前川みく「自分探しの旅に出るにゃ」 (22)


若林智香「自分探し?」

乙倉悠貴「きゅ、急にどうしたんですかっ」

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みく「この前、ついに待ちに待ったアニメが始まったよね?」

智香「私たちのアニメだよね。…と言っても私はまだ出てないんだけどね☆ てへ☆」

みく「みくの立場的に、それは笑っていいものか悩むにゃ…」

智香「そもそも今後出られるかわからないんだけどね☆」

悠貴「す、ストップですっ! きっと出られますよ…出られます、よね?」

みく「みくに聞かれても困るにゃ…まあとにかく、アニメを見てて思ったんだけど、ここの事務所ってアイドルが多いじゃない?」


智香「凛ちゃんも思わずこぼしてたよね」

みく「そして皆、もれなくキャラクターが濃いのにゃ!」

悠貴「確かにそうですね…元婦警さんとか元メイド喫茶のメイドさんとか…」

みく「ニートアイドルとか、180㎝オーバーの巨大アイドルとか…」

智香「似非ロックの人とか大食漢の人とかも中々強烈だよね!」

みく「言い方に悪意があるよ! それにかな子チャンは女の子だから大食漢はおかしいにゃ!」

智香「え? 私はかな子ちゃんとは一言も言ってないよ?」

みく「…うん、まあみくが言ってるのは三村さん家のかな子チャンじゃなくて、この前ネコカフェで見た猫の「カナコ」チャンのことだけどね?」


悠貴「は、話の流れ的に無理がありますよっ」

みく「とにかく、ここの事務所には個性あふれる可愛いアイドルがいっぱいいるよねってことなのにゃ! お菓子作りが趣味なキュートな子とか!」

智香(強引に話を流した…)

悠貴(そしてさり気なくフォローを入れてますね…)


智香「それで、その話がどうして自分探しに繋がるの?」

みく「ここまで聞いたらもうわかるでしょ? このユニークすぎるアイドル達に囲まれたら…」

みく「みくの個性が埋もれてしまっているのにゃ!」

智香「みくちゃんの個性が!?」

悠貴「埋もれているっ!?」

智香&悠貴「「ないないないないない!!」」


智香「ネコキャラだけでも十分なのに、委員長属性まで付いて!」

悠貴「これ以上何を望むんですかっ!」

みく「ふ、二人とも落ち着いて… 実はネコキャラなんてそんなに珍しいものじゃないよ。他作品でもよく見るし」

智香「他作品とか言い出したらキリがないよ…」

みく「それにみくは今のこのキャラに限界を感じているのにゃ。きっとみくには、自分にピッタリのキャラがあって、それにまだ出会えてないだけなんだよ」

悠貴「だから自分探し、ですか」


みく「そう! 日々の生活ではきっと気付けない…だから旅に出て、まだ見ぬ自分を探しに行くの。あと最近仕事多いから休みたい」

智香「最後に本音っぽいものが漏れてるよ!?」

みく「いや、休みたいってのは副産物みたいなもので、本当の理由は自分探しなのにゃ! 誤解しないでほしいにゃ!」

悠貴「旅って、どれくらいの期間なんですか?」

みく「まあ、1週間くらいかな?」

智香「1週間で自分って見つかるのかな?」

みく「細かいことは気にしないの! それ以上休むのは流石に無理みたい。ただでさえPチャンにめっちゃ渋られてるのにゃ」


悠貴「その1週間の間、みくさんのお仕事はどうするんですか?」

みく「ん~、Pチャンは智香チャンと悠貴チャンに代わりに入ってもらうようなことを言ってたよ」

智香「ええ! そんなこと急に言われたって…不安だにゃあ…」

悠貴「やる気マンマンじゃないですかっ!」

みく「とにかく今から出発だから、あとはよろしくお願いね!」

悠貴「い、今からですかっ!?」

みく「善は急げなのにゃ。1週間後、楽しみにしてるといいよ! じゃあねー」

バタン


悠貴「本当に行っちゃいましたね…」

智香「それにしても、私たちよりも仕事の多いみくちゃん…現状に満足せず、可能性を模索し続ける姿勢…見習う必要があるね」

悠貴「そっそうですねっ。私も今のままじゃ駄目だと思ってますっ」

智香「ようし…こうなったら私たちも、徹底的にキャラ作りしてみようよ!」

悠貴「きゃ、キャラ作りですか?」

智香「そう。私たちも今よりもっとお仕事が増えるように努力してみよう! そしてアニメに出よう!!」

悠貴「そ、そうですね…私も、自分に合うキャラというものを考えてみますっ」

智香「なんだかやる気が出てきたね☆ みくちゃんに負けないよう、私たちもがんばろー☆」

悠貴「おー!」



――そして1週間の月日が流れた


智香「フフ…タケノコ…きょ、今日も、可愛いな…」

悠貴「わかるわ」



ガチャ

みく「…やあ」

智香「み、みくちゃん…久しぶりだな…ちょ、ちょっと大人っぽくなった?」

みく「そういう君たちも随分と印象が変わったように見えるね。まあ、印象なんていうもは主観的なもので、客観性に欠けるけれど」


悠貴「それで、みくさん、自分探しの旅はどうだったのかしら?」

みく「自分探しか…僕はまだまだ青かったよ」

智香「…ど、どういうことだ?」

みく「結論から言おう。僕は今回の旅で自分を見つけることは出来なかった。ただ一つだけわかったことがある」

悠貴「なにかしら?」


みく「それはね、自分なんてこの世のどこを探しても見つからない、ということなんだ」

みく「ただね、じゃあこの旅が無駄なことだったかと言うと、そうではないんだ」

みく「それは努力をすることと、似ている。この世には、いくら努力をしても結果に結びつかないということが多々ある」

みく「しかしだからといって、それが努力をやめる理由にはならないんだ。努力を怠る者に成功は絶対に訪れない」

智香「タケノコー…今日もにょきにょきしてるな…」


みく「だからね、自分というものが本当にあるのか不明瞭だけど…それでも僕たちは自分が何者なのかと問い続けることをやめる訳にはいかないんだ」

みく「そのことがわかっただけでも今回の旅は実に有意義なものだったよ」

悠貴「難しいわ」

みく「…少し喋りすぎたね。コーヒーを貰えるかな。ミルクを少し入れてほしい」

悠貴「淹れるわ」


智香「み、みくちゃん…そ、そろそろ私たち、トーク番組の仕事の時間だったはずだぞ…」

みく「おっと、忘れていたよ。少し考え方が変わったからかな、仕事に対して緊張感を覚えるね」

智香「だ、大丈夫…きっとうまくいくぞ…」

みく「そうだね。緊張感もあるけど、また新しい自分に出会えるかと思うと、わくわくしてくるよ」

みく「それじゃ行こうか」

智香「う、うん…じゃあな、タケノコ…」

バタン

悠貴(…ツッコミ入れたい)


翌日、耐えきれなくなった悠貴ちゃんがキャラ作りを辞めて、二人もなんやかんやで元に戻った
トーク番組は大体カットされた

短いですが、以上です。
お読みいただきありがとうございます。

アニメのみくにゃん、闇堕ちしそう

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