海未「穂乃果はもういない」 (45)


海未(私と穂乃果は事故にあい、穂乃果だけが亡くなりました)


穂乃果「おはよう! 海未ちゃん、ことりちゃん」

ことり「おはよう♪ 穂乃果ちゃん」

海未「おはようございます」

穂乃果「今日はあっついねぇ~」

ことり「そうだよね。夏はまだ先なのにねぇ」

海未「今年の残暑は厳しくなるようですよ」

穂乃果「えぇー、暑いの嫌だぁー」

ことり「ことりも暑いのは苦手かな」

海未「私も実は暑いのは嫌です」

穂乃果「わぁ、三人息ぴったりだ!」

ことり「えへへ」


海未(これは事故にあった後の記憶。誰もここに居る穂乃果に疑問を抱かない)


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絵里「あら? おはよう。この時間に会うのは珍しいわね?」

穂乃果「絵里ちゃん、おっはよう!」

ことり「おはよう、絵里ちゃん」

海未「おはようございます。絵里」

穂乃果「わー、絵里ちゃんに抱き着くぞー」ダキッ

絵里「穂乃果、暑いからやめてちょうだい」

ことり「何だか絵里ちゃん、嬉しそうに見えるよ」

絵里「そ、そんなことはないわよ。穂乃果、いい加減に離れて」

穂乃果「はーい」


海未(いつもと変わらない日常。でも、それはもう終わってしまったもの)


穂乃果「お昼だー。パンだぞー」

ことり「もう、穂乃果ちゃんったら」ウフフ

海未「私は用事がありますので、今日は二人で食べていてください」

穂乃果「そうなんだぁ」モグモグ

ことり「穂乃果ちゃん、食べるの早いよ」

海未(それでは、生徒会室に行きましょうか)



海未「失礼します」

絵里「あら?」

希「海未ちゃん、いらっしゃい」

絵里「今日は一人?」

海未「はい。穂乃果とことりは教室でお昼を食べています」

希「海未ちゃんだけでここに来るなんて珍しいやん」

海未「まぁ、そういう気分の日もあります」

絵里「ふふ、海未から気分なんて言葉が出るなんてね」

海未「私も今時の女子高生ですから」

希「その台詞自体が海未ちゃんらしいと言えばらしいのかな」


絵里「そう言えば、海未。事故の後遺症は大丈夫?」

海未「大丈夫ではありませんが、大丈夫です」

絵里「え!? ど、どこか悪いの!?」

海未「そんなに大騒ぎするような話ではありません。幻覚が見えるだけです」

希「幻覚?」

絵里「それって重症じゃない!?」

海未「まぁ、そうですね」

希「どんなのが見えるん?」

海未「穂乃果」

絵里「え?」

海未「穂乃果が見えるんです」


希「ちょ、ちょっと海未ちゃん。それじゃあ、まるで穂乃果ちゃんがおらんような言い方やん?」

海未「はい。穂乃果は亡くなりました」

絵里「何言っているのよ! 今朝だって、穂乃果は居たじゃない!?」

海未「間違ってはいません」

絵里「間違ってはって、……何を言いたいの?」

海未「そうですね。実際に見てもらいましょう」

海未「穂乃果」

希「!?」

穂乃果「呼んだ? 海未ちゃん?」

絵里「ほ、ほのか……?」

海未「ちょっと呼んでみただけです。帰って良いですよ」

穂乃果「うん、分かったよ」

絵里「……消滅した……?」

希「いきなり現れて、いきなり消えて……どういうことなん!?」


海未「これが私の後遺症ですよ」

絵里「意味が分からないわ、海未」

海未「そうですね。私も意味が分かりません。ただ一つ言えることは、私の目に見えるものと絵里たちに見える光景は全く別のものだと言うことです」

希「見える光景が違う?」

海未「希は今、生徒会室に居て、絵里と私と一緒にお昼をとっている。そうですよね?」

希「そうやけど……?」

絵里「……もしかして、海未には違う光景に見えるの?」

海未「焼野原、瓦礫、崩れた机、粉々になった椅子。そんな場所に私は居ます」

希「本気で言っとるの?」

海未「そう言う表情には見えませんか?」

絵里「見えるから、困っているのよ……」


海未「最初は私の正気を疑いました。病院でも診断してもらいました。もちろん異常はなしです」

希「心の病気?」

海未「ふふっ、かもしれません。ですが、私にとっては見える光景全てが現実です」

絵里「……ねぇ、海未。私たちはどうあなたの瞳に映っているの?」

海未「……」

希「海未ちゃん?」

海未「絵里と希です。ですが──」


海未「事故の前に見た当時の二人ではなく、二十代の姿をした絵里と希ですが」


絵里「二十代の私?」

海未「ええ」

希「……いつもやったら、ウチはここら辺で冗談を言うんやけど」

海未「二人とも美人になっていますよ」

希「ははっ、海未ちゃんに先を越されて言われてしもたわ」

絵里「……結局、海未のその症状は何なの? あと、穂乃果の件も意味が分からないわ」

海未「真姫が言っていたことを信じるのでしたら、未来視だそうです」

希「真姫ちゃん?」

海未「そうですよね? 真姫」

真姫「ええ、そうね」

絵里・希「!?」

真姫「突然、現れてごめんなさい。でも、私は海未の中でしか生きていないから仕方がないのよ」


絵里「真姫まで突然現れるなんて……」

海未「ニコ、花陽」

にこ「はぁ、覚悟を決めたのね、あんた」

花陽「海未ちゃん……」

希「ニコっちに、花陽ちゃんまで……」

真姫「混乱しているわよ、二人とも」

海未「仕方がないことです」

絵里「……未来視と今の状況が合致しないわ」

海未「流石、絵里です。そこに気付けますか。……真姫」

真姫「ええ、面倒な説明は私よね」

希「ウチ、全然理解が追い付いとらん……」

にこ「真姫ちゃんが今説明してくれるから、大丈夫よ」


真姫「まぁ、簡単に言うと、海未ちゃん、ことりちゃん、絵里ちゃん、希ちゃん、凛ちゃん以外は死亡してしまっているのよ」

希「死亡!?」

絵里「……」

真姫「厳密に言えば、海未ちゃんが見ている未来の時点で、だけど」

真姫「この辺がとても分かりづらいのだけど、海未ちゃんが見ている未来は海未ちゃんが見てしまった段階で現実では過去になってしまっているのよ」

絵里「……シュレディンガーの猫」

真姫「あら? 絵里ちゃんはそう言った知識があるのね。そうよ、古典的なSFでもよく例えに使われる、可哀想な猫の話が今の海未ちゃんの状態よ」

希「確か、確認するまでは猫が生きているのか死んでいるのか分からない曖昧な状態のことを言うんやったかな?」

真姫「ええ、大体その認識で良いわよ」

絵里「それなら、私たちの目に映っている日常の光景は何なの!?」

真姫「それが本来の現実の姿よ。狂ってしまったのは、穂乃果ちゃんがその日常の光景に存在しているから」

希「なんでそこで穂乃果ちゃんが……?」


穂乃果「呼んだ?」

真姫「ああ、穂乃果ちゃん。絵里ちゃんと希ちゃんにあなたのことを説明してあげて」

穂乃果「良いよ」

海未「……」

穂乃果「ここに居る穂乃果は、正しくは海未ちゃんの記憶の中の穂乃果って言えば良いのかな?」

絵里「それは真姫たちも一緒なんじゃ……?」

穂乃果「それが違うんだよ、絵里ちゃん。本物の穂乃果は死んでいるけど、今教室に居る穂乃果は確かに存在する」

真姫「まぁ、察しの良い絵里ちゃんなら予想がついているかもしれないけれど、私たちの死体は存在しない。でも、穂乃果ちゃんの死体は……」

絵里「存在、する……?」

穂乃果「正解だよ」

海未「……」

希「……それやと、いや、まさか……」

絵里「ねぇ、海未。改めて聞くわ。あなたの目には穂乃果がどう映っているの……?」


海未「腐った、穂乃果だったもの……そんな物体が毎日私の目には映っています」


*1年生の教室

凛「ねぇ、かよちん?」

花陽「なあに? 凛ちゃん」

凛「本物のかよちんはどこに行っちゃったの?」

花陽「? よく分からないよ、凛ちゃん?」

凛「……ああ、そうか、そうだった」

花陽「どうしたの? 凛ちゃん、そんな怖い顔して?」

凛「世界は壊れてしまって、かよちんは……居なくなって……凛は生存者探索に志願して……」ブツブツブツブツ

花陽「凛ちゃん?」

凛「真姫ちゃんの死体の破片があって、……それからは、凛は、機械的に、探すだけになって……」ブツブツブツブツ

真姫「花陽ちゃん。凛ちゃんはどうしたの?」

花陽「花陽もよく分からなくて」

凛「……思い出した、にゃ。『にゃ』だって随分久しぶりに言った気がする」

花陽「凛ちゃん?」

凛「この幻覚はとっても幸せな夢だったんだね」


穂乃果だったもの「ネェ、ウミヂャン。ギョウモヅガレダネェ」

海未「……ええ、そうですね」

海未(この悪夢を終わらせるにはどうすれば良いのです?)

ことり「うーん、次の衣装はどうしようかな?」

穂乃果だったもの「ヒラヒラシダブグガイイナァ」

ことり「あはは、海未ちゃん怒るかも」

海未「……ことり」

ことり「ピィ!」

海未「あなたの目には今何が映っていますか?」

ことり「?」

海未「いえ、何でもないです」


ことり「穂乃果ちゃんの死体と重体の海未ちゃんと荒廃した世界、かな」

海未「え……?」


ことり「ねぇ、海未ちゃん。見えるもの全てが地獄であっても、海未ちゃんには可能性が残っているんだよ?」

海未「ことり、あなたは……」

ことり「あー、残念。ことりはここで居なくなるようです。厳しい世界だね」

海未「待ってください! ことり、待ってください!!」

ことり「きっと海未ちゃんだったらなんとかできるよ。海未ちゃんをお願いね、穂乃果ちゃん」

穂乃果だったもの「うん、分かったよ」

ことり「」

海未「ことり……?」

ことり「ん? 呼んだ? 海未ちゃん」

海未(このことりは真姫たちと同じ記憶の中のことりです)

穂乃果「ねぇ、海未ちゃん。あそこに行こうよ」

海未「穂乃果……? 何故、あなたは穂乃果に見えるんです?」

穂乃果「海未ちゃん、言っていることが滅茶苦茶だよ? 意味は分かるけどね」クスッ


穂乃果「んー、良い夕焼けだね」

海未(思い出の詰まった屋上。私たちは真っ赤に染まった夕日に照らされてここに居る!?)

穂乃果「ごめんね、海未ちゃん。辛い光景ばっかり見せてしまったね」

海未「い、意味が分かりません」

穂乃果「良いんだよ。この穂乃果は全てを知っているから」

海未「……」

穂乃果「全て、穂乃果が悪いの。本来は存在しないはずの穂乃果が我儘をしたから」

海未「存在、しない……?」

穂乃果「うん。存在しないの」

海未「それでは、今、ここに居るあなたは誰なんですか……?」

穂乃果「穂乃果だよ。まぁ、名前は何でも良いんだけど、やっぱり穂乃果が良いかな」

海未(私が見ていた光景に不条理があるのなら、今の穂乃果の言葉には意味を見いだせない)

穂乃果「うんとね、穂乃果は世界を救うために来たんだ」

海未「え……?」

穂乃果「ごめんね、皆と海未ちゃんと過ごす日々が楽しすぎて、役目を忘れちゃってた」

穂乃果「ごめんなさい」


絵里「結局、私たちにできることなんてないのよね」

希「色々とスピリチュアルな状況やけど、ウチは理解が追い付けへんかったなぁ」

絵里「海未の目には私たちが大人に見えるようだけど、結局私たちは子供に過ぎないのよね」

希「未来のえりちは見てみたいな」

絵里「私も未来の希を見てみたいかしら」クスッ

凛「絵里ちゃん、希ちゃん」

絵里「あら? 凛じゃない?」

希「そう言えば、凛ちゃんだけは……」

凛「良かった、二人はまだ生きているんだね」

絵里「……凛は今この世界がどうなっているのか分かっているのね」

凛「うん。お昼に気付いちゃった」

希「ウチなんて説明されても、まだよく分かっとらんのよ」


凛「ねぇ、凛は今何歳だと思う?」

絵里「? 15歳じゃないかしら?」

希「いや、ウチらと同じく二十代かもしれへんで」

凛「65歳」

絵里・希「!?」

凛「なかなか衝撃的な年齢だよね。凛はもうお婆ちゃんになっちゃったよ」

絵里「冗談……?」

希「……では、ないみたいやね」

凛「結局、この物語の始まりは凛と海未ちゃんから始まったものなんだよ」

凛「世界は滅び、人類はうーん、二桁まで減っちゃった」

凛「その限られた人類の中で海未ちゃんと凛は、どうにかして世界を救えないか、無い知恵を絞って考えた」

凛「だって、かよちんの遺体なんて、消し炭程度も残らなかったんだよ?」

凛「真姫ちゃんは微かな肉片だけが残ってた」

凛「ニコちゃんは形だけが残っていた」

凛「あー、この世界は何かの間違いだって考えたくなるのは当たり前だよね?」


凛「どうしてこんな世界になったかって? 核戦争が起きちゃったんだよ」

凛「絶対に起きてしまってはいけないものが、手違いで起きちゃった」

凛「冗談では済まされないよね?」

絵里「核戦争……」

希「手違いって……?」

凛「うーん、核ミサイルをコントロールする機械が壊れちゃったの」

凛「そんな一つの間違いから連鎖して、世界を滅ぼす量の核がまき散らされた」

凛「凛は死にもの狂いで調査して、そう、原因を見つけ出したの」

凛「そして、海未ちゃんはその原因を解決しようと色々試した」

凛「本当に数えきれないだけの試行の中で、遂に海未ちゃんは答えに辿り着くの」

凛「核兵器停止計画。言葉だけ聞いたら安っぽい名前だけど、すんごいんだよ」


凛「タイムスリップ、全世界の核機能の無効化、そんな漫画みたいなとんでもない技術を海未ちゃんは作り上げた」

凛「そうそう、穂乃果ちゃんは私の過去の記憶には居ないんだ。もちろん、海未ちゃんも」

凛「きっと、絵里ちゃんと希ちゃんも記憶が戻ればそうなんだと思う」

凛「もう、気付いたかな?」

希「……」

絵里「……ほのか……」

凛「そう、その技術の結晶、それが穂乃果ちゃん」


穂乃果「私は結局のところ、人として生きてみたかったんだと思う」

穂乃果「作られた存在だけど、姿かたちは人と変わらないから、そんな願いを持ってしまった」

海未「穂乃果、あなたは何を言っているのですか?」

穂乃果「うーん、ごめんね。海未ちゃんと一緒に事故に巻き込まれた影響で、そこまで思い出せないんだったよね」

穂乃果「海未ちゃん。私を作ったのはあなたです」

海未「……私が……穂乃果、を……?」

穂乃果「本当は海未ちゃんを苦しめたくなかった。だけど、私にはわずかな時間しか残されていない」

穂乃果「だから、我儘をしてしまった。こんな腐ってしまった物質に成り果ててもそれを願った」

穂乃果「幸か不幸か、私はそんな姿になっても完全に死んでしまうことはない」

穂乃果「私が死ねるのは、その使命を果たす時だけ」


絵里「結局、私たちは何のために存在しているの?」

希「えりち……?」

凛「穂乃果ちゃんの思い出のため」

絵里「穂乃果の思い出……?」

凛「うん。全ては私と海未ちゃんの我儘なんだ」

凛「絵里ちゃんと希ちゃんが存命している時間に合わせて、作り上げてしまった穂乃果ちゃんに人として少しでも過ごしてもらうために」

凛「とんでもないエゴだけど、情が湧いちゃったんだよね」

凛「あんなに可愛くて、あんなに無邪気で、それはもう、私たちの子供みたいで」

凛「本当は人の形をしている必要はなかったのに、かつての記憶を懐かしんでしまったら、もう、それは人でしかありえなくなっちゃった」


絵里「それなら、それなら! 皆が生きている頃に穂乃果を送ることはできなかったの!?」

凛「うん、それが一番良いよね。でも、海未ちゃんが作り上げた時間跳躍は絵里ちゃんと希ちゃんが居る時代が限界」

凛「それでいて、一番重要な機能だけはそれよりも過去に使うことができる」

凛「それが限界だと言えばそうだけど、残酷過ぎるよ。かよちんも真姫ちゃんも、ニコちゃんも穂乃果ちゃんは知らない」

凛「μ'sなんて名乗っていても、穂乃果ちゃんの中には三人も大切な人が欠落している」

凛「でも、それで良いと穂乃果ちゃんは言ったの」

希「……そっか、やっと分かった」

凛「希ちゃん」

希「ウチとえりちは何も知らないから穂乃果ちゃんと本当の意味で友達になれたんだね」

凛「……うん。ごめんなさい」

絵里「……凛、謝る必要はないわ。穂乃果と出会えたことは私と希の中では宝物のようなものだから」

希「せやね。逆に知っていた凛ちゃんよりもウチらは仲良くなれたんやないかな?」

凛「……そうだね」

絵里「……もう終わり?」

凛「……うん」

希「そっか。そっかぁ……」


穂乃果「穂乃果の我儘はこれでお終い」

穂乃果「海未ちゃん、今、私の使命を果たすよ」

海未「待ってください! 穂乃果、待ってください!!」

穂乃果「さようなら、海未ちゃん。私は幸せだったよ」ニコッ

海未「ほのかぁーーーっ!!」



穂乃果だったもの「コードニンシキ……μ's」

穂乃果だったもの「チテキカツドウノヒトツヲテイシ」

穂乃果(幸せだった、よね? 私?)



海未「あれ?」

海未「なんで私は泣いているのでしょう?」

海未「……こんなにも綺麗な夕焼けなのに、何故……?」


;エピローグ

ことり「おはよう、海未ちゃん」

海未「おはようございます。ことり」

ことり「今日も暑いね」

海未「ええ、私も暑いのは苦手です」

ことり「もしかして、今もやせ我慢している?」

海未「当然です」

ことり「ふふっ」

海未「それにしても、遅いですね」

ことり「? 誰のこと?」

海未「え? ……あら? 私は何を言っているのでしょう?」

ことり「……きっと大切な人のことじゃないかな」

海未「ことり……?」

ことり「あ、遅刻しちゃうよ。海未ちゃん、行こ!」

海未「は、はい」


にこ「あら? 真姫ちゃんじゃない?

真姫「ニコちゃん?」

にこ「珍しいわね、同じ時間に登校って」

真姫「ええ、そうね……」

にこ「どうしたの、変な顔して」

真姫「ねぇ、ニコちゃん。変なことを言っている自覚はあるのだけれど、何かが足りないって思うことない?」

にこ「……あるわ。何か大切なものを失ってしまったような、初めからそんなものはなかったような、微妙な気持ちね」

真姫「そっか、ニコちゃんもなのね」

にこ「……良い天気ね」

真姫「ええ、今日も一日中、晴れるわね」


絵里「おはよう、希」

希「おはよう、えりち」

絵里「変な夢を見たわ」

希「おっ、唐突やん」

絵里「何だか悲しい夢」

希「……自分では何もできなくて、見ているだけしかできない夢、とか?」

絵里「……希も見たのね」

希「ウチら気が合うやん?」

絵里「なんてったって、生徒会長と副会長だから、ね」

希「せやね」

絵里「……何だか、この晴れ空を見ていると、夢を少し思い出せそうな気がするわ」

希「ウチもそんな気がする」

絵里「……今日も良い一日になるわ」

希「えりち、それは当然やね」

絵里「ふふっ」


凛(……)

花陽「凛ちゃん?」

凛「あ、かよちん……」

花陽「どうしたの? 元気ないね?」

凛「うーん、一人だけ取り残されてしまった虚しさを感じている、にゃ」

花陽「えー、凛ちゃんは一人じゃないよ。私も居るよ」

凛「……うん! かよちんも居るもんね」

花陽「そうだよ。それにしても、良い天気だね?」

凛「うん。──ちゃんの笑顔を思い出すよ」

花陽「え? 何か言った? 凛ちゃん」

凛「ううん。何でもない、にゃ」

凛「行こっ! 遅刻しちゃうにゃ!」

花陽「う、うん。待ってよー、凛ちゃん!」


穂乃果「……」パチッ

海未「おはようございます。穂乃果」

凛「おはよう、穂乃果ちゃん」

穂乃果「? ……!」パクパクパクパク

海未「あ、言語機能はまだ回復していません。もう少し待ってください」

凛「よく分からないって顔しているね? 穂乃果ちゃん」

海未「穂乃果が使命を果たすと同時に、ここへ戻ってくるようにしていたんです」

凛「穂乃果ちゃんの頑張りで、過去は変わった。でも、穂乃果ちゃんが作られるこの未来がなければ、それはできない」

海未「まぁ、未来の分岐の話です。この未来は分岐を終え、いずれなくなるでしょう」

凛「でも、海未ちゃんと二人で終えるのも寂しいよねってことで、愛娘を我儘で戻ってくるようにしました」

海未「人間の我儘に振る舞わされるなんて、穂乃果にとっては理不尽極まりないですよね」

凛「バカな凛と海未ちゃんを許してとは言わないよ。でも、これだけは言わせて」



海未・凛『おかえりなさい』



穂乃果「……ただ、……い……ま……」ニコッ


                終


おつきあいいただいた方はありがとうございます

ふわっとしたSF風な話でした

深い意味は考えずに感覚で読む物語ですね

また機会がありましたら

微妙

>>30
だよね。感覚で書くとこうなってしまいます
微妙関連でもう一つ




穂乃果「海未ちゃんって童貞っぽいよね?」







*おトイレ

穂乃果「海未ちゃんって童貞っぽいよね?」ウフフ

ことり「うん、分かる。海未ちゃんは童貞だよね」キャハハ


│洗面所(ほのこと)

│空│空│空│海未│←


海未「!?」ベンジョメシチュウ

海未(私が、ど、童貞!?)


*放課後

絵里「海未、用事って何?」

真姫「仕方がないから、聞いてあげるわ」カミノケクルクル

海未「率直に聞きます!」

絵里「は、はい?」

真姫「な、なによ?」

海未「私は、ど、ど、どどどどどどっ、童貞でしょうか!?」クワッ

絵里「う、海未、あなた! 何を言っているのか分かっているの!?」カァー

真姫「……童貞ね」

絵里「真姫!?」

海未「……やっぱりそうなのですか……」


絵里「え? やっぱりって何?」

海未「……今日の昼休み、私が便所飯をしている時に」

真姫「何が悲しくてそんなことをしているのよ?」

海未「便所飯を馬鹿にしてはいけませんよ、真姫」キリッ

真姫「イミワカンナイ」

絵里「え、便所飯? 何?」

海未「穂乃果とことりが私のことを童貞っぽいって話していたんです……」

真姫「あの二人ってそういう話題を口にするの?」

海未「ええ、意外と二人とも下ネタトークが大好きです」

絵里「私の中の穂乃果とことりのイメージが音を立てて崩れていくわ」

海未「まぁ、女子校ですし」


海未「それよりも、私はそんなに童貞っぽいですか?」

真姫「ええ」

絵里「……あの、一つ良いかしら?」

海未「何でしょう? スリーサイズ以外でしたら答えますよ」

真姫(海未ちゃん、頭のネジが一本飛んでいったのかしら?)

絵里「ど、童貞って男の人のことよね?」カァー

海未「!? それは盲点でした!?」

絵里「えーっ!?」

真姫「海未ちゃん、生えてるの?」

海未「生えていません!」


海未「もしかしたら、穂乃果とことりには、私が男の人だと思われているのでしょうか?」

真姫(それはないわね)

絵里「そうかも、しれないわね」

真姫「えー」ナニソレイミワカンナイ

海未「そうですか。それなら納得です。ですが、私は処女です!」

真姫「えー」

絵里「そ、そうよね、男の人じゃないなら、しょ、処女よね」カァー

海未「ふぅ、これでスッキリしました。穂乃果とことりには訂正を訴えましょう」

真姫「ちょっと待って」

海未「何でしょう? 真姫」


真姫「海未ちゃん、あなた童貞くさいのよ!」

海未「ガーン」

絵里「ま、真姫? 何を言っているのかしら?」

真姫「海未ちゃんの、言動、行動、全てが童貞くさいって言っているの」

海未「え? マジで?」

真姫「そうマジよ」

絵里「言われてみれば……」

海未「言われてみれば、何ですか!?」

絵里「あなた、皆が着替えている時、常にソワソワしているわよね?」

海未「ドキッ!」

真姫「横目で穂乃果ちゃんの胸とか見ているわよね」

海未「何故それを!? ──はっ!?」


絵里「黒ね」

真姫「黒よ」

海未「ま、待ってください! 私は女性ですよ!?」

真姫「『ハレンチです!』『このドラマ、キ、キスとかするのでしょうか!?』とか童貞っぽいでしょ?」

絵里「確かに、女性とか男性とか関係なく、海未にはそれっぽさがあるわね」

真姫「結論。海未ちゃんは童貞」

絵里「解決ね」

真姫「ええ」

海未「ちょ、ちょっと待ってください!」

真姫「なによ? 童貞」

絵里「な、なに? ど、童貞」キャー

海未「ソルゲ組の友情なんてなかったんですねぇ!!」ドドドドド

真姫「何やら叫んで、走り去って行ったわね」

絵里「帰りましょうか?」

真姫「そうね」

       終

なんでこんなものを書いていたのだろうか?

それでは

おつ

SF感いい感じで面白かったよ

乙です

台無しでわろた

おつ
よかった

乙!
楽しめた

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