有里湊「もしかして…君も冷峰学園へ?」鳴上悠「あぁ…」(7)

8月上旬 夏休み…

とある田舎町のローカル線 電車内…

…ガタンゴトン…ガタンゴトン…

車掌『次は…花園学園前…花園学園前で…ございます…』

鳴上「…」スク…

…スタスタ…

車掌『…花園学園前…花園学園前…です。右の扉が開き…ます』

…プシュー…ガコン!…

鳴上「…やっと着いたな」

…スタスタ…

花園学園前駅 ホーム…

鳴上(改札口は……)スタスタ…

…ドンッ!…

不良生徒「…ってぇな!どこ見て歩いてんだぁ?てめぇ!」

鳴上「すまない…」スタスタ…

不良生徒「待てやオラァ!何だその態度はよォ」ガシッ!

鳴上「………離せ」ボソ…

不良生徒「…あ?今なんつった?」ギロ!

鳴上「その手を離せと言った」ゴゴゴ…

鳴上「…悪いが急いでるんだ」キッ!

不良生徒「う……」タジ…

不良生徒(や…ヤベぇ…こいつ…なんつー威圧感だよ…)ゴクリ…

不良生徒「……チッ!」スタスタ…

鳴上「……ふん」スタスタ…

花園学園前駅 三番出口…

ヘッドホンの少年「…」スタスタ…

鳴上(ん?…あれは…先日の月光館学園の合宿の時の……)

鳴上「…有里先輩」

有里「…!…君は……鳴上くん!」

鳴上「…お久しぶりです」

有里「…そうでもないんじゃない?…合宿から一週くらいだし」

鳴上「…そうですね」

有里「でも奇遇だね…まさかこんな田舎でバッタリ会うなんて…」

鳴上「…先輩は何でこんなところへ?」

有里「うん…ちょっと冷峰学園って所に…個人的な用事があってね…」

鳴上「…ッ!」

有里「…」

有里「もしかして…君も冷峰学園へ?」

鳴上「…あぁ」

有里「…そうなんだ…よかったら一緒に行かないかい?」

鳴上「いいですよ」

有里「良かった…僕一人じゃあ少し骨が折れそうだからねぇ…」

不良生徒達「「「…」」」ワラワラ…

有里「それじゃあ…」ゴゴゴ…

鳴上「…行きますか?」ゴゴゴ…

二日前…

八十稲羽 河川敷公園…

鳴上(…遅いな…雪子…)

完二「せ…先輩……」ボロ…

鳴上「…!…完二!?…その怪我は一体…!?」

完二「ぜぇ…ぜぇ…し…商店街で…雪子先輩が…ここらじゃ見たことない制服着てる…ゲホッ…奴等に絡まれてたから…」フラ…

完二「助けようと…したんスけど…はぁ…はぁ…返り討ちに遭っちまって……雪子先輩は…そいつらに連れて……行かれて……」

鳴上「…!」

完二「…先輩!すんませんしたッ!…俺のせいで……俺のせいで雪子先輩が……!」ウル…

鳴上「落ち着けッ!」クワ!

完二「…!」

鳴上「完二…雪子が連れて行かれたのはお前のせいじゃない……雪子を守ろうとしてくれてありがとう」

完二「…先輩!」ブワッ…

鳴上「それより完二…雪子を連れて行った奴らについて分かることはあるか?…せめて着ていた制服がどこの学校のものか分かれば…」

完二「…すんません…なんもわかんねぇッス…」

鳴上「そうか…せめて何か手掛かりがあれば……」グッ!

完二「手掛かり………あ!」

鳴上「どうした?」

完二「先輩…これを!」スッ…

鳴上「これは…!…定期入れ!」

完二「奴等とやりあってる時…俺、もう無我夢中で…今ちょっと冷静になったら手の内になんか握ってて…!」

鳴上「…!…学生証も入っているな…」ペラッ…

鳴上「…冷峰学園…2年C組……久保美津雄……!」

鳴上「完二…すまないが…」

完二「へへ…いいッスよ!俺なら少し休めば動けるようになりますから…」

完二「それより…行くんスね?」

鳴上「…あぁ」

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