や肉の命をいちいち哀れんでいたら、生きていけないだろう」

波魔法少女? 「それと同じさ。目をつぶるか、受け流さなきゃいけない部分もある」

波魔法少女? 「我々は大きな世界から見たら、本当にちっぽけなものなのだから」

波魔法少女? 「世界中のすべてをどうこうしようとか、できないことで無力感に打ちひしがれる必要もない」


母性巫女 「え、ええ……」


波魔法少女? 「まあ、簡単に割り切れるものではないだろうけれどね」

波魔法少女? 「それに、かつて君の暮らしていた環境と、この魔王の治める世界とでは違いも大きいだろうし」


母性巫女 「そうですね……」


波魔法少女? 「だが、いま君が魔王のしもべとしてここにいるのも現実」

波魔法少女? 「君だけの常識に引きこもっていてはやっていけない」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「……どうしてもできないというなら、もとの世界に帰ることを本気で考えるべきかもしれないが」

波魔法少女? 「彼女に支配されていないうちに」


母性巫女 (……でも、そうしたら、あの子が)


波魔法少女? 「君がいなくなるのは痛手ではあるけれど」

波魔法少女? 「まあ、ここを敵の手に落とさないくらいならボクと彼女でもできるさ」


母性巫女 「………!」





波魔法少女? 「君が帰る手段を知っている猫の蛇も、協力してくれるだろう」

波魔法少女? 「幼女魔王Nも、君を無理に傍に置いていることを後悔しているかもしれない」

波魔法少女? 「君がここにいることで、彼女はさらに苦境に立たされているのかもしれない」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「もちろん、君がいないことで起こる不都合もあるわけで」

波魔法少女? 「さすがのボクもそれらをいちいち把握できないので」

波魔法少女? 「結局、君がどうしたいかに任せるほかないのだけれど」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「とにかく、兵を増やすことも考えていかないと」


母性巫女 「触手……苗床……それって、やっぱり」


波魔法少女? 「うん、しもべ触手の卵や幼体を雌に産ませる」


母性巫女 「……ッ」


波魔法少女? 「そうした方が強力なものが生まれやすいしね」

波魔法少女? 「……もちろん、交尾も行われるわけだ」

波魔法少女? 「ほとんど休みなく」


母性巫女 「…………うぅ」


フラ


波魔法少女? 「分かってかそうでないのか、野生のものたちも、そうやって他の種族の胎を使って数を増やすんだよ」

波魔法少女? 「ただ、異種族と交わるわけだから抵抗されることが多い」

波魔法少女? 「そのせいだろうが、触手の魔物は他種族の雌を虜にするための様々な術にたけている」

波魔法少女? 「体液が強力な媚薬だったり、そのへんの性魔術など足元にも及ばない呪いを使えたり……」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「だから、苗床にされる者たちは」

波魔法少女? 「個人や種としての尊厳やこれまでの人生を破壊された、自由の一切ない、交尾と産卵しか許されない」

波魔法少女? 「そんな生まれてきたことを呪うような一見悲惨な一生をおくることになっても」

波魔法少女? 「案外、本人は幸せなのかもしれないね」




母性巫女 (吐き気がしてきた……)


波魔法少女? 「でも、そういうことは、誰だってやっているだろう」

波魔法少女? 「生きるために、ほかの生き物を食べたりしているだろう」

波魔法少女? 「自分のために」


母性巫女 「それは……」


波魔法少女? 「難しいところだ」

波魔法少女? 「だからといって、自分が生きるためだけに、自分以外のものを顧みずに生きていたら」

波魔法少女? 「それはそれで生きにくい」

波魔法少女? 「邪魔だからといって全てに牙をむいていたら」

波魔法少女? 「それは結果的に命を縮める生き方になってしまうかもしれない」

波魔法少女? 「他人のためを考えて動くことが正解のときもある」

波魔法少女? 「それも、言ってしまえば自分のためにだが」


母性巫女 「…………」





波魔法少女? 「人生において妥協するところと、そうでないところが」

波魔法少女? 「はっきりと分かっていれば良いのだけれど」

波魔法少女? 「しかしそれすらも揺らぐことがある」

波魔法少女? 「触手ある魔物にとって当たり前の種の繁栄も」

波魔法少女? 「君にとっては到底受け入れられるものではなかったろう」


母性巫女 「は、はい」


波魔法少女? 「それは正しいことなのだろう。君の暮らしていた環境では」

波魔法少女? 「ただ、ここで生きていくには、そのままでは難しい」

波魔法少女? 「君なりの正しさを捨てることはないが」

波魔法少女? 「君の知らなかった正しさを知り、許すことができないと」


母性巫女 「私の知らない正しさ……」


波魔法少女? 「でなければ、君も、君に関わるものも、きっと不幸になってしまう」

波魔法少女? 「正しさと別の正しさが強く拒絶し合えば、戦争になるように」


母性巫女 「…………」





母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「悩んでいるかい」


母性巫女 「え、ええ。それは、もう」


波魔法少女? 「良いことだ」


母性巫女 「そうでしょうか」


波魔法少女? 「悩んだり迷ったりするということは、弱さかもしれないが」

波魔法少女? 「変わっていける可能性があるということだ」

波魔法少女? 「望む方にも、望まない方にも」


母性巫女 「望まない方って……」


波魔法少女? 「それも強さであり、勇気だと思うよ」

波魔法少女? 「迷い悩む勇気」


母性巫女 「勇気ですか」


波魔法少女? 「悩んだり迷ったり、そして変化していくことは、とても恐ろしいことなんだ」

波魔法少女? 「自分がこれまで過ごした時間を否定するようなものだし、自分がとても弱く惨めに思えてしまう」

波魔法少女? 「だから育ってきた環境や、価値観を信じ込んで、思い込んで」

波魔法少女? 「それを自分の芯にして」

波魔法少女? 「その芯をぽっきり折りかねない、あまりにも考え方の異なる人や文化なんかを」

波魔法少女? 「相容れないものとして排除しようとする」

波魔法少女? 「……猫耳蛇娘も、そうなのかもしれないね。長く生きてきたみたいだから、とくに」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「それは正しいことだ」

波魔法少女? 「自分や、自分の大切なものを守ろうとしているのだから」

波魔法少女? 「そうしなければ守れないものも多々あるのだから」

波魔法少女? 「けれど」

波魔法少女? 「いろいろなものに悩みながら、迷いながら」

波魔法少女? 「変わることに恐れながらも変わっていくことも、悪いことでは無いと思うよ」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「だから恐れずに悩むと良い」

波魔法少女? 「その結果、君が何を捨てることになろうとも」




母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「さて、今のところ、苗床できそうなのは」

波魔法少女? 「猫耳蛇娘に箒少女……」

波魔法少女? 「もちろんボクもだし、君もそうだ」

波魔法少女? 「そしてあの記録魔に」

波魔法少女? 「幼女魔王N」


母性巫女 「そ、そんな淡々と……」


波魔法少女? 「幼女魔王Nは論外だ。いや、彼女が淫魔だったりそれなりの耐性があれば、それが一番だけれど」

波魔法少女? 「彼女が苗床になったら、理性も何もかも吹っ飛んでしまうだろうから、城の運営どころじゃなくなる」

波魔法少女? 「猫耳蛇娘は結界を張るまで待たなきゃならない」

波魔法少女? 「君を苗床にするのは最高の剣をトイレのつっかえ棒に使うくらいちぐはぐだ」

波魔法少女? 「……いや、魔王を薙ぎ払えるようなものすごい化物をぽんぽん生み出してしまいそうな気もするが」


母性巫女 「い、いや……っ」


波魔法少女? 「母性あふるる君も、さすがに乙女だね」

波魔法少女? 「可もなく不可もなく使えるのは、箒少女と記録魔かな」

波魔法少女? 「君がここに残るなら、ボクもそこに入れて良いだろう」

波魔法少女? 「ボクが入れ知恵しなくても、君なら独学で幼女魔王Nを補佐できるようになるだろうし」


母性巫女 「そ、そんな……」


波魔法少女? 「まあ、兵力増については彼女が起きてこない限り進まない話だ」

波魔法少女? 「頭のすみに置いてくれたら良いさ」




波魔法少女? 「ふむ……」

波魔法少女? 「となると、やはり、猫の蛇には頑張って結界を張ってもらわないと」


母性巫女 「え、ええ」

母性巫女 「結界があれば、その……」


波魔法少女? 「女の子たちを触手の苗床にしなくてよくなるかって?」

波魔法少女? 「どうだろうね。物事に万全はあってほしくないし」


母性巫女 「ええっ……」


波魔法少女? 「城の魔力供給用にもつかえるだろうし」

波魔法少女? 「いまあげた五人じゃないにしても、どこかからいくらか攫ってしまうと便利だと思うけれど」


母性巫女 「そうですか……」





波魔法少女? 「城の設備を機能させるにはそれなりに魔力が必要だ」

波魔法少女? 「魔力は住人たちのものから少しずつ使われるが、ここは住人が少ない」


母性巫女 (だったら、住人を増やせば良いのかしら)


波魔法少女? 「……いや」

波魔法少女? 「あては、あるかもしれないな」


母性巫女 「?」


波魔法少女? 「ふむ。しかし、危険すぎる」

波魔法少女? 「やっぱり、猫の蛇くんには頑張ってもらうしかないか」


母性巫女 「あの……」


波魔法少女? 「……ああ、うん」

波魔法少女? 「このことについては、時が来たら説明するよ」

波魔法少女? 「そう遠い日ではないだろうが、君が知るべきでないことかもしれない」


母性巫女 「?」



波魔法少女? 「さて、猫耳蛇娘の尻に火をつけてくるとしよう」

波魔法少女? 「そのつもりで来たのだからね」

波魔法少女? 「どうせ、あの部屋で飲んだくれているのだろう」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「でも、夜も遅くなるから、ちゃんと休んでもらわないと」


波魔法少女? 「と、のんびり構えたかったんだけどね」

波魔法少女? 「大丈夫さ。魔女は夜の生き物だから」

波魔法少女? 「では、失礼」


スタスタスタ

ガチャ


母性巫女 「…………」




幼女魔王Nの部屋



カチ コチ カチ コチ


ガチャ

コツ コツ コツ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (やっぱり寝ている。寝返りをうった様子もない……)

母性巫女 「……うぅ」


ガタガタ ブルブル


母性巫女 (駄目だわ。触れるどころか、Nの顔を見るのも恐ろしくなっている)

母性巫女 (日に日に、ひどくなっていくみたい)


幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」


母性巫女 (ずっと眠り続けて、もうどれくらいなのかしら)

母性巫女 (何も食べないで、大丈夫なのかしら)


幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」


母性巫女 (…………)



カチ コチ カチ



…………




…………


幼女魔王Nの城
屋根裏の書斎跡地



波魔法少女? 「……ほう。幼女魔王Nに触ることができない」


母性巫女 「はい」


波魔法少女? 「日に日にひどくなっているんだね」


母性巫女 「ええ。はじめは何とか抱えることもできていたけれど」

母性巫女 「今では、あの子の部屋に入るだけでも体が震えて……」


波魔法少女? 「ふむ……」

波魔法少女? 「奴隷が逆らわないよう、主への畏怖の念をうえつける呪いがあるにはあるが」


母性巫女 「奴隷……」


波魔法少女? 「君は強制的にしもべにされたのだからね」

波魔法少女? 「儀式によってそういう呪いがかけられていてもおかしくはない、かもしれない」

波魔法少女? 「魔王によるしもべの儀式は結構謎な部分も多いから、何とも言えないけれど」





母性巫女 「……ここは、いったい」


波魔法少女? 「この世界の記憶」

波魔法少女? 「……が、かつて保管されていた場所だ」


母性巫女 「世界の記憶」


波魔法少女? 「彼女の前任者たち、魔王か勇者かが統治していたころのこの世界の記録が」

波魔法少女? 「詰まっていた」


母性巫女 「詰まっていた……かつて保管されていた」


波魔法少女? 「そう、今はもう無い。今ここにあるのは、トロルが作ったような不細工な本棚のみだ」

波魔法少女? 「やがて魔王となる幼い少女が訪れる頃には遺跡と化していた、時間から忘れ去られたようなこの小さな世界で、かつて何が起きたのか」

波魔法少女? 「ボクとしてはロマンを感じるけれどね」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「話がそれてしまったね」




波魔法少女? 「儀式による呪いのせいだとしたら」

波魔法少女? 「君はどうしたいのかな」


母性巫女 「え?」


波魔法少女? 「彼女に触れられるようになりたいとか」


母性巫女 「それは……」


波魔法少女? 「なったところで、君は以前のように彼女を抱き上げられないかもしれないんじゃないかな」

波魔法少女? 「君の命を弄んだ相手だよ」

波魔法少女? 「君が様々な人との関わりなどでこつこつと歩んできた人生を、勝手な都合で壊し」

波魔法少女? 「不完全とはいえ君を意志なき傀儡にしてしまった」

波魔法少女? 「幼女魔王Nの無知を鑑みても、これはなかなかエグみの強い所業だと思うけどね」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「儀式が関係していないとするなら」

波魔法少女? 「君は自分でも気づかないほど深いところで、彼女を拒絶しているとも考えられる」

波魔法少女? 「奇跡的に意志の復活した、何に対しても母性的な愛情をもって接する君の生き方が、それを自覚させてない、とか」


母性巫女 「私が……」


波魔法少女? 「きっと大切なことなのだろうね」

波魔法少女? 「君が彼女に対して抱く、本当の気持ちが何であるかを、君自身が見定めるのは」




…………



幼女魔王Nの部屋



幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」

幼女魔王N 「……ムニャ」


モゾ


幼女魔王N 「うぅーん……うーん……」


モゾ モゾ

ムクリ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……おしっこ」




ガチャ キイイ

テク テク テク



幼女魔王Nの城 廊下



幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (いっつもなら、何回か床の穴とか瓦礫につまずいて転ぶのに)

幼女魔王N (今日は何事もなく歩けてる)


テク テク テク テク


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (何かしら)

幼女魔王N (たしかに私のお城なのに、ものすごく違和感がある)

幼女魔王N (……ま、イイか)


テク テク テク


幼女魔王N (ええと、何だっけ。大事なことを忘れているような……)

幼女魔王N (そうだわ、ペニステの魔法チャージコードが壊れているんだったわ)

幼女魔王N (これで何回買い換えることになるのかしら。ちょっと脆すぎよね)

幼女魔王N (本体重いし……)


ヌッ


??? 「やあ」


幼女魔王N 「わひゃ!?」

幼女魔王N (曲がり角で誰かが出てきた!)




出てきたのは……? >>685


1.波魔法少女?
2.元波魔法少女
3.淫魔幼女にボロ負けして魔物出産マシーンにされていたあの人
4.幼女魔王Nをナイスボデーにするスイッチ
5.ラスボス


1

>>685 ミス

出てきたのは……? >>686


1.波魔法少女?
2.元波魔法少女
3.淫魔幼女にボロ負けして魔物出産マシーンにされていたあの人
4.幼女魔王Nをナイスボデーにするスイッチ
5.ラスボス



??? 「ごめんよ、驚かせてしまったかな」

波魔法少女? 「だが、曲がり角と十字路は気をつけて歩くべきだ」

波魔法少女? 「悪魔はそういうところに潜むというから」


幼女魔王N 「ひゃ……ふぺぺ……」

幼女魔王N (どうして!? このお城には私しかいないはずなのに)

幼女魔王N (……あれ、でもこの人、どこかで見たような……)


波魔法少女?「魔王である君に対して言うことでもない気もするのだけれどね」

波魔法少女? 「ピンクちゃん」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……!!」


波魔法少女? 「この場合は、悪魔じゃなく」

波魔法少女? 「勇者とか、魔王や魔物の天敵のようなものを挙げたら良かったかな」


幼女魔王N (色んなことを思い出した!)




波魔法少女? 「伸びてはいるが、髪が小綺麗になっているね」

波魔法少女? 「教会で暮らしていたころは、何というか、もっと地味だった」


幼女魔王N (私がお世話になった教会の地下で、ひどいことをしていた人!)

幼女魔王N 「び、びび……美触手!!」


ズズズズ


美触手 「…………」


幼女魔王N は しもべを呼んだ!
美触手 が 現れた!


波魔法少女? 「おお、この子だよ。懐かしいなあ」


美触手 「クュルルル」


ブオン スカッ


波魔法少女? は 死んでしまった!
美触手 の こうげき!
波魔法少女? は レベルが上がった!
波魔法少女? に 7900のダメージ!
波魔法少女? は 混乱した!
波魔法少女? は 7000点を獲得した!


波魔法少女? 「うん。当然ながら、嫌われているようだね」


幼女魔王N 「???」

幼女魔王N (美触手の攻撃がきいていないみたい)




波魔法少女? 「その美しい触手の魔物」

波魔法少女? 「君の、触手を従える力は、むしろ彼女のもののようだけれど」

波魔法少女? 「じゃあ君は、どこでどうやって彼女をしもべにしたのだろう」


美触手 「…………」


幼女魔王N (どどどど、どうしよう……)

幼女魔王N 「わ、わばば……」


波魔法少女? 「だが、意外だね。人型の方のしもべを呼ばないとは……」


幼女魔王N (そ、そうだわ……)

幼女魔王N 「……それっ!」


ダダダダダ


幼女魔王N は逃げ出した!




ダダダダ


幼女魔王N 「ひい、ふう……」


波魔法少女? 「まあまあ、待ってくれたまえ」


幼女魔王N 「きゃあっ」

幼女魔王N (いつの間にか回り込まれてしまった!)


波魔法少女? 「ボクはもう君の敵じゃあ無いんだよ」

波魔法少女? 「そして、君はボクの恩人なんだ」


幼女魔王N 「あ、あわわ」

幼女魔王N (終わった。死ぬよりひどい目に合わされる。怖い……)


ヘナヘナヘナ

ペタン


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「君のおかげで、今のボクがあるのだよ」

波魔法少女? 「いろいろなものを失ったけれど」

波魔法少女? 「いろいろな、大切なものを失ったけれど」

波魔法少女? 「そのおかげで、ボクは概ね幸せでいられるのだよ」

波魔法少女? 「だから、そんなに怖がらないでおくれ」


幼女魔王N 「……う」

幼女魔王N 「うぇええ……」

幼女魔王N 「うえぇん……グスン……うええぇん……!」

幼女魔王N 「うえええええ゛え゛……!!」


波魔法少女? 「ああ、魔王が泣き出してしまった……」





グズ グズ

ビィ ビィ


幼女魔王N 「ふええええん」

幼女魔王N 「ぶえぇええん……!」


波魔法少女? 「ああ、どうしよう」

波魔法少女? 「ボクは……」

波魔法少女? 「……おや?」


フヨ フヨ フヨ


記録魔 「……何ですか! 朝っぱらから騒々しいです」

記録魔 「またあの、とくに野蛮な二人が何かをしているのですか!」


波魔法少女? 「やあ、苗床」


記録魔 「は?」


波魔法少女? 「いや、失礼」

波魔法少女? 「おはよう、記録魔。今日も不機嫌なようだね」


記録魔 「誰のせいだと……」

記録魔 「?」


幼女魔王N 「えーん、えーん」


記録魔 「その子供は……」


波魔法少女? 「統治者だよ」




記録魔 「なんてこと。この子供が……」


幼女魔王N 「うええええ……」


記録魔 「……まあっ、何とみすぼらしい」

記録魔 「髪も手入れしていないし、顔はヨダレと涙でぐちゃぐちゃ」

記録魔 「下等娼婦も着ないような気品の無い服だし……」

記録魔 「まさに、この世界とこの城を体現するような、惨めで小さな魔王ですね!」


波魔法少女? 「口も相変わらずのようだ」


記録魔 「魔貴族家のお嬢様の気品を、少しでも分けてもらうべきです」

記録魔 「責任感も無い。同盟の使者たる私を迎える義務も放り出して」

記録魔 「……ああ、本当に汚らしい、けがらわしい」


幼女魔王N 「ぶぅ、ふぅ……えっ、グスッ……うえぇえん……!」


記録魔 「ああ! 早く泣き止ませてください!」

記録魔 「耳が痛くなります!」


波魔法少女? 「悲しいことに、ボクにはできないんだ」




幼女魔王N 「えーん、えーん……」


記録魔 「ああ、何でよりにもよって、私はこんな世界に閉じ込められたんでしょう……」


幼女魔王N 「えーん、えーん……」


記録魔 「本当に、みすぼらしい。気持ち悪い」


幼女魔王N 「えーん……」


記録魔 「…………」


幼女魔王N 「ふえぇ……ふえぇ……」


記録魔 「…………」

記録魔 「…………」


キュン




幼女魔王N 「うえぇ……ふえぇ……」


記録魔 「こんな惨めな生き物」

記録魔 「初めて……」

記録魔 「どうしてかしら、私、何だか……」


波魔法少女? 「優しい気持ちに?」


記録魔 「……はぅあっ?」

記録魔 「ま、ままま、まさか!」

記録魔 「最高級の教育により最高級の感性を育んだ私が」

記録魔 「こんな薄汚れたみすぼらしい下級魔王を、そんなわけ……!」


母性巫女 「大丈夫ですか、魔王さま」


記録魔 「きゃあ!?」


母性巫女 「…………」


記録魔 「……な、なんだ、あなたですか」

記録魔 「いきなり私の後ろに現れるのはやめなさい!」





母性巫女 「大丈夫ですか、魔王さま」


ニコ ニコ

テク テク テク


記録魔 「ちょ、ちょっと、無視ですか!」


母性巫女 「魔王さま、大丈夫ですか?」


テク テク


記録魔 「ちょっと、ねえ……」

記録魔 「…………?」


幼女魔王N 「うええぇ……」


母性巫女 「よいしょ」


ダキ


幼女魔王N 「……グスン、エグッ」


母性巫女 「よしよし」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「………ばぶぅ」


母性巫女 「よしよし」


ナデ ナデ ナデ ナデ


記録魔 「…………」


ナデ ナデ ナデ ナデ




記録魔 「……何ですか、いったい」


波魔法少女? 「母性巫女の様子がおかしい?」


記録魔 「ええ」

記録魔 「……ええ、いえ、そうですが」

記録魔 「それよりも、この二人は」


母性巫女 「……うふふ」


幼女魔王N 「……ばぶぅ」


波魔法少女? 「異様に見えるかい」


記録魔 「ええ……」


波魔法少女? 「仲の良い姉妹や親子には見えないかい?」


記録魔 「まさか! この気持ち悪いものが、そんなものには見えません」

記録魔 「血肉を通わせて心だけ入れ忘れた人形が、生き物の真似をしているような」

記録魔 「こんな、うすら寒くて気持ち悪くて……」

記録魔 「気持ち悪くて……」


波魔法少女? 「哀れなものが」




記録魔 「あ、ありえません!」

記録魔 「私がこのような卑しい者たちを、いちいち哀れむなど……」


波魔法少女? 「珍しいものではないだろうに」

波魔法少女? 「魔王と、儀式で縛られ傀儡となったそのしもべだよ」

波魔法少女? 「魔王である幼女魔王Nが、しもべである母性巫女に、自分を慰めるよう無意識に命令したんだ」


記録魔 「……そ、そう」

記録魔 「あはは! そうです、魔王とその傀儡」

記録魔 「フフンッ……こんなの、何も珍しくありません!」

記録魔 「…………」


波魔法少女? 「傀儡でないときの母性巫女を知ったあとだと」

波魔法少女? 「複雑な気持ちかな」


記録魔 「そんなわけ……!」

記録魔 「……傀儡で、なかった?」





幼女魔王N 「ばぶ……ばぶ……キャッキャッ」


母性巫女 「うふふ……」



波魔法少女? 「あの魔王は、とても弱くて惨めなのさ」


記録魔 「見て分かります」


波魔法少女? 「あまりに弱くて惨めなものだから」

波魔法少女? 「思い通りにしもべもつくれない」

波魔法少女? 「あんな惨めな生き物は初めて見た」


記録魔 「…………」


波魔法少女? 「ボクはかつて、魔族とか魔物なんて類はこの世の最底辺に位置する、滅ぶべきクズだと思っていた」

波魔法少女? 「もちろん憐れむ価値についてなど考えたこともない」

波魔法少女? 「ところが、彼女はボクの予想を遥かに超えてクズだった」

波魔法少女? 「唾棄すべきほどに生きる力に乏しく、本当に、忌々しいほどに」


記録魔 「…………ッ」


ゾク




波魔法少女? 「経験上、誰かに守られてやっと生きているような存在が大嫌いだったからね」

波魔法少女? 「当然、彼女のこともそんな風に見ていた」


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「……いつしか、その目も曇らされてしまった」

波魔法少女? 「どうしてあれほど命が薄いのか、惨めなのか」

波魔法少女? 「ありとあらゆる残念なものをかきあつめてできた、さらに残念なものに」

波魔法少女? 「ボクは神秘と奇跡を感じるようになったんだ」


記録魔 「うっとりと語っていますが」

記録魔 「とんでもない悪口になっていますね」




波魔法少女? 「はじめは小さなその戸惑いが」

波魔法少女? 「やがて今のボクの誕生に大きく関わるわけだが」

波魔法少女? 「……さて」

波魔法少女? 「この二人のこのような関係を、この二人は全く望んでいないと知ったら」

波魔法少女? 「高貴なる君は何を思うのだろう」


記録魔 「え……」


幼女魔王N 「……キャッ、キャッ」


母性巫女 「うふふ……」


記録魔 「…………」




…………




幼女魔王Nの部屋



ナデ ナデ


幼女魔王N 「キャッキャッ……ばぶぅ……」

幼女魔王N 「ばぶ…………」

幼女魔王N 「あん?」

幼女魔王N (あれ、私ったら何してるんだろう)

幼女魔王N (そうだわ! お城の廊下で敵と出くわして……)


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……ああ」

幼女魔王N 「そうか。私、まだ色々と忘れていたみたい」


母性巫女 「…………」


ニコ ニコ

ナデ ナデ


幼女魔王N 「ありがとう、もう良いわ、母性巫女」


母性巫女 「はい、魔王さま」




幼女魔王N (あーあ、寝ている間だけなのね。起きているときのことを忘れられるのは)

幼女魔王N (ずっと寝ていたいわ。起きているときなんて、ずっと嫌なことばっかり)

幼女魔王N (何やってもうまくいかないし、生きているだけで、嫌なことばっかり)

幼女魔王N 「はあ……」


波魔法少女? 「落ち着いてくれたかい」


ヌッ


幼女魔王N 「わひゃっ」


ビクッ


幼女魔王N 「……ああ、また現れた」


波魔法少女? 「また驚かせてしまったようだが」

波魔法少女? 「今度は攻撃も逃げもしないようで、助かるよ」


幼女魔王N 「ごめんなさい。私なんかを殺す手間をかけさせてしまって」


波魔法少女? 「さっきの今で、卑屈だね」


幼女魔王N 「難しい言葉は分からないわ」


波魔法少女? 「君の命を狙って来たんじゃないよ」


幼女魔王N 「そう」


波魔法少女? 「興味ないのかい」


幼女魔王N 「そんなことないわ」


波魔法少女? 「本当は?」


幼女魔王N 「どうでも良いわ」


波魔法少女? 「そうかい」




幼女魔王N 「眠いわ。起きていたって、何もすることが無いの」


波魔法少女? 「それは悲しいね」


幼女魔王N 「何をしたら良いか分からないの。何をしたいか分からないの」

幼女魔王N 「どうせ、頑張ったって何もできないもの」


波魔法少女? 「ますます悲しい」


幼女魔王N 「もうずっと寝ていたい。寝かせて」


波魔法少女? 「伝言を頼まれたんだ」

波魔法少女? 「母性巫女に」

波魔法少女? 「子守唄ではないけれど」




幼女魔王N 「!?」

幼女魔王N 「え゛、母性巫女!?」


ガバ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……いつの」


波魔法少女? 「昨日の夜だね」


幼女魔王N 「………は」

幼女魔王N 「嘘ね。ひどい」

幼女魔王N 「だって昨日なら、母性巫女はとっくにしもべの儀式を受けた後だもの」


波魔法少女? 「昨日だよ」


幼女魔王N 「嘘ね」


波魔法少女? 「本当さ」

波魔法少女? 「お風呂でお菓子を食べたりしていないか」

波魔法少女? 「心配していたよ」


幼女魔王N 「……!!」

幼女魔王N 「どうして、そのことを……」


波魔法少女? 「少しは聞いてくれる気になったかな」


幼女魔王N 「…………」




波魔法少女? 「伝言といっても、正直、大したものじゃない。大事なのは」

波魔法少女? 「彼女が完全に傀儡になったわけでないことを、君が知ることだ」


幼女魔王N 「母性巫女……」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「今はこんな状態だけれどね」

波魔法少女? 「君が眠っているとき、彼女は自分の意志で行動していたんだよ」


幼女魔王N 「夜の間ってこと?」


波魔法少女? 「眠っている間だ」


幼女魔王N 「…………?」


波魔法少女? 「君は、何日も眠り続けていたんだ」


幼女魔王N 「……? ……?」


波魔法少女? 「ゆっくりと話をしよう」





…………


カチ コチ カチ コチ


幼女魔王N 「……ど」

幼女魔王N 「どゆこと?」


波魔法少女? 「ボクも断言できる部分は少ないんだけどね」

波魔法少女? 「とにかく、君が起きている間は母性巫女は傀儡となり」

波魔法少女? 「君が長く眠っている間は本来の意志を取り戻して自由に動くことができる」

波魔法少女? 「というのは間違いなさそうだ」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「………で、でも」

幼女魔王N 「しもべの儀式をしたら、もう人形のままだって」

幼女魔王N 「もとには戻らないって……」


波魔法少女? 「しかし、実際に彼女は意志を持って動いていた」


幼女魔王N 「そ……っ」


波魔法少女? 「まあ、次もそうなるかは分からないが」




幼女魔王N (母性巫女が生きている……)


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「彼女は儀式をうけるにあたり、一度死んでいるのだよね」


幼女魔王N 「……うん」


波魔法少女? 「君が殺したんだね」


幼女魔王N 「ち、違う。私じゃない」

幼女魔王N 「玉触手が……」


波魔法少女? 「しもべに命じて殺したんだね」


幼女魔王N 「……っ」

幼女魔王N 「し……仕方なかったんだもん」

幼女魔王N 「そうしないと、母性巫女……」


波魔法少女? 「責めているわけじゃない」

波魔法少女? 「ただの確認さ」


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「さて、彼女からの伝言だ」





幼女魔王N (そうよ、仕方なかったのよ)

幼女魔王N (母性巫女、あのままだと交尾して触手を産む以外考えられなくなるって、淫魔幼女が言ったもの)

幼女魔王N (だから、私のしもべにして助けたのよ)

幼女魔王N (私、悪くないもん……)


波魔法少女? 「さて、何から伝えようかな……」


幼女魔王N 「………ゴクッ」

幼女魔王N (母性巫女……)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (どう思うのかしら。目が覚めたら、いきなり知らない世界で)

幼女魔王N (……う、ううん、私は悪くないわ。むしろ、感謝されるべきだもん)

幼女魔王N (……でも、もしも)

幼女魔王N 「…………」


ポワ ポワ ポワ ポワ




ポワ ポワ ポワ



幼女魔王Nの城(妄想)




母性巫女 『わあい、元に戻りました』


幼女魔王N 『わあい。母性巫女ー、母性巫女ー!』


母性巫女 『N』


幼女魔王N 『なあに、母性巫女!』


母性巫女 『絶対許さない』


幼女魔王N 『!?』


母性巫女 『魔王のくせに私を殺して無理やりしもべにしたので』

母性巫女 『これからは毎朝、Nの歯と爪を全部引っこ抜きます』

母性巫女 『それからご飯は全部卵スライムにしましょう』

母性巫女 『Nのお風呂のお湯は全部熱い油にして、入る前には必ずNの皮膚を全部剥ぎます』


幼女魔王N 『ひええ~……』


母性巫女 『Nが三千億万回、ごめんなさいって言ったら』

母性巫女 『Nの手足を引っこ抜いて森リッチの巣に放り込んで、私は故郷の世界に帰ります』


幼女魔王N 『うえーん、うえーん!』

幼女魔王N 『ごめんなさい、母性巫女~!』


母性巫女 『絶対許さない』

母性巫女 『さあ、もうすぐお風呂の時間ですよ』


ガシ ベリベリベリ


幼女魔王N 『うえ゛え゛え゛ん!!』

幼女魔王N 『いだいよぉ! 許して母性巫女、母性巫゛女゛ぉ゛! うえ゛え゛げぇ゛……!!』

 

ポワ ポワ ポワ ポワ





ポワ ポワ ポワ


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「まあ、特別なものではないよ」

波魔法少女? 「らしいというか、のんきなくせに心配性だね、彼女は」


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「ええと、まずは……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「………わああああああ!!」


ダッッ


波魔法少女? 「あっ」

波魔法少女? 「ちょっと、待っ……」


幼女魔王N 「わーー! わーー!」



幼女魔王N は逃げ出した!






幼女魔王Nの城 廊下



ダ ダ ダ ダ ダ


幼女魔王N (聞きたくない、ぜったい聞きたくない!)

幼女魔王N (ぜったい母性巫女、ぜったい怒ってるもん)

幼女魔王N (今度こそぜったい私のこと嫌いになるもん!)


ダ ダ ダ ダ

ニョコ


波魔法少女? 「逃げ出すことないだろうに」


幼女魔王N 「ひゃっ」


波魔法少女? 「ええと……」

波魔法少女? 「お風呂に入る前には……」


幼女魔王N 「わーー! わーー!」


バヒュン

ダダダダダダ


波魔法少女? 「加速した」

波魔法少女? 「やれやれ……」




幼女魔王の城 食堂



箒少女 「くあぁ、よく寝た……」

箒少女 「あれ、今日は朝ごはんが用意されていないぞ」

箒少女 「母性巫女の姐さんも寝坊することあるんかね」

箒少女 「……って、猫耳もどきと波もいないじゃないか」


ダダダダダ


箒少女 「ん? 何だ、このドタバタした無駄の多い足音は」


バタム


幼女魔王N 「ゼエ、ハア、ゼエ、ハア……」


箒少女 「……おー!」

箒少女 「あの日のピンク。起きてきたのかあ」


幼女魔王N 「………あ、ぅあ」

幼女魔王N (たしか、配達の人。どうしてここにいるのかしら)


箒少女 「何だよお前~、奴隷かと思ったらここの魔王だったのかよー」

箒少女 「すっかり騙されてたぜ」

箒少女 「ガム食う?」


板ガム ピンクスライム味


幼女魔王N 「……!!」




幼女魔王N 「……ぁ、その……えっと……」


箒少女 「何だよ、遠慮してんの?」

箒少女 「相変わらずモジモジしてんなあ」


波魔法少女? 「箒少女」


幼女魔王N 「!」


箒少女 「あ、波。いきなり出てくるなよ」

箒少女 「なあ、今日の朝ごはんさ……」


波魔法少女? 「その子をおさえて」

波魔法少女? 「話をしたいが、すぐ逃げ出そうとする」


箒少女 「え?」


幼女魔王N 「……っ!」

幼女魔王N 「どいて!」


タタタ……


箒少女 「あ、おい」

箒少女 「うりゃっ」


箒少女 の 転ばし!


幼女魔王N 「ふに゛ゃっ!!」


ズデン ペロン


幼女魔王N は転んでしまった!




幼女魔王N 「……う、ぐぐぐ……ふえぇ」


ポロ ポロ


箒少女 「お、おいおい、ちょっと転ばしただけだよ」

箒少女 「泣くなよぉ、魔王だろ……」

箒少女 「パンツ丸見えだし」


波魔法少女? 「何はともあれ、これで少しは落ち着いたかな」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「…………」


ズズズズ


美触手 「…………」


箒少女 「うわっ!? 何か出てきた!」


波魔法少女? 「敵じゃない。が、近づかない方が良い」


幼女魔王N (こうなったら、別の世界に逃げる)


美触手 「…………」


ヒュパ ヒュパ ヒュパ

ガシャン


箒少女 「空間がガラスみたいに割れたぞ」


波魔法少女? 「別の世界に渡って逃げる気か」


箒少女 「えっ。おい、そりゃ止めないと」

箒少女 「確か、猫の奴が……」


幼女魔王N 「ふはははははは!」

幼女魔王N 「さらばに゛ょ!」

幼女魔王N (また噛んだ……)

幼女魔王N 「……とうっ」


バッ

バリバリバリバリ

バシュン


幼女魔王N 「ぎゃっ!?」

幼女魔王N (美触手が作ってくれた空間の裂け目に飛び込んだら)

幼女魔王N (弾かれた……)




幼女魔王N 「うえええ……」


箒少女 「すごいな、こいつ」

箒少女 「やることなすこと、全部あわれで見てられねえよ……」


波魔法少女? 「どうして逃げだしたんだい、ピンクちゃん」


幼女魔王N 「……ヒック、グスッ、うええぇ」


箒少女 「あー、こりゃ駄目だ」

箒少女 「小っちゃな子供は、こうなったらもう何も聞きゃしない」

箒少女 「母親に押し付けて、あやさせるっきゃないよ」

箒少女 「オレの親戚のとこの子供もそうだったもん」


波魔法少女? 「その母親がね……」


ネコネコネコネコ

バタム


猫耳蛇娘 「にゃああ゛あ゛!!」

猫耳蛇娘 「誰じゃい、世界を渡ろうとしおったアホは!」


波魔法少女? 「猫耳くん」


箒少女 「うるせえのが来ちゃったよ」




猫耳蛇娘 「結界を書き換えるためのデリケートな作業にかかるから」

猫耳蛇娘 「ワシが良いと言うまで絶対に他の世界へ渡ろうとするなと言っとったのに」

猫耳蛇娘 「昨日言ったのに!」

猫耳蛇娘 「どういうこっちゃ! おかげでやり直しじゃあ!」


箒少女 「まあ怒んなよ。脳みその皺が弾け飛ぶぜ」

箒少女 「ガム食う?」


猫耳蛇娘 「いるかい! 終わるまで飲まず食わずじゃ!」

猫耳蛇娘 「……って」


幼女魔王N 「……グス、ヒック」

幼女魔王N (……誰だったっけ。たしか、猫舌蛇頭……?)


猫耳蛇娘 「何じゃ、起きてきたんかいピンク」


波魔法少女? 「つい今朝のことだ」


箒少女 「今はちょっと取り乱し中でさ、話が出来ないみたいなんだよ」


猫耳蛇娘 「はあん?」

猫耳蛇娘 「何じゃー……情けないのう、おぬしら」

猫耳蛇娘 「二人がかりで、子供一匹あやせんのかのー」


箒少女 「うわ、むかつく。これ見よがしに偉そうになったよ」


波魔法少女? 「君ならできるのかい?」


猫耳蛇娘 「まあのー」

猫耳蛇娘 「何たって、ワシとこやつは篤い信頼によって結ばれとる狩り友じゃからのー」

猫耳蛇娘 「のう、Nー?」


ポム


幼女魔王N (頭に手を置かれた……)

幼女魔王N 「……て、そうだわ。思い出した」

幼女魔王N 「私(のしもべ触手)に負けた人」


猫耳蛇娘 「えっ!?」





幼女魔王N 「魔王である私に勝負をしかけてきて」

幼女魔王N 「ボコボコのニュルニュルにされた人」


猫耳蛇娘 「い、いや、それはおぬしじゃのーて、あの母性巫女とデカい触手に……」


箒少女 「ふっひひひっ!」

箒少女 「何だよお前、このピンクに負けたの? ボコボコにされて?」

箒少女 「オレでも余裕で勝てたのに」


猫耳蛇娘 「や、やかましいわ!」

猫耳蛇娘 「……あ、あれー、おぼえとらんかのー?」

猫耳蛇娘 「ほら、ワシとペニステやって、財産を分かち合い、お金十割風呂に入ったじゃろー?」


幼女魔王N 「おぼえとらん」


猫耳蛇娘 「ばっさりかい」

猫耳蛇娘 「ふざけんなよ、おぬし! あんなに一緒に遊んだのに!」


幼女魔王N 「ひっ……」


箒少女 「おいおい、今さら見苦しいぜ猫耳さんよぉ」


波魔法少女? 「ともあれ、もう逃げ出さないかな」




…………



魔動画 『ザザー……ガッ……ブツンッ』

魔動画 『ザザ……ザザ……ブツン』

魔動画 『…………』


波魔法少女? 「……えーと、次は」

波魔法少女? 「歯を磨くときは、くすぐったくてもちゃんとベロまで磨くように」


幼女魔王N (母性巫女からの伝言)


波魔法少女? 「お菓子は綺麗に食べるように」

波魔法少女? 「おねしょをしても泣かないように」

波魔法少女? 「スカートのときに人前で足をひろげて座る癖をなおすように」


幼女魔王N (怖いことは何も無いけど……)


箒少女 「何か、普通だなー」

箒少女 「もっと無いのかよ。泣ける感じのとか、衝撃の告白とかさ」


猫耳蛇娘 「肩透かしっちゅうか、期待はずれじゃよな」

猫耳蛇娘 「普通すぎてつまらん魔乳じゃよ」

猫耳蛇娘 「ああいうのが恋人に浮気されるんじゃ」


幼女魔王N 「…………」





波魔法少女? 「……下着は毎日かえるように」

波魔法少女? 「魔動画で漫画を見るのもそこそこに、たまには外で遊ぶように」

波魔法少女? 「お風呂上がりは耳の中も拭いて、ちゃんと髪を乾かすように」

波魔法少女? 「それから……」


猫耳蛇娘 「まだ続くんかい」


幼女魔王N 「最初の方、忘れた」


箒少女 「というか、まとまりもへったくれも無いよ」


波魔法少女? 「そうする時間がなかったんだ」

波魔法少女? 「家事を終えて一息ついている彼女に」

波魔法少女? 「ご主人様に伝えることをまとめておいた方が良いよ、というような話をしていた矢先さ」

波魔法少女? 「魔力が瞬いたと思ったら、ハチミツがゆっくりと瓶に溜まっていくように、彼女はトロトロと眠りについた」


猫耳蛇娘 「そして、こやつが目覚めたっちゅうわけかい」


幼女魔王N 「え……」


波魔法少女? 「だいぶ時間差はあったけどね」

波魔法少女? 「単純に、ピンクちゃんが眠っているときには絶対に母性巫女くんが目覚めている……というわけではないようだ」




猫耳蛇娘 「しかし、しもべの儀式による縛りはしっかりしとるじゃろ?」


波魔法少女? 「それは間違いないようだ」

波魔法少女? 「明らかに母性巫女の方が魔力・精神力・体力その他もろもろで勝っているが」

波魔法少女? 「主導権はピンクちゃん……失礼、主人である幼女魔王Nが握っている」

波魔法少女? 「そうだろう?」


幼女魔王N 「……んえ?」

幼女魔王N (しまった、ボーッとしていたわ)


波魔法少女? 「母性巫女くんは、君の言うことに忠実なのだよね」


幼女魔王N 「う……うん」

幼女魔王N 「で、でも、違うの。知らなかったの」

幼女魔王N 「ちゃんと元通りの母性巫女になると思って……」


波魔法少女? 「ああ、そうだろうとも」

波魔法少女? 「……しもべの儀式は一応成功したんだろう」

波魔法少女? 「ボクが実際に儀式に立ち会っていないという、最も大きな問題に目を閉じて考えるならだが」


猫耳蛇娘 「そこなんじゃよな」

猫耳蛇娘 「行われたのが傀儡にする類のしもべの儀式だと考えたら」

猫耳蛇娘 「しもべに自我が戻るなんてことは絶対にありえんことじゃが」

猫耳蛇娘 「万が一、この世界に伝わるしもべの儀式が、ものっそい珍しいものじゃったとしたら……」


幼女魔王N (……難しい話をしているわ。きっと私は知らなくても良い話ね)

幼女魔王N (でも今みたいに急に話しかけられるかもしれないから、注意しておこう)


波魔法少女? 「大世界接近の影響か、母性巫女の体質か、偶然か……」

波魔法少女? 「さて、いったい何が作用しているのやら」


幼女魔王N (…………なんだか、お腹へったな。お菓子食べたい)




波魔法少女N 「しかし、困ったね」

波魔法少女N 「幼女魔王Nが目覚めのは喜ばしいことだが」

波魔法少女N 「いま母性巫女を失った痛手は大きい」


猫耳蛇娘 「あやつ一人で家事も城の運営も戦闘もまわしとったからな」

猫耳蛇娘 「ワシの結界もまだ不完全じゃし」


箒少女 「姐さんのご飯も食べられないのかあ」


波魔法少女? 「ピンクちゃん」


幼女魔王N 「……私のことね?」


波魔法少女? 「母性巫女くんをしもべにむかえるまで」

波魔法少女? 「魔王である君が、一人でこの世界を統治していたんだね」


幼女魔王N 「え、ええ」

幼女魔王N 「……フフン。大変だったわ。魔王とはいえ、一人で世界を統治するのは」


猫耳蛇娘 「ワシ、こやつの知り合いと知り合いなんじゃが」

猫耳蛇娘 「ひどいもんじゃったらしいよ」


箒少女 「たしかに、この城の荒れ様が物語ってたな」


幼女魔王N 「…………」




波魔法少女? 「未知の大世界接近によって、この世界が属する界域は不安定な状態にある」

波魔法少女? 「備えなければならない」

波魔法少女? 「外の脅威に対しては……」


猫耳蛇娘 「ワシが絶賛稼働中じゃ」

猫耳蛇娘 「結界が完成すれば、大魔王級の軍団でさえうかつに攻めては来れんくなるわい」


幼女魔王N 「ふうん」

幼女魔王N (やるわね。私に負けたくせに)


猫耳蛇娘 「なんかおぬし、やっぱワシのこと軽んじてね?」


波魔法少女? 「ここは信頼して良いだろう。ボクが知る中で、彼女は最高の結界術師だ」

波魔法少女? 「さぼりたがりであっても」


猫耳蛇娘 「にゃおうっ……」


波魔法少女? 「……そして、内側。この城だ」

波魔法少女? 「一部の設備が整っているとはいえ、まだまだ城としては機能していない」


幼女魔王N (淫魔幼女も言っていたわね)

幼女魔王N (あの人、何しているのかしら……)

幼女魔王N (……嫌だわ。もう思い出したくもない)




波魔法少女? 「幸い、玉座はかなり良いものだ」


幼女魔王N 「頑張ってつくったもの」

幼女魔王N 「お城で一番大事なところだから」

幼女魔王N (って、誰か言ってた)


波魔法少女? 「うん。あれならかなりのレベルまで城を発展させることができるだろう」

波魔法少女? 「とりあえずは、マイナスに等しい状態をどうにかしなくては、だけれど」


幼女魔王N 「で、でも……」

幼女魔王N 「やりかた、分からない………」


波魔法少女? 「だろうね」

波魔法少女? 「できる限りボクがサポートするつもりだ」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N 「……どうして?」


波魔法少女? 「どういうことかな」


幼女魔王N 「だって、あなた……」


波魔法少女? 「敵かい?」


幼女魔王N 「う、うん。だって……」


波魔法少女? 「敵だったものが味方になるなんて」

波魔法少女? 「よくあることさ」

波魔法少女? 「大丈夫だよ。ボクは誰にも傷つけられないが、誰かを傷つけることもできない」


幼女魔王N 「…………?」


猫耳蛇娘 「…………」


波魔法少女? 「ピンクちゃん、君は恩人なんだ。君のおかげで今のボクがある」

波魔法少女? 「だからその恩を返そうとしているだけさ」


幼女魔王N 「………そうね」

幼女魔王N 「どっちでも良いわ」




幼女魔王N 「そうよ、私、どっちでも良いもん」


ドヨ ドヨ


波魔法少女? 「ピンクちゃん?」


箒少女 「なんか、急に雰囲気が変わったぞ」

箒少女 「ドヨンとしたっていうか……」


猫耳蛇娘 「これがあるんじゃよ、この娘は」

猫耳蛇娘 「躁鬱自在といったところか」


幼女魔王N 「発展させたって楽しいことなんてないもん」

幼女魔王N 「いいえ、今さら頑張ったって遅いもん」

幼女魔王N 「お城なんてどうなったって良いわ」

幼女魔王N 「いいえ、いっそ私と一緒に潰れちゃえば良いのよ」


箒少女 「おいおい」


波魔法少女? 「…………」

波魔法少女? 「母性巫女が完全に自我を取り戻したとき」

波魔法少女? 「そんなことじゃ、がっかりするかもしれないよ」


幼女魔王N 「……!!」




幼女魔王N 「母性巫女……?」


パアアアアアアアアアアアア


箒少女 「あ、雰囲気が桃色になった。くどいくらいに」


猫耳蛇娘 「おピンク幼女モードじゃな」


波魔法少女? 「伝言からも分かるように、彼女は君のことを心配しているんだ」

波魔法少女? (かといって、殺害と傀儡化の件で好意に振り切れているわけじゃないことは伏せておくが)

波魔法少女? 「ちょっとだけ、頑張ってみないかい?」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……しょ、証拠!」


波魔法少女? 「うん?」


幼女魔王N 「母性巫女、ちゃんと本物の母性巫女が残っている証拠……!」


猫耳蛇娘 「疑り深いのう」


箒少女 「オレ、この城で母性巫女の姐さんの料理を食べたよ」

箒少女 「何だっけ、ほら、森野菜に何とかソースを何とかしたキノコステーキの何とか」


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「たしかに、あれはおいしい……」


猫耳蛇娘 「ワシはイタズラで、あやつのスカートめくってパンツおろそうとして」

猫耳蛇娘 「スカートめくったらパンツはいとらんで」

猫耳蛇娘 「んで、おしおきで尻叩きされた」

猫耳蛇娘 「ぜんぜん痛くなかった」


幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N 「たしかに母性巫女はパンツをはいていないときがある」

幼女魔王N 「おしおきのお尻叩きも痛くない。チョップの方が強い」

幼女魔王N 「……信ぴょう性が高い!」




箒少女 「お前そんなことしてたのかよ……」


猫耳蛇娘 「何じゃい、箒娘」


波魔法少女? 「信じてもらえたかい?」


幼女魔王N 「う、うん……!」

幼女魔王N (母性巫女、消えてない。まだちゃんと残ってるんだ)

幼女魔王N (母性巫女、母性巫女……!)


波魔法少女? 「正直に言って、彼女を元に戻す方法は分からない」

波魔法少女? 「けれど、彼女の心はちゃんと残っている」

波魔法少女? 「君の前に、傀儡ではない彼女が戻ってくる可能性はゼロじゃない」

波魔法少女? 「だったら、今のうちに頑張って母性巫女をびっくりさせてみないかい?」


幼女魔王N 「う、うん! うん!」

幼女魔王N 「私、頑張る! 頑張って良い子になる!」

幼女魔王N 「お城を発展させて、母性巫女にぎゅってしてもらう!」


波魔法少女? 「その意気だ」


幼女魔王N 「ナデナデも! ナデナデもしてもらう!」


波魔法少女? 「そうとも、してもらうと良い」

波魔法少女? (彼女にその気があればだけれど)




…………


幼女魔王Nの城 厨房



グツグツグツ コトコト


幼女魔王N 「……ええと、鍋の蓋をしてどのくらい待つんだっけ」

幼女魔王N (なんだか、料理の腕が全体的になまっているみたい)

幼女魔王N (いろいろ忘れているし、味覚も変な感じ)


??? 「……お」

記録魔 「お皿」


幼女魔王N 「ひゃいっ!?」


ビクッ ピョイーン


記録魔 「きゃっ」

記録魔 「失礼な。急に変な声を出して飛び上がって!」


幼女魔王N 「あ、あ……」

幼女魔王N (……知らない人だ。でも何だか見覚えがある)


記録魔 「お皿はまだですか」


幼女魔王N 「おさ……?」


記録魔 「この私が、お皿を食卓まで運んでさしあげようと言っているのです!」


幼女魔王N 「……え、あっ……」

幼女魔王N 「まだ………」

幼女魔王N (なんだか、偉そうな人。きっと偉いんだわ。どうしてここにいるんだろう)


記録魔 「まだ!? 何時だと思っているのですか!」


幼女魔王N 「ひっ!?」


記録魔 「まったく、これだから……」

記録魔 「……ん?」


幼女魔王N 「…………」


ガタガタ ブルブル


記録魔 「……コホン」

記録魔 「べ、別に、起こっているわけではありません」

記録魔 「怖がることはありません」


幼女魔王N 「は、はい……」

幼女魔王N (刺々しいけど、何だか優しそう……)


>>739 訂正ごめんなさい


…………


幼女魔王Nの城 厨房



グツグツグツ コトコト


幼女魔王N 「……ええと、鍋の蓋をしてどのくらい待つんだっけ」

幼女魔王N (なんだか、料理の腕が全体的になまっているみたい)

幼女魔王N (いろいろ忘れているし、味覚も変な感じ)


??? 「……お」

記録魔 「お皿」


幼女魔王N 「ひゃいっ!?」


ビクッ ピョイーン


記録魔 「きゃっ」

記録魔 「失礼な。急に変な声を出して飛び上がって!」


幼女魔王N 「あ、あ……」

幼女魔王N (……知らない人だ。でも何だか見覚えがある)


記録魔 「お皿はまだですか」


幼女魔王N 「おさ……?」


記録魔 「この私が、お皿を食卓まで運んでさしあげようと言っているのです!」


幼女魔王N 「……え、あっ……」

幼女魔王N 「まだ………」

幼女魔王N (なんだか、偉そうな人。きっと偉いんだわ。どうしてここにいるんだろう)


記録魔 「まだ!? 何時だと思っているのですか!」


幼女魔王N 「ひっ!?」


記録魔 「まったく、これだから……」

記録魔 「……ん?」


幼女魔王N 「…………」


ガタガタ ブルブル


記録魔 「……コホン」

記録魔 「べ、別に、怒っているわけではありません」

記録魔 「怖がることはありません」


幼女魔王N 「は、はい……」

幼女魔王N (刺々しいけど、何だか優しそう……)



グツグツ コトコト

カチャカチャ


記録魔 「……まったく、本当にまったく」

記録魔 「今の今まで工房を使わなかったなんて、統治者として……ブツブツブツ」


幼女魔王N 「ご、ごめんなさい……」


シュン


記録魔 「………っ」


キュン


記録魔 「べ、別に怒っているわけではありません!」

記録魔 「ま、まったく、これだから下等な……」


幼女魔王N 「うぅ……」


記録魔 「……コホンッ」

記録魔 「いえ、ですから……」


グツグツ


記録魔 「……そ」

記録魔 「そう! どうして料理などしているのですか!」

記録魔 「魔王のくせに! あの下等な人たちのために!」


幼女魔王N 「だ、だって、お客さんだから……」


記録魔 「もっと統治者としての自覚を、誇りを……!」


幼女魔王N 「ご、ごめんなさ……」


記録魔 「……っ」


キュン


記録魔 「コホンッ。で、ですから、怒っているわけでは……ゴニョゴニ」



>>733
名前表記訂正

波魔法少女N→波魔法少女?


ごめんなさいごめんなさい……

























記録魔 「コホンッ……」

記録魔 「どうですか、そろそろできそうですか」


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「た、たぶん……」


記録魔 「たぶん!? そんなあいまいな……!」


幼女魔王N 「ひっ…………」


記録魔 「い、いえ……そうですか。しかたありませんね」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (怒ったり優しくなったり、忙しい人……)


シュウシュウ カチ カチ

グツグツ


記録魔 「……ま、まったく。私は本来、このような場所に立つような者ではありません」

記録魔 「第三大世界同盟のエリート……そう、辺境世界のいち魔王にすぎないあなたより、ずっと立場が上なのです、私は」


幼女魔王N 「はい……」

幼女魔王N (やっぱり、どうやら偉い人らしい。よく分からないけれど)


記録魔 「わ、わかっていれば良いのです」




幼女魔王N 「…………」


記録魔 「…………」


幼女魔王N (でも本当、どうして、この人ここにいるんだろう)

幼女魔王N (母性巫女の伝言には一切その存在を触れられていなかったけれど)


記録魔 「……どうなのですか」


幼女魔王N 「何が?」


記録魔 「は?」


幼女魔王N 「あ、ああっ……えーっと、んーっと、うん……」

幼女魔王N 「……例の件ね」

幼女魔王N 「ふふ……彼もよくやってくれているわ。私の……」


記録魔 「城は発展させられそうですかと聞いているの!」


幼女魔王N 「ひゃっ」

幼女魔王N (本当、ころころ変わってせわしない人ね)

幼女魔王N (私は一貫してクールビューティーだというのに)

幼女魔王N 「さ、さあ……」


記録魔 「さあ!?」

記録魔 「さあですって!?」


ズオォ


幼女魔王N 「ひぃっ」




記録魔 「自分の城のことですよ!」

記録魔 「それを、さあって!」

記録魔 「あなた、魔王としての自覚は本当にあるの!?」


幼女魔王N 「うっ……ぅふ゛ええぇ……」


グスン


記録魔 「……っ」

記録魔 「や、やめなさい。怒ったわけでは……」


幼女魔王N 「うそ……怖かった……」


記録魔 「ほ……本当です。私は高貴なる選ばれしエリート」

記録魔 「些細なことで怒ったりしません」


幼女魔王N 「……グスッ」


記録魔 「…………」

記録魔 「か、仮にも魔王がいつまでも泣かないでください!」

記録魔 「……調子が狂うわね、本当……」




グツグツ シュラシュラ


記録魔 「……よ、良いにおいですね」

記録魔 「今日の朝ごはんは何ですか」


幼女魔王N (そういえば、この人の分は用意していなかったわ)

幼女魔王N (泣いて頭がすっきりしているし、うまくごまかしましょう)

幼女魔王N 「い、いえ、げへへ、同盟のお偉いさんに食べさせられるようなものは、作ってないでゲスよ」


記録魔 「卑屈というか、下衆にならないで」

記録魔 「……ふふん! たしかに、私は四ツ星以上の料理に慣れ親しんでおりますが」

記録魔 「この舌で、同盟に属する弱小世界の食の発展に貢献してさしあげようという気概もあります」

記録魔 「もちろん、同盟全体のさらなる向上のためであり」

記録魔 「あなたを哀れんだとか、心を開いたとか、心をゆるしたとか、そういうことではありません」


幼女魔王N 「は、はあ……」

幼女魔王N (つまり食べたいのね。まあ、一人分くらい、やりくりすればどうにかなるでしょうけど)

幼女魔王N (こんなに必死に朝ごはんに執着するなんて)

幼女魔王N (さては食いしんぼさんね)




ニョコ


波魔法少女? 「やあ、調子はどうだい」


波魔法少女? があらわれた!


記録魔 「!」


幼女魔王N 「きゃっ」

幼女魔王N (床から生えてきた。この人、何なのかしら)

幼女魔王N (……ゴースト?)


波魔法少女? 「おや、この場所では珍しい顔がいる」

波魔法少女? 「ごめんよ、二人とも驚かせてしまったようだね」


幼女魔王N 「……N」


波魔法少女? 「波のNかい? ああ、たしかにそうだね」


記録魔 「な、何しに来たんです!」


波魔法少女? 「朝ごはんができる頃かと思ってね」

波魔法少女? 「君の方こそ、こんなところで何を?」

波魔法少女? 「これまで、下等で野蛮で汚らわしいと言って近づかなかったのに」

波魔法少女? 「何か心境の変化でもあったかな?」


記録魔 「それは……」


幼女魔王N 「…………」


記録魔 「……べ、べつに!」

記録魔 「ごみ捨て場と間違って来ただけです! 部屋のゴミがたまっていましたので!」


幼女魔王N 「え?」


記録魔 「まったく、回収にくらい来なさい」

記録魔 「この私が自らゴミ出しをするなんて。私はエリートなのですよ!」


幼女魔王N 「え……」


記録魔 「良いですね! 分かりましたね!」

記録魔 「では、失礼!」


フヨ フヨ フヨ フヨ

キイイ バタム


幼女魔王N 「行っちゃった……」




幼女魔王N (なんだか、不安定な人だったわ)

幼女魔王N (その点において、彼女と私は対極に位置していると言えるであろう)

幼女魔王N (私は癒しと安定を司るような気がする土の属性が得意だし)

幼女魔王N (彼女はきっと風の属性を得意としているわね)


波魔法少女? 「ふむ、なるほど」

波魔法少女? 「彼女は甘やかされるより、甘やかす対象との相性が良いのか」

波魔法少女? 「これは思わぬ驚き……というか、苗床的に都合が悪いというか」


グツ グツ シュラララ

カタトトト


幼女魔王N 「あ、できた」


カパ ホワワ


波魔法少女? 「おお、美味しそうにできているじゃないか」

波魔法少女? 「なんというか、地属性なスープだ」


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N (良かった……)


幼女魔王N の 料理スキル が上がった!
激甘触手チュロス を作れるようになった!
オリーブパン を作れるようになった!
グラニサード(キウイ) を作れるようになった!




波魔法少女? 「では、さっそくお運びするとしよう」

波魔法少女? 「この料理を見れば、食堂で腹を鳴らしている二人も君を見直すだろう」


幼女魔王N 「えへへ……」

幼女魔王N 「いちおう、さっきの不安定な幼女の分もあるけど……」


波魔法少女? 「ふむ……」

波魔法少女? 「そうだな、君が持って行ってあげると良い」


幼女魔王N 「え……」


波魔法少女? 「いちおうさ。断られたら持って帰ってくれば良い」


幼女魔王N 「で、でも、あの人、怒鳴ったりする……」


波魔法少女? 「母性巫女はそうしていた」


幼女魔王N 「母性巫女が……」

幼女魔王N 「う、うん。じゃあ、私もやる」


波魔法少女? 「良い子だ」

波魔法少女? 「心配しなくても、君が相手なら、彼女はつとめて理性的であろうとするだろう」


幼女魔王N 「そ、そうなの」


波魔法少女? 「場所は錬金工房だよ。彼女は食堂では食べない」

波魔法少女? 「というか、あの二人と一緒の場所で食べない。物凄く相性が悪くてね」

波魔法少女? 「まあ、一番相性が悪かったのは……」


幼女魔王N 「……錬金工房?」


波魔法少女? 「ああ、そうか。君は知らないのだったね」




…………


錬金工房前



幼女魔王N (錬金工房。白いアーチが輝いて、扉の向こうはまるで明るい庭園に続いているよう)

幼女魔王N (母性巫女ったら、こんなものつくってたのね)

幼女魔王N (……目が覚めたら、知らない人がいっぱいいて)

幼女魔王N (お城にも知らない設備ができてたり、塞がっていた通路が綺麗になっていたり)

幼女魔王N (私のお城が、別の物になってるみたい……)

幼女魔王N 「スー、ハー。スー、ハー」

幼女魔王N 「……よし」


コン コン コン


幼女魔王N (私のお城なのに、ノックしなきゃいけないなんて……)



『…………』

記録魔の声 『誰ですか』


幼女魔王N 「よヒッ……コホン」

幼女魔王N 「魔王です……魔王よ」

幼女魔王N 「…………」


カタ ガコン

キイイ


記録魔 「…………」


幼女魔王N 「……あの、ごはん……朝の……」


記録魔 「……!」


幼女魔王N (な、なんか怒ってる?)

幼女魔王N 「……スープ。お野菜の……」


記録魔 「…………」


キョロ キョロ キョロ


幼女魔王N (キョロキョロしだした)


記録魔 「……誰も、いませんね」


幼女魔王N 「え?」


記録魔 「何でもありません。中へ入りなさい」


幼女魔王N 「はい……」

幼女魔王N 「え、ええ……」





http://i.imgur.com/5viVYBe.jpg


幼女魔王N 「移転?」

幼女魔王N 「その話……今じゃないと駄目かしら……!?」




ごめんなさい違う待ってごめんなさい
違うsage忘れごめんなさい
>>764はR-18です注意ごめんなさい



錬金工房



記録魔 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「あ、あの……」

幼女魔王N 「ごはん、どこに……」


記録魔 「その机に置いて」


幼女魔王N 「は、はい」


カタ


幼女魔王N (……ピカピカの机)

幼女魔王N (私の部屋にも、こんな立派な脚の机はない)

幼女魔王N (……というかこの工房が、お城の中で一番立派なんじゃないかしら)




パク パク

モシャモシャ


記録魔 「……まったく、工房をほったらかしとは」

記録魔 「いったいどういう運営をしてきたのですか」


幼女魔王N 「……ご、ごめんなさい」


ゴキュゴキュゴキュ


記録魔 「その分だと、どうせ素材集めなんてやったこともないでしょう」


幼女魔王N 「い、一回だけ……」


記録魔 「ふんっ、一回ですって?」

記録魔 「良いですか」

記録魔 「統治者である魔王や勇者といえど、駆け出しのころは」

記録魔 「地道にモンスターと戦ったり、迷宮や未踏の領域を踏破したりして素材を集め」

記録魔 「それを工房でさまざまなアイテムにし」

記録魔 「統治する世界の発展や、新たな地での素材集めなどに役立てるものなのです」


幼女魔王N 「…………」


記録魔 「つまり!」

記録魔 「工房とは、世界に欠かせないものなのです」

記録魔 「浴場などよりも、いえ、真っ先に設置するべき施設なのです!」

記録魔 「そもそもあなたは……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……スピー」


記録魔 「聞いているのですか!!」


幼女魔王N 「ひゃいっ……!」




記録魔 「短パン魔王という人をご存知ですか」


幼女魔王N 「あ……」

幼女魔王N (何か聞き覚えがある)


記録魔 「ええ、知らないでしょうとも」

記録魔 「彼女は統治300日に満たずして」

記録魔 「魔動画番組、突撃若手魔王でも取り上げられる活躍をしています」

記録魔 「統治300日をとうに過ぎているあなたなんかより、よっぽど!」


幼女魔王N 「うぅ……」


記録魔 「先日、私も彼女の世界を訪ねましたが」

記録魔 「立派な城どころか、町もいくつか出来ていましたよ」

記録魔 「移住希望者もあとをたちません」

記録魔 「……ここの住人は何人ですか?」


幼女魔王N 「えっと、んと、私と……」

幼女魔王N 「……えっと、えへへぇ、母性巫女と……」

幼女魔王N 「波の人と、箒の人と、何か白いのと……」

幼女魔王N 「美触手と、カブトムシのシャミッソーくんと、綿ボコリのダスティちゃんと……」

幼女魔王N (な、なんとか十人くらいいないかな……)


記録魔 「彼女のところは七万人を超えました!」


幼女魔王N 「………!!」




記録魔 「悔しくないのですか」

記録魔 「後輩に追い抜かれて、こんなお小言をもらって」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (七万人……七万人かあ……)

幼女魔王N (すごいなあ。どうやったら、どんな宣伝をしたらそんなに集まるんだろう)

幼女魔王N (町も、どうやってつくるの。お城を綺麗にする方法も分からないのに……)

幼女魔王N (ほかの人は私より才能があって、どんどん頑張ってすごくなっていく)

幼女魔王N (私は才能がなくて、やる気も出ないから頑張っても遅れるし頑張らなくても遅れる)

幼女魔王N (…………)


記録魔 「日頃だらだらして無駄に時間をすごしているから」

記録魔 「他の者が頑張っているときに堕落し、気が付けば大きな差になるのです」

記録魔 「なんと、惨めな……グチグチグチグチ」


グチグチグチグチ


幼女魔王N 「………」

幼女魔王N 「……グスン」


記録魔 「グチグチグチグ………あ……」


幼女魔王N 「……ぅう」

幼女魔王N 「うう……グス……うぅうう……」

幼女魔王N 「私……っ……ヒック、グス……」


記録魔 「い、いえ、今のはその……」


幼女魔王N 「どうせ、駄目だもん。どうせっ……魔王、向いてないもん……っ」

幼女魔王N 「頑張っても、どうせ……どうせ、駄目だもん……!!」

幼女魔王N 「うっく……ヒクッ、ヒグッ……うぅ……グスン……」


記録魔 「…………ご」

記録魔 「ごめん……なさい」

記録魔 「言い過ぎました」


幼女魔王N 「グスッ……グスッ……」




…………


幼女魔王N 「…………グス」


記録魔 「落ち着きましたか」


幼女魔王N 「………うん」


記録魔 「ホッ……」

記録魔 「……ん、コホン」

記録魔 「ま、まあ、しかたありません」

記録魔 「私もしばらくの間お世話になるのですから」

記録魔 「錬金工房の使いかたについて、特別に教えてさしあげます」

記録魔 「エリートである私に無料で教わる機会など、滅多に無いことですよ」


幼女魔王N 「……い、いい」

幼女魔王N 「ゲームやってる方が楽し……」


記録魔 「あなたという人は本当に……!!!」


幼女魔王N 「ひっ……」

幼女魔王N 「わか……分かりました……」


ガタ ガタ ブル ブル


記録魔 「……っ。コホンッ」

記録魔 「……い」

記録魔 「いただいた、お料理……」

記録魔 「…………」

記録魔 「たいへん……美味しかったですよ」




>>29

http://i.imgur.com/uwPucNJ.jpg

>>773
なかったことに


http://i.imgur.com/0Vn5ec7.jpg







■記録魔


http://i.imgur.com/kj2TCHR.jpg


種族 :堕天使
職業 :釜の錬金術師 / 速記術士
レベル:055 /03
所属 :第三大世界同盟立高位錬金ギルド
そうび :エリートの作業服(支給) / 黒歴史書 / 色眼鏡
固有 :母性 / 同性愛 / 劣等感


第三大世界同盟の公認錬金ギルドから派遣された少女。
地位や肩書きこそが力だと考えている。
みじめな者には寛大で、自分より地位が低くてスペックが高い者にきつく当たる。





□波魔法少女? によるキャラ雑感

戦闘にもサポートにもつかえるユニット。
錬金工房に配置すると作業効率がアップするが、城内の人間関係が悪化する。
固有スキル「母性」を持った年上のユニットとの相性は最悪。
幼女魔王Nが使いこなすのは難しいので、触手の苗床として運用するのが良いと思う。








幼女魔王Nの城 錬金工房



記録魔 「……さて、本来ならば」

記録魔 「第三大世界同盟公認の錬金ギルド員である私が」

記録魔 「特定の世界に肩入れするのは好ましいことではないのですが」


幼女魔王N (話、長いなあ)

幼女魔王N (今日は頑張ってお庭の掃除をする予定だったのに)

幼女魔王N (母性巫女が元に戻ったときに、お庭でお茶会できるように)


記録魔 「けれども、この世界と界主のあまりの体たらくをかんがみるに」

記録魔 「我が第三大世界同盟の品格を保つため、干渉は必要であると考え」


幼女魔王N (……ああ)

幼女魔王N (母性巫女のおっぱい、のみたいな)

幼女魔王N (くわえているだけで、一日を生きる活力が満ちてくるのよね)





記録魔 「よって、本当ならば、堕落の揺りかごに成りうるため限られた者にしか教えない」

記録魔 「我がギルドのオリジナル低確率激レアランクSSレシピを……」


幼女魔王N (けれど、驚いたわ)

幼女魔王n (母性巫女の胸の先っぽ……)

幼女魔王N (髪の毛が黒いから、てっきり真っ黒だと思っていたけれど)

幼女魔王N (なんということであろうか、母性的な桃色を淡く帯びていたのであった)

幼女魔王N (……先っぽの色は、髪の色と同じとは限らないのね)


記録魔 「良いですか、これは絶対に、他の世界に流出させては……」


幼女魔王N (……ああ、お菓子も食べたいな)

幼女魔王N (となりの世界のカフェで売ってるココナツビスケット、食べたいな)

幼女魔王N (でも、あそこの店員さん、怖いのよね)

幼女魔王N (本物の母性巫女が一緒に行ってくれたらなあ……)


記録魔 「聞いているのですか!」


カツンッ


幼女魔王N 「おっほぉっ!?」


ビクンッ




幼女魔王N 「聞いてまし……聞いていたわよ……き、聞いていました」


記録魔 「はぁ……何という集中力の無さ」

記録魔 「……まあ良いでしょう」


幼女魔王N (あ、話が終わる流れ)

幼女魔王N 「じゃ、じゃあ、お皿洗ってきま……」


記録魔 「何を言っているのですか」

記録魔 「これからが本番です」


幼女魔王N (本番? ははあ、さてはデザートを要求しているんだな)

幼女魔王N (あつかましい幼女ね)

幼女魔王N 「じゃあ、とっておきのふんわりカステラを……」


記録魔 「錬金工房のつかいかたを教えると言っているでしょう!」





記録魔 「まずは、これを受け取りなさい」


幼女魔王N 「はーい……」


幼女魔王N は 黒の錬金レシピ1 を手に入れた!


記録魔 「良いですか。何度も言いますが、ぜったいになくしてはいけませんよ」

記録魔 「ましてや、他世界の者に教えるのも禁止です」


幼女魔王N 「じゃ、じゃあいらない。自信ない……」


記録魔 「…………」

記録魔 「……ギリッ」



記録魔 の 歯ぎしり!
幼女魔王N は すくみあがった!



幼女魔王N 「は、はい、大事にします」





※ロリ歴史(魔貴族娘家 所蔵)



無能ロリ……生きているのがつらいロリ。

ショタロリ……心はショタ、身体はロリ。

百合ロリ……ロリに欲情するロリ。

妖精ロリ……人形収集家垂涎のロリ。

ババアロリ……合法ロリ。と、見せかけて‥‥。

薄幸ロリ……関わる者の優しさが試されるロリ。

ヤンロリ……友だち友だち友だち友だちロリ。

母性ロリ……赤ん坊を抱くと授乳の真似をしてみるロリ。

ポロリ……何かと脱ぐイベントの多いロリ。




記録魔 「あなたは錬金工房を利用したことは……」

記録魔 「ありませんね、当然」


幼女魔王N 「はい」

幼女魔王N (どうして分かったんだろう……)


記録魔 「つまり、工房の道具の使い方も分からない、と」

記録魔 「しかたありません。この私が、特別に一から教えてあげます」


幼女魔王N 「い、いいよ」

幼女魔王N 「えーっと、忙しいだろうし……」


記録魔 「ええ、おかげさまで、ええ、暇ですとも」

記録魔 「おかげさまで」


幼女魔王N 「暇な人なのね……」


記録魔 「あなたのせいです!」





幼女魔王N 「私のせい?」


記録魔 「よりによって、こんなに魔素の乱れた世界に来てしまったせいで」

記録魔 「もとの世界に戻ることができなくなってしまったのですよ」

記録魔 「でなければ、今ごろ……」


幼女魔王N (世界を渡れなくなったってこと?)

幼女魔王N (そういえば、魔動画も映らないし、何か起きているのかしら)


記録魔 「まあ、良いでしょう」

記録魔 「では始めますよ」

記録魔 「まずは、工房内の空気のつくりかたから……」



…………





コポコポコポ ボワン

モコ モコ ボワン



ぜんぜん作業がはかどらなかった……
素材をドブに捨てた方がマシな出来栄え!

ベタベタした棒 が出来上がった!

幼女魔王Nの特殊体質 が発動!
錬金工房の経験値 が 減少した!
新たなレシピ を手に入れた!
触手苗床計画書 を手に入れた!
新たな施設『触手交配牧場』 をつくれるようになった!
新たな施設『苗床保管所(人間)』 をつくれるようになった!



幼女魔王N 「…………だ」

幼女魔王N 「大成功……!」


記録魔 「失敗です!」


幼女魔王N 「うぐ…………」


記録魔 「簡単なレシピで何回失敗したら気が済むのですか、あなたは」

記録魔 「もっと呼吸を大事にするべきです」

記録魔 「静かに、吸う息はとくに丁寧に」

記録魔 「でないと、いくら工房内を良質の魔力で満たしても、意味がありません」


幼女魔王N 「……はい」

幼女魔王N 「い、いやあ、難しいなあ、ものづくりって」

幼女魔王N 「たくさん集中力をつかったから、今日はちょっともうお休みに……」


記録魔 「何を言っているのです!」

記録魔 「もういちど、いいえ、成功するまでです。ちゃんとレシピを読んで」


幼女魔王N 「ふえぇ……」




グツグツ ポコポコ


ベタベタした棒 が出来上がった!
脈打つ棒 が出来上がった
ヌルヌルした棒 が出来上がった!
丸まった紙くず が出来上がった!



記録魔 「……分かっていますか。あなたは恵まれているのですよ」

記録魔 「珍しくて、便利で、それでいて難易度の最も低いアイテムを」

記録魔 「レシピつきで」

記録魔 「エリートである私の指導のもと、つくることができるのです」


幼女魔王N 「……分かってるもん……ます」


記録魔 「じゃあ、どうしていつまでたっても出来ないんですか!」


幼女魔王N 「ひいっ……!」

幼女魔王N (おこられた)

幼女魔王N (分かってるかってきいてきたから、答えたのに!)

幼女魔王N 「う、うえええ……」


記録魔 「っ! ……な、泣いたって終わりませんからね!」

記録魔 「そんな暇があったら、さっさと……」


ホワン


波魔法少女? 「まあまあ、そんなに焦らずに」


記録魔 「!」


波魔法少女? 「そんなことでは、彼女のやる気は萎んでいく一方だよ」
















記録魔 「勝手に入ってきたんですか!」


波魔法少女? 「ああ。今はここについている状態だからね」


記録魔 「ま、まさか、私が気づいていないときも?」

記録魔 「寝ているときや、あんなことをしているとき……」


波魔法少女? 「いいや、いつもはしていない」

波魔法少女? 「……君たちが苦戦しているようだから、何か力になれないかとね」


記録魔 「苦戦などしていません。必要ありません」

記録魔 「高位錬金ギルドの一員である私の指導があれば、何も心配いりません」

記録魔 「もう少し。きっと、もう少しで出来るようになります」


波魔法少女? 「へえ?」

波魔法少女? 「……そうなのかい、ピンクちゃん?」


幼女魔王N 「グス……うええぇ、もうやだあ……お部屋もどって寝るぅ……」




記録魔 「な、何を言っているんですか!」

記録魔 「そんなに簡単に諦めてどうするんですか!」


幼女魔王N 「簡単じゃないもん……頑張ったもん……!」


記録魔 「では、もっと頑張るべきです!」

記録魔 「あなたのしもべは、一回目で大成功したんですよ」

記録魔 「レベルでも胸でもしもべに負けて、負けっぱなしで良いんですか!」


幼女魔王N 「ウグッ……いいもん。どうせ私、何もできないもん」

幼女魔王N 「母性巫女が元に戻ったら、ぜんぶやってもらうもん……!」


波魔法少女? 「たしかに、できてしまいそうだが」

波魔法少女? 「母性巫女くんが元に戻ったとき、諦めてしまった君を見たら」

波魔法少女? 「優しい彼女のことだ、悲しむんじゃないかな」


幼女魔王N 「………ッ」


波魔法少女? 「でも、どんなに失敗しても頑張っている君を見たら」

波魔法少女? 「優しい彼女のことだから、とても喜んでくれるだろう」


幼女魔王N 「……喜ぶ」

幼女魔王N 「……頑張りましたねって、なでなでして褒めてくれる」

幼女魔王N 「……頑張る」


波魔法少女? 「その意気だ。さあ、今度はボクもサポートしよう」


幼女魔王N 「うん……!」



記録魔 「…………」

記録魔 「元に戻ったらですって……?」




キュラリン ピロン


なかなかの出来栄え!
幼女魔王Nのレシピ帳 が出来上がった!
さらに
分岐点の書 が出来上がった! 


幼女魔王N 「……できた!」


記録魔 「……ええ」

記録魔 「なかなかの出来栄えと言えますね」


幼女魔王N 「可愛い……表紙がピンク色」

幼女魔王N 「こんな手帳、欲しかったかも」


記録魔 「それは、あなただけのものですよ」





記録魔のレシピ帳



幼女魔王N 「茶色と緑の表紙……」


記録魔 「つくった者の魔力に反応して見た目が多少変わりますが」

記録魔 「機能は同じです」

記録魔 「新しく生み出したレシピや、集めたレシピも記録されます」

記録魔 「作り方は我がギルドにしか伝わっていません」

記録魔 「大事にしなさい」


幼女魔王N 「うん……は、はい」


波魔法少女? 「良かったね」


幼女魔王N 「うん……」


記録魔 「……あの」


幼女魔王N 「はい」


記録魔 「あのしもべを……」

記録魔 「……いいえ」

記録魔 「何でもありません」


幼女魔王N 「…………?」





…………


幼女魔王Nの城 食堂



魔動画 『ザッ……ザザザ……』

魔動画 『ジジジ………』


箒少女 「夕飯、夕飯……お?」


記録魔 「…………」

記録魔 「今、彼女が作っているところだそうです」


箒少女 「ふうん……」

箒少女 「何だよ、どういう風の吹き回し?」

箒少女 「ここで食べるの?」


記録魔 「何かおかしいのですか。食堂はものを食べるところでしょう」


箒少女 「そうだけど」

箒少女 「いっつも工房に引きこもって、飯は持ってこさせてるじゃん」


記録魔 「ぐっ……」

記録魔 「コホンッ……」

記録魔 「私は聞き分けのない子供とは違うのです」


箒少女 「……ふうん」


記録魔 「どうでも良いなら聞かないでください……!」




魔動画 『ザザ……ザザザ』


箒少女 「今日も何も映らずか」

箒少女 「うーむ、いよいよ外の世界と切り離された感があるなあ」

箒少女 「この世界は何もないし、静かだし」


記録魔 「…………」

記録魔 「あのうるさくて野蛮な猫はいないのですか」


箒少女 「……ああ」

箒少女 「なんか、仕事を頑張ってるみたいだよ」

箒少女 「ピンクちゃんを見てたら危機感がわいてきたってさ」


記録魔 「はあ」


箒少女 「わっかんないよなあ」

箒少女 「姐さんが起きてるときは、だらけきってたのに」




記録魔 「……あの白いかた」

記録魔 「何か調べ物があるとかで、どこかにこもるそうです」


箒少女 「あの人も、何者なのか分からんね」

箒少女 「ただもんじゃないことは分かるけど」


記録魔 「……ええ」


シィン

カチ コチ カチ


記録魔 「…………」


箒少女 「……静かだよなあ」


記録魔 「…………」

記録魔 「何かに集中するには、良い環境かもしれませんね」





カチ コチ カチ コチ


箒少女 「……オレが暮らしてるところさあ」


記録魔 「…………」


箒少女 「ゴミゴミしてて、汚くて、ときどき変な臭いがして」

箒少女 「そして、うるさいんだよ」

箒少女 「家なんか、上からも下からも横からも、他の奴らの生活の音が聞こえてきて」

箒少女 「外は朝から夜まで、まあ、夜の方が多いんだけど、人の灯りで明るくて」

箒少女 「静かなときがほとんどっていうか、まったく無いんだよ」


記録魔 「……聞いているだけで、吐き気がしそうです」


箒少女 「だろ?」

箒少女 「だから箒に乗る仕事が楽しめてるってのは、良いことかな」

箒少女 「まあ、雨の日の街の灯りは好きだけど……」

箒少女 「とにかくうるさいんだよ。人、人、人……うんざりさ」


記録魔 「…………」


箒少女 「…………」

箒少女 「でも、静かだよなあ、ここ……」




記録魔 「……ええ」


箒少女 「せめて箒の調子が戻ればなあ」


記録魔 「……あの野蛮猫の力を借りたら」

記録魔 「もとの世界へ戻れるそうですが」


箒少女 「うーん……」


記録魔 「…………」


カチ コチ カチ


箒少女 「……ほんと、静かだよなあ」


記録魔 「あの猫が特別うるさかったから、寂しく感じるのでは」


箒少女 「……どうなんだろうなあ」

箒少女 「こんな静かなところで、ひとりでずっと暮らして」


記録魔 「…………」


箒少女 「帰ってきても、誰の気配もないんだぜ? 家の中にも、外にも、ずっと」

箒少女 「気が狂ったりしないんかね」


記録魔 「…………」

記録魔 「…………」

記録魔 「……さあ」




…………


モギ ズズズ

モグモグモグ


箒少女 「……うまいなあ」

箒少女 「ここ最近、ずっとうまいもんばっかり食えて幸せだなあ」


記録魔 「ちょっと、もう少し綺麗に食べられないんですか!」


箒少女 「何だよお、うまいもんを堅っ苦しく食ったて、堅っ苦しいだけじゃないか」


記録魔 「そんなにバクバク食べたら、私の食べる分が……!」


幼女魔王N 「だ、大丈夫。まだあるから」

幼女魔王N 「あと三人分、作っちゃったから……」

幼女魔王N (でも、何かしら。私、前みたいに料理できなくなってるみたい)

幼女魔王N (時間もかかったし、味も前はもっと……)







































幼女魔王N 「ぜったいに落ちたりなんかしない!!」


http://i.imgur.com/gRwPs7P.jpg





…………


幼女魔王Nの城
屋根裏の書斎跡地



波魔法少女? 「……おや」


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「君の方からやってくるとは珍しい」

波魔法少女? 「この場所のことは教えたっけ?」


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「……?」


幼女魔王N 「…………」


ズズズ


幼女魔王N は 玉触手 を呼び出した!


玉触手 「…………」


波魔法少女? 「……ふむ」



玉触手 「……キャハハハ」


フヨ フヨ


波魔法少女? 「そういえば、あの世界の妖精たちの伝承にあったかな」

波魔法少女? 「笑い声とともにやってくる、ほろびの何かのことが」


幼女魔王N 「大事なことを、たくさん忘れているような気がするの……」


波魔法少女? 「……よくあることさ」

波魔法少女? 「君には過去の記憶がごっそりないのだし」


幼女魔王N 「もっと大事なもの」

幼女魔王N 「このお城に来てからの」


波魔法少女? 「もっと大事か」

波魔法少女? 「君にとって、おそらくこの世界の魔王になってからよりも遥かに長いだろう過去は」

波魔法少女? 「そのくらいのものになってしまった、というわけかな」


幼女魔王N 「お料理のしかた。好きだったお菓子のつくり方、好きな色」

幼女魔王N 「下着や魔法ゲーム、ほかにも買ったおぼえのないものが部屋にまざってて」

幼女魔王N 「自分の部屋に得体の知れない何かが住んでいるみたいで怖いの」


波魔法少女? 「…………」


幼女魔王N 「……胸も小さくなった気がする」

幼女魔王N 「以前は瑞々しい大玉の果実のように……」


波魔法少女? 「それはない」




波魔法少女? 「後ろむきかと思えば思わぬところで自信家で妄想家で、なかなか多面的だね君も」

波魔法少女? 「だが、どうしてだい?」


幼女魔王N 「?」


波魔法少女? 「教会にいたころから君は、生きているのが申し訳ないと言いたげな顔をしていたけれど」

波魔法少女? 「たとえば料理ができるというのは、かなり誇らしいことではないのかな」


幼女魔王N 「それは……」

幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「……失って、はじめてその価値に気づくというのはよくあることだけれど」

波魔法少女? 「忘れてしまってから、それまで覚えていたことに気づくということもあるのかな」

波魔法少女? 「まあ、良いじゃないか。忘れたなら、おぼえなおせば良い」


幼女魔王N 「……私」

幼女魔王N 「どうやってお料理をおぼえたか」

幼女魔王N 「おぼえてない……」




波魔法少女? 「ほう?」


幼女魔王N 「気がついたら、できてたの」


波魔法少女? 「ふうむ」


幼女魔王N 「つくってみたら、何故だか上手にできて」

幼女魔王N 「淫魔幼……あの人、一番びっくりして、おいしいって言ってくれて」


波魔法少女? 「ますます、自信を持って良い話じゃないか」


幼女魔王N 「そのあと、つまらないことだって言ったのよ」

幼女魔王N 「さっさと忘れてしまえって」


波魔法少女? 「それは妙だね」


幼女魔王N 「でも、つくったら食べてくれるの。おいしいって」

幼女魔王N 「……とても、悲しそうな顔をしていた気がする」




幼女魔王N 「なぜかしら……」


波魔法少女? 「よく、おぼえているじゃないか」


幼女魔王N 「こんなこと、おぼえていて役に立たんわよ」


波魔法少女? 「忘れてしまったら、分かるかもしれない」

波魔法少女? 「しかし、自信が持てないのも分かる気がするね」

波魔法少女? 「自分が身につけたおぼえのない技術なんて、むしろ後ろめたいだけのものなのかもしれない」

波魔法少女? 「おまけに、そんなことまで言われたら」


幼女魔王N 「うん……」


波魔法少女? 「なぜその人が悲しい顔をしたのかは分からないが」

波魔法少女? 「君のその料理の腕は、君にとっては大事でなくなった過去に」

波魔法少女? 「みがかれたのかもしれないね」





玉触手 「…………」


幼女魔王N 「ただ、忘れっぽいだけなのかしら」


波魔法少女? 「違うと思っているのかい?」


幼女魔王N 「だって、そうだったら、どんなに頑張っても、忘れちゃうなら」

幼女魔王N 「私、何もできなくなる。おぼえるの、下手だもの」

幼女魔王N 「おぼえてる間に、いっぱい忘れる」

幼女魔王N 「母性巫女にがっかりされる」

幼女魔王N 「う、ううん、母性巫女のことも忘れる……っ?」


波魔法少女? 「心配しすぎだと思うけどね」


幼女魔王N 「だ、だって、忘れたもん!」

幼女魔王N 「私、たくさん助けてもらったのに」

幼女魔王N 「大事な人、いなくなったのはおぼえているのに」

幼女魔王N 「顔も名前も、ぜんぜん思い出せない……!!」

幼女魔王N 「う、うう……っ!」


ヨロ ヨロ


波魔法少女? 「…………」

波魔法少女? 「……名前は、可憐少女だね」


幼女魔王N 「……?」


玉触手 「…………」


波魔法少女? 「……母性巫女を殺したしもべは」

波魔法少女? 「どれなんだい?」


幼女魔王N 「……!」




幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「おぼえているようだね」


幼女魔王N 「……しかたなかったの」

幼女魔王N 「ど、どうしようもなかったの!」

幼女魔王N 「だって、だって、だって、あのままだったら、母性巫女は……!」


波魔法少女? 「ごめんよ」

波魔法少女? 「ただ、彼女を元に戻す何かの手がかりが、見つかるかもしれないからね」

波魔法少女? 「可能性があるなら、何でも、やってみないとと思って」


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「そうだろうとも」

波魔法少女? 「君は悪くない」

波魔法少女? 「取り乱す必要はない」


幼女魔王N 「……うん」

幼女魔王N 「…………」





…………


波魔法少女? 「……なるほど。そんなことがね」


幼女魔王N 「魔法少女? ……の人たち」


波魔法少女? 「……うん? ああ」

波魔法少女? 「そうだね。ボクがいたギルドのものたちだ」


幼女魔王N 「そう……」


波魔法少女? 「そうか、鋏が……」

波魔法少女? 「彼女たちが知らずにいたのは、どちらにとっても良いことだったかもしれない」

波魔法少女? 「君にとってどうかは分からないが」


幼女魔王N 「?」


波魔法少女? 「……ふむ」

波魔法少女? 「この大きな毛玉が、母性巫女くんをね……」


玉触手 「…………」



玉触手 「…………」


幼女魔王N 「この子のこと」


波魔法少女? 「うん?」


幼女魔王N 「よく分からない……」


波魔法少女? 「母性巫女くんの故郷を襲って、君たちを追い詰め」

波魔法少女? 「君が君自身の意思の力で契約して」

波魔法少女? 「しもべにした触手だろう」

波魔法少女? 「母性巫女くんを殺す原因をつくり、そして殺した」


幼女魔王N 「そ、そうだけど」

幼女魔王N 「でも、なんか、そうだけど」

幼女魔王N 「でも……でも」


波魔法少女? 「それだけでは無いと?」


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「なんだか、胸がしゅくしゅくするような」


波魔法少女? 「ふうむ……」




幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「君は、思い出したいのかい?」


幼女魔王N 「え……」


波魔法少女? 「忘れてしまったいろんなこと」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「だって、困るもの……きっと」


波魔法少女? 「……ふむ。どうだろうね」

波魔法少女? 「忘れていた方が良いということもある」


幼女魔王N 「でも……」


波魔法少女? 「少なくともボクは忘れていたいね」

波魔法少女? 「子宮に数百種の魔物の卵と媚薬をぶちまけられながら」

波魔法少女? 「魔物を一度に何匹も出産する感覚などは」


幼女魔王N (忘れてなさそうだけど)




波魔法少女? 「何を忘れているべきで、何を忘れずにいるべきか」

波魔法少女? 「分かっていると楽なのだろうけど」

波魔法少女? 「分かっていたところで、忘却というものは訪れる」

波魔法少女? 「呼んだおぼえのない、来てほしくない客のようにね」

波魔法少女? 「忘れ去るのに訪れる。おかしな話だ」


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「来てほしくない客といえば、城の修理にやってきた人々を追い返してしまったそうだね」

波魔法少女? 「母性巫女くんが、右も左も分からないような状況で、なんとか呼んだのに」


幼女魔王N 「う、うん……」


波魔法少女? 「安心したまえ。そのことについてどうこう言いたいわけじゃないさ……」

波魔法少女? 「忘れることを恐れるのはしかたない」

波魔法少女? 「忘れてしまうのもまたしかたない」

波魔法少女? 「くよくよ考えずに、今やるべきことを、やるのが良いと思うよ」


幼女魔王N 「やるべきこと……」

幼女魔王N 「……!!」

幼女魔王N 「ペニステのソフト消化しなきゃ」

幼女魔王N 「今度新型が出るの。据え置きの新型と同時発売」

幼女魔王N 「さっそく引きこも……」


波魔法少女? 「今やるべきことだ」

波魔法少女? 「今やりたいことじゃ無い」




…………

…………


ドシン

ゴゴゴゴゴ

ゴゴゴ ゴゴゴゴゴ……



幼女魔王Nの城 玉座の間



グラ グラ


幼女魔王N 「きゃああああ!!」


ドスン プチ


落石!
幼女魔王N は ペシャンコになった!
幼女魔王N の 特殊体質!
幼女魔王N の 復活!
幼女魔王N は 復活した!
幼女魔王N の すべての状態変化が消えた!
幼女魔王N の 婚期が消滅した!
幼女魔王N の すべてのスキルの熟練度が激減した!
幼女魔王N の すべてのステータスが激減した!
幼女魔王N の 下着の面積が減った!


幼女魔王N 「いててて……死ぬかと思った……」

幼女魔王N 「何なの、お城のお片づけを始めたら、いきなり地震なんて……」


波魔法少女? 「ふむ」


幼女魔王N 「これはやはり、引きこもってペニステをしなさいという、神さまの……」


ガタン ギギィ

タタタタタ


箒少女 「お、おい、外に出てみろ!」

箒少女 「空がすごいことになってる!」



幼女魔王Nの城 野原 



オオオ オオオ


幼女魔王N 「……風がなまぬるい」

幼女魔王N 「というか、いまって夜だっけ……」

幼女魔王N 「空に星ひとつないし、お隣の世界も見えないけど」


箒少女 「まだ昼だよ」

箒少女 「オレが外で落とし穴を掘っていたら、急に暗くなったんだ」

箒少女 「なあ、これってあれかなあ」


波魔法少女? 「ああ、未知の世界の接近による変化かい?」

波魔法少女? 「ふむ、どうだろうね」


箒少女 「なあ、ピンクちゃん。おまえ魔王だろ」

箒少女 「なんとかできないの?」


幼女魔王N 「できるわけないわ」

幼女魔王N 「ザリガニの抜け殻にできないことは、私にもだいたいできないわ」


箒少女 「まじで抜け殻より下なのかよ……」







波魔法少女? 「……揺れはもう来ないようだが」


箒少女 「いやいや、何が起こるか分かんないって」


波魔法少女? 「そうだね。じゅうぶんに注意し……」

波魔法少女? 「……む」



キイイイ

キイイイイイ


幼女魔王N 「な、何……!?」

幼女魔王N 「空が真っ赤にひび割れていく……?」


箒少女 「違う、ミミズだ! 空に、赤く光るでっかいミミズが何匹も!」


幼女魔王N 「ミミズ!? ぎゃああっ、次はミミズなの!?」

幼女魔王N 「ニワトリの次はミミズが攻めてくるというの!?」


波魔法少女? 「ミミズじゃない。呪文のようだが」

波魔法少女? 「……なるほど」

波魔法少女? 「猫くんだな」




箒少女 「あいつかよ」

箒少女 「仕事しろよなあ、あの猫」


波魔法少女? 「まさにその最中さ」

波魔法少女? 「そろそろ佳境なのかもしれない」


幼女魔王N 「……ええ、そのようね」


箒少女 「何だよピンクちゃん、どういうこと?」


幼女魔王N 「ぜんぜん分からないわ」


箒少女 「分からないのかよ。ぜんぜんかよ。今日はどんなキャラだよお前」


波魔法少女? 「この世界の結界を書き換えるための最終段階ということさ」

波魔法少女? 「書き換えの際、どうしても無防備になってしまう一瞬があるから」

波魔法少女? 「外側を仮の結界で覆っている……というところかな」


幼女魔王N 「……ええ。おそらく、間違いないでしょうね」


箒少女 「オレ、お前なら倒せそうな気がするな」



箒少女 「というか、あいつはどこにいるの?」


波魔法少女? 「どうやら、誰にも知覚できない結界に引きこもって作業しているようだ」

波魔法少女? 「この世界にいることはたしかだろうけど」


箒少女 「あんたなら分かりそうな気もするけど」


波魔法少女? 「そこは黙秘だ」

波魔法少女? 「彼女のプライドのためにもね」


箒少女 「しっかり答えてない? それ」


幼女魔王N 「……もう、何なのよ、みんなして」

幼女魔王N 「私の知らない部屋を作ったり、空をこんな風にしたり、変な飛行船を置いたり……」

幼女魔王N 「ここは私の世界なのよ。私の許可もとらずに、好き勝手しちゃって失礼じゃない!」


箒少女 「今さら言われてもなあ……」


ガコン ゴゴゴゴゴ

フヨフヨフヨフヨ


記録魔 「な、何ですか、敵襲ですか!?」



記録魔 が あらわれた!





箒少女 「おお、やっと出て来た」


記録魔 「ものすごい揺れがあったようですが……」

記録魔 「!?」

記録魔 「な、何ですかこれは!」

記録魔 「空をマグマが流れているのですか!?」


波魔法少女? 「落ち着きたまえ、眼鏡くん」


記録魔 「落ち着いていられますか!」

記録魔 「天変地異! これは天変地異です!」


箒少女 「あれ、その格好……」


記録魔 「はい?」


■記録魔
そうび : さらさらパジャマ
     夢見のナイトキャップ
     抱きしめワニさん枕
     鉄壁の下着


箒少女 「パジャマじゃん」


記録魔 「ええ。材料の乏しい世界なので、つくるのは苦労しましたが……」


箒少女 「今まで寝てたのかよ」


記録魔 「! い、いえ、ここ、これは……」

記録魔 「そう、研究です! 夜遅くまで研究していたので……」

記録魔 「ああ、嫌です! この世界のせいです!」

記録魔 「それまでは、夜更かししてもちゃんと朝には起きていましたし……!」


幼女魔王N 「…………」


記録魔 「はっ……!」

記録魔 「いえ、あなたのことを悪く言ったのでは……」

記録魔 「そそそ、それより、何なのですかこれは! 何が起きているのですか!」


箒少女 「落ち着けよ」




…………


記録魔 「なるほど、結界ですか」

記録魔 「まさか、あの下品な猫耳がこのような……」

記録魔 「いえ、単身でこれほどの規模の結界を練り上げられる者など」

記録魔 「同盟公認の上級結界術士にもいるかどうか……」


ブツブツ


幼女魔王N 「……何もしない方が良いの?」


波魔法少女? 「他の世界へ渡らないように言われているくらいかな」

波魔法少女? 「まあ、さわらないに越したことは無いだろう」

波魔法少女? 「界境の淀みとやらも、使わない方が良いね」


幼女魔王N 「……何かしら、それ」


波魔法少女? 「知らないなら、なおさらだ」


箒少女 「どれくらい続くのかな、この状態」

箒少女 「さすがに息が詰まるなあ、これは……」


記録魔 「はあ、まったく、このところ良いところがありませんね……」


キイイイ

オオオ オオオオ










……………


幼女魔王Nの城 母性巫女の部屋



キイイ キイイイイ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………!」

母性巫女 「………ここは」

母性巫女 「お城の部屋……でも……」


ヌウ


波魔法少女? 「やあ、起きたようだね」


母性巫女 「きゃっ」


波魔法少女? 「ピンクちゃんが眠ったから、もしやと思ったが」


母性巫女 「波さん……」


波魔法少女? 「ああ、ちなみに、彼女が眠りに落ちたときはいつも」

波魔法少女? 「君の様子を確認することにしているよ」


母性巫女 「そうですか……」

母性巫女 「…………」


キョロ キョロ


波魔法少女? 「……随分と、趣の違う物が並んでいるね」


母性巫女 「え? ええ……」


水の元素装置
壊れた魔動画
足の折れたベッド
きわどい下着
下着という名の紐
リボン
火の天球儀
星見の筒
精霊像
魔物のひげ
……


母性巫女 「……ぜんぶ、故郷の世界の」

母性巫女 「私の家にあったもの……?」




波魔法少女? 「君の部屋を作ると言い出してね」


母性巫女 「……?」


波魔法少女? 「ピンクちゃん……幼女魔王Nだよ」


母性巫女 「N……」


波魔法少女? 「城の片付けをしていたら、新しい部屋が見つかって、それでさ」

波魔法少女? 「……君がいつ元に戻っても良いように、ってね」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「後ろ向きな彼女が……いやはや、勇気だね」

波魔法少女? 「洗脳のとけた君がここに留まると思うことにしたようだ」

波魔法少女? 「思いたいのかもしれないが」


母性巫女 「…………」


絵本


母性巫女 「……持ってきていたのね」


波魔法少女? 「やれやれ……他に優先すべきことはあるだろうに」

波魔法少女? 「ねえ」


母性巫女 「……そうですね」

母性巫女 「本当に……」




母性巫女 「Nは……」


波魔法少女? 「自室で眠っている」

波魔法少女? 「ああ、君から彼女への伝言は通っているよ」


母性巫女 「ありがとうございます」


波魔法少女? 「ああ、良いさ」

波魔法少女? 「多すぎたみたいだよ。かえって伝わらなかったかもしれない」


母性巫女 「あはは……」

母性巫女 「心配しすぎるみたいで……」


波魔法少女? 「気持ちは分かるけどね」

波魔法少女? 「……彼女から君への伝言は無い」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「考えるように言ったんだけれどね」

波魔法少女? 「真剣に考え込んでしまって、結局、まとまらなかったようだ」


母性巫女 「……あの子らしい」


波魔法少女? 「声に出しているかいないかの違いだけで」

波魔法少女? 「そのあたりは似たもの同士だと思うよ、君たちは」




…………


カチ コチ カチ


波魔法少女? 「……と、今の状況はこんな感じだ」


母性巫女 「ありがとうございます」

母性巫女 「耳蛇さんの、結界……」


波魔法少女? 「うん?」


母性巫女 (そういえば、あのとき私の故郷の森にも結界が……)

母性巫女 「いえ、何でもありません」


波魔法少女? 「ふむ。しかし、困ったことになったね」

波魔法少女? 「未知なる世界の接近の影響が」

波魔法少女? 「いよいよ大きくなってきているようだ」

波魔法少女? 「幸い、ここは猫くんの働きによって平穏を保てそうだが」


母性巫女 「そうですか」

母性巫女 (何か、お礼をしなくちゃいけないわね)




波魔法少女? 「魔法を動力にしているアイテムの不具合が多発しているが」

波魔法少女? 「中でも魔動画や越境飛行船、越境望遠鏡など、界をまたぐタイプのアイテムは深刻だ」


母性巫女 「界をまたぐ……」


波魔法少女? 「たとえば魔動画は、ある世界でつくられた映像を」

波魔法少女? 「他の世界で見ることができるアイテムだ」

波魔法少女? 「君の世界でも、この世界でも、同じものを見ることができる」


母性巫女 「…………ええと」



ポワン ポワン


幼女魔王N 『わーい、■◇エンジェ●×△が始まる時間だー』


母性巫女 『こらこら、まだ身体を拭いていませんよ』


幼女魔王N 『故郷にいるときから見てたから、見逃すわけにはいかないの!』

幼女魔王N 『裸で待機よ!』


母性巫女 『あ、ちょっと、パンツくらいはいてください』


ポワン ポワン



母性巫女 「な、なるほど」




波魔法少女? 「世界同士の交易も、もはやズタズタのようだ」

波魔法少女? 「まあ、他は不安にかられた人々が騒いで事件を起こしたり」

波魔法少女? 「混乱に乗じて他世界への侵攻を始めたり」

波魔法少女? 「それにより故郷をおわれ、やむなく他世界に侵攻したり」

波魔法少女? 「妙な詐欺事件が横行したり……」

波魔法少女? 「ほとんどは世界の住人たちが勝手に起こしたものが多いけれどね」


母性巫女 「そんなことになっているんですか」


波魔法少女? 「他の世界の存在を知っている世界の人々ほど」

波魔法少女? 「ダメージが大きいようだ」

波魔法少女? 「……君の故郷の世界では、他の世界のことは殆ど知られていないのだったね」


母性巫女 「ええ」

母性巫女 「魔王軍は異世界から来る……と言われていたけれど」

母性巫女 「よく分かっていませんでした」

母性巫女 「ああ、でも」


波魔法少女? 「うん?」


母性巫女 「まだ年少組のころですが、寝かしつけてくれた世話役のかたが」

母性巫女 「夜空の星の一つ一つに、人が住んでいるかもしれない……」

母性巫女 「なんて、話していたような」


波魔法少女? 「ほう。知らずに言っていたなら」

波魔法少女? 「なかなか想像力の豊かな人のようだね」


母性巫女 「精霊使いさま、だったかしら」

母性巫女 「……あれ、でも私、Nから聞くまで、他の世界なんて考えたことも無かったような」

母性巫女 「…………あれ?」


モヤ モヤ



波魔法少女? 「主従揃って、記憶が混線しているようだね」





波魔法少女? 「界をまたぐアイテムの恩恵を受けていたのは、この世界も同じだ」

波魔法少女? 「まあ、もともとの住人も少ないし(というか一人だし)」

波魔法少女? 「魔動画と飛行船が使用できなくなった程度だが」

波魔法少女? 「城の修理・改造は制限されてしまうだろう」


母性巫女 「なるほど……職人さんもこちらに来られないですものね」


波魔法少女? 「まあ、できないこともないんだろうが……」


母性巫女 「はあ」


波魔法少女? 「アイテムに頼らず世界を渡る術もあるからね」

波魔法少女? 「記録魔や箒少女はアイテムに頼っていたためこの世界に閉じ込められてしまったが」

波魔法少女? 「幼女魔王Nに猫耳蛇娘、それにボクは」

波魔法少女? 「この状況にあっても世界を渡ることができる」


母性巫女 「そうなんですか」


波魔法少女? 「特別な魔法に位置づけられることもあるけれど、もしかしたら、魔法とは違うものなのかもしれないね」

波魔法少女? 「まあ、猫くんはそれすら封じることができる結界を操れてしまうのだが」

波魔法少女? 「敵としては厄介な相手だ。実際、ボクのかつての仲間たちもそれでハメ殺されてしまったようなものだし」


母性巫女 「え?」


波魔法少女? 「忘れるべき過去の話だ」