希望を持たない人達の話 -What is the purpose of life- (13)

ごつごつと岩肌が露出した一本の道

その道を、一つのモトラド(注、二輪車、空を飛ばないものだけを指す)が走っていた

モトラドには、茶色のコートを着込んだ、見た目は若い少年...いや、少女が乗っていた

「ねぇ」

モトラドが言葉を発した、運転手に向かって

「キノ、次向かう国ってどんな国なの?」

キノと呼ばれた運転手は

「気になるかい?エルメス」

質問には答えず、勿体ぶる様にそう言った

エルメスと呼ばれたモトラドは

「そりゃー気になるよ、こんな整備もされてない道を走らされてるんだよ、答える義務はあるんじゃない?」

少しむっとした声で答えた

「はは、ごめんよ、エルメス。じゃあちょっとだけ教えてあげるよ」

「ん、そりゃどーも」

「次の国の国民はね、皆、疑り深いんだって」

「なにそれ?どゆこと?」

エルメスが問う

「国民皆が、生まれついての疑心暗鬼らしいんだ。家族さえも信じられないってさ」

「へぇ、まだあるといいね、その国」

「ボクもそれが気になるのさ、どうしてまだ国が崩壊してないのか」

「じゃあ、船は沈めってことで」

「.......善は急げ?」

「そうそれ!」

「わかりづらいよ、エルメス...」






※これは「キノの旅 -The beautiful world-」のSSです
※gdgd要素、語彙力の不足、書き溜めなし
※フラグ放置、展開が早過ぎる等があるかもしれません



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405233581

スレタイの-What is the purpose of life-、に?を入れ忘れていました...

「見えたよ」

キノが口を開いた

「おぉー、まぁまぁ大きいんじゃない?」

エルメスは城壁を見ながら、そう言う

「さて...まずは入国審査だね」

ある程度走ると、城壁の門の前に二人の番兵がいた

歳を召した、白い髭を生やした番兵、そして若い、がっしりとした体つきの番兵だ

「止まれ、何者だ」

若い番兵がライフルをキノに向け、静止を促した

「ボクはキノ、旅人です。入国させてもらいたいのですが、できますか」

エルメスから降り、手を上げた

「入国だと?隣国のスパイじゃあないのか?」

まるで親の仇でも見るように睨む

「いえ、スパイではありませんよ。旅人と証明しろと言われましても、その様なものは持ってませんし」

キノは落ち着いた表情で答え

「....まぁ待て、そう急かすな...」

老いた番兵が若い番兵の肩に手を置き、首を横に振る

そして

「すまんの、キミ。気にしないでくれ」

キノに向かって声をかけた

「はい、大丈夫です。こうなるとは思いましたし」

手を下げつつ、頷きながらそう言った

「ほう?こうなると思っていた...と?」

老いた番兵は顎を触りながら質問する

「えぇ、この国の人々は疑り深いと聞きました」

キノは嘘偽りなく、答えた

「ほっほっほ、よぅわかっとるようだ。うむ、若いの。このお方は旅人だ、丁重に扱え」

「....わかりました」

ライフルを下げ、睨みながら地面に唾を吐き捨てた

「んじゃあ俺は先戻ってます」

「おぉ、わしのコーヒー、捨てといておくれ」

「ん、了解です」

若い番兵はこくりと頷き、中へと入っていく

「....さて、旅人さん」

「はい?」

「パースエイダーはお持ちですかな?」

「えぇ、三丁ほど」

キノは手持ちのパースエイダー(注、銃器の事を指す)を番兵に見せる

「ふぅむ...これはなかなか...」

じっと舐めるように並べられたパースエイダーを見つめる番兵

「ありがとう、パースエイダーの持ち込みはかまわないよ。」

「治安は悪いのですか?」

「...いや、というか....まぁ、トラブルは多くてね。自己防衛の為、というわけだよ」

「そうですか、わかりました」

一丁一丁、丁寧にパースエイダーを収納する

「では、書類に諸々書き込んだ後、入国となりますゆえ...何もない国ですが、どうぞ休んでってください」

「はい、ありがとうございます」

ぺこりとお辞儀し、キノは門の中へと入っていった

期待


___________________________

入国一日目



「やー、キノ、なかなかいいとこじゃない?」

「そうだね、エルメス。トラブルも今のところないよ」

「疑心暗鬼ってどういう意味だっけ、初対面の旅人に親切にする人の事?」

「違うよ、他人を信じようとしない人の事だと思うんだけれど」

「でもさぁ、店員さん、キノのこと普通に...ていうか嬉しそうに接客してたじゃん」

「.....噂は間違ってたのかなぁ」

エルメスを押しながら、道を歩くキノ

安値でいいホテルを先ほど寄った店で聞いて、向かっているところだ

「でもね、エルメス」

「ん?」

「正直、ボク以上の疑心暗鬼はいないと思うんだ。旅人であるボクは、いつ死ぬかわからない。いつ銃弾が頭に飛んできても、おかしくないんだよ」

「キノ、さすがにそれはないんじゃない?」

「生きるってそういうことだよ、一度死の境を経験してしまったボクは、いつだって何事も疑ってるよ」

「でも、キノ...噂は信じてたじゃないか」

「信じてはないよ、確証がないから確かめに来たんだ」

「さいで」

「...っと、ホテルが見えてきたよ」

キノはずれた帽子をきちんと直し、ホテルの入口へと向かった

「ちょっと待っててね、エルメス」

「うん、いってらっしゃい」

ホテルの前にエルメスを止め、キノは中に入る

「いらっしゃいませ、休憩ですか?宿泊ですか?」

入ると、ロビーの受付にいる女性が声をかける

「宿泊です、三日間」

キノは女性に近づき、そう答えた

「では、こちらにサインを...」

「はい」

キノはチェックインを済ませ

「あ、そういえば...エルメス、ボクのモトラドは中に入れても大丈夫でしょうか」

「はい、構いませんよ。外に置いていて盗まれても、当ホテルは責任を受け付けませんし」

苦笑いしつつ、女性は頷き

「ですが、モトラドの中に...危険物など、入れてませんよね...?爆弾とか...」

「...?はい、そんな危険なものを入れては、ボクが危ないですし」

「あ、あはは!そうですよね!失礼しました!」

大きく頭を下げ

「では、どうぞ入れてください。御部屋にはこちらの人が案内いたしますっ」

女性は近くにいた従業員の裾を掴み、くいくいと引っ張る

「ん...っと、いらっしゃいませ」

白髪に、青色の目をした、落ち着いた雰囲気の男性がお辞儀をする

「私は、カルロと申します。御用の際はどうぞお申し付けください」

頭を上げ、微笑む

「はい、宜しくお願いします。カルロさん...では、エルメスを持ってきますね」

「お待ちしております」

カルロはこくりと頷き、キノを見送る


________________________

「ねぇ、キノ。明日は整備にいこーよ、いい店あったでしょ」

「そうだね、エルメスを見てもらおうかな...エルメスが壊れたら、ボクの旅は終わりだ」

ホテルの一室、さほど豪華でもない、ベッドにシャワールーム付きの部屋で、キノは今ベッドで寝転んでいる

エルメスは倒れないよう、スタンドを立て、壁際に置かれている

「その後は...うん、弾薬も買おう。安くしてもらえるかなぁ」

「明日になったらわかるよ、今考えなくても」

「そうだね、ボクはシャワーでも浴びて、さっさと寝たいな」

「ん、じゃいってらっしゃい」

「うん、いってくる」

キノはベドから起き、シャワールームへと入っていった

少し席を外します、また後で書き込んでいきます

「.................」

暖かいシャワーを浴びながら、考え事をする

「今のところ、噂通りでは...ない、かも」


「ただ、何かひっかかるんだよな...ボクの気のせいだと思うけど」

「....いいや、ボクはそこまで知りたいわけじゃない、この国の事は」

「揉め事もなく、出国できるといいのだけれど」

シャワーを止め、顔を上げながら呟く

「ボクの勘は、時々当たる」

そう呟くと、シャワールームから出てタオルで体を丁寧に拭いた

「今夜は美味しい食べ物の夢でも見たいな」

拭き終え、着替えるとベッドに向かい

「お帰り、キノ」

「ただいま、エルメス」

「うん、おやすみ」

「おやすみだよ」

短く言葉を交わすと、キノは電気を消しすぐさま寝てしまった

___________________________

入国一日目 終了

(今日はあまり書き込めませんでしたが、続きは明日ぐらいにします...ではっ)

(おう、またな)

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