モバP「でんでらりゅうば」 (30)

岡崎泰葉「お疲れ様です、Pさん」

木場真奈美「そろそろ休んだらどうだ? どれ、ストレッチを手伝ってやろう」

有浦柑奈「こういう時は思いっきり歌うといいんですよ!」


P「この3人って確か……」

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柑奈「自転車に轢かれそうになりました!」

P「なにィ!?」

泰葉「大丈夫、でしたか?」

真奈美「ふむ、危ないのがいるものだな」

柑奈「あ、いや違うんです」

P「違うってなんだ」

柑奈「自転車多すぎるんですよ!」

P「はあ?」

泰葉「あー……」

真奈美「そういうことか」

P「え、何よ」

泰葉「つい油断しちゃいますよね」

真奈美「慣れないだろうが、歩道では気をつけないといけないぞ?」

柑奈「あはは、走ってたので……」

P「え、この辺りって自転車多いか?」

真奈美「柑奈の地元からしたら、遥かに多いだろうな」

P「油断したら轢かれるほどなのか……」

P「しかし、轢かれるったってなあ」

泰葉「その自転車、歩道を走ってたんですか?」

柑奈「はい!」

真奈美「やれやれ、一応法律で禁止されたはずなんだが」

P「まあ車の真横は怖いわな」

柑奈「歩道が広いので大丈夫だと思ったんですが、油断しました!」

P「広いか?」

泰葉「そうですね、地元に比べればずっと」

真奈美「そもそも歩道は途中で無くなるものだ」

P「何それこわい」

真奈美「しかし、急ぎの用でも無いのに走ってきたのは感心だな」

柑奈「結構涼しくなってきましたから!」

泰葉「え、そうですか?」

P「山は越えたって感じだが……。まあまあ暑いだろ」

真奈美「ふむ、柑奈は島の者だったか?」

柑奈「はい!」

泰葉「あー……暑いですね」

P「え、地元同じだろ?」

真奈美「町によって気候が多少異なる。離島もあるしな」

柑奈「でも、汗かいたからやっぱり着替えます!」

泰葉「あ、私も」

真奈美「私達もレッスン上がりだしな。P、エアコンは点けるか?」

P「了解、点けておきますよ」

柑奈「覗かないでくださいね!」

P「覗くか」

泰葉「覗かないんですか?」

P「泰葉!?」

泰葉「……ふふっ」

真奈美「ふむ、ベテランの演技だな」

――――


P「お、あがったか」

泰葉「はあ、涼し……」

柑奈「真奈美さんの凄いですよ! ラブが詰まってます!」

P「ブッ!?」

真奈美「どういう言い方だ……」

泰葉「アイドルには大きさは問題じゃないから……」

P「?」

泰葉「ふふっ。何も」

P「お、おう……」

P「柑奈、お前シャワー室でめちゃくちゃ歌ってたろ」

柑奈「聞こえてました?」

P「そりゃあれだけの音量ならな……」

真奈美「場所はともかく、声量は見習うものがあるな」

泰葉「舞台で映えるんですよね。いいなあ……」

P「海賊の役を持ってきて正解だった。しかし、ありゃ何を歌ってたんだ?」

柑奈「えっと……何でしょう!?」

P「知らんよ」

泰葉「そういえば、アレって曲名ってあるんでしょうか」

P「曲名も知らずに歌ってたのか?」

泰葉「昔、コマーシャルで覚えたんだと思います」

P「コマーシャル?」

真奈美「文明堂のCMだな。……東京ではやっていなかったか」

P「文明堂は知ってるが……。あのCMってクマだろ」

柑奈「クマ?」

泰葉「え、熊ですか……?」

P「え、長崎創業なんだろ? あの店って」

真奈美「私も知らないな。ちょっと待て、調べてみよう……」

P「それこそカステラだって長崎の方が食べるんじゃあ……」

柑奈「ウチは福砂屋でした!」

泰葉「私の家も……」

P「ふくさや?」

真奈美「私もあちらの方が好きだな。東京だと目黒で見たことがあった筈だが……っと、あった」

真奈美「関東地方でのみ放送されたCMがあるそうだ。『3時のおやつは文明堂~』というフレーズで知られているらしい」

P「そう、それだ」

柑奈「初めて聞きました!」

P「ええ……」

P「で、結局あれは何の歌なんだ」

泰葉「童謡、ですね。……でんでらりゅうばー、でてくるばってん♪」

柑奈「おお! ひょっとしてあのCMの小さい子って!」

真奈美「何年前から流れてると思ってるんだ……」

P「なんか気になってきた。どういうCMなんだ?」

柑奈「小さい女の子が二人で歌ってるんです! ラブが溢れてて可愛いんですよ!」

P「シンプルなんだな」

真奈美「ローカルCMはそういうものさ。それにしても妙に歌うCMが多かった気がするが」

柑奈「そういえばこっちはあまりありませんね」

泰葉「サファリパークのCMくらい?」

柑奈「富士!! サファリパァーk」

P「うるせえ!」

柑奈「岩崎本舗なんか歌うCMばかりですよ」

泰葉「言われてみれば……そうだったかもしれませんね」

P「岩崎本舗?」

柑奈「角煮まんのお店です」

P「……角煮まん?」

真奈美「そこからか……。ふむ、そういえば店をこちらで見たことがない」

柑奈「それは勿体無い!」

泰葉「と言っても、高級品なのであまり食べることはありませんでしたけど」

真奈美「カステラもリンガーハットもあるのにな」

柑奈「東京のちゃんぽん、何か違いますよね」

真奈美「まあ、そこはラーメンと同じだ。結局地域の味は再現出来ないのだろう」

P「……へえ、東京にいても大概の名産は手に入るものだとばかり思ってたんだがなあ」

真奈美「だから人は旅行に行くんだ。私達アイドルも地方ロケに行くだろう?」

柑奈「少し、帰りたくなってきました」

泰葉「もうお盆過ぎちゃいましたね」

P「まあこんな業界だし、休みは決まって取れるものじゃないからな……」

真奈美「まあなんだ、今夜は私の部屋に来るか? 丁度ちゃんぽんの材料を揃えてあるんだ」

柑奈「いいんですか!?」

泰葉「スープとかどうしたんですか?」

真奈美「無性に食べたくなってね。わざわざ取り寄せた」

柑奈「緑色のカマボコもありますか!?」

P「え、何それこわい」

P「そうか、この後はもう仕事入ってないな。なんか、話に付き合わせたようで悪かった」

泰葉「いえ、Pさんとお話するのは好きですから」

P「……不意打ちか」

柑奈「ラブですよ!」

真奈美「ピースもな。丁度終戦を過ぎたばかりだ」

P「じゃあ皆、お疲れ様な」

柑奈「はい! お疲れ様でした」

泰葉「お仕事頑張ってくださいね」

真奈美「休養はしっかり取るように」

P「もう十分なので……はは」

――――


柑奈「でんでらりゅうばー でてくるばってん♪」

真奈美「でんでられんけん でーてこんけん♪」

泰葉「こんこられんけん こられられんけん こーんこん♪」




おしまい

無性に地元ネタをやりたくなって書き始めたけど意外にも進みませんでした
またいつか、今度は書き溜めもして、リベンジをしたいものです
お付き合いいただきありがとうございました

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