【野球】カピバラパーティー (14)

※以下のショートストーリーは実際に各人同士が呼称している呼び名と違う可能性があります。
また、キャラが違う可能性もあります。若干ホラーです。
今後に関してもそうですが、自分のブログに挙げてからの転載となります。
なので、見たこと有るぞとなるかもしれません。しかし、自身のブログを宣伝したくはありませんので、
転載元不明記、アドレス記載も無しで行かせていただきます。転載はご自由にどうぞ。
画像位置はうまくいっているかな。
では、お楽しみください。

※カピバラ
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira073782.jpg
南米原産の齧歯類で、現存する最大の種
体長105センチメートルから135センチメートル、
体重35キログラムから65キログラムにまで成長する。性格は非常に穏やかで、
人間に懐くことからペットとしても人気がある。5センチメートル以上にもなる、
タワシのような硬い体毛に覆われている。泳ぎが得意で、前足後足には蜘蛛の巣状の水かきがついている。
群れを成して泳ぎ、捕食動物から身を隠すために5分以上もの潜水ができる。
鼻先だけを水上に出して眠ることもある。
日本においては野生化した個体が田畑の作物を食い荒らす事件が発生している。
原産地の多くの地域において食用として飼育されており、その食味は大変美味であるとされる。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1429120604

それはある六月の夜の事でした。 対SOFTBANKの交流戦を福岡で終え、翌日休みで時間の空いていた僕(大瀬良)、今村さん、一岡さんの三人に、試合後、SOFTBANKの通訳の人が話かけてきたのです。

彼が言うには、バリオス選手が僕たちがカピバラトリオと呼ばれているのをどこかで聞いたそうで、カピバラと言えば俺だろ!ってことで、バリオスが食事をご馳走したいと考えたらしいのです。
彼の祖国のカピバラ料理はとても美味しいとのことで、口に合わなくても普通の牛や豚、鶏肉のBBQも用意しているから是非来てくれ。と誘ってくれたのです。

もともと皆良く食べるし、肉は大好き。さらに、他のベネズエラ出身のラミレスさんやバルディリスさん、ロペスさん他10人くらい来るという話。日本語ができる人もいるし、色々な話で盛り上がろうとのこと。
外人さんとの本場のパーティーに呼ばれるのは初めてで、三人で話し合った結果、楽しそうだからぜひ行かせてもらおうという事になりました。
なにか、中南米の人たちって陽気で楽しそうだし、バーベキューとか美味しそうだし。
しかし、この時はまだ想像もできなかったのです。まさかあんなことが起きるなんて...

翌日、僕たちはしめし会わせて約束していたバリオスの家に行きました。それは想像していたよりはるかに広く、郊外とは言え、かなりしっかりとした作りで、中南米風の作りの大きな庭の建物でした。
大きな門を中に入ると、中から「日本語ができるのまだ少ないから...」とラミレスがにこやかに出迎えに来てくれました。「まだ準備中だからビールでも飲んで待っていてくれ。」と缶ビールを渡されました。聞いたことのないものでしたが、ベネズエラでは有名なものらしいです。

それからほどなくして準備ができると、まずは鶏肉や牛肉を彼らは焼き始めました。そうすると今村さんが「あれ、これは普通の肉ですよね?カピバラの見てみたいんですけど...」と言ったのですが、周りの人たちはニヤニヤしながら、あわてるなよ。後でね、後で。と言い、まずは食べなと普通の肉を渡してきました。

その日は意外にも日差しが強く、おいしいバーベキューにビールも進み、気がついたらクーラーボックスの中身は空っぽになっていました。そうすると、一岡さんが呼ばれ、「すまないが、ビールを取ってきてくれないか?」とラミレスが一岡さんに頼むので、かわりに下っ端の僕が行こうとしました。
すると何故かみなニヤニヤしながら「君はまだ早いよ。肉でも焼いていると良い」と言って肉のトレーを渡されたので、「まあ、行ってくるから焼いていなよと」とおっしゃってくれたのもあって、一岡さんがビールを取りに行きました。
もしこの時、僕がビールを取りに行っていれば、あるいは違った結末になっていたのかもしれません。

ビールは地下のワインセラーにある冷蔵庫に保管してあるらしく、一岡さんは階段を下りていきました。
するとバリオスが、そろそろカピバラ肉を持ってこようか。さばかなきゃいけないから。新鮮なのがおいしいしね。
とメヒアと出ていきました。
自分も手伝おうかと思ったのですが「これはプロにしかできないんだ」と言われたので、今村さんと普通の肉を焼いて待つことに。
やっとカピバラ肉食えるな。とか、でもネズミだし...と話していたのですが、他の選手たちがずっとニヤニヤしていたのをよく覚えています。
ただ、その時はよほどカピバラ肉が楽しみなんだな。くらいにしか考えていませんでした。

肉を捌いているということで時間はかかりましたが、20分くらいするとメヒアとバリオスが血まみれになりながら、大量の肉を抱えてやって来ました。
「生きているのを捌くから、全身血まみれになってしまうんだ。」とラミレスが言っていました。
なんか凄いな。こういうもんなのか?と今村さんと見ていると、「そういえば、一岡遅くない?」というのです。
確かに一岡さんがビールを取りに行ってからすでに30分近く経っています。
せっかくカピバラ肉も出てきたと言うのに食べないつもりなのかな?と考えていると、
「あ、お腹痛くてトイレでも行ってるのかもね」と今村さんが言うので、確かにビール結構飲んだからなぁなどと考えていました。

そう話しているうちに、皆が、さあ、<帰って来ない奴>は放っておいて、カピバラの肉を食べようか。と言い出しました。
帰って来ない奴なんて少し酷いなぁと思いながらも、興味はカピバラ肉へ。
これはモモ肉なんだ。と言いながら、大振りな骨の付いた肉をコンロに乗せると、あまり嗅ぎなれない肉の焼ける臭いがしました。

今村「この臭いどこかで嗅いだことあるなぁ」
僕「えっ?ちょっと変わった臭いですけど...」
今村「この臭いかいだの、あまり良い思い出ではない気がするんだけど」
僕「なんですか、それw」

などと話しているうちにどんどん肉は焼けていく。
そろそろ食べれそうなのかな?と考えていると、バリオスがにこやかな顔で「オオセラクン、焼ケマシターヨ」とそのモモ肉を一本渡してきました。
正直臭いが強かったので遠慮したかったのですが、招待してもらった手前全く食べないのもまずいなと思い、
一口食べてみましたがどうにも臭いのです。生焼けとかではなく…なんというか、とにかく言い表せないような何か変な物を食べているような...
そのあまり美味しくない肉を、今村さんは美味しそうに頬張っていました。

少しすると、「こんなにうまい肉食わずに一岡なにやってんだろうな。探してくるか。」
というので僕も付いていこうとしたのですが、君はまだ行かなくて良い。次の肉を無くしてからさ。
一番美味しそうなメインは最後だよね。と良く分からないことを言われ、代わりに行ってくるよと、バリオス、メヒアが今村さんと出ていきました。

その時の何とも言えない違和感と、周りの人たちのニヤニヤしている顔は、あれから1年近くたった今でも頭から離れません。

それから30分ほど待っていると、メヒアとバリオスだけが帰ってきました。
バリオスは、今村は食べ過ぎたから中のトレーニングルームで少し運動しから戻ってくるらしいよ。と言ってきました。
その手に大量の<カピバラ肉>を抱えて…

僕は一岡さんのことも聞きましたが、みなニヤニヤしているだけで何も答えてくれませんでした。

これはただ事ではない何かがある。このままここに居るととんでもない事になってしまうのではないか…と思い、
こっそり逃げ出すことにしたのです。
幸い、皆酒が入っているせいか、<カピバラ肉>を食べることができて満足しているのか…
僕に対する注意が逸れていました。そこで、こっそりと抜け出したのです。


少しするとそれに気づいたのか「Se escapa! Persigue!」「¡Mierda! ¿Dónde ir?」「La mejores comida se escapó!」
と何か叫んでいましたが、持ち前の運動神経でどうにか敷地から外に出ることに成功したのです。

外に出ると真っ先に警察へ駆け込みました。
ただ、あのような事をどう説明して良いのか分からず、また、そのために紡いだ言葉は文になってなかったのかもしれません。

とりあえず、精神的にかなり参っているようだし体の検査も必要だろう。ということで一旦病院へ入院という形になりました。
しっかり検査され、精神以外には全く異常がないという事が分かったため、少しして僕は退院することになりました。
僕はあそこであったことを詳細に警察で説明し、早く捜査してもらえるよう頼みこみました。

しかし、警察の捜査で何か見つかることはなく、そのうえ、捜査は早々に打ち切られてしまったのです。
僕は何度も掛け合いましたが、警察は全く取り合ってくれませんでした。
そのうえ、カープに一岡や今村なんていう選手が在籍していたという記録はない。と言うのです。
そんなバカな!と思い、チームメイトや監督にも聞いて回りましたが、誰一人として二人の事を知っている人は居ませんでした。
あげくの果てに「気でも触れたのか」とまで言われる始末でした。

僕はその事件を境に野球を引退しました。
精神的にとても野球などできる状態ではなかったからです。

一年経った今でもそこで本当は何が行われたのかは謎のままです。

夢として忘れてしまうにはあまりにも鮮明なその記憶は、私の心に大きな影を落とす事になりました。
僕があれほど情熱を燃やし、大好きだった野球も今ではプレイするどころかテレビで見る事すらできません。

バリオスや中米出身の選手がテレビに写るとその彼等が笑顔で僕に語りかけてくるのです。
「次はお前の番だ。」と。

~fin~

以下の画像は南米のカピバラ料理と実際のカピバラトリオ
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira073785.jpg
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira073786.jpg

カピバラ肉、一度は食べてみたいですね。
バーベキューにすると本当においしそう。
味は豚肉に近いとか。
南米に旅行へ行けたら、是非食してみたいものです。

注意事項!
間違ってもカピバラトリオは食べないでください。
こちらは一般的な南米のカピバラとは異なり、
間違いなく観賞用で、食用ではありません。
カピバラトリオの野生種は捕獲も法律で厳しく禁止されています。
もし見かけても、そっと優しく見守るだけにしてください。

広島カープと言う野球のチームがたまに展示しておりますので、
そちらの試合やイベント等へお出かけになれば、鑑賞の機会も訪れるかと思います。

最後に・・・
大瀬良さん、応援しています。頑張ってください。

お楽しみいただけましたでしょうか。
以下の物は私が以前書いたss(ギャグ系)になりますので、暇がある様でしたら是非ご覧ください。
老勇者(60)「魔王城は目の前なんだが・・・、もう死にたい・・・」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1414365691/)
シンジ「最近、綾波の様子がおかしいんだ・・・」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425536223/)

では、また何か思いつけば書くと思いますので、よろしくお願いします。

大瀬良くんの登板はまだまだ先になりそうですね。
14にちょろっと投げちゃってるので。

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