765のアイドルはよく笑う (33)




この世界は綺麗事だけじゃない

それなのに

765のアイドルはよく笑う

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この世界は案外金で何とかなる

強い事務所が圧力をかけて弱い事務所をつぶすなんてのはよくあることだ

961がそれに近いことやってるが

ありゃまだ優しい方だ

俺ら本職が絡むことは無い


アイドル目指す奴はそこそこ顔はいい

正規の方法で売れない奴は体を売る

レッスンだかの金の分働いてもらう

使った金はきっちり回収させてもらう

当然のことだ

そうすれば

明日は我が身とみんな頑張るし

楽に金も返せてみんなハッピーだ

目新しいものが出ては消えてくこの業界

ポツポツと消えても誰も気づかない




そんな中奴らは現れた

そう

765プロの奴らだ

社長の高木は961の社長とライバル関係だとか

あそこのプロデューサーは鉄人だとかの話をよく聞く

でもきっとすぐ破綻する

話に聞くととんでもない仕事量でてんやわんやらしい

あそこのアイドルは中々粒ぞろいだ

あられもない姿をさらすのはいつの日かと正直待ちきれない

今日また

一人の少女をホテルに連れてった

脂ぎったくせぇ豚に抱かれれば仕事がもらえるとか

なんでそこまでするのかねぇ

俺には理解できない

こんな事は日常茶飯事だ

あのホテルへ少女を送った回数は

両手じゃ足りない

少女は皆

俺にお礼を言うと

何も言わずに後部座席でうつむいている

間もなくいつもの豚が来た

金を受け取ると少女を引き連れホテルへと消えていく

数時間して豚と少女が出てきて

事務所に帰る

その目は皆死んでいる

事務所で少女を降ろし

社長に金を渡すとその半分を俺にくれる

「楽な仕事だろう?」

ドブの様な笑いで俺に問いかけてくる

俺はいつもこう答える

「また御用の時は呼んでください」

俺は普段

そういった業務とともに

事務所の会計をしている

もちろん横領なんかしたら殺されるので考えたことは無い

そしてもう一つ仕事がある

それはちょっとした趣味になっているのだが

フリーで芸能記事を書いている

元々、文を書いたり

人と話したりするのが好きな俺は

社長に許可をもらって

通常の業務に支障が出ない程度に

記者をしている



とある日

765プロに取材に行って来いと社長に言われた

そのころの765プロは破竹の快進撃を遂げ

今では堂々たるトップアイドルを数人輩出していた

社長が言うには何か売れる情報を掴んでこいとの事だ

養豚所の慰み者として育てるうちのアイドルがあんなにまでなれるわけがないだろ

そう思いつつも素直に返事をして

765プロへと電話をかけた

「お電話ありがとうございます。こちら765プロです。」

綺麗な声が聞こえた

「わたくしフリーの芸能記者をしています。加賀と申します。」

「加賀さんですね、本日はどういったご用向きでしょうか?」

「実は新進気鋭と名高い765プロの方にインタビューをさせていただけないかと、お電話させていただきました」

「インタビューですね。誰にインタビューを?」

しまった、考えてなかった

うちのアイドルが真似できないからと言って

考えなしに電話してしまった

「もしもし?」

「あ、あの・・・プロデューサーさんに・・・」

何を言っているんだろうか

とっさにいつだかの鉄人が浮かんだ

しかし後には引けない

「プロデューサー・・・ですか・・・秋月とPのどちらでしょうか?」

「Pさんを」

「スケジュールを確認しますので少々お待ちください」

なんでプロデューサーなんだろうか・・・

でも聞いてみたいと思ったのだろう・・・

見てみたいと思ったのだろう

幾人もの少女をトップアイドルに導いたその手腕を誇る

プロデューサーを・・・

「もしもし?」

「はい」

「今からでもよろしいですか?今後のスケジュールは埋まっておりまして…」

まぁ忙しいのだろう

それに、社長への報告は早ければ早い方がいい

「えぇ、お願いします。」

「それでは、お待ちしています」

「はい、失礼します。」

俺は受話器を置くと出かける準備をする


『うっうー!お料理しゃしすせその時間でーす!』


テレビから765のアイドルの声が聞こえた

事務所で話を聞いてるうちに思ったことがある

この事務所は綺麗だと

いわゆる裏の道に染まっていないと感じた

そしてこの鉄人

好青年だ

仕事もできて優しく顔も整っている

俺とは正反対の位置にいる人間だろう

インタビューの途中で

気になったのか

アイドルが良く覗いてくる

彼がたしなめてもやめないものだから

俺が

「みなさんのお話も良ければ聞いてもいいですか?」

と聞くと彼は笑顔で

「喜んで!うちの自慢の子たちです!」



了承してくれた

天海春香

如月千早

星井美希

高槻やよい

水瀬伊織

三浦あずさ

双海亜美

双海真美

萩原雪歩

菊池真

気付けばみんながそろってお話を聞かせてくれた

騒がしくなり、インタビューとは程遠くなってしまった

彼も苦笑いだ

でもその魅力は十分伝わった

この職場で働ける人間は幸せだろう

彼女たちの笑顔は輝いていた

最後に名刺を交換し

俺は765プロを後にした

報告したら社長に叱られた

そんな人間がいるはずないと

でも俺の記事は週刊誌に小さく載った

少しうれしかった

うちに新しいアイドルが入った

我那覇響

四条貴音

という

961にいたが、反発してやめたそうだ

しばらくすると


【南国の太陽と星空の月】


というようなうたい文句でデビューした

ポツポツと小さな仕事が定期的に入り始めた

それでもうちの事務所では売れっ子だ

俺が直接かかわっているわけではないが

誇らしかった

もしかしたらうちの事務所にも

765の様な雰囲気ができるかもしれない

そう思った

翌日

彼女らをあのホテルに連れて行くよう

社長に指示された

反発できるわけもなく

彼女らと車に乗った

その際

携帯に文章を打ち

閉じた

俺にできることは何もない

ただ彼女たちを運ぶだけだ

「ついに自分たちも表紙を飾れるんだぞ!!やったな!貴音!!」

「落ち着きなさい響・・・緊張感をもって・・・」

「でも貴音もうれしそうだぞ!!」

「///」

なるほど

写真撮影と偽ったか

けどこの笑顔がこれから苦痛にゆがむとなると

心が痛い

『うっうー!お料理しゃしすせその時間でーす!』


ラジオから765の高槻やよいの声が聞こえた

ふと

先のインタビューの光景がよぎった

何十回と少女を送った道からそれた



それた

あの事務所の前についた

「運転手殿・・・ここは?」

「撮影場所はここなのか?」

俺は携帯と名刺を渡した

「ここにPという男がいる」

「そいつにこれを渡すんだ」

「でも・・・仕事・・・」

「いいから行くんだ・・・仕事の内容もそいつが知っている」

「それは失礼しました・・・響、行きましょう」

二人の少女を見送る

もう迎えることは無い

少なくとも

これからもない

なぜこんな行動をとったのかわからない

贖罪をしたつもりじゃない

この事務所のせいだ

この事務所が俺に

車の一部だった俺を人間にしちまった

せめてもの嫌がらせに

あいつを忙しくしてやる

俺はアクセルを踏んだ

あの出来事からひと月

俺は捕まった


目が見えない

爪もない

耳は音を拾わない

足は立たない

いったいどれほど殴られたのか分からない

いまだにあの世に行けない

これでいいのだ

少女を地獄に送ってきた俺にはこれがふさわしい

 

なますかーさんでー!!!!


新しい仲間を紹介しまーす!!



自分!我那覇響だぞ!
四条貴音と申します








幻聴が聞こえた

765プロのアイドルはよく笑う
















金では買えないものが

そこにあった

終わり

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