まこと「ぼくって、765プロの中で何番目に可愛いの?」 (29)

__________________765プロ 事務所

今日は仕事が早めに終わり、まこと、響、雪歩の三人が事務所でおしゃべりしていた。

まこと「たしかに、ぼくは自分の男っぽいところは自覚してるし」

まこと「そういうところが好きな人がいてくれて、ぼくのことを支えてくれてることも知ってる」

まこと「でもいつまで経っても、世間や上の人は、ぼくを女の子として見てくれない」

まこと「正直に言って欲しいんだ」

まこと「ぼくって、765プロの中で何番目に可愛いの?」

雪歩「え!?そ、そうだね…」

雪歩「か、可愛さにもいろいろ種類があると思うし、みんな違ってみんな可愛いと思うから」

雪歩「何番目って言われても、ちょっと難しいかな…」


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響「まことの可愛さかー。」

響「まことは走ってる時とか、いぬ美みたいでかわいいと思うな」

まこと「そういう可愛さじゃなくて!
っていうか響って、ぼくのこと犬みたいに思ってたの!?」

響「犬とは失礼だな!いぬ美は自分の大切な家族だぞ!
いぬ美に謝ってほしいぞ!」

まこと「ああもう、そういうつもりで言ったんじゃなくて!
というか響だって、ぼくと勝負してる時とか、
男の子っぽいと思うんだけど!?」

響「たしかに自分はお父さん似らしいし、男の子っぽいって言われることもあるぞ」

雪歩「で、でも響ちゃんは、クールな女の子でも売ってるし…」

まこと「そこだよ!響はちゃんと女の子として売れてるのに、
なんでぼくばっかりこんな扱いなんだ!」

まこと「この差はいったいなんなんだろう…」

響「なんでって言われても、あんまり意識したことがないから分からないさー」

響「でも自分は、男の子っぽいって言われてもぜんぜん気にしないけどなー」

雪歩「響ちゃんは、料理とか編み物が上手だったり、あと動物好きなところとか…
女の子らしいところがあるからかなあ…」

まこと「雪歩、けっこう響の肩持つね…ちょっとショックだなあ。」

雪歩「ち、ちがうの!まことちゃんはまことちゃんらしい魅力があるから!
決してアイドルとして負けてるとかってわけじゃなくて!」

響「でも事実だぞ。どっちかと言うと、自分のほうが女の子っぽいと思うな」

まこと「く、くそお~!!
そういう自信家なところも、ぼくより男の子っぽいじゃないか!」

まこと「…今まではダンスとかスポーツとかばかり争ってたけど、
やっぱり、ぼく響に負けたくない!」

まこと「 「女の子」のアイドルとしても、響に勝ちたい!」

雪歩「ま、まことちゃん、勝ち負けのポイントがおかしいよ!
そんな勝負、だれも望んでないよ!」

響「お!勝負なら自分負けないぞ!受けて立つぞ!」ガタッ

雪歩「響ちゃんも、内容も考えないでそんな勝負受けちゃダメだよ!
そんなことより二人とも、つぎのお仕事あるんでしょう?」

響「お!そうだ。そういえば次は、新しく温泉レポートの収録があるんだ」

響「スキーロケの後、近場に温泉があるから」

響「せっかくだからって、使って貰えることになったんだ」

まこと「な、なんだって!?
温泉レポートなんて、お色気重視の仕事じゃないか!?」

まこと「響にそんな仕事が来るなんて…!!」

雪歩「すごいね響ちゃん!たしかに、お肌キレイだもんね。」

響「へへー。雪歩にそう言われると、ちょっと嬉しいな」

まこと「…ぼくもその仕事受けられるよう、プロデューサーに頼んでみる!」

響「へ?」
雪歩「え、ええ!?」

雪歩「で、でも、温泉レポートって、」

雪歩「言ってみれば、何も着飾らない自分を撮るわけだから」

雪歩「まことちゃんが言う「女の子らしい」お仕事とは、ちょっと違うんじゃないかな!?」

まこと「そんなことない!確かにぼくたちの年齢だと、お色気って感じじゃないかもしれないけど、女性としての魅力が試されることに間違いはないはずだ!」

まこと「とにかく、ぼくは女の子として響に負けたくないんだ!

響「うーん。そこまで言うなら仕方ないなあ」

響「自分のほうも番組のプロデューサーに相談してみるぞ」

響「なんかいつもの勝負と違う気がするけど、自分もまことに負けたくないぞ!」

雪歩「だ、ダメだよう!そんなこと相談したって、絶対聞いてくれないよ!」

まこと「ぼくは、やると言ったらやる女の子だ。」

まこと「響、どっちが女の子らしくレポートできるか、勝負だ!!」

響「おう!受けて立つぞ!!」

雪歩「ああ、なんでこんなことに…」






______________後日 事務所

P「びっくりしたぞ。まさかまことが、温泉のレポートをやりたいなんて言い出すとは」

まこと「そ、それでプロデューサー、どうだったんですか!?」

P「結果から言えば、OKだそうだ。」

まこと「やったあ!」

P「ま、待て!続きがあるんだ!聞いてくれ。」

P「向こうも条件があると言っている。」

まこと「条件?なんですか?」

P「簡単に流れを説明するぞ。
響のスキーロケの後、響と温泉宿で合流する。」

P「ただし、宿についた瞬間、卓球勝負だ
勝った方が温泉に入れることになっている」

まこと「そ、それって、どっちかが温泉に入れないってことですか!?」

P「そういうことだ。がんばって勝つんだぞ。」

P。。モヤモヤ(まことの主要な女性ファン層からしても、まことの入浴需要は決して少なくはない。ただし、今回はあくまで響主体のロケだ。まことには申し訳ないが、
無理を言って通して貰った立場としても、ここに文句をつけることは難しい。

温泉地でのスポーツ万能な二人の対決という触れ込みではあるが、卓球部の経験もあることから、おそらく響が勝つだろうという見込みで企画されている。

そして番組終了後、まことの入浴シーンが見たかったという視聴者投票を受け付けて、投票がある程度以上に達したら、まことの単独温泉ロケも予定してくれるそうだ。

…本人にはまだ言えないけどな)

まこと「ありがとうございます。プロデューサーさん。…ぼく、がんばります」
まこと(負けたら結局、いつものスポーツ対決じゃないか!絶対、負けられない!)

P
「お、おう。二人とも、期待してるからな!」

______________当日 ロケ地スキー場

響「ふー。やっぱりスキーは楽しいなあ!ハム蔵も楽しそうで良かったぞ!

ハム蔵「チュッチュ!」

番組スタッフ「響さーん!宿に移動しますので、車のとこ行きますよー!」

響「はーい!今行きます!」
(いぬ美も連れて来れたら、初めての雪に大はしゃぎしただろうになあ…

…あ、そういえば、この後まことと卓球勝負するんだっけ。
お色気勝負とか言ってたけど、結局、いつもと同じ流れだな)

______________ロケ地温泉宿 待機室

番組スタッフ「まことさん、響さんが宿着いたようなので、
そろそろスタンバイお願いしまーす

まこと「あ、はーい!いま行きまーす」

まこと(この日のために、忙しい合間を縫って密かにスポーツセンターに通って
トレーニングしてきたんだ)

______________温泉宿 卓球場

司会「平和なロケに突然現れた、響の永遠のライバルことまことくん!
さあ、果たしてどちらが勝利を手にし、温泉に入ることが出来るのか!?」

響「自分は卓球部の部長だったんだぞ」

響「まこと、卓球で自分に勝てると思ってるのか?」

まこと「そんなの、小学生の頃の話だろ。」

まこと「ぼくだって、特訓したんだ。今回は、負けるわけにはいかない。」

響「それは楽しみだな。」

響「じゃあ、始めるぞ!」



………
…………
……………

まことは持ち前の反射神経でなんとか響の攻撃に食いつくものの、
やはり経験の差は大きく、響はマイラケット持参、一方まことは温泉で借りた
ラバーと本体が一体型の安いラケットを使用していることもあって、
勝負は響優位で進んでいる。

勝負は1セット11点、5セットマッチで3セット先取のうち
まことが1セット、響が2セット取り、
現在第4セットは10-9で響がリードしていた。

響「さあ、あと1点だぞぉ!」

響「残念だったなまこと!せっかく来たのに温泉に入れなくって!」

まこと「なんの!勝負はこれからこれからッ!!」

まこと(サーブの速さには慣れたけど、少しでも浮き球を返すとスマッシュを打たれる。
左右に振って、可能な限りスマッシュを打ちにくい体制にさせてやる)」

温泉地の卓球場だけあって、あまり部屋は広くない。

しかし卓球は激しい打ち合いになると、必然的に両者が後ろに下がったり、卓球台の横に回り込んだりして大きく動きながら戦う形となる。

スペースを思う存分に使えない両者にとって、左右に散らされるのは有効な戦法と思われた。

響「さすがまこと。そうこなくちゃな!!いくぞ!!」シュパン!

まこと「ここだっ!」サッ

まことは勝負に慣れたことで響の回転主体のサーブと素早いサーブを区別し、
回転主体のサーブに対して、手首の返しを利用したフリックで素早くリターンすることで
響のリカバリーを遅らせ、
さらにコーナーを狙うことで、ただでさえ狭くて体制的に返しにくいコーナーへの攻撃をさらに有効なものとした。

響「うわっ!」

まこと「(よし!決まった!あと1点取ればデュースに持ち込める!)」

「チュ!!」

これは決まったかと思われた瞬間、

なんと響の洋服のポケットから出たハム蔵が、
響の横を通り過ぎたボールに体当たりした。

まこと「な!?」

コッ…コツッ

ハム蔵が体当たりしたボールは、まこと側のネット際ギリギリに落ち、まことの反応も間に合わず2回目のバウンドの音を立てる。

響「ハ、ハム蔵!」

両者とも事態を飲み込むのに数秒かかったが、
予想外のハプニングに、司会がこれを活かさずしてどうすると言わんばかりに
勝負の進行を仕切りだした。

司会「な、なんと最後の一点は、ハム蔵くんの体を張った一撃がさく裂!」

司会「ということで、響&ハム蔵ペアの勝利!」

響「やったぞ!ハム蔵!ありがとう!!」

まこと「こ、こんなの不正だ!どう考えてもおかしいよ!」

響「ごめんなまこと。でも、勝ちは勝ちだ!!」

まこと「そ、そんな…ぼくは、いったい、なにしに…」




……
………
…………

勝負は番組側の予定通り、響が勝利で決着し、
響は温泉レポートを行った。

まことはそのまま帰すのもバツが悪いという番組側の計らいと
翌日の予定に余裕があるということから、
響と一緒に宿に一日泊まることとなった。

______________大浴場

まこと「はぁ。こんな結果になるなんて…」

響「まこと、なんか、ごめんだぞ~」

勝つつもりだったとはいえ、流石の響も、最後があの勝ち方では後味があまり良くなかったらしい。ハム蔵には感謝しつつも、やや後ろめたさがある様子である

まこと「番組側も、ちょっと響に甘すぎるよ。」

まこと「もしかして、最初からこうなるように仕組まれてたのかな…」

響「そ、そんなことはないはずだぞ!」

まこと「そうかな~…」

まこと「あ、そうだ。負けたまま帰るのも嫌だし、どうせならもう一勝負、していかない?」

響「しょ、勝負って言ったって、一体なにするの?」

響が言うや否や、まことは浴場の中に併設されたサウナを指差した

響「ゲ、サウナか…」

響「自分、暑いのニガテなんだ…」

まこと「そうなの?…響って、沖縄出身のくせに、そうなんだ。」

まこと「でも、卓球は響の得意分野だったんだから、
今度はぼくが勝負を選ばせて貰ってもいいと思わない?」

響「うぅ…仕方がない。分かったぞ」

まこと「決まりだね!」


……
………
…………
……………
………………
…………………

_____________________________サウナ内

モワモワモワモワモワ

まこと「響、大丈夫か?」



響「お、沖縄の夏に比べれば、ぜんぜん平気だぞ、これくらい…」

まこと「そうか。ところで、レポートはどうだった?」

……

響「バ、バッチリだ。ちょっと恥ずかしかったけど、楽しかったぞ」

まこと「いいな~。ぼくも、やりたかったな…」

………

響「」

まこと「実はね、今回のレポート用に、新しい水着を買ったんだ。

まこと「フリフリがついてて、すごく可愛い水着なんだ。」

…………

響「」

まこと「今まで水着になることってほとんど無かったけど」

まこと「こういうかわいい水着が着れるなら、そういう仕事も悪くないかなって」

……………

響「」

まこと「でも悔しいけど、やっぱり女の子としては響のほうが可愛いと思うんだ」

まこと「浴衣もすごく似合ってたし。」

………………………

響「」

…………………………

まこと「今回のこと、言いだしっぺはぼくだったし」

まこと「ぼくのほうこそ、無理を言ってごめんね。」

………………………………

まこと「やっぱり響とは、ずっと良いライバルでいたい。」

まこと「今後も、仕事で一緒になったら、頑張ってやっていこうね。」

……………………………………

響「」

………………………………………

まこと「そうだ!響は、どういうアイドルになりたいの?」

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響「」

まこと「響、さっきから黙ってるけど、聞いてる?」

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…………………………………………………………………………
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響「」

まこと「ひ、響!!!どうしたんだ!?
真っ赤じゃないか!?」

響は、入ってものの数秒で茹で上がり、のぼせてしまった。

視線が宙を行ったり来たりし、今にも崩れ落ちそうに頭をグラグラさせている

まこと「暑いのニガテって言ってたけど、まさかこれほどとは…
とにかく、今助けるからね!」ガシッ ノセッ

響(じ、じぶん、まことにおんぶされているのか…)

響(ああ、まことの背中、広くて頼もしいなあ……)

まこと「…すみません!どなたか、水風呂の場所を教えてもらえませんか!」

……………
………
……

_________________後日 事務所

P「聞いたぞ。大変だったみたいだな。」

まこと「そうなんですよ!まさか響があんなに暑さに弱いとは思わなくて。」

まこと「卓球勝負も負けるし、やりたかったレポートも出来なくて、途中すごく悔しかった」

まこと「でも結果的には次のお仕事も貰えて、良かったんですけどね。」

P「一応、女の子勝負の結果は、響の勝ちってことになるのかな」

まこと「プロデューサー、それを知ってたんですか…」

P「すまん、雪歩から聞いてな。まあ、なんとなく想像はつくけどさ。」

まこと「今回の勝負は、確かにぼくの負けです。」

まこと「ただし、アイドルとして、響に負けたわけじゃない。」

まこと「響とは、ずっとお互いを高め合えるライバルでいたい。そう誓ったんです。」

P「そうか、じゃあ、元通りってことだな」




響「ちがうぞ!まことは「お父さん」なんだぞ!」




P「響!いたのか!」
P「まことがお父さん?どういうことだ?」

響「自分、小さいころに、おんぶして貰った記憶があるんだ。」

響「自分のお父さんも、頼もしくて、広い背中だった。」

響「お父さんほどじゃないけど、まこともがっしりして頼りがいのある背中だったんだぞ」

まこと「ちょ、ちょっと…響?」

響「まこと、これからはライバルじゃなくて、たまにはパパって呼んでもいいか?」



まこと「冗談じゃねぇ!!!!」



_________________おわり________________

建てるとこ間違えましたすみません

いや合ってたわすみません

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