男「俺は入社して三ヶ月の新人だ」 (82)

男「大学卒業して数年やっと入社した」

男「底辺だ、ブラックだ、そう言われてるがやむを得ない」

男「入社したからには働かざるを得ない」

男「と、言うわけで俺は今日も会社にいく」

上司「おい、男くん。ちょっといいかな」

男「は、はーい。今行きます」タッタッタッ

上司「これがああで、そうしてこれもああで、んでお願いねー」

男「はい、わかりました」

上司「それから先輩くん見なかった?」

男「あっ、さっき喫煙所で見ましたよ」

男「呼んで来ましょうか?」

上司「ん、お願い」

男「先輩さーん」

先輩「ん?なんだ?」フゥー

男「上司さんが呼んでましたよ」

先輩「ったく、面倒だな」ドッコイショ

男「ここで紹介しておこう」

男「先程俺と話してたのが上司さん。この会社では出来る男として地位を築き上げてるが、その分敵を周りに多く回している」

男「そして、先輩さん。私の入社直前に大きなミスを犯してしまい今や正社員からアルバイトと降格している。言わば立場的には俺の方が上だ。しかし、可愛い奥さんがいる」

上司「おい、また失敗してんじゃねぇか」ガミガミ

先輩「す、すいません」

上司「お前アルバイトに降格なった自覚あんのかよ」

先輩「は、はい」

上司「言うとっけど立場的にゃ男くんのが上だからな」

先輩「……」

男(そ、そんなこと大きな声で言わないでくれよ)オロオロ

先輩「」チラ

男「ひっ」ビクッ

上司「なに無視してんだよ、ばーろー」バシッ

先輩「殴らないでくださいよ、すいません」

男(完全に目があったよ、ヤバい)

先輩「おい、男」

男「は、はい」

先輩「あっ、違ったわ。男さん」

男「先輩さん、やめてくださいよ。男でいいですよ」

先輩「男さんこそ敬語やめてくださいよ、正社員に逆らってるって勘違いされた今度はクビになっちゃいますーよー」

男(そ、そうか。そう言う捉え方もあるもんな)

男「じゃあ、職場だけは敬語やめますね」

先輩「はぁ、調子のんじゃねぇよ」

男「……えっ」

先輩「お前俺が前にでてるときニヤニヤしてたろ」

男「い、いや、してませんって」

先輩「うっせぇよ、お前俺がアルバイトだからって舐めてんだろ。腹立つんだよ、マジで」グイッ

男「首痛いですって、ちょ、止めてくださいよ、本当に」アセアセ

上司「おい、なにしてんだ」

先輩「あっ、男さんのネクタイが曲がってたんで直してたんっすよ」

上司「ふーん、男くんもガツンと言っていいいんだからな。こんなアルバイトには」

先輩「」イラッ

男「……はい」

先輩「」チッ


男「な、なに舌打ちしてんだよ」

先輩「はあ?」

男「い、今舌打ちしただろろ」

上司「おお、男くんも立派になったな。それでこそ正社員だ。アルバイトなんかに負けるなー」ハハハ

先輩「お前調子のんじゃねぇよ」

ホモスレ?

男「う、うるせぇよ。毎回俺のこと下っ端扱いしやがって」

男「ことあるごとに殴ってきたり、パシりに使ったりして……うんざりなんだ」

男「ここは会社だ、学校とは違うんだよ」

男(い、言ってやった)


先輩「」イラッイラッ

上司「おい、言い返せよ、おい」

先輩「」スタスタスタ

上司「おい、何処行くんだよ」

上司「ったく、使えねぇな」

上司「しかし、男くんガツンと言ってやってスッキリしたろ」

男「は、はい」

上司「君がガツンと言わないとアイツも常に調子乗るタイプだからね」

上司「君には立派な社会人になってほしいが為にああいう状況にしたんだよ。これでガツンと自分の意志の言える社会人になれるな」

男「そうですかねー?」

上司「その一歩が大事なんだよ。まあ、今回はこんな形ではあったけど、ガツンと言える勇気には変わりないからね」

男「はい」

上司「確かにあの先輩くんは横暴な態度だけど仕事に対する熱意はすごいからね」

男「で、でも大きなミスをしたんでしょ?」

上司「いや、先輩くんはしてないんだな。実は」

男「えっ?」

上司「男くんが入ってくる前に辞めてった子のミスを庇った結果なんだけどね。まあ、辞めちゃったから先輩くんの庇った損なんだけど」

男「そうなんっすか……」

上司「俺もアイツには厳しい態度ではあるけど、アイツの事見込んでアルバイトに止まらせてもらってるんだ」

男「えっ?つまり?」

上司「本当はそのミスのせいで首だったんだけど、俺が上の連中に頭下げて、とりあえず半年はアルバイトでもいいから置いててくれってさ」

男「そうなんですか?」

上司「だから、早くアイツの為にって思って厳しくしてたけど、やりすぎたかな。やっぱり」

男「そうっすね、後で謝ってきます」

上司「うーん、じゃあ、その後に俺のとこ来るように伝えといて」

男「わかりました」

男「どこいったんだろ」

男「非常階段かな?」タッタッタッ

男「先輩さーん、先輩さーん」

男「あれ、やっぱりいないなー」

ホモスレか

━━ドンっ

男「あっ、」グラッ

ヒューー

ウワァァァ

ビターーーン

先輩「」ハァハァハァ

先輩「はっ!俺はなんてことを!」

上司「す、すごい音がしたが……?ん?先輩くんじゃないか、男くんは?」

上司「さっきから下を見てどうしたんだい?……ああ!男くんが転落している!」

上司「はやく、救急車を!誰か!救急車を!」

ピーポーピーポー

先輩「うわああああああああ」

先輩「うわああああああああ」

せ先輩「うわああああああああ」


━━━数ヶ週間後

先輩の奥さん「本当にすいませんでした」ペコペコ

男「いや、奥さんに謝られましても、ね」ドッコイショ

男「奇跡ですよね、あの高さから落ちても生きてるなんて。あっ、落ちたんじゃなくて落とされたのか」ハハハ

唐突な「せ」という先輩の登場に驚愕

先輩奥「ううう……すいません……」

男「あっ、そんなつもりじゃないんですよ」

男「命はありますからね、こうして生きてますし。まあ、足は動かなくなりましたけどね」ハハハ

先輩奥「必ずこの罪を夫婦で償いますんで、本当にすいませんでした」ウワーンウワーン

男「ははは、償いね。償い、ね」

>>31
打ちミスは見逃してくれ

警察官「おい、面会人が来てるぞ」

先輩「へい」

上司「おっ、元気ねぇじゃねぇか」

先輩「じ、上司さん」

上司「あの事件は驚いたなぁ、まさかお前がなぁ」

先輩「……それもこれも、あんたが!あんたが!」

上司「すまなかった」ペコリ

先輩「えっ?」

上司「謝って済むなんざ思ってない」

上司「俺がどれだけ謝ってもお前を傷つけてしまった事実にかわりはない」

上司「本当にすまなかった」ペコリ

先輩「や、やめてくださいよ、頭上げてくださいよ」

上司「お前をまた一度正社員にしてやりたかったんだ」

上司「心を鬼にした結果がこれだ」

上司「俺は上司失格だったな、もっと違うやり方でお前の手助けをしてやれば良かったと」

上司「あの後ずっと後悔していた」

上司「許してくれるな、俺を」

上司「ただ、お前が出て来たときは俺に酒を奢らしてくれ」

上司「頼む」

先輩「お、俺こそすいませんでした!!」ウワワン

上司「そうだ。男くんが先日退院したよ」

上司「彼は彼なりに元気にしてたよ」

上司「君にも会いたがってたよ」

先輩「いや、そんな優しい嘘はやめてください」

先輩「俺はアイツにとんでもないことをしてしまったんだ」

先輩「合わせる顔がねぇ」

上司「そうか、あの事件の日男くんは君に謝りたいから探してたんだよ」

上司「どんだけ嫌がらせされても、きっと男くんは先輩くんの仕事ぶりに気付いてたんではないかな」

上司「では、また来るよ」

先輩「うっ……うっ……」ギュッ

そっちか………

警察官「おい、面会人が来てる」

先輩「また俺にっすか?」

先輩「誰だ。嫁はこの前きたばっかだしな」

警察官「ほら、入れ」

先輩「」ゲソー

男「随分と痩せてますね、先輩さん」

先輩「男……」ウル

先輩「本当に俺が悪かった!あの時はどうかしてたんだ!」ウワァァァ

男「そんな泣かないでくださいよ、生きてるわけですし」ワタワタ

男「幸い歩けなくなっただけですし」タハハ

先輩「そ、それが……俺出所したらお前の為になんでもすっからな!」

男「いや、いいっすよ」

先輩「衣食住、金で解決出来ると思ってないけど……どうにかしてやるからな!」

男「……金で解決出来ると思ってないのに結局金で解決しようとしてません?」

先輩「そ、それしか俺には償いの仕方がわからないんだ……頼む」

男「ふーん、いいでしょ」

先輩「それか何か希望があるのか?勿論お前の為だ、なんでもする」

男「なに、俺の希望はただ一つですよ」

先輩「な、なんだ?」ゴクリ

先輩「それか何か希望があるのか?勿論お前の為だ、なんでもする」

男「なに、俺の希望はただ一つですよ」

先輩「な、なんだ?」ゴクリ

男「両親や身内、それに俺の彼女の身内が一団となって今先輩さんの事を殺してやりたい程憎んでるんっすよ」

男「いや、まさかこんな形で家族愛や彼女の愛を再確認出来るなんて夢にも思ってませんでしたよ」

先輩「そりゃ、こんな悪態付いた俺だし憎まれるような事してるからな、そう思われて当然だな、すまん」

男「しかも、母なんて子煩悩というか、俺一人っ子なんで溺愛し過ぎてるんっすよね」

男「先輩出所する時気をつけてくださいよ、いつ刺されるかわかりませんよ」タハハ

先輩「ぐっ、それでも仕方ねぇよ。俺はとんでもねぇ過ちをしてしまったんだ。俺の命で償えるなら……」

男「いえ、償えないっすよ。先輩さんの命なんかじゃ」

先輩「……えっ」

男「えっ、当たり前じゃないっすか。なんなんっすか?それで俺たちみんな幸せになれると思ったんっすか?」

先輩「えっ、えっ?」

ホモじゃなかった(´・ω・`)

男「先輩さん死んだ後に俺たちは生きてるわけっすよ。足が不自由な俺を周りか介助してくれて生きていくんっすよ」

男「先輩さん死んだからって俺の足は治らないし、周りの傷は塞がらないんっすよ」

男「だから、先輩さんは死なないでくださいよ」

先輩「うっ……うっ……すまねぇ……」グスン

男「寧ろ、生きてください」

男「生きて生きて生きて、長生ききてください」

男「そして」

先輩「そして?」

男「死なずに同じ苦しみを味わってくださいね」ニコッ

先輩「……ん?ど、どういう意味だ?」

ほう………

男「わかんないっすか?」

男「俺と同じ苦しみじゃないっすよ」

男「俺の苦しみなんてしれてますしね、結局逃げたくても逃げれない周りが苦しみをせおってるわけじゃないっすか」

男「当事者は最悪死ねばいいわけですしね」

男「だから俺の身内と同じ苦しみを味わってくださいね」

男「ただ約束は守ってくださいよ」

男「先輩さんは死んだら駄目ですから」

先輩「お、おい、お、俺はどうなってもいいから、おい、俺の身内には手を、手を出さないでくれ!」

先輩「頼むよ!頼む!」

男「」ニコッ

男「では、また来ますね」ドッコイショ

先輩「おい、お、おい!男!男!!」

先輩「く、くそっ!」ドンッ

先輩「くそーっ!!」ポタポタ

ひぐらし的な展開になるとはな………

先輩奥「」ボーッ

━━ポタポタ

先輩奥「」フフフ

━━ポタポタ

先輩奥「つ、償えたかな」ハハハ

男母「これは私の息子からの感謝の気持ちですって」

先輩奥「車……椅子?」ウルウル

男母「息子とお揃いよ」ウフフ

男母「じゃあ、私はこれ貰って帰るわね」ポタポタ

先輩奥「ええ、どうぞ」

男母「その痕の治療は安心してね」

男母「もうすぐで治療してくれる人来るから」

男母「この現金渡してあげて」

先輩奥「……ありがとうございます」

先輩奥「ところで、それをどうするつもりですか?」

男母「これ?二本もあるからね、どうしましょ」ウフフ

━━ポタポタ

━━ポタポタ

━━ポタポタ

━━ポタポタ

でもこれ男母捕まらね?


以上です

短く粗末な内容ですが少しでもハッとなってくださったなら幸いです

治療(完治させるとは言ってない)


この展開奥さんの脚に塩塗ったりしてもっと苦しませそうで怖い(´;ω;`)

あ、いち乙でした!

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