狐娘「だ、誰じゃお前・・・!」(28)

~正月・山奥の寺~

男(年の初めに山奥の寺にお参り・・・)

男「ご利益があるといいなぁ・・・」パンパンッ!

男(今年は何かいいことがありますように)

ガラガラガラッ

男「んっ?」

男(え?戸が開いた?)

?「みかんみかん・・・」パタパタパタ

男「・・・・・・」ゴシゴシ

男(今走って行った子・・・頭に耳が生えてたような・・・)

男「・・・てか寺の中になんで炬燵とテレビが置かれてんだよ」

男(うわー・・・ご利益なさそう・・・)

?「うぅ~・・・さむさむ・・・」トタトタ

男「ん?」

?「あ・・・だ、誰じゃお前は!」

男「いや、誰じゃって言われても・・・」

男「あんたこそ誰だよ?この寺の人?」

?「あ、あぁ~・・・まぁこの寺の関係者といえば関係者じゃの?」

男「何で最後が疑問形・・・は、は・・・はくしっ!」

?「・・・ん?お前参拝客か?」

男「あ?まぁそうだけど」

?「ちなみに賽銭はいくらほど奮発したんじゃ?」

男「何でそんなことまで言わなきゃいけないんだよ」

?「言いたくなければいいんじゃよ?この長くて寒い山道をすぐに下るならの」

男「・・・」

?「ちょうど雪が降ってきたみたいじゃの」

男「というかそんなの賽銭箱を開ければいい話じゃないのか?」

?「寒くて出たくない。どうせ春まで開けないしの」

男(ただめんどくさいだけじゃねーか)

?「言いたくなければいいんじゃよ?この長くて寒い山道をすぐに下るならの」

男「・・・」

?「ちょうど雪が降ってきたみたいじゃの」

男「というかそんなの賽銭箱を開ければいい話じゃないのか?」

?「寒くて出たくない。どうせ春まで開けないしの」

男(ただめんどくさいだけじゃねーか)

男「・・・あったけぇ~」

?「一万円くらいは入れてもいいと思うんじゃがの」

男「学生には千円でも大金だ」

?「5千円くらいは入れてもいいと思うんじゃがの」

男「学生には背年でも大金だ」

?「2千円くらいは」

男「入れないぞ」

?「ちっ・・・信仰の薄いやつじゃ・・・」

男「てかあんたは何でここに住んでるんだ?ここの関係者かなんかなのか?」

?「ん?なぜ住んでるかじゃと?自分の家に住むことのどこがおかしいんじゃ?」

男「家?ここが?」

?「どう見ても民家じゃ」

男「普通の民家に賽銭箱が置いてあるかよ普通。どう見ても寺だろ」

?「あぁ・・・そういうことか」

男「?」

?「あの賽銭箱はただわしが置いておいただけじゃ」

男「・・・は?」

?「置きたいから置いておいただけじゃ」

男「・・・は?」

?「そうすると何も知らないやつが金をいれてくんじゃよ」

男「ここ・・・寺じゃないの?」

?「わしの家じゃ」

男「てめぇ!信仰がどうのとか偉そうなこと言いやがって!」グニィ

?「ひふぁふぁふぁ!?ふぉおおふへふは!」

男「千円返せこのやろー!」

?「何も知らんで勝手に金を入れたのはお前じゃろうが!それにここで休むことを考えれば千円くらい安いもんじゃろ!」

男「ぐ・・・」

?「どうする?この寒い山道を戻るか?雪と風がびゅーびゅーじゃぞ?寒いぞ?」

男「・・・」

?「ふひひ・・・返す言葉もないか」

男「・・・」

?「そういえばお前、名前はなんていうんじゃ?」

男「・・・男」

?「そうか男というのか。おい男、廊下の突き当たりにみかんがあるから持ってくるのじゃ」

男「なんでそうなるんだよ!仮にも俺は客だろ?!」

?「そんなのしらん。寒くて炬燵から出たくないのじゃ」

~廊下~

男「くあぁぁ・・・!さみぃ!」

ガラガラ

男「ほら!もってきたぞ!」

?「うむ、ご苦労」

男「うー・・・さむさむ!」モゾモゾ

?「ぎゃっ!足をさわるな!冷たい!」

男「うるせぇ!そのくらい我慢しろ!」

男「ところでお前の名前はなんていうんだよ」

?「わしか?わしは狐娘じゃ」モムモム

男「へー・・・」ジロジロ

狐娘「なんじゃ?」モムモム

男「お前って人間?それともただの痛いコスプレをしてるだけ?」

狐娘「こすぷれ?なんじゃそりゃ。まぁ人間ではないかの」モムモム

狐娘「どちらかというとわしは妖怪の類じゃの」モムモム

男「妖怪?このご時世に妖怪なんているわけないだろ」

狐娘「お前の目の前にいるじゃろ」モムモムゥ

男「・・・」

狐娘「普通の人間にこんな耳や尻尾が生えておるのか?」

男「・・・それ本物か?」

狐娘「もちろん本物じゃ。ほれ、手を使わなくてもこの通り」ピコピコ

男「・・・」サワサワ

狐娘「!?」

男「すげぇ・・・本物だこれ・・・」サワサワ

狐娘「さ、触りすぎじゃ!はなせ!」

男「あ、あぁ悪い・・・」

狐娘「ほれ、これでわかったじゃろ。わし人間ではないと」

男「んー・・・まだ完ぺきに信じてはないけど・・・おぼろげには」

狐娘「・・・ったく」

男「尻尾も触らせてくれたら完璧に信じられそうだが」

狐娘「却下じゃ!この不埒ものが!」

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