照「心の扉を開くのはあなた」 (51)

※初スレ、処女作です 文章が長く拙い文章ですが生暖かい目で見てやってください それではどうぞ

照「ツモ。12000オール」

恒子「き、決まったァァ!!親の役満ツモ!!!他校全てを同時にトばすという圧倒的力量により史上初の3連覇を見事に成し遂げました!!」

恭子「う…嘘や、こんなん嘘に決まってる。いくら高校生チャンピオンやからて3校同時に、それもインハイ決勝でそないバカげた話があるか!!」

恒子「優勝は…白糸台高校!! 今まさに最強の証明が成されましたっ!」

照「ありがとうございました」ガタッ

咲「あ…ありがとう…ございました」ウナダレ

穏乃「もう…麻雀なんて…うわぁぁあぁぁあぁ」ダッダッダッ、バタン

恭子「な、なぁこれ全部嘘やろ、何か悪い夢でも見とるんやろ!そうなんやろ!?何とか言いや!!」ガシッ照の腕を掴む

照「……」

恭子「うちらやて今まで必死にやってきたんや!退院した善野監督、大将まで繋げてくれたチームの皆、必死になって応援してくれてる部員や地元の人達。そんな思い全部しょって必死に戦ってきたのに…何で何でこんな事になるんや!!」

モニター
洋榎「アカン!恭子の奴頭に血ィ上っとる!早よ止めな何しでかすか分からん!」

漫「主将!早よ行ってあげてくだs―」

バタン!タッタッタッ

絹恵「お姉ちゃん 頼むわ!!」

漫「末原先輩…」

会場
恭子「あんたチャンピオンや言うてるけどほんまはサマ師か何かとちゃうんか!あんな早う聴牌するとか普通にありえへんやろ!そうやそうに違いない!主催者にチェックしてもろうて再試合しようや!!」ガサガサ照の腕を力一杯揺さぶる

洋榎「恭子!もう止めや!!」ダッダッダッ

恭子「うちらの夢がこんな…こんな簡単に終わるわけないやろおおおお!!!」

照「―て」

恭子「何やて?!」

照「離して」

恭子「うっさい!ちゃんと主催者にかけあうまでは―」

照「聞こえなかった?……同じことを2回言うのは嫌い」

恭子「!?」ゾワッ スッ腕を離す

洋榎「恭子!」

恭子「しゅ…主将」

洋榎「落ち着きや!恭子!うちらはここで終わりやけど姫松の麻雀部はこれからもずっと続いてくんやで!もしここで恭子が下手に暴れたら麻雀部或いは姫松高校の評価はガタ落ちや!せやから一旦落ち着け!な!」

恭子「せやけどこんなん納得できません!あんたやてうちらと同じ高校3年生なんやろ!?あんな桁外れに強かったらもう『そういう事』をやってるって疑うしかあらへんやんか!」

照「ねぇ」

恭子「うっさい!あんたの話なんか今は聞きとう無いわ!」

照「あなたが何とか言えと言ったから話をしようと思ったのに次は『喋るな』。言ってることがメチャクチャ」

恭子「それはそれ!これはこれや!」

洋榎「恭子。ひとまずチャンピオンが何か言いたそうやし聞く耳持ちや?」

恭子「うぅ…」

照「私は白糸台高校3年生麻雀部所属の宮永照。年もあなたたちと同世代。この際私がイカサマをしたかどうかを疑うのはあなたの自由」

恭子「…」

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照「けれどもあなた達は負けて私達が優勝した。―それだけが拭えない事実」

恭子「!」

照「いつまでもあなた達に時間を割いている暇はない。勝者が敗者に語りかけることなど何もない」

恭子「そ…そんな…」ボロボロ

洋榎「ッ!なぁチャンピオンさん。それはちと言いすぎやないか?」

照「そう?私はただ事実を述べただけ。そしてあなたも私達白糸台に負けた高校生の内の一人。ただそれだけ」

洋榎「……」

照「それじゃ後がつかえているから」カツカツカツ

洋榎「(くっそぉ!何も、何も言い返す事ができへん!)」

恭子「しゅ…しょう」ボロボロ

洋榎「…うちらの、負けや恭子」

恭子「う…うわぁああぁぁぁああぁぁぁぁああぁ」


――こうして全国優勝といううちらの目標は、あまりにも差のありすぎる実力により潰え、その全国優勝を善野監督にプレゼントするという夢も儚く消えていった


―決勝翌日会場近くのホテル 

恭子を落ち着かせるんにだいぶ時間がかかったけどとりあえず一段落は着いた。

そのまま姫松に帰っても良かったんやけど祝賀会等の諸々の都合でホテルの宿泊に数日猶予をもらっていたため東京に滞在することとなった。

ホテルに帰った後はみんなでとにかく泣き合うた。笑おう笑おう思うても自然と涙が溢れてどうしようもなかった。


―ホテル近辺1

洋榎「うちらも…もう終わりか。早いなぁ」

洋榎「決勝まで来れたしやれることはやったしな!なーんも悔いはあらへん」

洋榎「悔いは…」ポロ

洋榎「あ、あかんあかん!こないだ泣いたばっかやんか!いつまでもめそめそしとったら女々しゅうてこたわんわ!ってよくよく考えればうちやて女やな…」

洋榎「せ、せや!今変な涙が流れたんもゴミが目に入ったからや!今日は風通しもええしな!」

イイジャン オレタチトアソボウゼー ハ、ハナシテ

洋榎「ん?あれは…」


―ホテル近辺2


照「ふぅ…風が気持ち良い」トコトコ

あれから私達白糸台高校は史上初の3連覇を成し遂げたという事でマスコミ、学校等様々な関係機関にひっぱりだことなった。中でもマスコミに対する取材がとりわけ忙しく優勝後の会見が終了しても一歩外に出る度にマイクを近づけられることとなった。

決勝から1日経ち、あまり優勝した実感も湧かないまま疲れた体と気分を癒すために外に出歩きリフレッシュをしている。

照「おかし…食べたいな」

照「ここの路地裏を抜ければ目の前に駄菓子屋さんがあったはず、レギュラーのメンバーの分も含めて買っていこう。」スタスタ


路地裏

照「」スタスタ

不良1「やーお嬢ちゃんおヒマしてるぅー?今から俺らとアソバナーイ?」

不良2「おーこれはなかなか!お前にしては珍しく当たり引いてんじゃんー」

照「……」スタスタ

不良1「まってよーそんなに冷たくしなくてもいいジャンー」ガシッ

不良2「いいじゃん、おれたちとあそぼうぜー」

照「はっ、離して」

不良1「声もか・わ・い・いー 俺の心を君のハートにロ・ッ・ク・オ・ン」

不良2「つかどっかで見た事あると思ったらこいつ宮永照じゃね?あのインハイ3連覇の」

不良1「まじでー?!そしたらこの制服白糸台じゃんーやっべー 本当に萌・え・て・き・たー!」ガシッ更に力を入れる

不良2「お前キモすぎwwでもこんな有名人と出会えるとはねー 俺らと『イイコト』しようぜー?」

照「やっ…やだ(これって私すごく危ない!?ドラマとか本とかでは見た事あったけど本当にこんなことがあるなんて)」

照「(か、体がすくんで力が…)」


?「そこまでや!!」

照「!?」

不良1&2「!?」

不良1「なんやー御嬢さんー子供はこんな所をうろうろしてちゃいけないんですよー?蟹みたいな頭しとるし今日はお家返って蟹ぱーちーでもしてたらどうですかー?」ゲラゲラ

不良2「俺らは今綺麗な嬢ちゃんとパーティーやってんの。おこちゃまには臭いだけの蟹パーティーがお似合いなんじゃない?」ギャハハ

?「ブチッ!」

?「うちかて頭のことは何となく自分でも気にしとったけんうちのことを馬鹿にするならいくらでも馬鹿にしたらええ」

不良1&2「!?」ブルッ

?「せやけど蟹を馬鹿にするんは大阪府民と全国民の、蟹に対する冒涜やろおおおおおおおお!!!」ドスッ!!鳩尾に肘鉄

不良1「ご…はっ!」

不良2「て、テメーやりやがったな!」

?「へっ、蟹パーティーもええけどなうちらがパーティーするときはタコパーティーって相場は決まっとんねん」

照「あ、あなたは…姫松の」

洋榎「大阪きって、タコパー覇者の洋榎とは…うちの事やで!」ドドン

不良2「ぶっ殺してやる!!」

洋榎「こっちや!」タタッ

照「えっ!…うん」

不良2「待ちやがれええ」


洋榎&照「ハァハァ……」

不良1&2「ヤロードコイキヤガッター デテコイヤアア」

洋榎「全く…いつまでぎゃーぎゃー騒ぎよんねん。おかんでさえあんなん騒ぐんは試合で負けてヤケ酒した時くらいしか知らんわ」

照「ね…ねぇ」

洋榎「しっかし、ここからどないしよ?当分はここから出られへんやろしはよ飽きて余所行ってくれんかいな」

照「ねぇってば!」

洋榎「お…おお。すまんすまん何や」

照「あなた、確か姫松高校の…」

洋榎「洋榎や 愛宕洋榎。先日はぎょーさんお世話になりましたー。」

照「ど…どうして私を?」

洋榎「?どういうことや」

照「私とあなたはいわば敵同士。先日の決勝で私達は優勝しあなたたちは敗北した。それなのにどうして私を助けるの?」

洋榎「…」

照「多かれ少なかれ私達を恨んでいるはず。なのに」

洋榎「関係あらへん」

照「え?」

洋榎「あんな?恨んどるとか敵同士とかそんなん関係あらへんとうちは思うで」

洋榎「目の前に困ってる人がおってその人を助ける。その行為に恨みとか敵とかそんな感情はいらんねん。それだけの話や」

洋榎「せやけどほんましぶといなぁ。PKん時に絹がゴール守てる並みにしぶといであいつら」

照「…」

照「(不思議な人。今まで色々な人達と関わってきたけどこんな人と出会うのは今日が初めて。)」

照「(人と人が関わるときにはお互いがお互いの利益になるから関わろうとする。だから私もそうした人付き合いをしてきたしそれが現実だと思っていた。」

洋榎「さて、どう逃げるか」

照「(それなのにこの人は、愛宕洋榎は、ただ困っている人がいたら無条件で手を差し伸べるという。こんなの今まで…)」

照「」グイグイ洋榎の服を引っ張る

洋榎「いくらなんでもうちと同じ速度で走って逃げえっちゅうんは無理あるしな」ボソボソ

照「ねぇ」グイグイ

洋榎「ん?何や、今逃げる算段立てとんねん。ちょいと静かにしといてな?」

照「お腹…減った」

洋榎「は?」

照「力が出ない。このままでは歩く事すらままならない。ここの路地裏を抜けてすぐの駄菓子屋さんの共親の大人気お餅シリーズの青りんご、サイダー、さくらんぼのうちの青りんごを食べなければ…」

洋榎「ちょーまてまてまて!長い長い!色々突っ込みどころありすぎて一瞬思考停止してもうたやんか」

洋榎「腹減ってんやったらまず飯やろ!何でそこで菓子がでてくんねん!それと何や!途中の訳分からんシリーズ!青りんごっちゅう単語だけ聞き取れたわ!」

照「子供の内に誰でも一度は食べた事のあるシリーズ。共親と聞いてそのおかしが浮かび上がらない様ではあなたは人生の10割を損している」

洋榎「全部やないか!って今は2人で漫才してる場合ちゃうわ。とにかくここから逃げ落ちる事だけを考えや」

照「そうすると私の大好きな青りんごが食べられない」

洋榎「自分の身の危険とその青りんごどっちが大事か言うてみ」

照「……………あおりんg…………身の危険」

洋榎「もう母音のせるだけで青りんごやないか!まっさきに身の危険言うとこやろ!ふつー」ハァ

照「あのおかしを食べないと結局ここから逃げ落ちれない。『急がば回れ』」

洋榎「だーっ!もうわーったわーった!その菓子が食いたいんやな!?」

照「」コク

洋榎「ハァーウチも色んな人間見てきたけど自分の身の危険より菓子優先する奴は初めて見たわ」

照「そんなことはない。おかしはこの世のすべての起源。人間或いは生き物は『甘え』という感情を中々表に見せない。余程の信頼が無ければ相手に隙を見せる事になる。それは家族や親しい友人であっても例外ではない。しかしおかしはそれらの疑念を全て払拭しその感情を引き出してくれる。すなわちおかしはこの母なる大地と…」

洋榎「こらこらこら!いつまで哲学語っとんねん!つかそれだけ口が回るなら動き回ることもできるやろ…」ハァー

照「それとこれとは話が別」

洋榎「後でじっくり聞いたるからとにかく今はウチの言う事を聞いて動くんやで?」

照「」コクコク

洋榎「失敗すれば終わりやけど成功したら逃げるのは勿論、走らんてもようなる。」

洋榎「いっちょ、ガキの頃にこさえた『子供のケンカ』ってやつ見せたるで!」

不良2「ハァハァハァ…一向に見当たらねえ。どこ行きやがった!」

不良1「こそこそ逃げ回りやがって!あの蟹女次見つけたらただじゃおかねえ」

照「きゃ!」

不良1&2「!?」

不良2「おっと、お姫さんの登場ってか」

不良1「結局なんだかんだで自分の身が一番大事ってな。結局ナイト様に見捨てられましたねー?お姫様―?」ジリ

照「うぅ……」

不良2「おい、あんまり不用意に近づくなよ!」

不良1「俺のお姫様ぁ たぁっぷりかわいがってあげましゅねー!!」

照「」ブルブル

不良1「いただきまーs!―」

ヒュッ バコッ!

不良2「!?」

不良1「カ…ハッ」ドサッ

不良2「野郎!どっから!」ヒュッ バキィッ

不良2「ぐほおっ!」ドサッ

洋榎「いっちょあがりーってな」

洋榎「こない汚い路地裏なら色んなモンが転がっとってもなーんも不思議やあらへん。せやからお目当てのモン見つけられたで」キラーン

照「それって」

洋榎「『パチンコ』や。これに石ころはめて飛ばしたら結構な威力になるもんやで。小さい頃はこれでよう窓ガラス割って叱られよったわ」

照「いけない子」

洋榎「せやけどおもちゃも馬鹿にならんてあんさんらの身を持って体験できたやろ?子供なめとったら痛い目みるでー?」

洋榎「結局2人まとめてやれたから無理に走る必要もなくなったけどな、まあ念には念を、っちゅうことで早々と退散しよかー」

照「私は子供じゃない。歴とした白糸台の高校生」

洋榎「二十歳になるまではじゅうぶん子供や!ほな急ぐで」クィッ、タタッ

照「う…うん」タッ

照「(この人の手、体に見合わず割と大きい。すごく安心する?)」


駄菓子屋

洋榎「ふぅー何はともあれ到着やなー」

照「」スタスタ ウィーン イラッシャイマセー

洋榎「」ガシッ

照「…何?」

洋榎「せめて一言うちに言う事あるやろ?」

照「駄菓子屋さんは目の前。でもおかしをかってそのおかしを口にいれ紙くずをゴミ箱に捨てるまでがおかしを食べること。最後まで油断はできない。」

洋榎「色々世話焼いてもろうたり、助けてもろうたときは何て言うんや?」

照「し、知らない。それより早くおかしを…」

洋榎「最近の小学生はよっぽど廃れてるーっちゅうけどな、この一言が言えないような奴は幼稚園生以下やなー?さては恥ずかしくて言えんのやろ?」

照「!ち、違う それくらい私にだって言える。」

洋榎「ほな言うてみ?照れ隠しもごまかしもせずうちに面と向かって言えるかー?」ニヤニヤ

照「う…うぅぅぅ…… あ…あり…ありが… thanks」

洋榎「何で最後で英語になるねん!ええ線いっとったやないか!」

照「今のグローバルな時代に英語は必須。だから私は英語で真剣に…」

洋榎「ほら、そういう照れ隠しもなしや」

照「ッ!///」

洋榎「な?たった5文字やで?」

照「…が あ…ありが…と」

洋榎「な?簡単やったやろ?困ってる人を見付けたら助ける。助けられたら『ありがとう』、うちらは『おおきに』やけどな!これだけでぜーんぶ上手くいくように世の中できてんで!」ドヤッ

照「う…うん///」

照「(初めてだった。人に面と向かってきちんと『ありがとう』なんて言ったのは。私少し走りすぎたのかな。体がいつもよりずっと熱い)」ドキドキ

洋榎「おっしゃ!ほな菓子買いにいこかー?そのなんやったっけ?青りんごやったっけ?ともかくはよ買おうでー」ニコー

照「青りんごではなく青りんご餅、共親が誇るおかし界屈指のおかし」

洋榎「あーあー細かいことはええねんーはよお店はいるでー?」ギュッ

照「あっ…うん」ドキ


―会場近くのホテル

洋榎「あーなるほどなー青りんごてあの菓子の事やったんやなー。実物見るまでまるで思い出せんかったわ」

照「おかしを食べるもの或いは人類という存在であるならば知っていなければならない存在。それを忘れているなんてあなたはおかしの何たるかを分かっていない。」

洋榎「……洋榎や」

照「え?」

洋榎「あなたやなくて洋榎。うちの名前や。ほらちゃんと名前で呼んでみ?」

照「ヒ///ひろ…ひろえ///」

洋榎「せやせやそれがうちの名前や!次から呼ぶときはちゃんとその名前で呼び?」

照「うぅぅ…」

洋榎「ほなまたな、照!」

照「!」

照「あっあの!」

洋榎「ん?どないしたー?何か忘れ物かー?」

照「」カキカキ パッ

洋榎「これ…」

照「私の連絡先、今日のお返しをしたい。」

洋榎「何やー、素直に『うちに惚れましたー』言うたらええやんー?」

照「ち、ちがっ!そういう訳ではなく。このままあな…ひろえを帰したら恩が売られたままになる。だ、だからそのお返しをしたくて」

洋榎「何や可愛らしいところあるやないかー」

照「だ、だからっ!」

洋榎「」カキカキ スッ

照「! これ」

洋榎「うちの連絡先や!いつでも連絡待っとるで!ほなな!『照』!」タッタッタッ

照「(どうしてこんなに胸がドキドキしているんだろう。)」

照「(あの人はつい先日私達が倒した高校生の内の一人。妙な不良に絡まれて、そこを助けられて、おかしを食べて、『ありがとう』ってお礼を言って、連絡先を交換しただけのはずなのに)」

照「(いつまでも頭の中であの人の…洋榎の声が鳴り響く。洋榎の姿が脳裏に浮かぶ。)」

照「(これが…『恋』というものなの?)」

照「(洋榎…私は、あなたのことを………)」


―あれは、いつの事だっただろうか。私が麻雀とおかし以外に興味を示さなくなったのは

照中学生

照母「いちいちこんな試合で無様に負けててあなたは恥ずかしくないの?」

照「だ、だけど相手もなかなか強くて…」グスッ

照母「うるさいっ!口答えするんじゃない!あなたはこれから最強の雀士としてエリートロードを歩んでいくの。」

照母「それがこんな県予選のそれも全く無名の相手に箱下になるなんて。元プロの私の顔にどれだけ泥を塗れば気が済むのっ!」バシッ!

照「ッ!い…痛いっ…」

照母「いい?あなたはプロの雀士として活躍しそこで初めて理解するの『ああ、今まで厳しかったけど私をここまで育ててくれてありがとうお母さん』ってね。それがこんな低いレベルじゃこちらも迷惑なの!」

照「ッ!」キッ!!

照母「何?その顔は?私が悪いとでも言いたそうな目ね。でもね結局正論や綺麗事を並べても最終的に残るのは『勝つか負けるか』ただそれだけよ。今からでも遅くはないわ。弱くても自分を理解してもらえる『甘えた気持ち』なんていうものは今のうちに捨ててしまいなさい!」バタン

照「………」

照「私が叩かれるのは私が弱いから?」

照「見た事もない強い人たちと対面してもそこで勝たなければ全て私のせい?」

照「悪いのは…わたし?」

―今、思えばこのやりとりがきっかけになったと思う。それまで私は「どんなに弱くてもいずれ分かってくれる人はいる」という『甘え』の感情を抱いていた。
しかし負ければ母に叩かれ怒鳴られその日のご飯を食べる事も出来なかった。

―ずっと張りつめてきたものが『プツッ』という音と共に崩れ落ちていく感覚だった。
ほら、たった一つ感情を捨てるだけで私の周りの環境は良くなっていく。
牌は自然と私の元に集まってきてくれる、部活どころか全国でも私は負ける事が無くなった。母の態度が手の平を返したように優しくなった。叩かれる事も怒鳴られる事もご飯が食べられないことも無くなった。
高校に入っても誰にも負けることなくあっという間にインハイ3連覇を成し遂げた。

―それでも、日々ストレスだけは私に蓄積していく。私にはそれを発散させる方法が見当たらなかった。『おかし』というものと出会うまでは
小さな飴玉だったと思う
どれだけ表面を繕い人形のような存在となった私もそれを頬張ると自然と笑みがこぼれ体が軽くなっていった。

―だから……間違えても私自身とおかし以外に『甘え』なんていう醜いものを晒してはいけない。
そうだよね?…それが正しいってこの世界の真実だって……
そう言ってよ……
ひろえ………

数日後 白糸台高校麻雀部部室

照「」ボーッ

菫「おい、誰か照について知らないか?」

淡「インハイ帰った後からずーっとあの調子ですもんね。麻雀の時はいつも通りキリッとするんですけど、その時もどこか集中力が欠けているというか…」

淡「あれは…『恋』だねっ!」アワアワ

菫「なっ!?」

淡「スミレ知らないのー?恋だよ恋。お互いがお互いを好き合って愛し合うようになるっ」キラーン

菫「い、いちいち説明しなくていい!それくらい言われなくても分かる!」

淡「じゃぁ恋煩いってしってるー?」アワアワ

菫「こい…わずらい?」

淡「なんだーやっぱりスミレも恋したことないんじゃんー」

菫「ばっ…ばかいえ!あれだろ?こいわづらいというのは…」

淡「発音できてないし」

菫「うっ…た、確かに私自身そういう経験はまだ…ない。だが今後いくらでもそんな経験はできるだろう!?今は照の話の途中だ」

淡「結局してないんだねー。それにスミレって奥手そうだから自分から進めないとあっという間にアラサー突入だよ?」アワアワ

菫「お前は先輩を敬う気持ちとかないのか」ハァー

淡「はいっ!そんなの考えたこともありませーんっ」アワアワ

菫「偉そうに言っているがそういうお前はしたことあるのか?その…こ、恋というものを」

淡「ないよー?だって私に見合う素敵な白馬の王子様は未だ現れていないもんっ」

菫「は?」

淡「いつかきっと私の目の前に現れるんだー『お待たせしたね美しき姫』とか言ってさー!!?」アワアワアワアワ

淡「だから私自身が恋する必要も恋煩いする必要もないんだよっ!その時が来るまで待ち続ければいいわけデスヨー?」アワアワ

菫「…お前に相談した私が間違っていた。」ハァー

携帯電話「プルルルルル!プルルルルル!」

一同「!?」

菫「照の携帯からだ」

照「(誰?知らない番号)」ピッ

照「はい、もしもし?」

洋榎《もうおっそいなー。こっちはぎょうさん待ってんでー。いつしてくれるんやー?東京見物》

照「ひっ…ひろえ!?」

菫&淡「!」

照「ご、ごめん。中々連絡できなくて」

洋榎《はっはーん…さてはうちのことばっか考えとってろくに連絡もできんかったんやろ?せやろー?》

照「そ!そんなことないっ!」

一同「」ジー

照「ご、ごめん。少し場所を変える」

菫&淡「照、(テル)が怒鳴った…」

菫「あいつが怒鳴るのなんて生涯初めてじゃないか?少なくとも私は今のが初めてだ」

淡「私も初めて聞いたなー テル基本的に感情の起伏があまり無い人だから」

淡「そのテルに怒鳴らせる人物…これはますます怪しいですなー」アワアワ

菫「なっ!?じゃぁあいつは…本当にこ、恋を」

淡「してますねー高校100年生淡ちゃんに間違いはありませんよー?」アワアワ


廊下


洋榎《な、何やごっつ声で怒鳴りおって。耳キーンってなったわ!》

照「あなたがTPOを無視した発言をするから当然の報い」

洋榎《で、で?いつしてくれるん?東京観光》ワクワク

照「あ、それは、その…」

洋榎《ははーん、さてはまだノープランなんやな?人に売られた恩を返すっちゅーから期待しといたけどこりゃ期待外れもええとこかなー?》ニヤニヤ

照「違う。私は今綿密な観光プランを練っている。私は全ての物事を考えてから行動するタイプの人間。」

洋榎《ほほー?ほな聞かせてぇや。その完璧な観光プランっちゅうやつ》

照「まず、駄菓子屋さんに行く。これはこの前行った所とは違ってその規模もおかしの数もまるで違う」

洋榎《照は菓子好きやなー》

照「次におかしやさんに行く。次の観光で行くおかしやさんは都内きってのおかしやさん。知る人ぞ知るおかしが陳列してある。かの有名な『タラタラしてんじゃねーよ』も置いてある数少ないおかしやさん。」

洋榎《うんうん…うん?》

照「今度は和菓子屋さんに行く。やはり日本人は和の心を持っている。お団子、おはぎ、饅頭、決して日本におけるおかしにおいて忘れてはならない存在」

洋榎《……………》

照「最後に洋菓子店……」

洋榎《だーっ!さっきから菓子の店ばっかやないか!!》

照「?」ボーゼン

洋榎《東京言うたらなんぼでも観光するとこあんねんやろ?こないだできたスカイツリーとか上野動物園とかいくらでもあるやん?それが何で菓子一つに凝縮されとんねん!うちは駄菓子屋の社会見学に行くんやないで!》

照「洋榎はまだおかしの何たるかをまるで心得てない。それを理解してもらわなければわざわざ東京に出向いてもらう意味がない」

洋榎《》ハーッ

洋榎《分かった。照の周りにも話せる奴はおるんやろ?そいつらに観光のパンフレットもろてき?》

照「ぱんふれっと?」

洋榎《せや、観光するんはここがええでっせーって書いてある雑誌みたいなもんや。今はインターネットとかにも無料で掲載してるのも少なくないしな》

洋榎《とにかくこの電話が終わったら弘世菫、他適任者に聞き込むなりして観光の情報を集めるんや》

洋榎《そこで興味があるところを『菓子以外』で見つけとくんやで?ええな?もっぺん言うけど『菓子以外』や》

照「本当はおかしがどういうものかをあなたに0から100まで知ってもらいたいのだけれど洋榎がそう言うなら菫に相談してみる」

洋榎《おう!行きたいとこが決まったらはよう連絡してなー?うちはいつでも連絡つくようにしとくから決まったら照れずに連絡するんやでー?》

照「!ま、またそういうことを…いつも洋榎は一言二言余計」

洋榎《ほななー》ピッ

照「おかしやさんと駄菓子屋さんはまるで違うのにきっとその辺りを洋榎は誤解している。とにかく一度菫に相談してみよう」


白糸台高校麻雀部部室


菫「帰ってきたようだな」

淡「ずいぶんと長い間話してましたねー」

照「」コトッ携帯を置く スタスタ

照「菫」

菫「ん?なんだ」

照「東京を観光するためのぱんふれっとなるものが欲しい」

菫&淡「!?」

菫「お、おい!?どういう事だ。照が東京を観光、だと!?」

淡「ほら、これは観光という名の『デート』だねっ」アワアワ

菫「早とちりするな!て、照一体どうしたんだ?リフレッシュか?ここ最近疲れてて気分転換をしたくて、でも一人じゃ不安だから私達と一緒に回ってくれ。そういう意味だろ!?」

照「この前お世話になった人がいる。一歩間違えれば私自身危なかった。その人に恩返しがしたくて観光のぱんふれっとが欲しい。一番の良識者は菫だと思う。だから相談している。」

菫「」

淡「お世話になった人だってー!!これはもう間違いない。『クロ』だねっ!」アワアワ

照「菫、どうして固まってるの?」

淡「現実を受け止められないんだよーきっと。あ、これ観光のパンフレットー。スミレは私が見ておくからきちんとデートプラン立てとくんだよっ?」アワアワ

照「デッ、デートなんかじゃなく私は純粋に恩返しがしたいだけ」

淡「(いつもの照なら無関心そうに『そう…』とか言って終わりそうなのにこれはますます怪しい)」

照「それじゃ、私は帰ってこの雑誌を見させてもらう。淡、後はよろしく。」ガラガラ

淡「ハーイ。まったねーテルー」

淡「おーい、スミレー、テルーもういっちゃったよー?」

菫「」

観光当日 東京スカイツリー駅


洋榎「はぁ…改めて来て思ったけど東京人おりすぎやろ…」

洋榎「照からここで待ち合わせっていうの聞いたときは嬉しすぎて全然考えとらんかったけどなんつう人込みや」

洋榎「それにさっきから妙にカップル連れが多いしな、何やここは、観光するための場所やで!デートスポットちゃうんやで!」キリ

洋榎「にしても照…まだ来ぇへんなぁ もしかして『おめかし』でもしてるんやろか!?」ハハ

洋榎「…ないない 百歩譲って香水振ってくるとかやろ。ネイルとかメイクとかファッションとかあいつはそういう柄やないからなあ」

洋榎「香水振ってくるだけでも奇跡っちゅうもんか!あの照がおめかししよって時間食うなーんてことは…」

照「あっ おはよう洋榎」

洋榎「!」

照「?どうしたの?やけに顔が赤い」

洋榎「い、いや…自分ほんまに照かいな?」

照「?おかしな人、私は正真正銘の宮永照。今日は愛宕洋榎を東京観光させるために待ち合わせていた。」

洋榎「せ、せやんな?双子の姉妹とかそんなんやないもんな!?(ま、間違いあらへんあの尖った角の様な髪、表面は凄くにこやかでも化けの皮1枚剥がしたらその先はOKASHIで埋め尽くされる。こんな人間のDNAなんか2つあってたまるかいな!)」

洋榎「(そ、その照が…なんでそんなごっつおめかししとんねん!?」

照「どうしたの?洋榎。なんだかおかしい」

洋榎「(おかしいのはお前のその服装やて!何やその浅〇真〇ちゃんや安〇美〇ちゃんがスケートん時に着用しとるようなスカートに透け透けのピンクのカーディガン羽織うて!足見えてんで!太もも丸見えやないか!)

洋榎「(それにサンダルやてシンプルなデザインやけどより縦にスラっとしとるから普段より身長高ぅ見えるし。あ、あし!それネイルか!!お前いつからキャバ嬢になったんや!しかもほんのりええ香りもするし、香水も振っとるんか!?)」

照「洋榎?」

洋榎「(あかん、ひとまず落ち着かな。これはあくまでこの前助けた、言うたら『お礼』をしてくれてんねん。うちにそんなやましい気持ちとかあったらあかん。」

洋榎「(けど…よう見たら照ってめっちゃスタイルええやん。顔立ちも整っとるし、何より普段とのギャップの差があまりにも激しすぎや)」

照「」ブンブン洋榎の前で手を振る

洋榎「!な、なんや!?」ドキ

照「こっちのセリフ。さっきから呼びかけてるのに何も反応しない。これは洋榎が悪い。」

洋榎「お、おう!せやなぁすまんすまん!今日食うたから揚げがあまりにうますぎてな!それの事思い出してボーッとしとったねん!」

照「そう?それじゃまずは手始めにスカイツリーに行こう」ニコ

洋榎「うっ!」

照「?」ニコ

洋榎「(突然の朗らかなスマイルやめーや!ちょっと今日の照は犯罪級やで…これはあることないこと口が滑るかもしれんな…」

洋榎「そ、そやな」

洋榎「せ、せや、1つ言い忘れとったけど」

照「どうしたの?」ニコ

洋榎「きっ…今日の照…か、可愛ええな!」

照「!」ドキーン

洋榎「(ほら…そんな顔するから早速口がすべってもうた… 新幹線まではいかんでも特急位の速さで口が滑ってもうたやん」

照「そ…その…///」

洋榎「///」

照「ぁ…ありが…とぅ///」

洋榎「!」

洋榎「よ…よっしゃよっしゃ!はよスカイツリー見よで!!いつまでも駅前でだべっとっても観光にならへんわ!(あかん、ほんまに今日の照はあかん。うち変な気持ちになってまう)」

東京スカイツリー展望デッキ

洋榎「うわーぎょうさんビルがそびえたっとる!!」

洋榎「いやー夜はこれがライトアップするんやろ? 景色もええし相乗効果で気分MAXやわー!」

洋榎「あれ…照?」

照「」スミッコーブルブル

洋榎「どないしたん?景色が一望できんでー!?これ見んともったいないわ!通天閣も大概やけどこれまた最先端の技術って感じでええ感じやで!!」

照「そう…恐れるものなど何もない。ここは最先端の技術。落ちることなど万に1つもない。だから私は大丈夫。もし落ちたとしても今の私ならきっと空も飛べるはず…」フラァバタン!

洋榎「!お、おい照!!」


スカイツリー駅前 ベンチ

照「うっ…うーん こ、ここは…」

洋榎「おっ、目ぇ覚めたか?」

照「洋榎…」

洋榎「おっとまだ横になっとき?いきなりぶっ倒れるんやからな。そらびっくりしたでー。照は高所恐怖症やったんやな!はよう言うてもろたら良かったのになぁ」

照「高い所は怖くない。落ちた時の事を想像させられてしまうから無理やりに恐怖という感情を押し付けられる」

洋榎「それを”高所恐怖症”って世間一般的には言うとるんやで?」

照「そ…その」

洋榎「ん?どないした?」

照「ご…ごめんなさい」

洋榎「どうしたん?いきなり?」

照「私は高所恐怖症ではないけれど、あの場で倒れてしまって…折角の観光が…」

洋榎「何やそないなことやったら全然心配いらんで?さっき照の寝顔存分に撮らしてもろうたからな」

照「なっ!すぐにデータを処理して」

洋榎「ええでー?携帯の方はバックアップも取ったしPCのメールに送ったからどないしても完全に消し去ることはでけんからなー?」ニヤ

照「洋榎のいじわる…」ボソ

洋榎「んー?何か言うたかー?」

照「な、なんでもない それより次の観光場所へと向かおう」

洋榎「もう大丈夫なんかー?あんまりトばすと後々もたへんでー?」

照「予定時間より30分も遅れている。これは私の責任。私には今日1日洋榎を案内するという責任がある。ここでゆっくりと時間を浪費している場合ではない」

洋榎「忙しいお姫様やな。ほな次行こかー」

晴海埠頭公園


洋榎「いやーぎょうさん回った回ったー。流石のうちでもこれだけ回ると足が棒のようになるわー」

照「洋榎はすごくはしゃいでいた。だからその分疲れも増したのだと思う。」

洋榎「わざわざ東京くんだりまで出向いて綺麗な姫さんに案内してもろうて。はしゃがんと逆に罰当たるわ!」

照「ふふ。でも洋榎すごく楽しそうだった。」

洋榎「うちはぎょうさん楽しかったでー。ホンマこんなツアーやってもらえるんやったら何回でもしてもらいたいわー。それに…照も楽しそうやったしな」

照「え?私?」

洋榎「せや!さっきみたいになんべんも笑うてたしいつもの猫を被ってる感じが全然無かった。素のままの『宮永照』が出とった気したわ」

照「素のままの…私」

洋榎「インハイ後すぐ会うたときはほんまに『ヒト』やない思ったけどな」

照「それを本人の前で言うのは失礼」

洋榎「アハハ。けどなうちは猫被っとる照より今の照が何倍も好きやな」

照「!」ドッキン

照「(そういう言葉を平然と言うのは…卑怯)」

洋榎「なるべくその猫被りは他人にもしてほしいないねんけど、うちとおるときだけは『ありのままの宮永照』でおってな?」ニコー

照「」ドキドキ

照「(今なら渡せる…かも)」

照「あ、あの! 洋榎…」

洋榎「ん?どないした?」

照「実は…受け取って欲しいものがあって」

洋榎「なんやなんやー?エンゲージリングかー?」

照「!そ、それは話が飛躍的すぎる///」

洋榎「ジョークやジョーク。それで渡したいものってなんや?」

照「これ…なんだけど…受け取ってもらえる…かな?」

洋榎「なんやそれ。保冷剤も入っとるんか、ぎょうさん包んどるなー?」

照「気に入るかどうか…わからないけど…あ、開けてみて?」

洋榎「ほな遠慮なく……… うわうわぁ!なんやこれ!めっちゃおいしそうなシュークリームやん!どこで買うてきたん!これ!?」

照「い、一応手作り…で」

洋榎「えー!!??これ照が自分で作ったんかいな?ホンマに!?」

照「う、うん一応機材とかは家に揃っててレシピと材料さえあればすぐにできるんだけど」

洋榎「すごい!すごいやんけ照ぅぅ!!菓子好きは伊達やなかったってことやなぁ!なぁなぁこれ今食べてええ?」

照「ど、どうぞ…ちょっと味付けに不安があるけd―」

洋榎「うおおおおおおおおおおおおおおお 今まで食うたシュークリーム、いやどんな菓子よりも美味いわああああああ。ほ、ほっぺ!ほっぺが落ちてまうでえええええ」

照「そ、そう。喜んでもらえてよかった」

洋榎「今日はたくさん観光させてもらうし最後は一番美味いシュークリーム食わせてもらうしここの夜景も綺麗やし!生きててホンマよかったわあああああ」

照「ふふ…!あ、洋榎 ちょっと待って」

洋榎「?」

照「」スッ指で拭取り

照「ほっぺにクリームついてた」

洋榎「お、おおすまんなぁ うちばっかりはしゃいでそんなものにも気付かんで…いやー浮かれすぎやなうち! あ、ティッシュあるからこれで…」

照「」ペロッ

洋榎「!」ドキン

照「折角のクリームが台無し。うん、洋榎の言う通り味は悪くない。」

洋榎「」ドックンドックン

洋榎「(あ、あかん今日の照はやっぱりあかんわ…きっと変な妖怪に憑りつかれたんやなうち。こうなったら口が滑ろうが理性が飛ぼうが全部妖怪のせいってことにしとこ)」

洋榎「て、照」ガシッ両肩を抱いて真正面を向かせる

照「!」ドキーン

洋榎「目、瞑ってな//」

照「(こ、これってもしかしてき…キス!? だけど私が他人に甘えるなんて………でもこの目の前にいる人なら…洋榎なら)」スッ

洋榎「」ドックンドックン

照「」ドックンドックン


警官「こら!そこの2人組!何をしている!!」

洋榎&照「!?」ビクン

少年1「いやー花火っすよー花火、夜空に打ち上げるんすよー」

少年2「カップルでいちゃつくリア充どもの幸せを一瞬でもぶち壊してやろうと思いましてねー」

警官「ここは原則火気使用禁止だ!詳しくはそこの交番で伺おう」

エーッイヤッスヨー チョットデキゴゴロデヤロウトシタダケジャナイッスカー イイカラコッチニコイ!

洋榎&照「……」

洋榎「あ、あはは!うちらのことや無かったみたいやな」

照「…しないの?」

洋榎「へ?」

照「続き、しないの?」

洋榎「そ、それは何というか、今ので雰囲気が台無しというか」

照「じゃぁもう一度その雰囲気を作ろう。そしたら続きは、するの?」

洋榎「!」

洋榎「(あ、アカンこれ以上進んだらうちもあそこの交番にお世話になってまう。今の照見てるともうなにしてもおかしぃない。)」

照「洋榎」

洋榎「ご、ごめん!うち!もうバスに乗らんと大阪帰れへん!連絡はいつでもしてええからまた観光しよな!!急やけど今日はここでお暇させてもらうわ!!ほなな!」スタタタタタッ

照「…行っちゃった」

照「(初めてあんな気持ちを抱いた。心も体も他人に捧げてもいいと本気で思ってしまった。)」

照「(洋榎…あなたは私の事をどう思っているの?)」

バス

洋榎「」ハァー

洋榎「」スッ着信件数0件、問い合わせ結果0件、新着メッセージはありません

洋榎「」ハァー

洋榎「うちなにやってんやろさっきから携帯ばっかりいじって」

照「(そしたら続きは、するの?)」

洋榎「ッ!」ドキドキ

洋榎「一番やったらあかんことしてもうた。結局照には何も言わへんかったしあのまま続きをする根性もうちにはなかった。」プルプル

洋榎「あ、あれ、おかしいな、麻雀の試合でもこんなに震えた事はないんやけどな。なんでやろ」プルプル

洋榎「と、とにかくいったん帰って照に連絡してみよ!色々考えるんはそれからやな!」

洋榎「…照」


姫松高校麻雀部部室

洋榎「」ハァー

恭子「主将これで3日目ですよ、どないしたんやろ?」

恭子「絹ちゃん何か知らん?」

絹恵「うちも大概お姉ちゃんの事は知ってるつもりですけどあんな風に黄昏てるんは初めてうちに彼氏ができたときくらいしか知りませんわ」

由子「きっとあれは『恋煩い』というゆうやつなのよー」

恭子「なっ!?ほな主将が誰かに恋しとるっちゅうんか!?」

由子「それも見る限り『ゾッコン』なのよー」

恭子「あの主将をあそこまで物思いにふけさせる相手…うーん、正直あんまり該当者が見当たらんなぁ」

絹恵「男勝りに腕っぷしもありますしね、余程の人やないとお姉ちゃんは多分惚れんと思います。」

漫「主将は麻雀も関西屈指の腕前ですしね。相当の実力を持つ人間やないと負ける事とかは考えられませんし…」

恭子「あの主将を…雀力で負かす絶対的な力の持ち主…か」

一同「」ウーン

一同「……」

一同「あっ」


洋榎「(はぁ…あの後結局照と連絡取れてへんな)」

洋榎「(観光帰りはぎょうさん疲れてて家返ったら泥の様に寝たしその後も麻雀部の後輩の面倒見や地元の人達に大会お疲れ様でしたーゆうて祝賀会もぎょうさんやってもろたしな)」

洋榎「(でも、そんなんはうちの言い訳で連絡しよう思たらいつでも時間は取れた。ほんと何でこんなに憶病なんやろな、うち)」ハァー

洋榎「(ガキの頃から腕っぷしは自信あったし麻雀でも誰にも負けないくらい強なったつもりや、せやけど何で、何で照の事になると一歩踏み出せんねん!)」

洋榎「(照…)」

放課後 姫松高校

?「主将!」

洋榎「ん?何や恭子」

恭子「あ、あの今日この後時間とか空いてます?」

洋榎「せやな最近忙しかったけど今日は何もあらへんし空いとるで?」

恭子「ほ、ほな!この後ちょっとうちと買い物付き合うてくれませんか!?」

洋榎「ええで!ちょっとうちも気分が沈んどったしな!行こか!」

恭子「はっ、はぃ!」パァ


東京 宮永宅
照「洋榎…あの後何も連絡がない。また、前みたいに突然電話とかしてくるのかな」

照「(けれどあの日、何か洋榎がいつもと違う感じだった。少し慌てていた感じ?)」

照「やはり、洋榎の事が心配。ここは電話越しよりも直接会って確かめた方が早い」

照「そうとなれば『思い立ったが吉日』、『善は急げ』早速支度して大阪に行こう」

照「そう言われればこの前部の皆にクッキーを作った余りがまだあったはず」ゴソゴソ

照「よし、これを包んでと」キュッ

照「洋榎…今、会いにいくから」タッ


大阪デパート前

洋榎「恭子ぉ、なんぼ買い物言うたて限度っちゅーもんがあるでー?」

恭子「そうですかー?でも主将やったら力もうちよりあるしこれくらい楽勝なんとちゃいますかー?」ニヤ

洋榎「く、くそ…はめられてもうた。買い物という名のただの荷物持ちやったんやな?」

恭子「そんな訳ないですやんー。主将もいくらか買い物してましたやん」

洋榎「せ、せやけどいくらなんでもこの量は多すぎやろ!こない多かったら店で宅配サービスか何か使うた方がええやろ!」

恭子「そんなお金もったいのうて使いとうないですー。せやから今日は主将を誘ったんですよー?」ニヤニヤ

洋榎「あっ!今認めた!うちのこと荷物持ちって認めおったで!」

恭子「あそこのベンチで一休憩していきましよう?ジュース驕りますー」

洋榎「全く、ずるいんか、気前がええんか分からんやっちゃな」


洋榎「ぷはーっ!この一杯の為に生きとるわ!!」

恭子「主将、おっさんくさいですよ?」

洋榎「やっぱりサ〇トリーが誇る130周年の伝統の味やでえ!」

恭子「調子ええんですからー」クス

恭子「……」

恭子「主将」

洋榎「ん?どないした?」

恭子「ここ最近ずっと考え事してますよね?何かあったんとちゃいますか?」

洋榎「な、何突拍子もないこと言うとんねん!うちはいつもどーり元気やで?せやなかったらこんなぎょうさん荷物抱えれへんしな!」

恭子「絹ちゃんが言うてましたよ?『毎日米3合は平らげるお姉ちゃんがここ数日まるで食欲がないって』」

洋榎「き、絹ぅ 余計な事を」プルプル

恭子「やっぱり、頭抱えるような何かがあるっちゅう事ですね?」

洋榎「うちやっぱりおかしいなったんかな?今まで怖いもの知らずで我が道を行くっていうのがうちのアイデンティティやった。」

恭子「…」

洋榎「せやけど、あいつに会うてからは何ていうか頭が真っ白になんねん。手は震えっぱなしやし意識せんでも勝手にそいつの姿が頭に浮かぶねん…」

洋榎「何でうちこんな弱なってしもうたんやろ?今まで負け知らずやったのになぁ」ハハ

恭子「―宮永 照ですか?」

洋榎「えっ?」

恭子「今主将を悩ませてる最大のタネはその人物なんとちゃいます?」

洋榎「そ、そないなことあらへん」

恭子「ええんです。隠さんでも 姫松のレギュラーの子達は皆知ってますよ」

洋榎「うっ、そ そうなんんか」

恭子「で、どうなんですか?」

洋榎「どうって、何がや?」

恭子「好きなんですか?宮永照の事が」

洋榎「なっ!?」

洋榎「そ、そんな訳あらへんやんか! あいつは無口でどことなく口調が偉そうで年がら年中菓子のことしか頭にのうて!高所恐怖症でいっつも猫被っとって無愛想で!なんで、なんでうちがそんな奴を好きにならなあかんねん!?」

恭子「そうですか…今主将が沈んどるのはうちらの杞憂やったってことですか?」

洋榎「…えっ?」

恭子「それだけ聞けたらもう何も問題はありません」

洋榎「恭子…何言うて…」


恭子「―好きです、主将 うちと…付き合うてください―」

洋榎「は!?」

恭子「聞えませんでしたか?やっぱりそこら辺は疎そうですね」

恭子「もう少し噛み砕いて言いましょか?うちは『末原京子』は、今主将に『愛宕洋榎』に向こうて告白してんですよ。返事を…聞かせてください」

洋榎「い、いやいやいや!!全然意味が分からん!何で今の会話の流れから恭子がうちに告白しとんねん!?」

恭子「冗談や思うてますね?」フフ

恭子「主将はそっちの方は奥手そうですからね、こないなこともあいつとはできへんかったんとちゃいますか?」スッ

洋榎「んっ!?…はっ!?…むっ…」

恭子「ん…ぷはっ」

洋榎「きょ…恭子、今…うちに」

恭子「はい、しましたよ?『キス』 宮永照とはこないなこともできへんかったんでしょ?せやけどうちは違う。気持ちを伝えそびれることもないし行動にも移せる。せやから…主将の気持ち聞かせてください」

洋榎「い、いい加減にしぃや!!こういうのってお互いの気持ちが大事やろ!?なんで恭子が一方的に迫ってきとんねん!こ…こないなことになるんやったら…あいつに…」

恭子「『宮永照に気持ちを伝えといたほうがマシやった』ですか?でも、主将残念ながらもう…遅いですよ?」チョィチョィ指を指す

洋榎「な、何言うとんねん!今日の恭子おかしいで!?せやから一旦頭…ひや…し………」

照「…………………」ドサッ持ってきたお菓子を落とす

洋榎「――――――!!!!!! て…て…る?」

洋榎「な、なんで…こないなとこ…おる…ねん」

照「―そう…それがあなたの出した答え」

照「……さようなら」スッ

洋榎「ちょ、ちょぉ待ちぃや!?い、今のは誤解や! 照やてこの前の事が話したくてこっちにわざわざ来てくれたんやろ?せやろ?」

照「…やっぱり私とあなたは他人…それがよく分かった。こんな感情を抱くことはやはり間違っていた」

洋榎「な…なにぶつくさ言うとんねん!とにかくうちと一旦腰据えて話しよや!?な?な!?」

照「人は他人に甘えてはいけない。それを再確認させてもらえた」

洋榎「!?」

照「…さようなら、洋榎」

洋榎「(な、何が起こってんねん。いきなり恭子に告白されて、キスされて、それを照に見られて?…急すぎて頭がついていかへん)」フラッ

洋榎「(あ…れ? 視界が滲む… 最近あんまり寝れへんかったからやろか?うち、病弱じゃないはずやねんけどな)」ドサッ


大阪 愛宕宅

洋榎「!」ガバッ

洋榎「(うっ…まだ頭が痛む…」ズキ

洋榎「(昨日の出来事がまだ夢の様に感じる)」

洋榎「(恭子はあの後うちが倒れた言うて荷物ほっぽり出して家まで連れてきてくれた…絹から『あの時は自分でも魔が差したんです』って恭子が言うてたって聞いたけど当分は距離置きたいな…」

洋榎「(ハァ…アカン…今は なんも考えとうない)」ゴロ

恭子「(好きなんですか?宮永照の事が)」

照「(…さようなら、洋榎)」

洋榎「う…ちは 照の事が…」


東京 白糸台高校麻雀部
照「ツモ 8000オール」ドゴッ

淡「あひゃーもうエンジン全開ー?おかげであたしマイナスになっちゃったよ」

菫「私と誠子はトビだ」ジャラ

誠子「ほんと、遠慮って言葉を知らないんですねこの人」アセ

照「…少し休憩してくる」ガララ

菫&淡&誠子&尭深「…」

淡「テルーどうしちゃったんだろ。大阪いくーって張り切って言ってたのに 帰ってきたテル、何だか別人みたい…」

菫「大阪で何かあったのだろう。そう考えるのが自然だな」

淡「わたしっ!直接テルーに聞いてくるよ」アワッ

菫「…待て 今回は、私が行こう」

淡「でも、私もテルの事ほっとけないし!」

菫「分かった分かった。気持ちだけ受け取っておくよ。ただ…今回の件は私自身がきちんと話をしておきたいと思ってな」

菫「どうしても放っておけなくてな。すまない」

淡「ムー何だかスミレが話す方向で決まってるし…今度ジュースおごってよね」

菫「分かった分かった。きちんと買ってやるさ」

淡「ほんと!?それじゃよろしくねスミレ」

菫「あぁ」スタスタ

屋上

照「…やはり母の言った通りになってしまった。人は他人に決して甘えてなどいけない。あの人の言う事する事全てにおいて苛立ちを隠せないが、不思議とその言葉通りに世界が動いていく」

照「麻雀で勝ち始めたときもそう。皆私の強さを疑って詰め寄るが結局『勝つか、負けるか』その結論に収束する。あの人の言っている事は正しい」

照「…けど、どうしてこんなに胸が苦しいんだろう…」ツー

どうして私は涙を流しているのだろう。ずっと、ずっと前にこんな不要な感情は捨てたはずなのに どうしてこんな気持ちがまた湧き返っているのだろう

照「私は…」

バタン

照「!」

菫「随分と物寂しい休憩だな」

照「…あなたには関係ない。今はただ麻雀を打ちすぎて頭が疲れているだけ」

菫「どうしたんだ?大阪から帰ってきて様子が変だぞ?…何かあったんじゃないか?」

照「何もない そんな話をわざわざしにきたのなら私はここに用はない。部室に戻る」スタスタ

菫「」パシッ

照「ッ!」

菫「愛宕…洋榎のことだろう?」

照「!……同じ事を2回言うのは嫌い。あなたには関係ない」

菫「確かに私にとってお前は他人だし、お前の中で起きた出来事も私にとっては何の関係もない」

照「…」

菫「ただ、あいつならお前を救ってくれると思ってな。それでどうしても気になっていた。」

照「私を…救う?おかしな話。私は現に困ってなどいないしこれから先もきっと困ることなんてない。それなのに…」

菫「…私達の前ではありのままのお前を出してはくれないんだな」

照「!」

菫「3年間ずっとお前と一緒に部活を続けてきたが、結局最後の最後までおまえが私達に本当の自分を見せてくれたことはなかった」

照「……」

菫「けどあいつなら…愛宕洋榎ならきっとお前を救ってくれる、そんな救世主になると私は思っている。」

菫「今すぐにとは言わない…ただその様子からしてお前も大阪であいつの話を聞かずにそのまま帰ってきたんだろう?」

照「……」

菫「話を聞いてからでも遅くはない。私はそう思うがな」

菫「……私だって恋愛に関して経験は皆無だ。どんな気持ちになってどんな風に振る舞えば良いのかなんてことは分からない。さっき私がくっちゃべったことを信じる信じないのもお前の自由さ」

菫「ただ…もう答えは出ていると思うがな?」

照「……」

菫「時間を取らせてすまなかった。私は先に部室に戻るが」

照「…今日は、風通しが良いから。もう少し、風に当たってくる」

菫「そうか…あまり長居はするなよ?」バタン

照「(―もう、答えは出ている―か。)」

大阪 愛宕宅

洋榎「(うぅ…初めてや、仮病なんて使うて学校休んだんは…)」

洋榎「(皆、心配しとるんやろなぁ せやけど…とても学校なんか行かれへんわ)」ボフ

洋榎「(何してんねやろ、うち)」

ピンポーン

洋榎「(誰やろ?こないな時間に…って、今ちょうど家に誰もおらんかった 出てくのしんどいけど出ない訳にもあかんしな…」

洋榎「はーい、どちら…さん」

恭子「お元気…ですか? 主将」

洋榎「恭子…」

恭子「すんません…本当はうちの顔なんか見とうないんでしょうけど、どうしても謝りたくて!ホンマに…ホンマにすんません!!」

洋榎「あぁ、ええよーもうその話は いきなりでびっくりしたけど1日寝ればそんなもん記憶の彼方やしな!」

恭子「主将…」

洋榎「彼方言うてもな、結構飛んでんで!?少なくともかいおーせーかめーおーせーまでは吹っ飛んでんな!」

洋榎「やけん、恭子が気に病む必要はなーんもないでー?」ニコ

恭子「!」

恭子「あの…これ、使うてください!」

洋榎「これは…」

恭子「うちにできることはなんやろかってあれから一生懸命考えて…けどそれくらいしか思いつかんで 味は悪くないと思うんです!やから…良かったら食べてください!」

洋榎「……」

洋榎「せ、せやな うちもこれ食うて明日から学校行くわー 明日には元気に登校できると思うわー」ソワソワ

洋榎「お、おお…うまそうなクッキーやなあ ほ、ほらっ恭子も一緒に食べよでー」ソワソワ

恭子「ッ!…」

洋榎「ん?どないした?」

恭子「…かげんに」

洋榎「え?」

恭子「ええ加減にせえよ!このあほんだらかにあたまがああああ!!!」

洋榎「は!?」

恭子「いつまでもメソメソ自分が傷付くことばっかり考えて本当に大事な事からは目ぇ背けて!あんたはうちが慕うてる愛宕洋榎やない!ただの腰抜けの憶病ものやわあああ!!」

洋榎「おっ!おまえ!!いきなりキレてうち傷付けた張本人が何を偉そうに言うとんねん!!!」

恭子「確かにうちは主将のことを傷付けてしもうた!せやけどなあんたの宮永照に対する気持ちはその程度のものやったんかあ!!!」

洋榎「!」

恭子「文句があんならな…当たって粉々に砕けてからぐちぐち言いや!!この腰抜けおたんこなすがぁあああ!!!」

洋榎「さっきから…人が下手に出て聞いてたら、ええ気になりおってええ!!」ガバアッ 片手で胸倉をつかむ

恭子「!?」

洋榎「うちかてあいつの事が…宮永照の事が大好きなんや!!!好きで好きで!!朝も、昼も、夜も、飯んときも、風呂んときも、麻雀打ってる時も、あいつの事ばかり考えてしまうんやあ!!!」

洋榎「それが…お前が…恭子がいらんことするけん! 気持ち伝える前に勝手に玉砕してもうたやないかああああ!」バキッ

恭子「ぐ…はっ!」

洋榎「お前が…あんないらんことせんかったら…」

恭子「…へっ、そうやって他人のせいにするんかいな?」

洋榎「何やて!?」

恭子「所詮あんたの好きっていうのはちょっとしたトラブルが起こったら引っ込んでまう。ありんこよりもほっそーいうすっぺらな気持ちやったんやな」

洋榎「っ!」舌打ち

恭子「せやから気持ちも伝えずに自己解決だけで済ますなって…言うとるやろうがああああ!!」バキィ

洋榎「うっ!?…おっ…え」

恭子「いつまでもメソメソしちょるようなやつはうちの知ってる愛宕洋榎やない!!とっとと部屋戻って一生そこでおたんこなすやっとけやあ!!!」

洋榎「お前に…お前にうちの何が分かるっちゅうねえええええん!!!!」ドゴッ

恭子「分からん!!!なーんも分からへん!!!そうやって自分だけで解決して口に出さなんだら誰も分かるわけないやろがあああ!!」ドスッ

洋榎「うっさいわあ!!!全部台無しにした張本人が分かったような口聞くなやああ!」バキッ

恭子「自分だけで済ませんと真正面から向き合いやあ!!!!」ドスッ



洋榎&恭子「ハァ…ハァ…ハァ…」

恭子「少しは目ぇ覚めたかいな?ビビりちゃん」ハァハァ

洋榎「うっさいわこの小悪党が」ハァハァ

洋榎「…」

洋榎「……分からんねん」

恭子「え?」

洋榎「さっきはっきり気付いてもうたけどうち、照が…宮永照が大好きや」

恭子「そうかいな」

洋榎「あの妙に偉そうな態度も、恐らく死ぬまで菓子のことを考え続けとるやろうおめでたい頭も、何もかんもあいつの全部を欲しいって思ってる」

恭子「…」

洋榎「せやけど…もうどないしたらええか…分からんねん」ポロ

恭子「…」

恭子「洋榎」

洋榎「!」

恭子「うちが言いたい事はさっきから何も変わってへん。『今の自分の素直な気持ちを伝える』それだけや。」

洋榎「恭子…」

洋榎「せやけど…もう、どないしたらええか…うちには…」

恭子「……」

恭子「!(これや!)」

東京 白糸台高校麻雀部

菫「照、ちょっといいか?」

照「何?」

菫「お前にお客さんだ。向こうの空き部屋で待たせてやる。行ってやれ」

照「……(何となく嫌な予感はする…だけど) 分かった。行ってくる」タタッ


ガラガラ
照「……」

洋榎「待っとったで…照」クルッ

照「洋榎…」

照「どうしたの今日は?わざわざ東京くんだりまで出向いて。関西でのレベルの低さに飽き飽きして私達と打ちに来たの?」

洋榎「ちゃう」

照「そしたら何?もしかして後輩さんに私達のサインをねだられて遠路はるばるおつかいに来たの?」

洋榎「ちゃう」

照「じゃぁ用事もないのにフラフラ東京まで遊びに来たって訳?お金も無駄だしこちらとしてもいい迷惑」

洋榎「今日は…うちは逃げんで」

照「!」

洋榎「麻雀打ちにきたんともちゃう、サインなんかもらいに来た訳やない。今日は自分とお前に真正面から向かい合うためにここにおるんや」

照「……」

照「私はあなたと向かい合って話す事は何もない。部活が忙しいから…それじゃ」

洋榎「うちは…宮永照の事が、大好きや」

照「!」

照「……私がここから去ろうとしたからそんな言葉で私を繋ぎ止めようとしても無駄。私はあなたに話す事なんて何も…」

洋榎「洋榎や」

照「?」

洋榎「あなたやのうてうちには愛宕洋榎っちゅうちゃんとした名前がある。初めて会うた帰り。照も、そう呼んでくれたな?」

照「そんな昔の事…覚えているわけ…ない」

洋榎「あんときな?照はすっごい顔赤うしとったけど、うちも恥ずかった。けどそれ以上に嬉しゅうてたまらなんだ。こない綺麗な人が、うちのことを下の名前で呼んでくれてる言うてな」

照「…」

洋榎「今思えば変な出会いやったなー 照が不良に絡まれてうちがそれを助けて、なのに照は菓子のことしか頭にのうて…」

洋榎「あんときからもううちはあんたに、照にゾッコンやったわ」

照「…」

洋榎「そっから、東京観光して、メールとか電話とかでちょいちょい連絡取り合うて、自覚してなかったけどきっと心の奥底ではうちの中で答えは出てたと思う。」

洋榎「その後恭子とキスしてんの見られて、うちは自分が傷付くことだけ考えてこのまま何も無いまま終わるのがええ。そう思とった。」

洋榎「けど、やっぱり自分を偽ったまま生きていくって辛いやんか」

照「!」

洋榎「うちは照と出会うてその事がよう分かった。どれだけ気持ち押し隠そうとしても胸が苦しゅうて苦しゅうて張り裂けそうになっとった」

洋榎「せやから、うちは逃げも隠れもせずに自分の気持ちを『本当の自分を』伝えるで」

洋榎「うちは、愛宕洋榎は!宮永照の事が大好きや!愛してる!うちと付き合うてください!」

照「…………………」


照母「(甘えた気持ち』なんていうものは今のうちに捨ててしまいなさい!)」

菫「(ただ…もう答えは出てると思うがな?)」

(間違えても『甘え』なんていう醜いものを晒してはいけない)

私…は

洋榎「(目の前に困ってる人がおってその人を助ける。その行為に恨みとか敵とかそんな感情はいらんねん。それだけの話や)」

洋榎「(何やー、素直に『うちに惚れましたー』言うたらええやんー?)」

洋榎「な?簡単やったやろ?困ってる人を見付けたら助ける。助けられたら『ありがとう』、これだけでぜーんぶ上手くいくように世の中できてんで)!

あなたの…ことが


照「…か」

洋榎「え?」

照「ばか…本当にばかだよ、洋榎は」

洋榎「なっ!?」

照「こんな面倒な女に…面と向かって告白するなんて…本当に、ばか」

洋榎「好いてもうたもんはしゃーあないやん!もう伝えるしかあらへん」

照「私も、苦しかった」

洋榎「!」

照「昔、母親にずっと怒られていた。他人に自分の事を分かってもらえる『甘え』という感情を持っているとますます母親を怒らせていた」

照「だから私はあの日以来、その感情をお菓子以外に見せようとはしなくなった。見せてしまえばまたどこかで母を怒らせて痛い、辛い思いをすることになるから。」

照「だけど…私も気付いてしまった。この気持ちを無くしてしまうことは、叱られることよりも、怒鳴られることよりもずっとずっと苦しくて辛いことだったんだね」ツツー

洋榎「…」

照「もうずっとこのまま母の操り人形として生きていく、そんな風にずっとその扉を閉ざしていた。けれどもそんなに重たくて頑丈な扉でさえあなたはいとも簡単にこじ開けて私を迎えに来てくれたんだね」

洋榎「ああ…せやで」

照「私も…あなたの事が、愛宕洋榎が大好きです」ギュッ

洋榎「!照…うん」ギュッ

洋榎「(ありがとな…恭子)」


洋榎「なぁ?」

照「どうしたの?洋榎」

洋榎「うちは今日照と自分に対して真正面から向き合うためにここに来る言うたやんか?」

照「うん」

洋榎「せやったらまだ自分から逃げてることが一つあるねん」

照「何?」

洋榎「この前の続き…しよや?//」

照「!…うん///」

洋榎「照//」

照「洋榎//」


洋榎&照「愛してる」チュッ ――――――

洋榎「せやったせやった。うちな照に渡すものあるねん」

照「何かな?」

洋榎「」ガソゴソ

照「わぁ、可愛いらしい包装」

洋榎「良ければ受け取ってください//」

照「う、うん// それじゃ」

照「開けてみても、いいかな?」

洋榎「も、もちろん!あ、でもな気に入るかどうかわからんねん!せやから気に入らんかったらポイーしとってな!」

照「洋榎のプレゼント 要らないものなんて何一つない」ガサゴソ

照「あ、これは…」

洋榎「ど…どやろか ちょっと形は歪やねんけど」

照「クッキー?」

洋榎「ほら、前に照が大阪来た時にクッキー渡そうとしててくれたやんか?あれ一緒に食べ損ねたから一緒に食べたいな思うて//」

照「でも、あれは中々作るのが大変。レシピもそんなに出回っていない。どうやって…!まさか」

洋榎「せ…せや 恭子が拾うてくれとったからそれを食べて再現してみたんや///」

照「!」キューン

洋榎「菓子作るんは慣れてへんかったけど味は舌にちゃんと残っとった。忘れられへん味やった。せやから今日照に告白したらそのクッキー食べ合うて仲直りしようって」

照「(本当にこの人は…ありのままの私を見ていてくれてるんだ。もう…たまらないよ///)」

照「」ギュッ

洋榎「照?菓子食べへんのか」

照「うん、食べるよ。だけど今はおかしよりもずーっと甘えられるものを見付けたから」

照「だから…今は、今だけはいいよね?」ポロポロ

洋榎「照…せやな」ギュッ

照「大好き…大好き…洋榎 ずっと…これからもずっとあなたに甘え続けていい? 弱いままの私でいい? そのままの私でいてもいい?」ポロポロ

洋榎「今までよう頑張ったな…照 うちがずっとずーっとそばにおるで、約束や」ギュゥ

照「う…うぁ……うわぁぁぁぁああぁんん」ボロボロ ――――――――

エピローグ

洋榎「照ー準備ええかー?」

照「ま、待ってまだメイクが整っていない」

洋榎「実の親に会うっちゅうだけやんけー、なんでごっつ気合い入れなあかんねんー」

洋榎「高見盛が自分の顔叩く時より気合い入ってるんちゃうかー?」ニヤニヤ

照「あの人は根っからの頑固者。そう簡単に首を縦に振るとは思えない。」

洋榎「せやけどいくらなんでも塗りたくりすぎやろ」ボソ

照「何か言った?」ギロ

洋榎「なーんも言うてへんでー?」アセアセ

―これが私が選んだ未来 あの時の判断が正しかったか、間違っていたかそれはまさに神のみぞ知る、だろう。

洋榎「そろそろ行くでー!いざ出陣や!」

照「戦争に行くわけじゃないしその掛け声はどうかと思う」

―だけど一つだけ確かな事がある。あの時私が何もしなければ、ここにある今の幸せは決して掴めなかったものだ。

洋榎「いやいやこれから向かうはその名の通り戦場!YESかNOかで天国と地獄、まさに最終決戦って呼ぶのにふさわしいステージや」

照「その止まることを知らない口でお母さんと上手くコミュニケーションを取ってね」

洋榎「一言二言余計やなあー」

―だからどうかこれからも私と一緒に歩み続けていってください

洋榎「ま、そこが照の可愛いとこでもあんねんやけどなー?」ニヤニヤ

照「なっ!//一言二言多いのはあなたのほう」

洋榎「やっぱり照そうやってるとますます可愛ええわー」

照「も、もう//分かったから。 そろそろ行くよ?」

洋榎「照」スッ

照「あ//うん」ギュッ

洋榎「ほな行くでー?」

照「うん!」

―私の中にあったびくともしない硬くて冷たい扉 その心の扉を開いたのはあなたでした

カン!!

くさい

>>27 くささ全開で書いてみましたww

二度と速報にスレ立てんな

イスラム国の現状
こんな集団は滅びるべき
http://i.imgur.com/KasCWr7.gif

>>29 つい、勢いであげました!笑
>>30 読んでいただき感謝です

ひとまず完結です
感想レス待ってます!何でもいいのでばしばしレスしてみてください!

イスラム国の現状
こんな集団は滅びるべき
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http://x-ch.net/x/i/Jordan_Pilot_006.jpg
http://x-ch.net/x/i/Jordan_Pilot_025.jpg
http://x-ch.net/x/i/Jordan_Pilot_028.jpg
http://x-ch.net/x/i/Jordan_Pilot_078.jpg

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http://x-ch.net/x/i/Jordan_Pilot_028.jpg
http://x-ch.net/x/i/Jordan_Pilot_078.jpg
こんな集団が国な筈がない

終わったんなら依頼出さないと

おつ!

感想募集して荒らされるとは思わなかっただろう……

>>37 依頼出すとレス出来なくなると思ってたのでそのままにしてました!笑 依頼出しておきます
>>38 長い長文ご愛読感謝です!
>>39 やっぱり荒らしだったんですかね?笑 ちょっとびっくりしましたw

依頼出してもしばらくは処理されないから大丈夫

>>41 なるほどです ご説明ありがとうございます!

おもしろかったでーΣd(ゝω・)

>>43 ご愛読感謝です!! 一人でもそういった声を聞けただけで感激です!

なんで照が大将戦にいるかとかのつっこみが全く出てなくて笑った
京太郎スレじゃなくて良かったな京太郎スレだったら親の仇のように荒らされてたぞ

>>45 ご指摘ありがとうございます。その辺りを書かないとなーとも思ってました。でも長くなりすぎると思ったのでご都合で大将に据えましたww

掲示板だと一文が長いと読みにくくなるんで、もうちょい「」の中を短くした方がいいと思う
あと咲SSだと点数申告や役の矛盾は突っ込まれやすいので
特に麻雀シーンは投下前に何度か見なおすのをお勧めする(今回の場合だと親の役満で12000オール)

なんにせよ乙でした。また書いてね

>>47 ご指摘感謝です!
本当だ!16000オールでしたw
文の長さは他者様のスレを見ていても長いなーと思いながら投下してました笑

次書けるならその辺りも考慮したいです

イスラム国の現状
こんな野蛮なやつらは滅びるべき
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せっかくだから俺はこの心の扉を選ぶぜ!
珍しい組み合わせだったけど面白かったよ

>>50 長ーい文字の羅列読破ありです!
その2人が好きすぎて気が付くと書いていました笑
多少なりとも楽しんで頂けて感謝感謝です!!

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