赤沢「いない者を増やそうと思います」 (118)

赤沢「対策係として皆に提案があるわ」

赤沢「今回、転校生という不測の事態により席が一つ足りなくなるという現状」

赤沢「急きょ見崎さんにいない者になってもらう事になったけれどやっぱり少し不安が残るわ」

赤沢「そこで今回はいない者を増やそうと思います」

赤沢「人数は問いません。言いだしっぺだしまず私もいない者になるわ」

勅使河原 中尾「!?」

勅使河原「それじゃ俺もなるぜ。人数は多いほうがいいだろ?」

中尾「いない者はまかせろー!」

杉浦「泉美も中尾もやるんなら私もやろうかしら」

綾野「んー、なんか皆でやるのも面白そうだね。あたしもやる!」

桜木「あ、じゃあ私も…」

風見「!? な、なら僕もやるよ」

高翌林「僕だけやらないのはフェアじゃないね」

久保寺「成程、皆さんがそこまでいない者を心がけると言うなら分かりました。ここはひとつ先生側も1人いない者を作りましょう」

久保寺「三神先生、私がいない者になりますので後はお願いします」

怜子「え、ええ?」




榊原「東京から来ました榊原恒一です。よろしくお願いします」

シーン

榊原(何この空気?)

桜木「」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1414082278

>>1 最後の 桜木「」 はミス

怜子「それじゃ榊原君はあそこに座って」

榊原「あ、はい分かりました」スタスタ

榊原「えっと、よろしくね」

望月「……」

榊原(あれ? ちらっと見ただけで無視された?)


ざわ ざわ

マンキーゲットゾナー

シメキリチカイノ!テツダッテ!

ナンデクボデラセンセイナンダヨ、ミカミセンセイダッタラアンアコトヤコンナコトガ

榊原(なんか皆授業中なのに好き勝手やってるな)

榊原(先生も何故か注意しないし、もしかしてここって学級崩壊気味なのかな?)

数学教師「それでは問1を、榊原君、答えてみて」

榊原「あ、はい。えっとx=3です」

数学教師「はい、正解です。では次の問題を、榊原君」

榊原「え?」

数学教師「どうしました榊原君? 問2ですよ?」

榊原「……x=2、y=-3です」

数学教師「ありがとう。それじゃあ次の問題、3から6までを板書してもらおうかしら、榊原君」

榊原(なにこのいじめ?)



昼休み

榊原「……結局最初から最後まで全部僕が答えてた」

榊原「なんだこの学校? どうなってるんだ?」

勅使河原「お前進路どうする気?」

風見「やっぱり東京の高校へ上京したいかな」

榊原「!? あ、そうなんだ? 有名な高校なら僕も知ってるよ」


風見「……勅使河原はもっと勉強しないと進学すら危ういんじゃないか?」

勅使河原「あ、ああそうだな。もっと頑張るとするわ」

榊原「……なんだよこれ!」ダッ


綾野「……ねえ、あの転校生君ちょっとかわいそうじゃない?」

小椋「仕方ないでしょ? 話すつもりだった日にあの子来ないんだもん」

赤沢「既に私たち全員がいない者になってしまってる以上、話しかける事も出来ないし下手に伝えればいない者効果が切れてしまうかもしれない」

赤沢「彼には悪いけど耐えてもらうしかないわね」


中間試験日

先生「はいそれじゃ答案はありますね榊原君。余った答案は適当に置いておきましょう」

榊原(この半月、誰に話しかけてもまるで『いない者』みたいに無視されて友達どころか会話もできず)

榊原(授業中は他の皆がいくら騒いでも注意せず僕だけが指される始末)

榊原(ああいいさ。一体何なのか知らないけどこうなったら勉強にのみ打ちこんでやる)

榊原(授業中は嫌でも全部の問題を解いたり詠みあげなきゃいけなかったんだ。嫌でも身に着いた)

榊原(このテストは絶対いい点取ってやる!)

先生「はい、それでは始め!」

ガラガラガラガラ

勅使河原「なあ、問2のこの漢字なんて読むんだ?」

風見「コレだ」

勅使河原「さんきゅ」

水野「あ、俺にも見せて」

川堀「机寄せちまおうぜ」

金木「ねえねえここ教えて?」イチャイチャ

松井「もーしょうがないなあ」イチャイチャ


榊原「うがあああああああああ!」

先生「榊原君、テスト中に騒がないように」

榊原「うがあああああああああああああああ!」


榊原「……結局、中間はクラス全員がカンニングし放題で僕以外全員100点だった」

榊原「はあ、もうこの学校の授業で楽しいのは美術しかない」

榊原「でもなあ」



怜子「それじゃ今日は人物画を描きましょうか」

榊原「三神先生、今日はというよりずっと人物画ですけど?」

怜子「そう? まあいいわ。それじゃ二人組になって、ってあーそうだったわーよく考えたら榊原君しかいなかったわねー」

怜子「それじゃ先生と向かい合って座りましょう」ニコニコ

榊原(なんで怜子さんこんなに嬉しそうなんだろ?)


榊原「……」カキカキ

怜子「……」カキカキ

榊原「出来ました」

怜子「あら、じゃあ見せて」

怜子「うん。上手よ榊原君!」

榊原「そりゃあ毎回描いてますから」

望月「み、三神先生! 僕も先生を描いてみたんですけど!?」

勅使河原「馬鹿! いる者の相手はよせ!」

榊原(いる者?)

怜子「うん、これだけ上手なら次のステップにすすんでもいいかもね」

榊原「次ですか?」

怜子「ええ。……ねえ榊原君?」

怜子「裸婦画に興味はない?」

ガタッ

ガタッ

ガタッ


榊原(周りの男子が一気に立ち上がった!?)

榊原「れ、怜子さん? 何言ってるんですか?」

怜子「駄目よ恒一君。学校じゃ三神先生って呼ばなきゃ」ジリジリ

榊原「今そのセリフは誤解を生みますよ! ていうか膝の上に乗らないでください! 皆見てます!」

怜子「皆? 何言ってるの? ここには私と榊原君しかいないわ」

怜子「もし榊原君の目に誰か映ってるとしても気にすることはないわ。だって『いない者』なんですもの」

榊原「なんとなくそう言う扱いにしているのは察してましたけど不味いですって!」

怜子「ふふ、かわいいわね。いいじゃない。それに、それはそれで興奮しない?」シュル

榊原(あ、駄目だこの人目がマジだ)

榊原「だ、誰か?」

<●><●>ジー

<●><●>ジー

<●><□>ジー

榊原(うわ、皆も駄目だ。ていうか近いなこの眼帯している子!)

怜子「それじゃあ、始めましょうか」

キンコーンカーンコーン

榊原「!?」ドン

怜子「きゃ?」ドタ

榊原「すいません、授業終わったので失礼します」バッ

怜子「あ……チッ」

いない者共「チッ」




今日はここまで
眠いので続きは明日書きます


榊原「はあ、胃が痛い。肺じゃなくて胃に穴が開きそうだ」トボトボ

沙苗「おんや、どうしたのホラー少年? 元気ないわね?」

榊原「あ、水野さん……あれ? エレベーターどうかしたんですか?」

沙苗「ああ、あれ? なんか変な音するって苦情あって調べてみたらなんと驚いたことに部品に罅入ってたのよ」

沙苗「危うく事故になるところだったわ全く」

榊原「そうですか。僕はこの前の容態の確認できたんですけど、なんか悪くなってそうで怖いですよ」

沙苗「? 何かあったの? 私今日はもう非番だからなんなら相談に乗るわよ?」

榊原「え? あ、それじゃお願いできますか?」

榊原(人に優しい言葉掛けられたの久しぶりな気がする)

沙苗「ふーん? つまりクラスの皆が榊原君を無視している、と」

榊原「はい。幾ら話しかけても僕の事を見えてないみたいに反応しなくって、でも先生たちは逆に僕のことしか相手にしなくって…」

榊原「もう何が何だか分からなくなります」

沙苗「それってもういじめよね? 夜見北中でそんな事あったなんて。因みにクラスは?」

榊原「3年3組です」

沙苗「3組? それって私の弟のクラスじゃない!?」

榊原「そうなんですか? クラスの名簿もないし出席も僕だけですから」

沙苗「うーん、でももし本当に弟も加担してるなら許せないわ! ちょっと今日問い詰めてみるから!」


翌日

榊原「今日も1人で寂しく食事……」

榊原「あの日以来怜子さんとも顔合わせづらいし」

榊原「はあ、早く高校行きたい……」

prrr

沙苗「もしもし榊原君?」

榊原「あ、水野さん? どうしました?」

沙苗「いや、昨日弟に聞いてみたんだけどどうも妙なこと言ってて」

榊原「妙?」

沙苗「クラスメイトいじめてない? って聞いたら『榊原? ああ、3年3組の生徒だろ? あそこは生徒1人しかいないクラスだ』って」

榊原「は?」

沙苗「あんたも3組でしょ? って聞いたら『いや、俺は違う。俺は学校にはいない』とか意味分かんない事いいだして」

榊原「どういうことでしょう?」

沙苗「ごめん。でもいじめをしているみたいな反応じゃなかった」

沙苗「私ももう少し調べてみるね。それじゃもうそろそろ戻らなきゃいけないからまたね」ピッ

榊原「……3組は僕しかいない? なんだそれ? まさか僕以外皆幽霊だって言うのか?」

榊原「そんなことが……」



ざわざわ

勅使河原「あ、お前眠らせてゆめくいのハメやめろよ!」

高林「ゲームで文句言うのはフェアじゃないよ」

綾野「この前可愛い服見つけたんだけどさ」

小椋「また? あんまり学校さぼってばっかりじゃ、あ、別にいいのか」

杉浦「今月も1人も犠牲者出なさそうね」

赤沢「ええ。上手く行ってると見てよさそうね」

中尾「流石赤沢さんだぜ!」



榊原「うん、あり得ない。存在感有り過ぎる」

榊原「というかもう幽霊でもいいから話し相手がほしい」


見崎(今日から7月、でもまだ誰かが死んだという話は聞いてない)

見崎(ということは未咲の死はただの偶然?)

見崎(……それならそれでいい。悲しいけれど、それも運命だったって思う事が出来る)

見崎(それにしても、全員のいないもの対策って本当に効果あるのかしら?)

見崎(あの転校生、榊原君はもうクラスにいたくないのかいつもギリギリで来るようになっちゃったし)

見崎(……無事卒業出来たら、謝って、ちゃんと理由を話してあげよう)

見崎(その、割とタイプだし)

見崎(……そう言えば未咲と好きなタイプ話し合った時ほとんど同じで笑っちゃったな)

見崎(死ぬ前に恋をしてみたいって言ってたのにね)

ガラッ

見崎(あ、来た)

榊原「……」

見崎(な、なんか目が死んでるような)

ガラッ

怜子「おはよう榊原君、それじゃ出席を取るわね」

怜子「榊原君」

榊原「……はい」

怜子「以上! 今日も元気に過ごしましょうね」













未咲「せんせー! 私まだよばれてませーん!」

怜子「あ、ごめんなさい藤岡さん。あら? そう言えば席もないわね?」

未咲「あ、私後で空き教室から取ってきますよ。榊原君も手伝ってくれる?」

榊原「え? ああ、いいよ」



‥‥‥



一同「!!??」

とりあえずここまで

書く時間あんまとれないorz

少しだけ投下します


未咲「あっれぇ? 教科書も忘れちゃったみたい。榊原君ごめん! 一緒に見せてもらえる?」

榊原「う、うん」

未咲「ありがと! じゃあ机寄せるね」ガタタ

榊原(何だろう? こんな子今までいなかったよな? 似た子はいたけどあの子は眼帯していたしそもそも後ろの席にいる)

榊原(しかも何故かこの子、藤岡さん?は『いる』のが当たり前みたいにふるまっているし)

榊原(一体、何者なんだ?)

榊原「ね、ねえ。藤岡さん?」

未咲「む、また名字で呼ぶんだ。もう、未咲でいいってば」

榊原「え? あ、ああ、じゃあ、未咲?」

未咲「あ……えへへ」

榊原「? 何?」

未咲「だってやっと名前で呼んでくれたんだもん。なんだか嬉しくって!」

未咲「ねえ、私も榊原君の事名前で呼んでもいい?」

榊原「……勿論だよ!」

未咲「じゃあ……恒一?」

榊原(……うん、彼女が何者かとかもう可愛いからどうでもいいや)










赤沢「いない者集合!」


ガタガタガタ

勅使河原「おい何だあれ!? 誰だよあれ? 何? 見崎のドッペルゲンガー? 見崎死ぬのかこれ!?」

風見「縁起でもない事言うな馬鹿」

桜木「でも本当にそっくりですよね。もしかして生き別れの姉妹とか?」

勅使河原「はあ? そんなベタな話あるかよ?」

見崎「う、うん。未咲は私の双子の姉妹」

勅使河原「あんのかよ!」

見崎「あ、でも生き別れじゃなくて、正確には死に別れの姉妹だけど」

勅使河原「死んでんのかよ!」

勅使河原「……死んでんのかよ!?」

赤沢「勅使河原うっさい!」




勅使河原「」シュー

赤沢「馬鹿を黙らせたところで見崎さん? 確認したいんだけどいいかしら?」

鳴「」コク

赤沢「まずあれはあなたの死別した姉妹。それは確実?」

鳴「うん。信じられないけどあれは間違いなく未咲」

鳴「でも未咲は今年の4月に病気で亡くなった。これも間違いない」

赤沢「そう。と言う事は考えられるのは一つ。彼女は死者と言うことね」

綾野「え? それっておかしくない? だって『ある』年だったら死者は最初からクラスにいるんじゃなかった?」

杉浦「それに彼女が死者だと分かるのもおかしいわよ。本来なら記憶がいじられて誰が死者かわからなくなるはず」

赤沢「確かにそうね。でも私たちは今全員が彼女、藤岡未咲さんが死者だと認識している」

赤沢「しかも彼女が今日から現れた事も分かっている」

赤沢「元々が科学的根拠のない『現象』よ。例外が起きても不思議じゃないわ」

赤沢「少なくとも、仮説として進めていく分には十分な結論だと思う」

望月(有能だ)

風見(有能だ)

小椋(有能だ)

中尾(流石赤沢さんだぜ!)


桜木「で、でも何で急に死者が現れたりしたんでしょう? 今年はない年だったんじゃ?」

赤沢「……いえ、もしかしたらある年だったのかもしれないわ」

有田「? どういう事?」

赤沢「見崎さん、貴女なら分かるんじゃない?」

鳴「……4月に死んだ未咲は現象のせいで死んだかもしれないって事?」

勅使河原「な!? なんでそんな大事な事早く話さなかったんだよ!?」

風見「あ、復活した」

赤沢「黙りなさい勅使河原。……自分の身内が現象のせいで殺されただなんて認めたくなかった」

赤沢「そのくらいの気持ちくらい察してやりなさい」

鳴「……ありがと」

赤沢「いいわよ別に。とにかく、4月に現象は起こっていた。それを後からとった『いない者』対策で防げていた」

赤沢「だから被害者は4月以降、死者は出なかった」

赤沢「けれど何の因果か今月に入って死者が1人増えてしまった」

赤沢「ここまでが今の状況のまとめね」

綾野(有能だ)

杉浦(有能だ)

川堀(有能だ)

中尾(流石赤沢さんだぜ!)


勅使河原「て言うか、これってどうなるんだ? 死者が増えるだなんて今まであったのか?」

赤沢「無いわよそんなの。少なくとも記録上にはね」

望月「だよね。そんな話があったら流石に知っててもおかしくないし」

杉浦「つまり今年だけそんなことが起きたのはいつもと違う『何か』があったから、かしら?」

風見「いつもと違う事というと……」

桜木「転校生が来るっていうことと……」

いない者一同「……いない者がたくさんいると言う事」

多々良「あ、もしかして」

佐藤「何かわかったの?」

多々良「えっと、元々この現象っていない人をいるように扱ったせいで死者が蘇るようになっちゃったはずでしょ?」

いない者一同「うんうん」

多々良「それで帳尻合わせのために1人『いない者』にすることで人数を合わせてたはず」

いない者一同「そうそう」

多々良「だとしたら今『いない者』ばかりでクラスの人数が足りない状況だと逆に人数を合わせようと死者が蘇っちゃうんじゃないかなって」

いない者一同「ああ成程」

勅使河原「……ん? 確かいない者を増やしたのって」

一名除くいない者一同「…………」

赤沢「……誰にでも失敗はあるわ」

鳴(無能だ)

勅使河原(無能だ)

杉浦(無能だ)

中尾(流石赤沢さんだぜ!)

赤沢さんはやっぱりこうでないと(安堵)


ざわ ざわ

榊原(なんだか後ろの集団から未咲が死んでるとか死者が蘇ったとか色々気になる発言が飛び交ってるけど)

未咲「ねえねえ恒一? これってなんて読むか分かる?」

榊原「ん? ああこれは『しゅうう』って読むんだよ」

未咲「へえ、恒一って物知りだね!」

榊原「そ、そうかな」

榊原(未咲がかわいいからどうでもいいや)


今日はここまで

>>48
なんでや! 赤沢さん有能でもええやないか!

しかし書いてて勅使河原がジュネスに思えてきた
誰か中学の番長が夜見山に転校してくるSSはよ

少しだけ投下します


赤沢「とりあえず様子を見ましょう。対策係の何人かはしばらく見張って何かおかしな事があったら連絡して」

赤沢「私は千曳先生に何か知らないか聞いてみるわ」ガララ

勅使河原「様子見ろっつったってな……」チラ






未咲「ねえ、そう言えば恒一って彼女とかいるの?」

榊原「ええ!? い、いないよ。今まで一度も」

未咲「ホント? 嘘じゃない? 恒一ってモテそうだから告白とかされてそうだけど」

榊原「ないよ。それどころかこの学校に来てまともに話すらした事ないよ」

榊原「……話したのは未咲くらいだよ」

未咲「……ふうん、そっかー、じゃあ私が一番仲がいい女子ってこと?」

榊原「それどころか今の僕にとって一番大切なくらい……って、あ」

未咲「え? う、嬉しい事言ってくれるね! よーし、そんな恒一にいい事教えてあげる!」

未咲「私もね、まだ誰とも付き合ったことないんだ」

未咲「でももしかしたらもうすぐ恋人が出来ちゃうかも、ね?」








風見「落ち着け勅使河原! いる者の相手はよせ!」ハガイジメ

勅使河原「離せ風見! あのリア充を殴れと誰かが言っている!」

杉浦「それにしても人目も憚らずいちゃいちゃしてるわね」

望月「なんだかようやく自分がいない者になった気がするよ」



千曳「ふむ、いない者を増やしたことによって死者が現れた、か」

赤沢「ええ、勿論、そのいない者の人数の件と死者、藤岡さんが蘇った事が必ずしもつながっているとは限りませんが」

線曳「そうだね。勝手に思い込んで結論を決めつけては視野を狭めるだけだからね」

千曳「何事にも柔軟に対処する、か。対策係としての心得を分かっているようだね」

赤沢「心得が分かっていても問題が起こっていては無能と同じですよ」

赤沢「それで、今までにこのような例外的な事は何かありませんでしたか?」

千曳「いや、残念ながら思い当たる節はないな。そもそも在学中に死者の正体を掴めたのも初めてだろう」

千曳「強いて言えば15年前の3年3組の災厄は途中で止まったということくらいだろうか」

赤沢「そうですか。誰か当事者に聞ければいいんですが」

千曳「何を言っているんだい? 三神先生は当時の3年3組だよ?」

赤沢「何ですって? それは本当ですか?」

赤沢「ああ、三神先生は2年前にも災厄のクラスの担任だったし、よほど縁があるようだね」

赤沢「なんて事! いない者になっているせいで直接話が聞けないなんて」

千曳「なんなら私が代わりに聞いておこう。今回の件とは関係ないかもしれないが」

赤沢「お願いします。今は少しでも情報がほしいので」ペコリ

千曳(ふむ、やはり有能な子だね)

中尾(流石赤沢さんだぜ!)


美術

怜子「はい、それじゃあ今日も人物画を描きましょう」

怜子「いつも通り二人組に……」

未咲「恒一、組もう」

恒一「うん未咲!」

怜子「くっ」




望月「三神先生! 相手がいないんなら僕が!」

川堀「だからいる者の相手はよせっつってんだろ!」

杉浦「それで泉美、何かわかった?」

赤沢「直接的には何も。今は情報集めるしか手はなさそうね。そっちは? 何か動きはあった?」

杉浦「無いわ。精々あんなのがずっと続いているくらい」スッ




未咲「……」ジー

榊原「未咲? ちゃんと描いてる? 筆止まってるよ?」

未咲「あ、ごめんごめんちゃんと男前に描いて上げるね」

榊原「ははは、期待してるよ」カキカキ

未咲「……」ジー

榊原「……? あれ? また筆止まってるよ。どうかしたの?」

未咲「どうかしたって、分からない?」

榊原「何が?」

未咲「だって、恒一の顔を見続けるんだよ? 手なんか止まっちゃうに決まってるじゃない」ニコ

榊原「……///」カアア






赤沢「至急何かしらの対策をとるわよ! なんだかアレ見てるとすっごいイライラする!」

勅使河原「だよな! あれいらつくよな! 早く何とかしようぜアレ!」

風見「全く、騒がしいね。……桜木さん?」

桜木「……いいなあ藤岡さん」ボソ

風見「この案件にはクラス全員で取り組もう」キリッ





赤沢「あの日以来皆に協力してもらった結果、どうも望月君のお義姉さんが務めてるイノヤで15年前の災厄について知っている人が来たらしいわ」

赤沢「そう言うわけで今週の休みはイノヤで作戦会議を行います」

勅使河原「了解。早いとここの状況から解放されてーぜ」

綾野「ていうかさ。私達がまだいない者をやり続ける意味ってあるの? 藤岡さんが蘇るなんて問題もあったし意味ないんじゃ」

赤沢「そうと決めつけるのは早計よ彩。確かに死者が蘇るだなんて想定外は起きたけどクラスメイトが死亡するような問題は起きていない」

赤沢「ここでいない者対策を解除したせいで本来の災厄が起きたんじゃ目も当てられないわ」

綾野「あ、成程」

小椋「そう言えばその張本人は?」

鳴「未咲なら榊原君を迎えに言って一緒に登校してるみたい」

赤沢「ああ、確か彼女が死者だと分かってるのは3年3組の関係者だけだったのよね?」

鳴「そう。藤岡の人たちは未咲が死んだ事すら覚えてなかったから当たり前のように接してるみたい」

赤沢「……そう。本当なら二度と会えない人に会えているのに、その大切さは分からないのね」

鳴「……赤沢さん?」

赤沢「ごめんなさい見崎さん、少し貴女がうらやましいわ」

赤沢「私も災厄で従兄を失っているから」

鳴「従兄?」

赤沢「ええ、大好きだったわ。頼りがいがあって紳士でいつも見守ってくれるようで」

ガララ

榊原「ちょっと、未咲、くっつき過ぎだよ」

未咲「だーめ。これは遅刻しそうになった恒一への罰なんだから」ベタベタ

和馬「ははは、相変わらず仲がいいね二人とも」

未咲「でしょー? ほら赤沢君もこう言ってるよ恒一」

榊原「まいったな」ポリポリ




赤沢「そうそう、あんな感じだったわ」

いない者一同「……」

赤沢「って、お兄ぃ!?」




今日はここまで
赤沢和馬って設定ほとんどないよね?

危ない危ない

少しかきます


和馬「そう言えばもうすぐ夏休みだね。二人は何か予定あるのかな?」

榊原「いや、ないよ。ところで君は一体……」

未咲「うーん、今のところ恒一とデートする以外ないかな? 赤沢君は?」

和馬「僕も今のところ未定。そこでものは相談なんだけど皆で海に行かない?」

榊原「……"皆で"海?」

和馬「うん。正直二人の邪魔かなとも思ったんだけどやっぱり3年の夏だし受験以外にも友達と思い出くらい作りたいなと思って」

榊原「……友達と思い出」

未咲「私は問題ないよ! 恒一は?」

榊原「……僕も賛成だよ! "友達同士"たくさん楽しもうね!」













赤沢「離して! お兄ぃが! お兄ぃがそこにいるの!」ジタバタ

鳴「駄目。我慢して」

勅使河原「だからいる者の相手はよせって!」


国語教師「それじゃ次の文を、えー、赤沢和馬」

和馬「はい。『僕にとって推理小説とは、あくまでも知的な遊びの一つなんだ。小説という形式を使った…』」

未咲「どうしたの恒一? なんか随分嬉しそうだけど」

恒一「いや、授業の負担が3分の1に減ったのが嬉しくって」

未咲「あはは何言ってるの恒一ったら」








赤沢「ごめんなさい。さっきは取り乱したわ」

勅使河原「いやそれは構わないけどよ。それよりもあれってやっぱり」

鳴「うん。あれも死者」

望月「未咲さんの時と同じだね。突然現れたけど本人達は何の疑問に思ってない」

風間「けれど僕達はきちんとこの異常に気付いている」

赤沢「前に立てた仮説が濃厚になって来たわね。いない者が多くなった分、死者が増えていく」

赤沢「もしかしたら今後、もっと死者が増えていくのかもしれないわ」

小椋「そんな!?」

綾野「あれ? でも今月7月だよ? 4月は、その、未咲さんが【現象】の対象になったとしてもあたし達が対策とったのって5月でしょ?」

綾野「6月に未咲さんがまた【現象】の対象として蘇る死者にカウントされたとしても5月分の【現象】はどこに行ったの?」

赤沢「それなんだけどこうは考えられないかしら?」

赤沢「元々現象の予兆はクラスに1人増える事でクラスメイト及びその関係者が死に近くなる」

赤沢「だとしたら今の場合死者として蘇る対象もその関係者、つまり親族も含まれてるかもしれない」

赤沢「つまり誰かの親兄弟が5月に蘇っていたけれど直接3年3組に関わらなかったから気づかなかっただけ、ということも考えられるわ」

多々良(有能だ)

川堀(有能だ)

高林(有能だ)

中尾(流石赤沢さんだぜ!)



赤沢「ともかく、このままでいくとどんどん死者が増えていく可能性が高くなったわ」

赤沢「ただ増えるだけならいいけれどもし死者の人数が『いない者』にした私達の人数を超えてしまった場合」

赤沢「つまり席が一つ足りなくなった場合、【現象】が本来の役目を果たすかもしれない」

赤沢「そうなる前になんとしてもこの状況を突破するわよ」

赤沢「とりあえず対策係は今後現象に関して何でもいいから情報収集を」

赤沢「他の皆も過去の3年3組の関係者が知り合いにいたら死者が蘇ってないか聞いてみて」















未咲「あ、そう言えば海に行くのはいいけどどうやって行こっか?」

恒一「あー、そうだね。怜子さ、ウチの叔母に相談してみるよ」

未咲「ホント? あれ? 恒一のお父さん達は?」

恒一「父さんと母さんは今インドにいるから」

未咲「へー、そうなんだ」

恒一(5月に『母さんの声を忘れたの!?』とか電話かかって来た時はついに気が狂ったのかと思ったけどなんかもうどうでもいいや)

とりあえずここまで

熱が冷めないうちに次を書きたい所存

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