夢子「むかしの過ち」 (28)

りょうゆめです。すぐ終わります

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『桜井夢子、プロデューサーとの淫らな関係』


このスクープは多くの週刊誌を賑わせた。新進気鋭のアイドルと、プロデューサーとの秘め事。この記事を契機に、桜井夢子は無期限の謹慎。そのプロデューサーも、業界内部での悪行が露見する羽目になった…

涼「……」

石川「…どうしても、あなたの心は変わらないのね?」

涼「はい」

石川「あなた、自分の今置かれている立場が分かってないの?ただでさえ桜井夢子と懇意にしていたってだけでもまずいって言うのに…」

涼「わかってますよ。でも、これだけはどうしても譲れないんです。だって、夢子ちゃんを見捨てるなんて出来ない。確かに今回の件は夢子ちゃんの自業自得かもしれない…でも夢子ちゃんは僕にとって、かけがえのない人だから…」

石川「……」

涼「勿論、876プロに迷惑をかけるつもりはありません。これが終わったら…」

石川「辞めるなんて言うんじゃないでしょうね?許さないわよそんな事」

涼「……」

石川「あなたはこの876プロの稼ぎ頭なのよ。そんな些細な事で辞められちゃぁ、こっちの商売あがったりよ」

涼「社長…ありがとうございます…」

石川「…あとは任せなさい。あなたも、桜井夢子も、見捨てたりしないから…行ってきなさい」

涼「はい…行ってきます」

石川「……」

武田「逞しくなったものだ」

石川「聞いてたの?」

武田「あぁ、最初から最後まで」

石川「盗み聞きとは、趣味悪いわよ」

武田「僕もそう思うよ…」

石川「…必ず守ってあげましょう」

武田「勿論そのつもりさ…涼君、僕は信じてるよ、君の事を…」

夢子父「…遠路遥々、娘の為にありがとうございます」

涼「夢子ちゃんは、部屋ですか?」

夢子父「えぇ、部屋に居ますよ…まさかあんな事になろうとは…」

夢子母「あなたにも、少なからず迷惑をかけてしまいました…不肖の娘を、どうか許してやってください…」

涼「許すも何も、僕は迷惑なんてしていませんよ」

夢子父「娘がまさかあんな事を…アイドル復帰もいつになる事やら…いっそアイドルなんか辞めて、婿でも貰った方が娘も幸せになれる…」

夢子母「お父さん!」

夢子父「すまん…涼さんも、御気分を害されたでしょう…」

涼「いえ、お気になさらず」

夢子母「そう言えば、今日はどのような御用件でこちらに…」

涼「はい…今日はお二人に、お願いがあって来ました」

夢子父「お願い?」

涼「夢子ちゃんを僕にください」

夢子父「…え?」

夢子母「そ、それはどういう…」

涼「さっき言った通りです。僕が夢子ちゃんを貰います」

夢子母「む、娘を貰ってくれるのはありがたいですが、娘は今謹慎中の身ですよ…それに、娘は傷物…」

涼「僕も大して変わらないですよ。女だと偽ってアイドルをしてたんだ…お互い様ですよ」

夢子父「そこまでして…何故娘を…」

涼「好きだから…これじゃダメですか?」

夢子父「……」

涼「夢子ちゃんを、僕にください」

夢子父「…あなたの心は良くわかった。夢子の事、頼みます」

夢子母「涼さん、夢子をどうか…」

涼「必ず幸せにします。だから、安心して下さい…お義父さん、お義母さん」

夢子父「ありがとう…ありがとう…」

夢子「……」

涼「夢子ちゃん」

夢子「来ないで!」

涼「……」

夢子「あんたにだけは、こんな汚れきった姿を見せたくないの…だから、来ないで…」

涼「……」

夢子「こ、来ないでよ!」

夢子「!?」

涼「夢子ちゃん…そんな事言わないでよ」

夢子「なんで…どうしてあんたは…」

涼「汚れてるなんて、嘘付かないでよ。夢子ちゃん、とっても綺麗だよ…」

夢子「嘘よ…」

涼「嘘なんかじゃない…僕が保証する…」

夢子「こんな女の、どこが綺麗なのよ…知ってるでしょ、私は…」

涼「知ってるよ。全部知ってる」

夢子「それなら…!」

涼「でも、全部忘れちゃった」

夢子「…え?」

涼「夢子ちゃん…君は、本当に良い女だ」

夢子「涼…りょう…」


その後、秋月涼は桜井夢子と交際を開始する。その事は瞬く間に広がり、悪徳記者達はハイエナのようにその話題に群がった。少なからず涼はアイドルランクを下げる事になる。しかし、石川社長、武田さんのお陰で、被害は最小限に抑える事が出来た。だが、その後すぐにAランクまで持ち直したのだから、秋月涼という男は凄まじいものを持っていると改めて思わされた

涼「夢子ちゃん、行って来るね」

夢子「行ってらっしゃい」


一連の騒動も終息し、涼のアイドル活動も順調、私はというと今は涼と同棲している。今だに謹慎中の身で、復帰も未定だがいつか必ずアイドルに復帰する。それが私を救ってくれた、あいつへの恩返しだから…


夢子「とりあえず、今日の夕飯の買い出しにでも行こう…」

夢子「今日は何を作ろうかな…」

?「ちょっと」

夢子「はい?私ですか…」

夢子「!?」

P「久しぶりだね」

夢子「…何しに来たのよ」

P「いや、昔馴染みの顔が見えたから、ちょっとね…」

夢子「今すぐ私の前から消えて」

P「おぁ、怖い怖い…それで、最近涼くんとはどうなの?」

夢子「聞こえなかったの?」

P「はいはい…そう言えばさぁ、涼くんって俺が夢子とそういう関係だったって知ってるの?」

夢子「さぁ、どうだか…でも、あんたの名前は知ってるけど、顔は知らないはずよ」

P「ふ~ん…」

夢子「…あんた、暇なの?さっさと仕事にでも言ったらどうなの」

P「…仕事なんてねぇよ」

夢子「え?」

P「クビだよクビ」

夢子「それは御愁傷様」

P「少なからず、お前にも責任があるんだからさぁ…お詫びの一つもないわけ?少しくらい金を恵んでくれても…」

夢子「はぁ?何言ってんのあんた。私だって無期限謹慎中なのよ、私にたかる暇があるなら、他の奴にたかった方が賢いと思うけど」

P「…誰のせいでこんな事になったと思ってんだよ!」

夢子「なに逆ギレ?だっさいわね」

P「この糞ビッチが!てめぇだけ幸せになるなんて許せねぇんだよ…今に見てろよ」

夢子「…昔はもう少しかっこ良くも見えたけど…ほんとあんたって屑中の屑ね!さっさと次の職見つけなさいよ!このニート野郎が!」

P「へへ…楽しみにしてろよ…」

夢子「胸糞悪い…早く帰ろ」

~その夜~


涼「ただいま」

夢子「お帰り、夕食出来てるわよ」

涼「ありがとう…お腹ぺこぺこだよ…」

夢子「ふふ、今日も頑張って作ったから、遠慮せず食べて…」


ピンポーン


夢子「…こんな時間に誰かしら?」

涼「僕が出るよ…」

涼「はい、どなた様…」

P「こんばんは」

涼「…あなたは?」

P「桜井夢子の事なんだけど…ちょっと外で話しでもしない?」

涼「…良いですよ」

夢子「涼、どうしたの?」

涼「うん…ちょっと出掛けてくるから…すぐに戻るよ」

夢子「え?」

涼「だから、待っててね」

夢子「ちょ、ちょっと涼!」

P「じゃあ行こうか」

夢子「涼、どうしたのかしら…」

夢子「あ、あいつ!?」

夢子「あいつ、涼に何をしようっての…」

涼「それで、話って言うのは?」

P「桜井夢子と関係を持ってたプロデューサーって、誰だか知ってる?」

涼「…さぁ、知りませんね」

P「それね…俺なんだよ」

夢子「!?」

涼「…へぇ」

P「あの時の夢子ったら、かわいかったねぇ。俺が可愛がってあげたら、犬みたいにケツ振って「もっと!もっと頂戴!」とか言っちゃってさ…俺は桜井夢子を初めて女にした男なんだ…悔しい?俺は彼女のあんな事やこんな事まで知ってるんだ…ふふふ…あはははは!」

夢子「やめて…やめて…」

涼「…それがどうしたんですか?」

P「あ?」

涼「だからどうしたって言うんですか?そんな事は百も承知です」

P「な、何だと…」

涼「あと、さっきの話の中で夢子ちゃんを女にしたのは俺だって言ってましたけど、それは間違いですよ」

P「ま、間違いだぁ…何が間違いだってんだよ!」

涼「夢子ちゃんを女にしたのは…この僕だからです」

P「…はぁ?」

涼「あなたが覚えている夢子ちゃんは、抜け殻同然の女です。夢子ちゃんは僕と付き合いだして生まれ変わったんだ…それにあなた、今の夢子ちゃんの事知ってるんですか?」

P「……」

涼「昔の事しか知らないあなたには、わからないでしょうね。本当の夢子ちゃんの姿なんて…」

P「う、うるせぇ!!」

涼「それに僕達、将来結婚する予定ですし」

P「な、なに!?」

夢子「!?」

涼「もう夢子ちゃんの御両親からは了承を得てます…でも今考えると、僕はむかしから、夢子ちゃんに惚れてたんだなって改めてわかりますよ」

涼「あの騒動が起こった時、僕は思ったんです。桜井夢子という女を、絶対に守る。僕の命を懸けて、この女性を愛したいって…」

夢子「……」

涼「惚れて惚れて惚れぬいて、心底惚れないと女の本当の値打ちは分からないものですよ」

P「し、知ったような口を…」

涼「でも、あなたには居ましたか?そんな女の人が」

P「……」

涼「もう一度言います、桜井夢子を女にしたのはこの僕、秋月涼です。それを知ってるのはこの世で僕と夢子ちゃんのたった二人だけ…そんなものらしいですよ、男と女って…へへへ…」

P「……」

P「くそったれが……」

涼「それじゃ、帰らせてもらいますよ…」

夢子「……」

涼「あれ…夢子ちゃん?」

夢子「あ…」

涼「もしかして…全部聞いてた?」

夢子「……」

涼「はは…まずい事聞かれちゃったなぁ」

夢子「涼…」

涼「……」 スッ…

涼「帰ろう…」

夢子「うん…」

愛「りょうさーん!!!ゆめこさーん!!!」

涼夢「!?」 バッ!

愛「探したんですよ!!!家に行ってみたら誰も居なかったから、どこに居るんだろうって!!!」

絵理「ケーキ買ってきたから、みんなで食べる…?」

ネリア「センパイが買ってきた美味しい美味しいケーキ、ありがたく頂戴しなサイよ!」

夢子「あんた達…」

愛「さぁ、早く行きましょう!!!」

涼「……」

絵理「涼さん、何だか残念そう?」

涼「え!?い、いや、そんな事は…」

ネリア「…大方、デートでもしてたんでしょうよ」

涼「ち、違うよ!」

絵理「慌てる所が、怪しい?」

涼「そ、そんな事より、早く帰って食べようよ!」

ネリア「そうデスね」

涼「はは…」

夢子「はぁ、喧しいのが来たわね…」

涼「そんな事言いながら夢子ちゃん、嬉しそうだね」

夢子「…当り前でしょ」

涼「珍しいな、夢子ちゃんが素直だなんて」

夢子「…ばーか」

涼「へへへ…」

夢子「ふふふ…」

私は一度何もかも失いかけた。でもそのお陰で、かけがえのないもの手に入れた



私達、出会えて本当に良かった…ありがとう、そして…これからもよろしくね

終わりです。涼も夢子も生まれてきて本当にありがとう…ただただ感謝

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