少年エルフ「誘拐されちゃった」 前編 (26)

※注意、このSSは以下の成分で構成されています

台本形式、ご都合主義、ショタ・ファザコン、残念な描写力、スレタイが最後

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○これまでの登場人物

少年エルフ:ハーフエルフ60歳児 喫茶店店主、山で託された人間の娘を育てパパとなる。 娘の為なら怖いものも我慢できる。

娘:16歳 少年エルフに育てられた人間の娘、才色兼備で男女問わずモテるがファザコン。 他人の恋愛事情には関心が薄い。

娘友:16歳 商人の娘、お調子者で娘や少年エルフをからかうのが趣味。 借りはきっちり返す主義。

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○王都二日目の朝、商人の宿屋

娘友「はい、というわけでアタシ達はなんやかんやあって王都に来て二日目です。 昨夜は親父が急遽開いた『恩人歓迎パーリナイ』でした」

娘「誰に話してるの? なんやかんやって何よ?」

娘友「なんやかんやについてはSS-Wikiからどうぞ~」

娘「だから何の話よ!?」 

娘友「ただの宣伝だから気にしたらダメよ。 ほら服決めた?」

娘「えぇ、これにするわ。 でもずいぶん服があるのね」

娘友「そりゃ、もともとここはアタシの実家だったから」

娘「それでこんなにあるのね、パパ着替え終わった?」

少年エルフが着替え部屋から出てきた。

少年エルフ「うん、これでいいよ」

娘「わぁ、似合ってるわ。 私も着替えなきゃ」

娘が着替え部屋に入った。

娘友「ホント可愛い、弟のお古残しておいてよかったわ」

少年エルフ「弟のおふる……。 うん、その貸してくれてありがとう、娘の分まで」

娘友「いいのいいの、ジャージで出かけるわけにもいかないし。 あ、娘も着替え終わった?」

娘が着替え部屋から出てきた。

娘「えぇ、でもこれ。 ちょっとサイズがキツイわね。 胸が……」

娘友「ぬげー! アタシ達の友情もこれまでよ!」

娘「バカ、やめなさいって」

少年エルフ「さ、先に下でまってるね」

○商人の宿屋、ロビー

娘友「さあ、行きましょうか」

少年エルフ「あれ商人さんは? 今朝から挨拶をしてないんだけど」

娘友「オヤジはもう仕事よ」

少年エルフ「早いんだね、昨日遅かったのに」

娘「流石に商売してるだけあるわね」

召使「お嬢さま出かけるのですか? 護衛のものを」

娘友「そういうのいいから」

召使「ですが、最近また賊が出ているとの噂も」

娘友「危ないところ行かないしアタシも子供じゃないのよ。じゃ」

◯王都大通

娘友「全く、未だに子供扱いなんだから」

娘「賊って王都にも出るの?」

娘友「そうね山賊というより人攫いかな、ウチそこそこ大きい商家だから誘拐とかされかけたこともあるのよ、それでね」

少年エルフ「そうなんだ都会って怖いね」

娘友「ま~、それもあってあの町に引っ越したのよ。 田舎だから安全だし」

娘「そうだったのね」

娘友「さあ、どこ行く? もと地元だからどこでも案内するわよ」

娘「そうね~。 パパどこか行きたいところある?」

少年エルフ「え? 娘達が行きたいところでいいよ」

娘友「とりあえず歩きながら考えましょうか。 あ、あそこスイーツ美味しいのよ、久々だわ~食べましょ」

タタタ

娘「もう、結局自分が行きたいところじゃない。 パパ早く行きましょ」

少年エルフ「ん~、娘」

娘「なに? パパ」

少年エルフ「娘、ここはいつもの町じゃないから、僕のことは名前で呼ばないとダメだよ」

娘「そうなの? でもパパが言うなら」

少年エルフ「もう、言ってるそばから」

娘「ごめんなさい、パ……、エルフ」

少年エルフ「よろしい。 いい? 娘がおかしな目で見られることになるんだからね」

娘「わかったわ、パパ」

少年エルフ「ほらまた」



ガヤガヤ

少年エルフ「美味しいねこのクレープ」モグモグ

娘「そうね、もうここクリームついてるわよ」

少年エルフ「あぅ、ゴメン」

娘「もう、どっちが子供かわからないじゃない」フキフキ

娘友「……アタシも居るんだけど親子モードは二人きりの時にしてくれない?」

娘「あら、友居たの?」

娘友「ヒドッ! 最近、アタシに対する扱い冷たくない?」

娘「ウソよウソ、ゴメンなさいね」

娘友「感情が薄い!? 友情より愛情を優先するのね?」

娘「当たり前じゃない」キッパリ

娘友「……わかってたけどここまでキッパリいうとは」

少年エルフ「二人とも、声が大きいよ。 ほら、見られてるから」

ザワザワ

\あの耳ってエルフ族? 本物!?/

\まだいたんだ、それに可愛い/

\でもエルフ族って……/

娘友「注目されてるのはエルフさんのようね」

少年エルフ「そんな!? どうしよう、はずかしい……」カアァ

\きゃあ、耳まで真っ赤にしてカワイイ/

\もって返りたいわ/

娘「パ……エルフこっち」

少年エルフ「え?」

○帽子屋

娘「ほらこれなんかどう」

娘はキャスケットを少年エルフにかぶせた。

娘「これなら耳も隠れるし、エルフに似合ってるわ」

少年エルフ「ありがとう、買ってくるよ」

娘「まって、私が買うわ。 プレゼントよ」

少年エルフ「え、本当!? ありがとう」

娘「いつも助けてもらってるからね、これもお親孝行よ」

少年エルフ「えへへ、ありがとう」ニコニコ

娘友(……ウチの弟もあれくらい可愛げがあったらねぇ。 ……交換したい)

○映画館前

娘友「そうだ映画観ない? 時間あるし」

娘「いいわね」

少年エルフ「今は何をやってるの?」

娘友「ん~? 面白そうなのは『勇者様と私』と『片腕剣士と空飛ぶギロチン使い』ね」

少年エルフ「わぁ、片腕剣士面白そう」

娘「やめて、B級臭がプンプンするわ」

少年エルフ「えー」

娘「多分、想像してるのと違うとおもうわよ」

少年エルフ「そう?」

娘友「じゃあ『勇者様と私』ね、すいません、学生二枚と子供一枚」

少年エルフ(……わかってるけど、子供かー)

娘「エルフどうしたの?」

少年エルフ「なんでもないよ。あ、ポップコーンも買おうよ?」



娘「んー、ロマンスだったわね」

娘友「そうね、素敵だったわ~。 アタシもあんな姫様みたいな恋したい」

少年エルフ「実話なのかな?」

娘「まさか、昔の有名人をモデルにしてるだけで実際に魔王とか勇者なんて居ないわ」

娘友「そうなの?」

娘「そうよ、昔の暴君を魔王とか言ってただけよ」

少年エルフ「でも、今の王様って勇者の子孫なんでしょ? だったら」

娘「それは王の正当性を主張するためのものよ。 本当かどうかはわからないわ」

娘友「言われてみれば、そーね。 400年前の事なんて本当かどうかはわからないしね」

少年エルフ「でも歴史書とかあるじゃない」

娘「そうゆうのは後付よ。 歴史は勝者によって作られるて来たから、必ずしも正しいかどうかわからないわ」

娘友「でも、あんな姫様は居て欲しいわね~。 今の姫様なんて真逆だし」

娘「今の姫様って、どんなの?」

娘友「噂だけどねー。 末っ子の姫様なんだけど、お転婆でたびたびお城を抜け出して遊んでいるんだって」

娘「それはまわりの人が大変そうね」

娘友「以前は熊の毛皮が欲しいからって自分で狩りにいこうとしたらしいから」

少年エルフ「それお転婆っていうレベル!?」

娘「あら、もうこんな時間じゃない。 何か食べましょうよ」

少年エルフ「そういえばお腹すいたねぇ」

娘友「だったら美味しいサンドイッチ屋さんが近くにあるわ」

◯サンドイッチ屋

少年エルフ「若い子ばっかりだね」

娘「気になる? 外のテラスに座りましょうか」

◯サンドイッチ屋、テラス席

少年エルフ「わぁ、このソース美味しい、こんな組み合わせあるんだ」

娘「エルフも今度作ってみる?」

少年エルフ「うん、でも材料あるかな?」

女騎士「む! 君たち食事中に申し訳ないが少しいいかな?」

通りすがりの騎士が馬から降りてきた。

少年エルフ(わぁカッコいい。 女の騎士さんだ)

女騎士「人を探してるんだが、そこの子、ちょっとメガネをとってもらっていいかな?」

娘友「え? あ、はい」

○店内窓際の席

メガネ女子(おう、もうこんな所まで。 裏口から逃げねば)コソコソ

○テラス席

女騎士「……すまない、違ったようだ。 君たちと同じくらいの年でこの辺りにいるはずだが」

女騎士は似顔絵を取り出した。

娘「この子? ちょっと見てないわね」

少年エルフ「ごめんなさいわからないや」

娘友「探してるって? なにかしたのこの子?」

女騎士「申し訳ないが詮索は無用に願いたい。 手間を取らせたな、ありがとう。 他の場所を探すよ失礼する」

パカパカ

女騎士は去って行った。

娘友「はー、カッコいいわね」

少年エルフ「それにしても人探しなんて大変だね、こんなに人が多いのに」

娘「騎士が人探しってのも妙だけどね、普通兵士に任せるものじゃないの?」

娘友「最近は物騒になってきたからね、兵士だけじゃ人手が足りないんじゃない? さ、そろそろ行きましょうか」

娘「そうね、用事も済ませないといけないし」

少年エルフ「用事って?」

◯水着屋

少年エルフ「ここって……」

娘友「ねー、これいいわね」

娘「ちょっと派手じゃない? それに中身も伴なわないと意味ないわよ」

娘友「ほう、最近ランクアップしたお方は言うことが違いますねぇ。 これかこれがランクアップしたのか!」モミモミ

娘「ちょっとやめてって」

少年エルフ「あの、僕。 さっきのサンドイッチ屋でまってるから」カアァ

少年エルフは逃げ出した。

娘「あ、ちょっと」

娘友「あーららエルフさんもオトコノコなのねぇ」

娘「もう、早く決めましょう」

○サンドイッチ屋・テラス席

少年エルフ「ふー、あービックリした。 娘も成長してるんだなー」

テラス席にドリンクと荷物を置いて休む。

少年エルフ(ランクアップか……。 ちょ! 何考えてるんだ僕は、バカ)



少年エルフ(はぁ、まだかな)

暇つぶしに雑踏に耳を澄ませる。

ガヤガヤ \なんじゃおぬしら/ ガヤガヤ

少年エルフ(ん?)

ガヤガヤ \その手をはなさぬか/ \静かにしろ/ ガヤガヤ

少年エルフ(どこがで女の子が嫌がってる!

◯路地裏

盗賊A「おとなしくしろって」

メガネ女子「ふん! このような狼藉、後で後悔することになるぞ」

盗賊B「かー、肝の据わった子だなぁ」

少年エルフ(もしかして、誘拐現場!? 娘と同じくらいの子なのに)

ガラガラガラ

馬車が止まって中から女盗賊が怒鳴りつける。

女盗賊「何してんだい、とっとと乗せちまいな!」

盗賊A「ヘイ」

少年エルフ(どうしよう、連れてかれちゃう!?)

盗賊B「のれ!」



少年エルフ「何してるの!? ダメじゃないそんなことしたら!!」

少年エルフが盗賊達の前に躍り出た。

盗賊A「なんだこのガキ」

盗賊B「見られちまったな、お前も来い!」

少年エルフ「"風弾"」

少年エルフは魔法を唱えた! 強風が盗賊を吹き飛ばす。

盗賊B「うわあ」

盗賊A「魔法!? こんなガキが」

少年エルフ「次は手加減しないよ!」

女盗賊「最初から手加減しない方が良かったね、坊や。 "魔法封じ"」

女盗賊は魔法を唱えた。

少年エルフ「え!?」キュイン

少年エルフは魔法を封じられた。

○サンドイッチ屋・テラス席

娘「おまたせエルフ。 あれ、いない? 荷物はあるのに」

娘友「手洗いでもいったのかしら」

娘「見てくるわ」

娘友「ちょっと」

\パパー/ \うわー/

娘「いなかったわ」

娘友「あんたねぇ……。 まあいいわ。 先に帰っちゃったのかな?」

娘「……考えにくいけど、一旦戻りましょう」

◯商人の宿屋

召使「いえ、戻られておりません」

娘友「迷子かな?」

娘「どうしよう、もしかして誘拐!? 見た目は子供だし」

娘友「とりあえず兵隊に連絡しなくちゃ。 あなた行ってくれる?」

召使「かしこまりました」

娘「あぁ、あの時に引き止めておけば……。 無理にでも一緒にいるべきだったわ」

○廃墟の館・盗賊のアジト

盗賊A「やれやれ、とんだ邪魔が入ったな」

盗賊B「お頭、こいつどうします?」

女盗賊「ふーん、なかなかの上玉だね。高く売れるかな……おや?」

女盗賊は少年エルフの帽子をとった。 少年エルフの耳があらわになる。

女盗賊「おやおやおや、これはこれはエルフ族じゃないか!?」

少年エルフ「ぅ……」

女盗賊「まだ生き残りがいたとは! それも子供、高く売れるよこれは!!」

盗賊B「それで魔法が使えたんですね」

盗賊A「お頭、オンナの方はどうします」

女盗賊「予定どうり脅迫文を用意しな。 私はもういちどこいつに魔法封じをしておくから」

◯盗賊のアジト・窓の無い部屋

盗賊A「ほら、おとなしくしてろよ」

バタン

少年エルフは部屋に閉じ込められてしまった。

少年エルフ「誘拐されちゃった。 どうしよう」ボソ

少年エルフ(娘、心配してるかも)



メガネ女子「おぬし、怪我は無いか? わらわが巻き込んだようで済まないのう」

少年エルフ「え!! あ、さっきの」

暗がりにメガネ女子が木箱に座っていた。 少年エルフ同様に手は縛られている。

メガネ女子「驚かせたかの。 ……おや、その耳。 もしかしてエルフ族か? まだ残っていたとは興味深い」

少年エルフ「うん、僕はハーフエルフのエルフといいます。 君は?」

メガネ女子「そうだの、わらわは……」


――EiMD#50A end――

読了ありがとうございました、今回はここまでです。

話のテンポはサクサクを目指してますが、ダラダラ書いてしまい前後編に分かれてしまいました。

後編はでき次第あげます。

ご意見、ご感想がございましたらお気軽にレスを下さい。 ちょっとした暇つぶしになったなら幸いです

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