奴隷「綺麗な騎士様だなぁ……」女騎士?「…」 (8)


奴隷「流石は旦那様、こんな広い地下室も持ってたんだなぁ」

奴隷「灯りはどうやって点けてるだ? 何だか天井が明るいだよ」

奴隷「騎士様はここの番をしてるだべ?」


女騎士?「…」


奴隷「……あんれー」

奴隷「おっかしいだなぁ、もしかして置物だったりするだべ……?」チョンッ

女騎士?「…」ドサァッ!!

奴隷「ヘァッ!??」



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奴隷「た、倒れちまっただぁ! 旦那様に叱られちまう……っ」ダダッ

< カランッ

奴隷(お? 兜がとれて…………)


女ゾンビ騎士「…」


奴隷「ヘァッ…?」

奴隷「ひぃぃあああああああ!!? し、死んでるだぁ!?」

奴隷「助けてぇええええええええええ!!!」ダッ


< ヴゥンッッ

奴隷「き、来た時の魔法陣だべ!? ひぃぃっ、おらこんな所おっかないだよ帰るだよ!」




< 屋敷・書物庫 >



奴隷「ぜぇ……はぁ……っ、ひぁぁあ……」ヘタヘタ…

奴隷「な、何だったんだぁ……あれ、旦那様の置物にしては趣味が悪いし……」

奴隷「……あれ?」

< ぺたぺた……

奴隷「魔法陣、消えちまっただよ」

奴隷「どうしてだぁ…? そもそもおら、ここで旦那様の本を整頓してただけなのに」

奴隷「そしたら魔法陣が床で光ってて……気がついたら彼処にいて、綺麗な鎧着た騎士様がいたから……」


< ガチャッ

辺境伯「何か物音がしたが、大丈夫かい」


奴隷「あ、旦那様!」

辺境伯「どうしたんだ、いつもの君ならばもう片付けているじゃないか」

奴隷「それが聞いて欲しいだよ、旦那様の魔法陣で地下室に飛んじまって……」

辺境伯「……?」

辺境伯「私の屋敷には魔法陣に近い物は描かれていないが、もしかして寝ていたのかね?」


奴隷「……えぇー……?」

くっ殺(生きているとは言ってない)

くっ殺(済)


< 屋敷・中庭 >


辺境伯「ほう……興味深い話だね」カチャ…

奴隷「んだ、でもおらはもうあんな所行きたくないだよ」

辺境伯「それは何故だい?」

奴隷「だって騎士様の死体があっただよ? きっと凄い化け物がいるに違いないだ」

辺境伯「ふむ」カチャ…ゴクッ…

辺境伯「果たして本当に、彼女は死んでいたのかな?」

奴隷「ぇ…?」


辺境伯「私が思うに、何か強敵と戦い……そして傷を負った者かもしれないよ?」

辺境伯「そしてそれを裏付けるのは、君が美しいと感じた鎧だ」


奴隷「?……あっ、そうかぁ!」


辺境伯「騎士の位を持つ者ならば、『オートヒール』の効果を持った鎧を着ていてもおかしくはない」

辺境伯「もしかしたら彼女は生身で強敵を退け、その後に鎧を着ているのかもしれないね」カチャ…



<その後>


メイド「伯爵様、またあの奴隷ですか」

辺境伯「そういう棘のある呼び方は好まないな、メイド」

メイド「しかし……仮にも辺境伯である貴方が、奴隷と親しく紅茶を飲むのは如何かと」

辺境伯「仮にも、か……はは、君も中々言うじゃないかメイド」

辺境伯「しかし彼はこの屋敷に来てから既に2年、物覚えも働きも良い」

辺境伯「私ですら彼を信頼できると思う程、同時に彼は誠実だ」

メイド「誉めすぎでは?」

辺境伯「やれやれ……」


辺境伯「それはそうとメイド、この屋敷に関連する資料は集めてるかね」

メイド「只今、件の書物庫で捜索しながら『陣』を見つけようと魔術に長けた者も呼んでおります」

メイド「……やはり行きすぎでは? あの奴隷が昼寝をして夢を見ただけだと思いますが」


辺境伯「さて、だとしても面白い話だったのでね」クスッ


< 屋敷・書物庫 >


メイドB「うーん、無いわねぇ」

メイドC「そもそもこの屋敷に関する資料なんて、あるの?」

メイドB「さぁ……?」

メイドC「あーもう、本が多すぎるよ……疲れたなぁ……」

メイドB「ちょっとー、座り込んでないで探してよね!」


メイドB(もう……あの奴隷の言うことを聞いて実行してたら体がもたないっつの……)


奴隷「あんれぇ、何してるだぁ?」ヒョコッ!

メイドB「ひゃぁあああああああ!!!??」


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