美依「新作には出ないってね!」 (12)

小吾郎「どうしたんだお嬢」

美依「どうせ出たところで『いらない』とか『需要がない』とか『魅力がない』とか言われるだけよ!」

小吾郎「……」

美依「だったら出ない方がマシってね!」

小吾郎「……お嬢」

美依「何よ?」

小吾郎「……俺の知ってる黄龍寺美依は……そんな弱音は吐かない筈だが?」

美依「?」

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小吾郎「オロス・プロクスとの戦いを終えた時……お嬢は精神的に大分成長した……家庭教師である俺が必要ないぐらいに」

美依「小吾郎……」

小吾郎「そんなお嬢が……そんなことで諦めてどうする?」

美依「……」

小吾郎「……」

美依「……よ、よしなに努力するってね!」

小吾郎「お嬢……」

小吾郎「お嬢はさっき、『魅力がないと言われた』と言っていたな?」

美依「うん……今までのヒロインにはあったけど私にはないって……」

小吾郎「だったら……お嬢の長所を更に磨きをかけるっていうのはどうかな?」

美依「私の長所……」

小吾郎「ああ」

美依「……む、胸があるとか?///」

小吾郎「……」

美依「な、何言わせてんのよこの変態家庭教師!!///」

小吾郎「お嬢が勝手に言ったんじゃないかな」

美依「あっ、そうだ! 私は黄龍寺家のお嬢様だから……お金で色々ブイブイいわせるとか!?」

小吾郎「……」

美依「……何よその目」

小吾郎「申し訳ないがお嬢……そのお嬢様というのも……胸があるというのも……既に先駆け者がいる」

美依「だ、誰よそれ!?」

小吾郎「……楠舞神夜とネージュ・ハウゼンだ」

美依「じゃあ私は三代目巨乳兼お嬢様ってこと!?」

小吾郎「そういうことになるかな」

美依「森住はいい加減キャラの設定変えなさいってね!!」

小吾郎「あいつは変態だからしょうがない」

美依「今までのヒロインと被ってない……私だけしかない魅力……あっ!!」

小吾郎「思いついたか?」

美依「若い!! 私、まだ未成年ってね!」

小吾郎「……楠舞神夜も若い」

美依「……もうっ!! 小吾郎の馬鹿!!」

小吾郎「俺が怒られる理由が全く分からないんだが……」

小牟「他人のことより自分の心配をしたらどうじゃ?」

小吾郎「!!」

美依「あ! おばさん!」

小牟「誰がおばさんじゃ! わしゃあまだピチピチの765歳じゃあ!」

美依「そんなに長く生きてたら立派なおばさんってね!」

小吾郎「それでおばあちゃん……さっき言っていたことの詳細は?」

小牟「そのまんまじゃ。 正直、美依よりもお主の方に全く魅力を感じないからのう」

美依「こ、小吾郎が魅力がないですってぇ!?」

小吾郎「自分が言われた訳ではないのに何をそんなに怒ってるんだ?」

美依「う、うるさいわね! /// あんたが怒んないから私が代わりに怒ってるだけってね!」

小牟「そんなに怒ってるんだったら此奴にしかない魅力……勿論言えるんじゃろうなぁ?」

美依「も、勿論よ! 小吾郎の魅力は……」

小牟「魅力は……?」

美依「……マルチってね!」

小吾郎「マ、マルチ……?」

美依「零児は森羅のエージェント、アレディは闘士、ハーケンは賞金稼ぎ兼艦長!」

美依「それに比べて小吾郎は探偵兼家庭教師兼忍者!! 3つも仕事をこなしてるってね!」

小牟「ほう……よく見つけたのう……確かにそいつにしかない特徴じゃな」

小牟「じゃが……仕事が全部地味すぎるのう」

小吾郎「忍者は忍ぶものだから仕事もそんな目立たない物でいいと思うけどな……」

小牟「そういう考えが甘いんじゃ!……大体、主は本編で探偵っていう設定を活かせてないじゃろ!?」

小吾郎「……真相を突き止めたという点では十分活かせたと思うが?」

小牟「そんなのこじつけじゃ! そんな仕事より……ほれ!」

小吾郎「これは……求人誌?」

小牟「裏ハンター試験の試験官、忍者アカデミーの先生、ガンダムのパイロット……これぐらい派手な仕事をすればインパクトを与えられるはずじゃ!」

美依「……そんな職業、聞いたことがないってね」

小牟「あとはあれじゃな……主らのイメージカラーがダメじゃな」

美依「イメージカラー?」

小牟「そうじゃ。 赤、黄色、白、黒はワシと零児の専売特許じゃ!! 青髪にしたらどうじゃ?」

美依「ヤダ! それじゃ丸で別人ってね!」

小牟「ほれほれ! カラースプレーはこんなにあるんじゃ! 使え使え!」

美依「ヤダってば! 小吾郎助けてよ!」

小吾郎「よしなに仕事を探さないとな……」

小牟「完全に求人誌の虜じゃな……観念せいお嬢様!」

美依「いやーーー!」

ガン!

小牟「はうあっ!」

零児「もうやめろ、駄狐」

美依「零児!!」

小牟「ゲーッ!!」

零児「げーじゃない……二人とも、迷惑をかけて悪かった」

美依「全くよ!」

小牟「ワシの助言が迷惑じゃと?」

零児「そうだ……ところで二人とも」

小吾郎「何かな?」

零児「こいつは魅力がないと言っていたが……少なくとも俺から見たら十分ある」

小吾郎・美依「!!」

零児「下手に変えなくともお前たちはお前たちらしくすればいい」

美依「零児……」

小吾郎「そいつはどうも」

小牟「……確かに考えてみれば悪いのは主らじゃないのお」

零児「そうだ、誰も悪くない」

小牟「……悪いのは森住じゃな」

零児「ん?」

小牟「どんなに地味なキャラでもストーリーが良かったら……もう少しストーリーがちゃんとしていればお主らが叩かれることはなかったんじゃないかのう」

美依「……そ、そうよ! 悪の根源はそいつってね!」

小吾郎「これでよしなに事件解決ってとこかな?」

零児「……」

〜終わり〜

小牟「ちょっと待てい! もうちょっとだけ続くんじゃ」

小牟「やっぱり最後は……これに限るのう!」

零児「これ?」

小牟「零児! 小吾郎! わしに近う寄れ!」

零児「断る」

小吾郎「俺も……嫌な予感しかしないかな」

小牟「しょうがない……こうなったらワシ自ら!」

ガシッ!

小吾郎「ん?」

零児「おい、離せ」

小牟「そうれい!」ブン

零児・小吾郎「うおっ!?」

ブッチュウウウ

美依「!?」

零児「う……」

小吾郎「おえ……」

小牟「最後は幸せなキスをして終了じゃあ!!」

その日、尻を叩かれる音が一日中聞こえたという。

〜本当に終わり〜

アルルはよ

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