にこ「鈍感な彼女」 (37)

絵里「あー……生徒会の仕事終わったぁ。少ないから結構すぐにできちゃった」

にこ「お疲れ様」

絵里「……」

にこ「どうしたの」

絵里「今、夏休みよね」

にこ「そうね」

絵里「なんでにこが生徒会室にいるの……?」

にこ「えっ、今更?」

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絵里「だって今日は練習もないし、生徒会の仕事もちょっとだけなのに……」

にこ「いや、今日は生徒会の仕事だ、って私にメールしてきたじゃない」

絵里「うん」

にこ「1人で片付く量だけど暇だ、って……」

絵里「したわね」

にこ「……はっきり言わなきゃ伝わらないわけね」

絵里「?」

にこ「あんたと一緒にいたかっただけよ」

絵里「わーい、にこがデレた!」

にこ「あんたが鈍いだけよ……」

絵里「この後どうする? にこは何か予定ある?」

にこ「別にないけど」

絵里「じゃあみんなでどこか遊びに行ったりする?」

にこ「ちょっと待って」

絵里「え? 何?」

にこ「恋人と2人きり……それ以外に何か思いつくことはないの?」

絵里「……デートだ!」

にこ「それよそれ」

絵里「でも今からだと、きっと外暑いわよ?」

にこ「そうね。真夏日になるとか言ってたし」

絵里「じゃあ室内でデートしましょう」

にこ「なにそれ。学校探検でもするの?」

絵里「ううん、生徒会室だけ使います」

にこ「?」

絵里「にこ、こっちに来て」

にこ「はいはい」

絵里「さあさあ、私の膝の上にどうぞ」

にこ「……あんた、本当にそれ好きよね」

絵里「だって1番近くにいられるでしょ?」

にこ「わかったわよ」

絵里「あー……にこの匂い」

にこ「汗くさくない?」

絵里「ううん」

にこ「そっか」

絵里「……どうしたのにこ、何だか耳が赤くなってきたけど」

にこ「いや、ね。あんたの中では普通のことなんだろうけど、緊張するのよ、これ」

絵里「ほんとだ。ドキドキしてる」

にこ「さりげなく胸を触るんじゃない」

絵里「えへへ、恋人特権?」

にこ「まあいいけど……」

絵里「……もし冷房効いてなかったら、こんなにくっつけなかったわよね」

にこ「そうね」

絵里「はー……にこかわいい」

にこ「ちっちゃいから?」

絵里「それもあるけど……なんかかわいい!」

にこ「言葉にできないって?」

絵里「そういうことよ。にこは魅力の塊だからね……誰かに取られないよう気を付けなくちゃ」

にこ「……」

絵里「あれ? にこ、どうしてうつむくの?」

にこ「あんたの方が十分取られそうで心配なのよ」

絵里「にこ、抱きしめていい?」

にこ「嫌って言ってもするんじゃないの?」

絵里「嫌って言ったらしない」

にこ「ふーん」

絵里「許可が出るまで何回も訊ねる」

にこ「それ、ほとんど強制じゃない」

絵里「でもにこは嫌って言わないでしょ?」

にこ「……言わないけど」

絵里「ぎゅーっ」

にこ「……」

絵里「にこエネルギー吸収中」

にこ「私のエネルギーをとるんじゃない」

絵里「じゃあ代わりに絵里エネルギーを注入」

にこ「アホがうつる」

絵里「ひどい」

にこ「あはは」

絵里「私はこれでも生徒会長なのよ?」

にこ「それなのに生徒会室でこんなことしてるし」

絵里「うっ」

にこ「生徒の会の長って感じじゃないわよ?」

絵里「いいもん。にこには自分を包み隠さず見てほしいから」

にこ「……何で?」

絵里「好きだから」

にこ「……耳元で囁くのはやめて」

絵里「あ、わかった。にこは照れてるのね?」

にこ「今更?」

絵里「うん、だって今気づいたもん」

にこ「そりゃ、ね。好きな人と2人きりだから」

絵里「へー、にこも照れるんだぁ……」

にこ「だからあんたが鈍すぎるのよ」

絵里「そう?」

にこ「そうよ」

絵里「だからドキドキしてたの?」

にこ「そうよ」

絵里「かわいい」

にこ「うるさい」

絵里「でも私はあんまりドキドキしないわね……にこのこと好きなのに」

にこ「あんたの中ではこうすることが普通なのよ」

絵里「そうなんだ。にこって私のことに詳しいわね」

にこ「当たり前でしょ、ずっと見てきたんだから」

絵里「……にこは私のどこが好き?」

にこ「バカなところ」

絵里「うっ……じゃあ嫌いなところは?」

にこ「バカなところ」

絵里「一緒じゃない!」

にこ「よく考えなさい」

絵里「……わかんない」

にこ「そこが私の好きなところよ」

絵里「私のにこが好きなところはね……」

にこ「え? 自分から言うの?」

絵里「うん」

にこ「で、好きなところは?」

絵里「鈍いところ!」

にこ「あんたに言われたくない」

絵里「えへへ、冗談です」

にこ「はいはい」

絵里「私の好きなところは……思いやりがあるところかしら」

にこ「思いやり?」

絵里「そう。みんなのことを見てるところ」

にこ「ふーん……」

絵里「その視線を今、私は1人占めしてるわけよね」

にこ「あんたが気付いてないだけで、ずいぶん前からそんな感じよ」

絵里「え? そうなの?」

にこ「本当に鈍いのね」

絵里「にこ、今日は何する?」

にこ「今日も、じゃないの?」

絵里「あ、そっか。いつも遊んでるもんね」

にこ「……もしかして、デートって認識はなかったの?」

絵里「うん」

にこ「……」

絵里「えっ、どうしたのにこ。またうつむいて」

にこ「はぁ……」

絵里「にこ、そんなに落ち込まないで。何回だってデートするから」

にこ「そうじゃなくて、今までなんだと思ってたのよ」

絵里「……遊び?」

にこ「私とは遊びだったのね」

絵里「それはないわ。本気よ、すごく真摯で真面目な交際をしているつもり」

にこ「じゃあなんでデートじゃないのよ……」

絵里「にこが教えてくれなかったから……ごめん」

にこ「今度からデートのときはデートって叫ぶわ」

絵里「……お腹すいてきた」

にこ「じゃあ外に出る?」

絵里「でもにこを膝の上に置いておきたい……」

にこ「外ではさすがにダメよ?」

絵里「うん、だから……よし、今日は私の家に来て」

にこ「えっ」

絵里「今日は1人なのよ。だからちょうどいいでしょ?」

にこ「ちょうどいいって……えっ」

絵里「ほら、家ならできるじゃない」

にこ「いや、それはそうだけど……」

絵里「あとほら、いつもはできないあんなことやこんなこととか」

にこ「……何するつもり?」

絵里「肩車とか膝枕とか」

にこ「……期待した私がバカだったわ」

絵里「?」

にこ「じゃあ早く連れて行きなさい」

絵里「えー、もう少し膝を堪能したい」

にこ「家に行けばできるでしょ」

絵里「それもそうか……じゃあ最後にもう1回」

にこ「え?」

絵里「ぎゅー」

にこ「……」

絵里「あれ……にこ? どうしたの?」

にこ「……今のは油断してた」

絵里「行きましょうか」

にこ「……うん」

絵里「にこ、元気ない」

にこ「照れてるのよ、あんたのせいで」

絵里「なんで?」

にこ「もう知らない」

絵里「許してください」

にこ「鈍感を治さない限り許しません」

絵里「ど、どうしたら治るんだろう……」

にこ「そんなこと言ってる時点でダメよ」

絵里「ぐぬぬ」

にこ「ほら、とっとと行くわよ」

絵里「はーい」

にこ「……デート!」

絵里「何? どうしたの急に」

にこ「あんたが好きって言ったのよ」




    おわり

え、まだ続くよね

おつー
前のにこえりの続きかな?

>>25
ネタがない

>>27
チガウヨー(ヾノ・∀・)

一応前のにこえり貼っとく

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月04日 (月) 19:17:44   ID: IAbrcSTK

うみにこがまた見たい

2 :  SS好きの774さん   2014年08月04日 (月) 20:10:15   ID: MDNlSkhL

にこえり最近増えててうれし

3 :  SS好きの774さん   2014年08月12日 (火) 19:28:33   ID: aYy_sEjs

いいなー
にこが押されちゃう感じがいいわー

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