女勇者(5)「わたしにかったらけっこんしてやる!」 (85)


少年A「ほんとにー?」

女勇者「ゆうしゃはうそをつかないんだぞ!」

少年A「じゃあぼくがんばってつよくなる!」

少年B「ぼくもー!」

少年C「せっしゃもでござるwwwwwwwwww」

女勇者「Cはでぶだからむりだな!」

少年A・B「でぶはむりにきまってるだろー!」

少年C「やくそくはぜったいでござるからなwwwwwwwwwwふひひwwwwwwwwww」

少年A・B・女勇者(うわあ・・・)

女勇者「ま、まあせいぜいがんばるがいい!」

少年A「さっそくかえったらしゅぎょうだー!」

少年B「ぼくもー!」

少年C「・・・」

女勇者(?)




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時は20年後、闘技場にて

女勇者「私の負け、か」

騎士A(少年A)「あの時の約束、覚えてるか?」

女勇者「あたりまえだ」

騎士A「忘れていたらどうしようかと思ったよ・・・」

そう言うと騎士Aは持っていた剣を天にかざした

「「「「「「うおおおおおおお!!!」」」」」」

騎士A「意義のある奴はかかってこい!」

「意義ありぃ!」

騎士A「!?・・・ならば、かかってこい!」

時は15年前に戻る


青年C(少年C)「・・・ん?」

少年もとい青年Cはとある場所にたどり着いた。

青年C(おや?昨日と全く違う場所でござるな・・・ま、まさか異世界!?異世界フラグでござるか!?な、ならば美少女妖精は!?美少女(ry)

ひとしきり妄想すると、周りを見渡した。

青年C「どこだここ」



青年Cの脳内



青年C「考えは口に出すとまとまりやすいってじっちゃが言ってただ」

青年C「湖があって、その中心に木がある・・・ぬふぅ」

青年C「さしずめ、【忘れ去られた聖域】かな」キリッ

青年C「中二病乙wwwwww忘れ去られた聖域(キリッ)だっておwwwwww」

青年C「てかあの木、なんか凄い奴だろ」

青年C「なんかオーラみたいの感じる、感じちゃうしな」

青年C「なぜ言い直したし」

青年C「まあ、結論出すといつも通り切ればいいんだろ」

青年C達「だな」

脳内会議終了

青年C「じゃあ切るお」



ここでこの世界の話をする

この世界ではすべての物にレベルがある。

もちろん木にもだ。

そして、なぜ、人々は経験値に気が付かないのか、答えは[当たり判定]という概念にある。

例えば、人間は髪を切る時、痛みを伴うだろうか?

答えはNOである。

それと同じように木は根の部分に当たり判定があるのだ。

彼、青年Cは本能でそれを理解していた。

木を切った後に何かにとりつかれたように根をズタズタにしていた。

初めは彼もなぜ自分がこんなことをしているのか理解できないでいた。

しかし理解できないならば、しなければいいと思った。

自分がしたいと本能で思っているなら、大切なことなんだろうと、思った、思い込んだ。


木の前

青年C「よし、青年C切りまーす!」

彼はいつも通り斧を降った

いつも通り

青年C「阿っ!」

その一振りで木の半分程まで斧が入り

青年C「吽っ!」

その一振りで木が倒れる、はずだった。



阿吽、あうん

それはサンスクリット語、一般には梵字と呼ばれる
文字、完成された言語。

その梵字の最初と最後の語を繋げることで、封印を意味する

青年Cの家に古くから伝わる掛け声である。





飯食ってきますぞ


青年C「・・・ん?」

その木は倒れず空中にとどまっている

青年C「・・・知るかバカ!そんなことより根切りじゃあ!」

彼はいつも通り根をズタズタにし始めた

実はこの木はこの世界で神樹、いわゆる世界樹と呼ばれる木の若木であった、若木といっても軽く100mは越えていたが、木であった。

青年C「ふう・・・あっしまった、うっ、ふぅ・・・」

いい汗かいたとばかりに額をぬぐう青年C。

青年C「で」

変わらず浮かんでいる木

青年C「どうするか・・・」

脳内会議開始

青年C「放置だろjk」

青年C「てか放置以外に選択肢あるか?」

青年C「ここは放置だな」

青年C「木を放置プレイとか超越者だな」

青年C達「死ね、氏ねじゃなく死ね」

会議終了

青年C「放置プレイ、そういうのもあるのか!」


一週間後

青年C「まだあわてるような時間じゃない」

あの湖の空間から出られないでいた。

青年C「まあ原因はわかるんだが・・・」

彼はちらりと木を見た。

青年C「解決策もあるしね」

青年C「もう十分休んだし・・・」

青年C「ぼちぼち始めるお」


なぜ出られないのかというと[彼女]が出られないようにしているからである。

彼女、世界樹の女神、には一つ大きな誤算があった。

それは、青年Cは勇者でもなんでもないということだった。


一週間前

世界樹の女神(以下女神)は近くに強大な力、それこそ魔王クラスの、を感知し、招いたのであった。



いざ見てみるとデブである

びっくりした。

そいつは起きるなり何か考えこむとニヤニヤし始めた

(うわあ・・・)

おそらく旅の凄い魔法使いなんだと思いこみつつ

【強き者よ・・・】

語りかけた



「じゃあ切るお」

いきなりとんでもないことを言い出した

【お待ちください強き者よ】

そうして彼はこちらに近づき

【思い直して「青年C、切りまーす」ちょっと待ってください】

(さすがに魔法をかけ続ければ「阿っ!」もうやだ!】

(まずい、もう封印するしか「吽っ!」やぁだぁ!】

【話聞いてよぉ】

泣きだしてしまったが青年Cには知るよしもなかったのだった。


一週間後

【私が封印されたことにより出られなくなったそうです】

彼、青年Cというらしい、を見ながら呟いた

【なんか斧持って近づいて来ましたね】

彼がコポォ、フォカヌポォと言いながら近づいてくる

【もうやだ「阿っ!」痛ぁ!】

木の幹に封印されたことにより幹へのダメージが直接女神に

【これが、痛み「吽っ!」ひぎゃぁ!】


数日後


青年C「こんなもんかな」

彼の手には一振の木刀が。

青年C「見とれるような造形美wwwwww」

その言葉通りの出来であった。

青年C「女神様宿ってたりwwwwww電波wwwwww電波乙wwwwwwwwww」

【あひぃ・・・あひぃ・・・】

青年C「本気で宿ってやがった」

【もっと・・・もっとぉ・・・】

度重なる痛みのせいで女神の精神は壊れないように適応した、分かりやすく言うとドMになった。

青年C「まあ俺は女勇者一筋ですがwwwwww」

彼は無視した

というか微妙にかみあってなかった

風呂にいってくるぞえ


なぜ女神の声が聞こえなかったか、なぜ魔法を無効化できたか、なぜ封印できたか。

なぜならレベルが高かったからである。

そもそも彼はこの時点、15歳で魔王と一騎打ちをしても勝てるだけのレベルとステータスがあった。

ちなみに女勇者達は15歳で彼の半分程のレベルである。

そのため、魔法無効化、テレパシーも魔法扱いである、や強制封印が使えたのである。

ならばなぜ急に声が聞こえるようになったかというと、装備品扱いになったからである。

いわゆる召喚獣のようなものと考えてもらえばいい。


五年後

勇者一行は魔王を倒したが、魔の理に捕らわれ冥王となってしまった魔法使いB(元少年B)を倒し人間に戻すために魔界に突入した。

C(青年C)は木を、切っていた。

【彼は勇者よりも強い】

女神は考える

【あの体型からは考えられない速さ】

女神は考える

【あれは脂肪の足枷ではなく、オリハルコンの鎧】

女神は考える

【まさに力の化身】

女神は考える

【彼は力を士(つかさ)どる者・・・】

女神は考える

【名付けるならば

力士

ですかね】




力士C「さて、今日も木を切るお」













そして、五年後













「意義ありぃ!」


彼は、闘技場の中心に着地した。

「なんだあのデブ」「空気読めよ」「なんなのよあのデブ」「ひっこめ!」「帰れ!」

騎士A「黙れっ!」

騎士は今まで幾多の死の危機をくぐり抜けてきた。

初めて魔物にやられそうになったとき、四天王と戦ったとき、魔王の業火に焼かれそうになった、冥王と戦った時、


その全てが偽りの死だと感じた


騎士A(おいおいおいおいなんだよこの化物は)

女勇者「騎士A・・・」

騎士A(駄目だ、奴を倒せる未来が浮かばない)

力士C「・・・おーい、まさか俺のこと覚えてないの?」

騎士A・女勇者「は?」

力士C「忘れてるとかマジありえなさすぎワロエナイwwwww笑ってしまったwwwww」

騎士A・女勇者「」

力士C「思い出したなら、俺にも勝負を受ける権利があるよな?」

女勇者「あ、ああ」

力士C「それじゃ、騎士Aくん」





力士「や ら な い か」






観衆は突如現れた謎のデブなど眼中にないかのように騎士Aに声援を送っていた。

しかし騎士Aにとってはその声援すら雑音に感じられた。

騎士A「すまないが、ハンデをもらえないだろうか」

力士C「いいんじゃね?てか普通に喋れや」

騎士A「い、いや、だが私にも世間体というものが・・・」

力士C「デブにハンデ求めてる時点で世間体もクソもあるか」

騎士A「むぅ、だが、ぐぬぅ・・・わーったよ」

力士C「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!」

騎士A「うっせ、で、ハンデもらうぞ」

力士C「はよ」

騎士A「【魔法最強化・肉体強化】【魔法最強化・韋駄天】【魔法最強化・身体硬化】」

力士C「フルコースじゃないですかーやだー」

騎士A「ギリギリ、だな」

力士C「とりあえず魔法使いの皆さんに謝ってください」

騎士A「ごめんねー、魔法の、才能もあって」

力士C「さっさと始めっぞー騎士Aだいぶギリギリだし」

騎士A「まあな・・・武器は、こいつ、だ」

騎士Aは一本の剣を構えた、それは近づいただけで分かる程の神の加護を受けていた。

力士C(あーあ・・・)「俺はこれ」

そういって取り出したのは木刀。

両者が構えた瞬間から、空気が張りつめていくのが分かる。

観衆の誰かが、くしゃみをした

「ひぇっくしゅっ!」


連投クロノスかなんかかと思ったら違った・・・

てか人いないのに安価遠かったか

どうしようかな、もう一回安価しようか?


騎士A「ッッッ!」

かろうじて見えたのは木刀を降り下ろす力士Cの姿だった。

騎士Aはとっさに剣で防ぐ。

そしてバックステップで距離をとる。

騎士A「それ木刀のレベル超越してるよなぁ?」

力士C「なんか女神宿ってた」

騎士A「」

力士C「はっ」

姿が消える。

騎士A(視覚に頼るな・・・感じろ・・・!)

騎士A「・・・」





騎士A(そこっ!)
騎士A「っっっっ!!」




力士C「残像だ」




騎士の剣は空を薙いだ

わかった、今回は俺のミスということだった。

風呂に入るからその間に再安価だ!

連投は安価下、下5


騎士Aの首に木刀が突きつけられた。

騎士A「・・・」

力士C「・・・終わりだお」

瞬間騎士が崩れ落ちる。魔法の効果が切れたらしい。

女勇者「あ・・・」

女勇者は絶望の表情で力士を見た、

すると力士は

闘技場の扉へ向かって歩きはじめた。

騎士A「・・・どこへ行く」

力士C「帰るんだお」

女勇者「な、なぜだ!私を馬鹿にしているのか!わ、私を約束も守れない馬鹿だと」

力士C「約束って、なんだお?」

女勇者「ッ!」

力士C「俺はただ勝負の結果に意義があったから出てきただけだ」

力士C「そして勝負は終わった」

力士C「だから、帰るんだ」

騎士A「じゃあ、なんで、


泣いてんだよ!」


力士C「嬉し涙だ」

騎士A「馬鹿野郎!」

力士C「幸せになれ」

騎士A「待てよ!」

少年C「じゃあな」

少年A「お前は・・・!」



少年C「・・・バイバイ」



騎士A「クソがっ!動け!【魔法最「詠唱中断」ッ!」

すると力士はその巨体からは想像もできないスピードで走り去った

騎士A「馬鹿野郎がああぁぁぁぁぁ!!!」











その一戦は記録から抹消された


数日後

【・・・良かったのですか?】

無言で首肯する

【なぜ彼女を】

力士C「それを俺に言わせるか?」

【ええ】

力士C「本当にMか?お前」

無言、軽口には付き合わないらしい。

力士はため息を吐き

力士C「俺は彼女の笑顔が大好きだった」

力士C「その笑顔を俺が曇らせたら駄目だろ?」

そして、ふと思い付いたように

力士C「なんだ」

彼は空を仰ぎ

力士C「勝てるわけないじゃん」

震えそうになる声を隠そうともせず

力士C「20年前から」

力士C「勝負はついてたってことか」

◇◇◇

女勇者(5)「なあ!少年A!」

少年A「なに?女勇者ちゃん」

女勇者(5)「わたしにかったら


けっこんしてやる!」


◇◇◇






こうして、不器用な男の20年の初恋は、失恋に終わった。




少年C「さて」

青年C「今日も」

力士C「木を切るお」









<終>


とある日

木刀を地面に突き刺し

力士Cがいつものように木を切り倒していると

【力士Cさん】

力士C「ん?」

【暇です】

力士C「知らんがな」

【暇なものは暇なんです】

力士C「俺にどうしろと」

【ひーまーなーんーでーすー】

力士C「チッ」

【舌打ちは酷いと思います】

力士C「お前って前後とか分かるの?」

【なんです藪から棒に】

力士C「とりあえず答えろ」

【一応ありますよ】

力士C「ふーん・・・あっ(後ろを指さす)」

【ん?】

力士C「せい(木刀に蹴りを叩き込む)」

【おがぁっ・・・(喜)】

力士C「うーん」

【げぎぃっ・・・(悦)】

力士C「反応が面白くない、28点」

【ごぇっ・・・なさっ・・・(嬉)】

力士C「あ(後ろを指さす)」

女神(今度は正面から受けたいです)

力士C「・・・誰?」

【え?】

???「・・・その木刀」

力士C「これが?」

???「私に、譲ってもらえないだろうか」


???「ようやく見つけられた」

???「失礼、私の名前は武器商人という」

武器商人「見させてもらったよ、闘技場での一戦」

武器商人「神の加護を得た騎士Aを瞬殺、彼のオリハルコンの剣を木刀で防ぐ」

力士C「御託はいい」

武器商人「わかった、本題に入ろう」

武器商人「その木刀を売ってくれ」

武器商人「金貨5000枚」

※1万円=金貨1枚

力士C「・・・」

武器商人「前金で金貨1000枚、今払おう」

力士C「・・・」

武器商人「出せる限りの最高の条件だ」

力士C「・・・わかった」

武器商人「交渉成立か!」

力士C「お断るよ!」

力士C「俺の武器はこれって決まってるから」

武器商人「わ、わかった!10000枚だ!10000枚出そう!」

力士C「お断るよ!だせるなら最初から出せ!」

力士C「この話は終わりだ!じゃあな!あばよ!」

どひゅーんと言いながらその巨体からは想像もできないスピードで去っていった

武器商人「」


【よかったのですか?】

力士C「まあな」

【ずいぶん欲がないのですね】

力士C「欲がないってのとは違うかな」

【武器は私でいいとは】

力士C「そりゃお前世界最強の武器だろ?お前」

【私は武器では・・・なんだか複雑です】

力士C「素直に受け止めておけ」

【むぅ・・・あ】

力士C「ん?」

【撤回してください】

力士C「なにを?」

【私"でいい"とは何ですか"でいい"とは】

力士C「あん?そりゃお前そのままの意味だよ」

【そういうことじゃなく!】

力士C「じゃあなんだよ!」

とある森からは怒鳴り声が響いてきました。
声の主は木刀と太った男の人です。
怒鳴っていましたが、男の人は笑顔でした。
木刀から響いてくる声もどこか楽しそうです。
この時の木刀と男の人は同じ気持ちでした。

『楽しい』

怒鳴り声は日が沈むまで聞こえてきました。




おしまい

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