神「さぁ、まずは北斗神拳の使い手にして、世紀末覇王！」

神「ファンが葬儀まで開いたという、この男の再来を望む人間は多いはずだ！」

神「私の神の神たる力を使い、復活させてやろう！」



ラオウ「む……おれは生涯に悔いはなかったのだが……」



～　北斗の拳　復活の「Ｒ」　～

神「自らの贖罪のために妖怪となり、地獄へ堕ちた悲しき武道家！」

神「再び、いかなる技をも粉砕するパワーを見せてくれ！」

神「修行すれば、きっと数ヶ月でトップクラスのＳ級妖怪になれるだろう！」



戸愚呂弟「オレは冥獄界にいたはずなんだがねェ」



～　幽遊白書　復活の「Ｔ」　～

神「志半ばで、この世を去った世界最高の名探偵！」

神「『が……ま……』とは、『が、また復活する時までさようなら』だったのだ！」

神「よみがえった命と頭脳をフル稼働させ、再び犯罪者と戦うのだ！」



Ｌ「私の遺志は、すでにニアとメロに受け継がれたはずですが……」



～　デスノート　復活の「Ｌ」　～

神「吸血鬼にして、時を止めるスタンド使い！」

神「悪のカリスマとて、私の手にかかればこうして復活できるのだ！」

神「今度こそ勝利して支配してみせろ！」



ＤＩＯ「フン……『三度目の正直』というヤツか？」



～　ジョジョの奇妙な冒険　復活の「Ｄ」　～

神「人類の底すらない悪意に屈した、蟻の王者！」

神「“軍儀”を極め、死をも体験し、もはや死角はなくなった！」

神「さぁ、よみがえれ！　完全無欠の『人間ハンター』として！」



メルエム「コムギとの対局がいいところだったというのに……」



～　ＨＵＮＴＥＲ×ＨＵＮＴＥＲ　復活の「Ｍ」　～

神「炎と包帯をまといし、復讐の悪鬼！」

神「時代に葬られたキサマであるが、時代はどうやらキサマを求めているようだ！」

神「弱肉強食をひっさげて、地獄から還ってこい！」



志々雄「閻魔との戦いが楽しかったってのに……なんだこりゃ？」



～　るろうに剣心　復活の「Ｓ」　～

神「最強の鞭を振るいし大師！」

神「次々と仙人を屠ったその姿は、多くのファンを戦慄させてくれた……！」

神「全世界を『殷』のものとするため、よみがえるのだ！」



聞仲「私はすでに太公望たちと和解しているんだが……」



～　封神演義　復活の「Ｂ」　～

神「魔王から超魔生物へ！　悪党から武人へ！」

神「成長した敵キャラクターの代表格！」

神「私の力で復活し、さらなる成長を遂げるのだ！」



ハドラー「オレは……アバンの腕の中で死ねたのに……」



～　ダイの大冒険　復活の「Ｈ」　～

神「よしよし……みごと復活させることができた」

神「ゆけ、復活した強敵たちよ！」

神「君たちの力で、漫画アニメ界を活発化させるのだ！」

神「しかも、復活するのはこの８人だけではないぞ！」

神「もっともっと、かつて敗北した強敵たちを復活させて」

神「ファンを狂喜乱舞させてくれるわ！」

神「ハーッハッハッハッハ！」

ところが──

神「さて、ファンの反応は、と……」



「蛇足だろ……」

「いくらなんでも復活させすぎ。誰か止めろよ」

「せっかくキレイに終わった名作を汚すな！」

「フリーザはよかったけど、こんな安易な後追いはダメだろ」

「どっちかっていうと、Ｌよりライト復活させるべきじゃね？」



神「バ、バカな！？」

神「ま、まずい……まずいぞ！」

神「ファンの数がどんどん減っていく！」

神「復活乱発に呆れたファンが、アニメや漫画から遠ざかっていく！」

神「なんということだ！　こんな結果になってしまうとは……！」

神「復活した彼らを元に戻し、映画を中止させないと」

神「アニメ漫画界は未曽有の危機に陥ることになってしまう！」

神「ファンがいなくなってしまうゥゥゥ！」

神「なんとかして、復活させた無数の強敵たちを元の世界に戻したいが……」

神「やはり、元々強敵だったこともあって、もはや私の力でもどうにもならん！」

神「もはやここまでか……！」

神「私の軽率な行いで、漫画アニメの世界が滅びることになってしまおうとは……」

すると──

フリーザ「ほっほっほ、神ともあろう者が諦めるんですか？」

神「フ、フリーザ！？　どうしてお前がここに……！」

フリーザ「映画も一段落したので、ヒマができたのですよ」

神「そうか……だが、私はとてつもない過ちを犯してしまった」

神「もうオシマイだ……！」

フリーザ「いえ、まだ打つ手はあります」

神「手だと？　そんなものあるはずが──」

フリーザ「今ならまだ、彼らは完全復活を果たしたわけではありません」

フリーザ「私とあなたが力を合わせれば、彼らの復活をなかったことにできるはずです」

神「おおっ、手伝ってくれるか！」

フリーザ「こうなった以上、やむをえないでしょう」

フリーザ「さぁ、いきますよ！」

神「うむ！」

神「復活した強敵たちよ！」

神「私とフリーザの力をもって、元の世界へ戻ってくれ！」

神「はああああああっ！」

フリーザ「きええええええっ！」



ズアオッ！！！

ボシュゥゥゥゥゥ……



フリーザ「元々みなさん、復活させられたことに乗り気でなかったことも手伝ってか」

フリーザ「無事、戻ってくれたようですね」

神「ありがとう、フリーザ。君のおかげで助かったよ」

フリーザ「いえいえ、礼には及びませんよ」

フリーザ「漫画やアニメのファンがいなくなって困るのは、私も同じことですからね」

フリーザ「それでは……」ﾋﾟｼｭﾝｯ

こうして、復活映画の乱発は食い止められ、ファンの数も元通りになった。

後にこの一連の出来事は、ファンが復活したということで──



“復活の「Ｆ」”と呼ばれることとなる。







ＥＮＤ