提督「というわけでアルバイトだ。アルバイトに行けおまえら」 (171)

提督「まさかな」

提督「まさか夕張の開発した真空管アルバトロスが蛍光ペンと化学反応起こして鎮守府が半壊するとはな」

提督「おかげで遠征行ってた第二艦隊以外の艤装はボロッボロだ」

提督「工廠どころかドックまで半壊して入渠もできるかギリギリよ」

提督「挙句俺は責任能力を問われて下手すりゃ降格、最悪懲罰だ」

提督「出撃どころか演習もままならない。ついでに言えば訓練しかすることがない」

提督「だからと言っておまえらに延々グラウンドを走ってこいなんて命令したってなんの意味もねえ」

提督「つーわけでアルバイトだ。アルバイトしてこい。はした金でもないよりゃマシだ」

提督「できねえとは言わせねえ。働かざるもの食うべからずだ。走って眠るだけで金がもらえると思うな」

提督「え?俺?俺は今から軍法会議だよ馬鹿野郎。見ろよ足震えてんだろうが」

提督「つーわけでこれ、情報誌。この近辺の求人が書いてあるからこれ読んでとりあえず働いてこい>>3




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夕張

夕張「本当に申し訳ありません…………」

提督「いやだからもう真空管アルバトロスのことはいいんだって。それよりさっさとアルバイトしろアルバイト」

夕張「ええと……私が言う資格がないのは重々わかってますが……なぜに一番手が私なんですか」

提督「そりゃ当たり前だろおまえのせいでこうなったんだから」

提督「今日こそ海域突破するぞ!って気合い入れてたらこれだよ他の奴らもみんな士気がボロッボロだよ」

提督「アルバイトしたことあるやつなんてほとんどいねえだろうしな、実際どうなのか知らんけどまずは誰かに最初に行ってもらわんとな」

提督「つーわけでまずはおまえだ夕張。責任とって先陣切ってこい」

提督「俺はもう帰ってこれんかもしれんがな!HAHAHAHAHAHA」

ーーーーーーーーーー

夕張「…………さてと。鎮守府が半壊しちゃったのは他でもない私のせいなんだし…………」

夕張「やるからにはしっかりやらないとね。提督の助けに少しでもなるために…………」

夕張「うう……うまくいったと思ったんだけどなあ真空管アルバトロス……」

夕張「…………ふーん、アルバイトって意外といろんな仕事があるのね」ペラペラ

夕張「あっ、これなんていいかも」

気になるアルバイト
安価下

夕張「『高収入アルバイト、未経験歓迎、短期間でサクッと稼いじゃおう!』」

夕張「へー、いい感じじゃない!どんな仕事なのかは…………おなくら?でりへる?」

夕張「うーん、あまり聞いたことのない仕事だけど未経験歓迎って書いてあるし……とりあえず電話してみようかしら。あまり仕事選んでられないしね」

ーーーーーーーーーー

面接

店長「志望動機は『鎮守府運営資金の確保』、年齢は…………92才…………しかも面接に学生服って……ふざけてんの?」

夕張「えっいえ、艦娘として生まれてからの年齢なのか軽巡洋艦としての年齢なのか迷ったんですが……やっぱり年長のほうがいいかなって……だめでした?」

店長(こいつふざけてんのか)

店長「でも顔も体つきもいいし…………なかなかに惜しいかもしらんな」ジロジロ

夕張(さっきから視線がちょっと気持ち悪いなあ……)

店長「うーん、とりあえず学生服着てるけど18歳以上ってことにして知らぬ存ぜぬで押し通してもいいかな…………でも最近治安がどうこう、条例がどうこうでやり辛くなったしなあ、ここで問題でもあったら潰れちまうしなあ……」

店長「ええっと、どこまでOKなの?得意なプレイとかある?」

夕張「?…………そうですね得意な戦術はやっぱりたくさんの砲で一気にドカンと!って感じですかね」

店長「たくさんのホールで一気に…………すごいな、あどけない顔して複数OKなのか。もしかして学生服もコスプレかなにかとか?そういうのやっぱり楽しんでやってくれる子は貴重だからね。いやいややるとわかっちゃうからね」

夕張「いえこの服はちゃんとした私の制服です。もう何回一緒に死線を潜り抜けたか」

店長「ほうほう、コスプレ系専門でやりたい感じってことかな。最近そういう需要も増えたからねえ」

店長「うーん。怪しいところも多いけどとりあえず仮採用ってことでもいいかな。何回か働いてうまくいったら正式に採用ってことで」

店長(仮採用ならたぶん年齢も大丈夫だろ)

夕張「本当ですか!ありがとうございます!」

店長「いつごろ来れそう?すぐにでもって言うなら名簿に入れとくけど」

夕張「じゃあお願いします」

ーーーーーーーーーー

夕張「ふう……なんとか仮採用だけど働かせてもらえるようになったわね」

夕張「うーん、この部屋で待機してなさいって言われたけど…………なんか落ち着かないなあ……」

夕張「やっぱりちゃんと仕事内容聞いておくべきだったかしら。でも店長さんが『なれてそうだから適当でいいよ』って言ってたし」

夕張「一応マニュアルは渡されたし読んどこう」

夕張「…………」

夕張「…………」

夕張「…………」

夕張「…………ん?」

夕張「…………ん、んん?」

夕張「…………え、これは……ああ、え、ちょっと…………」

夕張「…………しまった」

夕張「キャンセル!すいません店長キャンセルで!この仕事やめます!すいません!」

コンコン

ガチャッ

夕張「ひい!」

入って来た客
安価下2

別提督「あ、どうも」

夕張「おおう……おおう……」

別提督「ええっと…………」

夕張「おおう…………おおう…………」

別提督「…………」

夕張「な、なにか」

別提督「い、いえ…………仕事でよく見る人にそっくりで……」

夕張「え、そ!?そうですか!?いやーお兄さんどんな仕事してらっしゃいますうー!?珍しいこともあるもんですねー!!」

夕張(会話で乗り切る!ここで純潔を散らすわけには!)

別提督「ああ……軍事関係の仕事でして、口外はできないんですよすいません」

夕張「あっそっそっそうなんですか!ええとええととりあえずこちらお座りになりまして!お飲物飲まれます!?」

別提督「じゃあ…………お酒あります?」

夕張「酒ぇ!?すいませんアルコールは当店置いてないんですよお!」

別提督「あ、そうなんですかすいません。なにぶんこういったところに来るの初めてでして」

夕張「初めて!?ラッキー!」

別提督「ええ?」

夕張「いえなんでもないです!」

別提督「友達にほとんど無理矢理連れてこられちゃって。随分大変な目にあったらしくて酒に付き合ってたんですがなんだか酔いすぎちゃったみたいで。言われるがままにノリでここまで来ちゃいました」

夕張「ひょ、ひょうですか」

別提督「あ、あの…………大丈夫ですか?顔が真っ青ですけど」

夕張「ら、らいじょうぶです」

夕張(やばい。いつも工廠で開発ばっかしてるせいで何話したらいいかわからない)

夕張「ええっと!?今日はどのコースでご注文!?」

別提督「あっえっとコースは…………安価下2なんですけど…………」

別提督「ゴム無し本番コースです」

夕張「え?」

別提督「ゴム無し本番コースです」

夕張「え?」

別提督「ゴムなーーーーー」

夕張「えええええええ!?」

夕張「いやちょっ、マニュアル!マニュアル!」

夕張「…………」モクドク

夕張「ないんですけど!そんなコースないんですけどお!?」

別提督「なんか友達がここの常連らしくて裏メニューがあるとかで私も特別に受けさせてくれるみたいで…………」

夕張「ウッソ…………」

別提督「というわけで早速…………」イソイソ

夕張「ひええええ!待って!待ってください!私仮採用なんです!さすがにそこまであるとか聞いてないです!契約違反です契約違反!」

別提督「ええ…………そんなこと言われても店長さんおすすめの子だって聞いて…………」

夕張「それこそ知りませんよ!私仕事内容すら知らなかったのに!」

別提督「安価下2」


別提督「…………ははは。わかったわかった。別に私も無理にとは言わないよ」

夕張「え?」

別提督「別に今回は来たくて来たわけじゃあないしね。君みたいなかわいい子とヤレるんならいいかなと思ったけど事情があるみたいだし」

別提督「今回は違うコースにするよ」

夕張「…………あ、ありがとうございます!」

別提督「えーとメニュー見せてくれる?」

夕張「あ、じゃあこれどうぞ」

夕張(優しい人でよかった…………本当どうなるかと…………)

別提督「…………あ、これにしようかな」

別提督「『耳かき歯磨きコース』」

夕張「え、耳かき歯磨きコース…………ですか」

別提督「うん。これなら大丈夫でしょ?」

夕張(耳かきと歯磨きなら…………エッチなことはないしいいかな)

夕張(でも期待してたみたいだし………ってエッチしたいわけじゃないけど……)

夕張「安価下2」

夕張「衣装はどれにしますか?」

夕張「メイド服、ナース、学生服風、ランジェリー、パジャマ、巫女、その他一通りありますが」

別提督「へえ衣装まで選べるんだ」

夕張(なぜか私がコスプレ趣味担当になってるからマニュアルがマニアックで…………)

別提督「それじゃあ安価下」

別提督「そのままの服でお願い」

夕張「え?この制服ですか?」

別提督「うん。仕事場で似た制服をよく見るからさ。なんか背徳感が」

夕張(この人思いの外変な人だなあ)

夕張「わかりました。それじゃあ私の太ももに頭を乗せてください」

別提督「よっ」ゴロ

夕張(わっ、髪がくすぐったくて…………なんか不思議な感じ)

夕張「えっと、私耳かきを人にしたことがなくて…………あまり上手じゃないかもしれませんけど」

別提督「それはそれで」

夕張「じゃ、じゃあ行きます。後で感想聞かせてくださいね」

カリ……カリ……

夕張「ん………………なんだ、あまり汚れてないじゃないですか…………」

夕張(なんだか変な感じだなあ…………知らない男の人に膝枕して…………耳かきしてるなんて…………)

別提督「ついつい自分でやってしまうからね。こうして誰かに耳かきをしてもらうのは憧れだったんだ」

夕張「あ…………!少し大きい耳垢見つけましたよ」

別提督「え?本当に?」

夕張「動かないでください…………!初めてなので私も怖くて…………そーっと、そーっと…………」

カリ……カリ……

夕張「あっ…………!取れた…………っ!取れましたよ…………!」

別提督「おお……すっきりした……」

夕張「自分でやると意外と耳垢が残っちゃうって本当だったんですね」

別提督「これからはもうちょっと気をつけてみようかな」

夕張「はいじゃあ、次は反対のお耳を…………。そのままゴロンて寝返ってください」

別提督「こう?」ゴロ

夕張「ひゃっ!」

夕張(思いつかなかったけどこの姿勢だとお客さんの顔が私のお腹に…………息がおへそに…………)///

別提督「大丈夫?」

夕張「あっはい…………じゃあこっちのお耳にも耳かき棒入れますから動かないでくださいね…………」

カリ……カリ……

カリ……カリ……

別提督「んー。気持ちいいよ、本当に初めてだとは思えないくらいに」

夕張「ふふっ、ありがとうございます」

夕張(さっきまで下手したら襲われてた相手なのになぜか嫌じゃないかも)

夕張「…………はい。これでおしまいです」

別提督「ん。ありがとう」スッ

夕張「あっ、そうだ……ちょっとまってください」ガシッ

別提督「え?」

夕張「…………」スゥ

夕張「……………………ふーっ」フー

別提督「あ、くぁ……………………!!」ゾクゾク

夕張「えへへ、これで本当におしまいです」///

別提督「…………ありがとう。めっちゃよかった」

夕張「次は…………歯磨きですか……」

別提督「ああ…………っていっても私もどんな感じでするのかよくわかってないんだけど」

夕張「まあ、やっぱり無難に膝枕ですかね」

別提督「じゃあもう一度失礼してーーーーー

ドカンドカン!

別提督「うわっ!」

夕張「ふあ!?」

「これがこの店のNo.2か!?とんだ大外れだよ馬鹿野郎!金返せコラァ!」

「お客様!おやめください!」

「久しぶりに来てみりゃこのザマかええ!?」

「お客様!」

夕張「な、何があったんでしょう…………」

別提督「…………ちょっと見てくる。ここで待ってて」

夕張「え!?そんな」

別提督「大丈夫」

ガチャリ

別提督「…………」ソーッ

提督「なんで奉仕中にスマホいじるんだよ!テクニックの問題じゃねえ!ソープはサービスだろうが!」

店長「申し訳ございません!申し訳ございません!」

提督「事情があろうがなかろうが金払ってる以上俺は客!金もらっている以上そっちはプロだろうが!」

店長「申し訳ございません!申し訳ございません!」

別提督「…………なにやってんだおまえ」

提督「あ?なにっておまえ聞いてくれよ最悪だよこいつ」

別提督「いやなにがあったかはわからんが他の客に迷惑だろう、酔いすぎだぞおまえ!」

店長「あっ、申し訳ございませんお客様!ご迷惑をおかけしてしまいーーーーー

夕張「て、提督!?」

提督「え?」

別提督「え?」

ーーーーーーーーーー

提督「いくらアルバイトしろとは言ってもあんなところで働けなんて一言も言ってない」

夕張「…………」

提督「たまたま相手が俺の友達だったからよかったもののへたすればまじでとりかえしのつかないことになってたかもしれないんだぞ」

夕張「…………」

提督「まあよく知らんまま応募してしまったみたいだし今回は大目に見よう。いい経験だったと思って忘れろ」

夕張「…………」

提督「先発隊としてよく頑張ったな。とりあえず今日はしっかり休め。アルバイトはまたゆっくり時間をかけて考えろ」

夕張「…………あの、提督」

提督「なんだ」

夕張「ええと…………その…………」

提督「どれだ?どれが聞きたい?あそこにいた理由か?選んだコースか?常連疑惑か?なにがあったかか?結果か?」

夕張「あ、あはは…………」

提督「頼むから一人にしてくれ…………」

夕張「じゃ、じゃあ私はこれで…………」

ーーーーーーーーーー



提督「夕張によるアルバイトは失敗した」

提督「あいつもそこそこ頑張ったがまあ初手だからな、特に問題ない」

提督「というわけで次はおまえだ。アルバイトしろアルバイト」

提督「真空管アルバトロスの事故のせいで降格が濃厚になったことに自暴自棄になって酒に酔って暴れてしまって行きつけのエッチな店が出禁になった」

提督「だが俺はいまだ提督業をクビにならずにすんでいる。提督としておまえらに命を下さないといけない」

提督「つーわけでアルバイトだ。今度はおまえが切込み隊長として他の子に示しをつけてくれ」

提督「え?俺?見ろよこの山のような始末書。手が震えてるだろ?腱鞘炎と二日酔いの合わせ技とか見たことある?」

提督「ほらこれ情報誌。反省を踏まえてエロいのはあらかじめ抜いておいたからさっさと探せ安価下」

霰「それで……なんで霰なの……?」

提督「霰なら落ち着きもあるしな。しっかりやってくれそうだからだ」

霰「わかりました。……霰、頑張ります」

提督「さてと俺はこの山の始末書片付けるか。期限に間に合うかなHAHAHAHAHAHA」

ーーーーーーーーーー

霰「求人、けっこうたくさん出てるんだ……」

霰「りれきしょ?も書かないとだめなの……?」

霰「なんだか多くてよくわからないかも…………」

霰「あれ?このアルバイト…………ありかも」

興味を持ったアルバイト
安価下2

霰「『医療機関完備、日当手当、笑顔の絶えない職場です』」

霰「へえ…………ここなら働けそうかも」

霰「あ、売店もあるんだ……お酒とかおつまみとか売ってる……」

霰「物は試し、電話してみよう…………」

ーーーーーーーーーー

黒服「応募理由は家の改築の資金、短期契約希望と」

霰「はい」

黒服「……………」

黒服(どうみてもこんな少女が地下で働けるなんて思えんのだが)

黒服「借金も無し。なぜわざわざこの職場を選んだのだ」

霰「だめ…………ですか?」

黒服「いや……しかし……ちなみにここには書かれてないが職歴はないのか?」

霰「職歴…………ええと駆逐艦です」

黒服「駆逐艦?駆逐艦に乗っていたのか?おまえ軍人だったのか!!なるほど…………見かけによらず肉体労働は得意なのかもしれんな」

黒服「ううむ、しかしうちに借金も無いからなあ…………いざというときに盾にできないものがないと……」

黒服「しかし元軍人というならば管理職として雇うのもありかもしれんな」

黒服「……………………」

合否
安価下コンマ奇数合格偶数不合格

黒服「それじゃあ元軍人ってことで特別に管理職候補として採用します」

黒服「というわけでこちらの作業着に着替えてあちらのエレベーターへどうぞ」

霰「ありがとうございます……」

ーーーーーーーーーー

班長「君が霰君だね。黒服さんから話は聞いてるよ」

霰「えっと……霰です、よろしくお願いします……」

班長「ふふ…………まさか次の管理職候補がこんな少女だとはね……まあとにかく期待していよう」

霰「…………?」

班長「さて、そろそろつくよ。ここが君がこれから働くことになる地下帝国建設場だ」

どんな様子か安価下2

男「ぐっ…………ぐぅっ………………!!」ガガガガガガガガ

男「ぬう……!くっ……!くっ……!」ガタンガタン

男「くっ、重い…………!」ガシャガガシャガ

霰「ひっ…………」

班長「ほらきちんと砂防マスクをしないといけないよ霰君?肺がやられてしまう」

霰「こ、これは…………ひどい……」

班長「ふふ…………ごほん!E班班員集合!」

男「はあ……はあ……!」フラフラ

男「…………っ!……っは、あ……はあ……」フラフラ

男「み、水…………」フラフラ

班長「今日から君たちの上司としてここに赴任した霰君だ。班長補佐として君たちの指導をしてもらうからよろしく」

霰「……………………」

アンナ……コドモジャネーカ

オレノムスメモアレクライナノカ……

クソックソッヤッテラレルカ……

班長「…………霰君?」

霰「あっ、え、えっと…………霰です………お願いします」

ーーーーーーーーーー

班長「基本的にわしらは彼らがサボっていないかを監視して回るのが仕事だ。彼らの作業が一通り終わったら新しく指示を出してまた監視」

班長「作業内容は大まかに上が決めて後は現場で判断して計画する」

班長「きちんとレシピの作り方を勉強したまえ」

霰「…………はい」

霰「…………あ、あの…………」

班長「なんだい霰君」

霰「その…………なんというか…………この環境って」

班長「まあ確かに酷いかもしれないね」

霰「だ、だったら…………」

班長「しかし彼らは一生かけても返せないような借金を背負ってる。こんな場所で働くのも全ては身から出たサビ!わしらがどうこういうようなことではないんだよ」

霰「でも…………」

班長「おっと霰君、わしはこれから遅い昼食なんだ。申し訳ないがここの監督は任せるよ」

霰「…………はい」

ーーーーーーーーーー

男「ぐっぐぅっ………………はっ……はっ……はっ……」バタリ

霰「……!大丈夫ですか……!?」

男「はっ……はっ……はっ……」

霰「とにかく医務室へ…………」


班長「…………ふんっ」

ーーーーーーーーーー

班長「一日お疲れ様、霰君」

霰「班長さん…………ありがとうございます……」

班長「まずは今日の日当だ。これはここでしか使えない特別な通貨だからここを出るときに換金していくように」

霰(なんだか変なおじさんの絵が貼ってある……)

班長「仕事が終わってからはわしらは自由だ。金を払えばビールも飲めるしつまみも食える」

班長「そして…………ちょっとした遊びもあるのだよ」

霰「遊び……?」

班長「そうだ。働いてばかりでは不満が溜まるばかり。こうして余興を設けることでわしらは部下たちのストレスを解消しておるのだ」

班長「来てみなさい霰君。君もぜひ参加するといい」

ーーーーーーーーーー

男「ぐああああ!負けだあああ!」

男「うひゃっ!うおうああいあ!勝った勝った!わひゃひゃひゃははは!!」

霰「これは…………」

班長「賭けだよ。見たことはないかい?」

賭けの内容
安価下2

男「もう少し…………もう少し…………」ザクザク

ボトッ

男「ぐああああ!倒れたああああ!」

男「わひゃひゃひゃははは!俺の勝ちだ!よこせ!」

霰「棒倒し…………?」

班長「そう、土に立てた棒を倒さないように倒さないように土台を削っていくゲーム。しかしただの棒倒しではない。今日の日当全てをかけているものもいる」

霰「全部……!?」

班長「この一瞬に自分の一日の苦労を費やす。まさにギャンブルの至極!」

班長「どうかな霰君君も一度わしと勝負してみないかい」

するかしないか
安価下

霰「でも…………賭け事なんてやったことないですし」

班長「すぐにでもお金が必要なんだろ?もちろん悪い話じゃない。はじめは少ないお金を賭けてみよう」

霰「…………」

班長「それにせっかくここで働き始めたんだ!わしらは仲間じゃないか!ちょっとした交流だよ霰君」

霰「…………わかりました」

班長「くくく…………それじゃあステージを用意しよう」

ーーーーーーーーーー

霰「とりあえず…………賭けるお金はお札一枚でもいいですか?」

班長「ああもちろん。それでは先行は初心者の霰君にあげるよ」

霰(…………まずは、無難に……)ザクザク

班長「…………くくく」

班長「霰君、そういえば細かいルールを説明してなかったね」

霰「…………え?」

班長「この棒倒しは地下ルール。砂を削った回数が少ないほど倍率が高くなる」

霰「そんな……!」

班長「ふんっ」ザクッ!!

霰「………………!」

班長「さあ、君の手番だよ」

班長「もっとも…………もう削る場所なんてないかもしれないけど、ね…………」

霰(大丈夫…………諦めない…………)

ザクっ…………ザク…………っ

霰「…………っ!」

ボトリ

班長「くくく…………」

班長「くっくっく……」

班長「カカカ…………フォフォフォ…………」

霰「負け…………?た…………?」

班長「わしの勝ちだ!霰君!申し訳ないねえ!わしの土台を削った回数はたった1回!レートは10倍だ!」

霰「そんな……っ!霞の…………一日のお給料…………っ!」

班長「甘い…………っ!甘い…………っ!そもそも…………っ!知らぬ土地でギャンブルという発想…………っ!地に足がついていない…………っ!それも相手のホーム…………っ!」

霰「霰を……騙したの……?」

班長「人聞きが悪いねえ霰君。ギャンブルなんて時の運。もしかすれば次は勝てるかもしれない」

霰「で、でも…………」

班長「現にわしだってこんなうまくいくことなんてそうそうない。普段は負け続けの時だってある」

班長「今回はそう、たまたま、たまたま霰君が負けただけのこと。わしが次は負けるかもしれない」

霰「…………でももう霰はお金が…………」

班長「ああ、それなら明日の給料を前貸ししよう」

霰「え?」

班長「明日の日当を今ここで渡そうというんだ。もちろん利子はつくが、ここでの負け分を取り返すにはそうするしかないよ」

霰「そ、そんな」

班長「なーに、変なことじゃないさ。未来の自分への投資、どうせ明日受け取る金だ」

班長「そんな思い悩むことじゃない。負けたらその分勝って取り返す。簡単な理屈じゃないか」

霰「で、でももしまた負けたら…………それこそ泥沼では……ないの?」

班長「ハハハ、わかってないな霰君...。その泥沼から抜けるために金を借りるんじゃないか......!借りて、今度こそ無理なく使っていけばいいんだ」

班長「もし借りなきゃ、当然、霰くんは次の給料日まで負けっぱなしってことになる......。その敗北感ってのが実によくないんだ、霰くん。心はゴム毬だよ、押さえつけられれば必ず跳ね返そうとする。」

班長「いくらがんばっても敗北感の反動で……また戦ってしまうんだ…………!今度は…………更に高い金額で…………!」

霰「安価下」

霰「かりない」

班長「…………なんだと?」

霰「霰には…………ちゃんとした目的があるから…………」

霰「鎮守府で…………司令官やみんなが霰のことを待ってるから…………」

霰「だから、かりない。ギャンブルももう、しない」

班長「くっ…………」

班長「そ、そうか…………それは残念だ。わしももっと霰君と仲良くなりたかったんだが…………これから同僚として働くわけだからね」

班長「まあお金の問題はデリケートだ。無理にとは言わないさ」

班長「もちろん気がかわったら言ってちょーだい。いつでも相手をするよ」

班長「カカカ…………フォフォフォ…………」


ーーーーーーーーーー

霰「…………疲れた」

霰「ごめんなさい司令官…………お給料なくなっちゃった…………」

霰「明日からは…………きちんと貯めて…………目標になったら、帰る。みんなのところへ…………」

ーーーーーーーーーー

班長「カカカ…………フォフォフォ…………奴は寝る前に…………こう考えるだろう...…….明日からがんばろう...……明日から節制だ...…….と....!が..........その考えがまるでダメ..........「明日からがんばろう」という発想からは....どんな芽も吹きはしない..........!」

班長「明日からがんばるんじゃない.......…….今日......……今日だけがんばるんだっ.........……...!今日をがんばった者.......……...今日もがんばり始めた者にのみ...……...明日が来るんだよ...…….……!」

ーーーーーーーーーー

次の日

霰「おはようございます班長さん」

班長「ああおはよう霰君。昨日はよく眠れたかな?」

霰「…………はい」

班長「それでは今日は少し特別な仕事になりそうだ」

班長「君には安価下2をしてもらいたい」

霰「ギャンブルの…………審判?」

班長「そうだ。今日は上の奴らの創立記念日でね。わしらにも恩赦が与えられるんだ」

班長「わしらには普通日曜も祝日もないが一年に一度この日だけは丸一日休日がもらえる」

班長「そしてわしらは一気に羽をのばし好きに過ごすのだ。とにかく寝る者…………貯めた金を散財して飲み食いするもの…………そして、ギャンブルに興じる者…………」

班長「棒倒しだけではない。今日は違うギャンブルもできるんだ」

班長「そう、例えば安価下2のようなギャンブルなんかね」

霰「ポーカーってトランプの……?」

班長「そうだ。普段はトランプを使ったゲームは上に禁止されているが今日ばかりは解禁され興じることができる…………っ!」

班長「純粋な、砂遊びなどでは到底味わえない最高のギャンブル…………!」

班長「わしも今回ばかりは是非とも参加したいのだ」

班長「というわけで君には申し訳ないが管理職候補として働いてもらいたい。ディーラーとしてね。もちろん日当は出す。それに数時間程度審判してくれるだけで構わない」

霰(せっかくお休みもらえるなら休みたいけど……こんなところ早く帰りたい……)

霰「わかりました。…………霰、審判をします」

ーーーーーーーーーー

班長「カカカ!わしの勝ちだ!各自札4枚!」

霰(…………おかしい)

霰(さっきから明らかに班長さんが勝ちすぎてる…………)

男「ぐううう!くそっくそっ!」

霰(みんな熱くなりすぎて見えてない…………)

班長「おーっと負けてしまった!はははついてないなあ!」

霰(ちょこちょこ負けはしてるけどいつも低い役…………実質的に損はしてない)

霰(こんなの…………でもタネがわからないんじゃあ…………)

班長「さて、霰君。君もポーカーやってみないか?」

霰「え?」

班長「またとない機会だ。せっかくこの場にいるのに一人だけシラフだなんて野暮極まりないよ」

霰「で、でも」

班長「金ならほら今日の日当だ。これでポーカーをやろう」

霰「違います……!霰はもうギャンブルはーーーーーーーーーー

「だああああ!また負けたあああああ!」

「ぐおお!暴れんなアホ!」

「おとなしくしやがれ!」

「てめーぜってえ仕込みだろ!観念しろ!」

班長「静かにしろ!何があったんだ!」

「ち、違うんす。この新入りがイカサマだなんだって言いがかりを……!」

「自分が負け続けてるからってむちゃくちゃ言いやがるんです!」

班長「ったく…………ゴミどもが…………」

「だあああ!クソが!信じられねえ!どうなってんだこれ!つーか離せてめえら!男に組み伏せられて喜ぶ趣味はねえよ!」

霰「…………え?」

「…………あ?」

霰「…………司令官?」

提督「…………なんでここにいる」

ーーーーーーーーーー

霰「…………」

提督「…………」

霰「なんで地下に……」

提督「…………いろいろあったんだ。もうそれはいろいろ…………」

提督「真空管アルバトロスの問題はなんとか収束に向かいつつあったんだが…………」

提督「…………やめよう。金さえあれば降格が免れたかもなんて考えた俺が馬鹿だったんだ…………迂闊に手を出すべきじゃなかったんだ………………」

霰「大変……だったんだ…………」

提督「それよりも霰、あのE班の班長……」

霰「え…………?」

提督「あの手つき、手さばき……明らかにイカサマをしている」

霰「わかるの…………!?」

提督「ああ、確信を持った。ここに来てから俺もギャンブルに参加していたがE班の班長の勝率が明らかに高い。みんな薄々気づいているのだろうが立場上どうにもならない」

霰「でも…………あんなのやっぱり……」

提督「そこで俺に策がある。妄想して満足してるだけだったが霰がいるなら心強い。」

霰「司令官……。何をするの……?」

提督「……………………やつの化けの皮を剥ぐ」

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

班長「おや、霰君、どうしたんだ?」

霰「班長さん……霰もポーカーさせてください」

班長「…………ほう。いいよ、もちろん。さあどうぞ座って」

提督「あっ、すんません俺も入れてもらえますかね。さっきのテーブル追い出されちゃって」

班長「ああもちろん。そのかわり暴れたりしないようにね。カカカ!」

霰(自然な流れで隣に座れた…………意思の疎通が取りやすい…………)

男「それじゃあカード配ります」

ペラペラ

霰「…………」スッ

提督「…………」スッ

班長「…………………………」ニヤリ

ーーーーーーーーーー

班長「くくく…………さあ来い」

男「賭け金を………上げよう」

班長「いいだろう…………来いよ!…………張ってみろ…………!男なら…………大枚を…………!」

提督「…………っ!」

霰(司令官…………なにかわかったの?)

提督(いや…………やはり今までうまくやってきただけある……一目では一切わからん…………だが)

提督(俺の予想が正しいならば…………やはり各々が自分のカードを確認するほんの一瞬、各自の表情を伺うまでの空の一秒!)

提督(次の回で決着をつけるぞ霰)

霰(…………わかった)



班長「ぐはははは!わしの勝ちだ!」

男「うっぐううあああああ!そんな…………くそっ!くそっ!くそっう!…………う、うう…………ぐううう…………」

ーーーーーーーーーー

霰「それじゃあ…………カード配ります」

ペラ

男「…………次だ……次こそは……」スッ

男「…………」スッ

提督「…………」スッ

班長「…………ふふふ」スッーーーーー

提督「今だ!」

霰「っ!」ガシッ!!

班長「ぬあっ!」

提督「観念しろイカサマ野郎!」

班長「は、は、離せえ!くそっ!」

霰「絶対に……離しません!」

提督「ぬおらあっ!」ガシッ

班長「ああっ!あ、あ、あー!」ブワッ

男「な、なんだ?袖から……」

男「袖からトランプが……」

提督「そのトランプをよく見てみろ!」

男「なっ…………これ……薄くレイヤーで重なってやがる!」

班長「な、な、待て!」

霰「イカサマの瞬間…………押さえました!」

提督「レイヤーで薄く重ねたトランプを手札と気づかれないように入れ替える…………狙った役は出せなくてもこんな場末の賭場では十分すぎるほど有利…………!」

男「く、くそ!前々から怪しいと思ってたんだ!金返せ!」ドカッ!

男「しんじらんねえ!このクソジジイ!」バキッ!

班長「や、やめろ!よせおまえら!痛い!痛い!」

提督「さあE班の班長!この落とし前!どうつけるんだ!」

班長「な、なにを!」

霰「いくらなんでも…………こんな卑怯なマネ…………許してはおけない…………」

班長「い、いや待て!わしはイカサマなんてしとらん!」

男「はあ!?」

男「何言ってんだ!」

提督「……………………」

班長「よ、よく考えたらわしはまだ手札を引いてない!引ききっていなかった!」

班長「だからイカサマもクソもない!不成立!」

班長「ノーカウント!」

班長「ノーカウントなんだ!」

班長「ノーカン!ノーカン!ノーカン!ノーカン!ノーカン!ノーカン!」

男「な、な、……」

男「何言ってやがるこの野郎!ふざけやがって!」ドカッ!

班長「ぐああ!やめろ!やめて…………やめてくれえええ!」

霰「………………わかりました」

男「…………えっ!?」

提督「あ、霰!?なにを……」

霰「班長さんのイカサマ、不問にします」

班長「え、ええ!?た、助かった!!いやー君は実に話のわかる子だ!さすがは未来の管理職!わしの同僚ーーーーーー」

霰「ただし…………!」

班長「ーーーっ!」ビクッ!

霰「班長さんがイカサマをして霰達からお金を騙し取ってきたのはまぎれもない事実…………」

霰「班長さんがやってきたように霰達もイカサマを使って戦う権利がある!」

男「え……な……」

男「なる、ほど……?」

提督(霰…………?しかしそれでは…………)

班長「くっ…………くそっ…………たしかに……そうだな…………わしが悪かった…………」

霰「だから…………班長さんと同じように…………『霰達も元から作ってあったイカサマカード』で戦わせてもらう…………」

班長「くっ…………わかった…………これがわしの仕込んだイカサマトランプだ…………好きに使え…………」

提督(たしかに有利に戦えるかもしれんがそれでは…………『有利』であるだけ…………イカサマの罰金を取ったほうが明らかに…………)

班長(くくく…………やはり所詮は子供…………目先の有利にとらわれすぎている…………)

班長(これからイカサマが使いにくくなるかもしれんが…………また別のやり方を考えるまでのこと…………)

班長「………………く、く、く」

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

提督「…………では全員手札は行きわたったな」

男「あ、ああ」

男「しかし…………」

班長「……………………」

提督(霰…………いったい何を考えている…………)

班長「そ、それでは…………カードをオープンしよう…………」

霰「ーーーーーその前に確認させて…………ください」

班長「な、なんだ」

あ「このポーカーは地下ルール…………。フォール、つまり降りることは禁止」

霰「…………どんな手であってもただ役の強さを競うだけの純粋なギャンブル」

班長「ああ…………そうだ」

霰「役ごとに倍率が決められている…………強ければ強いほど倍率は多い」

霰「そして霰達はあらかじめ作ったイカサマトランプで戦うこと」

班長「くっ…………そ、そうだ…………」

班長(くくく…………馬鹿な小娘!その程度のハンデ痛くもかゆくもない…………!)

霰「よし…………じゃあ、カードをオープンします…………」

班長「…………く、くく」

男「…………っ」

男「…………」

程度(…………霰……)

霰「…………班長さん…………」

班長「…………なんだね」

霰「聞いたこと…………ある…………?念力が…………手札の役を左右する…………」

班長「…………は?」

霰(いけ…………!因果応報…………!天誅…………!これがあなたのイカサマの…………)

霰「…………報い!」


バン!


提督「ーーーーーーーーーーっっっ!!!」

男「……っ!な、なあ!?」

男「こ、こ、これ!」

提督「地下ルールで最強の役…………ファイブ……カード…………!」

班長「ーーーっ!?!?な、な、なああああああ!?」

班長「ババ!?」

班長「ババ!?」

班長「ババァァァァ!?」

班長「五枚全部ジョーカーじゃねえかあ!!ババ!ババ!ババ!」

霰「こっちはこっちで作らせてもらいました…………」

班長「ばっかもん!通るかこんなもん!」

霰「通る…………!」

班長「な、な、な、何馬鹿な!」

提督「霰の言う通りだ。おまえとの契約通り元々用意したイカサマトランプでの勝負。何もおかしな点はねーだろ」

班長「し、しかし……!こんな…………こんなことが…………!」

男「お、往生際が悪いぞ!負けを認めろ班長!」

男「てめーが散々してきたことだろうが!」

班長「ぐっ!ぐ…………ぐぅ…………!」

男「班長補佐!そのカード…………!」

霰「もちろん…………みんなのぶんもあります」

男「うおおおお!」

男「やった!やったぞおお!」

班長「こんな…………こんなことが…………」

提督「霰…………一体いつこんな手書きのカードを…………」

霰「司令官が作戦を教えてくれた時…………班長さんなら絶対ごねるだろうと思って…………」

提督(意外と黒いな…………)

ーーーーーーーーーー

提督「つーわけで俺たちは無事班長から大金を巻き上げてなんとか地下から出てこれたわけだ」

提督「いやーほんと一時はどうなるかと。あそこで霰が機転を聞かせてくれなかったらそれこそDr.スランプ状態だったよ」

提督「…………え?金?…………あ、ああ。その…………」

提督「…………俺が地下から出るための返済で使い果たした」

提督「…………」

提督「霰には感謝しきれんな。こうして今だ生きて提督業をつづけられる」

提督「…………大本営からついに直々にお達しが来たがな」

提督「下手すりゃ左遷だよHAHAHAHAHAHA」

提督「さて、というわけでなんだかんだあったが全く金は溜まってないし鎮守府も直らない」

提督「暇を持て余すわけにも行かんだろう、次はおまえがアルバイトしてこい>>113

すまん
このレスの安価下で

秋月「了解しました!秋月、張り切って参ります!」

提督「よしよし、そろそろお前らもアルバイトに対してそんなに抵抗がなくなってきただろ。アレだったら複数OKのところ探してみてもいいぞ」

秋月「アルバイト…………ちょっと不安ですけど……がんばります」

秋月「ところでどうして秋月を選んだんですか?」

提督「…………まあなんとなくだ」

提督(貧乏っぽいからちょっとくらい稼がせてやろうとか思ったとか言えない)

ーーーーーーーーーー

秋月「さてと……早いとこアルバイト探しましょう……」

秋月「司令は何人かで行けるところでもいいって言ってたけどそんな都合のいい職場ってあるのかなあ」

秋月「…………ここなんていいかもしれない」

興味持ったアルバイト
安価下2

秋月「『前歴次第で未経験歓迎』『短期契約可能』『能力に応じ給料増加』」

秋月「アルバイトっていうより派遣社員みたいな感じなのかな。前歴次第っていうのが気になるけど物は試し、電話してみよう!」

秋月「あ、なになに…………多数求人してるんだ。提督も言ってたし誰か誘ってみるのもありかもしれないなあ」

秋月「でも銀行のアルバイトってなんとなく枠が狭そうだしもし私だけだめで誘った子が通ったりしたら…………」

誘う、誰か
誘わない
安価下

支店長「はい、えーと、前歴は軍人と…………」

秋月「はい!主に対空で任をまかされてました!」

支店長「軍人…………えーと事務仕事とかは得意ですか?」

秋月「事務仕事というと書類の整理や帳簿などでしょうか。人並みにはできます。提督の補佐を任されることもあるので」

支店長「ほうほうそれはすごい。秘書経験もあるということですか。いいですね」

支店長「業務や内容について何か質問はございますか?」

秋月「安価下2」

秋月「金を出せ!」

支店長「え?ぬおお!?」

秋月「動くと撃ちますよ!」

支店長「ちょっ!な、なんですか一体!警察を呼びますよ!」

秋月「いいから金をください!くーだーさーいー!」

支店長「く、くそっ。す、少しお待ちくださーーーーー」ススス

秋月「両手を机から離してください!机の裏に警報が付いているのは知っています!」

支店長「な、なんだってんだ!こんなことしてタダで済むとでも!」

秋月「銀行だけにタダでは済まない、と」

支店長「うっセーアホ!」

秋月「さあとにかく金です!金を持ってきてください!」

支店長「ち、ちくしょう…………誰か…………」

提督「ーーーーーよっと」

秋月「え?」

提督「ふん!」

バキ!

秋月「痛い!」

提督「オイタがすぎるぞ秋月、こりゃ禁固刑だな…………銀行だけに金庫刑ってか」

秋月「あ、ああ!なぜ司令がここに!?って違います!本気じゃなかったんです!信じてください!」

提督「いや、そう言われても…………」

秋月「もしこういう想定外のテロがあったときにどんなセキュリティ対応するのか知っておきたくて!実践してみただけなんです!」

提督「ええ…………いくらなんでもそれは……」

秋月「本当です!本当に強盗なんてするつもりは!」

提督「まあ…………秋月のことだから一応信用しておくけど」

秋月「…………!あ、ありがとうございます!」

提督「いや俺は別にいいけど支店長さんは……」

支店長「非常識すぎるだろう!なに考えてんだ!」

秋月「うう…………こんなつもりでは…………」

提督「わかった。一度だけゴリ押してやる。一度だけだからな!」

提督「あ、どうも支店長さん。私こういうものでして」

提督「ええ、はい。あちらいわゆる職場体験的な、はい、そうです」

提督「ですから本当に申し訳ない、あと一度だけチャンスをですね。勿論断るなんてしませんよね?シベリアで金融業なんかしたくないですもんね?」

提督「よし大丈夫だ秋月、全てなかったことになった。」

秋月「あ、そ、そうですか。…………なんて都合のいい…………」

秋月「ところでなぜ提督は銀行に?」

提督「え!?そ、そりゃあ俺の口座から金をおろそうと思ってなそりゃそうだろ社会人が銀行に用があるときはそれくらいだろ」

「ていとくさーん!御融資の件が…………」

秋月「…………今度は銀行からお金借りたんですか」

提督「…………地下帝国よりましだろ?たぶん」

ーーーーーーーーーー

支店長「で、では…………改めて最初から面接したいと思います……」

秋月「はい!よろしくお願いします!」

支店長「ええと…………秘書の資格は持ってないようですがそれに近い仕事はできる、と」

秋月「はい、あくまで人並みですが時間をお知らせしたり書類のお手伝いや作戦会議を補佐したりなど……」

支店長「一応、実力だけは採用してもいいレベルなのかなあ……」

支店長「まあ…………仮採用ってことでいいかな……ある程度教育期間を過ぎたら採用ってことで。不審なことしたら即刻首だから」

秋月「わかりました!今度こそがんばります!」

支店長「というわけでまずは安価下2の仕事をしてもらいたい。そこそこ重要な仕事だから気を遣ってね」

ーーーーーーーーーー

秋月「えーと、一人目の方は丸っと…………」

秋月「あ…………電卓打ち間違えた…………」

秋月「あれ?変だな、計算合わないや…………あ、0が一つ多かった…………」

秋月「………………思ったより地味だなあ…………神経も使うし…………」

秋月「…………」

秋月(『金を出せ!』)

秋月「…………」ジー

秋月(割と本気で言ってたりして………………なんて)

秋月「うーん目が疲れてきちゃった…………」

秋月「そもそもこのもじゃもじゃの髪のおじさんの書いてある紙とか見たことないよ…………これ何円なんだろう…………1000って書いてあるけどそんなわけないし……」

支店長「どうですか秋月さん。調子のほどは」

秋月「あ、支店長さん」

支店長「ん…………これは…………」

秋月「え?」

支店長「安価下2」





支店長「数字に少しミスがありますね」

秋月「え?えーと…………ああ!本当だ!」

支店長「私たちはお客様のお金を預かっている身です。小さなミスも許されません、注意してくださいね」

秋月「すいません、気をつけていればしないミスだったのに……」

支店長「いいえ、入ったばかりの業務で失敗がないほうが珍しいのですから、これから気をつけてくださいね」

秋月「でも、すごいですね。ちょっと見ただけで気づくなんて」

支店長「まあ散々やってきましたからね私も」

秋月「それにしてもお金って本当はこんなに種類があるんですね」

支店長「え?」

秋月「てっきり硬貨だけかと思ってたんですがこんな紙のお金もあるんですね」

支店長「知らなかったんですか?」

秋月「お金使う機会あまりなくて…………」

支店長(なんで銀行で働こうと思ったんだろう)

秋月「この茶色い紙のお金は何円なんですか?」

支店長「え、それは……一万円ですけど」

秋月「…………え?」

支店長「一万円です」

秋月「いち…………まん…………えん…………」

支店長「書いてあるでしょう10000って」

秋月「安価下2」

秋月「冗談はよしてください」

支店長「え?」

秋月「一万円なんてあるわけないじゃないですか!」

秋月「一万円ですよ一万円!」

秋月「一円玉が一万個ですよ!?十円玉が千個ですよ!?貯金箱に入りきらないじゃないですか!」

秋月「紙なんて水に浸かったら溶けちゃうし、ふとした拍子に破けたりするじゃないですか!」

秋月「今時小学生ですら言いませんよ一万なんて数字!喧嘩して仲直りするときに「じゃあ一万回謝ったら許してあげる」なんて次元ですよ!」

秋月「そもそも一万円もあったら…………一万円あったら…………ええと……うまい棒がたくさん買えるじゃないですか!!」

秋月「そもそもこのおじさまは誰ですか!偉そうにドヤ顔してなんかすごく見下されてる気がします!」

秋月「悪ふざけにもほどがありますよ!紙きれがお金なわけないじゃないですか!」

支店長「安価下2」

支店長「私が手伝います…………」

秋月「え、帳簿の合わせをですか?」

支店長「ええ…………話にならないので」ボソッ

秋月「で、でも支店長さんもお忙しいのでは…………」

支店長「いえ、指導もかねてってことで大目にみます。サクッと終わらせましょう」

秋月「ありがとうございます!」

ーーーーー

支店長「秋月さんはお金は普段どれを使っているんですか?」

秋月「一番多く使うのは十円玉です!百円玉はやっぱり貴重なので中々使い辛いですよねー」

秋月「あ、でも一度だけ五百円玉を見たことがあって!大きくて綺麗で重たくて本当に一番って感じがしてかっこよかったです!」

秋月「いつか五百円玉をお財布にいれてみたいなあ…………」

支店長「………………」

秋月「あ、あれ?なんで泣いてるんですか?」

支店長「………………」

秋月「あ、あの……あ、飴くださるんですか……どうもありがとうございます…………」

支店長「こう言ってはなんですが帳簿の整理にはあまり向いてませんね秋月さんは」

秋月「す、すいませんミスばっかりで……」

支店長「いやミスよりも常識的な金銭感覚が…………」

支店長「ま、まあとりあえず次にしてほしい仕事なんですが安価下2をよろしくお願いします」

秋月「事務ですか?」

支店長「はい。担当をつけるんで以後はそちらに指示を仰いでください」

秋月「わかりました!」

ーーーーー

事務員「どうぞよろしくお願いします!」

秋月「よろしくお願いします」

事務員「ありゃ、支店長が変な子だって言うからどんな子だろうと思ったら、案外普通の子ですね」

秋月「そ、そうですか?」

事務員「おっと、今の支店長には内緒ね」

事務員「ところで早速だけど資料室から顧客名簿のファイルを持ってきて欲しいの」

事務員「タグと案内見ればだいたいわかると思うからよろしくね!」

秋月「任せてください!すぐに行ってきます」

ーーーーー

秋月「うーん、思ったより広いな……資料室」

秋月「それに埃だらけで息が詰まりそう」

秋月「あっ、あったあった一ヶ月分の顧客名簿表」

秋月「…………あれ?このファイル?はなんだろう…………安価下2のファイル?」

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