天使「しあわせにしてあげます!」 (95)


男 「断ります! 今更です!」ヒュー

天使「あー、なんでー?
   人間はしあわせすきでしょー?」パタパタ

男 「いや、もう、俺、手遅れですので!」ビュオオ…

天使「ておくれ? なんで?」

男 「見りゃ分かるでしょうが!」

天使「みるー? ……あ。すごいね。地面ちかい。ぶつかっちゃうよー!? どーすんのー?」

男 「ぶつかるために飛び降りたんだよおおおおおおおおおおおおお」ビュオオオオ

 ぐしゃっ

天使「あっ」

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天使「うっわ……」

天使「人間って、つぶれるとこうなるのかー」

天使「……うげー」

天使「んでも、りっぱなてんしになるためには……これ、どうにか、しなきゃ」

天使「でも、これってどうすればいいんだろう?」

天使「うーん……どうしよ」

天使「もしもーし」ツンツン

肉塊「……」

天使「ちょっと、おへんじくらいくださいなー」

肉塊「……」

天使「うー、こまったなー」

天使「あのですね、あたし、まだ天使の『みならい』なんですよー」ペチペチ

天使「人間、ひとりだけでもしあわせにしなきゃだめなんですー」ペチペチ

天使「なんだかあなた『ふこう』そーだからお話したいんですけどー」ペチペチ

肉塊「」

天使「うへぇー……なんかあなた、にちゃにちゃしますね」

天使(あたしと同期の子たちは大天使になるための試験を受けている)

天使(あたしはまだ下級天使資格の試験中……)

天使(せっかくふこーそうな人間を見つけたのに……)

肉塊「」

天使(なんでみつけたとたんにぐちゃぐちゃになったの!?)

天使(なにが『ておくれ』だったのかなー?)

天使(でも、でも、とにかくこのままじゃあおくれれをとるだけだ!)

かわいい

saga入れといたほうがいいよ
殺 す→[ピーーー]
みたいに、色々勝手にフィルターかかっちゃうし

>>5(おーけー ありがと)

天使(えーと、えーと)パラパラ…

天使(こまったときの『下等天使の人助け入門書』)ペラッ

天使(ぶあついなー。たしかこーゆーときのたいしょほーは、ろっぴゃくページ以降だったはず……)

天使「あ! あったぁ!」

天使「おまたせしました、人間さん」

肉塊「」

天使「いまから、ちょっとがんばってみますのでのでー!」

肉塊「」

天使「えーと、じゅもん、じゅもん……っと」

天使「ちょっとまっててくださいねー」ニヘッ

肉塊「」

>>6
sag「e」じゃないよ、sag「a」だよ

>>8(///)

天使「えーと……」

天使「むつからここのつえんえん……んと、ね、ねがい?」

天使「じゃ? へびのみ? ……を、しにくが、くらう?」

天使「……。……よむの、むずかしーなぁ」

肉塊「」

天使「あ、まっててね。もうすこしでよみおわるから」

天使「おのがさだめにさしむか……ひ? ……うーん、これでいいのかな?」

天使「たまのかたちおいつわるからだ? かみのみこころとおくおき……。……よし、となえおわった!」

天使「……」ドキドキ…

肉塊「」

天使「……あれ?」

肉塊「」

天使「しっぱい、かなぁ」

肉塊「」

天使「……べつに、いいんだけどね。こんなの、せいこうしたってどうってことないんだもの」

肉塊「……」

肉塊「」ボゴッ!

天使「ひゃ!?」ビックゥ!

肉塊「」ボゴボゴボゴ…ギゴボボ…

 人間が潰れて出来た肉塊が形を変え形を整え、粘土細工が目に見えぬ手で捻くりかえされるように蠢く。

肉塊「ア、アガガ……!?」

 肉塊は苦悶の唸り声をあげながら何か大きな力に捻り上げられるように元の人型へと整えられていく。
ぎちぎちぐちゅぐちゅと変な音を立てながらも潰れた肉塊は潰れる前の形へ近づく。

 そんな気色の悪い光景を見ながら、肩から羽を生やした小さな娘は無邪気に笑う。

天使「やった! よかったー! いきかえって。ね、いきかえってねー」

肉塊「」

肉塊「」

肉塊「」

肉塊「あ゛っ……」

肉塊(苦しい苦しいぐるじいぐるじいぐ)

肉塊(が、がらだが、ぐじゅぐぐぐぐじゅじゅぐじゅ)

肉塊(ぎゃあああああああぎゃあああああ)

肉塊(身体が、捻って、ひねて、へんな、かたち)

肉塊(死んだはずだ、俺、死んだはずだよな、)

肉塊(もうやっと終われたはずなんだよな!?)





天使「ほら、ほら、いきかえって。せっかくだからいきかえってねー!」

―痛いぃ
――ぅ苦しい
―――きぼぢわるい……

肉塊「」

にくかい「」もご…

おとこ「」

天使「やたっ! もとにもどった!」

おとこ「」

男  「……」

男  「……はっ」ガバッ!

天使「えへへ、おきたー?」

男 「おれ、おれおれ、俺……俺は……」

天使「ねっ。すごいでしょ、あたし」

男 「いや、その……何がなんだか」

天使「いまさら、とか」

天使「ておくれとかいってたけどさ」

天使「こうやって元にもどれたからね! そんなこともういわないよね?」

男 「……」

男 「…………はあ?」

天使「だからね、あたしは」グイッ

男 「うおっ」

天使「人間はしあわせがすきだからね。人間をしあわせにできたらいっぱい点数もらえるの!」

男 「点数?」

天使「点数もらえたら天使のままでいられるし、点数たくさんかせいだらね『大天使サマ』になる試験をね、うけられるかもなの!」

男 「……いや、もう、なにがなんだか」

男 「だって俺はさっき死んだ筈だ……死ねた筈、だろう?」

天使「うんうん。しんじゃったの」

男 「いや……じゃあどうして俺は……」

天使「いきかえらせてあげたの! あたし、がんばったんだ!」

男 「……。……なんでそんなことを」

天使「ふこーな人をたすけたら点数がたかくなるの。
   ふこーならふこーなほどね、点数たかくなるのね」

天使「ふこーが おっきければおっきいほどむずかしいの。んでも、そのぶんむずかしーの。わかるかなぁ?」

男 「……」

天使「むっずかしーけど、そんだけ点数がおっきいからね」

天使「あたしね、ここらで人間の町、うろうろしてたけどあんまりいろいろわかんなくてね」

天使「そんでアナタをみつけたの!」

天使「なんかねー。こわがってて、なにかするたびおどおどしててね、かわいそーだったの。
   いつ助けてあげよかなーって思ってたら、ずっと高い場所から落ちちゃうんだもの」

天使「はねもひとつもはえてないのにさ」羽パタパタ

男 「……」

天使「あたし、せんぱいたちに『ゆーじゅーふだん』ってよくいわれてたからね。
   思い切ってお話ししようとおもったらぐっちゃりだもん。ひどいよ」

天使「あたし、しっぱいばっかりだけど助けてあげるってきめたもん。
   たすけたら点数たかそーだし……ほら、地面でぐっちゃりする前に『今更』って言ってたでしょ?
   だから生きかえらせてあげたんだー。……えへへ、秘密だよ? ほんとはだめなんだもんね」

天使「ちょっと遅かったかもだけどね、こうやって生きかえらせたもん。
   『今更』かもしれないけどね。……どーやったら『しあわせ』か教えてほしーなって」

男 「く……が……」ブルブル…

天使「ふるえてる? ……なんで? さむい? さむいの?」

男 「俺さ、死ねてたよな」

天使「あ、うん。しんじゃってたよ。かわいそーに、つぶれちゃってたの」

天使「なんだかよくわかんないけどね、それでも落ちながら『今更』っていってたから、
   たぶん落ちるまえのことで、つらかったかなーって」

天使「それならね、あたし、点数がとってもたかいだろーし、あなたを助けたいしで、えと、えーと……」

天使「そ! 『いっせきにちょー』だねって。おたがいねー」

男 「……」

天使「そーでしょ?」

男 「……一石、二鳥、って?」プルプル

天使「はい! ぐちゃってなる前になにかあったのでしょ?
   それを、えとえと……かいけつ! かいけつすればあたしもだいてんしです! やったあ!」ピョンピョン!

男 「んな……」プルプル

天使「へ?」

男 「んなこと、しるかあああああああああああああああ!!」

天使「ひゃぁ!?」ビクッ

男 「天使? はぁ!? 馬鹿じゃねーの!?」

天使「ひぇっ」

男 「俺がここまで追い詰められてたのに神様も仏様もノータッチだ!
   そんでようやく死ぬ気満々で行動起こしたところで天使!? 天使ってなんだ!? ばっかじゃねーの!?」

男  「生き返る? ハァ? 俺がどれだけ覚悟決めて死ににいったか分かんねーのか!?
    羽が生えてんだもんな、本当に天使だろうな。そんなら元に戻せや!
    もう一回あのビル登って飛び降りりゃいいか? ははっ! どんだけ恐ろしかったかわかんねーだろうよ、
    羽の生えた奴にはなぁ! せっかく、せっかく腹決めて飛び降りたのにどうしてくれんだ!?
    なんかよく分んないけどお前の点数稼ぎの為に俺は生きてたのか。
    違うだろ、違うよなあ゛ぁ!?」

天使「ひえぇ……ひえええ……」ガクガク フルフル

天使「え、えっと……ごめんなさい?」ビクビク…

男 「はぁ……なんなんだよ、くそ!」

天使「ひぅっ」ビクッ

男 「さっき言ってたよな。
   俺のことみてたって? 『かわいそー』だったって? 助けたかったって?」

天使「えっと、えとえとえと……」ワタワタ

男 「……もう良いよ。見てたんなら分かるだろ。俺がどうして死にたいかとか」

天使「だ、だからそれをどーにかしたげようっておもって……でもちょっとあたしタイミング? わるかったのかなーて……」

男 「良いって。そういうの」

天使「へ?」


男 「俺のこと助けたいんだろ?
   それならまたさっきに戻してくれよ。このまま死んだままの方が助かるんだ」

天使「死ぬのダメ!」

男 「はっ? ……俺なりに考えて考えて考え抜いて飛び降りたんだけどな。全く、天使様とかいうのはお前みたいに全員無責任に人を生かそうとするものなのか?」

男 「俺、天使なんかに会ったの初めてだからなんも分かんねーや。ははっ」

天使「……っ。あたし天使だから! なんとかしたげるの!」

天使「まだ天使みならいだから、なんでもできるわけじゃないけどさ」

男 「はは、もう良いって」

天使「だけど……あのねあのね、あたしね、しあわせにしてあげるよ! がんばるから!」

男 「神様だろうが天使だろうが助けて欲しかったことはあるよ。信心なんて欠片もないのに、笑えるだろ。
   でもそれは前のことだしさ。今はただ寝てたいんだ……ずっとずっと、永遠に……」

天使「ううっ」フルフル

天使「あたし、天使だから! できるもん! 『おちこぼれ』だけど、みならいでもできるもん!」

男 「だから良いって言ってるだろ!? 正直言って迷惑なんだよ! 俺をまた殺してくれよ!!」

天使「めーわく……?」ジワ…

男 「お、おい……」

天使「ぐす……あ、あたし、しっぱいだった? またしっぱい……ふえええ」ボロボロボロ…

男 「なに泣いてんだよ。いや……なんだよ、この状況。本当。俺も泣きたいくらいだって」

男 「具体的にお前、何ができるんだよ。俺みたいな奴も救うって? 点数稼ぎで? けっ、無理だろ」

天使「と、とにかく死んじゃったらだめなの。じぶんでじぶんをころすのはぜっっったいだめ!」

天使「じぶんで死んだことをナシにしてあげただけじゅーぶん たすけてあげたことにはなってるの。
   ……アナタはわかんないだろうけど、かみさまはそういうことにはとってもきびしくて、こわいの」

男 「つまり、生きかえらせて自殺回避させただけでも恩に着ろってか。馬鹿みたいだな」

天使「ばかみたいじゃあないの! ほんとうに、それだけはこわいことなの。だからあたし、ほんとはだめだけどいきかえらせたんだよ」

男 「自殺者は永久に救われないって? ……よく聞く陳腐な宗教論だな」

天使「そーそー! そーなの! ちんぷ? とかだってもそーなの!」

天使「こーやって天使がでてきていきかえらせたのに、まだしんじてくれないの?」

男 「じゃあ、あのまま死んでいられたら俺はどうなってたんだ?」

天使「じごくのそこの、もっとそこのほうにおちちゃうの」

男 「地獄の底に堕ちたからなんだっていうんだ。……実際、地獄の底みたいな生活してたんだよ俺は。分かるよな?」

天使「『じごくのそこ』はおんなじくらいつらいかもしれない」

天使「でもね、しんだあともおんなじはだめなの。ぜったいに」

天使「いきてたほーがね、たちなおりもはやくできるから」

天使「おんなじ すくうだとしてもね、てんすーたかいのはあなたみたいのなの」

天使「なんでてんすーたかいかっていうとね、しんだあととってもかわいそうだからなの」

天使「……わかってくれた?」

男 「いや、わかんない。死なせてください」

天使「もう、もう、もう! なんでわかんないの!?」

天使「いいもんっ。いつかわかってもらうもん……だから、アナタはいつものおへやにかえってね」

男 「へっ?」

天使「アナタもつかれてるからね、きっと。だからあたし明日の朝にまたいくから」フワー

男 「ま、待てよ!」

天使「まてないのー。あたしもちょっとねむいし、つかれたのー。そろそろよあけだもん」フアァ…


……
………

男「は……っ」

男(いつもと同じ煎餅布団……湿った畳のにおい……)

男「……あっちの方が夢だったのか?」

男(いや、違う。……絶対に違う)

男(地面にぶつかった時に感じた強烈で生々しい痛みと)

男(無理矢理生き返らせられた時の酷く吐き気のする苦痛)

男(あの羽の生えたチビな娘へ感じた苦い理不尽な感情)

男(あれがただの夢な筈はない……あんなはっきりした夢、あるものか)

男「起きた今でも……恐いくらい心臓がばくばく動いてる……」

男「――……サイテーな気分だ」

男「……飯、食うか」

男(腹減った。死のうと思って実行までしたのに腹が減る……馬鹿だな、本当に。俺は、本当に何なんだ……)

男(まだ冷凍食品が残ってた筈だ。レンジで温めて、食って……それからどうする?)

男(ハロワ……)

男(恐い、怖い。怖い)

男(そもそも外へ出かけるのが怖い……)

男(だけど……だけど)

男(夢の中で死んだのにな)


男(夢の中では死ねたのに、現実ではこれだよ。
  馬鹿みたいだ、俺。いや馬鹿なんだろうな、俺……はは)ヨロ…ッ

男 (俺、あの時死ねたのに、な)

男 (夢だったのか、あれは)

男 (それでも飛び降りて、俺は……)

男 (俺は人生で初めて、自分で決めたことを成し遂げられたのに……)



天使「あ。おはよです! いまあさごはんつくってますからねー」

男 「ぎゃあっ!?」ドタッ

天使「ひゃあ!?」ビクッ

男 「……あ、ああ、あえ?」

男 「な、ななな、なんで? ゆ、夢、だったんじゃ」

天使「ゆめじゃないの」

 鍋をかき回しながら天使(?)は言う。

天使「たすけよっておも……あ、あわわ」

 吹き零れかけた鍋を見て火を調節する天使。
 白い翼をぱたぱたさせながら「ふう」と一つ息を吐く。

天使「れーぞおこ、かってにみちゃってごめんね。
   それにしてもしょくざいどころかちょーみりょーもぜんぜんないんだもん」

天使「コメがちょっとあってよかった。ぞーすいでもいい?」

男 「あ……ああ?」

天使「よかったー。ちょっとまっててね」

男 (ちょっと待ちました)

男 (待っちまったよおおお)

男 (こんな、悪夢みたいな奴追い出すべきだった筈だけど)

男 (……いい匂いしやがって、くそ)

男 (ちっさい冷蔵庫、一応あるけど食材なんてなんにもなかった筈)

男 (こいつ、わざわざ買いに行ったのか? 俺に朝飯作る為に?)

男 (そもそも金持ってるものなのか天使って!?)

天使「おまたせー。ぞーすいつくりましたー」

天使「うん、ほんとーにお塩とお米があってよかったー」コトッ

天使「はい。めしあがれ」

男 「いや、飯がどうかとかよりも……」

天使「とりあえずごはんたべて! たべなきゃなにするにしても力、わいてこないでしょ?」

男 「……」

男 (煮込まれてとろとろになった白い米に、緑色の……野菜? それにキノコまである)

男 (ちょっとあやしいけど良い匂い……)スンスン…

男 (どうせ死のうとしてたんだ。何を警戒してるんだ、俺は。
   この怪しい雑炊食って死んだとしても御の字じゃないか)パクッ ムシャムシャ…

男 「ん!?」ムシャ

天使「ど、どーかな?」

男 「……う、うまい」

男 「がつがつ、むしゃむしゃ」

天使「えへへ。あたしね、つくったごはんをしあわせそーに食べてもらうとうれしーの」

男 「いや、ほんとにこれ、美味い!」ガツガツムシャムシャ

天使「よかった! しあわせになった? ね、ね。しあわせー?」

男 「うまい! けどさ」

天使「ふふふー」ドヤァ

男 「……いや、ちょっと待てよ」

天使「うん」

男 「これ、材料なんなんだ?」

天使「そのへんのくさだよ?」

男 「ブフッー!!」

天使「わ。わわわ!?」

男 「お、おま、お前やっぱり最低だな」ゲホゲホ

天使「ごめんね、ちょっと『ごへー』があったかも」アセアセ

男 「語弊?」

天使「たべられるやつだから。えいようまんてんのくさだから!」

天使「えとえと……たべられて、えいようまんてんな やそう!」

男 「……本当に、栄養満点の、食用な野草なんだろうな」

天使「うん。ほんとーにたべられるやつ。じゅーたくがいでもけっこうはえてるものなの」

天使「そもそも……」ジロ…ッ

男 「ん?」

天使「そもそもしんでもいいくせに」…ボソッ

天使「なにさ。たべたくないならたべないでいいんだもん」

天使「たべられるくさとかきのことか、アナタをおへやにはこんだあとにさがしてみたの」

天使「おいしーっておもってくれたらまだいきててくれるかなって」

天使「でもさ、天使なのにこんなの、うん……ばかみたいかなぁ」

天使「『奇跡』なんておこせないしさ、

男 「むしゃむしゃ、ごぶごぶ、がぶがぶ!」ガガガガッ

男 「ふー、ごちそうさま」カチャ…

天使「あ、あれ?」

男 「正直言って美味いんだよ。

男 「お前のことは全然信じられないけど、どうせ死ぬつもりだったから。
   得体の知れないきのこに中るのもあの時飛び降りて死ぬのも同じだろう」

男 「自殺したら救われない、とか言ってたけど
   さすがに天使の怪しいきのこ雑炊食って死ぬのは自殺にはカウントされないだろ?」

天使「うん。あ、いや、でもね、ほんと、たべられるやつだけでつくったからね!」

男 「ははは、毒、入ってりゃ良かったのに」

天使「だって、ほんとにたすけてあげたいんだもん。
   おいしいの食べたらげんきでるかなって」

男 「あの夢が本当だったら死んでたのにな。今食ったものも毒なら……良かったのにな」

天使「そのへんのくさって言ったら『ブフー』てふいてたくせに」

男 「ああ、全く……あの時死んどきゃよかったと思うよ」

男 「どれだけ死にたくても死ぬのは恐いからな」

天使「そんなものなの?」

男 「そんなものだ。だから、俺、まだお前のこと許してない」

天使「ひぅ……」ビクッ

男 「……なんだかんだ、飯は美味かったけどな」

男 「もう、俺、寝るわ」

天使「んへっ!? さっきおきたばっかなのに?」

男 「うっさいな! 疲れたんだよ!」

男 「お前と話してるだけで疲れ果てた!! もう今頃死ねてた筈なのになんだこれ!?」ガァッ!

天使「ひゃ!? でも、その、じさつしたあとって、もっとたいへんだから……」

男 「とにかく今日は寝る。まだ何が何だかわっかんねーんだ。ちょっと休ませてくれ」

天使「うん、ご、ごめんね?」

男 「全部お前のしでかしたことなんだけどな」布団にゴソゴソ

天使「えへ」

男 「『えへ』じゃねーよ、くそが。とにかく寝る!」

天使「うん。おやすみ」ナデナデ

男 「……」

天使「……」ナデナデ

男 「……」

天使「……」ナデナデ

男 「……」

天使「……」ナデナデ

男 「……あのさ」

天使「ひゃ!?」

男 「落ち着いて眠れねーんだけど」

男 「俺のこと、馬鹿にしてんのか?」

天使「ばか、に?」キョトン…

男 「……はあ、放っておいてくれよ。一人になりたい」ゴロン

天使「おんなのこにナデナデされたらおとこのこははたのしくなるってきいたのに」キョトン

男 「そういう気分じゃねーから。頼むから一人にしてくれ」

天使「うーん……あたしは、ねんれーたいしょーがい?」羽パタ

男 「もうとにかく一人にさせてくれ。色々ありすぎて疲れた」

天使「わかったー」

男 (お、案外素直だな)

天使「でもね、死のうとしてもまたよみがえりー! だからねー!」パタパタ

男 「……」

天使「じゃねー、ちょっとしたらかえってくるよー」フワフワ パタパタ

男 「……。……寝るか」バタン

あんま書き溜めないけど貼ってきます
更新はまとめてするべきか、一日数レス分でいいから毎日するべきか。。。
毎日一気に書くのが理想ですけどねー

天使「なつかしーの、にんげんのせかい!」

天使「ひとりにしろーっていってたもの。ちょっとおさんぽしよー」パタパタ

天使「かわってるとこもあるし、かわってないところもあるよね」

天使「どっちにしても、ひさびさだもの」

天使「うれしーな。にんげんのせかい、うれしーな」

天使「あっちにかえりたい、けど、なぁ」パタ…

天使「……やっぱりこわいなぁっ!」バタバタバタッ!

天使「人間、しあわせすきなはずなのになあ。あたしだってしあわせすきなのに」

天使「じさつはしあわせじゃなくて、じごくにおちて、そんでしあわせじゃないってこと、ちゃんとつたわってるのかなぁー?」

天使「とってもこわいのに……」パタパタ

天使「……」パタパタ

天使「……はね、まっしろだ。まっしろだから、うれしーなー」

天使「それだけで、あたし、しあわせなのになー」

天使「おとこのこはおんなのこいるだけでしあわせって せんぱい、いってたのになー」…フヨフヨ

天使「人間のしあわせってむずかしーの」フヨー…

天使「おっとと。はばたくの、わすれるところだった」パタパタパタパタ!

天使「おそらとぶのって、きもちーけど……やっぱりたいへんだなー」フワー

天使「そーいえば、ひとりになりたいっていってたけど」パタパタ

天使「いつかえればいーんだろ」パタ…

天使「……。……ま、いいや。せっかくだもの、このあたりのことみてまわろーっと」パタパタ

天使「やっぱりあたし、てんししっかくなのかなー」

天使「じかんつぶしてかえっても いやがられるかなー」

天使「ま、いいや。おさんぽおさんぽ」

天使「だって、せっかく、かえってきたもの」

天使「おさんぽー……おさんぽー……はぁ」

天使「でもやっぱり、ひとりはさみしーなぁ」

天使「ううん……でも、おさんぽおさんぽ! だもん!」パタタタ!

天使「たてものがあって、ひとがいる」

天使「おもしろいなぁ。こうやって空の上からみるのって、おもしろいの」パタパタ

天使「えきにはーおしごといってるひとがーいっぱいー」

天使「人間、すごい量たくさん……うん、すごいなぁ。電車がぎゅうぎゅう」

天使「みてるだけなら、たのしー光景。でもぜったい乗りたくないの」パタパタ

天使「じゅーたくがいには、こどもと、おかーさん」

天使「おっきいのは、がっこーにいくのかな。ちっちゃいのは……よーちえん? ほいくえん?」

天使「ちっちゃいののおかーさんは、ちっちゃいのといっしょにあるいてる」

天使「おっきいのはおともだちとあるいてる」

天使「なんだろ……みてるだけで、たのしーな。『みてるだけなら』だけど……人間ってたのしーな」パタパタ

天使(すーぱーまーけっと、いんしょくてん、でぱーと)

天使(まんしょん、あぱーと、だんち。人間たくさんで、みてるだけでたのしーの)

天使(ビルや道のそうじや、マンホールのなかをてんけんする人たち……ほかにもたくさん、いろんなおしごと!)

天使(おしごとぜんぶ、ひとつひとつ、それぞれのつらいとか、あるの。そのぶん、たいせつがあるの)

天使(どんなおしごとでも、それぞれのつらいとか、かなしいとか……そんなのあるのに、やっぱりはたらかなきゃ人間はダメって、かわいそーだなー)

天使(みんなみんな『にんげんしゃかい』を支えようって。そういうおしごとに いっしょうけんめいだから、『にんげんしゃかい』なの)

天使(人間のおしごとはなんだって、たいせつなおしごとなのに。おしごとのせいで、いやがられたり、ほめられたり……人間って、へんなの)

天使(ぜんぶのおしごと、なかったら、ぜったいぜったい、みんながこまるから、おしごとになってるのに)

天使(それなのにいやだったり、いやがったり)

天使(ぜんぶ、たいせつなおしごとなのに……ガタガタの道をならすのだって、下水管のなかをしらべるのだって、しんだひとをおくったり、焼けた人間のほねがどんなふうなのか説明するひととか)

天使(レジ打ちだってなくちゃなんにもだれもなんにもかえないのに、えいぎょーだってしてもらわなくちゃ、だれもいいものとであえないのに)

天使(どうろこうじのひとがいなくちゃ、どうろをあるくこともできないのに)

天使(ぜんぶたいせつなのに、みくだしたりばかにしたり……つらそうだったり、めんどくさそうだったり)

天使(だから人間は救わなきゃいけないの? 救われなきゃいけないの?)

天使(へんなの)

天使(そう。やることがあって、やくにたって……いっしょうけんめいに……)パタパタ…フヨフヨー…

天使(じゃあ、人間を救うのがおしごとな天使は……なにをすればいいんだろ?)

天使(同期の子たちはとにかくランクあげたくて、しあわせじゃない人間をちまなこでさがしてる)

天使(まるで不幸な人間がいることをよろこんでるみたい)

天使(かとおもえば、才能もやるきもない人間は救いようもないってほうっておいて)

天使(たとえばきょう、あたしがすくってあげようっておもったあの人みたいな人はみなかったふり)

天使(へんなの、へんなの)

天使(ランクをあげるのだってだいじだから、こうやってあたしも救おうとおもってるけど)

天使(しあわせがむずかしーからほったらかしなのも、へんなの)

天使(……それとも、あたしがへんなの?)

天使(わわっ!? やきとりやたい! とりにく、いいにおい!)フヨー…

天使(待った、すとっぷ)

天使(人間のおかね、もってないし。羽かくすのもめんどーだし)

天使(うん、おさんぽ。おさんぽ。ちょっとしたらもどるんだもの)パタタタ

天使(……ちかくに、はいしゃ、内科のおいしゃ……診察のあとにかえるのかなぁ?)

天使(としょかん! ガラスばりで、おおきくて、りっぱなとしょかん)

天使(本はえらびほーだいで、簡単にもってかえってじっくり……)

天使(うらやましいけど、人間にはなりたくない)


天使(人間のかずはおおいから、天使とであえる人はほんのすこし)

天使(たいていはじぶんでなんとかしなきゃいけないの)

天使(なんのちからもなくて、きせきもじぶんでおこせなくって)

天使(それなのにいきなきゃいけない)

天使(天使は救う側。天使はカミサマにしゅくふくされた、めぐまれたそんざい)

天使(天使はそんざいするだけでしあわせ)

天使「しあわせ……なのに」

天使(ほかの天使の子はにんげんはあわれで、だからすくわなきゃっていってるけど)

天使(人間を『きゅーさい』しなくちゃ『らんくあっぷ』もできないあたしたちのほうがよっぽど救われないとおもうなぁ)

天使(人間はおもいおもいに生きてるだけで、天使はそれを救うだけのそんざい)

天使(それなのに人間をみくだして、ばかみたい)

天使(人間がいなくちゃ……えーと、えーと『そんざいかち』? ないのに)

天使(ほんとに、ほんとに、ばかみたい)

天使(だけど、そんな天使たちよりも、あたしはみじゅくで、ばかで、あほうだけど)

天使(『大天使サマ』になる試験して、合格すれば、わかるのかな。みんながわかってること、わかるのかな……)

天使「わかったら、楽なのかなあ」フヨー…パタパタ

天使「だったら……楽になりたいな……」…パタパタ

天使「あ。ずいぶん時間たったかも」

天使「飛ぶとおなかすくなぁ」パタッ

天使「あの人まだねてるかな? かえったらまた『ひとりにしろ』っておこるかな?」

天使「でもちょっとかえろっと」

天使「その前にたべるもの、とろう!」パタパタ!パタタ!

天使「よろこんでくれるといーなー」パタタタ…

天使「ただーいま!」ガチャッ

 しーん

天使「あれ、やっぱりまだねてる?」テクテク

 天使がごみだらけの床をするする歩きながらちゃちな台所を通過し、四畳ほどしかない(ここもまたごみぶくろだらけの)フローリング部屋に入った時
 男は椅子に立ち、天井から吊り下げられたほっそい電気紐をわっかに結んで首をくくろうとしていた。

男「……!」

天使「あ。ちょっと……」

 天使の静止も聞かずに男は椅子を蹴った。



 が、人間一人分の重さにほっそいほっそい電気紐があらがえるわけもなく、


 ――どずんっ!

 と鈍い音をたてて男は煎餅布団の上に尻から落ちるはめになった。

 ほんの一分程度吊っただけだが、男は二、三回急き込んで目に薄く涙を浮かべながら言う。

男 「げほ、げほげほげほ! は……ははやっぱり駄目か」

天使「こんなのじゃだめなの。しってたのにどうしてするの?」

男 「死にたいからだよ」

天使「えと、どうせしねたって、ほんとはダメでも『いきかえりー!』するのっ。救いたいからしちゃうって、さっきいったじゃない!」

男 「は……はは、はははは……そうだな。そうだったな」

男 「――だけどさ……もう、本当に、本当に、放っておいてくれよ」ジワッ

男 「生きてるだけで辛いんだよ。なにもかも」

天使「そもそもあんな細いひもでつったって、しなないよ」

男 「はっ! 分かってる。分かってるさ。……それでも、お前が帰ってくる前に吊って、死んでしまえば諦めてくれると思ったけどな」

男 「こんな無気力な人間、救ったってしょうがないって思ってくれりゃ良かったのに」

男 「いっ……てぇな」

天使「ごめんね、もっとはやくにかえってたら……」

男 「違う、違うんだ。落ちた時に腰、打っちまった」

男 「はは、死ぬつもりでも痛いのか。馬鹿みたいだ、ははは。馬鹿だ、俺」

天使「……むー」ムスー

男 「あー……えっと」

天使「むぅぅ……」頬っぺたムクー

男 「な、なんだよ」

天使「むうぅ……うええ」ビエエエエンン!

男 「泣き止めよ。泣き止めって」

天使「でも、でもでもでもでも! たすけなきゃ、たすけなきゃバツがあたるの!」

男 「天使だから人を助けにゃ罰があたるか」

男 「は……はは、はははは……そうだな。天使だもんな」

男 「それでも頼む――……もう、本当に、本当に、放っておいてくれよ」ジワッ

男 「生きてるだけで辛いんだよ。なにもかも」

天使「……引く程お前が泣いてくれた今、少し冷静になれたから言えることだけど。
   分かってたのに、やってたんだよ……お前が帰ってくる前に吊って、死んでしまえば諦めてくれると思ったけどな」

天使「ふー……」

天使「どくしんじゅつ? ひさびさにつかったけどさ、やっぱりあたしダメだー」

天使「ひょーめんてきなことくらいしかわかんないなの。だから、だめだー」

男 「…っ!? お前、俺の……」

天使「ごめんね。天使って、こころよめるの」

天使「階級によってぜんぜんちがうんだけどね」

天使「だけどね、あんしんしてねー」

天使「あたし、まだ、したっぱのしたっぱだから」

天使「うーんと……『言葉にしようと思ってるけどできなくて、それでも伝えたい言葉』と」

天使「『おもってるけど、しゃべりたくないけど、話してみたい言葉』、しか語れないの」

男 「やめろ! 覗くな!」

天使「『あんまりにも理不尽で、死ぬなんて馬鹿みたい』。そうおもってる。そうおもってるのに、しのうとする」

男 「覗くな、喋るな!! やめてくれよぉぉ……」

男 「ああ、ちくしょう。俺の考えは、もう俺のものだろ!?」

天使「だけど、あなたのこころをよめる。それが天使だから」

天使「だから天使は人間を救えるの。あたしは、救いたいからこころをよむの」

天使「救われずとも立ち直れるこころは、あたしみたいな『かきゅーてんし』にはよめないはず」

天使「人間にはわからないかもだけど、あたしみたいな『かきゅーてんし』でもわかるくらいにかなしんでいる人だから」

天使「だから、あたしは、こうやってきたの」

こんくれえしか書き溜められんかったずら
まとめて投稿するにしてもこんくらいずらー
毎日投稿したいけど、そういうふうは一日三、四レスできたらいいほうずらー
どすればいいずら?

完結までの道筋はできてるから、そのへんは安心してくれろ
んでも、それを書き出すのに時間がかかるトンマだし、まとめて十レス以上投稿するべきか ちょくちょく三、四レス投稿するべきかわがんね。教えてくれら。

スレ立てぢまっだがらな。完結までづづげっぺ。
ごりゃ、やぐぞぐだー。

これいじょ、書き溜めねだけど、やぐそくだー。





男 「は、ははは。はははは。あはは……意味分かんねえ」

天使「あれ? えっと……ちょっとまってね」

天使「うーん、むむむ……」

男 「待て! 覗くな!」

天使「ひぅ!!」ビクッ

男 「……不愉快なものなんだな、心を覗かれるって」

天使「あ、あれ? えーと……そ、そなの?」

男 「逆に訊くけど、どうして嫌だと思えないんだ? 自分だけの気持ちなはずなのにこうやって覗かれて人間が平然としていられると?」

天使「ご、ごめんなさい。こころ、わかるのってそんなにいやなの?」オロオロ…

男 「むしろこっちが訊きたいくらいだ。自分の心を覗かれて平気でいられると思うか?」

天使「でもねそれね! 助けたいからこころがどうなのかしらべるだけなの!
   だからほんとうにあってるか、こたえあわせでほんとか訊いたの。あたし、天使だけどあんまりちゃんとした天使じゃないから……」

男 「気味が悪い、気持ち悪い。不快だ。不愉快だ。本当にやめてくれ。やめてくれよ……頼むから」

天使「きもちわるい? あたし、どくしんじゅつヘタだから、ほんとにそう思ってるかちゃんと声にだしてきいてるのに……」

男 「……お前は、本当に天使なのか?」

天使「うん! てんしてんし!」白い羽をパタパタ

男 「……天使、か」

天使「てんし、だよ?」…パタ



男 「……正直、天使がどういうものなのかは知らないけどさ」

天使「うん」キョトン…

男 「もっとこう、天使って人間を救ってくれるもんじゃないか?」

天使「うん! だからたすけにきたの!」

男 「……」

天使「あたしよりももっとちからのつよい天使はね、もっと徳のたかい人間しか救うおうとしないけど、」

天使「あたしはそれってちがうとおもってね、あなたを助けにきたの!」

天使「あー、これってさっきも似たよーなこといったっけ? うふふ、おぼえてないやー」

天使「とにかくね、助けるからね。あなたのこと助けなきゃあたしもそろそろ『たんい』? とれなくてたいへんだから!」

男 「……」

天使「……あれ?」

男 「……」

天使「えーと、えーと、きいてる?」

男 「……聞いてるよ」

ちょっと眠いのでまた明日です
このまま続けても雑になっちゃいそうだし、書き溜めたものも正直雑雑&雑なので
読んで下さってる方々、投稿遅い上にこんなんで申し訳ないです。

みすてないでね!

男 「徳が低い、いや、そりゃあそうだろうけど」

男 「……そもそも徳ってなんだ?」

天使「あ……えーと、徳っていうのは……うーん……」

男 「ああ、徳ってなに?」

天使「うーんと、えーと。世の中の役に立つことしてたり……とか?」

男 「……」

天使「あ、あのあの、えっと。あたしあれですから。したっぱですから」

男 「うん。分かってる。俺は世の中の役にもたたないって」

男 「だから放っておいて欲しいけど……お前にとっては出世の貴重な道具なんだな?」

男 「徳が……人間としてのレベルが低いからお前みたいな下っ端にとっては貴重な出世道具なんだな?」

天使「そういうことじゃないの! えとえと、ちがうの!」

男 「しかも助けないと罰が当たるとか言ってただろ」

天使「それは、その……うん」

男 「……」

天使「あ、あの……?」

男 「……どうせ捨てたも同然な命だ。勝手に救ってくれ」

天使「わああああ」パアアア!

男 「いや、そんなに顔を輝かされても……」

天使「うれしい! うれしいです!!」ガバッ

男 「わっ」

天使「救っていいの? ひとだすけへたなのに? 救っていいの?」

男 「人助けが下手って……いや、下手だろうけど」

天使「……いいの?」ギュー

男 「もう勝手にしていいよ。どうせ捨てた命だし」

天使「やった! かってにできる!」パタパタ

男 「勝手にって言ってもな……頼むから嫌なこととか面倒なこととかつらいこととかは止めてくれ。それだけ守ってもらえるならなんでもいーや」

天使「もちろん!」

天使「でも、なにやっていいかわかんないや」

男 「良いよ。期待してないし」

天使「むっ」

男 「いや、だって何すれば良いかなんて分かってないだろお前」

天使「じゃあ、なにすればいいの?」

男 「……」

天使「……」

男 「……俺を今すぐ才能あふれる億万長者にしてくれりゃ全て解決するんだけど」

天使「むり!」

男 「だよなぁ……本当、何なら出来るんだ?」

天使「そだ! ばんごはん! ばんごはんつくるよ!」

男 「……はぁ。お願いするわ」

男 (晩御飯、なぁ)

男 (朝の雑炊旨かったけど、また似たようなモン出してくるんだろうし)

男 (まあいいか。最近パソコン開くのもだるかったけど、久々にネットでもするか)

男 (ああ、パソコンも埃だらけだ。それでも動くだもんなぁ。)カチカチッ

男 (なんか、いろいろ巡回しててもあんまり頭に入って来ない)

男 (何もしなさすぎて脳味噌の能力が低下しすぎたのか、天使が台所で料理してるとかいうおかしな状況に混乱してるのか)

男 (できれば後者であって欲しい)

男 (……どんなに非科学的でもそっちの方が随分マシだ)

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