剣士「異種族は斬る」(97)

剣士「例外なく斬る」

スライス「ぴぎー」

剣士「フンッ」

ズバー

スライス「死んだ」

剣士「雑魚め、己の実力を知らんのか」

ガサガサ

ゴブリン「ごっぶっ」

剣士「フンッ」

ズバー

ゴブリン「死んだ」

剣士「雑魚め、己の実力を知らんのか」

ガサガサ

ドラゴン「よぅ」

剣士「フンッ」

キィン

剣士「なっ…剣が弾かれた!?」

ドラゴン「雑魚め、己の実力を知らんのか」

剣士「それ俺のセリフゥー!」

ドラゴン「人間の男…巣に持ち帰るか」

パクッ

剣士「なっ…はっ、放せ!」

ドラゴン「…」

バサバサッ

剣士「うっわ高、俺高所あかんねん…」

ジョロロロロ…

ドラゴン(アンモニアァァァ!)

バサバサッ
バサバサッ

ドラゴン「巣に着いた」

ポイッ

剣士「くっ…殺せ!」

ドラゴン「殺しゃしないよ、大切な人間の男だからね」

剣士「俺をどうするつもりだ?」

ドラゴン「ふむ、それを訊きたいかね?」

剣士「あぁ。魔物が理由もなく人間を生かす筈がない」

ドラゴン「君はどうやら魔物に偏見があるようだね…」

剣士「魔物は凶暴で凶悪、極悪非道でルール無用の残虐ファイターだと思っている」

ドラゴン「おやおや、酷い言われようだな」

ドラゴン「我々は住処を脅かす人間を追い払っているだけだ。むしろ魔物から人間を襲うことは珍しい」

剣士「ついさっきスライムとゴブリンに襲われたが?」

ドラゴン「そりゃあ魔物にだって無法者はいる。人間にだって盗賊や山賊がいるだろう」

剣士「う…まぁ、確かに」

ガサガサ

ドラゴン「おや…」

?「…」

剣士「…人間…の、女…?」

ドラゴン「まぁ、そう見えるだろうね」

?「父さん、誰、この人」

ドラゴン「拾ってきたんだ…えぇっと、そういや名前は」

剣士「…剣士だ」

かっこつけてるけどコイツ尿まみれなんだよな

期待乙

ドラゴン「剣士か。では剣士、紹介しよう、この子は私の娘、竜子だ」

竜子「…」

ピトッ
ジッ

ドラゴン「少々恥ずかしがり屋でな、人を見るのは初めてなんだ」

剣士「…お前の娘?俺みたいに何処かからさらってきたのか?」

ドラゴン「いやいや、この子は正真正銘私の子さ」

剣士「…理解に苦しむ」

ドラゴン「ドラゴンに人間の娘がいる事が、かね…?」

剣士「あぁ」

ドラゴン「私…いや、私達は正確には竜人(ドラゴヒューマン)…半分竜で、半分人間の亜種なのさ」

剣士「…亜種?」

ドラゴン「どちらにもなりきれない、半端な種族さ…」

剣士「…そんな魔物が…種族が…あったのか」

ドラゴン「だから私達は、竜の姿にも人の姿にもなれる。だがこの子は、生まれてから人の姿のまま…竜になれないんだ」

剣士「何故?」

ドラゴン「分からない。それを一族は許さなかった…私達は追い出され、山奥でこうやってひっそりと暮らしているのさ」

剣士「…」

ドラゴン「人間も魔物も、自分達と違うものは忌み嫌うもの…違うかね?」

剣士「…俺は」

ドラゴン「ん?」

剣士「人間ではない…異種族である魔物は、ことごとく斬ってきた」

ドラゴン「うん」

剣士「自分と姿形が違うものを受け入れられないから…斬ってきた」

ドラゴン「では私も斬るかね?」

剣士「今は…分からない。魔物であっても人の姿なら斬れない…そんな理由で今までの自分が否定されたようで…」

ドラゴン「君は…随分と優しくて臆病な人間だね」

剣士「臆病なのは認める」

竜子「…」

ドラゴン「あぁ、すまんすまん竜子。君をほったらかしで話に夢中になっていたよ」

竜子「…」

ボソボソ

ドラゴン「ん?なになに、はいはい」

剣士「その子はなんと言っているんだ」

ドラゴン「アンモニア臭いってさ」

剣士「oh、恥ずかしかぁ!」

ドラゴン「私の服を貸そう。近くの湖で体を洗って来たまえ」

剣士「た、助かる…」

ドラゴン「竜子、この人を湖まで案内してくれるかい」

竜子「!」

ドラゴン「大丈夫、この人は」

竜子「…」

ドラゴン「うん、うん…よし、いい子だ。では頼んだよ」

・ ・ ・ ・ ・

~湖~

剣士「ふぅ、生き返る。さて、股間は特に重点的に洗わなきゃな…」

ゴシゴシ

剣士「よし、これで綺麗になった。借りた服を着るか」

ガサゴソ

剣士「シャツにジーンズ…近代的だな…よし、では…」

トオクカラ ヒメイ キャーッ

剣士「悲鳴…竜子ちゃんか…!?」

タッタッタ

竜子「う…あ…」

盗賊「げっへっへ…いい女だぁ」

竜子「いや…」

盗賊「嫌がる女を無理矢理…げっへっへ…タマランチ!」

ザザッ

剣士「待てぃ!」

盗賊「んん~?」

剣士「下品な盗賊め…その子に触れるな」

盗賊「あぁ~うるせぇなぁ~」
チャキッ

盗賊「ナイフで刺しちゃうよぉ~?」

剣士「ふっ、ナイフなど俺の剣で…っ!」

剣士(しまった…剣はドラゴンの住処に置いてきたんだった)

盗賊「あぁん、なんだって~?」

剣士「くっ…」

竜子「…」

フルフル…

剣士(怯えている…そういや人を見るのは今日が初めてと言っていたな…あまりにも刺激が強すぎたか)

盗賊「お前から、刺しちゃうぞぉ~ん」

シュッ
サクッ

剣士「ぬぅっ!」

ジワッ

竜子「!」

剣士「痛っ…に、逃げろ、竜子ちゃん…」

竜子「…」

ガクガク

剣士「はっ…早く…君のお父さんの所へ…逃げ…」

盗賊「ん~まだ喋れるか~なら」

サクッ
サクッ

剣士「うぐぁぁぁっ!」

盗賊「急所は外したぁ~じわじわやるのが好きでねぇ」

剣士「ぐぁっ…」

竜子「う…あ…」

ガクガク

盗賊「さぁて、てめぇはそこで見てな。俺様のマグナムでヒィヒィ喘ぐ女をなぁ~」

ジリッ

竜子「や、やだ…」

盗賊「げっへっへ…」

ガシッ

盗賊「んん~?」

剣士「に、逃げ…ろ…はや…」

盗賊「しつけぇな…」

チャキッ

盗賊「めんどい、やっちゃうわ」

竜子「だ…だめ…だめぇぇぇ!」

グオォッ
バリバリッ
ピカーッ

竜子「くぉぉぉぉぉん!」

盗賊「ひっ、ドラゴン!?」

剣士「り、竜子…ちゃ…」

盗賊「ひぃっ、逃げ…」

竜子「くぉぉぉぉぉん!」

盗賊「ひぃぃぃぃぃ!」

スタコラサッサ

剣士「ど、ドラゴン…」

薄れゆく意識の中
剣士が見たのは
白く美しい竜の姿だった…

・  ・ ・ ・ ・

剣士「んっ…」

ズキッ

剣士「いっ!」

ドラゴン「よかった、目が覚めた」

剣士「お、俺は…」

ドラゴン「盗賊に襲われたらしいね、大体の事は竜子から聞いた」

剣士「あんたは…」

ドラゴン「あぁ。これが人間体だ」

剣士「こうして見ると、何一つ変わらないな、俺達と」

ドラゴン「まぁね。あの子もそうだろう?」

剣士「…すまない。竜子ちゃんを恐ろしい目に会わせてしまった」

ドラゴン「ん、いやこちらこそ。まさかこの辺に盗賊が出るとは思わなかった」

剣士「…あの子は、人間を嫌いになっただろうな」

ドラゴン「どうだろう。助けられたから、君には悪い印象は無いと思うけど」

剣士「ならいいんだが…」

ドラゴン「それに、あの子が竜体になるきっかけにもなった。悪いことだけじゃないさ。君には申し訳ないがね」

剣士「…」

ドラゴン「傷は深い。もう少し寝るといい」

剣士「あぁ」

乙!

「死んだ」「アンモニア!」「タマランチ」
なんか独特のセンスでクセになりそう

剣士「…」

剣士(俺は今まで、人ならざる者を斬ってきた。姿形が違うというだけで)

剣士(異種族は、淘汰すべき存在だと信じて疑わなかった…だが…)

剣士(ここのドラゴン親子は…)

剣士(…)

ウトウト

剣士(zzz…)

・ ・ ・ ・ ・

剣士『…』

?『…』

剣士『…あ…あぁ…』

?『…』

剣士『い…』

?『兄様…』

剣士『い、妹…』

・ ・ ・ ・ ・

ガバッ

剣士「っ!」

ハァハァ

剣士「っ…また、か」

剣士「…ん?」

コソッ
ジーッ

竜子「…」

剣士(めっちゃ見られてる)

竜子「…」

テク テク
スッ

竜子「あ、の…お水…」

剣士「ん、あぁ、ありがとう」

ゴクー

昔魔物と何かあったのか?
支援

剣士「っふぅ、生き返る」

竜子「あっ、あの…ごめんなさい…」

剣士「え、どうして君が謝るのさ」

竜子「怪我…したの…私のせい…です…」

剣士「違う違う、全然違うよ。竜子ちゃんは何も悪くないよ」

竜子「で、も…」

剣士「俺こそ謝らなくちゃならない。剣さえあればあんな盗賊、簡単に追い払えたのに。怖い思いをさせた、ごめん」

竜子「あ…う…そう、なんですか?」

剣士「うん、まぁ人間にも色んな奴がいるからさ、あんな奴ばかりじゃないって事は信じて欲しい」

竜子「は…い、わかり、ました」

剣士「ありがとう」

竜子「あ、の…」

剣士「ん?」

竜子「…いえ、なんでも、ないです…」

テッテッテ

剣士「あ…行っちゃった」

ニュッ

ドラゴン「いやぁ我が娘ながら可愛いねぇ」

剣士「いきなりでてきた」

ドラゴン「どうやらあの子は人間を嫌いになることはなかったようだね」

剣士「あぁ、よかったよ」

ドラゴン「君を連れてきた甲斐があったというもんだ」

剣士「さらってきた、だろ…」

ドラゴン「あーあーあー聞こえなーい聞こえなーい」

剣士「いい年した奴のやる事かよ!」

ドラゴン「私はまだまだ若いつもり…っ、!」

ガサガサ

?「…」

ドラゴン「…お客さんかい」

?「私は竜人谷の使い…赤竜」

剣士(人間…?いや、おそらくこいつも竜人…)

赤竜「貴様の娘、竜子…竜化したそうだな」

ドラゴン「あぁ。しかし早いね、君たちから監視されてるのは知っていたが」

赤竜「天老たちの勅命よ。竜子を竜人谷へと迎えるように、とな」

ドラゴン「追い出しておいて、今更…勝手が過ぎるね、随分と」

赤竜「貴様の意見など知らぬ。私はただ、命令に従い来たまでよ」

ドラゴン「っ…相変わらず天老のジジイどもは…胸糞悪いね…っ!」

赤竜「竜子はどこだ」

ドラゴン「言う必要はないし、言うつもりもない…帰るんだね」

ビキッ ビキッ

剣士(空気が震えている…ドラゴンは静かに怒っているようだ)

赤竜「天老の命に逆らうか…愚かなり」

ドラゴン「愚かで結構」

赤竜「邪魔者の貴様を始末し、ゆっくりと竜子を探すとしよう」

ドラゴン「やれやれ、実力行使かい…」

赤竜「参るッ!」

ザザッ

ドラゴン「…ふぅ」

シュッ

赤竜「!?…ッブァッ!」

バタリ

ドラゴン「やれやれ…」

剣士(なっ…何が起こったんだ…超スピードで見えなかった…)

赤竜「ぐぅ…貴様…」

ドラゴン「雑魚め…己の実力を知らんのか」

剣士「それ俺の決めゼリフぅー!」

剣士のノリ好き

赤竜「ぐっ…くそっ…」

ドラゴン「とっとと失せろ、ベイビー」

剣士(シュワちゃん…)

赤竜「一旦退く…だが天老の命は絶対…それを忘れるな…!」
シュッ

ドラゴン「ふぅ…難儀なことで」

剣士「今のは…竜人谷の使いと言っていたが…」

ドラゴン「気になるかい?」

剣士「…まぁ、ちょっと」

ドラゴン「聞きたい?」

剣士「…聞きたい」

ドラゴン「よかろう」

ドラゴン「竜人谷…竜の里…呼び方は色々あるけど、私達の故郷さ」

剣士「さっきの赤竜、だったか…使いだとかなんとか」

ドラゴン「竜人谷には三人…の長老がいる。それは天老と呼ばれ、竜人谷の権限全てを持っている。天老の命令は絶対、逆らう事は許されない」

剣士「まるで独裁者だな…」

ドラゴン「その通りさ。だから奴らは自分を『天』老と呼ぶ」

剣士「天…神様にでもなったつもりかよ」

ドラゴン「私達を追放したのも天老達だ。竜化できない竜子を忌み嫌い、ね」

剣士「…」

ドラゴン「で、竜化できたら戻れ、ときた訳だ。勝手なもんさ」

乙!

剣士「へぇ…」

剣士(なんか興味薄れてきた…)

剣士(それより最近オナニーしてねェな…)

ムラムラ

ドラゴン「~で、~だから、~なんだよ」

剣士(ぜんっぜん頭に入ってこねー)

ドラゴン「~が、すごくて、もう…○○○なんだよ」

剣士(あームラムラする)

ドラゴン「…だから、君に竜子を任せたい」

剣士(あームラムラする)

ドラゴン「竜人谷の追っ手はまだまだ来るだろう。それらから竜子を守りきる自信は無い」

剣士(あームラムラする)

ドラゴン「だから頼む。どうか竜子を…安全な所へ…」

剣士(あームラムラす

シュッ プスッ

ドラゴン「ぎやあああ」

バタリ

ドラゴン「ど、毒針にやられた。これはいかん」

剣士「まじかよファッキン!」
ドラゴン「竜人谷の奴らめ…ここまでやるのか…ぐふっ」

剣士「ど、ドラゴンのおっさん!」

ドラゴン「瀕死やで」

剣士「くっ…なんて卑劣な、竜人谷の奴らめ!ぶっころ!」

ドラゴン「『す』は!?」

剣士「待ってろ、毒消し草を持ってくる」

ドラゴン「だが、毒消し草は高価…もちろんこの住処には無い」

剣士「まじかよファッキン!」

ドラゴン「私の事はいい。早く竜子を連れて逃げてく…れ…ぐふっ」

剣士「ど、ドラゴンのおっさーん!」

ドラゴン「気絶してます」

剣士「き、気絶しただけか。脅かしやがって」

テクテク

竜子「!」

タッタッタ

竜子「と、父さんが毒針が原因で瀕死に!?」

剣士「あぁ。落ち着いて聞いてくれ竜子ちゃん。実は君のお父さんは、毒針で瀕死なんだ」

竜子「と、父さんが毒針が原因で瀕死に!?」

剣士「あぁ」

竜子「と、父さんが毒針が原因で瀕死に…」

剣士「うん」

竜子「と、父さん…が…毒針が原因で…瀕死、に…」

剣士「うん。だから、決して走らず急いで歩いて…そして早く毒消し草を持ってこなくちゃならないんだ」

竜子「そ、んな…」

剣士「気を確かに!」

バチーン

竜子「ぶった…父さんにもぶたれたことないのに!」

バチーン

竜子「二度もぶった!」

バチ…パシィ

竜子「三度目は無ェ…!」

剣士「とにかく!急ごう!」

竜子「は、い…!」

タッタッタ



ドラゴン「…」

ドラゴン「…行ったか」

ムクリ

ドラゴン「ふぅー毒ってのは辛いもんだねぇ」

シュッ

?「過酷な役を…申し訳ない」
ドラゴン「いーよいーよ、これくらい。頭をあげなよ、青竜」
青竜「はっ…」

ドラゴン「しっかし、我ながらいい演技だったな~」

青竜「はい」

ドラゴン「さぁ、優しい剣士クン、竜子を守れるかな…」

クックック…

青竜「…」

青竜(歪んでいる…この方の愛は…歪んで、いる…)

青竜(天老は一体何を考えているのだ…真意が読めぬ…全く読めぬ)

・ ・ ・ ・ ・

こうして竜子を連れて
毒消し草を探す事となった剣士。

暗躍する天老
そして、ドラゴン

悩む青竜

全てはまだ 謎のまま…

【続く】

乙!



のりがいいね

【これまでのあらすじ】

剣士と竜子は毒消し草が欲しくて欲しくてたまらないのであった…

・ ・ ・ ・ ・

剣士と竜子は
とある小さな村に来ていた。

剣士「小さな村だな。毒消し草があるかどうか」

竜子「…」

剣士「不安かい?」

竜子「…」

コクリ

剣士「大丈夫、俺がなんとかする。信じてくれ」

竜子「剣士、さん…」

ドキッ

剣士「とりあえず聞き込みだな」

剣士「おいジジイ、質問がある」

ジジイ「はひぃ!?」

剣士「毒消し草はこの村にあるか?」

ジジイ「どどどど、どくどくけししししし…」

プルプル

ジジイ「ななななななない、どくけし、ないアルよ」

剣士(この動揺っぷり…怪しいな)

ジジイ「な、ないアルよ」

剣士「ないのか、あるのか」

ジジイ「ないアルよ」

竜子「どっちやねん」

ジジイ「ないったら、ないアル!」

ジャキッ

ジジイ「これ以上毒消し草について詮索するなら、このバタフライナイフがお前を貫く!」

剣士「ば、バタフライナイフ…!」

ヒュンヒュン

ジジイ「右か?左か?いきなり刺すぜワシは!」

剣士「危ないなぁ」

ジジイ「刺すぜ~超刺すぜ~」

ヒュンヒュン

剣士「だが俺には剣がある」

チャキッ

剣士「ジジイ、後悔すんなよ」

ブンッ

ザシュッ

ジジイ「ぎやあああ」

ジジイ「まじかよ容赦なく斬りおっ…た…ぐふっ…」

バタリ

竜子「ひ、人殺し!!!」

剣士「このジジイは本気でナイフを…バタフライナイフを振り回していた。やらなきゃ、俺がやられていた」

竜子「でも…でも…」

剣士「人間の俺が、同種族を斬るのは…おかしいことかい?」

竜子「!」

剣士「俺が異種族しか斬らない人間だとでも…本気で思ったかい?」

竜子「…」

剣士「俺は斬るよ。異種族でも、同種族でも。斬って…命を奪う事で、生きている事を実感できるんだ…」

ニマァ…

剣士「へ、へへへへ…そうしなきゃよぉ…疼くんだよ…俺の心臓が…股間が…疼いて疼いて疼いて…たまんねェんだぁぁぁよぉぉぉ!」

竜子「く、くるってる…」

剣士「そうかな?君達ドラゴンは、人間を殺さないとでもいうのかい?」

竜子「そ、れは…」

剣士「帝国周辺の森では、毎日100人近い人間が魔物によって殺されている。そのうち一割から二割がドラゴンやデーモンの大型の魔物によるものだといわれている…その事実をどう思っている?」

竜子「…」

剣士「しかも魔物は意味もなく人間を襲う。食料にするわけでもなく、ただ狩りを楽しむかのように、だ」

竜子「そ、そんなの…」

剣士「確かにそこは重要じゃない。だがね、魔物の方がよっぽど残虐でたちが悪いと思うんだがね」

竜子「…でも、私の父さんは…人間を襲ったりは…」

剣士「していないと、何故言い切れる?君の知らない姿があるかもしれない、いや、あるに違いない」

竜子「ち、ちが…そん…な…」

ガクリ

剣士「何が違う?俺と、君のお父さんは?斬るし襲うし殺すし…答えなよ、何が違う?何が?」

竜子「う…あ…あ…」

グワン

竜子「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
ハッキョー

竜子「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!
ブツチチブブブチチチチブリリィリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!

剣士「だ、脱糞だぁ…」

えええええぇぇぇ

ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ…

竜子「や、やぁ…止まらないよぉ」

剣士「…」

ポイッ

剣士「正露丸だ。少しは便意が収まるだろう」

竜子「え…け、剣士さん…?」

剣士「すまない。君を見ていたら少し意地悪したくなった」

竜子「剣士…さん…」

剣士「おどおどしてて、不安そうな顔を見ていたら、な…まるで…あいつ…」

竜子「あい、つ…?」

剣士「…何でもない…早く正露丸を飲みな…」

テクテク

竜子「あ…剣士さん…」

竜子「剣士…さん…」

竜子(あいつ…剣士さん、あいつって、誰?私に似てるの?誰…あいつって…)

・ ・ ・ ・ ・

~村の酒場~

剣士「…」

剣士「っ!」

グビー

剣士「っぷはぁ…酒だ…酒をもってこい!」

店主「飲み過ぎですよ」

剣士「かまわねぇ。エチルだろうがメチルだろうが、アルコール持ってこいやぁぁぁ!」

グビー

剣士「っぷっ…」

店主「まったく…なんて人だ」

剣士「ふぅぅ…」

スッ

?「荒れてるのね」

剣士「誰だ?」

?「私はこの村に住む魔法使い…」

剣士「魔法使い…が、何の用だ」

魔「こんな小さな村に人が来るのが珍しくてね…見にきたら飲んだくれが一人居るだけだったんでね」

剣士「けっ…」

魔「…毒消し草」

剣士「!」

魔「あんた、毒消し草を探してるんだって?」

剣士「…あぁ」

魔「知ってるよ、私。毒消し草の生えてる場所」

剣士「…」

魔「信用してないわね。まぁ初対面の女の言う事だもの、仕方ないか」

剣士「疑り深い性格なのさ」

魔「…じゃあ、お互い信用できるよう、親睦を深めない?」

スッ
サワサワ

剣士「!」

魔「へぇ、なかなかいいモンもってるじゃないのさ」

サワサワ

剣士「…デカさだけは自慢でね」

魔「それは楽しみ…ところで、ここの二階、宿になってるのよねぇ…」

剣士「へぇ…で?」

魔「…言わせる気?女の私から?」

剣士「こりゃ失礼…」

・ ・ ・ ・ ・

こうしてなんやかんやで
剣士と魔法使いは
同室で一泊した。

いきなり脱糞はわろた

乗っ取られてるだろこれ(困惑)

困惑

チュンチュン
アサ

剣士「…」

魔「…」

店主「昨日はお楽しみでしたね」

剣士「もうカラッカラや」

魔「ふふ…」

剣士「精魂尽き果てた…」

魔「私はまだ足りないくらいよ」

剣士「まさか尻穴にあんな使い方があるなんて…驚いたよ」

店主「なにそれ気になります」

剣士「それより、毒消し草の生えてる場所…教えてくれよ」

魔「あぁ、あれ嘘だから」

剣士「えう?」

魔「嘘だから。私、息をするように嘘を吐くからさ」

剣士「まじかよファッキン!」
店主「丁寧に言うとおファッキン!」

剣士「嘘…だと…」

魔「うん。こんな辺鄙な村に毒消し草なんて無いよ」

剣士「くっ…ふりだしに戻ったか」

魔「貴方らしくていいじゃない」

剣士「…愛無き時代に生まれたわけじゃないのにな」

テクテク

竜子「あ、剣士、さん…」

剣士「あぁ、竜子ちゃん」

竜子「昨日は…どこに?…急にいなくなるから、し、心配しまし、た…」

剣士「あぁ、ごめんね連絡忘れてた」

魔「…あら可愛い子」

竜子「…」

ムッ

竜子「誰、ですか、その女の人…」

魔「こんにちは、私は魔法使い」

竜子「…」

包丁スッ…

剣士「何をどうしたらいきなりヤンデレになるのか」

竜子「剣士さん、どいて!そいつ殺す!」

ヤンヤン デレデレ

剣士「そもそもデレてねぇ」

竜子「し、死にさらせぇぇぇ!」

ダッ

魔「ぐふっ」

魔「ぐふっ」

剣士「ま、魔法使いー」

魔「剣士さん…貴方と過ごした夜…悪くなかったわ…ぐふっ」
バタリ

剣士「ま、魔法使いー」

竜子「あはははは!」

剣士「り、竜子ちゃん…」

竜子「人間って…地球人って簡単に死ぬのね!クリリンみたいに!」

剣士「クリリンのことか…クリリンのことかー!」

バシュゥゥゥ

剣士「…」

シュウシュウシュウシュウ

竜子「な、なにものなの…」

剣士「とっくにご存じなんだろ?」

竜子「あ、あなたは剣士じゃないの…?」

剣士「いいや違うな…俺は…俺はスーパー剣士だ」

竜子「剣士さん…」

剣士「竜子ちゃん…包丁を捨てるんだ」

竜子「嫌…剣士さんに近づく女は…みぃんなこの包丁で刺さなくちゃ…刺さなくちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!
ブツチチブブブチチチチブリリィリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!

剣士「だ、脱糞だぁ…」

店主「ちょっと、脱糞は困るよ~」

剣士「肛門ユルユルやないか」

竜子「我が便意、阻むもの、無し!」

剣士「そんなゼンガーみたいに言われても」

魔「ぐ…くさい…」

剣士「おっ、魔法使い。息してるかー」

魔「あまりの臭さに生き返ったわ」

剣士「よかった…とは言えないぜ。見ろよこの便の海を」

魔「地獄ね…まさに」

店主「うちは飲食業なんだよ、困るなぁ」

魔「汚物は消毒…って言うわよね?」

剣士「えう?」

魔「私の炎魔法で焼き尽くす…いいかしら?」

剣士「しかし、周辺にはガスが発生している…引火するぞ!」

魔「えぇ。あの子には悪いけど、爆死してもらうしかないわね」

剣士「だ、駄目だ。竜子を犠牲にするなんて!」

魔「じゃあどうするの?何かいい方法があるのかしら?」

剣士「ぐっ…」

魔「…無いようね。なら、やるわよ」

剣士「ま、待ってくれ…」

魔「チッ」

イライラ

魔「じゃあ貴方がどうにかするっていうの!?」

剣士「分からない…でも、俺の賭けに乗ってくれないか?」

魔「賭け…成功率は?」

剣士「分の悪い賭け、としか言えない…でも、任せてくれないか」

魔「…」

店主「俺は乗ったぜ」

魔「店主…」

店主「男がやるといってるんだ、信じるしかあるめェ」

魔「…仕方ないわね。後で奢りなさいよ」

剣士「カレーでよければ」

店主「よし、決まったな。何をするか知らねえが、やってやんな、剣士!」

魔「剣士!」

剣士「おうよ!」

魔「すべての…便意…」

店主「すべての…勇気を…」

客A「受け継いで…ください…」

客B「がんばって…」

客C「負けないで…」

店主「勝利を……掴み取れ!」

魔「ファッキン…だっぜ!」

みんな「剣士…やっちゃえぇぇぇ!」

剣士「っ…、俺は…一人じゃない…」

剣士「俺たちは…ひとつだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

剣士「これが無限を超えた絶対勝利の力だぁぁぁぁぁぁ!」

パァァァァ

魔「剣士の剣に…光が…」

剣士「見よう見まねの…アバンストラッシュ!」

ゴォォォォォ!

ザシュゥゥゥ

竜子「ぎやあああ」

ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!
ブツチチブブブチチチチブリリィリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!

剣士「まだだ!全て出し切れ!」

ブツチチブブブチチチチブリリィリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!

竜子「あ゛あ゛…うわぁぁぁぁぁ!」

プスッ プスッ

竜子「あ…あぅあ…」

剣士「出し切ったか…」

ピカーッ

店主「便が…輝きだした…?」
ニョキニョキ

魔「草木が芽を…!」

店主「竜子って子は…花咲かじいさんだったのか…」

・ ・ ・ ・ ・

こうしてなんやかんやあって
草木は生い茂った。
剣士と竜子は和解し
さらに絆を深めた。

竜子「剣士さんは好き…でも人間を許すことはできない」

剣士「それでいい。私はこの村で、竜子は森で。共に生きよう。」

竜子「剣士さん…」

剣士「生きることが、俺たちにとって戦いなんだ。なっ」

魔「えぇ」

店主「まぁな」

竜子「みなさん…」

竜子「ではみなさん、また会いましょう」

タッタッタ…

剣士「行ったか…」

魔「寂しくなるわね」

剣士「んなこたねぇよ。みんな、この空の下…生きてる。生きて、いく」

ギュッ

魔「その隣には、私はいるのかしら?」

剣士「魔法使い…」

店主「おやおやお熱いねぇ」

剣士「はは…まいったね、どうも」

・ ・ ・ ・ ・

剣士「…」

なぁ、竜子ちゃん
俺は今でも異種族は斬るべき対象だと思っている。
種族が違えば、想いや願いがすれ違う。
分かり合えない事が起こる。
それはいつしか悲劇を…
あの時の俺とあいつみたいに…
…この話は、また君と会えたときしようかと思う。

だから竜子ちゃん
また、いつの日か―――――



……never end……

なんだこれ…

途中で書き手が替わったのでなければ、>>1は結構ヤバい

書き手が変わったと思わざるを得ない展開に戸惑いを隠せない

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom